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特許7546988二次元の拡大を伴う導光光学素子を含む光学システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】二次元の拡大を伴う導光光学素子を含む光学システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240902BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240902BHJP
   H04N 13/344 20180101ALI20240902BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
H04N13/344
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024002768
(22)【出願日】2024-01-11
(62)【分割の表示】P 2020506787の分割
【原出願日】2020-01-26
(65)【公開番号】P2024054115
(43)【公開日】2024-04-16
【審査請求日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】62/796,107
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダンジガー,ヨチャイ
(72)【発明者】
【氏名】クリキ,ローネン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルバーグ,ジョナサン
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-536102(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173035(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/154576(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106597672(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
H04N 13/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像プロジェクタからの画像照明を、見るためにユーザに向けるための光学システムであって、前記光学システムは、
(a)光軸を中心とする画角を有するコリメート画像を投影する画像プロジェクタであって、前記コリメート画像はプロジェクタ光学アパーチャを有する、画像プロジェクタと、
(b)透明材料から形成された導光光学素子(LOE)と、を含み、前記LOEは、
(i)第1の配向を有する平面的で相互に平行な、部分的に反射する表面の第1のセットを含む、第1の領域と、
(ii)前記第1の配向に対して非平行な第2の配向を有する平面的で相互に平行な部分的に反射する表面の第2のセットを含む、第2の領域と、
(iii)1つのセットの相互に平行な主要外部表面であって、前記主要外部表面は、前記部分的に反射する表面の第1のセットおよび前記部分的に反射する表面の第2のセットが両方共、前記主要外部表面の間に位置するように、前記第1の領域および前記第2の領域にわたって延びている、1つのセットの主要外部表面と、
(iv)カップリングイン光学アパーチャを有するカップリングイン表面であって、前記カップリングイン表面は、前記カップリングイン表面を介して導入されたコリメート画像が、前記主要外部表面での内部反射によって前記LOE内を伝搬し、前記部分的に反射する表面の第1のセットによって部分的に反射されて、前記主要外部表面での内部反射によって前記LOE内を伝搬する偏向された伝搬画像を生成し、前記部分的に反射する表面の第2のセットによって部分的に反射されて、前記主要外部表面のうちの1つから前記ユーザに向かって外側に向けられたカップルドアウト画像を生成するように位置決めされる、カップリングイン表面と、を備え、
前記カップリングイン光学アパーチャが、前記プロジェクタ光学アパーチャの対応する寸法よりも大きい少なくとも1つの寸法を有し、前記画像プロジェクタが、前記画像プロジェクタと前記カップリングイン表面との間に配備された、平面的で相互に平行な、少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットを含むアパーチャ拡大配列を介して前記カップリングイン表面と関連付けられ、前記アパーチャ拡大配列が、前記部分的に反射する表面の第3のセットの連続する表面での鏡面反射によって前記画像プロジェクタの有効光学アパーチャを拡大して前記カップリングイン光学アパーチャを満たす、光学システム。
【請求項2】
前記カップリングイン表面が、前記主要外部表面に対して斜めに角度がついている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記アパーチャ拡大配列が、一対の相互に平行な外面をさらに備え、前記部分的に反射する表面の第3のセットが前記外面の間に位置しており、前記外面のうちの一方は、前記カップリングイン表面と対面関係に配備されており、前記外面と前記カップリングイン表面の間に空隙を有する、請求項2に記載の光学システム。
【請求項4】
