IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像形成装置 図1
  • 特許-画像形成装置 図2
  • 特許-画像形成装置 図3
  • 特許-画像形成装置 図4
  • 特許-画像形成装置 図5
  • 特許-画像形成装置 図6
  • 特許-画像形成装置 図7
  • 特許-画像形成装置 図8
  • 特許-画像形成装置 図9
  • 特許-画像形成装置 図10
  • 特許-画像形成装置 図11
  • 特許-画像形成装置 図12
  • 特許-画像形成装置 図13
  • 特許-画像形成装置 図14
  • 特許-画像形成装置 図15
  • 特許-画像形成装置 図16
  • 特許-画像形成装置 図17
  • 特許-画像形成装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/04 20060101AFI20240902BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240902BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G03G15/04 111
G03G21/16 161
B41J2/47 101Z
G03G21/16 104
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020146177
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2021099475
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2019197460
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019234670
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】山本 翔司
(72)【発明者】
【氏名】吉村 明
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 翔悟
(72)【発明者】
【氏名】松下 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 久倫
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】太田 充広
(72)【発明者】
【氏名】片山 皓貴
(72)【発明者】
【氏名】豊田 彬敏
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-103306(JP,A)
【文献】特開2009-279768(JP,A)
【文献】特開2015-172689(JP,A)
【文献】実開昭60-122929(JP,U)
【文献】再公表特許第2018/073926(JP,A1)
【文献】特開2018-069727(JP,A)
【文献】特開2013-015589(JP,A)
【文献】特開2012-142338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/04
G03G 21/16
B41J 2/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
感光体と、
前記感光体に潜像を形成する露光装置と、
前記露光装置の少なくとも一部を内部に収容する空間を形成する筒体と、
前記筒体の前記空間内において、前記感光体の回転軸方向に沿って設けられ、前記露光装置を支持する支持部と、
前記回転軸方向における前記筒体の一方の端部に固定される第1の側板と、
前記回転軸方向における前記筒体の他方の端部に固定される第2の側板と、
を備え、
前記支持部は、前記回転軸方向において、前記一方の端部が前記第1の側板に固定され、前記他方の端部が前記第2の側板に固定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記筒体の前記一方の端部は、前記第1の側板に対向する開口を形成し、
前記筒体の前記他方の端部は、前記第2の側板に対向する開口を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記筒体は、前記回転軸方向と直交する方向における前記筒体の断面の形状が連続していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記筒体は、第1のフレームと、第2のフレームと、を有し、
前記第1のフレームと前記第2のフレームとは、前記回転軸方向の複数の箇所で固定されていることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記筒体に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記筒体の一部によって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記筒体は、前記回転軸方向における端部の断面形状が途切れない環状であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記筒体は、前記回転軸方向と直交する方向における前記筒体の断面の形状が三角形であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1のフレームは、前記回転軸方向と直交する断面において、前記三角形の第1の面と他方の辺を形成する第2の面とを有し、
前記第1の面には、前記露光装置を前記空間に挿入するための開口と、前記開口を形成する縁部に第1の当接部と、を有し、
前記第2の面は、第2の当接部を有する前記支持部を有し、
前記露光装置は、前記開口に挿入される方向において後端側に前記第1の当接部と当接する第1の被当接部と、前記挿入される方向において先端側に前記第2の当接部と当接する第2の被当接部と、を有することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1の当接部と前記第1の被当接部、及び、前記第2の当接部と前記第2の被当接部をそれぞれ固定する固定手段を備えることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記支持部は、前記回転軸方向における一方の端部に設けられた第1の凸部と、前記回転軸方向における他方の端部に設けられた第2の凸部と、を有し、
前記第1の側板は、前記第1の凸部が挿入される開口を有し、
前記第2の側板は、前記第2の凸部が挿入される開口を有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成プロセスが適用される画像形成装置は、レーザースキャナから出射されたレーザー光を感光ドラムの軸線方向に沿って、感光ドラムの表面に走査することで潜像を形成する。レーザー光を主走査方向に走査させつつ、一方で感光ドラムを回転させ、主走査方向に対して直交する副走査方向に順次、レーザー光が主走査方向へ走査するようにして、画像が形成されていく。この際、レーザースキャナが副走査方向に振動すると、感光ドラム表面のレーザー光の照射位置も副走査方向にずれてしまい、潜像が本来の位置よりも副走査方向に移動して(ずれて)作像されてしまう。副走査方向のずれは、ブレやバンディングとして画像に現れるため、スキャナユニットは副走査方向に振動しにくい構成が求められている。そこで例えば、本体フレームとスキャナユニットとの連結部に中空の弾性部材と板ばねとを用い、本体フレームで発生した振動をスキャナユニットへ伝搬させにくい構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-003329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置では、弾性部材や板ばねなどの部品が多く必要なため、構成が複雑になり、コストも上がってしまう。このため、部品点数やコストの低減を図りつつ振動に対する剛性を高めることが求められている。
【0005】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、簡素な構成でスキャナユニットの振動剛性を高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
