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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240902BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240902BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G03G21/00 510
B65H7/02
G03G15/00 445
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020169429
(22)【出願日】2020-10-06
(65)【公開番号】P2022061430
(43)【公開日】2022-04-18
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 正起
(72)【発明者】
【氏名】望月 桂介
(72)【発明者】
【氏名】土橋 直人
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-251170(JP,A)
【文献】特開平04-020446(JP,A)
【文献】特開2019-099329(JP,A)
【文献】特開2011-013678(JP,A)
【文献】特開2020-064004(JP,A)
【文献】特開2005-037871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B65H 7/02
G03G 15/00
G03G 21/14
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材が積載される積載部と、
前記積載部から給送された記録材に画像形成を行う画像形成手段と、
前記積載部から給送された記録材の特性を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された少なくとも1枚の記録材の前記特性から前記画像形成手段の画像形成条件を求め、前記積載部から新たに給送される記録材に対して前記画像形成条件の下で画像を形成するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、
を備える画像形成装置であって、
前記検知手段は、記録材が搬送される搬送路を挟んで配置された、超音波を送信する送信部と、前記送信部により送信された超音波を受信する受信部と、前記受信部により記録材を介して超音波を受信した結果に基づき、前記記録材の透過係数を演算する演算部と、を有し、
記録材の前記特性は、坪量であり、
前記制御手段は、
前記演算部により算出された透過係数に基づき、前記記録材の坪量を判別し、
前記検知手段による複数枚の記録材の特性の検知結果に基づいて、前記積載部から給送される記録材の特性の周期性の有無を判断し、記録材の特性の周期性があると判断した場合には、前記周期性に応じて前記画像形成条件を変更し、
前記画像形成装置の電源がオンされた後、前記積載部から所定の枚数以上の記録材が給送されるまでは、前記記録材の特性の周期性の有無を判断せず、前記画像形成装置の電源がオンされた後、前記積載部から所定の枚数以上の記録材が給送された場合には、前記記録材の特性の周期性の有無を判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、記録材の周期枚数に応じた複数のグループにおいて、前記積載部から給送された前記所定の枚数の記録材を前記周期枚数の給送の順に分けて、各々の分けられた給送の順に属する記録材の坪量の平均値に閾値以上の差が生じている場合には、前記記録材の坪量は前記周期枚数に対応する周期性があると判断することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記積載部は、前記画像形成装置に着脱自在に装着され、
前記制御手段は、前記積載部の前記画像形成装置からの着脱を検知した場合には、前記積載部から給送された記録材の枚数をリセットするとともに、検知した前記周期性をリセットし、再度、前記積載部から給送される記録材の坪量の周期性の有無を判断することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検知手段により検知された記録材の坪量が、前記記録材と同じ前記周期枚数の給送の順に属する記録材の坪量の平均値と前記閾値以上の差を有している場合には、検知した前記周期性をリセットし、再度、前記積載部から給送される記録材の坪量の周期性の有無を判断することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検知手段により検知された、今回給送された記録材を含む直近の給送された記録材の坪量の移動平均に基づいて、今回給送された記録材の坪量を算出することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記周期性があると判断した場合には、前記移動平均の対象となる記録材の枚数は、前記周期性に対応する周期枚数であることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記周期性がないと判断した場合には、前記移動平均の対象となる記録材の枚数は、予め決められた枚数であることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記検知手段により検知された、今回給送された記録材を含む直近の給送された記録材の坪量の加重平均に基づいて、今回給送された記録材の坪量を算出することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記周期性があると判断した場合には、前記加重平均に用いる記録材の加重平均係数を変更することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記周期性を検知した回数に応じて、今回給送された記録材の前記加重平均係数を大きくし、他の直近の記録材の前記加重平均係数を小さくすることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記周期性がないと判断した場合には、前記加重平均の対象となる各記録材の加重平均係数は、同一であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成手段は、
トナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体に形成されたトナー像を記録材に転写する転写手段と、
前記転写手段により転写されたトナー像を定着させる定着手段と、
を備え、
前記制御手段により決定される前記画像形成条件は、トナー像を記録材に転写させる際に前記転写手段に印加される電圧、及びトナー像を定着させる際の前記定着手段の温度を含むことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を利用した複写機、プリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置は、感光体上に形成されたトナー像を記録材に転写した後、像加熱装置において、転写されたトナー像を所定の定着条件で加熱、加圧することで、記録材にトナー像を定着させる。所定の定着条件とは、像加熱装置における記録材の搬送速度や加熱温度等である。画像形成装置では、記録材の特性(例えば、材質、坪量、厚さ、表面状態など)に応じて、像加熱装置における定着条件を変更することによって、記録材上に形成される画像の品質を維持している。従来の画像形成装置では、画像形成装置に設けられた操作パネルや、プリンタドライバを搭載したコンピュータ等の外部装置を介して、ユーザが記録材の種類(例えば、薄紙、普通紙、厚紙、ラフ紙、光沢紙等)を設定していた。そして、画像形成装置は、設定された記録材の種類に対応する記録材特性に基づいて、像加熱装置の定着条件を制御していた。
【0003】
ユーザが記録材の種類を設定する負担を軽減するために、例えば、特許文献1では、記録材の特性を検知するためのセンサ(以下、メディアセンサという)を、記録材の搬送路上に設置した画像形成装置が提案されている。メディアセンサを備えた画像形成装置では、メディアセンサが搬送される記録材の特性を検知し、検知された記録材の特性に応じて、自動的に像加熱装置での記録材の定着条件が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許5627363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1では、画像形成装置は、記録材が積載された給紙口から連続して給送された複数枚の記録材の検知結果の移動平均値を算出し、算出結果に基づいて記録材の特性の判断を行っている。しかしながら、給送される記録材の中に特性が大きく異なる記録材が含まれていた場合などには、移動平均のような統計処理方法が記録材特性の判断に適さない場合もある。
【0006】
例えば、通常、特性の近しい記録材が給送されるはずの同じ給紙口から特性が大きく異なる記録材が給送される場合がある。このような例として、ユーザが意図して特性が異なる記録材を交互に積載している場合や、1つにパックされた記録材の束の中で特性が異なる記録材が混在している場合などが挙げられる。前者の例として、給紙口が一つしかない画像形成装置において、ユーザが複数枚の記録材を1セットとして給送を行う場合などに起こりうる。例えば、資料の表紙に厚紙を使用し、表紙以外には薄紙を使用して印刷したものを1セットとし、複数セットを印刷する場合などである。この場合には、1枚の厚紙と複数枚の薄紙が周期的に給送されることになる。
