(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】物品処理計画装置、物品処理システム、および、物品処理計画プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240902BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G06Q10/08
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2020135037
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅利 幸生
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111126643(CN,A)
【文献】特開2007-076831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッチに分類された物品を処理する物品処理装置が過去に処理したバッチ毎の物品数を含む過去の処理データを取得する第1のインターフェースと、
前記第1のインターフェースにより取得する過去の処理データに基づいて前記物品処理装置が処理する各バッチの物品数を推定し、推定した各バッチの物品数に応じて各バッチの物品を処理する期間をそれぞれ複数に分割した処理期間を割り当て
、それぞれのバッチに対して複数に分割した処理期間のうちの1つの処理期間を優先的に当該バッチの出荷時刻の直前に割り当て、前記出荷時刻の直前に割り当てた処理期間で処理すべき物品数が当該処理期間で前記物品処理装置が処理できる物品の最大数以下となるように各処理期間を割り当てた物品処理計画を作成するプロセッサと、
前記プロセッサが生成した物品処理計画を前記物品処理装置の制御装置へ出力する第2のインターフェースと、
を有する物品処理計画装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、各処理期間で処理すべき物品数が各処理期間で前記物品処理装置が処理できる物品の最大数
以下となるように各処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する、
請求項
1に記載の物品処理計画装置。
【請求項3】
前記第1のインターフェースは、さらに、前記物品処理計画に従って稼働中の前記物品処理装置が処理対象とするバッチ毎の物品数を含む稼働中の処理データを取得し、
前記プロセッサは、前記第1のインターフェースにより取得する稼働中の処理データに基づいて前記物品処理計画を修正する、
請求項1
又は2の何れか1項に記載の物品処理計画装置。
【請求項4】
制御装置と物品処理計画装置とを有する物品処理システムであって、
前記物品処理計画装置は、
複数のバッチに分類された物品を処理する物品処理装置が過去に処理したバッチ毎の物品数を含む過去の処理データを取得する第1のインターフェースと、
前記第1のインターフェースにより取得する過去の処理データに基づいて前記物品処理装置が処理する各バッチの物品数を推定し、推定した各バッチの物品数に応じて各バッチの物品を処理する期間をそれぞれ複数に分割した処理期間を割り当て
、それぞれのバッチに対して複数に分割した処理期間のうちの1つの処理期間を優先的に当該バッチの出荷時刻の直前に割り当て、前記出荷時刻の直前に割り当てた処理期間で処理すべき物品数が当該処理期間で前記物品処理装置が処理できる物品の最大数以下となるように各処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する第1のプロセッサと、
前記第1のプロセッサが生成した物品処理計画を前記物品処理装置の動作を制御する制御装置へ出力する第2のインターフェースと、を有し、
前記制御装置は、
前記物品処理計画装置が作成した物品処理計画を取得する第3のインターフェースと、 前記第3のインターフェースにより取得した物品処理計画に従って処理期間と処理対象とするバッチとを設定し、設定した処理期間で処理対象とするバッチの物品を前記物品処理装置に処理させる制御信号を生成する第2のプロセッサと
前記第2のプロセッサが生成する制御信号を前記物品処理装置へ出力する第4のインターフェースと、を有する、
物品処理システム。
【請求項5】
前記物品処理計画装置の前記第1のプロセッサは、各処理期間で処理すべき物品数が各処理期間で前記物品処理装置が処理できる物品の最大数以下となるように各処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する、
請求項4に記載の物品処理システム。
【請求項6】
前記物品処理計画装置の前記第1のインターフェースは、さらに、前記物品処理計画に従って稼働中の前記物品処理装置が処理対象とするバッチ毎の物品数を含む稼働中の処理データを取得し、
前記物品処理計画装置の前記第1のプロセッサは、前記第1のインターフェースにより取得する稼働中の処理データに基づいて前記物品処理計画を修正し、
前記物品処理計画装置の前記第2のインターフェースは、前記第1のプロセッサによる前記物品処理計画の修正に基づいて前記物品処理計画の修正データを前記制御装置へ出力し、
前記制御装置の前記第3のインターフェースは、前記物品処理計画装置から前記物品処理計画の修正データを取得し、
前記制御装置の前記第2のプロセッサは、前記第3のインターフェースにより前記物品処理計画の修正データを取得した場合、前記修正データによって修正した物品処理計画に従って処理期間と処理対象とするバッチとを再設定する、
請求項4又は5の何れか1項に記載の物品処理システム。
【請求項7】
コンピュータに、
複数のバッチに分類された物品を処理する物品処理装置が過去に処理したバッチ毎の物品数を含む過去の処理データを第1のインターフェースにより取得する手順と、
前記過去の処理データに基づいて前記物品処理装置が処理する各バッチの物品数を推定する手順と、
前記推定した各バッチの物品数に応じて各バッチの物品を処理する期間をそれぞれ複数に分割した処理期間を割り当て
、それぞれのバッチに対して複数に分割した処理期間のうちの1つの処理期間を優先的に当該バッチの出荷時刻の直前に割り当て、前記出荷時刻の直前に割り当てた処理期間で処理すべき物品数が当該処理期間で前記物品処理装置が処理できる物品の最大数以下となるように各処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する手順と、
前記作成した物品処理計画を第2のインターフェースにより前記物品処理装置の制御装置へ出力する手順と、
