(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】保護帽
(51)【国際特許分類】
A42B 3/12 20060101AFI20240902BHJP
A42B 3/14 20060101ALI20240902BHJP
A42B 3/06 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A42B3/12
A42B3/14
A42B3/06
(21)【出願番号】P 2020039769
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-01-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】中山 文治
(72)【発明者】
【氏名】綿引 宏秋
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/059081(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第1116913(CN,A)
【文献】特開2010-095828(JP,A)
【文献】特開2015-212433(JP,A)
【文献】特開2005-273107(JP,A)
【文献】特開2001-073218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/12
A42B 3/14
A42B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椀状の帽体と、
前記帽体よりも剛性の低い材料で構成されており、周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置され、中央側部位が前記帽体から離れるようにして、前記帽体の内側に設けられたハンモックと、
板状に形成されている防護パッド本体部と、この防護パッド本体部の厚さ方向の一方の面から前記帽体側に突出している第1の衝撃吸収部とを備えて、前記帽体よりも剛性の低い材料で構成されており、周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置され、前記防護パッド本体部の中央側部位が前記帽体と前記ハンモックとの間で前記ハンモックから離れるようにして前記帽体の内側に設けられた防護パッドと、
を有し、前記ハンモックは、ハンモック本体部と、このハンモック本体部の中央側部位で前記ハンモック本体部から前記帽体側に突出している第2の衝撃吸収部とを備えて構成されており、前記ハンモック本体部の周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置されており、前記ハンモック本体部の中央側部位が前記帽体から離れており、
前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態で、前記第1の衝撃吸収部が前記ハンモック本体部から離れており、前記第2の衝撃吸収部が前記防護パッド本体部から離れており、前記
第1の衝撃吸収部と前記第2の衝撃吸収部とが互いに離れており、
前記ハンモックのハンモック本体部は、環状部位とこの環状部位から放射状に延出している延出部位とを備えて構成されており、
前記延出部位は、第1の左前側延出部位と、第2の左前側延出部位と、第1の右前側延出部位と、第2の右前側延出部位と、第1の左後側延出部位と、第2の左後側延出部位と、第1の右後側延出部位と、第2の右後側延出部位とで構成されており、
前記8本の延出部位のそれぞれには、前記第2の衝撃吸収部が設けられており、前記第2の衝撃吸収部は、前記延出部位の延出方向の中間部に配置されており、
前記防護パッド本体部は、環状部位とこの環状部位から放射状に延出している延出部位とを備えて構成されており、
前記延出部位は、前記環状部位から斜め前側および斜め後側に延出している4本の斜め方向延出部位を備えて構成されており、
前記第1の衝撃吸収部のうちの一部の第1の衝撃吸収部が、前記4本の斜め方向延出部位それぞれの先端部に配置されており、
前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の左前側延出部位と前記第2の左前側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの1本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の左前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の左前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記1本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、
前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の右前側延出部位と前記第2の右前側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの2本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の右前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の右前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記2本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、
前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の左後側延出部位と前記第2の左後側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの3本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の左後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の左後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記3本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、
前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の右後側延出部位と前記第2の右後側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの4本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の右後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の右後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記4本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、
前記防護パッド本体部は、前記環状部位から前側に延出している前側延出部位と、前記環状部位から後側に延出している後側延出部位とを備えて構成されており、
