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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】通信システム、通信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/72412 20210101AFI20240902BHJP
   G07F 9/00 20060101ALI20240902BHJP
   G07F 9/10 20060101ALI20240902BHJP
   H04M 1/72454 20210101ALI20240902BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H04M1/72412
G07F9/00 P
G07F9/00 110Z
G07F9/10 Z
H04M1/72454
H04M11/00 302
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020101417
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021197592
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000153236
【氏名又は名称】株式会社光波
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺門 健二
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117281(JP,A)
【文献】特表2019-508813(JP,A)
【文献】特開2018-145739(JP,A)
【文献】特開2014-029683(JP,A)
【文献】特開2009-212769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F5/00-9/10
H03J9/00-9/06
H04B7/24-7/26
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q9/00-9/16
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置から無線通信が可能な距離よりも短い距離に設定された領域に人が侵入した場合に、接続可能であることを知らせるためのアドバタイズ信号を送信する送信手段を有する通信装置と、
前記領域に前記人が侵入した場合に、前記通信装置から送信される前記アドバタイズ信号を受信する受信手段と、受信された前記アドバタイズ信号の信号強度を測定する測定手段と、前記領域に前記人が侵入した際に測定された前記信号強度を前記領域に前記人が侵入する度に、それぞれ履歴情報として記憶部に記録する記録手段と、前記履歴情報に基づいて前記信号強度の閾値を算出する算出手段と、測定された前記信号強度が前記閾値以上の場合、前記アドバタイズ信号に対する接続要求を送信する送信手段とを有する通信端末と、
を備えた通信システム。
【請求項2】
通信端末のコンピュータを、
相手の通信装置から無線通信が可能な距離よりも短い距離に設定された領域に人が侵入した場合に、前記通信装置から送信される接続可能であることを知らせるためのアドバタイズ信号を受信する受信手段と、
受信された前記アドバタイズ信号の信号強度を測定する測定手段と、
前記領域に前記人が侵入した際に測定された前記信号強度を前記領域に前記人が侵入する度に、それぞれ履歴情報として記憶部に記録する記録手段と、
前記履歴情報に基づいて前記信号強度の閾値を算出する算出手段と、
測定された前記信号強度が前記閾値以上の場合、前記アドバタイズ信号に対する接続要求を送信する送信手段として機能させるためのプログラム。
【請求項3】
前記算出手段は、前記履歴情報に基づいて平均化した信号強度を前記閾値として算出する、
請求項に記載のプログラム。
【請求項4】
前記測定手段は、測定指示を受け付けたときに前記信号強度を測定し、
前記記録手段は、測定された前記信号強度を前記履歴情報として前記記憶部に記録する、
