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特許7547051画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20240902BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B41J11/70
B41J29/38 206
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020013366
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021119043
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 孝一
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-151482(JP,A)
【文献】特開2011-101987(JP,A)
【文献】特開2019-022945(JP,A)
【文献】特開平10-202412(JP,A)
【文献】特開2016-198988(JP,A)
【文献】特開2017-080917(JP,A)
【文献】米国特許第08469477(US,B2)
【文献】特開平11-078140(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00914959(EP,A2)
【文献】特開2019-059042(JP,A)
【文献】特開2012-030529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-11/70
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を、搬送方向または該搬送方向と逆の戻り方向に搬送可能な搬送手段と、
前記搬送方向における上流側の上流位置と下流側の下流位置との間で、前記搬送手段で搬送された記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
前記搬送方向において前記記録ヘッドの下流側の切断位置に設けられ、第1方向に移動することにより記録媒体を切断し、該第1方向とは逆の第2方向に移動することにより、次の切断動作のための切断待機位置に戻る切断手段と、
を備える画像記録装置であって、
対象ページの第1の印刷動作において、記録媒体の第1位置から前記記録ヘッドによる記録が行われた後に、前記記録ヘッドで次に記録する記録媒体の第2位置が前記下流位置を超えるように前記搬送手段で前記搬送方向に記録媒体を搬送して、前記対象ページの先端を前記切断手段で切断し、
前記切断手段の前記第2方向への移動と並行して前記戻し方向へ記録媒体を前記搬送手段で搬送し、前記対象ページの前記第2位置から前記記録ヘッドによる記録を再開することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記対象ページの先端は、前記対象ページの前ページの後端であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記戻し方向へ搬送する際の搬送量は、前記第1位置から前記記録ヘッドによって記録したときの前記前ページの後端と前記切断位置との間の距離と、単位搬送量との差分に等しいことを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
対象ページの第2の印刷動作として、前記対象ページに前記第1位置から前記記録ヘッドによる記録が行われた後に、該対象ページの先端を前記切断位置に前記搬送手段で搬送し、
前記切断手段による前記対象ページの先端を切断した後に、前記搬送手段による記録媒体の前記搬送方向への搬送をし、前記第2位置から前記記録ヘッドによる記録を再開することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
対象ページの第3の印刷動作として、前記切断手段による前記対象ページの先端の切断は、前記対象ページに対する記録の前に実行されることを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記第1の印刷動作と、前記第2の印刷動作と、前記第3の印刷動作との何れで動作するかは、印刷データに基づいて設定されることを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記第1の印刷動作と、前記第2の印刷動作と、前記第3の印刷動作との何れで動作するかは、前記記録媒体の種類に基づいて設定されることを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記切断待機位置として、第1の待機位置と、該第1の待機位置より記録媒体に近い第2の待機位置とがあり、
前記第1の印刷動作及び前記第2の印刷動作では、前記第2の待機位置から前記対象ページの先端の切断が実行されることを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記切断待機位置として、第1の待機位置と、該第1の待機位置より前記記録媒体に近い第2の待機位置とがあり、
前記第3の印刷動作では、前記第1の待機位置から前記対象ページの先端の切断が実行されることを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項10】
対象ページの記録を実行するか、前記対象ページの先端の切断を実行するかを、前記対象ページの前ページの後端と前記切断位置との間の距離と、単位搬送量と、に基づき判定する判定手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記記録ヘッドを前記搬送方向に対して直交する方向に移動させるキャリッジを更に備えることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項12】