前記少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットが、連続的に増加する反射率の第1のシーケンスを、前記画像照明がそれらに到達する順序で有し、前記部分的に反射する表面の第1のセットが、連続的に増加する反射率の第2のシーケンスを前記画像照明がそれらに到達する順序で有し、前記第2のシーケンスは、前記第1のシーケンスの最後の反射率より小さい反射率で始まる、請求項1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記連続的に増加する反射率の第1のシーケンスは、90%より大きい、請求項4に記載の光学システム。
【請求項6】
前記部分的に反射する表面の第1のセットに到達する前記画像照明の大部分が、前記少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットから正確に1回の反射を受けている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記部分的に反射する表面の第1のセットに到達する前記画像照明の大部分が、前記少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットから2回の反射を受けている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
前記第1の領域および前記第2の領域は、重複しない、請求項1に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学システムに関し、特に、光学開口拡大を達成するための導光光学素子(LOE)を含む光学システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのニアアイディスプレイシステムは、透明な導光光学素子(LOE)またはユーザーの目の前に置かれる「導波管」を含み、それが、LOE内の画像を内部反射によって伝達し、その後、適切な出力カップリングメカニズムによって、ユーザーの目の方向へその画像をカップルアウトする。出力カップリングメカニズムは、埋め込まれている部分反射器または「ファセット」に基づくか、あるいは、回折パターンを使用することが可能である。下記の記述は、主にファセットに基づくカップリングアウト配列について言及するが、本発明の様々な特徴は回折配列にも適用可能であることを理解されたい。
【0003】
内部の直交ファセットを使用する導波管内の二次元の開口拡大は、特許文献1の図13に記述され、本明細書では図1Aとして再現される。先行技術の図面を参照する参照番号は、本明細書では括弧内に示される。プロジェクタ(20)からの光は導波管内を伝播し、ファセット(22a)-(22c)によってファセット(23)の方向へ反射され、そのことが、光を観察者の方向へカップルアウトさせる。
【0004】
PCT公報の特許文献2は、非直交ファセットを使用する同様の概念を開示する。当該PCT公報の図2および29は、それぞれ図1Bおよび1Cとして本明細書に再現される。本明細書では(32)で示されるファセットの第1のセットは非直交であり、したがって伝播の1様式のみが反映される。図示される2つの構成は、ファセットの2つのセットを含む領域が重なり合っている(図1B)か、重なり合っていない(図1C)かに関して異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】US6829095B2
【文献】WO2019/142177A1
【発明の概要】
【0006】
本発明は光学システムである。
【0007】
本発明の実施形態の教示によると、カップリングイン領域で注入された画像照明を、見るためにユーザーの方向へ向けるための光学システムが提供され、当該光学システムは透明な材料で形成された導光光学素子(LOE)を含み、当該LOEは:(a)第1の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面の第1のセットを含む、第1の領域;(b)第1の配向に対して平行でない第2の配向を有する平面的で相互に平行な部分反射表面を含む、第2の領域;(c)相互に平行な主要外部表面の1つのセットを含み、当該主要外部表面は、部分反射表面の第1のセットおよび部分反射表面の第2のセットが両方共、主要外部表面の間に位置するように、第1の領域および第2領域にわたって伸びており、部分反射表面の第2のセットは主要外部表面に対して斜めに傾いており、その結果、第1の領域から第2の領域への主要外部表面での内部反射によってLOE内を伝播する画像照明の一部は、LOEからユーザーの方向へカップルアウトされるようになっており、部分反射表面の第1のセットは、カップリングイン領域からの主要外部表面での内部反射によってLOE内を伝播する画像照明の一部が、第2の領域の方向へ偏向されるようなっており、光学システムは、カップリングイン領域に配置される、平面的で相互に平行な少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットをさらに含み、少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットが配置されることにより、プロジェクタから注入された画像照明を、主要外部表面に対して平行に測定された第1の幅を有する光学開口で受け取り、且つ、少なくとも部分的に反射するファセットの第3のセットにおける画像照明の少なくとも一部の反射を介して、画像照明を、主要外部表面に対して平行に測定される第2の幅を有する有効な光学開口を備える部分反射ファセットの第1のセットの方向へ向け、この時、第2の幅は第1の幅より大きい。
【0008】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットが、連続的に増加する反射率の第1のシーケンスを、画像照明がその少なくとも部分的に反射する表面に到達する順序で有し、部分反射表面の第1のセットが、連続的に増加する反射率の第2のシーケンスを、画像照明がその部分反射表面に到達する順序で有し、第2のシーケンスが、第1のシーケンスの最後の反射率よりも小さい反射率で始まる。
