(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ラベル配置算出装置、プログラム及びラベル配置算出方法
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20240902BHJP
G06T 11/60 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G09B29/00 A
G06T11/60 100A
G06T11/60 300
(21)【出願番号】P 2020117910
(22)【出願日】2020-07-08
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】李 勇鶴
(72)【発明者】
【氏名】坂元 光輝
(72)【発明者】
【氏名】篠原 崇之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊明
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-242430(JP,A)
【文献】特開2015-036694(JP,A)
【文献】特開2012-168069(JP,A)
【文献】特開2002-351311(JP,A)
【文献】特開2005-037128(JP,A)
【文献】特開2014-032308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
G06T 1/00、11/60-13/80、17/05、19/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図において地物を表す複数の図形ごとに、各図形を構成する頂点の座標を示す図形データ
を記憶し、さらに、複数の画素により図形を描画する学習用画像データと、前記学習用画像データが示す図形に対するラベルの配置位置との関係を学習した学習済みモデルを記憶する記憶手段と、
前記複数の図形のうち、各図形に配置されるラベルの配置位置を算出する対象となる、前記地図における対象範囲に含まれる図形の図形データを取得する取得手段と、
前記取得した図形データを、前記対象範囲に含まれる図形を複数の画素により描画する画像データに変換する変換手段と、
前記変換された画像データを前記学習済みモデルに入力することにより、前記対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する算出手段と、
前記算出した配置位置を含む配置情報を出力する出力手段と、
を有することを特徴とするラベル配置算出装置。
【請求項2】
前記取得手段は、各図形に配置されるラベルの大きさをさらに取得し、
前記算出手段は、前記算出されたラベルの配置位置に前記取得した大きさのラベルを配置可能であるか否かを判定し、
前記出力手段は、前記ラベルを配置可能であると判定されたラベルの配置位置を含む配置情報を出力する、
請求項1に記載のラベル配置算出装置。
【請求項3】
地図において地物を表す複数の図形ごとに、各図形を構成する頂点の座標を示す図形データを記憶する記憶手段と、
前記複数の図形のうち、各図形に配置されるラベルの配置位置を算出する対象となる、前記地図における対象範囲に含まれる図形の図形データを取得する取得手段と、
前記取得した図形データを、前記対象範囲に含まれる図形を複数の画素により描画する画像データに変換する変換手段と、
前記画像データが示す図形の形状に基づいて、前記対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する算出手段と、
前記算出した配置位置を含む配置情報を出力する出力手段と、
を有し、
前記変換手段は、前記対象範囲に含まれる図形のうち、前記変換がされた場合に形状が変化する図形を特定し、前記取得した図形データを、前記特定された図形が含まれないように、又は、前記特定された図形に他の図形とは異なる色が付されるように、前記画像データに変換する、
ことを特徴とするラベル配置算出装置。
【請求項4】
地図において地物を表す複数の図形ごとに、各図形を構成する頂点の座標を示す図形データ
を記憶し、さらに、配置されるラベルの大きさに応じた色が付された図形を複数の画素により描画する学習用画像データと、前記学習用画像データに含まれる図形に対する、各図形の色に応じた大きさのラベルの配置位置との関係を学習した学習済みモデルを記憶する記憶手段と、
前記複数の図形のうち、各図形に配置されるラベルの配置位置を算出する対象となる、前記地図における対象範囲に含まれる図形の図形データ及び当該図形に配置されるラベルの大きさを取得する取得手段と、
前記取得した図形データを、前記対象範囲に含まれる図形を複数の画素により描画し、当該図形に配置されるラベルの大きさに応じた色が各図形に付されるように画像データに変換する変換手段と、
前記学習済みモデルに前記変換された画像データを入力することにより、前記対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する算出手段と、
前記算出した配置位置を含む配置情報を出力する出力手段と、
を有することを特徴とするラベル配置算出装置。
【請求項5】
コンピュータのプログラムであって、前記コンピュータを、
地図において地物を表す複数の図形ごとに、各図形を構成する頂点の座標を示す図形データ
を記憶し、さらに、複数の画素により図形を描画する学習用画像データと、前記学習用画像データが示す図形に対するラベルの配置位置との関係を学習した学習済みモデルを記憶する記憶手段と、
前記複数の図形のうち、各図形に配置されるラベルの配置位置を算出する対象となる、前記地図における対象範囲に含まれる図形の図形データを取得する取得手段と、
前記取得した図形データを、前記対象範囲に含まれる図形を複数の画素により描画する画像データに変換する変換手段と、
前記変換された画像データを前記学習済みモデルに入力することにより、前記対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する算出手段と、
前記算出した配置位置を含む配置情報を出力する出力手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
地図において地物を表す複数の図形ごとに、各図形を構成する頂点の座標を示す図形データ
を記憶し、さらに、複数の画素により図形を描画する学習用画像データと、前記学習用画像データが示す図形に対するラベルの配置位置との関係を学習した学習済みモデルを記憶するステップと、
前記複数の図形のうち、各図形に配置されるラベルの配置位置を算出する対象となる、前記地図における対象範囲に含まれる図形の図形データを取得するステップと、
前記取得した図形データを、前記対象範囲に含まれる図形を複数の画素により描画する画像データに変換するステップと、
前記変換された画像データを前記学習済みモデルに入力することにより、前記対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出するステップと、
前記算出した配置位置を含む配置情報を出力するステップと、
