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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240902BHJP
   D06F 34/05 20200101ALI20240902BHJP
【FI】
G06N20/00
D06F34/05
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020091951
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021189576
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 達也
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 正史
(72)【発明者】
【氏名】金山 将也
【審査官】渡辺 順哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-154481(JP,A)
【文献】国際公開第2014/097589(WO,A1)
【文献】特開2015-162229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/00-34/34
D06F 58/30-58/52
G06N 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機の水槽内部を撮像する槽内カメラと、前記洗濯機に関する各種事象を検知するためのセンサ群と、を有する前記洗濯機と、
前記洗濯機のユーザが前記洗濯機の使用に関して登録した利用者登録情報を記憶する記憶部と、
前記槽内カメラによって撮像された画像データ、前記センサ群の出力、または前記利用者登録情報に基づいて前記洗濯機の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記洗濯機のユーザの属性を推定する推定部と、
を備える情報処理システムであって、
前記データは、前記洗濯機の機種に関する情報、前記洗濯機により洗濯される衣類の汚れに関する情報、前記洗濯機の糸くずフィルターの清掃頻度に関する情報、前記洗濯機において使用された洗濯コースに関する情報、タイマー予約の設定に関する情報、ふろ水の使用に関する情報、予約時間の変更に関する情報、前記洗濯機により洗濯された衣類種別に関する情報、又は洗濯が終了してから衣類が取り出されるまでの時間に関する情報のいずれか1つ以上を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記洗濯機の使用人数に関する属性を推定する、
情報処理システム。
【請求項2】
洗濯機の水槽内部を撮像する槽内カメラと、前記洗濯機に関する各種事象を検知するためのセンサ群と、を有する前記洗濯機と、
前記洗濯機のユーザが前記洗濯機の使用に関して登録した利用者登録情報を記憶する記憶部と、
前記槽内カメラによって撮像された画像データ、前記センサ群の出力、または前記利用者登録情報に基づいて前記洗濯機の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記洗濯機のユーザの属性を推定する推定部と、
を備える情報処理システムであって、
前記データは、前記洗濯機により洗濯された衣類種別に関する情報、前記洗濯機において使用された洗濯コースに関する情報、使用された洗剤又は柔軟剤の銘柄に関する情報、又は前記洗濯機のユーザの身体的特徴に関する情報のいずれか1つ以上を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記ユーザの性別に関する属性を推定する、
情報処理システム。
【請求項3】
洗濯機の水槽内部を撮像する槽内カメラと、前記洗濯機に関する各種事象を検知するためのセンサ群と、を有する前記洗濯機と、
前記洗濯機のユーザが前記洗濯機の使用に関して登録した利用者登録情報を記憶する記憶部と、
前記槽内カメラによって撮像された画像データ、前記センサ群の出力、または前記利用者登録情報に基づいて前記洗濯機の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記洗濯機のユーザの属性を推定する推定部と、
を備える情報処理システムであって、
前記データは、前記洗濯機の機種に関する情報、前記洗濯機により洗濯された衣類種別に関する情報、前記洗濯機において使用された洗濯コースに関する情報、前記洗濯機において使用された洗剤又は柔軟剤の銘柄に関する情報、前記洗濯機のタイマー予約設定に関する情報、前記洗濯機で洗濯される衣類の汚れに関する情報、前記洗濯機におけるふろ水の使用に関する情報、前記洗濯機における糸くずフィルターの清掃頻度に関する情報、洗濯が終了してから衣類が取り出されるまでの時間に関する情報のいずれか1つ以上を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記ユーザの年齢に関する属性を推定する、
情報処理システム。
【請求項4】
洗濯機の水槽内部を撮像する槽内カメラと、前記洗濯機に関する各種事象を検知するためのセンサ群と、を有する前記洗濯機と、
前記洗濯機のユーザが前記洗濯機の使用に関して登録した利用者登録情報を記憶する記憶部と、
前記槽内カメラによって撮像された画像データ、前記センサ群の出力、または前記利用者登録情報に基づいて前記洗濯機の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記洗濯機のユーザの属性を推定する推定部と、
を備える情報処理システムであって、
前記データは、前記洗濯機の周囲の温度に関する情報、前記洗濯機の周囲の湿度に関する情報、または前記洗濯機の設置位置における外気温に関する情報に関する情報のいずれか1つ以上を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記ユーザの住居形態に関する属性を推定する、
情報処理システム。
【請求項5】
洗濯機の水槽内部を撮像する槽内カメラと、前記洗濯機に関する各種事象を検知するためのセンサ群と、を有する前記洗濯機と、
前記洗濯機のユーザが前記洗濯機の使用に関して登録した利用者登録情報を記憶する記憶部と、
前記槽内カメラによって撮像された画像データ、前記センサ群の出力、または前記利用者登録情報に基づいて前記洗濯機の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記洗濯機のユーザの属性を推定する推定部と、
を備える情報処理システムであって、
前記データは、前記洗濯機の周囲の温度に関する情報、前記洗濯機の周囲の湿度に関する情報、または前記洗濯機の設置位置における外気温に関する情報に関する情報のいずれか1つ以上を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記洗濯機の設置位置に関する属性を推定する、
情報処理システム。
【請求項6】
洗濯機の水槽内部を撮像する槽内カメラと、前記洗濯機に関する各種事象を検知するためのセンサ群と、を有する前記洗濯機と、
前記洗濯機のユーザが前記洗濯機の使用に関して登録した利用者登録情報を記憶する記憶部と、
前記槽内カメラによって撮像された画像データ、前記センサ群の出力、または前記利用者登録情報に基づいて前記洗濯機の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記洗濯機のユーザの属性を推定する推定部と、
を備える情報処理システムであって、
前記データは、前記洗濯機により洗濯された衣類種別に関する情報、予約時間の変更に関する情報、前記洗濯機の周辺におけるユーザ端末の有無に関する情報に関する情報のいずれか1つ以上を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記ユーザの就業形態に関する属性を推定する、
情報処理システム。
【請求項7】
洗濯機の水槽内部を撮像する槽内カメラと、前記洗濯機に関する各種事象を検知するためのセンサ群と、を有する前記洗濯機と、
前記洗濯機のユーザが前記洗濯機の使用に関して登録した利用者登録情報を記憶する記憶部と、
前記槽内カメラによって撮像された画像データ、前記センサ群の出力、または前記利用者登録情報に基づいて前記洗濯機の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記洗濯機のユーザの属性を推定する推定部と、
を備える情報処理システムであって、