【0007】
また、後者の例は、記録材の束の作製方法に起因して生じる。すなわち、記録材の束は複数のロールから裁断された記録材を重ねて作られることが多く、ロールごとに記録材の特性が異なっている場合には、作成された記録材の束は、特性の異なる記録材が周期的に挿入された束になっていることがある。このような記録材の束が給紙口に積載されると、一つの給紙口から特性の異なる記録材が周期的に給送されることになる。
【0008】
上述したような記録材の特性が大きく異なる記録材が周期的に給送された場合には、メディアセンサにより検知された、複数枚に渡る記録材の特性の検知結果について移動平均処理を行うと、処理結果にノイズとして表れてしまうことになる。その結果、画像形成装置は、本来実行すべき定着条件とは異なる定着条件で像加熱装置の制御を行い、画像品質を低下させてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、記録材の特性の検知精度を向上させ、記録材に形成される画像の品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明では、以下の構成を備える。
【0011】
(1)記録材が積載される積載部と、前記積載部から給送された記録材に画像形成を行う画像形成手段と、前記積載部から給送された記録材の特性を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された少なくとも1枚の記録材の前記特性から前記画像形成手段の画像形成条件を求め、前記積載部から新たに給送される記録材に対して前記画像形成条件の下で画像を形成するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、を備える画像形成装置であって、前記検知手段は、記録材が搬送される搬送路を挟んで配置された、超音波を送信する送信部と、前記送信部により送信された超音波を受信する受信部と、前記受信部により記録材を介して超音波を受信した結果に基づき、前記記録材の透過係数を演算する演算部と、を有し、記録材の前記特性は、坪量であり、前記制御手段は、前記演算部により算出された透過係数に基づき、前記記録材の坪量を判別し、前記検知手段による複数枚の記録材の特性の検知結果に基づいて、前記積載部から給送される記録材の特性の周期性の有無を判断し、記録材の特性の周期性があると判断した場合には、前記周期性に応じて前記画像形成条件を変更し、前記画像形成装置の電源がオンされた後、前記積載部から所定の枚数以上の記録材が給送されるまでは、前記記録材の特性の周期性の有無を判断せず、前記画像形成装置の電源がオンされた後、前記積載部から所定の枚数以上の記録材が給送された場合には、前記記録材の特性の周期性の有無を判断することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録材の特性の検知精度を向上させ、記録材に形成される画像の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1、2の画像形成装置の構成を示す断面図
図2】実施例1、2の像加熱装置の構成を示す断面図
図3】実施例1、2のメディアセンサの制御を説明する制御ブロック図
図4】実施例1の記録材の特性の周期性検知を説明する図
図5】実施例1の記録材の特性の周期性検知を説明する図
図6】実施例1の画像形成条件を制御する制御シーケンスを示すフローチャート
図7】実施例1の統計処理方法を比較したグラフ
図8】実施例2の画像形成条件を制御する制御シーケンスを示すフローチャート
図9】実施例2の統計処理方法を比較したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
[画像形成装置]
まず初めに、図1を用いて画像形成装置の構成について説明する。図1は、実施例1の画像形成装置の構成を示す断面図である。図1に示す画像形成装置は、電子写真方式を利用して記録材P上に画像形成を行うレーザプリンタ1(以下、プリンタ1という)である。プリンタ1は、像担持体である感光ドラム19、帯電手段である帯電ローラ16、現像手段である現像ローラ17、クリーニング手段であるクリーニングブレード18を有するプロセスカートリッジ10を備えている。本実施例では、プロセスカートリッジ10は、感光ドラム19、帯電ローラ16、現像ローラ17を含む現像ユニットと、クリーニングブレード18を含むクリーニングユニットとから構成され、プリンタ1本体に対して着脱可能に構成されている。また、プリンタ1は、プロセスカートリッジ10の他に、給紙トレイ21、給送ローラ22、搬送ローラ対23、トップセンサ24、メディアセンサ30、転写部材である転写ローラ12、像加熱装置13、排出ローラ対26を備えている。更に、プリンタ1は、モータ20、画像形成制御部40を備えている。
【0016】
モータ20は、感光ドラム19や記録材Pの搬送を行う搬送部材を駆動する駆動手段である。本実施例では、モータ20が、給送ローラ22、搬送ローラ対23、感光ドラム19、像加熱装置13、排出ローラ対26等の複数の搬送部材を駆動する。
【0017】
感光ドラム19は、図中矢印方向(反時計回り方向)に所定の周速度(プロセススピード)で、モータ20により回転駆動される。帯電ローラ16は、感光ドラム19の表面を所定の極性・電位で一様に帯電する。表面を一様な電位で帯電された感光ドラム19は、レーザスキャナ11から出射されたレーザ光が照射され、露光される。露光手段であるレーザスキャナ11は、イメージスキャナ(不図示)やコンピュータ等の外部機器から入力された画像情報を変換したデジタル信号に応じて、オン/オフ変調したレーザ光を出射する。レーザスキャナ11から出射されたレーザ光により、感光ドラム19の表面に帯電された電荷が除電され、画像情報に応じた静電潜像が感光ドラム19の表面に形成される。現像ローラ17は、感光ドラム19の表面に形成された静電潜像にトナー(現像剤)を付着させることにより、静電潜像をトナー像として現像する。レーザプリンタの場合には、一般的に、静電潜像の露光明部にトナーを付着させて現像する反転現像方式が用いられる。
【0018】
給紙口(積載部ともいう)である給紙トレイ21には、記録材Pが積載・収納され、プリンタ1に対して着脱自在となっている。給紙トレイ21内に収納された記録材Pは、給送ローラ22が画像形成制御部40からの給紙スタート信号に応じて駆動されることにより、給紙トレイ21から一枚ずつ分離給送され、搬送ローラ対23へと搬送される。なお、プリンタ1は、記録材Pを給送する給紙口としては、給紙トレイ21の他に、もう一つの給紙口である手差しトレイ27を備えている。手差しトレイ27に載置された記録材Pは、画像形成制御部40の制御により、給送ローラ28で一枚ずつ分離給送され、搬送ローラ対29等を用いて搬送ローラ対23へと搬送される。搬送ローラ対23へと搬送された記録材Pは、搬送ローラ対23によって、感光ドラム19と転写ローラ12とが当接することにより形成される転写ニップ部Tへと搬送される。
【0019】
トップセンサ24は、搬送ローラ対23と転写ニップ部Tの間の搬送路上に設置されており、搬送ローラ対23から搬送される記録材Pの先端がトップセンサ24に到達する先端到達タイミングを検知する。画像形成制御部40は、トップセンサ24が検知した記録材Pの先端到達タイミングに基づいて、レーザスキャナ11から感光ドラム19へレーザ光を照射し、感光ドラム19上に静電潜像を形成する書き出しタイミングを調整している。すなわち、画像形成制御部40は、記録材Pの先端部が転写ニップ部Tに到達するタイミングで、感光ドラム19上のトナー像の先端部がちょうど転写ニップ部Tに到達するように、感光ドラム19上の静電潜像の形成を開始するタイミングを制御している。
【0020】
転写ニップ部Tに搬送された記録材Pは、転写ニップ部Tにおいて、感光ドラム19と転写ローラ12とにより挟持搬送され、その間、転写ローラ12には、転写電圧を生成する電源(不図示)から所定の高電圧の転写電圧が印加される。転写ローラ12にトナーと逆極性の転写電圧が印加されることにより、感光ドラム19の表面に形成されたトナー像が記録材Pの表面へと転写される。そして、トナー像が転写された記録材Pは、転写ニップ部Tから像加熱装置13へと搬送される。
【0021】
像加熱装置13(定着装置ともいう)は、定着部材14と加圧部材15とを備えている。像加熱装置13へと搬送された記録材Pは、定着部材14と加圧部材15とで形成される定着ニップ部Fを挟持搬送される。その間、記録材P上のトナー像は、記録材Pの特性に応じた所定の温度(定着温度)になるよう制御された定着部材14によって加熱され、加圧部材15により加圧されて、記録材Pに定着される。像加熱装置13でトナー像が定着された記録材Pは、記録材Pを排出する排出ローラ対26を通過してプリンタ1の排出トレイに排出され、画像形成が完了する。なお、記録材Pへトナー像が転写された後、クリーニングブレード18によって、記録材Pに転写されずに感光ドラム19の表面に残ったトナーや紙粉等が除去される。
【0022】
