(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】X線CT装置、X線CT装置による撮像方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240902BHJP
A61B 6/46 20240101ALI20240902BHJP
【FI】
A61B6/03 530A
A61B6/03 531
A61B6/03 521K
A61B6/46 536Q
(21)【出願番号】P 2020173928
(22)【出願日】2020-10-15
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 庸次郎
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/022888(WO,A1)
【文献】特開2009-050361(JP,A)
【文献】特開2017-176268(JP,A)
【文献】特開2018-038908(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0316973(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58 、
G06T 1/00 - 1/40 、 3/00 - 7/90 、
G06V10/00 -20/90 、30/418、40/16 、
40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射する照射部及び被検体を通過したX線を検出する検出部を含む架台と、
前記架台と前記被検体とを相対的に移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御して、第1区間と、前記第1区間と隣り合い、前記第1区間と延在方向が異なる第2区間と、を少なくとも備える予め定められた折れ線軌道に沿って、前記第1区間に続いて前記第2区間を経るように前記架台と前記被検体とを相対的に移動させるとともに、前記照射部が照射した前記X線を前記検出部に検出させて、前記被検体をスキャンさせる制御部と、
切替点で前記架台の向きを切り替える切替部と、を備え、
前記切替点でボリュームスキャンを実行するための制御を行い、前記折れ線軌道における接続部以外の部分でヘリカルスキャンを実行するための制御を行い、
前記制御部は、前記第1区間と前記第2区間との前記切替点で前記切替部によって前記架台の向きを切り替えるとともに、
前記架台の向きを切り替える前後で
前記ボリュームスキャンを実行する制御を行う、
X線CT装置。
【請求項2】
前記切替点で前記架台の向きを切り替える前後でそれぞれ実行された前記ボリュームスキャンによって得られた第1ボリュームイメージ及び第2ボリュームイメージにアベレージング処理またはスティッチング処理のうち少なくともいずれか一方を実行することで、前記第1ボリュームイメージと前記第2ボリュームイメージを繋ぎ合わせる再構成部、を更に備える、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記折れ線軌道を設定する設定部、を更に備える、
請求項1
または2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記被検体のスキャノ画像を取得する取得部、を更に備え、
前記設定部は、前記被検体のスキャノ画像に基づいて、前記折れ線軌道を設定する、
請求項
3に記載のX線CT装置。
【請求項5】
外部カメラによって撮像された前記被検体の外形画像を取得する取得部、を更に備え、
前記設定部は、前記外形画像に基づいて、前記折れ線軌道を設定する、
請求項
3に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記折れ線軌道を設定するための設定情報が入力される入力インターフェース、を更に備え、
前記設定部は、前記設定情報に基づいて、前記折れ線軌道を設定する、
請求項
3から
5のうちいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記駆動部のスキャンの状態に応じて、前記照射部に照射させる前記X線の放射線量を調整する、
請求項
1から
6のうちいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項8】
X線を照射する照射部及び被検体を通過したX線を検出する検出部を含む架台と、
前記架台と前記被検体とを相対的に移動させる駆動部と、を備えるX線CT装置のコンピュータが、
前記駆動部を制御して、第1区間と、前記第1区間と隣り合い、前記第1区間と延在方向が異なる第2区間と、を少なくとも備える予め定められた
折れ線軌道に沿って、前記第1区間に続いて前記第2区間を経るように前記架台と前記被検体とを相対的に移動させるとともに、前記照射部が照射した前記X線を前記検出部に検出させて、前記被検体をスキャンさせ、
切替点で前記架台の向きを切り替え、
前記コンピュータは、前記切替点でボリュームスキャンを実行するための制御を行い、前記折れ線軌道における接続部以外の部分でヘリカルスキャンを実行するための制御を行い、
前記コンピュータは、前記第1区間と前記第2区間との間の前記切替点で前記架台の向きを切り替えるとともに、
前記架台の向きを切り替える前後で
前記ボリュームスキャンを実行する制御を行う、
X線CT装置による撮像方法。
【請求項9】
X線を照射する照射部及び被検体を通過したX線を検出する検出部を含む架台と、
前記架台と前記被検体とを相対的に移動させる駆動部と、を備えるX線CT装置のコンピュータに、
前記駆動部を制御して、第1区間と、前記第1区間と隣り合い、前記第1区間と延在方向が異なる第2区間と、を少なくとも備える予め定められた
折れ線軌道に沿って、前記第1区間に続いて前記第2区間を経るように前記架台と前記被検体とを相対的に移動させるとともに、前記照射部が照射した前記X線を前記検出部に検出させて、前記被検体をスキャンさせる処理を実行させ、
切替点で前記架台の向きを切り替えさせ、
前記コンピュータに、前記切替点でボリュームスキャンを実行するための制御を行わせ、前記折れ線軌道における接続部以外の部分でヘリカルスキャンを実行するための制御を行わせ、
前記コンピュータ
に、前記第1区間と前記第2区間との間の前記切替点で前記架台の向きを切り替えさせるとともに、
前記架台の向きを切り替える前後で
前記ボリュームスキャンを実行する制御を行わせる
、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線CT装置、X線CT装置による撮像方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、X線CT装置によって、被検体の全身をスキャンする全身スキャンと頭部のOMライン(Orbitomeatal baseline、眼窩外耳孔線)のスキャンとを組み合わせて実行する場合には、スキャンを複数回に分けて実行することがある。X線CT装置には、CT架台が上下左右及び斜め方向に動くユニバーサルCTがあるが、ユニバーサルCTを用いた場合でも同様である。
【0003】
スキャンを複数回に分けて実行すると、例えば、スキャンがヘリカルスキャンの場合、つなぎ合わせするのりしろとなる部分の画像が必要となるので、その分X線の被ばく量が増大する。また、複数の投影データを再構成して再構成画像データを設定する場合に、複数の投影データに時間的なずれが大きく発生するため、血管造影検査や位置合わせを行う場合に不利に働くことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-033781号公報
