(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】光ファイバトレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
G02B6/46
(21)【出願番号】P 2020153185
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高梨 智弘
(72)【発明者】
【氏名】中島 俊彰
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-311931(JP,A)
【文献】米国特許第04840449(US,A)
【文献】特開平07-287128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0152463(US,A1)
【文献】特開2008-009093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/46 - 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光ファイバを挿通させる第1挿通部と、第1光ファイバを収納する第1ファイバ収納部と、第2光ファイバを挿通させる第2挿通部と、前記第2光ファイバを収納する第2ファイバ収納部とを有する第1トレイと、
前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとを接続する接続部を保持する保持部と、前記第1トレイから前記第1光ファイバを引き込む第1隙間部と、前記第1トレイから前記第2光ファイバを引き込む第2隙間部とを有し、前記第1トレイに対して少なくとも一部が重なり合う第2トレイと
を備え、
前記保持部は、前記第1ファイバ収納部及び前記第2ファイバ収納部の少なくとも一部と重なり合い、
前記第2トレイは、前記第1光ファイバを支持する第1支持部と、前記第2光ファイバを支持する第2支持部とを有しており、
前記第1支持部及び前記第2支持部における前記第2トレイの厚さは、前記保持部における前記第2トレイの厚さよりも薄いことを特徴とする光ファイバトレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバトレイであって、
前記第1ファイバ収納部及び前記第2ファイバ収納部は、前記第1トレイの底面との間で光ファイバを保持するための複数の舌片を有しており、
前記保持部が重なり合う領域における前記底面と前記舌片との間隔は、前記保持部が重なり合わない領域における前記の底面と前記舌片との間隔よりも狭いことを特徴とする光ファイバトレイ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ファイバトレイであって、
前記第1トレイの開口部を覆うフィルム状の蓋部を備え、
前記第1ファイバ収納部及び前記第2ファイバ収納部は、前記第1トレイの底面との間で光ファイバを保持するための複数の舌片を有しており、
前記蓋部は、前記舌片に対応する位置にスリットを有しており、
前記スリットには、前記舌片と係合する突起部が設けられていることを特徴とする光ファイバトレイ。
【請求項4】
第1光ファイバを挿通させる第1挿通部と、第1光ファイバを収納する第1ファイバ収納部と、第2光ファイバを挿通させる第2挿通部と、前記第2光ファイバを収納する第2ファイバ収納部とを有する第1トレイと、
前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとを接続する接続部を保持する保持部と、前記第1トレイから前記第1光ファイバを引き込む第1隙間部と、前記第1トレイから前記第2光ファイバを引き込む第2隙間部とを有し、前記第1トレイに対して少なくとも一部が重なり合う第2トレイと
を備え、
前記第1ファイバ収納部及び前記第2ファイバ収納部は、前記第1トレイの底面との間で光ファイバを保持するための舌片を有しており、
前記第2トレイの底面には、前記舌片に対応する位置に凹部が設けられていることを特徴とする光ファイバトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの接続部や光ファイバの余長を収納する光ファイバ用の収納トレイが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の収納トレイでは、光ファイバの接続部を保持する保持部が、一方の光ファイバの余長を収納するファイバ収納部と、他方の光ファイバの余長を収納するファイバ収納部との間に設けられている。この結果、光ファイバの接続部を保持する保持部と、2つのファイバ収納部とが並んで配置されているため、例えば光ファイバの配線を変更する際に、光ファイバ同士が絡み合い易くなる。
【0005】
本発明は、光ファイバの取り扱いが容易な光ファイバトレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、第1光ファイバを挿通させる第1挿通部と、第1光ファイバを収納する第1ファイバ収納部と、第2光ファイバを挿通させる第2挿通部と、前記第2光ファイバを収納する第2ファイバ収納部とを有する第1トレイと、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとを接続する接続部を保持する保持部と、前記第1トレイから前記第1光ファイバを引き込む第1隙間部と、前記第1トレイから前記第2光ファイバを引き込む第2隙間部とを有し、前記第1トレイに対して少なくとも一部が重なり合う第2トレイとを備える光ファイバトレイである。