(1)記録材に画像を形成する画像形成装置であって、感光体と、前記感光体に潜像を形成する露光装置と、前記露光装置の少なくとも一部を内部に収容する空間を形成する筒体と、前記筒体の前記空間内において、前記感光体の回転軸方向に沿って設けられ、前記露光装置を支持する支持部と、前記回転軸方向における前記筒体の一方の端部に固定される第1の側板と、前記回転軸方向における前記筒体の他方の端部に固定される第2の側板と、を備え、前記支持部は、前記回転軸方向において、前記一方の端部が前記第1の側板に固定され、前記他方の端部が前記第2の側板に固定されていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡素な構成でスキャナユニットの振動剛性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1、2の画像形成装置の断面図
図2】実施例1のレーザースキャナ周辺部品の断面図
図3】実施例1のレーザースキャナ周辺部品の分解斜視図
図4】実施例1のレーザースキャナ取り付け部の前側斜視図
図5】実施例1のレーザースキャナ取り付け部の後側斜視図
図6】実施例1のレーザースキャナ周辺部品の拡大図
図7】実施例1のスキャナフレーム締結部の拡大図
図8】実施例1のレーザースキャナの側板への取り付けを示す右側斜視図、左側斜視図
図9】実施例1の変形例のレーザースキャナの斜視図
図10】実施例1の変形例のレーザースキャナ周辺部品の断面図
図11】実施例1の変形例のレーザースキャナ周辺部品の分解斜視図
図12】実施例2のレーザースキャナ周辺部品の分解斜視図
図13】実施例2のレーザースキャナ取り付け部の後側斜視図
図14】他の変形例の外装カバーとメインフレームを示す外観斜視図
図15】他の変形例の外装カバーとメインフレームの位置関係を示す左側面断面図
図16】他の変形例の外装カバーとメインフレームの位置関係を説明する図
図17】他の変形例の外装カバーとメインフレームを示す外観斜視図
図18】他の変形例の外装カバーとメインフレームの位置関係を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例により図面を参照しながら詳しく説明する。
【実施例1】
【0010】
[画像形成装置の全体構成]
図1を用いて、画像形成装置の全体構成の概要について説明する。ここで、画像形成装置には、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザービームプリンタなど)、電子写真ファクシミリ装置、及び、電子写真ワードプロセッサーが含まれる。また、画像形成装置は、記録材に画像を形成する機能を兼ね備える複合機、ワークステーション等の出力機器として用いられる、モノカラー又はフルカラーの画像形成装置などが含まれる。図1は、画像形成装置の一例であるレーザービームプリンタ(以下、プリンタという)1の概略構成を示す断面図である。記録材とは、電子写真画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、紙、OHPシート等が含まれる。
【0011】
プリンタ1は、記録材Sを供給する記録材供給部10と、供給された記録材Sに画像形成を行う画像形成部20と、形成された画像を記録材Sに定着する画像定着部30と、画像定着された記録材Sを機外へと排出する記録材排出部40とを備えている。記録材供給部10は、プリンタ1において下方に配置され、記録材Sを収容するように構成されている。記録材供給部10は、主に給紙ローラ12、搬送ローラ13、分離ローラ14、レジストレーションローラ(以下、レジローラという)15対からなり、収容された記録材Sを画像形成部20へと供給する。
【0012】
画像形成部20は、感光体である感光ドラム22及び現像スリーブ23を備えたカートリッジと、露光装置であるレーザースキャナ21と、転写ローラ24とを有し、記録材Sに画像形成を行う。レーザースキャナ21は、光源を有し、感光ドラム22表面にレーザー光を照射する。転写ローラ24は、感光ドラム22と対向し、記録材Sにトナー像を転写する。画像定着部30は、定着加圧ローラ31、定着ヒータ(不図示)を内部に備えた定着加熱ローラ34からなるニップ部を記録材Sが通過することで、未定着のトナー画像の加熱定着を行う。記録材排出部40では、加熱定着された記録材Sを排出ローラ対41の搬送力によってプリンタ1の外部へと排出し、排出トレイ47及び排出延長トレイ48の上方に積載する。ここで、給紙トレイ11や排出延長トレイ48が設けられている図1中左側を「前側(正面)(FRONT)」、両面搬送路が設けられている図1中右側を「後側(背面側)(REAR)」とする。また、排出延長トレイ48が設けられている図1中上側を「上側(UP)」、給紙トレイ11が設けられている図1中下側を「下側(DOWN)」とする。更に、プリンタ1の正面に向かって左側を「左側(LEFT)」、右側を「右側(RIGHT)」とする(図3等参照)。
【0013】
[画像形成装置の動作説明]
上述のように構成されたプリンタ1の画像形成動作について説明する。まず、プリント指令を受け取った、プリンタ1に設けられた制御部(不図示)からの画像信号に基づき、レーザースキャナ21からレーザー光が感光ドラム22上へ照射される。感光ドラム22は、反時計回りに回動しており、クリーニング装置(不図示)によってクリーニングされ、一様に帯電された表面にレーザー光が照射される。レーザー光が照射され、感光ドラム22に形成された静電潜像は、現像スリーブ23上のトナーで現像され、感光ドラム22の表面にトナー像が形成される。
【0014】
一方、給紙ローラ12は所定のタイミングで反時計回りに回動をはじめる。その後、制御部から給紙開始の指令を受けると、搬送ローラ13を中心として給紙アーム16が反時計回りに降下していく。給紙ローラ12は、給紙トレイ11に収容されている記録材Sの束のうち最も上方にある一枚と当接し、記録材Sを摩擦力によって搬送ローラ13へと搬送する。搬送ローラ13への搬送を終えると、給紙アーム16が先程とは逆に時計回りに上昇してゆき、給紙ローラ12が記録材Sから離間する。仮に、記録材Sが複数枚同時に搬送ローラ13へと送り出された際は、分離ローラ14の作用によって最上位の一枚のみが分離され、下流のレジローラ15対へと搬送される。
【0015】
搬送ローラ13からレジローラ15対へと送られた記録材Sは、感光ドラム22と転写ローラ24とを備えた画像形成部20へ搬送される。画像形成部20においては、既述のとおりに感光ドラム22の表面に形成されたトナー像が記録材S表面へ転写される。その後、未定着のトナー像が転写された記録材Sは、画像定着部30へと搬送される。画像定着部30では、時計回りに回転する定着加圧ローラ31と、定着加圧ローラ31によって反時計回りに従動回転する定着加熱ローラ34と、によって形成される定着ニップ部を記録材Sが通過する。定着加熱ローラ34は、内部に定着ヒータを備え、定着ニップ部で記録材Sを加圧するとともに、定着ヒータで加熱することで記録材S上の未定着のトナー画像の定着を行う。
【0016】
最後に、記録材排出部40に設けられ、時計回りに回転する排出駆動ローラ42と、排出駆動ローラ42によって従動回転する排出従動ローラ43と、でニップ部を形成する排出ローラ対41によって、記録材Sはプリンタ1の機外へ排出される。排出された記録材Sは、排出トレイ47及び排出延長トレイ48上に例えば画像転写面を下にして載置される。排出トレイ47は排出ローラ対41のニップ部に対して下方に配置され、排出された記録材Sの上に後続祇が順次積載されていく。
【0017】
記録材Sの表裏両面に印刷を行う場合は、一面目の画像形成を終えた記録材Sの後端が定着ニップ部と排出ローラ対41との間に設けられた定着ガイド33の搬送方向の最下流端を通過した後、排出駆動ローラ42の回転方向を反時計回りに反転させる。すると、記録材Sは両面上ガイド44及び両面下ガイド45からなる両面搬送路へ侵入していき、両面ローラ対46へと搬送される。排出ローラ対41のニップ部から記録材Sがなくなると、排出駆動ローラ42は再び時計回りに回転をはじめ、二面目の記録材Sの排出に備える。記録材Sは両面ローラ対46によってレジローラ15対によって形成されるニップ部へと搬送され、以降は記録材Sの一面目と同様の工程を経て二面目に画像形成を行う。
【0018】
[フレーム構成]