前記データは、前記洗濯機により洗濯された衣類種別に関する情報、前記洗濯機において選択された洗濯コースに関する情報、洗濯が終了してから衣類が取り出されるまでの時間に関する情報、前記洗濯機のタイマー予約設定に関する情報、前記洗濯機で洗濯される衣類の汚れに関する情報、前記洗濯機におけるふろ水の使用に関する情報、前記洗濯機における糸くずフィルターの清掃頻度に関する情報のいずれか1つ以上を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記ユーザの婚姻の有無に関する属性を推定する、
情報処理システム。
【請求項8】
洗濯機の水槽内部を撮像する槽内カメラと、前記洗濯機に関する各種事象を検知するためのセンサ群と、を有する前記洗濯機と、
前記洗濯機のユーザが前記洗濯機の使用に関して登録した利用者登録情報を記憶する記憶部と、
前記槽内カメラによって撮像された画像データ、前記センサ群の出力、または前記利用者登録情報に基づいて前記洗濯機の状態に関するデータを取得する取得部と、
機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記洗濯機のユーザの属性を推定する推定部と、
を備える情報処理システムであって、
前記データは、前記洗濯機の周囲の温度に関する情報、前記洗濯機の周囲の湿度に関する情報、または前記洗濯機の外部電源の周波数に関する情報のいずれか1つ以上を含み、
前記推定部は、前記ユーザの属性として、前記ユーザの居住地域に関する属性を推定する、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信機能を搭載し、インターネットに接続可能な家電機器の普及が進んでいる。このような技術分野は一般にIoT(Internet of Things)と呼ばれ、家電機器の分野に限らず、様々な産業界において注目されている。例えば、家電機器のメーカは、スマートフォンのアプリ(以下「家電アプリ」という。)から家電機器の状態を遠隔から確認したり、家電機器を遠隔から操作したりすることを可能にするサービスを展開している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/097589号
【文献】特開2019-063381号公報
【文献】特開2019-096975号公報
【文献】特開2019-154481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のサービスは、ユーザが遠隔から家電機器の状態を確認したり、家電機器の遠隔操作を行ったりといったユーザの操作を起点とするものであったため、ユーザが家電アプリを操作する頻度が高く、必ずしもユーザにとって利便性の高いものではなかった。このため、ユーザの属性に応じて家電機器を制御することができる家電アプリの提供が望まれている。このような家電アプリを提供するためにはユーザの設定行為によらずに、ユーザの属性を推定することが必要となる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、洗濯機を使用するユーザの属性を推定することができる情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の情報処理システムは、取得部と、推定部と、を持つ。取得部は、洗濯機の状態に関するデータを取得する。推定部は、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記洗濯機のユーザの属性を推定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の情報処理システムの全体構成を示す図。
図2】実施形態の洗濯機の構成例を示す外観図。
図3】実施形態の洗濯機の構成例を示す断面図。
図4】実施形態の洗濯機の制御に関する構成例を示すブロック図。
図5】実施形態の洗濯機の水槽内画像の具体例を示す図。
図6】実施形態のサーバの構成例を示すブロック図。
図7】実施形態の情報処理システムにおいて使用人数推定用入力情報の生成に用いられるデータDの具体例を示す図。
図8】実施形態の洗濯機の周辺の温度変化の第1の具体例を示す図。
図9】実施形態の洗濯機の周辺の温度変化の第2の具体例を示す図。
図10】実施形態のユーザ登録情報の具体例を示す図。
図11】実施形態の洗濯機における処理の流れを示す図。
図12】実施形態のサーバにおける処理の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の情報処理システムを、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0009】
(第1実施形態)
<1.情報処理システムの全体構成>
図1は、実施形態の情報処理システム1の全体構成を示す図である。情報処理システム1は、例えば、各家庭に配置された洗濯機100、サーバ200、および端末装置300を含む。ただし、本明細書で「情報処理システム」とは、洗濯機100および端末装置300を含まず、サーバ200のみを意味してもよい。後述するネットワークNWは、例えば、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、LPWA(Low Power Wide Area)、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、その他の公衆回線、専用回線などを状況に応じて利用すればよい。
【0010】
洗濯機100は、ユーザUの住居内に配置される。洗濯機100は、例えば、ユーザUの住居内に配置された無線ルータRおよびネットワークNWを介して、サーバ200と通信可能である。図1に示す洗濯機100の台数は、1台であるがこれに制限されることなく、複数台であってもよい。洗濯機100の構成については、詳しく後述する。
【0011】
サーバ200は、1台以上のサーバ装置SD(例えばクラウドサーバ)で構成される。サーバ200は、「サーバシステム」と称されてもよい。サーバ200は、ネットワークNW中のルータに含まれる情報処理部など、エッジコンピューティングやフォグコンピューティングを行う情報処理部を含んでもよい。サーバ200については、詳しく後述する。
【0012】
端末装置300は、パーソナルコンピュータなどの機器であり、ネットワークNWを介してサーバ200と通信可能である。端末装置300は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示装置300aを含む。ただし、端末装置300とサーバ装置SDは、1つの装置で一体に設けられてもよい。
【0013】
<2.洗濯機>
<2.1 洗濯機の全体構成>
図2は、洗濯機100の構成例を示す外観図である。また、図3は、洗濯機100の構成例を示す断面図である。図3図2中においてF2-F2線に沿った洗濯機100の断面を示している。図2及び図3に示すように、洗濯機100は、乾燥機能を備えたドラム式洗濯乾燥機であるが、これは本実施形態の洗濯機をドラム式に限定するものではない。洗濯機100は縦型の洗濯乾燥機であってもよい。洗濯機100は、無線モジュール70を備えることによりネットワークに接続可能に構成されている。
【0014】
洗濯機100は、例えば、洗濯機本体1B、扉1D、スイッチ4及び操作パネル5を備えている。なお、洗濯機100において、扉1D側を洗濯機100の前側とし、扉1Dがある面の反対側を洗濯機100の後側とする。図1においてXYZ軸座標系を適用し、洗濯機100の前面に沿った水平方向に+X軸、奥行き方向に+Y軸、鉛直方向上向きに+Z軸を夫々規定する。XYZ軸座標系の説明は、以下の図においても同様である。
【0015】
洗濯機本体1Bは、洗濯機100の外殻を構成するもので、前面が滑らかに傾斜した矩形の箱状に形成されている。洗濯機本体1Bの前面中央部分には、開口1Aが設けられている。開口1Aは、洗濯機本体1Bの内部に設けられた回転槽13(図2)に連通されている。洗濯物は、この開口1Aを通して回転槽13内に投入される。扉1Dは、開口1Aを開閉可能に設けられている。扉1Dは、開口1A近傍に設けられている扉レバー1DLが操作されることにより開放される。また扉1Dの開閉部には扉の開閉を検知するセンサとして扉スイッチ601が設けられている。
【0016】
