(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ブラインド用巻取装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
E06B9/322
(21)【出願番号】P 2020181925
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】堀内 和哉
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 公利
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-076276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0050539(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0178155(US,A1)
【文献】実開平05-045195(JP,U)
【文献】実開平04-110582(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24 - 9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックス内に、昇降コードを巻取り及び巻解く昇降ドラムを備えたブラインド用巻取装置であって、
前記昇降コードの前記昇降ドラムに巻き取られた第1の部分の浮き上がりを抑制する第1押さえ部と、
前記昇降ドラムから前記ヘッドボックスの下方に導かれる第2の部分の浮き上がりを抑制する第2押さえ部と、
を備え、
前記第1押さえ部と前記第2押さえ部とは連結部によって連結されており、
前記連結部は、前記第1押さえ部と前記第2押さえ部を結ぶ直線よりも前記昇降ドラムから離間するように形成されることを特徴とする、ブラインド用巻取装置。
【請求項2】
ヘッドボックス内に、昇降コードを巻取り及び巻解く昇降ドラムを備えたブラインド用巻取装置であって、
前記昇降コードの前記昇降ドラムに巻き取られた第1の部分の浮き上がりを抑制する第1押さえ部と、
前記昇降ドラムから前記ヘッドボックスの下方に導かれる第2の部分の浮き上がりを抑制する第2押さえ部と、
を備え、
前記第1押さえ部と前記第2押さえ部との間は、昇降コードとの接触が回避される非接触部となっていることを特徴とする、ブラインド用巻取装置。
【請求項3】
前記第1押さえ部は、前記第1の部分の少なくとも一部に沿うように形成されており、
前記第2押さえ部は、前記第2の部分から離間した位置に形成されていることを特徴とする、請求項1
又は2に記載のブラインド用巻取装置。
【請求項4】
前記第2押さえ部は、前記昇降ドラムの軸心よりも下方に設けたことを特徴とする、請求項
3に記載のブラインド用巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインド用巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラインド用巻取装置としては、実開平5-45195号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献には、巻取ドラムに巻き取られた昇降コードに接触して昇降コードを巻取ドラムに押圧する弾力性のある押さえ板が設けられていることが開示されている。かかる構成によれば、巻取ドラムに巻き取られた昇降コードは押さえ板によって押さえられているため、昇降コードの張力がなくなって弛んでも、既に巻かれている部分が弛むことなく、昇降コード同士が重なることを防止できるという効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、押さえ板は、ドラム受けの開口部から導出されるように配回された経路に合わせて巻取ドラムの上部に設けている。しかしながら、昇降コードの配回し経路が異なると昇降コードの弛み位置が変わり、昇降コードの巻取り動作を円滑に行うことができないという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、昇降コードを昇降ドラムに巻き取る動作を円滑に行うことの可能なブラインド用巻取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明によれば、ヘッドボックス内に、昇降コードを巻取り及び巻解く昇降ドラムを備えたブラインド用巻取装置であって、前記昇降コードの前記昇降ドラムに巻き取られた第1の部分の浮き上がりを抑制する第1押さえ部と、前記昇降ドラムから前記ヘッドボックスの下方に導かれる第2の部分の浮き上がりを抑制する第2押さえ部と、を備えたことを特徴とする、ブラインド用巻取装置が提供される。
【0007】
