(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】作業システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240902BHJP
B28C 7/16 20060101ALI20240902BHJP
E04G 21/04 20060101ALI20240902BHJP
F04B 49/06 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
H04Q9/00 331Z
B28C7/16
E04G21/04
F04B49/06
(21)【出願番号】P 2020025975
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真聡
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 翔平
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-206344(JP,A)
【文献】特開2003-284159(JP,A)
【文献】国際公開第2019/020192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
B28C 7/16
E04G 21/04
F04B 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
車両本体に設けられ、対象物を送出するためのポンプを制御する制御器と、
車両本体に設けられ、制御器による制御状況を送信する送信器と、
前記ポンプに接続され、車両本体から延長するブームに配設されたホースの遠隔端部付近に設置され、前記送信器からの制御状況を受信し、当該受信した制御状況を、前記ホースの先端部付近にいる作業者の有する表示器に転送する中継器と、
前記中継器から制御状況を受信し、表示部に表示する表示器と、
を備えた作業システムであって、
前記中継器の転送手段は、送信器からの信号を受信できない場合、送信機信号不受信の旨を表示器に送信し、
前記表示器の表示手段は、前記中継器から送信機信号不受信を受信するとこれを表示部に表示し、前記中継器からの信号を受信できない場合、中継器信号不受信の旨を表示器に表示することを特徴とする作業システム。
【請求項2】
対象物を送出するためのポンプを制御する制御器による制御状況を送信する送信器と、
前記ポンプに接続されたホースの遠隔端部付近に設置され、前記送信器からの制御状況を受信し、当該受信した制御状況を、前記ホースの先端部付近にいる作業者の有する表示器に転送する中継器と、
前記中継器から制御状況を受信し、表示部に表示する表示器と、
を備えたモニタシステムであって、
前記中継器の転送手段は、送信器からの信号を受信できない場合、送信機信号不受信の旨を表示器に送信し、
前記表示器の表示手段は、前記中継器から送信機信号不受信を受信するとこれを表示部に表示し、前記中継器からの信号を受信できない場合、中継器信号不受信の旨を表示器に表示することを特徴とするモニタシステム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかのシステムにおいて、
前記中継器は、電池によって駆動するよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1または2のいずれかのシステムにおいて、
前記中継器は、交流電源によって駆動するよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項5】
対象物を処理するために対象物を収納する処理容器と、
処理容器に設けられ、対象物を処理する処理器を制御する制御器と、
処理容器に設けられ、制御器による制御状況を送信する送信器と、
処理容器から離れた位置に設置され、前記送信器からの制御状況を受信し、当該受信した制御状況を、表示器に転送する中継器と、
前記中継器から制御状況を受信し、表示部に表示する表示器と、
を備えた処理システムであって、
前記中継器の転送手段は、送信器からの信号を受信できない場合、送信機信号不受信の旨を表示器に送信し、
前記表示器の表示手段は、前記中継器から送信機信号不受信を受信するとこれを表示部に表示し、前記中継器からの信号を受信できない場合、中継器信号不受信の旨を表示器に表示することを特徴とする処理システム。
【請求項6】
対象物を処理する処理装置を制御する制御器と、
制御器の近傍に設けられ、制御器による制御状況を送信する送信器と、
制御器から離れた位置に設置され、前記送信器からの制御状況を受信し、当該受信した制御状況を、表示器に転送する中継器と、
前記対象物の処理状況をモニタするために、前記中継器から制御状況を受信し、表示部に表示する表示器と、