請求項又はに記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末を用いて現金以外の決算手段で自動販売機による商品又は役務の提供を受けることを可能にする自動販売機管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された自動販売機管理システムは、商品又は役務を提供する自動販売機と、携帯端末と、管理装置と、を含み、自動販売機は、当該自動販売機を識別するための識別情報を示すビーコンを送信するビーコン送信手段を含み、携帯端末は、ビーコンを受信するビーコン受信手段と、ビーコンに基づいて識別情報を取得する識別情報取得手段と、自動販売機から商品又は役務の提供を受けるための決済処理を実行する決済処理実行手段と、を含み、管理装置は、識別情報を受信する識別情報受信手段と、決済処理が完了した場合に管理装置に送信される所定の通知情報を受信する通知情報受信手段と、通知情報が受信された場合であって、かつ、携帯端末におけるビーコンの受信強度が閾値以上であるために携帯端末と識別情報によって識別される自動販売機とが近接していると判定された場合に、識別情報によって識別される自動販売機に対して商品又は役務の提供を許可する提供許可手段と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6557789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構成によると、ビーコンの受信強度によって携帯端末と自動販売機との近接を判定しているため、複数の携帯端末が1つの自動販売機に近接した場合に、商品又は役務を提供すべき携帯端末を誤判定するおそれがある。また、携帯端末等の通信端末は、新機種が発売される度に閾値を設定する必要があり、作業負担になっている。
【0006】
本発明の課題は、通信端末が受信した信号強度のみで通信すべき通信端末を特定する場合と比較して、通信すべき通信端末の誤判定を抑制することができ、通信端末に対する閾値の設定作業が不要な通信システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]自装置から無線通信が可能な距離よりも短い距離に設定された領域に人が侵入した場合に、接続可能であることを知らせるためのアドバタイズ信号を送信する送信手段を有する通信装置と、
前記領域に前記人が侵入した場合に、前記通信装置から送信される前記アドバタイズ信号を受信する受信手段と、受信された前記アドバタイズ信号の信号強度を測定する測定手段と、前記領域に前記人が侵入した際に測定された前記信号強度を前記領域に前記人が侵入する度に、それぞれ履歴情報として記憶部に記録する記録手段と、前記履歴情報に基づいて前記信号強度の閾値を算出する算出手段と、測定された前記信号強度が前記閾値以上の場合、前記アドバタイズ信号に対する接続要求を送信する送信手段とを有する通信端末と、を備えた通信システム
]通信端末のコンピュータを、
相手の通信装置から無線通信が可能な距離よりも短い距離に設定された領域に人が侵入した場合に、前記通信装置から送信される接続可能であることを知らせるためのアドバタイズ信号を受信する受信手段と、
受信された前記アドバタイズ信号の信号強度を測定する測定手段と、
前記領域に前記人が侵入した際に測定された前記信号強度を前記領域に前記人が侵入する度に、それぞれ履歴情報として記憶部に記録する記録手段と、
前記履歴情報に基づいて前記信号強度の閾値を算出する算出手段と、
測定された前記信号強度が前記閾値以上の場合、前記アドバタイズ信号に対する接続要求を送信する送信手段として機能させるためのプログラム。
]前記算出手段は、前記履歴情報に基づいて平均化した信号強度を前記閾値として算出する、前記[]に記載のプログラム。
]前記測定手段は、測定指示を受け付けたときに前記信号強度を測定し、
前記記録手段は、測定された前記信号強度を前記履歴情報として前記記憶部に記録する、前記[]又は[]に記載のプログラム。
【発明の効果】
【0008】
請求項1及び2に係る発明によれば、通信端末が受信した信号強度のみで通信すべき通信端末を特定する場合と比較して、通信すべき通信端末の誤判定を抑制することができ、通信端末に対する閾値の設定作業が不要になる。
請求項に係る発明によれば、通信端末が通信装置と通信する度に閾値を最適化することができる。
請求項に係る発明によれば、通信装置からのユーザが希望する距離で閾値を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムの概略の構成例を示す平面図である。
図2図2は、金額表示装置の一例を示す正面図である。
図3図3は、図2のA-A線断面図である。
図4図4は、図1に示す通信システムの制御系の一例を示すブロック図である。
図5図5は、信号強度データ管理テーブルの一例を示す図である。