前記搬送手段による単位搬送量分の搬送と、前記記録ヘッドによる記録媒体への記録とを交互に行うことにより、印刷データに基づく印刷動作を実行することを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項13】
記録媒体を、搬送方向または該搬送方向と逆の戻り方向に搬送可能な搬送手段と、
前記搬送方向における上流側の上流位置と下流側の下流位置との間で、前記搬送手段で搬送された記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
前記搬送方向において前記記録ヘッドの下流側の切断位置に設けられ、第1方向に移動することにより記録媒体を切断し、該第1方向とは逆の第2方向に移動することにより、次の切断動作のための切断待機位置に戻る切断手段と、
を備える画像記録装置の制御方法であって、
対象ページの第1の印刷動作において、記録媒体の第1位置から前記記録ヘッドによる記録が行われた後に、前記記録ヘッドで次に記録する記録媒体の第2位置が前記下流位置を超えるように前記搬送手段で前記搬送方向に記録媒体を搬送して、前記対象ページの先端を前記切断手段で切断するステップと、
前記切断手段の前記第2方向への移動と並行して前記戻し方向へ記録媒体を前記搬送手段で搬送し、前記対象ページの前記第2位置から前記記録ヘッドによる記録を再開するステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項14】
コンピュータに請求項13に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ等のOA機器から出力された印刷データに基づいて、紙、布、プラスチックシート等の多種多様な記録媒体に記録ヘッドにより画像を記録するように構成された画像記録装置がある。画像記録装置における走査方式には、シリアルタイプとラインタイプがある。
【0003】
シリアルタイプは、記録媒体の搬送方向と直交する方向に記録ヘッドを往復移動させる主走査と、記録媒体を所定ピッチとなる単位搬送量だけ搬送する副走査と、を交互に繰り返しながら画像を記録していくことで、印刷データに基づく印刷動作を行う方式である。一方、ラインタイプは、記録媒体の幅とほぼ等しい長さを有する記録ヘッドを用い、記録媒体の搬送とともに画像を記録していくことで印刷データに基づく印刷動作を行う方式である。また、記録媒体としてロール紙を用いる画像記録装置においては、該画像記録装置に切断装置を設けることで、記録媒体をページ毎かつシート状に切断することが可能となる。
【0004】
記録媒体としてロール紙を用いるシリアルタイプの画像記録装置においては、印刷動作が終了すると記録媒体を切断位置まで搬送し、切断装置により記録媒体を切断する。連続印刷を行う場合、ページの印刷動作が終了する毎に切断位置まで記録媒体を搬送して切断動作を実行すると、切断位置までの搬送動作、及び、切断動作後の次ページの印刷開始位置までの搬送動作を効率的に行うことができない。従って、スループットが悪化する。
【0005】
そこで、スループットを向上させるための技術として、特許文献1が知られている。特許文献1では、第1ページの印刷動作終了後、第1ページの切断動作を保留して、第2ページの印刷動作を開始する。そして、第2ページの印刷動作を途中で中断して第1ページの切断動作を実行した後、第2ページの印刷動作を再開する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-80917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、切断装置の切断待機位置への戻り動作が終了するまで、第2ページの印刷動作に含まれる記録媒体の送り方向への搬送動作を実行できない。従って、第1ページの切断動作の実行後すぐに第2ページの印刷動作を再開できない。よって、スループット改善の余地がある。
【0008】
そこで本発明の一実施形態は、上記の課題に鑑み、次の切断動作のために待機位置に戻すことが必要な切断装置を有する画像記録装置において、連続印刷のスループットを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、記録媒体を、搬送方向または該搬送方向と逆の戻り方向に搬送可能な搬送手段と、前記搬送方向における上流側の上流位置と下流側の下流位置との間で、前記搬送手段で搬送された記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記搬送方向において前記記録ヘッドの下流側の切断位置に設けられ、第1方向に移動することにより記録媒体を切断し、該第1方向とは逆の第2方向に移動することにより、次の切断動作のための切断待機位置に戻る切断手段と、を備える画像記録装置であって、対象ページの第1の印刷動作において、記録媒体の第1位置から前記記録ヘッドによる記録が行われた後に、前記記録ヘッドで次に記録する記録媒体の第2位置が前記下流位置を超えるように前記搬送手段で前記搬送方向に記録媒体を搬送して、前記対象ページの先端を前記切断手段で切断し、前記切断手段の前記第2方向への移動と並行して前記戻し方向へ記録媒体を前記搬送手段で搬送し、前記対象ページの前記第2位置から前記記録ヘッドによる記録を再開することを特徴とする画像記録装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、次の切断動作のために待機位置に戻すことが必要な切断装置を有する画像記録装置において、連続印刷のスループットを向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態における画像記録装置の外観を示す斜視図。
