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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】液体カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B41J2/175 171
B41J2/175 119
B41J2/175 153
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020158548
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052273
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大矢 克典
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-161876(JP,A)
【文献】特開2018-161875(JP,A)
【文献】特開2006-195237(JP,A)
【文献】特開2019-171736(JP,A)
【文献】特開2016-185643(JP,A)
【文献】中国実用新案第207028522(CN,U)
【文献】欧州特許出願公開第03546221(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するための容器と、前記容器に貯留された液体を所定の装置へ供給するための供給口と、前記容器を大気に連通させるための大気連通孔と、前記大気連通孔の開放及び閉塞を切り替え可能な弁機構とを有し、前記所定の装置に着脱することが可能な液体カートリッジであって、
前記弁機構は、
前記大気連通孔に密着して当該大気連通孔を閉塞することが可能な弁体と、
前記液体カートリッジの前記所定の装置への着脱に伴って、前記弁体を前記大気連通孔に密着させる第1の位置と、前記弁体を前記大気連通孔から離間させる第2の位置との間を、回転しながら移動するレバーと
を備え
前記液体カートリッジが前記所定の装置に装着されていないとき、前記レバーは前記第1の位置にあり、前記液体カートリッジが前記所定の装置へ装着されるとき、前記レバーは第1の方向に回転して前記第1の位置から前記第2の位置に移動し、前記液体カートリッジが前記所定の装置から取り外されるとき、前記レバーは前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転して前記第2の位置から前記第1の位置に移動することを特徴とする液体カートリッジ。
【請求項2】
前記弁機構は、
前記弁体に連結され前記レバーの回転に従って上下移動するロッドと、
前記弁体を前記大気連通孔から離間させる方向に前記ロッドを付勢するバネ部材と、
を更に備え、
前記レバーには第1の突起、第2の突起及び第3の突起が設けられており、
前記レバーが前記第1の位置にあるとき、前記第1の突起が前記バネ部材の付勢に抗して前記ロッドを押圧することにより、前記弁体は前記大気連通孔に密着されており、
前記液体カートリッジが前記所定の装置へ装着されるとき、前記第2の突起が前記所定の装置の当接部材に当接することによって前記レバーが前記第1の位置から前記第2の位置に前記第1の方向に回転し、前記第1の突起による前記押圧が解除されて前記弁体が前記大気連通孔から離間され、
前記液体カートリッジが前記所定の装置から取り外されるとき、前記第3の突起が前記装置の前記当接部材に当接することによって前記レバーが前記第2の位置から前記第1の位置に前記第2の方向に回転し、前記第1の突起が前記バネ部材の付勢に抗して前記ロッドを押圧して前記弁体を前記大気連通孔に密着させる請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項3】
前記液体カートリッジが前記所定の装置に装着されているとき、前記第3の突起は前記当接部材の凹部に係合しており、前記液体カートリッジが前記所定の装置から取り外されるとき、前記第3の突起は前記凹部に沿って移動しながら回転する請求項2に記載の液体カートリッジ。
【請求項4】
前記第3の突起には第1の曲線が形成され、前記凹部には前記第1の曲線に適合する第2の曲線が形成されており、前記液体カートリッジが前記所定の装置から取り外されるとき、前記第3の突起の前記第1の曲線が前記凹部の前記第2の曲線に沿って移動する請求項3に記載の液体カートリッジ。
【請求項5】
前記ロッドの前記第1の突起との当接面には、前記第1の突起の移動を規制するための段差が形成されている請求項2から4のいずれか1項に記載の液体カートリッジ。