を実行させるための物品処理計画プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、物品処理計画装置、物品処理システム、および、物品処理計画プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流センタ等では、荷物又は紙葉類等の物品の取扱量が増加しており、物品処理に関する様々な効率化が図られている。例えば、物流センタにおいて、1日当たりに到着する荷物は、宛先における方面毎に複数のバッチに分類され、同一方面の荷物毎に処理される。バッチ毎に処理された荷物は、各バッチに対応する方面毎に規定される出荷時刻に出荷される。通常、物流センタに設置される物品処理システムは、時間当たりの物品の処理量が当該物流センタに到着する時間当たりの物品の量よりも大きくなるように設計される。仮に、物品の到着速度(入荷量)を物品の処理速度(処理量)に近づけた設計とすると、物品処理システムは、入荷する物品を効率良く処理できるシステムとなり得る。
【0003】
しかしながら、実際には、任意のタイミングで順次物品が物流センタに入荷する。このため、入荷量と処理量とが均衡するように設計された物品処理システムは、各バッチに対する処理期間の割り当てによっては一部の物品が所定の時刻(出荷時刻)までに処理しきれないことが起こり得る。例えば、処理対象とするバッチの切り替えを少なくした物品処理計画では、出荷時刻よりも前に入荷した物品の一部が出荷時刻までに処理されずにその次の出荷時刻まで物流センタ内に滞留してしまい、全体として物品処理システムの実行処理能力が低下することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、全体の実行処理能力を低下させることなく、各物品を処理させることができる物品処理計画装置、物品処理システムおよび物品処理計画プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る物品処理計画装置は、第1のインターフェースとプロセッサと第2のインターフェースとを有する。第1のインターフェースは、複数のバッチに分類された物品を処理する物品処理装置が過去に処理したバッチ毎の物品数を含む過去の処理データを取得する。プロセッサは、第1のインターフェースにより取得する過去の処理データに基づいて物品処理装置が処理する各バッチの物品数を推定し、推定した各バッチの物品数に応じて各バッチの物品を処理する期間をそれぞれ複数に分割した処理期間を割り当て、それぞれのバッチに対して複数に分割した処理期間のうちの1つの処理期間を優先的に当該バッチの出荷時刻の直前に割り当て、前記出荷時刻の直前に割り当てた処理期間で処理すべき物品数が当該処理期間で前記物品処理装置が処理できる物品の最大数以下となるように各処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する。第2のインターフェースは、プロセッサが生成した物品処理計画を物品処理装置の制御装置へ出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る物品処理システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係わる全体制御システムの構成例を概略的に説明するための図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る全体制御システムの制御装置における制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る全体制御システムの物品処理計画装置における制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す物品処理計画に従って処理した結果の例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る物品処理計画装置が作成する物品処理計画の例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す実施形態に係る物品処理計画装置が作成する物品処理計画に従って処理した結果の例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る物品処理計画装置としての計画作成部による物品処理計画の作成処理を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る全体制御システムによる物品処理計画に基づく動作制御例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る物品処理システム1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、物品処理システム1は、WMS(warehouse management system)2、全体制御システム3、自動倉庫4、および、ソータ5を備える。物品処理システム1は、物流センタに入荷した複数のバッチに分類される物品(アイテム)を自動倉庫4に蓄え、バッチ毎に物品をソータによってソートする物品処理を行うシステムである。
【0009】
バッチとは、処理対象とする物品を所定の区分によって分類するものである。本実施形態において、物流センタに入荷する物品(処理対象となる物品)は、バッチ毎に分類されて自動倉庫4に収納されるものとする。例えば、物品が宛先へ送られる配送物である場合、バッチは、各物品の宛先(送り先)に基づいて所定の配送地域(方面)毎に分類したものである。具体例としては、宛先がA方面の物品をバッチ1に分類し、宛先がB(C、D、E)方面の物品をバッチ2(3、4、5)に分類する。
【0010】
WMS2は、1台のコンピュータ又は複数台のコンピュータを組み合わせて構成される。WMS2は、全体制御システム3、自動倉庫4およびソータ5内の各機器、並びに上位サーバ等の外部機器と有線又は無線で通信する。WMS2は、全体制御システム3、自動倉庫4およびソータ5内の各機器、並びに上位サーバ等の外部機器から情報を取得し、取得した情報を記憶する。また、WMS2は、全体制御システム3、自動倉庫4およびソータ5内の各機器へ情報を供給する。例えば、WMS2は、各バッチの物品に関する情報を保存し、過去の各バッチの物品数などを示す情報を全体制御システムへ提供する。
【0011】
全体制御システム3は、1台のコンピュータ又は複数台のコンピュータを組み合わせで構成される。全体制御システム3は、WMS2、自動倉庫4、および、ソータ5内の各機器、並びに上位サーバ等の外部機器と有線又は無線で通信する。全体制御システム3は、WMS2、自動倉庫4、および、ソータ5内の各機器、並びに上位サーバ等の外部機器から情報を取得したり、制御信号を供給したりする。例えば、全体制御システム3は、WMS2から取得する情報に基づいて、自動倉庫4、および、ソータ5内の各機器へ制御信号等を送信することにより当該物流センタにおける物品管理システム1全体を制御する。
【0012】
自動倉庫4は、バッチ毎に分類された物品を収納する。例えば、物流センタに入荷した物品は、各バッチに分類するための情報(例えば宛先)が認識され、バッチ毎に分類された状態で自動倉庫4に収納される。自動倉庫4は、バッチ毎に物品を管理し、ソータ5で処理対象とするバッチの物品をソータ5へ供給する。例えば、自動倉庫4が収納する物品は、全体制御システム3からの制御指示に応じて動作するロボットによってピックアップされ、ソータ5における物品の供給位置に供給される。