前側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部および前記後側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部は、非円筒である筒状に形成されており、
前記前側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部は、前記前側延出部位の先端部に配置されており、
前記前側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部をこの中心軸の延伸方向で見ると、外周や内周が前後方向および左右方向で長く形成されていることで「X」字状になっており、
前記後側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部は、前記後側延出部位の先端部に配置されており、
前記後側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部をこの中心軸の延伸方向で見ると、外周や内周が前後方向および左右方向で長く形成されていることで「X」字状になっていることを特徴とする保護帽。
【請求項2】
椀状の帽体と、
前記帽体よりも剛性の低い材料で構成されており、周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置され、中央側部位が前記帽体から離れるようにして、前記帽体の内側に設けられたハンモックと、
板状に形成されている防護パッド本体部と、この防護パッド本体部の厚さ方向の一方の面から前記帽体側に突出している第1の衝撃吸収部とを備えて、前記帽体よりも剛性の低い材料で構成されており、周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置され、前記防護パッド本体部の中央側部位が前記帽体と前記ハンモックとの間で前記ハンモックから離れるようにして前記帽体の内側に設けられた防護パッドと、
を有し、前記ハンモックは、ハンモック本体部と、このハンモック本体部の中央側部位で前記ハンモック本体部から前記帽体側に突出している第2の衝撃吸収部とを備えて構成されており、前記ハンモック本体部の周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置されており、前記ハンモック本体部の中央側部位が前記帽体から離れており、
前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態で、前記第1の衝撃吸収部が前記ハンモック本体部から離れており、前記第2の衝撃吸収部が前記防護パッド本体部から離れており、前記
第1の衝撃吸収部と前記第2の衝撃吸収部とが互いに離れており、
前記ハンモックのハンモック本体部は、環状部位とこの環状部位から放射状に延出している延出部位とを備えて構成されており、
前記延出部位は、第1の左前側延出部位と、第2の左前側延出部位と、第1の右前側延出部位と、第2の右前側延出部位と、第1の左後側延出部位と、第2の左後側延出部位と、第1の右後側延出部位と、第2の右後側延出部位とで構成されており、
前記8本の延出部位のそれぞれには、前記第2の衝撃吸収部が設けられており、前記第2の衝撃吸収部は、前記延出部位の延出方向の中間部に配置されており、
前記防護パッド本体部は、環状部位とこの環状部位から放射状に延出している延出部位とを備えて構成されており、
前記延出部位は、前記環状部位から斜め前側および斜め後側に延出している4本の斜め方向延出部位を備えて構成されており、
前記第1の衝撃吸収部のうちの一部の第1の衝撃吸収部が、前記4本の斜め方向延出部位それぞれの先端部に配置されており、
前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の左前側延出部位と前記第2の左前側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの1本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の左前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の左前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記1本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、
前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の右前側延出部位と前記第2の右前側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの2本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の右前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の右前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記2本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、
前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の左後側延出部位と前記第2の左後側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの3本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の左後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の左後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記3本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、
前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の右後側延出部位と前記第2の右後側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの4本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の右後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の右後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記4本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、
前記ハンモックのハンモック本体部は、前記第1の左後側延出部位と前記第1の右後側延出部位との間で前記ハンモックのハンモック本体部の環状部位から前記第1の左後側延出部位および前記第1の右後側延出部位よりも短く突出している防護パッド支持部を備えて構成されており、
