(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240902BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G03G21/16 119
F16B5/10 M
(21)【出願番号】P 2020154950
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 亮太
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-205416(JP,A)
【文献】実開昭60-075173(JP,U)
【文献】特開2010-188804(JP,A)
【文献】実開昭49-132425(JP,U)
【文献】特開2010-266485(JP,A)
【文献】特開2013-184182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
F16B 5/10
H05K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板金を含み、画像形成ユニットの一端を支持する第1支持体と、
第1方向において前記第1支持体に対向して配置され、前記画像形成ユニットの他端を支持する第2支持体と、
前記第1方向に延在する第2板金を含み、前記第1支持体と前記第2支持体とを連結する第3支持体と、を備え、
前記第1板金及び前記第2板金の一方は、鉛直方向に延在する面部を有し、
前記面部は、第1面と、前記面部の板厚方向において前記第1面とは反対側の第2面とを有し、
前記面部には、前記第1面から前記第2面まで貫通する貫通孔が設けられ、
前記第1板金及び前記第2板金の他方は、フック部を有し、
前記フック部は、
前記
面部の前記貫通孔に、前記
面部の前記第1面の側から差し込まれる差込部と、
前記
面部の前記第1面のうち、前記鉛直方向において前記貫通孔の上にある部分に対向する第1対向部と、
前記
面部の前記第2面に対向する第2対向部と、を有し、
前記板厚方向における、前記差込部の先端から前記第2対向部までの距離が、前記面部の板厚より小さい、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2対向部は、前記面部の前記第2面に接触していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記フック部は、前記鉛直方向において前記差込部の下側に隣接し、前記鉛直方向に対して前記貫通孔から離れる方向に傾斜する第1の傾斜部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記フック部は、前記鉛直方向において前記第2対向部の下側に隣接し、前記鉛直方向に対して前記貫通孔から離れる方向に傾斜する第2の傾斜部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記他方の板金は、前記第2板金であり、
前記フック部は、前記第2板金における前記第1方向に延びる部分から鉛直方向の下方に曲げられた部分に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記一方の板金は、前記面部と交差する方向に延びる第2の面部を有し、
前記第2の面部は係合部を有し、
前記係合部は、
前記第2の面部の前記第2の面部の板厚方向に曲げられた第1曲げ部と、
前記第1曲げ部から前記他方の板金に向かって前記鉛直方向に延びるように曲げられた第2曲げ部と、を有し、
前記第2の面部と前記第2曲げ部とで前記他方の板金が挟まれていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記一方の板金は、前記面部と交差する方向に延びる第2の面部を有し、
前記第2の面部には、前記第2の面部の板厚方向に突出する突起部が設けられ、
前記突起部は、前記他方の板金に形成された係合孔に係合し、前記他方の板金の鉛直方向の移動を規制することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1支持体は、前記画像形成ユニットを支持する第1側板と、前記第1側板における前記鉛直方向と前記第1側板の板厚方向と直交する方向の一端側を支持する第1支柱と、前記第1側板における鉛直方向と前記第1側板の板厚方向と直交する方向の他端側を支持する第2支柱と、を有し、
前記第2支持体は、前記第1側板と共に前記画像形成ユニットを支持する第2側板を有し、
前記第1板金は、前記第1支柱であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の枠体は、前側板、後側板、前側板と後側板を連結するステーなどの複数の板金が溶接等により固定されて形成されるのが一般的である。このような各板金を高い位置精度で固定することで、枠体に支持される各部材間の位置精度が保たれ、高品質な画像を形成することが可能となる。
【0003】
これに対して特許文献1では、画像形成装置の枠体を構成する板金である第一板金と第二板金を高い位置精度で組み付けるための構成が記載されている。特許文献1に記載の構成は、第一板金に形成された突出部を、第二板金に形成された開口部に差し込んで両者を組み付ける構成である。第二板金の開口部の内部には、第一板金の突出部の板厚方向の一方の面に当接する第一膨出部と、他方の面に当接する第二膨出部が形成されている。これらの第一膨出部、第二膨出部によって、突出部を板厚方向から挟持することで、第一板金の第二板金に対する板厚方向の位置を決める。また第一板金の第二板金に対する差し込み方向と第一板金の板厚方向と直交する方向において、開口部の幅と突出部の幅を略同一とすることで、第一板金の第二板金に対する上記直交する方向の位置を決める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、第一板金の第二板金に対する差し込み方向と反対方向への移動を規制する部分が設けられていない。従って、第一板金が第二板金に組み付けられた状態で、仮に第一板金や第二板金に意図しない力が付与された場合、第一板金が第二板金に対する差し込み方向と反対方向に移動し、第一板金と第二板金が離間して位置精度が悪化するおそれがある。
【0006】
そこで本発明はこのような現状に鑑み、板金同士が離間して位置精度が悪化することを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、第1板金を含み、画像形成ユニットの一端を支持する第1支持体と、第1方向において前記第1支持体に対向して配置され、前記画像形成ユニットの他端を支持する第2支持体と、前記第1方向に延在する第2板金を含み、前記第1支持体と前記第2支持体とを連結する第3支持体と、を備え、前記第1板金及び前記第2板金の一方は、鉛直方向に延在する面部を有し、前記面部は、第1面と、前記面部の板厚方向において前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記面部には、前記第1面から前記第2面まで貫通する貫通孔が設けられ、前記第1板金及び前記第2板金の他方は、フック部を有し、前記フック部は、前記面部の前記貫通孔に、前記面部の前記第1面の側から差し込まれる差込部と、前記面部の前記第1面のうち、前記鉛直方向において前記貫通孔の上にある部分に対向する第1対向部と、前記面部の前記第2面に対向する第2対向部と、を有し、前記板厚方向における、前記差込部の先端から前記第2対向部までの距離が、前記面部の板厚より小さい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、板金同士が離間して位置精度が悪化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図10】中ステーが組み付けられる際の斜視図である。
【
図11】前側板が組み付けられる際の斜視図である。
【
図12】左支柱が組み付けられる際の斜視図である。
【
図13】前下ステーが組み付けられる際の斜視図である。
【
図14】右支柱が組み付けられる際の斜視図である。
【
図15】左下ステーが組み付けられる際の斜視図である。
【
図16】左上ステーが組み付けられる際の斜視図である。
【
図17】右下ステーが組み付けられる際の斜視図である。
【
図18】右下ステーと後側板と右支柱の斜視図である。
【
図19】後側板が組み付けられる際の斜視図である。
【
図20】右中ステーが組み付けられる際の斜視図である。
【
図21】右支柱が組み付けられる際の斜視図である。
【
図22】右支柱と右支柱の係合部の拡大斜視図である。
【
図23】右上ステーが組み付けられる際の斜視図である。
【
図24】右上ステーと右支柱の斜視図と分解斜視図である。
【
図25】右上ステーと右支柱の斜視図と分解斜視図である。
【
図26】右支柱の平面部と右上ステーのフック部の断面図である。