図8を用いて、プリンタ1のフレーム構成について、説明する。図8(a)は右側板73及び左側板74、スキャナフレーム51を右側から見た斜視図である。図8(b)は右側板73及び左側板74、スキャナフレーム51を左側から見た斜視図である。プリンタ1のフレーム構成は、スキャナフレーム51が固定されるスキャナフレーム51の右側に右側板73、左側に左側板74がそれぞれ設けられている。右側板73及び左側板74は、図1で説明した画像形成部20や画像定着部30を取り付けるための側板である。右側板73及び左側板74には、感光ドラム22等の各部材の取り付け部が設けられ、レーザースキャナ21に対して固定されることで、レーザースキャナ21に対して感光ドラム22等の各部材が位置決めされるように構成されている。
【0019】
[レーザースキャナ21の支持構成]
(メインフレーム及びサブフレーム)
実施例1のレーザースキャナ21の支持構成について、図2から図5を用いて説明する。図2は実施例1のレーザースキャナ21の周辺部品を示す断面図である。スキャナフレーム51は、長手方向(左右方向)と直交する断面において、三角形の2つの辺を形成する第1のフレームであるメインフレーム52と、三角形の1つの辺を形成する第2のフレームであるサブフレーム53と、を有している。メインフレーム52とサブフレーム53とは、長手方向(左右方向)の複数の箇所で締結されている。複数箇所の締結については後述する。
【0020】
図2に示すようにスキャナフレーム51は、メインフレーム52とサブフレーム53とが互いに締結される。これにより、長手方向と直交する断面の形状が三角形となる筒体が形成され、レーザースキャナ21の少なくとも一部を内部に収容する空間Spを形成する。レーザースキャナ21は、メインフレーム52とサブフレーム53で構成された筒体内部の空間Spに設けられたスキャナステイ50(支持部)で一端が、またメインフレーム52で他端が下方から支持される。詳細なレーザースキャナ21の支持構成については、のちほど詳細に説明を行う。
【0021】
(スキャナステイ)
図3は実施例1のレーザースキャナ21の周辺部品の分解斜視図である。図6は、スキャナステイ50を支持したメインフレーム52にレーザースキャナ21を配置して後述するばねによって固定し、サブフレーム53をメインフレーム52に締結してスキャナフレーム51を構成する際の斜視図である。スキャナステイ50は、スキャナフレーム51の空間Sp内(図2図6)(空間内)に設けられ、レーザースキャナ21を支持する。図2及び図3に示すように、スキャナステイ50は断面の形状(以下、断面形状という)(左右方向と直交する断面の形状)が略Z字の形状となっている。また、スキャナステイ50は左右方向に延びており、すなわち長手方向が感光ドラム22の回転軸方向と、またプリンタ1の左右方向と、同一となるように設置されており、振動及び静的な変形に強い形状をとっている。なお、スキャナステイ50は、メインフレーム52に固定される固定部50Aと、一端が固定部50Aに繋がり、他端が固定部50Aから離れるように延びる接続部50Bと、接続部50Bの他端に繋がるスキャナ位置決め部50Cを有している。実施例1では、固定部50A、接続部50B、そしてスキャナ位置決め部50Cとで構成されるスキャナステイ50の長手方向と直交する断面形状を略Z字形としている。また、固定部50Aと接続部50Bの間の角度と、接続部50Bとスキャナ位置決め部50Cの間の角度と、を図2に示すようにそれぞれ略90°としたものの、これに限らず、異ならせた角度としてもよい他、略90°以外の角度としてもよい。また、固定部50A、接続部50B、そしてスキャナ位置決め部50Cとで構成されるスキャナステイ50の長手方向と直交する断面形状をコの字形(略U字形)等他の形状としてもよい。
【0022】
(レーザースキャナの設置)
メインフレーム52は、長手方向と直交する断面において、三角形の2つの辺のうち一方の辺を形成する第1の面である第1面52Aと、他方の辺を形成する第2の面である第2面52Bと、を有している(図2及び図3)。メインフレーム52は略L字の断面形状をしており、第1面52Aはレーザースキャナ21を上下方向に支持する支持部として機能し、第2面52Bは、第1面52Aに対して略垂直で、スキャナステイ50を支持する。サブフレーム53には、レーザースキャナ21から照射されたレーザー光が妨げられないように、レーザー光が通過するための開口53Aが設けられている。サブフレーム53は、三角形の1つの辺を形成している。つまり、メインフレーム52は、上下方向及び左右方向に延びる第1面52Aと、左右方向及び前後方向に延びる第2面52Bを備え、直交するメインフレーム52の第1面52Aと第2面52Bにサブフレーム53の一端と他端がそれぞれ固定されている。このように、上述した断面形状が三角形の空間Spは、メインフレーム52の第1面52A、メインフレーム52の第2面52B、サブフレーム53、の3つの面によって形成されている。
【0023】
図4は実施例1のレーザースキャナ21の取り付け部の前側拡大図である。図4に示すように、メインフレーム52の第1面52Aには、開口52Cが形成されている。開口52Cは、左右方向に延びる下端である縁部52A1、左右方向に延びる上端である縁部52A2、上下方向に延びる左右方向の一端である縁部52A3、上下方向に延びる左右方向の他端である縁部52A4と、を有する。レーザースキャナ21は、図3の矢印Aに示すように、正面側から開口52Cを通って空間Sp内に挿入され、スキャナステイ50上に設置される。このとき、スキャナステイ50のスキャナ位置決め部50Cは、少なくとも2つの貫通孔が設けられており、レーザースキャナ21に向けられた下方へ突出した2つのボス21Cのそれぞれが図2に示すようにこの貫通孔を貫通した状態とされる。これにより、レーザースキャナ21は、スキャナ位置決め部50Cに対して上下方向への移動を許容しつつ、前後方向及び左右方向における位置決めがなされる。
【0024】
またメインフレーム52の第1面52Aの縁部52A1には、第1の当接部であるフレーム側当接部54が設けられている。つまりフレーム側当接部54は、レーザースキャナ21が開口52Cに挿入される方向において後端側に設けられている。一方、レーザースキャナ21には、前後方向における一方の端部である正面側に第1の被当接部である第1当接部21Aが設けられている。そして実施例1ではメインフレーム52の第1面52Aのフレーム側当接部54は、レーザースキャナ21の第1当接部21Aと当接するように構成されている。より詳細には、フレーム側当接部54の上部と第1当接部21Aの下部とが当接する。これによりレーザースキャナ21の前側端部における上下方向の位置決めが行われる。
なお、フレーム側当接部54及び第1当接部21Aは、図3図4等では2箇所設けられているが、1箇所設けられていてもよいし3箇所以上設けられていてもよい。
【0025】
図5は実施例1のレーザースキャナ21の取り付け部の後側拡大図である。図5に示すように、レーザースキャナ21には、前後方向における他方の端部である背面側に第2の被当接部である第2当接部21Bが設けられている。言い換えれば、レーザースキャナ21は、開口52Cに挿入される方向において先端側に第2当接部21Bを有している。一方、スキャナステイ50には、レーザースキャナ21の第2当接部21Bと当接するように、長手方向(左右方向)の所定の位置に第2の当接部であるステイ側当接部55が設けられている。ステイ側当接部55は、スキャナステイ50の接続部50Bにおける固定部50Aと繋がる一端と反対側の他端から接続部50Bから折り曲げられてスキャナ位置決め部50Cとなることなく、部分的に接続部50Bの延在方向に突出するようにして形成されている。レーザースキャナ21が空間Spに挿入され、レーザースキャナ21の第2当接部21Bとスキャナステイ50のステイ側当接部55とが当接することで、レーザースキャナ21の後側端部における上下方向の位置決めが行われる。より詳細には、ステイ側当接部55の上部(端部)と第2当接部21Bの下部とが当接する。なお、ステイ側当接部55及び第2当接部21Bは、図3図5等では1箇所設けられているが、2箇所以上設けられていてもよい。以上のように、フレーム側当接部54はメインフレーム52の第1面52Aに、ステイ側当接部55はスキャナステイ50に開放端(エッジ)で形成され、各々がレーザースキャナ21の第1当接部21A及び第2当接部21Bに対して略垂直に当接する。
【0026】
(レーザースキャナの固定)