【0007】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光ファイバの取り扱いが容易な光ファイバトレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、第1実施形態の光ファイバトレイ100の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の光ファイバトレイ100の分解図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、光ファイバトレイ100に光ファイバ3を収納した様子の説明図である。
【
図4】
図4は、光ファイバトレイ100に光ファイバ3を収納した様子の別の説明図である。
【
図5】
図5Aは、第2トレイ20を斜め上から見た斜視図である。
図5Bは、第2トレイ20を斜め下から見た斜視図である。
図5Cは、第2トレイ20を前側から見た図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の光ファイバトレイ100の説明図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の光ファイバトレイ100の分解図である。
【
図8】
図8Aは、第1蓋部40の突起部43を第1トレイ10の舌片16に係合させた様子の説明図である。
図8Bは、第1トレイ10に収納する光ファイバ3が舌片16の上に乗り上げた様子の参考説明図である。
【
図9】
図9は、クロージャ70の構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、本願発明の一例となる実施形態を説明する。
【0011】
===第1実施形態===
図1A及び
図1Bは、第1実施形態の光ファイバトレイ100の斜視図である。
図2は、第1実施形態の光ファイバトレイ100の分解図である。
図3A及び
図3Bは、光ファイバトレイ100に光ファイバ3を収納した様子の説明図である。
図4は、光ファイバトレイ100に光ファイバ3を収納した様子の別の説明図である。ここでは、本実施形態の光ファイバトレイの一例として、図中の光ファイバトレイ100について説明する。
【0012】
以下の説明では、
図1Aに示すように、各方向を定めている。すなわち、光ファイバトレイ100の底部11に垂直な方向を「上下方向」とし、底面が向く側を「上」とし、逆側を「下」とする。なお、上下方向のことを「厚さ方向」と呼ぶこともある。上下方向は、重力方向(鉛直方向)と一致していなくても良い。上下方向に垂直な方向であってヒンジ部31と第1係合部18の並ぶ方向を「前後方向」とし、第1係合部18の側を「前」とし、ヒンジ部31の側を「後」(又は「奥」)とする。また、上下方向及び前後方向に垂直な方向を「左右方向」とし、前側から見て右側を「右」とし、逆側を「左」とする。
【0013】
光ファイバトレイ100は、光ファイバ3を収納するための部材(トレイ)である。光ファイバトレイ100は、収納トレイや収容トレイなどと呼ばれることもある。光ファイバトレイ100は、光ファイバ3の接続部5を収納するとともに、接続部5で接続された光ファイバ3の余長を収納する部材である。光ファイバ3の接続部5は、ここでは融着接続部である。但し、光ファイバ3の接続部5は、融着接続部に限られるものではなく、例えばメカニカルスプライス接続部でも良いし、コネクタ接続部でも良い。以下の説明では、接続部5で接続される光ファイバ3の一方を「第1光ファイバ」と呼び、他方を「第2光ファイバ」と呼ぶことがある。
【0014】
光ファイバトレイ100は、第1トレイ10と、第2トレイ20とを有する。第1トレイ10と第2トレイ20は、上下に重ね合わせ可能である。第1トレイ10のことを「下側トレイ」と呼び、第2トレイ20のことを「上側トレイ」と呼んでも良い。第1トレイ10と第2トレイ20は、ヒンジ部31を軸として開閉可能である。以下の説明では、
図1Aに示す状態のことを「開状態」と呼び、
図1Bに示す状態のことを「閉状態」と呼ぶことがある。
【0015】
第1トレイ10は、光ファイバ3の余長を収納するトレイ(余長収納トレイ)である。第1トレイ10は、底部11と、底部11の周縁から上側に立ち上がる側面部12とを備えている。底部11は、第1トレイ10の底面を構成する板状の部位であり、光ファイバ3を下側から支持する部位である。側面部12は、第1トレイ10の側面を構成する部位であり、底部11の上面(第1トレイ10の底面)を囲繞する部位である。第1トレイ10の上側は開放されており、
図3B及び
図4に示すように、底部11と側面部12とに囲まれた領域に光ファイバ3の余長を収納することになる。
【0016】
本実施形態では、
図1Aに示すように、側面部12の内側に第2トレイ20を収納することが可能である。これにより、閉状態の光ファイバトレイ100の上下方向の寸法(厚さ)を薄く構成できる。但し、第1トレイ10の内側に第2トレイ20を収納せずに、第1トレイ10に第2トレイ20を単に積み重ねるようにしても良い。
【0017】