プリンタ1では、上述した画像形成動作が繰り返されることにより、次々と記録材Pに画像形成が行われる。なお、本実施例のプリンタ1は、A4サイズ(210mm×297mm)の普通紙を230mm/sec(秒)の搬送速度で搬送し、1分間に約43枚のモノクロ画像を印刷することが可能である。また、プリンタ1の画像形成を制御する画像形成制御部40は、CPU41、ROM41a、RAM41bを有している。CPU41は、ROM41aに記憶された各種のプログラムを実行することにより、RAM41bを作業領域として用いながら、画像形成に係わる各種の動作を制御する。
【0023】
[像加熱装置]
次に、図2を用いて像加熱装置13の構成について説明する。図2は、本実施例のプリンタ1が備える像加熱装置13の構成を示す断面図であり、図1に示す像加熱装置13を拡大した図である。像加熱装置13は、定着部材14と、加圧部材15と、定着部材14を加熱する加熱体であるヒータ60と、を有している。ヒータ60は、ヒータ保持部材61によって保持され、ヒータ保持部材61は金属ステー部材63によって保持されている。加圧機構(不図示)によって、金属ステー部材63と加圧部材15との間には加圧力が加えられており、定着部材14を介して加圧部材15をヒータ60の方向に加圧することにより定着ニップ部Fが形成されている。記録材Pは、図中に示す記録材搬送方向から定着ニップ部Fに導入され、図中R1方向に回転する加圧部材15と図中R2方向に回転する定着部材14により形成される定着ニップ部Fを挟持搬送される。そして、未定着トナー像が定着部材14により加熱され、加圧部材15により記録材Pに加圧されることにより、記録材P上の未定着トナー像が記録材Pに定着される。
【0024】
温度検知素子であるサーミスタ62はヒータ60に当接し、ヒータ60の温度を検知する。画像形成制御部40は、サーミスタ62によるヒータ60の温度検知結果に基づいて、ヒータ60の温度が記録材Pの特性に応じた目標温度となるように、ヒータ60への電力供給を制御する。
【0025】
[メディアセンサ]
次に、本実施例における記録材Pの特性を検知する検知手段であるメディアセンサ30について説明する。メディアセンサ30は、記録材Pの特性としての坪量を検知するためのセンサである。メディアセンサ30は、図1に示すように、搬送ローラ対23と転写ニップ部Tの間の記録材Pの搬送路上に配置されている。メディアセンサ30は、超音波を送信する送信部31と送信部31から送信された超音波を受信する受信部32と、を有し、送信部31と受信部32は、記録材Pが搬送される搬送路を挟むように配置されている。
【0026】
メディアセンサ30の送信部31と受信部32は同様の構成を有し、それぞれ、機械的変位と電気信号を相互に変換する変換素子である圧電素子(ピエゾ素子ともいう)と、電極端子とから構成されている。送信部31では、電極端子に所定の周波数のパルス電圧が印加されると圧電素子が発振することにより超音波が発生し、発生した超音波が空気中を伝搬する。送信部31からの超音波が、送信部31と受信部32との間の搬送路を搬送中の記録材Pに到達すると、超音波によって記録材Pが振動する。記録材Pの振動は、空気中を超音波として伝搬し、受信部32に到達する。このように、送信部31で発生させた超音波が、記録材Pを介して受信部32に伝搬する。受信部32の圧電素子は、受信した超音波の振幅に応じた電圧を電極端子から出力する。本実施例では、送信部31からは32kHzの周波数特性を有する超音波が出力され、受信部32は、記録材Pを介して送信部31から出力された超音波を受信する。なお、超音波の周波数は予め設定されており、送信部31及び受信部32の構成、検知精度等に応じて適切な範囲の周波数を選択すればよい。
【0027】
続いて、メディアセンサ30の制御方法について説明する。図3は、メディアセンサ30の制御を行う制御部を説明するブロック図である。図3において、メディアセンサ30は、画像形成制御部40によって制御される。画像形成制御部40は、メディアセンサ30の超音波の送受信制御や、メディアセンサ30の検知結果に基づいて記録材Pの坪量を判別するメディア判別動作を行う坪量検知制御部42を有している。画像形成制御部40は、坪量検知制御部42から出力される記録材Pの検知結果に基づいて、画像形成における画像形成条件の制御を行う。なお、「画像形成条件」とは、例えば転写ローラ12に印加する転写電圧や像加熱装置13の定着温度、記録材Pの搬送速度等の、画像形成を行う際の各種条件をいう。
【0028】
図3において、記録材Pの坪量を検知する場合には、画像形成制御部40のCPU41は、記録材Pの坪量の測定の開始を指示する信号を坪量検知制御部42の駆動信号制御部441に出力する。駆動信号制御部441は、CPU41から記録材Pの坪量の測定の開始を指示する信号を受信すると、所定の周波数の超音波を発生させるために、駆動信号生成部431に、超音波送信信号を生成するように指示する。駆動信号生成部431は、記録材Pや搬送路周囲の部材による反射波等の外乱の影響を低減するために、メディアセンサ30の送信部31が照射した直接波のみを受信部32が受信できるように、一定の周期のバースト波と呼ばれるパルス波を出力する。本実施例では、駆動信号生成部431は、1回の測定で、32kHzの周波数のパルス波を5パルス、連続して出力する。駆動信号生成部431は、このように、予め設定された周波数のパルス信号を生成し、増幅器432に出力する。増幅器432は、駆動信号生成部431から入力された所定の周波数のパルス信号のレベル(電圧値)を増幅し、メディアセンサ30の送信部31に出力する。送信部31では、増幅器432から入力された信号に応じて圧電素子が発振して超音波を発生させる。
【0029】
一方、メディアセンサ30の受信部32は、送信部31から送信され、記録材Pを透過していない超音波、又は記録材Pを透過した超音波を受信して、坪量検知制御部42の検知回路442に出力する。検知回路442は、受信部32から入力された信号(電圧信号)の増幅機能と整流機能を有しており、記録材Pが送信部31と受信部32との間に存在しない状態と、存在する状態とで、入力された信号の増幅率を変更する。検知回路442は、入力された信号を増幅、整流して、A-D変換部443に出力する。A-D変換部443は、検知回路442から入力された信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、ピーク抽出部444に出力する。ピーク抽出部444は、A-D変換部443から入力されたデジタル信号のピーク値(極大値)を抽出し、抽出したピーク値を記憶部446に記憶する。これらの動作を「ピーク検出動作」と呼ぶ。
【0030】
ピーク検出動作は、送信部31と受信部32の間に記録材Pが存在しない状態(記録材Pがメディアセンサ30を通過していない状態)と存在する状態(記録材Pがメディアセンサ30を通過している状態)に対し、各々、所定の間隔で所定の回数、実施される。算出手段である演算部447は、記憶部446に記憶されたデジタル信号のピーク値に基づき、記録材Pが存在しない状態でのピーク値の平均値と、記録材Pが存在する状態でのピーク値の平均値との比から、記録材Pに対する超音波の透過係数を算出する。演算部447は、算出した透過係数をCPU41に出力する。演算部447により算出された透過係数は、記録材Pの坪量と負の相関をもつ値であり、CPU41は、演算部447で算出された透過係数に基づいて記録材Pの坪量を算出すると共に、算出した坪量をRAM41bに記憶する。
【0031】
[記録材の坪量と画像形成条件]
画像形成制御部40のCPU41は、上述したRAM41bに記憶された記録材Pの特性値情報(本実施例では坪量)に基づいて、転写ローラ12に印加される転写電圧や像加熱装置13の定着温度、記録材Pの搬送速度等の画像形成条件を決定する。例えば、CPU41は、坪量が大きい記録材Pであると判断した場合、定着温度の目標温度を高く設定する。これは、坪量が大きい記録材Pほど、像加熱装置13において、トナー像を定着させるためにより多くの熱量を必要とするためである。
【0032】
本実施例のプリンタ1は、坪量60g/m~120g/mの記録材Pの画像形成に最適な230mm/secの搬送速度で、記録材Pを搬送する動作モードを有している。また、像加熱装置13における最適な定着温度の目標温度は坪量に応じて設定されている。以下に示す表1は、記録材Pの坪量(単位:g/m)と定着温度の目標温度(単位:℃)との対応関係を示す表である。
【表1】
【0033】
表1では、坪量が60、75、90、105、120g/mのときに、像加熱装置13の定着温度の目標温度は、それぞれ175、185、195、205、215℃となっている。表1より、坪量が15g/m増加する毎に、定着温度の目標温度が10℃上昇しているのがわかる。
【0034】
また、以下に示す表2は、像加熱装置13において定着温度が目標温度よりも低い温度に設定された場合の、トナー像が記録材Pに定着される定着性能への影響度合いを示した表である。表2において、上段の「温度差」は、設定された定着温度と目標温度との温度差を示しており、表2では、温度差を±0℃~-12℃までを示している。一方、下段の「定着性能」は、定着性能に対する影響度合いを「○」、「○△」、「△」で示している。「○」は定着性能に問題ないことを示しており、「○△」は、定着性能は劣るが支障のない範囲であることを示し、「△」は定着性能に支障が生じることを示している。
【表2】
【0035】
表2より、定着温度が目標温度から(目標温度-3℃)までの範囲であれば、目標とす
る定着性能を満たすことができる。また、定着温度が(目標温度-4℃)から(目標温度