を備えた処理システムであって、
前記中継器の転送手段は、送信器からの信号を受信できない場合、送信機信号不受信の旨を表示器に送信し、
前記表示器の表示手段は、前記中継器から送信機信号不受信を受信するとこれを表示部に表示し、前記中継器からの信号を受信できない場合、中継器信号不受信の旨を表示器に表示することを特徴とする処理システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかのシステムにおいて、
前記表示器は、スマートフォンであることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、離れた位置において機器の状況をモニタすることのできる作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートポンプ車においては、車両においてコンクリートポンプなどの制御を行い、その制御状況も車両に設けられた表示器によってモニタするようにしている。
【0003】
したがって、作業者は、制御状況をモニタしながら作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来技術においては次のような問題があった。
【0006】
図14に示すように、コンクリートポンプ車20の使用時には、コンクリートを流し込む作業位置において、コンクリートが適切に流し込まれるように、コンクリートホース12の先端を作業者3が調整したり確認したりする。
【0007】
このように、作業者は車両から離れた位置にいるため、制御状況を確認するためには車両まで行かなければならず効率が良くなかった。たとえば、コンクリートがホースから吐出されなくなったときに、コンクリートがホースの中で詰まっているのか(閉塞)、コンクリートがなくなったのか、その他の原因であるのかを知るためには、車両まで行って、表示器を確認しなければならなかった。
【0008】
このような状況を解決するため、たとえば、特許文献1にあるように、車両にある制御器による制御状況を無線通信にて送信し、作業者の有するユニットにおいて受信して制御状況を表示することが提案されている。
【0009】
しかし、特許文献1のようなシステムを適用した場合、作業者に専用のユニットを携帯させなければならず、システム運用のコストが大きかった。また、作業者が専用ユニットを誤って持ち帰ってしまうと、他の作業者は制御状況を確認できないという問題があった。
【0010】
また、上記のような問題点は、コンクリートポンプ車だけでなく、離れた位置から制御状況を確認する必要のあるスケールダンプ、石灰などの粉粒体をホースを伝って噴出させる粉粒体運搬車など他の作業車両においても同様であった。
【0011】
さらに、乾燥コンテナなど、作業時間を要する機器における制御状況を、離れた事務室などから確認する必要がある場合も同様の問題が生じていた。
【0012】
この発明は、上記のような問題を解決して、専用のユニットを必要としない作業システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の独立して適用可能な特徴を以下に列挙する。
【0014】
(1)-(4)この発明に係る作業システムは、車両本体と、車両本体に設けられ、対象物を送出するためのポンプを制御する制御器と、車両本体に設けられ、制御器による制御状況を送信する送信器と、前記ポンプに接続され、車両本体から延長するブームに配設されたたホースの遠隔端部付近に設置され、前記送信器からの制御状況を受信し、当該受信した制御状況を、前記ホースの先端部付近にいる作業者の有する表示器に転送する中継器と、前記中継器から制御状況を受信し、表示部に表示する表示器とを備えている。
【0015】
したがって、専用のユニットを必要とせず、ホース先端部において作業を行う作業員が制御状況を確認することができる。また、中継器と表示器とを分離しているので、一台の中継器について、複数の表示器にて表示を行うことができる。
【0016】
(5)この発明に係るシステムは、中継器が、電池によって駆動するよう構成されていることを特徴としている。
【0017】
したがって、商用交流電源がなくとも駆動させることができる。
【0018】
(6)この発明に係るシステムは、中継器が、交流電源によって駆動するよう構成されていることを特徴としている。
【0019】
したがって、電池切れによる動作停止のおそれがない。
【0020】
(7)この発明に係るシステムは、中継器の転送手段が、送信器からの信号を受信できない場合、送信機信号不受信の旨を表示器に送信し、前記表示器の表示手段は、送信機信号不受信を表示部に表示することを特徴としている。
【0021】
したがって、表示器をみる作業者は、現在の表示が最新の状況のものであるか否かを判断することができる。
【0022】
