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特許7546987IoT用の情報処理装置、情報処理システム、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】IoT用の情報処理装置、情報処理システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240902BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20240902BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H04Q9/00 311J
G08C15/00 D
G08C19/00 G
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024002664
(22)【出願日】2024-01-11
【審査請求日】2024-01-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522092206
【氏名又は名称】株式会社サンワ電装
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大津 健一
(72)【発明者】
【氏名】石井 拳
(72)【発明者】
【氏名】北川 昌明
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-163242(JP,A)
【文献】特開2008-186336(JP,A)
【文献】特開2022-082318(JP,A)
【文献】特開2005-208719(JP,A)
【文献】特開2020-182145(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0231723(US,A1)
【文献】特開2004-030930(JP,A)
【文献】特開2021-184132(JP,A)
【文献】特開2008-222383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00-9/16
G08C 15/00-15/12
G08C 19/00-19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不定期に稼働する回転装置の振動、又は、加速度を検出する第1検出部と、
前記回転装置が稼働、又は、休止するのを検出する第2検出部と、
前記第1検出部による検出結果を示す検出データに基づき、前記回転装置の異常の予兆を含む状態を判定して判定データを生成する判定部と、
前記検出データ、又は、前記判定データを送信、又は、受信する通信部と、
2つ以上の制御モードを有して、前記第2検出部に応じて前記制御モードを切り替えて前記第1検出部、及び、前記通信部を制御する制御部と
を備え
前記制御モードは、
前記第1検出部、又は、前記通信部を起動状態に制御する第1制御モードと、
前記第1検出部、又は、前記通信部を省電力状態に制御する第2制御モードとを含み、
前記制御部は、
前記回転装置が休止の場合には、前記第2制御モードとし、
前記回転装置が稼働の場合には、前記第1制御モードとし、
前記第2検出部は、
前記回転装置の稼働、又は、休止を検出する第1検出モードと、
前記回転装置の稼働、又は、休止を検出しない第2検出モードとを有し、
前記制御部は、
前記第1検出モードと前記第2検出モードを切り替える
情報処理装置。
【請求項2】
不定期に稼働する回転装置の振動、又は、加速度を検出する第1検出部と、
前記回転装置が稼働、又は、休止するのを検出する第2検出部と、
前記第1検出部による検出結果を示す検出データに基づき、前記回転装置の異常の予兆を含む状態を判定して判定データを生成する判定部と、
前記検出データ、又は、前記判定データを送信、又は、受信する通信部と、
2つ以上の制御モードを有して、前記第2検出部に応じて前記制御モードを切り替えて前記第1検出部、及び、前記通信部を制御する制御部と、
前記判定データに基づき、前記状態を3段階以上で段階出力する出力部と
を備え、
前記制御モードは、
前記第1検出部、又は、前記通信部を起動状態に制御する第1制御モードと、
前記第1検出部、又は、前記通信部を省電力状態に制御する第2制御モードとを含み、
前記制御部は、
前記回転装置が休止の場合には、前記第2制御モードとし、
前記回転装置が稼働の場合には、前記第1制御モードとし、
前記制御部は、
前記第2制御モードから前記第1制御モードに切り替え、
ユーザの接近を検出し、
前記出力部は、
前記ユーザの接近が検出されると前記状態を段階出力する
情報処理装置。
【請求項3】
前記第2検出部は、
前記回転装置に生じる電圧、電流、音、電界、磁界、又は、これらの組み合わせを検出する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2検出部が出力するトリガに基づいて、前記第2制御モードから前記第1制御モードに切り替える
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
あらかじめ定められた周期で前記第1検出モードと前記第2検出モードを切り替える
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2検出モードは、
前記第2検出部への電力供給が停止される
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判定部は、
前記検出データと前記判定データを含む学習データで学習した学習済みモデルを用いる
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記判定部は、
前記検出データと前記判定データの関係を示すテーブルで判定する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記判定データを記憶し、
前記出力部は、
直近の前記判定データに基づき、前記状態を段階出力する
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
不定期に稼働する回転装置の振動、又は、加速度を検出する第1検出部と、
前記回転装置が稼働、又は、休止するのを検出する第2検出部と、
前記第1検出部による検出結果を示す検出データに基づき、前記回転装置の異常の予兆を含む状態を判定して判定データを生成する判定部と、
前記検出データ、又は、前記判定データを送信、又は、受信する通信部と、
2つ以上の制御モードを有して、前記第2検出部に応じて前記制御モードを切り替えて前記第1検出部、及び、前記通信部を制御する制御部と
を備え
前記制御モードは、
前記第1検出部、又は、前記通信部を起動状態に制御する第1制御モードと、
前記第1検出部、又は、前記通信部を省電力状態に制御する第2制御モードとを含み、
前記制御部は、
前記回転装置が休止の場合には、前記第2制御モードとし、
前記回転装置が稼働の場合には、前記第1制御モードとし、
前記第2検出部は、
前記回転装置の稼働、又は、休止を検出する第1検出モードと、
前記回転装置の稼働、又は、休止を検出しない第2検出モードとを有し、
前記制御部は、
前記第1検出モードと前記第2検出モードを切り替える
情報処理システム。
【請求項11】
不定期に稼働する回転装置の振動、又は、加速度を検出する第1検出部と、
前記回転装置が稼働、又は、休止するのを検出する第2検出部と、
前記第1検出部による検出結果を示す検出データに基づき、前記回転装置の異常の予兆を含む状態を判定して判定データを生成する判定部と、
前記検出データ、又は、前記判定データを送信、又は、受信する通信部と、
2つ以上の制御モードを有して、前記第2検出部に応じて前記制御モードを切り替えて前記第1検出部、及び、前記通信部を制御する制御部と、
前記判定データに基づき、前記状態を3段階以上で段階出力する出力部と
を備え、
前記制御モードは、
前記第1検出部、又は、前記通信部を起動状態に制御する第1制御モードと、
前記第1検出部、又は、前記通信部を省電力状態に制御する第2制御モードとを含み、
前記制御部は、
