(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】印刷システム、サーバ、サーバの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G06F3/12 303
G06F3/12 385
G06F3/12 359
G06F3/12 371
(21)【出願番号】P 2020177846
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保田 晃宏
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-041033(JP,A)
【文献】特開2010-061401(JP,A)
【文献】特開2009-107217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報処理装置及び第2の情報処理装置にネットワークを介して接続されるサーバを備える印刷システムであって、
前記第2の情報処理装置からファイルの印刷要求を受信する受信手段と、
前記第2の情報処理装置に関連付けられたユーザが前記ファイルを印刷する権限を有するか否かを判断する判断手段と、を有し、
前記ユーザが前記権限を有していないと前記判断手段が判断した場合、前記権限を付与するか否かの確認を要求する第1の通知を前記第1の情報処理装置に送信し、
前記第1の通知に対する応答として、前記権限を付与する旨を前記第1の情報処理装置から受信した場合、前記サーバに接続された印刷装置からの前記ファイルの印刷を許可
し、
前記ファイルが印刷されたことを示す第2の通知を前記第2の情報処理装置に送信する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷装置は、前記第2の情報処理装置において前記ファイルの出力先として指定された印刷装置である
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
複数の前記第2の情報処理装置が接続され、
前記印刷要求を送信した前記第2の情報処理装置ごとに前記権限を付与するか否かの確認を要求する前記第1の通知を前記第1の情報処理装置に送信し、
前記第1の通知に対する応答として、前記権限を付与された前記第2の情報処理装置において前記ファイルの出力先として指定された前記印刷装置からの前記ファイルの印刷を許可する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記応答として、前記権限を付与する旨を前記第1の情報処理装置から受信した場合、前記第1の情報処理装置に関連付けられた第1のユーザに関する情報を前記第1の情報処理装置に要求する
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記応答として、前記権限を付与しない旨を前記第1の情報処理装置から受信した場合、前記ファイルの印刷が拒否されたことを示す第3の通知を前記第2の情報処理装置に送信する
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記ファイルを保存しているストレージを備え、前記応答として、前記権限を付与する旨を前記第1の情報処理装置から受信した場合、前記ファイルを前記ストレージから取得する
ことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記ユーザが前記権限を有していると前記判断手段が判断した場合、前記サーバに接続された印刷装置からの前記ファイルの印刷を許可する
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項8】
第1の情報処理装置及び第2の情報処理装置にネットワークを介して接続されるサーバであって、
前記第2の情報処理装置からファイルの印刷要求を受信する受信手段と、
前記第2の情報処理装置に関連付けられたユーザが前記ファイルを印刷する権限を有するか否かを判断する判断手段と、を有し、
前記ユーザが前記権限を有していないと前記判断手段が判断した場合、前記権限を付与するか否かの確認を要求する第1の通知を前記第1の情報処理装置に送信し、
前記第1の通知に対する応答として、前記権限を付与する旨を前記第1の情報処理装置から受信した場合、前記サーバに接続された印刷装置からの前記ファイルの印刷を許可
し、
前記ファイルが印刷されたことを示す第2の通知を前記第2の情報処理装置に送信する
ことを特徴とするサーバ。
【請求項9】
第1の情報処理装置及び第2の情報処理装置にネットワークを介して接続されるサーバの制御方法であって、
前記第2の情報処理装置からファイルの印刷要求を受信する受信工程と、
