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  • 特許-運行管理装置及び運行管理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】運行管理装置及び運行管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240902BHJP
   G06Q 10/083 20240101ALI20240902BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G06Q10/083 320
B65G61/00 520
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020167804
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059913
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】浅井 大季
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-149191(JP,A)
【文献】特開2004-272752(JP,A)
【文献】特開2019-32793(JP,A)
【文献】特開2002-132880(JP,A)
【文献】特開2019-28965(JP,A)
【文献】特開2005-75595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行により得られる情報である走行情報を取得する走行情報取得手段と、
前記車両により運搬される荷物毎に付随するとともに前記荷物を特定する情報及び前記荷物の周囲環境情報を含む荷物情報を取得する荷物情報取得手段と、
前記走行情報と前記荷物情報とから前記荷物毎の輸送の品質に関する情報を出力する出力手段と、
安全性及び経済性のうち少なくとも1以上の観点により前記車両の運転者を評価する判定手段と、を備え
前記出力手段は、前記判定手段の評価結果を前記品質に関する情報に含めて出力することを特徴とする運行管理装置。
【請求項2】
少なくとも前記車両の位置情報から算出した運行経路情報を取得する運行経路情報取得手段を備え、
前記出力手段は、前記走行情報と前記荷物情報と前記運行経路情報とに基づいて前記荷物毎の輸送の品質に関する情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項3】
前記荷物情報は、少なくとも一部が前記荷物に取り付けられた情報記録媒体から無線通信により取得されることを特徴とする請求項1または2に記載の運行管理装置。
【請求項4】
車両の走行により得られる情報である走行情報を取得する走行情報取得手段と、
前記車両により運搬される荷物毎に付随するとともに前記荷物を特定する情報及び対象とする荷物の周囲環境情報を含む荷物情報を取得する荷物情報取得手段と、
前記走行情報と前記荷物情報とから前記荷物毎の輸送の品質に関する情報を出力する出力手段と、
安全性及び経済性のうち少なくとも1以上の観点により前記車両の運転者を評価する判定手段と、してコンピュータを機能させることを特徴とする運行管理プログラムであって、
前記出力手段は、前記判定手段の評価結果を前記品質に関する情報に含めて出力する、運行管理プログラム
【請求項5】
前記走行情報と前記荷物情報とに基づいて得られる前記荷物毎の輸送の品質に関する情報が掲載されている運行日報を出力する手段をさらに有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の運行管理装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運行管理装置、運行管理プログラム及び運行日報に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、営業用のトラックなどの車両を所有する運送業者等においては、営業運転中に時々刻々と変化する車両の速度などの情報を記録し、記録した情報を分析することが行われている。このようにすることにより、運転手が効率的に運行業務を行っているかどうかを判断したり、運行業務にかかったコストを算出するための情報を得たり、運転手の安全運転管理に利用することなどが行われている。
【0003】