前記回転装置が休止の場合には、前記第2制御モードとし、
前記回転装置が稼働の場合には、前記第1制御モードとし、
前記制御部は、
前記第2制御モードから前記第1制御モードに切り替え、
ユーザの接近を検出し、
前記出力部は、
前記ユーザの接近が検出されると前記状態を段階出力する
情報処理システム。
【請求項12】
不定期に稼働する回転装置の振動、又は、加速度を検出する第1検出部と、
判定データを送受信する通信部とを備える
情報処理装置に、制御方法を実行させるためのプログラムであって、
前記回転装置が稼働、又は、休止するのを検出する第2検出手順と、
前記第1検出部による検出結果を示す検出データに基づき、前記回転装置の異常の予兆を含む状態を判定して前記判定データを生成する判定手順と、
2つ以上の制御モードを有して、前記第2検出手順の結果に応じて前記制御モードを切り替えて前記第1検出部、及び、前記通信部を制御する制御手順と
を実行させ
前記制御モードは、
前記第1検出部、又は、前記通信部を起動状態に制御する第1制御モードと、
前記第1検出部、又は、前記通信部を省電力状態に制御する第2制御モードとを含み、
前記制御手順では、
前記回転装置が休止の場合には、前記第2制御モードとし、
前記回転装置が稼働の場合には、前記第1制御モードとし、
前記第2検出手順では、
前記回転装置の稼働、又は、休止を検出する第1検出モードと、
前記回転装置の稼働、又は、休止を検出しない第2検出モードとを有し、
前記制御手順では、
前記第1検出モードと前記第2検出モードを切り替える
プログラム。
【請求項13】
不定期に稼働する回転装置の振動、又は、加速度を検出する第1検出部と、
判定データを送受信する通信部とを備える
情報処理装置に、制御方法を実行させるためのプログラムであって、
前記回転装置が稼働、又は、休止するのを検出する第2検出手順と、
前記第1検出部による検出結果を示す検出データに基づき、前記回転装置の異常の予兆を含む状態を判定して前記判定データを生成する判定手順と、
2つ以上の制御モードを有して、前記第2検出手順に応じて前記制御モードを切り替えて前記第1検出部、及び、前記通信部を制御する制御手順と、
前記判定データに基づき、前記状態を3段階以上で段階出力する出力手順と
を備え、
前記制御モードは、
前記第1検出部、又は、前記通信部を起動状態に制御する第1制御モードと、
前記第1検出部、又は、前記通信部を省電力状態に制御する第2制御モードとを含み、
前記制御手順では、
前記回転装置が休止の場合には、前記第2制御モードとし、
前記回転装置が稼働の場合には、前記第1制御モードとし、
前記制御手順では、
前記第2制御モードから前記第1制御モードに切り替え、
ユーザの接近を検出し、
前記出力手順では、
前記ユーザの接近が検出されると前記状態を段階出力する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)用の情報処理装置、情報処理システム、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、持続可能な開発のための2030アジェンダ、平成27(2015)年9月25日国連サミット採択、以下「SDGs」という。)の推進に向けた取り組みが行われている。具体的には、安価かつ信頼できるエネルギーを普及させるため、省電力を実現する技術が求められている。
【0003】
従来、電池で駆動する子機と通信を行う親機で構成する無線通信システムにおいて、まず、親機は、スリープ時間情報を含むクリエを子機に送信する。そして、子機は、スリープ時間情報に基づき、スリープ時間を設定してスリープ時間を計測する。また、スリープ時間を設定するときに主要回路の電源をオフにし、かつ、スリープ時間が経過したときに主要回路の電源をオンにするように設定する。このようにして、親機と子機間でスリープサイクルの同期を取ることで双方向通信を可能にし、かつ、子機の電池寿命を改善する技術が知られている(例えば、特許文献1等である)。
【0004】
また、センサユニットにおいて、振動センサを、ケースと非接触状態、かつ、監視対象物に直接固定させる。このような構成にすると、ケースの振動の影響を受けることなく、監視対象物の振動だけを確実に検出する。このようにして、監視対象物への取り付けが簡単で、1kHzよりも高い卓越周波数の検出を可能にする技術が知られている(例えば、特許文献2等である)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-085572号公報
【文献】特開2018-185212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術を用いることで、常時稼働する装置や定期的に稼働する装置の状態を低消費電力で監視することができる。しかしながら、不定期的に稼働する装置かつ1回の稼働時間が短い場合は、稼働中の装置の状態を監視することが困難である。スリープ期間を短くすることで稼働中の状態を監視することは可能だが、消費電力が著しく増加してしまう虞があるという課題がある。
【0007】
本発明は、IoT用の情報処理装置等における電力消費量を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
情報処理装置は、
不定期に稼働する回転装置の振動、又は、加速度を検出する第1検出部と、
前記回転装置が稼働、又は、休止するのを検出する第2検出部と、
前記第1検出部による検出結果を示す検出データに基づき、前記回転装置の異常の予兆を含む状態を判定して判定データを生成する判定部と、
前記検出データ、又は、前記判定データを送信、又は、受信する通信部と、
2つ以上の制御モードを有して、前記第2検出部に応じて前記制御モードを切り替えて前記第1検出部、及び、前記通信部を制御する制御部と
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、IoT用の情報処理装置等における電力消費量を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】情報処理システムの構成例を示す図である。
図2】センサのハードウェア構成例を示す図である。
図3】情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図4】ポンプ装置の稼働時間に基づく起動例を示す図である。
図5】AIの例を示すネットワーク図である。
図6】全体処理例を示す図である。
図7】機能構成例を示す図である。
図8】ユーザの接近に基づく出力を行う例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。また、以下の説明では、発明に関係する要素を詳細に説明し、それ以外の要素を省略する。なお、同じ要素には同一の符号を付す。
【0012】
また、以下の例では、回転装置は、工場等で稼働するポンプ装置1であるとする。ただし、回転装置は、ポンプ装置1に限られない。例えば、回転装置は、原動機、被駆動機、又は、増減速機等でもよい。具体的には、原動機は、モータ、又は、タービン等である。被駆動機は、例えば、ポンプ、又は、撹拌機等である。増減速機は、例えば、ギア等である。なお、回転装置は、原動機、被駆動機、又は、増減速機だけで構成する装置に限られず、これらの装置を含む装置でもよい。
【0013】
[情報処理システムの構成例]
図1は、情報処理システムの構成例を示す図である。情報処理システム10は、センサユニット2、サーバ3、及び、出力装置4等で構成する。ただし、情報処理システム10には、これら以外の装置があってもよい。
【0014】
情報処理システム10において、センサユニット2、サーバ3、及び、出力装置4等は、無線通信でデータを送受信する。ただし、情報処理システム10には、有線ネットワークがあってもよい。
【0015】
センサユニット2は、ポンプ装置1等の保守、及び、監視の対象とする装置に対して設置する情報処理装置の例である。例えば、センサユニット2は、複数のポンプ装置1が対象である場合には、ポンプ装置1ごとに1台ずつ設置される。ただし、複数のポンプ装置1に対して、1台のセンサユニット2を共通して使用する設置でもよい。
【0016】