第1当接部21Aは、図4に示すように、固定手段であるフレーム側ばね56の弾性変形の復元力によってレーザースキャナ21を下方向へと付勢することでレーザースキャナ21を固定する。メインフレーム52の第1面52Aのフレーム側当接部54の近傍には、孔54Dとばね留め部54Eとが設けられている。レーザースキャナ21の第1当接部21Aには、フレーム側ばね56を引っ掛けるためのばね受け部21A1が設けられている。フレーム側ばね56は、例えば図4に示すような孔54Dとの係合部と、ばね留め部54Eとの係合部と、の間において、ばね受け部21A1との係合部(引っ掛け部56A)が設けられた線ばねである。具体的には、フレーム側ばね56の一端は、孔54Dに正面側から背面側に向かって貫通しており、他端はばね留め部54Eに下側から上側に向かって引っ掛けられている。フレーム側ばね56の中間部には第1当接部21Aのばね受け部21A1に引っ掛けられるように引っ掛け部56Aが設けられている。フレーム側ばね56は、レーザースキャナ21のばね受け部21A1、ひいては第1当接部21Aを、上側から下側に向かってフレーム側当接部54へ付勢し、レーザースキャナ21の上下方向への移動を規制する。例えば、作業者は、フレーム側ばね56の一方の端部を孔54Dに挿入し、レーザースキャナ21のばね受け部21A1の上側から引っ掛け部56Aを引っ掛ける。そして作業者は、フレーム側ばね56を下側に押し込み、フレーム側ばね56の他方の端部を下側からばね留め部54Eに引っ掛けることでメインフレーム52の第1面52Aにレーザースキャナ21を固定する。
【0027】
第2当接部21Bも固定手段であるステイ側ばね57の弾性変形の復元力によってレーザースキャナ21を下方向へと付勢することでレーザースキャナ21を固定する。図5に示すように、スキャナステイ50のステイ側当接部55の近傍には、孔55Aとばね留め部55Bとが設けられている。レーザースキャナ21の第2当接部21Bには、ステイ側ばね57を引っ掛けるためのばね受け部21B1が設けられている。ステイ側ばね57は、例えば図5に示すような孔55Aとの係合部と、ばね留め部55Bとの係合部と、の間において、ばね受け部21B1との係合部(引っ掛け部57A)が設けられた線ばねである。具体的には、ステイ側ばね57の一端は、孔55Aに背面側から正面側に向かって貫通しており、他端はばね留め部55Bに下側から上側に向かって引っ掛けられている。ステイ側ばね57の中間部には第2当接部21Bのばね受け部21B1に引っ掛けられるように引っ掛け部57Aが設けられている。ステイ側ばね57は、レーザースキャナ21のばね受け部21B1、ひいては第2当接部21Bを、上側から下側に向かってステイ側当接部55へ付勢し、レーザースキャナ21の上下方向への移動を規制する。例えば、作業者は、ステイ側ばね57の一方の端部を孔55Aに挿入し、レーザースキャナ21のばね受け部21B1の上側から引っ掛け部57Aを引っ掛ける。そして作業者は、ステイ側ばね57を下側に押し込み、ステイ側ばね57の他方の端部を下側からばね留め部55Bに引っ掛けることでスキャナステイ50にレーザースキャナ21を固定する。
【0028】
なお、フレーム側ばね56及びステイ側ばね57の形状は図4図5等に示した態様に限定されない。したがって、フレーム側ばね56とメインフレーム52との係合、フレーム側ばね56とレーザースキャナ21との係合等の方法も図4に示した態様に限定されない。また、ステイ側ばね57とスキャナステイ50との係合、ステイ側ばね57とレーザースキャナ21との係合等の方法も図5に示した態様に限定されない。固定手段についても、例えば、ばねではなくビス等であってもよい。
【0029】
[スキャナフレーム51]
以下では実施例1の特徴部分に係るスキャナフレーム51の構成について図3等を用いて説明する。実施例1に係るスキャナフレーム51は、第1のフレームであるメインフレーム52と第2のフレームであるサブフレーム53に加え、メインフレーム52とサブフレーム53に対して、右に設けられた右フレーム70と、左に設けられた左フレーム71と、を有する。つまりスキャナフレーム51は、プリンタ1本体の左右に配置された右フレーム70と左フレーム71との間をメインフレーム52とサブフレーム53で繋ぐように左右に延びた形状を有する。
【0030】
後述するようにメインフレーム52とサブフレーム53は、複数の箇所、加締められることによって、接続されている。スキャナフレーム51の左右端部においては、メインフレーム52とサブフレーム53の一端と他端に、それぞれ締結ビス75(図8)で右フレーム70、左フレーム71が締結される。このようにして、スキャナフレーム51は箱形状とし、右フレーム70と左フレーム71の間には、空間Spが位置するように構成されている。なお実施例1では右フレーム70と左フレーム71は、メインフレーム52の第1面52A、第2面52B、サブフレーム53、それぞれに対して固定している。しかしながら右フレーム70と左フレーム71は、メインフレーム52の第1面52A、第2面52B、サブフレーム53のうち、少なくとも2つに対してそれぞれ固定された構成としてもよい。
【0031】
また図3に示すように、スキャナステイ50はプリンタ1本体の左右に配置された右フレーム70と左フレーム71との間をつなぐように左右に延びた形状となっている。スキャナステイ50の左右端部には、右フレーム70、左フレーム71に設けられた貫通孔を介してステイ締結部72(左側不図示)にそれぞれネジ78(図8)が締結される。このように、スキャナステイ50は、長手方向における一方の端部が右フレーム70に固定され、長手方向における他方の端部が左フレーム71に固定されている。特にネジ78は、長手方向において、メインフレーム52とサブフレーム53で構成された、三角形の端面の領域と重なる右フレーム70、左フレーム71の部分に設けられている。
【0032】
なお、スキャナステイ50の断面形状も実施例1の形状に限定するわけではなく、例えばロの字や、板厚を増したL字形状であっても構わない。実施例1のスキャナステイ50は、折り曲げ加工が施された板金の他、棒状のものなど剛性を確保でき、スキャナステイ50自身が撓みにくいものであれば例えば樹脂で形成されたものであっても構わない。またスキャナステイ50は、レーザースキャナ21が固定でき、右フレーム70と左フレーム71に固定される構成とされていればよく、固定部50A、接続部50Bを有さない構成としてもよい。
【0033】
(加締め部)
スキャナフレーム51の一部を拡大した図7を用いて、加締めによってメインフレーム52とサブフレーム53を一体化する構成について、詳細に説明する。スキャナフレーム51は、加締め部58を複数有し、この加締め部58で被締結側の部品であるサブフレーム53が締結側の部品であるメインフレーム52に接続されている。
【0034】
サブフレーム53は、メインフレーム52の第1面52Aと隣り合うようにして繋がる一方の接続部と、メインフレーム52の第2面52Bと接続される他方の接続部と、に長手方向(左右方向)に所定の間隔で設けられた締結孔58Aを複数有している。
【0035】
一方、メインフレーム52の一方の接続部は、サブフレーム53の一端と接続される部分であってサブフレーム53の締結孔58Aに対応する位置に、加締め軸58Bを有している。また、メインフレーム52の第2面52Bの接続部にも、サブフレーム53の他端と接続される部分であってサブフレーム53の締結孔58Aに対応する位置に、加締め軸58B(図7には不図示)を有している。加締め軸58Bは、バーリング加工等により、貫通孔の縁にフランジを成形するようにしてメインフレーム52の第1面52Aと隣り合う一方の接続部と、第2面52Bの接続部から突出した円筒形状を有している。
【0036】
加締め部58は、サブフレーム53の締結孔58Aにメインフレーム52の加締め軸58Bが貫通するようにして配置されている。このようにして、メインフレーム52の第1面52Aと隣り合うようにして繋がる接続部と、第2面52Bの接続部と、には、それぞれサブフレーム53の一端、他端が重畳するように配置されている。加締め軸58Bは、加締められ、塑性変形させられることにより、加締め軸58Bの変形部とメインフレーム52の第1面52Aと隣り合うようにして繋がる接続部、第2面52Bの接続部、それぞれの間にサブフレーム53が挟み込まれる構成としている。これによりサブフレーム53は、加締め部58において、メインフレーム52の第1面52Aと隣り合うようにして繋がる接続部、第2面52Bの接続部、それぞれに固定されている。すなわち、加締め部58は、締結孔58Aと加締め軸58Bとによって構成され、メインフレーム52の第1面52Aと隣り合うようにして繋がる接続部と、第2面52Bの接続部と、に設けられている。
【0037】
加締め部58はすべて図7と略同形状である。なお、実施例1では、メインフレーム52とサブフレーム53との締結をバーリング加締めによって行ったが、締結手段はこれに限定されるものではなく、例えば他の加締め手段や、ビス締結、溶接などでもよい。
【0038】
(効果)