を含むことを特徴とするラベル配置算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル配置算出装置、プログラム及びラベル配置算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地図において、土地の地番や建造物の名称といった地物に関する情報を、地物を表す図形の内部又は近傍にラベルとして表示することがなされている。非特許文献1には、図形についてラベルの配置が可能な候補点を抽出し、抽出した候補点に対しあらかじめ設定された評価指標を適用することでスコアを算出し、算出したスコアが最も大きい候補点にラベルを配置するラベル配置手法が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Dorschlag, D., Petzold I., Plumer, L., "Placing Objects Automatically in Areas of Maps," Proc. 23rd International Cartographic Conference, p. 269-275, 2003.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1の手法においては、あらかじめ評価指標を設定することが求められる。そこで、非特許文献1の手法によらずに、地図において地物を表す図形に対して、図形の形状に応じた適切なラベルの配置を算出することが求められている。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、地図において地物を表す図形に対して、図形の形状に応じた適切なラベルの配置を算出することを可能とするラベル配置算出装置、プログラム及びラベル配置算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るラベル配置算出装置は、地図において地物を表す複数の図形ごとに、各図形を構成する頂点の座標を示す図形データを記憶する記憶手段と、複数の図形のうち、各図形に配置されるラベルの配置位置を算出する対象となる、地図における対象範囲に含まれる図形の図形データを取得する取得手段と、取得した図形データを、対象範囲に含まれる図形を複数の画素により描画する画像データに変換する変換手段と、画像データが示す図形の形状に基づいて、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する算出手段と、算出した配置位置を含む配置情報を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るラベル配置算出装置は、複数の画素により図形を描画する学習用画像データと、学習用画像データが示す図形に対するラベルの配置位置との関係を学習した学習済みモデルを記憶する記憶手段をさらに有し、算出手段は、変換された画像データを学習済みモデルに入力することにより、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する、ことが好ましい。
【0008】
また、本発明に係るラベル配置算出装置において、取得手段は、各図形に配置されるラベルの大きさをさらに取得し、算出手段は、算出されたラベルの配置位置に取得した大きさのラベルを配置可能であるか否かを判定し、出力手段は、ラベルを配置可能であると判定されたラベルの配置位置を含む配置情報を出力する、ことが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るラベル配置算出装置において、変換手段は、対象範囲に含まれる図形のうち、変換がされた場合に形状が変化する図形を特定し、取得した図形データを、特定された図形が含まれないように、又は、特定された図形に他の図形とは異なる色が付されるように、画像データに変換する、ことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るラベル配置算出装置は、配置されるラベルの大きさに応じた色が付された図形を複数の画素により描画する学習用画像データと、学習用画像データに含まれる図形に対する、各図形の色に応じた大きさのラベルの配置位置との関係を学習した学習済みモデルを記憶する記憶手段をさらに有し、取得手段は、対象範囲に含まれる図形に配置されるラベルの大きさをさらに取得し、変換手段は、取得した図形データを、対象範囲に含まれる図形に配置されるラベルの大きさに応じた色が各図形に付されるように画像データに変換し、算出手段は、学習済みモデルに生成した画像データを入力することにより、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する、ことが好ましい。
【0011】
本発明に係るプログラムは、コンピュータのプログラムであって、コンピュータを、地図において地物を表す複数の図形ごとに、各図形を構成する頂点の座標を示す図形データを記憶する記憶手段と、複数の図形のうち、各図形に配置されるラベルの配置位置を算出する対象となる、地図における対象範囲に含まれる図形の図形データを取得する取得手段と、取得した図形データを、対象範囲に含まれる図形を複数の画素により描画する画像データに変換する変換手段と、画像データが示す図形の形状に基づいて、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する算出手段と、算出した配置位置を含む配置情報を出力する出力手段と、として機能させることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るラベル配置算出方法は、地図において地物を表す複数の図形ごとに、各図形を構成する頂点の座標を示す図形データを記憶するステップと、複数の図形のうち、各図形に配置されるラベルの配置位置を算出する対象となる、地図における対象範囲に含まれる図形の図形データを取得するステップと、取得した図形データを、対象範囲に含まれる図形を複数の画素により描画する画像データに変換するステップと、画像データが示す図形の形状に基づいて、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出するステップと、算出した配置位置を含む配置情報を出力するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るラベル配置算出装置、プログラム及びラベル配置算出方法は、地図において地物を表す図形に対して、図形の形状に応じた適切なラベルの配置を算出することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ラベル配置算出装置1の概要を説明するための模式図である。
【
図2】ラベル配置算出装置1の概略構成の一例を示す図である。
【
図3】対象図形テーブルT1のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】変換手段152の処理について説明するための模式図である。
【
図5】変換手段152の処理について説明するための模式図である。
【
図7】出力データT3のデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】候補位置データT4のデータ構造の一例を示す図である。
【
図9】学習用ラベル配置について説明するための模式図である。
【
図10】ラベル配置算出処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図13】学習用ラベル配置について説明するための模式図である。
【
図14】ラベル配置算出処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図15】出力データT5のデータ構造の一例を示す図である。
【
図16】候補位置データT6のデータ構造の一例を示す図である。
【
図17】学習用ラベル配置について説明するための模式図である。
【
図18】ラベル配置算出処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図19】学習用ラベル配置について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はかかる実施形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るラベル配置算出装置1の概要を説明するための模式図である。ラベル配置算出装置1は、地図において地物を表す複数の図形に対するラベルの配置位置を算出する。複数の図形のそれぞれは、閉領域であり、例えば多角形領域(ポリゴン)である。ラベルは、例えば土地の地番を示す文字情報であるが、このような例に限られず、建造物の名称又は地物に関する説明等の、地物を表す図形に対応付けられた任意の情報であってよい。ラベル配置算出装置1は、地物を表す図形の内部において、ラベルの中心位置を示すラベル配置位置を特定することにより、ラベルの配置位置を算出する。ラベル配置算出装置1は、PC(Personal Computer)、サーバ、タブレット端末又はスマートフォン等の情報処理装置である。
