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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】身体装着具
(51)【国際特許分類】
   A63J 5/02 20060101AFI20240902BHJP
   A63J 7/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A63J5/02
A63J7/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024051597
(22)【出願日】2024-03-27
【審査請求日】2024-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524118328
【氏名又は名称】ハニカムファクトリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004152
【氏名又は名称】弁理士法人お茶の水内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安元 啓一郎
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-155369(JP,A)
【文献】米国特許第05970522(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1450134(KR,B1)
【文献】登録実用新案第3238054(JP,U)
【文献】登録実用新案第3111958(JP,U)
【文献】実公平07-030066(JP,Y2)
【文献】特開2020-092954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63J 5/02
A63J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に装着する身体装着具であり、
装着部を有する収納容器と、
該収納容器内に収納されたバルーンと、
該収納容器は、膨張した該バルーンを該収納容器から膨出させるための開閉部を有し、
該バルーンは、その内部に気体が供給されることにより膨張し、さらに、収納容器の内側から膨張を継続するバルーンが、収納容器の内部から該開閉部を開けながら膨張するように設けられ、気体を供給した後の該バルーンの大きさは、該収納容器の内容積よりも大であり、
該バルーンに気体を供給するよう、該バルーンに接続された気体供給装置を、該収納容器内又は外に一体化して有する、
身体装着具。
【請求項2】
身体に装着する身体装着具であり、
装着部を有する収納容器と、
該収納容器内に収納されたバルーンと、
該収納容器は、膨張した該バルーンを該収納容器から膨出させるための開閉部を有し、
該バルーンは、その内部に気体が供給されることにより膨張し、さらに、収納容器の内側から膨張を継続するバルーンが、収納容器の内部から該開閉部を開けながら膨張するように設けられ、気体を供給した後の該バルーンの大きさは、該収納容器の内容積よりも大であり、
該バルーンに気体を供給するよう、一端が該バルーンに接続された気体供給管を有し、
該気体供給管の他端は、身体装着具とは別に設置した気体供給装置に接続され
身体装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体に装着して使用する身体装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
舞台等で公演をする演者が、曲、セリフ、ストーリーや場面等に合わせて、身体に着ける衣装を着替えることは通常である。さらに、帽子等の小道具を変えることも行われている。
ただし、曲、セリフ、ストーリーや場面等に合わせて、身体に付けた衣装や小道具等の一部を変化させる際、中でも特に、曲、セリフ、ストーリー等が進行中で、かつ演技等が進行する間に、このような衣装や小道具を変えることは、演技等を中断させることになるため事実上困難であった。そのため、歌う曲の間や演劇では一時的に舞台からいなくなるときの時間を使って、衣装を着替える等をしている。
【0003】
さらに、演技等を進行しながら瞬間的に大道具等の影に隠れて、身に着けた衣装や小道具を変えたり、脱いだりして変化するには、その変化を補助する者が必要であったり、極めて簡単に脱着できる衣装等であることが必要であった。また進行に不自然さが生じる可能性がある。