【
図27】右支柱の平面部の孔部の周囲の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<画像形成装置>
以下、本発明に係る画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
本実施形態に係る画像形成装置Aは、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの4色のトナーを中間転写ベルトに転写した後、シートに画像を転写して画像を形成する中間タンデム方式の画像形成装置である。なお、以下の説明において、上記各色のトナーを使用する部材には添え字としてY、M、C、Kを付するものの、各部材の構成や動作は使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じであるため、区別を要する場合以外は添え字を適宜省略する。
【0012】
図1は、画像形成装置Aの斜視概略図である。
図2は、画像形成装置Aの断面概略図である。
図1、
図2に示す様に、画像形成装置Aは、トナー像を形成してシートに転写する画像形成部44と、画像形成部44に向けてシートを供給するシート給送部43と、シートにトナー像を定着させる定着部45を備える。また画像形成装置Aの上部には、原稿の画像を読み取る画像読取部41が設けられている。
【0013】
画像形成部44は、プロセスカートリッジ3(3Y、3M、3C、3K)、レーザスキャナユニット15、中間転写ユニット49を備える。画像形成ユニットの一例であるプロセスカートリッジ3は、画像形成装置Aに対して着脱可能に構成されており、感光ドラム6(6Y、6M、6C、6K)、帯電ローラ8(8Y、8M、8C、8K)、現像装置4(4Y、4M、4C、4K)を備える。
【0014】
中間転写ユニット49は、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)、中間転写ベルト14、二次転写ローラ28、二次転写対向ローラ23、駆動ローラ21、テンションローラ22を備える。中間転写ベルト14は、二次転写対向ローラ23、駆動ローラ21、テンションローラ22に張架されており、駆動ローラ21が不図示のモータの駆動力によって回転し、その回転に従動して周回移動する。
【0015】
次に、画像形成装置Aによる画像形成動作について説明する。まず不図示の制御部に画像形成ジョブ信号が入力されると、給送ローラ16によってシートカセット42に積載収納されたシートSがレジストローラ9に送り出される。次に、シートSは、レジストローラ9によって所定のタイミングで二次転写ローラ28と二次転写対向ローラ23から形成される二次転写部に送り込まれる。
【0016】
一方、画像形成部においては、まず帯電ローラ8Yにより感光ドラム6Y表面が帯電させられる。その後、不図示の外部機器等から送信された画像信号に応じてレーザスキャナユニット15が感光ドラム6Y表面にレーザ光を照射し、感光ドラム6Y表面に静電潜像を形成する。
【0017】
その後、現像装置4Yにより感光ドラム6Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させ、感光ドラム6Y表面にイエローのトナー像を形成する。感光ドラム6Y表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ5Yにバイアスが印加されることで、中間転写ベルト14に一次転写される。
【0018】
同様のプロセスにより、感光ドラム6M、6C、6Kにも、マゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして一次転写ローラ5M、5C、5Kに一次転写バイアスが印加されることで、これらのトナー像が中間転写ベルト14上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これにより中間転写ベルト14表面にフルカラーのトナー像が形成される。
【0019】
なお、上述した現像プロセスによって現像装置4の内部のトナーが使用され、現像装置4の内部のトナーの量が少なくなると、トナーボトル32(32Y、32M、32C、32K)によりそれぞれの現像装置4に各色のトナーが補給される。トナーボトル32は、画像形成装置Aに対して着脱可能に構成されている。
【0020】
その後、中間転写ベルト14が周回移動することで、フルカラーのトナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において二次転写ローラ28にバイアスが印加されることで、中間転写ベルト14上のフルカラーのトナー像がシートSに転写される。
【0021】
次に、トナー像が転写されたシートSは、定着部45において加熱、加圧処理が施され、これによりシートS上のトナー像がシートSに定着される。その後、トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ18によって排出部19に排出される。
【0022】
<画像形成装置の枠体>
次に、画像形成装置Aの枠体31(金属フレーム)について説明する。
【0023】
図3は、画像形成装置Aの枠体31を画像形成装置Aの前面側から見た斜視図であって、枠体31から画像形成ユニット等の内部のユニットや外装カバーを取り外した状態の斜視図である。
図4は、画像形成装置Aの枠体31を画像形成装置Aの背面側から見た斜視図である。なお、図に示す矢印X方向は水平方向であり、画像形成装置Aの左右方向を示す。また矢印Y方向は水平方向であり、画像形成装置Aの前後方向を示す。また矢印Z方向は鉛直方向であり、画像形成装置Aの上下方向を示す。また画像形成装置Aの前側とは、画像形成に関する設定を行う操作部46を操作するために通常ユーザが立つ側であり、後側は枠体31を介して前側と反対の側である。また画像形成装置Aの左側とは前側から見て左側であり、右側とは前側から見て右側である。また、画像形成装置Aの前側とは、シートカセット42にシートを補充する際にシートカセット42を画像形成装置Aに対して引き出す方向であり、トナーボトル32を交換する際にトナーボトル32を引き出す方向である。
【0024】
図3、
図4に示す様に、画像形成装置Aは、その前面側の枠体31であり、第1支持体として、板金で形成された前側板55(第1側板)、左支柱56(第2支柱)、右支柱67(第1支柱)を備える。左支柱56は、矢印X方向における前側板55の一端側に連結されて前側板55を支持している。右支柱67は、矢印X方向における前側板55の他端側に連結されて前側板55を支持している。また右支柱67は、右支柱58と、右支柱58に対して鉛直方向の上方に連結された右支柱63とで構成されている。左支柱56と右支柱58は、前下ステー57によって連結されている。
【0025】
また画像形成装置Aは、その背面側の枠体31であり、第2支持体として、板金で形成された後側板50及び後底板51を備える。後側板50は、前側板55と対向して配置され、前側板55と共にプロセスカートリッジ3を支持する。後側板50は、後側板52、後側板53、後側板62として鉛直方向に3分割されており、鉛直方向において後側板52の上方に後側板53(第2側板)が連結され、鉛直方向において後側板53の上方に後側板62が連結されている。また後側板52、53、62のそれぞれの板金の板厚は0.6mm~2mm程度となっている。
【0026】
また画像形成装置Aは、その前面側の枠体31と背面側の枠体31を連結する枠体31として、左下ステー59、左上ステー60、右下ステー61、右中ステー65、右上ステー64、中ステー54を備える。ここで左下ステー59、左上ステー60、右下ステー61、右中ステー65、右上ステー64及び中ステー54は、背面側の枠体31である後側板50と、前面側の枠体31である前側板55、左支柱56及び右支柱67とを連結する連結部材の一例であり、第3支持体の一例である。左下ステー59は、左支柱56と後側板52を連結する。左上ステー60は、左支柱56と後側板53を連結する。右下ステー61は、右支柱58と後側板52を連結する。右中ステー65は、後側板53と右支柱58を連結する。右上ステー64は、右支柱63と後側板62を連結する。中ステー54は、前側板55と後側板53を連結する。
【0027】
なお、上述した枠体31を構成する各部材は、それぞれが一枚の板金から形成されている。これらの板金は、絞り加工等によって所定の形状に加工された上で、後述する組み付け工程で仮組みされた後、固定工程を経て固定されて枠体31となる。
【0028】
<枠体の組み付け工程>
次に、枠体31を構成する複数の板金を組み付ける工程について説明する。
図5~
図27は、枠体31を構成する各板金が組み付けられる様子を示す図である。
【0029】