(8)この発明に係るシステムは、表示器の表示手段が、中継器からの信号を受信できない場合、中継器信号不受信の旨を表示器に表示することを特徴としている。
【0023】
したがって、表示器をみる作業者は、現在の表示が最新の状況のものであるか否かを判断することができる。
【0024】
(9)この発明に係る処理システムは、対象物を処理するために対象物を収納する処理容器と、処理容器に設けられ、対象物を処理する処理器を制御する制御器と、処理容器に設けられ、制御器による制御状況を送信する送信器と、処理容器から離れた位置に設置され、前記送信器からの制御状況を受信し、当該受信した制御状況を、表示器に転送する中継器と、前記中継器から制御状況を受信し、表示部に表示する表示器とを備えている。
【0025】
したがって、専用のユニットを必要とせず、処理容器から離れた場所において、制御状況を容易に把握することができる。
【0026】
(10)この発明に係るシステムは、対象物を処理する処理装置を制御する制御器と、制御器の近傍に設けられ、制御器による制御状況を送信する送信器と、制御器から離れた位置に設置され、前記送信器からの制御状況を受信し、当該受信した制御状況を、表示器に転送する中継器と、前記対象物の処理状況をモニタするために、前記中継器から制御状況を受信し、表示部に表示する表示器とを備えている。
【0027】
したがって、専用のユニットを必要とせず、離れた位置において制御状況を把握することができる。
【0028】
(11)この発明に係るシステムは、表示器が、スマートフォンであることを特徴としている。
【0029】
したがって、専用の表示器を用いなくともシステムを構築することができる。
【0030】
「受信手段」は、実施形態においては、ステップS23がこれに対応する。
【0031】
「転送手段」は、実施形態においては、ステップS25がこれに対応する。
【0032】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】この発明の一実施形態による作業システムのシステム構成図である。
【
図5】スマートフォン10のハードウエア構成である。
【
図9】スマートフォン10に表示された画面例である。
【
図10】他の例による作業システムのシステム構成図である。
【
図11】乾燥コンテナ94に適用した場合の例である。
【
図12】乾燥コンテナ94に適用した場合のシステム構成図である。
【
図13】スマートフォン10に表示された画面例である。
【
図14】コンクリートポンプ車12の使用時の状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
1.システム構成
図1に、この発明の一実施形態による作業システムのシステム構成を示す。ポンプ2は、コンクリートホース12にコンクリートを送り込む。制御器4は、このポンプ2を制御し、コンクリートの送り出し量などをコントロールする。送信器6は、制御器による制御状況を無線送信する。
【0035】
コンクリートホース12の先端部には中継器8が設けられている。中継器8は、送信器6からの制御状況を受信する。コンクリートホース10の先端部にて作業を行っている作業者は、スマートフォンである表示器10を有している。中継器8は、この表示器10に対して、受信した制御状況を転送する。表示器10は、この制御状況を表示するので、作業者は、コンクリートホースの先端部においてもこれを確認することができる。
【0036】
中継器8があれば、複数台の表示器10に対して制御状況を転送して表示させることができる。各作業者は表示器10さえ持っていればいいので、システム構築が容易である。特に、表示器10としてスマートフォンを用いれば、なおさらである。
【0037】
図2に、コンクリートポンプ車20、作業者3を含む全体を示す。コンクリートポンプ車20には、コンクリート容器5が設けられている。このコンクリート容器5に対し、コンクリートミキサー車22がコンクリートが供給される。
【0038】
コンクリートポンプ車20には、コンクリートポンプ(図示せず)が設けられており、コンクリートホース12にコンクリートを送り出す。コンクリートの送り出し量は、制御器4によって制御される。
【0039】
コンクリートホース12は、コンクリートポンプ車20のブーム14に沿って配置されている。ブーム14を制御し、コンクリートホース12の先端部が、コンクリートを流し込むべき位置にくるようにする。
【0040】
制御器4の近傍には、送信器6が設けられている。この送信器6は、制御器4による制御状況を無線送信する。
【0041】
コンクリートホース12の先端部には、中継器8が設けられている。この中継器8は、送信器6からの制御状況を受信し、ブルーツース(商標)通信によって、作業者3の有するスマートフォン10に転送する。
【0042】