前記第2の情報処理装置に関連付けられたユーザが前記ファイルを印刷する権限を有するか否かを判断する判断工程と、
前記ユーザが前記権限を有していないと判断した場合、前記権限を付与するか否かの確認を要求する第1の通知を前記第1の情報処理装置に送信する工程と、
前記第1の通知に対する応答として、前記権限を付与する旨を前記第1の情報処理装置から受信した場合、前記サーバに接続された印刷装置からの前記ファイルの印刷を許可する工程と、
前記ファイルが印刷されたことを示す第2の通知を前記第2の情報処理装置に送信する工程と、を有する
ことを特徴とするサーバの制御方法。
【請求項10】
請求項
9のサーバの制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、サーバ、サーバの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレワークや在宅勤務の普及により、自宅やサテライトオフィスから業務を行う勤務体系が主流となりつつある。そのような働き方の変化に対応したニーズの高まりにより、Microsoft Teams(登録商標)やSlack(登録商標)のようなビジネスチャットやZoom(登録商標)のようなWeb会議システムが台頭している。ビジネスチャットやWeb会議システムは、クラウド上のサービスを利用することで、端末やOS(オペレーションシステム)に依ることなく利用することができる。また、資料の共有や編集、クラウドストレージや他のアプリとの連携を行うことができ、ビジネスチャット上で業務を完結させることができるため、ニーズが増加している。
一方、画像形成装置においてもあらゆる場所でのプリントが求められ、自宅やサテライトオフィスにおける印刷のユースケースが増加し、それを実現可能なクラウドプリントシステムにも注目が集まっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
近年のクラウドプリントサービスでは、ビジネスチャットやWeb会議システムにおいて、Botや印刷プラグインシステム(AzureやAWS)を用いてクラウドプリントシステムからジョブを印刷することが行われている。また、ビジネスチャットのアカウントとクラウドプリントシステムのアカウントを紐付けして管理したりするサービスを用いることも行われている。
これにより、ビジネスチャットやWeb会議システム上のファイルやそれに紐づくクラウドストレージ上のファイルをチャット中やドライバーを介さずに印刷することが可能となっている。更に、Web会議中の発表者や聴講者は、Web会議中であっても任意の画像形成装置からファイルを印刷することも可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、Web会議システムによる会議中に、発表者が聴講者に対して資料を共有させ、それを聴講者がクラウドプリントを用いて印刷する場合がある。
しかし、共有された資料に対して発表者がアクセス制限をかけている場合、聴講者は資料に対するアクセス権がないため、資料を印刷することができない。また、聴講者は資料に対するアクセス制限を解除してもらう場合は、発表者に一度発表を中断してもらう必要があるため、非常に手間である。
更に、利用するWeb会議システムによっては、ある特定の聴講者にのみアクセスを許可するといった機能が存在しないため、特定の聴講者に対して印刷を許可できないケースも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の情報処理装置及び第2の情報処理装置にネットワークを介して接続されるサーバを備える印刷システムであって、前記第2の情報処理装置からファイルの印刷要求を受信する受信手段と、前記第2の情報処理装置に関連付けられたユーザが前記ファイルを印刷する権限を有するか否かを判断する判断手段と、を有し、前記ユーザが前記権限を有していないと前記判断手段が判断した場合、前記権限を付与するか否かの確認を要求する第1の通知を前記第1の情報処理装置に送信し、前記第1の通知に対する応答として、前記権限を付与する旨を前記第1の情報処理装置から受信した場合、前記サーバに接続された印刷装置からの前記ファイルの印刷を許可し、前記ファイルが印刷されたことを示す第2の通知を前記第2の情報処理装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、資料に対するアクセス権を付与されていないユーザであっても、アクセス権が付与されたことに応じて、資料の印刷を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】クライアントコンピュータのハードウェア構成図
【