【0017】
ラベル配置算出装置1は、地
図100において地物を表す複数の図形のうち、ラベルの配置位置を算出する対象となる対象範囲110に含まれる図形を示す図形データを取得する。図形データは、図形を構成する複数の頂点の座標を示すベクタ形式のデータである。
【0018】
ラベル配置算出装置1は、取得した図形データを画像データに変換し、変換した画像データに基づいて、対象範囲110に含まれる図形に対するラベル120の配置位置を算出する。画像データは、対象範囲110に含まれる図形を複数の画素により描画するラスタ形式のデータである。ラベル配置算出装置1は、複数の画素により図形を描画する学習用画像データと、学習用データに含まれる図形に対するラベルの配置位置との関係を学習した学習済みモデルに画像データを入力することにより、ラベル120の配置位置を算出する。ラベル配置算出装置1は、複数の図形のそれぞれについて、ラベル120の中心位置となる候補位置を特定することにより、複数の図形に対するラベル120の配置位置を算出する。
【0019】
図2は、ラベル配置算出装置1の概略構成の一例を示す図である。ラベル配置算出装置1は、記憶部11、通信部12、表示部13、操作部14及び処理部15を有する。記憶部11は、記憶手段の一例である。
【0020】
記憶部11は、データ及びプログラムを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部11は、処理部15による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。プログラムは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピュータ読み取り可能且つ非一時的な可搬型記憶媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部11にインストールされる。なお、記憶部11は、記憶手段の一例である。
【0021】
記憶部11は、地図において地物を表す複数の図形の頂点の座標を示す図形データ、及び、各図形に配置されるラベルに関する情報をデータとして記憶する。
【0022】
通信部12は、ラベル配置算出装置1を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部12が備える通信インタフェース回路は、有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等の通信インタフェース回路である。通信部12は、データを他の装置から受信し、処理部15に供給するとともに、処理部15から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0023】
表示部13は、画像を表示するための構成であり、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイを備える。表示部13は、処理部15から供給された表示データに基づいて画像を表示する。
【0024】
操作部14は、ラベル配置算出装置1に対するユーザの入力操作を受付けるための構成であり、例えば、キーパッド、キーボード又はマウスを備える。操作部14は、表示部13と一体化されたタッチパネルを備えてもよい。操作部14は、ユーザの入力操作に応じた信号を生成して処理部15に供給する。
【0025】
処理部15は、ラベル配置算出装置1の動作を統括的に制御するデバイスであり、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。処理部15は、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等でもよい。処理部15は、記憶部11に記憶されているプログラム並びに通信部12及び操作部14からの入力に基づいてラベル配置算出装置1の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0026】
処理部15は、取得手段151、変換手段152、算出手段153、出力手段154及び学習手段155をその機能ブロックとして備える。これらの各部は、処理部15によって実行されるプログラムによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとしてラベル配置算出装置1に実装されてもよい。
【0027】
取得手段151は、地図において地物を表す複数の図形のうち、ラベルの配置を算出する対象となる対象範囲に含まれる図形を示す図形データを取得する。また、取得手段151は、対象範囲に含まれる図形に配置されるラベルに含まれる文字情報及びラベルの大きさを取得する。図形データは、地図において地物を表す図形を示すために用いられるデータであり、例えば、ベクタ形式のデータである。
【0028】
取得手段151は、あらかじめ利用者によって設定され、記憶部11に記憶された対象範囲を取得する。取得手段151は、利用者の操作部14に対する対象範囲の入力操作を受付けることによって、対象範囲を取得してもよい。
【0029】
取得手段151は、記憶部11に記憶された図形データを参照し、図形を構成する複数の頂点のうちの少なくとも一つの頂点が、取得した対象範囲に含まれる図形を、取得した対象範囲に含まれる図形として特定する。取得手段151は、特定した図形を示す図形データと、特定した図形に配置されるラベルに関する情報とを取得し、対象図形テーブルT1として記憶部11に記憶する。
【0030】
図3は、記憶部11に記憶される対象図形テーブルT1のデータ構造の一例を示す図である。対象図形テーブルT1は、図形ID、頂点情報、ラベルに含まれる文字情報及びラベルの大きさを相互に関連付けて記憶する。図形IDは、それぞれの図形を一意に識別する識別情報である。頂点情報はそれぞれの図形を構成する複数の頂点の座標及び頂点の隣接関係を含む情報である。
図3に示す例では、頂点情報は、頂点の座標を順に結んだときに図形が描画されるように、頂点が隣接する順番に配列されて記憶される。頂点の座標は、例えば緯度及び経度によって表される。頂点の座標は他の任意の座標系を用いて表されてもよい。ラベルの大きさは、ラベルの幅及び高さ等のラベルの大きさを特定する情報であり、
図3に示す例では、ラベルの幅に対応する文字数である。なお、以降ではラベルの高さは一定であるものとして説明するが、ラベルの高さがラベルごとに異なってもよい。
【0031】
変換手段152は、取得した図形データを画像データに変換する。その際、変換手段152は、取得した図形データを、変換がされた場合に形状が変化する図形(以下、変換で変形する図形と称する)が含まれないように画像データに変換する。
【0032】
そのために、変換手段152は、変換後の画像データの画像サイズを取得する。画像サイズは、画像データの横方向の画素数と縦方向の画素数との組合せにより表される。変換手段152は、あらかじめ利用者によって設定され、記憶部11に記憶された画像サイズを取得する。変換手段152は、利用者の操作部14に対する画像サイズの入力操作を受付けることによって、画像サイズを取得してもよい。
【0033】
また、変換手段152は、対象範囲に含まれる図形のうち、変換で変形する図形を特定する。変換で変形する図形は、
図4に例示するような、一部のみが対象範囲に含まれる図形(以下、はみだし図形)、及び、
図5に例示するような、図形を構成する辺のうち相互に対向する二つの辺の間隔が所定の下限値以下となる図形(以下、狭部を有する図形)である。なお、相互に対向する二つの辺とは、図形を構成する辺のうち、端点を共有しない二つの辺をいう。
【0034】
例えば
図4のように、地
図410において対象範囲411が設定された場合、矩形412の頂点413a及び413bは対象範囲411に含まれ、頂点413c及び413dは対象範囲411に含まれない。そのため、変換がされた場合に、矩形412は台形421に変化する。したがって、変換手段152は、一部の頂点のみが対象範囲411に含まれる矩形412を、変換で変形する図形として特定する。
【0035】
また、例えば
