(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】南関揚げ等のように豆腐質がなく厚みの薄い油揚げの製造装置
(51)【国際特許分類】
A23L 11/45 20210101AFI20240902BHJP
【FI】
A23L11/45 108A
(21)【出願番号】P 2020100581
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390022002
【氏名又は名称】オーケー食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓隆
(72)【発明者】
【氏名】三原 静香
(72)【発明者】
【氏名】三浦 七海
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】実公昭47-029116(JP,Y1)
【文献】特開2019-083691(JP,A)
【文献】塩山食品, 2018.09.02 [検索日 2024.04.12], インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20180902163914/https://www.shioyamasyokuhin.co.jp/nankanage/flow.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 11/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常法により製造された豆腐生地を連続的に圧延して薄く幅広い帯状の豆腐生地を作成する
圧延装置と、薄く幅広帯状に圧延した豆腐生地を連続的にフライして薄く幅広帯状の油揚げを製造するフライ装置と、フライされた薄く幅広帯状の油揚げを規定のサイズにカットするカッター装置と、からなり、
前記圧延装置は、連続的に供給される豆腐生地を上下で挟んで送る通水性下側コンベアと、4個の案内ローラで方形の空間部を形成した通水性上側コンベアと、通水性上側コンベアの空間部内で通水性上側コンベアの底辺部上面に当接してその重りで通水性下側コンベアと通水性上側コンベアとの間で豆腐生地の水分を搾りながら薄く幅広帯状に圧延する圧延コンベアと、を備え、
前記フライ装置は、各層仕切りで仕切られて順番に油の温度が上昇する低温層と、中温層と、中高温層と、高温層が連続配置され、
前記低温層は、油の中に薄く帯状の豆腐生地を載せて中温層に送る網状のコンベアを備え、
前記中温層は、薄く幅広帯状の豆腐生地を油内に押さえ込んで上下動しながら中温層に送る網状のコンベアを備え、
前記中高温層と高温層は、薄く幅広帯状の豆腐生地を油内に押さえ込んで送る網状のコンベアを備え、
前記高温層は、フライされた薄く幅広帯状の油揚げを乗せてフライ装置外に送り出すコンベアを備え、
前記中温層と中高温層の間と、中高温層と高温層との間を仕切る間仕切りが、薄く幅広帯状の豆腐生地の先端が通過する時にだけ下げられるように構成されていることを特徴とする南関揚げ等のように豆腐質がなく厚みの薄い油揚げの
製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、南関揚げ等のように豆腐質がなく厚みの薄い油揚げの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、南関揚げ等のような豆腐質がなく厚みの薄い油揚げは、豆腐生地の厚さが4mm以下であり、通常の油揚げ用ライン設備、即ち、(1)連続豆腐生地作成製造装置(凝固成型機)と、(2)豆腐生地裁断(規定サイズに豆腐生地をカット)と、(3)連続式フライヤー(型枠の中に豆腐生地が一枚一枚入りその型の形に油揚げが出来上がる装置)とを用いる方法では、以下のような問題点がある。即ち、
1.その豆腐生地の薄さから、曲がったり機械に貼り付いたりして凝固成型機から次の製造装置へ乗り移らない。
2.フライヤー内で型枠の下の僅かな隙間を潜り抜けてしまい上手くフライヤー内を進行しない。
3.これらをクリアしても揚げ出口までに割れたり欠けたりして殆ど規定サイズに採取できない事が分かっている。
4.その為、松山揚げ・南関揚げのように豆腐質がなく厚みの薄い揚げは現在人の手で1枚1枚揚げるしか方法がなかった。
5.また、従来の方法では、特許文献1に示すように、フライ工程の前に豆腐生地を規定サイズにカットするので、豆腐生地の端は端材として切り取られ油揚げにはならずロスになっていた。さらに、豆腐生地をカットしてから油で揚げるため、膨化不足や過剰膨化を原因とするサイズ不良や変形などが発生した場合はロスとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、豆腐質がなく厚みの薄い油揚げ(例えば南関あげ・松山揚げ)を連続的に製造をする製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため請求項1記載の南関揚げ等のように豆腐質がなく厚みの薄い油揚げの製造装置は、常法により製造された豆腐生地を連続的に圧延して薄く幅広い帯状の豆腐生地を作成する圧延装置と、薄く幅広帯状に圧延した豆腐生地を連続的にフライして薄く幅広帯状の油揚げを製造するフライ装置と、フライされた薄く幅広帯状の油揚げを規定のサイズにカットするカッター装置と、からなり、