【文献】特開平3-176921号公報
【文献】特開平10-314160号公報
【文献】特開平6-105835号公報
【文献】特開2011-130922号公報
【文献】特開2003-000585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、X線CT装置を用いた撮影時におけるX線の被ばく量の増大を抑制するとともに、位置合わせなどを容易に実行できるようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のX線CT装置は、検出部と、駆動部と、制御部と、を持つ。検出部は、被検体を通過したX線を検出する。駆動部は、前記検出部と前記被検体とを相対的に移動させる。制御部は、前記駆動部を制御して、第1区間と、前記第1区間と隣り合う第2区間と、を少なくとも備える予め定められた軌道に沿って、前記第1区間に続いて前記第2区間を経るように前記照射部と前記被検体とを相対的に移動させるとともに、前記検出部に前記X線を検出させて、前記被検体をスキャンさせる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3A】臥位の被検体Pを検査するX線CT装置1の斜視図。
【
図3B】立位の被検体Pを検査するX線CT装置1の斜視図。
【
図4】ディスプレイ42に表示される軌道設定画像の一例を示す図。
【
図6】被検体Pに対して設定されたスキャン軌道L1の一例を示す図。
【
図7A】臥位の被検体Pをスキャンする際の架台20の移動を説明する図。
【
図7B】臥位の被検体Pをスキャンする際の架台20の移動を説明する図。
【
図7C】臥位の被検体Pをスキャンする際の架台20の移動を説明する図。
【
図8】第1区間における架台20のヘリカルピッチの変化を示すグラフ。
【
図9A】立位の被検体Pをスキャンする際の架台20の移動を説明する図。
【
図9B】立位の被検体Pをスキャンする際の架台20の移動を説明する図。
【
図9C】立位の被検体Pをスキャンする際の架台20の移動を説明する図。
【
図10A】馬Hをスキャンする際の架台20の移動を説明する図。
【
図10B】馬Hをスキャンする際の架台20の移動を説明する図。
【
図10C】馬Hをスキャンする際の架台20の移動を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態のX線CT装置、X線CT装置による撮像方法、及びプログラムについて説明する。X線CT装置は、被検体を挿入可能な開口が設けられた架台と、被検体に対して架台を相対的に移動させる架台駆動装置と、被検体を載置する支持体とを備える医用装置である。架台駆動装置は、架台を上下左右及び斜め方向に移動させることができ、被検体が臥位及び立位のいずれであってもスキャンできるものである。X線CT装置は、例えば、ユニバーサルCTである。
【0009】
図1は、実施形態に係るX線CT装置1の構成図である。
図2は、X線CT装置1の外観を示す図である。X線CT装置1は、例えば、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。
図1では、説明の都合上、架台装置10をZ軸方向から見た図とX軸から見た図の双方を掲載しているが、実際には、架台装置10は一つである。実施形態では、非チルト状態であり、水平方向に沿った回転フレーム17の回転軸または寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向(前後方向)、Z軸方向に直交し、床面に対して水平である軸をX軸方向8周方向)、Z軸方向に直交し、床面に対して垂直である方向をY軸方向(上下方向)とそれぞれ定義する。
【0010】
X線CT装置1における架台装置10は、例えば、架台20と、架台駆動装置22と、制御装置24とを備える。架台20は、架台駆動装置22によって支持されている。架台駆動装置22は、架台20を上下左右方向に移動させるとともに、架台20をチルトさせて架台20の向きを切り替える。制御装置24は、架台駆動装置22の動作を制御する。
【0011】
架台20は、X線管11と、ウェッジ12と、コリメータ13と、X線高電圧装置14と、X線検出器15と、データ収集システム(以下、DAS:Data Acquisition System)16と、回転フレーム17と、カバー18と、を含む。X線管11、ウェッジ12、コリメータ13、X線高電圧装置14、X線検出器15、DAS16、及び回転フレーム17は、カバー18内に収納されている。
【0012】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生させる。X線管11は、X線を被検体Pに照射する。X線管11は、真空管を含む。例えば、X線管11は、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管である。X線管11は、照射部の一例である。
【0013】
ウェッジ12は、X線管11から被検体(撮像体)Pに照射されるX線量(放射線量)を調節するためのフィルタである。ウェッジ12は、X線管11から被検体Pに照射されるX線量の分布が予め定められた分布になるように、自身を透過するX線を減衰させる。ウェッジ12は、ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。ウェッジ12は、例えば、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したものである。
【0014】
コリメータ13は、ウェッジ12を透過したX線の照射範囲を絞り込むための機構である。コリメータ13は、例えば、複数の鉛板の組み合わせによってスリットを形成することで、X線の照射範囲を絞り込む。コリメータ13は、X線絞りと呼ばれる場合もある。コリメータ13は、絞り込み範囲が機械的に駆動可能であるアクティブコリメータであってよい。
【0015】
X線高電圧装置14は、例えば、高電圧発生装置と、X線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)および整流器などを含む電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生させる。X線制御装置は、X線管11に発生させるべきX線量に応じて高電圧発生装置の出力電圧を制御する。高電圧発生装置は、上述した変圧器によって昇圧を行うものであってもよいし、インバータによって昇圧を行うものであってもよい。X線高電圧装置14は、回転フレーム17に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(不図示)の側に設けられてもよい。
【0016】
X線検出器15は、X線管11が発生させ、被検体Pを通過して入射したX線の強度を検出する。X線検出器15は、検出したX線の強度に応じた電気信号(光信号などでもよい)をDAS16に出力する。X線検出器15は、例えば、複数のX線検出素子列を有する。複数のX線検出素子列のそれぞれは、X線管11の焦点を中心とした円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたものである。複数のX線検出素子列は、スライス方向(列方向、row方向)に配列される。
【0017】