以下、ポンプ装置1の状態を判定するのに用いるため、センサユニット2が計測を行って生成するデータを「センサデータ」という。なお、センサデータは、どのセンサユニット2が生成したかを識別する識別情報が付加されており、どのポンプ装置1の状態を示すデータであるかが識別される。
【0017】
なお、情報処理システム10において、センサユニット2、及び、出力装置4等の工場に設置する装置は、防水、防塵、防爆、及び、温度適応であるのが望ましい。特に、回転装置が設置される環境は、水分を扱うため、防水等の基準が一般的な工作機械等と比較して厳しい場合が多い。また、回転装置は、他の工作機械等と比較して、振動で状態を判定できる場合が多い。ゆえに、情報処理システム10は、振動に基づき、回転装置(ポンプ装置1等が備える、又は、接続する周辺機器を含む。)を対象として判定を行う。
【0018】
また、情報処理システム10は、サーバ3以外の情報処理装置を有してもよい。例えば、エッジサーバ等が更にあってもよい。
【0019】
[センサユニットのハードウェア構成例]
図2は、センサユニットのハードウェア構成例を示す図である。例えば、センサユニット2は、第1加速度センサ2H1、制御回路基板2H2、通信モジュール2H3、バッテリ2H4、及び、第2加速度センサ2H5等を備えるハードウェア構成である。なお、センサユニット2は、これら以外の装置が内部、又は、外部に更にあってもよい。
【0020】
第1加速度センサ2H1は、ポンプ装置1に生じる振動、又は、加速度を計測し、センサデータを生成する。具体的には、第1加速度センサ2H1は、少なくとも重力方向の1軸について、10キロヘルツ(kHz)程度までの周波数を計測範囲とする仕様である。ただし、第1加速度センサ2H1は、ポンプ装置1が備えるアクチュエータ等によって計測条件が異なってもよい。
【0021】
以下、第1加速度センサ2H1による検出結果を示すデータを「検出データ」という。例えば、第1加速度センサ2H1が振動を計測する場合には、検出データは、ポンプ装置1に生じた振動を時系列順(すなわち、どのような振動が起きたかを一定時間計測した結果である。)に示すデータである。なお、検出データは、どのような種類を示すか、どのような形式でデータが生成されるか、及び、各パラメータ等が事前に設定される。
【0022】
制御回路基板2H2は、センサユニット2が備えるハードウェア、及び、センサユニット2に接続する出力装置4の制御を行う制御装置、並びに、データ処理等の処理を行う演算装置である。また、制御回路基板2H2には、記憶装置が備えられ、制御回路基板2H2がデータを記憶できてもよい。
【0023】
通信モジュール2H3は、サーバ3等の外部装置と通信を行う。例えば、通信モジュール2H3は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、LPWA(Low Power Wide Area、省電力広域ネットワーク)、又は、これらの組み合わせ等である。なお、通信モジュール2H3が用いる通信規格は、これら以外でもよい。
【0024】
また、サーバ3以外と通信してもよい。例えば、エッジサーバ等がある構成では、通信モジュール2H3は、第1加速度センサ2H1等のセンサと、サーバ3の間等にエッジサーバがある場合には、エッジサーバ等と通信が行われてもよい。
【0025】
具体的には、エッジサーバは、センサからデータを受け取り、前処理、及び、データの圧縮処理等を行う構成が望ましい。すなわち、前処理、及び、データの圧縮処理等がされた後のデータが、サーバ3に送られる構成が望ましい。このように、前処理、及び、データの圧縮処理等を行うエッジサーバがあると、ネットワーク負荷の低減できる。通信モジュール2H3によるサーバ3にデータを送信する通信処理を行う前に、前処理を行うと、サーバ3側で行う処理を少なくでき、サーバ3の負荷を軽減できる。さらに、前処理
によって不要なデータ(例えば、オーバヘッドとなるデータ等である。)を削除、又は、データ容量が小さくなるように、可逆圧縮、不可逆圧縮、又は、これらの組み合わせとなる圧縮の処理を行うと、通信モジュール2H3によってサーバ3へ送信するデータのデータ容量を少なくして、トラフィックを軽減できる。
【0026】
バッテリ2H4は、センサユニット2が備えるハードウェア、及び、出力装置4の電源となる。なお、バッテリ2H4は、制御回路基板2H2等の制御に基づき、電力の供給状態を切り替える。具体的には、バッテリ2H4は、制御回路基板2H2の制御により、バッテリ2H4が供給した電力を消費するハードウェア等(以下「電力消費部分」という。なお、電力消費部分には、出力装置4等の電力を供給する外部装置を含めてもよい。)を低消費状態にする。
【0027】
以下、制御により、電力が低消費状態を「省電力状態」(「スリープモード」、又は、「停止状態」等という場合もある。)となる。省電力状態は、後述する「起動状態」より電力が低消費状態であればよい。具体的には、省電力状態は、所謂「スリープ状態」とし、「起動状態」よりは電力が低消費状態であるが、全く電力を消費しないわけではなく、制御により「起動状態」に切り替わる機能するように電力が供給される状態をいう。
【0028】
一方で、省電力状態は、電力供給を停止させる状態でもよい。以下、省電力状態を「スリープ状態」とする例で説明する。
【0029】
スリープ状態を解除し、バッテリ2H4から十分に電力が供給されて各装置が備える機能が仕様で定める程度に機能する状態を「起動状態」(「通常モード」、又は、「稼働中」等という場合もある。)という。
【0030】
以下、第1加速度センサ2H1、又は、通信モジュール2H3を起動状態(一部が起動状態でもよい。)にする制御を「第1制御モード」という。一方で、第1加速度センサ2H1、又は、通信モジュール2H3をスリープ状態(一部がスリープ状態でもよい。)等にして省電力状態にする制御を「第2制御モード」という。なお、第1制御モード、及び、第2制御モードがどのような装置を対象とするか、及び、どの程度の電力を省電力とするか等の詳細設定は、事前に設定される(3つ以上の制御モードがある場合には、その他の制御モードも同様に設定される)。
【0031】
したがって、第1制御モードにより、第1加速度センサ2H1、及び、通信モジュール2H3等が起動状態となり、データの取得、又は、通信等の機能が発揮される状態に遷移する。
【0032】
一方で、第2制御モードにより、第1加速度センサ2H1、及び、通信モジュール2H3等がスリープ状態となると、第1加速度センサ2H1、及び、通信モジュール2H3等の電力消費量が多い、センシング、又は、通信の機能を実現する装置が消費する電力消費量を少なくできる。ゆえに、センシング、及び、通信といった処理を行わない時間帯では、センサユニット2は、第2制御モードによって機能を一部停止させた状態にする。
【0033】
なお、制御モードは、3つ以上あってもよい。例えば、制御モードは、上記の第1制御モード、及び、第2制御モードに加えて、第3制御モードがあってもよい。例えば、第3制御モードは、制御回路基板2H2が省電力状態、及び、第2加速度センサ2H5がアクティブ状態という条件を満たすと行われる。
【0034】
ほかにも、制御モードは、第1加速度センサ2H1、及び、通信モジュール2H3がスリープ等の状態、すなわち、「非アクティブ」であっても、ウェイクアップ処理部と制御部におけるウェイクアップ信号受信部が「アクティブ」であって、起動を行うことができる状態等があってもよい。
【0035】
なお、バッテリ2H4は、複数あってもよい。例えば、複数のバッテリ2H4がある構成において、複数のバッテリ2H4は、スリープ状態と起動状態で使い分けされてもよいし、供給先を分けるでもよい。
【0036】
第2加速度センサ2H5は、ポンプ装置1が稼働、又は、休止を検出する。具体的には、第2加速度センサ2H5は、例えば、加速度でポンプ装置1が稼働するのを検出する。以下、ポンプ装置1が稼働するのを検出した場合に、第2加速度センサ2H5が出力する信号を「トリガ(Trigger)」という。
【0037】
なお、第2加速度センサ2H5は、センサでなくともよい。すなわち、第2加速度センサ2H5は、ポンプ装置1が稼働するのに応じてトリガを発する制御回路等でもよい。
【0038】