図5に示す様に、枠体31を構成する各板金が組み付けられる際は、第1治具としての置台33が用いられる。置台33は、位置決めピン33a、33bが設けられたベース部と、ベース部に立設された支柱33cを有する。まず置台33の上に後底板51が載せられる。後底板51は、置台33に対向する平面部51w1と、平面部51w1から曲げ起こされた曲げ起こし部51w2を備える。曲げ起こし部51w2は、少なくとも後側板52と係合する辺に形成される。置台33の上に後底板51が載せられる時、置台33の位置決めピン33aが後底板51の平面部51w1に形成された位置決め孔51aに挿入されることで、置台33に対する後底板51の位置が決められる。
【0030】
次に、
図6に示す様に、後側板52が組み付けられる。後側板52は、3つの平面を有するコの字形状となるように曲げ加工が施されている。後側板52は、画像形成装置Aの背面に位置する平面部52aと、平面部52aに対して曲げ加工されて画像形成装置Aの後方に延びる曲げ部52bと、曲げ部52bと対向するように平面部52aに対して曲げ加工された曲げ部52wを備える。後側板52は、後底板51に対して差し込まれて組み付けられる。後側板52の平面部52aの下部には、その板厚方向に絞り加工によって突出するように形成される突起部52nと、段曲げ部52mが設けられている。後側板52の曲げ部52bの下部には段曲げ部52pが設けられている。段曲げ部52mは、平面部52aの板厚方向(矢印Y方向)に曲げられた部分と、その部分から後底板51に対する差し込み方向(矢印Z方向)に曲げられて延出する部分を有する。段曲げ部52pは、曲げ部52bの板厚方向(矢印X方向)に曲げられた部分と、その部分から後底板51に対する差し込み方向に曲げられて延出する部分を有する。また段曲げ部52mの先端部は、後側板52の後底板51に対する差し込み方向に対して後側板52の平面部52aから離れる方向に傾斜する傾斜部52m1となっている。段曲げ部52pの先端部は、後側板52の後底板51に対する差し込み方向に対して後側板52の曲げ部52bから離れる方向に傾斜する傾斜部52p1となっている。また後底板51の曲げ起こし部51w2には、その板厚方向(矢印Y方向)に貫通する貫通孔51nが形成されている。
【0031】
後側板52が組み付けられる際、後側板52の段曲げ部52m、52pが、後底板51の曲げ起こし部51w2に差し込まれて係合する。この時、後側板52の傾斜部52m1、52p1が後底板51の曲げ起こし部51w2に当接して後側板52の矢印Z方向の移動が案内される。これにより後側板52における段曲げ部52m、52pと平面部52a、52bによって後底板51の曲げ起こし部51w2をその板厚方向から挟み込み、後側板52の後底板51に対する矢印X方向、矢印Y方向の位置が決められる。また後底板51の貫通孔51nに対して、後側板52の突起部52nが係合する。これにより貫通孔51nの内壁に突起部52nの縁部52n1が当接し、後側板52の後底板51に対する差し込み方向と反対方向への移動が規制される。また後側板52が後底板51に対して、後側板52の下端部と置台33における後底板51が載置されている面とが当接する位置、又は、段曲げ部52m、52pにおける平面部52a、52bから曲げ起こされている部分と後底板51の曲げ起こし部51w2の上端部とが当接する位置まで差し込まれると、後側板52と後底板51の矢印Z方向の位置が決まり、後底板51と後側板52との最終的な相対位置が決まる。
【0032】
次に、
図7に示す様に、プロセスカートリッジ3を支持する後側板53が、後側板52に対して鉛直方向(矢印Z方向)から差し込まれて組み付けられる。後側板53は、三つの平面を有するコの字形状となるように曲げ加工が施されている。後側板53は、画像形成装置Aの背面に位置し、プロセスカートリッジ3を支持する支持部53aと、支持部53aに対して曲げ角度が略垂直(89度~91度)となるように曲げ加工されて画像形成装置Aの後方に延びる曲げ部53bを備える。また後側板53は、曲げ部53bと対向するように支持部53aに対して曲げ加工された曲げ部53wを備える。
【0033】
後側板53の支持部53aは、後側板52の平面部52aに対して鉛直方向の上方に平面部52aと隣接するように配置される。また後側板53の曲げ部53bは、後側板52の曲げ部52bに対して鉛直方向の上方に曲げ部52bと隣接するように配置される。また後側板53の曲げ部53wは、後側板52の曲げ部52wに対して鉛直方向の上方に曲げ部52wと隣接するように配置される。
【0034】
まず後側板52の平面部52aと後側板53の支持部53aとの組み付け構成について説明する。
図8は、後側板52の平面部52aと後側板53の支持部53aの斜視図である。ここで
図8(a)は、後側板52と後側板53が組み付けられる前の状態を示し、
図8(b)は、後側板52と後側板53が組み付けられている状態を示す。
【0035】
図8に示す様に、後側板53の支持部53aには、後側板53の板厚方向に突出する二つの突起部103と、後側板53の後側板52に対する差し込み方向(矢印Z方向)に突出する二つの段曲げ部104が設けられている。また二つの段曲げ部104のそれぞれの下部には、後側板52に対する差し込み方向に突出する二つの突出部105が設けられている。
【0036】
突起部103は、絞り加工により形成され、支持部53aの表面からの突出量は0.3mm~2mm程度となっている。また突起部103は、後側板53の板厚方向と後側板53の後側板52に対する差し込み方向と直交する方向(矢印X方向)において段曲げ部104と隣接した位置に配置されている。また突出部105の先端部は、後側板53の後側板52に対する差し込み方向に対して支持部53aから離れる方向に傾斜する傾斜部105aとなっている。
【0037】
段曲げ部104は、後側板53の板厚方向に曲げられた部分と、その部分から後側板52に対する差し込み方向に曲げられて延出する部分を有する。また段曲げ部104の先端部は、後側板53の後側板52に対する差し込み方向に対して傾斜する支持部53aから離れる方向に傾斜部104aとなっている。
【0038】
後側板52の平面部52aの上部には、矢印Y方向に曲げられた曲げ部52a1と、曲げ部52a1から矢印Z方向に曲げ起こされた曲げ起こし部52a2が形成されている。曲げ起こし部52a2には、その板厚方向(矢印Y方向)に貫通する二つの貫通孔107が形成されている。また曲げ部52a1と曲げ起こし部52a2との境界部分には、その板厚方向に貫通する貫通孔108が形成されている。
【0039】
後側板53が後側板52に組み付けられる際、後側板53の段曲げ部104の傾斜部104aと突出部105の傾斜部105aが後側板52の曲げ起こし部52a2に当接することで、後側板53の矢印Z方向の移動が案内される。また後側板53のストッパ部106が、後側板52の曲げ起こし部52a2の上端部である突当部109に突き当たることで、後側板53の後側板52に対する差し込み方向への移動が規制される。
【0040】
後側板53が後側板52に組み付けられると、後側板53の段曲げ部104が、後側板52の曲げ起こし部52a2に差し込まれて係合する。これにより後側板53における段曲げ部104と支持部53aによって後側板52の曲げ起こし部52a2をその板厚方向から挟み込み、後側板53の後側板52に対する矢印Y方向の位置が決められる。
【0041】
また後側板53の突起部103が、後側板52の貫通孔107に係合する。これにより突起部103の縁部103aが貫通孔107の内壁に当接し、後側板53の後側板52に対する差し込み方向と反対方向への移動が規制される。
【0042】
また後側板53の突出部105が、後側板52の貫通孔108に係合する。これにより突出部105が貫通孔108の内壁に当接し、後側板53の後側板52に対する矢印X方向の移動が規制される。
【0043】
このように後側板52と後側板53とを係合させる段曲げ部104の近傍に、後側板53の後側板52に対する差し込み方向と反対方向への移動を規制する突起部52nを設ける。これにより後側板53が後側板52に対する差し込み方向と反対方向に移動して、後側板53と後側板52が離間して位置精度が悪化することを抑制することができる。従って、枠体31を構成する後側板53と後側板52を高い位置精度で組み付けることができる。
【0044】
次に、後側板52の曲げ部52bと後側板53の曲げ部53bとの組み付け構成について説明する。
図9は、後側板52の曲げ部52bと後側板53の曲げ部53bの係合部の拡大斜視図である。ここで
図9(a)は、後側板52と後側板53が係合する前の状態を示し、
図9(b)は、後側板52と後側板53が係合している状態を示す。
【0045】
図9に示す様に、後側板53の曲げ部53bは、後側板52の曲げ部52bに対して相互に差し込まれて組み付けられる。後側板52の曲げ部52bの上部には、後側板53の曲げ部53bに対する差し込み方向(矢印Z方向)に突出し、後側板52の板厚方向において後側板53の曲げ部53bと重なるように曲げ部53bに差し込まれて係合する段曲げ部313が設けられている。段曲げ部313は、後側板53の曲げ部53bの下端部に引っ掛かるように、後側板53に係合する。