図5に示す図形510が対象範囲に包含されていたとする。図形510は、二つの矩形領域511及び512並びに矩形領域511及び512を接続する接続部513から形成される。接続部513は、相互に対向する二つの辺E1及びE2を有し、辺E1及び辺E2は下限値以下の間隔Wだけ離隔されているとした場合、接続部513付近の変換結果となる画像データ520において、辺E1及びE2は端点Vにおいて相互に接続する辺として描画される。すなわち、変換がされた場合に、図形510は矩形領域512と、矩形領域511及び接続部513からなる領域とに分割されるため、形状が変化する。したがって、変換手段152は、辺E1及びE2の間隔Wが下限値以下である図形510を、変換で変形する図形として特定する。
【0036】
この下限値は、画像データの分解能と、画像データにおける図形の辺の幅に基づく値である。変換手段152は、対象範囲の一辺の長さを、画像データのかかる辺に沿った方向の画素数で除すことにより、一画素が地図上のどの程度の長さに相当するかを示す、画像データの分解能を算出する。変換手段152は、あらかじめ設定された、図形の各辺の幅に対応する画素数に分解能を乗じた値を下限値として設定する。
図5の例では、図形の各辺の幅は2画素であり、分解能を0.1m/画素とするとWは0.2m以下である。
【0037】
このように、変換手段152は、狭部を有する図形を、変換で変形する図形として特定する。このとき、変換手段152は、例えば、相互に隣接しない二つの頂点であって下限値以下の距離で近接する二つの頂点を有する図形を、狭部を有する図形であると特定できる。また、変換手段152は、自身に属さない頂点と下限値以下の距離で近接する辺を有する図形を、狭部を有する図形であると特定してもよい。
【0038】
また、変換手段152は、変換で変形する図形のうち、形状の変化の度合いが大きい図形のみを特定してもよい。形状の変化の度合いが大きい図形とは、例えば、
図4に示すようなはみだし図形において、対象範囲に含まれる領域の面積の、図形全体の面積に対する比率が所定値以下である図形をいう。また、形状の変化の度合いが大きい図形とは、例えば、
図5に示すような狭部を有する図形において、分割される図形の小さい方の面積の、大きい方の面積に対する比率が所定値以下である図形をいう。
【0039】
変換手段152は、図形データを、特定された図形が含まれないように、画像データに変換する。変換手段152は、対象図形テーブルT1から、特定された図形以外の図形を抽出する。変換手段152は、対象範囲における、抽出した図形の頂点の位置と取得した分解能とに基づいて、画像データにおいて、抽出した図形の各頂点に対応する画像上の位置を特定する。変換手段152は、頂点として特定した各画素の間にあらかじめ設定された画素数の幅を有する辺を描画することにより、画像データT2を生成し、記憶部11に記憶する。なお、図形データを画像データに変換する方法は、上述した方法に限られない。例えば、変換手段152は、あらかじめ記憶部11に記憶された地図アプリケーションプログラム等の他の公知のプログラムを実行することにより図形データを画像データに変換してもよい。
【0040】
図6は、
図4で例示した対象範囲411について、変換手段152によって生成される画像データT2によって示される画像700の一例を示す図である。画像700は、変換で変形する図形が除かれて、3つの図形701のみを示す。
【0041】
算出手段153は、変換手段152が生成した画像データに基づいて、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する。算出手段153は、生成した画像データを記憶部11に記憶された学習済みモデルに入力することにより、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出し、学習済みモデルから出力された出力データT3を記憶部11に記憶させる。
【0042】
学習済みモデルは、後述する学習手段155によって、学習用画像データと、学習用画像データに含まれる図形に対するラベルの配置位置との関係を学習した学習モデルである。学習モデルは、例えば人体の複数の関節位置を検出することにより姿勢推定を行う、Newell, A., Yang, K., Deng., J., "Stacked Hourglass Networks for Human Pose Estimation,” arXiv: 1603.06937, 2016に記載されたStacked Hourglass Networksを転用できる。学習モデルは、PoseNet、PersonLab等の任意のキーポイント検出モデルを転用したものであってもよい。
【0043】
図7は、出力データT3のデータ構造の一例を示す図である。出力データT3は、画素を特定する画素情報に、確信度を関連付けた二次元ヒートマップデータである。確信度は、それぞれの画素の位置がラベルの中心位置となる蓋然性を示す値であり、値が大きいほど対応する画素がラベルの中心位置となる蓋然性が高いことを示す。
【0044】
算出手段153は、出力データT3に基づいて、ラベルの中心位置となる候補位置を特定する。例えば、算出手段153は、出力データT3に基づいて、確信度が所定値以上であり且つ極大値をとる位置を候補位置として特定する。極大値をとる位置は、最小二乗法を用いて出力データT3に二次元ガウシアン関数をフィッティングして複数の画素の中間位置における確信度を補間することにより決定される、確信度が極大となる位置である。候補位置は、何れかの画素の位置と同一であってもよく、複数の画素の中間位置でもよい。また、補間の方法は上述した例に限られず、他の関数によるフィッティングや線形補間等の方法が用いられてもよい。
【0045】
算出手段153は、画像データが示す複数の図形と候補位置とを対応付ける。算出手段153は、交差数判定等の内外判定技術を用いて、候補画素が複数の図形のうちの何れの図形の内部に位置するかを特定する。算出手段153は、複数の図形のそれぞれの内部の候補位置の数を算出する。
【0046】
図形の内部の候補位置が一つである場合、算出手段153は、図形に候補位置を関連付けて、候補位置データT4として記憶部11に記憶させる。図形の内部の候補位置が複数である場合、算出手段153は、複数の候補位置のうちから所定の条件を満たす一つの候補位置を特定し、特定した候補位置を図形に関連付けて候補位置データT4として記憶部11に記憶させる。すなわち、所定の条件を満たさない候補位置は、候補位置データT4に記憶されない。
【0047】
所定の条件は、候補位置にラベルを配置可能であることである。この場合、算出手段153は、候補位置にラベルを配置可能であるか否かを判定する。算出手段153は、対象図形テーブルT1を参照し、候補位置に関連付けられた図形のラベルの大きさを取得する。算出手段153は、候補位置を中心とし、取得したラベルの大きさに応じた矩形領域を設定する。算出手段153は、設定した矩形領域が、対応する図形に包含されるか否かを判定することにより、ラベルを配置可能であるか否かを判定する。
【0048】
所定の条件は、出力データT3に示される候補位置の確信度が最も高いことでもよい。所定の条件は、候補位置と図形の頂点との距離が最も小さいことでもよい。所定の条件は、上述した複数の条件の組合せでもよい。例えば、所定の条件は、ラベルを配置可能な候補位置のうち、確信度が最も高いことでもよい。
【0049】
図8は、算出手段153によって記憶部11に記憶される候補位置データT4のデータ構造の一例を示す図である。候補位置データT4は、複数の図形のそれぞれを識別する図形IDに、対応する候補位置が関連付けられたデータである。候補位置は、図形データにおける位置(例えば、緯度及び経度によって表される位置)でもよく、画像データにおける位置でもよい。なお、内部に候補位置が位置しなかった図形の図形IDには、候補位置は関連付けられない。
図8に示す例では、「0003」の図形IDには、候補位置が関連付けられていない。
【0050】