X線検出器15は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。それぞれのシンチレータは、シンチレータ結晶を有する。シンチレータ結晶は、入射するX線の強度に応じた光量の光を発する。グリッドは、シンチレータアレイのX線が入射する面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドは、コリメータ(一次元コリメータまたは二次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。光センサアレイは、シンチレータにより発せられる光の光量に応じた電気信号を出力する。X線検出器15は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であってもよい。X線検出器15は、検出部の一例である。
【0018】
DAS16は、例えば、増幅器と、積分器と、A/D変換器とを有する。増幅器は、X線検出器15の各X線検出素子により出力される電気信号に対して増幅処理を行う。積分器は、増幅処理が行われた電気信号をビュー期間(後述)に亘って積分する。A/D変換器は、積分結果を示す電気信号をデジタル信号に変換する。DAS16は、デジタル信号に基づく検出データをコンソール装置40に出力する。検出データは、生成元のX線検出素子のチャンネル番号、列番号、及び収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線強度のデジタル値である。ビュー番号は、回転フレーム17の回転に応じて変化する番号であり、例えば、回転フレーム17の回転に応じてインクリメントされる番号である。従って、ビュー番号は、X線管11の回転角度を示す情報である。ビュー期間とは、あるビュー番号に対応する回転角度から、次のビュー番号に対応する回転角度に到達するまでの間に収まる期間である。DAS16は、ビューの切り替わりを、制御装置24から入力されるタイミング信号によって検知してもよいし、内部のタイマーによって検知してもよいし、図示しないセンサから取得される信号によって検知してもよい。フルスキャンを行う場合においてX線管11によりX線が連続曝射されている場合、DAS16は、全周囲分(360度分)の検出データ群を収集する。ハーフスキャンを行う場合においてX線管11によりX線が連続曝射されている場合、DAS16は、半周囲分(180度分)の検出データを収集する。
【0019】
回転フレーム17は、X線管11、ウェッジ12、およびコリメータ13と、X線検出器15とを対向支持する円環状の部材である。回転フレーム17は、固定フレームによって、内部に導入された被検体Pを中心として回転自在に支持される。回転フレーム17は、更にDAS16を支持する。DAS16が出力する検出データは、回転フレーム17に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム)に設けられたフォトダイオードを有する受信機に送信され、受信機によってコンソール装置40に転送される。なお、回転フレーム17から非回転部分への検出データの送信方法として、前述の光通信を用いた方法に限らず、非接触型の任意の送信方法を採用してよい。回転フレーム17は、X線管11などを支持して回転させることができるものであれば、円環状の部材に限らず、アームのような部材であってもよい。
【0020】
カバー18には、中央開口19が設けられている。中央開口19は、被検体Pが挿入される開口である。カバー18内に設けられた回転フレーム17は、カバー18の内部において、中央開口19を囲んで配置される。回転フレーム17は、中央開口19の周りを回転する。
【0021】
X線CT装置1は、例えば、X線管11とX線検出器15の双方が回転フレーム17によって支持されて被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotate-TypeのX線CT装置(第3世代CT)であるが、これに限らず、円環状に配列された複数のX線検出素子が固定フレームに固定され、X線管11が被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotate-TypeのX線CT装置(第4世代CT)であってもよい。
【0022】
架台駆動装置22は、例えば、ベース101と、水平移動装置102と、支持柱103と、レール104と、スライダ105と、チルト機構106とを備える。ベース101は、例えば、水平方向に延在する直線的な支持構造を備える。例えば診療室内の床面にボルト等によって固定される。
【0023】
水平移動装置102は、ベース101に設けられており、水平移動装置102には、支持柱103が立設された状態で搭載されている。支持柱103は、例えば、鉛直方向に延びる部材である。水平移動装置102は、制御装置24の制御に基づいて、搭載物である支持柱103を水平方向に移動させる。
【0024】
支持柱103には、レール104が取り付けられている。レール104は、支持柱103の延在方向(鉛直方向)に沿って配置されている。レール104には、スライダ105が取り付けられている。スライダ105は、制御装置24の制御に基づいて、レール104に沿って移動可能とされている。
【0025】
スライダ105には、チルト機構106が取り付けられ、チルト機構106には、架台20が取り付けられている。チルト機構106は、制御装置24の制御に基づいて、回転軸周りに架台20をチルト可能とされている。チルト機構106は、架台20をチルトさせることで架台20の向きを切り替える。チルト機構106は、切替部の一例である。架台駆動装置22は、水平移動装置102によって支持柱103を移動させることで、架台20を水平方向に移動させる。
【0026】
架台駆動装置22は、スライダ105がレール104に沿って移動することで、架台20を鉛直方向に移動させる。架台駆動装置22は、チルト機構106によって架台20を回転軸周りにチルトさせる。架台駆動装置22は、架台20を移動させることにより、架台20と被検体Pとを相対的に移動させる。架台駆動装置22は、駆動部の一例である。
【0027】
制御装置24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを有する処理回路と、モータやアクチュエータなどを含む駆動機構とを有する。処理回路は、例えば、ハードウェアプロセッサが記憶装置(記憶回路)に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0028】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA)などの回路(circuitry)を意味する。記憶装置にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。記憶装置は、非一時的(ハードウェアの)記憶媒体でもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0029】
制御装置24は、例えば、回転フレーム17を回転させたり、架台駆動装置22によって架台20を移動させたり、寝台装置30の天板33を移動させたりする。天板33は、被検体Pが臥位で載置される場合の寝台となる。例えば、架台20をチルトさせる場合、制御装置24は、架台駆動装置22のチルト機構106を制御し、入力インターフェース43に入力された傾斜角度(チルト角度)に基づいて、Z軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム17を回転させる。