特許文献1には、運行日報を自動作成するために、以下のような発明が記載されている。特許文献1に記載の発明は、車輌の運行計画に基づき、管理用のコンピュータから運行車輌のコンピュータに対し、被輸送物の輸送出発地点、輸送終了地点、使用する有料道路地点についての緯度経度情報を含む情報を送信し、運行車輌のコンピュータは運行車輌が前記各地点に到着し或いは出発した時点での位置情報と時刻情報、及び輸送走行距離情報を含む情報を管理用のコンピュータに送る。そして、管理用のコンピュータは車輌のコンピュータからの情報に基づいて、運行車輌の運行履歴とその時刻の確定、有料道路料金、輸送走行運賃の演算を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-196355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明のように、運行日報は運送業者等の管理者に向けた運行管理に特化したものは多く提案されている。そして、当該運行日報に含まれる情報は運送業者内での指導や個人の評価等で活用されることが多い。しかし、こういった情報が荷主に開示されていることは少なく、特許文献1でも示唆されていない。そのため、輸送のコストや品質を重視する荷主と運送業者との認識差が問題となることがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、荷主に向けた輸送品質に関する情報を提供することができる運行管理装置、運行管理プログラム及び運行日報を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、車両の走行情報を取得する走行情報取得手段と、前記車両により運搬される荷物毎に付随するとともに前記荷物を特定する情報を含む荷物情報及び前記荷物の周囲環境情報を取得する荷物情報取得手段と、前記走行情報と前記荷物情報とから前記荷物毎の輸送の品質に関する情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする運行管理装置である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、判定手段により、走行情報と荷物情報とから荷物毎の輸送の品質に関する情報を出力するので、荷主に向けた輸送品質に関する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態にかかる運行管理装置を有するシステムの概略構成図である。
図2図1に示された車載機の概略構成図である。
図3図1に示された車載機とコンピュータの動作を示したフローチャートである。
図4図1に示されたコンピュータが出力する運行日報の例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる運行管理装置を有するシステムを示す概略構成図である。当該システムは、図1に示すようにトラック等の車両Vに搭載される車載機1と、運送業者等の事務所に設置されるコンピュータ2と、を備えている。
【0011】
車載機1は、車両Vの車両情報や車両Vに積載される荷物に関する荷物情報を収集する。車両情報や荷物情報の内容は、後述する運行日報に掲載される情報を含むものである。即ち、車両Vの走行情報及び車両により運搬される荷物毎に付随する荷物情報を取得する。ここで、本実施形態における車両の走行により得られる走行情報とは、車両の走行だけでなく停止中なども含み、車両の稼働中において稼働の結果発生する情報全般をいう。また、本実施形態における荷物情報とは、荷物の内容に限らず、荷物の運搬において付随して発生する情報全般をいう。
【0012】
車載機1で収集された情報は広域通信N1を介してサーバSに蓄積される。そして、コンピュータ2は、インターネット等のネットワークN2を介してサーバSから蓄積された情報を取得する。なお、車載機1とコンピュータ2とは、サーバSを介さずに直接広域通信網N1やネットワークN2等を経由して情報の送受を行ってもよい。
【0013】
車載機1の機能構成図を図2に示す。図2に示したように、車載機1は、CPU11と、速度I/F12と、エンジンI/F13と、GPS受信部14と、アナログ入力I/F15と、外部入力I/F16と、RFIDI/F17と、広域通信部18と、不揮発メモリ19と、揮発メモリ1Aと、SDカードI/F1Bと、SW入力部1Cと、LCD1Dと、を備えている。
【0014】
CPU11は、車載機1の各部を統括的に制御する。速度I/F12には、車両の速度を検出する車速センサが接続され、車速センサ(図示せず)からの速度パルスが入力される。エンジンI/F13には、エンジン回転数センサ(図示せず)からの回転パルスが入力される。
【0015】