【0013】
ソータ5は、供給される物品をソートする処理を実行する物品処理装置である。本実施形態において、ソータ5は、処理対象とするバッチの物品が供給され、バッチ毎の物品を処理するバッチ処理を実行する。
図1に示す構成例において、ソータ5は、供給部6に置かれた物品をキャリア7に移動させる。ソータ5は、物品を載せるキャリア7をモータ8によって矢印方向に移動させる。ソータ5は、キャリア7の載せる物品の宛先などの区分情報を取得し、区分情報に応じて決定される位置で物品をシュートに送る。これにより、ソータ5は、バッチ毎に供給される各物品を区分情報に応じた区分位置に区分するソート処理としての物品処理を実行する。
【0014】
次に、実施形態に係わる全体制御システム3の構成について説明する。
図2は、実施形態に係わる全体制御システム3の構成例を概略的に説明するための図である。
図2に示す構成例において、全体制御システム3は、制御装置10と物品処理計画装置11とを有する。全体制御システム3は、1又は複数のコンピュータで構成される。制御装置10は、物品処理システム1全体の制御を司る制御部として動作する。物品処理計画装置11は、物品処理システム1において物品をバッチ毎に処理するための物品処理計画を作成する計画作成部として動作する。
【0015】
図2に示す構成例において、物品処理計画装置11は、WMS2から過去の処理データ又は稼働中の処理データなどを取得する。物品処理計画装置11は、WMS2から取得する過去の処理データなどの情報に基づいてバッチ毎に物品を処理するための物品処理計画を作成する。物品処理計画装置11は、作成した物品処理計画を制御装置10へ供給する。制御装置10は、物品処理計画装置11が作成した物品処理計画を取得する。全体制御システム3は、制御装置10が物品処理計画装置11で作成した物品処理計画に従って物品を処理するように自動倉庫4およびソータ(物品処理装置)5などの動作を制御する。
【0016】
また、物品処理計画装置11は、WMS2から取得する稼働中の処理データなどの情報に基づいて物品処理計画を修正する機能も有する。物品処理計画を修正した場合、物品処理計画装置11は、修正した物品処理計画を制御装置10へ供給する。制御装置10は、物品処理計画装置11により修正された物品処理計画を取得する。
【0017】
ここで、物品処理計画装置11が作成する物品処理計画は、物流センタに入荷した物品を物品処理装置としてのソータ5で処理し、ソータ5で処理した物品を出荷するための処理スケジュールを示すものである。本実施形態において、物品処理システム1の物品処理装置としてのソータ5は、自動倉庫4などからバッチ毎に供給される物品をソートする処理を行う。このため、物品処理計画装置11は、ソータ5がバッチ毎の物品を処理するためのスケジュールとして、各バッチに対する処理期間の割り当てを示す物品処理計画を作成するものとする。
【0018】
また、本実施形態において、物品処理システム1は、入荷した物品を1日(24時間)以内に出荷可能な状態となるように処理することを想定するものとする。従って、物品処理計画装置11は、1日におけるバッチ毎の処理期間の割り当てを示す物品処理計画を作成するものとする。ただし、物品処理システム1は、出荷時刻までの物品を処理できるものであれば良く、1日以内に物品を処理するものに限定されない。また、物品処理計画も、1日のスケジュールを示すものに限定されるものではなく、所定の出荷時刻までに各物品を処理できるようなスケジュールであれば良い。
【0019】
なお、
図2に示す構成例では、全体制御システム3において、制御装置10と物品処理計画装置11とを図示している。全体制御システム3においては、制御装置10と物品処理計画装置11とは、1つの装置で実現しても良いし、別々の装置で実現しても良い。例えば、制御装置10と物品処理計画装置11とを1台のコンピュータで実現する場合、全体制御システム3は、制御装置10として動作するプログラム(動作制御プログラム)と物品処理計画装置11として動作するプログラム(物品処理計画プログラム)とをインストールしたコンピュータを有するものとすれば良い。
【0020】
次に、実施形態に係る全体制御システム3の制御装置10における制御系の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る全体制御システム3の制御装置10における制御系の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、制御装置10は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、記憶部24、通信部25、内部インターフェース(I/F)26および機器インターフェース(I/F)27などを備える。
【0021】
プロセッサ(第2のプロセッサ)21は、演算を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ21は、ROM22又は記憶部24などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて各種の処理を実行する。プロセッサ21は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、又はDSP(digital signal processor)である。また、プロセッサ21は、これらのうちの複数を組み合わせたものであっても良い。
【0022】
ROM22は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、プロセッサ21を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM22は、データの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM22は、プログラムを記憶する。また、ROM22は、プロセッサ21が各種の処理を行うために使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0023】
RAM23は、プロセッサ21を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM23は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM23は、ワークエリアなどとして利用される記録領域を有する。RAM23は、プロセッサ21が各種の処理において一時的に使用するデータを記憶する。
【0024】