【0030】
制御装置24は、図示しないセンサの出力等によって回転フレーム17の回転角度を把握している。また、制御装置24は、回転フレーム17の回転角度を随時、処理回路50に提供する。制御装置24は、架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。制御装置24は、架台20をレール104に沿って移動させて、本スキャン撮像を行ったり、本スキャン撮像の実行前に行う位置決め画像であるスキャノ画像を撮像するスキャノ撮像を行ったりする。スキャノ画像は、例えば、被検体Pの側方から撮像した画像とする。制御装置24は、スキャノ画像をコンソール装置40の軌道設定機能55に出力する。
【0031】
制御装置24は、架台駆動装置22を制御して、予め定められた軌道に沿って架台20を移動させるとともに、X線管11が照射したX線をX線検出器15に検出させて、被検体Pをスキャンさせる。予め定められた軌道は、例えば、後述する軌道設定機能55により設定された軌道である。制御装置24は、制御部の一例である。
【0032】
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置して移動させ、架台装置10の回転フレーム17の内部に導入する装置である。寝台装置30は、例えば、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備える。
【0033】
基台31は、支持フレーム34を鉛直方向(Y軸方向)に移動可能に支持する筐体を含む。寝台駆動装置32は、モータやアクチュエータを含む。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、支持フレーム34に沿って、天板33の長手方向(Z軸方向)に移動させる。天板33は、被検体Pが載置される板状の部材である。寝台駆動装置32は、天板33を後退させて架台20の開口に挿入させる。寝台駆動装置32は、天板33を前進させて架台20から引き抜く。
【0034】
寝台駆動装置32は、天板33だけでなく、支持フレーム34を天板33の長手方向に移動させてもよい。また、上記とは逆に、架台装置10がZ軸方向に移動可能であり、架台装置10の移動によって回転フレーム17が被検体Pの周囲に来るように制御されてもよい。また、架台装置10と天板33の双方が移動可能な構成でもよい。
【0035】
図3Aは、臥位の被検体Pを検査するX線CT装置1の斜視図である。
図3Bは、立位の被検体を検査するX線CT装置1の斜視図である。寝台装置30に載置される被検体Pは、
図3に示すように、臥位で検査される。X線CT装置1では、
図3Bに示すように、立位の被検体Pを検査することもできる。立位の被検体Pを検査する場合には、例えば、立位の被検体Pを支持する支持装置などが用いられる。寝台装置30は、例えば、被検体Pを臥位と立位との間で変位させる変位構造を備えてもよい。
【0036】
架台装置10及び寝台装置30は、例えば、水平移動装置102、スライダ105、及び寝台駆動装置32によって、架台20に設けられたX線検出器15と天板33に支持された被検体Pの相対的な移動方向を切り替える。例えば、Z方向に平行に配置された被検体Pの全身をスキャンする際には、水平移動装置102によって支持柱103とともに架台20をZ方向に移動させる。Z方向からX軸周りに傾いたOMラインに沿って被検体Pをスキャンする際には、水平移動装置102及びスライダ105によって架台20をZ方向及びY方向に移動させる。
【0037】
コンソール装置40は、例えば、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路50とを有する。実施形態では、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40の各構成要素の一部または全部が含まれてもよい。
【0038】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、検出データや投影データ、再構成画像データ、CT画像データ等を記憶する。これらのデータは、メモリ41ではなく(或いはメモリ41に加えて)、X線CT装置1が通信可能な外部メモリに記憶されてもよい。外部メモリは、例えば、外部メモリを管理するクラウドサーバが読み書きの要求を受け付けることで、クラウドサーバによって制御されるものである。
【0039】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路によって生成された医用画像(CT画像)や、医師や技師などの操作者による各種操作を受け付けるGUI(Graphical User Interface)画像等を表示する出力インターフェースである。ディスプレイ42は、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40の本体部と無線通信可能な表示装置(例えばタブレット端末)でもよい。
【0040】
入力インターフェース43は、操作者による各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作の内容を示す電気信号を処理回路50に出力する。例えば、入力インターフェース43は、検出データまたは投影データを収集する際の収集条件、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件などの入力操作を受け付ける。入力インターフェース43は、例えば、マウスやキーボード、タッチパネル、ドラッグボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、カメラ、赤外線センサ、マイク等により実現される。入力インターフェース43は、コンソール装置40の本体部と無線通信可能な表示装置(例えばタブレット端末)により実現されてもよい。入力インターフェース43は、操作者の操作に基づいて、スキャン軌道を設定するための電気信号を処理回路50に出力する。スキャン軌道の設定については、後にさらに説明する。
【0041】
なお、本明細書において入力インターフェースはマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0042】
処理回路50は、X線CT装置1の全体の動作を制御する。処理回路50は、例えば、制御機能51と、前処理機能52と、再構成処理機能53と、画像処理機能54と、軌道設定機能55とを備える。処理回路50は、例えば、ハードウェアプロセッサが記憶装置(記憶回路)に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0043】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU、GPU、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理デバイスまたは複合プログラマブル論理デバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイなどの回路を意味する。記憶装置にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。記憶装置は、非一時的(ハードウェアの)記憶媒体でもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0044】