図3に、コンクリートポンプ車20の制御器4周辺の詳細を示す。この実施形態では、制御器4をPLCによって構成している。コントロールパネル40は、制御器4に対して指令を与えるスイッチや、制御状況を示すディスプレイを備えている。制御器4は、コントロールパネル40により、作業者3からの指令を受けて、コンクリートポンプ30を制御する。なお、作業者3は、無線操作器(図示せず)を携行しており、この無線操作器からも制御器4に指令を与えることができる。無線操作器は、指令を与えるためのスイッチ類を有しているが、制御状況を示すディスプレイなどは有していない。
【0043】
コンクリートポンプ30は、コンクリート容器5のコンクリートを、コンクリートホース12に送り出す。その送り出し量(単位時間あたりの送り出し量)は、油圧ポンプ32から送り出されるオイルの量によって決定される。
【0044】
この油圧ポンプ32から1回転あたりに送り出されるオイル量を、制御器4によって制御している。また、油圧ポンプ32には、エンジン36の回転がPTO34を介して伝達される。制御器4は、車両全体を制御する車両側ECU38に対して、エンジン36の回転数の制御指令を出して、油圧ポンプ32の回転数を制御する。したがって、制御器4は、油圧ポンプ32の回転数と、1回転あたりに送り出されるオイル量とを制御して、コンクリートの送出量を制御している。
【0045】
油圧ポンプ32には、回転センサ42が設けられ、その回転数が計測される。油圧ポンプ32の出力側には、オイルの温度を計測する温度センサ44、オイルの圧力を計測する圧力センサ46が設けられている。コンクリート容器5には、容器内のコンクリート量を計測するコンクリート量センサ48が設けられている。
【0046】
制御器4は、これらセンサの出力を取得して制御状況を把握し、コントロールパネル40に表示するとともに、送信器50に出力する。送信器50は、920MHzまたは429MHzの特定小電力無線によって、制御状況を中継器に送信する。
【0047】
なお、図示していないが、制御器4は、ブーム14の角度や、車両20を安定させるためのジャッキのためのシリンダも制御している。
【0048】
図4に、中継器8のハードウエア構成を示す。CPU50には、メモリ52、不揮発性メモリ54、特定小電力無線通信回路56、ブルーツース通信回路58が接続されている。特定小電力無線通信回路56は、特定小電力無線通信によって、送信器50との通信を行う。ブルーツース(商標)通信回路58は、ブルーツース(商標)によって、スマートフォン10との通信を行う。中継プログラム62は、オペレーティングシステム60と協働してその機能を発揮する。
【0049】
なお、中継器8のこれらハードウエアは、中継器8に設けられた電池(乾電池または充電池)によって駆動する。
【0050】
図5に、スマートフォン10のハードウエア構成を示す。CPU70には、メモリ72、タッチディスプレイ74、不揮発メモリ76、通信回路78、ブルーツース通信回路80が接続されている。なお、図において通話回路などは省略している。通信回路78は、インターネットに接続するための回路である。ブルーツース(商標)通信回路80は、ブルーツース(商標)によって、中継器8との通信を行う。
【0051】
表示プログラム84は、オペレーティングシステム82と協働してその機能を発揮する。表示プログラム84は、インターネット上のサーバ装置などからダウンロードしてインストールしたものである。
【0052】
2.モニタリング処理
図6に、作業システムの動作フローチャートを示す。コンクリートポンプ30を制御する制御器4は、コントロールパネル40からの指令を受けて制御を行っている。この際、制御器4は、
図3に示す、油圧ポンプ32の回転センサ42、オイルの温度センサ44、圧力センサ46、コンクリート量センサ48等の出力を取得する(ステップS1)。制御器4は、取得した上記センサ42、44、46、48の出力値およびコントロールパネル40のいずれのスイッチがオンであるか等を現在の制御状況として出力する(ステップS2)。また、制御状況には、これらセンサの値やスイッチの状態に基づいて算出したものも含まれる。
【0053】
たとえば、コンクリートの送り出し量であれば、V×R×Aによって算出することができる。ここで、Vは、コントロールパネル40からの指令に基づき、制御器4が油圧ポンプ32に与えた、油圧ポンプ32の1回転あたりの送出量である。Rは、回転センサ42によって取得した油圧ポンプ32の回転数である。Aは、作動油量をコンクリート吐出量に変換する定数であり、コンクリートポンプ毎に定まっている。制御器4は、センサの値やスイッチの状態によって示される制御状況に加えて算出した現在の制御状況を、送信器50に伝達する(ステップS2)。
【0054】
なお、制御器4は、このようにして得た現在の制御状況を、コントロールパネル40において表示させる(ステップS3)。これにより、コントロールパネル40を操作する操作者が、現在の制御状況を知ることができる。
