(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】料金処理システム、通行管理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240902BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G07B15/00 510
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2020084384
(22)【出願日】2020-05-13
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹原 潤
(72)【発明者】
【氏名】飯田 康隆
(72)【発明者】
【氏名】松山 拓紀
(72)【発明者】
【氏名】弓倉 陽介
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124635(JP,A)
【文献】特開2011-191947(JP,A)
【文献】特開2016-151969(JP,A)
【文献】特開2001-338318(JP,A)
【文献】特開2013-196441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00-15/06
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路の所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する車両の車載器から複数種類のIDを受信し、通行管理装置に対して前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を送信する入口料金所機器と、
前記有料道路の所定の経路ポイントに対応して設けられ、所定の経路ポイントを通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信し、前記通行管理装置に対して前記複数種類のID及び通過日時を含む通過情報を送信する経路機器と、
前記有料道路の所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信し、前記通行管理装置に対して前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を送信する出口料金所機器と、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定する前記通行管理装置と、
を備え
、
前記通行管理装置は、所定の入場情報を含む走行レコードを登録し、所定の通過情報に含まれる一部のIDが欠落した場合、前記所定の通過情報に含まれる残されたIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定の通過情報を含む前記走行レコードを仮レコードへ更新し、所定の出場情報に含まれる前記複数種類のIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定の出場情報を含む前記走行レコードを正規レコードへ更新し、正規レコードの前記走行レコードに基づき関連する情報を特定する、料金処理システム。
【請求項2】
前記複数種類のIDは、前記車両の前記通行経路に応じた通行料金の請求対象となるカードIDを含み、
前記通行管理装置は、通過情報に含まれる前記複数種類のIDのうちのカードIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定する、請求項1の料金処理システム。
【請求項3】
前記通行管理装置は、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたID、並びに前記有料道路の各経路を示す経路情報に基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定する、請求項1又は2の料金処理システム。
【請求項4】
有料道路の複数のエリアの車両の通行を管理する複数のエリア管理システムより構成される料金処理システムであって、
第1のエリアの前記車両の通行を管理する第1のエリア管理システムは、
前記第1のエリアの所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する前記車両の車載器から複数種類のIDを受信し、第1の通行管理装置に対して前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を送信する入口料金所機器と、
前記第1のエリアから第2のエリアへのエリア境界に対応して設けられ、前記エリア境界を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信し、前記第1の通行管理装置に対して前記複数種類のID及び通過日時を含むエリア跨ぎ情報を送信する関所機器と、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報及びエリア跨ぎ情報を特定し、特定された情報を含む引継情報を第2の通行管理装置へ送信する前記第1の通行管理装置と、を備え、
前記第1の通行管理装置は、所定の入場情報を含む走行レコードを登録し、所定のエリア跨ぎ情報に含まれる一部のIDが欠落した場合、前記所定のエリア跨ぎ情報に含まれる残されたIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定のエリア跨ぎ情報を含む前記走行レコードを仮レコードへ更新し、前記仮レコードの前記走行レコードを含む引継情報を前記第2の通行管理装置へ送信し、
第2のエリアの前記車両の通行を管理する第2のエリア管理システムは、
前記第2のエリアの所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信し、前記第2の通行管理装置に対して前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を送信する出口料金所機器と、
引継情報に含まれる日時及び残されたID、並びに出場情報に含まれる日時及びIDに基づき、関連する引継情報及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定する前記第2の通行管理装置と、を備え
、
前記第2の通行管理装置は、所定の出場情報に含まれる前記複数種類のIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定の出場情報を含む前記走行レコードを正規レコードへ更新し、正規レコードの前記走行レコードに基づき関連する情報を特定する、料金処理システム。
【請求項5】
前記複数種類のIDは、前記車両の前記通行経路に応じた通行料金の請求対象となるカードIDを含み、
前記第2の通行管理装置は、前記エリア跨ぎ情報に含まれる前記複数種類のIDのうちのカードIDが欠落した場合でも、引継情報に含まれる日時及び残されたID、並びに出場情報に含まれる日時及びIDに基づき、関連する引継情報及び出場情報を特定する、請求項4の料金処理システム。
【請求項6】
前記第2の通行管理装置は、関連する情報の特定後に、前記第1の通行管理装置に対して特定された引継情報の削除を指示する、請求項5の料金処理システム。
【請求項7】
有料道路の車両の通行を管理する通行管理装置であって、
前記有料道路の各機器と通信する通信部と、
前記有料道路を通行する前記車両の通行料金を判定する判定部と、
を備え、
前記通信部は、
前記有料道路の所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する前記車両の車載器から複数種類のIDを受信する入口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を受信し、
前記有料道路の所定の経路ポイントに対応して設けられ、所定の経路ポイントを通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する経路機器から送信される、前記複数種類のID及び通過日時を含む通過情報を受信し、
前記有料道路の所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する出口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を受信し、
前記判定部は、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定
し、
さらに、前記判定部は、
所定の入場情報を含む走行レコードを登録し、所定の通過情報に含まれる一部のIDが欠落した場合、前記所定の通過情報に含まれる残されたIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定の通過情報を含む前記走行レコードを仮レコードへ更新し、所定の出場情報に含まれる前記複数種類のIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定の出場情報を含む前記走行レコードを正規レコードへ更新し、正規レコードの前記走行レコードに基づき関連する情報を特定する、
通行管理装置。
【請求項8】
有料道路の複数のエリアのうちの第1のエリアの次の第2のエリアの車両の通行を管理する下流の通行管理装置であって、
前記第1のエリアの前記車両の通行を管理する上流の通行管理装置は、
前記第1のエリアの所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する前記車両の車載器から複数種類のIDを受信する入口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を受信し、
前記第1のエリアから前記第2のエリアへのエリア境界に対応して設けられ、前記エリア境界を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する関所機器から送信される、前記複数種類のID及び通過日時を含むエリア跨ぎ情報を受信し、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報及びエリア跨ぎ情報を特定し、
特定された情報を含む引継情報を前記下流の通行管理装置へ送信し、
さらに、前記関連する入場情報及びエリア跨ぎ情報の特定のために、所定の入場情報を含む走行レコードを登録し、所定のエリア跨ぎ情報に含まれる一部のIDが欠落した場合、前記所定のエリア跨ぎ情報に含まれる残されたIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定のエリア跨ぎ情報を含む前記走行レコードを仮レコードへ更新し、前記仮レコードを含む引継情報を前記下流の通行管理装置へ送信し、
前記下流の通行管理装置は、
前記第2のエリアの所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する出口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を受信し、
前記第1のエリアの各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、引継情報に含まれる日時及び残されたID、並びに出場情報に含まれる日時及びIDに基づき、関連する引継情報及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定
し、
さらに、前記関連する引継情報及び出場情報の特定のために、所定の出場情報に含まれる前記複数種類のIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定の出場情報を含む前記走行レコードを正規レコードへ更新し、正規レコードの前記走行レコードに基づき関連する情報を特定する、通行管理装置。
【請求項9】
有料道路の車両の通行を管理する通行管理装置に対応するコンピュータに、
有料道路の所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する前記車両の車載器から複数種類のIDを受信する入口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を受信する手順と、
前記有料道路の所定の経路ポイントに対応して設けられ、所定の経路ポイントを通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する経路機器から送信される、前記複数種類のID及び通過日時を含む通過情報を受信する手順と、
前記有料道路の所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する出口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を受信する手順と、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定する手順と、
を実行させ、
さらに、前記特定のために、所定の入場情報を含む走行レコードを登録し、所定の通過情報に含まれる一部のIDが欠落した場合、前記所定の通過情報に含まれる残されたIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定の通過情報を含む前記走行レコードを仮レコードへ更新し、所定の出場情報に含まれる前記複数種類のIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定の出場情報を含む前記走行レコードを正規レコードへ更新し、正規レコードの前記走行レコードに基づき関連する情報を特定する手順を実行させるプログラム。
【請求項10】
有料道路の複数のエリアのうちの第1のエリアの次の第2のエリアの車両の通行を管理する下流の通行管理装置に対応するコンピュータに、以下の手順を実行させるプログラムであって、
前記第1のエリアの前記車両の通行を管理する上流の通行管理装置は、