洗濯機本体1Bの前面左上部には、前後方向にスライドさせて出し入れ可能な洗剤柔軟剤投入部26(図3)が設けられている。洗剤柔軟剤投入部26を洗濯機本体1Bの内部に収納すると、洗剤柔軟剤投入部26の蓋面26Fが、洗濯機本体1Bの前面の傾斜と同様の傾斜になるように形成されている。洗剤柔軟剤投入部26には、使用者が洗濯運転ごとに洗剤又は柔軟剤を投入するための洗剤ケース(不図示)が設けられている。使用者は、洗剤柔軟剤投入部26を引き出して使用者自らが計量した洗剤又は柔軟剤をこの洗剤ケースに注ぎ溜め置いた状態で、洗剤柔軟剤投入部26を洗濯機本体1B内に収納させておく。その後、洗濯機100が洗濯運転に入ると、洗剤ケースに注がれ溜め置かれていた洗剤又は柔軟剤が、洗濯運転制御実行中の所定のタイミングに水槽14(図3)内に投入される。また洗剤ケースにはケース内の洗剤および柔軟剤の残量を検知するセンサとして洗剤残量センサ602および柔軟剤残量センサ603が設けられている。
【0017】
洗濯機本体1Bの上面には、給水口23と、開口17Aと、蓋34とが設けられている。給水口23は、図示しない給水ホースによって水源となる水道の蛇口に接続される。そして、水道の蛇口からの水は、給水ホース、給水口23及び後述する給水弁ユニット10を通って、洗濯機本体1B内に設けられた水槽14内へ供給される。
【0018】
開口17Aには、開閉自在の蓋34が配置されている。例えば、図1に示す蓋34は、解放された状態を示す。開口17Aは、洗濯機本体1Bの内部に設けられた補充液貯蔵部17への洗濯処理剤の補充に利用される。洗剤、柔軟剤、漂白剤及びこれらの混合溶液は、洗濯処理剤の一例である。以下の説明では、第1洗濯処理剤として洗剤を用いて、第2洗濯処理剤として柔軟剤を用いる場合を例示する。これに制限されることなく、例えば同様の方法で、漂白剤又は混合溶液を上記に代えて又は加えて、用いるように構成してもよい。
【0019】
例えば、補充液貯蔵部17は、ポンプ30(図3)と、タンク31と32とを備える。
タンク31と32は、図示されない液体受け口が上部に設けられた容器である。タンク31と32は、液体受け口から内部に注がれた洗剤又は柔軟剤をタンクごとに分けて貯蔵する。タンク31と32内から水槽14までの液体流路にポンプ30が設けられている。ポンプ30が駆動すると、タンク31と32内の洗濯処理剤が水槽14内に注がれる。例えば、ポンプ30を駆動させるタイミングは、使用者によって選択された洗濯運転コースに従い制御部80(図4にて後述)によって決定される。なお、タンク31と32を例示して2つのタンクの場合を説明したが、タンクの個数に制限はなく、1つでもよく、3つ以上であってもよい。
【0020】
操作パネル5は、洗濯機100の運転に関する各種設定を受け付ける。例えば図2に示すように、操作パネル5は、洗濯機本体1Bの上面前側に設けられている。操作パネル5は、例えば、表示部6と、スイッチ4とを備える。表示部6は、例えば、いわゆるタッチ式の操作パネルとして形成されていて、静電容量式スイッチによって構成されるタッチセンサを含む。表示部6は、例えば液晶表示デバイスなどを備える。表示部6は、その表示面に洗濯運転制御に係る複数種類の表示画面を含む画像を表示させる。例えば、操作パネル5は、洗濯機100の洗濯運転制御の制御モードの切り替え(別の制御モードの開始)を指示する使用者の操作を受け付けるとともに、操作による設定内容や現在の運転状況を表示する。
【0021】
スイッチ4は、洗濯機100の電源スイッチである。スイッチ4の電源側には、図示しない電源コードが設けられていて、その電源コードを介して外部から電力が供給される。また、スイッチ4の負荷側には、外部から供給される電力を洗濯機100の各機能部に供給する電源部(図示せず)が接続されている。
【0022】
具体的には、電源部は、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して、安定化された電圧を洗濯機100の各機能部に供給する。例えば、電源部は、図示しない直流電圧の検出部(図4にて後述する電源検出部604)を含み、検出結果を制御部80に供給する。例えば、電源部から所定の閾値電圧に満たない直流電圧が出力されている状態にあると、電源部は、制御部80に対するリセット要求を出力する。スイッチ4によって電源が投入され、電源部から所定の閾値電圧を超える直流電圧が出力されるようになると、電源部は、検出結果を反転して、制御部80に対するリセット要求を解除する。洗濯機100は、リセット要求が解除されてから、制御部80による初期化処理が行われ、その後、通信制御と洗濯制御を含む各種制御が可能な状態になる。スイッチ4によって電源を投入する操作は、洗濯運転を開始させるための操作(洗濯運転開始操作)の一例である。洗濯機100は、洗濯運転開始操作を検出した後、洗濯運転を開始する。洗濯機100が洗濯運転開始操作を検出してから、実際に洗濯運転を開始するように、その順序が規定される。この両者の時間差に関する制限はない。
【0023】
また、洗濯機100は、ドラムモータ7と、排水弁ユニット9と、給水弁ユニット10と、乾燥ユニット11と、ポンプ30(自動投入機構)とに接続されている。それぞれ詳細な説明は省略するが、ドラムモータ7は、洗濯機本体1B内に設けた回転槽13を回転させる。排水弁ユニット9は、図示しない排水弁、排水ポンプ、排水弁モータを含み、水槽14内の水を機外へ排水する。給水弁ユニット10は、図示しない給水弁、ふろ水ポンプ、ふろ水ポンプモータを含み、給水口23またはふろ水の取水口24と水槽14内との連通を開閉し、水槽14内へ給水する。
【0024】
乾燥ユニット11は、図示されない圧縮機やファン、ファンモータ、排気ダンパモータを含み、洗濯物の乾燥用のヒートポンプユニットを構成する。ポンプ30は、タンク31と32に予め蓄えられていた洗剤又は柔軟剤を、制御部80の制御に基づいて駆動されるタイミングに投入する。制御部80は、各部を駆動するためのドライブ回路を含む。ドラムモータ7と、排水弁ユニット9と、乾燥ユニット11と、給水弁ユニット10と、ポンプ30は、制御部80を介して制御される。
【0025】
<2.2 洗濯機のセンサ群および制御部の構成>
図4は、洗濯機100の制御に関する構成例を示すブロック図である。図4に示すとおり、洗濯機100は、自身を他の通信機器と通信可能に接続するための無線モジュール70と、自装置を洗濯機として機能させるための制御部80と、洗濯機としての制御に必要な各種情報を取得するためのセンサ群SUと、を備える。制御部80は、洗濯機100内部の通信線によりセンサ群SUと通信可能に接続され、無線モジュール70を介してサーバ200と無線通信可能に接続される。無線モジュール70は、無線ルータRを介してサーバ200と無線通信する。
【0026】
制御部80は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリ、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置を含んで構成される。制御部80は、プロセッサが補助記憶装置に記憶されているプログラムをメモリ上に読み出して実行することにより、洗濯制御部81、記憶部82、情報記録部83および情報出力部84を備える装置として機能する。なお、制御部80の機能の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0027】
洗濯制御部81は、自装置を洗濯機として機能させるために、操作パネル5への入力操作やセンサ群SUの検知結果に基づいて、ドラムモータ7、排水弁ユニット9、給水弁ユニット10、乾燥ユニット11、ポンプ30の動作を制御する機能を有する。洗濯制御部81は、予め洗濯機100に設定されている洗濯方法に基づく制御に加え、ユーザUが設定した洗濯方法に基づく制御を行うように構成されてもよい。例えば、ユーザUによる洗濯方法の設定は、洗濯100の操作パネル5や端末装置300にインストールされたアプリケーション(以下「洗濯アプリ」という。)を用いて行われる。以下、洗濯機100の使用において選択される洗濯方法のことを「洗濯コース」といい、洗濯コースのうちユーザUが洗濯アプリから設定したものを「アプリコース」という。
【0028】
記憶部82は、識別情報I1および状態情報I2を記憶する。識別情報I1は、洗濯機100を識別するために各洗濯機100に付与された機器IDを示す。状態情報I2は、洗濯機100の状態を示す時系列情報である。
【0029】
情報記録部83は、例えば不図示のタイマを参照し、洗濯機100の状態を示す情報と日時情報とを対応付けて、記憶部82の状態情報I2に追加する。「洗濯機100の状態」は、例えば、洗濯機100の電源のON/OFFの状態や、ドラムモータ7、給水弁ユニット10、排水弁ユニット9、乾燥ユニット11、ポンプ30の運転状態などを含む。また、「洗濯機100の状態」は洗濯機100によって洗濯されるモノの状態を含んでもよい。日時情報は、曜日および時刻を示す情報を含む。
【0030】
