(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】間仕切り装置
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
E04B2/74 561G
E04B2/74 561H
(21)【出願番号】P 2023018831
(22)【出願日】2023-02-10
(62)【分割の表示】P 2022007710の分割
【原出願日】2016-07-12
【審査請求日】2023-03-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】今 健一
(72)【発明者】
【氏名】宮前 太一
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-262748(JP,A)
【文献】特許第4464500(JP,B2)
【文献】特表平04-504449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 5/00
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルと、
前記パネルを転倒しないように支持する支持装置と、
を備え、
複数の前記パネルは、展開方向に並ぶように接続され、隣接するパネルと重なるように折り畳み可能に構成され、
前記支持装置は、設置現場の壁に固定され、
複数の前記パネルは、
前記支持装置に支持される連結パネルと、
前記連結パネルよりも展開方向に配置される複数の仕切りパネルと、
を含み、
前記仕切りパネルは、下端にキャスタを有し、
前記キャスタは、前記パネルが折畳まれる際に他のキャスタと干渉しない位置に配置され、
前記連結パネルは、矩形に構成されるフレームと、前記フレームの内側に配置されるパネル本体と、を有し、
前記支持装置は、非箱体であり、上下方向に延びて、前記パネルの展開方向に面した側を前記連結パネルと接続し、前記面した側と反対側を設置現場の壁に固定する、
間仕切り装置。
【請求項2】
前記仕切りパネルは、下端にキャスタを一つのみ有する、
請求項1に記載の間仕切り装置。
【請求項3】
前記パネルは、終端側に配置される終端パネルを含み、
前記終端パネルは、展開または折り畳む際に人が把持するハンドルを有する、
請求項1又は請求項2に記載の間仕切り装置。
【請求項4】
各前記パネルは、矩形に構成されるフレームと、前記フレームの内側に配置されるパネル本体と、を有する
請求項1から3のいずれか1項に記載の間仕切り装置。
【請求項5】
各前記パネルの床面から上端部までの高さは、成人の背丈程度である、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の間仕切り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内などの空間を区画する間仕切り装置には、壁又は可動ベース部に接続部を介して接続する複数のパネルを備え、使用しないときにこれらのパネルを折り畳むことなどにより小さく収納しておく物がある(例えば、特許文献1。)。
【0003】
従来のこの種の間仕切り装置は、各パネルの横方向の長さが互いに等しいものであるため、折り畳むと壁や可動ベース部の接続部に対してパネルが片方に偏って収納される(特許文献1の
図8参照。)。
【0004】
特に、病院などのベッドの間にこのような間仕切り装置を設置すると、間仕切り承知の両側のスペースのうち、一方のスペースだけが折り畳まれたパネルによって狭いものとなり、利用者に不公平感を生じさせる。
【0005】
そこで、各パネルの横方向の長さを短くし、パネルの数を増やすことも考えられるが、製造コストが高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、折り畳まれたときでもパネルが一方に偏らない安価な間仕切り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、平面から見て凹部を形成するベースフレームと、前記ベースフレームに立設したベースパネルと、前記ベースパネルに折畳み展開自在に接続される下部にキャスタを設けた複数のパネルとを備え、