前記第1のエリアの所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する前記車両の車載器から複数種類のIDを受信する入口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を受信し、
前記第1のエリアから前記第2のエリアへのエリア境界に対応して設けられ、前記エリア境界を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する関所機器から送信される、前記複数種類のID及び通過日時を含むエリア跨ぎ情報を受信し、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報及びエリア跨ぎ情報を特定し、
特定された情報を含む引継情報を前記下流の通行管理装置へ送信し、
さらに、前記関連する入場情報及びエリア跨ぎ情報の特定のために、所定の入場情報を含む走行レコードを登録し、所定のエリア跨ぎ情報に含まれる一部のIDが欠落した場合、前記所定のエリア跨ぎ情報に含まれる残されたIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定のエリア跨ぎ情報を含む前記走行レコードを仮レコードへ更新し、前記仮レコードを含む引継情報を前記下流の通行管理装置へ送信し、
前記コンピュータに、
前記第2のエリアの所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する出口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を受信する手順と、
前記第1のエリアの各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、引継情報に含まれる日時及び残されたID、並びに出場情報に含まれる日時及びIDに基づき、関連する引継情報及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定する手順と、を実行させ
、
さらに、前記関連する引継情報及び出場情報の特定のために、所定の出場情報に含まれる前記複数種類のIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定の出場情報を含む前記走行レコードを正規レコードへ更新し、正規レコードの前記走行レコードに基づき関連する情報を特定する手順を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、料金処理システム、通行管理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路などの有料道路では、車両に搭載された車載器との無線通信により料金を収受するETCシステム(Electronic Toll Collection System)が普及してきている。また、有料道路では、利用促進あるいは混雑緩和などを目的として多様なサービスが提案されている。例えば、車両が通過する経路や日時などに応じて料金を割り引くサービスなどが提案されている。一方で、高速道路などの道路網は、全国規模でつながっており、新規路線の追加などでエリアが拡大して経路も複雑になってきている。このため、各車両について、通行した経路などの情報を管理して多様な料金体系に対応した料金処理を実現することが難しくなってきている。
【0003】
従来、高速道路を車両が通行した経路を管理する方法としては、車両に搭載した記憶媒体(車載器にセットしたETCカードなど)に経路情報を書き込む方法が考えられる。しかしながら、現行のETCシステムでは、ETCカードの記憶領域に全国規模の経路情報を記憶するのは困難である。また、技術的にはETCカードの記憶領域を拡張することが考えられるが、移行コストが高額となるため、現実的ではない。
【0004】
また、別の方法としては、ITS(Intelligent Transport Systems)スポットと呼ばれる道路の各所に設定された複数の情報収集装置が収集するGPS(Global Positioning System)情報を含む経路情報を集約して1つの車両が通行した経路を算出することが技術的には可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有料道路を走行する車両は、例えば、入口料金所に設置される入口料金所、分岐から次の分岐までの間の経路ポイント、及び出口料金所に設置される出口料金所を通過する。入口料金所機器、経路機器、及び出口料金所機器は、車両の車載器との通信により、車載器からIDを取得し、取得したIDを上位装置へ送信する。上位装置は、各機器からのIDを受信し、車載器に対応する車両の通行経路を特定し、通行経路に応じた通行料金を課金する。
【0007】
通行経路に応じた通行料金の課金を実現する上では、利用者及び通行経路の特定が不可欠である。そのため、何れかの機器において、車両から得られる情報の一部が欠落するような事態に対する対策が求められている。例えば、経路機器は、高速走行する車両と通信するため、車両から得られる情報が欠落するおそれがある。仮に、何れかの機器において、車両から得られる一部情報が欠落したとしても、それを補い、利用者及び通行経路を特定する技術が要望されている。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、有料道路の何れかの機器において車両から得られる一部情報が欠落するような場合でも、利用者及び通行経路の特定を可能とする料金処理システム、通行管理装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、料金処理システムは、入口料金所機器、経路機器、出口料金所機器、及び通行管理装置を備える。前記入口料金所機器は、有料道路の所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する車両の車載器から複数種類のIDを受信し、前記通行管理装置に対して前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を送信する。前記経路機器は、前記有料道路の所定の経路ポイントに対応して設けられ、所定の経路ポイントを通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信し、前記通行管理装置に対して前記複数種類のID及び通過日時を含む通過情報を送信する。前記出口料金所機器は、前記有料道路の所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信し、前記通行管理装置に対して前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を送信する。前記通行管理装置は、各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定する。さらに、前記通行管理装置は、所定の入場情報を含む走行レコードを登録し、所定の通過情報に含まれる一部のIDが欠落した場合、前記所定の通過情報に含まれる残されたIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定の通過情報を含む前記走行レコードを仮レコードへ更新し、所定の出場情報に含まれる前記複数種類のIDに基づき前記走行レコードを抽出し、前記所定の出場情報を含む前記走行レコードを正規レコードへ更新し、正規レコードの前記走行レコードに基づき関連する情報を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る料金処理システムを概略的に説明するための模式図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る料金処理システムにおける各機器の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るエリア内走行の通過情報の一部取得失敗対応の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るエリア内走行の通過情報の取得失敗対応の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るエリア内走行の入場情報の取得失敗対応の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行の正常処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の一部取得失敗対応の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の取得失敗時対応の一例を示すシーケンス図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる入口処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行の正常処理に含まれる引継情報登録の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の一部取得失敗対応に含まれる仮引継情報登録の一例を示すフローチャートである。
【
図13A】
図13Aは、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる経路処理(全体)の一例を示すフローチャートである。
【
図13B】
図13Bは、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる経路処理(更新又は登録)の一例を示すフローチャートである。
【
図13C】
図13Cは、第1の実施形態に係るエリア内走行の通過情報の一部取得失敗対応に含まれる経路処理(仮更新又は仮登録)の一例を示すフローチャートである。
【
図14A】
図14Aは、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる出口処理(全体)の一例を示すフローチャートである。
【
図14B】
図14Bは、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる出口処理(更新又は登録)の一例を示すフローチャートである。
【
図14C】
図14Cは、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる出口処理(仮更新又は仮登録)の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる清算処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16A】
図16Aは、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行の正常処理に含まれるエリア跨ぎ処理(全体)の一例を示すフローチャートである。
【
図16B】
図16Bは、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行の正常処理に含まれるエリア跨ぎ処理(更新又は登録)の一例を示すフローチャートである。
【
図16C】
図16Cは、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の一部取得失敗対応に含まれるエリア跨ぎ処理(仮更新又は仮登録)の一例を示すフローチャートである。
【
図17A】
図17Aは、第1の実施形態に係る引継要求対応(全体)の一例を示すフローチャートである。
【
図17B】
図17Bは、第1の実施形態に係る引継要求対応(更新)の一例を示すフローチャートである。
【
図17C】
図17Cは、第1の実施形態に係る引継要求対応(仮更新)の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行の正常処理に含まれる引継後処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19A】
図19Aは、第1の実施形態に係る走行レコードの更新に関し、IDの部分一致の一例を示す図である。
【
図19B】
図19Bは、第1の実施形態に係る走行レコードの更新に関し、IDの部分一致により仮登録された走行レコードの一例を示す図である。
【
図19C】
図19Cは、第1の実施形態に係る走行レコードの更新に関し、受信された出場情報の全てのIDと、仮登録された走行レコードに含まれる入場情報の全てのIDとが一致した状態を例示する図である。
【
図19D】
図19Dは、第1の実施形態に係る走行レコードの更新に関し、仮登録された走行レコードが正規登録された状態を例示する図である。
【
図20A】
図20Aは、第1の実施形態に係る走行レコードの更新に関し、受信した通過情報と、複数の走行レコードとの間でIDの部分一致が生じた状態を例示する図である。
【
図20B】
図20Bは、第1の実施形態に係る走行レコードの更新に関し、受信した通過情報と、複数の走行レコードとの間のIDの部分一致により仮登録された複数の走行レコードの一例を示す図である。
【
図20C】
図20Cは、第1の実施形態に係る走行レコードの更新に関し、受信された出場情報の全てのIDと、仮登録された一つの走行レコードに含まれる入場情報の全てのIDとが一致した状態を例示する図である。
【
図20D】
図20Dは、第1の実施形態に係る走行レコードの更新に関し、仮登録された走行レコードが正規登録された状態を例示する図である。
【
図21】
図21は、第2の実施形態に係る料金処理システムを概略的に説明するための模式図である。
【
図22】
図22は、第3の実施形態に係る料金処理システムを概略的に説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態に係る料金処理システムの概略について説明する。
本実施形態に係る料金処理システムが適用される有料道路の通行料金は、同一車種の同一発着(入口と出口とが同一)では同一にすることを基本とした上で、通行経路、区間、及び通過時間帯等の組み合わせにより変動する。例えば、料金処理システムにより、経路と時間帯別の混雑度に応じて経路ごとの変動額(値引き金額又は加算金額など)が設定される。