図6図6は、自動販売機の動作の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、通信端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0011】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムの概略の構成例を示す平面図である。この通信システム1は、商品(例えば、飲料)を販売する自動販売機2と、自動販売機2と近接無線通信3を介して通信を行う通信端末4とを備える。
【0012】
自動販売機2は、正面2aに、釣銭切れ表示や挿入された紙幣又は投入された硬貨の金額の表示を行う金額表示装置100を設けている。金額表示装置100は、人Pまでの距離を測定するための人感センサ151と、通信端末4と近接無線通信3を介して通信を行う無線通信部135とを収容している。自動販売機2及び金額表示装置100は、それぞれ通信装置の一例である。
【0013】
自動販売機2は、人感センサ151により人Pが一定の距離以下(後述するアドバタイズ出力許可領域E)に接近したことが分かると、近接無線通信3を介して通信端末4に販売促進情報(例えば、広告情報、クーポン、ポイント等)を送信する機能を有する。
【0014】
近接無線通信3は、例えば、BlueTooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、NFC(Near Field Communication)、赤外線通信等を用いることができる。本実施の形態では、近接無線通信3として、通信可能距離が30m程度のBLEを用いる。
【0015】
通信端末4は、例えば、パーソナルコンピュータ(PCと略す。)、タブレット端末、多機能電話機(スマートフォンともいう。)等を用いることができる。通信端末4は、自動販売機2と近接無線通信3を介して通信する機能を有し、自動販売機2が送信する販売促進情報を近接無線通信3を介して受信する。また、通信端末4には、近接無線通信3を介して商品の購入代金の決済処理を行うことができるものもある。通信端末4を携帯する人Pは、主に、自動販売機2が販売する商品の購入者であるが、自動販売機2に対してメンテナンス等を行う作業者でもよい。
【0016】
人感センサ151は、本実施の形態では、FMCW(周波数連続変調)センサを用いる。FMCW(周波数連続変調)センサは、時間の経過に応じて周波数が直線的に上昇するように変調を行った電波を送信する方式を採用し、送信信号と送信信号の反射である受信信号とを合成したIF信号を生成し、IF信号を検出信号として出力する。後述する距離測定部152でIF信号をA/D変換し、フーリエ変換(FFT)を行うことにより、人Pまでの距離や人Pの移動速度等を検出することができる。なお、人感センサ151として、赤外線センサ等を用いてもよい。この場合、赤外線センサから赤外線を出射し、人等で反射した赤外線の線量を検出信号として出力する。
【0017】
人感センサ151としてドップラーセンサを用いた場合の検出範囲E(後述するE~E)の角度θは、例えば120°程度であり、検出範囲Eの人感センサ151からの距離は、例えば4m程度である。
【0018】
図1中、Eはアドバタイズ出力許可領域、Eは中間領域、Eはアドバタイズ出力禁止領域、Eは近接無線通信切断領域を示す。アドバタイズ出力許可領域Eは、人感センサ151から0.9m以下に設定され、自動販売機2からアドバタイズ信号を出力することが許可される領域である。アドバタイズ信号は、接続可能であることを相手の通信端末4に知らせるための信号である。アドバタイズ出力禁止領域Eは、人感センサ151から1.3mを越え、2m以下に設定され、自動販売機2からアドバタイズが出力されるのを禁止される領域である。中間領域Eは、人感センサ151から0.9mを越え、1.3m以下に設定され、アドバタイズ出力許可領域Eとアドバタイズ出力禁止領域Eとの間の領域である。近接無線通信切断領域Eは、人感センサ151から2mまでの範囲に設定され、人Pがアドバタイズ出力禁止領域Eから当該領域Eに退出したとき、近接無線通信3による通信を切断する領域である。
【0019】
(金額表示装置の構成)
図2は、金額表示装置100の正面図、図3は、図2のA-A線断面図である。この金額表示装置100は、保護カバー110、前面カバー120、プリント基板130及びケース140を前側から順次重ねて1つのユニットとして構成されている。
【0020】