【0009】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、連続的に増加する反射率の第1のシーケンスの最後の反射率は90%より大きい。
【0010】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、部分反射表面の第1のセットの方向へ向けられる画像照明の大部分は、少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットからちょうど1つの反射を受ける。
【0011】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、部分反射表面の第1のセットの方向へ向けられる画像照明の大部分は、少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットから2つの反射を受ける。
【0012】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットは、LOEの一部として一体化され、主要外部表面の間に位置する。
【0013】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットは、部分反射表面の第1のセットに対して平行である。
【0014】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットは、部分反射表面の第1のセットに対して平行ではない。
【0015】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットの相互の表面間隔が、部分反射表面の第1のセットの相互の表面間隔よりも小さい。
【0016】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットの、少なくとも部分的に反射する表面の各々の表面積は、部分反射表面の第1のセットの各々の部分反射表面の表面積よりも小さい。
【0017】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、第1の領域および第2の領域は重なり合っていない。
【0018】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、光軸についての視野角を有するコリメートされた画像を投影するための画像プロジェクタが提供され、当該画像プロジェクタは、カップリングイン領域における少なくとも部分的に反射する表面の第3のセットを介して、主要外部表面における内部反射によってLOE内で伝播する伝播画像として、コリメートされた画像をLOEに導入するようにLOEと光学的にカップリングされており、当該伝播画像は、主要外部表面における内部反射によってLOE内に伝播する偏向された伝播画像を生成するために、部分反射表面の第1セットによって部分的に反射され、当該偏向された伝播画像は、主要外部表面の1つからユーザーの方向へ外に向けられるカップルアウトされた画像を生成するために、部分反射表面の第2のセットによって部分的に反射されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、添付の図面を参照して、ほんの一例として、本明細書で説明される。
図1A】上述の通り、特許文献1の図13に相当する。
図1B】上述の通り、PCT特許出願公報特許文献2の図2に相当する。
図1C】上述の通り、PCT特許出願公報特許文献2の図29に相当する。
図2A】本発明の教示に従い構成され且つ作動する、導光光学素子(LOE)を使用して実装される光学システムの概略等角図であり、トップダウン構成を図示する。
図2B】本発明の教示に従い構成され且つ作動する、導光光学素子(LOE)を使用して実装される光学システムの概略等角図であり、サイド注入構成を図示する。
図3A】基板内の第1の方向から第2の方向へ、一定の光学開口幅を有するプロジェクタからの画像照明を再び方向転換する時の、部分反射内部表面の異なる間隔の効果の概略図である。
図3B】基板内の第1の方向から第2の方向へ、一定の光学開口幅を有するプロジェクタからの画像照明を再び方向転換する時の、部分反射内部表面の異なる間隔の効果の概略図である。
図4A】本発明の実施形態の教示に従う、導光光学素子(LOE)の概略正面図であり、プロジェクタから観察者の方向へカップリングアウトされた照明への光学開口の3段階による拡大を図示する。
図4B】直交の部分反射内部表面を使用する、図4AのLOEの2つの実装の概略等角描写であり、開口拡大の最初の2段階に対するものである。
図4C】斜めの部分反射内部表面を使用する、図4AのLOEの2つの実装の概略等角描写であり、開口拡大の最初の2段階に対するものである。
図5A図4AのLOEの変化形の実装の正面図であり、光学開口拡大の2段階を行なうための部分反射内部表面が、少なくとも部分的に重なり合う領域に配置される。
図5B図4AのLOEの変化形の実装の等角図であり、光学開口拡大の2段階を行なうための部分反射内部表面が、少なくとも部分的に重なり合う領域に配置される。
図6図4CのLOEを通る伝播の様々な段階を通る画像照明の相対方向を、角度空間(極座標)で表した概略描写である。
図7A図4AのLOEの2つのさらなる変化形の実装の概略正面図であり、画像照明を側方注入するためのオプションを図示する。
図7B図4AのLOEの2つのさらなる変化形の実装の概略正面図であり、画像照明を側方注入するためのオプションを図示する。
図8A図4AのLOEのための生産順序の概略描写である。
図8B図5AのLOEのための生産順序の概略描写である。
図9図4AのLOEのさらなる変化形の実装の概略正面図であり、LOE領域の幾何学的形状が変更されている。