前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態で、前記防護パッド支持部が、前記防護パッド本体部の後側延出部位の延出方向の中間部で防護パッド本体部に当接し、片持ち梁状になって前記防護パッド本体部の環状部位から延出している前記後側延出部位を前記帽体側に付勢していることを特徴とする保護帽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護帽に係り、特に、ハンモックと防護パッドとが帽体の内側に設けられているものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帽体と衝撃吸収ライナーとハンモックとヘッドバンドを備えて構成されている保護帽が知られている。この従来の保護帽は、飛来落下(頭頂部への衝撃)に対してハンモックの伸縮で衝撃を吸収することで着用者の頭部を保護している。また、上記従来の保護帽は、墜転落(前頭部後頭部への衝撃)に対して発泡スチロール製の衝撃吸収ライナーで衝撃を吸収することで、着用者の頭部を保護している。
【0003】
しかし、上記従来の保護帽では、発泡スチロール製の衝撃吸収ライナーの断熱効果が高いことで、着用者の頭部が蒸れることがある。
【0004】
また、特許文献1に示されている保護帽では、衝撃吸収ライナー(発泡スチロール)に代えて、ハンモックに筒状の衝撃吸収体を設けることで、飛来落下・墜転落の衝撃から着用者の頭部を保護しつつ、帽体内の通気性を良くして蒸れを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1で示される保護帽は、断熱効果が高い衝撃吸収ライナーをなくして、衝撃吸収体をハンモックに付けた構成であるため、軽量で通気性が良く洗いやすい。
【0007】
しかし、特許文献1で示される保護帽は、飛来落下(頭頂部への衝撃)を受けたときに、衝撃吸収体が帽体に接触することでハンモックの伸縮が阻害されてしまうおそれがある。そして、衝撃を十分に吸収できないおそれがあり、着用者の頭部が的確に保護されず安全性が劣ってしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、帽体内の通気性を良くすることができるとともに、受けた衝撃を従来よりも的確に受け止め、着用者の頭部を保護し安全性を高めることができる保護帽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、椀状の帽体と、前記帽体よりも剛性の低い材料で構成されており、周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置され、中央側部位が前記帽体から離れるようにして、前記帽体の内側に設けられたハンモックと、板状に形成されている防護パッド本体部と、この防護パッド本体部の厚さ方向の一方の面から前記帽体側に突出している第1の衝撃吸収部とを備えて、前記帽体よりも剛性の低い材料で構成されており、周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置され、前記防護パッド本体部の中央側部位が前記帽体と前記ハンモックとの間で前記ハンモックから離れるようにして前記帽体の内側に設けられた防護パッドとを有し、前記ハンモックは、ハンモック本体部と、このハンモック本体部の中央側部位で前記ハンモック本体部から前記帽体側に突出している第2の衝撃吸収部とを備えて構成されており、前記ハンモック本体部の周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置されており、前記ハンモック本体部の中央側部位が前記帽体から離れており、前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態で、前記第1の衝撃吸収部が前記ハンモック本体部から離れており、前記第2の衝撃吸収部が前記防護パッド本体部から離れており、前記第1の衝撃吸収部と前記第2の衝撃吸収部とが互いに離れており、前記ハンモックのハンモック本体部は、環状部位とこの環状部位から放射状に延出している延出部位とを備えて構成されており、前記延出部位は、第1の左前側延出部位と、第2の左前側延出部位と、第1の右前側延出部位と、第2の右前側延出部位と、第1の左後側延出部位と、第2の左後側延出部位と、第1の右後側延出部位と、第2の右後側延出部位とで構成されており、前記8本の延出部位のそれぞれには、前記第2の衝撃吸収部が設けられており、前記第2の衝撃吸収部は、前記延出部位の延出方向の中間部に配置されており、前記防護パッド本体部は、環状部位とこの環状部位から放射状に延出している延出部位とを備えて構成されており、前記延出部位は、前記環状部位から斜め前側および斜め後側に延出している4本の斜め方向延出部位を備えて構成されており、前記第1の衝撃吸収部のうちの一部の第1の衝撃吸収部が、前記4本の斜め方向延出部位それぞれの先端部に配置されており、前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の左前側延出部位と前記第2の左前側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの1本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の左前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の左前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記1本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の右前側延出部位と前記第2の右前側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの2本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の右前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の右前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記2本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の左後側延出部位と前記第2の左後側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの3本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の左後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の左後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記3本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の右後側延出部位と前記第2の右後側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの4本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の右後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の右後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記4本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、前記防護パッド本体部は、前記環状部位から