前記圧延装置は、連続的に供給される豆腐生地を上下で挟んで送る通水性下側コンベアと、4個の案内ローラで方形の空間部を形成した通水性上側コンベアと、通水性上側コンベアの空間部内で通水性上側コンベアの底辺部上面に当接してその重りで通水性下側コンベアと通水性上側コンベアとの間で豆腐生地の水分を搾りながら薄く幅広帯状に圧延する圧延コンベアと、を備え、
前記フライ装置は、各層仕切りで仕切られて順番に油の温度が上昇する低温層と、中温層と、中高温層と、高温層が連続配置され、
前記低温層は、油の中に薄く帯状の豆腐生地を載せて中温層に送る網状のコンベアを備え、
前記中温層は、薄く幅広帯状の豆腐生地を油内に押さえ込んで上下動しながら中温層に送る網状のコンベアを備え、
前記中高温層と高温層は、薄く幅広帯状の豆腐生地を油内に押さえ込んで送る網状のコンベアを備え、
前記高温層は、フライされた薄く幅広帯状の油揚げを乗せてフライ装置外に送り出すコンベアを備え、
前記中温層と中高温層の間と、中高温層と高温層との間を仕切る間仕切りが、薄く幅広帯状の豆腐生地の先端が通過する時にだけ下げられるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の南関揚げ等のように豆腐質がなく厚みの薄い油揚げの製造装置では、上述のように構成されるため、以下の効果が得られる。
まず、圧延装置で規定の幅で薄く幅広帯状に圧延した豆腐生地を連続的にフライして薄く幅広帯状の油揚げを製造した後に、カッター装置で規定のサイズにカットできるため、従来廃棄処分されていたサイズカットによる豆腐生地の端材が発生することがないと共に、サイズ不良や変形などの不良廃棄品が出ることがなく、豆腐質がなく厚みが薄い油揚げ(例えば南関あげ・松山揚げ)を連続的に製造することができる。
また、延装置が、連続的に供給される豆腐生地を上下で挟んで送る通水性下側コンベアと、4個の案内ローラで方形の空間部を形成した通水性上側コンベアと、通水性上側コンベアの空間部内で通水性上側コンベアの底辺部上面に当接してその重りで通水性下側コンベアと通水性上側コンベアとの間で豆腐生地の水分を搾りながら薄く幅広帯状に圧延する圧延コンベアと、を備えていることで、脱水され極薄く幅広帯状の豆腐生地を連続成型することができる。
また、フライ装置が、各層仕切りで仕切られて順番に油の温度が上昇する低温層と、中温層と、中高温層と、高温層が連続配置され、低温層は、油の中に帯状の豆腐生地を載せて中温層に送る網状のコンベアを備え、中温層は、帯状の豆腐生地を油内に押さえ込んで上下動しながら中温層に送る網状のコンベアを備え、中高温層と高温層は、油揚げを油内に押さえ込んで送る網状のコンベアを備え、高温層は、油揚げを乗せてフライ装置外に送り出すコンベアを備えることで、薄く幅広帯状の豆腐生地を連続的にフライしてふっくらとした薄く幅広帯状の油揚げを製造することができる。
また、中温層と中高温層の間と、中高温層と高温層との間を仕切る間仕切りが、油揚げの先端が通過する時にだけ下がるように構成されることで、フライ装置の各層が仕切りで仕切られていても、中温層でフライされた油揚げの先端を通過させることができる。
また、カッター装置は、回転して幅方向に複数カットする複数の第1カッターと、上下して進行方向にカットする第2カッターとを備えることで、所定寸法の油揚げを連続的に製造することができる。
また、中温層と中高温層の間と、中高温層と高温層との間を仕切る間仕切りが、薄く幅広帯状の豆腐生地の先端が通過する時にだけ下げられるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1の南関揚げ等のように豆腐質がなく厚みの薄い油揚げの製造方法の第1工程~第3工程の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
実施例1の南関揚げ等のように豆腐質がなく厚みの薄い油揚げの製造方法を
図1に基づいて説明する。
まず、常法により製造された豆腐生地1aを圧延装置2で連続的に圧延して薄く幅広い帯状の豆腐生地1bを作成する第1工程と、薄く幅広帯状に圧延した豆腐生地1bをフライ装置3で連続的にフライして薄く幅広帯状の油揚げ1cを製造する第2工程と、フライされた薄く幅広帯状の油揚げ1cをカッター装置4で規定のサイズにカットする第3工程と、からなる。
【0020】