第1トレイ10は、第1挿通部13Aと、第1ファイバ収納部14Aと、第2挿通部13Bと、第2ファイバ収納部14Bとを有する。ここでは、第1トレイ10の左側に第1挿通部13A及び第1ファイバ収納部14Aが配置されており、右側に第2挿通部13B及び第2ファイバ収納部14Bが配置されている。但し、第1トレイ10は左右対称に構成された部材であるため、右側に第1挿通部13A及び第1ファイバ収納部14Aが配置され、左側に第2挿通部13B及び第2ファイバ収納部14Bが配置されても良い(この点については、第2トレイ20についても同様である)。また、第1トレイ10は、隔壁部15を有する。第1トレイ10の底部11と側面部12とに囲まれた領域は、隔壁部15によって2つに分けられている。
【0018】
第1挿通部13Aは、第1光ファイバ3Aを挿通する部位である。第1挿通部13Aは、第1トレイ10の外側と内側(第1ファイバ収納部14A)との間で光ファイバ3を導く部位である。第1挿通部13Aは、第1トレイ10の側面部12に設けられる。第1挿通部13Aは、例えば溝状や穴状に形成される。第1挿通部13Aが溝状である場合には、第1光ファイバ3Aが第1挿通部13Aから外れないように蓋部(抑え部)が設けられることが望ましい。ここでは、第1挿通部13Aは、第1トレイ10の左側の側面部12に形成されている。
【0019】
第1ファイバ収納部14Aは、第1光ファイバ3Aを収納する部位である。第1ファイバ収納部14Aは、底部11と側面部12と隔壁部15に囲まれた部位である。
図3B及び
図4に示すように、第1ファイバ収納部14Aには、第1光ファイバ3Aの余長が収納されることになる。
【0020】
第2挿通部13Bは、第2光ファイバ3Bを挿通する部位である。第2挿通部13Bは、第1トレイ10の外側と内側(第2ファイバ収納部14B)との間で光ファイバ3を導く部位である。第2挿通部13Bの構成は、第1挿通部13Aの構成と同様である。ここでは、第2挿通部13Bは、第1トレイ10の右側の側面部12に形成されている。
【0021】
第2ファイバ収納部14Bは、第2光ファイバ3Bを収納する部位である。第2ファイバ収納部14Bは、底部11と側面部12と隔壁部15に囲まれた部位である。第2ファイバ収納部14Bは、隔壁部15を介して第1ファイバ収納部14Aの右側に隣接して配置されている。
図3B及び
図4に示すように、第2ファイバ収納部14Bには、第2光ファイバ3Bの余長が収納されることになる。
【0022】
第1ファイバ収納部14A及び第2ファイバ収納部14Bは、舌片16を有する。舌片16は、底部11との間で光ファイバ3を挟み込む部位である。つまり、舌片16は、光ファイバ3を抑えるファイバ抑え部として機能する。また、舌片16は、第2トレイ20を支持する支持部としても機能する。舌片16は、側面部12や隔壁部15から内側に向かって突出した部位であり、底部11とほぼ平行な部位である。舌片16は底部11よりも上側に設けられており、舌片16と底部11との間に隙間(
図2の間隔Z1、Z2参照)が空いている。
図3B及び
図4に示すように、舌片16と底部11との間に光ファイバ3が挟み込まれることになる。舌片16が底部11との間に光ファイバ3を挟み込むことによって、第1ファイバ収納部14Aや第2ファイバ収納部14Bに収納された光ファイバ3が安定し、光ファイバ3が第1ファイバ収納部14Aや第2ファイバ収納部14Bから外れることを抑制できる。但し、第1ファイバ収納部14Aや第2ファイバ収納部14Bに舌片16が設けられていなくても良い。
【0023】
複数の舌片16のうち、外側舌片161と、内側舌片162とがある。外側舌片161は、第2トレイ20の保持部23(後述)と重なり合わない領域に設けられた舌片16である。また、外側舌片161は、第2トレイ20の第1支持部25A(後述)又は第2支持部25B(後述)と重なり合う領域に設けられた舌片16である。ここでは、外側舌片161は、側面部12から突出する舌片16である。内側舌片162は、第2トレイ20の保持部23と重なり合う領域に設けられた舌片16である。ここでは、内側舌片162は、隔壁部15から突出する舌片16である。
【0024】
本実施形態では、第2トレイ20の保持部23(後述)と重なり合う領域における底部11と舌片16(内側舌片162)との間隔Z2(
図2参照)は、保持部23と重なり合わない領域における底部11と舌片16(外側舌片161)との間隔Z1よりも短い。つまり、第2トレイ20の保持部23(後述)と重なり合う領域における舌片16(内側舌片162)は、保持部23と重なり合わない領域における舌片16(外側舌片161)よりも低い位置に設けられている。これにより、閉状態の光ファイバトレイ100の上下方向の寸法(厚さ)を薄く構成できる。但し、第1トレイ10の複数の舌片16の高さを同じ位置にしても良い。
【0025】
隔壁部15は、第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバ収納部14Bとを隔てる部位である。隔壁部15によって側面部12に囲まれた領域が2つに分けられて、第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバ収納部14Bとが構成されることになる。隔壁部15は、第1トレイ10の左右方向中央部に配置されている。隔壁部15は、第2トレイ20の保持部23と重なり合う領域に配置されている。なお、隔壁部15から内側舌片162が突出しており、内側舌片162も第2トレイ20の保持部23と重なり合う領域に配置されている。隔壁部15及び内側舌片162の高さ(上下方向の寸法)は、側面部12の高さよりも低い。これは、隔壁部15及び内側舌片162が第2トレイ20の保持部23と重なり合う領域に配置されているためである。隔壁部15及び内側舌片162の高さが側面部12の高さよりも低いことによって、閉状態の光ファイバトレイ100の上下方向の寸法(厚さ)を薄く構成できる。