前側に延出している前側延出部位と、前記環状部位から後側に延出している後側延出部位とを備えて構成されており、前側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部および前記後側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部は、非円筒である筒状に形成されており、前記前側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部は、前記前側延出部位の先端部に配置されており、前記前側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部をこの中心軸の延伸方向で見ると、外周や内周が前後方向および左右方向で長く形成されていることで「X」字状になっており、前記後側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部は、前記後側延出部位の先端部に配置されており、前記後側延出部位に設けられている第1の衝撃吸収部をこの中心軸の延伸方向で見ると、外周や内周が前後方向および左右方向で長く形成されていることで「X」字状になっている保護帽である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、椀状の帽体と、前記帽体よりも剛性の低い材料で構成されており、周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置され、中央側部位が前記帽体から離れるようにして、前記帽体の内側に設けられたハンモックと、板状に形成されている防護パッド本体部と、この防護パッド本体部の厚さ方向の一方の面から前記帽体側に突出している第1の衝撃吸収部とを備えて、前記帽体よりも剛性の低い材料で構成されており、周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置され、前記防護パッド本体部の中央側部位が前記帽体と前記ハンモックとの間で前記ハンモックから離れるようにして前記帽体の内側に設けられた防護パッドとを有し、前記ハンモックは、ハンモック本体部と、このハンモック本体部の中央側部位で前記ハンモック本体部から前記帽体側に突出している第2の衝撃吸収部とを備えて構成されており、前記ハンモック本体部の周辺部が前記帽体の開口部の近傍で前記帽体に設置されており、前記ハンモック本体部の中央側部位が前記帽体から離れており、前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態で、前記第1の衝撃吸収部が前記ハンモック本体部から離れており、前記第2の衝撃吸収部が前記防護パッド本体部から離れており、前記第1の衝撃吸収部と前記第2の衝撃吸収部とが互いに離れており、前記ハンモックのハンモック本体部は、環状部位とこの環状部位から放射状に延出している延出部位とを備えて構成されており、前記延出部位は、第1の左前側延出部位と、第2の左前側延出部位と、第1の右前側延出部位と、第2の右前側延出部位と、第1の左後側延出部位と、第2の左後側延出部位と、第1の右後側延出部位と、第2の右後側延出部位とで構成されており、前記8本の延出部位のそれぞれには、前記第2の衝撃吸収部が設けられており、前記第2の衝撃吸収部は、前記延出部位の延出方向の中間部に配置されており、前記防護パッド本体部は、環状部位とこの環状部位から放射状に延出している延出部位とを備えて構成されており、前記延出部位は、前記環状部位から斜め前側および斜め後側に延出している4本の斜め方向延出部位を備えて構成されており、前記第1の衝撃吸収部のうちの一部の第1の衝撃吸収部が、前記4本の斜め方向延出部位それぞれの先端部に配置されており、前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の左前側延出部位と前記第2の左前側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの1本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の左前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の左前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記1本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の右前側延出部位と前記第2の右前側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの2本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の右前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の右前側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記2本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の左後側延出部位と前記第2の左後側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの3本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の左後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の左後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記3本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態を上下方向で見ると、前記第1の右後側延出部位と前記第2の右後側延出部位との間で前記4本の斜め方向延出部位のうちの4本目の前記斜め方向延出部位が延出しており、前記第1の右後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記第2の右後側延出部位の延出方向の中間部に配置されている前記第2の衝撃吸収部と前記4本目の斜め方向延出部位の先端部に配置されている前記第1の衝撃吸収部とが、三角形の角部のあたる箇所に配置されており、前記ハンモックのハンモック本体部は、前記第1の左後側延出部位と前記第1の右後側延出部位との間で前記ハンモックのハンモック本体部の環状部位から前記第1の左後側延出部位および前記第1の右後側延出部位よりも短く突出している防護パッド支持部を備えて構成されており、前記ハンモックと前記防護パッドとが前記帽体に設置された状態で、前記防護パッド支持部が、前記防護パッド本体部の後側延出部位の延出方向の中間部で防護パッド本体部に当接し、片持ち梁状になって前記防護パッド本体部の環状部位から延出している前記後側延出部位を前記帽体側に付勢している保護帽である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、帽体内の通気性を良くすることができるとともに、受けた衝撃を従来よりも的確に受け止め、着用者の頭部を保護し安全性を高めることができる保護帽を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る保護帽の断面図である。
【
図4】