【請求項6】
大気を収容するための大気用空間を更に備え、前記大気連通孔は前記大気用空間と前記容器との隔壁に形成されている請求項2から5のいずれか1項に記載の液体カートリッジ。
【請求項7】
前記弁体と前記ロッドは、前記大気用空間において上下に移動可能であって、前記液体カートリッジが前記第2の位置にあるとき、前記弁体は前記大気用空間の前記ロッドが貫通するロッド軸穴を閉塞する請求項6に記載の液体カートリッジ。
【請求項8】
前記所定の装置に対する着脱は水平方向に行われる請求項1から7のいずれか1項に記載の液体カートリッジ。
【請求項9】
前記装置は記録装置であり、前記液体は前記記録装置で使用されるインクである請求項1から8のいずれか1項に記載の液体カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置で用いられるインクカートリッジのように、所定の装置に装着して使用される液体カートリッジは、液体を貯留する液体貯留部と、装置に液体を供給するための液体供給口と、液体貯留部に大気を連通させる大気連通孔とを有している。そして、装置に装着される前は、液体供給部と大気連通口が共に閉塞され、液体貯留部に貯留されている液体が外部に漏れないようになっている。一方、装置に装着された状態では、液体供給部と大気連通口が共に開放され、液体貯留部に貯留されている液体の消費に伴って大気連通口から大気が進入し、装置に対し液体が安定して供給されるようになっている。
【0003】
特許文献1には、大気連通孔を閉塞する弁体と、弁体を閉塞の方向に押圧することが可能なレバーと、大気連通孔を開放する方向に弁体を付勢するバネとを備えた液体カートリッジが開示されている。特許文献1によれば、装置に装着する前の液体カートリッジにおいては、レバーが弁体を押圧して大気連通孔が閉塞され、装置に装着する際にレバーが回転して弁体の押圧が解かれ、バネの付勢力によって大気連通孔が開放される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-161876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において、一度装着した液体カートリッジを装置から取り外した際、レバーは元の姿勢に戻らず大気連通孔は開放されたままである。このため、液体を途中まで消費した状態で液体カートリッジを装置から取り外した場合、内部に残留している液体が大気連通孔や液体供給口から漏洩するおそれが生じる。また、途中まで液体が消費された液体カートリッジを、装置から取り外した後に放置しておくと、大気連通孔から液体が蒸発して液体の品質が変化したり、液体が漏れ出てしまったりするおそれもある。
【0006】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものである。よってその目的とするところは、装置に対する着脱に伴って、大気連通孔の遮断と開放とを適切に切り替えることが可能な液体カートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために本発明は、液体を貯留するための容器と、前記容器に貯留された液体を所定の装置へ供給するための供給口と、前記容器を大気に連通させるための大気連通孔と、前記大気連通孔の開放及び閉塞を切り替え可能な弁機構とを有し、前記所定の装置に着脱することが可能な液体カートリッジであって、前記弁機構は、前記大気連通孔に密着して当該大気連通孔を閉塞することが可能な弁体と、前記液体カートリッジの前記所定の装置への着脱に伴って、前記弁体を前記大気連通孔に密着させる第1の位置と、前記弁体を前記大気連通孔から離間させる第2の位置との間を、回転しながら移動するレバーとを備え、前記液体カートリッジが前記所定の装置に装着されていないとき、前記レバーは前記第1の位置にあり、前記液体カートリッジが前記所定の装置へ装着されるとき、前記レバーは第1の方向に回転して前記第1の位置から前記第2の位置に移動し、前記液体カートリッジが前記所定の装置から取り外されるとき、前記レバーは前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転して前記第2の位置から前記第1の位置に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置に対する着脱に伴って、大気連通孔の遮断と開放とを適切に切り替えることが可能な液体カートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】インクカートリッジの外観斜視図