かかる構成によれば、第1の部分の浮き上がりを抑制する第1押さえ部と、第2の部分の浮き上がりを抑制する第2押さえ部と、を備えたことで、昇降コードの異なる状態の部分を異なる押さえ部がそれぞれ抑制する。このため、昇降コードの配回し経路が異なり、昇降コードの弛み位置が変わったとしても、昇降コードの弛みを押さえて昇降コードを昇降ドラムに巻き取る動作を円滑に行うことができる。
【0008】
本発明は様々な応用が可能である。例えば、前記第1押さえ部は、前記第1の部分の少なくとも一部に沿うように形成されており、前記第2押さえ部は、前記第2の部分から離間した位置に形成されていてもよい。かかる構成によれば、第1押さえ部は、第1の部分の少なくとも一部に沿うように形成され、第2押さえ部が第2の部分から離間した位置に形成されているため、異なるスラット幅の昇降コードの配回しに対しても、共通の部品で昇降コードの弛みを抑制することができる。
【0009】
また、前記第2押さえ部は、前記昇降ドラムの軸心よりも下方に設けてもよい。かかる構成によれば、第2押さえ部を昇降ドラムの軸心よりも下方に設けたことで、昇降ドラムが昇降コードの巻取りを開始する前に第2押さえ部によって昇降コードの浮き上がり(弛み)が抑制されて、昇降コード同士が重なって巻き取られることを防止できる。
【0010】
前記第1押さえ部と前記第2押さえ部とは連結部によって連結されており、前記連結部は、前記第1押さえ部と前記第2押さえ部を結ぶ直線よりも前記昇降ドラムから離間するように形成されるようにしてもよい。かかる構成によれば、昇降コードが連結部に接触しづらく、昇降コードの移動の妨げになりづらいため、昇降コードの動作の不良の防止や操作の荷重を低減できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のブラインド用巻取装置によれば、昇降コードを昇降ドラムに巻き取る動作を円滑に行うことが可能である。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ブラインド100の全体の構成を示す正面図である。
【
図2】ヘッドボックス110内の部分断面図である。
【
図3】回転ドラム装置150と昇降ドラム装置160の斜視図である。
【
図4】回転ドラム装置150と昇降ドラム装置160を説明するための分解斜視図であり、(a)は上方から見た図であり、(b)は下方から見た図である。
【
図5】回転ドラム装置150と昇降ドラム装置160を説明するための図であり、(a)は
図2のA-A断面図であり、(b)はヘッドボックス110の中央に配置される回転ドラム装置150と昇降ドラム装置160の断面図である。
【
図7】昇降ドラム装置160のヘッドボックス110への取付け手順を説明するための図であり、(a)はヘッドボックス110に昇降ドラム受け164を取り付ける状態を示す図であり、(b)はヘッドボックス110に昇降ドラム受け164を取り付けた状態を示す図であり、(c)は昇降ドラム受け164に昇降ドラム162を取り付けた状態を示す図であり、(d)は昇降ドラム受け164にコード押さえ166を取り付ける状態を示す図であり、(e)は昇降ドラム受け164にコード押さえ166に取り付けた状態を示す図である。
【
図8】昇降コード140の第2の部分140bに浮き上がりが生じた状態を示す断面図である。
【
図9】昇降コード140の第2の部分140bの浮き上がりを抑制できる第2押さえ部166bの設置範囲を示す図である。
【
図10】スラットの幅が25mmの場合において、昇降コード140が昇降ドラム162に巻かれている状態を示す図であり、(a)は
図2のA-A断面図であり、(b)はヘッドボックス110の中央に配置される回転ドラム装置150、昇降ドラム装置160の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
本発明の一実施形態に係るブラインド100の構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、ブラインド100の全体の構成を示す正面図である。ブラインド100は、ヘッドボックス110と、ヘッドボックス110から垂下し、複数のスラット120を整列状態に支持するラダーコード130と、ヘッドボックス110から垂下し、複数のスラット120を昇降させる昇降コード140と、を有する。そして、ヘッドボックス110内に、ラダーコード130を吊下支持する回転ドラム装置150と、昇降コード140を昇降させる昇降ドラム装置160と、を備える。回転ドラム装置150と昇降ドラム装置160によってブラインド用巻取装置が構成される。以下、ブラインド100の各部の構成について説明する。
【0015】
(ヘッドボックス110)
ヘッドボックス110は、
図1に示したように、ブラケット111により窓枠等(不図示)に固定される。ヘッドボックス110には、長手方向全長にわたって回転ドラム装置150を操作する回転軸112と、昇降ドラム装置160を操作する昇降軸113とが回転可能に設けられている。回転軸112と昇降軸113は上下方向に並設されている。回転軸112と昇降軸113の一端はヘッドボックス110の一端に設けられる操作ユニット170に連結されている。また、昇降軸113の他端には、ヘッドボックス110の他端に設けられるブレーキ180とストッパ190が連結されている。