前面カバー120は、透明性を有する樹脂材料等から形成され、ケース140の断面三角形状の係止突起140aが係合する矩形状の係合穴120aを有する。前面カバー120の係合穴120aにケース140の係止突起140aを係合させることでプリント基板130を収容するための1つの筐体を構成している。前面カバー120は、その裏面に文字部分や図柄部分を透明にした印刷層121が形成されている。
【0021】
プリント板130の前面には、金額表示部131、販売中表示部132、お札使用不可表示部133、釣銭切れ表示部134、上記無線通信部135、上記人感センサ151等が実装されている。無線通信部135及び人感センサ151の前面には、赤外線及び電波等を透過する透明板122が配置されている。透明板122は、例えば、透明な黒色等のアクリル板等の樹脂材料から形成される。
【0022】
金額表示部131は、7つのLED131aを有する複数(本実施の形態では、5つ)の7セグメント表示器によって構成されている。7セグメント表示器の前面には、LED131aが発光する光を透過する透明板123が配置されている。透明板123は、透明なアクリル板等の樹脂材料から形成される。
【0023】
販売中表示部132は、前面カバー120の「販売中」の文字部分を照明するLEDを備える。お札使用不可表示部133は、前面カバー120の「お札中止」の文字部分、及び千円札の図柄部分を照明するLEDを備える。釣銭切れ表示部134は、前面カバー120の「釣り切れ」の文字部分、及び百円硬貨と十円硬貨の図柄部分を照明するLEDを備える。
【0024】
ケース140には、左右に鍔部141が突出しており、鍔部141に形成された穴141aにネジを通して金額表示装置100を自動販売機2の正面2aに設けられた扉体等に取り付けられるように構成されている。
【0025】
プリント基板130の背面には、距離測定部152、アドバタイズ送信制御部153、自動販売機2全体を制御する後述する主制御部30(図4参照)に配線によって接続するためのコネクタ(図示せず)、ブザー(図示せず)等が実装されている。
【0026】
図4は、通信システム1の制御系の一例を示すブロック図である。自動販売機2の金額表示装置100には、上記人感センサ21と、上記無線通信部135と、人感センサ151からの検出信号であるIF信号をA/D変換し、フーリエ変換(FFT)を行うことにより人感センサ151から人Pまでの距離等を測定する距離測定部152と、距離測定部152により測定された距離に基づいて無線通信部135によりアドバタイズ信号等を送信するアドバタイズ送信制御部153とが設けられている。なお、距離測定部152及びアドバタイズ送信制御部153の一方又は両方は、自動販売機2の金額表示装置100以外の場所に配置してもよい。また、距離測定部152及びアドバタイズ送信制御部153は、1つのチップによって構成してもよい。
【0027】
距離測定部152は、アドバタイズ出力許可領域Eに人Pが侵入すると許可領域侵入イベントを、アドバタイズ出力禁止領域Eに人Pが退出すると禁止領域退出イベントを、近接無線通信切断領域Eに人Pが退出すると近接無線通信切断領域退出イベントを、それぞれアドバタイズ送信制御部153に発行する。また、距離測定部152は、許可領域侵入イベントを発行してから所定の時間(例えば、2分)が経過しても、人Pがアドバタイズ出力禁止領域E側に退出していない場合、タイムアウトイベントをアドバタイズ送信制御部153に発行する。
【0028】
アドバタイズ送信制御部153は、CPU(Central Processing Unit)、インターフェース、記憶部等から構成されている。CPUは、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより距離測定部152から発行されるイベントに基づいてアドバタイズ信号等の送信や近接無線通信3を制御する。なお、アドバタイズ送信制御部153は、再構成可能回路(FPGA:Field Programmable Gate Array)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエア回路によって構成してもよい。
【0029】
許可領域侵入イベントが発行されると、アドバタイズ送信制御部153は、人Pがアドバタイズ出力許可領域Eに存在するかどうかを監視する監視モードに遷移し、定期的(例えば、50msecごと)にアドバタイズ信号を送信するよう無線通信部135を制御する。禁止領域退出イベントが発行されると、アドバタイズ送信制御部153は、非監視モードに遷移し、アドバタイズ信号の送信を停止するよう無線通信部135を制御する。近接無線通信切断領域退出イベントが発行されると、アドバタイズ送信制御部153は、近接無線通信3を切断するよう無線通信部135を制御する。タイムアウトイベントが発行されると、アドバタイズ送信制御部153は、通信端末4と通信の接続を強制的に切断するよう無線通信部135を制御する。この制御により、人Pがアドバタイズ出力許可領域Eに侵入して長時間アドバタイズ出力許可領域Eに存在する場合は、商品の購入意思がないか、商品を購入しても継続して購入する意思がないとみなすことができ、無駄な通信を回避することができる。