図2】第1の実施形態における画像記録装置の断面図。
図3】第1の実施形態における画像記録装置の制御に関わる構成を示すブロック図。
図4】第1の連続印刷モードにおけるロール紙への連続印刷時の状態遷移を示す図。
図5】第1の連続印刷モードにおける印刷処理のフローチャート。
図6】第2の連続印刷モードにおけるロール紙への連続印刷時の状態遷移を示す図。
図7】第2の連続印刷モードにおける印刷処理のフローチャート。
図8】第3の連続印刷モードにおけるロール紙への連続印刷時の状態遷移を示す図。
図9】第3の連続印刷モードにおける印刷処理のフローチャート。
図10】第2の実施形態における連続印刷モードの切り替え用テーブル。
図11】ロール紙へのフチなし印刷動作を行ったときの状態遷移を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。尚、本明細書では、全ての図面にわたって同一の符号は、同一の又は対応する要素を示すものとする。
【0013】
<画像記録装置の概略構成>
以下、本実施形態における画像記録装置の概略構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施形態における画像記録装置の模式的斜視図である。図2は、本実施形態における画像記録装置の模式的断面図であり、図1の断面線II-IIで切断した断面を示す。
【0014】
画像記録装置100は、ロール紙等の記録媒体201(図2参照)に画像を記録することが可能である。画像記録装置100は、本体部101と、本体部101を支える脚部102と、を有する。本体部101の外観部には、記録媒体201の情報、及び、種々の記録情報等を表示したり、設定したりすることが可能な操作パネル103が配設されている。搬送ローラ1及び従動ローラ2は、記録媒体201を挟持し搬送する搬送手段として、画像記録部の搬送方向(Y方向とする)上流側に配設された搬送ローラ対31である。搬送ローラ対31は、搬送ローラ1が搬送モータ51(図3参照)によって回転駆動されることにより、記録媒体201を+Y方向または-Y方向に搬送可能である。
【0015】
用紙センサ21は、搬送ローラ対31の搬送方向Yの上流側に配設されている。用紙センサ21は、発光素子と受光素子とを有し、発光素子から光を照射し、その反射光を受光素子で受光することにより搬送路内における記録媒体201の有無を判別可能としている。
【0016】
キャリッジ4は、画像記録手段である記録ヘッド3、及び、記録媒体の検出手段であるセンサ22を搭載し、走査ガイドとしてのキャリッジシャフト5に沿って、Y方向に対して直交する方向(X方向とする)に往復移動可能に案内支持されている。センサ22は、様々なLEDを搭載しており、記録媒体201の上方から発光素子により光を照射し、その反射光を受光することにより、記録媒体201の有無、及び、厚さ等を検出することができる。これにより、透明なフィルム等の紙ではないものまで多くの種類の記録媒体201の端部位置も検出可能となる。
【0017】
プラテン6は、画像記録部において記録媒体201を裏面から案内支持し、記録ヘッド3と記録媒体201とのギャップを保証している。プラテン6には複数の吸気孔が形成されており、ダクト7を介して吸引ファン52に接続されている。吸引ファン52を駆動することにより、プラテン6の吸気孔に吸引負圧が発生し、記録媒体201をプラテン6上に吸着保持することができる。カッター8は、画像記録部のY方向下流側に設けられ、Y方向に対して直交するX方向に往復移動可能に案内支持されている。カッターモータ53(図3参照)によりカッター8が+X方向に移動することで、記録媒体201を所定のY方向長さに切断することができる。
【0018】
記録媒体201に画像を記録する際、記録媒体201の先端が搬送ローラ対31に挟持された状態で搬送モータ51を回転駆動することにより、記録媒体201の先端が画像記録部となるプラテン6上に所定量搬送される。画像記録部において、キャリッジ4の往動または復動による1ライン分の主走査により画像を記録すると、再び記録媒体201を搬送ローラ対31により+Y方向に所定ピッチだけ搬送し、キャリッジ4を再び移動させて次のラインの画像記録を行う。このような画像記録と記録媒体搬送とを繰り返すことで、ページ全体に画像が記録される。印刷動作が終了し、且つ、次ページの印刷データがない場合、記録媒体201は搬送ローラ対31により所定の切断位置まで搬送される。記録媒体201の切断位置までの搬送動作が終了すると、カッターモータ53を回転駆動することによりカッター8は+X方向に移動し、記録媒体201の記録済みページを切断する。これにより、切断済みページは分離される。切断動作が終了すると、カッター8は-X方向に移動して、切断待機位置に戻り、画像記録装置100はスタンバイ状態となる。
【0019】
<画像記録装置の制御構成>
以下、本実施形態における画像記録装置の制御に関わる構成について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態における画像記録装置の制御に関わる構成を示すブロック図である。
【0020】
図3に示すように、画像記録装置100と接続されているコンピュータ300には、プリンタドライバ301がインストールされている。プリンタドライバ301は、印刷モードを設定する機能モジュールである印刷モード設定部302を有する。詳しく説明すると、印刷モード設定部302は、記録媒体201の種類や印刷品位等をユーザに設定させるためのものである。
【0021】