図1におけるIV-IV断面を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る保護帽の断面を模式的に示した図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る保護帽の断面を模式的に示した図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る保護帽の防護パッドの展開図である。
【
図8】
図7におけるVIII-VIII断面を示す図である。
【
図11】
図7におけるXI-XI断面を示す図である。
【
図12】
図7におけるXII-XII断面を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る保護帽のハンモックの展開図である。
【
図16】(a)は
図13におけるXVIA部の拡大図であり、(b)は(a)におけるXVIB矢視図であり、(c)は(a)におけるXVIC-XVIC断面を示す図であり、(d)は(c)におけるXVID矢視図である。
【
図17】(a)は
図15におけるXVIIA部の拡大図であり、(b)は(a)におけるXVIIB-XVIIB断面を示す図であり、(c)は(b)におけるXVIIC矢視図である。
【
図18】(a)は
図15におけるXVIIIA部の拡大図であり、(b)は(a)におけるXVIIIB-XVIIIB断面を示す図であり、(c)は(b)におけるXVIIIC矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る保護帽(ヘルメット;産業用ヘルメット)1は、
図1~
図6で示すように、椀状の帽体3とハンモック5と防護パッド7とを備えて構成されている。帽体3は、剛体とみなせる剛性を備えた硬い合成樹脂等の材料で形成されており、所定の肉厚を備えて椀状に形成されている。
【0018】
帽体3が剛体とみなせる合成樹脂等の材料で一体成形されていることで、たとえば、人が帽体3を素手で思い切り殴りつけても、帽体3は肉眼で識別することができるような変形をしないようになっている。
【0019】
ハンモック5は、帽体3よりも剛性の低い合成樹脂等の材料で一体成形されている。すなわち、ハンモック5は、帽体3よりも弾性を備えた材料であって帽体3が受けた衝撃力によって変形(たとえば弾性変形)する材料で構成されている。
【0020】
ハンモック5は、この周辺部(帽体係合部)9が帽体3の開口部11の近傍で帽体3に一体的に設置されている。帽体3に設置されていることで、帽体3に係合している帽体係合部9以外の部位である中央側部位(帽体非係合部)13が、帽体3の中央側部位15(帽体3の開口部11の近傍の部位17以外の部位)から離れるようにして、ハンモック5が帽体3の内側に設けられている。
【0021】
なお、帽体3の開口部11の近傍の部位17は、帽体3の凹状の内側の面で帽体3の開口部11よりも僅かに帽体3の中央側(頭頂部側)に位置している。
【0022】
防護パッド7も、ハンモック5と同様に、帽体3よりも剛性の低い合成樹脂等の材料で一体成形されている。防護パッド7は、板状に形成されている防護パッド本体部19と、この防護パッド本体部19の厚さ方向の一方の面から帽体3側に突出している第1の衝撃吸収部(第1の衝撃吸収体)21とを備えている。
【0023】
防護パッド7は、この周辺部(帽体係合部)23が帽体3の開口部11の近傍で帽体3に一体的に設置されている。帽体3に設置されていることで、防護パッド本体部19の中央側部位(帽体非係合部)25が、帽体3とハンモック5との間でハンモック5(ハンモックの中央側部位13)から離れるようにして、防護パッド7が帽体3の内側に設けられている。なお、防護パッド7の帽体非係合部25は、防護パッド7が帽体3に設置されている状態において、帽体3に係合している帽体係合部23以外の部位である。
【0024】
詳しくは後述するが、防護パッド本体部19をこの厚さ方向で見ると、環状部位27と、この環状部位27から放射状に延出している延出部位29とを備えている(
図7等参照)。防護パッド本体部19の、帽体3に一体的に設置されている周辺部(帽体係合部)23は、延出部位29の先端部に形成されている。
【0025】
ハンモック5は、ハンモック本体部31と、第2の衝撃吸収部(突起;第2の衝撃吸収体)33とを備えて構成されている。第2の衝撃吸収部33は、ハンモック本体部31(ハンモック5)の中央側部位13でハンモック本体部31から帽体3側に突出している。
【0026】
ハンモック5は、ハンモック本体部31の周辺部9が帽体3の開口部11の近傍で帽体3に一体的に設置されている。ハンモック本体部31(ハンモック5)の中央側部位13が帽体3の中央側部位15から離れている。ハンモック本体部31の中央側部位13は、帽体3に係合している周辺部9以外の部位である。
【0027】
詳しくは後述するが、ハンモック本体部31をこの厚さ方向で見ると、防護パッド本体部19と同様に、環状部位35と、この環状部位35から放射状の延出している延出部位37とを備えている(
図13等参照)。また、ハンモック本体部31の、帽体3に一体的に設置されている帽体係合部9は、延出部位37の先端部に形成されている。
【0028】
防護パッド7の第1の衝撃吸収部21は、帽体3の内面に接しているが、帽体3の内面から僅かに離れていてもよい。ハンモック5の第2の衝撃吸収部33は、帽体3の内面から僅かに離れているが、帽体3の内面に接していてもよい。第1の衝撃吸収部21は、ハンモック5(ハンモック本体部31)から離れており、第2の衝撃吸収部33は、7(防護パッド本体部19)から離れている。そして、
図5等で示すように、第1の衝撃吸収部21と第2の衝撃吸収部33とはお互いが離れている。
【0029】
また、防護パッド本体部19やハンモック本体部31は、
図5等で示すように、帽体3と同様にしかも同方向に湾曲している。また、概略的には、帽体3の曲率半径R1の値が、防護パッド本体部19の曲率半径R2の値よりも小さくなっており、防護パッド本体部19の曲率半径R2の値が、ハンモック本体部31の曲率半径R3の値よりも小さくなっている。
【0030】
保護帽1では、帽体3に第1の大きさの力が加わった場合、ハンモック5(ハンモック本体部31)が変形するように構成されている。すなわち、ハンモック5で保護帽1が支持されている状態(保護帽1を人が被っている状態)で、人の頭に向かう方向の第1の大きさの衝撃力がかかった場合、さらに言えば、帽体3とハンモック5とに、帽体3をハンモック5側に近づけハンモック5を帽体3側に近づける第1の大きさの力が加わった場合、ハンモック本体部31が変形するように構成されている。
【0031】
また、保護帽1では、ハンモック5で保護帽1が支持されている状態で、帽体3に上記第1の大きさの力よりも大きな第2の力が加わった場合、ハンモック5(ハンモック本体部31)が防護パッド本体部19に当接するとともに、第1の衝撃吸収部21が帽体3と防護パッド本体部19とによって挟まれて変形(たとえば潰れて塑性変形)するように構成されている。
【0032】
さらに、保護帽1では、ハンモック5で保護帽1が支持されている状態で、帽体3に所定の力が加わった場合、第2の衝撃吸収部33が帽体3とハンモック本体部31とによって挟まれて変形(たとえば潰れて塑性変形)するように構成されている。
【0033】
防護パッド7の第1の衝撃吸収部21は、防護パッド本体部19の中央側部位25のうちの、周辺部側の部位との中央部とに設けられている。ハンモック5の第2の衝撃吸収部33は、ハンモック本体部31の中央側部位13のうちの、周辺部側の部位のみに設けられている。