このようなときには、曲、セリフ、ストーリーや場面等に合わせて、身体に着ける衣装等を大きく変えることはできず、意図する公演の進行が制限される可能性がある。
また、観客や視聴者から演者が見えないときに、演者が着替え等をして、その後演者が再登場すると、その着替え等に要する時間が短いほど、観客や視聴者は新たな驚きを感じることができる。
特許文献1に記載のように、気体を発生させる膨出剤を収納した嚢体玩具であり、該膨出剤から発生した気体により玩具が膨らむものが記載されている。
また特許文献2に示すように、ぬいぐるみ内部に膨張部を収納し、ポンプ部をポンピングして耳等の稼働部分が動くようにしたぬいぐるみも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平1-12851号公報
【文献】実用新案登録第3238054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公演時に、曲、セリフ、ストーリーや場面等に合わせて、身体に着ける衣装等を変える際に、舞台の袖や大道具の影に入ることがなく、衣装等を変える瞬間も、正に演技等をしている瞬間として積極的に観客に見せることが困難であった。なお、この衣装等を変えることは、変える前にはほとんど痕跡がないものを、変えた結果初めて外観の変化として表現することである。
しかしながら、上記の嚢体玩具やぬいぐるみは、膨張前には容器内に入れていないと、公演の観客からは膨張前に目視で確認できてしまうので、膨張の瞬間や膨張後に驚きや感動等を起こすことが困難である。
また、公演時において、演者ではなく舞台上の道具内等に膨張していない風船等を入れておき、公演時の任意のタイミングで風船を膨張させることもできる。しかし、その結果として、道具の外観変化が起きるに留まり、演者の外観を変化させるものではない。
【0006】
本発明は上記の困難な点を鑑みてなされたものであって、公演等をする演者が、身体に着けている衣装等の変化を、収納容器から出すバルーンを観客に発見させることにより演出し、演者自らの動作を合わせて、積極的に観客に見せるための身体装着用装着具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の身体装着具は、ステージや路上等の場所における公開、動画配信、映画上映、放送等により、観客や視聴者等に見せるにあたり、歌手や俳優等が身体に装着したり、歌手や俳優等が持つ道具に装着したりする等のものである。
【0008】
本発明は以下のとおりである。
1.身体に装着する身体装着具であり、
装着部を有する収納容器と、
該収納容器内に収納されたバルーンと、
収納容器は、膨張したバルーンを収納容器から膨出させるための開閉部を有し、
該バルーンに気体を供給するよう、該バルーンに接続された気体供給装置を、収納容器内又は外に一体化して有し、
気体を供給した後の該バルーンの大きさは、該収納容器の内容積よりも大である、
身体装着具。
2.身体に装着する身体装着具であり、
装着部を有する収納容器と、
該収納容器内に収納されたバルーンと、
収納容器は、膨張したバルーンを収納容器から膨出させるための開閉部を有し、
該バルーンに気体を供給するよう、一端が該バルーンに接続された気体供給管を有し、
該気体供給管の他端は、身体装着具とは別に設置した気体供給装置に接続され、
気体を供給した後の該バルーンの大きさは、該収納容器の内容積よりも大である、
身体装着具。
【発明の効果】
【0009】
本発明の身体装着具により、演者が身体装着具を身体に装着して公演をするときに、任意のタイミングで、曲、セリフ、ストーリー、場面、効果音等に合わせて、バルーンを身体に付けた衣装や小道具等の一部として形状を変化させることができる。
そのため、バルーンを膨張させて、その形状を変化させることにより、公演中の曲、セリフ、ストーリー、場面、効果音等を印象付けることができる。またバルーンの膨張により、その形状を変化させて、演者の動作と合わせて、観客や演者自身に驚きや感動等の感情を起こさせる等、公演全体を盛り上げることができる。
また、観客がいなくても、演者が1人で公演をして楽しむこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の身体装着具を両腕に装着した図。
図2-1】収納容器の例を示す図。
図2-2】収納容器の例を示す図。
図3】収納容器を右腕に装着した例。
