IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-プロセスカートリッジ 図1
  • 特許-プロセスカートリッジ 図2
  • 特許-プロセスカートリッジ 図3
  • 特許-プロセスカートリッジ 図4
  • 特許-プロセスカートリッジ 図5
  • 特許-プロセスカートリッジ 図6
  • 特許-プロセスカートリッジ 図7
  • 特許-プロセスカートリッジ 図8
  • 特許-プロセスカートリッジ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】プロセスカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
G03G21/18 142
G03G21/18 121
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020145986
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040997
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】原田 悠子
(72)【発明者】
【氏名】宗次 広幸
(72)【発明者】
【氏名】榊原 雄一
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-241622(JP,A)
【文献】特開2002-268511(JP,A)
【文献】特開平10-319819(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0181659(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 15/00
G03G 21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に着脱可能なカートリッジであって、
現像剤像を表面に担持し回転軸線を中心に回転するように構成された感光ドラムであって、前記回転軸線の方向の端部に円筒状の被支持部を有する感光ドラムと、
前記回転軸線に直交する方向の一端が前記感光ドラムの表面に当接しているブレードユニットと、
前記ブレードユニットの前記直交する方向の他端を支持し、位置決め部及び回転規制部が前記回転軸線の方向の端部に設けられたメインフレームと、
前記感光ドラムの前記被支持部を回転可能に支持する円周面を有する支持部と、被位置決め部と、被回転規制部と、が設けられ、前記メインフレームに固定されたサイドフレームであって、前記被位置決め部が前記メインフレームの前記位置決め部に係合して前記メインフレームに対する前記回転軸線に直交する方向の位置が決められ、前記被回転規制部が前記メインフレームの前記回転規制部に係合して前記サイドフレームの前記位置決め部を中心とする回転が規制される、サイドフレームと、
を備え、
前記回転軸線の方向に見た時に、前記回転軸線と、前記ブレードユニットと前記感光ドラムとの接触点と、を通る仮想線を第1仮想線とし、前記第1仮想線と平行であって前記サイドフレームの前記支持部の前記円周面の接線である2つの仮想線を第2仮想線及び第3仮想線としたときに、前記被位置決め部の中心は、前記第2仮想線と、前記第3仮想線と、前記円周面と、で囲われた前記サイドフレームの領域であって、前記ブレードユニットに近い側の領域にあることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記回転軸線に直交する所定の方向に見ると、前記サイドフレームの前記支持部は、前記被位置決め部とオーバラップしていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記感光ドラムは、感光層を有する筒状のシリンダと、前記シリンダと一体的に回転するように前記シリンダの前記回転軸線の方向の端部において前記シリンダの内周面と係合するシリンダ係合部を有するフランジと、を備え、
前記回転軸線に直交する方向に見ると、前記フランジの前記シリンダ係合部は、前記感光ドラムの前記被支持部とオーバラップしていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記感光ドラムの前記被支持部は、前記フランジに設けられていることを特徴とする請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記サイドフレームの前記位置決め部は、前記回転軸線の方向に延びる円筒状のボスであり、前記ボスの外径は、前記支持部の内周面の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記回転軸線を第1回転軸線としたときに、前記感光ドラムに前記現像剤を供給し且つ第2回転軸線を中心に回転するように構成された現像ローラと、前記現像ローラの前記第2回転軸線の方向の端部に設けられ、前記感光ドラムの表面に当接することで前記第2回転軸線と前記第1回転軸線の間隔を所定の距離に保つための間隔保持部材と、を備え、