【0012】
経路、区間、及び通過時間帯等による変動課金を実施する場合、料金計算の元となる料金テーブルが、複雑かつ膨大になる。このため、各実施形態に係る料金処理システムでは、料金処理の対象となる1つの有料道路網を複数のエリアに分けて、各エリアに識別子を割り振り、エリアごとに経路などの情報を管理し、当該有料道路網から出場する場合に経路、区間、及び通過時間帯等に応じて変動する通行料金を算出する。複数のエリアは、有料道路を管理する道路事業者ごとに分かれるエリアだけではなく、1つの道路事業者の有料道路網(1つの有料道路)を複数のエリアに分けたものでもよい。
【0013】
<<第1の実施形態>>
図1は、第1の実施形態に係る料金処理システムを概略的に説明するための模式図である。なお、
図1は、車両Sが左方向から右方向へ通行する上り方向の道路網を示し、下り方向の道路網は省略する。
【0014】
料金処理システムを利用する車両Sは、車載器を備える。車載器には、有料道路の通行料金を支払うための決済用のETCカード)が装填される。例えば、車載器は、料金処理システムの各機器と無線通信し、利用者を特定する情報として複数種類のIDを送信する。車載器と各機器との無線通信は、ARIB STD-T75規定の狭域通信(DSRC)を想定する。利用者を特定する情報は、自動車登録番号、車載器管理番号、ETCカード番号(カードID)、ARIB STD-T75のワイヤレスコールナンバー(WCN)、及びリンクアドレス(LID)などを想定する。カードIDは、車載器に装填されるETCカードに固有のIDであり、通行料金の請求対象となりカードIDに対して通行料金が課金される。WCNは、車載器に固有の識別ナンバーである。LIDは、車載器と料金処理システムの各機器との通信で使用されるIDである。
【0015】
実施形態に係る料金処理システムは、1つの有料道路網を複数のエリアに分けて管理し、例えば、
図1に示すように上流に位置するエリアAと下流に位置するエリアBに分けて管理する。エリアAの境界を越えた車両は、エリアAの下流のエリアBに進入する。
図1に示す構成例において、料金処理システムは、複数のエリア管理システムにより構成される。複数のエリア管理システムのうちの第1のエリア管理システムは、エリア管理装置1A、料金所G1A、G2A、G3A、経路機器4A等を備える。また、複数のエリア管理システムのうちの第2のエリア管理システムは、エリア管理装置1B、料金所G1B、G2B、G3B、経路機器4Bを備える。エリア管理装置1Aは、通行管理装置又は第1の通行管理装置として機能し、エリア管理装置1Bは、通行管理装置又は第2の通行管理装置として機能する。
【0016】
料金所G1A乃至G3Aは、入口料金所機器2A及び出口料金所機器3Aを備える。料金所G1B乃至G3Bは、入口料金所機器2B及び出口料金所機器3Bを備える。なお、料金所G1A乃至G3Aは、入口料金所機器2A及び出口料金所機器3Aの一方だけを備える料金所であってもよい。同様に、料金所G1B乃至G3Bは、入口料金所機器2B及び出口料金所機器3Bの一方だけを備える料金所であってもよい。
【0017】
また、第1のエリア管理システムは、エリアAからエリアBへのエリア境界に対応して設けられる関所機器5Aを備える。第1の実施形態では、関所機器5Aは、エリアBに向けてエリアAを出る車両との通信に基づきエリア跨ぎ情報を生成し、生成したエリア跨ぎ情報をエリア管理装置1Aへ通知する。
【0018】
入口料金所機器2Aは、エリアAの各入口料金所に対応して設けられる。入口料金所機器2Aは、所定の入口料金所を通過する車両の車載器から、利用者を特定する情報として複数種類のIDを受信し、エリア管理装置1Aに対して入口ID、利用者を特定する情報、及び入場日時を含む入場情報を送信する。入口料金所機器2Bは、エリアBの各入口料金所に対応して設けられる。入口料金所機器2Bは、所定の入口料金所を通過する車両の車載器から、利用者を特定する情報として複数種類のIDを受信し、エリア管理装置1Bに対して、入口ID、利用者を特定する情報及び入場日時を含む入場情報を送信する。
【0019】
経路機器4Aは、エリアAの各経路ポイントに対応して設けられる。経路ポイントは、通路の分岐後の下流に位置する。経路機器4Aは、所定の経路ポイントを通過する車両の車載器から、利用者を特定する情報として複数種類のIDを受信し、エリア管理装置1Aに対して、経路ポイントID、利用者を特定する情報、及び通過日時を含む通過情報を送信する。経路機器4Bは、エリアBの各経路ポイントに対応して設けられる。経路機器4Bは、所定の経路ポイントを通過する車両の車載器から、利用者を特定する情報として複数種類のIDを受信し、エリア管理装置1Bに対して、経路ポイントID、利用者を特定する情報、及び通過日時を含む通過情報を送信する。
【0020】
関所機器5Aは、エリアAからエリアBへのエリア境界に対応して設けられる。関所機器5Aは、エリア境界を通過する車両の車載器から、利用者を特定する情報として複数種類のIDを受信し、エリア管理装置1Aに対して、境界ID、利用者を特定する情報、及び通過日時を含むエリア跨ぎ情報を送信する。
【0021】
エリア管理装置1Aは、通信回線100Aを介して、入口料金所機器2Aからの入場情報、出口料金所機器3Aからの出場情報、及び経路機器4Aからの通過情報、関所機器5Aからのエリア跨ぎ情報を受信する。また、エリア管理装置1Bは、通信回線100Bを介して、入口料金所機器2Bからの入場情報、出口料金所機器3Bからの出場情報、及び経路機器4Bからの通過情報を受信する。また、エリア管理装置1Aと1Bは、通信回線200を介して通信し、引継情報を送受信する。
【0022】
図2は、第1の実施形態に係る料金処理システムにおける各機器の制御系の構成例を示すブロック図である。
最初に、エリア管理装置1Aについて説明する。エリア管理装置1Aは、制御部11A、記憶部12A、及び通信部13Aを備える。エリア管理装置1Aは、例えば、汎用のサーバ装置などによって構成される。
【0023】
制御部11Aは、エリア管理装置1Aにおける制御及びデータ処理などを司る制御ユニットである。制御部11Aは、CPU(central processing unit)、メモリおよびインターフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インターフェースなどを介してエリア管理装置1Aを構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。すなわち、制御部11Aは、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより各部を制御およびデータ処理を実行する。これにより、例えば、制御部は、有料道路を通行する車両の通行経路を判定し、通行経路に基づき通行料金を判定する判定部として機能する。
【0024】
記憶部12Aは、メインメモリ等の読み出しや書込みが高速に行える記憶媒体を含む。記憶部12Aは、HDD或はSSDなどの大容量の記憶装置で構成されても良い。記憶部12Aは、料金処理システムに関わる各種のデータを記憶する。例えば、記憶部12Aは、少なくともエリアA内の入口料金所機器2A、出口料金所機器3A、経路機器4A、及び関所機器5Aの位置情報、及び隣接するエリアBとの接続情報を記憶し、有料道路網の全ての経路に関する経路情報を記憶する。経路情報は、入口料金所、経路ポイント、出口料金所の位置関係を示す情報を含む。また、記憶部12Aは、他のエリアを含む入口から少なくともエリアAが管理する出口までの通行料金と、経路別及び時間別の割引料金を記憶する。また、車両Sが、エリアA内の入口料金所機器2A、出口料金所機器3A、経路機器4A、及び関所機器5Aを通過すると、入口料金所機器2A、出口料金所機器3A、経路機器4A、及び関所機器5Aは、車両Sの車載器と通信し、エリア管理装置1Aは、入口料金所機器2Aからの入場情報、出口料金所機器3Aからの出場情報、経路機器4Aからの経路情報、及び関所機器5Aからのエリア跨ぎ情報を受信する。記憶部12Aは、入場情報、出場情報、経路情報、及びエリア跨ぎ情報を走行明細として記憶する。また、車両の通行料金の算出が可能な場合、走行明細には、通行料金が含まれる。
【0025】
通信部13Aは、外部の機器と通信するための通信インターフェースである。通信部13Aは、入口料金所機器2A、出口料金所機器3A、経路機器4A、及び関所機器5Aと通信するためのインターフェースであるものとする。なお、通信部13Aは、各種の機器に対応した複数種類の通信インターフェースを含むものであっても良い。また、通信部13Aは、エリア管理装置1Bと通信するための通信インターフェースである。
【0026】
また、制御部11Aは、記憶部12Aから走行明細を読み出して、車両の走行経路を捕捉し、通行料金を計算する。また、通信部13Aは、出口料金所機器3Aに対して、通行料金を含む清算情報を通知する。また、通信部13Aは、エリア管理装置1Bに対して、エリアAからエリアBへエリアを跨いで走行する車両の走行明細を送信する。或いは、通信部13Aは、エリア管理装置1Bからの走行明細を受信する。
【0027】
エリア管理装置1Bは、制御部11B、記憶部12B、及び通信部13Bを備える。エリア管理装置1Bの各部は、エリア管理装置1Aの各部と実質同一であり、詳細説明は省略する。
【0028】
次に、入口料金所機器2Aについて説明する。入口料金所機器2Aは、制御部21A、上位通信部22A、車両通信部23A、及び記憶部24Aを備える。入口料金所機器2Aは、例えば、汎用のサーバ装置と専用の機器とを組み合わせて構成される。
【0029】
制御部21Aは、入口料金所機器2全体の制御及びデータ処理などを行う。制御部21Aは、CPU、メモリおよびインターフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インターフェースなどを介して入口料金所機器2Aを構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0030】
上位通信部22Aは、エリア管理装置1Aと通信するための通信インターフェースである。車両通信部23Aは、車両Sの車載器と無線通信するインターフェースである。車両通信部23Aは、入口料金所において入口料金所機器2に接近する車両S(入場しようとする車両)に搭載された車載器と無線通信する。車両通信部23Aは、無線通信する車載器から利用者を特定する情報を受信し、上位通信部22Aは、入場情報をエリア管理装置1Aへ送信する。入場情報は、予め記憶された入口ID、車載器から受信した利用者を特定する情報、及び入場日時を含む。また、車両通信部23Aは、車載器に対して、入口ID及び入場日時を含む入場記録を送信してもよい。車載器は、受信した入場記録をICカード等へ記録する。
【0031】
記憶部24Aは、入口ID等の情報を記憶する。また、記憶部24Aは、車載器から受信した情報を一時的に記憶する。
【0032】
また、入口料金所機器2Bは、制御部21B、上位通信部22B、車両通信部23B、及び記憶部24Bを備える。入口料金所機器2Bの各部は、入口料金所機器2Aの各部と実質的に同一であり、その詳細説明を省略する。
【0033】
次に、出口料金所機器3Aについて説明する。出口料金所機器3Aは、制御部31A、上位通信部32A、車両通信部33A、及び記憶部34Aを備える。出口料金所機器3Aは、例えば、汎用のサーバ装置と専用の機器とを組み合わせて構成される。
【0034】
制御部31Aは、出口料金所機器3A全体の制御及びデータ処理などを行う。制御部31Aは、CPU、メモリおよびインターフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インターフェースなどを介して出口料金所機器3Aを構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0035】
上位通信部32Aは、エリア管理装置1Aと通信するための通信インターフェースである。例えば、車両通信部33Aは、車両Sの車載器と無線通信するインターフェースである。車両通信部33Aは、出口料金所において出口料金所機器3Aに接近する車両S(出場しようとする車両)に搭載された車載器と無線通信する。車両通信部33Aは、無線通信する車載器から利用者を特定する情報を受信する。上位通信部32Aは、出場情報をエリア管理装置1Aへ送信し、エリア管理装置1Aから清算情報等を受信する。出場情報は、予め記憶された出口ID、車載器から受信した利用者を特定する情報、及び出場日時を含む。車両通信部33Aは、車載器に対して、出口ID、出場日時、及び清算情報を含む出場記録を送信する。車載器は、受信した出場記録をICカード等へ記録する。
【0036】
記憶部34Aは、出口ID等の情報を記憶する。また、記憶部34Aは、車載器から受信した情報を一時的に記憶する。
【0037】
また、出口料金所機器3Bは、制御部31B、上位通信部32B、車両通信部33B、及び記憶部34Bを備える。出口料金所機器3Bの各部は、出口料金所機器3Aの各部と実質的に同一であり、その詳細説明を省略する。
【0038】
次に経路機器4Aについて説明する。経路機器4Aは、制御部41A、上位通信部42A、車両通信部43A、及び記憶部44Aを備える。経路機器4Aは、例えば、汎用のサーバ装置と専用の機器とを組み合わせて構成される。
【0039】
制御部41Aは、経路機器4A全体の制御及びデータ処理などを行う。制御部41Aは、CPU、メモリおよびインターフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インターフェースなどを介して経路機器4Aを構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0040】