【0046】
段曲げ部313は、後側板52の曲げ部52bの板厚方向(矢印X方向)に曲げられた部分と、その部分から後側板53の曲げ部53bに対する差し込み方向に曲げられて延出する部分を有する。また段曲げ部313の先端部は、段曲げ部313における後側板53の曲げ部53bに対する差し込み方向に曲げられた部分から曲げられて形成され、曲げ部53bに対する差し込み方向に対して曲げ部52bから離れる方向に傾斜する傾斜部313aとなっている。
【0047】
また後側板53の曲げ部53bの下部には、後側板52の曲げ部52bに対する差し込み方向(矢印Z方向)に突出する二つの突出部301a、301bが設けられている。突出部301a、301bは、後側板53の曲げ部53bの板厚方向(矢印X方向)において後側板52の曲げ部52bと重なるように、曲げ部52bに差し込まれて係合する。また突出部301a、301bは、後側板52の曲げ部52bの上端部に引っ掛かるように曲げ部52bに係合する。また突出部301bは、後側板52の曲げ部52bの上端部に引っ掛かるように曲げ部52bに係合する。また、突出部301a、301bの先端部は、後側板52の曲げ部52bに対する差し込み方向に対して曲げ部53bから離れる方向に傾斜する傾斜部301a1、301b1となっている。
【0048】
段曲げ部313が曲げ部53bに係合し、突出部301a、301bが曲げ部52bに係合すると、曲げ部52b、53bの差し込み方向と板厚方向に直交する方向(矢印Y方向)において、段曲げ部313と突出部301a、301bとが互い違いに係合する。具体的には、突出部301aは、上記直交する方向において、段曲げ部313に対して後側板53の支持部53aに近い側で、且つ、段曲げ部313に隣接した位置で、曲げ部52bに差し込まれて係合する。つまり突出部301a、段曲げ部313及び突出部301bは、鉛直方向と板厚方向に直交する方向(矢印Y方向)において、隣接して並ぶように位置している。突出部301bは、上記直交する方向において、段曲げ部313に対して後側板53の支持部53aから遠い側で、且つ、段曲げ部313に隣接した位置で、曲げ部52bに差し込まれて係合する。このような構成により、後側板52の曲げ部52bと後側板53の曲げ部53bとが強固に係合して組み付けられる。また後側板52の曲げ部52bと後側板53の曲げ部53bとが、貫通孔と突出部による係合ではなく曲げ部と板部との係合により組付けられるため、余分な嵌合ガタを設ける必要がなく、板金同士の位置決め精度を向上させることができる。よって、枠体を構成する二つの板金の組付けのしやすさと位置決め精度の向上を両立することができる。
【0049】
次に、
図10に示す様に、中ステー54が組み付けられる。中ステー54は、レーザスキャナユニット15が置かれる光学台であり、連結部材の一例である。中ステー54は、置台33に設けられた二つの支柱33cの上に載置されるとともに、後側板53の支持部53aに差し込まれる。なお、本実施形態では、中ステー54がレーザスキャナユニット15を支持する部材としたが、鉛直方向においてレーザスキャナユニット15とシートカセット42の間の位置において、前側板55と後側板50とが所定間隔となるようにそれぞれを連結する部材であればよい。またレーザスキャナユニット15ではなく、LEDによって感光ドラム6を露光する露光ユニットであれば、鉛直方向において露光ユニットとシートカセット42との間に設けられる構成であればよい。
【0050】
中ステー54は、水平方向に延びる平面部54w1と、平面部54w1の矢印Y方向の一端部において平面部54w1から垂直且つ上方に曲げられた曲げ起こし部54w2を有する。また中ステー54は、曲げ起こし部54w2と対向するように平面部54w1から垂直に曲げられた曲げ起こし部54w3と、平面部54w1の矢印X方向の一端部において平面部54w1から垂直且つ上方に曲げられた曲げ起こし部54w4を有する。また中ステー54は、平面部54w1の矢印X方向の他端部において平面部54w1から垂直且つ下方に曲げられ、そこから水平方向にさらに延出する曲げ部54w5を有する。中ステー54の曲げ起こし部54w4には、後側板53に対する差し込み方向(矢印Y方向)に突出した突出部54aが設けられている。中ステー54の突出部54aは、後側板53の支持部53aに形成され、支持部53aの板厚方向(矢印Y方向)に貫通する貫通孔150に対して差し込まれる。これにより中ステー54の後側板53に対する矢印X方向、矢印Y方向の位置が決められる。
【0051】
次に、
図11に示す様に、前側板55が組み付けられる。前側板55には、中ステー54が差し込まれる。前側板55は、鉛直方向に延びる平面部55w1と、平面部55w1の矢印X方向及び矢印Y方向の両端部がそれぞれ画像形成装置Aの前方に曲げ起こされた曲げ起こし部55w2を有する。前側板55の平面部55w1には、その板厚方向(矢印Y方向)に貫通する貫通孔55a、55bが形成されている。また中ステー54の曲げ起こし部54w3には、前側板55に対する差し込み方向(矢印Y方向)に突出する突出部54b、54cが設けられている。突出部54bの先端部には、基端部よりも上方に突出した引掛け部54b1が設けられている。
【0052】
中ステー54の突出部54bは、前側板55の平面部55w1に形成された貫通孔55aに差し込まれ、突出部54cは前側板55の平面部55w1に形成された貫通孔55bに差し込まれる。これにより前側板55の中ステー54に対する位置が決められる。また突出部54bの引掛け部54b1は、前側板55における貫通孔55aの上方の部分に対向する。これにより中ステー54の引掛け部54b1と前側板55の平面部55w1とが当接し、中ステー54の前側板55に対する差し込み方向と反対方向への移動が規制され、中ステー54の抜け止めが行われる。
【0053】
次に、
図12に示す様に、左支柱56が組み付けられる。左支柱56は、置台33の上に配置される。また左支柱56には、前側板55が差し込まれる。左支柱56は、主として二つの平面から形成され、前側板55の平面部55w1と平行に延びる平面部56w1と、平面部56w1から画像形成装置Aの後方に略垂直に曲げられた平面部56w2を有する。左支柱56の平面部56w1と平面部56w2との境界の曲げ部分には、矢印Y方向に貫通する貫通孔56aが設けられている。また左支柱56の平面部56w2には、その板厚方向(矢印X方向)に貫通する貫通孔56bが設けられている。また前側板55の曲げ起こし部55w2には、左支柱56に対する差し込み方向(矢印Y方向)に突出する突出部55cと、板厚方向(矢印X方向)に突出する突起部55dが設けられている。
【0054】
前側板55の突出部55cは、左支柱56に形成された貫通孔56aに差し込まれる。これにより左支柱56の前側板55に対する位置が決められる。また左支柱56の貫通孔56bに対して、前側板55の突起部55dが係合する。これにより貫通孔56bの内壁に突起部55dの縁部55d1が当接し、前側板55の左支柱56に対する差し込み方向と反対方向への移動が規制される。
【0055】
次に、
図13に示す様に、前下ステー57が組み付けられる。前下ステー57は、置台33の上に載置されるとともに、左支柱56に差し込まれて組み付けられる。前下ステー57は、置台33に載置される平面である平面部57w1と、平面部57w1の矢印X方向及び矢印Y方向の両端部がそれぞれ平面部57w1から略垂直且つ上方に曲げ起こされた曲げ起こし部57w2を有する。前下ステー57の曲げ起こし部57w2には、左支柱56に対する差し込み方向(矢印X方向)に突出する突出部57aが設けられている。前下ステー57の平面部57w1には、その板厚方向(矢印Z方向)に貫通する位置決め孔57bが形成されている。また左支柱56の平面部56w2には、その板厚方向(矢印X方向)に貫通する貫通孔56cが形成されている。ここで貫通孔56cの上端部の幅をL1、下端部の幅をL2とする。また突出部57aの先端部の幅をL3、基板部の幅をL4とする。この時、L1>L2、L4<L3、L1≒L3、L2≒L4の関係となっている。
【0056】
前下ステー57の突出部57aは、左支柱56の平面部56w2に形成された貫通孔56cに差し込まれて係合する。この時、突出部57aは貫通孔56cの上部側から差し込まれ、その後に組み付け作業者の力や重力によって貫通孔56cの下端部に移動される。ここで突出部57aが貫通孔56cの下端部に位置する時、L3>L2の関係より、突出部57aの貫通孔56cに対する差し込み方向と反対方向の移動が規制される。また前下ステー57が置台33の上に配置される際、前下ステー57の位置決め孔57bに対して置台33の位置決めピン33bが差し込まれる。これにより前下ステー57の置台33に対する位置が決められる。
【0057】
次に、