【0016】
(操作ユニット170)
操作ユニット170は、
図1に示したように、ヘッドボックス110の一端に設けられており、回転軸112の回転を操作する操作棒172が垂下している。操作棒172の下端には操作棒172を回転操作するためのグリップ174が設けられている。また、操作ユニット170からは昇降軸113の回転を操作する操作コード176が垂下している。操作コード176は操作棒172内を軸方向に挿通しており、先端にコード止め178が設けられている。コード止め178は、グリップ174の下端に当接して、操作コード176のそれ以上の上昇を規制するとともに操作コード176を操作するときに握って操作することができる。
【0017】
(ブレーキ180及びストッパ190)
ブレーキ180とストッパ190は、
図1に示したように、ヘッドボックス110の他端に設けられている。ブレーキ180とストッパ190には、昇降軸113が挿通して連結されている。ブレーキ180は昇降軸113の回転に制動力を付与して、後述するスラット120の下降速度を減速させる。また、ストッパ190は、昇降軸113の回転を拘束して、スラット120の昇降を停止させる。
【0018】
(ラダーコード130)
ラダーコード130は、ヘッドボックス110内に配置される回転ドラム装置150から垂下しており、複数のスラット120を整列状態に支持している。ラダーコード130の下端は、最下段に位置するスラット120の下方に配置されるボトムレール122にラダーホルダ132によって連結される。ラダーコード130は、回転ドラム装置150の作動により傾動することによってスラット120を回転させる。
【0019】
(昇降コード140)
昇降コード140は、複数のスラット120を昇降させるものである。昇降コード140は、ヘッドボックス110内に配置される昇降ドラム装置160から垂下しており、複数のスラット120の前方又は後方を通ってラダーホルダ132によってボトムレール122に連結される。昇降ドラム装置160の作動によって昇降コード140が上昇又は下降することによってスラット120が昇降する。
【0020】
回転ドラム装置150と昇降ドラム装置160について、
図2~
図4を参照しながら説明する。
図2は、ヘッドボックス110内の部分断面図である。
図3は、回転ドラム装置150と昇降ドラム装置160の斜視図である。
図4は、回転ドラム装置150と昇降ドラム装置160を説明するための図である。回転ドラム装置150と昇降ドラム装置160は、
図2及び
図3に示したように、回転ドラム152の上方に昇降ドラム162が配置されるように、ヘッドボックス110内に上下方向に配置される。
【0021】
(回転ドラム装置150)
回転ドラム装置150には、
図2に示したように、ラダーコード130の上端が連結する回転ドラム152と、回転ドラム152を回転可能に支持し、ヘッドボックス110の底部に形成された開口部110aに嵌め合わされて固定される回転ドラム受け154と、が設けられる。
【0022】
回転ドラム152には、
図3に示したように、回転軸112が一体に回転するように貫通している。回転ドラム受け154内には、
図4に示したように、昇降ドラム装置160から導出される昇降コード140の移動を案内するガイドローラ200が配置される。回転ドラム受け154には、
図4(a)に示したように、ガイドローラ200を回転自在に支持する円弧状の第1ガイドローラ受け154aと第2ガイドローラ受け154bが形成されている。
【0023】
第1ガイドローラ受け154aは第2ガイドローラ受け154bより回転ドラム152に近い位置に形成されている。第1ガイドローラ受け154aは、幅が25mmのスラット120を用いた場合にガイドローラ200を支持させるものである。また、第2ガイドローラ受け154bは、幅が35mmのスラット120を用いた場合にガイドローラ200を支持させるものである。回転ドラム受け154の底部には、
図4(b)に示したように、ラダーコード130及び昇降コード140が通過する複数の挿通孔154c、154d、154eが設けられている。
【0024】
第1挿通孔154cは、第2挿通孔154dよりも回転ドラム152に近い位置に形成されている。第1挿通孔154cは、幅が25mmのスラットを用いる場合に昇降コード140が挿通する挿通孔である。第2挿通孔154dは、幅が35mmのスラットを用いる場合に昇降コード140が挿通する挿通孔である。第3挿通孔154eは、第1挿通孔154cと第2挿通孔154dの間に2つ並設されており、ラダーコード130が挿通する。
【0025】
(昇降ドラム装置160)
昇降ドラム装置160には、
図2に示したように、昇降コード140の上端が連結する昇降ドラム162と、昇降ドラム162を回転可能に支持し、ヘッドボックス110に固定する昇降ドラム受け164と、昇降コード140の浮き上がりを防止するコード押さえ166と、が設けられる。昇降コード140は、昇降ドラム162の一端に連結されている。
【0026】