図4図1の変形例。
図5】収納容器の別の態様。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、大人子供問わず、歌手、俳優及び演芸を行う人や、余興、遊戯、遊び等として、他人に見せたり、1人でおもちゃ等として楽しむ等の人、及び人や動物等の外見をしたロボット等をまとめて単に「演者」というときがある。但し、人が演者であることが公演上の効果上好ましい。人が演者であると、本発明による意外性の演出効果を表現しやすい。
また、演者が行うステージ、路上、公園、庭、室内等の場所における公開、録画、撮影、動画配信、映画上映、放送、展覧等の人に見せる行為や、人に見せることを目的とした行為、さらに、人に見せずに1人で楽しむ行為、及びをまとめて、単に「公演」というときがあり、「公演」を観る人を単に「観客」というときがある。
【0012】
また演者の身体は、演者の身体そのもの、衣類や道具(手袋、帽子や鎧等)を着用した演者、公演中に演者が持つ道具(杖、剣や盾等)を含む。
さらに、本発明の身体装着具は、公演時の曲、セリフ、ストーリー、場面、効果音等に合わせて、又は任意のタイミングで収納容器の内部のバルーンを膨張させて、観客に見せたり、1人で楽しんだりするものである。そのバルーンが膨張して拡がる力を利用して、収納容器の蓋が開き、内部からバルーンが膨出して、観客に向けて膨張したバルーンを示すことにより、公演の内容を演者が意図したより優れたものにする。
【0013】
[身体装着具]
本発明の身体装着具は、上記目的を達成するために、装着部によって演者に装着される。さらに身体装着具は収納容器を有する。収納容器の機能は、その内部に気体が導入されておらず、膨らんでいない状態のバルーンを収納し、場合によりバルーンの膨張後にバルーンと一体となり公演の進行を進めるものである。身体装着具の外観は、公演上の衣装や小道具の一つとしての効果を発揮するものでも良い。
装着部は有能容器を演者の身体に固定させるためのものである。
なお、本発明の身体装着具は公演時に使用する道具であって、水難等の非常時に膨張する浮き輪等や、オートバイ等用のエアバッグ(瞬間的に膨らむが大音響を生じ、かつ発生するガスには人間の身体にとって好ましくない物質を含む可能性がある。)等の救命用のものではない。
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る身体装着具を示す図である。
本発明の身体装着具は、収納容器と装着部を有する。装着部は収納容器に設けられており、演者の身体や演者が扱う道具に固定できる構造を有して、収納容器を演者の身体に固定させる作用を有する。演者が扱う道具に収納容器を固定する場合には、演者に対して間接的に収納容器を固定した場合である。
装着部は、演者の肌表面に直接に、又は演者が着用する衣類や帽子、手袋等の着用部の上に、収納容器を装着させるための構造を有する。
【0015】
[演者が身体装着具を着用した場合の全体像及び身体装着具の使用方法]
演者は、身体装着具を身体に装着する。
その全体像を図1に示す。演者は身体装着具を身に着けながら公演をし、公演中の所定のときにバルーンを膨張させて、演者の全体像の変化を観客に見せる。
例えば、演者である戦闘ヒーローの肘から手首までの前腕や手の甲等に、樹脂製の収納容器が位置するように身体装着具を装着しておき、戦闘シーンの当初では収納容器を盾として使用する。その後のシーンの進行により、収納容器の先端(手の指側の端部)の開閉部を開けて、中からバルーン製の剣を膨張させて形成する。
又は、演者であるヒロインが背中に収納容器を装着しておき、ストーリーの進行に応じて、収納容器の左右の両側の開閉部を開けて、中から左右に向けて天使の羽等を膨張させて形成する等することができる。
ヒロインの頭にカチューシャ型の収納容器を装着しておき、収納容器内収納をした耳の形状のバルーンを膨張させて、あたかも耳を生やすかのようにできる。また耳の形状に代えて膨張して別の髪型を示すバルーンを収納容器内に入れてもよい。
1つのカチューシャ型の収納容器に2つの開閉部を設け、各開閉部から片耳ずつを膨張させて、耳を生やしてもよい。
膨張させると尻尾の形状になるバルーンを、収納容器内にいれ、この収納容器を演者の尻付近に位置させるようにベルトで装着しても良い。
【0016】
[装着部]
本発明における装着部は、演者の肌表面に直接に、又は演者が着用する衣類や帽子、手袋等の着用部の上、又は演者が持つ道具等に、収納容器を装着させるための構造を有する。