図8】ユーザBが資料を印刷する際の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための各実施形態について説明する。
ただし、以下に説明する各実施形態はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。また、以下の各実施形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態のWeb会議における印刷システム10の環境を簡略に図示したネットワーク構成図である。
ネットワーク300は、インターネットのような外部と通信するためのネットワークである。ネットワーク300は、クライアントコンピュータ100と、Web会議サーバ600と、クラウドストレージサーバ700と、印刷プラグインサーバ500と、クラウドプリントサーバ400と、プリンタ200とを、接続可能としている。
【0011】
クラウドプリントサーバ400は、複数のサーバからなるサーバシステムであるクラウド上(すなわち、サーバシステム上)に構築されるインターネット上のクラウドプリントサービスを提供する。クラウドプリントサーバ400は、ネットワーク300を通じて、クライアントコンピュータ100、プリンタ200、印刷プラグインサーバ500との接続が可能である。クラウドプリントサーバ400は、ユーザIDとパスワードからなるアカウント情報を利用したアカウント管理をしており、ユーザはこのアカウント情報を利用してクラウドプリントサービス群にアクセスすることができる。同様に、印刷プラグインサーバ500にもクラウドプリントサーバ400にアクセスするためのユーザのアカウント情報が格納されている。
【0012】
Web会議サーバ600は、クライアントコンピュータ100からアプリやブラウザを用いて接続することのできる複数のサーバからなるクラウド上(すなわち、サーバシステム上)に構築されるインターネット上のクラウドサービスを提供する。Web会議サーバ600は、様々な端末から同時にアクセスすることで、通話したり、ファイルをアップロードすることでそのファイルをユーザ間で共有したりすることができるサービスを提供することができる。Web会議サーバ600は、テナントやワークスペースと呼ばれるクラウドサーバ上のスペースに、グループやアカウントごとにファイルやアカウント情報を保存することができる。
【0013】
印刷プラグインサーバ500は、Web会議サーバ600とクラウドプリントサーバ400を仲介するクラウドサービスを提供し、API(Application Programming Interface)を通じてWeb会議サーバ600から印刷要求やファイル取得を行う。印刷プラグインサーバ500は、取得したファイルを一時的に保存するためのファイルストレージや、プリントサーバ400にアクセスするためのログイン情報を保存しているアカウント情報データベースを備えている。
【0014】
クラウドストレージサーバ700は、クラウド上に存在するファイルストレージサービスを提供する。クラウドストレージサーバ700は、Web会議サーバ600や印刷プラグインサーバ500と連携することで、ストレージ上にあるファイルをダウンロードさせたり、URLを参照させたり、APIを通じてファイルのアクセスを制御したりすることができる。
【0015】
クライアントコンピュータ100は、PC(Personal Computer)などからなる情報処理装置である。クライアントコンピュータ100は、例えば、ユーザの自宅やサテライトオフィスなどに設置される。
図1では、2台のクライアントコンピュータ(100Aと100B)が図示されている。本実施形態では、後述するように、クライアントコンピュータ100AはユーザAに関連付けられ、クライアントコンピュータ100BはユーザBに関連付けられている。具体的には、クライアントコンピュータ100AはWeb会議における発表者であるユーザAにより操作され、クライアントコンピューを100BはWeb会議における聴講者であるユーザBにより操作される。ただし、クライアントコンピュータ100A及び100Bについて、それぞれ複数の台数が接続されていてもよい。
【0016】
プリンタ200は、例えば、MFP(Multifunctional Peripheral)などからなる画像形成装置である。プリンタは、各ユーザが印刷物を取得できるように、複数台が、それぞれ各クライアントコンピュータ100の近傍に設置されていてもよい。本実施形態では、プリンタ200は、例えば、聴講者であるユーザの自宅やサテライトにあるクライアントコンピュータ100Bの近傍に設置されるが、他の場所に設置されてもよい。
【0017】