昇降ドラム162は、
図3に示したように、長尺な円筒状であり、昇降軸113が一体に回転するように貫通している。昇降ドラム受け164は、
図3及び
図4に示したように、上部が開放された断面コ字状に形成されており、内部空間に昇降ドラム162が収容される。昇降ドラム受け164の底部の一端には、開放部164aが形成されており、開放部164aを介して昇降ドラム受け164内に回転ドラム受け154を収容可能である。昇降ドラム受け164の側部の一端には、後述するコード押さえ166の係止部166dが挿入されて係止される係止孔164bが形成される。
【0027】
本実施形態の特徴的な構成であるコード押さえ166について、
図2~
図4に加え、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5は、回転ドラム装置150と昇降ドラム装置160を説明するための図である。
図6は、コード押さえ166の断面図である。コード押さえ166は、
図5に示したように、昇降コード140の昇降ドラム162に巻き取られた第1の部分140aと、昇降ドラム162からヘッドボックス110の下方に導かれる第2の部分140bの浮き上がりを抑制するためのものである。
【0028】
コード押さえ166は、
図2に示したように、ヘッドボックス110に導入された昇降コード140の昇降ドラム162への巻始めの部分である一端に配置される。コード押さえ166は、
図4及び
図5に示したように、第1の部分140aの浮き上がりを抑制する第1押さえ部166aと、第2の部分140bの浮き上がりを抑制する第2押さえ部166bと、第1押さえ部166aと第2押さえ部166bとを連結する連結部166cと、コード押さえ166を昇降ドラム受け164に係止する係止部166dと、を備えて構成される。
【0029】
第1押さえ部166aは、
図5に示したように、第1の部分140aの少なくとも一部に沿うように断面円弧状に形成されている。第2押さえ部166bは、第2の部分140bから離間した位置に形成されており、昇降ドラム162の軸心よりも下方に設けられている。第2押さえ部166bは、コード押さえ166の両端部である。
【0030】
連結部166cは、
図5に示したように、第1押さえ部166aと第2押さえ部166bよりも昇降コード140から離間した位置に配置されるように構成されている。連結部166cは、
図6に示したように、第1押さえ部166aと第2押さえ部166bを結ぶ直線aよりも昇降ドラム162から離間する方向に突出する断面略くの字状である。このような構成により、連結部166cには昇降コード140が正常な昇降動作時には接触が回避される非接触部となっている。
【0031】
係止部166dは、第2押さえ部166bに隣り合って形成されている。係止部166dは、第2押さえ部166bよりもさらに下方に延びており、第2押さえ部166bよりも左右方向に突出している。係止部166dは、
図3に示したように、昇降ドラム受け164の係止孔164bに挿入して係止することにより昇降ドラム受け164に取り付けられる。
【0032】
回転ドラム装置150と昇降ドラム装置160をヘッドボックス110に固定した状態について、
図5を参照しながら説明する。本実施形態では、幅が35mmのスラット120を用いている。
【0033】
まず、回転ドラム装置150について説明する。ヘッドボックス110の端部においては、
図5(a)に示したように、回転ドラム装置150は、ガイドローラ200が後側に配置されるように固定される。また、ヘッドボックス110の中央においては、
図5(b)に示したように、回転ドラム装置150は、ガイドローラ200が前側に配置されるように固定される。回転ドラム152には、ラダーコード130の上端が連結される。
【0034】
次に昇降ドラム装置160について説明する。ヘッドボックス110の端部においては、
図5(a)に示したように、昇降ドラム装置160は、昇降ドラム162に巻き取られた昇降コード140が昇降ドラム162の後側から斜め後側の下方に導かれ、ガイドローラ200を介して第2挿通孔154dを挿通してヘッドボックス110から導出される。
【0035】
昇降ドラム162に巻き取られた昇降コード140の第1の部分140aは、コード押さえ166の第1押さえ部166aが上方を覆っており、浮き上がりが抑制されている。また、昇降ドラム162の後方から斜め後側の下方に導かれた昇降コード140の第2の部分140bは、コード押さえ166の第2押さえ部166bが後方に配置されて、浮き上がりが抑制されている。昇降ドラム162からヘッドボックス110の下方に導かれる第2の部分140bは、連結部166cに接触しないため、昇降コード140の摩擦が抑えられる
【0036】
ヘッドボックス110の中央においては、
図5(b)に示したように、昇降ドラム装置160は、昇降コード140が昇降ドラム162の後側から前側に導かれ、ガイドローラ200を介して第2挿通孔154dを挿通してヘッドボックス110から導出される。
【0037】