コンソール装置40または処理回路50が有する各構成要素は、分散化されて複数のハードウェアにより実現されてもよい。処理回路50は、コンソール装置40が有する構成ではなく、コンソール装置40と通信可能な処理装置によって実現されてもよい。処理装置は、例えば、一つのX線CT装置と接続されたワークステーション、或いは、複数のX線CT装置に接続され、以下に説明する処理回路50と同等の処理を一括して実行する装置(例えばクラウドサーバ)である。
【0045】
制御機能51は、43が受け付けた入力操作に基づいて、処理回路50の各種機能を制御する。例えば、制御機能51は、X線高電圧装置14、DAS16、制御装置24および寝台装置30の寝台駆動装置32を制御することで、架台装置10における検出データの収集処理等を実行する。
【0046】
前処理機能52は、DAS16により出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データを生成し、生成した投影データをメモリ41に記憶させる。
【0047】
再構成処理機能53は、前処理機能52によって設定された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等による再構成処理を行って、CT画像データを生成し、生成したCT画像データをメモリ41に記憶させる。再構成処理機能53は、再構成部の一例である。
【0048】
画像処理機能54は、入力インターフェース43が受け付けた入力操作に基づいて、CT画像データを公知の方法により、三次元画像データや任意断面の断面像データに変換する。三次元画像データへの変換は、前処理機能52によって行われてもよい。
【0049】
軌道設定機能55は、入力インターフェース43が受け付けた操作者の入力操作に基づいて、軌道を設定するための設定情報が入力される。軌道設定機能55は、入力された設定情報に基づいて、被検体Pをスキャンする際のスキャン軌道を設定する。軌道設定機能55は、設定部の一例である。
【0050】
軌道設定機能55は、スキャン軌道を設定するにあたり、ディスプレイ42に被検体Pの外形を示す画像を含む軌道設定画像を表示させる。軌道設定機能55は、制御装置24により出力されたスキャノ画像を取得する。軌道設定機能55は、取得部の一例である。軌道設定機能55は、スキャノ画像をディスプレイ42に表示させて、スキャン軌道を設定する。
【0051】
図4は、ディスプレイ42に表示される軌道設定画像の一例を示す図である。ディスプレイ42に表示される軌道設定画像には、被検体Pの外形を示す被検体画像G1と、操作者に伝えるメッセージを表示するメッセージ画像G2と、スキャン軌道の始点、切替点、及び終点となる位置を決定する操作を受け付ける決定画像G3と、キャンセル操作を受け付けるキャンセル画像G4と、戻る操作を受け付ける戻る画像G5とが含まれる。決定画像G3、キャンセル画像G4、及び戻る画像G5は、GUIスイッチである。さらに、軌道設定画像には、操作者がマウスを操作することによって指定される位置に表示されるポインタ画像GPが含まれる。
【0052】
操作者は、例えば、スキャン軌道の始点、切替点、及び終点のいずれもが設定されていない時点で、まず、スキャン軌道の始点としたい点をポインタ画像GPで指示した状態でマウスをクリックする。このとき、ポインタ画像GPが指定していた点がスキャン軌道の始点として仮決定される。同様の作業によってスキャン軌道の切替点及び終点が仮決定され、最終的に決定画像G3をポインタ画像GPで指示した状態でマウスが操作されることで、始点、切替点、及び終点が決定される。
【0053】
軌道設定機能55は、決定された始点、切替点、及び終点をそれぞれ直線で繋ぐことにより、スキャン軌道を設定する。軌道設定機能55は、設定したスキャン軌道を示すスキャン軌道情報を制御装置24に出力する。制御装置24は、送信されたスキャン軌道情報が示すスキャン軌道に沿って架台20が被検体Pに対して相対移動するように、架台駆動装置22を制御する。
【0054】
次に、実施形態のX線CT装置1の処理について説明する。X線CT装置1では、被検体Pを検査するにあたり、まず、軌道設定処理を実行して、被検体Pのスキャン軌道を設定する。続いて、X線CT装置1は、設定したスキャン軌道に沿って架台20を被検体Pに対して相対的に移動させるスキャン処理を実行して、被検体Pをスキャンする。続いて、X線CT装置1は、被検体Pをスキャンして得られた画像を再構成する再構成処理を実行する。
【0055】
ここで設定されるスキャン軌道は、例えば、被検体Pを側方から見て、被検体Pの全身における中心を結んだ全身ラインと、被検体Pの頭部のOMラインとを組み合わせたラインである。スキャン軌道は、折れ線軌道であり、例えば、傾きの異なる複数の直線を、切替点を介して繋いで組み合わせた1本のラインで設定される。以下、軌道設定処理、スキャン処理、及び再構成処理を含むX線CT装置1の処理について説明する。
図5は、軌道設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0056】
X線CT装置1は、まず、軌道設定処理を実行する。X線CT装置1は、軌道設定機能55において、ディスプレイ42に軌道設定画像を表示させる(ステップS101)。続いて、軌道設定機能55は、操作者による入力インターフェース43の操作を受け付けて、スキャン軌道を設定する(ステップS103)。
【0057】
スキャン軌道を設定するにあたり、軌道設定機能55は、ディスプレイ42に被検体画像G1とともにメッセージ画像G2を表示させる。被検体画像G1としては、例えば、被検体Pを側方から撮像したスキャノ画像を用いる。軌道設定機能55は、メッセージ画像G2として、例えば、「スキャン軌道の始点を指定してください」のメッセージをディスプレイ42に表示させる。
【0058】
メッセージ画像G2に表示されたメッセージに従って、操作者が被検体画像G1におけるスキャン軌道の始点となる位置にポインタ画像GPを移動させて、その位置を指定してマウスを操作すると、軌道設定機能55は、マウスの操作に応じた設定情報を受け付ける。軌道設定機能55は、設定情報を受け付けた際にポインタ画像GPが表示された位置をスキャン軌道の始点に設定する。続いて、軌道設定機能55は、メッセージ画像G2として、「スキャン軌道の切替点または終点を指定してください。やり直す場合は、キャンセルボタン・戻るボタンを操作してください。」のメッセージをディスプレイ42に表示させる。
【0059】
メッセージ画像G2に表示されたメッセージに従って、操作者が被検体画像G1におけるスキャン軌道の切替点または終点となる位置にポインタ画像GPを移動させて、その位置を指定してマウスを操作すると、軌道設定機能55は、に応じた設定情報を受け付ける。軌道設定機能55は、設定情報を受け付けた際にポインタ画像GPが表示された位置をスキャン軌道の切替点または終点のいずれか候補として設定する。続いて、軌道設定機能55は、メッセージ画像G2として、「スキャン軌道の切替点または終点を指定してください。終点を指定している場合には、決定ボタンをクリックしてください。」のメッセージをディスプレイ42に表示させる。
【0060】
メッセージ画像G2に表示されたメッセージに従って、操作者が被検体画像G1における決定画像G3にポインタ画像GPを移動させて、決定画像G3を指定してマウスを操作すると、軌道設定機能55は、に応じた設定情報を受け付ける。軌道設定機能55は、設定情報を受け付けた際に、決定画像G3にポインタ画像GPを移動させる前に操作者がマウスを操作したときにポインタ画像GPが表示された位置をスキャン軌道の終点として設定する。操作者がキャンセル画像G4を指定してマウスを操作すると、軌道設定機能55は、始点の設定がされる前の画像をディスプレイ42に表示させる。操作者が、戻る画像G5を指定してマウスを操作すると、軌道設定機能55は、一つ手前の画像をディスプレイ42に表示させる。