折畳まれる前記パネルが、平面から見たとき当該パネルの展開方向に略直交する向きで且つ前記凹部の開口幅の両端を結ぶ線分に平行な形で折畳まれ、前記ベースパネルの前面は、折畳まれた状態で露出している間仕切り装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、折り畳まれたときでもパネルが一方に偏らない安価な間仕切り装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】第1の実施形態の折り畳まれた状態の間仕切り装置を示す斜視図。
【
図6】第1の実施形態の折り畳まれた状態の間仕切り装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例にかかる間仕切り装置1を、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は本実施形態の間仕切り装置1の斜視図、
図2は間仕切り装置1の正面図、
図3は間仕切り装置1の背面図、
図4は間仕切り装置1の平面図である。
【0013】
図1から
図4までに示すように、間仕切り装置1は、支持装置である可動ベース部2と、可動ベース部2に対して水平方向に回動可能に支持される連結パネル11Aと、連結パネル11Aに対して水平方向に回動可能に支持される仕切りパネル11Bと、仕切りパネル11Bに対して水平方向に回動可能に支持される終端パネル11Cと、を備える。
【0014】
支持装置は、間仕切り装置1が倒れることを阻止する機能を有する。
【0015】
連結パネル11Aは、矩形に形成されるフレーム16と、フレーム16の内側に嵌め込まれるパネル本体15と、フレーム16の下端部に設置される連結パネルキャスタ12と、を備える。
【0016】
フレーム16は、金属などの剛性を有する素材によって形成され、可動ベース部2のフレーム16及び仕切りパネル11Bのフレーム16を接続する接続部17を有する。接続部17の機構は、フレーム16を互いに水平方向両側に回動可能に接続できればどのような機構でもよい。
【0017】
パネル本体15は、例えば半透明の樹脂や、薄い布帛など、光をある程度透過できる素材を用いることが、パネル本体15の向こう側の人や物の存在を視認できる点において望ましい。パネル本体15には動物などの絵を描くことも可能である。
【0018】
連結パネルキャスタ12は、連結パネル11Aのフレーム16の下端に一つだけ設けることが、他のキャスタとの干渉を避ける上において望ましい。
【0019】
仕切りパネル11Bは、矩形に形成されるフレーム16と、フレーム16の内側に嵌め込まれるパネル本体15と、フレーム16の下端部に設置される仕切りパネルキャスタ13と、を備える。
【0020】
仕切りパネル11Bのフレーム16及びパネル本体15の構成は、連結パネル11Aのフレーム16及びパネル本体15の構成と、横方向の長さ以外は同じである。仕切りパネルキャスタ13は、連結パネルキャスタ12と同じものを用いることができる。
【0021】
仕切りパネルキャスタ13は、仕切りパネル11Bのフレーム16の下端に一つだけ設けることが、他のキャスタとの干渉を避ける上において望ましい。
【0022】
終端パネル11Cは、矩形に形成されるフレーム16と、フレーム16の内側に嵌め込まれるパネル本体15と、フレーム16の下端部に設置される終端パネルキャスタ14と、を備える。
【0023】
終端パネル11Cのパネル本体15の構成は、連結パネル11Aのびパネル本体15の構成と、横方向の長さ以外は同じである。終端パネルキャスタ14は、仕切りパネルキャスタ13と同じものを用いることができる。
【0024】
終端パネル11Cのフレーム16は、仕切りパネル11Bと接続する部位にのみ接続部17を備える点において仕切りパネル11Bのフレーム16と構成が異なる。終端パネルキャスタ14は、終端パネル11Cのフレーム16の下端に一つだけ設けることが、他のキャスタとの干渉を避ける上において望ましい。
【0025】
終端パネル11Cは、さらに横方向の端部、つまり接続部17の反対側の端部に円柱状のハンドル18を有していてもよい(
図7及び
図8参照。)。ハンドル18は、終端パネル11Cの上端部から終端パネル11Cの高さの略半分の高さまで延びるものであってもよいし、