実施例1ではスキャナフレーム51は、プリンタ1本体の左右に配置された右フレーム70と左フレーム71との間をメインフレーム52とサブフレーム53で繋ぐように箱状に形成されている。つまり、メインフレーム52とサブフレーム53とで長手方向と直交する断面形状が三角形となる構成としている。これにより、長手方向に延びた軸まわりのねじれに対して剛性を高めることができる。またメインフレーム52とサブフレーム53の長手方向の端部に、右フレーム70、左フレーム71設けた構成としている。これにより、長手方向に延びた軸まわりのねじれに対して剛性を高めることができる他、長手方向と直交する断面において三角形の各辺にあたるメインフレーム52の第1面52Aと第2面52B、サブフレーム53が空間Spの内側・外側へ撓む変形を抑制できる。ここで実施例1では、スキャナステイ50は、右フレーム70と左フレーム71にそれぞれ固定され、右フレーム70と左フレーム71との間を繋ぐ構成としている。この構成により、メインフレーム52の第2面52Bにたわみが生じた場合であっても、スキャナステイ50、ひいてはレーザースキャナ21の位置が変位することを抑制することができる。さらにはネジ78が長手方向においてメインフレーム52とサブフレーム53で構成された、三角形の端面の領域と重なる右フレーム70、左フレーム71の部分に設けられた構成としている。この構成により、スキャナステイ50は、右フレーム70、左フレーム71のうち、外力が加わった際に変形し難い部分に設けることができ、スキャナステイ50が変位することをより良く抑制することができる。このようにスキャナフレーム51のねじれやスキャナフレーム51を構成する部材のたわみを抑制した構成とすることにより、レーザースキャナ21を副走査方向に変位させる振動が抑制される構成とし、スキャナフレーム51の振動剛性を高めることができる。
【0039】
特に実施例1では、少なくとも長手方向におけるメインフレーム52とサブフレーム53の端部においては、切り欠きや穴形状が形成されることなく、空間Spを囲む長手方向と直交する断面が途切れなく繋がった環状となるように構成されている。つまり、右フレーム70や左フレーム71は、三角形の環状となった、メインフレーム52とサブフレーム53で構成された筒状体の端面に固定されるようにしてスキャナフレーム51は構成されている。具体的には、スキャナフレーム51の長手方向中央部における断面をとると、メインフレーム52の第1面52Aには開口52Cがあったり、サブフレーム53には開口53Aがあったりして、断面形状は三角形の環状とならず、三角形の辺が途切れた状態である。しかし、少なくともスキャナフレーム51の一方の端部及び他方の端部ではこのような開口等がなく、断面形状は辺が連続した三角形の環状となっている。これによりメインフレーム52やサブフレーム53に右フレーム70や左フレーム71が強固に固定された構成とすることができ、突発的な外力や、ねじれ方向の変形に対する剛性が高められている。この剛性の高いスキャナフレーム51に対してスキャナステイ50が固定されることで、レーザースキャナ21への振動伝搬を抑制し、ブレやバンディングなどの画像不良を抑制することが可能となる。右フレーム70及び左フレーム71の材質は板金材のみならず樹脂材であっても構わないし、右側板73及び左側板74と一体化しても構わない。また、スキャナフレーム51の剛性を確保できるのであれば、例えばサブフレーム53の板厚をメインフレーム52よりも薄くしたり、メインフレーム52とサブフレーム53とを一体化したりすることで、材料費や部品点数の削減が可能である。また、図7で説明したような加締め部58を両端部に有する3つのフレームを用いてスキャナフレーム51を構成してもよい。この場合、スキャナフレーム51の断面三角形の3つの角部において、それぞれ2つのフレームを加締めればよい。
【0040】
なお、実施例1では、スキャナステイ50とメインフレーム52の第2面52Bとは接している、具体的には固定されている構成である。しかし、スキャナステイ50は、少なくとも長手方向の両端部のステイ締結部72(図3)が右フレーム70及び左フレーム71に固定されていればよく、必ずしもメインフレーム52の第2面52Bと接していなくてもよい。これにより、仮にメインフレーム52の第2面52Bにたわみが発生したとしても、スキャナステイ50が影響を受けることがない。
【0041】
以上、実施例1によれば、簡素な構成でスキャナユニットの振動剛性を高くすることができる。この際、高い振動剛性が必要な個所に限定して剛性を増すことが可能なため、過剰剛性による不必要なコストの増加をなくすことができる。また、スキャナユニット周辺のねじれ剛性を確保することが可能なため、輸送時の衝撃などによる塑性変形に対してもより強い構成を実現できる。
【0042】
なお実施例1では、右側板73は右フレーム70に、左側板74は左フレーム71にそれぞれ取り付けられることで、プリンタ1本体のフレームが構成されている。つまり、右側板73及び左側板74は、レーザースキャナ21を基点として、感光ドラム22等の各部材が位置決めされ、取り付けられている。このため、スキャナユニットのスキャナフレーム51の剛性を高めた構成とすることにより、レーザースキャナ21に対する感光ドラム22等の各部材が位置決め精度を高めることができる。
【0043】
[実施例1の変形例]
なお、レーザースキャナ21の固定方法は、実施例1で説明した構成に限られない。そこで以下では、レーザースキャナ21の支持構成の変形例について、説明を行う。本変形例では、実施例1で詳細に説明を行わなかったレーザースキャナ21の構成について説明した後、レーザースキャナ21の支持構成について説明を行う。
【0044】
[レーザースキャナの構成]
図9(a)は、走査光学装置であるレーザースキャナ21を上方向から見たときの上面斜視図であり、図9(b)は、レーザースキャナ21を底面方向から見たときの下面斜視図である。なお、図9(a)では、内部構成を説明するため、レーザースキャナ21の開口部を覆う蓋を取り外した状態を示している。レーザースキャナ21をプリンタ1に設置する際には、レーザースキャナ21の開口部は、樹脂製又は金属製の光学蓋(不図示)によって覆われ、レーザースキャナ21内部は密閉状態となる。
【0045】
レーザースキャナ21の筐体203内部には、レーザー光を偏向する光偏向器211や各種光学部材が配置されている。光偏向器211は、入射するレーザー光の光路を偏向する回転多面鏡213、回転多面鏡213を回転駆動するスキャナモータ212、スキャナモータ212の回転を制御する制御IC等を有している。なお、レーザー光Lを偏向する光偏向器211は、所謂MEMS等の共振型の光走査素子を用いてもよい。また、本変形例の筐体203は、樹脂製である。なお、以下では、光偏向器211で偏向走査されたレーザー光Lが、感光ドラム22の表面を走査する方向(感光ドラム22の回転軸方向でもある)を主走査方向、この主走査方向に垂直な方向(感光ドラム22の回転方向でもある)を副走査方向という。
【0046】
光源であるレーザーダイオード201から画像情報に応じて出射されるレーザー光Lは、複合アナモフィックコリメータレンズ202によって、主走査方向では略平行光又は収束光とされ、副走査方向では収束光とされる。そして、複合アナモフィックコリメータレンズ202を通過したレーザー光Lは、筐体203に形成された光学絞り204によって、所定のビーム径に制限されたレーザー光となる。光学絞り204を通過したレーザー光Lは、スキャナモータ212により駆動される回転多面鏡213へと進み、回転多面鏡213の反射面に反射されることによって偏向される。偏向されたレーザー光Lは、fθレンズ205へと進み、fθレンズ205を通過後、筐体203に設けられたレーザー光Lが通過する開口部(射出口)から感光ドラム22上に集光され、感光ドラム22上に静電潜像を形成する。また、図9(a)において、破線は、回転多面鏡213により偏向されたレーザー光Lが出射される主走査方向の範囲を示している。
【0047】