【0061】
メッセージ画像G2に表示されたメッセージに従って、操作者が被検体画像G1におけるスキャン軌道の他の切替点または終点となる位置にポインタ画像GPを移動させて、その位置を指定してマウスを操作すると、軌道設定機能55は、マウスの操作に応じた設定情報を受け付ける。軌道設定機能55は、設定情報を受け付けた際にポインタ画像GPが表示された位置をスキャン軌道の切替点または終点のいずれか候補として設定する。以後、軌道設定機能55は、操作者が決定画像G3を指定したマウスを操作に応じた設定情報を受け付けるまで同様の処理を繰り返す。こうして、軌道設定機能55は、被検体Pのスキャノ画像である被検体画像G1に基づいて、スキャン軌道を設定する。
【0062】
続いて、X線CT装置1は、スキャン処理を実行する。スキャン処理にあたり、制御装置24は、架台駆動装置22を制御し、軌道設定機能55が設定したスキャン軌道に沿って架台20を被検体Pに対して相対的に移動させる(ステップS105)。X線CT装置1では、被検体Pが臥位及び立位のいずれであっても、更には、臥位及び立位のいずれもなく被検体Pが傾いた状態でも被検体Pをスキャンすることができる。
【0063】
ここで、被検体Pが臥位である場合の架台20の動作の一例について説明する。架台20は、制御装置24によって制御される架台駆動装置22によって移動させられる。
図6は、被検体Pに対して設定されたスキャン軌道L1の一例を示す図である。ここでは、
図6に示すスキャン軌道に沿って架台20が移動する例について説明する。
【0064】
スキャン軌道L1は、全身スキャンの始点となる始点PSから、全身スキャンの終点かつOMラインの始点である切替点PTを経て、OMラインの終点である終点PLに至る。以下の説明において、スキャン軌道L1のうち、始点PSから切替点PTまでの部分(全身スキャンの区間)を第1区間L11といい、第1区間L11と隣り合い、第1区間L11とは延在方向が異なり、切替点PTから終点PLまでの部分(OMラインの区間)を第2区間L12という。ここでスキャン区間の延在方向が異なるとは、例えばスキャン軌道の方向あるいは傾きが各スキャン区間で異なっていることをいい、延在方向が異なるスキャン区間では、架台20の移動方向が異なっている。また、
図2に示すようなシステム構成で
図7に示すようなスキャンを行う場合には、架台20の中心位置が通る軌跡の方向が所定の位置の前後で変わることとなる。
【0065】
実施形態において、スキャン軌道L1は、2本の直線を繋いで構成されている。第1区間L11は、被検体Pの全身における厚さ方向の中間点を繋いだラインであり、第2区間L12は、被検体PのOMラインである。切替点PTは、第1区間L11と第2区間L12を接続する。切替点PTは、接続部の一例である。
【0066】
始点PSは、例えば被検体Pの脚部に設定され、切替点PTは、例えば被検体Pの首部に設定され、終点PLは、例えば被検体Pの頭部に設定される。始点PS、切替点PT、及び終点PLは、いずれも被検体Pの厚み方向の中心に設定されている。架台20は、被検体Pにおけるスキャン軌道L1の始点PSがX線管11の焦点となる位置(以下「焦点位置」という)となるように配置される。このとき、架台20における中央開口19が設けられた面が第1区間L11に対して直交するように架台20が配置される。
【0067】
図7A~
図7Cは、臥位の被検体Pをスキャンする際の架台20の移動を説明する図である。ここでは、
図7A~
図7Cに示すスキャン軌道L1に沿って架台20が始点PSから切替点PTまで移動する例について説明する。
【0068】
図7Aに示すように、架台20は、被検体Pにおけるスキャン軌道L1の始点PSが焦点位置となるように配置される。このとき、架台20における中央開口19が設けられた面が第1区間L11に対して直交するように架台20が配置される。
【0069】
続いて、架台20は、焦点位置がスキャン軌道L1における第1区間L11上を移動するように移動し、
図7Bに示すように、焦点位置が切替点PTに到達したときに停止する。続いて、架台20がチルト動作し、架台20における中央開口19が設けられた面が第2区間L12に対して直交するように架台20が配置されて架台20の向きが切り替わる。続いて、架台20は、
図7Cに示すように、焦点位置がスキャン軌道L1における第2区間L12上を移動して終点PLに到達するまで移動する。
【0070】
制御装置24は、第1区間L11に続いて第2区間を経るように始点PSから終点PLまで架台20を移動させる過程で、始点PSから切替点PTまでヘリカルスキャンを実行させ、切替点PTにおいてボリュームスキャンを実行するための制御を行う。制御装置24は、スキャン軌道L1における切替点PT以外の部分でヘリカルスキャンを実行するための制御を行う。
【0071】
制御装置24は、ボリュームスキャンを実行させた後、架台20をチルトさせて架台20の向き方向を切り替える。制御装置24は、架台20をチルトさせている間、X線管11によるX線の照射を停止させている。制御装置24は、架台20をチルトさせて架台20の向きを切り替えた後、架台20の移動を開始させる前に、切替点PTにおいて、再びボリュームスキャンを実行させる。
【0072】
制御装置24は、ボリュームスキャンを実行させた後、切替点PTから終点PLまでヘリカルスキャンを実行させる。制御装置24は、架台20が始点PSに配置されてから移動を開始させる前には、スキャンを実行させないが、スキャン、例えばボリュームスキャンを実行させてもよい。同様に、制御装置24は、架台20が終点PLに到達した後、スキャンを実行させないが、スキャン、例えばボリュームスキャンを実行させてもよい。さらに、制御装置24は、切替点PTではチルト動作の前後でボリュームスキャン実行させるが、ボリュームスキャンに代えてまたは加えてヘリカルスキャンを実行させてもよい。
【0073】
制御装置24は、架台20を一定のヘリカルピッチで移動させると、切替点PTにおいて、投影データに疎密ができて画像が十分に再構成できないことがある。このため、制御装置24は、1直線を1区間としたヘリカルシャトル(シャトルヘリカル、ボリュームヘリカル)を応用した制御を実行する。つまり、1区間においてヘリカルスキャンを実行させた後、終端の切替点PTで架台20を一旦停止させてボリュームスキャンを実行させる。その後、架台20をチルト動作させて、さらにボリュームスキャンを実行させる。
【0074】
ここで、第1区間L11における架台20のヘリカルピッチについて説明する。
図8は、第1区間L11における架台20のヘリカルピッチの変化を示すグラフである。
図8では、第1区間L11の始点を0%位置、第1区間L11の終点を100%位置とし、その間位置をn(0<n<100)%位置として説明する。
図8に示す横軸は、第1区間L11における架台20の位置であり、縦軸は架台20のヘリカルピッチである。
【0075】
架台20の位置が0%位置から架台20が移動を開始し、0%位置の近傍の数%位置までは、ヘリカルピッチは低い値となっている。架台20が0%位置から離れるにつれてヘリカルピッチが増加し、ヘリカルピッチがおおよそ一定となる。その後、架台20の位置が100%位置に近づくと、ヘリカルピッチが低下し、100%の位置で停止する。
【0076】