図10A図4AのLOEのさらなる変化形の実装の概略正面図であり、光学開口拡張の予備段階のために長方形の導波管セクションを採用する。
図10B図4AのLOEのさらなる変化形の実装の等角正面図であり、光学開口拡張の予備段階のために長方形の導波管セクションを採用する。
図11A図4AのLOEのさらなる変化形の実装の組立前の概略等角図であり、TIRによる導光なしの光学開口拡大の予備段階のための内部の少なくとも部分的に反射するファセットを有するスラブを採用する。
図11B図4AのLOEのさらなる変化形の実装の組立後の概略等角図であり、TIRによる導光なしの光学開口拡大の予備段階のための内部の少なくとも部分的に反射するファセットを有するスラブを採用する。
図12A図4AのLOEのさらなる変化形の実装の組立前の概略等角図であり、LOEの主要表面と平行でない表面による導光による光学開口拡大の予備段階のための内部の少なくとも部分的に反射するファセットを有するスラブを使用する。
図12B図4AのLOEのさらなる変化形の実装の組立後の概略等角図であり、LOEの主要表面と平行でない表面による導光による光学開口拡大の予備段階のための内部の少なくとも部分的に反射するファセットを有するスラブを使用する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のある実施形態は、仮想現実ディスプレイ、またはより好ましくは拡張現実ディスプレイであり得るニアアイディスプレイなどのヘッドアップディスプレイを目的として、光学開口拡大を達成するための導光光学素子(LOE)を含む光学システムを提供する。
【0021】
本発明の実施形態の教示に従う、LOE(12)を使用する、全体的に概して(10)で指定されるニアアイディスプレイの形態をしたデバイスの例示的な実装が、図2Aおよび図2Bに概略的に図示される。ニヤアイディスプレイ(10)は、LOE(同義で「導波管」、「基板」または「スラブ」と呼ばれる)(12)に画像を注入するために、工学的にカップルされたコンパクト画像プロジェクタ(または「POD」)(14)を使用し、その内部において、相互に平行で平面的な外部表面のセットにおける内部反射によって、画像照明が1次元で捕らえられる。光は、互いに平行であり、また画像光の伝播方向に対して斜めに傾いている部分反射表面(同義で「ファセット」と呼ばれる)のセットに当たり、各連続するファセットは画像光の一部を偏向方向に偏向し、基板内の内部反射によって、捕らえられ/導かれる。ファセットのこの第1のセットは図2Aおよび2Bの中で個々に図示されていないが、(16)で指定されるLOEの第1の領域に位置する。連続するファセットにおけるこの部分反射が、光学開口拡大の1次元を達成する。
【0022】
本発明の、好ましいが限定的でない例である第1のセットでは、前述のファセットのセットは、基板の主要外部表面に対して直交である。この場合、注入された画像と、領域(16)内を伝播するときに内部反射を受けるその共役の両方が偏向され、そして偏向された方向に伝播する共役像になる。好ましいが限定的でない別の例では、部分反射表面の第1のセットは、LOEの主要外部表面に対して斜めに角度を付けられている。後者の場合、注入される画像またはその共役のいずれかは、LOE内を伝播する望ましい偏向画像を形成し、一方で、他の反射は、例えばファセット上に、反射が必要とされない画像によって提供される入射角の範囲までファセットを相対的に透明化する角度選択的コーティングを使用することにより、最小限に抑えられる。
【0023】
部分反射表面の第1のセットは、画像照明を、基板内の全内部反射(TIR)によって捕えられた伝播の第1の方向から、同様に基板内のTIRによって捕えられた伝播の第2の方向へと偏向する。
【0024】
その後、偏向された画像照明は、隣接する別個の基板として、または単一の基板の連続として実装され得る第2の基板領域(18)に進み、そこで、カップリングアウト配列(部分反射ファセットのさらなるセットあるいは回析光学素子のいずれか) が、アイモーションボックス(EMB)として定義される領域内に位置する観察者の目の方向へ、画像照明の一部を徐々にカップルアウトし、それにより、光学開口拡張の2次元を達成する。デバイス全体は、おのおのの目に対して別々に実装されてもよく、好ましくはユーザーの頭に対して支持され、各LOE(12)がユーザーの対応する目に面している。本明細書に図示されるような1つの特に望ましい選択肢では、支持配置は、ユーザーの耳に対してデバイスを支持するための側面(20)を備えたメガネフレームとして実装される。支持配置の他の形態も使用することが可能で、それはヘッドバンド、バイザーまたはヘルメットから吊り下げられたデバイス、を含むがこれらに限定されない。
【0025】
光学システムが、カップリング領域に配置される、平面的で相互に平行な少なくとも部分的に反射する表面(「ファセット」)の第3のセットをさらに含むことは、本発明のある実施形態の特に好ましい特徴である。ファセットの第3のセットは、図2Aおよび2Bの中で個々に示されていないが、領域(15)で指定されている。ファセットの第3のセットは、LOE(12)の主要外部表面に対して平行に測定された第1の幅を有する光学開口を備えたプロジェクタ(14)から注入される画像照明を受け取り、その画像照明を、領域(15)のファセットによる画像照明の少なくとも一部の反射を介して、LOEの主要外部表面に対して平行に測定された第2の、より大きな幅を有する有効光学開口を備える領域(16)内の、部分反射ファセットの第1のセットの方向へ向けるように、配置される。この開口拡大の重要性は、以下にさらに議論されるであろう。
【0026】
ファセットの第3のセット(15)は、プロジェクタ(14)とカップリング領域におけるファセットの第1のセット(16)との間の、光路に置かれる。「カップリング領域で」という句は、本明細書では、ファセットの第3のセットがカップリング領域でのLOEに組み入れられる場合、および、ファセットの第3のセットがLOEの外側にある場合の両方を含むように使用され、これらの選択肢の両方は、以下に詳細に説明される。