図14に示す様に、右支柱58が組み付けられる。右支柱58は、置台33の上に配置される。また右支柱58には、前側板55が差し込まれて組み付けられる。右支柱58は、前側板55の平面部55w1と平行に延びる平面部58w1と、平面部58w1から画像形成装置Aの前方に略垂直に曲げられた平面部58w2を有する。右支柱58と前側板55との組み付け構成は、左支柱56と前側板55の組み付け構成と同様である。つまり右支柱58の平面部58w1と平面部58w2との境界の曲げ部分には、矢印Y方向に貫通する貫通孔(不図示)が形成されている。この貫通孔に対して、前側板55の曲げ起こし部55w2に形成され、右支柱58に対する差し込み方向(矢印Y方向)に突出する突出部(不図示)が差し込まれる。また右支柱58の平面部58w2には、その板厚方向(矢印X方向)に貫通する貫通孔(不図示)が形成されている。この貫通孔に対して、前側板55の曲げ起こし部55w2に形成され、矢印X方向に突出する突起部(不図示)が係合する。ここでは、前側板55を中ステー54に組付けた後に左支柱56や右支柱58を組み付ける構成としたが、左支柱56を置台33の上に載置した状態で前側板55を中ステー54と左支柱56に組み付けるような順序であってもよい。
【0058】
ここまで組み付けられた時点において枠体31は自立可能となる。つまり画像形成装置Aの前面側の枠体31である前側板55、右支柱58、左支柱56、前下ステー57と、背面側の枠体である後底板51、後側板52、53と、前面側の枠体と背面側の枠体を連結する枠体31である中ステー54が組み付けられることで枠体31が自立可能となる。
【0059】
次に、
図15に示す様に、左下ステー59が組み付けられる。左下ステー59は、左支柱56の平面部56w2と平行に延びる平面部59w1と、平面部59w1の上部において平面部59w1の板厚方向(矢印X方向)に曲げられた曲げ起こし部59w2を有する。左下ステー59は、後側板52及び左支柱56に対して鉛直方向から相互に差し込まれて組み付けられる。左下ステー59と左支柱56との組み付け構成と、左下ステー59と後側板52との組み付け構成は、同様である。従って、ここでは左下ステー59と左支柱56との組み付け構成のみ説明する。
【0060】
左支柱56の平面部56w2には、左下ステー59に対する差し込み方向(矢印Z方向)に突出する突出部56g及び段曲げ部56jと、平面部56w2の板厚方向(矢印X方向)に突出する突起部56hが設けられている。段曲げ部56jは、平面部56w2の板厚方向に曲げられた部分と、その部分から左下ステー59に対する差し込み方向に曲げられて延出する部分を有する。また段曲げ部56jの先端部は、左支柱56の左下ステー59に対する差し込み方向に対して平面部56w2から離れる方向に傾斜する傾斜部56j1となっている。また左下ステー59の平面部59w1には、その板厚方向(矢印X方向)に貫通する貫通孔59aと、その平面方向に切り欠かれた切欠き部59bが形成されている。
【0061】
左支柱56の突出部56gは、左下ステー59の平面部59w1に形成された貫通孔59aに差し込まれて係合する。ここで突出部56gの矢印Y方向の幅と貫通孔59aの矢印Y方向の幅はほぼ同じ幅となっている。従って、突出部56gが貫通孔59aに差し込まれることで左下ステー59の左支柱56に対する矢印Y方向の位置が決められる。
【0062】
また左支柱56の段曲げ部56jは、左下ステー59の平面部59w1の下端部に差し込まれて係合する。これにより左支柱56における段曲げ部56jと平面部56w2によって左下ステー59の平面部59w1をその板厚方向(矢印X方向)から挟み込み、左下ステー59の左支柱56に対する矢印X方向の位置が決められる。
【0063】
また左支柱56の突起部56hは、左下ステー59に形成された切欠き部59bに係合する。これにより切欠き部59bの内壁に突起部56hの縁部56h1が当接し、左支柱56の左下ステー59に対する差し込み方向と反対方向への移動が規制される。
【0064】
次に、
図16に示す様に、左上ステー60が組み付けられる。左下ステー59は、後側板53及び左支柱56に対して鉛直方向から相互に差し込まれて組み付けられる。左上ステー60と後側板53との組み付け構成と、左上ステー60と左支柱56との組み付け構成は、同様である。従って、ここでは左上ステー60と左支柱56との組み付け構成のみ説明する。
【0065】
左支柱56の平面部56w2には、左上ステー60に対する差し込み方向(矢印Z方向)に突出する突出部56d及び段曲げ部56eが形成されている。段曲げ部56eは、左支柱56の平面部56w2の板厚方向(矢印X方向)に曲げられた部分と、その部分から左上ステー60に対する差し込み方向に曲げられて延出する部分を有する。また段曲げ部56eの先端部は、左支柱56の左上ステー60に対する差し込み方向に対して平面部56w2から離れる方向に傾斜する傾斜部56e1となっている。
【0066】
左上ステー60は、左支柱56の平面部56w2と平行に延びる平面部60w1と、平面部60w1の上部において平面部60w1の板厚方向(矢印X方向)に曲げられた曲げ起こし部60w2を有する。左上ステー60の平面部60w1には、その板厚方向(矢印X方向)に貫通する貫通孔60a、60bが形成されている。
【0067】
左支柱56の突出部56dは、左上ステー60の平面部60w1に形成された貫通孔60aに差し込まれて係合する。ここで突出部56dの矢印Y方向の幅と貫通孔60aの矢印Y方向の幅はほぼ同じ幅となっている。従って、突出部56dが貫通孔60aに差し込まれることで、左上ステー60の左支柱56に対する矢印Y方向の位置が決められる。また左支柱56の段曲げ部56eは、左上ステー60の貫通孔60bに差し込まれて係合する。これにより左支柱56における段曲げ部56eと平面部56w2によって左上ステー60の平面部60w1をその板厚方向(矢印X方向)から挟み込み、左上ステー60の左支柱56に対する矢印X方向の位置が決められる。
【0068】
次に、
図17に示す様に、右下ステー61が組み付けられる。右下ステー61は、互いに対向する後側板52と右支柱58とを連結する部材であり、後側板52及び右支柱58に対して水平方向(矢印Y方向)において右支柱58の位置する前側から差し込まれて組み付けられる。右下ステー61は、右支柱58と後側板52との間の間隔が所定間隔となるように右支柱58及び後側板52に連結され、シートSの搬送性を保証する部材である。また枠体31の右下角部近傍に位置するため枠体31の剛性に影響する。従って、右下ステー61は、高い位置精度で組み付けられるのが特に望ましい。以下、右下ステー61の組み付け構成について詳しく説明する。
【0069】
図18は、右下ステー61と後側板52と右支柱58の斜視図である。ここで
図18(a)は、右下ステー61が組み付けられる前の状態を示し、
図18(b)は、右下ステー61が組み付けられた状態を示す。まず右下ステー61と後側板52の組み付け構成について説明する。
図25に示す様に、後側板52の平面部52aには、矢印Y方向において前面側に向かって曲げ起こされた曲げ部250が設けられている。曲げ部250は、後側板52の平面部52aの板厚方向に曲げ起こされており、平面部52aに対して曲げ部52wと反対方向に曲げ起こされている。また後側板52の平面部52aにおいて、曲げ部250の周囲には、平面部52aの板厚方向(矢印Y方向)に貫通する貫通孔251が形成されている。上述の通り、後側板52は一枚の板金から形成されており、貫通孔251は曲げ部250の加工時に形成される孔である。
【0070】
右下ステー61は、三つの平面から構成されており、断面がコの字形状となっている。右下ステー61は、後側板52の曲げ部52wと略平行に延びる平面部61w1と、平面部61w1の上部において平面部61w1から矢印X方向に略垂直に曲げられた平面部61w2を有する。また右下ステー61は、平面部61w1の下部において平面部61w2と対向するように曲げられた平面部61w3を有する。右下ステー61の平面部61w1には、後側板52の曲げ部250に差し込まれて係合する段曲げ部61aが設けられている。段曲げ部61aは、右下ステー61の平面部61w1の板厚方向(矢印X方向)に曲げられた部分と、その部分から後側板52に対する差し込み方向(矢印Y方向)に曲げられて延出する部分を有する。段曲げ部61aは、平面部61w2に対して加工される際に段曲げ部61aの周囲に貫通孔を形成し、平面部61w2に対して段曲げ部61aが曲げられて形成されている。
【0071】
右下ステー61が組み付けられる際、右下ステー61の矢印Y方向の一端部の全体が後側板52の貫通孔251に差し込まれるとともに、右下ステー61の段曲げ部61aが後側板52の曲げ部250に差し込まれて係合する。これにより右下ステー61における段曲げ部61aと平面部61w1によって後側板52の曲げ部250をその板厚方向(矢印X方向)から挟み込み、右下ステー61の後側板52に対する矢印X方向(平面部61w1の板厚方向)の位置が決められる。
【0072】