100%位置においては、制御装置24は、架台20を一旦停止させて、ボリュームスキャンを実行させる。続いて、架台20をチルトさせて第2区間L12のヘリカルスキャンを開始する。第2区間L12においても、同様のヘリカルピッチによってヘリカルスキャンを実行する。第2区間L12におけるヘリカルピッチは、第1区間L11におけるヘリカルピッチと異なっていてもよい。架台20は、第1区間L11の100%位置において、チルト動作をしているときには、スキャンを停止しているが、スキャンを停止することなく実行してもよい。
【0077】
その後、X線CT装置1は、再構成処理を実行する。再構成処理において、再構成処理機能53は、複数の投影データを再構成して再構成画像データを生成する(ステップS107)。再構成処理機能53は、再構成画像データを生成するにあたり、複数の区間のそれぞれについて、区間ごとの投影データを再構成し、最終的に全区間の各ボリュームイメージを繋ぎ合わせる。
【0078】
再構成処理機能53は、連続する区間の投影データを繋ぎ合わせるために、例えば、連続する第1区間L11と第2区間L12における第1ボリュームイメージ及び第2ボリュームイメージにアベレージング処理を実行する。第1ボリュームイメージは、第1区間L11の繋ぎ合せ部分におけるボリュームスキャンによって得られた投影データであり、第2ボリュームイメージは、第2区間L12の繋ぎ合せ部分におけるボリュームスキャンによって得られた投影データである。再構成処理機能53は、アベレージング処理に代えてまたは加えて、スティッチング処理を実行してもよい。こうして、X線CT装置1は、
図5に示す処理を終了する。
【0079】
被検体Pに設定されるスキャン軌道L1が第1区間L11と第2区間L12のような折れ線軌道である場合、各軌道に対する架台20のセットアップ(チルト角など)が異なったり、被検体Pの眼の水晶体への被ばくを考慮したりする必要がある。このため、折れ線軌道に沿ったスキャンを実行する場合には、スキャンを複数回(2回)に分けて第1区間L11と第2区間L12のそれぞれに沿ってスキャンすることがある。
【0080】
折れ線軌道に沿ったスキャンを複数回に分けて実行すると、各スキャン同士の間におけるのりしろ分のビューが必要となることから、のりしろ部分のX線被ばく量が増大することがある。この傾向は、ヘリカルスキャンを実行する場合に特に顕著である。さらに、複数回のスキャンによって得られた投影データを再構成する際に、再構成画像データにおいて時間のずれが大きく発生するため、血管造影検査や位置合わせの際に不利に働くことがある。
【0081】
この点、実施形態のX線CT装置1は、第1区間L11及び第2区間L12を繋いだ折れ線軌道であるスキャン軌道L1を設定し、スキャン軌道L1に沿って1回でスキャンしている。このため、のりしろ部分のX被ばく量の増大を抑制することができる。さらに、投影データの再構成をする際の時間のずれを小さくできるので、血管造影検査や位置合わせの際に不利に働くことを抑制できる。
【0082】
1回のスキャンで被検体Pをスキャンして投影データを再構成するにあたり、第1区間L11と第2区間L12のつなぎ目となる切替点PTの前後において、投影データが不足すると、再構成データの生成が難しくなることある。この点、実施形態のX線CT装置1は、第1区間L11におけるヘリカルスキャン後、及び第2区間L12におけるヘリカルスキャン前の切替点PTにおいて、それぞれボリュームスキャンを実行する。このため、第1区間L11と第2区間L12とののりしろ部分における画像データの不足を抑制することができる。したがって、再構成のデータの生成が難しくならないようにすることができる。
【0083】
実施形態のX線CT装置1では、ウェッジ12やコリメータ13により調整を行ってないが、例えば、ウェッジ12や、コリメータ13としてアクティブコリメータを利用し、スキャンの状態として、ヘリカルスキャン及びボリュームスキャンのいずれかを実行する際に、投影データのうち不要となる部分をカットするようにしてもよい。コリメータ13によって投影データのうち不要となる部分をカットすることにより、X線CT装置を用いた撮影時における被検体Pに対するX線の被ばく量を少なくすることができる。また、各区間におけるヘリカルピッチとX線管11の管電流の少なくとも一方を被検体に対して適した(最適な)ものとすることにより被ばく量を少なくするようにしてもよい。
【0084】
続いて、X線CT装置1を用いて立位の被検体Pをスキャンする例について説明する。
図9A~
図9Cは、臥位の被検体Pをスキャンする際の架台20の移動を説明する図である。この例では、被検体Pは、腰部が屈曲した体形を有しており、スキャン軌道L2は、折れ線軌道であり、被検体Pを正面から見て、被検体Pの足元から腰部までにおける中心を結んだ下半身ラインと、腰部から頭部までの中心を結んだ上半身ラインとを組み合わせた切替点で傾きが変化する1本のラインである。
【0085】
図9Aに示すように、架台20は、被検体Pにおけるスキャン軌道L2の始点PSが焦点位置となるように配置される。このとき、架台20における中央開口19が設けられた面が第1区間L21に対して直交するように架台20が配置される。続いて、架台20は、焦点位置がスキャン軌道L2における第1区間L21上を上昇移動する。この間、制御装置24は、ヘリカルスキャンを実行させる。
【0086】
やがて、
図9Bに示すように、架台20の焦点位置が切替点PTに到達したときに架台20は停止し、制御装置24は、ボリュームスキャンを実行させる。制御装置24がボリュームスキャンを実行させた後、架台20は、チルト動作して、架台20における中央開口19が設けられた面が第2区間L22に対して直交するように架台20が配置され架台20の向きが切り替えられる。この間、制御装置24は、スキャンを停止させる。
【0087】
架台20のチルト動作が終了したら、制御装置24は、再びボリュームスキャンを実行させる。制御装置24がボリュームスキャンを実行させた後、架台20は、
図9Cに示すように、焦点位置がスキャン軌道L2における第2区間L22上を移動して終点PLに到達するまで上昇移動する。この間、制御装置24は、ヘリカルスキャンを実行させる。X線CT装置1は、このように、立位の被検体Pに対しても、スキャンを実行することができる。
【0088】
続いて、X線CT装置1を用いて馬Hをスキャンする例について説明する。
図10A~
図10Cは、馬Hをスキャンする際の架台20の移動を説明する図である。この例では、馬Hの頭部をスキャンする。スキャン軌道L3は、折れ線軌道であり、馬Hを側方から見て、頭部の中心を結んだ頭部ラインと、首部中心を結んだ首部ラインとを組み合わせた切替点で傾きが変化する1本のラインである。
【0089】
図10Aに示すように、架台20は、被検体Pにおけるスキャン軌道L3の始点PSが焦点位置となるように配置される。このとき、架台20における中央開口19が設けられた面が第1区間L31に対して直交するように架台20が配置される。続いて、架台20は、焦点位置がスキャン軌道L3における第1区間L31上を移動する。この間、制御装置24は、ヘリカルスキャンを実行させる。
【0090】
やがて、
図10Bに示すように、架台20の焦点位置が切替点PTに到達したときに架台20は停止し、制御装置24は、ボリュームスキャンを実行させる。制御装置24がボリュームスキャンを実行させた後、架台20は、チルト動作して、架台20における中央開口19が設けられた面が第2区間L32に対して直交するように架台20が配置され架台20の向き方向が切り替えられる。この間、制御装置24は、スキャンを停止させる。
【0091】