上位通信部42Aは、エリア管理装置1Aと通信するための通信インターフェースである。例えば、車両通信部43Aは、車両Sの車載器と無線通信するインターフェースである。車両通信部43Aは、経路ポイントにおいて経路機器4Aに接近する車両S(通過しようとする車両)に搭載された車載器と無線通信する。車両通信部43Aは、無線通信する車載器から利用者を特定する情報を受信する。上位通信部42Aは、通過情報をエリア管理装置1Aへ送信する。通過情報は、予め記憶された経路ポイントID、車載器から受信した利用者を特定する情報、及び通過日時を含む。車両通信部43Aは、車載器に対して、経路ポイントID及び通過日時を含む通過記録を送信してもよい。車載器は、受信した通過記録をICカード等へ記録してもよい。
【0041】
記憶部44Aは、経路ポイントID等の情報を記憶する。また、記憶部44Aは、車載器から受信した情報を一時的に記憶する。
【0042】
また、経路機器4Bは、制御部41B、上位通信部42B、車両通信部43B、及び記憶部44Bを備える。経路機器4Bの各部は、経路機器4Aの各部と実質的に同一であり、その詳細説明を省略する。
【0043】
次に関所機器5Aについて説明する。関所機器5Aは、制御部51A、上位通信部52A、車両通信部53A、及び記憶部54Aを備える。関所機器5Aは、例えば、汎用のサーバ装置と専用の機器とを組み合わせて構成される。
【0044】
制御部51Aは、関所機器5A全体の制御及びデータ処理などを行う。制御部51Aは、CPU、メモリおよびインターフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インターフェースなどを介して関所機器5Aを構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0045】
上位通信部52Aは、エリア管理装置1Aと通信するための通信インターフェースである。例えば、車両通信部53Aは、車両Sの車載器と無線通信するインターフェースである。車両通信部53Aは、エリア境界の前又は後の関所において関所機器5Aに接近する車両S(通過しようとする車両)に搭載された車載器と無線通信する。車両通信部53Aは、無線通信する車載器から利用者を特定する情報を受信する。上位通信部52Aは、エリア跨ぎ情報をエリア管理装置1Aへ送信する。エリア跨ぎ情報は、予め記憶された関所ID、車載器から受信した利用者を特定する情報、及び通過日時を含む。車両通信部53Aは、車載器に対して、関所ID及び通過日時を含むエリア跨ぎ記録を送信してもよい。車載器は、受信したエリア跨ぎ記録をICカード等へ記録してもよい。
【0046】
記憶部54Aは、関所ID等の情報を記憶する。また、記憶部54Aは、車載器から受信した情報を一時的に記憶する。
【0047】
なお、経路機器4Aと関所機器5Aは機能的には同様のもので良く、エリアの境界の前又は後に配置した経路機器4Aをエリア管理装置1Aが関所機器5Aとして認識するようにしてもよい。
【0048】
<エリア内走行の正常処理>
図3、
図10、
図13A、
図13B、
図14A、
図14B、
図15を参照し、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理の一例について説明する。
図3は、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理の一例を示すシーケンス図である。
図10は、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる入口処理の一例を示すフローチャートである。
図13Aは、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる経路処理(全体)の一例を示すフローチャートである。
図13Bは、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる経路処理(更新又は登録)の一例を示すフローチャートである。
図14Aは、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる出口処理(全体)の一例を示すフローチャートである。
図14Bは、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる出口処理(更新又は登録)の一例を示すフローチャートである。
図15は、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理に含まれる清算処理の一例を示すフローチャートである。
【0049】
図3に示すように、車両SがエリアAの入口料金所を通過すると、入口料金所機器2Aの車両通信部23Aは、車両Sの車載器から利用者を特定する情報を受信し、制御部21Aは、受信した利用者を特定する情報、入口ID、及び入場日時を含む入場情報を生成し、上位通信部22Aは、エリア管理装置1Aに対して入場情報通知を送信する。
【0050】
エリア管理装置1Aは、入場情報通知を受信し、入場情報を走行明細データベース(DB)に新規の走行レコードとして登録する。
【0051】
即ち、
図10に示すように、通信部13Aは、入場情報通知を受信し(S11)、制御部11Aは、記憶部12Aに記憶された走行明細データベース(DB)に対して入場情報を新規の走行レコードとして登録する(S12)。
【0052】
その後、車両SがエリアAの経路ポイントを通過すると、経路機器4Aの車両通信部43Aは、車両Sの車載器から利用者を特定する情報を受信し、制御部41Aは、受信した利用者を特定する情報、経路ポイントID、及び通過日時を含む通過情報を生成し、上位通信部42Aは、エリア管理装置1Aに対して通過情報通知を送信する。ここでは、受信に成功したケースを示し、通過情報は、利用者を特定する全ての情報として複数種類のIDを含む。
【0053】
エリア管理装置1Aは、通過情報通知を受信し、通過情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索し、該当する走行レコードを抽出して経路の正常性を確認し、抽出された走行レコードに通過情報を追加して走行レコードを更新する。
【0054】
即ち、
図13Aに示すように、通信部13Aは、通過情報通知を受信し(S41)、制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する情報を全て受信したか否かを判定する(S42)。制御部11Aは、利用者を特定する情報を全て受信した場合(S42、YES)、抽出された走行レコードに通過情報を追加して、抽出された走行レコードを正規更新し、抽出された走行レコードがなければ、通過情報を含む走行レコードを新規登録する(S43)。なお、制御部11Aは、全ての利用者を特定する情報を受信しない場合、つまり受信した情報の一部に欠落がある場合(S42、NO)、抽出された走行レコードに通過情報を仮追加して、抽出された走行レコードを仮更新し、また、抽出された走行レコードがなければ、通過情報を含む走行レコードを仮登録する(S44)。仮更新された走行レコードは仮更新フラグを付与し仮レコードとして管理され、仮登録された走行レコードも仮登録フラグを付与し仮レコードとして管理される。これにより、正規更新又は正規登録された正規レコードと仮更新又は仮登録された仮レコードの識別が可能となる。
【0055】
ここで、
図13Bを参照して、利用者を特定する情報を全て受信した場合について詳細に説明する。制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索する(S4301)。制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致する走行レコードが抽出された場合(S4302、YES)、経路正常性を確認し(S4303)、抽出された走行レコードが仮レコードであれば正規レコードへ更新し(S4304)、抽出された走行レコードに通過情報を追加し更新する(S4305)。ここでは、制御部11Aは、仮引継フラグOFFを確認し(S4306、NO)、処理を終了する。なお、仮引継フラグがONの場合(S4306、YES)、通過情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致していることにより(S4302、YES)、仮引継フラグをOFFに設定し引継完了通知を前のエリアのエリア管理装置へ送信する(S4307)。
【0056】
なお、制御部11Aは、記憶部12Aに記憶された全経路に関する経路情報、抽出された走行レコードに含まれる日時情報、及び通過情報に含まれる日時情報等に基づき、走行経路に不正又は矛盾がないか確認し、不正又は矛盾がなければ正常経路と判定し、不正又は矛盾がある場合には異常経路と判定する。例えば、制御部11Aは、走行経路に含まれる入口ID、経路ポイントID、及び出口IDの順が経路情報として存在する経路であれば正常経路、存在しない経路であれば異常経路と判定する。また、制御部11Aは、入口ID、経路ポイントID、及び出口IDの各区間の通行距離に応じた移動時間が閾値より短い場合には、異常経路と判定する。
【0057】
また、制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致する走行レコードが抽出されない場合は(S4302、NO)、このエリアにおいて入場情報等を受信できなかった、或いはこのエリアの前のエリアからの引継情報を受信できなかった可能性がある。このような場合、通信部13Aは、前のエリアのエリア管理装置に引継要求を送信する(S4308)。引継要求に対する回答があれば(S4309、YES)、制御部11Aは、走行明細DBに回答を登録し、回答に通過情報を追加して、更新を完了する(S4310)。引継要求に対する回答がなければ(S4309、NO)、制御部11Aは、走行明細DBに走行レコードを新規に登録し、走行レコードに通過情報を追加する(S4311)。
【0058】
その後、車両SがエリアAの出口料金所を通過すると、出口料金所機器3Aの車両通信部33Aは、車両Sの車載器から利用者を特定する情報を受信し、制御部31Aは、受信した利用者を特定する情報、出口ID、及び通過日時を含む出場情報を生成し、上位通信部32Aは、エリア管理装置1Aに対して出場情報通知を送信する。出場情報は、利用者を特定する全ての情報として複数種類のIDを含む。
【0059】
エリア管理装置1Aは、出場情報通知を受信し、出場情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索し、該当する走行レコードを抽出して経路の正常性を確認し、抽出された走行レコードに出場情報を追加し、抽出された走行レコードを更新する。さらに、エリア管理装置1Aは、通行日時及び通行経路に応じた通行料金を算出し、通行料金を含む清算情報を出口料金所機器3Aへ送信する。
【0060】
即ち、
図14Aに示すように、通信部13Aは、出場情報通知を受信し(S51)、制御部11Aは、出場情報に含まれる利用者を特定する情報を全て受信したか否かを判定する(S52)。制御部11Aは、利用者を特定する情報を全て受信した場合(S52、YES)、抽出された走行レコードに出場情報を追加して、抽出された走行レコードを正規更新し、抽出された走行レコードがなければ、出場情報を含む走行レコードを新規登録する(S53)。なお、制御部11Aは、全ての利用者を特定する情報を受信しない場合、つまり受信した情報の一部に欠落がある場合(S52、NO)、抽出された走行レコードに出場情報を追加して、抽出された走行レコードを仮更新し、抽出された走行レコードがなければ、出場情報を含む走行レコードを仮登録する(S54)。
【0061】
ここで、
図14Bを参照して、利用者を特定する情報を全て受信した場合について詳細に説明する。制御部11Aは、出場情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索する(S5301)。制御部11Aは、出場情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致する走行レコードが抽出された場合(S5302、YES)、経路正常性を確認し(S5303)、抽出された走行レコードが仮レコードであれば正規レコードへ更新し(S5304)、抽出された走行レコードに出場情報を追加し更新する(S5305)。
【0062】
さらに、制御部11Aは、正常性が確認された経路及び通行日時に応じた通行料金を算出し(S5306)、通信部13Aは、出口料金所機器3Aに対して、通行料金を含む清算情報通知を送信する(S5307)。ここでは、制御部11Aは、仮引継フラグOFFを確認し(S5308、NO)、処理を終了する。なお、仮引継フラグがONの場合(S5308、YES)、通過情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致していることにより、(S5302、YES)、仮引継フラグをOFFに設定し、引継完了通知を前のエリアのエリア管理装置へ送信する(S5309)。
【0063】
なお、制御部11Aは、記憶部12Aに記憶された全経路に関する経路情報、検索された走行レコードに含まれる日時情報、及び出場情報に含まれる日時情報等に基づき、経路正常性を確認する。
【0064】
また、制御部11Aは、出場情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致する走行レコードが抽出されない場合は(S5302、NO)、このエリアにおいて等を受信できなかった、或いはこのエリアの前のエリアからの引継情報を受信できなかった可能性がある。このような場合、通信部13Aは、前のエリアのエリア管理装置に引継要求を送信する(S5310)。引継要求に対する回答があれば(S5311、YES)、制御部11Aは、走行明細DBに回答を登録し、回答に出場情報を追加して、更新を完了する(S5312)。引継要求に対する回答がなければ(S5311、NO)、制御部11Aは、走行明細DBに走行レコードを新規に登録し、走行レコードに出場情報を追加する(S5313)。
【0065】
出口料金所機器3Aは、清算情報通知を受信し、清算情報を車載器へ送信し、また、エリア管理装置1Aに対して清算完了通知を送信する。清算完了通知は、利用者を特定する情報を含む。
【0066】
エリア管理装置1Aは、清算完了通知を受信し、走行レコードに清算完了を記録し、走行レコードを更新し、料金請求サーバに対して走行レコードを転送し、走行明細DBから走行レコードを削除する。