図2は、本実施形態のクライアントコンピュータ100として用いられる情報処理装置のハードウェア構成図の一例である。なお、特に断らない限り、本実施形態の機能が実行されるのであれば、単体の機能であっても、複数の機器からなるシステムであっても、ネットワークを介して接続がなされて処理が行われるシステムであっても、適用できる。クライアントコンピュータ100は、
図2で示されるハードウェアで構成されている。
【0018】
CPU(Central Processing Unit)101は、主記憶装置102のROM(Read Only Memory)1021、RAM(Random Access Memory)1022、又は補助記憶装置105に格納されたプログラムに従って、装置全体の制御を行う。
RAM1022は、CPU101が各種処理を行う際のワークエリアとしても使用される。補助記憶装置105は、アプリケーション1051、オペレーティングシステム(OS)1052などを記録する。本実施形態において、Web会議サーバ600に入力するためのインターフェース(I/F)であるWeb会議アプリは、アプリケーション1051に格納されている。なお、主記憶装置102と補助記憶装置105とを合わせて、記憶装置と呼ぶこともある。
【0019】
マウスやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイス109やキーボード108などの入力機器は、ユーザがコンピュータに対して各種指示を与えるためのデバイスである。これらの入力機器は、入力I/F103を通じて、CPU101などに接続される。
出力I/F104は、データを外部に出力するためのインターフェースであり、モニター110のような出力機器に対してデータを出力する。
【0020】
図3は、本実施形態におけるプリンタ200として用いられる画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
CPU211を含む制御部201は、プリンタ200全体の動作を制御する。CPU211は、ROM212又はストレージ214に記憶された制御プログラムを読み出して、印刷制御や読取制御などの各種制御を行う。
【0021】
ROM212は、CPU211で実行可能な制御プログラムを格納する。RAM213は、CPU211の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種制御プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。ストレージ214は、印刷データ、画像データ、各種プログラム、及び各種設定情報を記憶する。本実施形態では、ストレージ214としてHDD(Hard Disk Drive)などの補助記憶装置を想定しているが、HDDの代わりにSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを用いるようにしても良い。このように、CPU211、ROM212、RAM213などのハードウェアは、いわゆるコンピュータを構成している。
【0022】
処理部215は、ネットワーク300を介して受信した印刷データを展開し印刷画像を生成するRIP(Raster Image Processor)の機能を備えている。また、処理部215は、画像処理部としての機能を有し、画像の解像度変換や補正処理を行うこともできる。なお、本実施形態では、画像処理部はハードウェア回路(ASIC又はFPGAなど)で実現されることを想定しているが、これに限定されるものではない。例えば、プリンタ200が画像処理用途向けのプロセッサを備え、当該プロセッサが画像処理プログラムを実行することにより、画像処理や印刷データの展開処理を実現してもよい。更に、画像処理を行うためのプログラムをCPU211が実行し、画像処理や印刷データの展開処理を行うように構成することもできる。また、これらのいずれかの組み合わせにより画像処理を行うようにしてもよい。
【0023】
操作部I/F216は、操作部202と制御部201とを接続する。
操作部202は、タッチパネル機能を有する液晶表示部や各種ハードキーなどを備える。操作部202は、情報を表示する表示部やユーザの指示を受け付ける受付部や、原稿を読み取って読取画像を生成する読取部として機能する。
なお、読み取られた画像データは、ストレージ214又はRAM213に格納されるものとする。また、処理部215によって印刷データを解析して生成された印刷データは、操作部I/F216を介して制御部201から操作部202内の印刷部(不図示)に転送される。そして、操作部202は制御部201を介して制御コマンド及び印刷データを受信し、当該印刷データに基づいて給紙カセット(不図示)から給送されたシートに画像を印刷する。
【0024】
また、制御部201は、通信部I/F217を介してネットワーク300に接続される。通信部I/F217は、ネットワーク300上の通信装置に画像データや情報を送信したり、ネットワーク300上の通信装置から画像データや情報を受信したりする。
