IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コイト電工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-照明装置 図1
  • 特許-照明装置 図2
  • 特許-照明装置 図3
  • 特許-照明装置 図4
  • 特許-照明装置 図5
  • 特許-照明装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 11/16 20060101AFI20240902BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20240902BHJP
   F21V 13/12 20060101ALI20240902BHJP
   F21V 13/10 20060101ALI20240902BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20240902BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240902BHJP
   A47K 1/02 20060101ALN20240902BHJP
   A47B 67/02 20060101ALN20240902BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240902BHJP
【FI】
F21V11/16
F21V33/00 130
F21V13/12 300
F21V13/10
A47K1/00 S
G02B5/00 C
A47K1/02 C
A47B67/02 503A
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020101760
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021197247
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中田 聡郎
(72)【発明者】
【氏名】三好 恵太郎
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-008837(JP,A)
【文献】特開昭57-061207(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1854400(CN,A)
【文献】特開2014-130268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 11/16
F21V 33/00
F21V 13/12
F21V 13/10
A47K 1/00
G02B 5/00
A47K 1/02
A47B 67/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚制限体と、光源と、収容部と、を有する照明装置であって、
前記視覚制限体は、前記光源を収容する収容部に設けられた孔に配置され、
前記視覚制限体は、
第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面と、前記第1の面と前記第2の面との間の側面と、を有する基体と、
前記第1の面上に配置された複数の第1の遮光体と、
前記第2の面上に配置された複数の第2の遮光体と、を有し、
前記第1の面上での前記第1の遮光体の位置と前記第2の面上での前記第2の遮光体の位置は、互いにずれており、
前記第1の遮光体および前記第2の遮光体は、第1の方向に延びた所定の幅の細片であり、
前記複数の第1の遮光体は、前記第1の面上において、前記第1の方向に垂直な第2の方向に所定の間隔で並んで配置されており、
前記複数の第2の遮光体は、前記第2の面上において、前記第2の方向に前記所定の間隔で並んで配置されており、
前記第1の面上での前記第1の遮光体の位置と前記第2の面上での前記第2の遮光体の位置との間のずれは、前記光源の照射方向に基づいて決定され、
前記所定の幅および前記所定の間隔は、使用者と前記視覚制限体との位置関係に基づいて、前記使用者の眼が存在する可能性がある位置から発せられた光線が前記収容部に入らないように決定される、照明装置。
【請求項2】
前記第1の方向は、前記光源の照射方向に垂直である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1の面と前記第2の面は、互いに平行であり、
前記光源の照射方向は、前記第1の面と垂直ではない、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記収容部は、洗面器の下方に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記照明装置の照射範囲は、壁に設置された鏡の脇に配置された拡散反射部材を含むように設定され、
前記使用者は、前記鏡の使用者である、請求項1から4のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚制限体および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鏡に映る使用者の像に影ができないようにするためには、使用者を正面から照らすようすると良い。例えば、特許文献1には、鏡(第1のミラー扉)の両脇に、鏡の使用者を正面から照らす照明(正面照明)を有する照明付き鏡装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-89182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された正面照明は、LED素子が取り付けられた基板が収容しており、ある程度の厚さが必要である。