【0027】
図面および特許請求の範囲において、LOEの第1の領域が全体的に伸長する方向において、水平(図2A)または垂直(図2B)に伸びるX軸、および、それに対して垂直に伸びる、すなわち、図2Aでは垂直方向、図2Bでは水平方向に伸びるY軸、について本明細書で言及する。
【0028】
非常におおまかな言い方をすると、第1のLOE、またはLOE(12)の第1の領域(16)は、X方向の開口拡張を達成し、一方、第2のLOE、またはLOE(12)の第2の領域(18)は、Y方向の開口拡張を達成すると考えられ得る。図2Aに図示されるような配向は「トップダウン」実装とみなされ、そこではLOEのメイン(第2の領域)に入る画像照明は上端から入る一方で、図2Bに図示される配向は「サイド注入」実装とみなされ、そこでは本明細書でY軸と呼ばれる軸が水平に配置されることに、注意が必要である。残りの図面では、本発明のある実施形態の様々な特徴は、図2Aと同様に「トップダウン」の配向の観点で図示されるであろう。しかしながら、それらの特徴のすべては、同様に本発明の範囲内にあるサイド注入実装に等しく適用可能であることを理解されたい。場合によっては、他の中間の配向も適用可能であり、明示的に除外される場合を除いて、本発明の範囲内に含まれる。
【0029】
本発明のデバイスと共に使用されるPODは、好ましくは、コリメートされた画像を生成するよう構成され、すなわちそこでは、各画像画素の光は、画素位置に対応する角度方向で無限にコリメートされた平行なビームである。したがって、画像照明は2次元の視野角に対応する角度範囲に広がる。
【0030】
画像プロジェクタ(14)は、少なくとも1つの光源を含み、一般に、LCOSチップなどの空間光変調器を照らすように配置される。空間光変調器は、画像の各画素の投影強度を変調し、それによって画像を生成する。あるいは、画像プロジェクタは、画素ベースの動きと同期してビームの強度が変化する間、プロジェクタの画像平面にわたってレーザー光源からの照明をスキャンする、高速スキャンミラーを使用して一般に実装されるスキャン配置を含むことが可能で、これにより、各画素に望ましい強度を投影する。どちらの場合も、無限にコリメートされる出力投影画像を生成するためのコリメート光学系が提供される。上記の構成要素の一部または全ては、当技術分野でよく知られているように、通常、1つ以上の偏光ビームスプリッタ(PBS)キューブまたは、他のプリズム配列の表面に配置される。
【0031】
画像プロジェクタ(14)のLOE(12)への光学カップリングは、ある適切な光学カップリングによって、例えば、斜めに角度をつけられた入力表面を備えるカップリングプリズムを介して、または反射カップリング配置を介して、LOEの側端および/または主要外部表面の1つを介して、達成されることが可能である。ファセットの第3のセット(15)がLOEの外部にある場合、ファセットの第3のセットは、好ましくは、図11A-11Cを参照して以下に例示されるように、カップリングイン配置と一体化される。カップリングイン構成のさらなる詳細は本発明にとっては重大でなく、本明細書では単に概略的に示される。
【0032】
ニアアイディスプレイ(10)は様々な追加的な構成要素を含み、一般に画像プロジェクタ(14)を作動させるコントローラ(22)を含み、一般に小型の搭載バッテリー(図示されていない)または他の何らかの適切な電源からの電力を使用することが理解されるであろう。コントローラ(22)は、すべて当技術分野で知られるとおり、画像プロジェクタを駆動するための少なくとも1つのプロセッサまたは処理回路などの、必要な電気部品を全て含むことが理解されるであろう。
【0033】
ここで、図3Aおよび3Bを参照すると、これは、部分反射内部表面の第1のセットを備えたある特定の幅の光学開口を有するプロジェクタからの画像照明の形状を、概略的に図示する。均一な光照明を得るために、プロジェクタの開口幅(100)は、1つのファセットからの反射光線が次のファセットからの反射光線と隣接し、ディスプレイの黒い線を避けるようなものでなければならない。場合によっては、各観察方向が、2つ以上のファセットから、最も好ましくは開口にわたる一定数のファセットから、反射を受け取り、それにより、観察される画像の均一性が向上するような十分な重なりが存在していることが望ましい。図3Aおよび3Bは、開口幅(100)を備えるプロジェクタ(2)からのビームによって、異なる数のファセット(102および109)が照明される場合を図示する。反射光(104、106、110および108)は他のファセット(この図には示されていない)の方向へ伝播する。好ましくは、完全な、且つ、一定の数のファセットが照明される。図3Aではその数は2から3の間で変化するが、図3Bでが一定であり2つのファセットが開口全体にわたる出力に寄与する。開口幅(100)が広ければ広いほど、より多くのファセットが照明され、透過される画像はより均一になる。
【0034】
所定のファセット間隔に対して、均一なイメージを生成するために、開口幅は適切に変更されなくてはならない。したがって、大きなファセット間隔は、大きな開口の使用を要求する。導波管にわたるファセットの間隔が狭いと、製造の複雑さとコストが上がる。他方、大きな開口のプロジェクタを製造することは、プロジェクタのサイズを大きくする。これらの相反する設計上の考察事項は、本発明の態様に従い、プロジェクタと、上でファセットの第1のセットと呼ばれるものとの間で光学開口拡大の予備段階を実行することによって調整される。これは、ファセットの追加のセット(本明細書では「少なくとも部分的に反射する内部表面の第3のセット」と呼ばれる)を使用して達成される。
【0035】