昇降ドラム162のヘッドボックス110への取付け手順について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、昇降ドラム装置160のヘッドボックス110への取付け手順を説明するための図である。
【0038】
まず、
図7(a)に示したように、昇降ドラム受け164の開放部164aが回転ドラム装置150の位置と重なるように配置する。そして、昇降ドラム受け164のみを回転ドラム装置150の上方から矢印bに示したように、ヘッドボックス110の底部に載るように移動させる。
【0039】
図7(b)に示したように、昇降ドラム受け164の底部がヘッドボックス110の底部に載ると、昇降ドラム受け164の内部に回転ドラム装置150が収容され、昇降ドラム受け164が回転ドラム装置150に固定される。
【0040】
図7(c)に示したように、昇降コード140が取り付けられた昇降ドラム162を昇降ドラム受け164に組み付ける。
【0041】
図7(d)に示したように、コード押さえ166を昇降ドラム162の上方から矢印cに示したように、昇降ドラム162の上部を覆うように移動させる。
【0042】
図7(e)に示したように、コード押さえ166が前述のように昇降ドラム受け164に連結される。よって、コード押さえ166の第1押さえ部166aは、昇降コード140の昇降ドラム162への巻始めの部分を、昇降ドラム162との間で挟んで、浮き上がりを防止する。また、第2押さえ部166bは、昇降コード140の後側の後方に配置されて、昇降ドラム162の後側を下方に導かれる昇降コード140の浮き上がりを防止する。
【0043】
以上、ブラインド100の構成について説明した。以下、コード押さえ166の作用について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、昇降コード140の第2の部分140bに浮き上がりが生じた状態を示す断面図である。
【0044】
昇降コード140を昇降ドラム162に巻き取るときに、第2の部分140bに浮き上がりが生じたときには、
図8に示したように、第2の部分140bがコード押さえ166の第2押さえ部166bに当接する。よって、第2の部分140bは、それ以上の浮き上がりが規制される。
【0045】
次に、コード押さえ166が昇降コード140の第2の部分140bの浮き上がりを抑制できる第2押さえ部166bの設置範囲について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、昇降コード140の第2の部分140bの浮き上がりを抑制できる第2押さえ部166bの設置範囲を示す図である。
【0046】
コード押さえ166は、連結部166cの略くの字の頂点の位置dが、前後方向においては昇降コード140が接触しない位置である。また、前後方向において、昇降コード140がガイドローラ200に案内されている位置eよりも後側に第2押さえ部166bが配置されていると昇降コード140の浮き上がりを抑制できない位置である。よって、第2押さえ部166bは、位置dと位置eとの間に設けられる。
【0047】
また、コード押さえ166は、連結部166cの略くの字の頂点の位置dが、上下方向においてはここより上方だと、浮き上がりを抑制できず昇降コード140同士が重なる上限位置である。そして、コード押さえ166の昇降ドラム162側の面の第2押さえ部166bから垂下した線と、昇降コード140の第2の部分140bとが接する位置fが浮き上がっていない第2の部分140bが接触しない位置の下限である。よって、第2押さえ部166bは、位置dと位置fとの間に設けられる。
【0048】
本実施形態の回転ドラム装置150及び昇降ドラム装置160は、幅が25mmのスラット120を用いた場合でも同じものを用いることができる。以下、幅が25mmのスラット120を用いた場合について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、スラット120の幅が25mmの場合において、昇降コード140が昇降ドラム162に巻かれている状態を示す図である。
【0049】
スラット120の幅が25mmのものを用いる場合、スラット120の幅が35mmのものを用いる場合と回転ドラム装置150の配置を前後逆にする。すなわち、ヘッドボックス110の端部においては、
図10(a)に示したように、第1ガイドローラ受け154aが後側になるように配置し、第1ガイドローラ受け154aにガイドローラ200を支持させる。
【0050】
ガイドローラ200は、スラット120の幅が35mmの場合よりも回転ドラム152寄りに配置されるため、昇降コード140の第2の部分140bは、回転ドラム152寄りに導かれることになる。よって、第2押さえ部166bと第2の部分140bとの間隔がスラット120の幅が35mmの場合よりも大きくなる。よって、昇降コード140に浮き上がりが生じていないときは昇降コード140と第2押さえ部166bとは接触しない。昇降コード140は、ガイドローラ200を介して第1挿通孔154cを挿通してヘッドボックス110から導出される。