記憶部24は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、プロセッサ21を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。記憶部24は、書き換え可能な不揮発性メモリにより構成される。例えば、記憶部24は、プロセッサ21が制御装置10の制御部として動作するためのプログラムを記憶する。また、記憶部24は、プロセッサ21が各種の処理を行うために使用するデータ、プロセッサ21での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0025】
通信部25は、1又は複数の通信インターフェースで構成される。通信部25は、ネットワークなどを介してWMS2などの外部装置と有線又は無線で通信するための通信インターフェースを含む。
【0026】
内部インターフェース26は、全体制御システム3内において、物品処理計画装置11と有線又は無線で通信するための通信インターフェース(第3のインターフェース)を含む。例えば、内部インターフェース26は、物品処理計画装置11から物品処理計画を示すデータを取得する。また、内部インターフェース26は、物品処理計画装置11から物品処理計画を修正するためのデータを取得するようにしても良い。
【0027】
機器インターフェース27は、制御対象とする各機器と通信するためのインターフェース(第4のインターフェース)を含む。例えば、機器インターフェース27は、自動倉庫4の制御装置と有線又は無線で通信するための通信インターフェースを含む。また。機器インターフェース27は、物品処理装置としてのソータ5と有線又は無線で通信するための通信インターフェースを含む。
【0028】
なお、制御装置10は、表示部および操作部などを有するものであっても良い。表示部は、ディスプレイ装置によって構成され、例えば、オペレータに対して各種情報を表示する。また、操作部は、キーボード、テンキー、マウス、および、タッチパネルなどにより構成されるもので実現できる。また、表示部および操作部としては、タッチパネル付のディスプレイを具備するようにしても良い。
【0029】
次に、実施形態に係る全体制御システム3の物品処理計画装置11における制御系の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る全体制御システム3の物品処理計画装置11における制御系の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、全体制御システム3に含まれる物品処理計画装置11は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、記憶部34、通信部35および内部インターフェース(I/F)36などを備える。
【0030】
プロセッサ(第1のプロセッサ)31は、演算を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ31は、ROM32又は記憶部34などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて各種の処理を実行する。プロセッサ31は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、又はDSP(digital signal processor)である。また、プロセッサ31は、これらのうちの複数を組み合わせたものであっても良い。
【0031】
ROM32は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、プロセッサ31を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM32は、データの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM32は、プログラムを記憶する。また、ROM32は、プロセッサ31が各種の処理を行うために使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0032】
RAM33は、プロセッサ31を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM33は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM33は、ワークエリアなどとして利用される記録領域を有する。RAM33は、プロセッサ31が各種の処理において一時的に使用するデータを記憶する。
【0033】
記憶部34は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、プロセッサ31を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。記憶部34は、書き換え可能な不揮発性メモリにより構成される。例えば、記憶部34は、プロセッサ31により実行されるプログラムを記憶する。また、記憶部34は、プロセッサ31が各種の処理を行うために使用するデータ、プロセッサ31での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0034】
ROM32又は記憶部34に記憶されるプログラムには、物品処理計画を作成するためのプログラム(物品処理計画プログラム)が含まれる。例えば、物品処理計画装置11は、物品処理計画プログラムがROM32又は記憶部34に記憶された状態で事業者へ譲渡される。また、物品処理計画プログラムは、事業者に設置された物品処理計画装置として用いられる装置の記憶部へ書き込まれるようにしても良い。この場合、物品処理計画プログラムは、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録した状態で事業者へ譲渡しても良い。また、物品処理計画プログラムは、ネットワークなどを介したダウンロードにより事業者に譲渡されるようにしても良い。
【0035】
通信部35は、1又は複数の通信インターフェース(第1のインターフェース)で構成される。通信部35は、ネットワークなどを介してWMS2と有線又は無線で通信するための通信インターフェースを含む。例えば、通信部35は、WMS2から過去の処理データ又は稼働中の処理データを取得する。
【0036】
内部インターフェース36は、全体制御システム3内において、制御装置10と有線又は無線で通信するための通信インターフェース(第2のインターフェース)を含む。例えば、内部インターフェース36は、過去の処理データなどから作成した物品処理計画を示すデータを制御装置10へ供給する。
【0037】
なお、物品処理計画装置11は、表示部および操作部などを有するものであっても良い。表示部は、ディスプレイ装置によって構成され、例えば、オペレータに対して各種情報を表示する。また、操作部は、キーボード、テンキー、マウス、および、タッチパネルなどにより構成されるもので実現できる。また、表示部および操作部としては、タッチパネル付のディスプレイを具備するようにしても良い。
【0038】
次に、実施形態に係る物品処理システム1においてバッチ毎に物品を処理するための物品処理計画について説明する。