図4Aは、本発明のこの態様に従う導波管の正面図を概略的に示す。プロジェクタ(2)の開口は小さい。このプロジェクタを起点とする2本の矢印は、この開口の端の光線を表わす。このプロジェクタからの光は、ファセット(202)(これは、予備的な、追加の、ファセットの「第3の」セットである)を有する導波管セクション(200)にカップルされる。光がこのセクション(200)を伝播すると、LOEの平面にある横方向の開口寸法(「幅」)は、連続するファセット(202)からの反射により、ファセット(204)(上でファセットの「第1の」セットと呼ばれる)を含むセクション(207)の方向へ部分的に再び方向転換されると拡大する。ファセット(204)から反射された光は、ファセット(206)(上記ではファセットの「第2の」セットと呼ばれる)を含むセクション(209)の方向へ再び方向転換され、観察者の方向へカップルアウトされる。
【0036】
図4Bは、図4Aの等角図を示す。本明細書では、セクション(200)は、(207)および(209)と同じ幅(導波管厚さ)を有するので、セクション(200)、(207)および(209)は、相互に平行な外部表面の間に挟まれた隣接するLOE内に一体化されていることが確認できる。これらのセクション全体にわたる誘導は、これらの外部表面からの全内部反射(TIR)によるものである。セクション間の光の透過は、好ましくは外乱あるいは断線が無く、また、様々な図(たとえば、図4A、5A、7A、7Bおよび9の正面図)でセクション間に示される分離線は、理解を容易にするためのものである。
【0037】
ファセット(206)は風景光を透過し、観察者がLOEを超えて外部シーンを直接見ることを可能にするように設計されており、したがって、比較的低い反射率、一般には50%未満、を有する。いくつかの構成では、ファセット(204)もまた、風景光を透過するように設計されており、したがって、比較的低い反射率、一般には50%未満、を有する。ファセット(204)がLOEの「視認領域」の一部ではない他の構成では、より高い反射率が使用され得る。ファセット(202)は、好ましくは、LOEの視認領域の外側にあり、したがって、風景を透過する必要がない。したがって、好ましくは、光透過について高い効率を得るために、高い反射率が使用される。好ましくは、領域(200)の最後のファセット(211)は、少なくとも90%の高い反射率、および好ましくは100%の反射率、を有する。セクション(200)は、風景光を透過するよう設計されていないので、好ましくはカバーされており(図示されず)、したがって外部光がそれを通り抜けることはない。あるいは、導波管のこのセクション(200)は、銀などの反射コーティングで覆われる。
【0038】
光学開口にわたって比較的均一な画像照明強度を提供するために、部分反射表面のセットの1つ以上、そして好ましくは各セットが、連続的に増加する反射率のシーケンスを、画像照明がその部分反射表面に到達する順序で有していることが、最も好ましい。例として、導波管領域(200)については、33%、50%および100%の反射率を有する3つのファセットのシーケンスは、連続する各面からの入射照明の凡そ1/3を反射するのに有効である。同様に4つのファセットのシーケンスについて、25%、33%、50%および100%の値は、各面からの入射照明の凡そ1/4を反射するのに有効である。観察者がそれを通して外部シーンを観察する視認領域内にあるファセットについては、反射率の値はより低く、また、ファセット間の比例的な増加はより小さいが、伝播する画像照明内に残る照明の強度のより低い割合を補うための増加シーケンスという、根本的な概念は、同じままである。(連続するファセットの理想的な反射率値が比較的近い場合、LOEの領域内の2つ以上の連続するファセットは、製造の簡略化として、同じ反射率値を実装し得るが、シーケンスは均一性を向上させる上記の効果を提供するために単調に増加しているため、シーケンスは依然として「連続的に増加している」と称される。 )したがって、例えば、ファセット(204)は、連続的に増加する反射率の第2のシーケンスを、画像照明がそのファセットに到達する順序で有し、その状態では、第2のシーケンスは、(ファセット(204)の)第1のシーケンスの最後の反射率よりも小さい反射率から開始する。
【0039】
図4Aの構成では、 ファセット(204)の方向へ導かれる画像照明の大部分は、ファセット(202)からちょうど1回の反射を受ける。LOEセクション(207)に示される境界矢印によって図示される通り、ファセット(202)の間隔は近く、拡大した有効開口にわたってファセット(204)の方向へと再び方向転換される画像照明の連続性を確かにする。これにより、ファセット(204)はより大きな間隔を使用することが可能になり、それにより、導波管のより大部分についての製造上の複雑さおよびコストを低下させる。例えば、もしファセット(202)が開口を3倍で拡大させる(連続的に増加する反射率を備える3つのファセットを使用して)と、ファセット(204)は、セクション(200)が無い場合に比べて、凡そ3倍の間隔を有することが可能である。より一般的に言えば、ファセット(204)の間隔は一般に、ファセット(202)の間隔よりも大きい。さらに、ファセット(202)の表面積は一般に、ファセット(204)の表面積よりも小さい。結果として、比較的小容量で間隔の狭いファセットを製造するだけでよく、他方、LOE構造の大部分の複雑さと製造コストは抑えられる。
【0040】
図4Bは、導波管の主要外部表面に対して垂直のセクション(200)と(207)のファセットを示す。図4Cは、本明細書では「捻じれたファセット」と呼ばれる、導波管の両方のセクション(200)と(207)のファセットがLOEの主要表面に対して斜めに角度をつけられている、代替の実装を示す。
【0041】