-10℃)までの範囲であれば、定着性能が「〇△」であり、定着性能が目標よりも少し低いものの、支障ない範囲である。一方、定着温度が(目標温度より-11℃以下)の場合には、定着性能に支障が生じるおそれがある。表2では、像加熱装置13の定着温度が目標温度以下の場合の定着性能について示した。一方、像加熱装置13の定着温度が目標温度以上の場合には、目標とする定着性能を満足することができるが、定着温度が目標温度よりも高いほど、プリンタ1の消費電力が大きくなる。そのため、像加熱装置13の定着温度はできるだけ目標温度に近いことが望ましい。
【0036】
[記録材特性の周期性検知]
次に、メディアセンサ30の検知結果に基づいて、給紙トレイ21に積載された記録材Pの記録材特性の周期性の有無を検知する方法について説明する。本実施例では、メディアセンサ30を用いて給紙トレイ21から給送された記録材Pの記録材特性を検知すると、CPU41は、検知された記録材Pの特性値情報を順次、RAM41bに記憶する。このとき、給送される記録材Pの特性である坪量が、例えば5枚に1枚の周期で異なっていた場合、メディアセンサ30で検知される記録材Pの記録材特性は、5枚に1枚の割合で、他の記録材Pとは変わることになる。給送される記録材Pのメディアセンサ30による検知結果がこの状態で暫く継続されている場合には、他の記録材と異なる特性を有する記録材が、5枚に1枚という周期性を維持して給送され、以降も5枚周期で記録材特性が変化することが予測される。本実施例では、このような状態のことを「周期性あり」の状態と呼ぶことにする。
【0037】
本実施例では、給送される記録材Pの記録材特性の周期性を検知するため、給送される記録材Pのメディアセンサ30による検知結果を異なる周期のグループに分け、周期の異なるグループ同士の検知結果を比較する方法を用いることとする。図4は、1枚目~4枚目には坪量が90g/mの記録材P、5枚目には坪量が60g/mの記録材Pの5枚を1グループとする記録材Pを、給紙トレイ21から40枚給送したときの記録材Pの枚数(何枚目)と坪量の関係を示したグラフである。図4において、縦軸は記録材の坪量(単位:g/m)を示し、横軸は給送される記録材Pの順番である枚数(何枚目)を示している。また、黒丸のプロットは、給送される記録材Pの坪量を示している。
【0038】
図4に示すように、1枚目、6枚目、11枚目、16枚目などの(5の倍数+1)枚目となる記録材Pのグループの坪量の平均値は90g/mである。また、(5の倍数+2)枚目、(5の倍数+3)枚目、(5の倍数+4)枚目のそれぞれの記録材Pのグループの坪量の平均値も90g/mである。一方、5枚目、10枚目、15枚目、20枚目などの(5の倍数)枚目となる記録材Pのグループの坪量の平均値は60g/mである。このように、図4に示す記録材Pは、枚数が5の倍数のときに、他の記録材Pとは異なる記録材特性を有する記録材Pが給紙トレイ21から給送されている。このことから、図4に示す記録材Pの例は、「5枚の周期性がある」ということができる。
【0039】
このように、記録材Pが給送される周期において、給送される順番が異なるグループ同士の特性値を比較し、他のグループと特性値の差が大きいグループがあれば、記録材特性の周期性が存在する可能性がある。そこで、本実施例では、給送される順番が異なる各グループの記録材特性値の検知結果において、閾値以上の差がある場合には、「周期性あり」と判断することとする。周期性の判断方法の詳細については後述する。
【0040】
続いて、記録材の周期性の有無を判断する閾値、周期性を構成する記録材Pの枚数を決定する方法について説明する。まず、記録材Pの周期性の有無を判断する閾値について説明する。記録材Pの周期性の有無を判断する閾値は、区別すべき記録材の坪量差とメディアセンサ30の検知誤差の両方を考慮して決定すべきである。例えば、記録材Pの周期性の有無を判断する閾値が大きい場合には、本来であれば、周期性を検知して像加熱装置13の定着制御を変更すべきにもかかわらず、「周期性あり」と判断されることが少なくなってしまう。一方、記録材Pの周期性の有無を判断する閾値を小さく設定した場合には、メディアセンサ30の検知誤差により間違った記録材Pの特性値が検知された場合には、「周期性有り」と誤って判断されてしまうおそれがある。そこで、本実施例の像加熱装置13は、同一の坪量の記録材に対して、定着温度が3℃変わっても、トナー像が記録材Pに支障なく定着されるように構成されている。そのため、記録材Pの定着温度が4℃以上変わる場合、すなわち、記録材の坪量の差が6g/m以上の場合には、記録材Pの種類が異なると判断し、「周期性あり」と判断することとした。なお、表1において、坪量と定着温度の目標温度とは、坪量が15g/m変化すると定着温度の目標温度は10℃変化する関係を有している。その結果、表1に示す関係に基づいて線形補間を行うと、定着温度が4℃以上変化すると、記録材の坪量は6g/m以上変化することになる。
【0041】
次に、記録材Pの周期性を検知するための対象とする周期枚数について説明する。対象とする枚数が多くなるほど、周期性があると判断するまでに検知すべき記録材Pの必要枚数が多くなってしまう。そのため、対象とする記録材Pの枚数は、できるだけ少ない枚数の方が望ましい。本実施例では、記録材Pの周期性については、4枚周期から7枚周期までを周期性の調査対象とする。
【0042】
ここで、検知していた記録材Pの周期性をリセットする場合について説明する。まず、給紙トレイ21から給送された記録材について、周期の枚数自体が変わってしまう場合について説明する。この場合の例としては、例えば、給紙トレイ21がプリンタ1から引き出され、異なる周期性を有する記録材の束が給紙トレイ21に積載された場合が挙げられる。そのため、給紙トレイ21がプリンタ1に挿入され、装着された場合には、検知されていた記録材Pの周期をリセットし、再度、給紙トレイ21から給送される記録材Pの周期性検知を行う必要がある。
【0043】
また、検知していた記録材Pの周期のリセットは、周期枚数は変わらないが、記録材Pの周期における順番が変わってしまう場合にも行われる。この場合の例として、例えば、1つの紙束を複数束に分けて、本来とは異なる順番で給紙トレイ21に積載された場合などが挙げられる。この場合、給紙トレイ21の開閉操作(着脱操作)が行われていないにも関わらず、給紙トレイ21から給送された記録材Pの坪量と、それまで給送の順番が同じグループ毎に算出していた坪量との間に乖離が生じることになる。このような場合には、記録材Pの周期性が変わったと判断し、検知していた記録材Pの周期をリセットして、再度、給紙トレイ21から給送される記録材Pの周期性検知を行う必要がある。本実施例では、今回給送された記録材Pの坪量と、給送の順番が同じ周期グループの記録材Pの坪量との間に、6g/m以上の差がある場合には、検知していた記録材Pの周期のリセットを行うものとする。
【0044】
(周期性検知の具体例)
次に、図4に示す40枚の記録材Pの坪量データに基づいて、周期性検知を行う具体的な方法について詳細に説明する。なお、図4に示す記録材Pの坪量にはバラツキがなく、メディアセンサ30による記録材特性値の検知誤差もないものとする。図5は、図4に示す坪量の記録材40枚をメディアセンサ30で検知した坪量について、4枚周期から7枚周期の周期グループに分け、各周期グループにおける給送の順番の記録材Pの坪量の平均値を示したグラフである。図5では、上から順に、(a)は4枚周期での、(b)は5枚周期での、(c)は6枚周期での、(d)は7枚周期での、記録材Pの坪量の平均値を示したグラフである。図5の(a)~(d)の縦軸は、記録材Pの坪量(g/m)を示し、横軸は、各周期における記録材Pの給送される順番を示している。
【0045】
図5(a)を参照して、図の見方、表示されている坪量の平均値について説明する。図5(a)において、(4n+0枚目)は、40枚の記録材Pのうち、4枚目、8枚目、12枚目、・・、40枚目に給送された10枚の記録材Pの坪量の平均値を示している。同様に、(4n+1)枚目は、1枚目、5枚目、9枚目、・・、37枚目に給送された10枚の記録材Pの坪量の平均値を示し、(4n+2)枚目は、2枚目、6枚目、10枚目、・・、38枚目に給送された10枚の記録材Pの坪量の平均値を示している。また、(4n+3)枚目は、3枚目、7枚目、11枚目、・・、39枚目に給送された10枚の記録材Pの坪量の平均値を示している。図5(b)、(c)、(d)についても、記録材Pの周期枚数は異なるが、図の見方は同様である。
【0046】
(4n+0枚目)の10枚の記録材Pのグループには、20枚目と40枚目に坪量が60g/mの記録材Pが含まれ、その他の8枚の記録材Pの坪量は60g/mである。したがって、(4n+0枚目)に含まれる記録材Pのグループの平均坪量は、84g/m(=(60g/m×2+90g/m×8)/10)となる。(4n+1枚目)の10枚の記録材Pのグループでは、5枚目と25枚目に坪量が60g/mの記録材Pが含まれ、その他の8枚の記録材Pの坪量は60g/mである。そのため、平均坪量は、84g/m(=(60g/m×2+90g/m×8)/10)となる。(4n+2枚目)の10枚の記録材Pのグループでは、10枚目と30枚目に坪量が60g/mの記録材Pが含まれ、その他の8枚の記録材Pの坪量は60g/mである。そのため、平均坪量は、84g/m(=(60g/m×2+90g/m×8)/10)となる。(4n+3枚目)の10枚の記録材Pのグループでは、15枚目と35枚目に坪量が60g/mの記録材Pが含まれ、その他の8枚の記録材Pの坪量は60g/mである。そのため、平均坪量は、84g/m(=(60g/m×2+90g/m×8)/10)となる。
【0047】