前記第1回転軸線に直交する方向から見ると、前記間隔保持部材は、前記シリンダ係合部とオーバラップしていることを特徴とする請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記感光ドラムの前記回転軸線の方向における端部と、前記メインフレームと、の隙間をシールするように前記メインフレームに設けられた端部シールを備え、
前記回転軸線に直交する方向に見ると、前記端部シールは、前記シリンダ係合部とオーバラップしていることを特徴とする請求項3に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置で用いられるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、感光ドラムやクリーニング手段などを枠体内にまとめてカートリッジ化し、画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジとしたものが広く用いられている。
【0003】
このプロセスカートリッジにおいて、感光ドラムの長手端部は、枠体のドラム支持部によって回転可能に支持されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-146062
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のプロセスカートリッジにおいて、感光ドラムは、クリーニング手段等から力を受けた状態で枠体のドラム支持部に支持されている。従って、枠体のドラム支持部は、感光ドラムから力を受けて、回転軸線の位置がずれやすい。そこで、ドラム支持部の位置ずれが生じにくい枠体構成を備えるプロセスカートリッジが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の側面は、画像形成装置の装置本体に着脱可能なカートリッジであって、
現像剤像を表面に担持し回転軸線を中心に回転するように構成された感光ドラムであって、前記回転軸線の方向の端部に円筒状の被支持部を有する感光ドラムと、前記回転軸線に直交する方向の一端が前記感光ドラムの表面に当接しているブレードユニットと、前記ブレードユニットの前記直交する方向の他端を支持し、位置決め部及び回転規制部が前記回転軸線の方向の端部に設けられたメインフレームと、前記感光ドラムの前記被支持部を回転可能に支持する円周面を有する支持部と、被位置決め部と、被回転規制部と、が設けられ、前記メインフレームに固定されたサイドフレームであって、前記被位置決め部が前記メインフレームの前記位置決め部に係合して前記メインフレームに対する前記回転軸線に直交する方向の位置が決められ、前記被回転規制部が前記メインフレームの前記回転規制部に係合して前記サイドフレームの前記位置決め部を中心とする回転が規制される、サイドフレームと、を備え、前記回転軸線の方向に見た時に、前記回転軸線と、前記ブレードユニットと前記感光ドラムとの接触点と、を通る仮想線を第1仮想線とし、前記第1仮想線と平行であって前記サイドフレームの前記支持部の前記円周面の接線である2つの仮想線を第2仮想線及び第3仮想線としたときに、前記被位置決め部の中心は、前記第2仮想線と、前記第3仮想線と、前記円周面と、で囲われた前記サイドフレームの領域であって、前記ブレードユニットに近い側の領域にあることことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
ドラム支持部の位置ずれを抑制できる枠体を備えるカートリッジを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)実施例1に係るクリーニングユニットの側面図である。(b)実施例1に係るクリーニングユニットの一部を可視化した側面図である。
図2図1(a)のX1-X1断面図である。
図3】実施例1に係る画像形成装置の断面図である。
図4】実施例1に係るプロセスカートリッジの断面図である。
図5】実施例1に係るプロセスカートリッジの分解斜視図である。
図6】実施例1にかかるプロセスカートリッジの分解斜視図である。
図7】実施例1に係るドラムフランジ、シリンダ、ドラム軸受、枠体の概略断面図である。
図8】(a)実施例1に係るプロセスカートリッジの側面図である。(b)図8(a)のX2-X2断面図である。
図9】参考例に係るドラムフランジ、シリンダ、ドラム軸受、枠体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施例1>
本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図3および図4を用いて全体構成および画像形成プロセスについて説明する。図3は、本発明の一実施の形態である電子写真方式の画像形成装置の装置本体A及びプロセスカートリッジB(以下、カートリッジBと記載する)の断面図である。図4は、カートリッジBの断面図である。装置本体Aとは、画像形成装置からカートリッジBを除いた部分である。