【0026】
隔壁部15の左右の側面には、ガイド面151が設けられている。ガイド面151は、光ファイバ3の湾曲をガイドする部位(曲面)である。ガイド面151によって光ファイバ3の曲がり方が急峻になることを抑制している。
【0027】
第1トレイ10は、連絡路17を有する。連絡路17は、第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバ収納部14Bとの間で光ファイバ3を連絡させる通路である。連絡路17は、隔壁部15の前後方向の端部と側面部12との間の隙間として形成されている。つまり、第1トレイ10の前側と後側に、それぞれ連絡路17が設けられている。連絡路17は、第1トレイ10内にパススルーファイバ3C(後述;
図10C参照)を配線するための通路となる。パススルーファイバ3Cは、2箇所の連絡路17を介して側面部12に沿って周回させるように、第1トレイ10内に収納可能である。
【0028】
第1トレイ10は、第1係合部18を有する。第1係合部18は、第2トレイ20の第2係合部28と係合する部位である。第1係合部18と第2係合部28とが係合することによって、光ファイバトレイ100を閉状態に保持することができる。第1係合部18は、ヒンジ部31に対して前側に配置されている。つまり、第1係合部18は、前後方向に関して、ヒンジ部31が設けられた側(後側)とは反対側(前側)に配置されている。
【0029】
本実施形態では、第1係合部18は、隔壁部15の前縁に設けられている。第1係合部18は、側面部12と第1係合部18との間に連絡路17が配置されている。但し、第1係合部18を側面部12の前側中央に配置させても良い。なお、第1係合部18を側面部12の前側中央に配置させた場合には、光ファイバトレイ100が閉状態のときに、隔壁部15の前縁と側面部12との間の連絡路17の上に第2トレイ20が配置されてしまい、連絡路17の上下方向の寸法が狭くなる(この結果、連絡路17の前後方向の寸法を大きくする必要がある)。これに対し、本実施形態のように、側面部12と第1係合部18との間に連絡路17が配置されていれば、光ファイバトレイ100が閉状態のときに、連絡路17の上に第2トレイ20が配置されずに済むため、連絡路17の上下方向の寸法が広くなり、連絡路17に多くのパススルーファイバ3C(後述)を配線可能になる(この結果、連絡路17の前後方向の寸法を狭めることができ、光ファイバトレイ100の前後方向の寸法を小型化できる)。
【0030】
図5Aは、第2トレイ20を斜め上から見た斜視図である。
図5Bは、第2トレイ20を斜め下から見た斜視図である。
図5Cは、第2トレイ20を前側から見た図である。
【0031】
第2トレイ20は、光ファイバ3の接続部5を収納するトレイである。第2トレイ20は、第1トレイ10の上側に重ねて配置される。つまり、第2トレイ20は、第1トレイ10の上側の開放に対して蓋のように覆いかぶさるように配置される。このため、第2トレイ20のことを「上側トレイ」と呼ぶこともある。また、光ファイバ3の接続部5は融着接続部であるため、第2トレイ20のことを「融着トレイ」と呼んでも良い。第2トレイ20は、第1トレイ10に対して、ヒンジ部31を軸にして回動可能である(
図1A及び
図1B参照)。本実施形態では、光ファイバ3の接続部5を保持する部位(保持部23)が、光ファイバ3の余長を収納するファイバ収納部(第1ファイバ収納部14A及び第2ファイバ収納部14B)とは別のトレイに配置されている。
【0032】
第2トレイ20は、底部21と、底部21の周縁から上側に立ち上がる側面部22とを備えている。底部21は、第2トレイ20の底面を構成する板状の部位であり、光ファイバ3や接続部5を支持する部位である。側面部22は、第2トレイ20の側面を構成する部位である。なお、第2トレイ20の側面は全て囲繞されてはおらず、左右にそれぞれ隙間(後述;第1隙間部24A及び第2隙間部24B)が形成されている。第2トレイ20の上側は開放されており、
図3A及び
図4に示すように、底部21と側面部22とに囲まれた領域に光ファイバ3や接続部5を収納することになる。
【0033】
第2トレイ20は、保持部23と、第1隙間部24Aと、第2隙間部24Bとを有する。また、第2トレイ20は、第1支持部25Aと、第2支持部25Bとを有する。
【0034】
保持部23は、光ファイバ3の接続部5を保持する部位である。ここでは、保持部23は、第1光ファイバ3Aと第2光ファイバ3Bの融着接続部(融着接続点を保護する保護スリーブ)を保持する。但し、保持部23は、メカニカルスプライスを保持しても良いし、コネクタやコネクタ同士を接続させる光アダプタを保持しても良い。保持部23は、複数の接続部5を前後方向に並べた状態で保持可能に構成されている。
【0035】