架台20のチルト動作が終了したら、制御装置24は、再びボリュームスキャンを実行させる。制御装置24がボリュームスキャンを実行させた後、架台20は、
図10Cに示すように、焦点位置がスキャン軌道L3における第2区間L32上を移動して終点PLに到達するまで移動する。この間、制御装置24は、ヘリカルスキャンを実行させる。X線CT装置1は、このように、馬Hなどのヒト以外の撮像体に対しても、スキャンを実行することができる。
【0092】
上記の実施形態のX線CT装置1においては、軌道設定機能55は、操作者が入力インターフェース43を操作するいわば手入力によって出力された入力操作の電気信号に基づいてスキャン軌道を設定するが、操作の入力操作によらずにスキャン軌道を設定してもよい。例えば、軌道設定機能55は、被検体Pを撮像したスキャノ画像や外部カメラによる外形画像を取得し、取得した外形画像に基づいて、被検体Pの代表位置の中軸、例えば、被検体Pの脚部、首部、及び頭部の厚さ方向の中心点を自動的に求めて、その中心点のうちの2点を繋いでスキャン軌道としてもよいし、被検体Pの全身ライン及びOMラインを取得している場合には、全身ライン及びOMラインをそのままスキャン軌道としてもよい。この場合の軌道設定機能55は取得部の一例である。
【0093】
上記の実施形態のX線CT装置1では、入力インターフェース43を操作者が操作することによってスキャン軌道が設定されるが、入力インターフェース43を操作することによって設定したスキャン軌道を修正できるようにしてもよい。この場合、軌道設定機能55は、例えば、ディスプレイ42に被検体P及びスキャン軌道を表示させ、スキャン軌道の第1区間L11または第2区間L12の始点または終点を指定してスキャン軌道を修正できるようにしてもよい。入力インターフェース43を操作者が操作することによってスキャン軌道が設定される際に、軌道設定機能55は、ディスプレイ42における被検体画像G1に、スキャン軌道候補を予め表示させておいてもよい。この場合のスキャン軌道候補は、例えば、スキャン軌道全域を表示しておいてもよいし、スキャン軌道候補の起点、切替点、終点を表示しておいてもよい。スキャン軌道候補は、例えば、被検体Pの代表位置の中軸としてよい。
【0094】
上記の実施形態のX線CT装置1において、軌道設定機能55は、被検体Pについては、スキャノ画像をディスプレイ42に表示させるが、被検体Pの他の画像、例えば、汎用の外部カメラによって撮像された被検体Pの外形画像を表示させるようにしてもよい。この場合の外部カメラは、例えば、架台20に設けてもよいし、架台装置10の支持柱103やスライダ105などに設けてもよい。外部カメラで被検体Pを撮像するにあたり、外部カメラは、被検体Pをどの方向から撮像してもよく、例えば、被検体Pを側方から撮像してもよい。
【0095】
上記の実施形態のX線CT装置1では、架台20と被検体Pとを相対的に移動させるにあたり、架台20を移動させるが、架台20を移動させる形態に代えて、寝台装置30における例えば天板33を移動させてもよい。あるいは、架台20と天板33の双方を移動させてもよい。
【0096】
上記の実施形態のX線CT装置1において、軌道設定機能55は、スキャン軌道L1を第1区間L11と第2区間L12の2区間に設定しているが、3以上の区間に設定してもよい。さらに、スキャン軌道L1の各区間は、直線状とするのが好ましいが、状況等に応じて、曲線部分を有する形状な度、直線状以外の形状としてもよい。特に、脊柱や心臓などにおいては、ピンポイントでチルト角を変更するような多数の区間を有するスキャン軌道を設定してもよい。
【0097】
なお、
図8のグラフで示すように、現実には切替点PTから第二区間L12に沿って架台20を移動させる際に、移動を開始してからヘリカルスキャンを行うための所定の等速移動状態に至るまでに時間がかかり、当該期間で再構成画像の画質に影響が出る可能性がある。そこで、別の実施形態では切替点PT付近の前後でスキャン軌道L1に沿った複数の異なる位置でボリュームキャンを取ることとしてもよい。あるいは、第一区間L11の終点PTを通過するまでは当該等速移動状態を維持してヘリカルスキャンを継続させてもよい。この場合、架台20を停止させるための時間がかかるため、架台20は切替点PTよりもさらに先、言い換えれば第一区間L11の線分を切替点PT側に延長した位置までの制動距離分、架台20が移動することになる。そのため、上述のボリュームスキャンあるいは第二区間L12のヘリカルスキャンのために、当該制動距離分、架台20を切替点PT付近まで戻す移動をさせる必要がある。当該戻す移動の後に、先述の切替点PT付近でのボリュームスキャンが必要に応じて行われることとなる。同様に、第二区間L12のヘリカルスキャンで、切替点PTから架台20を動かし始めるとすると所定の等速移動状態に至るまでに時間がかかってしまう。そこで架台20を第二区間L12の軌道に沿った線分を切替点PT側に所定距離延長した位置まで架台20を移動させることで助走期間を設け、当該所定距離延長した位置から移動を開始させることで、切替点PT付近で当該所定の等速移動状態を実現することができる。これにより切替点PT付近で適切な再構成画像を得ることができる。これら制動距離を考慮した架台20の移動制御は、第二区間L12における終点PL付近での制御にも適用することができるし、また上述の助走期間を考慮した架台20の移動制御は、第一区間L11における始点PS付近での制御にも適用することができるが、終点PL、始点PSの各点を当該助走期間、制動距離を予め考慮して指定しておけば、追加で行うことは要しない。また、切替点PT付近での助走期間、制動距離の制御は、必要に応じて行われることとすればよく、また切替点PT付近で行われるボリュームスキャンがカバーする範囲の大きさによっても、必要となくなる場合がある。
【0098】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、X線を照射する照射部及び被検体を通過したX線を検出する検出部を含む架台と、前記架台と前記被検体とを相対的に移動させる駆動部と、前記駆動部を制御して、第1区間と、前記第1区間と隣り合い。前記第1区間と延在方向が異なる第2区間と、を少なくとも備える予め定められた折れ線軌道に沿って、前記第1区間に続いて前記第2区間を経るように前記架台と前記被検体とを相対的に移動させるとともに、前記照射部が照射した前記X線を前記検出部に検出させて、前記被検体をスキャンさせる制御部と、を持つことにより、X線CT装置を用いた撮影時におけるX線の被ばく量の増大を抑制するとともに、位置合わせなどを容易に実行できるようにすることができる。
【0099】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
1…X線CT装置、10…架台装置、11…X線管、12…ウェッジ、13…コリメータ、15…X線検出器、16…DAS、17…回転フレーム、18…カバー、19…中央開口、20…架台、22…架台駆動装置、24…制御装置、30…寝台装置、31…基台、32…寝台駆動装置、33…天板、34…支持フレーム、40…コンソール装置、42…ディスプレイ、43…入力インターフェース、50…処理回路、51…制御機能、52…前処理機能、53…再構成処理機能、54…画像処理機能、55…軌道設定機能、101…ベース、102…水平移動装置、103…支持柱、104…レール、105…スライダ、106…チルト機構、G1…被検体画像、G2…メッセージ画像、G3…決定画像、GP…ポインタ画像、H…馬、L1~L3…スキャン軌道、L11~L31…第1区間、L12~L32…第2区間、P…被検体、PL…終点、PS…始点、PT…切替点