図7及び
図8に示すように、上端部から下端部まで連続してもよい。ハンドル18の外径は手によって握れる程度の太さが操作性を向上させる点から望ましい。
【0026】
一つの可動ベース部2に対し、連結パネル11Aは一つ、仕切りパネル11Bは1つ以上、終端パネル11Cは一つ設けられる。
【0027】
連結パネル11Aの横方向の長さW2は、仕切りパネル11Bの横方向の長さW3の1/2の長さである。終端パネル11Cの横方向の長さW4は、仕切りパネル11Bの横方向の長さW3と等しいかより短い。
【0028】
間仕切り装置1の床面から上端部までの高さは、人の背丈程度である。小児科などの、子供が多く集まる場所に設置する場合には、間仕切り装置1の床面から上端部までの高さを子供の背丈ほどにしてもよい。
【0029】
図5は折り畳まれた状態の間仕切り装置1を示す斜視図、
図6は折り畳まれた状態の間仕切り装置1の平面図である。
【0030】
図5に示すように、間仕切り装置1を折り畳む場合には、まず連結パネル11Aを可動ベース部2の手前側又は奥側に折り畳む。
図5においては、連結パネル11Aを奥側に折り畳んでいるため、この例に従って説明する。
【0031】
次に、仕切りパネル11Bを手前側に折り畳む。さらに仕切りパネル11Bがある場合には、奥側、手前側というように、交互に折り畳む。
【0032】
最後に、終端パネル11Cを端部が既に折り畳まれた仕切りパネル11Bに重なるように折り畳む。
【0033】
このように折り畳むと、仕切りパネル11Bは可動ベース部2に対して手前側と奥側とに同じ長さに折り畳まれる。従って、間仕切り装置1の奥側にいる利用者と手前側にいる利用者との間に不公平感を生じさせない。
【0034】
ここで、可動ベース部2について説明する。可動ベース部2は、下部にベース部キャスタ22Bを備えるベースフレーム22Aと、ベースフレーム22Aに立てられるベースパネル21と、を備える。
【0035】
ベースパネル21は、矩形に形成されるフレーム16と、フレーム16に嵌め込まれるパネル本体15と、を備える。
【0036】
ベースフレーム22Aは複数のベース部キャスタ22Bを備える。また、ベースフレーム22Aは、連結パネル11A、仕切りパネル11B、及び終端パネル11Cが折り畳まれるとき、仕切りパネルキャスタ13の軌跡に干渉せず、連結パネルキャスタ12及び終端パネルキャスタ14の進入方向に開口し、連結パネルキャスタ12及び終端パネルキャスタ14を収容する凹部22Cを有する形状をなす。凹部22Cは、終端パネル11Cの横方向の長さW4が仕切りパネル11Bの横方向の長さW3よりも短い場合、終端パネルキャスタ14を収容してもよい。
【0037】
つまり、凹部22Cは、折り畳まれる連結パネル11Aの連結パネルキャスタ12の軌跡と、折り畳まれる終端パネル11Cの終端パネルキャスタ14の軌跡と、に干渉しないだけの開口幅W7を持ち、連結パネルキャスタ12及び終端パネルキャスタ14を収容するのに十分な奥行きを有する。
【0038】
ベースフレーム22Aは、連結パネル11A、仕切りパネル11B、及び終端パネル11Cが折り畳まれたとき、凹部22Cの内部に連結パネルキャスタ12及び終端パネルキャスタ14を収容し、仕切りパネルキャスタ13がベースフレーム22Aの外部に位置する形状をなす。ベースフレーム22Aは、平面視において奥行き方向の長さW6が、仕切りパネル11Bの横方向の長さW3より、少なくとも仕切りパネルキャスタ13の2個分の幅分だけ短い。従って、折り畳まれた場合、仕切りパネルキャスタ13がベースフレーム22Aと干渉せず、仕切りパネルキャスタ13が他のキャスタより外側に配置されることとなるため、移動の際の安定性をもたらす。連結パネルキャスタ12、仕切りパネルキャスタ13、及び終端パネルキャスタ14は、連結パネル11A、仕切りパネル11B、及び終端パネル11Cが折り畳まれたとき、互いに干渉しない位置に取り付けられる。
【0039】
ベースフレーム22Aは、上述の凹部22C以外の部分の形状は自由に選択できる。
図6の例においては、ベースフレーム22Aは平面視が逆C字形状をなしているが、三角形であっても、多角形であってもよい。また、凹部22C以外の部分は、板状の部材によって塞がれていてもよい。