図5Aおよび5Bは、図4Aおよび4Cに類似しているが、上記特許文献2に教示される対応する選択肢と類似の方法で、ファセット(204)および(206)が、導波管の少なくとも部分的に重複する領域に随意実装され得ることを示す。入力開口拡大セクション(200)は、好ましくは、図5Bに示されるとおり、LOEの大部分、そして好ましくは全厚、に及ぶように実装される。
【0042】
図6は、角度空間におけるファセットに対する画像反射を示す。本記述は、図4C図5に記載されるような、捻じれたファセットに関するものである。光は、導波管(200)の中へとカップルされ、(1930A)として画像(6L)または(6R)へとカップルされる。これらの2つの画像は、画像照明が開口拡大セクション(200)に沿って伝播する際の、LOEの主要表面からの前後方向のTIR反射を表す。ファセット(202)による反射は、(1938)として(4R)および(4L)上に表される。これらは、セクション(207)に沿ってTIRによって伝播する画像である。この限定的でないが特に好ましい構成では、ファセット(202)はファセット(204)に対して平行であり、したがって、ファセット(204)によるセクション(209)の方向への反射も、(4R)から(6L)へと(1938)に沿う。ここで、(6L)および(6R)も、セクション(209)に沿って伝播する画像を表わす。言い換えれば、セクション(200)および(209)で伝播する画像は、ここでは同じ角度間隔となる。観察者の方向へカップリングアウトするセクション(209)内のファセット(206)による反射は、誘導される画像(6R)から、カップルされた出力画像(8)へと(1934)として表される。
【0043】
円(39)は、導波管のTIRカットオフを表し、導波管の平面に対して平行である。画像(4L)と(4R)が導波管の平面に対して対角になっていることは明白であり、つまり、角度空間において長方形の画像の側面は基板の主要表面に対して平行および垂直であるが、画像(6L)と(6R)は導波管の表面に対して平行に位置合わせがなされている。実際には、一般には、プロジェクタ(2)を対角でのカップリングよりも平行でのカップリング用に構成する方がより便利である。結果として、導波管セクション(200)を通るカップリングインは、プロジェクタ実装の簡素化に寄与し、したがって、プロジェクタの有効光学開口を必ずしも著しく拡大させるわけではない少数の高反射率ファセットを介したとしても、有利となり得る。
【0044】
人間工学的考察は、図7Aおよび7Bに示されるように、導波管の側面からの画像の注入を要求し得る。この場合、第1のファセット(210)によって透過される画像照明と後続のファセットによって反射される画像照明との間の凡その均一性を達成するために、第1のファセットが高い反射率で有利に実装される。例えば、セクション(200)に2つのファセットしか存在しない場合、第1のファセットは50%の反射率を有し、第2のファセットは100%の反射率を有するであろう。しかしながら、4つのファセットがある場合、第1のファセットは75%の反射率(25%の透過率)を有し、第2は33%、第3は50%、最後(210)は100%の反射率を有するであろう。あるいは、ファセット(210)は100%で実装される事が可能で、その結果、セクション(207)へのすべての透過は後続のファセットからとなる。
【0045】
図7Aに提示される構成は、(1930B)(図6の角度空間の例示を指す)から、(1938)を(6L)に反射させるファセット(210)上へのカップリングインに基づく。更なる伝播は前述の通りである。
【0046】
図7Bは同等の構成を示しており、そこでは、セクション(200)におけるファセットが逆向きに存在することでプロジェクタ(2)の異なる位置が可能となる。
【0047】
側面注入の場合、第1のファセット(210)は主にカップリングインファセットとして機能し、且つ、ファセットの順序に沿ったファセットの連続して増大する反射率に対する例外であり、「順序」は第2のファセットから始まる。これらの場合、ファセット(204)の方へ向けられる画像照明の大部分は、ファセット(202)から2つの反射を受ける。
【0048】
図8Aは、導波管を図4A-4Cに記載されるようなセクションに統合するための方法を概略的に説明する。1セットの被覆板(253)が一体的に固着されることでスタック(254)が形成され、これをスライスすることで(255a)、セクション(207)に必要なファセットセクションが生成される。1セットの被覆板(250)が一体的に固着されることでスタック(251)が形成され、これを対角線上にスライスすることで、(252a)として示される、セクション(209)に必要なファセットセクションが生成され、及び、第3のセットの被覆板(256)が一体的に固着されることでスタック(257)が形成され、これをスライスすることでセクション(258a)(セクション(200)に必要なファセット)が生成される。3つのセクションが組み合わされ(260a)、固着される(262a)。接着剤は導波管とインデックスを合わせられ(index matched)、そうすることで光がセクション間を通る場合に光に導入される摂動が最小限となる。薄いカバーガラス(264)が好ましくは導波管の両側に固着され、随意に更に磨かれることで、平滑で平行なTIR表面を持つ導波路(266a)が生成される。
【0049】
図8Bは、図5Aと5Bに記載される構造に適切な同様の製造プロセスを示す。セクション(252b)、(255b)、及び(258b)は、図8Aに示されるのと同じ様式で生成されるが、(258b)の厚みは他のものの2倍である。(252b)と(255b)が積み重ねられる一方、(258b)は(260b)に示されるように側面から配置される。セクションは一体的に固着され(262b)、透明なカバーガラス(264)がカバーとして固着され、随意に更に磨かれることで、単一の導波管(266b)が生成される。
【0050】