【0010】
<画像形成装置の全体構成>
図3に示す画像形成装置は、カートリッジBを装置本体Aに着脱自在とした電子写真技術を利用したレーザビームプリンタである。
【0011】
カートリッジBは、電子写真感光体(像担持体)としての感光ドラム1862(以下、ドラム1862と記す)を有する。
【0012】
装置本体Aは、感光ドラム1862に潜像を形成するための露光装置3(レーザスキャナユニット)を有する。また、装置本体Aには、カートリッジBの下方に記録媒体(以下、シート材PAと記載する)を収納したシートトレイ4が設けられている。更に、装置本体Aには、シート材PAの搬送方向Dに沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11等が順次配置されている。定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。
【0013】
なお、以下の説明において、ドラム1862の回転軸線の方向を長手方向とする。また、長手方向において、画像形成装置の装置本体から感光ドラムが駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。
【0014】
<画像形成プロセス>
画像形成プロセスの概略を説明する。プリントスタート信号に基づいて、感光ドラム1862は、矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。バイアス電圧が印加された帯電ローラ(帯電部材)66は、ドラム1862の外周面に接触し、ドラム1862の外周面を一様均一に帯電する(図4参照)。
【0015】
露光装置3は、画像情報に応じたレーザー光Lを出力する。そのレーザー光LはカートリッジBのクリーニング枠体71に設けられたレーザー開口71hを通り、ドラム1862の外周面を走査露光する。これにより、ドラム1862の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0016】
一方、図4に示すように、現像装置としての現像ユニット20において、トナー室29内のトナーTは、搬送部材(撹拌部材)43の回転によって撹拌、搬送され、トナー供給室28に送り出される。そして、トナーTは、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像ローラ32の表面に担持される。現像剤担持体としての現像ローラ32は、トナーT(現像剤)をその表面に担持する。ドラム1862に形成された静電潜像を現像するために、トナーTを感光ドラム1862に供給するように構成されている。
【0017】
トナーTは、現像ブレード42によって摩擦帯電されつつ、現像剤担持体としての現像ローラ32周面上での層厚が規制される。そのトナーTは、静電潜像に応じてドラム1862へ供給され、静電潜像を現像する。これにより、静電潜像はトナー像として可視像化される。ドラム1862はその表面に静電潜像や、トナーで形成されるトナー像(現像剤像)を担持する。また、図3に示すように、レーザー光Lの出力タイミングとあわせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5bによって、装置本体Aの下部に収納されたシート材PAがシートトレイ4から送り出される。そして、そのシート材PAが転写ガイド6を経由して、ドラム1862と転写ローラ7との間の転写位置へ搬送される。この転写位置において、トナー像はドラム1862からシート材PAに順次転写されていく。
【0018】
トナー像が転写されたシート材PAは、ドラム1862から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そして、シート材PAは、定着装置9の加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとで構成される定着ニップ部を通過する。トナー像は、この定着ニップ部で加圧・加熱定着処理が行われてシート材PAに定着される。トナー像の定着処理を受けたシート材PAは、排出ローラ対10によって排出トレイ11に排出される。
【0019】
一方、図4に示すように、トナー像をシートPAに転写した後のドラム1862は、クリーニング部材77により外周面上の残留トナーが除去される。ドラム1862から除去されたトナーは、クリーニングユニット60の廃トナー室71bに貯蔵される。クリーニングユニット60はドラム1862を有するユニットである。
【0020】
上記において、帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7、クリーニング部材77がドラム1862に作用するプロセス手段である。
【0021】
<カートリッジ全体構成>