また右下ステー61の上面である平面部61w2と、後側板52の貫通孔251の上側の内壁が所定の間隔を空けて対向し、右下ステー61の自重によって右下ステー61の下面である平面部61w3と、貫通孔251の下側の内壁が接触する。これにより所定の間隔分のガタを持った状態で、右下ステー61の後側板52に対する鉛直方向(矢印Z方向)の位置が決められる。
【0073】
次に、右下ステー61と右支柱58の組み付け構成について説明する。
図25に示す様に、右支柱58の平面部58w2には、右下ステー61の段曲げ部61bが差し込まれる差込穴58aが形成されている。また右支柱58は、平面部58w2における差込穴58aの周囲から画像形成装置Aの後方に矢印Y方向に延びる平面部(不図示)を有する。この不図示の平面部には、その板厚方向(矢印X方向)に突出する略半円形状の突起部(不図示)が設けられている。突起部(不図示)は、絞り加工により形成され、段曲げ部61bの差込穴58aに対する差し込み方向(矢印Y方向)において差込穴58aと隣接した位置に配置されている。
【0074】
また右下ステー61の平面部61w1には、右支柱58の差込穴58aに差し込まれて係合する段曲げ部61bが設けられている。段曲げ部61bは、平面部61w1の板厚方向(矢印X方向)に曲げられた部分と、その部分から右支柱58に対する差し込み方向(矢印Y方向)に曲げられて延出する部分を有する。
【0075】
また右下ステー61の平面部61w1における段曲げ部61bの周囲には、平面部61w1の板厚方向に貫通する貫通孔61cが形成されている。貫通孔61cは、右下ステー61の右支柱58に対する差し込み方向において、段曲げ部61bと隣接した位置に配置されている。上述の通り、右下ステー61は一枚の板金から形成されており、貫通孔61cは段曲げ部61bの加工時に形成される孔である。
【0076】
右下ステー61が組み付けられる際、右下ステー61の段曲げ部61bが右支柱58の差込穴58aに差し込まれて係合するとともに、右支柱58の突起部(不図示)が右下ステー61の貫通孔61cに係合する。このように差込穴58aに段曲げ部61bが係合することで、右下ステー61の右支柱58に対する矢印X方向、矢印Y方向及び矢印Z方向の位置が決められる。また段曲げ部61bの上面と差込穴58aの上側の内壁が所定の間隔を空けて対向し、段曲げ部61bの下面と差込穴58aの下側の内壁が所定の間隔を空けて対向する。これにより、右下ステー61の右支柱58に対する矢印Y方向の後側から前側へ向かう方向の位置が決められる。このような構成によって所定の間隔分のガタを持った状態で、右下ステー61の右支柱58に対する矢印X方向、矢印Y方向及び鉛直方向(矢印Z方向)の位置が決められる。
【0077】
また右下ステー61が後側板52や右支柱58に係合した状態で、右支柱58の突起部(不図示)が貫通孔61cの内壁に当接することで、右下ステー61の後側板52及び右支柱58に対する差し込み方向と反対方向への移動が規制される。右下ステー61の後側板52及び右支柱58に対する差し込み方向とは、後側板52の平面部52aの平面に直交する方向であり、矢印Y方向のうち前側から後側に向かう方向である。右下ステー61の後側板52及び右支柱58に対する差し込み方向と反対方向とは、後側板52の平面部52aの平面に直交する方向であり、矢印Y方向のうち後側から前側に向かう方向である。
【0078】
次に、
図19に示す様に、後側板62が組み付けられる。後側板62は、後側板53に対して矢印Z方向から差し込まれて組み付けられる。後側板62と後側板53との組み付け構成は、後側板52と後側板53の組み付け構成と同様であり、両者が互いに差し込まれて係合する組み付け構成となっている。
【0079】
次に、
図20に示す様に、右中ステー65が組み付けられる。右中ステー65は、一つの平面で形成された板状の部材であって、定着部45の回転軸線方向における端部を冷却するファンを支持する部材である。右中ステー65は、後側板53及び右支柱58に差し込まれて組み付けられる。右中ステー65と後側板53の組み付け構成と、右中ステー65と右支柱58の組み付け構成は同様である。従って、ここでは主として右中ステー65と後側板53との組み付け構成を説明する。
【0080】
後側板53の支持部53aには、その板厚方向(矢印Y方向)に貫通する貫通孔53cが形成されている。なお、後側板53は、鉛直方向に延びる部材である。また右中ステー65には、後側板53の支持部53aに対する差し込み方向(矢印Y方向)に突出し、後側板53の貫通孔53cに矢印Y方向から差し込まれる突出部65aが設けられている。
【0081】
突出部65aは、貫通孔53cに嵌合する基部65a1と、基部65a1よりも差し込み方向の先端側に設けられ、基部65a1の下端部65a1xよりも鉛直方向の下方の位置に下端部65a2xが位置する引掛け部65a2を有する。また基部65a1の上端部から引掛け部65a2の上端部にかけて高さが低くなるように傾斜する傾斜部65a3を有する。
【0082】
突出部65aが貫通孔53cに差し込まれる際、まず突出部65aの先端部である引掛け部65a2が差し込まれ、その後に基部65a1が差し込まれ、基部65a1が貫通孔53cに嵌合する。突出部65aの基部65a1の鉛直方向の幅と、貫通孔53cの鉛直方向の幅は、ほぼ同じ幅になっている。また右中ステー65の板厚と、貫通孔53cの矢印X方向の幅は、ほぼ同じ幅となっている。従って、突出部65aの基部65a1が貫通孔53cに嵌合することで、右中ステー65の後側板53に対する鉛直方向(矢印Z方向)の位置と、後側板に対する差し込み方向と鉛直方向に直交する方向(矢印X方向)の位置が決まる。
【0083】
また突出部65aの基部65a1が貫通孔53cに嵌合した状態で、引掛け部65a2の下端部65a2xは、後側板53の支持部53aにおける貫通孔53cよりも下方の部分と対向する位置に位置する。本実施形態においては、引掛け部65a2の下端部65a2xは、基部65a1の下端部65a1xに対して下方に2mm突出し、後側板53の支持部53aと対向する右中ステーの対向部に対して3mm間隔を開けるように設けられる。ここで後側板53の支持部53aの板厚は1mm程度であり、矢印Y方向における突出部65aの基部65a1の長さは、後側板53の支持部53aの板厚よりも長くなっている。これにより組み付け中に後側板53と右中ステー65とが相対的に傾いたとしても、引掛け部65a2が支持部53aに引っ掛かり、右中ステー65の後側板53の支持部53aに対する差し込み方向と反対方向への移動が規制される。従って、右中ステー65が後側板53から離間することを抑制し、右中ステー65と後側板53を高い位置精度で組み付けることができる。また上述したように、右中ステー65と後側板53の組み付け構成と右中ステー65と右支柱58の組み付け構成は同様であるため、右中ステー65は右支柱58から離間することを抑制し、右中ステー65と右支柱58の位置精度を高めることができる。
【0084】
次に、
図21に示す様に、右支柱63が組み付けられる。右支柱63は、前側板55の平面部55w1と平行に鉛直方向に延びる平面部63w1と、平面部63w1から矢印Y方向に略垂直に曲げられた平面部63w2と、平面部63w2から平面部63w1と対向するように略垂直に曲げられた平面部63w3を有する。右支柱63は、右支柱58に対して相互に差し込まれて組み付けられる。
【0085】
図22は、右支柱63と右支柱58の係合部の拡大斜視図である。ここで
図22(a)は、右支柱63と右支柱58が組み付けられる前の状態を示し、
図22(b)は、右支柱63と右支柱58が組み付けられている状態を示す。
【0086】
図22に示す様に、右支柱63の平面部63w2には、平面部63w2の板厚方向(矢印X方向)に突出する突起部63aと、右支柱58に対する差し込み方向(矢印Z方向)に突出する二つの突出部63bが設けられている。ここで突出部63bは、鉛直方向(矢印Z方向)において突起部63aよりも下方に設けられている。突起部63aは、絞り加工により形成され、平面部63w2の表面からの突出量は0.3mm~2mm程度となっている。また突出部63bの先端部は、右支柱63の右支柱58に対する差し込み方向に対して平面部63w2から離れる方向に傾斜する傾斜部63b1となっている。
【0087】
右支柱58の平面部58w2には、右支柱58の右支柱63に対する差し込み方向(矢印Z方向)に突出する段曲げ部58cが設けられている。また右支柱58の右支柱63に対する差し込み方向において段曲げ部58cと隣接した位置には、平面部58w2の板厚方向(矢印X方向)に貫通する貫通孔58dが形成されている。段曲げ部58cは、平面部58w2の板厚方向に曲げられた部分と、その部分から右支柱63に対する差し込み方向に曲げられて延出する部分を有する。また段曲げ部58cの先端部は、右支柱58の右支柱63に対する差し込み方向に対して平面部58w2から離れる方向に傾斜する傾斜部58c1となっている。
【0088】