図2】インクカートリッジの分解斜視図
図3】弁機構とレバーの構成を説明するための拡大図
図4】インクカートリッジをカートリッジケースに装着する様子を示す図
図5】インクカートリッジをカートリッジケースに装着する際のレバーの拡大図
図6】インクカートリッジをカートリッジケースに装着する際のレバーの遷移図
図7】インクカートリッジがカートリッジケースに装着された様子を示す図
図8】インクカートリッジがカートリッジケースに装着された際のレバーの拡大図
図9】弁機構とレバーの構成の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は本発明の液体カートリッジとして使用可能なインクカートリッジ1の外観斜視図である。以下の図において、x方向はインクカートリッジ1の装着方向、y方向はインクカートリッジ1の幅方向、z方向は重力方向を示す。インクカートリッジ1は、インクを貯留するための容器2と、貯留されたインクを不図示の記録装置に供給するための供給口18とを備えている。また、インクカートリッジ1の上面には、記録装置に装着する際に記録装置に係合させるレバー17と、このレバー17が回転可能に取り付けられた取り付け部材16とが配されている。
【0011】
図2は、インクカートリッジ1の分解斜視図である。インクカートリッジ1は、主に、容器2と、中蓋3と、上蓋5とがこの順に積層され、更にシートフィルム15が上面から溶着されることによって形成される。容器2の内部は、インクを貯留するインク用空間19となっており、貯留されたインクは下方に配された供給口18より記録装置に供給される。
【0012】
箱型形状の中蓋3は、大気を収容する大気用空間20を有し、インク用空間19との隔壁となる底部には、インク用空間19に連通する大気連通孔4が形成されている。
【0013】
上蓋5上面のx方向の前方側には、大気を導くための屈曲流路6が形成されており、屈曲流路6の終点には大気用空間20に連通する不図示の貫通口が形成されている。また、屈曲流路6の上面には、開口14が形成された開口付きフィルム13が溶着される。更に、屈曲流路6の裏面即ち上蓋5の下面には、液体を透過させず気体を透過させる半透膜12が接着される。このような構成の下、大気中の空気は、開口14、屈曲流路6、不図示の貫通口、半透膜12、大気用空間20及び大気連通孔4を経てインク用空間19に供給される。
【0014】
一方、上蓋5において、x方向の後方側には、中蓋3の大気連通孔4の閉塞及び開放を制御するための弁機構7が設けられている。弁機構7は、ゴム部材から成るパッド8、パッド8に連結するためのロッド10、及びロッド10を上向き(-z方向)に付勢するためのバネ部材9を有する。弁機構7は、ロッド10の先端を、バネ部材9及び上蓋5に形成されたロッド軸穴11に上下移動可能に通し、更にロッド10の先端をパッド8に連結することによって形成される。
【0015】
中蓋3と上蓋5を容器2の開口に重ねた状態で、シートフィルム15を上面から溶着する。更に、レバー17が回転可能に取り付けられた取り付け部材16を、シートフィルム15の開口を介して弁機構7の上に設置することにより、インクカートリッジ1が形成される。
【0016】
図3は、弁機構7とレバー17の構成を説明するための拡大図である。レバー17は、第1の突起21、第2の突起22及び第3の突起23の3つの突起を有し、回転軸27を中心に回転可能である。
【0017】
第1の突起21は弁機構7に当接し作用するための突起である。第2の突起22は、インクカートリッジ1を記録装置に装着する時に外力を受ける突起であり、記録装置のカートリッジケース(図3では不図示)と当接するための第2の当接面25を有している。第3の突起23は、インクカートリッジ1を記録装置から取り外す時に外力を受ける突起であり、記録装置のカートリッジケース(図3では不図示)と当接するための第3の当接面26を有している。
【0018】
図3では、第1の突起21が、弁機構7のロッド10上の第1の当接面24に当接し、バネ部材9の付勢力に逆らってロッド10を下方に押圧し、弁体となるパッド8が大気連通孔4を塞いでいる状態を示す。このような状態は、インクカートリッジ1が記録装置に装着されていない時の状態に相当する。なお、第1の突起21が当接する第1の当接面24は、ロッド10の天面において装着方向であるx方向の後方側に配され、前方側の面よりも一段低く形成されている。このような段差を設けておくことにより、第1の突起21が段差を超えて回転し、パッド8が浮き上がるのを規制することができる。
【0019】