図5(b)では、(5n+0)枚目の記録材Pの平均坪量は60g/mであり、その他の(5n+1)枚目~(5n+4)枚目における記録材Pの平均坪量は90g/mである。(5n+0)枚目の記録材Pの平均坪量と、その他の記録材Pの平均坪量との間には、30g/m(=90g/m-60g/m)の大きな坪量差があり、周期性が明確になっている。
【0048】
図5(c)では、給送される記録材Pの順番に属するグループにより、対象となる記録材Pの枚数が異なる。対象となる記録材Pの枚数は、(6n+0)枚目、(6n+5)枚目では6枚の記録材Pが対象となり、(6n+1)枚目~(6n+4)枚目では7枚の記録材Pが対象となる。(6n+0)枚目~(6n+5)枚目の各グループにおける平均坪量は、それぞれ、85g/m、約86(85.7)g/m、約86(85.7)g/m、約86(85.7)g/m、約81(81.4)g/m、80g/mとなっている。なお、括弧内の数値は、小数点以下第1位まで算出した平均坪量である。
【0049】
図5(d)でも、図5(c)と同様に、給送される記録材Pの順番に属するグループにより、対象となる記録材Pの枚数が異なる。対象となる記録材Pの枚数は、(7n+0)枚目、(7n+6)枚目では5枚の記録材Pが対象となり、(7n+1)枚目~(7n+5)枚目では6枚の記録材Pが対象となる。(7n+0)枚目~(7n+6)枚目の各グループにおける平均坪量は、それぞれ、84g/m、85g/m、85g/m、85g/m、85g/m、80g/m、84g/mとなっている。
【0050】
表3は、図5に示された各周期枚数における坪量データに基づいて、記録材Pの各周期枚数のグループにおける最大坪量(単位:g/m)、最小坪量(単位:g/m)、最大坪量と最小坪量の坪量差(単位:g/m)を示した表である。
【表3】
【0051】
表3に示すように、周期枚数が4枚(4枚周期)の場合では、給送順が異なるグループにおける最大坪量は84g/m、最小坪量も84g/mであり、坪量差は0g/mである。また、周期枚数が5枚(5枚周期)の場合では、給送順が異なるグループにおける最大坪量は90g/m、最小坪量は60g/mであり、坪量差は30g/mである。更に、周期枚数が6枚(6枚周期)の場合では、給送順が異なるグループにおける最大坪量は85.7g/m、最小坪量は80g/mであり、坪量差は5.7g/mである。そして、周期枚数が7枚(7枚周期)の場合では、給送順が異なるグループにおける最大坪量は85g/m、最小坪量は80g/mであり、坪量差は5g/mである。記録材Pの周期枚数によって比較した場合、坪量差が最も大きいのは5枚周期の場合である。また、このときの坪量差は閾値である6g/mよりも大きいので、図4に示す40枚の記録材Pは、5枚毎の周期性を有している状態が検知される。また、記録材Pの周期性の検知を開始するまでに給送される記録材Pの最低枚数は、メディアセンサ30の検知精度が高ければ少なくてもよいが、検知精度が低い場合はより多くの枚数が必要となる。本実施例の場合には、40枚の記録材Pを給送すれば、周期性の検知が可能であるものとする。
【0052】
[画像形成条件の設定制御]
次に、本実施例の画像形成制御部40による画像形成条件の設定を行う制御動作について説明する。図6は、給紙トレイ21から給送される記録材Pの坪量に応じて、画像形成条件を制御する制御シーケンスを示すフローチャートである。図6(A)に示す処理は、プリンタ1の電源がオンされると起動され、画像形成制御部40のCPU41により実行される。また、図6(B)に示す処理は、図6(A)の処理から起動され、画像形成制御部40のCPU41により実行される。なお、図6(B)に示す処理において、実行される記録材Pの坪量についての統計処理には、連続する記録材Pについて検知された坪量の移動平均を用いることとする。
【0053】
まず、図6(A)に示す処理について説明する。ステップ(以下、Sとする)300では、CPU41は、RAM41bに設けられた、メディアセンサ30により記録材の特性(ここでは坪量)が検知された記録材Pの枚数を示す記録材検知枚数を0に設定する。S301では、CPU41は、給紙トレイ21の開閉操作が行われたかどうか判断する。CPU41は、給紙トレイ21の開閉操作が行われたと判断した場合には処理をS302に進め、給紙トレイ21の開閉操作が行われていないと判断した場合には処理をS303に進める。S302では、CPU41は、RAM41bに設けられた記録材検知枚数を0に設定する。給紙トレイ21の開閉操作が行われた場合には、異なる周期性を有する記録材の束が給紙トレイ21に積載されることが考えられる。そのため、本実施例では、検知されていた記録材Pの周期をリセットし、再度、給紙トレイ21から給送される記録材Pの周期性検知を行うこととしている。
【0054】
S303では、CPU41は、イメージスキャナやホストコンピュータ等の外部装置からの印刷要求に対する印刷ジョブがあるかどうか判断し、印刷ジョブがある場合には処理をS304に進め、印刷ジョブがない場合には処理をS301に戻す。S304では、CPU41は、イメージスキャナやホストコンピュータ等の外部装置からの印刷要求に対する印刷ジョブを実行するための準備動作を実行する(画像形成準備を開始)。詳細には、CPU41は、モータ20を駆動して、プリンタ1内部の各種ローラを駆動すると共に、像加熱装置13のヒータ60に電力供給を行い、記録材の特性に応じた最適な定着制御が可能な目標温度になるように温度制御を行う。S305では、CPU41は、サーミスタ62によるヒータ60の検知温度を取得し、画像形成が可能な所定の温度に到達したかどうか判断する。CPU41は、ヒータ60の温度が所定の温度に到達したと判断した場合には処理をS306に進め、ヒータ60の温度が所定の温度に到達していないと判断した場合には処理をS305に戻す。S306では、CPU41は、RAM41bから、メディアセンサ30により記録材の坪量を検知した記録材Pの枚数を示す記録材検知枚数を読み出す。
【0055】
S307では、CPU41は、給紙スタート信号を出力して給送ローラ22を駆動し、給紙トレイ21から1枚の記録材Pを給送し、搬送ローラ対23へと搬送する。S308では、CPU41は、トップセンサ24の検知結果を取得して、トップセンサ24が記録材Pを検知したかどうか判断する。CPU41は、トップセンサ24が記録材Pを検知したと判断した場合には処理をS309に進め、トップセンサ24が記録材Pを検知していないと判断した場合には処理をS308に戻す。
【0056】
S309では、CPU41は、給送された記録材Pの特性を検知する。詳細には、CPU41は、坪量検知制御部42の演算部447が、メディアセンサ30が検知した記録材Pの特性データから算出した透過係数に基づいて記録材Pの坪量を算出し、RAM41bに格納する。S310では、CPU41は、上述した記録材検知枚数を1加算する。S311では、CPU41は、今回給送された記録材Pの特性の判別を行う。詳細には、CPU41は、S309で算出された記録材Pの坪量に基づいて、記録材Pの坪量の移動平均を求める統計処理を行い、今回給送された記録材Pの坪量を算出する。S312では、CPU41は、S309で算出した今回給送された記録材Pの坪量に基づいて、転写ローラ12に印加する転写電圧、像加熱装置13の定着温度、記録材Pの搬送速度等の画像形成条件を決定する。そして、CPU41は、決定した画像形成条件に基づいて、静電潜像形成、現像処理、転写処理、定着処理の一連の画像形成動作を行い、記録材Pへの画像形成を行う。S313では、CPU41は、印刷ジョブが終了したかどうか判断し、印刷ジョブが終了していない場合には制御をS307に戻し、印刷ジョブが終了している場合には、処理をS314に進める。S314では、CPU41は、記録材検知枚数をRAM41bに格納し、処理を終了する。
【0057】
続いて、図6(A)のS311の処理から起動される、図6(B)に示す記録材の特性の判別処理について説明する。なお、図6(B)に示す記録材判別処理では、記録材検知枚数が所定の枚数である40枚以上になるまでは、上述した記録材Pの周期性検知を行う4枚周期、5枚周期、6枚周期、7枚周期の周期性検知処理は行わないものとする。また、周期性検知処理により給送される記録材Pの周期性が検知された場合には、検知された周期性に応じた枚数で移動平均値を算出する統計処理を行うものとする。一方、周期性が検知されるまでは、今回給送された記録材Pと、直前に給送された4枚の記録材を含む5枚の記録材Pについての移動平均値を算出する統計処理を行うものとする。
【0058】
S320では、CPU41は、記録材検知枚数の値に基づいて、統計処理を行うための必要な最低枚数(ここでは40枚)以上の記録材が、給紙トレイ21から給送されたかどうか判断する。CPU41は、今回給送された記録材Pが40枚目以上の記録材であると判断した場合には処理をS321に進め、今回給送された記録材Pが40枚目未満の記録材であると判断した場合には処理をS327に進める。
【0059】
S321では、CPU41は、今回給送された記録材Pを含む直近の40枚の記録材Pの坪量をRAM41bから取得し、上述した記録材Pの4枚周期の周期性検知処理を実行し、4枚周期での坪量の最大値と最小値を求める。S322では、CPU41は、今回給送された記録材Pを含む直近の40枚の記録材Pの坪量をRAM41bから取得し、上述した記録材Pの5枚周期の周期性検知処理を実行し、5枚周期での坪量の最大値と最小値を求める。S323では、CPU41は、今回給送された記録材Pを含む直近の40枚の記録材Pの坪量をRAM41bから取得し、上述した記録材Pの6枚周期の周期性検知処理を実行し、6枚周期での坪量の最大値と最小値を求める。S324では、CPU41は、今回給送された記録材Pを含む直近の40枚の記録材Pの坪量をRAM41bから取得し、上述した記録材Pの7枚周期の周期性検知処理を実行し、7枚周期での坪量の最大値と最小値を求める。