【0067】
即ち、
図15に示すように、通信部13Aは、清算完了通知を受信し(S61)、制御部11Aは、清算完了通知に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索し(S62)、該当する走行レコードを抽出し、抽出された走行レコードに清算完了を記録し、走行レコードを更新する(S63)。さらに、制御部11Aは、料金請求サーバに対して走行レコードを転送するように制御し、転送された走行レコードを削除する(S64)。
【0068】
なお、
図3に示すエリア内走行の正常処理の一例では、経路ポイントを通過するケースについて説明したが、経路ポイントの通過は必須ではなく、経路ポイントを経ずに入口料金所から入場して出口料金所から出場することもある。
【0069】
図3に示すエリア内走行の正常処理によれば、車両が出口料金所から出場した後に、該当の走行レコードが走行明細DBから削除されるので、記憶容量の枯渇を防止することができる。
【0070】
<エリア内走行の通過情報の一部取得失敗対応>
図4、
図10、
図13A、
図13C、
図14A、
図14B、
図15を参照し、第1の実施形態に係るエリア内走行の正常処理の一例について説明する。
図4は、第1の実施形態に係るエリア内走行の通過情報の一部取得失敗対応の一例を示すシーケンス図である。
図13Cは、第1の実施形態に係るエリア内走行の通過情報の一部取得失敗対応に含まれる経路処理(仮更新又は仮登録)の一例を示すフローチャートである。なお、説明済みの内容と実質同一の部分の説明については適宜省略する。
【0071】
図4に示すように、車両SがエリアAの入口料金所を通過すると、入口料金所機器2Aの車両通信部23Aは、車両Sの車載器から利用者を特定する情報を受信し、制御部21Aは、受信した利用者を特定する情報、入口ID、及び入場日時を含む入場情報を生成し、上位通信部22Aは、エリア管理装置1Aに対して入場情報通知を送信する。
【0072】
エリア管理装置1Aは、入場情報通知を受信し、入場情報を走行明細DBに新規の走行レコードとして登録する。
【0073】
その後、車両SがエリアAの経路ポイントを通過すると、経路機器4Aの車両通信部43Aは、車両Sの車載器から利用者を特定する情報を受信するが、一部情報の取得に失敗することがある。例えば、利用者を特定する情報である複数種類のIDのうち、いくつかのIDの取得に失敗し、一部のIDが欠落することがある。例えば、カードIDの取得に失敗することがある。
【0074】
制御部41Aは、受信した利用者を特定する一部情報、経路ポイントID、及び通過日時を含む通過情報を生成し、上位通信部42Aは、エリア管理装置1Aに対して通過情報通知を送信する。ここでは、一部情報の受信に失敗したケースを示し、通過情報は、利用者を特定する一部情報を含む。
【0075】
エリア管理装置1Aは、通過情報通知を受信し、通過情報に含まれる利用者を特定する一部情報をキーに走行明細DBを検索し、部分一致する走行レコードを抽出して経路の正常性を確認し、抽出される走行レコードに通過情報を仮追加して走行レコードを仮更新する。部分一致する走行レコードが複数抽出される場合は、エリア管理装置1Aは、抽出される複数の走行レコードに通過情報を仮追加して複数の走行レコードを仮更新する。
【0076】
即ち、
図13Aに示すように、通信部13Aは、通過情報通知を受信し(S41)、制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する情報を全て受信したか否かを判定する(S42)。制御部11Aは、全ての利用者を特定する情報を受信しない場合、つまり受信した情報の一部に欠落がある場合(S42、NO)、抽出された1又は複数の走行レコードに通過情報を仮追加して、抽出された1又は複数の走行レコードを仮更新する(S44)。仮更新された1又は複数の走行レコードは仮更新フラグを付与し仮レコードとして管理される。これにより、正規レコードと仮レコードの識別が可能となる。
【0077】
ここで、
図13Cを参照して、利用者を特定する一部情報を受信した場合について詳細に説明する。制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する一部情報をキーに走行明細DBを検索する(S4401)。制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する一部情報と部分一致する1又は複数の走行レコードが抽出された場合(S4402、YES)、1又は複数の走行レコードに基づき経路正常性を確認し(S4403)、抽出された1又は複数の走行レコードに通過情報を仮追加し仮更新する(S4404)。
【0078】
例えば、
図19Aに示すように、正規の走行レコードR1に含まれた正規の入場情報が、入口ID、日時情報、利用者特定ID1a、及び利用者特定ID2a等を含むとする。また、通過情報が、経路ポイントID、日時情報、及び利用者特定ID1aを含み、利用者特定ID2xを含まないとする。この場合、複数の利用者特定IDを比較すると、正規の走行レコードR1に含まれる入場情報の利用者特定ID1aと、通過情報の利用者特定ID1aとが部分一致する。
【0079】
図19Bに示すように、部分一致に基づき、正規の走行レコードR1を仮の走行レコードR1へ更新する。仮の走行レコードR1は、正規の入場情報と仮の通過情報を含む。仮の走行レコードR1へ更新する理由として、利用者特定IDが完全にユニークな情報ではない場合の対策である。
【0080】
或いは、
図20Aに示すように、正規の走行レコードR1に含まれた正規の入場情報が、入口ID、日時情報、利用者特定ID1a、及び利用者特定ID2a等を含み、正規の走行レコードR2に含まれた正規の入場情報が、入口ID、日時情報、利用者特定ID1a、及び利用者特定ID2b等を含むとする。また、通過情報が、経路ポイントID、日時情報、及び利用者特定ID1aを含み、利用者特定ID2xを含まないとする。この場合、複数の利用者特定IDを比較すると、正規の走行レコードR1に含まれる入場情報の利用者特定ID1aと、通過情報の利用者特定ID1aとが部分一致し、さらに、正規の走行レコードR2に含まれる入場情報の利用者特定ID1aと、通過情報の利用者特定ID1aとも部分一致する。
【0081】
図20Bに示すように、部分一致に基づき、正規の走行レコードR1を仮の走行レコードR1へ更新し、正規の走行レコードR2も仮の走行レコードR2へ更新する。仮の走行レコードR1は、正規の入場情報と仮の通過情報を含み、仮の走行レコードR2も、正規の入場情報と仮の通過情報を含む。仮の走行レコードR1及びR2へ更新する理由として、利用者特定IDが完全にユニークな情報ではない場合の対策である。利用者特定IDが完全にユニークな情報でない場合に、部分一致に基づき、複数の走行レコードが抽出されることがある。
【0082】
なお、制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する一部情報と部分一致する1又は複数の走行レコードが抽出されない場合は(S4402、NO)、このエリアにおいて入場情報等を受信できなかった、或いはこのエリアの前のエリアからの引継情報を受信できなかった可能性がある。このような場合、前のエリアのエリア管理装置に引継要求を送信する(S4405)。引継要求に対する回答があれば(S4406、YES)、制御部11Aは、走行明細DBに回答を仮登録し、回答に通過情報を追加して、更新を完了する(S4407)。引継要求に対する回答がなければ(S4408、NO)、制御部11Aは、走行明細DBに走行レコードを新規に登録し、走行レコードに通過情報を追加する(S4408)。
【0083】
その後、車両SがエリアAの出口料金所を通過すると、出口料金所機器3Aの車両通信部33Aは、車両Sの車載器から利用者を特定する情報を受信し、制御部31Aは、受信した利用者を特定する情報、出口ID、及び通過日時を含む出場情報を生成し、上位通信部32Aは、エリア管理装置1Aに対して出場情報通知を送信する。出場情報は、利用者を特定する全ての情報として複数種類のIDを含む。
【0084】
エリア管理装置1Aは、出場情報通知を受信し、出場情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索し、該当する走行レコードを抽出して経路の正常性を確認し、抽出された走行レコードに出場情報を追加し、抽出された走行レコードを更新する。つまり、エリア管理装置1Aは、各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、予め記憶された有料道路の各経路を示す経路情報と、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDとに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき車両の通行経路を判定する。例えば、エリア管理装置1Aは、通過情報に含まれる複数種類のIDのうちのカードIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定する。さらに、エリア管理装置1Aは、通行経路及び通行日時に応じた通行料金を算出し、通行料金を含む清算情報を出口料金所機器3Aへ送信する。
【0085】
即ち、
図14Aに示すように、通信部13Aは、出場情報通知を受信し(S51)、制御部11Aは、出場情報に含まれる利用者を特定する情報を全て受信したか否かを判定する(S52)。制御部11Aは、利用者を特定する情報を全て受信した場合(S52、YES)、出場情報を追加して走行レコードを更新し(S53)、利用者を特定する一部情報を受信した場合(S52、NO)、出場情報を追加して走行レコードを仮更新する(S54)。
【0086】
ここで、
図14Bを参照して、利用者を特定する情報を全て受信した場合について詳細に説明する。制御部11Aは、出場情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索する(S5301)。制御部11Aは、出場情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致する走行レコードが抽出された場合(S5302、YES)、経路正常性を確認し(S5303)、抽出された仮レコードを正規レコードへ更新し(S5304)、抽出された走行レコードに出場情報を追加し更新する(S5305)。
【0087】
さらに、制御部11Aは、正常性が確認された経路及び通行日時に応じた通行料金を算出し(S5306)、通信部13Aは、出口料金所機器3Aに対して、通行料金を含む清算情報通知を送信する(S5307)。なお、複数の仮レコードが抽出されている場合、正規レコードに更新されなかった他の仮レコードは無関係のレコードであり、他の仮レコードに登録された通過情報を取り消し、他の仮レコードについては仮レコードの状態も取り消す。
【0088】
例えば、
図19Cに示すように、出場情報が、経路ポイントID、日時情報、利用者特定ID1a、及び利用者特定ID2a等を含むとする。この場合、複数の利用者特定IDを比較すると、正規の走行レコードR1に含まれる入場情報の利用者特定ID1a及び利用者特定ID2aと、出場情報の利用者特定ID1a及び利用者特定ID2aの全てが一致する。
【0089】
図19Dに示すように、全ての一致に基づき、仮の走行レコードR1を正規の走行レコードR1へ更新する。正規の走行レコードR1は、正規の入場情報と、準正規の通過情報と、正規の出場情報とを含む。なお、準正規の通過情報は、推定された利用者特定ID2aを含む。
【0090】
或いは、
図20Cに示すように、複数の利用者特定IDを比較すると、正規の走行レコードR1に含まれる入場情報の利用者特定ID1a及び利用者特定ID2aと、出場情報の利用者特定ID1a及び利用者特定ID2aの全てが一致するが、正規の走行レコードR2に含まれる入場情報の利用者特定ID2bと、出場情報の利用者特定ID2aは不一致である。
【0091】
従って、
図20Dに示すように、全ての一致に基づき、仮の走行レコードR1を正規の走行レコードR1へ更新する。正規の走行レコードR1は、正規の入場情報と、準正規の通過情報と、正規の出場情報とを含む。また、不一致に基づき、仮の走行レコードR2も正規の走行レコードR2へ更新するが、正規の走行レコードR2から仮の通過情報は削除され、正規の走行レコードR2は、正規の入場情報を含む。
【0092】
ここで、
図14Cを参照して、利用者を特定する一部情報を受信した場合について詳細に説明する。制御部11Aは、出場情報に含まれる利用者を特定する一部情報をキーに走行明細DBを検索する(S5401)。制御部11Aは、出場情報に含まれる利用者を特定する一部情報と部分一致する走行レコードが抽出された場合(S5402、YES)、経路正常性を確認し(S5403)、走行レコードに出場情報を追加し、走行レコードを仮更新する(S5404)。さらに、制御部11Aは、走行レコードに基づき仮通行料金を算出し(S5405)、仮通行料金を含む清算情報通知を出口料金所機器3Aへ送信する(S5406)。
【0093】
また、制御部11Aは、出場情報に含まれる利用者を特定する一部情報と部分一致する走行レコードが抽出されない場合は(S5402、NO)、このエリアにおいて入場情報等を受信できなかった、或いはこのエリアの前のエリアからの引継情報を受信できなかった可能性がある。このような場合、通信部13Aは、前のエリアのエリア管理装置に引継要求を送信する(S5407)。引継要求に対する回答があれば(S5408、YES)、制御部11Aは、走行明細DBに回答を仮登録し、回答に出場情報を追加して、更新を完了する(S5409)。引継要求に対する回答がなければ(S5408、NO)、制御部11Aは、走行明細DBに走行レコードを新規に仮登録し、走行レコードに出場情報を追加する(S5410)。
【0094】
清算情報通知、及び清算完了通知については、既に説明した通りであり、その説明を省略する。
【0095】
なお、
図4に示すエリア内走行の通過情報の一部取得失敗対応の一例では、経路機器4Aが、通過情報の一部取得に失敗し、出口料金所機器3Aは、出場情報の取得に成功するケースについて説明したが、出場情報等の一部取得に失敗した場合でも、同様に対応することができる。