【0025】
図4は、本実施形態におけるクラウドプリントサーバ400の機能ブロック図である。
クラウドプリントサーバ400は、ネットワーク300を通じたクラウド上に存在するサービスであり、印刷に関連する機能を提供する。クラウドプリントサーバ400は、プリンタ登録部401、印刷キュー生成部402、プリンタリスト生成部403、探索応答部404、プリンタデータベース410の機能を有する。さらに、印刷ジョブ管理部405、印刷ジョブ生成部406、印刷ジョブ保存領域411の機能を有する。なお、これらの機能は、クラウドプリントサーバ400と連携する別のクラウドプリントサーバに備えられても構わない。
【0026】
プリンタ登録部401は、プリンタ200から登録の指示があった場合、印刷キュー生成部402を利用して印刷キューを生成させ、生成された印刷キューをプリンタ識別情報と紐づけてプリンタデータベース410に登録する。
ここで、プリンタ識別情報について説明する。本実施形態では、プリンタ識別情報は、ベンダーが各プリンタに対して割り当てているUUID(Universally Unique Identifier)のような識別子であることを想定している。しかし、プリンタ識別情報はこれに限られるものではなく、機種情報、ベンダー情報、カラー/モノクロなどプリンタに関する基本的な機能であっても良い。本実施形態では、プリンタの印刷キューとプリンタ識別情報とが紐づけて登録されていることを、プリンタが登録されている状態とする。ここで登録されたプリンタに対しては、様々な属性が付加される場合がある。付加される属性としては、例えば、プリンタの所在地や、登録されているプリンタにアクセス権を有するユーザのアカウント情報などがある。
【0027】
プリンタリスト生成部403は、登録されたプリンタのリストを生成する。
探索応答部404は、クライアントコンピュータ100からのクラウドプリントサーバ400へのプリンタ探索の要求に対応して、登録されているプリンタの情報を応答する。
【0028】
印刷ジョブ管理部405は、クライアントコンピュータ100や印刷プラグインサーバ500などから印刷ジョブを受信し、状況に応じてプリンタ200に直接印刷ジョブを送信する。または、受信した印刷ジョブを印刷ジョブ保存領域411に一旦保存して、出力先のプリンタが決定したタイミングで印刷ジョブ生成部406に渡して、適切な形式に変換してプリンタ200に送信する。
【0029】
図5は、本実施形態における印刷プラグインサーバ500の機能ブロック図である。
印刷プラグインサーバ500は、アプリケーション上のWeb会議サーバ600から指示を受けたり、結果を返してWeb会議上で表示したりする。印刷プラグインサーバ500は、ユーザがWeb会議上の会議中であっても、Web会議サーバ600を通してユーザから指示を受けることができる。
【0030】
印刷ジョブストレージ510は、ユーザがクライアントコンピュータ100を操作することにより指定された印刷対象となる資料(ファイル)を格納するための記憶装置である。通信部520は、ネットワーク通信を行うためのモジュールである。処理部530は、クライアントコンピュータ100から送信されてきた画像データや指示の処理や、クラウドプリントサーバ400へ印刷ジョブを送信するためのモジュールである。プリントサービス540は、印刷設定の変更を保持したり、印刷ジョブと印刷設定とを関連付けたりする、プリントに関するモジュール群である。アカウント情報データベース550は、ジョブ管理と認証情報として必要なユーザのアカウント情報を格納する。
【0031】
図6は、本実施形態におけるWeb会議サーバ600の機能ブロック図である。
Web会議サーバ600は、ファイルストレージ610、Web会議制御部620などを有する。ファイルストレージ610は、クライアントコンピュータ100のアプリケーション1051に格納されているWeb会議アプリから送信されてくる資料の画像データを記憶する。
【0032】
Web会議制御部620は、Web会議進行を制御する。例えば、印刷プラグインサーバ500の通信部520を介して、プリントサービス540へメッセージの受信イベントの送信や、印刷プラグインサーバ500から受信した画像データのファイルストレージ610への保存などの処理を行う。
また、Web会議制御部620は、様々なアプリと連携するためのモジュールとして機能する。本実施形態では、印刷プラグインサーバ500からのリクエストに基づいて、アプリケーション1051へメッセージを送信したり、クラウドストレージサーバ700と連携してファイルを共有したりすることができる。また、Web会議制御部620は、複数のクライアントコンピュータ100間でメッセージのやり取りを行う場合には、メッセージの中継やファイル共有の処理を行う。