出力手段154は、算出されたラベルの配置位置を含む配置情報を出力する。出力手段154は、候補位置データT4に関する情報を配置情報として出力する。例えば、出力手段154は、対象図形テーブルT1を参照して、各図形に配置されるラベルの文字情報を取得する。出力手段154は、候補位置データT4を参照して、各図形に対応する候補位置を取得する。出力手段154は、各図形を含む画像データ上に、文字情報を含むラベルを各図形の候補位置が中心となるように配置したラベル表示データを配置情報として生成し、表示部14に表示することにより出力する。
【0051】
出力手段154は、通信部12を介して候補位置データT4を配置情報として他の装置に送信することにより出力してもよい。出力手段154は、変換手段152によって生成された画像データにおいて候補位置を異なる態様で表示した候補位置表示データを配置情報として生成し、表示部13に表示し、又は通信部12を介して他の装置に送信することにより出力してもよい。
【0052】
学習手段155は、複数の画素により図形を描画する学習用画像データと、学習用画像データに含まれる図形に対するラベルの配置位置を示す学習用ラベル配置との関係を学習モデルに学習させ、学習済みモデルを生成する。学習用画像データは、画像データと同様のラスタ形式のデータである。すなわち、学習用画像データは、はみだし図形、及び、狭部を有する図形が含まれない画像データである。学習用ラベル配置は、学習用画像データに含まれる図形に対するラベルの配置位置を示すデータである。
【0053】
図9は、学習用ラベル配置について説明するための模式図である。
図9においては、学習用画像データ1000に含まれる図形のうち、変換によって変形していない図形1001に対して、地図作成者によって適切に一つずつラベル1002(
図9では矩形にて図示)が配置されている。学習用ラベル配置は、ラベルの配置位置に相当する、ラベル1002の中心位置1003の確信度が極大となるような二次元ガウシアン型の分布の確信度を有する二次元ヒートマップデータである。なお、確信度分布の形状は二次元ガウシアン型に限られず、任意の形状でよい。
【0054】
学習手段155は、学習モデルに学習用画像データを入力し、学習モデルから出力された各画素の確信度と、学習用ラベル配置が示す各画素の確信度との誤差を算出する。誤差は、例えば平均二乗誤差である。学習手段155は、誤差逆伝搬法等の手法を用いて、ニューラルネットワークである学習モデルの各ノードのパラメータを、誤差が小さくなるように更新することにより学習モデルに学習させて、学習済みモデルを生成する。学習手段155は、生成した学習済みモデルを記憶部11に記憶する。
【0055】
図10は、ラベル配置算出装置1によって実行されるラベル配置算出処理の流れの一例を示すフロー図である。ラベル配置算出処理は、記憶部11に記憶されたプログラムに基づいて、処理部15がラベル配置算出装置1の各構成と協働することにより実現される。
【0056】
まず、取得手段151は、地図において地物を表す複数の図形のうち、ラベルの配置位置を算出する対象となる対象範囲に含まれる図形の図形データを取得する(S101)。
【0057】
続いて、変換手段152は、対象範囲に含まれる図形のうち、変換で変形する図形を特定する(S102)。変換手段152は、はみだし図形及び狭部を有する図形を、変換で変形する図形として特定する。
【0058】
続いて、変換手段152は、取得した図形データを、対象範囲に含まれる図形を複数の画素により描画する画像データに変換する(S103)。変換された画像データは、S102において特定された図形を含まない。
【0059】
続いて、算出手段153は、画像データが示す図形の形状に基づいて、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する(S104)。算出手段153は、記憶部11に記憶された学習済みモデルに、S103にて変換された画像データを入力することにより、ラベルの配置位置を算出する。
【0060】
続いて、出力手段154は、算出したラベルの配置位置を含む配置情報を出力し(S105)、ラベル配置算出処理を終了する。
【0061】
なお、ラベル配置算出処理において、S102は実行されなくてもよい。この場合、S103において、変換手段152は対象領域に含まれる全ての図形を含む画像データを生成する。
【0062】
以上説明したように、ラベル配置算出装置1は、複数の画素により図形を描画する学習用画像データと、学習用画像データに含まれる図形に対するラベルの配置位置との関係を学習した学習済みモデルを記憶する。また、ラベル配置算出装置1は、地図において地物を表す複数の図形のうち、ラベルの配置を算出する対象となる対象範囲に含まれる図形の図形データを取得する。また、ラベル配置算出装置1は、取得した図形データを、対象範囲に含まれる図形を複数の画素により描画する画像データに変換する。また、ラベル配置算出装置1は、画像データを学習済みモデルに入力することにより、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する。これにより、ラベル配置算出装置1は、地図において地物を表す図形に対して、図形の形状に応じた適切なラベルの配置を算出することを可能とする。
【0063】
すなわち、ラベル配置算出装置1は、ラベルの配置を算出するために学習済みモデルを用いることにより、種々の条件を考慮したラベルの配置を、評価指標を設定することなく再現することができる。また、従来、ベクタ形式の図形データはニューラルネットワークである学習済みモデルの入力として適していなかった。これに対し、ラベル配置算出装置1は、図形データをラスタ形式の画像データに変換することにより、ラベルの配置位置を算出するために学習済みモデルを利用することを可能とし、適切なラベルの配置位置を算出することを可能とする。
【0064】
また、ラベル配置算出装置1は、対象範囲に含まれる図形のうち、変換で変形する図形を特定し、図形データを、特定された図形が含まれないように画像データに変換する。これにより、形状が変化した図形に基づくラベルの配置が算出されなくなるため、ラベル配置算出装置1は、より適切なラベルの配置を算出することを可能とする。
【0065】
すなわち、ラベルの配置位置は図形の全体の形状を考慮して決定されるものであるから、変化した形状に基づいてラベルの配置位置を算出したとしても、それは変形前の図形に対して適切なラベルの配置位置ではない場合がある。したがって、変換で変形する図形に対してラベルの配置位置を算出する必要性は小さい。そして、画像データに変形した図形が含まれる場合、それらの図形に対応する不要な候補位置が特定されるため、適切な候補位置が特定されなくなる可能性がある。ラベル配置算出装置1は、図形データを、変換で変形する図形が含まれないように画像データに変換することにより、不要な候補位置が特定される可能性を低減し、より適切なラベルの配置位置を算出する。
【0066】
上述した説明では、変換手段152は、変換で変形する図形を含まない画像データを生成するものとしたが、このような例に限られない。例えば、変換手段152は、図形データを、変換で変形する図形に他の図形の色とは異なる色が付されるように、画像データに変換してもよい。
【0067】
図11は、変換で変形する図形に、他の図形とは異なる色が付された画像1100の一例を示す図である。画像1100は、はみだし図形1101、狭部を有する図形1102及び他の図形1103を示す。
【0068】
はみだし図形1101及び狭部を有する図形1102には、他の図形1103の色とは異なる色(
図11では網掛けにて図示)が付されている。
【0069】
この場合、学習用画像データとして、はみだし図形、及び、狭部を有する図形に、他の図形の色とは異なる色が付されたデータが用いられる。また、学習用ラベル配置におけるラベル配置位置は、異なる色が付された図形の内部には設定されず、他の図形の内部に一つずつ設定される。
【0070】
このようにすることで、ラベル配置算出装置1は、より適切なラベルの配置を算出することを可能とする。すなわち、学習用画像データにおいて変換で変形する図形に他の図形とは異なる色が付され、学習用ラベル配置において、異なる色が付された図形の内部にはラベル配置位置が設定されない。このような学習用画像データと学習用ラベル配置との関係を学習された学習済みモデルを用いることにより、算出手段153は、異なる色が付された図形に対して候補位置を特定しなくなる。すなわち、ラベル配置算出装置1は、変換で変形する図形が削除された画像データを生成することにより、不要な候補位置が特定される可能性を低減し、より適切なラベルの配置位置を算出する。