【0096】
図4に示す対応によれば、利用者を特定する情報に欠落があり、不完全な情報に基づき走行明細DBから走行レコードを検索し、その結果、走行明細DBに候補となる走行レコードが複数あった場合でも、他に取得された情報に基づき走行レコードを特定することができ、実際の通行経路に対応する通行料金を課金することができる。
【0097】
路側機器(入口料金所機器2A、出口料金所機器3A、経路機器4A、関所機器5A)は、車載器と無線通信するが、通信環境によっては、利用者を特定する情報の一部取得に失敗し、利用者を特定する情報の一部が欠落することがあり得る。このような場合、通過情報は不完全な情報となり、通過情報に含まれる利用者を特定する情報の信頼性が低下するおそれがある。このような場合でも、予め記憶された有料道路の各経路を示す経路情報と、各機器から送信される情報に含まれる日時及びIDとに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報が特定され、特定された情報に基づき車両の通行経路が判定され、実際の通行経路に対応する通行料金を課金することができる。
【0098】
<エリア内走行の通過情報の取得失敗対応>
図5は、第1の実施形態に係るエリア内走行の通過情報の取得失敗対応の一例を示すシーケンス図である。なお、説明済みの内容と実質同一の部分の説明については適宜省略する。
【0099】
図5に示すように、車両SがエリアAの入口料金所、経路ポイント、及び出口料金所を通過する。入口料金所機器2Aは、車両Sの車載器との通信に成功し入場情報を送信し、出口料金所機器3Aは、車両Sの車載器との通信に成功し出場情報を送信するが、経路機器4Aが、車両Sの車載器との通信に失敗すると、経路機器4Aは、通過情報を送信できない。
【0100】
このようなケースでは、エリア管理装置1Aは、予め記憶された有料道路の各経路を示す経路情報と、各機器から送信される情報に含まれる日時及びIDとに基づき、経路を特定又は補正する。
【0101】
経路機器4Aが、車載器との通信に失敗し、経路情報を送信することができないケースでも、つまり、一部の機器からの情報が得られなくても他の情報を利用し、車両を特定し且つ経路を特定又は補正することにより、特定の車両の実際の通行経路に対応する通行料金を課金することができる。
【0102】
<エリア内走行の入場情報の取得失敗対応>
図6は、第1の実施形態に係るエリア内走行の入場情報の取得失敗対応の一例を示すシーケンス図である。なお、説明済みの内容と実質同一の部分の説明については適宜省略する。
【0103】
図6に示すように、車両SがエリアBの入口料金所を通過し、入口料金所機器2Bの車両通信部23Bが、車両Sの車載器から情報を取得できなければ、エリア管理装置1Bに対して入場情報は送信されない。
【0104】
その後、車両SがエリアBの経路ポイントを通過すると、経路機器4Bの車両通信部43Bは、車両Sの車載器から利用者を特定する情報を受信し、制御部41Bは、通過情報を生成し、上位通信部42Bは、エリア管理装置1Bに対して通過情報通知を送信する。
【0105】
エリア管理装置1Bは、通過情報通知を受信し、通過情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索するが、該当する走行レコードを抽出できない。この場合、エリア管理装置1Bは、隣接エリアのエリア管理装置1Aに対して、通過情報に対応する引継情報を要求する引継要求を送信する。エリア管理装置1Aは、通過情報に対応する引継要求を受信するが、こちらでも、通過情報に対応する引継要求を抽出できず、その旨の引継応答を送信する。エリア管理装置1Bは、引継応答を受信し、経路情報を走行明細DBに対して通過情報を新規の走行レコードとして登録する。
【0106】
図6に示す対応によれば、入口料金所機器との正常な通信を経ずに入り込んだ車両か、関所機器との正常な通信経ずに他のエリアから入り込んだ車両かを区別して管理することができる。
【0107】
<エリア跨ぎ走行の正常処理>
図7、
図11、
図16A、
図16B、
図18を参照し、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行の正常処理の一例について説明する。
図7は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行の正常処理の一例を示すシーケンス図である。
図11は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行の正常処理に含まれる引継情報登録の一例を示すフローチャートである。
図16Aは、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行の正常処理に含まれるエリア跨ぎ処理(全体)の一例を示すフローチャートである。
図16Bは、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行の正常処理に含まれるエリア跨ぎ処理(更新又は登録)の一例を示すフローチャートである。
図18は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行の正常処理に含まれる引継後処理の一例を示すフローチャートである。
【0108】
【0109】
図7に示すように、車両SがエリアAの入口料金所を通過し、さらに経路ポイントを通過すると、エリア管理装置1Aは、入口料金所機器2Aからの入場情報を走行明細DBに新規の走行レコードとして登録し、また、経路機器4Aからの通過情報を新規に登録された走行レコードに加えて走行レコードを更新する。
【0110】
その後、車両SがエリアAからエリアBへのエリア境界を通過すると、関所機器5Aの車両通信部53Aは、車両Sの車載器から利用者を特定する情報を受信し、制御部51Aは、受信した利用者を特定する情報、関所ID、及び通過日時を含むエリア跨ぎ情報を生成し、上位通信部52Aは、エリア管理装置1Aに対してエリア跨ぎ情報通知を送信する。ここでは、受信に成功したケースを示し、エリア跨ぎ情報は、利用者を特定する全ての情報として複数種類のIDを含む。
【0111】
エリア管理装置1Aは、エリア跨ぎ情報通知を受信し、エリア跨ぎ情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索し、該当する走行レコードを抽出して経路の正常性を確認し、抽出された走行レコードにエリア跨ぎ情報を追加して走行レコードを更新する。
【0112】
即ち、
図16Aに示すように、通信部13Aは、エリア跨ぎ情報通知を受信し(S71)、制御部11Aは、エリア跨ぎ情報に含まれる利用者を特定する情報を全て受信したか否かを判定する(S72)。制御部11Aは、利用者を特定する情報を全て受信した場合(S72、YES)、抽出された走行レコードにエリア跨ぎ情報を追加して、抽出された走行レコードを正規更新し、抽出された走行レコードがなければ、エリア跨ぎ情報を含む走行レコードを新規登録する(S73)。なお、制御部11Aは、全ての利用者を特定する情報を受信しない場合、つまり受信した情報の一部に欠落がある場合(S72、NO)、抽出された走行レコードにエリア跨ぎ情報を仮追加して、抽出された走行レコードを仮更新し、抽出された走行レコードがなければ、エリア跨ぎ情報を含む走行レコードを仮登録する(S74)。
【0113】
ここで、
図16Bを参照して、利用者を特定する情報を全て受信した場合について詳細に説明する。制御部11Aは、エリア跨ぎ情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索する(S7301)。制御部11Aは、エリア跨ぎ情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致する走行レコードが抽出された場合(S7302、YES)、抽出された走行レコードが仮レコードであれば(S7303、YES)、仮レコードを正規レコードへ更新し、経路正常性を確認し(S7304)、抽出された走行レコードにエリア跨ぎ情報を追加し更新する(S7305)。さらに、制御部11Aは、更新された走行レコードを含む引継情報を生成し、経路情報を参照して、次のエリアのエリア管理装置1Bを選択し、通信部13Aは、次のエリアのエリア管理装置1Bに対して、引継情報を送信する(S7306)。ここでは、制御部11Aは、仮引継フラグOFFを確認し(S7307、NO)、処理を終了する。なお、仮引継フラグがONの場合(S8307、YES)、通過情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致していることにより(S7302、YES)、引継完了通知を前のエリアのエリア管理装置へ送信する(S7308)。
【0114】
なお、制御部11Aは、エリア跨ぎ情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致する走行レコードが抽出されない場合は(S7302、NO)、このエリアにおいて入場情報等を受信できなかった、或いはこのエリアの前のエリアからの引継情報を受信できなかった可能性がある。このような場合、通信部13Aは、前のエリアのエリア管理装置に対して、引継要求を送信する(S7309)。通信部13Aが、前のエリアのエリア管理装置からの引継応答レコードを受信すれば(S7310、YES)、制御部11Aは、走行明細DBに受信した引継応答レコードを登録する(S7311)。通信部13Aが、前のエリアのエリア管理装置からの引継応答レコードを受信しなければ(S7310、NO)、制御部11Aは、走行明細DBにエリア跨ぎ情報を新規登録する(S7312)。
【0115】
図11に示すように、エリア管理装置1Bの通信部13Bは、引継情報を受信し(S21)、制御部11Bは、引継情報に基づき経路正常性を確認する(S22)。また、制御部11Bは、引継情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索し、該当する走行レコードがなければ、走行明細DBに対して引継情報を新規の走行レコードとして登録する(S23)。なお、該当する走行レコードがあれば、制御部11Bは、該当する走行レコードを抽出し、抽出された走行レコードに引継機情報を追加し、抽出された走行レコードを更新する。引継情報を新規の走行レコードとして登録する、又は引継情報を既存の走行レコードに追加すると、通信部13Bは、エリア管理装置1Aに対して、引継完了通知を送信する(S24)。
【0116】
図18に示すように、エリア管理装置1Aの通信部13Aは、引継完了通知を受信し(S91)、制御部11Aは、引継完了通知に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索し(S92)、該当の走行レコードを削除する(S93)。
【0117】
エリアBに入った車両Sが、エリアBの経路ポイントを通過し、さらに出口料金所を通過すると、エリア管理装置1Bは、経路機器4Bからの通過情報を受信し、該当の走行レコードを検索し、抽出された走行レコードに通過情報を追加し、抽出された走行レコードを更新し、出口料金所機器3Bからの出場情報を受信し、該当の走行レコードを検索し、抽出された走行レコードに出場情報を追加し、抽出された走行レコードを更新する。さらに、エリア管理装置1Bは、走行レコードに含まれる入場情報、通過情報、エリア跨ぎ情報、及び出場情報に基づき、経路及び通行日時に応じた通行料金を算出し、通行料金を含む清算情報を出口料金所機器3Bへ送信する。
【0118】
出口料金所機器3Bは、清算情報通知を受信し、清算情報を車載器へ送信し、また、エリア管理装置1Bに対して清算完了通知を送信する。清算完了通知は、利用者を特定する情報を含む。
【0119】
エリア管理装置1Bは、清算完了通知を受信し、走行レコードに清算完了を記録し、走行レコードを更新し、料金請求サーバに対して走行レコードを転送し、走行明細DBから走行レコードを削除する。
【0120】
図7に示すエリア跨ぎ走行の正常処理によれば、車両が次のエリアへ移動した後に、前のエリアのエリア管理装置1Aの走行明細DBから該当の走行レコードが削除されるので、記憶容量の枯渇を防止することができる。
【0121】
<エリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の一部取得失敗対応>
図8、
図12、
図16A、
図16Cを参照し、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の一部取得失敗対応の一例について説明する。
図8は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の一部取得失敗対応の一例を示すシーケンス図である。
図12は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の一部取得失敗対応に含まれる仮引継情報登録の一例を示すフローチャートである。
図16Cは、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の一部取得失敗対応に含まれるエリア跨ぎ処理(仮更新又は仮登録)の一例を示すフローチャートである。
【0122】
なお、
図8に示すエリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の一部取得失敗対応には、説明済みの
図10に示す入口処理、
図11に示す引継情報登録、
図13A及び
図13Bに示す経路処理、
図14A及び
図14Bに示す出口処理、
図15に示す清算処理、及び
図18に示す引継後処理も含まれるが、これらの説明については簡略化又は省略する。
【0123】
図8に示すように、車両SがエリアAの入口料金所を通過し、さらに経路ポイントを通過すると、エリア管理装置1Aは、入口料金所機器2Aからの入場情報を走行明細DBに新規の走行レコードとして登録し、また、経路機器4Aからの通過情報を新規に登録された走行レコードに加えて走行レコードを更新する。
【0124】