【0033】
処理部630は、Web会議サーバ600の動作を全体的に制御する。
通信部640は、クライアントコンピュータ100からの印刷要求を受信し、それに応じて他のクライアントコンピュータ100に印刷の許可を確認するメッセージを送信する。また、印刷が許可された場合には、印刷が実行されたことをクライアントコンピュータ100に通知し、印刷が許可されなかった場合には、印刷が拒否されたことをクライアントコンピュータ100に通知する。
【0034】
図7は、本実施形態におけるクラウドストレージサーバ700の機能ブロック図である。
クラウドストレージサーバ700は、ファイルストレージ710、クラウドストレージサービス740などを有する。ファイルストレージ710は、ファイルを格納できるクラウドストレージである。また、ファイルストレージ710は、個々のユーザによって管理される。つまり、Web会議サーバ600のファイルストレージ610はテナントを管理する管理者によって管理されるが、クラウドストレージサーバ700のファイルストレージ710はサービスを利用する個々のユーザが管理者となる。
【0035】
クラウドストレージサービス740は、他のアプリと連携するためのサービスや認証サービスを含む様々なサービスを展開するためのモジュールである。ファイルストレージ710とクラウドストレージサービス740は、処理部730によって制御され、通信部720によって外部との通信を行う。
【0036】
図8は、本実施形態において、聴講者であるユーザがWeb会議で使用する資料(ファイル)を印刷する際の処理を示すフローチャートである。なお、
図8のフローチャートでは、Web会議における発表者を「ユーザA」とし、ユーザAの使用する端末をクライアントコンピュータ100Aとする。また、Web会議における聴講者を「ユーザB」とし、ユーザBの使用する端末をクライアントコンピュータ100Bとする。
【0037】
図8のフローチャートにおいて、まず、ステップS801では、Web会議サーバ600は、ユーザBによって操作されるクライアントコンピュータ100Bに、
図9A(1)で示すような操作画面900を表示させる。ここで、操作画面900中の発表資料一覧901の中からユーザBが任意の資料を選択し、Printボタン902を押下すると、クライアントコンピュータ100BのWeb会議アプリは、ユーザBのユーザ情報とともに、資料の印刷要求をWeb会議サーバ600に通知する。その後、ステップS802に移行する。
ここで、発表資料一覧901は、発表者であるユーザAがクライアントコンピュータ100AのWeb会議アプリを介してWeb会議サーバ600のファイルストレージ610又は連動するクラウドストレージサーバ700のファイルストレージ710に格納した全ての会議資料のリストを示している。
【0038】
ステップS802において、Web会議サーバ600は、通信部640を介してステップS800においてクライアントコンピュータ100BのWeb会議アプリから通知された印刷要求を受信する。その後、ステップS803に移行する。
【0039】
ステップS803において、Web会議サーバ600は、ステップS802で受信したクライアントコンピュータ100Bからの印刷要求において指定された資料に対して、ユーザBがアクセス権を有しているか否かを確認する。なお、ここで、資料に対してアクセス権を有するとは、Web会議において資料を印刷する権限を有することをいう。
【0040】
ステップS803における確認の結果、ステップS802においてWeb会議サーバ600が受信した印刷要求が指定する資料にユーザBがアクセス権を有する場合には、ステップS804に移行する。それ以外の場合には、ステップS806に移行する。
【0041】
ステップS804において、Web会議サーバ600は、印刷プラグインサーバ500のプリントサービス540に対して印刷要求を送信する。そして、印刷プラグインサーバ500は、Web会議制御部620からの印刷要求に基づいて、プリントサービス540を通して、指定された資料をクラウドストレージサーバ700からダウンロードする。
【0042】
ここで、指定された資料がファイルとして特定されている場合は、印刷プラグインサーバ500はそのファイルをクラウドストレージサーバ700のファイルストレージ710から取得する。また、指定された資料がURLとして特定されている場合は、そのURLを送信してもらい、それに基づいて、クラウドストレージサーバ700のクラウドストレージサービス740にあるAPIを使用したり、Web会議サーバ600のWeb会議制御部620を介してクラウドストレージサーバ700にアクセスしたりして取得する。