次に、取付座面である2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bについて説明する。図9(b)は、レーザースキャナ21の底面を示す斜視図であり、図中、左上側はレーザー光が出射される開口部(出射口)が設けられた筐体203の面側の底面であり、右下側は光偏向器211が設置された筐体203の面側の底面である。レーザースキャナ21の底面には、2つの第1当接部21Aと1つの第2当接部21Bの合計3つの当接部が設けられている。取付基準面は、レーザースキャナ21がスキャナステイ50、メインフレーム52により支持されている場合に、スキャナステイ50、メインフレーム52と当接する座面のことであり、本変形例では、形状は約5mm×5mmの正方形状を有し、表面は滑らかな平面となっている。また、本変形例では、第2当接部21Bは、レーザースキャナ21の筐体203のレーザー光Lの出射口側の端部の中央部の近傍に設けられている。一方、2つの第1当接部21Aは、レーザースキャナ21のレーザー光の出射口側とは反対側の、光偏向器211が設置された側の筐体203の端部の近傍で、第2当接部21Bに対向する位置を挟んで主走査方向(図中、長手方向)に等距離だけ離れた位置に設けられている。なお、本変形例では、取付基準面は、筐体203の底面のレーザー光Lの出射口側に1つ、光偏向器211が設置された側に2つ設けられているが、レーザー光Lの出射口側に2つ、光偏向器211が設置された側に1つ設けるようにしてもよい。
【0048】
また、後述するように、2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bは、スキャナステイ50、メインフレーム52に当接した際に、レーザースキャナ21の筐体203が感光ドラム22に対して同じ角度で傾斜するように、筐体203の底面に対して同じ角度を有する傾斜面となっている。更に、筐体203の長手方向(主走査方向でもある)の2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bに対向する位置の筐体203の外周の外側には、それぞれ、筐体203から突出した形状の2つのばね受け部21A1、ばね受け部21B1が設けられている。後述するように、2つのばね受け部21A1、ばね受け部21B1は、ステイ側ばね57、フレーム側ばね56(図10図11参照)により、レーザースキャナ21をスキャナステイ50、メインフレーム52に付勢するために設けられている。なお、図9(b)に示す穴203aは、光偏向器211のスキャナモータ212の回転軸が支持されるボス穴である。
【0049】
[レーザースキャナを支持する構成]
次に、本変形例でのレーザースキャナ21のスキャナステイ50、メインフレーム52による支持方法について説明する。図10は、プリンタ1において、レーザースキャナ21を支持するスキャナステイ50、メインフレーム52の構成を説明する模式断面図であり、レーザースキャナ21の光偏向器211のスキャナモータ212の回転軸の中心で切断したときの断面図を示している。なお、図10では、レーザースキャナ21よりも高い位置のメインフレーム52の表示を省略している。また、図10において、X軸は水平方向を示し、Y軸は鉛直方向を示している。
【0050】
図10は、レーザースキャナ21がスキャナステイ50、メインフレーム52に支持されている様子を示す断面図である。具体的には、図10は、レーザースキャナ21の筐体203の底面に設けられた第2当接部21Bがスキャナステイ50のステイ側当接部55に、また2つの第1当接部21Aがそれぞれ対応するメインフレーム52のフレーム側当接部54に当接することで、レーザースキャナ21はスキャナステイ50、メインフレーム52に支持されている。なお、ステイ側当接部55は、スキャナステイ50の第2当接部21Bに当接する端部の当接面のことである。同様に、フレーム側当接部54は、メインフレーム52の2つの第1当接部21Aに当接する端部の当接面のことである。また、図10では、一方の第1当接部21Aは不図示となっている。そして、破線は、レーザーダイオード201(図10では不図示)から出射され、光偏向器211のスキャナモータ212で駆動される回転多面鏡213により偏向されたレーザー光Lが感光ドラム22の表面を走査する光路を示している。
【0051】
本変形例では、レーザースキャナ21の第2当接部21Bが当接するスキャナステイ50のステイ側当接部55のプリンタ1の内部の底面からの位置が、第1当接部21Aが当接するメインフレーム52のフレーム側当接部54の位置よりも高い。そのため、レーザースキャナ21は、感光ドラム22に対して、水平方向(図中、X軸方向)から仰角である角度θを有して、スキャナステイ50、メインフレーム52に設置されている。図10に示すように、角度θは、光偏向器211のスキャナモータ212の回転軸に直交する回転多面鏡213(又はレーザースキャナ21の筐体203の底面でもある)に対する角度である。スキャナステイ50のステイ側当接部55及びメインフレーム52のフレーム側当接部54と当接する、2つの第1当接部21A及び第2当接部21Bの平面(基準面)も、レーザースキャナ21の筐体203の底面に対して、角度θを有するように形成されている。更に、メインフレーム52のフレーム側当接部54とスキャナステイ50のステイ側当接部55とを結ぶ線分の水平方向に対する角度が角度θとなるように、フレーム側当接部54、ステイ側当接部55の位置が設定されている。そのため、メインフレーム52のフレーム側当接部54、スキャナステイ50のステイ側当接部55に対して、第1当接部21Aと第2当接部21Bの面全体が平行になる。その結果、第1当接部21Aと第2当接部21Bがメインフレーム52のフレーム側当接部54、スキャナステイ50のステイ側当接部55に当接する際には、取付基準面全体が当接(面接触)することになる。なお、図10では、一方の第1当接部21Aは不図示であるが、図10で図示した第1当接部21Aと同様な構成で、メインフレーム52の不図示のフレーム側当接部54と当接している。
【0052】
また、ステイ側ばね57は、レーザースキャナ21の筐体203に設けられたばね受け部21B1の図中上側と、スキャナステイ50に設けられたばね留め部55Bの図中下側を通るように掛け渡されている。一方、フレーム側ばね56は、レーザースキャナ21の筐体203に設けられたばね受け部21A1の図中上側と、メインフレーム52に設けられた真ん中のばね留め部54Eの図中下側を通るように掛け渡されている。このように配置されたステイ側ばね57、フレーム側ばね56により、レーザースキャナ21は、スキャナステイ50、メインフレーム52の方向に付勢されている。
【0053】
[本体フレームの構成]
ここで、図10に示すスキャナステイ50、メインフレーム52の構成やレーザースキャナ21の線ばねによる支持方法について説明する。図11(a)は、スキャナフレーム51を構成する部材であるメインフレーム52、サブフレーム53、さらにはスキャナフレーム51に取り付けられたスキャナステイ50などを部材毎に分解した状態を示す斜視図である。
【0054】
サブフレーム53は、面53bを中心に、面53bと隣接する4つの面53c、53d、53e、53fを有している。面53bには、中央部にレーザースキャナ21から出射されるレーザー光を通過させるために、開口53Aが設けられている。面53bの図中左右方向の両側に設けられた面53c、53dは、プリンタ1の側面に設けられた側板フレーム(不図示)と接続するために設けられており、図中の丸穴は、側板フレームと接続するためのビス穴である。面53bの図中上側に隣接する面53eには、メインフレーム52の面52Cと接続するためのビス穴が設けられている。面53bに隣接する面53fは、サブフレーム53をプリンタ1の筐体の底面に固定するためのビス穴(不図示)を有し、面53fをプリンタ1に固定することにより、スキャナフレーム51をプリンタ1に固定し、スキャナフレーム51の剛性を高めている。
【0055】
スキャナステイ50は、1枚の板金をL字形状に折り曲げ加工して形成されている。スキャナステイ50は、固定部50A(第1の面)と、固定部50Aに対して垂直又は鉛直方向に折り曲げられた接続部50B(第2の面)を有している。固定部50Aには、スキャナステイ50をメインフレーム52にネジ103(図10参照)で接続するための穴が設けられている。図10は、スキャナステイ50をメインフレーム52にネジ留めした状態を示している。一方、接続部50Bは、レーザースキャナ21の筐体203の第2当接部21Bが当接するステイ側当接部55(支持座面)と、筐体203のばね受け部21A1をステイ側ばね57で付勢するための、接続部50Bから突出した形状の二つのばね留め部55Bを有している。なお、二つのばね留め部55Bは、筐体203のばね受け部21A1を中心に等距離離れた、接続部50Bのステイ側当接部55の近傍の箇所を切り込み、切り込んだ部分を接続部50Bに対して垂直になるように折り曲げることにより形成されている。
【0056】