図4は、インクカートリッジ1を記録装置に設けられたカートリッジケース40に装着する様子を示す図である。カートリッジケース40は、インクカートリッジ1の全体を保持する筐体41と、インクカートリッジ1の供給口18を貫通させるための貫通口42と、レバー17に対する当接部材であり且つレバー17と係合可能な係合部28とを有する。
【0020】
図5は、インクカートリッジ1をカートリッジケース40に装着する際の、レバー17の状態を説明するための拡大図である。ここでは、レバー17の第3の突起23がカートリッジケース40の内部に既に進入し、第2の突起22が未だ進入していない状態を示している。第3の突起23は係合部28の下面43より低い位置にあるため、レバー17は係合部28に当接していない。第1の突起21は、第1の当接面24に当接し、バネ部材9の付勢力に逆らってロッド10を下方に押圧している。ロッド10の先端に取り付けられているパッド8は、大気連通孔4に密着しこれを閉塞している。バネ部材9は、ロッド10と上蓋5との間で圧縮された状態となっている。図5の状態において、インクカートリッジ1を更にx方向に挿入すると、レバー17の第2の突起22は係合部28と当接し、レバー17は図中時計回りに回転する。
【0021】
図6(a)~(f)は、インクカートリッジ1をカートリッジケース40に装着する過程における、レバー17の回転位置と弁機構7の状態を示す遷移図である。図6(a)は、図5と同様、レバー17の第3の突起23がカートリッジケース40の内部に進入し、第2の突起22が進入していない状態を示している。
【0022】
図6(b)は、図6(a)の状態からインクカートリッジ1が更に進入し、第2の突起22がカートリッジケース40の係合部28に当接した状態を示している。第2の突起22の第2の当接面25に、係合部28の角部29が突き当たることにより、レバー17の時計回り方向への回転が開始される。
【0023】
図6(c)は、図6(b)の状態から、インクカートリッジ1が更に進入した状態を示している。レバー17は回転軸27を中心に時計回り方向に回転し、第1の突起21は、ロッド10の天面の段差を超えて左方向にずれて第1の当接面24から外れた位置にある。一方、レバー17の回転に伴い、第3の突起23の第3の当接面26は、係合部28のレバー当て凹部30と当接するようになる。
【0024】
図6(d)は、図6(c)の状態から、インクカートリッジ1が更に進入した状態を示している。レバー17は更に回転し、第1の突起21の当接位置は更に左方向にずれている。
【0025】
図6(e)は、図6(d)の状態から、インクカートリッジ1が更に進入した状態を示している。第1の突起21が第1の当接面24から外れることにより、ロッド10を下方に押圧する力が弱まり、バネ部材9の付勢力によってロッド10とパッド8が上方に移動している。第3の突起23は、第3の当接面26をレバー当て凹部30に当接させながら、レバー当て凹部30に入り込んで行く。
【0026】
図6(f)は、図6(e)の状態から、インクカートリッジ1が更に進入した状態を示している。第1の突起21は第1の当接面24から外れ、ロッド10は下方に押圧する力が解除されて更に上方に移動し、パッド8は大気連通孔4から離間し、大気連通孔4は開放されている。第3の突起23は、レバー当て凹部30の奥まで入り込んでいる。図6(f)の状態により、インクカートリッジ1の記録装置に対する装着が完了する。
【0027】
図7は、インクカートリッジ1が記録装置のカートリッジケース40に装着された状態を示す図である。インクカートリッジ1のほぼ全体がカートリッジケース40の筐体41に収まり、供給口18は貫通口42から突き抜けている。
【0028】
図8は、インクカートリッジ1がカートリッジケース40に装着された状態における、レバー17と係合部28の当接状態を説明するための拡大図である。図5で説明した装着前の状態に対しレバー17が時計周りに回転し、第3の突起23が係合部28のレバー当て凹部30に係合している。バネ部材9の付勢力によってロッド10とパッド8が上方に移動し、大気連通孔4が完全に開放されている。このような状態において、開口14を経由して大気用空間20に収容された空気は、大気連通孔4を介してインク用空間19に進入することができる。即ち、インク用空間19に貯留されたインクが消費されても、インク用空間19の内圧は大気圧に維持され、インク用空間19に貯留されたインクを記録装置へ安定して供給することが可能となる。一方、バネ部材9の付勢力によってパッド8はロッド軸穴11に当接し、ロッド軸穴11とロッド10の隙間からインクが漏れるのを防ぐことができる。
【0029】