例えば、第2加速度センサ2H5は、ポンプ装置1が動作を開始する場合に発する磁場を検出するセンサである。又は、第2加速度センサ2H5は、ポンプ装置1が動作を開始する場合に発する電波を検出するセンサである。具体的には、第2加速度センサ2H5は、パッシブRFID(Radio Frequency Identification:無線周波数識別)等のように、電波が生じたのを感知すると、電波のエネルギーによってトリガを出力する。
【0039】
同様に、第2加速度センサ2H5は、ポンプ装置1が稼働をし終わり、休止するのを検出してもよい。例えば、第2加速度センサ2H5は、ポンプ装置1から振動を検出できなくなると、休止となったと検出する。
【0040】
第2加速度センサ2H5は、ポンプ装置1が稼働し始めた、又は、稼働し始める前兆を検出する。したがって、第2加速度センサ2H5は、ポンプ装置1が稼働し始める場合に生じる初期振動等を中心に検出する。
【0041】
なお、第2加速度センサ2H5の後段等に、増幅回路、フィルタ回路等がある構成でもよい。
【0042】
第2加速度センサ2H5は、ポンプ装置1の稼働、又は、休止を検出するモード(以下「第1検出モード」という。)と、ポンプ装置1の稼働、又は、休止を検出しないモード(以下「第2検出モード」という。)を切り替えるように制御されるのが望ましい。
【0043】
例えば、第1検出モードと第2検出モードは、あらかじめ定められた周期で切り替えられる。なお、周期は、ポンプ装置1が稼働する間隔より十分に短く設定される。ポンプ装置1は不定期で稼働するため、例えば、稼働してから、数日乃至数か月の間隔をあけて次に稼働する。この場合には、第2加速度センサ2H5は、例えば、数分、又は、数時間程度の周期で第1検出モードに切り替えられる。このように十分に短い周期であれば、ポンプ装置1が不定期で稼働する場合であっても、見逃さずに稼働開始を検出できる。
【0044】
また、第2加速度センサ2H5は、周期的に第1検出モードと第2検出モードを切り替えなくともよい。ポンプ装置1は、不定期に稼働する。したがって、ポンプ装置1は、1度稼働し、次に稼働するのは周期的でない条件で稼働する。ゆえに、第2加速度センサ2H5は、ポンプ装置1の条件に合わせた条件で第1検出モードと第2検出モードを切り替てもよい。
【0045】
具体的には、第2加速度センサ2H5は、ポンプ装置1が稼働する条件等を学習、又は、設定し、その条件に基づき、ポンプ装置1が稼働する可能性が高い時間を狙って、第1検出モードと第2検出モードを切り替える。
【0046】
又は、第2加速度センサ2H5は、通信モジュール2H3、及び、第1加速度センサ2H1より電力をあまり消費しないセンサとし、第2加速度センサ2H5は常時検出を行う状態でもよい。
【0047】
出力装置4は、例えば、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)等の照明機器である。ほかにも、出力装置4は、ディスプレイ、又は、音声出力機器等でもよい。
【0048】
出力装置4は、判定結果を段階出力する。例えば、出力装置4は、複数の色の光を発光する。したがって、出力装置4は、例えば、判定結果が「正常」、「警告」、又は、「異常」であれば、これらを異なる色で出力し、段階を示す出力とする。なお、段階出力は、点滅の仕方、ディスプレイのメッセージ表示、又は、明かりの強弱等で実現してもよい。このように、出力装置4は、「正常」、「警告」、又は、「異常」のように、3段階以上を使い分ける段階出力する構成であるのが望ましい。
【0049】
なお、ハードウェア構成は、上記の構成に限られない。例えば、出力装置4、及び、制御回路基板2H2が一体でもよい。また、制御回路基板2H2が2つ以上の装置等でもよい。
【0050】
[サーバのハードウェア構成例]
図3は、サーバのハードウェア構成例を示す図である。例えば、サーバ3は、Central Processing Unit(以下「CPU3H1」という。)、記憶装置3H2、入力装置3H3、出力装置3H4、及び、通信装置3H5等を備えるハードウェア構成である。
【0051】
CPU3H1は、プログラムに基づき、演算、及び、制御を行う演算装置、及び、制御装置である。
【0052】
記憶装置3H2は、メモリ等の主記憶装置である。なお、記憶装置3H2は、ハードディスク等の補助記憶装置を有してもよい。
【0053】
入力装置3H3は、オペレータの操作を入力する装置である。例えば、入力装置3H3は、入力操作信号を受け付けるコネクタ、キーボード、又は、マウス等である。
【0054】
出力装置3H4は、オペレータに処理結果を出力する装置である。例えば、出力装置3H4は、出力信号を出力するコネクタ、又は、ディスプレイ等である。
【0055】
通信装置3H5は、有線、又は、無線で外部装置と通信を行う装置である。例えば、通信装置3H5は、コネクタ等である。
【0056】
なお、サーバ3は、上記以外のハードウェアを更に備えてもよい。例えば、サーバ3は、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置、出力装置、通信装置、又は、補助装置を外部、又は、内部に備えるハードウェア構成でもよい。また、サーバ3は、複数の装置で構成してもよい。
【0057】
サーバ3は、所謂「クラウドサーバ」等もよい。また、サーバ3は、パブリックサーバでもよいし、プライベートサーバでもよい。
【0058】
[制御タイミング例]
図4は、制御タイミングの例を示す図である。以下、ポンプ装置1の状態を示す状態信号SG1、トリガ信号SG2、及び、モード信号SG3をタイミングチャートで説明する。この例では、情報処理システム10は、トリガ信号SG2に基づき、モードを切り替える制御を行い、スリープ状態、及び、起動状態を切り替える。
【0059】
状態信号SG1が「High」であれば、ポンプ装置1は、稼働している状態である。一方で、状態信号SG1が「Low」であれば、ポンプ装置1は、稼働していない状態である。
【0060】
トリガ信号SG2は、ポンプ装置1が稼働するのを検出すると、アクティブ(この例は、トリガ信号SG2がハイアクティブ信号である。)となる信号である。例えば、第1タイミングT1、又は、第2タイミングT2のように、ポンプ装置1が稼働し始めたのを検出すると、トリガ信号SG2は、出力される。
【0061】
モード信号SG3は、モードを示す。具体的には、モード信号SG3は、「High」であると、電力消費部分が起動状態であるのを示す。一方で、モード信号SG3は、「Low」であると、電力消費部分がスリープ状態であるのを示す。
【0062】
トリガ信号SG2が出力されると、電力消費部分が第3タイミングT3、及び、第4タイミングT4のように、スリープ状態から起動状態に切り替えるモード制御が行われる。
【0063】
なお、電力消費部分は、例えば、ポンプ装置1の状態を判定する処理、すなわち、判定データが生成されると、起動状態からスリープ状態に切り替えるモード制御が行われる。
【0064】
例えば、スリープ状態では、第1加速度センサ2H1、制御回路基板2H2、通信モジュール2H3、及び、出力装置4のいずれも電源を「OFF」とする。ただし、外部からのウェイクアップを受け付けられるように、通信モジュール2H3、又は、装置の一部は起動状態とする。
【0065】
また、起動状態からスリープ状態へ遷移させる条件(以下、「スリープトリガ」という。)は、例えば、サーバ3にデータを送信する通信が完了したと判断された場合等が望ましい。具体的には、スリープトリガは、例えば、第1加速度センサ2H1が振動等を検出しなくなったという判断結果、又は、サーバ3がデータを正常に受信したという完了通知等で実現する。
【0066】
以上のような場合に発せられるスリープトリガを受け取ると、センサユニット2は、スリープ状態に遷移させる。したがって、以上のようなスリープトリガであると、通信の途中等でスリープ状態に遷移してしまい、データの送受信が不完全となってしまう等を防ぐことができる。
【0067】
さらに、スリープ状態は、電源を「OFF」とする以外に、電力消費量が少ない状態にするでもよい。すなわち、スリープ状態は、装置の一部を停止させる、又は、電力消費量が少ないモードに切り替える等でもよい。例えば、スリープ状態は、対象素子等に対して、電源からの電力供給を行わない、電力の供給を停止させる(電源が落ちた状態ともいう。)、又は、動作における動作用クロックを低い周波数にする等の制御を行って、消費する電力量を少なくする。