【0071】
上述した説明では、ラベル配置位置はラベルの中心位置を示すものとしたが、このような例に限られない。ラベル配置位置は、ラベルの左上位置又は右下位置等の、ラベルの中心位置とは異なる任意の位置を示すものでもよい。
【0072】
上述した説明では、ラベル配置算出装置1は学習手段155を有するものとしたが、ラベル配置算出装置1は学習手段155を有しなくてもよい。この場合、ラベル配置算出装置1は、通信部12を介して他の装置から学習済みモデルを受信する。
【0073】
上述した説明では、ラベル配置算出装置1において、算出手段153は学習済みモデルを用いてラベルの配置位置を算出するものとしたが、このような例に限られない。算出手段153はラスタ形式の画像データに適用可能な他の画像認識技術を用いてラベルの配置位置を算出してもよい。例えば、算出手段153は公知のエッジ検出方法を用いて図形の辺にあたる画素を特定し、特定した辺にあたる画素に対して所定の位置関係にある候補位置を特定することにより、ラベルの配置位置を算出してもよい。
【0074】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るラベル配置算出装置1aは、図形データを図形に配置されるラベルの大きさに応じた色が各図形に付されるように画像データに変換する点で、第1の実施形態に係るラベル配置算出装置1と相違する。
【0075】
ラベル配置算出装置1aの概略構成の一例を説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。ラベル配置算出装置1aの処理部15は、取得手段151、変換手段152a、算出手段153、出力手段154及び学習手段155aをその機能ブロックとして備える。
【0076】
変換手段152aは、取得した対象範囲に含まれる図形データを、図形に配置されるラベルの大きさに応じた色が各図形に付されるように画像データに変換する。なお、変換手段152aは、変換で変形する図形を特定し、特定した図形についてはラベルの大きさに応じた色として用いない色が付されるように画像データに変換する。
【0077】
図12は、変換手段152aによって変換された画像データによって示される画像1400の一例を示す図である。画像1400は、ラベル「1-5」が配置される図形1401、ラベル「1-6」が配置される図形1402及びラベル「1-11」が配置される図形1403を含む(
図1参照)。図形1401及び1402のラベルの大きさは、いずれも「3文字」であるから、図形1401及び1402には同一の色が付されている。図形1403のラベルの大きさは「4文字」であるから、図形1403には図形1401及び1402とは異なる色(
図12では異なる方向の網掛けで図示)が付されている。
【0078】
ラベルの大きさに応じた色は、ラベルの大きさに応じて連続的に変化する色である。例えば、図形に付される色は、ラベルの大きさが大きくなるほど明度が大きくなるように設定される。図形に付される色は、ラベルの大きさが小さい場合に青色に設定され、ラベルの大きさが大きくなるほど色相が徐々に赤色に変化するように設定されてもよい。また例えば変換で変形する図形にはラベル配置対象外を表す黒色を付す。
【0079】
学習手段155aは、配置されるラベルの大きさに応じた色が付された図形を含む学習用画像データと、学習用画像データに含まれる図形に対するラベルの配置位置を示す学習用ラベル配置との関係を学習モデルに学習させ、学習済みモデルを生成する。学習用画像データに含まれる図形に付される色は、画像データに含まれる図形に付される色と同様の、ラベルの大きさに応じて連続的に変化する色及びラベル配置対象外を表す色である。学習手段155aは、生成した学習済みモデルを記憶部11に記憶させる。
【0080】
図13は、学習用ラベル配置について説明するための模式図である。
図13においては、学習用画像データ1500に含まれる図形のうち、変換で変形しない図形1501a~1501cに対して、地図作成者によって適切に一つずつラベル1502a~1502cが配置されている。ラベル1502a~1502cは、それぞれ異なる大きさを有し、それぞれの大きさを考慮して、ラベルが図形の内部に収まるように配置されている。学習用ラベル配置は、ラベル配置位置に相当する、ラベル1502a~1502cの中心位置1503a~1503cの確信度が極大となるような、複数の二次元ガウシアン型の和の分布の確信度を有する二次元ヒートマップデータである。
【0081】
図14は、ラベル配置算出装置1aによって実行されるラベル配置算出処理の流れの一例を示すフロー図である。ラベル配置算出処理は、学習手段155aによって生成された学習済みモデルが記憶部11に記憶された状態で実行される。ラベル配置算出処理は、記憶部11に記憶されたプログラムに基づいて、処理部15がラベル配置算出装置1aの各構成と協働することにより実現される。
【0082】
まず、取得手段151は、地図において地物を表す複数の図形のうち、ラベルの配置位置を算出する対象となる対象範囲に含まれる図形を示す図形データと、対象範囲に含まれる図形に配置されるラベルの大きさとを取得する(S201)。
【0083】
続いて、変換手段152aは、取得された図形データを、変換で変形する図形には黒色が付され、それ以外の図形には当該図形に配置されるラベルの大きさに応じた色が各図形に付されるように、画像データに変換する(S202)。
【0084】
続いて、算出手段153は、画像データが示す図形の形状に基づいて、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する(S203)。算出手段153は、記憶部11に記憶されている学習済みモデルに、変換された画像データを入力することにより、ラベルの配置位置を算出する。
【0085】
続いて、出力手段154は、算出したラベルの配置位置を含む配置情報を出力し(S204)、ラベル配置算出処理を終了する。
【0086】
以上説明したように、ラベル配置算出装置1aは、配置されるラベルの大きさに応じた色が付された図形を複数の画素により描画する学習用画像データと、学習用画像データに含まれる図形に対する、各図形の色に応じた大きさのラベルの配置位置との関係を学習した学習済みモデルを記憶する。また、ラベル配置算出装置1aは、地図において地物を表す複数の図形のうち、ラベルの配置位置を算出する対象となる対象範囲に含まれる図形を示す図形データと、対象範囲に含まれる図形に配置されるラベルの大きさとを取得する。また、ラベル配置算出装置1aは、図形データを、対象範囲に含まれる図形に配置されるラベルの大きさに応じた色が付された各図形に付されるように、画像データに変換する。また、ラベル配置算出装置1aは、画像データを学習済みモデルに入力することにより、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置を算出する。これにより、ラベル配置算出装置1は、地図において地物を表す図形に対して、図形の形状及び配置されるラベルの大きさに応じた適切なラベルの配置位置を算出することを可能とする。
【0087】
すなわち、学習用画像データに含まれる図形には、配置されるラベルの大きさに応じた色が付される。また、学習用ラベル配置は、各図形に配置されるラベルの大きさを考慮して、ラベルが図形の内部に収まるように配置されることによって生成される。したがって、学習済みモデルは、図形に付された色と、図形に配置されるラベルの大きさを考慮したラベルの配置位置との関係を学習する。ラベル配置算出装置1aは、かかる学習済みモデルを用いてラベルの配置位置を算出することにより、図形の形状に加えて、配置されるラベルの大きさが考慮された適切なラベルの配置位置を算出することを可能とする。
【0088】