【0060】
S325では、CPU41は、S321~S324で算出した各枚数周期における坪量の最大値と最小値との坪量差が所定値以上(ここでは6g/m以上)あるかどうか判断する。CPU41は、坪量差が所定値以上の枚数周期があれば、記録材Pの周期性ありと判断し、処理をS326に進め、坪量差が所定値以上の枚数周期がなければ、記録材Pの周期性なしと判断し、処理をS327に進める。
【0061】
S326では、CPU41は、S325の処理で周期性ありと判断された周期枚数を、S328で算出する移動平均値の対象となる記録材の移動平均枚数に設定し、処理をS328に進める。S327では、CPU41は、S328で算出する移動平均値の対象となる記録材の枚数を予め決められた枚数である5枚とし、移動平均枚数に設定する。S328では、CPU41は、今回給送された記録材Pを含む移動平均枚数に設定された枚数分の直近の記録材Pの坪量をRAM41bより取得し、今回給送された記録材Pの坪量として移動平均値を算出し、処理を終了する。
【0062】
[周期性の変更]
次に、本実施例の統計処理における移動平均の対象となる記録材Pの枚数変更、すなわち記録材Pの周期性の変更について説明する。図7は、6枚に1枚の割合で坪量60g/mの記録材Pを給紙トレイ21から給送し、それ以外の5枚は90g/mの記録紙Pを連続して給紙トレイ21から給送した場合の、検知した記録材Pの坪量の推移と、統計処理結果を示したグラフである。図7において、縦軸は記録材Pの坪量(単位;g/m)を示し、横軸は給紙トレイ21から給送される記録材Pの枚数(何枚目)を示している。図7のグラフにおける黒丸は、給送された記録材Pの坪量をプロットしたものである。また、図7において、実線で示すグラフ(「比較例」)は、連続する5枚の記録材Pの移動平均値を結んだグラフであり、破線で示すグラフ(「実施例1」)は、連続する6枚の記録材Pの移動平均値を結んだグラフである。
【0063】
また、表4は、図7に示す「比較例」と「実施例1」における記録材Pの坪量の周期検知の有無、及び移動平均の対象となる記録材Pの枚数変更の有無をまとめた表である。
【表4】
【0064】
表4に示すように、「比較例」の場合には、記録材の周期性検知を行わないし(周期性検知無し)、枚数変更も行わない(枚数変更無し)。そのため、図7では、実線で示す比較例の移動平均値のグラフは、今回、給送された記録材P(当該紙ともいう)と直前に給送された4枚の記録材Pの、連続して給送された5枚の記録材Pの坪量の移動平均値を示している。図7において、1枚目~5枚目の記録材Pは、坪量が90g/mの同じ記録材Pが給送されるため、移動平均値は90g/mで変わらない。ところが、6枚目は坪量が60g/mの記録材Pが給送されるため、6枚目の移動平均値は下がり、84g/mとなる。次に、7枚目~10枚目までは、6枚目に給送された坪量が60g/mの記録材Pが移動平均値に含まれるため、6枚目と同様の移動平均値が算出される。そして、11枚目の記録材Pの移動平均値は、7枚目~11枚目の記録材Pには坪量が60g/mの記録材Pを含まないため、移動平均値が上昇し、90g/mになる。移動平均値が84g/mから90g/mに変化する現象は、17枚目、23枚目の記録材Pの場合にも生じる。その結果、17枚目、23枚目に給送された記録材Pと直前に給送された4枚の記録材Pとは、坪量は変化していないにもかかわらず、記録材Pの坪量が異なると誤判断されてしまうことになる。
【0065】
一方、「実施例1」の場合には、表4に示すように、図6(B)のS321~S324の処理を実行して記録材の周期性検知を行い(周期検知有り)、検知された記録材Pの周期性に応じて枚数変更も行う(枚数変更有り)。ここでは、実施例1は、予め6枚周期で坪量の異なる記録材Pが給紙トレイ21から給送されることがわかっているものとする。そして、図7では、破線で示す実施例1の移動平均値のグラフは、移動平均を行う記録紙Pの枚数を5枚から6枚に変更した後の、今回、給送された記録材Pと直前に給送された5枚の記録材Pの坪量の移動平均値を示している。記録材Pの坪量の異なる6枚目の記録材Pを含む移動平均値が、90g/mから85g/mに減少するのは、上述した「比較例」と同様である。そして、7枚目以降の移動平均値では、坪量が60g/mの記録材Pが常に1枚含まれるため、移動平均値は変化せず、同一の坪量を有する記録材Pであると判断されることになる。
【0066】
表5は、図7に示す給送された記録材Pの坪量と最適定着温度、及び、「比較例」と「実施例1」における記録材Pの坪量の移動平均値により算出した記録材Pの坪量、坪量に対応する像加熱装置13の定着温度、及び定着性能についてまとめた表である。
【表5】
【0067】
表5において、「給送された記録材」には、1~5枚目、6枚目~14枚目の記録材Pに対応する「坪量(単位:g/m)」、及び坪量に対応した像加熱装置13の「最適な定着温度(単位:℃)」が示されている。また、「比較例」の「坪量(単位:g/m)」には、今回給送された記録材Pと直前の4枚の記録材の坪量の移動平均値が示されている。更に、「比較例」の「定着温度(単位:℃)」には、「比較例」の「坪量」に応じた像加熱装置13の定着温度が示され、「定着性能」には、「比較例」の「定着温度」と「給送した記録材」の「最適定着温度」とを比較した定着性能評価が示されている。同様に、「実施例1」の「坪量(単位:g/m)」には、今回給送された記録材Pと直前の5枚の記録材の坪量の移動平均値が示されている。更に、「実施例1」の「定着温度(単位:℃)」には、「実施例1」の「坪量」に応じた像加熱装置13の定着温度が示され、「定着性能」には、「実施例1」の「定着温度」と「給送された記録材」の「最適定着温度」とを比較した定着性能評価が示されている。
【0068】
表5に示すように、「比較例」では、坪量が90g/mから84g/m、84g/mから90g/mに変化すると判断されるたびに、像加熱装置13の定着温度が195℃から191℃へ、191℃から195℃へと切り替えられることになる。なお、坪量が90g/mのときの定着温度は、表1より195℃である。また、坪量が84g/mの場合の定着温度191℃は、表1における坪量が75g/mと90g/mのときの定着温度である185℃と195℃を線形補間することにより算出している。像加熱装置13の定着温度が191℃に設定される場合(例えば6枚目から10枚目の記録材Pの場合)には、7枚目から10枚目の記録材Pについては、最適な定着温度である195℃から4℃離れているため、定着性能が「〇△」となる。その結果、定着性能が「〇」の場合(1枚目~6枚目、11枚目、12枚目の記録材P)と「〇△」の場合(7枚目~10枚目、13枚目、14枚目の記録材P)が存在し、記録材Pの定着品質にムラが生じることになる。
【0069】
一方、「実施例1」では、1枚目~5枚目の記録材Pについては、坪量が90g/mであるが、6枚目以降の記録材Pの坪量は85g/mで一定となる。その結果、6枚目以降の記録材Pに対する像加熱装置13の定着温度は、一律192℃に設定されることになる。そのため、印刷ジョブが終了するまで、定着性能は常に「〇」となり、記録材Pの定着品質は安定したものになる。なお、坪量が85g/mの場合の定着温度192℃は、表1における坪量が75g/mと90g/mのときの定着温度である185℃と195℃を線形補間することにより算出している。上述したように、記録材Pの周期の枚数に合わせて統計処理の対象となる記録材Pの枚数を変更することにより、安定した定着性能を満たすことが可能となる。
【0070】
以上説明したように、本実施例によれば、記録材の特性の検知精度を向上させ、記録材に形成される画像の品質を向上させることができる。
【実施例2】
【0071】
実施例1では、給紙トレイから給送される記録材の特性値の周期性に応じて、移動平均により坪量を算出する統計処理の対象となる記録材の枚数を変更し、統計処理により算出した記録材の坪量に基づいて、像加熱装置の定着制御を行う実施例について説明した。実施例2では、給紙トレイから給送される記録材の特性値の周期性を検知した場合に、検知した回数に応じて、今回給送された記録材の坪量の検知結果を反映する度合いを大きくすることにより、像加熱装置の定着温度の精度を向上させる実施例について説明する。なお、本実施例の画像形成装置の構成は実施例1と同様であり、同じ装置、同じ部材には同一の符号を用いることにより、ここでの説明を省略する。
【0072】
[画像形成条件の設定制御]
本実施例の画像形成制御部40による画像形成条件の設定を行う制御動作について説明する。図8は、給紙トレイ21から給送される記録材Pの坪量に応じて、画像形成条件を制御する制御シーケンスを示すフローチャートである。図8(A)に示す処理は、プリンタ1の電源がオンされると起動され、画像形成制御部40のCPU41により実行される。また、図8(B)に示す処理は、図8(A)の処理から起動され、画像形成制御部40のCPU41により実行される。なお、実施例1の図6(B)では、記録材Pの坪量についての統計処理には移動平均が用いられていたが、図8(B)では、記録材Pの坪量についての統計処理には加重平均を用いることとする。
【0073】