一方、画像記録装置100上には、制御部400が構成されている。制御部400は、搬送モータ51、吸引ファン52、カッターモータ53、キャリッジモータ54、及び、記録ヘッド3の制御を実現するためのものである。また、制御部400は、不図示のCPU、ROM、RAM、及び、モータドライバ等を有しており、主制御部401、搬送制御部402、及び、画像形成制御部403から構成されている。主制御部401は、プリンタドライバ301から受信した印刷データに応じて、搬送制御部402と画像形成制御部403とに対して指令を与える。搬送制御部402は、吸引ファン52を駆動させた状態で搬送モータ51を駆動させて記録媒体201を搬送し、画像形成制御部403は、キャリッジモータ54と記録ヘッド3との連携を用いて、然るべき位置に画像を形成する。
【0022】
<連続印刷モード>
以下、本実施形態における画像記録装置100でロール紙に連続して印刷するためのモード(第1の連続印刷モードとする)について、図4を用いて説明する。図4は、第1の連続印刷モードの説明図であり、具体的には、第1の連続印刷モードにおけるロール紙への連続印刷時の状態遷移を示す。
【0023】
図4の(a)は、第1ページの印刷動作が終了した状態を示している。記録ヘッド3の搬送方向Yの最上流ノズル位置H1から最下流ノズル位置H2までのノズルを使用して記録媒体201への第1ページの印刷動作が終了している。ここで、本例では、最上流ノズル位置H1と最下流ノズル位置H2との間のY方向距離を27mm、最下流ノズル位置H2とカッター8の切断位置Cとの間のY方向距離を80mmとする。次の印刷データを受信していない場合、カッター8の切断位置Cと第1ページの後端位置Bとの間のY方向距離に相当する搬送量(切断位置までの搬送量L1とする)だけ搬送方向Yに記録媒体201を搬送する。そして、カッター8により、記録媒体201を記録済みである第1ページの後端位置Bで切断する。
【0024】
一方、図4の(b)は、次の印刷データを受信している場合の第2ページの印刷動作開始前の状態を示しており、次の印刷データを受信している場合、第1ページの切断動作を保留して、第2ページの画像記録の開始位置まで搬送方向Yに記録媒体201を搬送する。ここで、第1ページの印刷動作の終了後から第2ページの印刷動作開始までの間に、カッター8は、点線で示す第1の待機位置から記録媒体201により近い位置となる実線で示した第2の待機位置へ移動する。これにより、第1ページの切断動作時、カッターの移動距離が短くなるため切断時間を短縮することが可能となる。尚、第1ページの印刷動作中にカッター8が第2の待機位置に位置していると、記録媒体201の先端が切断位置C近傍に搬送された際、記録媒体201の紙浮き等により記録媒体201とカッター8とが接触しジャム等の搬送不良が発生する虞がある。そのため、記録媒体201の先端が切断位置CよりY方向下流側にある状態となる第1ページの印刷動作終了から第2ページの印刷動作開始までの間にカッター8を移動させている。そして、第2ページの印刷動作を開始する。キャリッジ4の往動または復動による1ライン分の主走査により1ライン目の画像501を記録した後の搬送に関しては、切断位置までの搬送量L1と次のラインの画像記録位置への搬送となる単位搬送量Fとの関係に応じて、搬送制御が異なる。ここで、本例では、単位搬送量Fを、最上流ノズル位置H1と最下流ノズル位置H2との間のY方向距離27mmとする。
【0025】
図4の(c)は第2ページの印刷動作を継続し、2ライン目の画像502を記録する前の状態を示している。ここで、次のラインの画像記録位置へ搬送するための搬送量(単位搬送量Fとする)を、最上流ノズルH1と最下流ノズルH2との間の距離とする。図4の(b)に示す記録媒体201の位置において、単位搬送量Fと切断位置までの搬送量L1とに基づいて、切断動作を行うかの判定がなされる。具体的には、(2×F)<L1を満たすため、記録媒体201を図4の(b)に示す位置から搬送方向Yに対して送り方向(+Y方向)に単位搬送量分搬送し、印刷動作を継続している。その後、2ライン目の画像502を記録する。
【0026】
次に、図4の(d)は、第2ページの印刷動作を中断し、第1ページの切断動作を実行する前の状態を示している。図4の(c)に示す記録媒体201の位置において、単位搬送量Fと切断位置までの搬送量L1とに基づいて、切断動作を行うかの判定がなされる。具体的には、(2×F)≧L1を満たすため、記録媒体201を図4の(c)に示す位置から搬送方向Yに対して送り方向(+Y方向)にL1分搬送し、印刷動作を中断する。
【0027】
図4の(e)は、第1ページの切断動作を実行した後の状態を示しており、カッター8が点線で示した第2の待機位置から実線で示した切断終了位置まで+X方向に移動することで、記録媒体201が第1ページの後端位置Bで切断される。
【0028】
次に、図4の(f)は、第2ページの印刷動作を再開した状態を示している。ここで、カッター8について、点線で示した切断終了位置から実線で示した第1の待機位置まで-X方向に戻る動作(カッター8の戻り動作とする)が行われる。一方、記録媒体201は図4の(e)に示す位置から搬送方向Yに対して戻し方向(-Y方向)に(L1-F)分搬送されることにより、3ライン目の画像503を記録する位置となる。その後、3ライン目の画像503を記録することで第2ページの印刷動作が再開される。このように、第1の連続印刷モードでは、カッター8の切断動作後に、第2ページの印刷動作を再開しても、記録媒体201の最初の搬送動作は搬送方向Yに対して戻し方向(-Y方向)となる。従って、記録媒体201がカッター8の切断位置Cより下流側に搬送されることはない。よって、第2ページの印刷動作と、カッター8の戻り動作とを並行して実行可能となる。カッター8の戻り動作が終了し、且つ、3ライン目の画像503の記録も終了すると、4ライン目以降の印刷動作を継続することが可能である。
【0029】
<第1の連続印刷モードにおける印刷処理>
以下、本実施形態における第1の連続印刷モードでの一連の処理について、図5を用いて説明する。図5は、第1の連続印刷モードにおける印刷処理のフローチャートである。尚、図5に示す印刷処理は、印刷データを受信すると開始する。また、図5に示す各ステップの処理は、制御部400のCPUによって実行される。