保持部23は、第2トレイ20の左右方向中央部に配置されている。既に説明したように、第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバ収納部14Bが左右方向(所定方向に相当)に並んで配置されており、本実施形態では、保持部23は、第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバ収納部14Bが並ぶ左右方向(所定方向に相当)において、第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバ収納部14Bとの間に配置されている。なお、本実施形態では、保持部23は、第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバ収納部14Bの設けられた第1トレイ10とは別の第2トレイ20に配置されている状況下で、保持部23が第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバ収納部14Bとの間に配置されている。このため、仮に保持部23が第1ファイバ収納部14A及び第2ファイバ収納部14Bと同じトレイ(余長収納トレイ)に配置された場合と比べて、本実施形態では、光ファイバトレイ100の左右方向(所定方向に相当)の寸法を短縮化できる。
【0036】
また、本実施形態では、保持部23は、第1ファイバ収納部14A及び第2ファイバ収納部14Bの少なくとも一部と重なり合う位置に配置されている。具体的には、本実施形態の保持部23は、隔壁部15の上に配置されており、隔壁部15のガイド面151(第1ファイバ収納部14A側のガイド面151及び第2ファイバ収納部14B側のガイド面151)の上に配置されている。この結果、本実施形態では、保持部23は、第1ファイバ収納部14Aに収納された第1光ファイバ3Aの上に配置されるとともに、第2ファイバ収納部14Bに収納された第2光ファイバ3Bの上に配置される。つまり、本実施形態では、保持部23の下に第1光ファイバ3Aや第2光ファイバ3Bを配置することができる。これにより、本実施形態では、光ファイバトレイ100の左右方向(所定方向に相当)の寸法を更に短縮化できる。
【0037】
ところで、光ファイバ3は、急峻に湾曲させると信号損失が増大するため、所定の曲率よりも緩やかに湾曲させて収納する必要がある。このため、光ファイバ3を収納する第1ファイバ収納部14Aや第2ファイバ収納部14Bは、光ファイバ3を急峻に曲げずに済むように、所定の大きさが必要になる。このような第1ファイバ収納部14Aや第2ファイバ収納部14Bを並べて配置すると、並べた方向(ここでは左右方向)における光ファイバトレイ100の寸法が大きくなり易い。このような状況下において、仮に同じトレイ上で保持部23が第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバ収納部14Bとの間に配置されてしまうと、第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバ収納部14Bの並ぶ方向における光ファイバトレイ100の寸法が特に大きくなってしまう。これに対し、本実施形態では、第1ファイバ収納部14A及び第2ファイバ収納部14Bの少なくとも一部と重なり合う位置に保持部23を配置することによって、第1ファイバ収納部14Aや第2ファイバ収納部14Bに収納した光ファイバ3の上に保持部23が配置されるため、収納する光ファイバ3を急峻に曲げずに、光ファイバトレイ100の寸法を短縮化することが可能になる。
【0038】
第1隙間部24Aは、第1トレイ10から第1光ファイバ3Aを引き込む部位である。第1隙間部24Aは、底部21の周縁が凹状に切り欠かれた部位である。第1隙間部24Aには側面部22が設けられておらず、
図3A及び
図4に示すように、底部21の下側(第1トレイ10の側)から底部21の上側(第1支持部25Aの側)へ第1光ファイバ3Aを引き込むことが可能である。
【0039】
第2隙間部24Bは、第1トレイ10から第2光ファイバ3Bを引き込む部位である。第2隙間部24Bは、底部21の周縁が凹状に切り欠かれた部位である。第2隙間部24Bには側面部22が設けられておらず、
図3A及び
図4に示すように、底部21の下側(第1トレイ10の側)から底部21の上側(第2支持部25Bの側)へ第2光ファイバ3Bを引き込むことが可能である。
【0040】
第1隙間部24A及び第2隙間部24Bは、前後方向においてヒンジ部31の側に配置されている。これにより、
図3A及び
図3Bに示すように、ヒンジ部31を軸にして第2トレイ20を回転させたときに、第1隙間部24A及び第2隙間部24Bに配線された光ファイバ3の変位が僅かで済むため、光ファイバトレイ100を開閉し易い構造になる。
【0041】
第1支持部25Aは、第1光ファイバ3Aを支持する部位である。
図3A及び
図4に示すように、第1支持部25Aには、保持部23と第1隙間部24Aとの間で配線される第1光ファイバ3Aを支持することになる。第1支持部25Aは、保持部23から延び出る第1光ファイバ3Aを支持することになる。第2支持部25Bは、第2光ファイバ3Bを支持する部位である。
図3A及び
図4に示すように、第2支持部25Bには、保持部23と第2隙間部24Bとの間で配線される第2光ファイバ3Bが収納されることになる。第2支持部25Bは、保持部23から延び出る第2光ファイバ3Bを支持することになる。第1支持部25Aと第2支持部25Bとの間には保持部23が配置されている。
【0042】