その後、車両SがエリアAからエリアBへのエリア境界を通過すると、関所機器5Aの車両通信部53Aは、車両Sの車載器から利用者を特定する情報を受信するが、一部情報の取得に失敗することがある。例えば、利用者を特定する情報である複数種類のIDのうち、いくつかのIDの取得に失敗し、一部のIDが欠落することがある。例えば、カードIDの取得に失敗することがある。
【0125】
制御部51Aは、受信した利用者を特定する一部情報、境界ID、及び通過日時を含むエリア跨ぎ情報を生成し、上位通信部52Aは、エリア管理装置1Aに対してエリア跨ぎ情報通知を送信する。ここでは、一部情報の受信に失敗したケースを示し、エリア跨ぎ情報は、利用者を特定する一部情報を含む。
【0126】
エリア管理装置1Aは、エリア跨ぎ情報通知を受信し、エリア跨ぎ情報に含まれる利用者を特定する一部情報をキーに走行明細DBを検索し、部分一致する走行レコードを抽出して経路の正常性を確認し、抽出される走行レコードにエリア跨ぎ情報を仮追加して走行レコードを仮更新する。部分一致する走行レコードが複数抽出される場合は、エリア管理装置1Aは、抽出される複数の走行レコードにエリア跨ぎ情報を仮追加して複数の走行レコードを仮更新する。つまり、エリア管理装置1Aは、各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報、第1の通過情報、及びエリア跨ぎ情報を特定し、特定された情報を含む仮引継情報をエリア管理装置1Bへ送信する。
【0127】
即ち、
図16Aに示すように、通信部13Aは、エリア跨ぎ情報通知を受信し(S71)、制御部11Aは、エリア跨ぎ情報に含まれる利用者を特定する情報を全て受信したか否かを判定する(S72)。制御部11Aは、利用者を特定する情報を全て受信しない場合、つまり、受信した情報の一部に欠落がある場合(S72、NO)、抽出された1又は複数の走行レコードにエリア跨ぎ情報を仮追加して、抽出された走行レコードを仮更新し、抽出された走行レコードがなければ、エリア跨ぎ情報を含む走行レコードを仮登録する(S74)。
【0128】
ここで、
図16Cを参照して、利用者を特定する一部情報を受信した場合について詳細に説明する。制御部11Aは、エリア跨ぎ情報に含まれる利用者を特定する一部情報をキーに走行明細DBを検索する(S7401)。制御部11Aは、エリア跨ぎ情報に含まれる利用者を特定する一部情報と部分一致する1又は複数の走行レコードが抽出された場合(S7402、YES)、1又は複数の走行レコードに基づき経路正常性を確認し、抽出された1又は複数の走行レコードにエリア跨ぎ情報を仮追加し仮更新する(S7403)。さらに、制御部11Aは、仮更新された走行レコードを含む仮引継情報を生成し、経路情報を参照して、次のエリアのエリア管理装置1Bを選択し、通信部13Aは、次のエリアのエリア管理装置1Bに対して、仮引継情報を送信する(S7404)。
【0129】
なお、制御部11Aは、エリア跨ぎ情報に含まれる利用者を特定する一部情報と部分一致する1又は複数の走行レコードが抽出されない場合は(S7402、NO)、このエリアにおいて入場情報を受信できなかった、或いはこのエリアの前のエリアからの引継情報を受信できなかった可能性がある。このような場合、前のエリアのエリア管理装置に対して、引継要求を送信する(S7405)。通信部13Aが、前のエリアのエリア管理装置からの引継応答レコードを受信すれば(S7406、YES)、制御部11Aは、走行明細DBに受信した引継応答レコードを仮登録する(S7407)。通信部13Aが、前のエリアのエリア管理装置からの引継応答レコードを受信しなければ(S7406、NO)、制御部11Aは、走行明細DBにエリア跨ぎ情報を新規仮登録する(S7408)。
【0130】
図12に示すように、エリア管理装置1Bの通信部13Bは、仮引継情報を受信し(S31)、制御部11Bは、仮引継情報に基づき経路正常性を確認する(S32)。また、制御部11Bは、仮引継情報に含まれる利用者を特定する一部情報をキーに走行明細DBを検索し、該当する走行レコードがなければ、新規の走行レコードに仮引継フラグを設定し(S33)、仮引継情報を含む新規の走行レコードとして登録する(S34)。
【0131】
エリアBに入った車両Sが、エリアBの経路ポイントを通過すると、エリア管理装置1Bは、経路機器4Bからの通過情報を受信し、通過情報に含まれる利用者を特定する全ての情報をキーに走行明細DBから該当の走行レコードを検索し、部分一致する走行レコードを抽出する。ここでは、仮フラグが設定された走行レコード(仮引継情報を含む)が抽出されるとする。エリア管理装置1Bは、仮フラグが設定された走行レコードに通過情報を追加し、仮フラグが設定された走行レコードから仮フラグを外し正規走行レコードへ更新し、正規走行レコードに含まれる仮引継情報を正規引継情報へ更新する。正規走行レコードへの更新及び正規引継情報への更新が完了すると、通信部13Bは、エリア管理装置1Aに対して、仮引継情報の削除指示を含む引継完了通知を送信する。つまり、エリア管理装置1Bは、走行レコードの仮引継情報に含まれる日時及び残されたID、並びに通過情報に含まれる日時及びIDに基づき、関連する仮引継情報及び通過情報を特定した上で、特定された情報に基づき車両の通行経路を判定する。
【0132】
図18に示すように、エリア管理装置1Aの通信部13Aは、引継完了通知を受信し(S91)、制御部11Aは、引継完了通知に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索し(S92)、引継完了通知に含まれる削除指示に基づき、該当の走行レコードを削除する(S93)。
【0133】
或いは、エリアBに入った車両Sが、エリアBの出口料金所を通過すると、エリア管理装置1Bは、出口料金所機器3Bからの出場情報を受信し、出場情報に含まれる利用者を特定する全ての情報をキーに走行明細DBから該当の走行レコードを検索し、部分一致する走行レコードを抽出する。ここでは、仮フラグが設定された走行レコード(仮引継情報を含む)が抽出されるとする。エリア管理装置1Bは、仮フラグが設定された走行レコードに出場情報を追加し、仮フラグが設定された走行レコードから仮フラグを外し正規走行レコードへ更新し、正規走行レコードに含まれる仮引継情報を正規引継情報へ更新する。正規走行レコードへの更新及び正規引継情報への更新が完了すると、通信部13Bは、エリア管理装置1Aに対して、仮引継情報の削除指示を含む引継完了通知を送信する。つまり、エリア管理装置1Bは、走行レコードの仮引継情報に含まれる日時及び残されたID、並びに出場情報に含まれる日時及びIDに基づき、関連する仮引継情報及び出場情報を特定した上で、特定された情報に基づき車両の通行経路を判定し、通行日時及び通行経路に基づき通行料金を判定する。
【0134】
エリア管理装置1Aの通信部13Aは、引継完了通知を受信し、制御部11Aは、引継完了通知に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索し、引継完了通知に含まれる削除指示に基づき、該当の走行レコードを削除する。
【0135】
なお、車両Sが、エリアBの経路ポイントを経て出口料金所から出場した場合は、上記説明したように、エリア管理装置1Bは、関連する仮引継情報及び通過情報を特定し、仮引継情報の削除指示を含む引継完了通知を送信した後、出場情報を受信し、関連する引継情報及び出場情報を特定した上で、特定された情報に基づき車両の通行経路を判定し、通行日時及び通行経路に基づき通行料金を判定する。
【0136】
なお、ここでは、経路機器4Bからの通過情報、又は出口料金所機器3Bからの出場情報に基づき走行レコード及び引継情報が正規の情報へ更新され、引継完了通知が送信されるケースについて説明したが、これ以外にも、関所機器からのエリア跨ぎ情報に基づき走行レコード及び引継情報が正規の情報へ更新され、引継完了通知が送信されてもよい。
【0137】
なお、利用者を特定する一部情報の部分一致により発生した仮引継状態の走行レコードが複数ある場合は、一つの仮引継状態の走行レコードが正規レコードに更新されることにより、残りの仮引継状態の走行レコードについては仮引継状態が解除される。
【0138】
また、引継完了通知を受信するエリア管理装置1Aは、引継完了通知に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索し、該当する走行レコードを削除する。また、引き継がれなかった仮の走行レコードは、無関係の走行レコードであり、引き継がれなかった仮の走行レコードに仮登録されたエリア跨ぎ情報を取り消す。
【0139】
図8に示す対応によれば、移動先のエリアで得られる情報に基づき、移動元のエリアで得られた不完全な情報を補い、利用者及び通過経路を一意に特定し、特定後は移動元のエリアの引継情報を削除する。これにより、実際の通行経路に対応する通行料金を課金することができる。また、記憶容量の枯渇を防止することができる。
【0140】
<エリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の取得失敗時対応>
図9は、第1の実施形態に係るエリア跨ぎ走行のエリア跨ぎ情報の取得失敗時対応の一例を示すシーケンス図である。
図17Aは、第1の実施形態に係る引継要求対応(全体)の一例を示すフローチャートである。
図17Bは、第1の実施形態に係る引継要求対応(更新)の一例を示すフローチャートである。
図17Cは、第1の実施形態に係る引継要求対応(仮更新)の一例を示すフローチャートである。なお、説明済みの内容と実質同一の部分の説明については適宜省略する。
【0141】
図9に示すように、車両SがエリアAの入口料金所を通過すると、エリア管理装置1Aは、入口料金所機器2Aからの入場情報通知を受信し、入場情報を走行明細DBに新規の走行レコードとして登録する。
【0142】
その後、車両Sが、エリアAからエリアBへの境界を通過する際に、関所機器5Aが、車両Sの車載器との通信に失敗すると、関所機器5Aは、エリア跨ぎ情報を送信できない。
【0143】
その後、車両SがエリアBの経路ポイントを通過すると、経路機器4Bの車両通信部43Bは、車両Sの車載器から利用者を特定する情報を受信し、制御部41Bは、通過情報を生成し、上位通信部42Bは、エリア管理装置1Bに対して通過情報通知を送信する。
【0144】
エリア管理装置1Bは、通過情報通知を受信し、通過情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索するが、該当する走行レコードを抽出できない。この場合、エリア管理装置1Bは、隣接エリアのエリア管理装置1Aに対して、通過情報に対応する引継情報を要求する引継要求を送信する。
【0145】
図17Aに示すように、エリア管理装置1Aの通信部13Aは、通過情報に対応する引継要求を受信し(S81)、制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する情報を全て受信したか否かを判定する(S82)。制御部11Aは、利用者を特定する情報を全て受信した場合(S82、YES)、抽出される走行レコードを正規更新する(S83)。なお、制御部11Aは、全ての利用者を特定する情報を受信しない場合、つまり受信した情報の一部に欠落がある場合(S82、NO)、抽出される走行レコードを仮更新する(S84)。
【0146】
ここで、
図17Bを参照して、利用者を特定する情報を全て受信した場合について詳細に説明する。制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する情報をキーに走行明細DBを検索する(S8301)。制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致する走行レコードが抽出されなければ(S8302、NO)、次のエリアのエリア管理装置1Bに対して、レコードなしを回答する(S8309)。
【0147】
制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致する走行レコードが抽出されると(S8302、YES)、抽出された走行レコードが仮の走行レコードであれば(S8303、YES)、経路正常性を確認し正規レコードへ更新し(S8304)、抽出された走行レコードに通過情報を追加し更新する(S8305)。例えば、制御部11Aは、予め記憶された有料道路の経路情報と、抽出された走行レコードに含まれる各機器からの情報(日時及びID)と、引継要求に含まれる各機器からの情報(日時及びID)とに基づき、経路を特定又は補正する。制御部11Aは、更新された走行レコードを含む引継応答を生成し、通信部13Aは、エリア管理装置1Bに対して引継応答を送信する(S8306)。引継応答送信後は、制御部11Aは、更新された走行レコードを削除する。ここでは、制御部11Aは、仮引継フラグOFFを確認し(S8307、NO)、処理を終了する。なお、仮引継フラグがONの場合(S8307、YES)、通過情報に含まれる利用者を特定する情報の全てが一致していることにより(S8302、YES)、引継完了通知を前のエリアのエリア管理装置へ送信する(S8308)。
【0148】
また、
図17Cを参照して、利用者を特定する一部情報を受信した場合について詳細に説明する。制御部11Aは、通過情報に含まれる利用者を特定する一部情報をキーに走行明細DBを検索し(S8401)、部分一致する走行レコードが抽出されなければ(S8402、NO)、次のエリアのエリア管理装置1Bに対して、レコードなしを回答する(S8405)。
【0149】
部分一致する走行レコードが抽出されると(S8402)、制御部11Aは、抽出された走行レコードに通過情報を仮追加し仮更新する(S8403)。さらに、制御部11Aは、仮更新された走行レコードを含む仮引継応答を生成し、通信部13Aは、次のエリアのエリア管理装置1Bに対して、仮引継応答を送信する(S8404)。
【0150】
エリア管理装置1Bは、エリア管理装置1Aからの引継応答を受信し、引継応答に基づく走行レコードを走行明細DBに新規登録する。
【0151】
なお、ここでは、経路機器4Bからの通過情報の受信に基づき引継を要求し引継応答を受信し走行レコードを登録するケースについて説明したが、これ以外にも、関所機器からのエリア跨ぎ情報の受信又は出口料金所機器からの出場情報の受信に基づき引継を要求し引継応答を受信し走行レコードを登録することもある。