【0030】
ステップS101において、CPUは、記録媒体201を画像記録の開始位置まで搬送する。尚、以降では「ステップS~」を「S~」と略記する。
【0031】
S102において、CPUは、1ライン分の画像記録を実行する。
【0032】
S103において、CPUは、記録媒体201を単位搬送量F分搬送する。本ステップにより、記録媒体201は、次のラインの画像記録位置まで搬送される。
【0033】
S104において、CPUは、1ライン分の画像記録を実行する。
【0034】
S105において、CPUは、最終ラインの画像記録が終了したか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S106に進む一方、該判定結果が偽の場合、S103に戻る。
【0035】
S106において、CPUは、次のページの印刷データを受信しているか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S109に進む一方、該判定結果が偽の場合、S107に進む。
【0036】
S107において、CPUは、記録媒体201を切断位置までの搬送量L1分搬送する。本ステップにより、ページの後端位置Bがカッター8の切断位置Cまで移動する。
【0037】
S108において、CPUは、カッター8を動作させることで、記録媒体201をページの後端位置Bで切断する。その後、CPUは、記録媒体201を戻し方向(-Y方向)に待機位置まで戻し、印刷処理は終了する。
【0038】
S109において、CPUは、これから記録対象となる次ページ(対象ページとも呼ばれる)の前ページの切断動作を保留し、記録媒体201を次ページの画像記録の開始位置まで搬送する。
【0039】
S110において、CPUは、カッター8を、前ページの印刷途中で位置していた第1の待機位置から第2の待機位置へ移動する。
【0040】
S111において、CPUは、1ライン分の画像記録を実行する。
【0041】
S112において、CPUは、単位搬送量Fと切断位置までの搬送量L1とに基づいて、 切断動作を行うか、具体的には、(2×F)≧L1を満たすか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S115に進む一方、該判定結果が偽の場合、S113に進む。
【0042】
S113において、CPUは、記録媒体201を単位搬送量F分搬送する。
【0043】
S114において、CPUは、1ライン分の画像記録を実行し、その後、S112において、CPUは、(2×F)≧L1を満たすか再び判定する。
【0044】
S115において、CPUは、記録媒体201を切断位置までの搬送量L1分搬送する。
【0045】
S116において、CPUは、カッター8を動作させることで、記録媒体201を前ページの後端位置Bで切断する。
【0046】
S117において、CPUは、カッター8を第1の待機位置まで戻すための戻り動作を実行する。
【0047】
S118において、CPUは、記録媒体201を戻し方向(-Y方向)に(L1-F)分だけ搬送する。本ステップにより、記録媒体201は、次のラインの画像記録位置に搬送される。
【0048】
S119において、CPUは、1ライン分の画像記録を実行する。
【0049】
ここで、印刷動作の再開となる記録媒体201の戻し方向(-Y方向)への搬送動作(S118)及び画像記録動作(S119)は、カッター8の戻り動作(S117)と並行して実行している。カッター8の戻り動作(S117)と画像記録動作(S119)との両方が終了すると、S103に進む。そして、S103における、次のラインの画像記録位置まで記録媒体201を搬送するための単位搬送量F分の搬送と、S104における1ライン分の画像記録とを繰り返す。
【0050】
このように本実施形態では、第1の連続印刷モードで連続印刷を行う場合、前ページの切断動作を次ページの印刷動作途中に実行している。また、前ページの切断動作後の印刷動作再開となる記録媒体201の戻し方向への搬送動作(S118)と画像記録動作(S119)とを、カッター8の戻り動作(S117)と並行して実行できるように前ページの切断動作タイミングを調整している。
【0051】
尚、前述の形態では、前ページ(第1ページ)の切断動作を次ページ(第2ページ)の2ライン目の印刷動作終了後に実行しているが、前ページの切断動作を実行するタイミングはこれに限らない。例えば、次ページ(第2ページ)の1ライン目印刷動作の終了後や、次々ページ(第3ページ)の3ライン目印刷動作の終了後のように、次ページ(第2ページ)の印刷動作以降であれば良い。前ページの切断動作を実行するタイミングは、印刷データの余白条件や切断位置Cの位置等によって変化する。
【0052】
また、前述の形態では、次のラインの画像記録位置へ記録媒体を搬送するための単位搬送量Fを、最上流ノズルH1と最下流ノズルH2との間の距離としているが、単位搬送量Fはこれに限らない。例えば、最上流ノズルH1と最下流ノズルH2との間の距離の1/4となるようなマルチパスの構成でも良い。
【0053】
また、前述の形態では、カッター8の動作方向は、キャリッジ4の走査方向と同一方向(X方向)としているが、例えば、Z方向のように異なる方向に動作して切断する構成でも良い。
【0054】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態では、連続印刷を行う場合、前ページの切断動作を次ページの印刷動作途中に実行し、次ページの印刷動作途中における切断動作のタイミングを、単位搬送量と切断位置までの搬送量とに基づき決定している。そして、ページ間で記録媒体201を待機位置まで戻し方向(-Y方向)に戻さずに次ページの画像記録の開始位置まで搬送し、且つ、切断動作のタイミングを切断後の搬送動作が戻し方向となるように調整している。このような構成にすることで、次ページの印刷動作再開となる記録媒体の戻し方向への搬送動作及び画像記録動作を、カッターの戻り動作と並行して実行することが可能になる。従って、連続印刷を行う場合、次ページの印刷開始位置までの搬送動作を効率的に行い、且つ、前ページの切断終了後の切断装置の切断待機位置への戻り動作も効率的に行うことが可能となり、スループットを向上できる。