そして、Web会議サーバ600は、印刷プラグインサーバ500を通して、クラウドプリントサーバ400内にあるユーザBの印刷キューに対して印刷ジョブの送信処理を行う。その後、ステップS805に移行する。
【0043】
ステップS805において、Web会議サーバ600は、クライアントコンピュータ100B上に印刷設定用のUI(User Interface)を表示させる。印刷設定用のUIにおいてユーザBがクラウドプリントサーバ400に接続されているプリンタ200を出力先として指定して印刷実行を指示すると、ステップS804においてクラウドプリントサーバ400に送信された印刷ジョブがプリンタ200から出力される。そして、Web会議サーバ600は、ユーザBのクライアントコンピュータ100B上に
図9B(2)のような確認画面910を表示させ、印刷が実行されたことをユーザBに通知する。これにより、
図8のフローチャートに示された処理は終了する。
【0044】
一方、ステップS806は、印刷要求において指定された資料にユーザBがアクセス権を有していないと判断された場合である。この場合、Web会議サーバ600は、発表者であるユーザAが操作するクライアントコンピュータ100Aの操作画面900に、
図9A(2)のようなアクセス権の付与を確認するメッセージ903を表示させる。
なお、ここでは、発表者であるユーザAが、前記資料に対するアクセス権を解除する権限を有するとしている。ただし、前記資料に対するアクセス権を解除する権限を有する者としては、発表者以外に、Web会議の主宰者など、他の者であってもよい。
その後、ステップS807に移行する。
【0045】
ステップS807において、Web会議サーバ600は、クライアントコンピュータ100A上に表示された操作画面900において、メッセージ903に対する応答として、ユーザBのアクセス権がユーザAにより付与されたか否かを判断する。
アクセス権が付与された場合には、ステップS808に移行する。それ以外の場合には、ステップS809に移行する。
【0046】
ステップS808において、印刷プラグインサーバ500は、アカウント情報データベース550に格納されているユーザAのアカウント情報を用いて、印刷要求において指定された資料をクラウドストレージサーバ700のファイルストレージ710から取得する。
なお、アカウント情報データベース550に、ユーザAのアカウント情報やクラウドストレージサーバ700に対するアクセス権限情報やアクセストークンが格納されていない場合もありうる。この場合、Web会議サーバ600は、クライアントコンピュータ100Aの操作画面900に、
図9A(3)のような、ユーザAのアカウント情報の入力を要求する入力部904を表示させる。入力部904にユーザAのアカウント情報が入力されると、印刷プラグインサーバ500はユーザAのアカウント情報を用いてクラウドストレージサーバ700にアクセスすることが可能となり、印刷要求において指定された資料を取得することが可能となる。
その後、上述したステップS805に移行する。
【0047】
ステップS809は、クライアントコンピュータ100A上に表示された操作画面900において、印刷要求において指定された資料へのアクセス権がユーザAにより付与されなかった場合である。この場合、ユーザBのクライアントコンピュータ100B上に表示される確認画面910に、
図9B(1)のような、印刷が許可されなかった旨のメッセージ911が表示される。これにより、
図8のフローチャートに示された処理は終了する。
【0048】
なお、
図8のフローチャートでは、聴講者であるユーザはユーザBの1人のみである場合について説明した。しかし、聴講者であるユーザBは複数であっても構わない。この場合、聴講者である複数のユーザBのうち、2人以上から資料の印刷要求がなされることが想定されるが、発表者であるユーザAは、印刷要求を送信したユーザごとにアクセス権を付与するか否かを判断してもよい。これにより、印刷要求の送信したユーザのうち、アクセス権を付与されたユーザが指定したプリンタ200からのみ、資料の印刷が許可される。
【0049】
本実施形態によれば、以上のとおり、Web会議において、資料に対するアクセス権を付与されていないユーザであっても、発表者であるユーザの許可があった場合、会議を中断することなく、資料の印刷を実行することができる。
【0050】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。すなわち、上述した構成例及びその変形例を組み合わせた構成もすべて本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
100A クライアントコンピュータ
100B クライアントコンピュータ
200 プリンタ
600 Web会議サーバ
700 クラウドストレージサーバ