第1支持部25A及び第2支持部25Bは、舌片26を有する。舌片26は、底部21との間で光ファイバ3を挟み込む部位である。舌片26は、側面部22などから内側に向かって突出した部位であり、底部21とほぼ平行な部位である。舌片26は底部21よりも上側に設けられており、舌片26と底部21との間の隙間に光ファイバ3が挟み込まれることになる。舌片26が底部21との間に光ファイバ3を挟み込むことによって、保持部23から延び出た光ファイバ3が安定し、光ファイバ3の接続部5が保持部23から外れることを抑制できる。但し、第1支持部25A及び第2支持部25Bに舌片26が設けられていなくても良い。
【0043】
図5Bに示すように、第2トレイ20の底面(底部21の下面)には凹部27が設けられている。凹部27は、第1トレイ10の舌片16(外側舌片161)に対応する位置に設けられている。つまり、凹部27は、第1トレイ10の支持部として機能する舌片16に支持される部位である。光ファイバトレイ100を閉状態にしたとき、第2トレイ20の凹部27に第1トレイ10の舌片16(外側舌片161)が入り込む。これにより、閉状態の光ファイバトレイ100の上下方向の寸法(厚さ)を薄く構成できる。但し、第2トレイ20の底面に凹部27が設けられていなくても良い。
【0044】
図5Cに示すように、第1支持部25A及び第2支持部25Bにおける第2トレイ20の厚さ(上下方向の寸法)は、保持部23における第2トレイ20の厚さよりも薄い。第1支持部25A及び第2支持部25Bが支持する光ファイバ3は、保持部23が保持する接続部5よりも細いため、第1支持部25A及び第2支持部25Bの厚さ(上下方向の寸法)を保持部23の厚さよりも薄くすることは許容されている。
図5Cに示すように、保持部23における底面(底部21の下面)は、第1支持部25A及び第2支持部25Bにおける底面よりも下側に突出している。第1トレイ10の隔壁部15が側面部12よりも低く構成されているため、隔壁部15の上に配置される第2トレイ20の保持部23が下側に突出することは許容されている。第1支持部25A及び第2支持部25Bにおける第2トレイ20の厚さを薄くすることによって、閉状態の光ファイバトレイ100の上下方向の寸法(厚さ)を薄く構成できる。
【0045】
なお、既に説明したように、第2トレイ20の保持部23と重なり合う領域における底部11と舌片16(内側舌片162)との間隔Z2(
図2参照)が、保持部23と重なり合わない領域における底部11と舌片16(外側舌片161)との間隔Z1よりも短いため、保持部23における第2トレイ20が厚いことは許容されている。つまり、本実施形態のように、(1)第1トレイ10では、第2トレイ20の保持部23と重なり合う領域における底部11と舌片16(内側舌片162)との間隔Z2は、保持部23と重なり合わない領域における底部11と舌片16(外側舌片161)との間隔Z1よりも短くなっていること、及び、(2)第2トレイ20では、第1支持部25A及び第2支持部25Bにおける厚さが、保持部23における厚さよりも薄くなっていること、の両方を満たすことによって、相乗的な効果により、閉状態の光ファイバトレイ100の厚さ(上下方向の寸法)を特に薄く構成することが可能になる。
【0046】
また、第2トレイ20は、第2係合部28を有する。第2係合部28は、第1トレイ10の第1係合部18と係合する部位である。第2係合部28は、ヒンジ部31に対して前側に配置されている。つまり、第2係合部28は、前後方向に関して、ヒンジ部31が設けられた側(後側)とは反対側(前側)に配置されている。
【0047】
上記の通り、本実施形態の光ファイバトレイ100は、第1挿通部13A、第1ファイバ収納部14A、第2挿通部13B及び第2ファイバ収納部14Bを有する第1トレイ10と、保持部23、第1隙間部24A及び第2隙間部24Bを有する第2トレイ20とを備えており、第2トレイ20は、第1トレイ10に対して少なくとも一部が重なり合うように構成されている。本実施形態では、光ファイバ3の接続部5を保持する保持部23が、光ファイバ3の余長を収納するファイバ収納部(第1ファイバ収納部14A及び第2ファイバ収納部14B)とは別のトレイに配置されている。仮に光ファイバ3の接続部5を保持する保持部23が2つのファイバ収納部と同じトレイ(余長収納トレイ)に配置されていると、例えば光ファイバ3の配線を変更する際に、光ファイバ3同士が絡み合い易くなるおそれがある。これに対し、本実施形態では、
図3A及び
図3Bに示すように、光ファイバ3の取り扱いが容易になる。
【0048】
更に、本実施形態では、保持部23は、第1ファイバ収納部14A及び第2ファイバ収納部14B)を有する第1トレイ10とは別の第2トレイ20に配置されている状況下で、左右方向(所定方向に相当)において第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバの間に配置されている。これにより、仮に保持部23が第1ファイバ収納部14A及び第2ファイバ収納部14Bと同じトレイ(余長収納トレイ)に配置された場合と比べて、本実施形態では、光ファイバトレイ100の寸法(特に、第1ファイバ収納部14A及び第2ファイバ収納部14Bの並ぶ方向の寸法)を短縮化できる。
加えて、本実施形態では、保持部23は、第1ファイバ収納部14A及び第2ファイバ収納部14Bの少なくとも一部と重なり合う位置に配置されている。これにより、保持部23と重なり合う位置に光ファイバ3の余長を収納できるので、光ファイバトレイ100の左右方向(所定方向に相当)の寸法を更に短縮化できる。