インクカートリッジ1を記録装置から取り外す際、レバー17と弁機構7の状態は、図6(a)~(f)で説明した順とは逆の順で遷移する。即ち、ユーザがカートリッジケース40を-x方向に引くと、第3の突起23がレバー当て凹部30から抗力を受けることによって、レバー17が装着時とは反対の反時計回りに回転する。そして、第1の突起21がバネ部材9の不勢力に逆らって徐々にロッド10とパッド8を押し下げ、最終的には、図5及び図6(a)に示すような状態、即ち第1の突起21が第1の当接面24を押圧し、パッド8が大気連通孔4を閉塞する状態に戻る。この際、係合部28のレバー当て凹部30においては、ロッド10を確実に押し下げつつ、且つレバー17がレバー当て凹部30に沿って-x方向にスムーズに通過できるような曲線形状を有していることが好ましい。本実施形態においては、係合部28にレバー当て凹部30を設け、レバー17にレバー当て凹部30に篏合するような第3の突起23を設けることにより、インクカートリッジを記録装置から取り外す際に大気連通孔4が閉塞されるようにしている。これにより、記録装置に対する着脱に伴って、大気連通孔4の遮断と開放を適切に切り替えることができるようになる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態において、インクカートリッジ1が記録装置に装着されていないとき、レバー17は図5に示すような第1の位置にある。即ち、第1の突起21はバネ部材9の付勢力に逆らってロッド10とパッド8を押し下げ、大気連通孔4が閉塞された状態となっている。
【0031】
インクカートリッジ1が記録装置に装着されるとき、第2の突起22と係合部28の当接によって、レバー17は図5に示す第1の位置から図8に示す第2の位置まで時計回りに回転する。そして、第1の突起21によって抑えられていたロッド10とパッド8がバネ部材9の付勢力によって上昇し、大気連通孔4が開放される状態となる。
【0032】
一方、インクカートリッジ1が記録装置から取り外されるとき、第3の突起23と係合部28の当接によって、レバー17は図7に示す第2の位置から図5に示す第1の位置まで反時計回りに回転する。そして、第1の突起21がバネ部材9の付勢力に逆らってロッド10とパッド8を押し下げ、大気連通孔4は閉塞された状態となる。
【0033】
その後、同じインクカートリッジ1を再び記録装置に装着したり取り外したりする時も、上記と同様の工程でレバー17が第1の位置と第2の位置の間を往復に回転し、その回転位置に応じて大気連通孔4の開放と閉塞が切り替えられる。従って、インクカートリッジ1を装着した状態においては、そのインクカートリッジ1の着脱の頻度に関わらず、そのインクカートリッジ1を好適に使用することができる。
【0034】
以上では、レバー17における第1の突起21と、ロッド10の天面に形成された段差の低い側の面である第1の当接面24とが当接する形態で説明したが、第1の突起21と第1の当接面24の形状は、着脱動作を円滑にするために更に調整されてもよい。
【0035】
図9は、第1の突起21と第1の当接面24の形状の変形例を示す図である。本変形例では、第1の突起21の右側に第1の曲線31を形成し、第1の当接面24には第1の曲線31に適合するような第2の曲線32を形成している。第1の突起21と第1の当接面24とを、このような形状としておくことにより、レバー17回転時の第1の突起とロッド10との当接や擦れを滑らかにし、インクカートリッジ1の着脱動作を更に円滑に行うことが可能となる。
【0036】
また、以上では、記録装置のカートリッジケース40に対しインクカートリッジ1を水平方向に装着する形態で説明したが、装着方向や装着姿勢は水平方向に対して多少傾いていてもよい。インク用空間19に貯留された液体が供給口18を介して記録装置に適切に供給され、外部の大気が大気連通孔4を介してインク用空間19内に適切に流入させることが可能であれば、インクカートリッジ1や弁機構の形状や姿勢は、適宜変更可能である。
【0037】
更に以上では、インクジェット記録装置に装着可能なインクカートリッジを本発明の液体カートリッジとして説明したが、上記で説明したインクカートリッジの構成は、無論、様々な形態に応用することができる。液体を収容したカートリッジを何らかの装置に着脱可能に使用する形態であれば、液体の使用目的に限らず、上記実施形態の構成は有効に機能する。
【符号の説明】
【0038】
1 インクカートリッジ(液体カートリッジ)
2 容器
4 大気連通孔
7 弁機構
8 パッド(弁体)
17 レバー
18 供給口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9