前記圧延装置2は、連続的に供給される豆腐生地1aを上下で挟んで送る通水性下側コンベア2aと、4個の案内ローラbで方形の空間部を形成した通水性上側コンベア2bと、通水性上側コンベア2bの空間部内で通水性上側コンベア2bの底辺部上面に当接してその重りで通水性下側コンベア2aと通水性上側コンベア2bとの間で豆腐生地1aの水分を搾りながら薄く幅広帯状に圧延する圧延コンベア2cと、を備えている。
【0021】
前記フライ装置3は、各層仕切り35で仕切られて順番に油の温度が上昇する低温層3aと、中温層3bと、中高温層3cと、高温層3dが連続配置されている
前記低温層3aは、油の中に薄く幅広帯状の豆腐生地1bを載せて中温層3bに送る網状のコンベア31を備え、前記中温層3bは、低温フライされた薄く幅広帯状の豆腐生地1bを油内に押さえ込んで上下動しながら中温層3cに送る網状のコンベア32を備え、この中温層3cを通過することで薄く幅広帯状の油揚げ1cになる。
また、前記中高温層3cと高温層3dは、中温層3cと中高温層3dでそれぞれ中温及び中高温フライされた油揚げ1cを油内に押さえ込んで送る網状のコンベア33、33を備え、前記高温層3dは、高温層3dでフライされた薄く幅広帯状の油揚げ1cを乗せてフライ装置3外に送り出すコンベア34を備える。
【0022】
また、前記中温層3bと中高温層3cの間と、中高温層3cと高温層3dとの間を仕切る間仕切り35が、中温層3b又は中高温層3cでフライされた薄く幅広帯状の油揚げ1cの先端が通過する時にだけ手動で下げられるように構成されている。
【0023】
また、前記第4工程において、前記カッター装置4は、回転して幅方向に複数カットする複数の第1カッター4aと、上下して進行方向にカットする第2カッター4cとを備えている。
【0024】
次に、実施例1の作用効果を説明する。
この実施例1の南関揚げ等のように豆腐質がなく厚みの薄い油揚げの製造方法によれば、以下の効果が得られる。
【0025】
まず、圧延装置2で規定の幅で薄く幅広帯状に圧延した豆腐生地1bを連続的にフライして薄く幅広帯状の油揚げ1cを製造した後に、カッター装置4で規定のサイズにカットするため、従来廃棄処分されていたサイズカットによる豆腐生地の端材が発生することがないと共に、サイズ不良や変形などの不良廃棄品が出ることがなく、極薄い油揚げ1d(例えば南関あげ・松山揚げ)を連続的に製造することが可能となった。
【0026】
また、第1工程の圧延装置2が、連続的に供給される豆腐生地1aを上下で挟んで送る通水性下側コンベア2aと、4個の案内ローラbで方形の空間部を形成した通水性上側コンベア2bと、通水性上側コンベア2bの空間部内で通水性上側コンベア2bの底辺部上面に当接してその重りで通水性下側コンベア2aと通水性上側コンベア2bとの間で豆腐生地1aの水分を搾りながら薄く幅広帯状に圧延する圧延コンベア2cと、を備えていることで、脱水され極薄く幅広帯状の豆腐生地1bを連続的に製造することができる。
【0027】
また、フライ装置3は、各層仕切り35で仕切られて順番に油の温度が上昇する低温層3aと、中温層3bと、中高温層3cと、高温層3dが連続配置され、低温層3aは、油の中に帯状の豆腐生地1bを載せて中温層3bに送る網状のコンベア31を備え、中温層3bは、薄く幅広帯状の豆腐生地1bを油内に押さえ込んで上下動しながら中温層に送る網状のコンベア32を備え、中高温層3cと高温層3dは、油揚げ1cを油内に押さえ込んで送る網状のコンベア33、33を備え、高温層3dは、油揚げ1cを乗せてフライ装置3外に送り出すコンベア34を備えることで、薄く幅広帯状の豆腐生地1aを連続的にフライしてふっくらとした薄く幅広帯状の油揚げ1cを製造することができる。
【0028】
また、中温層3bと中高温層3cの間と、中高温層3cと高温層3dとの間を仕切る間仕切り35が、油揚げ1cの先端が通過する時にだけ下がるように構成されることで、フライ装置3の各層が仕切り35で仕切られていても、中温層3bでフライされた油揚げ1cの先端を通過させることができる。
【0029】
また、カッター装置4は、回転して幅方向に複数カットする複数の第1カッター4aと、上下して進行方向にカットする第2カッター4bとを備えることで、所定寸法の油揚げ1dを連続的に製造することができる。
【0030】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、豆腐生地に膨化剤を混合した状態でフライするようにしても良い。
【符号の説明】
【0031】
1a 豆腐生地
1b 豆腐生地
1c 油揚げ
2 圧延装置
2a 下側コンベア
2b 上側コンベア
2c 圧延コンベア
b 案内ローラ
3 フライ装置
3a 低温層
3b 中温層
3c 中高温層
3d 高温層
31 網状のコンベア
32 網状のコンベア
33 網状のコンベア
34 コンベア
35 仕切り
4 カッター装置
4a 第1カッター
4b 第2カッター
4c 油揚げ