【0005】
そこで、例えば、図5に示すように、鏡Mの両脇に、光を拡散反射する拡散反射部材DFを配置し、収容用具CBの内部に配置されたスポットライトなどの光源LSにより、拡散反射部材DFに収容用具CBの孔を通して光を照射し、この拡散反射部材DFにより拡散反射された光により使用者Uを照らすことにすると良い。このようにすることで、使用者Uを照らす照明部分(拡散反射部材DF)を薄くことが可能であり、薄型の照明付き鏡を提供することが可能である。図5(A)は、壁Wに設置された鏡Mを正面から見た図であり、図5(B)は、図5(A)のCC断面の断面図である。
【0006】
図5に示した照明付き鏡では、光源LSを洗面器WBの下方に配置された収容用具CBの内部に配置されているため、使用者Uから光源LSが収容部120により隠れ、使用者Uに、拡散反射部材DFが照らされていることが気付かせず、拡散反射部材DF自体が発光している印象を与えることが可能になる。しかしながら、光源LSを収容用具CBの孔の近くに設置した場合、図6に示すように、角度によっては、使用者Uから光源が見えてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、使用者に発光位置が見えない照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明における視覚制限体は、光源を収容する収容部に設けられた孔に配置される視覚制限体であって、第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面と、前記第1の面と前記第2の面との間の側面と、を有する基体と、前記第1の面上に配置された複数の第1の遮光体と、前記第2の面上に配置された複数の第2の遮光体と、を有し、前記第1の面上での前記第1の遮光体の位置と前記第2の面上での前記第2の遮光体の位置は、互いにずれている。
【0009】
前記第1の面上での前記第1の遮光体の位置と前記第2の面上での前記第2の遮光体の位置と間のずれは、前記光源の照射方向に基づいて決定されるようにしても良い。
【0010】
前記第1の遮光体および前記第2の遮光体は、第1の方向に延びた所定の幅の細片であり、前記複数の第1の遮光体は、前記第1の面上において、前記第1の方向に垂直な第2の方向に所定の間隔で並んで配置されており、前記複数の第2の遮光体は、前記第2の面上において、前記第2の方向に前記所定の間隔で並んで配置されているようにしても良い。前記第1の方向は、前記光源の照射方向に垂直であるようにしても良い。前記所定の幅は、使用者と前記視覚制限体との位置関係で決定されるようにしても良い。前記所定の間隔は、使用者と前記視覚制限体との位置関係で決定されるようにしても良い。
【0011】
前記第1の面と前記第2の面は、互いに平行であり、前記光源の照射方向は、前記第1の面と垂直ではないようにしても良い。
【0012】
前記収容部は、洗面器の下方に配置されるようにしても良い。
【0013】
本発明における照明装置は、前記視覚制限体と、前記光源と、前記収容部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、使用者に発光位置が見えない照明装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る照明装置100を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る視覚制限体200を示す図である。
図3】ずれDと光源部110の照射方向DIとの関係を説明する図である。
図4】間隔G、幅Wと使用者の位置との関係を説明する図である。
図5】拡散反射部材DFを用いた照明付き鏡を示す図である。
図6】使用者Uと光源LSの位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<照明装置100>
図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置100を示す図である。図1(A)は、照射対象(図1に示した例では、拡散反射部材DF)を正面から見た図であり、図1(B)は、図1(A)のAA断面の断面図である。
【0017】
照明装置100は、光源部110と、収容部120と、視覚制限体200と、を有する。
【0018】
光源部110は、照射範囲IAを照射するための光を発する光源を含み、光源は、例えば、LED素子である。光源部110は、孔が設けられた収容部120内に配置されており、この収容部120の孔には視覚制限体200が配置されている。本実施形態では、光源部110から出射された光のうち、視覚制限体200を通り抜け、収容部120外に出た光が、照射範囲IAを照射する。
【0019】
収容部120は、光源部110を収容する。収容部120は、例えば、図1に示すように、洗面器WBの下方に配置されたキャビネットであっても良いし、キャビネットの上部に配置される別個の収容箱であっても良い。
【0020】
照明装置100は、例えば、図1に示すように、壁W上に設置された鏡Mの脇に配置された拡散反射部材DFが照射範囲IAに入るように照射する。
<視覚制限体200>
図2は、本発明の一実施形態に係る視覚制限体200を示す図である。図2(A)は、視覚制限体200の平面図であり、図2(B)は、視覚制限体200の背面図であり、図2(A)、2(B)のBB断面での断面図である。
【0021】
視覚制限体200は、基体210と、複数の第1の遮光体220と、複数の第2の遮光体230と、を有する。図2において、基体210の形状は、円柱であるが、基体210の形状は、円柱に限らず、収容部120の孔の形状に合わせて決定される。収容部120の孔の形状は、照明装置100の照射対象の位置や形状などに基づいて決定される。