まず、図8(A)に示す処理について説明する。S400では、CPU41はRAM41bに設けられた、メディアセンサ30により記録材の特性(ここでは坪量)が検知された記録材Pの枚数を示す記録材検知枚数、及び後述する図8(B)の処理において周期検知した回数を示す周期検知回数を0に設定する。S301では、CPU41は、給紙トレイ21の開閉操作が行われたかどうか判断する。CPU41は、給紙トレイ21の開閉操作が行われたと判断した場合には処理をS401に進め、給紙トレイ21の開閉操作が行われていないと判断した場合には処理をS303に進める。S401では、CPU41は、RAM41bに設けられた記録材検知枚数、及び周期検知回数を0に設定する。給紙トレイ21の開閉操作が行われた場合には、異なる周期性を有する記録材の束が給紙トレイ21に積載されることが考えられる。そのため、本実施例では、検知されていた記録材Pの周期をリセットし、再度、給紙トレイ21から給送される記録材Pの周期性検知を行うこととしている。
【0074】
図8(A)において、S303~S305は、実施例1の図6(A)のS303~S305の処理と同様であり、ここでの説明は省略する。S402では、CPU41は、記録材検知枚数、及び周期検知回数をRAM41bより読み出す。S307~S312の処理は、実施例1の図6(A)のS307~S312の処理と同様であり、ここでの説明は省略する。S313では、CPU41は、印刷ジョブが終了したかどうか判断し、印刷ジョブが終了していない場合には制御をS307に戻し、印刷ジョブが終了している場合には、処理をS403に進める。S403では、CPU41は、記録材検知枚数、及び周期検知回数をRAM41bに格納し、処理を終了する。
【0075】
続いて、図8(A)のS311の処理から起動される、図8(B)に示す記録材の特性の判別処理について説明する。なお、図8(B)に示す記録材判別処理では、記録材検知枚数が所定の枚数である40枚以上になるまでは、上述した記録材Pの周期性検知を行う4枚周期、5枚周期、6枚周期、7枚周期の周期性検知処理は行わないものとする。また、周期性検知処理により給送される記録材Pの周期性が検知されるまでは、今回給送された記録材Pと、直前に給送された4枚の記録材を含む5枚の記録材Pについては、同一の加重平均係数を用いて加重平均値を算出する統計処理を行うものとする。一方、周期性検知処理により給送される記録材Pの周期性が検知された場合には、次の処理を行うものとする。すなわち、検知された記録材Pの周期性の回数に応じて、今回給送された記録材Pと、直前に給送された4枚の記録材を含む5枚の記録材Pについて、各記録材の加重平均係数を変更して加重平均値を算出する統計処理を行うものとする。詳細には、記録材Pの周期性の検知回数に応じて、今回給送した記録材Pの加重平均係数を増加させ、直前に給送された記録材Pの加重平均係数を減少させた加重平均値を算出する統計処理を行うものとする。
【0076】
S320では、CPU41は、記録材検知枚数の値に基づいて、統計処理を行うための必要な最低枚数以上(ここでは40枚以上)の記録材が給紙トレイ21から給送されたかどうか判断する。CPU41は、今回給送された記録材Pが40枚目以上の記録材であると判断した場合には処理をS321に進め、今回給送された記録材Pが40枚目未満の記録材であると判断した場合には処理をS410に進める。S321~S324の処理は、実施例1の図6(B)のS321~S324の処理と同様であり、ここでの説明を省略する。
【0077】
S405では、CPU41は、S321~S324の処理において、検知された周期性の回数に応じて、加重平均値を算出する際の5枚の記録材Pの加重平均係数を変更する。その際、CPU41は、検知された周期性の回数が増えるほど、坪量の加重平均値を算出する際の、今回給送された記録材Pの坪量を反映する加重平均係数を増やし、直前に給送された4枚の記録材Pの坪量を反映する加重平均係数を減らす。具体的な加重平均係数の例については、後述する。
【0078】
S406では、CPU41は、S321~S324で算出した各枚数周期における坪量の最大値と最小値との坪量差が所定値以上(ここでは6g/m以上)あるかどうか判断する。CPU41は、坪量差が所定値以上の枚数周期があれば、記録材Pの周期性ありと判断し、処理をS407に進め、坪量差が所定値以上の枚数周期がなければ、記録材Pの周期性なしと判断し、処理をS408に進める。S407では、CPU41は、周期検知回数を1加算することにより更新し、処理をS411に進める。
【0079】
S408では、CPU41は、周期検知回数が0回かどうか、すなわちS321~S324の処理において、記録材Pの坪量の周期性が検知されたことがないかどうか判断する。CPU41は、周期検知回数が0回の場合には処理をS411に進め、周期検知回数が0回ではない場合には処理をS409に進める。S409では、CPU41は、給紙トレイ21から給送された記録材Pの坪量と、それまで給送の順番が同じグループ毎に算出していた坪量との間に乖離が生じており、記録材Pの周期性が変わったと判断する。そして、CPU41は、検知していた記録材Pの周期をリセットして、再度、給紙トレイ21から給送される記録材Pの周期性検知を行う必要があると判断する。そのため、CPU41は、周期検知回数を0回に設定し、今回給送された記録材Pの坪量を反映する加重平均係数と、直前に給送された4枚の記録材Pの坪量を反映する加重平均係数を同一値に設定し、処理をS411に進める。
【0080】
S410では、CPU41は、S311の処理で記録材検知枚数が40枚未満の場合には、今回給送された記録材Pの坪量を反映する加重平均係数と、直前に給送された4枚の記録材Pの坪量を反映する加重平均係数を同一値に設定する。S411では、CPU41は、設定された加重平均係数に基づいて、今回給送された記録材Pと直前に給送された4枚分の記録材Pの坪量をRAM41bより取得し、今回給送された記録材Pの坪量として加重平均値を算出し、処理を終了する。
【0081】
[加重平均係数の例]
給紙トレイ21から給送される記録材Pの特性値(ここでは坪量)の周期性を検知している場合には、給送される記録材Pの特性値が、予めある程度分かっていることになる。そのため、従来は検知誤差を考慮して移動平均値等の統計処理を行っていたが、本実施例のように、統計処理において、今回給送された記録材Pである当該紙の特性値を反映させる割合を高くすることが可能となる。また、同じ印刷ジョブにおいて、記録材Pの特性値の周期を検知する回数が増えるほど、予測される特性値を有する記録材Pが給送される確率が高まるので、今回給送された記録材Pの特性値を反映させる割合を、更に高めることが可能となる。
【0082】
表6は、上述した図8(B)の処理において設定する、今回給送された記録材P(表6では「当該紙」と表示)と、直前に給送された記録材Pである直近の記録材Pに対する加重平均係数の一例を示す表である。「周期検知」において、「無し」は、記録材の周期性の検知を行う処理、すなわち、図8(B)のS321~S324の処理を実行していないことを示し、「有り」は、図8(B)のS321~S324の処理を実行していることを示している。また、「周期検知回数」は、図8(B)のS321~S324の処理において記録材の周期性を検知した回数を示している。更に、「当該紙」、「1枚前」、「2枚前」、「3枚前」、「4枚前」は、それぞれ今回給送された記録材P、1枚前に給送された記録材P、2枚前に給送された記録材P、3枚前に給送された記録材P、4枚前に給送された記録材Pを示す。そして、「当該紙」、「1枚前」、「2枚前」、「3枚前」、「4枚前」の各欄に示された数字(単位:%)は、図8(B)のS411で加重平均値を算出する際に用いる、各記録材Pに対する加重平均係数である。
【表6】
【0083】
表6に示すように、記録材Pの特性値の周期性を検知する処理を実行しない場合(「周期検知」が「無い」場合)には、「当該紙」から記録材Pの「4枚前」までの加重平均係数は、それぞれ20%である。したがって、各記録材Pの特性値(坪量)が均一に加重平均値に反映されることになる。一方、記録材Pの特性値の周期性を検知する処理を実行している場合には、同じ印刷ジョブで、記録材Pの周期性が何回検知されたかに応じて、対象とする記録材Pの特性値が反映される割合である加重平均係数が変更される。例えば、図8(B)のS321~S324の処理を行ったが記録材の周期性が検知されない、「周期検知」が「有り」で「周期検知回数」が「0回」の場合には、「当該紙」の加重平均係数は60%、直近の4枚の記録材Pの加重平均係数はそれぞれ10%である。そして、記録材Pの特性値の周期性が1回検知された、「周期検知」が「有り」で「周期検知回数」が「1回」の場合には、「当該紙」の加重平均係数は80%で、直近の2枚の加重平均係数はそれぞれ10%で、その他の記録材Pの加重平均係数は0%である。更に、記録材Pの特性値の周期性が2回以上検知された、「周期検知」が「有り」で「周期検知回数」が「2回以上」の場合には、「当該紙」の加重平均係数は100%で、直近の4枚の加重平均係数は0%である。このように、本実施例では、記録材Pの特性値の周期性の検知回数が0回、1回、2回と増えていくにつれ、今回給送された記録材Pである「当該紙」の加重平均係数を60%、80%、100%と上げている。これにより、記録材Pの周期性が検知される回数が増えるにつれ、今回給送された記録材Pの特性(ここでは坪量)に応じた像加熱装置13の定着制御が可能となる。
【0084】
[加重平均係数の変更]