メインフレーム52は、1枚の板金をL字形状に折り曲げる折り曲げ加工、及び開口部を設ける加工を行うことにより形成されている。メインフレーム52は、第1面52A(第3の面)、第1面52Aに対して垂直又は鉛直方向に折り曲げられた第2面52B(第4の面)、及び第2面52Bに対して垂直に折り曲げられた面52Cを有している。面52Cは、上述したように、サブフレーム53の面53eと接続するために設けられた面であり、サブフレーム53の面53eとのネジ止めのためのネジ穴が設けられている。また、第1面52Aには、スキャナステイ50と接続するためのネジ穴のほか、メインフレーム52をプリンタ1の筐体の底面に固定するためのネジ穴が設けられている。第2面52Bには、レーザースキャナ21を着脱する際にレーザースキャナ21の出入口となる開口部が設けられている。また、開口部の縁部52B1は、レーザースキャナ21の筐体203の2つの第1当接部21Aが当接する平面(支持座面)である。
【0057】
また、開口部の縁部52B1の近傍には、筐体203のばね受け部21A1、ばね受け部21B1をフレーム側ばね56で付勢するために、第2面52Bから突出した形状の3つのばね留め部54Eが設けられている。なお、3つのばね留め部54Eは、それぞれ筐体203のばね受け部21A1、ばね受け部21B1を中心に等距離離れた、第2面52Bの縁部52B1の近傍の箇所を切り込み、切り込んだ部分が第2面52Bに対して垂直になるように折り曲げることにより形成されている。図11(a)に示すレーザースキャナ21は、レーザー光Lが出射される開口部が設けられた側とは反対側の方向から見たときの斜視図であり、筐体203の外周の端部側に、フレーム側ばね56で付勢される2つの第1当接部21Aのばね受け部21A1が設けられているのが分かる。
【0058】
[線ばねによる走査光学装置の付勢]
図11(b)は、レーザースキャナ21の筐体203の2つの第1当接部21Aがメインフレーム52の縁部52B1に設置された状態を示す斜視図である。図11(b)では、レーザースキャナ21の筐体203に設けられた2つのばね受け部21A1と、メインフレーム52に設けられた3つのばね留め部54Eが、フレーム側ばね56により付勢されている。具体的には、フレーム側ばね56は、次のように設置されている。すなわち、メインフレーム52に設けられた3つのばね留め部54Eについては、フレーム側ばね56は、各爪部の裏面(図中下側を向いた面)に接するように設置されている。一方、レーザースキャナ21の筐体203に設けられた2つのばね受け部21A1については、フレーム側ばね56は、各爪部の表面(図中上側を向いた面)に接するように設置されている。更に、フレーム側ばね56は、レーザースキャナ21の筐体203に設けられた爪部と、メインフレーム52に設けられた爪部との間で、各爪部との高さに応じてクランク状に折り曲げる加工がされている。なお、図11(b)には示されていないが、上述した方法と同様の方法で、レーザースキャナ21の筐体203に設けられたばね受け部21B1と、スキャナステイ50に設けられた二つのばね留め部55Bとが、ステイ側ばね57により付勢されている。そして、レーザースキャナ21を脱着可能にするため、ステイ側ばね57、フレーム側ばね56は、着脱可能なように設置されている。
【0059】
以上説明したように、本変形例では、レーザースキャナ21は、2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bを介してスキャナステイ50のステイ側当接部55、メインフレーム52の縁部52B1で支持されている。光偏向器211のスキャナモータ212によるレーザースキャナ21の振動は、スキャナステイ50、メインフレーム52の平面に対して垂直な方向には伝わりづらい。そのため、スキャナステイ50、メインフレーム52の鉛直方向(図10におけるY軸方向)に構成されている接続部50B、52B(図11(a)参照)の撓みを軽減することができる。その結果、補強部材を追加することなく、レーザースキャナ21の副走査方向(図10におけるY軸方向)への振動を軽減することができる。更に、レーザースキャナ21から出射されるレーザー光Lの感光ドラム22上の照射位置が、副走査方向(感光ドラム22の回転方向)に周期的にずれることにより生じる、ピッチムラ等の画像品質の低下を抑制することができる。
【0060】
また、図10に示すように、レーザースキャナ21からのレーザー光Lを感光ドラム22に対して斜め下方向から照射するため、スキャナステイ50のステイ側当接部55の鉛直方向(Y軸方向)の位置が、メインフレーム52の縁部52B1の鉛直方向の位置よりも高くなっている。そのため、レーザースキャナ21は、水平方向(X軸方向)に対して、図中上方向に傾斜させて配置することができる。更に、2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bとスキャナモータ212の回転軸に垂直な方向との角度と、スキャナステイ50のステイ側当接部55と、メインフレーム52の縁部52B1とを結ぶ線分と水平方向(X軸方向)とのなす角度とが、ともに角度θで同一である。そのため、レーザースキャナ21を設置した際に、2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bとステイ側当接部55、縁部52A1とが略平行となるため、2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bとステイ側当接部55、縁部52B1とが面接触する状態となり、レーザースキャナ21を安定的に設置することができる。特に本変形例では、図11(a)に示すように、スキャナステイ50の接続部50Bは、固定部50Aに対して垂直に折り曲げ加工がされている。同様に、メインフレーム52の第2面52Bは、第1面52Aに対して垂直に折り曲げ加工がされている。その結果、走査光学装置の筐体203に設けられた2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bとスキャナステイ50のステイ側当接部55、メインフレーム52の縁部52B1とが、水平な面で面接触している状態となる。そのため、スキャナステイ50のステイ側当接部55を有する接続部50B、及びメインフレーム52の縁部52B1を有する第2面52Bは、レーザースキャナ21の荷重を略鉛直方向に受けることができるため、レーザースキャナ21をより安定的に設置することができる。
【0061】
更に、レーザースキャナ21の筐体203に設けられた2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bは、スキャナステイ50のステイ側当接部55、メインフレーム52の縁部52B1と面接触する。そのため、2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bは、スキャナステイ50のステイ側当接部55、メインフレーム52の縁部52B1の角部と接触することがなくなるため、2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bがステイ側当接部55、縁部52B1の角部と接触することにより削られることを抑えることができる。これにより、プリンタ1内部に2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bの削られたカスが飛散することを抑制するとともに、2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bが削られることによるレーザースキャナ21の支持精度の低下を抑制することができる。
【0062】
また、本変形例では、レーザースキャナ21そのものを傾斜させることにより、感光ドラム22に照射するレーザー光Lに角度をつけている。これにより、レーザースキャナ21から出射するレーザー光Lの出射角度をつけるために、レーザースキャナ21の内部に折り返しミラー等の別部材を設置する必要がなくなる。その結果、折り返しミラー等をレーザースキャナ21内に配置するためのスペースを削減することができ、レーザースキャナ21の小型化及び低コスト化を実現することができる。
【0063】
更に、本変形例では、レーザー光Lを感光ドラム22に対して斜め下方向から照射できるようにレーザースキャナ21を傾斜させて設置している。そのため、レーザースキャナ21の設置位置を、感光ドラム22に対してレーザー光Lを水平方向から照射する場合の位置よりも低い位置に配置することができる。これにより、例えばレーザースキャナ21の設置位置を低くした分だけ、プリンタ1の高さを低く抑えることができる。更に、レーザースキャナ21を傾斜させて設置していることにより、プリンタ1の水平方向の長さも抑えることができ、プリンタ1をより小型化することができる。
【0064】