【0040】
また、ベースフレーム22Aは、連結パネル11A、仕切りパネル11B、及び終端パネル11Cへのキャスタの取り付け位置によって形状を変更することもできる。例えば、ベースフレーム22Aは、ベース部キャスタ22Bを備え、連結パネル11A、仕切りパネル11B、及び終端パネル11Cが折り畳まれるとき、連結パネルキャスタ12、仕切りパネルキャスタ13、及び終端パネルキャスタ14の各軌跡に干渉せず、連結パネルキャスタ12、仕切りパネルキャスタ13、及び終端パネルキャスタ14のうち少なくとも1つキャスタの進入方向に開口し、進入するキャスタを収容する凹部22Cを有し、進入するキャスタ以外のキャスタを外部に位置させる形状をなしていてもよい。
【0041】
以上述べたように、本実施形態の間仕切り装置1は、支持装置である可動ベース部2と、可動ベース部2に対して水平方向に回動可能に支持される連結パネル11Aと、連結パネル11Aの横方向の長さW2の2倍の横方向の長さW3を有し、連結パネル11Aに対して水平方向に回動可能に支持される仕切りパネル11Bと、仕切りパネル11Bの横方向の長さW3以下の横方向の長さW4を有し、仕切りパネル11Bに対して水平方向に回動可能に支持される終端パネル11Cと、を備える。
【0042】
ここで、仕切りパネル11Bは、横方向の長さが仕切りパネル11Bの横方向の長さW3の1/2のパネルを2つ製造するより製造コストが略1/2となる。
【0043】
従って、折り畳まれたときでもパネルが一方に偏らない安価な間仕切り装置を提供することができるという効果がある。
【0044】
(第2の実施形態)
図7は、本実施形態の間仕切り装置1を示す図である。
図7に示すように、本実施形態の間仕切り装置1の構成は、支持装置が壁4に設置される固定パーテーション3である以外は第1の実施形態の間仕切り装置1の構成と同様である。従って、以下、固定パーテーション3について説明する。
【0045】
固定パーテーション3は、壁4に固定される固定パネル31と、連結パネル11Aを固定パネル31に水平方向に回動可能に連結するジョイント部33と、を備える。
【0046】
固定パネル31は、壁4に固定される矩形のフレーム16と、フレーム16に嵌め込まれるパネル本体15と、を備える。パネル本体15及びフレーム16の構成は第1の実施形態のパネル本体15及びフレーム16の構成と同様である。
【0047】
ジョイント部33は、キャスタを有さず、床面まで延びる。
【0048】
固定パネル31は壁4に固定されているため、壁4に対して回動しない。従って、固定パネル31の両側には、収納32を配置することができる。
【0049】
以上述べたように、本実施形態の間仕切り装置1は、支持装置として固定パーテーション3を備える。
【0050】
従って、特に病院において二つのベッドの間に設置すれば、プライバシーを効果的に守ることができるとともに、折り畳まれたときでもパネルが一方に偏らない安価な間仕切り装置を提供することができるという効果がある。
【0051】
(第3の実施形態)
図8は、本実施形態の間仕切り装置1を示す図である。
図8に示すように、本実施形態の間仕切り装置1の構成は、支持装置が壁4に固定されるジョイント部33である以外は第1の実施形態の間仕切り装置1の構成と同様である。
【0052】
本実施形態のジョイント部33の構成は、第2の実施形態のジョイント部33の構成と同様である。
【0053】
以上述べたように、本実施形態の間仕切り装置1は、支持装置として壁4に固定されるジョイント部33を備える。
【0054】
従って、より簡素な構成により利用者のプライバシーを守ることができるとともに、折り畳まれたときでもパネルが一方に偏らない安価な間仕切り装置を提供することができるという効果がある。
【符号の説明】
【0055】
1 装置
2 可動ベース部
3 固定パーテーション
4 壁
11A 連結パネル
11B 仕切りパネル
11C 終端パネル
12 連結パネルキャスタ
13 仕切りパネルキャスタ
14 終端パネルキャスタ
15 パネル本体
16 フレーム
17 接続部
18 ハンドル
21 ベースパネル
22A ベースフレーム
22B ベース部キャスタ
22C 凹部
31 固定パネル
32 収納
33 ジョイント部