GPS受信部14は、GPSアンテナ(図示せず)に接続され、GPS衛星から送信される信号を受信し、現在位置情報を取得する。アナログ入力I/F15には、エンジン温度(冷却水温)を検知する温度センサ(図示せず)、燃料量を検知する燃料量センサ(図示せず)等の信号が入力される。
【0016】
外部入力I/F16には、外部機器(図示せず)が接続される。外部入力I/F16には、例えば車両Vの荷物室内の温度を計測する温度センサ(図示せず)の信号やETC車載機からの信号等が入力される。即ち、本実施形態にかかる車載機1は、荷物の周囲環境情報として荷物室内の温度情報を取得することができる。
【0017】
RFIDI/F17は、電波を用いて荷物に取り付けられた情報記録媒体であるRFタグのデータを無線通信により非接触で読み取るRFIDリーダ(図示せず)の読み取り信号が入力される。本実施形態では、少なくとも荷物情報の一部を読み取るシステムとしてRFID(Radio Frequency IDentification)を利用している。
【0018】
広域通信部18は、広域通信を行い、携帯回線網(モバイル通信網)等の広域通信網N1の基地局と接続し、サーバSと通信を行う。不揮発メモリ19は、CPU11によって実行される動作プログラム等を格納する。揮発メモリ1Aは、CPU11がプログラム等を実行する際のワークエリアとして使用される。
【0019】
カードI/F1Bには、運転者等が所持するSDカード(図示せず)が挿抜自在に接続される。SW入力部1Cには、出庫ボタン、入庫ボタン等の各種ボタンのON/OFF信号が入力される。LCD1Dは、例えば液晶ディスプレイで構成され、通信や動作の状態の他、警報等を表示する。
【0020】
コンピュータ2は、CPUやネットワークI/F、ハードディスク等の記憶装置、プリンタ等が接続されるUSBI/F等を有する本体部と、モニタ画面となるLCD等と、を有する周知のパーソナルコンピュータ等で構成され、上述したように運送業者等の事務所に設置される。
【0021】
コンピュータ2は、事務所員等の操作により、サーバSからネットワークN2を介して必要な情報を取得し、後述する運行日報を生成し、出力する。即ち、コンピュータ2が本実施形態における運行管理装置として機能する。そして、コンピュータ2のネットワークI/F等が走行情報取得手段、荷物情報取得手段として機能し、モニタ画面やプリンタが接続されるUSBI/Fあるいはハードディスク等の記憶装置が出力手段として機能する。つまり、本実施形態では、コンピュータ2にインストールされた運行管理プログラムによって、コンピュータ2を走行情報取得手段、荷物情報取得手段、出力手段として機能させている。
【0022】
次に、上述した構成の車載機1とコンピュータ2(事務所PC)の動作の一例について図3のフローチャートを参照して説明する。図3に示したフローチャートは、車載機1側はCPU11、事務所PC側はコンピュータ2のCPUでそれぞれ実行される。
【0023】
まず、運転者等の乗務員が車載機1の出庫ボタン等を操作して出庫を示す信号がSW入力部1Cから入力され、CPU11が運行開始を認識する(ステップS11)。次に、荷物Aの荷積みのために荷物Aの荷物情報を読み取る(ステップS12)。ステップS12においては、荷物Aに取り付けられているRFタグをRFIDリーダにより読み取って荷積みを行う。
【0024】
RFIDリーダにより読み取られた荷物情報は、RFIDI/F17から入力される。入力された荷物情報は、作業時間等の情報とともにカードI/F1Bを介してSDカードに運行データとして格納される。
【0025】
次に、荷済みが完了すると荷卸し地点へ向けて走行開始する(ステップS13)。つまり、輸送中となる。輸送中は、速度やエンジン回転数等の情報が逐次取得され、これらの情報も走行情報としてSDカードに格納される。次に、荷物Aの荷卸し地点に到着すると荷物Aの情報を読み取って荷卸しを行う(ステップS14)。ステップS14も荷積みと同様に荷物Aに取り付けられているRFタグをRFIDリーダにより読み取る。読み取られた荷物情報は、作業時間等の情報とともにSDカードに運行データとして格納される。
【0026】
次に、荷物Bの荷積みのために荷物Bの情報を読み取って荷積みを行う(ステップS15)。荷物Bの荷積みも荷物Aと同様に荷物Bに取り付けられているRFタグをRFIDリーダにより読み取り、読み取られた情報は作業時間等の情報とともに運行データとしてSDカードに運行データとして格納される。
【0027】