次に、カートリッジBの全体構成について図4図5図6を用いて説明する。図4は、カートリッジBの断面図、図5図6は、カートリッジBの構成を説明する斜視図である。なお本実施例においては各部品を結合する際のビスに関しては省略して説明する。
【0022】
カートリッジBは、クリーニングユニット(ドラムユニット)60と、現像ユニット20を有する。
【0023】
図4に示すように、クリーニングユニット60は、ドラム1862と、帯電ローラ66と、クリーニング部材77と、クリーニング枠体1871(メインフレーム)及びドラム軸受1873(サイドフレーム)を有する。クリーニング枠体1871(以下、枠体1871)とドラム軸受1873を合わせてドラムユニット枠体777とする。
【0024】
クリーニングユニット60において、ドラム1862は、ドラムユニット枠体によって第1回転軸線CL1を中心に回転可能に支持されている。ドラム1862は、駆動側にドラムフランジ1863を有する。一方、図5に示すように、ドラム軸受1873には、穴部1873c(ドラム支持部)が設けられ、この穴部1873cによってドラムフランジ1863は回転可能に支持されている。
【0025】
ドラム1862は、非駆動側にもドラムフランジを有する。また、枠体1871は、図6に示すように、ドラム軸78が圧入された穴部71cを有する。ドラム軸78は、ドラム1862の非駆動側のドラムフランジの穴部(不図示)に挿入され、非駆動側のドラムフランジを回転可能に支持する構成になっている。
【0026】
図4に示すように、クリーニングユニット60において、帯電ローラ66、クリーニング部材77は、それぞれドラム1862の外周面に接触している。
【0027】
クリーニング部材77(ブレードユニット)は、弾性材料としてのゴムで形成されたブレード状の弾性部材であるゴムブレード77aと、ゴムブレードを支持する支持部材77bと、を有する。ゴムブレード77aは、ドラム1862の回転方向に対してカウンター方向にドラム1862に当接している。即ち、ゴムブレード77aは、その先端部がドラム1862の回転方向Rの上流側を向くようにドラム1862に当接している。
【0028】
クリーニング部材77によってドラム1862の表面から除去された廃トナーは、クリーニング枠体71とクリーニング部材77によって形成された廃トナー室71bに溜められる。
【0029】
また、図4に示すように、クリーニング枠体71から廃トナーが漏れることを防止するためのシート65が、ドラム1862に当接するようにクリーニング枠体71の縁部に設けられている。
【0030】
帯電ローラ66は、クリーニング枠体71の長手方向における両端部において、帯電ローラ軸受67を介し、クリーニングユニット60に回転可能に取り付けられている。なお、クリーニング枠体1871の長手方向(カートリッジBの長手方向)は、ドラム1862の回転軸線の方向と略平行である。そのため以下、特に断りなく単に長手方向あるいは単に回転軸線の方向といった場合には、ドラム1862の回転軸線の方向である。
【0031】
帯電ローラ66は、帯電ローラ軸受67が付勢部材68によりドラム1862に向けて加圧されることでドラム1862に圧接されている。帯電ローラ66は、ドラム1862の回転に従動回転する。
【0032】
図4に示すように、現像ユニット20は、現像ローラ32と、現像ローラ32を支持する現像容器23と、現像ブレード42等を有する。現像ローラ32は、両端に設けられた軸受部材26(図5)、27(図6)により第2回転軸線CL2を中心に回転可能に現像容器23(現像枠体)に取り付けられている。
【0033】
現像ローラ32内にはマグネットローラ34が設けられている。現像ユニット20において、現像ローラ32上のトナー層を規制するための現像ブレード42が配置されている。図5図6に示すように、現像ローラ32の第2回転軸線の方向の両端部に間隔保持部材38が取り付けられている。間隔保持部材38がドラム1862に当接することで、現像ローラ32は、ドラム1862と微少隙間をもって保持される。
【0034】
また、図4に示すように、現像ユニット20からトナーが漏れることを防止するための吹き出し防止シート33が、現像ローラ32に当接するように現像容器23の縁部に設けられている。更に、現像容器23と底部材22によって形成されたトナー室29には、搬送部材43が設けられている。搬送部材43は、トナー室29に収容されたトナーを撹拌すると共に、トナー供給室28へトナーを搬送する。
【0035】
図5図6に示すように、カートリッジBはクリーニングユニット60と現像ユニット20を合体して構成される。
【0036】