【0068】
電源系統は、複数の系統に分けて電力供給が制御されてもよい。例えば、電源系統は、2つの系統であるとする。具体的には、2つの電源系統のうち、第1電源系統は、マイコン等の演算装置用の電源系統である。一方で、第2電源系統は、センサ類(センサを本体とし、センサと一緒になって動作する制御装置等が含まれてもよい。)用の電源系統である。
【0069】
第1電源系統は、動作用クロックの周波数等を制御して、モードを制御する。一方で、第2電源系統は、リレー、又は、トランジスタ等によって、モードを制御する。このように電源系統を分けると、電源系統ごとに細かくモードを制御することができる。
【0070】
なお、上記の例では、初動がポンプ装置1の稼働開始直後に検出(すなわち、トリガ信号SG2は、ポンプ装置1の稼働開始を補足して出力される。)される例であるが、トリガ信号SG2は、ポンプ装置1の稼働開始より前に出力されてもよい。例えば、ポンプ装置1は、稼働を開始する際に稼働開始を通知する信号等を出力する。トリガ信号SG2は、この通知に基づき、出力されてもよい。この場合は、トリガ信号SG2は、ポンプ装置1の稼働開始よりも早いタイミングで出力されてもよい。
【0071】
なお、トリガ信号SG2は、ポンプ装置1等が集中制御系で管理されているシステム構成では、集中制御装置が出力してもよい。
【0072】
以上のように、第1検出部、及び、通信部の機能を実現するハードウェアを電力消費部分とし、第1加速度センサ2H1、及び、通信モジュール2H3がスリープ状態に切り替えられるのが望ましい。なお、電力消費部分は、制御回路基板2H2の一部(主に第1加速度センサ2H1関連部分である。)が含まれてもよい。すなわち、制御回路基板2H2は、スリープ状態となると、一部の機能を停止させて電力消費量を少なくし、かつ、トリガを受信するとスリープ状態から起動状態にモード制御できる機能は少なくとも機能させておく状態となるのが望ましい。
【0073】
また、出力装置4がある構成では、電力消費部分に出力装置4も含めるのが望ましい。すなわち、出力装置4は、他の電力消費部分と伴にスリープ状態に切り替えられるのが望ましい。
【0074】
第1加速度センサ2H1、制御回路基板2H2、通信モジュール2H3、及び、出力装置4を起動状態、すなわち、第1検出、通信、及び、出力を行うと消費電力が多くなりやすい。したがって、第1検出部、判定部、及び、通信部の機能を実現するハードウェアをスリープ状態にできると、より電力消費量を少なくできる。
【0075】
一方で、起動状態は、第1加速度センサ2H1、制御回路基板2H2、通信モジュール2H3、及び、出力装置4のいずれも電源を「ON」とする。具体的には、起動状態は、第1加速度センサ2H1等の装置がすべての機能を実行できる状態、又は、スリープ状態と比較して高い機能性を発揮する状態等である。例えば、スリープ状態へ遷移した際に動作用クロックを低い周波数にした場合には、動作用クロックを元の高い周波数に戻して、スリープ状態から起動状態に切り替えが行われる。
【0076】
すなわち、スリープ状態を解除すると、電力消費部分を構成する各ハードウェア等は、起動状態となる。
【0077】
したがって、スリープ状態であると、常に起動状態である場合と比較して電力消費量が少なくなり、省電力化が実現できる。
【0078】
スリープ状態、及び、起動状態といったモードの切り替えは、ネットワークを介して行われる。具体的には、ネットワークを介して、センサユニット2に対して所謂「マジックパケット」(すなわち、モードを切り替えるためのトークン等である。)を外部装置から送信すると、センサユニット2は、スリープ状態から起動状態に切り替わる。所謂「ウェイクアップ」である。
【0079】
ほかにも、マイコン等が、スリープ状態でも受け取れる入力端子に、「High」又は「Low」の信号を受け取れる構成でもよい。
【0080】
また、デジタル信号から受け取る場合等では、磁場等のアナログ信号をデジタル信号に変換する場合があってもよい。
【0081】
さらに、電波を受信した際に電波自体がもつエネルギーによってトリガとなる信号を生成してもよい。
【0082】
連続して稼働するポンプ装置1とは異なり、不定期に稼働する装置は、停止状態である時間が長い。常時稼働、又は、定期稼働する装置と異なり、不定期に稼働する装置は、どのタイミングで稼働するかが事前にスケジュールされていない装置である。
【0083】
一方で、ポンプ装置1は、停止状態で計測しても、異常、及び、異常の予兆を見つけるデータを取得しにくい場合が多い。すなわち、情報処理システム10は、稼働状態のポンプ装置1を計測できると、異常、及び、異常の予兆を精度良く判定できる。
【0084】
ゆえに、情報処理システム10は、ポンプ装置1が停止状態である場合には、スリープ状態であるのが望ましい。一方で、情報処理システム10は、ポンプ装置1が稼働状態である場合には、起動状態であるのが望ましい。ただし、常時稼働、又は、定期稼働する装置のように、スケジュールが定まっていないため、タイマ等でモードを切り替えるタイミングを設定するのは難しい。そこで、情報処理システム10は、ポンプ装置1の初動を捉えてモード制御を行う。
【0085】
このように、ポンプ装置1の稼働時間に合わせて、スリープ状態、及び、起動状態が切り替えできると、IoT用の情報処理装置における電力消費量を少なくできる。
【0086】
[異常、及び、異常の予兆の判定例]
ポンプ装置1は、稼働すると、モータ等のアクチュエータが動作する。そして、アクチュエータは、動作において、様々な振動、又は、加速度を特に発生させる。
【0087】
例えば、異常、及び、異常の予兆は、Artificial Intelligence(人工知能、以下「AI」という。)、事前に設定するルール、又は、これらの組み合わせに基づき判定される。以下、異常、及び、異常の予兆を判定した判定結果を示すデータを「判定データ」という。
【0088】
図5は、AIの例を示すネットワーク図である。AIによって判定を行う場合には、例えば、以下のようなネットワークで示す構成のAIを用いる。以下、学習モデル、及び、学習済みモデルは、サーバ3上、すなわち、クラウド上に実装される例とする。ただし、AIの一部、又は、全部は、センサユニット2周辺に設置される情報処理装置、所謂「エッジサーバ」等に実装されてもよい。
【0089】
AIの構成(以下「ネットワーク300」という。)は、例えば、入力層L1、中間層L2(「隠れ層」等ともいう。)、及び、出力層L3等を有する構成である。すなわち、ネットワーク300は、ディープラーニング等を行う構成である。
【0090】
入力層L1は、データを入力する層である。
【0091】
中間層L2は、入力層L1で入力するデータを重み(例えば、乗算に用いる係数である。)、及び、バイアス(例えば、定数を加算する。)等に基づいて変換する。このように中間層L2で処理された結果が出力層L3へ伝えられる。
【0092】
出力層L3は、出力内容等を出力する層である。
【0093】
そして、学習により、重みの係数(例えば、データに入力される数値、入力する文字、又は、画像に対する係数を学習に基づき変化させる。)、及び、学習で変化させるパラメータ等が最適化される。なお、ネットワーク300は、図示するネットワーク構造に限られない。つまり、AIは、他の機械学習によって実現されてもよい。
【0094】
例えば、AIは、「教師なし」の機械学習等により、次元削減(例えば、3次元以上の関係を3次元以下程度の簡略な計算で求まる関係に変える処理である。)等の前処理を行う構成等でもよい。入力と出力の関係は、1次式等の単純な計算で処理されるのが望ましい。このような計算であると、計算コストを少なく、かつ、精度良く劣化度を判定できる。
【0095】
また、AIは、ドロップアウト等といった過学習(「過剰適合」又は「過適合」等ともいう。)(overfitting)を軽減化させる処理が行われてもよい。他にも、次元削減、及び、正規化等の前処理が行われてもよい。
【0096】