また、画像データ及び学習用画像データにおいて図形に付される色は、ラベルの大きさに応じて連続的に変化する色である。これにより、学習済みモデルは、全ての色についてラベルの配置位置を学習しなくても、ラベルの大きさに応じた適切なラベルの配置位置を算出することが可能となり、学習効率が向上する。
【0089】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るラベル配置算出装置1bは、以下の点で第1、第2の実施形態に係るラベル配置算出装置1、1aと相違する。すなわち、ラベル配置算出装置1bは、ラベルの配置位置に加えて配置方向を算出する。配置方向とは、ラベルが所定の方向(例えば、水平方向)に対してどの程度傾いて配置されるかを示す情報である。ラベル配置算出装置1bは、ラベルの左上位置と右上位置とを算出することにより、ラベルの配置位置及び配置方向を算出する。
【0090】
ラベル配置算出装置1bの概略構成の一例を説明する。なお、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。ラベル配置算出装置1bの処理部15は、取得手段151、変換手段152a、算出手段153b、出力手段154及び学習手段155bをその機能ブロックとして備える。
【0091】
算出手段153bは、画像データに基づいて、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置及び配置方向を算出する。算出手段153bは、後述する学習手段155bが学習モデルを学習させることによって生成され、記憶部11に記憶された学習済みモデルに変換手段152aが生成した画像データを入力し、学習済みモデルから出力された出力データT5を記憶部11に記憶する。
【0092】
学習モデルは、例えば、Newell, A., Huang, Z., Deng, J., "Associative Embedding: End-to-End Learning for Joint Detection and Grouping," NIPS 2017, 2017に記載された、Associate Embeddingを適用したStacked Hourglass Networksを転用できる。学習モデルは、キーポイント検出及び検出されたキーポイントのグルーピングが可能な他のモデルでもよい。他のモデルとしては、例えば、人物領域の検出と、検出された人物領域における関節位置の検出とを順次に行うことにより、一の画像に含まれる複数の人物の姿勢推定を行う2段階(Two-Stage)型のモデル等を転用することができる。
【0093】
図15は、算出手段153bによって記憶部11に記憶される出力データT5のデータ構造の一例を示す図である。出力データT5は、画素情報に、第1確信度、第1タグ、第2確信度及び第2タグが関連付けられた4チャネルの二次元ヒートマップデータである。第1確信度はそれぞれの画素の位置がラベルの左上位置となる蓋然性を示す。第2確信度はそれぞれの画素の位置がラベルの右上位置となる蓋然性を示す。第1タグ及び第2タグは、後述するように、それぞれの画素の位置のグループを決定するために用いられる。
【0094】
算出手段153bは、出力データT5に基づいて、ラベルの左上位置となる第1候補位置と、ラベルの右上位置となる第2候補位置を特定する。例えば、算出手段153bは、出力データT5において、第1確信度が所定値以上であり且つ極大値をとる位置を第1候補位置として特定する。また、算出手段153bは、出力データT5において、第2確信度が所定値以上であり且つ極大値をとる画素を第2候補位置として特定する。算出手段153bは、第1候補位置に対応する第1タグの値と、第2候補位置に対応する第2タグの値との差が所定値以下である場合、第1候補位置及び第2候補位置を同一のグループに属するものとして設定する。
【0095】
図15の例では、(X1,Y1)の画素及び(X3,Y3)の画素は、第1確信度が所定値以上であり且つ極大値をとる画素であるため、これらの画素の位置は第1候補位置として特定される。また、(X2,Y2)の画素及び(X4,Y4)の画素は、第2確信度が所定値以上であり且つ極大値をとる画素であるため、これらの画素の位置は第2候補位置として特定される。そして、(X1,Y1)の画素の第1タグの値と、(X2,Y2)の画素の第2タグの値との差が所定値以下であるため、算出手段153bは、(X1,Y1)の画素の位置と(X2,Y2)の画素の位置とを同一のグループに属するものとして設定する。同様に、算出手段153bは、(X3,Y3)の画素の位置と(X4,Y4)の画素の位置とを同一のグループに属するものとして設定する。
【0096】
なお、第1候補位置及び第2候補位置が同一のグループに属するとは、これらの位置がそれぞれ同一のラベルの左上位置と右上位置とを示すことをいう。
【0097】
算出手段153bは、図形と第1候補位置及び第2候補位置を関連付ける。例えば、算出手段153bは、図形の内部に位置する第1候補位置及び第2候補位置がそれぞれ一つであり、且つ、それらの第1候補位置及び第2候補位置が同一のグループに属する場合、図形と第1候補位置及び第2候補位置とを関連付けて、候補位置データT6として記憶部11に記憶する。なお、算出手段153bは、同一のグループに属する第1候補位置と第2候補位置との中点位置が図形の内部に位置する場合に、図形と第1候補位置及び第2候補位置とを関連付けて、候補位置データT6としてもよい。
【0098】
図形の内部に位置する、同一のグループに属する第1候補位置及び第2候補位置の組合せが複数である場合、算出手段153bは、複数の組合せのうちから所定の条件を満たす一つの組合せを特定する。算出手段153bは、図形に、特定した第1候補位置及び第2候補位置の組合せを関連付けて候補位置データT6を生成し、記憶部11に記憶する。
【0099】
図16は、算出手段153bによって記憶部11に記憶される候補位置データT6のデータ構造の一例を示す図である。候補位置データT6は、図形IDに、第1候補位置及び第2候補位置が関連付けられた、2チャネルの2次元ヒートマップデータである。第1候補位置はラベルの左上位置に相当する位置であり、第2候補位置はラベルの右上位置に相当する位置であるから、これらの位置が特定されることにより、ラベルの配置位置及び配置方向が一意に決定される。すなわち、算出手段153bは、候補位置データT6を生成することにより、ラベルの配置位置及び配置方向を算出する。
【0100】
学習手段155bは、配置されるラベルの大きさに応じた色が付された図形を含む学習用画像データと、学習用画像データに含まれる図形に対するラベルの配置位置及び配置方向を示す学習用ラベル配置との関係を学習モデルに学習させ、学習済みモデルを生成する。学習手段155bは、生成した学習済みモデルを記憶部11に記憶する。
【0101】
図17は、学習用ラベル配置について説明するための模式図である。
図17においては、学習用画像データ2000に含まれる図形2001a~2001cに対して、地図作成者によって適切に一つずつラベル2002a~2002cが配置されている。ラベル2002a~2002cは、それぞれ異なる大きさを有し、それぞれの大きさを考慮して、ラベルの全体が図形の内部に収まるように適切な配置位置及び配置方向で配置されている。
図17に示す例では、ラベル2002b及び2002cは、図形2001b及び2001cの左側の辺に沿うような配置位置及び配置方向で配置されている。他方、ラベル2002aは、図形2001aの左側の辺が短いため、図形2001aの上側の辺に沿うような配置位置及び配置方向で配置されている。
【0102】
学習用ラベル配置は各画素に第1確信度、第1タグ、第2確信度及び第2タグが関連付けられた4チャネルの二次元ヒートマップデータである。第1確信度は、第1ラベル配置位置に相当する、ラベル2002a~2002cの左上位置2003a~2003cにおいて極大となるような、複数の二次元ガウシアン型の和の分布を有する。第2確信度は、第2ラベル配置位置に相当する、ラベル2002a~2002cの右上位置2004a~2004cにおいて極大となるような、複数の二次元ガウシアン型の和の分布を有する。
【0103】