現像ユニット20とクリーニングユニット60の結合の際には、まず枠体1871の駆動側の第1吊り穴71iに対する軸受部材26の現像第1支持ボス26aの中心を合わせる。更に、非駆動側の第2吊り穴71jに対する軸受部材27の現像第2支持ボス27aの中心を合わせる。具体的には、現像ユニット20を矢印G方向に移動させることで、第1吊り穴71i、第2吊り穴71jに現像第1支持ボス26a、現像第2支持ボス27aが嵌合する。これにより、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が移動可能に連結される。より詳細にいうと、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が回転移動可能(回動可能)に連結される。即ち、ドラム1862に対して現像ローラ32が接離可能な状態で連結される。この後、ドラム軸受1873をクリーニングユニット60に組み付けることによってカートリッジBを構成する。
【0037】
本実施例においては非駆動側にある付勢部材46L(図6)と、駆動側にある付勢部材46R(図5)と、は圧縮バネで形成されている。これらバネの付勢力により、付勢部材46Lと付勢部材46Rが、現像ユニット20をクリーニングユニット60に向けて付勢させることで現像ローラ32をドラム1862に近づく方向へ押し付けるよう構成する。ドラム1862と現像ローラ32は、間隔保持部材38によって所定間隔だけ離れた状態で保持されている。
【0038】
<ドラム軸受の枠体に対する位置決め>
ここで、本実施例の特徴である、枠体1871とドラム軸受1873の構成について、図1(a)、図1(b)、図2を用いて説明する。図1(a)は、クリーニングユニット60を駆動側より見た側面図である。図1(b)は、便宜上、図1(a)においてクリーニング部材の当接部を部分的に見えるようにした部分断面図である。図2は、図1(a)のX1―X1断面である。尚、図1(a)において、可視できない部分を破線で示している。
【0039】
図1(a)及び図2に示すように枠体1871とドラム軸受1873は、互いに締結ビス1810により締結されている。
【0040】
図5及び図6に示すように、枠体1871には、位置決め穴1871a(位置決め部)と回転規制穴1871b(回転規制部)が設けられている。ドラム軸受1873には、被位置決めボス1873a(被位置決め部)と被回転規制ボス1873b(被回転規制部)が設けられている。ドラム軸受1873の被位置決めボス1873aが枠体1871の位置決め穴1871aに係合することで、ドラム軸受1873の枠体1871に対する、回転軸線CL1に直交する方向の位置が決まる。ドラム軸受1873の被回転規制ボス1873bが枠体1871の被回転規制穴1871bに係合することで、被位置決めボス1873aを中心とするドラム軸受1873の枠体1871に対する回転が規制される。尚、被位置決めボス1873aの外周面の外径は、ドラム支持部1873cの内周面の内径よりも小さい。
【0041】
また、クリーニングユニット60には、ドラム1862と、クリーニング部材77と、が備えられている。ドラム1862の第1回転軸線CL1の方向に直交する方向におけるクリーニング部材77の一端はドラム1862の外周面に当接し、クリーニング部材77の他端は枠体1871に固定されている。
【0042】
ドラム1862は、感光層を有するシリンダ1861と、駆動側端に設けられた駆動側のドラムフランジ1863と、非駆動側のドラムフランジ(不図示)と、を含む。ドラムフランジ1863と非駆動側のドラムフランジは、シリンダ1861と一体的に回転するように構成されている。
【0043】
ドラム軸受1873には、ドラム1862を回転可能に支持する円周面を有する穴部であるドラム支持部1873cが設けられている。ドラムフランジ1863は、円筒状の被支持部1863cを含む。ドラムフランジ1863の被支持部1863cがドラム軸受1873のドラム支持部1873cに係合することで、被支持部1863cはドラム支持部1873cによって回転可能に支持される。
【0044】
<ブレード当接による枠体への影響>
図1(b)に示すように、クリーニング部材77の一端(ゴムブレード部77a)がドラム1862のシリンダ1861の外周面と接触することで、クリーニング部材77は、ドラム1862に矢印Fの方向の力を加えている。その結果、ドラム軸受1873は、ドラム支持部1873cがドラム1862の被支持部1863cから力を受けた状態で枠体1871に固定される。
【0045】
ここで、枠体1871の位置決め穴1871aの近傍や、ドラム軸受1873に設けられた被位置決めボス1873aからドラム支持部1873cまでの間の剛性が高くない場合、次のような課題がある。枠体1871に対してドラム支持部1873cが本来あるべき位置からずれる位置ずれが発生する可能性がある。
【0046】
そして、枠体1871とドラム支持部1873cが位置ずれした状態で、締結ビス1810によってドラム軸受1873が枠体1871に固定されると、クリーニング部材77のゴムブレード77aのドラム1862に対し所望の当接圧が出にくい。その結果、クリーニング部材77のクリーニング性能が影響を受ける可能性がある。
【0047】
<枠体構成>
本実施例においては、ドラム軸受1873において、被位置決めボス1873aの中心1873a1は、第1回転軸線CL1の方向に見たときに、図1(a)及び図1(b)にある斜線部の領域αにあることが特徴の一つである。