【0055】
[第2の実施形態]
本実施形態では、連続印刷モードの切り替え制御について説明する。尚、以降では、既述の実施形態との差分について主に説明し、既述の実施形態と同様の構成については、同一符号を用いて、説明を適宜省略する。
【0056】
<第2の連続印刷モード>
以下、本実施形態における画像記録装置100でロール紙に連続して印刷するための第1の連続印刷モードとは異なるモード(第2の連続印刷モードとする)について、図6を用いて説明する。図6は、第2の連続印刷モードにおけるロール紙への連続印刷時の状態遷移を示す。
【0057】
図6の(a)及び(b)は、第1の連続印刷モードと同様の状態を示す(図4の(a)及び(b)参照)。そして、第2ページの印刷動作を開始する。キャリッジ4の往動または復動による1ライン分の主走査により1ライン目の画像501を記録した後の搬送に関しては、切断位置までの搬送量L1と次のラインの画像記録位置への搬送となる単位搬送量Fとの関係に応じて、搬送制御が異なる。
【0058】
図6の(c)は第2ページの印刷動作を継続し、2ライン目の画像502を記録する前の状態を示している。ここで、次のラインの画像記録位置へ搬送するための単位搬送量Fを、最上流ノズルH1と最下流ノズルH2との間の距離とする。図6の(b)に示す記録媒体201の位置において、単位搬送量Fと切断位置までの搬送量L1とに基づいて、切断動作を行うかの判定がなされる。具体的には、F<L1を満たすため、記録媒体201を図6の(b)に示す位置から搬送方向Yに対して送り方向(+Y方向)に単位搬送量F分搬送し、印刷動作を継続している。その後、2ライン目の画像502を記録する。
【0059】
次に、図6の(d)は、第2ページの印刷動作を継続し、3ライン目の画像503を記録する前の状態を示している。図6の(b)と同様に、図6の(c)に示す記録媒体201の位置において、単位搬送量Fと切断位置までの搬送量L1とに基づいて、切断動作を行うかの判定がなされる。具体的には、F<L1を満たすため、記録媒体201を図6の(c)に示す位置から搬送方向Yに対して送り方向(+Y方向)にF分搬送し、印刷動作を継続している。その後、3ライン目の画像503を記録する。
【0060】
次に、図6の(e)は第2ページの印刷動作を中断し、第1ページの切断動作を実行する前の状態を示している。図6の(d)に示す記録媒体201の位置において、単位搬送量Fと切断位置までの搬送量L1とに基づいて、F≧L1を満たすため、記録媒体201を図6の(d)に示す位置から搬送方向Yに対して送り方向(+Y方向)にL1分搬送し、印刷動作を中断する。
【0061】
図6の(f)は、第1ページの切断動作を実行した後の状態を示しており、カッター8が点線で示した第2の待機位置から実線で示した切断終了位置まで+X方向に移動することで、記録媒体201が第1ページの後端位置Bで切断される。
【0062】
次に、図6の(g)は、第2ページの印刷動作を再開する前の状態を示しており、カッター8が点線で示した切断終了位置から実線で示した第1の待機位置まで-X方向に戻る動作(カッター8の戻り動作とする)が行われる。
【0063】
図6の(h)は、第2ページの印刷動作を再開した状態を示している。記録媒体201は図6の(g)に示す位置から搬送方向Yに対して送り方向(+Y方向)に(F-L1)分搬送されることにより、4ライン目の画像504を記録する位置となる。その後、4ライン目の画像504を記録することで第2ページの印刷動作が再開される。このように、第2の連続印刷モードでは、カッター8の切断動作後に、カッター8の戻り動作が終了してから第2ページの印刷動作を再開する。そのため、第2の連続印刷モードは第1の連続印刷モードと比較すると、略カッター8の戻り動作分だけスループットが悪化する。一方、第1の連続印刷モードは第2の連続印刷モードと比較すると、カッター8の切断動作前に記録したラインの画像に対して、切断動作後に記録するラインまでの搬送量の絶対値が多くなるため搬送精度がその分悪化する虞がある。この理由は、第1の連続印刷モードでは、絶対値として切断位置までの搬送量L1分と(L1―F)分との合計分の搬送動作が行われるのに対して、第2の連続印刷モードでは、合計で単位搬送量F分の搬送動作しか行われないからである。ここで、第1の連続印刷モードにおける切断動作前の搬送量に相当する切断位置までの搬送量L1は、単位搬送量Fより多くなるため、第2の連続印刷モードより第1の連続印刷モードの方が、搬送量の絶対値が大きい。
【0064】
<第2の連続印刷モードにおける印刷処理>
以下、本実施形態における第2の連続印刷モードでの一連の処理について、図7を用いて説明する。図7は、第2の連続印刷モードにおける印刷処理のフローチャートである。尚、図7に示す印刷処理は、印刷データを受信すると開始する。また、図7に示す各ステップの処理は、制御部400のCPUによって実行される。
【0065】
S101~S111については、第1の実施形態と同様である(図5参照)。S111の後、S201に進む。
【0066】
S201において、CPUは、単位搬送量Fと切断位置までの搬送量L1とに基づいて切断動作を行うか、具体的には、F≧L1を満たすか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S204に進む一方、該判定結果が偽の場合、S202に進む。
【0067】
S202において、CPUは、記録媒体201を単位搬送量F分搬送する。