【0049】
但し、保持部23は、本実施形態の配置に限られるものではない。例えば、保持部23は、第1ファイバ収納部14A又は第2ファイバ収納部14Bの一方だけに重なり合うような位置に配置されても良い。
【0050】
===第2実施形態===
図6は、第2実施形態の光ファイバトレイ100の説明図である。
図7は、第2実施形態の光ファイバトレイ100の分解図である。
【0051】
第2実施形態の光ファイバトレイ100は、第1実施形態と同様に、第1トレイ10及び第2トレイ20を有する。第2実施形態の第1トレイ10及び第2トレイ20は、第1実施形態と同様の構成なので、ここでは説明を省略する。第2実施形態においても、光ファイバトレイ100は、第1挿通部13A、第1ファイバ収納部14A、第2挿通部13B及び第2ファイバ収納部14Bを有する第1トレイ10と、保持部23、第1隙間部24A及び第2隙間部24Bを有する第2トレイ20とを備えており、第2トレイ20は、第1トレイ10に対して少なくとも一部が重なり合うように構成されている。これにより、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、例えば光ファイバ3の配線を変更する際に、光ファイバ3の取り扱いが容易になる(
図3A及び
図3B参照)。
【0052】
第2実施形態の光ファイバトレイ100は、第1実施形態とは異なり、第1蓋部40と、第2蓋部50とを有する。
【0053】
第1蓋部40は、第1トレイ10の開口部を覆う部材(蓋部;内蓋)である。光ファイバトレイ100が第1蓋部40を備えることにより、第1トレイ10から光ファイバ3が外れることを抑制できる。第1蓋部40は、第1ヒンジ部41を軸として回動可能に構成されており、開閉可能である。ここでは、第1蓋部40は、フィルム状のシート部材で構成されている。これにより、第1蓋部40は、厚さ方向に変形可能である。但し、変形し難い板状の部材で第1蓋部40を構成しても良い。
【0054】
第1蓋部40には、複数のスリット42が設けられている。スリット42は、第1トレイ10の舌片16に対応する位置に設けられている。スリット42には、突起部43が形成されている。
【0055】
図8Aは、第1蓋部40の突起部43を第1トレイ10の舌片16に係合させた様子の説明図である。
【0056】
突起部43は、第1トレイ10の舌片16に係合する部位である。一対の突起部43がスリット42の縁に対向配置されている。一対の突起部43の隙間は、舌片16の幅よりも狭く構成されている。作業者が第1蓋部40を閉じて第1トレイ10に第1蓋部40を被せた後、作業者が突起部43の近傍を第1トレイ10に向かって押し込むことによって、フィルム状の第1蓋部40が変形し、
図8Aに示すように、突起部43が舌片16の下側に入り込んで舌片16に係合することになる。
【0057】
図8Bは、第1トレイ10に収納する光ファイバ3が舌片16の上に乗り上げた様子の参考説明図である。
図8Bに示すように光ファイバ3が舌片16の上に乗り上げた状態で、仮に第2トレイ20を閉じて光ファイバトレイ100が閉状態になると、第1トレイ10の舌片16と第2トレイ20との間に光ファイバ3が挟み込まれてしまい、光ファイバ3を損傷させてしまうおそれがある。
これに対し、第2実施形態では、作業者は、第2トレイ20を閉じる前に
図8Aに示すように突起部43を舌片16に係合させることになる。そして、
図8Bに示すように光ファイバ3が舌片16の上に乗り上げた状態になっている場合、
図8Aに示すように、突起部43を舌片16に係合させ難くなる。このため、作業者は、突起部43を舌片16に係合させる作業を行うときに、光ファイバ3が舌片16の上に乗り上げていることに気づくことができる。つまり、本実施形態のように、第1蓋部40が、舌片16に対応する位置にスリット42を有しており、舌片16と係合する突起部43がスリット42に設けられていることによって、舌片16に光ファイバ3が乗り上げた状態にならないように作業者を誘導することが可能な構造になる。これにより、第1トレイ10の舌片16と第2トレイ20との間に光ファイバ3が挟み込まれてしまうことを抑制でき、光ファイバ3を損傷させてしまうことを抑制できる。
【0058】
第1蓋部40は、隙間部44を有する。隙間部44は、第2トレイ20の第1隙間部24A及び第2隙間部24Bに対応する位置に設けられている。隙間部44は、光ファイバ3を通過させる部位である。第1隙間部24A及び第2隙間部24Bに配線される光ファイバ3は、第1蓋部40の隙間部44を通過することになる。
【0059】
第2蓋部50は、第2トレイ20の開口部を覆う部材(蓋部;外蓋)である。光ファイバトレイ100が第2蓋部50を備えることにより、第2トレイ20から光ファイバ3や接続部5が外れることを抑制できる。第2蓋部50は、第2ヒンジ部51を軸として回動可能に構成されており、開閉可能である。ここでは、第2蓋部50は、フィルム状のシート部材で構成されている。これにより、第2蓋部50は、厚さ方向に変形可能である。但し、変形し難い板状の部材で外蓋を構成しても良い。
【0060】
第2蓋部50には、複数のスリット52が設けられている。スリット52は、第2トレイ20の舌片26に対応する位置に設けられている。スリット52には、突起部53が形成されている。突起部53は、第2トレイ20の舌片26に係合する部位である。突起部53が第2トレイ20の舌片26に係合することにより、第2蓋部50が第2トレイ20を覆う状態を保持することができる。第2蓋部50のスリット52や突起部53の機能や利用方法は、第1蓋部40のスリット42や突起部43と同様である。