【0048】
図1(a)及び図1(b)に示す領域αについて説明する。第1回転軸線CL1の方向に見た時に、ドラム1862の第1回転軸線CL1(回転中心)と、ドラム1862のゴムブレード77aが接触したドラム1862の接触点CPと、を通る仮想線を第1仮想線VL1とする(図1(b)参照)。第1仮想線と平行であってドラム支持部1873cの円周面(円弧)の2本の接線を第2仮想線VL2及び第3仮想線VL3とする。領域αは、ドラム支持部1873cの円周面(円弧)と、第2仮想線と、第3仮想線と、で囲われたドラム軸受1873の領域であって、クリーニング部材77に近い側の領域である。
【0049】
被位置決めボス1873aは、その中心1873a1がドラム軸受1873の領域αに設けられることによって、ドラム軸受1873が受ける矢印Fの方向の力と引き合う位置で枠体1871に対して位置決めされる。その結果、ドラム軸受1873のドラム支持部1873cに余計な回転力が働きにくい。
【0050】
また、ドラム軸受1873の領域αに対応する枠体1871の領域は、クリーニング部材77によって除去された廃トナーが溜る廃トナー室として、断面方向に厚みがあり剛性が高い。よって、位置決め穴1871aの周辺が変形しにくい。よって、ドラム支持部1873cの枠体1871に対する位置ずれが抑制されるので、カートリッジ内におけるドラム1862の位置精度が向上しやすい。
【0051】
尚、本実施例の被位置決め部としての被位置決めボス1873aは、全周が円筒面であるものの、部分的に円周面を有する構成でも構わない。また、位置決め部が回転軸線CL1の方向に見たときに平行でない2つの平面であって、被位置決め部が2つの平面にそれぞれ点接触する形状の場合、接触点における2つの平面の法線が交わる点を被位置決め部の中心とする。
【0052】
<ドラム軸受の位置決めの長手方向の位置>
次に、ドラム軸受1873の被位置決めボス1873aの長手方向の位置について図7及び図9を用いて説明する。図7は、本実施例における、図1(a)のX1-X1断面と同じ位置における、シリンダ1861と、ドラムフランジ1863と、ドラム軸受1873と、枠体1871と、の断面模式図である。図9は、参考例における、図1(a)のX1-X1断面と同じ位置のシリンダ2861と、ドラムフランジ2863と、ドラム軸受2873と、枠体2871と、の断面模式図である。
【0053】
図9に示す参考例のカートリッジの構成は、ドラム2862の回転軸線CL1と、ドラム軸受2873の枠体2871に対する被位置決め部2873aの中心2873a1と、が一致する。この点が本実施例と参考例との構成上の相違点であり、それ以外は共通である。
【0054】
図7及び図9に示すように、ドラム1862(2862)は、シリンダ1861(2861)と、駆動側のドラムフランジ1863(2863)と、を含む。ドラムフランジ1863(2863)には、シリンダ1861(2861)の内周面と係合するシリンダ係合部1863d(2863d)が設けられている。更に、ドラムフランジ1863(2863)には、装置本体Aの駆動入力部と係合して駆動力を受け取る駆動力受け部としてのカップリング部1863e(2863e)と、支持部1863cが設けられている。
【0055】
また、ドラム軸受1873(2873)には、ドラムフランジ1863の被支持部1863cを回転可能に支持するドラム支持部1873c(2873c)が設けられている。ドラム軸受1873(2873)には、更に、枠体1871(2871)に対するドラム軸受1873(2873)の位置を決めるための被位置決めボス1873a(2873a)及び被回転規制ボス(不図示)と、が設けられている。枠体1871(2871)には、ドラム軸受1873(2873)の被位置決めボス1873a(2873a)と係合する位置決め穴1871a(2871a)を有する。
【0056】
シリンダ1862(2861)には現像手段、クリーニング手段、装置本体Aに設けられた転写手段などが当接しており、ドラム1862(2862)のシリンダ1861(2861)は当接力を受けている。
【0057】
参考例においては、図9に示すように、シリンダ2861が受けた当接力N2は、シリンダ係合部2863dの領域S2から、ドラムフランジ2863の被支持部2863c、ドラム軸受2873のドラム支持部2873cへ伝わる。この力は、被位置決めボス2873aと位置決め穴2871aが係合する領域W2で受けることになる。ここで、領域S2にかかる力N21と領域W2で受ける力のN22の位置が長手方向でずれている。そのために、シリンダ2861が受ける当接力N2が枠体2871に伝わるまでに矢印n方向に回転力が働く。そのために、ドラム2862が傾きやすいため、枠体2871に対してドラム2862の位置がずれやすい。
【0058】
この傾きを抑制するために被位置決めボス2873aと位置決め穴2871aの係合領域の長さL2を長くすることが考えられるものの、シリンダ2861よりも長手方向の外側まで係合領域を延ばすことになる。その結果、シリンダ2861の駆動側端から駆動入力部2863eまでの距離M2が長くなり、カートリッジの大型化につながる可能性がある。