【0030】
自動販売機2は、自動販売機2の各部を制御する主制御部30を備える。主制御部30は、商品の選択操作及び商品の購入代金の支払い操作に対して商品の排出制御を行うとともに、アドバタイズ送信制御部153を制御して販売促進情報を通信端末4に送信し、サーバと通信してアドバタイズ送信制御部153を介して決済処理等を行う。
【0031】
(通信端末の構成)
通信端末4は、通信端末4の各部を制御する制御部40と、各種の情報を記憶する記憶部41と、タッチパネルディスプレイ等で実現される操作表示部42と、信号強度測定部43と、自動販売機2との間で近接無線通信3を介した通信を行う無線通信部44とを備える。
【0032】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、インターフェース等から構成されている。CPUは、記憶部41に記憶されたプログラム410を実行することにより、受信手段400、測定手段401、記録手段402、閾値算出手段403、送信手段404等として機能する。これらの各手段400~404については、後述する。測定手段401及び信号強度測定部43は、測定手段の一例である。
【0033】
記憶部41は、ROM(Read Only Memory)、RAM、(Random Access Memory)、ハードディスク等から構成され、プログラム410、信号強度管理テーブル411(図5参照)等の各種の情報を記憶する。
【0034】
信号強度測定部43は、無線通信部44が受信したアドバタイズ信号のRSSI(Receive Signal Strength Indication;受信信号強度)を測定する。
【0035】
図5は、信号強度管理テーブル411の一例を示す図である。信号強度管理テーブル411は、「回数」、「信号強度[dBm]」、「閾値[dBm]」等の項目を有する。「回数」には、信号強度を測定した回数が記録される。「信号強度[dBm]」には、信号強度測定部43によって測定された信号強度(例えば、RSSI、RSSI、RSSI、・・・RSSIi・・・)が記録される。「閾値[dBm]」には、閾値算出手段403によって算出された閾値が記録される。各項目への記録は、記録手段402によって行われる。なお、「閾値[dBm]」には、閾値を順次記録するのではなく、最新の閾値のみを記録し、更新してもよい。
【0036】
受信手段400は、自己の通信端末4を携帯する人Pがアドバタイズ出力許可領域Eに侵入した場合に、自動販売機2の無線通信部135から定期的に送信されるアドバタイズ信号を無線通信部44により受信する。
【0037】
測定手段401は、自己の通信端末4を携帯する人Pがアドバタイズ出力許可領域Eに侵入した際に、受信手段400により受信されたアドバタイズ信号の信号強度を信号強度測定部43により測定する。また、測定手段401は、通信端末4を携帯する人Pから測定の指示(例えば、操作表示部42のタッチ操作、音声入力等)を受け付けたときに信号強度を測定してもよい。測定手段401は、人Pがアドバタイズ出力許可領域Eに侵入した際にアドバタイズ信号の信号強度を測定した後、定期的にアドバタイズ信号を受信しても信号強度は測定しない。アドバタイズ出力許可領域Eから退出した後に再びアドバタイズ出力許可領域Eに侵入した場合は、再び侵入した際にも信号強度を測定する。
【0038】
記録手段402は、アドバタイズ出力許可領域Eに侵入した際に測定された信号強度をアドバタイズ出力許可領域Eに侵入する度に、それぞれ履歴情報として信号強度管理テーブル411の「信号強度[dBm]」に記録するとともに、閾値算出手段403により算出された信号強度の閾値を信号強度管理テーブル411の「閾値[dBm]」に記録する。
【0039】
閾値算出手段403は、信号強度管理テーブル411の「信号強度[dBm]」に履歴情報として記録された複数の信号強度に基づいて以下の式(1)により平均化した信号強度を閾値(以下「平均化閾値」ともいう。)として算出する。
【数1】
【0040】