装着部は、収納容器を演者や道具等に装着させ固定させるための部材である。装着部による装着対象部位は、頭、首、腕、手首、胸、胴、腰、腿、脚、足首、足等の演者の身体の皮膚表面そのもの、演者が着用している衣類表面、さらに演者が手に持つ演出上の剣や盾、杖等の道具の、一箇所以上の任意の箇所である。
装着対象への固定のために、装着部は、ベルト、バンド、面ファスナー、ボタン、ファスナー、各部位へのサポーター等の固定用の部材を有しても良い。また装着部は、シャツ、ジャケット、上着、スーツ、パンツ、スカート、靴、手袋、帽子、着ぐるみ等の、公知の衣類や身につける小物でも良い。装着部が衣類や身に付ける小物であるとき、収納容器を衣類や小物に着脱可能に固定しても良く、例えば衣類に縫い付ける等して分離不可に固定して一体化しても良い。
【0017】
演者の身体への収納容器の固定場所、道具の種類と固定場所、収納容器内のバルーンの大きさ、膨張後の形状、演出の効果を考慮して、装着部の材料、形状や構造等が決定される。
演者は、これらの衣類や小物、道具を着たり身に付けたりすることによって、一箇所以上の任意の箇所に収納容器を身体に固定しても良い。また、固定する身体の部位や道具は、膨張したバルーンの形状や用途、公演上の意図等により決定される。
【0018】
[収納容器]
本発明における収納容器の大きさや形状は、身体等に装着する部位や、収納されるバルーンが畳まれているときの大きさや形状、バルーンが膨張したときの形状や大きさ、公演上の意図等により決めることができる。加えて収納されたバルーンが膨張するときのバルーンの動き等を考慮しても決めることができる。その上で、演者の動きを規制しない形状や、装着位置を検討して決められる。また、収納容器の材料は、樹脂板、金属板、木材等の硬質の材料や、樹脂シート、織布、不織布及び紙等の軟質の材料等から、公演上の効果を考慮して任意に決定できる。
収納容器にバルーンを内部に収納した状態では、収納容器は、観客からバルーンを目視できない形状や構造にしても良く、折りたたまれたバルーンの少なくとも一部を外部から目視できるようにスリットや穴を有する形状や構造にしても良い。これらは公演の進行上や観客への視覚上の効果を考慮して決定できる。
演者がバルーンを内部に収納した状態の収納容器を装着した状態で、観客に向けて収納容器を積極的に見せるような外観にすることもでき、又は観客に向けて収納容器を見せないようにする外観、目立たない外観にしたり、装着位置を調整したりしても良い。
観客に向けて収納容器を積極的に見せるように、収納容器の外観は、衣装の一部を形成する外観にしても良く、演者が身に付ける道具等を形成するようにしても良い。
【0019】
収納容器は開閉部を有する。
その開閉部は、収納容器内側からの圧力を受けて容器の外側に開くことができる。この結果、最初は収納容器内に収納されたバルーンは、その内部に気体を供給することにより膨張を開始する。その後、膨張を継続するバルーンが、収納容器内に収まりきらず、収納容器の内側から開閉部を押して開閉部を開けながら膨張を継続する。気体を供給した後の該バルーンの大きさは、該収納容器の内容積よりも大であることが必要である。
又は、開閉部は、膨張を継続するバルーンによる収納容器内部からの押圧ではなく、バルーンの膨張の瞬間に合わせて開くように調整しても良い。
上記開閉部の構造は特に限定されない。蝶番によって収納容器に取り付けられた容器外部に向けて開く扉であったり、収納容器に取り付けられたカーテン状の開閉部であったりしてもよい。
開閉部が閉じているときに、収納容器にスリットやドット、又は他の形状の穴を設けた場合、収納容器の外面からバルーンが完全に膨張したときには、そのバルーンは演者との演技と共に、公演にて意図された動きを呈する。
【0020】
[バルーン]
本発明におけるバルーンは、空気等の気体を内部に注入することにより膨張し、意図する立体形状になるように作成されたものである。注入された気体により、少なくとも所定の時間、意図した立体形状を維持できる材料から構成される。また、膨張するバルーンが膨張する力により収納容器の開閉部を内側から押して開ける場合には、バルーンは開閉部を押して開けるために必要な強度を備えることが必要である。
バルーンの材料は、樹脂フィルム、樹脂シート、織布、不織布及び紙等から選ばれた1種や、それらを含む複合材料等から構成される。バルーンは、いわゆる樹脂から一体的に形成された風船状のものでも良く、及び、複数枚のシートを縫い合わせて立体形状を形成したものでも良い。中でも、複数枚のシートを縫い合わせて立体形状にしたものでも良く、その際には縫い合わせてなる縫目が有する穴により通気性を有していても良い。