さらに、情報記録部83は、センサ群SUの検出結果を示す情報と日時情報とを対応付けて、記憶部82の状態情報I2に追加する。ここで、洗濯機100は、センサ群SUとして、上記の扉スイッチ601、洗剤残量センサ602、柔軟剤残量センサ603および電源検出部604に加え、水位センサ605、泡センサ606、重量センサ607、汚れセンサ608、水温センサ609、槽内カメラ610、周囲温湿度センサ611、外気温度センサ612、糸くずフィルタスイッチ613を備えている。
【0031】
水位センサ605は、水槽14に注入された水の水位を測定するセンサである。泡センサ606は、水槽14の内部に発生した泡を検出するセンサである。泡は主に、洗濯処理の実行中において、洗剤又は柔軟剤が水槽14内で撹拌されることにより生じる。泡立ちの度合いにより洗剤又は柔軟剤の過不足を検知することができる。重量センサ607は水槽14の重量を測定するセンサである。水槽14の重量により、注水量や洗濯する対象の衣類量を検知することができる。汚れセンサ608は水槽14内の水の汚れを検知するセンサである。水槽14の振動状況により水槽14内の衣類の状態を検知することができる。水温センサ609は、水槽14に注入された水の温度を測定するセンサである。
【0032】
槽内カメラ610は、洗濯機100の水槽14の内部を撮像するカメラである。例えば図5は、槽内カメラ610によって洗濯機100の水槽14の内部が撮像された画像(以下「水槽内画像」という。)の具体例を示す図である。センサ群SUの検出結果は、上述した各種センサやスイッチの検出結果である。これら情報は、生データが記録されてもよいし、必要な演算(加工)が行われた状態で記録されてもよい。
【0033】
周囲温湿度センサ611は、洗濯機100付近の温度および湿度を検知するセンサである。外気温度センサ612は、洗濯機100の設置場所における外気温を測定するセンサである。洗濯機100が屋外に設置される場合、外気温度センサ612の測定温度は周囲温湿度センサ611の測定温度と同じであるため、外気温度センサ612は省略されてもよい。電源検出部604は、上述のとおり直流電圧を検出する機能を有する。この機能により、電源検出部604は、洗濯機100が接続された外部電源の周波数を検知することができる。
【0034】
情報出力部84は、無線モジュール70を介して、記憶部82に記憶された状態情報I2をサーバ200に送信する。情報出力部84は、例えば所定の周期で、状態情報I2をサーバ200に送信する。このとき、情報出力部84は、状態情報I2と、記憶部82に記憶された識別情報I1とを紐付けてサーバ200に送信する。識別情報I1は、洗濯機100を識別するために各洗濯機100に付与された機器IDである。状態情報I2および識別情報I1は、洗濯機100からサーバ200に送信されるデータの一例である。以下では、状態情報I2および識別情報I1を纏めて「データD」と称する。
【0035】
なお上記構成に代えて、情報記録部83が省略され、情報出力部84は、洗濯機100の運転状態およびセンサ群SUの検出結果を、リアルタイムでサーバ200に送信してもよい。この場合、洗濯機100の運転状態およびセンサ群SUの検出結果と、日時情報との対応付けは、サーバ200で行われてもよい。
【0036】
<3.サーバ>
図6は、サーバ200の構成例を示すブロック図である。サーバ200は、例えば、情報取得部201、情報変換部202、学習部203、推定部204、情報記録部205、および情報出力部206を含む。これら機能部は、サーバ200が有するCPUのようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、これら機能部の全部または一部は、ASIC、PLD、またはFPGAなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0037】
さらに、サーバ200は、記憶部207を有する。記憶部207は、例えば、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数の組み合わせにより実現される。記憶部207には、蓄積情報I11、ユーザ登録情報I12、学習モデルL、推定モデル(学習済みモデル)M、およびユーザ属性情報I13が記憶される。
【0038】
情報取得部201は、洗濯機100から送信されたデータDを取得する(受け取る)。なお、推定モデルMの学習が行われる場合には、情報取得部201は、複数の家庭でそれぞれ使用される複数の洗濯機100からデータDを収集する。情報取得部201は、取得したデータDを蓄積情報I11として記憶部207に蓄積する。情報取得部201は、例えば各洗濯機100について、所定期間(例えば3ヶ月)に亘りデータDを蓄積する。情報取得部201は、「取得部」の一例である。
【0039】
情報変換部202は、各洗濯機100のデータDが蓄積された蓄積情報I11と学習モデルLとに基づき、後述する推定モデルMに入力する入力情報を生成する。学習モデルLは機械学習を行うためのアルゴリズムを示すモデルである。推定モデルMは、学習モデルLを用いた蓄積情報I11の学習によって生成される学習済みモデルであって、ユーザUの属性を推定するモデルである。例えばユーザUの属性の一例として、(a)洗濯機100の使用人数、(b)性別、(c)年齢、(d)住居形態、(e)設置位置、(f)就業形態、(g)婚姻の有無、(h)居住地域などが挙げられる。ただし、推定するユーザUの属性は、ユーザUに関して蓄積情報I11に基づいて推定することのできる事項であれば、上記列挙した事項以外の事項であってもよい。
【0040】
(a.使用人数を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、使用人数に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「使用人数推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点において使用人数との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上を、使用人数に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0041】
・洗濯機100の機種に関する情報
・洗濯機100の洗濯回数に関する情報
・洗濯機100により洗濯された衣類の量に関する情報
・洗濯機100の洗濯時間に関する情報
・洗濯機100の連続運転に関する情報
・洗濯機100で洗濯される衣類の汚れに関する情報
・洗濯機100における糸くずフィルタの清掃頻度に関する情報
・洗濯機100の洗濯コースに関する情報
・洗濯機100のタイマー予約の設定に関する情報
・洗濯機100におけるふろ水の使用に関する情報
・洗濯機100における予約時間の変更に関する情報
・洗濯機100により洗濯された衣類種別に関する情報
・洗濯機100の洗濯が終了してから衣類が取り出されるまでの時間に関する情報
【0042】
例えば、一般に洗濯機のメーカは、洗濯機を使用する人数に応じた機能性を有する機種をラインアップするため、ユーザはラインアップされた機種のうちから自身が想定する使用人数に応じた機種を選択して購入すると考えられる。そのため、洗濯機100は、その機種に応じた人数のユーザによって使用される可能性が高いと考えられる。
【0043】
また、一般に、洗濯機100にかかる負荷は、洗濯機100を使用する人数(例えば、ユーザの同居家族の人数)が多いほど大きくなる傾向にある。そのため、洗濯機100にかかる負荷の大きさを示す各種の指標値は、洗濯機100の使用人数と相関性を有する。ここで、洗濯機100にかかる負荷の大きさを示す指標値としては、「洗濯機100の洗濯回数」、「洗濯機100により洗濯された衣類の量」、「洗濯機100の洗濯コース」、「洗濯機100の洗濯時間」、「洗濯機100の連続運転」、「洗濯機100で洗濯される衣類の汚れ」、「洗濯機100における糸くずフィルタの清掃頻度」などが挙げられる。
【0044】
図7は、使用人数推定用入力情報の生成に用いられるデータDの具体例を示す図である。データDはセンサ群SUの検出結果を示す時系列データである。図7において、「洗濯機100の洗濯回数」は例えば扉スイッチ601の出力に基づいて検知することができる。また、「洗濯機100により洗濯された衣類の量」は例えば重量センサ607または水位センサ605の出力に基づいて検知することができる。また、「洗濯機100の洗濯時間」および「洗濯機100の連続運転」は例えば扉スイッチ601または重量センサ607の出力に基づいて検知することができる。また、「洗濯機100で洗濯される衣類の汚れ」は例えば汚れセンサ608の出力に基づいて検知することができる。また、「洗濯機100における糸くずフィルタの清掃頻度」は糸くずフィルタスイッチ613の出力に基づいて検知することができる。