本実施形態において、物品処理計画は、ソータ5が各バッチの物品を処理する処理期間を示すものとする。また、運用上の取り決めとして、処理を休止する休止期間、および、ソータ5で処理された各バッチの物品を出荷する出荷時刻(バッチ毎に出荷時刻)は、予め決められているものとする。
【0039】
図5は、物品処理計画の例を示す図である。
図5に示す物品処理計画は、1日(24時間)分のスケジュールとして、それぞれのバッチ1~5の物品に対する処理(バッチ処理)を1日に1回の連続した処理期間T1~T5で実施するようにスケジューリングした計画の例である。
【0040】
ただし、
図5に示す物品処理計画では、1日において4回の休止期間T0(0~1、6~7、12~13、18~19時)が設定される。休止期間T0は、物品管理システムの動作が停止され、物品の処理が実施されない期間である。また、
図5に示す物品処理計画では、各バッチ1~5の出荷時刻T1out~T5outが設定されている。
図5に示す物品処理計画の例において、バッチ1の出荷時刻T1outが16時、バッチ2の出荷時刻T2outが18時、バッチ3の出荷時刻T3outが20時、バッチ4の出荷時刻T4outが22時、バッチ5の出荷時刻T5outが24時である。
【0041】
図5に示す物品処理計画において、バッチ1の物品の処理期間T1は1~5時である。バッチ2の物品の処理期間T2は5~6時および7~10時(6~7時の休止期間を含む5~10時)である。バッチ3の物品の処理期間T3は10~12時および13~15時(12~13時の休止期間を含む10~15時)である。バッチ4の物品の処理期間T4は15~18時および19~20時(18~19時の休止時間を含む15~20時)である。バッチ5の物品の処理期間T5は20~24時である。
【0042】
図5に示すように、個々のバッチの物品に対する処理を連続して実施するようにすれば、処理対象とする物品を切り替える作業(バッチの切り替え)が少なくなるため、バッチの切り替えに要する作業時間などを省力化できる。しかしながら、あるバッチに対して処理が終了する時刻(処理終了時刻)と出荷時刻とが異なると、処理終了時刻から出荷時刻までの間に入荷する物品は、次日の処理時刻まで滞留することとなる。この結果、処理終了時刻から出荷時刻までの間に入荷する物品は、次の日に処理され、次の日に出荷時刻に出荷されるため、入荷から出荷までに24時間以上の時間が掛かることになる。
【0043】
図5に示す物品処理計画では、バッチ5以外の各バッチ1~4は、処理終了時刻から出荷時刻までに時間がある。このため、各バッチ1~4の物品で処理終了時刻から出荷時刻までの間に入荷した物品は、出荷までに24時間以上の時間が掛かることになる。例えば、バッチ1は、処理終了時刻が5時で出荷時刻が16時であるため、5~16時までの間に入荷したバッチ1の物品は、出荷までに24時間以上の時間が掛かることになる。
【0044】
図6は、
図5に示す物品処理計画を用いて物品を処理した結果の例を示す図である。
図6に示す例は、システム内に25時間以上滞留する物品が多数発生していることを示している。物品処理システム1の処理能力(時間当たりの処理量)が時間当たりに入荷する物品数よりも大きい場合、25時間以上滞留する物品は、処理終了時刻から出荷時刻までの間に入荷したものであり、物品処理計画に起因して処理未了となった物品であると考えられる。すなわち、
図5に示すように物品処理計画を適用すると、物品処理システム1が十分な処理能力を持っていても、処理終了時刻から出荷時刻までの間に入荷する物品に対して入荷から出荷までに24時間以上の時間が掛かることとなり、システム全体としての実行処理能力が低下してしまう。
【0045】
次に、実施形態に係る全体制御システム3の物品処理計画装置11が作成する物品処理計画について説明する。
図7は、実施形態に係る全体制御システム3の物品処理計画装置11が作成する物品処理計画の例を示す図である。
図7に示す物品処理計画は、1日(24時間)分のスケジュールにおいて、それぞれのバッチ1~5の物品を処理(バッチ処理)するための期間T1~T5を複数に分割した処理期間T1n~T5nで実施するようにスケジューリングした計画の例である。なお、
図7に示す物品処理計画において、休止期間T0および各バッチの出荷時刻T1out~T5outは、
図5に示すものと同じであるものとする。
【0046】
図7に示す物品処理計画において、バッチ1の物品を処理する期間T1は、2~3時の第1期間T11、8~9時の第2期間T12、および、14~16時の第3期間T13に3分割され、第3期間T13(T1s3~T1e3)がバッチ1に対する出荷直前の処理期間となる。
また、バッチ2の物品を処理する期間T2は、3~4時の第1期間T2s1、9~10時の第2期間T22、および、16~18時の第3期間T23に3(n)分割され、第3期間T23(T2s3~T2e3)がバッチ2に対する出荷直前の処理期間となる。
【0047】
また、バッチ3の物品を処理する期間T3は、1~2時の第1期間T31、4~5時の第2期間T32、13~14時の第3期間T33、および、19~20時の第4期間T34に4分割され、第4期間T34(T3s4~T3e4)がバッチ3に対する出荷直前の処理期間となる。
また、バッチ4の物品を処理する期間T4は、5~6時の第1期間T41、10~11時の第2期間T42、および、20~22時の第3期間T43に3(n)分割され、第3期間T43(T4s3~T4e3)がバッチ4に対する出荷直前の処理期間となる。
また、バッチ5の物品を処理する期間T5は、7~8時の第1期間T51、11~12時の第2期間T52、および、22~24時の第3期間T53に3(n)分割され、第3期間T53n(T5s3~T5e3)がバッチ5に対する出荷直前の処理期間となる。
【0048】
物品処理計画装置11が作成する物品処理計画は、
図7に示すように、各バッチの物品を処理するための期間を複数の期間に分割して割り当てたスケジュールとなる。バッチiの物品を処理する期間Tiをn個の処理期間に分割した場合、バッチiの出荷時刻Tioutの直前には、バッチiのn個目の処理期間(出荷直前の処理期間)Tin(Tisn~Tien)が設定される。言い換えると、物品処理計画装置11は、バッチiに対して処理が終了する時刻(処理終了時刻Tien)と出荷時刻Tioutとが一致するように物品処理計画を作成する。
【0049】
また、バッチiに対する出荷直前の処理期間Tinは、バッチiの物品を処理するためのマージンを確保しながら他のバッチの出荷時刻などに応じて割り当てられる。
図7に示す物品処理計画の例では、1日の最後に出荷されるバッチ5とその直前に出荷されるバッチ4との出荷時刻の差(T5out-T4out)は2時間である。このため、バッチ5に対しては出荷直前の処理期間T53として2時間(22~24時)の期間が割り当てられる。
【0050】
バッチ4とその直前に出荷されるバッチ3との出荷時刻の差(T4out-T3out)が2時間である。このため、バッチ4に対しては出荷直前の処理期間T43として2時間(20~22時)の期間が割り当てられる。