【0051】
また、ヘッドボックス110の中央においては、
図10(b)に示したように、第1ガイドローラ受け154aが前側になるように配置し、第1ガイドローラ受け154aにガイドローラ200を支持させる。昇降コード140は、昇降ドラム162の後側から前側に導かれ、ガイドローラ200を介して第1挿通孔154cを挿通してヘッドボックス110から導出される。
【0052】
(本実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の部分140aの浮き上がりを抑制する第1押さえ部166aと、第2の部分140bの浮き上がりを抑制する第2押さえ部166bと、を備えたことで、昇降コード140の異なる状態の部分140a、140bを異なる押さえ部166a、166bがそれぞれ抑制する。このため、昇降コード140の配回し経路が異なり、昇降コード140の弛み位置が変わったとしても、昇降コード140の弛みを押さえて昇降コード140を昇降ドラム162に巻き取る動作を円滑に行うことができる。
【0053】
また、第1押さえ部166aは、第1の部分140aの少なくとも一部に沿うように形成され、第2押さえ部166bが第2の部分140bから離間した位置に形成されているため、異なるスラット幅の昇降コード140の配回しに対しても、共通の部品で昇降コード140の弛みを抑制することができる。
【0054】
また、第2押さえ部166bを昇降ドラム162の軸心よりも下方に設けたことで、昇降ドラム162が昇降コード140の巻取りを開始する前に第2押さえ部166bによって昇降コード140の浮き上がり(弛み)が抑制されて、昇降コード140同士が重なって巻き取られることを防止できる。
【0055】
また、昇降コード140が連結部166cに接触しづらく、昇降コード140の移動の妨げになりづらいため、昇降コード140の動作の不良の防止や操作の荷重を低減できる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0057】
例えば、上記実施形態では、第1押さえ部166aは、第1の部分140aの少なくとも一部に沿うように形成されており、第2押さえ部166bは、第2の部分140bから離間した位置に形成されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。昇降コードの配回し経路が異なったとしても昇降コードの弛みを押さえて昇降コードを昇降ドラムに巻き取る動作を円滑に行うことができれば、第1押さえ部と第2押さえ部の形状は任意の設計とすることができる。
【0058】
また、上記実施形態では、第2押さえ部166bは、昇降ドラム162の軸心よりも下方に設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。昇降コードの配回し経路が異なったとしても昇降コードの弛みを押さえて昇降コードを昇降ドラムに巻き取る動作を円滑に行うことができれば、第2押さえ部は昇降ドラム162の軸心と同じ位置や軸心よりも上方に設けられてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、第1押さえ部166aと第2押さえ部166bとは連結部166cによって連結されており、連結部166cは、第1押さえ部166aと第2押さえ部166bを結ぶ直線よりも昇降ドラム162から離間するように構成したが、本発明はこの例に限定されない。昇降コードの弛みを押さえて昇降コードを昇降ドラムに巻き取る動作を円滑に行うことができれば、任意の設計とすることができる。例えば、連結部を、第1押さえ部と第2押さえ部を結ぶ直線で構成したり、連結部を設けない構成としたりしてもよい。また、上記実施形態では、連結部166cを略くの字状に形成される例について説明したが、昇降コードの動作の不良の防止や操作の荷重を低減できれば任意の設計とすることができる。例えば、連結部は、円弧状やU字状であってもよい。
【0060】
上記実施形態、応用例、変形例は、任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 ブラインド
110 ヘッドボックス
110a 開口部
112 回転軸
113 昇降軸
120 スラット
122 ボトムレール
130 ラダーコード
132 ラダーホルダ
140 昇降コード
140a 第1の部分
140b 第2の部分
150 回転ドラム装置
152 回転ドラム
154 回転ドラム受け
154a 第1ガイドローラ受け
154b 第2ガイドローラ受け
154c 第1挿通孔
154d 第2挿通孔
154e 第3挿通孔
160 昇降ドラム装置
162 昇降ドラム
164 昇降ドラム受け
164a 開放部
164b 係止孔
166 コード押さえ
166a 第1押さえ部
166b 第2押さえ部
166c 連結部
166d 係止部
170 操作ユニット
172 操作棒
174 グリップ
176 操作コード
178 コード止め
180 ブレーキ
190 ストッパ
200 ガイドローラ