収納容器中に収納している期間中に、折りたたまれて重ねられたバルーン表面間やバルーン内面間で粘着や接着しない材料で構成されていることが好ましい。このため、バルーンの内面又は外面が、いわゆるゴムからなる層ではないことが好ましい。
【0021】
バルーン内部には、膨張時の形状や大きさを考慮して、バルーン内部全体を複数の室に分割するための穴やメッシュ部を有して通気性を備えた壁等を有しても良い。
膨張時のバルーンの大きさ及び立体形状は、公演での演出等の効果に応じて任意に決定できる。例えば、戦闘シーンに使用するための剣、盾及び兜等、演者の身体の外見を変化させるための羽や冠等、あるいは、演者の耳、頭部、胴部、腕、脚等の身体の一部を大きく又は太く見せるためや、変形して見せるための衣装のようにすることができる。さらに、演者が着ている衣類の少なくとも一部の形状を変化させるための立体形状、演者が手に持っていたり、背負っていたりする等の道具の形状や構造を変化させるための立体形状であったり、公演とは直接的に関連がなさそうな文字や模様にしても良い。またバルーンに任意の色や模様等を形成できる。
なお膨張後のバルーンの外観が収納容器の外観に由来する印象を与えない範囲にて、バルーンの一部が収納容器の一部を兼ねることもできる。
【0022】
[気体供給装置]
本発明における気体供給装置は、バルーンに接続されたものであり、収納容器の内又は外に、収納容器と一体化して有するものである。バルーンに気体供給装置の送風側をパイプやチューブ等の気体供給管により直接接続しても良く、一端が該バルーンに接続された気体供給管を有し、その気体供給管の他端を身体装着具とは別に設置した気体供給装置の送風側に接続することにより、気体供給装置と収納容器を一体化させても良い。このときバルーン内に気体供給管の一端を挿入する等して、挿入部位のバルーンの開口部を気体供給管と気密に接続する。
本発明における気体供給装置は、バルーンを膨張できる圧力で気体を供給する気体供給能力を有していれば良い。気体供給装置の形式や気体供給能力は、公演にて求められるバルーンの膨張速度(気体の供給開始からバルーン膨張完了までに要する時間)や、バルーンの大きさ、演者の衣装、舞台設備等を考慮して選択される。使用できる気体供給装置は、求められる膨張速度を満たす限りにおいて、電動ファン、ボンベ、ポンプ等の公知の気体を供給する装置を採用できる。
バルーンが縫目等の穴が少なく、バルーンは膨張後の形状を公演中の必要な時間維持できるのであれば、最初に気体供給装置によりバルーンを膨張させるのみでも良い。しかし、バルーンが縫目等を有することにより穴を有しており、バルーンは膨張後の形状を公演中の必要な時間維持できないのであれば、バルーンを使用した公演中は膨張したバルーンを維持できる程度以上の気体を、気体供給装置からバルーンに供給させることが必要である。
さらに、バルーンの膨張速度を速くしたいときには、ファンの出力を高くすることが必要である。しかしながら、出力が高く大きいファンを身体に装着すると、演者の外観が不自然になる可能性がある。そのため、気体の供給速度がより高いが、同じ能力のファンよりも小さいボンベを気体供給装置として身体に装着したり、または身体装着具とは別に設置した気体供給装置をボンベや出力が高いファンにし、その気体供給装置をバルーンに接続することにより、身体装着具に気体供給装置を一体化してもよい。
どのような気体供給装置を採用する場合であっても、演者、スタッフや決められた時間等によって、気体供給装置を作動及び/又は停止させる公知のスイッチやリモコンを備えることが必要である。
【0023】
気体供給装置が電源を必要とする装置(電動ファンや電動ポンプ等)であるときには、その気体供給装置に隣接して電池(一次電池や充電池等の二次電池)を配置してもよい。また電池を収納容器内外のいずれに固定等により設置しても良い。さらに、気体供給装置から離れており、かつ身体装着具を装着した演者の別の身体の部位に設置しても良い。また演者自身ではなく、舞台の上や下、舞台上の道具、別の演者に設置しても良い。
演者自身に電池を設置しない場合には、バルーンを膨張させる前に、電池と気体供給装置を電気的に接続させるために、公演中の動作を兼ねて接続をさせる手段を採用する。例えば公演をしながら、公演上の動作の一部を兼ねて、舞台上の床や道具に設けた電源コンセントに演者が装着したファン等を運転するためのプラグを挿す等である。