バッチ3とその直前に出荷されるバッチ2との出荷時刻の差(T3out-T2out)は、1時間の休止期間(18~19時)を含む2時間である。このため、バッチ3に対しては出荷直前の処理期間T34として1時間(19~20時)の期間が確保される。
【0051】
バッチ2とその直前に出荷されるバッチ1との出荷時刻の差(T2out-T1out)は2時間である。このため、バッチ2に対しては出荷直前の処理期間T23として2時間(16~18時)の期間が確保される。
バッチ1に対する出荷直前の処理期間T13は、他のバッチに対する処理期間との調整を考慮し、2時間(14~16時)の期間が確保される。
図7に示す物品処理計画の例では、バッチ3に対する出荷直前の処理期間T34が1時間であったことを考慮し、2時間分とするバッチ1に対する出荷直前の処理期間T13の直前に1時間分のバッチ3の処理期間T33を割り当てている。
【0052】
また、各バッチ1~5に対する出荷直前の処理期間(T13、T23、T34、T43、T53)を割り当てた後の残り時間は、各バッチの物品が効率良く処理されるように、バッチ毎に分割された各処理期間が分散して割り当てられる。
図7に示す物品処理計画の例において、各バッチ1~5に対しては、1~12時の間に1時間分の処理期間が2度ずつ割り当てられている。
図7に示す物品処理計画は、各バッチ1~5の物品数が同程度であることを想定して作成されているものとするが、各バッチに対する処理期間の割り当ては、各バッチの物品数などの予測値によって調整する。また、バッチによって入荷する時間帯に隔たりがある場合、各バッチに対する処理期間の割り当ては、各バッチの物品の入荷時間帯(時間帯毎の入荷数)などの予測値によっても調整するようにしても良い。
【0053】
図8は、
図7に示す物品処理計画を用いて各バッチの物品を処理した結果の例を示す図である。
図8に示す処理結果の例は、システム内に24時間を超えて滞留する物品が少数であり、25時間を超えて滞留する物品がないことを示している。すなわち、
図7に示すような物品処理計画を適用すると、物品処理システム1は、各バッチに対して処理終了時刻が出荷時刻となるから、出荷直前の処理期間で処理しなれない物品が入荷しなければ各バッチの物品が24時間以内に処理される。従って、物品処理システム1は、24時間以内に各バッチの物品を処理するために最適化された物品処理計画を作成でき、システム全体での実行処理能力が低下することがない運用が実現できる。
【0054】
次に、実施形態に係る全体制御システム3の物品処理計画装置11による物品処理計画の作成処理について説明する。
図9は、実施形態に係る全体制御システム3の物品処理計画装置11による物品処理計画の作成処理を説明するためのフローチャートである。
物品処理計画を作成する場合、全体制御システム3において、物品処理計画装置11のプロセッサ31は、記憶部34に記憶した物品処理計画プログラムを起動する。物品処理計画プログラムが起動すると、プロセッサ31は、当該物品処理システム1において過去に実行した物品処理の結果を示す過去の処理データを取得する。例えば、プロセッサ31は、通信部35を介してWMS2から過去の処理データを取得する。過去の処理データは、当該物流センタ(物品処理システム1)が過去に処理した各バッチの処理数(物品数)を含む情報である。
【0055】
過去の処理データを取得すると、プロセッサ31は、過去の処理データに基づいてスケジューリングする処理日におけるバッチ毎の予測値を算出する(S11)。例えば、プロセッサ31は、過去の処理データからバッチ毎に入荷数、処理数、入荷時間帯などの情報を抽出し、バッチ毎に入荷する物品に関する情報の予測値を算出する。例えば、プロセッサ31は、過去の処理データから各バッチの1日に入荷する物品数(1日に処理対象となる物品数)の予想値を算出する。また、プロセッサ31は、各バッチについて所定時間帯毎(例えば、1時間毎)の入荷数などの予測値を過去の処理データから算出するようにしても良い。
【0056】
各バッチの予測値を算出すると、プロセッサ31は、スケジューリングする期間(1日)における休止期間T0を設定する(S12)。休止期間を示す情報は、WMS2から取得するようにしても良いし、記憶部34に記憶しておくようにしても良い。また、運用上として休止期間が不要であれば、休止期間は設定しなくても良い。
【0057】
さらに、プロセッサ31は、当該物品処理システム1で処理した各バッチの物品を出荷する出荷時刻T1out~T5outを特定する(S13)。プロセッサ31は、各バッチの出荷時刻T1out~T5outをWMS2から取得するようにしても良い。また、各バッチの出荷時刻T1out~T5outは、記憶部34に記憶しておくようにしても良い。この場合、プロセッサ31は、記憶部34から各バッチの出荷時刻T1out~T5outを取得する。
【0058】
各バッチの出荷時刻を特定すると、プロセッサ31は、各バッチに対して出荷直前の処理期間を設定する(S14)。プロセッサ31は、各バッチに対する出荷直前の処理期間を前後に出荷されるバッチの出荷時刻に応じて設定する。
図7に示す例によれば、プロセッサ31は、各バッチ1~5に対する出荷直前の処理期間として、それぞれの出荷時刻T1out~T5outが終了時刻T1e3、T2e3、T3e4、T4e3、T5e3となる期間T13、T23、T34、T43、T53を設定する。
【0059】
各バッチに対する出荷直前の処理期間を設定すると、プロセッサ31は、出荷直前の処理期間以外の時間帯において各バッチに対する処理期間を割り当てる(S15)。例えば、プロセッサ31は、以下の条件1および条件2を満たすように、各バッチに対する分割した処理期間を割り当てる。
【0060】
条件1は、「バッチiに割り当てたj番目の処理期間Tij(Tisj~Tiej)に処理できる最大数および実際に処理される物品数」が、「j番目の処理期間Tijの開始時刻(T1sj)に未処理であるバッチiの物品数と、処理期間Tij(Tisi~Tiei)中に新たに到着(入荷)するバッチiの物品数との合計数」以下であること。
【0061】
条件2は、「バッチiの出荷直前の処理期間Tin(Tisn~Tiout)で処理できる最大数および実際に処理される物品数」が、「出荷直前の処理期間Tinの開始時刻(Tisn)に未処理であるバッチiの物品数と、出荷直前の処理期間Tin中に新たに到着(入荷)するバッチiの物品数との合計数」以上であること。
【0062】
例えば、プロセッサ31は、1日分の物品数の予想値に応じて各バッチに割り当てる時間を所定時間(例えば1時間)毎に分割し、所定時間毎に分割した各バッチの処理期間を条件1および条件2を満たすようにスケジューリングするようにしても良い。また、プロセッサ31は、一旦作成した物品処理計画を記憶部34に保持しておき、物品数の予想値に変化に応じて、条件1および条件2を満たすように、各バッチに対する処理期間のスケジューリングを修正するようにしても良い。
【0063】
次に、実施形態に係る全体制御システム3による物品処理計画に応じた動作制御について説明する。