【0034】
そして、保護帽1では、ハンモック5で保護帽1が支持されている状態で、帽体3に下向きの力がかかった場合、ハンモック5(ハンモック本体部31)が変形するとともに、第1の衝撃吸収部21のうちの、防護パッド本体部19の中央部に設けられている第1の衝撃吸収部21Aが変形するように構成されている。
【0035】
また、保護帽1では、ハンモック5で保護帽1が支持されている状態で、帽体3に横向きもしくは前後方向の向きの力がかかった場合、第2の衝撃吸収部33、第1の衝撃吸収部21のうちの、防護パッド本体部19の周辺部側の部位に設けられている第1の衝撃吸収部21Bの少なくともいずれかが変形するように構成されている。
【0036】
保護帽1についてさらに詳しく説明する。帽体3が椀状に形成されていることで、帽体3は概ね半球殻状に形成されている。帽体3が半球殻状に形成されていることで、帽体3の下端には、環状の開口部(概ね円形状の縁部)11が形成されている。
【0037】
半球殻状とは、所定の半径の第1の球から所定の半径の第2の球を除去することで形成される球殻状の立体を、所定の平面で分割したときに得られる2つの立体のうちの一方の立体の形状である。なお、第2の球の半径の値は、第1の球の半径の値よりも僅かに小さくなっており、第1の球の中心と第2の球の中心とはお互いが一致している。また、所定の平面は、第1の球の中心と第2の球の中心とを含んでいる。椀状の帽体3の肉厚は、第1の球の半径と第2の球の半径との差になっている。
【0038】
さらに、帽体3は、人の頭部の形状に応じた適宜の形状になっている。すなわち、帽体3は、完全な半球殻の形状に形成されているわけではなく、半球殻の形状に近い半球殻状になっている。
【0039】
帽体3の開口部11の近傍の部位17には、ハンモック5、防護パッド7および顎紐39を係止するための係止突起(係止部)41(
図4参照)が設けられている。ハンモック5には、ヘッドバンド43が設置されている。ヘッドバンド43は、保護帽1を被る人の頭のサイズに応じて、内径を調整することができるようになっている。
【0040】
保護帽1の斜め前側における、防護パッド7の周辺部23、顎紐39、ハンモック5の帽体係合部9では、
図4、
図5で示すように、帽体3の内側で帽体3の内面から帽体3の中央に向かう方向で、帽体3、防護パッド7、顎紐39、ハンモック5がこの順で重なって設置されている。
【0041】
保護帽1の斜め後側における、顎紐39、ハンモック5の帽体係合部9では、
図6で示すように、帽体3の内側で帽体3の内面から帽体3の中央に向かう方向で、帽体3、顎紐39、ハンモック5がこの順で重なって設置されている。
【0042】
また、保護帽1の前後方向における中央よりも若干後方の部位(
図3にIIICで示す部位)では、
図4等のような図示をしないが、帽体3の内側で帽体3の内面から帽体3の中央に向かう方向で、帽体3、防護パッド7、ハンモック5がこの順で重なって設置されている。ヘッドバンド43は、
図4等で示すように、ハンモック5の内側に配置されている。
【0043】
防護パッド7について、
図7~
図12を参照しつつさらに詳しく説明する。
【0044】
防護パッド7は、上述したように、防護パッド本体部19と第1の衝撃吸収部21とを備えて構成されており、防護パッド本体部19は、環状部位27と延出部位29とを備えて構成されている。
図7、
図10の紙面に対して直交する方向が、防護パッド本体部19の厚さ方向になっている。
【0045】
防護パッド本体部19の延出部位29は、環状部位27から前側に延出している前側延出部位29Aと、環状部位27から後側に延出している後側延出部位29Bと、環状部位27から側方に延出している一対の側方延出部位29Cと、環状部位27から斜め前側および斜め後側に延出している斜め方向延出部位29Dとを備えて構成されている。斜め方向延出部位29Dの環状部位27からの延出長さは、前側延出部位29Aや後側延出部位29Bの延出長さよりも短くなっている。
【0046】
側方延出部位29Cは、この先端部45が前後方向に長く延びており、先端部45の前端部と後端部とが、帽体3に係止されることで、防護パッド7が帽体3に一体的に設置されるようになっている。
【0047】
防護パッド本体部19の中央部に設けられている第1の衝撃吸収部21Aは、円筒状に形成されており、環状部位27に設けられている。円筒状の第1の衝撃吸収部21Aは、この中心軸の延伸方向が、防護パッド本体部19の厚さ方向と一致している。なお、第1の衝撃吸収部21Aが円筒状以外の矩形な筒状やその他の形状に形成されていてもよい。また、第1の衝撃吸収部21Aは、複数設けられており、お互いが離れて、環状部位27の周をたとえばほぼ等分配する位置に配置されている。
【0048】
防護パッド本体部19の周辺部側の部位に設けられている第1の衝撃吸収部21Bのうちの側方延出部位29Cと斜め方向延出部位29Dとの第1の衝撃吸収部21Bは、第1の衝撃吸収部21Aと同様な円筒状に形成されている。円筒状の第1の衝撃吸収部21Bも、この中心軸の延伸方向が、防護パッド本体部19の厚さ方向と一致している。なお、第1の衝撃吸収部21Bが円筒状以外の矩形な筒状やその他の形状に形成されていてもよい。
【0049】
側方延出部位29Cに設けられている第1の衝撃吸収部21Bは、1つの側方延出部位29Cにたとえば複数(1つでもよい)設けられている。これらの複数の第1の衝撃吸収部21Bは、側方延出部位29Cの延出方向の中央部で、お互いがわずかに離れ、側方延出部位29Cの延出方向でならんでいる。
【0050】
斜め方向延出部位29Dに設けられている第1の衝撃吸収部21Bは、1つの斜め方向延出部位29Dにたとえば1つ(複数でもよい)設けられている。この第1の衝撃吸収部21Bは、斜め方向延出部位29Dの先端部に配置されている。
【0051】
前側延出部位29Aに設けられている第1の衝撃吸収部21Bや後側延出部位29Bに設けられている第1の衝撃吸収部21Bは、たとえば非円筒である筒状に形成されている。この第1の衝撃吸収部21Bは、この中心軸の延伸方向が、防護パッド本体部19の厚さ方向と一致している。
【0052】
以上の説明によって、第1の衝撃吸収部21は、前頭部に1つ、後頭部に1つ、左の側頭部に2つ、右の側頭部に2つ、左斜前の斜頭部に1つ、左斜後の斜頭部に1つ、右斜前の斜頭部に1つ、右斜後の斜頭部に1つ、頭頂部に6つ設けられていることになる。
【0053】
前側延出部位29Aに設けられている第1の衝撃吸収部21Bをこの中心軸の延伸方向で見ると、外周や内周が「X」字状になっている。さらに、この第1の衝撃吸収部21Bをこの中心軸の延伸方向で見ると、前後方向および左右方向で長く形成されていることで「X」字状になっている。
【0054】
また、前側延出部位29Aに設けられている第1の衝撃吸収部21Bは、前側延出部位29Aの先端部に配置されており、この第1の衝撃吸収部21Bには補強のためのリブ47(
図7参照)が設けられている。さらに、前側延出部29Aの第1の衝撃吸収部21Bのリブ47には2箇所に切り欠き55が設けられている。後側延出部29Bの第1の衝撃吸収部21Bのリブ47には1箇所に切り欠き57が設けられている。切り欠き55、57の個数であるが、前側延出部位29Aや後側延出部29Bや第1の衝撃吸収部21Bの形態に応じて、1つもしくは複数の適宜の数にすればよいし、切り欠き55、57を設けない形態であってもよい。
【0055】