【0055】
送信器50は、制御器4から制御状況を取得し(ステップS11)、特定小電力無線通信回路56により、中継器8に送信する(ステップS12)。
【0056】
図4に示す中継器8のCPU50(以下、中継器8と省略することがある)は、送信器50からデータを受信したかどうかを判断する(ステップS22)。データを受信すれば、受信した制御状況データをメモリ52に記録する(ステップS23)。
【0057】
また、電波状況などにより、所定時間にわたって送信器50からのデータが受信できない場合には(ステップS21)、データ不受信の旨をメモリ52に記録する(ステップS24)。
【0058】
中継器8は、メモリ52に記録された制御状況データ、あるいはデータ不受信の旨を示すデータを、ブルーツース通信回路58によって、スマートフォン10に送信する(ステップS25)。
【0059】
図5に示すスマートフォン10のCPU70(以下、スマートフォン10と省略することがある)は、中継器8からデータを受信したかどうかを判断する(ステップS32)。データを受信すれば、中継器8からのデータをメモリ72に記録する(ステップS33)。
【0060】
中継器8は、受信したデータが、制御状況を示すデータであれば(ステップS34)、タッチディスプレイ74にこれを表示する(ステップS35)。
【0061】
図9に、表示された制御状況を示す。オイルの圧力、温度が、油圧、油温として示されている。油圧は、バーグラフとして表示されている。バーグラフは左端からスタートし、圧力が大きくなるほど右側に延びていくように表示される。油圧の警告値(これ以上大きくなると危険となる油圧)が、マーク90および数値(図では39.4MPa)によって示されている。
【0062】
バーグラフは0に近いときは緑色(あるいは青色)、中間の値では黄色、警告値に近づくとオレンジ色、警告値を超えると赤色にて彩色表示されるようになっている。これにより、油圧が、警告値を超えているかどうかを一目で判断することができる。油温も同様に表示されている。
【0063】
コンクリート残量は、センサ48によって取得された、コンクリート容器5に残っているコンクリートの残量である。残量が多くなるにつれ、横線が上昇する。少ないときは、赤色、中間で黄色、多いときは緑で表示されるようになっている。ポンプ回転数は、油圧ポンプ32の回転数である。
【0064】
右上に表示されている接続ボタン91、切断ボタン93は、中継器8とのブルーツース(商標)による通信を制御するためのボタンである。作業者が、接続ボタン91を押すと通信接続状態となり、切断ボタン93を押すと通信非接続状態となる。現在接続中であるか否かは、ブルーツース(商標)通信状態表示部95に表示される。
【0065】
製造番号は、制御器4から送信されてきたコンクリートポンプ車20の製造番号である。機種選択は、プルダウンメニューによって、作業者がコンクリートポンプ車の機種を選択するものである。スマートフォン10は、選択された機種に応じて、
図9の表示画面に表示すべき内容(表示項目または警告値など)を変更する。なお、制御器4から機種に関するデータを受信するようにすれば、この選択は不要である。
【0066】
非常停止は、コンクリートポンプ車20のコントロールパネル40やその他の箇所に設けられた非常停止ボタンがONにされたか否かを示すものである。エラー情報は、制御器4から送られてきたエラー情報(エラー発生日時とコード、エラーの概要など)を表示するものである。
図9においては示されていないが、中継器8が送信器50からの電波を受信しているかどうかを表示するようにしてもよい。ラジコンは、作業者3の携帯する無線操作器からの電波がコンクリートポンプ車20の制御器4において受信されているかどうかを示すものである。図においては、表示欄97に未接続である旨が示されている。よって、作業者3が操作した信号が、コンクリートポンプ車20まで到達していないことがわかる。
【0067】
以上のようにして、作業者3は、スマートフォン10の画面により制御状況を確認することができる。たとえば、コンクリート残量があり、油圧が所定値(本来ならコンクリートが送り出される圧力)を示しているにも拘わらず、コンクリートがコンクリートホース12の先端から出てこない場合には、コンクリートがホース12のいずれかで閉塞していると判断することができる。このように、作業をしている場所において制御状況を知ることにより、適切な措置を迅速にとることが可能となる。
【0068】
なお、前述の算出したコンクリートの送り出し量を、
図9の表示画面に併せて表示してもよく、リセットしたときからの積算の送り出し量を示したときには、その日の作業量や、各部品の消耗度を判断することができる。
【0069】