【0045】
また、一般に、洗濯機100の使用方法は、洗濯機100を使用する人が単身であるか、または家族であるかによって変わる傾向がある。ここで、洗濯機100の使用方法に関する指標値としては、「洗濯機100のタイマー予約の設定」、「洗濯機100におけるふろ水の使用」、「洗濯機100における予約時間の変更」などが挙げられる。例えば、洗濯機100を単身で使用するユーザは生活パターンの変動が大きいと考えられるため、タイマーの予約時間が変更される頻度が比較的高くなると考えられる。一方、洗濯機100を家族で使用するユーザは生活パターンの変動が小さいと考えられるため、タイマーの予約時間が変更される頻度が比較的低くなると考えられる。
【0046】
また、一般に、洗濯機100の使用においてふろ水を使用するのは、洗濯機100を家族で使用するユーザである可能性が高いと考えられる。「洗濯機100の洗濯コース」、「洗濯機100のタイマー予約の設定」、「洗濯機100におけるふろ水の使用」、「洗濯機100における予約時間の変更」に関する情報は、操作パネル5に対して行われた操作入力の履歴情報に基づいて検知することができる。
【0047】
また、一般に、洗濯機100により洗濯される衣類種別には、そのユーザの家族構成がより直接的に表れる。例えばサイズの小さい衣類が洗濯されているユーザの家族構成は子供を持つ家庭である可能性が高いと考えられ、洗濯機100の使用人数は複数人である可能性が高いと考えられる。また、一般に、洗濯機100の洗濯が終了してから衣類が取り出されるまでの時間が短いことは洗濯量が多いことを表している可能性が高いと考えられ、そのユーザは家族で洗濯機100を使用している可能性が高いと考えられる。「洗濯機100により洗濯された衣類種別」は例えば水槽内画像(図5参照)に基づいて検知することができる。「洗濯機100の洗濯が終了してから衣類が取り出されるまでの時間」は例えば扉スイッチ601または重量センサ607の出力に基づいて検知することができる。
【0048】
情報変換部202は、このようなデータDに基づいて取得される「洗濯機100にかかる負荷に関する情報」、「洗濯機100の洗濯が終了してから衣類が取り出されるまでの時間に関する情報」、「洗濯機100により洗濯された衣類種別に関する情報」、「洗濯機100の洗濯コースに関する情報」、「洗濯機100のタイマー予約の設定に関する情報」、「洗濯機100におけるふろ水の使用に関する情報」、「洗濯機100における予約時間の変更に関する情報」などの情報を使用人数推定用入力情報として生成する。
【0049】
なお、洗濯機100の使用人数に関する属性の他の例としてユーザの世帯構成が挙げられる。例えば、洗濯機100のユーザが1人と推定された場合、そのユーザの世帯構成は単独世帯と考えることができる。また、例えば、洗濯機100の使用人数が2人であり、かつ年代が同世代であると推定された場合、そのユーザの世帯構成は夫婦のみの世帯であると考えることができる。この場合、ユーザの年齢や年代を推定するために、後述する年齢推定用入力情報が人数推定用入力情報に含められてもよい。
【0050】
また、例えば洗濯機100の使用人数が複数人であり、その中に子供と大人が含まれると推定された場合、そのユーザの世帯構成は親と子の世帯であると考えることができる。この場合、子供の有無を推定するために、後述する年齢推定用入力情報や就業形態推定用入力情報などの情報が人数推定用入力情報に含められてもよい。
【0051】
また、この場合、大人の中に、子育て世代の大人と、老齢の大人が含まれると推定された場合、そのユーザの世帯構成は3世代世帯であると考えることができる。この場合、大人の年代を推定するために、後述する年齢推定用入力情報や就業形態推定用入力情報などの情報が人数推定用入力情報に含められてもよい。
【0052】
(b.性別を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、ユーザUの性別に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「性別推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点においてユーザUの性別との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上を、ユーザUの性別に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0053】
・洗濯機100により洗濯された衣類種別に関する情報
・洗濯機100の洗濯コースに関する情報
・洗濯機100において使用された洗剤又は柔軟剤の銘柄に関する情報
・洗濯機100のユーザUの身体的特徴に関する情報
【0054】
「洗濯機100により洗濯された衣類種別」には、そのユーザの性別がより直接的に表れる。例えば洗濯機100で洗濯された衣類が男性用であるか女性用であるかは、例えば衣類の用途やサイズ、柄、色、形状(衣類種別の一例)等によって判別し得る。また、一般に、男性よりも女性の方が洗濯物への負荷を考慮する傾向が強いと考えられる。例えば「洗濯機100の洗濯コース」の1つである“オシャレ着洗い”などは男性よりも女性の方が好んで使用する傾向にあると考えられる。また、そのような女性の嗜好性は使用する洗剤又は柔軟剤にも表れる場合があるため、特定銘柄の洗剤や柔軟剤の使用が検知された場合には、そのユーザの性別を推定できる可能性がある。「洗濯機100において使用された洗剤又は柔軟剤の銘柄に関する情報」は例えばユーザ登録情報I12によって判別可能である。
【0055】
また、「ユーザUの身体的特徴」には、洗濯機100のユーザUの性別に関する傾向が表れると考えられる。例えば、男性は女性よりも身長が高い傾向がある。また、男性の手や腕は女性の手や腕よりも大きく太い傾向がある。また、女性は男性よりも宝飾品を手や腕に付けている場合が多いことに加え、その宝飾品が女性用であるか男性用であるかはその外観から見て取れることが多い。
【0056】
具体的には、洗濯機100のユーザUの身体的特徴は例えば洗濯機100の水槽内画像データを用いて取得することができる。例えば、洗濯機100の水槽内画像には洗濯物を出し入れするユーザUの手が撮像される場合がある。そのため、情報変換部202は、画像認識処理により水槽内画像に撮像されている人の手を検出し、検出された手の属性(例えば、大きさ、太さ、装飾品の有無など)を識別する。水槽内画像データはデータDの一態様である。この場合、画像認識処理は、水槽内画像に撮像されている人の手を識別することができるものであればどのような方法によるものであってもよい。
【0057】
例えば、画像認識処理には、画像データの各画素値を用いて取得される各種の特徴量に基づいて人の手の有無及び属性を識別する方法を用いることができる。そこで情報変換部202は画像認識処理による人の手の識別結果を示す情報を性別推定用入力情報として生成する。なお、画像データの各画素値には被写体の特徴を示す情報が含まれていると考えられるため、情報変換部202は、その画像データ自体を性別推定用入力情報として生成してもよい。
【0058】
(c.年齢を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、ユーザUの年齢に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「年齢推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点においてユーザUの年齢との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上を、ユーザUの年齢に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0059】
・洗濯機100の機種に関する情報
・洗濯機100の洗濯回数に関する情報
・洗濯機100により洗濯された衣類種別に関する情報
・洗濯機100の洗濯コースに関する情報
・洗濯機100の連続運転に関する情報
・洗濯機100の洗濯時刻に関する情報
・洗濯機100において使用された洗剤又は柔軟剤の銘柄に関する情報
・洗濯機100のタイマー予約設定に関する情報
・洗濯機100で洗濯される衣類の汚れに関する情報
・洗濯機100におけるふろ水の使用に関する情報
・洗濯機100における糸くずフィルタの清掃頻度に関する情報
・洗濯機100の洗濯が終了してから衣類が取り出されるまでの時間に関する情報
【0060】