気体供給装置が電源を必要としない装置(ボンベや手動ポンプ等)であるときには、上記のような電源を検討する必要はない。
なお、電動ファンや電動ポンプ等、ボンベや手動ポンプ等を演者の身体ではないところに設置するのであれば、公演中に、電動ファンや電動ポンプ等、ボンベや手動ポンプ等からの気体供給管と、演者の身体に設けた気体供給配管を接続させる機構が必要である。このような機構としては公知のカプラー(ワンタッチカプラー等)を採用することができる。
【0024】
(気体供給装置が収納容器に固定されて、かつ収納容器内に収納されたバルーンに接続されて一体化した気体供給装置)
本発明における収納容器と一体化した気体供給装置のうち、気体供給装置を収納容器に固定する場合には、使用できる気体供給装置は、収納容器の外から空気を吸引し、バルーン内に送風できる機能を有するファン等の送風機、及び空気等の気体を充填したボンベ等から選ばれた1種以上である。
この気体供給装置は、収納容器内部に固定されたり、又は収納容器の外面に固定されたりして収納容器と一体化して設置される。さらにこの気体供給装置は、結果的に収納容器と共に演者とも一体化される装置である。
収納容器内部に該送風機を設ける場合には、該送風機と対向する収納容器の一部に空気取り入れ口を設ける。そして送風機の下流には、送風機の空気吐出口に直接バルーンを接続してもよく、送風機の空気吐出口とバルーンの空気導入口とを管で接続しても良い。収納容器外部に該送風機を設ける場合には、収納容器の一部に、該送風機からの気体をバルーンに供給するための管路を設けることが必要である。
また送風機を設けずにボンベを設けるときには、この空気取り入れ口を設ける必要はない。
送風機を設置する際には、その内部に送風機の吸引側が向くようにし、バルーンの空気導入口に送風機の送風側が接するように送風機を設置する。そしてバルーンの空気導入口に送風機の送風側を接続できるよう、送風機から送風された気体を収集してバルーン内に導入させる導入管を設けることが好ましい。
なお、送風機等の電源を要する機器を使用する際には、収納容器と一体化又は収納容器とは別に二次電池等の電源を採用できる。
【0025】
(気体供給装置が収納容器に固定されないが、収納容器内に収納されたバルーンに接続されることにより一体化した気体供給装置)
上記の収納容器に固定されて一体化した気体供給装置ではなく、本発明において、収納容器には固定されないが、収納容器内に収納されたバルーンに接続されることにより一体化した気体供給装置を採用できる。本発明において「一体化」とは直接的に接している状態と、互いに離れて設置されるが気体供給管を介して、収納容器内のバルーンと気体供給装置が接続された状態をいう。該バルーンと気体供給容器を互いに離して設置する場合、収納容器内のバルーンに気体を供給するよう、一端が該バルーンに接続された気体供給管を有し、該気体供給管の他端を、身体装着具とは別に設置した気体供給装置に接続することができる。
気体供給装置は、上記の収納容器と一体化した気体供給装置で使用する装置と同じ気体供給装置を採用できる。さらに、演者が身につけることが困難な、大型の気体供給装置を採用できる。
本発明における気体供給管は、身体装着具とは別に設置して、収納容器に一体的に設けない気体供給装置とバルーンを接続する管である。気体供給装置とバルーンを1本以上の気体供給管で接続しても良い。
また、本発明における気体供給管は、気体供給装置に接続した1本からなる気体供給管と、バルーンに接続した1本の気体供給管の合計2本を互いに接続及び切り離し自在に設けてなるものでも良い。
この合計2本を互いに接続及び切り離し自在に設ける場合、2本の該気体供給管を接続する各端部には、接続用のコネクターを設けることが必要である。また2本の該気体供給管路の少なくとも一方の先端には、その先端の開閉するための弁を有していても良く、有しなくても良い。
【0026】
本発明において、収納容器と一体化しない気体供給装置を採用したときには、収納容器に対して、気体供給装置を離れた場所に設置できる。
例えば、演者の腕に収納容器を装着部によって装着し、かつ、収納容器内に収納したバルーンに気体供給管を接続しているとき、この気体接続管を、直接、演者の胴や脚に対して、腹巻き、サポーターやベルト等の公知の手段により固定した、空気等の気体のボンベやファン等の気体供給装置に接続できる。
またこの気体接続管を途中で分割し、それらの端部にコネクターを付けて、接続や切り離しを自在にしても良い。
【0027】