また、上述したように、走査光学装置の筐体203に設けられた2つの第1当接部21Aと第2当接部21Bは、スキャナステイ50のステイ側当接部55、メインフレーム52の縁部52B1により支持されている。本変形例では、スキャナステイ50、メインフレーム52の長手方向(主走査方向)の両端部は、プリンタ1の内部に設けられた側板フレーム(不図示)に接している。そのため、レーザースキャナ21を小型化して筐体203の長手方向の長さを短くした場合でも、スキャナステイ50、メインフレーム52のステイ側当接部55、縁部52A1により支持することができるため、追加の支持部材は不要となり、プリンタ1のコストアップを抑制することができる。その結果、プリンタ1内でのレーザースキャナ21の配置自由度が向上し、小型で低コストのプリンタ1を提供することができる。
【0065】
以上説明したように、本変形例によれば、板金フレームにより走査光学装置を安定に支持することができる。
【実施例2】
【0066】
図12は実施例2のレーザースキャナ21の周辺部品の分解図である。図13は実施例2のレーザースキャナ21の取り付け部の後側拡大図である。図12及び図13を用いて、レーザースキャナ21の支持構成が異なる実施例2について説明を行う。実施例1からの主な変更点は、スキャナステイ50をメインフレーム52と一体化している点である。すなわち、スキャナステイ50は、スキャナフレーム51の一部によって形成されている。実施例2の説明では、実施例1に対しての変更点について言及し、その他の構成は実施例1と同様とし説明を省略する。
【0067】
実施例2では、メインフレーム52の第2面52Bに、ステイ側当接部55とステイ締結部72が形成されている。また、メインフレーム52の第2面52Bに、孔55A及びばね留め部55Bも設けられている。実施例2では、更に部品点数を削減することができ、より簡素な構成をとることが可能になる。スキャナステイ50に相当する箇所の形状は下方が開口した長手方向に直交す断面形状が略コの字形状をとる。更に、スキャナステイ50に相当する箇所の長手方向の両端部である左右両端部には、外部に向かって突出した凸部77が設けられている。一方、右フレーム70及び左フレーム71には、凸部77に対応する位置にそれぞれ開口76が設けられている。
【0068】
具体的には、スキャナステイ50は、長手方向における一方の端部に設けられた第1の凸部である凸部77Rと、長手方向における他方の端部に設けられた第2の凸部である凸部77Lと、を有している。また、右フレーム70は、凸部77Rが挿入される開口76Rを有し、左フレーム71は、凸部77Lが挿入される開口76Lを有している。
【0069】
右フレーム70及び左フレーム71をスキャナフレーム51に固定する際に、左右両端部に設けられた凸部77をそれぞれ右フレーム70及び左フレーム71に設けた開口76に差し込むことで位置決めをした状態でネジを締結することができる。このように位置決めすることで、スキャナフレーム51の剛性の確保を実現している。
【0070】
なお、実施例1のメインフレーム52の第2面52Bとは別体のスキャナステイ50を有する構成に、凸部77を有する構成を適用してもよい。この場合、実施例1の右フレーム70及び左フレーム71は、それぞれ凸部77が差し込まれる開口76を有することとなる。これにより、実施例1においても、スキャナステイ50と右フレーム70及び左フレーム71との位置決めが容易となり、スキャナフレーム51の剛性を高めることが可能となる。また、別体のスキャナステイ50がメインフレーム52の第2面52Bとは接しない構成の場合、スキャナステイ50の両端部と右フレーム70及び左フレーム71との位置決めが容易となる。
【0071】
以上、実施例2によれば、簡素な構成でスキャナユニットの振動剛性を高くすることができる。
【0072】
<その他の実施例>
以上の実施例は、本発明の画像形成装置の一実施形態であり、上述した形態に限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、スキャナステイ50は板金材を想定しているが、必要な剛性を満たすことができれば、樹脂材料を使用しても構わない。
例えば、上述した実施形態ではレーザースキャナ21をばねで付勢することで固定しているが、ビス等他の固定手段を使用して固定しても構わない。
例えば、上述した実施形態ではスキャナフレーム51の断面形状は略三角形をとっているが、断面二次モーメントを損なわない形状であれば、断面形状は円形、楕円形、更に他の多角形の形状でも構わない。
例えば、上述した実施形態では1個の感光ドラム22を有するモノクロのプリンタ1に関して説明した。しかし本発明はこれに限定されるものではなく、複数の感光ドラム22を有するタンデム方式等のカラーの画像形成装置においても適用することができる。また、転写材を担持搬送する転写材担持ベルトを用いる画像形成装置にも応用可能である。
以上、他の実施例においても、簡素な構成でスキャナユニットの振動剛性を高くすることができる。
【0073】
<他の変形例>
その他、プリンタ1の外装カバーでレーザースキャナ21の移動を規制できる構成としてもよい。例えば、画像形成装置の外装カバーに押さえ部を設けた本変形例に係る構成としてもよい。
【0074】
図14図16に示すように、本変形例において外装の一部を構成する外装カバー101には、押さえ部102が設けられている。外装カバー101は、プリンタ1が有するメインフレーム52に対して固定されている。具体的には、外装カバー101は、外装カバー101が備えた位置決め部104a、104bがメインフレーム52に設けられた開口部に挿入されるようにして、メインフレーム52に対して位置が規制されている。この状態で、留めフック105a、105bがメインフレーム52と係合するようにして、メインフレーム52に対して取り付けられている。このようにして押さえ部102は、レーザースキャナ21の重心の上に配置するのが望ましい。
【0075】
以上の構成により、プリンタ1の動作に伴いプリンタ1が振動した場合、レーザースキャナ21がメインフレーム52から大きく離れることを防止する。例えば物流落下等の強い衝撃を受けた場合は、ステイ側ばね57より付勢される方向に対して、レーザースキャナ21がメインフレーム52から外れる方向に浮く場合がある。しかし、図16で示すように押さえ部102とレーザースキャナ21との間に隙間を介して押さえ部102を配したことで、一定の衝撃に対しては、ステイ側ばね57の弾性力を活用し、衝撃を緩衝することができ、一定を超える衝撃に対してはレーザースキャナ21が押さえ部102によって支持され、加わる衝撃を緩和することができようにされている。なお、押さえ部102は、レーザースキャナ21と別部品との間に介在する構成とし、レーザースキャナ21が押さえ部102を介して別部材で支持される構成としても良い。また隙間は、レーザースキャナ21が物流時に落下等の強い衝撃を受け、メインフレーム52から外れることを防止するために、スキャナステイ50のスキャナ位置決め部50Cに設けられた貫通孔に挿入されたレーザースキャナ21のボス21Cの挿入量に比べ、小さくされることが好ましい。
【0076】
また、押さえ部102を外装カバー101に持たせることで、メインフレーム52の開口部を狭めることができない場合でも、メインフレーム52に対してレーザースキャナ21が外れることを防止することができる。例えば、レーザースキャナ21の上面に凸部を有する構成等、メインフレーム52の開口部に対するレーザースキャナ21との隙間が大きい場合等にも有効である。
【0077】
さらに、メインフレーム52の開口部を広げることは、組み立て性の向上に繋げることが可能であり、レーザースキャナ21をメンテナンスする必要が生じた際も外装カバー101の1つを外しただけで容易に外すことができ、サービス作業性を向上させることも可能となる。
【0078】
なお、この変形例では、外装カバー101はメインフレーム52に対して常時固定される構成とした。しかしながら、図17及び図18に示すように回転支点106を中心に開閉可能な外装カバー101に押さえ部102を有する構成としてもよい。ここで、図17は変形例の外装カバーとメインフレームを示す外観斜視図であり、図18は変形例の外装カバーとメインフレームの位置関係を説明する図である。このように本発明の範囲において、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0079】
21 レーザースキャナ
22 感光ドラム
50 スキャナステイ
51 スキャナフレーム
70 右フレーム
71 左フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18