洗濯機100の機種には年齢や年代によって異なるユーザの好みの違いが現れる可能性がある。例えば、若年のユーザは比較的新しい形式の洗濯機であるドラム式の洗濯機を選択する傾向が強く、年配のユーザは縦型の洗濯機を選択する傾向が強いと考えられる。
【0061】
また、例えば、高齢の人は若年の人に比べて洗濯量が少なく、洗濯機100にかかる負荷も小さくなる可能性が高いと考えられる。また、同様の理由により、高齢の人は若年の人に比べて洗濯機100を連続運転する可能性は低いと考えられる。また、高齢の人は若年の人に比べて朝早くから活動する傾向があるため、洗濯機100の開閉を開始する時刻が若年の人よりも早いと考えられる。また、高齢の人は平日と休日とでの生活パターンの変化が若年の人に比べて小さいと考えられる。一方、サラリーマンや学生などは、平日と休日とで生活パターンに変化がみられると考えられる。さらに学生の場合、サラリーマンと異なり、平日の曜日ごとに生活パターンが異なっても1週間のスパンで見た場合には同じ生活パターンが繰り返される傾向にあると考えられる。また、洗濯に使用される洗剤や柔軟剤の銘柄によっては年代による好みの違いが反映される場合がある。同様に、年代による好みの違いは使用する洗濯機100の機能に反映される場合がある。例えば、高齢の人は若年の人に比べて乾燥機能を使用する可能性が低いと考えられる。例えば乾燥機能の使用の有無は洗濯された洗濯コースの履歴情報に基づいて判別することができる。
【0062】
そこで情報変換部202は、「洗濯機100に係る負荷に関する情報」、「洗濯機100により洗濯された衣類種別に関する情報」、「洗濯機100の洗濯コースに関する情報」、「洗濯機100の連続運転に関する情報」、「洗濯機100の洗濯時刻に関する情報」、「洗濯機100において使用された洗剤又は柔軟剤の銘柄に関する情報」を年齢推定用入力情報として生成する。
【0063】
(d.住居形態に関する属性を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、住居形態に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「住居形態推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点において住居形態との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上を、住居形態に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0064】
・洗濯機100の周囲の温度または湿度に関する情報
・洗濯機100の設置位置における外気温に関する情報
【0065】
図8は、洗濯機100の設置位置における温度変化の第1の具体例を示す図である。図8に示すように「洗濯機100の周囲の温度または湿度」には、その設置位置に応じた室内外の温度変化の傾向が表れると考えられる。例えば、マンションは戸建ての家屋よりも室内の温度変化が小さい傾向にある。具体的には、洗濯機100の設置位置における温度に関する情報は、蓄積情報I11に含まれる周囲温湿度センサ611の検出結果に基づいて取得することができる。そこで情報変換部202は、洗濯機100の設置位置における温度を示す情報を住居形態推定用入力情報として生成する。
【0066】
また、マンションは戸建ての家屋よりも外気温の影響を受けにくいため、室内の温度変化が時間帯や季節等によらず小さくなる傾向にある。室内の温度変化は少なからず屋外の温度の影響を受けるため、室内の温度変化の要因をより正確に判断するためには「洗濯機100の設置位置における外気温」も住居形態推定用入力情報に含められてもよい。また、温度変化に加え、マンションは戸建ての家屋よりも室内の湿度変化が小さい傾向にある。このため、温度変化と同様に「洗濯機100の周囲の湿度」が住居形態推定用入力情報に含められてもよい。
【0067】
(e.洗濯機100の設置位置に関する属性を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、洗濯機100の設置位置に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「設置位置推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点において洗濯機100の設置位置との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上を、洗濯機100の設置位置に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0068】
・洗濯機100の周囲の温度または湿度に関する情報
・洗濯機100の設置位置における外気温に関する情報
【0069】
例えば、洗濯機100がベランダや屋上等の屋外に設置されている場合、洗濯機100の周辺の温度変化は、外気温の変化と同じである。そのため、洗濯機100の周辺の温度変化により、洗濯機100の設置位置が屋外であるか屋内であるかを判別できる可能性が高いと考えられる。また、洗濯機100が室内に設置されている場合、洗濯機100の周囲の温度変化には、室内の特徴が反映される場合がある。
【0070】
図9は、洗濯機100が設置された室内の温度変化の第2の具体例を示す図である。例えば、ワンルームマンションなどでは、洗濯機100がキッチンの近くに設置され、その設置位置の近くにはコンロが設置されている場合がある。そして、洗濯機100の付近にコンロが設置されている場合、洗濯機100の付近の温度がコンロの使用タイミングにおいて上昇すると考えられる。また、コンロは食事の時間帯に使用される可能性が高いことから、食事の時間帯において洗濯機100の付近で温度が上昇する頻度が高い場合、当該洗濯機100の設置場所がキッチンである可能性が高い。このように、「洗濯機100の周囲の温度」は、洗濯機100の設置場所に関する属性と相関性を有すると考えられる。そこで情報変換部202は、「洗濯機100の周囲の温度または湿度に関する情報」および「洗濯機100の設置位置における外気温に関する情報」を設置位置推定用入力情報として生成する。
【0071】
また、洗濯機100が室内に設置されている場合、「洗濯機100の周辺の湿度」には設置場所の空間の用途に応じた湿度変化が表れると考えられる。例えば、洗濯機100がキッチンの近くに設置されている場合、調理の際に生じる蒸気によって一時的に湿度が高くなる傾向にある。また、キッチン以外の空間であっても、その空間の使用時には、使用者の呼気や飲み物等によって一時的に湿度が高くなる傾向にある。また、一時的に湿度が高くなる傾向の度合いは、その空間の用途によって異なる場合があり、その傾向は湿度の変化量や湿度が変化する時間帯などの特徴として現れる。そこで情報変換部202は、洗濯機100の周辺の湿度を示す情報を設置位置推定用入力情報として生成する。
【0072】
(f.就業形態を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、ユーザUの就業形態に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「就業形態推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点においてユーザUの就業形態との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上をユーザUの就業形態に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0073】
・洗濯機100により洗濯された衣類種別に関する情報
・洗濯機100における1週間ごとの使用サイクル(以下「洗濯サイクル」という。)に関する情報
・洗濯機100における予約時間の変更に関する情報
・洗濯機100の周辺における端末装置300の有無に関する情報
【0074】
例えば、ユーザUの勤務形態や勤務時間帯などの属性は、ユーザUの生活パターンに現れると考えられる。また、ユーザUの生活パターンの一部は洗濯機100の使用パターンに現れ、洗濯機100の使用パターンは、洗濯機100にかかる負荷の変動パターンに現れる。例えば、ユーザUの勤務形態がパートタイムである場合は、洗濯機100の使用が一旦終了してから再開されるまでの時間間隔が比較的短時間(例えば数時間未満)であるという特徴として現れ、ユーザUの勤務形態がフルタイムである場合は、洗濯機100の使用が一旦終了してから再開されるまでの時間間隔が比較的長時間(例えば10時間以上)であるという特徴として現れる。
【0075】