次に、荷済みが完了すると荷卸し地点へ向けて走行開始する(ステップS16)。次に、荷物Bの荷卸し地点に到着すると荷物Bの情報を読み取る(ステップS17)。ステップS17もステップS14と同様に荷物Bに取り付けられているRFタグをRFIDリーダにより読み取って荷卸しを行う。読み取られた情報は作業時間等の情報とともに運行データとしてSDカードに運行データとして格納される。
【0028】
次に、荷物Bの荷卸しが完了し運行終了する場合は、乗務員が車載機1の入庫ボタン等を操作して入庫を示す信号がSW入力部1Cから入力され、CPU11が運行終了を認識する(ステップS18)。そして、SDカードに記録された荷物情報や走行情報等の運行データが広域通信部18からサーバSへ送信され蓄積される。サーバSでは、複数の車載機1から送信された運行データを蓄積可能なため、広域通信部18から送信する際には車載機1(あるいは車両V)の識別情報も付加し、サーバSでは当該識別情報と運行データを紐づけて蓄積する。
【0029】
一方、事務所PCでは、サーバSから運行データを取得する(ステップS21)。次に、荷主向け日報の提出が必要か否か判定する(ステップS22)。荷主向け日報の提出が必要か否かは、予め該当する荷主毎あるいは荷物毎に日報提出の要否を設定すればよい。
【0030】
荷主向け日報の提出が不要な場合は(ステップS22;No)、フローチャートを終了する。一方、荷主向け日報の提出が必要な場合は(ステップS22;Yes)、荷物情報毎での運行データを解析する(ステップS23)。ステップS23では、主に後述する速度チャート203、温度チャート204及び運転者評価欄205等に記載するための評価情報等を生成するための解析等が行われる。
【0031】
ここで、ステップS23における解析は、安全性及び経済性のうち少なくとも1以上の観点により運転者を評価(輸送品質を判定)することが行われる。評価結果(判定結果)は、後述するステップS24、S25において日報(荷物毎の輸送の品質に関する情報)の一部として出力される。即ち、コンピュータ2は、判定手段として機能する。
【0032】
そして、荷物Aについて荷主向け日報を生成し出力し(ステップS24)、荷物Bについて荷主向け日報を生成し出力する(ステップS25)。即ち、走行情報と荷物情報とから荷物毎の輸送の品質に関する情報を出力する。出力先は、事務所PCのモニタ画面やプリンタあるいは事務所PCの記憶装置等が挙げられる。事務所PCの記憶装置に出力した場合は、後にプリントアウトやモニタ画面への表示あるいは電子メール等で送信することが可能となる。
【0033】
また、図3では、荷物が2つのため日報を生成出力するステップは2つしか記載しないが、荷物の数に応じて日報を生成出力するステップ数は変化する。
【0034】
図3のフローチャートの説明から明らかなように、ステップS21が少なくとも前記走行情報及び前記荷物情報を前記荷物毎に収集する情報収集工程、ステップS23が前記情報収集工程で収集した情報に基づいて前記運行日報を生成する生成工程、ステップS24、S25が前記生成工程で生成した前記運行日報を出力する出力工程として機能する運行管理装置において前記車両の運行日報を生成する運行日報生成方法である。
【0035】
図4に荷物毎に出力される運行日報の例を示す。即ち、図4に示した運行日報50は、荷物毎の輸送の品質に関する情報を含むものである。図4に示した運行日報50は、顧客情報欄100と、運行データ欄200と、を備えている。
【0036】
顧客情報欄100には、顧客である荷主及び対象とする荷物に関する情報が掲載されている。図4の例では、荷物管理番号、品名、取扱注意事項、数量/重量、管理温度、納品希望日時、顧客名、顧客住所が掲載されている。これらの情報はRFタグに荷物を特定する荷物情報として予め格納されているものである。なお、上記情報を全てRFタグに格納しなくてもよく、例えば、顧客住所は、RFタグに格納されている顧客名に基づいて、予めコンピュータ2が有する顧客情報から取得してもよい。つまり、RFタグには少なくとも荷物情報の一部が格納されていればよい。
【0037】
なお、顧客情報欄100や以下に説明する各欄に掲載される情報は、図4に示したものに限られず、また、図4に示したもの全てを必須としなくてもよい。
【0038】
運行データ欄200は、運転者欄201と、作業欄202と、速度チャート203と、温度チャート204と、運転者評価欄205と、作業時間集計欄206と、運転情報欄207と、ETC利用明細欄208と、運行経路表示欄209と、を備えている。
【0039】
運転者欄201は、運転者に関する情報が掲載されている。図4の例では、正乗務の運転者名、副乗務の運転者名、輸送期間、走行距離、ETC利用料金が掲載されている。これらの情報は、運行データに走行情報として含まれるものである。