【0022】
基体210は、第1の面S1と、第1の面の反対側にある、第1の面と平行な第2の面S2と、第1の面S1と第2の面S2との間にある側面SSを有する。基体210は、透明であり、例えば、アクリルなどの透明な材料により成形される。
【0023】
複数の第1の遮光体220は、基体210の第1の面S1上に配置され、複数の第2の遮光体230は、基体210の第2の面S2上に配置される。複数の第1の遮光体220、複数の第2の遮光体230は、光の進行を遮る部材であり、例えば、光を吸収する材料などの光の進行を遮ることが可能な材料を基体210の面上に印刷することにより成形される。
【0024】
複数の第1の遮光体220の各々は、図2(A)に示すように、第1の方向D1に延びた幅Wの細片であり、第1の面S1上に、第1の方向D1と垂直な第2の方向D2に間隔Gで並んで配置されている。また、複数の第2の遮光体230の各々は、図2(B)に示すように、第1の方向D1に延びた幅Wの細片であり、第1の面S1上に、第2の方向D2に間隔Gで並んで配置されている。図2のBB断面は、第1方向D1に垂直であり、第2の方向D2に平行な面である。
【0025】
本実施形態では、光源部110の照射方向DIは、基体210の第1の面S1と垂直に交わっておらず、図3に示すように、第2の面S2の垂線に対して角度θ(0<θ<π/2)を成すように第2の面S2(第1の面S1)と交わっている。また、本実施形態において、第1の方向D1は、光源部110の照射方向DIと垂直である。
【0026】
第1の面S1上での複数の第1の遮光体220の配置と第2の面S2上での複数の第2の遮光体230の配置は、図3に示すように、互いに第2の方向に、ずれDだけずれている。このため、本実施形態では、光源から使用者の方向に出射された光を遮ることが可能になり、使用者から光源が見えることがなくなる。結果、使用者に発光位置が見えない照明装置を提供することが可能になる。
【0027】
また、本実施形態では、光源110が収容部120内に配置され、収容部120の孔には、視覚制限体200が配置されている。このため、収容部120の近辺に、図1に示したように、洗面器WBなどが設置する場合であっても、光源110に対する防水処理が不要である。
【0028】
<第1の遮光体220の配置と第2の遮光体230の配置のずれD>
第1の面S1上での複数の第1の遮光体220の配置と第2の面S2上での複数の第2の遮光体230の配置のずれDは、適宜決定される。このずれDは、例えば、光源部110の照射方向DIに基づいて決定される。
【0029】
例えば、ずれDは、下記の式により決定すると良い。
【数1】
ここで、Tは、基体210の厚さであり、nは、光源部110、視覚制限体200が配置された媒質(例えば、空気)に対する基体210の相対屈折率である。
【0030】
上記の式により、ずれDを決定した場合、図3に示すように、基体210内に第2の遮光体220間の間隔Gを通って照射方向DLに入射される光束が、第1の遮光体210により遮られることなく、基体210内から第1の遮光体210間の間隔Gから照射方向DIに出射される。
【0031】
<遮光体間の間隔G、遮光体の幅W>
隣り合う2つの遮光体220(230)間の間隔G、遮光体220(230)の幅Wも、適宜決定される。間隔G、幅Wは、例えば、使用者と視覚制限体との位置関係に基づいて決定される。特に、間隔G、幅Wは、使用者の眼が存在する可能性がある位置と視覚制限体200の位置との関係に基づいて決定されるようにすると良い。
【0032】
図4の示すように、第1方向D1に垂直であり、第2の方向D2に平行な面(図2のBB断面)において、第1の面S1の垂線からの角度がθmin≦θ≦θmaxの範囲に、使用者の眼が存在する可能性があるとすると、間隔G、幅Wは、下記の式を満たすように決定すると良い。
【数2】
【0033】
上記の式を満たすように、間隔G、幅Wを決定した場合、第1の面S1の垂線からの角度がθmin≦θ≦θmaxの範囲のある方向から発された光線LUは、図5に示すように、第1の遮光体220に遮られずに基体210内に入ったとしても、第2の遮光体230により遮られる。よって、使用者から収容部120の内部が見えることはなく、結果、使用者から光源部110が見えることがない。
【0034】
以上のように、本実施形態では、使用者の眼が存在する可能性がある位置に基づいて、θmin、θmaxを決定し、このθmin、θmaxに基づいて、間隔G、幅Wを決定することで、光源部110を使用者から隠すことが可能になり、使用者に発光位置が見えない照明装置を提供することが可能になる。
【0035】
なお、上記実施形態では、遮光体210、220の厚さは、基体210の厚さTに比べて無視できるくらい小さいと仮定しているが、遮光体210、220の厚さを考慮した場合も、上記と同様、遮光体210、220の配置のずれDや、隣り合う2つの遮光体220(230)間の間隔G、遮光体220(230)の幅Wは、適宜決定することが可能である。
【0036】
また、上記実施形態では、基体210の第2の面S2は第1の面S1に平行であるが、基体210の第2の面S2は第1の面S1も平行でなくても良い。基体210の第1の面S1と第2の面S2は平行でない場合も、上記と同様、遮光体210、220の配置のずれDや、隣り合う2つの遮光体220(230)間の間隔G、遮光体220(230)の幅Wは、適宜決定することが可能である。
【0037】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
100 照明装置
110 光源部
120 収容部
200 視覚制限部
210 基体
220 第1の遮光体
230 第2の遮光体
図1
図2
図3
図4
図5
図6