また、例えば、ユーザUの勤務時間帯は、洗濯機100の使用が一旦終了してから再開されるまでの時間帯として、その生活パターンが洗濯機100の使用パターンに現れる。例えば、朝9時から夕方20時までを勤務時間とするユーザUの生活パターンは、平日の朝9時より前に洗濯機100の使用を一旦終了し、夕方20時以降で洗濯機100の使用を再開するという洗濯機100の使用パターンとして現れる。また、夜21時から翌朝6時までを勤務時間とするユーザUの生活パターンは、平日の夜21時より前に洗濯機100の使用を一旦終了し、翌朝6時以降で洗濯機100の使用を再開するという洗濯機100の使用パターンとして現れる。
【0076】
また、例えば、ユーザが学生である場合、平日の日ごとには異なるパターンで洗濯機100が使用される場合があるものの、週ごとにはほぼ同じパターンの繰り返しで洗濯機100が使用されるといった使用パターンとして、ユーザUの生活パターンが現れる。なお、ユーザの生活パターンは、ユーザ宅におけるユーザの在・不在に基づいて推定することも可能である。例えば、ユーザの在・不在は、例えば洗濯機100の周辺におけるユーザ端末(例えば、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなど)の有無により推定することができる。また、洗濯機100の周辺におけるユーザ端末の有無は、ユーザ端末の位置情報に基づいて推定されてもよいし、ユーザ端末が洗濯機100と同じサブネット上に存在しているか否かによって推定されてもよい。
【0077】
(f.洗濯機100のユーザUの婚姻の有無を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、ユーザUの婚姻の有無(結婚/未婚)に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「婚姻推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点においてユーザUの婚姻の有無との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上をユーザUの婚姻の有無に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0078】
・洗濯機100の洗濯回数に関する情報
・洗濯機100により洗濯された衣類種別に関する情報
・洗濯機100の洗濯コースに関する情報
・洗濯機100の洗濯時刻に関する情報
・洗濯機100の連続運転に関する情報
・洗濯機100の洗濯が終了してから衣類が取り出されるまでの時間に関する情報
・洗濯機100のタイマー予約設定に関する情報
・洗濯機100で洗濯される衣類の汚れに関する情報
・洗濯機100におけるふろ水の使用に関する情報
・洗濯機100における糸くずフィルタの清掃頻度に関する情報
【0079】
「洗濯機100にかかる負荷」には、ユーザUの婚姻の有無に関する傾向が表れると考えられる。例えば、洗濯機100の水槽14内に男性用の衣類と、女性用の衣類とのいずれか一方が格納されている場合、ユーザUは未婚である可能性が高いと考えられ、男性用の衣類と女性用の衣類との両方が水槽14内に格納されている場合には、ユーザUは結婚している可能性が高いと考えられる。また、大人用の衣類と、子供用の衣類とが水槽14内に格納されている場合も、ユーザUが結婚している可能性が高いと考えられる。
【0080】
そこで情報変換部202は画像認識処理による衣類の識別結果を示す情報を婚姻推定用入力情報として生成する。また、画像データの各画素値には被写体の特徴を示す情報が含まれていると考えられるため、情報変換部202は、その画像データ自体を婚姻推定用入力情報として生成してもよい。
【0081】
また、「洗濯機100のユーザUの身体的特徴」にもユーザUの婚姻の有無に関する傾向が表れると考えられる。例えば、婚姻の有無に関する傾向を示す身体的特徴として婚姻指輪の装着の有無が挙げられる。画像認識処理によって水槽内画像に撮像されたユーザUの手に結婚指輪が装着されていることが識別された場合、ユーザUは結婚している可能性が高いと考えられる。
【0082】
そこで情報変換部202は画像認識処理による身体的特徴の識別結果を示す情報を婚姻推定用入力情報として生成する。また、画像データの各画素値には被写体の特徴を示す情報が含まれていると考えられるため、情報変換部202は、その画像データ自体を婚姻推定用入力情報として生成してもよい。
【0083】
(h.居住地域を推定するための入力情報)
情報変換部202は、例えば、ユーザUの居住地域に関する属性を推定するために推定モデルMに入力する入力情報(以下「居住地域推定用入力情報」と称する)として、次に列挙する情報のうち1つ以上を、蓄積情報I11に基づき生成する。これらの情報は、少なくとも以下に説明する観点においてユーザUの居住地域との相関性を有する。そのため、以下に列挙する各情報のうち1つ以上をユーザUの居住地域に関する属性を出力情報とする推定モデルMの入力情報として用いることができる。
【0084】
・洗濯機100の周囲の温度または湿度に関する情報
・洗濯機100の外部電源の周波数に関する情報
【0085】
「洗濯機100の周辺の温度」には、ユーザUの居住地域に関する傾向が表れると考えられる。例えば、洗濯機100が室内に設置されている場合、洗濯機100の周辺の温度は、外気温に対して相対的に変化すると考えられ、外気温は地域に応じて異なる分布を示す。このため、洗濯機100の周辺の温度は、ユーザUの居住地域の気候を反映するものと考えられる。また、「洗濯機100の周辺の湿度」にも、ユーザUの居住地域に関する傾向が表れると考えられる。さらに、「洗濯機100の周辺の温度」と「洗濯機100の周辺の湿度」の組み合わせは、居住地域の気候をより詳細に特徴づけると考えられる。
【0086】
そこで情報変換部202は洗濯機100の周辺の温度を示す情報を居住地域推定用入力情報として生成する。なお、情報変換部202は、気象庁のサーバから各地の気温情報を取得し、取得した各地の気温情報と周囲温湿度センサ611の検出結果との比較結果を居住地域推定用入力情報としてもよい。
【0087】
なお、ユーザUが洗濯に使用する水は、その居住地域に特徴的な性質(例えば軟水であるか、または硬水でるかなど)を有する場合がある。そのため、洗濯機100に使用される水の水質を計測することができる場合、計測した水質に基づいてユーザの居住地域を推定することができる可能性がある。そのため、洗濯機100が使用する水の水質を測定する水質センサを有している場合、情報変換部202は、洗濯機100に使用される水の水質に関する情報を居住地域推定用入力情報として生成してもよい。
【0088】
また、「外部電源の周波数に関する情報」は、洗濯機100が接続された外部電源の交流周波数が50Hzであるか60Hzであるかを示す情報などである。この情報は、例えば、データDに含まれる電源検出部604の検出結果に基づき導出される。ここで、東日本での商用電源の周波数は50Hzであり、西日本での商用電源の周波数は60Hzである。
【0089】
次に、学習部203について説明する。学習部203は、上述した各種入力情報を機械学習の学習モデルLに適用することにより、ユーザUの属性を推定するための推定モデルMを学習済みモデルとして生成する。推定モデルMは、洗濯機100に関する情報が入力されると、洗濯機100のユーザUの属性の推定結果を出力するように学習される。
【0090】
本実施形態では、学習部203は、ユーザUの属性を推定するための推定モデルMとして、使用人数に関する属性を推定する推定モデルMA、に関する属性を推定する推定モデルMB、年齢に関する属性を推定する推定モデルMC、住居形態に関する属性を推定する推定モデルMD、設置位置に関する属性を推定する推定モデルME、就業形態に関する属性を推定する推定モデルMF、婚姻の有無に関する属性を推定する推定モデルMG、居住地域に関する属性を推定する推定モデルMHを生成する。
【0091】
なお、本明細書で「学習」とは、教師なし学習または教師あり学習のいずれを意味してもよい。以下では、主に推定モデルMが教師あり学習によって生成される場合について説明するが、推定モデルMは教師なし学習によって生成されてもよい。例えば、学習部203は、情報変換部202によって生成された各種推定用入力情報とユーザ登録情報I12とを教師データとして学習モデルLに適用して各種推定用入力情報とユーザ登録情報I12との関係性を学習することにより、学習済みモデルとして推定モデルMA~MHを生成する。学習モデルLには、例えばニューラルネットワーク、強化学習、ディープラーニングなどを用いることができるが、学習モデルLはこれらに限定されない。学習モデルLは、回帰曲線や分類器を上記関係性の学習結果として生成するものであってもよい。例えば、ニューラルネットワーク以外の学習モデルLとしてSVM(Support Vector Machine)や決定木(Decision Tree)、ランダムフォレスト、k近傍法などが用いられてもよい。