右支柱63が右支柱58に組み付けられる際、右支柱58の段曲げ部58cの傾斜部58c1が右支柱63の平面部63w2に当接し、右支柱63の突出部63bの傾斜部63b1が右支柱58の平面部58w2に当接する。これにより右支柱63と右支柱58の矢印Z方向の移動が案内され、平面部63w2と平面部58w2が所定の位置関係で移動する。また右支柱63のストッパ部63cの下端部が、右支柱58の平面部58w2の上端部である突当部58eに突き当たることで、右支柱63の右支柱58に対する差し込み方向(矢印Z方向)への移動が規制される。
【0089】
右支柱63が右支柱58に組み付けられる際、右支柱58の段曲げ部58cが、右支柱63の平面部63w2に差し込まれて、平面部63w2の下端部に係合する。これにより右支柱58における段曲げ部58cと平面部58w2によって右支柱63の平面部63w2を平面部63w2の板厚方向(矢印X方向)から挟み込み、右支柱63の右支柱58に対する矢印X方向の位置が決められる。
【0090】
また右支柱63の突起部63aが、右支柱58に形成された貫通孔58dに係合する。これにより突起部63aの縁部63a1が貫通孔58dの内壁に当接し、右支柱63の右支柱58に対する差し込み方向と反対方向への移動が規制される。ここで貫通孔58dは、右支柱58の右支柱63に対する差し込み方向において段曲げ部58cと隣接した位置に配置されている。従って、貫通孔58dに係合した突起部63aと、段曲げ部58cは、上記差し込み方向において隣接した位置に配置される。
【0091】
本実施形態では、段曲げ部58cの加工時に形成された貫通孔58dの内壁に、突起部63aの縁部63a1が当接する構成としたが、貫通孔58dとは異なる他の貫通孔の内壁に突起部63aの縁部63a1を当接させる構成であってもよい。これにより右支柱63の右支柱58に対する差し込み方向と反対方向への移動が規制される。
【0092】
また平面部63w2の板厚方向と右支柱58に対する差し込み方向と直交する方向(矢印Y方向)において、右支柱63の二つの突出部63bが、右支柱58の段曲げ部58cを挟み込むように、段曲げ部58cに係合する。これにより右支柱63の右支柱58に対する上記直交する方向の位置が決められる。
【0093】
このように右支柱63の平面部63w2と右支柱58の平面部58w2を係合させる段曲げ部58cの近傍に、右支柱63の右支柱58に対する差し込み方向と反対方向への移動を規制する突起部63aを設ける。これにより右支柱63が右支柱58に対する差し込み方向と反対方向に移動し、右支柱63と右支柱58が離間して位置精度が悪化することを抑制することができる。従って、枠体31を構成する右支柱63と右支柱58を高い位置精度で組み付けることができる。
【0094】
次に、
図23に示す様に、右上ステー64(第2板金、
他方の板金)が、後側板62と右支柱63(第1板金、
一方の板金)に対して鉛直方向(矢印Z方向)から差し込まれて組み付けられる。右上ステー64は、水平方向に延びる平面部64w1と、平面部64w1における矢印X方向の一端部が鉛直方向の下方に略垂直に折り曲げられた平面部64w2を有する。
【0095】
図24(a)は、
図23に示す領域Uを矢印J1方向から見た分解斜視図である。
図24(b)は、
図23に示す領域U矢印をJ1方向から見た斜視図である。
図24に示す様に、右上ステー64の平面部64w2には、平面部64w2の板厚方向(矢印X方向)に貫通する貫通孔64mと、平面部64w2の下端部が鉛直方向の上方に向かって切り欠かれた切欠き部64pが設けられている。
【0096】
また右支柱63の平面部63w2(他の平面部)には、平面部63w2の板厚方向(矢印X方向)に突出する突起部330と、段曲げ部325(他の係合部)が設けられている。段曲げ部325は、平面部63w2の板厚方向(矢印X方向)に曲げられた部分(第1曲げ部)と、その部分から鉛直方向の上方に向かって略垂直に曲げられて延出する部分(第2曲げ部)を有する。また段曲げ部325の先端部は、右上ステー64の右支柱63に対する差し込み方向(矢印Z方向)に対して右支柱63の平面部63w2から離れる方向に傾斜する傾斜部325aとなっている。
【0097】
右上ステー64が組み付けられる際、右支柱63の段曲げ部325が、右上ステー64の切欠き部64pに差し込まれて係合する。この時、右支柱63の段曲げ部325の傾斜部325aが右上ステー64の切欠き部64pに当接することで、右上ステー64の矢印Z方向への移動が案内される。また右上ステー64が右支柱63に組み付けられると、右上ステー64の平面部64w2が右支柱63における段曲げ部325と平面部63w2によって矢印X方向から挟み込まれ、右上ステー64の右支柱63に対する矢印X方向の位置が決められる。また段曲げ部325における平面部63w2の板厚方向に曲げられた部分に対して切欠き部64pが当接することで、右上ステー64の右支柱63に対する矢印Z方向の位置が決められる。
【0098】
また右上ステー64が右支柱63に組み付けられると、右支柱63の突起部330が右上ステー64の貫通孔64m(係合孔)に係合する。これにより右上ステー64が鉛直方向の上方に移動して右支柱63から外れようとすると、突起部330の縁部330aが貫通孔64mの内壁に当接し、右上ステー64の右支柱63に対する差し込み方向と反対方向への移動、即ち鉛直方向の上方への移動が規制される。
【0099】
また後側板62にも、右支柱63の突起部330、段曲げ部325と同様の突起部(不図示)、段曲げ部(不図示)が設けられている。また右上ステー64の平面部64w2における後側板62と対向する位置にも、貫通孔64m、切欠き部64pと同様の貫通孔(不図示)、切欠き部(不図示)が設けられている。右上ステー64が組み付けられる際、後側板62の不図示の段曲げ部が、右上ステー64の不図示の切欠き部に差し込まれて係合することにより、右上ステー64の後側板62に対する矢印X方向と矢印Z方向の位置が決められる。
【0100】
また右上ステー64が後側板62に組み付けられると、後側板62の不図示の突起部が右上ステー64の不図示の貫通孔に係合する。右上ステー64が鉛直方向の上方に移動して後側板62から外れようとすると、後側板62の不図示の突起部の縁部が右上ステー64の不図示の貫通孔の内壁に当接する。これにより右上ステー64の後側板62に対する差し込み方向と反対方向への移動、即ち鉛直方向の上方への移動が規制される。
【0101】
図25(a)は、
図23に示す領域Uを矢印J2方向から見た分解斜視図である。
図25(b)は、
図23に示す領域Uを矢印J2方向から見た斜視図である。
図25に示す様に、右上ステー64の平面部64w1には、平面部64w1から鉛直方向の下方に向かって略垂直(89度~91度)に曲げ加工されて形成されたフック部64a(係合部)が設けられている。フック部64aは、右支柱63の平面部63w1に対して鉛直方向から係合する。またフック部64aは、右支柱63の平面部63w1に形成された孔部63dに差し込まれることにより右支柱63に係合した状態となる。孔部63dは、平面部63w1の板厚方向であり鉛直方向と交差する方向である矢印Y方向に貫通する貫通孔である。
【0102】
図26は、右支柱63の平面部63w1と右上ステー64のフック部64aを
図25(b)に示すV-V断面で切断した断面図である。
図26に示す様に、フック部64aは、孔部63dに対して矢印Y方向から差し込まれる差込部64a3を有する。またフック部64aは、差込部64a3が孔部63dに差し込まれた状態で、右支柱63の平面部63w1の矢印Y方向の一方側の面63w1a(第1面)に対向する対向部64a4(第1対向部)と、他方側の面63w1b(第2面)に対向する対向部64a5(第2対向部)を有する。右支柱63の平面部63w1の面63w1aは、矢印Y方向において、フック部64aの差込部64a3が差し込まれる側の面である。またフック部64aは、鉛直方向において差込部64a3と隣接した位置である差込部64a3の下部に配置され、鉛直方向に対して孔部63dから離れる方向に傾斜した傾斜部64a1を有する。またフック部64aは、鉛直方向において対向部64a5と隣接した位置である対向部64a5の下部に配置され、鉛直方向に対して孔部63dから離れる方向に傾斜した傾斜部64a2(他の傾斜部)を有する。
【0103】
フック部64aの差込部64a3が孔部63dに差し込まれることにより、フック部64aが右支柱63に係合すると、矢印Y方向において、フック部64aの対向部64a4と対向部64a5によって右支柱63の平面部63w1が挟み込まれる。このようにフック部64aが平面部63w1を矢印Y方向から挟み込むことで、右上ステー64の右支柱63に対する矢印Y方向の位置が決められる。なお、本実施形態において、フック部64aの対向部64a5は右支柱63の平面部63w1の面63w1bに接触するものの、対向部64a4は面63w1aに接触しておらず、対向部64a4は面63w1aとの間には隙間がある。従って、フック部64aが右支柱63に係合することにより、右上ステー64はこの隙間の分のガタを持った状態で右支柱63に対する矢印Y方向の位置が決められる。なお、フック部64aの対向部64a5は、右支柱63の平面部63w1の面63w1bに対して矢印Y方向で対向していれば非接触であってもよい。