【0061】
なお、光ファイバトレイ100は、第1蓋部40及び第2蓋部50の両方を備えていなくても良い。例えば、光ファイバトレイ100は、第2蓋部50を備えずに第1蓋部40を備えても良いし、第1蓋部40を備えずに第2蓋部50を備えても良い。
【0062】
===第3実施形態===
ここでは、光ファイバトレイの利用形態の一例として、光ファイバトレイ100を用いたクロージャ70について説明する。但し、光ファイバトレイ100は、クロージャ70以外に用いられても良い。
【0063】
【0064】
クロージャ70は、外側ケース71と、複数枚の光ファイバトレイ100とを有する。
図9Aには、外側ケース71を開けた状態が示されている。外側ケース71には、光ケーブルを挿通させるケーブル挿通部72が複数設けられている。複数枚の光ファイバトレイ100は、厚さ方向に積み重ねられた状態でクロージャ70に収容されている。それぞれの光ファイバトレイ100は、前述の実施形態の光ファイバトレイ100と同様の構成である。本実施形態では、光ファイバトレイ100の左右方向(所定方向に相当)の寸法を短縮化できるので、クロージャ70の左右方向の寸法も短縮化できる。
【0065】
図10Aは、クロージャ70内の配線例の説明図である。クロージャ70のケーブル挿通部72に光ケーブル1が挿通されており、一方の光ケーブル1の光ファイバ3(第1光ファイバ3A)と、他方の光ケーブル1の光ファイバ3(第2光ファイバ3B)とが融着接続されている。光ファイバトレイ100の第1トレイ10は、それぞれの光ケーブル1の光ファイバ3の余長を収納し、光ファイバトレイ100の第2トレイ20は、光ファイバ3の接続部5を保持することになる。ここでは、クロージャ70の左右にそれぞれ1本ずつ光ケーブル1を挿通させているが、左右の一方又は両方に複数の光ケーブル1を挿通させても良い。
【0066】
図10Bは、クロージャ70内の別の配線例の説明図である。光ケーブル1の複数の光ファイバ3(第1光ファイバ3A)が分岐され、光ケーブル1から分岐した或る光ファイバ3(第1光ファイバ3A)と一方の分岐ケーブル2の光ファイバ3(第2光ファイバ3B)とが融着接続されるとともに、光ケーブル1から分岐した別の光ファイバ3(第1光ファイバ3A)と別の分岐ケーブル2の光ファイバ3(第2光ファイバ3B)とが融着接続されている。光ファイバトレイ100の第1トレイ10は、光ファイバ3の余長を収納し、光ファイバトレイ100の第2トレイ20は、光ファイバ3の接続部5を保持することになる。ここでは、クロージャ70に1本の光ケーブル1と2本の分岐ケーブル2を挿通させているが、光ケーブル1や分岐ケーブル2の数は、これに限られるものではない。
【0067】
図10Cは、クロージャ70内の更に別の配線例の説明図である。光ケーブル1がクロージャ70に挿通されており、その光ケーブル1からクロージャ70内で光ファイバ3が分岐され、分岐した光ファイバ3(第1光ファイバ3A)と分岐ケーブル2の光ファイバ3(第2光ファイバ3B)とが融着接続されている。光ケーブル1の一部の光ファイバ3は、分岐されておらず、クロージャ70内をそのまま通過するパススルーファイバ3Cとなる。本実施形態の光ファイバトレイ100の第1トレイ10は、第1光ファイバ3A及び第2光ファイバ3Bの余長を収納可能であるとともに、パススルーファイバ3Cの収納可能である。このように、接続部5の無いパススルーファイバ3Cが光ファイバトレイ100に収納されても良い。
【0068】
パススルーファイバ3Cは、接続部5が無いため、保持部23に接続部5を保持させなくても良い。このため、本実施形態の光ファイバトレイ100は、第2トレイ20の保持部23を介さずにパススルーファイバ3Cを第1トレイ10に収納できるように構成されている。具体的には、
図2に示すように、光ファイバトレイ100の第1トレイ10は、第1ファイバ収納部14Aと第2ファイバ収納部14Bとの間で光ファイバ3を連絡させる連絡を有しており、これにより、第2トレイ20を介さずに、連絡路17を介することによって、第1トレイ10内で(第1挿通路と第2挿通路との間で)パススルーファイバ3Cを配線することが可能である。
【0069】
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0070】
1 光ケーブル、2 分岐ケーブル、3 光ファイバ、
3A 第1光ファイバ、3B 第2光ファイバ、3C パススルーファイバ、
10 第1トレイ、11 底部、12 側面部、
13A 第1挿通部、13B 第2挿通部、
14A 第1ファイバ収納部、14B 第2ファイバ収納部、
15 隔壁部、151 ガイド面、
16 舌片、161 外側舌片、162 内側舌片、
17 連絡路、18 第1係合部、
20 第2トレイ、21 底部、22 側面部、
23 保持部、24A 第1隙間部、24B 第2隙間部、
25A 第1支持部、25B 第2支持部、
26 舌片、27 凹部、28 第2係合部、
31 ヒンジ部、
40 第1蓋部、41 第1ヒンジ部、
42 スリット、43 突起部、44 隙間部、
50 第2蓋部、51 第2ヒンジ部、
52 スリット、53 突起部、
70 クロージャ、71 外側ケース、72 ケーブル挿通部、
100 光ファイバトレイ