ここで、nは総接続確立回数、iは1からnまでの回数、RSSIiはi番目の接続確立プロセスにおいて最初に受信したアドバタイズ信号の信号強度である。ΔRSSIは、揺らぎにより平均化閾値の算出結果への影響を抑制する調整値である。例えば、人感センサ151から距離0.7m地点と0.8m地点との理論上の信号強度の差を1.16dBmとする。平均化閾値を求める上記式(1)は、一例であり、これに限られず、例えば、調整値を用いない単純平均を用いてもよく、加重平均を用いてもよい。
【0041】
送信手段404は、測定された信号強度が閾値以上の場合、アドバタイズ信号に対する応答信号として接続要求を無線通信部44により送信する。
【0042】
(システムの動作)
次に、通信システム1の動作の一例について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、自動販売機2の動作の一例を示すフローチャートである。図7は、通信端末4の動作の一例を示すフローチャートである。
【0043】
(1)自動販売機2の動作
自動販売機2の動作の一例を図6のフローチャートに従って説明する。
【0044】
距離測定部152は、人感センサ151からの検出信号に基づいて、人感センサ151から人Pまでの距離を定期的(例えば、200msecごと)に測定し、距離測定結果をアドバタイズ送信制御部153に出力する。
【0045】
アドバタイズ送信制御部153は、距離測定部152から出力される距離測定結果が人Pがアドバタイズ出力許可領域Eに侵入したことを示す0.9m以下か否かを判断する(S1)。
【0046】
距離測定結果が0.9m以下になると(S1:Yes)、アドバタイズ送信制御部153は、無線通信部135によりアドバタイズ信号を定期的に送信する。アドバタイズ送信制御部153は、人Pがアドバタイズ出力許可領域Eに存在している間はアドバタイズ信号を定期的に送信し続け、人Pがアドバタイズ出力許可領域Eから中間領域E側又は検出範囲E(E~E)の角度θ(例えば、120°)外に退出すると、アドバタイズ信号の送信を停止する。
【0047】
アドバタイズ送信制御部153は、無線通信部135が接続要求を受信したか否かを判断する(S3)。
【0048】
接続要求を受信したと判断すると(S3:Yes)、アドバタイズ送信制御部153は、通信端末4との通信の接続を確立するよう無線通信部135を制御する(S4)。
【0049】
通信端末4との通信の接続が確立すると、アドバタイズ送信制御部153は、その旨を主制御部30に通知する。主制御部30は、サービスの一例として例えばポイントを発行するようアドバタイズ送信制御部153を制御する。
【0050】
アドバタイズ送信制御部153は、サービスの一例としてポイントを示す信号を無線通信部135により送信する(S5)。
【0051】
(2)通信端末4の動作
通信端末4の動作の一例を図7のフローチャートに従って説明する。
【0052】
通信端末4の受信手段400は、アドバタイズ信号を無線通信部44により受信したか否かを判断する(S11)。アドバタイズ信号を受信したと判断すると(S11:Yes)、受信手段400は、操作表示部42に接続ボタンを表示する。
【0053】
受信手段400は、接続ボタンのタップを操作表示部42が検出したか否かを判断する(S12)。接続ボタンのタップを検出したと判断した場合(S12:Yes)、測定手段401は、信号強度測定部43によりアドバタイズ信号の信号強度を測定する。記録手段402は、信号強度の測定結果を信号強度管理テーブル411の「信号強度[dBm]」に記録する(S13)。
【0054】
閾値算出手段403は、信号強度管理テーブル411を参照して受信回数を判断する(S14)。すなわち、信号強度管理テーブル411の「信号強度[dBm]」に信号強度が記録されていなければ、受信回数は初回と判断し、1つの信号強度が記録されていれば、受信回数は2回目と判断し、2つ以上の信号強度が記録されていれば、受信回数は3回目以降と判断する。
【0055】
受信回数が初回である場合、記録手段402は、信号強度管理テーブル411の「閾値[dBm]」の回数1に対応する欄には何も記録せず、回数2に対応する欄に1回目の信号強度(RSSI)を記録する(S15)。
【0056】
送信手段404は、アドバタイズ信号に対する応答信号として接続要求を無線通信部44により送信し(S16)、自動販売機2との通信の接続が確立する(S17)。
【0057】
受信手段400は、サービスの一例としてポイントを無線通信部44により受信する(S18)。受信手段400は、受信したポイントを記憶部41に記憶する。
【0058】