ファセットの2つの重なり合ったセットを単一層内に組み込むことが望ましい場合、この組み込みは、上記で言及される先行技術文献2において図11を参照しつつ説明される技術に従い行うことができ、この場合に、結果として生じる、ファセットの2つのセットを含有する導波管セクションは、セクション(258b)(セクション(200)のファセットに対応)と組み合わされて側部に取り付けられ、その後にカバーシートが追加される。
【0051】
これまでは長方形導波管セクションとして示されてきたが、セクションの形状は誘導された光の伝播に従い変化し得ることに留意されたい。1つの非限定的な例として、画像伝播の幾可学的形状に応じて、導波管内の画像照明の拡大は、場合によっては、セクション(200)と(207)の伝播路に沿った広がりを必要とし、結果として図9に例示されるような導波管形態をもたらす場合がある。
【0052】
これまでは一次元で誘導されたLOEの一体部品として例示されてきたが、開口拡大の予備的段階は随意に、図10A-12Bの非限定的な例によりここで例示されるように、誘導されていない、異なる軸上で誘導される、或いは二次元において誘導される、様々な追加の構成において実施され得る。
【0053】
図10A及び10Bの非限定的な例において、セクション(200)は長方形導波管(270)として実装され、二次元での画像照明を予備的な開口拡大中に誘導し、その後、拡大した開口画像照明を導波管セクション(107)へと注入する。好ましくは、エアギャップ(295)、又はエアギャップを模した幾つかの光学層を設けることで、カップリングアウトされる場所を除いて導波管セクション(270)内の内部反射を維持する。そのような2D導波路構造の例は米国特許第10,133,070号に見出すことができ、本明細書では詳述しない。
【0054】
図11A及び11Bは更なる選択肢を例示し、これに従い、カップリングイン開口拡大ファセットがTIRにより画像照明を誘導することなく設けられる。この場合、ファセット(202)は、導波管(207)の残部よりも幅広い第1のセクション(280)に設けられる。この構成において、(280)における光は誘導されず、(280)を通って伝播しつつ、両次元において拡大する。この構成において、導波管(207)へのカップリングは好ましくは、カップリングプリズム(285)を介して達成される。図11Aは明瞭さのために、(280)を(285)から分離した状態で示す。(280)及びカップリングプリズム(285)の角度配向は、(207)の厚み(示されるように垂直な)次元に沿った均一な照明を容易にする。図11Bは、カップリングインプリズム(285)に取り付けた後の(280)を示す。
【0055】
図12Aは更なる実施の変形を示し、これに従い、開口拡大の第1段階がファセット(202)を介して、導波管(207)と平行でない1次元で誘導される第1のセクション(290)に設けられる。図12Bはカップリングプリズム(285)の上部でのセクション(290)の配置を示し、そこでは、エアギャップ(295)が設けられることでセクション(290)内のTIR誘導が保たれる。
【0056】
本明細書で明白に記載したもの以外の全ての点において、部分反射内部表面の第1のセット(204)及び部分反射内部表面の第2のセット(206)の、共通の導波管内での配置は、PCT特許出願PCT/IB2019/157572に並行して記載される選択肢の範囲に従い実施することができ、前記特許出願は本出願の出願日時点では公開されておらず、先行技術を構成するものではない。
【0057】
本明細書に例示される正面図の全てにおいて、本発明の開口拡大は、コリメートされた画像の光学軸の中心画素に相当する所定の光線方向に対する光学開口の範囲を示す、平行な矢印により概略的に表わされる。光学軸は実際にX-Y面内にはなく、むしろ、視界(FOV)の深さ寸法における角度の全範囲が主要な基板表面にて全内部反射を受けるように選択されるページへと、Z構成要素を有している。提示を簡潔にするために、本明細書中の図式表現、及びその説明は、光線伝播方向の面内(X-Y)構成要素のみに関係し、本明細書中では「面内構成要素」又は「LOEの主要な外部表面に平行な構成要素」として言及される。
【0058】
図3Bの文脈において上述されているように、上記原理の全ては「横向き」構成にも適用可能であり、その場合、画像が、表示領域の外部から側方に位置するPODから注入され、且つ、ユーザーの眼へのカップリングのために、ファセットの第1のセットにより垂直に、及びその後、ファセットの第2のセットにより水平に広げられる。上記の構成及び変形は全て、サイド注入構成にも適用可能であると理解されねばならない。
【0059】
上述の記載全体にわたり、示されるようなX軸及びY軸への言及が行われており、そこでは、X軸は水平又は垂直の何れかであり、且つ光学的開口拡大の第1の次元に相当しており、Y軸は拡大の第2の次元に相当する他の主軸である。この文脈において、X及びYは、図3A及び3Bの前述の眼鏡フレームなどの支持構成により典型的に規定される配向においてユーザーの頭部に取り付けられると、デバイスの配向に対して規定され得る。
【0060】
本発明は、ニアアイディスプレイの好ましいが非限定的な例の文脈においてこれまで例示されてきたが、本発明の様々な態様の実施形態は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を含むがこれに限定されない他の用途において利益を得るために使用され得ることに留意されたい。具体的な対象のHUDの1つのサブセットは、車両用のHUDである。
【0061】
上記の記載が単に例として役立つように意図され、且つ、多くの他の実施形態が、添付の請求項において定められるような本発明の範囲内で可能であることが理解されるであろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B