【0068】
S203において、CPUは、1ライン分の画像記録を実行し、その後、S201において、CPUは、F≧L1を満たすか再び判定する。
【0069】
S204において、CPUは、記録媒体201を切断位置までの搬送量L1分搬送する。
【0070】
S205において、CPUは、カッター8を動作させることで、記録媒体201を前ページの後端位置Bで切断する。
【0071】
S206において、CPUは、カッター8を第1の待機位置まで戻すための戻り動作を実行する。
【0072】
S207において、CPUは、記録媒体201を送り方向(+Y方向)に(F-L1)分だけ搬送する。本ステップにより、記録媒体201は、次のラインの画像記録位置に搬送される。
【0073】
S208において、CPUは、1ライン分の画像記録を実行する。S208の画像記録動作が終了し、次ラインの画像記録位置への搬送となる単位搬送量F分の搬送動作(S103)を実行した以降については、第1の連続印刷モードと同じ制御となる。
【0074】
このように本実施形態では、第2の連続印刷モードで連続印刷を行う場合、前ページの切断動作を次ページの印刷動作途中に実行している。また、前ページの切断動作を送り方向への搬送のみで実行できるように前ページの切断動作タイミングを調整している。
【0075】
<第3の連続印刷モード>
以下、本実施形態における画像記録装置100でロール紙に連続して印刷するためのモード(第3の連続印刷モードとする)について、図8を用いて説明する。図8は、第3の連続印刷モードにおけるロール紙への連続印刷時の状態遷移を示す。
【0076】
図8の(a)は、第1ページの印刷動作が終了した状態を示している。記録ヘッド3の搬送方向Yの最上流ノズルH1から最下流ノズルH2までのノズルを使用して記録媒体201への第1ページの印刷動作が終了している。
【0077】
図8の(b)は、第1ページの切断動作を実行する前の状態を示している。次の印刷データを受信していない場合でも、受信している場合でも、記録媒体208を図8の(a)に示す位置から搬送方向Yに対して送り方向(+Y方向)に切断位置までの搬送量L1分搬送する。
【0078】
図8の(c)は第1ページの切断動作を実行した後の状態を示しており、カッター8が点線で示した第1の待機位置から実線で示した切断終了位置まで+X方向に移動することで、第1ページが第1ページの後端位置Bで切断される。
【0079】
次に、図8の(d)は、第1ページの印刷動作を終了する状態を示しており、カッター8が点線で示した切断終了位置から実線で示した第1の待機位置まで-X方向に戻る動作(カッター8の戻り動作とする)が行われる。一方、記録媒体201は、図8の(c)に示す位置から搬送方向Yに対して戻し方向(-Y方向)に待機位置まで搬送される。尚、次の印刷データを受信している場合は、記録媒体201を図8の(d)に示す位置から画像記録の開始位置まで搬送することになる。
【0080】
そのため、第3の連続印刷モードは第1の連続印刷モード、又は、第2の連続印刷モードと比較すると、切断位置までの搬送量が多く、且つ、切断動作後の次ページの画像記録の開始位置までの搬送量も多くなるため、搬送動作を効率的に実行することができない。従って、スループットは悪化する。
【0081】
一方、第1の連続印刷モード、又は、第2の連続印刷モードでは、第2ページの印刷途中に切断動作が入るため切断動作前のラインの画像記録から切断動作後のラインの画像記録までの時間間隔が長くなり、時間間隔が他のラインと異なってしまう。そのため、画像記録動作と搬送動作とを交互に繰り返し、且つ、複数回のラインに分けて画像を形成するマルチパスにおいては、乾燥ムラが発生することにより、画質が悪化する虞がある。
【0082】
<第3の連続印刷モードにおける印刷処理>
以下、本実施形態における第3の連続印刷モードでの一連の処理について、図9を用いて説明する。図9は、第3の連続印刷モードにおける印刷処理のフローチャートである。尚、図9に示す印刷処理は、印刷データを受信すると開始する。また、図9に示す各ステップの処理は、制御部400のCPUによって実行される。
【0083】
S101~S105については、第1の連続印刷モードや第2の連続印刷モードと同様である(図5図7参照)。
【0084】
S105の後、次のページの印刷データを受信しているか否かにかかわらず、S301において、CPUは、記録媒体201を切断位置までの搬送量L1分搬送する。本ステップにより、ページの後端位置Bがカッター8の切断位置Cに移動される。
【0085】
S302において、CPUは、カッター8を動作させることで、記録媒体201をページの後端位置Bで切断する。その後、CPUは、記録媒体201を戻し方向(-Y方向)に待機位置まで戻し、印刷処理は終了する。
【0086】
尚、次の印刷データを受信している場合は、待機位置に戻っている記録媒体201を画像記録の開始位置まで再び搬送し(S101)、画像を記録していく。このように第3の連続印刷モードでは、連続印刷を行う場合に、ページの切断動作をページ毎に実行するように切断動作タイミングを調整している。
【0087】
<連続印刷モードの切り替え制御方法>
以下、本実施形態における連続印刷モードの切り替え制御方法について、図10を用いて説明する。図10は、連続印刷モードの切り替えの際に用いるテーブル(連続印刷モードの切り替え用テーブルとする)の一例を示す。
【0088】