【0104】
ここでフック部64aの差込部64a3の先端部64a3aと対向部64a5との間の矢印Y方向の距離t1は、右支柱63の平面部63w1の板厚よりも小さく設定されている。具体的には、本実施形態において、右支柱63は板厚が0.8mmの亜鉛メッキ鋼板であるため、距離t1は右支柱63の平面部63w1の板厚よりも小さい0.8mmに設定されている。このような構成により、フック部64aの差込部64a3が孔部63dに差し込まれた状態で、右上ステー64に鉛直方向の上方への力が付与された場合でも、差込部64a3が孔部63dの上側の内壁に干渉し、右上ステー64の上方への移動が規制される。従って、右上ステー64が右支柱63から離間することが抑制され、右上ステー64が外れることが抑制される。
【0105】
即ち、右上ステー64は、枠体31の最も上の位置に配置されるため、枠体31を構成する板金同士が固定される前の仮組み状態において、鉛直方向の上方への移動を規制する構成がない場合、振動や衝撃によって上方に簡単に外れてしまう。右上ステー64は、後側板62と右支柱63との間の矢印Y方向の距離を規定しており、右上ステー64が外れる場合、両者の位置関係が変化して枠体31の全体の位置精度が悪化する。
【0106】
これに対して本実施形態では、右上ステー64のフック部64aにより、右上ステー64の右支柱63に対する差し込み方向と反対方向への移動を規制する。このような構成により、右上ステー64が右支柱63から離間することを抑制し、右上ステー64と右支柱63との間の位置精度の悪化を抑制することができる。また後側板62と右支柱63との間の矢印Y方向の距離が適正に保たれるため、枠体31の全体の位置精度の悪化を抑制することができる。なお、本実施形態では、右支柱63の突起部330が右上ステー64の貫通孔64mに係合することで右上ステー64の右支柱63に対する鉛直方向の移動を規制しているため、右上ステー64が右支柱63から離間することを抑制する効果がさらに向上する。
【0107】
またフック部64aの差込部64a3を孔部63dの位置に移動させるためにフック部64aを鉛直方向の下方に移動させる際、フック部64aの傾斜部64a1又は傾斜部64a2が右支柱63の平面部63w1の上端部63w1cに当接する。これによりフック部64aの差込部64a3と傾斜部64a2との間の隙間64a6を平面部63w1が通過するようにフック部64aの移動が案内される。即ち、矢印Y方向に関して、
図26に示す範囲Hの内側に平面部63w1の上端部63w1cが位置するように右上ステー64を配置すれば、傾斜部64a1、64a2によって右上ステー64の鉛直方向の下方への移動が案内される。従って、フック部64aが傾斜部64a1、64a2を有することで、フック部64aを右支柱63に係合させやすくなる。さらに隙間64a6の最小距離t2を右支柱63の平面部63w1の板厚以上にすることで、平面部63w1が隙間64a6を通過しやすくなり、フック部64aを右支柱63に係合させやすくなる。そこで本実施形態では、最小距離t2を2.0mmとし、最小距離t2を平面部63w1の板厚である0.8mmよりも長くしている。
【0108】
また上述した通り、差込部64a3の先端部64a3aと対向部64a5との間の距離t1は、右支柱63の平面部63w1の板厚よりも小さく設定されている。従って、フック部64aの差込部64a3を孔部63dの位置に移動させるためにフック部64aを鉛直方向の下方に移動させる際、フック部64aは平面部63w1における孔部63dの周囲を平面部63w1の板厚方向に弾性変形させながら移動する。つまりフック部64aを鉛直方向の下方に移動させる際、平面部63w1が差込部64a3の先端部64a3aと対向部64a5によって矢印Y方向から挟み込まれて平面部63w1が弾性変形する。そこで平面部63w1における孔部63dの周囲を弾性変形させやすくし、組み立て性の向上を図るために、右支柱63の平面部63w1における孔部63dの周囲にスリット63eを設けている。本実施形態において、右支柱63は板厚が0.8mmの亜鉛メッキ鋼板である。従って、
図27(a)に示す様に、スリット63eの寸法をt3=8mm、t4=12mmとすることにより、上述した平面部63w1の孔部63dの周囲の変形を弾性域で行わせることができる。
【0109】
なお、右支柱63における平面部63w1の孔部63dの周囲の形状は、本実施形態の形状に限られるものではない。即ち、例えば
図27(b)に示す様に、平面部63w1に他の形状のスリット63fを設け、平面部63w1における孔部63dの上部を自由端とし、右上ステー64が右支柱63に組み付けられた段階で平面部63w1が大きく弾性変形する構成としてもよい。また
図27(c)に示す様に、平面部63w1の孔部63dの周囲に弾性変形しやすい形状を設けない場合であっても、差込部64a3が孔部63dに係合できる構成であれば、右上ステー64が右支柱63から離間することを抑制する効果を得ることができる。
【0110】
また本実施形態では、右上ステー64にフック部64aを設け、右支柱63にフック部64aが係合する孔部63dを設ける構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、右支柱63と右上ステー64のいずれか一方側の板金に同様のフック部を設け、他方側の板金にフック部が係合する孔部を設ける構成とすれば、上記同様の効果を得ることができる。また後側板62と右上ステー64のいずれか一方側の板金に同様のフック部を設け、他方側の板金にこのフック部が係合する孔部を設ける構成とすれば、上記同様の効果を得ることができる。右支柱63や後側板62にフック部が設けられる構成の場合、傾斜部64a1は差込部64a3の鉛直方向の上部に配置され、傾斜部64a2は対向部64a5の鉛直方向の上部に配置される。
【0111】
以上説明したように、枠体31を構成する各々の板金が組み付けられる。上述した通り組み付け工程において組み付けられた枠体31は自立可能に構成されている。従って、枠体31の後側板52、左支柱56、右支柱58などを把持し、枠体31を持ち上げることで、置台33から取り外すことができる。
【0112】
<枠体の固定工程>
次に、上述した組み付け工程において組み付けられた枠体31を固定する工程について説明する。
【0113】
図28は、枠体31の固定に用いる治具34の斜視図である。
図28に示す様に、治具34は、基台34a、前側支持部34b、後側支持部34cを有する。基台34aには、位置決めピン34a1が設けられている。また前側支持部34bと後側支持部34cは、基台34aに対してスライド移動可能に構成されている。前側支持部34bは矢印K1、K2方向にスライド移動可能であり、後側支持部34cは矢印K3、K4方向にスライド移動可能である。
【0114】
図29は、上述した組み付け工程において組み付けられた枠体31と治具34の斜視図である。
図29に示す様に、枠体31は、組み付け工程の後、置台33から取り外されて治具34の基台34aに載せられる。このとき、枠体31の後底板51の位置決め孔51aや、前下ステー57の位置決め孔57bに、基台34aの位置決めピン34a1が挿入されることで、基台34aに対する枠体31の位置が決められる。
【0115】
図30に示す様に、枠体31を固定する際は、固定工程を行う作業者によって前側支持部34bが矢印K1方向にスライド移動され、後側支持部34cが矢印K3方向にスライド移動される。また不図示の押圧装置によって、前側支持部34b及び後側支持部34cのスライド方向と鉛直方向と直交する方向から枠体31が押圧される。これにより枠体31を構成する板金が互いに押し付けられて各板金間の不要な隙間が無くなり、位置出しが完了する。
【0116】
その後、枠体31を構成する各板金が作業者によってファイバーレーザ溶接によって固定される。この時、右上ステー64と右支柱63との溶接は、
図24(b)、
図25(b)に示す溶接部80においてなされる。枠体31の固定が終わると、作業者によって前側支持部34bが矢印K2方向にスライド移動され、後側支持部34cが矢印K4方向にスライド移動され、枠体31が治具34から取り外される。これにより枠体31が完成する。
【符号の説明】
【0117】
3…プロセスカートリッジ(画像形成ユニット)
31…枠体(金属フレーム)
63…右支柱(第1板金、一方の板金)
63d…孔部(貫通孔)
63w1…平面部
63w1a…面(第1面)
63w1b…面(第2面)
64…右上ステー(第2板金、他方の板金)
64a…フック部(係合部)
64a1…傾斜部
64a2…傾斜部(他の傾斜部)
64a3…差込部
64a4…対向部(第1対向部)
64a5…対向部(第2対向部)
64m…貫通孔(係合孔)
325…段曲げ部(他の係合部)
330…突起部
A…画像形成装置