次に、本実施例の統計処理における加重平均の対象となる記録材Pの加重平均係数の変更について説明する。図9は、6枚に1枚の割合で坪量60g/mの記録材Pを給紙トレイ21から給送し、それ以外の5枚は90g/mの記録紙Pを連続して給紙トレイ21から給送した場合の、検知した記録材Pの坪量の推移と、統計処理結果を示したグラフである。図9において、縦軸は記録材Pの坪量(単位;g/m)を示し、横軸は給紙トレイ21から給送される記録材Pの枚数(何枚目)を示している。図9のグラフにおける黒丸は、給送された記録材Pの坪量)を示すプロットである。また、図9において、実線で示すグラフ(「実施例1」)は、連続する6枚の記録材Pの移動平均値を結んだグラフであり、破線で示すグラフ(「実施例2」)は、連続する6枚の記録材Pの加重平均値を結んだグラフである。
【0085】
また、表7は、図9に示した「実施例1」と「実施例2」における記録材Pの坪量の周期検知の有無、及び記録材Pの坪量の周期検知による加重平均係数の変更(表中、係数変更と表示)の有無をまとめた表である。
【表7】
【0086】
図9に示す「実施例1」と「実施例2」は、いずれも、周期性検知有りの状態、すなわち図8(B)においてS321~S324の処理を実行する状態で、給紙トレイ21からの記録材Pの給送を開始するものとする。表7に示すように、実施例1の場合には、記録材Pの周期性検知を行う(「周期検知」は「有り」)が、統計処理は移動平均値を算出するため、周期性検知時に加重平均の係数変更は行わない(「係数変更」は「無し」)。図9では、実線で示す「実施例1」のグラフは、今回、給送された記録材Pと直前に給送された5枚の記録材Pの坪量の移動平均値を示している。6枚目の記録材Pが給送された場合には、坪量の異なる6枚目の記録材Pを含む移動平均値が90g/mから85g/mに減少する。7枚目以降の記録材Pが給送された場合には、60g/mの記録材Pが常に1枚含まれるため、移動平均値は変わらず、同一の坪量を有する記録材Pであると判断される。
【0087】
一方、「実施例2」の場合には、記録材Pの周期性を検知した回数に応じて、統計処理における各記録材Pに対する加重平均係数を変更し、今回給送された記録材Pである当該紙の特性値(ここでは坪量)の反映割合を大きくする。例えば、図8(B)のS321~S324の記録材Pの周期性を検知する処理を実行しても、1枚目から6枚目の記録材Pまでは、周期性は検知されない。そのため、この間の加重平均係数は、表6の「周期検知」は「有り」で、「周期検知回数」が「0回」の場合の加重平均係数が適用される。そのため、6枚目の記録材Pの坪量は72g/m(=60g/m×0.6+90g/m×0.1×4)となる。
【0088】
そして、7枚目の記録材Pが給送されると、図8(B)のS321~S324の記録材Pの周期性を検知する処理において、6枚周期であることが検知され、表6の「周期検知」は「有り」で、「周期検知回数」が「1回」の場合の加重平均係数が適用される。これにより、7枚目、8枚目の記録材Pの坪量は87g/m(=90g/m×0.8+60g/m×0.1+90g/m×0.1)となる。同様に、9枚目~11枚目の記録材Pの坪量は90g/m(=90g/m×0.8+90g/m×0.1+90g/m×0.1)となる。また、12枚目の記録材Pの坪量は66g/m(=60g/m×0.8+90g/m×0.1+90g/m×0.1)となる。
【0089】
次に、13枚目の記録材Pが給送されると、図8(B)のS321~S324の記録材Pの周期性を検知する処理で、2回目の6枚周期が検知され、表6の「周期検知」は「有り」で、「周期検知回数」が「2回」の場合の加重平均係数が適用される。これにより、13枚目以降の記録材Pの坪量は、検知された坪量がそのまま、給送された記録材Pの坪量となる。このように、実施例2では、周期を検知した回数に応じて、今回給送された記録材Pの坪量の反映割合が大きくなるので、6枚目、12枚目と、統計処理の結果、算出される坪量が60g/mに近づいていく。そして、周期検知が2回目となる13枚目以降の記録材Pに関しては、当該紙である今回給送された記録材Pの検知結果のみが反映され、今回給送された記録材Pの坪量で判断されるようになる。
【0090】
表8は、図9に示す給送された記録材Pの坪量と最適定着温度、「実施例1」における移動平均、「実施例2」における加重平均により算出した記録材Pの坪量、坪量に対応する像加熱装置13の定着温度、定着性能、及び過剰温度についてまとめた表である。
【表8】
【0091】
表8において、「給送された記録材」には、1枚目~23枚目の記録材Pに対応する「坪量(単位:g/m)」、及び坪量に対応した像加熱装置13の「最適な定着温度(単位:℃)」が示されている。また、「実施例1」の「坪量(単位:g/m)」には、今回給送された記録材Pと直前の5枚の記録材の坪量の移動平均値が示されている。更に、「実施例1」の「定着温度(単位:℃)」には、「実施例1」の「坪量」に応じた像加熱装置13の定着温度が示され、「定着性能」には、「実施例1」の「定着温度」と「給送された記録材」の「最適定着温度」とを比較した定着性能評価が示されている。そして、「実施例1」の「過剰温度(単位:℃)」には、6枚目、12枚目、18枚目の坪量が60g/mの記録材Pの「定着温度」と「最適定着温度」との温度差を示している。
【0092】
同様に、「実施例2」の「坪量(単位:g/m)」には、今回給送された記録材Pと直前の記録材の坪量の加重平均値が示されている。更に、「実施例2」の「定着温度(単位:℃)」には、「実施例2」の「坪量」に応じた像加熱装置13の定着温度が示され、「定着性能」には、「実施例2」の「定着温度」と「給送された記録材」の「最適定着温度」とを比較した定着性能評価が示されている。そして、「実施例2」の「過剰温度(単位:℃)」には、6枚目、12枚目、18枚目の坪量が60g/mの記録材Pの「定着温度」と「最適定着温度」との温度差を示されている。
【0093】
「実施例1」では、1枚目~5枚目の記録材Pについては、坪量が90g/mであるが、6枚目以降の記録材Pの坪量は85g/mで一定となる。その結果、6枚目以降の記録材Pに対する像加熱装置13の定着温度は、一律192℃に設定されることになる。そのため、印刷ジョブが終了するまで、定着性能は常に「〇」となっているが、坪量が60g/mの6枚目、12枚目、18枚目の記録材Pでは、定着温度が坪量に対して最適な温度である175℃から17℃高くなっており、消費電力が大きくなっている。
【0094】
一方、「実施例2」は記録材Pの坪量の周期性を検知することで、「当該紙」の坪量の反映割合を大きくするように加重平均係数を変更しているので、実際に給送されている記録材Pの坪量に最適な定着温度に徐々に近づいていくことになる。表8に示すように、6枚目毎に給送される坪量60g/mの記録材Pの坪量が、6枚目では72g/mであるが、12枚目には66g/mとなり、18枚目では60g/mとなっている。これにより、印刷ジョブが終了するまで、定着性能は常に「〇」となっている。更に、坪量が60g/mの6枚目、12枚目、18枚目の記録材Pでは、定着温度が坪量に対して最適な温度である175℃からの過剰温度がそれぞれ+8℃、+4℃、0℃となっており、消費電力が実施例1に比べて適正化されている。
【0095】
なお、今回の周期性検知を用いた定着制御の最適化について、意図的に記録材Pの坪量差を大きくした例を用いて説明している。実際にパックされた一つの紙束の中での記録材Pの坪量差は大きい場合でも5~10g/m程度であるが、上述した実施例と同様の効果を奏することが確認されている。
【0096】
以上説明したように、記録材の周期性検知がなされた場合には、次に給送される記録材Pの種類の推測が可能となり、メディアセンサ30による検知結果は、検知誤差ではなく記録材の特性によるものである可能性が高いと判断できるようになる。その結果、メディアセンサ30の検知結果に基づいた像加熱装置13の定着動作の変更を、従来よりも大きくすることができるようになり、より記録材特性に応じた定着動作が可能となる。
【0097】
本実施例では、メディアセンサ30の検知誤差の影響を鑑みて、印刷ジョブの初期では当該紙の加重平均係数を60%、それ以外の記録材Pの加重平均係数を40%とした。そして、同じ印刷ジョブ内で引き続き、記録材Pの周期性が検知されている場合には、当該紙の加重平均係数を更に大きくすることとした。なお、メディアセンサ30の検知誤差が小さく、既に記録材Pの周期性が検知されている場合には、印刷ジョブの初期から当該紙の加重平均係数を100%に設定してもよい。
【0098】
また、本実施例では、記録材Pの周期性検知回数が増えていくにつれ、当該紙と直前に給送された複数枚の記録材Pの特性値(坪量)の加重平均係数を変更した。しかしながら、記録材Pの周期性を検知した場合には、1周期前や2周期前の記録材Pの特性値情報についても、変更後の加重平均係数を反映させてもよい。
【0099】
なお、上述した実施例では、記録材Pの特性(坪量)を検知する手段としてメディアセンサ30を用いたが、本発明はメディアセンサ30に限定されるものではない。例えば、メディアセンサ30の代わりに、例えば表面性(表面粗さ)や光沢度を検知するセンサを使用してもよいし、これらの記録材の特性のうち複数の特性を検知するセンサを使用してもよい。そして、CPU41がこのような坪量以外の特性の周期性の有無を判断して、周期性があると判断した場合、画像形成条件を変更するように制御してもよい。
【0100】
以上説明したように、本実施例によれば、記録材の特性の検知精度を向上させ、記録材に形成される画像の品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0101】
10 プロセスカートリッジ
13 像加熱装置
21 給紙トレイ
30 メディアセンサ
41 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9