図10は、実施形態に係る全体制御システム3による物品処理計画に応じた動作制御の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、全体制御システム3において、物品処理計画装置11のプロセッサ31は、記憶部34が記憶する物品処理計画プログラムを起動させる。物品処理計画装置11のプロセッサ31は、通信部35を介してWMS2から過去の処理データを取得する(S21)。WMS2から取得する過去の処理データは、当該物流センタ(物品処理システム1)が過去に処理した各バッチの物品数(処理数)を含む情報である。
【0064】
WMS2から過去の処理データを取得すると、プロセッサ31は、取得した過去の処理データに基づいて、各バッチの処理期間を複数の期間に分割して割り当てた物品処理計画を作成する作成処理を実行する(S22)。物品処理計画の作成処理については、上述したような物品処理計画の作成処理によって実行されるものとする。
【0065】
物品処理計画を作成すると、プロセッサ31は、作成した物品処理計画を内部インターフェース36により制御装置10へ出力する(S23)。
一方、制御装置10のプロセッサ21は、記憶部24が記憶する動作制御プログラムを起動させる。制御装置10のプロセッサ21は、内部インターフェース26を介して物品処理計画装置11が作成した物品処理計画を取得する。制御装置10のプロセッサ21は、物品処理計画装置11から取得した物品処理計画をRAM23又は記憶部24に保持し、自動倉庫4およびソータ5を用いた物品処理を開始する(S24)。
【0066】
物品処理を開始すると、プロセッサ21は、物品処理計画に従って、最初の処理期間を設定し(S25)、当該処理期間で処理対象となるバッチを設定する(S26)。例えば、
図7に示す物品処理計画を取得した場合、プロセッサ21は、最初の処理期間としてバッチ3を処理する処理期間T31を設定する。処理期間T31は、1~2時の間にバッチ3の物品を処理する期間であるから、プロセッサ21は、処理期間として1~2時を設定し、処理対象とするバッチとしてバッチ3を設定する。
【0067】
処理期間と処理対象のバッチとを設定すると、プロセッサ21は、設定したバッチの物品に対する処理を実行させる制御を行う(S27)。例えば、プロセッサ21は、設定したバッチの処理を実行することを指示する制御信号を機器インターフェース37を介して自動倉庫4およびソータ5へ出力する。例えば、自動倉庫4は、制御装置10から供給される制御信号によって指定されたバッチの物品をソータ5の供給部6へ供給する。また、ソータ5は、自動倉庫4から供給部6に供給される処理対象となるバッチの物品、および、自動倉庫4を経由せずに供給部6に供給される処理対象となるバッチの物品に対する物品処理(ソート)を実行する。
【0068】
制御装置10の制御による物品処理中において、物品処理計画装置11のプロセッサ31は、処理状況を示す情報を収集し、所定条件が維持されている否かを判定する(S28)。例えば、プロセッサ31は、稼働中の処理データとして実際に入荷した物品数と未処理の物品数とを示す情報をWMS2から取得し、物品処理計画で割り当てた処理期間で処理しきれる量が維持されているか否かを判定する。ここでは、プロセッサ31は、物品処理計画で割り当てた処理期間に対して上述した条件1が満たされているか否かを判定するものとする。
【0069】
所定条件が維持されていない場合(S28、NO)、プロセッサ31は、現在の物品処理計画を修正するか否かを判定する(S30)。例えば、プロセッサ31は、条件1に対する逸脱頻度が所定閾値を越えた場合に物品処理計画を修正するものとする。また、プロセッサ31は、「処理期間で処理できる最大数」よりも「未処理の物品数と入荷する物品数との合計数」が所定数(所定閾値)以上大きい場合に物品処理計画を修正するようにしても良い。
【0070】
物品処理計画を修正すると判定した場合(S30、YES)、プロセッサ31は、通信部35を介してWMS2から取得する現在の入荷数および未処理数などの稼働中のデータ(現在の処理データ)に基づいて処理対象の物品数などの予測値を算出することにより各バッチの予測値を修正する(S31)。
【0071】
予測値を修正すると、プロセッサ31は、修正した予測値に基づいて現在の物品処理計画を修正する(S32)。ここでは、物品処理が実行中であるため、プロセッサ31は、実施中の物品処理が滞らないように計画を修正するものとする。例えば、プロセッサ31は、現在実行中の物品処理を継続しながら物品処理計画における処理期間の延長あるいは短縮などによって計画を修正する。
【0072】
物品処理計画を修正した場合、プロセッサ31は、内部インターフェース36を介して物品処理計画の修正データを制御装置10へ供給する。制御装置10のプロセッサ21は、物品処理計画装置11から物品処理計画の修正データを聖徳すると、S25へ進み、修正した物品処理計画に従って処理期間を設定し直す。また、プロセッサ21は、物品処理計画の修正によって処理対象となるバッチを変更する場合には処理対象となるバッチの設定も変更する。
【0073】
所定条件が維持されている場合(S28、YES)、又は、物品処理計画の修正が不要である場合(S30、NO)、制御装置10のプロセッサ21は、設定した処理期間が終了したか否かを監視する(S29)。設定した処理時間中である場合(S29、NO)、プロセッサ21は、S27へ戻り、設定されているバッチの物品に対する処理を継続して実行させる。
【0074】
また、設定した処理時間が終了した場合(S29、YES)、プロセッサ21は、処理対象に設定していたバッチの物品を出荷すべきか否かを判定する(S33)。出荷すべきである場合(S33、YES)、プロセッサ21は、出荷指示を出力し、処理した当該バッチの物品を出荷する出荷作業を実施させる(S34)。
【0075】
出荷作業を実施した場合、あるいは、当該バッチの物品を出荷しないと判定した場合(S33、NO)、プロセッサ21は、物品処理計画に基づく物品処理が終了をするか否かを判定する(S35)。物品処理が終了でない場合(S35、NO)、プロセッサ21は、S25へ戻り、現在の物品処理計画に従って次の処理期間を設定する。また、次の処理期間を設定した後、プロセッサ31は、新たに設定した処理期間において処理すべき処理対象のバッチを設定し(S26)、上述したS27以降の処理を再度実行する。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る物品処理計画装置は、処理日におけるバッチ毎の物品数を過去の処理データから予測し、予測したバッチ毎の物品数に基づいて各バッチの物品を処理する期間を複数に分割し、分割した各処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する。
【0077】
これにより、バッチ毎の出荷時刻が1日当たり1回という制約下で、物流センタに入力する物品量(入荷量)と当該物流センタに設置した物品処理システムが処理できる物品量(処理能力)とがほぼ均衡している状況であっても、物流センタに入荷する物品を出荷時刻までの24時間以内に処理できる物品処理計画を作成できる。この結果として、物品処理計画装置を含む物品処理システムは、入荷した物品が所定の処理期限(例えば、1日)を超えて滞留しないようにできる。