このように、気体接続管を途中で分割した場合には、バルーンに接続した側の気体供給管の他端を、演者の身体の中でも靴の裏、手の平等に設けることができる。他方、気体供給装置を演者から離れた場所に設置し、気体供給装置に接続した側の気体接続管の端部を例えば舞台の床、舞台上の大道具内等の、観客から見えない位置に気体供給管路の端部を設けておくことができる。
このとき、バルーンを膨張させるときには、演者が、例えば舞台の床、舞台上の大道具内等の気体供給管路の端部に移動し、靴の裏や手等に設けた接続部を、観客に見えないようにして、気体供給管路の端部に接続し、バルーンに内部に気体を導入し、膨張させることができる。
【0028】
(身体装着具の装着方法及び使用)
上記のように、本発明の身体装着具は、装着部によって演者に装着される。
そして、身体装着具や、演者の身体の任意の位置には、該気体供給装置であるボンベや送風機をONにして、バルーンの内部に気体を送るためのリモコン等のスイッチを設けることができる。このようにすると、公演中の適切な時点で、演者や公演のスタッフ等がスイッチをONにして、該気体供給装置、ボンベや送風機からバルーンの内部に向けて気体を送気し、バルーンを膨張させることができる。
演者は、公演中にバルーンの膨張過程を観客に見せること、バルーンの膨張前から膨張後にかけての動作と、新たにバルーンが現れる状況、バルーンが膨張する状況、さらに膨張後のバルーンを活用した段階での動作を連続的に表現することができる。
【0029】
また、上記のように、バルーンの布等の縫目から気体が漏れる等の理由により、いったん膨張したバルーンが萎みやすい場合には、バルーンを膨張させた状態にある間は、収納容器ファン等の送風機を設けておき、収納容器の外から空気を吸引し、バルーン内に送風するようにしても良い。バルーンが膨張中には該ファン等の送風機の運転を継続させることが好ましい。
さらに公演上の効果を意図して、気体供給装置からの気体供給量を制御してバルーンの膨張速度を調整して、膨張速度を速くしたり、遅くしたりしてもよい。一旦膨張したバルーンに対する気体の供給量を調整することにより、バルーンが収縮する速度を速くしたり、遅くしたりしてもよい。また膨張途中や収縮途中において、その進展を一旦停止させるような量で気体を供給してもよい。
【0030】
以下に本発明の身体装着具を使用する態様を示す。ただし、本発明の身体装着具は以下のものに限定されない。
図1は、本発明の身体装着具1を両腕に装着した例である。この図では、人間が扮したキャラクターに対して、断面が台形の収納容器2を、図示しないが装着部により装着した。左腕には送風機等の気体供給装置3を内部に有する気体供給部4を装着した。気体供給部4の内部の気体供給装置3と収納容器2を気体供給管5で接続し、気体供給装置3から空気を収納容器内に供給する。収納容器内に収納した、図示しないがバルーンの気体導入口に気体供給管5の一端を接続した。これにより、収納容器2内のバルーンを膨張させる際には、ファン等の気体供給装置3を作動させて得た気流を、気体供給管5の他端及び上記一端を通してバルーンに供給することにより、バルーンを膨張させる。
【0031】
図1に記載の例は、収納容器2と気体供給装置3が一体に設けられていない例であるが、これらを一体に設けても良い。このような場合を図2-1に示す。図2-1は、収納容器2の中に気体供給装置3及びバルーン6が収納されている。このときにおいてもファン等の気体供給装置3とバルーン6は接続具3-1により接続されており、気体供給装置を作動させると、バルーン6が膨張する。
収納容器2と気体供給装置3が一体に設けられている場合には、例えば図1において、人間が扮したキャラクターの右腕に身体装着具1を装着させ、気体供給装置3から収納容器2内のバルーン6の空気入れの孔に向けて気体を供給して、バルーン6を膨張させる。
【0032】
図2-1に示す収納容器2はその端部に2つの蝶番9を有している。この2つの蝶番9にと扉10を合わせて開口部11とする。扉10は収納容器内部からの押圧により容易に開く構造を有し、バルーンが膨張する勢いによって、扉10を収納容器の外側に回動させて、内部からバルーンを出すことができる。
なお、図2-1中の14は装着部であり、この図においては、演者の腕や手を通すものである。
図2-1の開口部は収納容器の端面に形成されていたが、膨張したバルーン6の形状や、演者との位置関係等を考慮して、例えば図2-2に示すように収納容器2の両側部に蝶番9を設け、この蝶番を中心に収納容器の側部2-1及び上部2-2の少なくとも一部を、その合わせ目2-3で分離してそれぞれ逆方向に外側に回動させることにより、バルーンを外に出すようにしてもよい。なお、図2-2には収納容器の側面のうち一方の面のみを確認できるが、バルーン6を挟んだ反対側にも同様の構造を有する。