学習手段155bは、学習モデルに学習用画像データを入力した場合に出力されるヒートマップデータにおいて、同一のラベルの左上位置の第1タグの値と右上位置の第2タグの値との差が大きいほど大きい値を示す誤差(pull loss)を算出する。また、学習手段155bは、かかるヒートマップデータにおいて、異なるラベルの左上位置の第1タグ又は右上位置の第2タグの値の差が小さいほど大きい値を示す誤差(push loss)を算出する。学習手段155bは、これらの誤差に基づいて算出される誤差(grouping loss)が小さくなるように学習モデルのパラメータを更新することにより学習モデルを学習させる。こうして得られる学習済みモデルは、同一のラベルに属する第1タグと第2タグの値が同一の値になるような且つ異なるラベルに属する第1タグと第2タグの値が異なる値になるようなヒートマップデータを出力するものとなる。
【0104】
図18は、ラベル配置算出装置1bによって実行されるラベル配置算出処理の流れの一例を示すフロー図である。ラベル配置算出処理は、学習手段155bによって生成された学習済みモデルが記憶部11に記憶された状態で実行される。ラベル配置算出処理は、記憶部11に記憶されたプログラムに基づいて、処理部15がラベル配置算出装置1bの各構成と協働することにより実現される。
【0105】
まず、取得手段151は、地図において地物を表す複数の図形のうち、ラベルの配置位置を算出する対象となる対象範囲に含まれる図形を示す図形データと、対象範囲に含まれる図形に配置されるラベルの大きさとを取得する(S301)。
【0106】
続いて、変換手段152aは、図形データを対象範囲に含まれる図形に配置されるラベルの大きさに応じた色が各図形に付されるように画像データに変換する(S302)。
【0107】
続いて、算出手段153bは、生成した画像データが示す図形の形状に基づいて、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置及び配置方向を算出する(S303)。算出手段153は、配置されるラベルの大きさに応じた色が付された図形を複数の画素により描画する学習用画像データと、学習用画像データが示す図形に対するラベルの配置位置及び配置方向との関係を学習した学習済みモデルに変換された画像データを入力することにより、ラベルの配置位置及び配置方向を算出する。
【0108】
続いて、出力手段154は、算出したラベルの配置位置及び配置方向を含む配置情報を出力し(S304)、ラベル配置算出処理を終了する。出力手段154は、配置情報として候補位置データT6を出力する。出力手段154は、対象範囲に含まれる図形を示す画像データ上に、候補位置データT6に基づく配置位置及び配置方向でラベルを配置したラベル表示データを配置情報として生成し、出力してもよい。
【0109】
以上説明したように、ラベル配置算出装置1bは、配置されるラベルに応じた色が付された図形を複数の画素により描画する学習用画像データと、学習用画像データに含まれる図形に対するラベルの配置位置及び配置方向との関係を学習した学習済みモデルを記憶する。また、ラベル配置算出装置1bは、地図において地物を表す複数の図形のうち、ラベルの配置を算出する対象となる対象範囲に含まれる図形を示す図形データを取得する。また、ラベル配置算出装置1bは、図形データを、対象範囲に含まれる図形に配置されるラベルの大きさに応じた色が付された各図形に付されるように、画像データに変換する。また、ラベル配置算出装置1bは、画像データを学習済みモデルに入力することにより、対象範囲に含まれる図形に対するラベルの配置位置及び配置方向を算出する。これにより、ラベル配置算出装置1bは、地図において地物を表す図形に対して、図形の形状及び配置されるラベルの大きさに応じた適切なラベルの配置位置及び配置方向を算出することを可能とする。
【0110】
上述した説明では、ラベル配置算出装置1bは、ラベルの左上位置と右上位置とを算出するものとしたが、このような例に限られない。ラベル配置算出装置1bは、左上位置及び右上位置とは異なる、ラベル上の任意の2点の位置を算出してもよい。このようにしても、ラベルの大きさが既知である場合には、ラベルの配置位置及び配置方向が一意に特定される。
【0111】
また、ラベル配置算出装置1bは、ラベル上の互いに異なる3点の位置を算出してもよい。例えば、ラベル配置算出装置1bは、ラベルの左上位置と右上位置と左下位置とを算出してもよい。
【0112】
この場合、学習済みモデルは、各画素の位置がラベルの左上位置である蓋然性を示す第1確信度と、各画素の位置がラベルの右上位置である蓋然性を示す第2確信度と、各画素の位置がラベルの左下位置である蓋然性を示す第3確信度とを出力するとともに、各画素の位置が属するグループを示す第1タグ、第2タグ及び第3タグを出力する。また、学習用画像データ及び画像データに含まれる図形は、配置されるラベルの幅及び高さに応じた色が付される。例えば、画像データにおいて、各画素にRGB表色系からなる画素値が関連付けられている場合、Rの画素値をラベルの幅に応じて連続的に変化する値に設定し、Gの画素値をラベルの高さに応じて連続的に変化する値に設定する。このようにすることで、ラベル配置算出装置1bは、図形の形状並びに配置されるラベルの幅及び高さに応じた適切なラベルの配置位置及び配置方向を算出することを可能とする。なお、画像データは、1チャネルのグレイスケール画像又は3チャネルのカラー画像に限定されず、任意のチャネル数を有するデータでもよい。
【0113】
また、同様にして、ラベル配置算出装置1bは、ラベル上の互いに異なる4点以上の位置を算出してもよい。これにより、ラベルの配置位置及び配置方向が冗長性をもって特定されるため、より高精度に適切なラベルの配置が算出される。
【0114】
上述した説明では、ラベル配置算出装置1bは、第2の実施形態と同様の変換手段152aを用いたが、ラベルのサイズが一定の場合はこれに代えて第1の実施形態と同様の変換手段152を用いてもよい。その場合、学習手段155bは、ラベルの大きさに応じた色付けを図形に対して行わずに生成された学習用画像データを用いて学習を行う。
【0115】
上述した説明では、ラベル配置算出装置1bは、図形の内部に収まるようにラベルの配置位置及び配置方向を算出するものとしたが、このような例に限られない。ラベル配置算出装置1bは、引出線を用いたラベルの配置位置を算出してもよい。
【0116】
図19は、引出線を用いたラベルの配置位置を算出する場合の学習用ラベル配置について説明するための模式図である。
図19においては、学習用画像データ2200に含まれる図形2201に対して、地図作成者によって適切に一つずつラベル2202が引出線を用いて配置されている。学習用ラベル配置は、各画素に第1確信度、第1タグ、第2確信度及び第2タグが関連付けられた4チャネルの二次元ヒートマップデータである。第1確信度は、引出線の始点位置2203において極大となるような、複数の二次元ガウシアン型の和の分布を有する。第2確信度は、引出線の終点位置(ラベルの左下位置)2204において極大となるような、複数の二次元ガウシアン型の和の分布を有する。このような学習用ラベル配置を用いることにより、ラベル配置算出装置1bは、図形の形状に応じた、引出線を用いたラベルの適切な配置位置を算出することを可能とする。ラベル配置算出装置1bは、引出線の始点位置と、ラベルの配置位置を示す引出線の終点位置とを含む配置情報を出力する。
【0117】
また、引出線を用いたラベルの配置を算出する場合において、ラベル配置算出装置1bは、更にラベルの右下位置を算出するようにしてもよい。これにより、ラベル配置算出装置1bは、図形の形状及びラベルの大きさに応じた、引出線を用いたラベルの適切な配置位置を算出することを可能とする。
【0118】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した各部の処理は、本発明の範囲において、適宜に異なる順序で実行されてもよい。また、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 ラベル配置算出装置
11 記憶部
12 通信部
13 表示部
14 操作部
15 処理部
151 取得手段
152 生成手段
153 算出手段
154 出力手段
155 学習手段