このように形成されていることで、前側延出部位29Aに設けられている1つの第1の衝撃吸収部21Bが吸収できる衝撃のエネルギーの値は、側方延出部位29Cや斜め方向延出部位29Dに設けられている1つの円筒状の第1の衝撃吸収部21Bが吸収できる衝撃のエネルギーの値よりも大きくなっている。
【0056】
さらに、前側延出部位29Aの裏側(第1の衝撃吸収部21Bとは反対側;帽体3に設置されたとききは内側)には、衝撃を吸収するための所定の厚さを備えた衝撃吸収パッド49が設けられている(
図11等参照)。
【0057】
衝撃吸収パッド49の厚さ方向は、防護パッド本体部19の厚さ方向と一致している。衝撃吸収パッド49や防護パッド本体部19の厚さ方向で、衝撃吸収パッド49と前側延出部位29Aに設けられている第1の衝撃吸収部21Bとを見ると、お互いがほぼ重なっている。なお、衝撃吸収パッド49は、保護帽1の着用者の頭に直接接触する場合があるので、硬さ等は頭にやさしいものになっている。
【0058】
後側延出部位29Bに設けられている第1の衝撃吸収部21Bは、前側延出部位29Aに設けられている第1の衝撃吸収部21Aと同形状に形成されて同様に配置されている。また、後側延出部位29Bにも、衝撃吸収パッド49が設けられている(
図12等参照)。
【0059】
ハンモック5について、
図13~
図19を参照しつつさらに詳しく説明する。
【0060】
ハンモック5は、上述したように、ハンモック本体部31と第2の衝撃吸収部33とを備えて構成されており、ハンモック本体部31は、環状部位35と延出部位37とを備えて構成されている。
図13、
図15の紙面に対して直交する方向が、防護パッド本体部19の厚さ方向になっている。環状部位35は、内側環状部位35Aと外側環状部位35Bとを備えた二重の環状に形成されている。内側環状部位35Aと外側環状部位35Bとは連結部位35Cによってお互いが連結されている。
【0061】
ハンモック本体部31の延出部位37は、環状部位35から延出している第1の左前側延出部位37A、第2の左前側延出部位37B、第1の右前側延出部位37C、第2の右前側延出部位37D、第1の左後側延出部位37E、第2の左後側延出部位37F、第1の右後側延出部位37G、第2の右後側延出部位37Hの計8本(複数本)の延出部位で構成されている。
【0062】
第1の左前側延出部位37Aは、環状部位35から左前側に延出しており、第2の左前側延出部位37Bは、環状部位35から左前側に延出している。第1の左前側延出部位37Aは、やや前側よりで、環状部位35から延出しており、第2の左前側延出部位37Bは、やや左側方よりで、環状部位35から延出している。
【0063】
第1の右前側延出部位37Cは、環状部位35から右前側に延出しており、第2の右前側延出部位37Dは、環状部位35から右前側に延出している。第1の右前側延出部位37Cは、やや前側よりで、環状部位35から延出しており、第2の右前側延出部位37Dは、やや右側方よりで、環状部位35から延出している。
【0064】
第1の左後側延出部位37Eは、環状部位35から左後側に延出しており、第2の左後側延出部位37Fは、環状部位35から左後側に延出している。第1の左後側延出部位37Eは、やや後側よりで、環状部位35から延出しており、第2の左後側延出部位37Fは、やや左側方よりで、環状部位35から延出している。
【0065】
第1の右後側延出部位37Gは、環状部位35から右後側に延出しており、第2の右後側延出部位37Hは、環状部位35から右後側に延出している。第1の右後側延出部位37Gは、やや後側よりで、環状部位35から延出しており、第2の右後側延出部位37Hは、やや右側方よりで、環状部位35から延出している。
【0066】
8本の延出部位37のそれぞれには、1つ(複数でもよい)の第2の衝撃吸収部33が設けられている。第2の衝撃吸収部33は、延出部位37の延出方向の中間部に配置されている。
【0067】
また、第1の左前側延出部位37Aと第2の左前側延出部位37Bとの間、第1の右前側延出部位37Cと第2の右前側延出部位37Dとの間、第1の左後側延出部位37Eと第2の左後側延出部位37Fとの間、および、第1の右後側延出部位37Gと第2の右後側延出部位37Hとの間には、ヘッドバンド43を設置するためのヘッドバンド設置部51が設けられている。
【0068】
さらに、環状部位35から後方には、
図13等で示すように、防護パッド本体部19に接して防護パッド7を支持している防護パッド支持部53が延出している。防護パッド支持部53の延出長さは延出部位37の延出長さよりに短くなっている。
【0069】
なお、上記説明では、防護パッド7の中央側部位25が、ハンモック5の中央側部位13から離れているとしているが、厳密には、防護パッド支持部53が、
図19等で示すように、防護パッド本体部19の後側延出部位29Bの延出方向の中間部で防護パッド本体部19に当接している。そして、片持ち梁状になって防護パッド本体部19の環状部位27から延出している後側延出部位29Bを帽体3側(保護帽1の着用者の頭とは反対側)に付勢している。
【0070】
さらに、保護帽1では、防護パッド7の筒状の第1の衝撃吸収部21やハンモック5の筒状の第2の衝撃吸収部33が、防護パッド本体部19やハンモック本体部31から放射状に突出しているといえる。また、保護帽1では、防護パッド7の筒状の第1の衝撃吸収部21やハンモック5の筒状の第2の衝撃吸収部33の中心軸の延伸方向が、帽体3の内面(内面の、第1の衝撃吸収部21や第2の衝撃吸収部33と対向している微小な部位)と直交している。
【0071】
次に、保護帽1の動作について説明する。初期状態では、ヘッドバンド43の径が調整され、顎紐39も使って、保護帽1の着用者が保護帽1を被っているものとする。
【0072】
上記初期状態で帽体3の頭頂部に下向きの力が加わると、ハンモック本体部31が変形して延びる。このハンモック本体部31が変形によっても衝撃力を吸収しきれないときには、防護パッド7の環状部位27(中央部)に設けられている第1の衝撃吸収部21Aが主に変形し衝撃力を吸収する。
【0073】
上記初期状態で帽体3の前方に後向きの力が加わると、ハンモック本体部31が若干変形して延びる。このハンモック本体部31が変形によっても衝撃力を吸収しきれないときには、防護パッド7の前側延出部位29Aに設けられている第1の衝撃吸収部21Bが主に変形し衝撃力を吸収する。上記初期状態で帽体3の後方に前向きの力が加わると、ハンモック本体部31が若干変形して延びる。このハンモック本体部31が変形によっても衝撃力を吸収しきれないときには、防護パッド7の後側延出部位29Bに設けられている第1の衝撃吸収部21Bが主に変形し衝撃力を吸収する。
【0074】
上記初期状態で帽体3の側方に横向きの力が加わると、ハンモック本体部31が若干変形して延びる。このハンモック本体部31が変形によっても衝撃力を吸収しきれないときには、防護パッド7の側方延出部位29Cに設けられている第1の衝撃吸収部21Bが主に変形し衝撃力を吸収する。
【0075】
上記初期状態で帽体に斜め方向の力が加わると、ハンモック本体部31が変形して延びる。このハンモック本体部31が変形によっても衝撃力を吸収しきれないときには、防護パッド7の斜め方向延出部位29Dに設けられている第1の衝撃吸収部21Bが主に適宜変形し衝撃力を吸収する。第1の衝撃吸収部21Bの変形によっても衝撃力を吸収しきれないときには、ハンモック5の第2の衝撃吸収部33が主に適宜変形し衝撃力を吸収する。
【0076】