上記ステップS14において、2回目と判断した場合、送信手段404は、測定値(RSSI)が閾値(1回目の測定値のRSSI)以上であるか否かを判断する(S19)。測定値が閾値以上の場合(S19:Yes)、前述したように、接続要求を送信し(S16)、接続が確立し(S17)、サービスの提供を受ける(S18)。
【0059】
上記ステップS14において、3回目以降と判断した場合、閾値算出手段403は、式(1)を用いて平均化閾値を算出し、記録手段402は、算出された平均化閾値を信号強度管理テーブル411の「閾値[dBm]」の当該回数に対応する欄に記録する(S20)。
【0060】
送信手段404は、当該測定値が回数(3回目以降)に対応する平均化閾値以上か否かを判断する(S21)。測定値が平均化閾値以上と判断した場合(S21:Yes)、前述したように、接続要求を送信し(S16)、接続が確立し(S17)、サービスの提供を受ける(S18)。
【0061】
(本実施の形態の作用、効果)
次に、本の実施の形態の作用、効果を説明する。
(a)人感センサ151を用いて測定された人Pが一定の距離に接近すると、通信端末4にアドバタイズ信号を送信しているので、通信端末が受信した信号強度のみで通信すべき通信端末を特定する場合と比較して、通信すべき通信端末の誤判定を抑制することができる。
(b)通信端末4が閾値を記憶部41に自動的に記録するため、通信端末4に対する閾値の設定作業が不要になる。
(c)履歴情報として記録された複数の信号強度に基づいて平均化閾値を算出することで、通信端末4が自動販売機2と通信する度に閾値を最適化することができる。
(d)自動販売機2の前で通信端末4を操作する好みの位置が人によって異なるため、ユーザが通信端末4に表示された接続ボタンをタップしたときにアドバタイズ信号の信号強度を測定することで、自動販売機2からのユーザが希望する距離で閾値を設定することができる。
【0062】
(変形例1)
上記実施の形態では、通信端末4を携帯する人Pが接続ボタンをタップしたときにアドバタイズ信号の信号強度を測定したが、接続ボタンをタップしなくても、アドバタイズ出力許可領域Eに人Pが侵入した際に信号強度を測定してもよい。
【0063】
(変形例2)
上記実施の形態では、人感センサ151及び無線通信部135を金額表示装置100に収容したが、自動販売機2の他の箇所に配置してもよい。
【0064】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形、実施が可能である。例えば、上記実施の形態では、アドバタイズ信号を定期的に送信したが、不定期に送信してもよい。
【0065】
制御部のCPUは、それぞれ一部又は全部を再構成可能回路(FPGA:Field Programmable Gate Array)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエア回路によって構成してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態の構成要素の一部を省くことや変更してもよい。また、上記実施の形態のフローにおいて、ステップの追加、削除、変更、入替え等を行ってもよい。また、上記実施の形態で用いたプログラムをCD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができ、クラウドサーバ等の外部サーバに格納しておき、ネットワークを介して利用することもできる。
【符号の説明】
【0067】
1…通信システム、2…自動販売機、2a…正面、2b…扉体、3…近接無線通信、
4…通信端末、30…主制御部、40…制御部、41…記憶部、42…操作表示部、
43…信号強度測定部、44…無線通信部、100…金額表示装置、
110…保護カバー、120…前面カバー、120a…係合穴、121…印刷層、
122、123…透明板、130…プリント基板、131…金額表示部、
131a…LED、132…販売中表示部、133…お札使用不可表示部、
134…釣銭切れ表示部、135…無線通信部、140…ケース、
140a…係止突起、141…鍔部、141a…穴、151…人感センサ、
152…距離測定部、153…アドバタイズ送信制御部、400…受信手段、
401…記録手段、402…測定手段、403…閾値算出手段、404…送信手段、
410…プログラム、411…信号強度管理テーブル、
E…検出範囲、E…アドバタイズ出力許可領域、E…中間領域、
…アドバタイズ出力禁止領域、E…近接無線通信切断領域、P…人
図1
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図7