スマートフォン10は、電波状況やペアリング不備などにより、所定時間にわたって中継器8からのデータが受信できない場合には(ステップS31)、データ不受信の旨を表示する(ステップS36)。すなわち、
図9のブルーツース(商標)通信状態表示部95に切断中を表示するとともに、油圧、油温、ポンプ回転数の欄に、データ無し(たとえば、「-」、「null」、「*」)を表示する。これにより、作業者は、現在の表示が最新のものであるか否かを知ることができる。
【0070】
スマートフォン10は、中継器8から受信したデータが、制御状況の不受信を示すデータであった場合も(ステップS34)、データ不受信の旨を表示する(ステップS36)。この場合には、油圧、油温、ポンプ回転数の欄に、データ無し(たとえば、「-」、「null」、「*」)を表示する。これにより、作業者は、現在の表示が最新のものであるか否かを知ることができる。
【0071】
3.その他
(1)上記実施形態では、中継器8は、コンクリートホース12の先端部に設けるようにしている。しかし、ブーム14の先端に設けてもよく、作業者3が中継器8を携帯するようにしてもよい。
【0072】
(2)上記実施形態では、作業者3が、スマートフォン10にて制御状況をモニタするようにしている。しかし、これに代えて、あるいはこれに加えて、スマートフォン10が制御状況をインターネット上のサーバ装置に送信するようにしてもよい。複数の現場における制御状況を、サーバ装置に集約して記録すれば、管理事務所などから端末装置によってアクセスし、各現場の状況を把握することができる。
【0073】
(3)上記実施形態では、送信器6は、特定小電力無線を用いている。しかし、Wifiなどを用いてもよい。また、中継器8とスマートフォン10との間は、ブルーツース(商標)を用いている。しかし、Wifi、Air Drop(商標)、Zig bee(商標)などの近距離無線通信を用いてもよい。
【0074】
(4)上記実施形態では、中継器8は電池駆動としているが、商用電源を電源として用いるようにしてもよい。
【0075】
(5)上記実施形態では、コンクリートポンプ車に適用した場合について説明した。しかし、離れた位置から確認を行う必要のある作業車両にも同様に適用することができる。たとえば、流動体のコンクリートではなく、石灰などの粉粒体をホースを伝って噴出させるジェットパック(商標)車にも適用できる。同様に、ガソリン・灯油などの液体をホースを伝って吐出するタンクローリ車にも適用することができる。これらのシステム構成は、
図1と同様である。
【0076】
また、
図10に示すように、スケールダンプにも同様に適用することができる。スケール付き特装車(スケール付きダンプトラックやスケール付き塵芥車など)には、搭載物の重量を計測するためのスケール9が設けられている。制御器4は、このスケール9による計測データを送信器6に与える。送信器6は、計測データを、特定小電力無線によって、作業者3の携帯する中継器8に送信する。中継器8は、計測データを表示器10(スマートフォン)に送信し、表示器10(スマートフォン)は、これを表示する。
【0077】
したがって、スケールダンプから離れた位置にいる作業者であっても、搭載物の重量を知ることができる。
【0078】
さらにまた、
図11に示すように、乾燥コンテナ94の制御状況を、事務室96などの離れた位置からモニタするためにも用いることができる。そのシステム構成を、
図12に示す。乾燥器98は、乾燥コンテナ94に乾燥空気を送り込んで、対象物を乾燥させる。制御器4は、乾燥器98を制御するものである。乾燥空気の温度を設定したり、あるいは、乾燥コンテナ94内に設けたセンサから乾燥状態を取得する。
【0079】
制御器4は、乾燥状態などを含む制御状況を送信器6に伝達する。送信器6は、特定小電力無線によってこれを、事務室内にある中継器8に送信する。中継器8は、受信した制御状況を、ブルーツースによって作業員3のスマートフォン10に送信する。作業員3は、スマートフォン10の画面により、制御状況を知ることができる。
【0080】
図13に画面表示例を示す。ブロワは、乾燥コンテナ94に接続された送風機が動作しているかどうかを示す。乾燥開始からの経過時間が示されている。また、乾燥コンテナ94のブロワ入口の温度(入口温度)、乾燥コンテナ94からの排気口の温度(出口温度)、乾燥コンテナ94内の対象物の含水率、その重量などが示されている。これらは、乾燥コンテナ94に設けられたセンサによって取得され、またはそれらから算出されて、送信器6から送信されたものである。さらに、対象物の1時間当たりの重量変化が示されており、乾燥開始からの重量変化も示されている。これは、上記センサの出力に基づいて、算出されて、送信器6から送信されたものである。
【0081】
なお、乾燥コンテナ94以外の、容器に入れた対象物を処理するシステムについても同様に適用することができる。