【0033】
図3は、収納容器2を右腕に装着した例であり、収納容器の外部に気体供給装置であるファンを駆動させる充電池7を設けてもよい。図3のaはバルーン膨張前であり、右腕を装着部の1つであるベルト8-1に挿入し、手のひらで装着部の1つである把持部8-2を把持することにより、右腕に収納容器を固定する。
図示しないが、図2に示すように、収納容器内に気体供給装置を設けておき、ファンを駆動させて、バルーンを膨張させた結果、図3のbに示すように、腕の先に向けて棍棒状バルーンを伸ばすことができる。
【0034】
図4図1の変形例である、図4では演者の右腕に収納容器を装着し、収納容器から右足の靴の底まで気体供給管を設けておく、さらに靴底の気体供給管の端部には、ワンタッチカプラーの、気体の管のための継ぎ手のうちのプラグ又はソケット等を設けておく。加えて靴底に設けた、プラグ又はソケットは、舞台等の床に設置したソケット又はプラグ等と接続できるようにする。
図3の左腕に設けた気体供給装置に代えて、図4では、舞台の下に設置した気体を封入したボンベ12から、気体供給管の一部である配管13を通じて、舞台表面から気体を流せるようにする。この際、舞台表面付近にある配管端部に、ワンタッチカプラーのプラグ又はソケットを接続しておく。そして、舞台表面のプラグ又はソケットが、演者の靴底に設けたプラグ又はソケットに接続できるように常時又は随時舞台上あるようにすることができる。この結果図4のワンタッチカプラー16にて、配管13と気体供給管5を接続する。
このような舞台において演者が公演をしながら、バルーンを膨張させるにあたり、舞台表面にあるワンタッチカプラーのプラグ又はソケットに、靴底に設けたプラグ又はソケットをはめて、舞台の配管と演者の気体供給管を接続することができる。接続後にはボンベに充填された気体を収納容器内のバルーンに供給することができる。
このように供給することにより、より短時間により大きいバルーンを膨張させる等、公演上での効果を強くすることができる。
【0035】
なお図4は演者の靴にワンタッチカプラーのプラグ又はソケットを設けたが、例えば図しはしないが、演者が装着する手袋の掌や指先等にワンタッチカプラーのプラグ又はソケットを設けても良い。手袋に設けた場合には、舞台上に設置した、台、家具、壁、岩等の大道具に、ボンベに接続した配管を介してプラグ又はソケットを設置しても良い。公演の途中で、これらの大道具に手をついたタイミングでバルーンを膨張させることができる。
また、これらの例において、ボンベに代えて、ファン等の公知の送風装置を採用しても良い。
さらに、図4においても、図1と同様に左腕に気体供給装置を設けておき、バルーンの膨張開始から終了までは、ボンベから得た気体で膨張させ、一旦膨張した後には、左腕に設けた気体供給装置が有するファンや小型ボンベ等の手段によりバルーンへの気体供給を継続しても良い。
【0036】
図5は、本発明の身体装着具の収納容器の別の態様を示す図である。図5のaは、演者が背中に背負うようにして身体に装着し、バルーン6を膨張させる前の収納容器2を示す図5のbはバルーン6を膨張させた後を示す。
バルーンは複数でも良く、任意の形状や数を採用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 身体装着具
2 収納容器
3 気体供給装置
4 気体供給部
5 気体供給管
6 バルーン
7 充電池
8-1ベルト
8-2把持部
9 蝶番
10 扉
11 開口部
12 ボンベ
【要約】
【課題】公演等をする演者が、身体に着けている衣装等の変化を、収納容器から出てきたバルーンによる新たな発見として、積極的に観客に見せるための身体装着用装着具を提供すること。
【解決手段】身体に装着する身体装着具であり、
装着部を有する収納容器と、
該収納容器内に収納されたバルーンと、
該収納容器は、膨張した該バルーンを該収納容器から膨出させるための開閉部を有し、
該バルーンに気体を供給するよう、該バルーンに接続された気体供給装置を、該収納容器内又は外に一体化して有し、
気体を供給した後の該バルーンの大きさは、該収納容器の内容積よりも大である、
身体装着具。
【選択図】図1
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5