AIは、CNN(畳み込みニューラルネットワーク、Convolution Neural Network)のネットワーク構造等があってもよい。他にも、例えば、ネットワーク構造は、LLM(Large Language Model 大規模言語モデル)、RNN(再帰型ニューラルネットワーク、Recurrent Neural Network)又はLSTM(Long Short-Term Memory)等の構成を有してもよい。すなわち、AIは、ディープラーニング以外のネットワーク構造等であってもよい。
【0097】
また、AIは、ハイパパラメータを有する構成であってもよい。すなわち、AIは、一部の設定をユーザ等が行う構成でもよい。さらに、AIは、学習対象とする特徴量を特定してもよいし、ユーザが学習対象とする一部又は全部の特徴量を設定してもよい。
【0098】
そして、AIは、他の機械学習を利用してもよい。例えば、AIは、教師なしのモデルにより、正規化等を前処理で行ってもよい。さらに、学習は、強化学習(Reinforcement Learning、AIに選択をさせ、選択に対する評価(報酬)を与えて、評価が大きくなるような学習方法をいう。)等であってもよい。
【0099】
学習では、データの拡張等が行われてもよい。すなわち、学習モデルの学習に用いる学習データを増やすため、1つの実験データ等を拡張させて、複数の学習データにする前処理が行われてもよい。このようにして、学習データを増やせると、より学習モデルの学習を進めることができる。
【0100】
また、AIは、転移学習(Transfer Learning)、又は、ファインチューニング(Fine tuning)等を行う構成でもよい。すなわち、AIを用いる情報処理装置は、装置ごとに異なる実行環境となる場合が多いため、実行環境に合わせて装置ごとに設定が異なってもよい。例えば、AIの基本構成は、別の情報処理装置で学習する。その後、各々の情報処理装置は、更に各々の実行環境に最適化するため、追加して学習、又は、設定等がされてもよい。
【0101】
ルールで判定する場合には、判定は、入力(すなわち、センサデータである。)に対して出力(すなわち、判定結果である。)の関係を示す関係式、又は、テーブル(所謂「ルックアップテーブル(LUT)」である。)を事前に設定して実現する。
【0102】
なお、AIとルールは、組み合わせる構成でもよい。例えば、AIとルールは、ポンプ装置1の種類、センサデータの内容、又は、冗長して判定のように組み合わせて、判定データを生成してもよい。
【0103】
判定は、異常、すなわち、既にポンプ装置1に故障等が生じた状態であるか否かに限られず、異常が生じる前の状態である異常の予兆も判定する。
【0104】
なお、異常の判定基準は、ポンプ装置1の種類等で一律でなく、個別に設定されるのが望ましい。例えば、ポンプ装置1が複数台ある場合において、複数のポンプ装置1が同じ種類(例えば、メーカ、機種等が同一な場合である。)である場合であっても、ポンプ装置1ごとに異なる判定基準が設定されるのが望ましい。
【0105】
以下、ポンプ装置1の種類が同一の第1装置、第2装置が工場で設置、及び、稼働している例とする。種類が同一の第1装置、及び、第2装置であっても、例えば、設置日、又は、稼働開始日が異なると、判定基準も別にした方が異常を精度良く判定できる場合が多い。
【0106】
例えば、第1装置は、正常であっても、振動が多く発生する癖があるとする。このような第1装置を第2装置と同じ判定基準で判定すると、第1装置は正常であっても異常であると誤検出されやすい。したがって、第1装置の判定基準は、第2装置と比較して、振動が多くても正常と判定する、所謂「緩い」判定基準が望ましい。
【0107】
一方で、正常では振動が少ない第2装置には、少しの振動であっても異常と判定する、所謂「厳しい」判定基準が望ましい。
【0108】
このように、ポンプ装置1は、同じ種類であっても、個々の装置に癖がある場合が多い。したがって、判定基準は、一律でなく、ポンプ装置1ごとに別々に設定されるのが望ましい。このような判定基準の設定であると、個々の装置の癖に対応でき、精度良く異常を検出できる。
【0109】
また、判定基準は、更新できるのが望ましい。例えば、上記の第1装置のように、正常であっても、振動が多く発生する癖があるポンプ装置1の例において、修理等を行うと、このような癖がなくなる場合がある。したがって、判定基準は、修理等のイベント後に更新できるのが望ましい。なお、イベントは、修理に限られず、ポンプ装置1の設定変更等でもよい。以下、イベントが修理の例で説明する。
【0110】
具体的には、振動が多く発生する癖があるポンプ装置1(以下、「修理前」という。)用の判定基準は、修理前の状態に対応する。したがって、修理前用の判定基準で、振動が少なくなるように修理した後のポンプ装置1(以下、「修理後」という。)を判定すると、異常を誤検出しやすくなる。
【0111】
そのため、修理前と修理後では、異なる判定基準が設定できるのが望ましい。ポンプ装置1は、修理前と修理後では、癖等が大きく変わる場合がある。したがってイベントの前後で共通した判定基準を用いると、同様の癖を考慮した判定基準で判定することになる。したがって、イベント等に対応して、判定基準は更新できるのが望ましい。
【0112】
このように、判定基準が更新できると、修理等のイベントでポンプ装置1の癖が大きく変わっても、精度良く異常を検出できる。
【0113】
故障とは、JIS Z8115:2019に定める通り、アイテムが要求の通りに実行する能力を失った状態をいう。また、故障している時間がダウンタイムとなる。さらに、故障は、JIS Z8115:2019における摩耗故障(「劣化故障」ともいう。)、及び、経時故障(「経年故障」ともいう。)のどちらも含む。
【0114】
異常の予兆とは、異常、すなわち、ポンプ装置1が稼働できなくなる前の状態に対応する。したがって、異常の予兆がある場合は、ポンプ装置1は、まだ稼働が可能な状態であるが、近く異常になる可能性が高い状態である。
【0115】
異常の予兆は、振動によって判定される。そして、異常の予兆は、ポンプ装置1の稼働において生じる可聴域の振動、すなわち、「音」で判定されてもよい。ポンプ装置1は、異常が生じる前の状態では、異常がない状態、すなわち、正常な状態では発しない音、所謂「異音」を発生させる場合が多い。例えば、経験値の高い保守員は、異音を聞き分けることで精度良く異常の予兆を判定できる。したがって、可聴域の振動を判定に用いると、情報処理システム10は、異常とは別に、異常の予兆を精度良く判定できる。
【0116】
一方で、振動は、ポンプ装置1が設置された床、又は、ポンプ装置1の設置位置とつながる床等を対象にして検出されたものでもよい。
【0117】
可聴域の振動は、周波数帯域が20Hz乃至20kHzである。したがって、可聴域の振動をセンシングするのは、マイクをセンサに用いる構成でもよい。すなわち、センサとしてマイクを用いることによって、主に音声を収集したセンサデータが生成されてもよい。そして、AI等は、センサデータに異音が含まれているか否かによって、異常、及び、異常の予兆を判定すると、精度良く判定ができる。
【0118】
異常の予兆が判定できると、異常が生じてから対応する「事後保全(JIS Z8115:2019)」でなく、異常が生じる前に対応する「予防保全」の「状態基準保全(JIS Z8115:2019)」を精度良く行うことができる。又は、異常の予兆が判定できると、異常が生じるのを事前に察知して、故障が生じた場合に速やかに「事後保全」ができるように、部品を事前に用意する等の準備ができる。このように、交換部品、又は、本体の代替品を事前に準備する等ができると、ポンプ装置1が停止にすることによる工場稼働への影響を未然に防止する事ができる。
【0119】
上記の通り、情報処理システム10は、異常と異常の予兆を判定する。また、情報処理システム10は、異常と異常の予兆のどちらでもない状態を「正常」と判定する。したがって、情報処理システム10は、異常、異常の予兆、及び、正常を含む判定結果を少なくとも3段階に分けて、段階出力される。
【0120】
なお、ポンプ装置1の種類によっては、異常、及び、異常の予兆が複数存在する場合もある。このような場合には、異常、及び、異常の予兆は、複数種類に分けて判定されるのが望ましい。
【0121】
異常、及び、異常の予兆は、複数の段階に更に細分化されてもよい。例えば、異常は、故障等の重度が重い「重度の異常」から、故障の重度が軽い「軽度の異常」のように、複数の段階があってもよい。したがって、段階出力は、4段階以上であってもよい。