【0078】
また、本実施形態に係る物品処理計画装置は、各バッチの出荷時刻の直前に当該バッチの処理期間を優先的に割り当てた物品処理計画を作成する。これにより、物品処理計画装置の作成する物品処理計画によれば、各バッチの物品に対して出荷時刻の直前に処理期間を確保することができ、出荷時刻の直前に入荷した物品であっても出荷時刻に間に合うように処理することができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した内容を付記する。
[1]
複数のバッチに分類された物品を処理する物品処理装置が過去に処理したバッチ毎の物品数を含む過去の処理データを取得する第1のインターフェースと、
前記第1のインターフェースにより取得する過去の処理データに基づいて前記物品処理装置が処理する各バッチの物品数を推定し、推定した各バッチの物品数に応じて各バッチの物品を処理する期間をそれぞれ複数に分割した処理期間を割り当てた物品処理計画を作成するプロセッサと、
前記プロセッサが生成した物品処理計画を前記物品処理装置の制御装置へ出力する第2のインターフェースと、
を有する物品処理計画装置。
[2]
前記プロセッサは、それぞれのバッチに対して複数に分割した処理期間のうちの1つの処理期間を優先的に当該バッチの出荷時刻の直前に割り当てた物品処理計画を作成する、 [1]に記載の物品処理計画装置。
[3]
前記プロセッサは、前記出荷時刻の直前に割り当てた処理期間で処理すべき物品数が当該処理期間で前記物品処理装置が処理できる物品の最大数以下となるように各処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する、
[2]に記載の物品処理計画装置。
[4]
前記プロセッサは、各処理期間で処理すべき物品数が各処理期間で前記物品処理装置が処理できる物品の最大数以上となるように各処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する、
[1]乃至[3]の何れか1つに記載の物品処理計画装置。
[5]
前記第1のインターフェースは、さらに、前記物品処理計画に従って稼働中の前記物品処理装置が処理対象とするバッチ毎の物品数を含む稼働中の処理データを取得し、
前記プロセッサは、前記第1のインターフェースにより取得する稼働中の処理データに基づいて前記物品処理計画を修正する、
[1]乃至[4]の何れか1つに記載の物品処理計画装置。
[6]
制御装置と物品処理計画装置とを有する物品処理システムであって、
前記物品処理計画装置は、
複数のバッチに分類された物品を処理する物品処理装置が過去に処理したバッチ毎の物品数を含む過去の処理データを取得する第1のインターフェースと、
前記第1のインターフェースにより取得する過去の処理データに基づいて前記物品処理装置が処理する各バッチの物品数を推定し、推定した各バッチの物品数に応じて各バッチの物品を処理する期間をそれぞれ複数に分割した処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する第1のプロセッサと、
前記第1のプロセッサが生成した物品処理計画を前記物品処理装置の動作を制御する制御装置へ出力する第2のインターフェースと、を有し、
前記制御装置は、
前記物品処理計画装置が作成した物品処理計画を取得する第3のインターフェースと、 前記第3のインターフェースにより取得した物品処理計画に従って処理期間と処理対象とするバッチとを設定し、設定した処理期間で処理対象とするバッチの物品を前記物品処理装置に処理させる制御信号を生成する第2のプロセッサと
前記第2のプロセッサが生成する制御信号を前記物品処理装置へ出力する第4のインターフェースと、を有する、
物品処理システム。
[7]
前記物品処理計画装置の前記第1のプロセッサは、それぞれのバッチに対して複数に分割した処理期間のうちの1つの処理期間を優先的に当該バッチの出荷時刻の直前に割り当てた物品処理計画を作成する、
[6]に記載の物品処理システム。
[8]
前記物品処理計画装置の前記第1のプロセッサは、前記出荷時刻の直前に割り当てた処理期間で処理すべき物品数が当該処理期間で前記物品処理装置が処理できる物品の最大数以下となるように各処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する、
[7]に記載の物品処理システム。
[9]
前記物品処理計画装置の前記第1のプロセッサは、各処理期間で処理すべき物品数が各処理期間で前記物品処理装置が処理できる物品の最大数以下となるように各処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する、
[6]乃至[8]の何れか1つに記載の物品処理システム。
[10]
前記物品処理計画装置の前記第1のインターフェースは、さらに、前記物品処理計画に従って稼働中の前記物品処理装置が処理対象とするバッチ毎の物品数を含む稼働中の処理データを取得し、
前記物品処理計画装置の前記第1のプロセッサは、前記第1のインターフェースにより取得する稼働中の処理データに基づいて前記物品処理計画を修正し、
前記物品処理計画装置の前記第2のインターフェースは、前記第1のプロセッサによる前記物品処理計画の修正に基づいて前記物品処理計画の修正データを前記制御装置へ出力し、
前記制御装置の前記第3のインターフェースは、前記物品処理計画装置から前記物品処理計画の修正データを取得し、
前記制御装置の前記第2のプロセッサは、前記第3のインターフェースにより前記物品処理計画の修正データを取得した場合、前記修正データによって修正した物品処理計画に従って処理期間と処理対象とするバッチとを再設定する、
[6]乃至[9]の何れか1つに記載の物品処理システム。
[11]
コンピュータに、
複数のバッチに分類された物品を処理する物品処理装置が過去に処理したバッチ毎の物品数を含む過去の処理データを第1のインターフェースにより取得する手順と、
前記過去の処理データに基づいて前記物品処理装置が処理する各バッチの物品数を推定する手順と、
前記推定した各バッチの物品数に応じて各バッチの物品を処理する期間をそれぞれ複数に分割した処理期間を割り当てた物品処理計画を作成する手順と、
前記作成した物品処理計画を第2のインターフェースにより前記物品処理装置の制御装置へ出力する手順と、
を実行させるための物品処理計画プログラム。
【符号の説明】
【0080】
1…物品処理システム、3…全体制御システム、4…自動倉庫、5…ソータ(物品処理装置)、10…制御装置、11…物品処理計画装置、21…プロセッサ(第2のプロセッサ)、26…内部インターフェース(第3のインターフェース)、27…機器インターフェース(第4のインターフェース)、31…プロセッサ(第1のプロセッサ)、34…記憶部、35…通信部(第1の通信インターフェース)、36…内部インターフェース(第2のインターフェース)