【0040】
作業欄202は、荷物に対する作業内容に関する情報が掲載されている。図4の例では、作業内容、集配先、予定到着日時、到着日時、出発日時、作業時間、所要時間、走行距離、温度、荷物確認が掲載されている。ここで、予定到着日時は、運送業者での荷積み及び荷卸し地点への想定到着時間を示し、到着日時と比較して輸送計画とのズレがなく行えているか確認できる。また、荷物確認は、運転者の荷積み及び荷卸し作業の本人確認を示す欄であり、荷積み及び荷卸し作業終了時に車載機1を操作して入力する。
【0041】
これらの情報のうち作業内容、集配先、予定到着日時、到着日時、出発日時、作業時間、温度、荷物確認は、運行データに荷物情報として含まれるものであり、所要時間、走行距離、は運行データに走行情報として含まれるものである。
【0042】
速度チャート203は、時刻毎の車両Vの走行速度の変化を示すチャートである。このチャートは、速度I/F12から取得した車両の速度情報(走行情報に含まれる)に基づいて作成される。また、図4の例では速度の変化に加えて、高速道路を走行している時間帯、荷積み作業をしている時間帯、荷卸し作業をしている時間帯、待機している時間帯もそれぞれ示されている。
【0043】
温度チャート204は、時刻毎の車両Vの荷物室の温度変化を示すチャートである。このチャートは、外部入力I/F16から取得した荷物室の温度情報(荷物情報に含まれる)に基づいて作成される。図4のセンサと記載されている項目は温度センサの稼働時間を示している。
【0044】
運転者評価欄205は、運転者の評価に関する情報が掲載されている。運転者評価欄205は、安全運転分析レーダーチャート205aと、正乗務員評価項目表205bと、経済運転分析レーダーチャート205cと、副乗務員評価項目表205dと、総合評価表205eと、から構成されている。運転者評価欄205に含まれるレーダーチャートや表の内容は本欄以外の各欄の情報に基づいて生成される。運転者評価欄205は、ステップS23での解析結果に基づいて生成されるものである。
【0045】
安全運転分析レーダーチャート205aは、安全運転にかかる分析のためのレーダーチャートであり、最高速度(一般道)、最高速度(高速道)、速度オーバー回数、速度オーバー時間、急発進回数、急加速回数、急減速回数、連続走行時間が評価軸として設定されている。経済運転分析レーダーチャート205cは、経済運転分析にかかる分析のためのレーダーチャートであり、速度オーバー回数、速度オーバー時間、エンジン回転オーバー回数、エンジン回転オーバー時間、急発進回数、急加速回数、アイドリング時間が評価軸として設定されている。安全運転分析レーダーチャート205a、経済運転分析レーダーチャート205cとも正乗務員、副乗務員の2名分のチャートが表示される。
【0046】
正乗務員評価項目表205bは、正乗務員について、評価項目毎の実測値と点数(各項目20点満点)を掲載した表である。副乗務員評価項目表205dは、副乗務員について、評価項目毎の実測値と点数(各項目20点満点)を掲載した表である。図4の場合は、正乗務員評価項目表205b、副乗務員評価項目表205dともに、評価項目として速度オーバー(OV)、急加速、急減速、急発進、アイドリング時間が掲載されているが、車載機1で取得することができる情報であれば、これらに限るものではない。
【0047】
総合評価表205eは、安全運転分析レーダーチャート205a、正乗務員評価項目表205b、経済運転分析レーダーチャート205c、副乗務員評価項目表205dに基づいて安全性、経済性それぞれの観点から、点数とA~C等のランクによって評価したものである。図4の場合、安全性については、速度OV、急加速、急減速の点数(2人分)で評価し、経済性については、アイドリング時間の点数(2人分)で評価している。総合評価は、安全性と経済性の点数を加算して評価している。
【0048】
作業時間集計欄206は、荷積み時間、荷卸し時間、待機時間及び他作業時間それぞれの集計時間が掲載されている。これらの情報は荷物情報に含まれるものである。
【0049】
運転情報欄207は、最高速度(一般道)、最高速度(高速道)、最高速度(専用道)、速度オーバー回数、急発進、急加速、急減速、急旋回及びアイドリング時間の各項目について集計した表である。これらの情報は走行情報に含まれるものである。この運転情報欄207により危険な運転、無駄なアイドリング等を行わず輸送できているかの確認ができる。
【0050】