【0152】
図9に示す対応によれば、関所機器5Aからのエリア跨ぎ情報が送信されない場合でも、通行経路が特定され、実際の通行経路に対応する通行料金を課金することができる。
【0153】
<<第2の実施形態>>
図21は、第2の実施形態に係る料金処理システムを概略的に説明するための模式図である。第2の実施形態では、第2のエリア管理システムが、エリアAからエリアBへのエリア境界に対応して設けられる関所機器5Bを備える。第2の実施形態では、関所機器5Bは、エリアAを出てエリアBに入る車両との通信に基づきエリア跨ぎ情報を生成し、生成したエリア跨ぎ情報をエリア管理装置1Bへ通知する。エリア跨ぎ情報を受けたエリア管理装置1Bは、上流側のエリアAのエリア管理装置1Aに対して引継情報を要求し、エリア管理装置1Aから送信される引継情報を受信する。
【0154】
第2の実施形態によれば、エリア管理装置1Aと1Bとの通信回線200にトラブルが発生した場合でも、エリアBを走行する車両の通行料金計算等にエリア跨ぎ情報を利用することができる。
<<第3の実施形態>>
図22は、第3の実施形態に係る料金処理システムを概略的に説明するための模式図である。
【0155】
図22に示すように、事故や工事などにより有料道路の一部区間が通行止めとなった際に、例えば、車両Sが、エリアAの料金所G2Aから退場して、一般道を走行し、エリアBの料金所G1Bから再入場することがある。第3の実施形態に係る料金処理システムでは、このような走行を有料道路の継続走行として通行料金を課金する。
【0156】
エリア管理装置1Aの記憶部12A及びエリア管理装置1Bの記憶部12Bは、継続走行情報を記憶する。継続走行情報は、継続走行とみなす料金所G2Aの出場と料金所G1Bの入場を含む。エリア管理装置1Bの制御部11Bは、料金所G1Bの入口IDを含む入場情報の受信に対応して、エリア管理装置1Aに対して、入場情報に対応する引継情報を要求する。引継情報の要求については既に説明した通りである。或いは、エリア管理装置1Aの制御部11Aは、料金所G2Aの出口IDを含む出場情報の受信に対応して、エリア管理装置1Bに対して、出場情報に対応する引継情報を送信してもよい。引継情報の送信については既に説明した通りである。これにより、上記したような再入場に対して、継続走行の通行料金を適用することができる。例えば、この継続走行では、有料道路の一部区間を利用していないため、通常の継続走行より割り引いた通行料金を適用する。
【0157】
以上説明した各実施形態によれば、有料道路の何れかの機器において車両から得られる一部情報が欠落するような場合でも、利用者及び通行経路の特定を可能とする料金処理システム、通行管理装置、及びプログラムを提供することができる。これにより、エリアを跨いで走行する車両の引継情報の引継ぎの信頼性を向上し、車両が通行した経路の捕捉または経路に応じた通行料金の計算ができる。
【0158】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
有料道路の所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する車両の車載器から複数種類のIDを受信し、通行管理装置に対して前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を送信する入口料金所機器と、
前記有料道路の所定の経路ポイントに対応して設けられ、所定の経路ポイントを通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信し、前記通行管理装置に対して前記複数種類のID及び通過日時を含む通過情報を送信する経路機器と、
前記有料道路の所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信し、前記通行管理装置に対して前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を送信する出口料金所機器と、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定する前記通行管理装置と、
を備える料金処理システム。
[C2]
前記複数種類のIDは、前記車両の前記通行経路に応じた通行料金の請求対象となるカードIDを含み、
前記通行管理装置は、通過情報に含まれる前記複数種類のIDのうちのカードIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定する、[C1]の料金処理システム。
[C3]
前記通行管理装置は、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたID、並びに前記有料道路の各経路を示す経路情報に基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定する、[C1]又は[C2]の料金処理システム。
[C4]
有料道路の複数のエリアの車両の通行を管理する複数のエリア管理システムより構成される料金処理システムであって、
第1のエリアの前記車両の通行を管理する第1のエリア管理システムは、
前記第1のエリアの所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する前記車両の車載器から複数種類のIDを受信し、第1の通行管理装置に対して前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を送信する入口料金所機器と、
前記第1のエリアから第2のエリアへのエリア境界に対応して設けられ、前記エリア境界を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信し、前記第1の通行管理装置に対して前記複数種類のID及び通過日時を含むエリア跨ぎ情報を送信する関所機器と、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報及びエリア跨ぎ情報を特定し、特定された情報を含む引継情報を第2の通行管理装置へ送信する前記第1の通行管理装置と、を備え、
第2のエリアの前記車両の通行を管理する第2のエリア管理システムは、
前記第2のエリアの所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信し、前記第2の通行管理装置に対して前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を送信する出口料金所機器と、
引継情報に含まれる日時及び残されたID、並びに出場情報に含まれる日時及びIDに基づき、関連する引継情報及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定する前記第2の通行管理装置と、を備える料金処理システム。
[C5]
前記複数種類のIDは、前記車両の前記通行経路に応じた通行料金の請求対象となるカードIDを含み、
前記第2の通行管理装置は、前記エリア跨ぎ情報に含まれる前記複数種類のIDのうちのカードIDが欠落した場合でも、引継情報に含まれる日時及び残されたID、並びに出場情報に含まれる日時及びIDに基づき、関連する引継情報及び出場情報を特定する、[C4]の料金処理システム。
[C6]
前記第2の通行管理装置は、関連する情報の特定後に、前記第1の通行管理装置に対して特定された引継情報の削除を指示する、[C5]の料金処理システム。
[C7]
有料道路の車両の通行を管理する通行管理装置であって、
前記有料道路の各機器と通信する通信部と、
前記有料道路を通行する前記車両の通行料金を判定する判定部と、
を備え、
前記通信部は、
前記有料道路の所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する前記車両の車載器から複数種類のIDを受信する入口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を受信し、
前記有料道路の所定の経路ポイントに対応して設けられ、所定の経路ポイントを通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する経路機器から送信される、前記複数種類のID及び通過日時を含む通過情報を受信し、
前記有料道路の所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する出口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を受信し、
前記判定部は、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定する、
通行管理装置。
[C8]
有料道路の複数のエリアのうちの第1のエリアの次の第2のエリアの車両の通行を管理する下流の通行管理装置であって、
前記第1のエリアの前記車両の通行を管理する上流の通行管理装置は、
前記第1のエリアの所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する前記車両の車載器から複数種類のIDを受信する入口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を受信し、
前記第1のエリアから前記第2のエリアへのエリア境界に対応して設けられ、前記エリア境界を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する関所機器から送信される、前記複数種類のID及び通過日時を含むエリア跨ぎ情報を受信し、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報及びエリア跨ぎ情報を特定し、
特定された情報を含む引継情報を前記下流の通行管理装置へ送信し、
前記下流の通行管理装置は、
前記第2のエリアの所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する出口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を受信し、
前記第1のエリアの各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、引継情報に含まれる日時及び残されたID、並びに出場情報に含まれる日時及びIDに基づき、関連する引継情報及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定する、通行管理装置。
[C9]
有料道路の車両の通行を管理する通行管理装置に対応するコンピュータに、
有料道路の所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する前記車両の車載器から複数種類のIDを受信する入口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を受信する手順と、
前記有料道路の所定の経路ポイントに対応して設けられ、所定の経路ポイントを通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する経路機器から送信される、前記複数種類のID及び通過日時を含む通過情報を受信する手順と、
前記有料道路の所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する出口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を受信する手順と、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報、通過情報、及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定する手順と、
を実行させるプログラム。
[C10]
有料道路の複数のエリアのうちの第1のエリアの次の第2のエリアの車両の通行を管理する下流の通行管理装置に対応するコンピュータに、以下の手順を実行させるプログラムであって、
前記第1のエリアの前記車両の通行を管理する上流の通行管理装置は、
前記第1のエリアの所定の入口料金所に対応して設けられ、所定の入口料金所を通過する前記車両の車載器から複数種類のIDを受信する入口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び入場日時を含む入場情報を受信し、
前記第1のエリアから前記第2のエリアへのエリア境界に対応して設けられ、前記エリア境界を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する関所機器から送信される、前記複数種類のID及び通過日時を含むエリア跨ぎ情報を受信し、
各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、各機器から送信される情報に含まれる日時及び残されたIDに基づき、関連する入場情報及びエリア跨ぎ情報を特定し、
特定された情報を含む引継情報を前記下流の通行管理装置へ送信し、
前記コンピュータに、
前記第2のエリアの所定の出口料金所に対応して設けられ、所定の出口料金所を通過する前記車両の車載器から前記複数種類のIDを受信する出口料金所機器から送信される、前記複数種類のID及び出場日時を含む出場情報を受信する手順と、
前記第1のエリアの各機器から送信される情報に含まれる一部のIDが欠落した場合でも、引継情報に含まれる日時及び残されたID、並びに出場情報に含まれる日時及びIDに基づき、関連する引継情報及び出場情報を特定し、特定された情報に基づき前記車両の通行経路を判定し、前記通行経路に基づき通行料金を判定する手順と、を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0159】
1A、1B…エリア管理装置
2A、2B…入口料金所機器
3A、3B…出口料金所機器
4A、4B…経路機器
5A、5B…関所機器
100A…通信回線
100B…通信回線
200…通信回線
A…エリア
B…エリア