【0122】
このように、異常と正常だけでなく、異常の予兆までも含めて状態が判定できると、予防保全等によって、ポンプ装置1は、信頼性を高くできる。
【0123】
また、異常、及び、異常の予兆を振動で判定するのを保守員、すなわち、人間が行おうとすると、高い経験値を必要とする。一方で、情報処理システム10は、AI、又は、ルールに基づき判定するため、高い経験値の保守員等に依拠せずに精度良く異常、及び、異常の予兆を判定できる。
【0124】
[全体処理例]
図6は、全体処理例を示す図である。
【0125】
ステップS01では、情報処理システム10は、出力装置4等の電力消費部分をスリープ状態にするモード制御を行う。すなわち、情報処理システム10は、センサデータの生成等が終了すると、スリープ状態にモード遷移する。
【0126】
なお、ポンプ装置1、又は、情報処理システム10によっては、イニシャライズ処理があってもよい。例えば、情報処理システム10を最初に設置する場合等において、ポンプ装置1を一時的に稼働させて各種のチェックを行うイニシャライズ処理がまず実行されてもよい。そして、イニシャライズ処理において、情報処理システム10は、例えば、各種のチェック、設定、又は、データの取得等を行う。このようなイニシャライズ処理の後、情報処理システム10は、出力装置4等の電力消費部分をスリープ状態にするモード制御を行うでもよい。また、イニシャライズ処理は、情報処理システム10を最初に設置する場合以外に、例えば、ユーザの操作等に基づいて任意のタイミングに実行されてもよい。
【0127】
ステップS02では、情報処理システム10は、スリープ状態にモードを維持する。
【0128】
ステップS03では、情報処理システム10は、ポンプ装置1が稼働を開始したか否かを判定する。すなわち、ポンプ装置1の稼働を検出した場合には、情報処理システム10は、トリガを出力する(ステップS03でYES)。一方で、ポンプ装置1の稼働を検出しない場合には、情報処理システム10は、トリガを出力せず、引き続きポンプ装置1の稼働開始を検出する(ステップS03でNO)。
【0129】
ステップS04では、情報処理システム10は、出力装置4等の電力消費部分を起動状態にするモード制御を行う。以降、全体処理では、情報処理システム10は、起動状態となる。
【0130】
ステップS05では、情報処理システム10は、センサユニット2によってポンプ装置1を計測する。したがって、計測結果を示すセンサデータが生成される。
【0131】
ステップS06では、情報処理システム10は、無線通信でセンサユニット2からサーバ3にセンサデータを送信する。そして、サーバ3は、センサデータを受信する。
【0132】
ステップS07では、情報処理システム10は、センサデータに基づき、ポンプ装置1における異常、及び、異常が生じる予兆を判定する。したがって、判定結果を示す判定データが生成される。
【0133】
ステップS08では、情報処理システム10は、サーバ3から出力装置4に判定データを送信する。そして、出力装置4は、判定データを受信する。なお、出力装置4をセンサユニット2が制御する場合等には、送信先は、センサユニット2でもよい。すなわち、判定データの送信先は、出力装置4が判定データに基づく出力をするのを制御する装置であればよい。
【0134】
ステップS09では、情報処理システム10は、出力装置4が判定結果を段階出力する。
【0135】
[機能構成例]
図7は、機能構成例を示す図である。例えば、情報処理システム10は、第1検出部10F1、第2検出部10F2、判定部10F3、通信部10F4、及び、制御部10F5を備える。また、情報処理システム10は、出力部10F6を更に備えるのが望ましい。
【0136】
第1検出部10F1は、ポンプ装置1の振動、又は、加速度を検出する第1検出手順を行う。例えば、第1検出部10F1は、第1加速度センサ2H1等で実現する。
【0137】
第2検出部10F2は、ポンプ装置1が稼働、又は、休止するのを検出する第2検出手順を行う。例えば、第2検出部10F2は、第2加速度センサ2H5等で実現する。
【0138】
判定部10F3は、検出データに基づき、ポンプ装置1の異常の予兆を含む状態を判定して判定データを生成する判定手順を行う。例えば、判定部10F3は、CPU3H1等で実現する。
【0139】
通信部10F4は、検出データ、又は、判定データを送信、又は、受信する通信手順を行う。例えば、通信部10F4は、通信モジュール2H3等で実現する。
【0140】
制御部10F5は、2つ以上の制御モードを有して、第2検出部10F2による検出結果に応じて制御モードを切り替えて第1検出部10F1、及び、通信部10F4を制御する制御手順を行う。例えば、制御部10F5は、制御回路基板2H2等で実現する。
【0141】
出力部10F6は、判定データに基づき、状態を3段階以上で段階出力する出力手順を行う。例えば、出力部10F6は、出力装置4等で実現する。
【0142】
以上のような構成とし、不定期に稼働するポンプ装置1の状態を判定の対象とする場合に、ポンプ装置1が稼働していない時間において、情報処理システム10は、主に第1検出部10F1、及び、通信部10F4をスリープ状態する。一方で、情報処理システム10は、ポンプ装置が稼働するのを検出するため、ポンプ装置1が稼働するのを検出すると、主に第1検出部10F1、及び、通信部10F4をポンプ装置1の稼働に合わせて起動状態にできる。
【0143】
第1検出部10F1、及び、通信部10F4を起動状態にしていると、電力消費量が多くなりやすい。そこで、情報処理システム10は、電力消費量を多く使用する第1検出部10F1、及び、通信部10F4をスリープ状態にできると、IoT用の情報処理装置における電力消費量を少なくできる。
【0144】
同様に、出力部10F6を備える構成では、出力装置4も電力消費量を多く使用する場合が多いため、第1検出部10F1、及び、通信部10F4と伴にスリープ状態にできるのが望ましい。
【0145】
一方で、不定期に稼働するポンプ装置1が対象であると、事前にタイマで稼働時間に合わせて起動状態にするといったモード制御では対応できない。そこで、第2検出部10F2によって、ポンプ装置が稼働するのを検出できる構成であると、不定期に稼働するポンプ装置1を対象にする場合でも、電力消費量を抑制し、かつ、稼働に合わせて状態を判定できる。
【0146】
特に、工場等でIoTを使用する場合には、有線による電力供給(所謂コンセントから電力供給を行う構成等である。)が難しく、バッテリ2H4等で電力供給を行う構成である場合が多い。したがって、センサ、及び、出力装置等の電力消費量が多い装置が長く起動状態にあると、全体として電力供給されている時間が短くなりやすい。一方で、上記のような構成のように、ポンプ装置1の稼働時間に合わせて、起動状態、及び、スリープ状態を切り替える制御ができると、情報処理システム10は、IoTにおける電力消費量を特に少なくできる。
【0147】
また、電力消費量を少なくできると、バッテリ2H4等の交換回数を少なくできる。ゆえに、情報処理システム10は、保守性を高くすることができる。
【0148】
上記の構成の通り、通信で判定データを送受信する構成であると、有線で行う場合と比較して、ユーザが回転機器に巻き込まれる等を少なくして、安全性をより高くすることができる。また、出力装置4は、光、音声、又は、通信による通知等によって、ユーザが回転機器等に巻き込まれる等が少なくなるように、距離を保った位置からでも判定結果が分かるように出力されると、安全性をより高くすることができる。
【0149】
ゆえに、情報処理システム10は、電力消費量を少なくできると、稼働時間を長くでき、信頼性を向上できる。
【0150】
[ユーザの接近検出、及び、出力例]
センサユニット2によるセンシング、及び、センサデータの生成は、ポンプ装置1の稼働時間に合わせて行う。一方で、判定結果の出力は、ユーザ5の接近に合わせて行うのが望ましい。
【0151】
接近は、出力装置4に対してユーザ5が一定距離以内にいる場合である。
【0152】
図8は、ユーザの接近に基づく出力を行う例を示す図である。例えば、ユーザ5の接近は、人感センサ6等で検出される。
【0153】