【0059】
一方、本実施例の特徴的な構成として、図7に示すように、第1回転軸線CL1に直交する方向に見ると、ドラムフランジ1863のシリンダ係合部1863dは、ドラムフランジ1863の被支持部1863cとオーバラップしている。シリンダ1861が受けた当接力N1は、シリンダ係合部1863dの領域S1から、ドラムフランジ1863の被支持部1863c、ドラム軸受1873のドラム支持部1873cへと伝わる。そして、この力は、被位置決めボス1873aと位置決め穴1871aが係合する領域W1で受けることになる。この領域S1にかかる力N11に対して、回転軸線CL1に直交する方向にみたときに領域S1とオーバラップする領域W1にて力N12を受けることができる。従って、ドラム1862が傾きにくくなる。
【0060】
さらに、本実施例の構成においては、被位置決めボス1873aをシリンダ1861の長手方向の内側に延ばすことができる。被位置決めボス1873aと位置決め穴1871aが係合する係合長L1を長くしてもシリンダ1861の駆動側端から駆動入力部1863eまでの距離M1を延ばす必要がない。よって、本実施例は参考例よりも、カートリッジを小型でドラム1862の位置精度が良い構成にすることができる。
【0061】
また、本実施例の被位置決めボス1873a及び位置決め穴1871aは参考例のものよりも設計自由度が高いので、ボスの外形、穴外形ともに自由に設定でき、精度と強度を出すのに最適な形状にすることができる。
【0062】
<シリンダ係合部と現像ローラ当接部との長手方向の位置>
ドラムフランジ1863のシリンダ係合部1863dと、間隔保持部材38と、の長手方向の位置について、図8(a)及び図8(b)を用いて説明する。図8(a)はカートリッジBを駆動側より見た側面図であり、図8(b)は図8(a)のX2-X2断面である。また、図8(a)は、可視できない重要部を破線で示している。
【0063】
前述のとおり、現像ローラ32には間隔保持部材38が備えられている。間隔保持部材38がドラム1862に接触することよって、ドラム1862のシリンダ1861と現像ローラ32との間隔が所定の距離になるように構成されている。
【0064】
ここで、図8(a)及び図8(b)に示すように、間隔保持部材38が接触するシリンダ1861の部分である接触部1861fは、シリンダ係合部1863dとオーバラップしている。言い換えると、第1回転軸線CL1に直交する方向から見ると、間隔保持部材38は、シリンダ係合部1863dとオーバラップしている。これにより、間隔保持部材38を通じて現像ローラ32からドラム1862が受ける力は、シリンダ1861のうちドラムフランジ1863が係合している部分で受けることになるので、ドラム1862に回転モーメントが生じにくい。よって、ドラム1862の位置精度が向上する。
【0065】
<シリンダ係合部と端部シールとの長手方向の位置>
クリーニングユニット60の端部シール1877と、シリンダ係合部1863dと、の長手方向における位置について、図8(b)を用いて説明する。図8(b)についての説明は前述のとおりである。
【0066】
クリーニングユニット60には、ドラム1862から除去した廃トナーが長手方向の端部から漏れないようシールする端部シール1877が設けられている。端部シール1877は弾性体であって、枠体1871の座面1871gに接着され、シリンダ1861の表面に接触している。つまり、端部シール1877は、ドラム1862と枠体1871の隙間をシールしている。
【0067】
第1回転軸線CLの方向に見ると、シリンダ1861のうち端部シール1877が接触する接触面1861hと、ドラムフランジ1863のシリンダ係合部1863dと、がオーバラップしている。言い換えると、第1回転軸線CLの方向に見ると、端部シール1877と、シリンダ係合部1863dと、がオーバラップしている。
【0068】
これにより、シリンダ1861が受ける力は、ドラムフランジ1863のシリンダ係合部1863dを介して、接触面1861hに伝わるため、長手方向で端部シール1877の当接圧の偏りが抑制され、シール性能が向上する。
【符号の説明】
【0069】
32 現像ローラ
38 間隔保持部材
60 クリーニングユニット
63 ドラムフランジ
1871 クリーニング枠体
1873 ドラム軸受
73a 穴部
77 クリーニング部材
1861 シリンダ
1862 感光ドラム
1863 ドラムフランジ
1863c 被支持部
1863d シリンダ係合部
1871a 位置決め穴
1871b 回転規制穴
1873a 位置決めボス
1873b 回転規制ボス
1873c 支持部
1877 端部シール
A 装置本体
B カートリッジ
CL1 第1回転軸線
CL2 第2回転軸線
VL1 第1仮想線
VL2 第2仮想線
VL3 第3仮想線
α 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9