図10に示す例では、連続印刷モードとして、第1の連続印刷モード、第2の連続印刷モード、及び、第3の連続印刷モードがある。また、印刷データとして、キャリッジ4の速度を速くしたり、1ラインあたりの搬送量を多く設定するスループット優先のものから、キャリッジ4の速度を遅くしたり、1ラインあたりの搬送量を少なく設定する画質優先のものまで、3種類の印刷データがある。プリンタドライバ301の印刷モード設定部302は、この3種類の中から何れかを設定可能である。ここで、スループットについては、第1の連続印刷モード、第2の連続印刷モード、第3の連続印刷モードの順に良い。一方、画質については、第3の連続印刷モード、第2の連続印刷モード、第1の連続印刷モードの順に良い。従って、印刷データがスループットを優先する場合は、第1の連続印刷モードを適用し、スループットと画質とのバランスをとりたい場合は、第2の連続印刷モードを適用し、画質を優先する場合は、第3の連続印刷モードを適用する。このように、連続印刷モードを切り替えることにより、印刷データに適した印刷動作を選択的に実行することができる。
【0089】
尚、前述の形態では、連続印刷モードを印刷データによって切り替えたが、連続印刷モードを記録媒体の種類に応じて切り替えても良い。
【0090】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態では、連続印刷を行う場合、印刷データに応じて連続印刷モードを切り替えている。そのため、スループットを優先する場合でも、画質を優先する場合でも、最適な印刷動作を実行することができる。
【0091】
[第3の実施形態]
本実施形態では、第1の連続印刷モードをフチなし印刷における先端カット動作に展開した変形例について説明する。
【0092】
<フチなし印刷動作のフチなし先端カット時の制御>
以下、本実施形態におけるロール紙へのフチなし印刷動作のフチなし先端カット時の制御について、図11を用いて説明する。図11は、ロール紙へのフチなし印刷動作を行ったときの状態遷移を示す図である。
【0093】
図11の(a)は、記録媒体201を画像記録の開始位置に搬送した状態を示している。フチなし印刷では、記録媒体201のうちの画像が記録された領域(画像記録領域とする)をカッター8で切断することで、出力物を生成するため、先端カット位置Tは、画像記録領域となる。従って、搬送方向Yに対して、カッター8の切断位置Cと先端カット位置Tとの間の距離が切断位置までの搬送量L1となる。本実施形態でも、フチなし印刷動作を開始し、キャリッジ4の往動または復動による1ライン分の主走査により1ライン目の画像501を記録した後の搬送に関しては、第1の実施形態と同様に、搬送量L1と単位搬送量Fとの関係に応じて、搬送制御が異なる。
【0094】
図11の(b)は、印刷動作を継続し、2ライン目の画像502を記録する前の状態を示している。ここで、次のラインの画像記録位置へ搬送するための搬送量(単位搬送量Fとする)を、最上流ノズルH1と最下流ノズルH2との間の距離とする。図11の(a)に示す記録媒体201の位置において、単位搬送量Fと切断位置までの搬送量L1とに基づいて、切断動作を行うかの判定がなされる。具体的には、(2×F)<L1を満たすため、記録媒体201を図11の(a)に示す位置から搬送方向Yに対して送り方向(+Y方向)に単位搬送量F分搬送し、印刷動作を継続している。その後、2ライン目の画像502を記録する。
【0095】
次に、図11の(c)は、印刷動作を中断し、フチなし先端カット動作を実行する前の状態を示している。図11の(b)に示す記録媒体201の位置において、単位搬送量Fと切断位置までの搬送量L1とに基づいて、切断動作を行うかの判定がなされる。具体的には、(2×F)≧L1を満たすため、記録媒体201を図11の(b)に示す位置から搬送方向Yに対して送り方向(+Y方向)にL1分搬送し、印刷動作を中断する。
【0096】
図11の(d)は、フチなし先端カット動作を実行した後の状態を示しており、カッター8が点線で示した第1の待機位置から実線で示した切断終了位置まで+X方向に移動することで、記録媒体201が先端カット位置Tで切断される。
【0097】
次に、図11の(e)は、フチなし印刷動作を再開した状態を示している。ここで、カッター8について、点線で示した切断終了位置から実線で示した第1の待機位置まで-X方向に戻る動作(カッター8の戻り動作とする)が行われる。一方、記録媒体201は図11の(d)に示す位置から搬送方向Yに対して戻し方向(-Y方向)に(L1-F)分搬送されることにより、3ライン目の画像503を記録する位置となる。その後、3ライン目の画像503を記録することでフチなし印刷動作が再開される。このように、フチなし先端カット動作後に、フチなし印刷動作を再開しても、記録媒体201の最初の搬送動作は搬送方向Yに対して戻し方向(-Y方向)となるため、記録媒体201がカッター8の切断位置Cより下流側に搬送されることはない。従って、フチなし印刷動作と、カッター8の戻り動作とを並行して実行可能となる。カッター8の戻り動作が終了し、且つ、3ライン目の画像503の記録も終了すると、4ライン目以降の印刷動作を継続することが可能である。
【0098】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態では、フチなし印刷動作途中におけるフチなし先端カット動作のタイミングを、単位搬送量と切断位置までの搬送量とに基づき決定している。そして、切断後の搬送動作が戻し方向となるように、フチなし先端カット動作のタイミングを調整している。このような構成にすることで、次ページの印刷動作再開となる記録媒体の戻し方向への搬送動作及び画像記録動作を、カッターの戻り動作と並行して実行することが可能になる。従って、フチなし先端カット動作後のカッターの戻り動作を効率的に行うことが可能になり、スループットを向上できる。
【0099】
[その他の実施形態]
本発明は、前述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。また、前述の実施形態は、適宜組み合わせて用いてよい。
【符号の説明】
【0100】
3 記録ヘッド
8 カッター
31 搬送ローラ対
100 画像記録装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11