人感センサ6は、通信による検出、光学センサ、赤外線センサ、圧力センサ、振動センサ、又は、位置センサ等である。なお、人感センサ6は、センサユニット2が備えるセンサが兼ねるのが望ましい。すなわち、センサユニット2は、ユーザ5の接近を検出する構成が望ましい。例えば、センサユニット2がセンシングする周波数に可聴域を含むと、センサユニット2は、ユーザ5の接近による足音、歩行による振動、又は、話し声等を検出してユーザ5の接近を検出する。このように、センサユニット2が人感センサ6を兼ねる構成であると、センサ数を少なくできる。ただし、人感センサ6は、センサユニット2と一体でなくともよい。なお、人感センサ6は、外部装置、又は、別電源の構成でもよい。すなわち、人感センサ6は、バッテリ2H4でなく、工場のコンセント、又は、配電盤等から電力供給される電源構成でもよい。
【0154】
また、人感センサ6が外部装置の構成は、人感センサ6によって人の接近を感知すると、人感センサ6は、感知を知らせる検出信号を情報処理システム10は、に送信する構成である。このような人感センサ6からの検出信号である場合には、情報処理システム10は、出力装置4による出力を省略せずに行う。
【0155】
また、ユーザ5の接近は、出力装置4に対してユーザ5が近づく場合を検出とするのが望ましい。例えば、ユーザ5が発する振動が時間に対して大きくなる、又は、出力装置4に対してユーザ5までの距離が短くなる場合であると、人感センサ6は、出力装置4に対してユーザ5が近づく場合であると検出する。
【0156】
出力装置4に対してユーザ5が近づく場合は、ユーザ5がポンプ装置1の状態を確認しようとする場合である可能性が高い。したがって、ユーザ5が近づく場合を狙って、出力装置4は、ユーザ5に対して出力を行うと、ユーザ5が見逃すのを防ぐことができる。
【0157】
なお、出力装置4は、判定データを記憶する記憶装置を備える構成が望ましい。上記のように、出力装置4は、判定データを受信して、直ぐに判定結果をユーザ5に知らせる出力をしない場合がある。このような場合には、出力装置4は、判定データを記憶し、ユーザ5の接近まで判定結果を保持できる構成が望ましい。
【0158】
このように、センシング、判定、及び、出力は、最適なタイミングで実行されるのに合わせて、各々の装置が起動するのが望ましい。以上のようなタイミングで各々の装置が起動すると、各々の装置が起動状態である時間を短くして、情報処理システム10は、より電力消費量を少なくできる。
【0159】
[第2検出部の変形例]
第2検出部10F2は、加速度センサ以外の種類を用いる構成でもよい。すなわち、第2検出部10F2は、加速度、又は、振動以外でポンプ装置1が稼働するのを検出してもよい。
【0160】
第2検出部10F2は、ポンプ装置1に生じる電圧、電流、音、電界、磁界、又は、これらの組み合わせを計測して、ポンプ装置が稼働するのを検出してもよい。
【0161】
例えば、ポンプ装置1は、初動の際には、大きな電圧、電流、音、電界、又は、磁界を生じさせる場合が多い。具体的には、定常運転と比較して、初動は、静止摩擦力以上の力によって回転を発生させる、定常運転より高い回転数で稼働させる、又は、コンデンサに充電を行う等によって定常運転より大きな電流を流す等といった定常運転では行わない初動特有の動作を行う、又は、特有の初動値を用いる場合が多い。また、初動では、大きな電流を供給するために、電圧が高くなる、又は、大きな磁界が発生する場合がある。したがって、第2検出部10F2は、これらの初動の際に生じる特有の現象を検出する構成が望ましい。ゆえに、第2検出部10F2を実現するセンサの種類は、初動の際に生じる現象に合わせた種類である。
【0162】
例えば、初動を音で検出する場合には、第2検出部10F2は、センサとして、マイク、又は、可聴域に感度帯がある加速度センサ等で実現する。
【0163】
同様に、電圧、電流、電界、又は、磁界等で検出する場合には、第2検出部10F2は、センサとして、電圧計、電流計、電界センサ、又は、磁界センサ等のセンサで実現する。
【0164】
ほかにも、第2検出部10F2は、ポンプ装置1が稼働するのを検出できればよいので、ポンプ装置1が稼働する際に信号を送る構成としてもよい。したがって、第2検出部10F2は、ポンプ装置1が送る初動信号に応じてトリガを出力する構成等でもよい。
【0165】
なお、第2検出部10F2は、複数種類、又は、複数個のセンサで構成してもよい。例えば、第2検出部10F2は、冗長の構成であるセンサで初動を検出してもよい。このように、センサを冗長、すなわち、初動の検出結果を所謂「AND」をとる計算とした結果でトリガを出力すると、初動の検出結果を精度良く検出できる。一方で、データを取得するタイミングを逃すのを減らすため、所謂「OR」を取る計算を行う構成でもよい。
【0166】
[その他の実施形態]
上記の処理、及び、本実施形態で実行される処理に用いるデータは、情報処理システムによって実行、及び、記憶されてもよい。例えば、情報処理システムは、処理又は記憶を冗長、分散、並列、又は、これらの組み合わせを実現するため、複数の情報処理装置で実行又は記憶してもよい。したがって、本発明は、前述に示すハードウェア構成以外の装置、及び、前述に示す装置以外のシステムで実現されてもよい。
【0167】
上記の制御方法は、コンピュータに全体処理等を実行させるプログラムで実現されてもよい。
【0168】
また、本発明に係るプログラムは、単一のプログラムに限定されず、複数のプログラムの集合体でもよい。また、本発明に係るプログラムは、単一の装置で実行されるものに限定されず、複数の情報処理装置で分担して実行されてもよい。更に、各情報処理装置の役割分担は、前述の例に限定されない。すなわち、前述した処理の一部、又は、全部が前述した情報処理装置とは異なる情報処理装置が実行してもよい。
【0169】
プログラムによって実現される各手段の一部、又は、全部は、集積回路等のハードウェアで実現することもできる。さらに、プログラムは、コンピュータによって読み出し可能な非一過性の記録媒体に記録されて提供されてもよい。記録媒体とは、例えば、ハードディスク、SDカード(登録商標)、DVD等の光学ディスク、又は、インターネット上のサーバ等を指す。したがって、プログラムは、インターネット等の電気通信回線を介して配信されでもよい。
【0170】
また、情報処理システムを構成する情報処理装置等は、海外にあってもよい。
【0171】
なお、本発明は、前述に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、前述に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0172】
[SDGs推進への貢献]
以上のように、本発明は、省電力の効果を奏する。その結果、SDGsにおける「目標 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」等に貢献する。
【符号の説明】
【0173】
1 :ポンプ装置
2 :センサユニット
2H1 :第1加速度センサ
2H2 :制御回路基板
2H3 :通信モジュール
2H4 :バッテリ
2H5 :第2加速度センサ
3 :サーバ
4 :出力装置
5 :ユーザ
6 :人感センサ
10 :情報処理システム
10F1 :第1検出部
10F2 :第2検出部
10F3 :判定部
10F4 :通信部
10F5 :制御部
10F6 :出力部
SG1 :状態信号
SG2 :トリガ信号
SG3 :モード信号
T1 :第1タイミング
T2 :第2タイミング
T3 :第3タイミング
T4 :第4タイミング
【要約】
【課題】IoT用の情報処理装置等における電力消費量を少なくする。
【解決手段】情報処理装置が、不定期に稼働する回転装置の振動、又は、加速度を検出する第1検出部と、前記回転装置が稼働、又は、休止するのを検出する第2検出部と、前記第1検出部による検出結果を示す検出データに基づき、前記回転装置の異常の予兆を含む状態を判定して判定データを生成する判定部と、前記検出データ、又は、前記判定データを送信、又は、受信する通信部と、2つ以上の制御モードを有して、前記第2検出部に応じて前記制御モードを切り替えて前記第1検出部、及び、前記通信部を制御する制御部とを備える。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8