【0092】
図10は、ユーザ登録情報I12の具体例を示す図である。ユーザ登録情報I12には、各ユーザUの識別情報(ユーザID)ごとに、ユーザが所有する洗濯機100の使用人数、設置位置、ユーザUの性別、年齢、就業形態、婚姻の有無、居住地域、ユーザが居住する住居の形態(住居形態)、使用する柔軟剤や洗剤の銘柄などが挙げられる。ただし、推定するユーザUの属性は、ユーザUに関して蓄積情報I11に基づいて推定することのできる事項であれば、上記列挙した事項以外の事項であってもよい。学習部203は、このようなユーザUの各属性と、それらに相関性を有する各種推定用入力情報とが対応づけられたデータを教師データとする機械学習を行うことにより、ユーザUの各属性と各種推定用入力情報との関係性を学習することができる。
【0093】
なお、ユーザUの各属性と各種推定用入力情報との対応づけは手動で実施されてもよいし、機械的に実施されてもよい。例えば、学習部203は、各種推定用入力情報について各属性との相関性の強さを求め、各種推定用入力情報を最も相関性の強い属性と対応付けることによって教師データを生成してもよい。
【0094】
推定部204は、学習部203により得られた推定モデルMを用いて、ユーザ属性の判定対象の洗濯機100(以下「判定対象洗濯機100」と称する)から受信したデータDに基づき、判定対象洗濯機100のユーザUのユーザ属性を推定する。ここで「推定」とは、最も確からしい1つの属性候補を判定することに限定されず、複数の属性候補のそれぞれの確率(例えば、使用人数が1人である可能性:10%、使用人数が2人である可能性:20%、使用人数が3人である可能性:50%、使用人数が4人以上である可能性:20%)などを出力する場合も含む。
【0095】
推定部204は、判定対象洗濯機100から得られたデータDに基づく各種推定用入力情報を推定モデルMに入力し、推定モデルMの出力情報として判定対象洗濯機100のユーザUのユーザ属性の推定結果を得る。本実施形態では、推定部204は、判定対象洗濯機100から得られたデータDに基づく入力情報として、上述した使用人数推定用入力情報、性別推定用入力情報、年齢推定用入力情報、住居形態推定用入力情報、設置位置推定用入力情報、就業形態推定用入力情報、婚姻推定用入力情報、居住地域推定用入力情報をそれぞれ対応する推定モデルMA~MHに入力し、推定モデルMA~MHの出力情報として、(a)洗濯機100の使用人数、(b)性別、(c)年齢、(d)住居形態、(e)設置位置、(f)就業形態、(g)婚姻の有無、(h)居住地域の推定結果を出力させる。
【0096】
情報記録部205は、推定部204によって推定されたユーザ属性を、ユーザ属性情報I13として記憶部207に記憶させる。
【0097】
情報出力部206は、上述した処理によって得られたユーザ属性情報I13を、端末装置300に送信する。これにより、ユーザ属性情報I13は、製品開発やサービス提供に利用可能になる。
【0098】
<4.処理の流れ>
次に、処理の流れについて説明する。
図11は、洗濯機100における処理の流れを示す図である。まず、制御部80は、洗濯機100の電源がONにされたか否かを判定する(S101)。洗濯機100の電源がOFFである場合、制御部80は、洗濯機100の電源がONにされるまで待機する。
【0099】
一方で、洗濯機100の電源がONにされた場合(S101:YES)、制御部80は、センサ群SUで検出された検出結果を、所定の周期またはリアルタイムで、サーバ200に送信する(S102)。
【0100】
次に、制御部80は、洗濯機100の電源がOFFにされたか否かを判定する(S103)。洗濯機100の電源がONである場合(S103:NO)、制御部80は、S102の処理を繰り返す。一方で、洗濯機100の電源がOFFにされた場合(S103:YES)、制御部80は、一連の処理を終了する。そして、洗濯機100は、例えば、所定期間に亘り上述した処理(S101~S103)を繰り返す。
【0101】
図12は、サーバ200における処理の流れを示す図である。前提として、洗濯機100からサーバ200に送信されたデータDは、情報取得部201によって取得され、蓄積情報I11として蓄積されている。
【0102】
まず、情報変換部202は、蓄積情報I11に基づき、上述した各種推定用入力情報を生成する(S201)。次に、推定部204は、生成した各種推定用入力情報を推定モデルMA~MHにそれぞれ入力することで、出力情報としてユーザUの属性に関する推定結果を得る(S202)。次に、情報出力部206は、推定部204により推定されたユーザUの属性に関する推定結果を示す情報を端末装置300に出力させる。
【0103】
<5.作用>
比較例として、アンケートやウェブ上で性別、年齢、使用人数や、居住地域などの情報を入力してもらうことで、ユーザUの属性情報を収集することが考えられる。しかしながらこれらの場合、入力が手間でユーザが情報を入力してくれないことがあり、またユーザが入力してくれる情報が実態と合わない場合もある。また、詳細な使用状況をアンケート形式でユーザに確認することも難しい。
【0104】
一方で、本実施形態では、情報処理システム1は、洗濯機100から送信されたデータDを取得する情報取得部201と、機械学習された推定モデルMを用いて、情報取得部201により取得されたデータDから得られる各種推定用入力情報に基づき洗濯機100のユーザUの属性を推定する推定部204とを含む。このような構成によれば、ユーザUによる入力がなくても、ユーザUの洗濯機100の使用結果に基づきユーザUの属性を推定することができる。これにより、ユーザUの属性情報の収集負担の低減を図ることができる。
【0105】
なお、サーバ200は、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、サーバ200が備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。例えば、学習部203と推定部204とはそれぞれ異なる情報処理装置に実装されてもよい。
【0106】
上記の実施形態では、蓄積情報の機械学習により、サーバ200が洗濯機100のユーザの属性に関する情報を推定する場合について説明したが、洗濯機100は指定されたタイミングでのユーザの属性を推定するだけでなく、その推定結果を蓄積し、蓄積した推定結果に基づいてその変化に関するユーザの属性を推定するように構成されてもよい。例えば、サーバ200は、使用人数の変化に基づいてユーザの家族構成の変化を推定してもよい。例えば、使用人数が1人から2人に増加した場合、サーバ200はユーザが婚姻状態が未婚から結婚に変化したことを推定してもよい。
【0107】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、洗濯機の状態に関するデータを取得する取得部と、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記取得部により取得された前記データに基づき前記洗濯機のユーザの属性を推定する推定部と、を持つことにより、ユーザの設定行為によらずに、洗濯機を使用するユーザの属性を推定することができる。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0109】
1…情報処理システム、100…洗濯機、1A…開口、1B…洗濯機本体、1D…扉、1DL…扉レバー、4…スイッチ、5…操作パネル、6…表示部、7…ドラムモータ、8…電源部、9…排水弁ユニット、10…給水弁ユニット、11…乾燥ユニット、13…回転槽、14…水槽、17…補充液貯蔵部、17A…開口、23…給水口、24…取水口、26…洗剤柔軟剤投入部、26F…蓋面、30…ポンプ、31,32…タンク、34…蓋、601…扉スイッチ、602…洗剤残量センサ、603…柔軟剤残量センサ、604…電源検出部、605…水位センサ、606…泡センサ、607…重量センサ、608…汚れセンサ、609…水温センサ、610…槽内カメラ、611…周囲温湿度センサ、612…外気温度センサ、613…糸くずフィルタスイッチ、70…無線モジュール、80…制御部、81…洗濯制御部、82…記憶部、83…情報記録部、84…情報出力部、200…サーバ、201…情報取得部、202…情報変換部、203…学習部、204…推定部、205…情報記録部、206…情報出力部、207…記憶部、300…端末装置、300a…表示装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12