ETC利用明細欄208は、ETCによる利用料金の明細を示すものである。ETCによる利用料金は走行情報に含まれるものである。
【0051】
運行経路表示欄209は、今回の輸送における運行経路(輸送経路)を地図上に表示したものである。即ち、運行経路表示欄209は運行経路情報である。この経路は走行情報に含まれるものである。この経路表示により、遠回りや、危険な道などルート選択に問題が無いことのチェックをすることができる。また、QRコード(登録商標)を表示してインターネット上で詳細を確認できるようにしてもよい。また、コンピュータ2が当該輸送における運行計画を取得している場合は、その運行計画との照合を行い、照合結果を示してもよい。
【0052】
即ち、コンピュータ2は、車両Vの位置情報から算出した運行経路情報を取得する運行経路情報取得手段としても機能する。また、コンピュータ2は、運行日報50に運行経路表示欄209が含まれることで、走行情報と荷物情報と運行経路情報とに基づいて荷物毎の輸送の品質に関する情報を出力している。
【0053】
また、運行日報50では、運転者評価欄205だけでなく、運行データ欄200に含まれる各欄の情報は輸送の品質に関する情報となる。例えば、作業欄202であれば、上述したように予定到着日時と到着日時とを比較して輸送計画とのズレがなく行えているか確認できる。また、運転情報欄207であれば、上述したように危険な運転、無駄なアイドリング等を行わず輸送できているかの確認ができる。さらに、運行経路表示欄209であれば、上述したように遠回りや、危険な道などルート選択に問題が無いことのチェックをすることができる。
【0054】
本実施形態によれば、コンピュータ2は、車両Vの走行情報及び、車両Vにより運搬される荷物ごとに付随する荷物情報を取得する。そして、走行情報と荷物情報とから荷物毎の輸送の品質に関する情報を含んだ運行日報50を出力している。
【0055】
コンピュータ2が上記のように構成されることにより、走行情報と荷物情報とから荷物毎の輸送の品質に関する情報を出力するので、荷主に向けた輸送品質に関する情報を提供することができる。それにより荷主側は運送業者への品質に対する明示的な指導ができ、運送業者側では運転者の運転指導や割り当ての見直しといったことにより輸送品質の向上を図ることができる。
【0056】
また、コンピュータ2は、車両の位置情報から算出した運行経路情報を取得し、走行情報と荷物情報と運行経路情報とに基づいて荷物毎の輸送の品質に関する情報を出力している。このようにすることにより、運行経路として遠回りや危険な道を走行している場合を提示して、輸送品質の評価に資することができる。
【0057】
また、荷物情報には、対象とする荷物の周囲環境情報も含んでいる。このようにすることにより、例えば荷物室の温度といった荷物の周囲環境情報を取得し、その情報も含めて輸送品質の評価に資することができる。
【0058】
また、コンピュータ2は、安全性及び経済性の観点により輸送品質を判定するので、安全運転や経済的な運転といった指標で判定した評価結果を提示することができる。
【0059】
また、前記荷物情報は荷物に取り付けられた情報記録媒体から無線通信により取得されるので、RFタグを荷物に取り付けてRFIDリーダで読み取ることにより荷物情報を容易に取得することができる。したがって、荷物の数量等の荷物情報を手入力により入力する必要がなくなり、誤入力を抑制し、運転者等の負担を軽減することができる
【0060】
また、コンピュータ2は、少なくとも走行情報及び荷物情報を荷物毎に収集し、収集した情報に基づいて運行日報50を生成して、出力するので、荷物毎に運行日報50を生成することが可能となる。
【0061】
また、生成される運行日報は、荷物毎の輸送の品質に関する情報が掲載されており、荷物を主体とした日報を作成することで、荷主が輸送中の過程を把握することができ、輸送の品質やコストの詳細を把握することができる。
【0062】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の運行管理装置、運行管理プログラム及び運行日報の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 車載機
2 コンピュータ(運行管理装置、走行情報取得手段、荷物情報取得手段、出力手段、走行経路情報取得手段、判定手段)
50 運行日報
100 顧客情報欄
200 運行データ欄
201 運転者欄
202 作業欄
203 速度チャート
204 温度チャート
205 運転者評価欄
206 作業時間集計欄
207 運転情報欄
208 ETC利用明細欄
209 輸送経路表示欄
図1
図2
図3
図4