保護帽1によれば、発砲スチロール製の衝撃吸収ライナーの代わりに、板状に形成されている防護パッド本体部19とこの防護パッド本体部19の厚さ方向の一方の面から突出している第1の衝撃吸収部21とを備えている防護パッド7を設けているので、防護パッド本体部19や第1の衝撃吸収部21のまわりに広い空隙が存在しており、帽体3内の通気性が良くなっている。
【0077】
また、発砲スチロール製の衝撃吸収ライナーに代えて、合成樹脂で一体成形された防護パッド7を用いているので、ハンモック5だけでなく防護パッド7も洗いやすくなっている。
【0078】
また、上述したように、保護帽1は、帽体3よりも剛性の低い材料で構成されているハンモック5と帽体3よりも剛性の低い材料で構成されている防護パッド7とを備えている。ハンモック5は、周辺部9が帽体3の開口部11の近傍の部位17で帽体3に設置され中央側部位13が帽体3から離れるようにして帽体3の内側に設けられている。
【0079】
防護パッド7は、板状に形成されている防護パッド本体部19と、防護パッド本体部19の厚さ方向の一方の面から帽体3側に突出している第1の衝撃吸収部21とを備えて構成されている。また、防護パッド7は、周辺部23が帽体3の開口部11の近傍の部位17で帽体3に設置されており、防護パッド本体部19の中央側部位25が帽体3とハンモック5との間でハンモック5から離れるようにして帽体3の内側に設けられている。
【0080】
これにより、帽体3が受けた衝撃を従来よりも的確に受け止め、着用者の頭部を保護し安全性を高めることができる。すなわち、帽体3とハンモック5との間に第1の衝撃吸収部21付きの防護パッド7を設けているので、ハンモック5の変形と、第1の衝撃吸収部21付の変形との2段構えで、衝撃力を吸収することができ、安全性を高めることができる。
【0081】
労検試験では、飛来落下は頭頂部への衝撃、墜転落では前頭部後頭部への衝撃に限定されるが、実際にはそれ以外の様々な方向から衝撃を受けるおそれがある。しかし、上述したように、第1の衝撃吸収部21や第2の衝撃吸収部33が適宜配置されているので、様々な方向から衝撃を受けることができる。
【0082】
また、ハンモック5が、合成樹脂で構成され、所定の幅を備えた板状のハンモック本体部31で構成されているので、ハンモック5が適度の剛性を備えており(ハンモック5の弾性係数の値が適度の値になっており)、保護帽1の着用者の頭にしっかりとフィットする。これにより、保護帽1を着用者が被った場合、保護帽1がズレることがなく、着用者の頭に対する保護帽1の姿勢が安定し、帽体3にかかった衝撃力を確実に吸収することができる。
【0083】
また、保護帽1では、ハンモック5と防護パッド7とを別体にしていることで、ハンモック5(ハンモック本体部31)の伸びや防護パッド7の第1の衝撃吸収部21、ハンモック5の第2の衝撃吸収部33等が、各々独立している。これにより、ハンモック本体部31、第1の衝撃吸収部21、第2の衝撃吸収部33等がお互いに干渉しないので、各々の衝撃吸収機能が阻害されることがなく、衝撃吸収機能を十分に発揮することができる。
【0084】
また、保護帽1によれば、帽体3に第1の大きさの力が加わった場合、ハンモック5が変形するように構成されているので、帽体3が損傷しない比較的小さな力を受けた場合においても、着用者の頭部に係る衝撃力を小さくすることができる。
【0085】
また、保護帽1によれば、帽体3に大きな第2の力が加わった場合、ハンモック5(ハンモック本体部31)が延びて防護パッド本体部19に当接するとともに、第1の衝撃吸収部21が帽体3と防護パッド本体部19とによって挟まれて変形するので、上述したように、2段構えで、衝撃力を吸収することができる。
【0086】
また、保護帽1によれば、第1の衝撃吸収部21が防護パッド本体部19の周辺部側の部位との中央部とに設けられており、第2の衝撃吸収部33がハンモック本体部31の周辺部側の部位のみに設けられているので、無駄に第2の衝撃吸収部を設けることなく、衝撃力を吸収することができる。
【0087】
すなわち、防護パッド本体部19との間の間隙を広くしやすいハンモック本体部31の中央部では、衝撃力によってハンモック本体部31の伸びしろを大きくとることができ、ハンモック本体部31の中央部で第2の衝撃吸収部を削除しても衝撃力を十分に吸収することができる。
【0088】
また、保護帽1によれば、第1の衝撃吸収部21付きの防護パッド7とハンモック5を別々に設けたので、飛来落下(頭頂部への衝撃)を受けたとき(帽体3に下向きの力がかかった場合)に、衝撃吸収体21が帽体3に接触しハンモック5の伸縮を阻害することがないので、ハンモック5が伸びることで衝撃を吸収し頭部を保護できるため安全性が良い。
【0089】
また、保護帽1によれば、飛来落下(頭頂部への衝撃)の過負荷時には、ハンモック5で吸収しきれない衝撃を、防護パッド7の頭頂部にある衝撃吸収体21で吸収できるため安全性が良い。すなわち、上述したように、2段階衝撃吸収機能を有するので、安全性が良い。
【0090】
また、保護帽1によれば、防護パッド7の第1の衝撃吸収部21を前頭部と後頭部に設けたので、墜転落(前頭部後頭部への衝撃)を受けたときに、ハンモック5が伸びることで衝撃を吸収し頭部を保護できる。また、ハンモック5で吸収しきれない衝撃を、帽体3と接触している第1の衝撃吸収部21が吸収し頭部を保護できるため安全性が良い。
【0091】
さらに、墜転落(前頭部後頭部への衝撃)の過負荷時には、ハンモック5と帽体3と接触している衝撃吸収体21で吸収しきれない衝撃を、斜頭部にあり帽体3から離れハンモック5越しに頭部と接触している突起(第2の衝撃吸収部)33で吸収できるため安全性が良い(3段階衝撃吸収機構)。なお、突起(第2の衝撃吸収部)33が、防護パッド本体部19の斜め方向延出部位29Dに設けられている第1の衝撃吸収部21Bから延出するように設けてもよい。
【0092】
また、保護帽1によれば、防護パッド7の第1の衝撃吸収部21を側頭部に設けたので、側頭部への衝撃を受けた時に、ハンモック5が伸びることで衝撃を吸収し頭部を保護できる。また、ハンモック5で吸収しきれない衝撃を、帽体3と接触している第1の衝撃吸収部21が吸収し頭部を保護できるため安全性が良い。
【0093】
さらに、側頭部への衝撃の過負荷時には、ハンモック5の伸びと帽体3と接触している第1の衝撃吸収部21で吸収しきれない衝撃を、斜頭部にあり帽体3から離れハンモック5越しに頭部と接触している第2の衝撃吸収部33で吸収できるため安全性が良い(3段階衝撃吸収機構)。
【0094】
また、保護帽1によれば、防護パッド7の第1の衝撃吸収体21を斜頭部に設けたので、斜頭部への衝撃を受けた時に、ハンモック5が伸びることで衝撃を吸収し頭部を保護できる。また、ハンモック5で吸収しきれない衝撃を、帽体3と接触している第1の衝撃吸収部21が吸収し頭部を保護できるため安全性が良い。
【0095】
さらに、斜頭部への衝撃の過負荷時には、ハンモック5の伸びと帽体3と接触している第1の衝撃吸収部21で吸収しきれない衝撃を、斜頭部にあり帽体3から離れハンモック5越しに頭部と接触している第2の衝撃吸収部33で吸収できるため安全性が良い(3段階衝撃吸収機構)。
【符号の説明】
【0096】
1 保護帽
3 帽体
5 ハンモック
7 防護パッド
9 ハンモックの周辺部
11 帽体の開口部
13 ハンモックの中央側部位
17 帽体の開口部の近傍(近傍の部位)
19 防護パッド本体部
21 第1の衝撃吸収部
23 防護パッドの周辺部
25 防護パッド本体部の中央側部位
31 ハンモック本体部
33 第2の衝撃吸収部