(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】釣竿用リールシート、釣竿用ハンドル部材及び釣竿
(51)【国際特許分類】
A01K 87/08 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
A01K87/08 B
A01K87/08 C
(21)【出願番号】P 2020183348
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】川村 拓司
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-276854(JP,A)
【文献】実公昭27-000081(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0255131(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール脚が載置されるリール脚載置部が形成されたリールシート本体と、該リールシート本体に接続されるグリップとが一体成形される釣竿用ハンドル部材であって、釣竿用ハンドル部材は、
内側層と外側層とからなり、該外側層が炭素繊維強化プラスチックにより形成され、
該内側層が樹脂により形成され、
前記
内側層と前記外側層は、前記釣竿用ハンドル部材の長手方向に沿って前記釣竿用ハンドル部材の全長に亘って形成されていることを特徴とする釣竿用ハンドル部材。
【請求項2】
前記釣竿用ハンドル部材は中空に形成される、請求項1に記載の釣竿用ハンドル部材。
【請求項3】
釣竿用竿体の端部が、前記リールシート本体の一方の端部であって、前記グリップとは反対側の端部に取付けられる、請求項1又は請求項2に記載の釣竿用ハンドル部材。
【請求項4】
前記炭素繊維強化プラスチックの炭素繊維が、前記釣竿用ハンドル部材の長手方向に沿って連続に形成されている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の釣竿用ハンドル部材。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の釣竿用ハンドル部材と、竿体とを備えた釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿用リールシート、該リールシートを備える釣竿用ハンドル部材、及びこれらを備えた釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、釣竿用リールシート及びグリップを備えた様々な釣竿が知られている。
【0003】
このような釣竿では、通常、竿体の上に釣竿用リールシートと釣竿用グリップが載置され、該釣竿用リールシートには、本体の上側又は下側にリール脚を載置するためのリール脚載置部が形成される。
【0004】
このような釣竿として、例えば、特許文献1には、所定の筒状体に形成された状態で焼成されて竿体となる竿体用管状体であって、繊維方向を揃えた強化繊維と熱硬化性樹脂とを一体形成した層体と、繊維方向を揃えた強化繊維と熱硬化性樹脂とを一体形成した層体の間に、焼成後においても弾性変形可能な中間層を介在させ、前記中間層に前記二つの層体の一部分の侵入を許容し前記二つの層体を一体化する貫通孔を形成してある竿体用管状体が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、焼成の際の温度上昇時に粘性が低下する熱硬化性の樹脂材と、この樹脂材の粘性が低下する温度より高温、かつ、焼成の温度より低温の温度域で融解するマット状の樹脂材とを重ね合わせて成る層を、芯金に巻付けられたプリプレグの所定部位の最外面、或いは、最内面に形成し焼成して成る管状体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平4-49961号公報
【文献】実開平3-129062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の管状体では、繊維方向を揃えた強化繊維と熱硬化性樹脂とを一体形成した層体と、繊維方向を揃えた強化繊維と熱硬化性樹脂とを一体形成した層体の間に、焼成後においても弾性変形可能な中間層を介在させ、前記中間層に前記二つの層体の一部分の侵入を許容し前記二つの層体を一体化する貫通孔を形成してある竿体用管状体を形成するとしても、成形した竿体に、樹脂枯れや内面表面の繊維ケバやボイドが発生し易く、内面加工性が低下したり、設計目標性能を満たすように成形することが難しいという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示の管状体でも、焼成の際の温度上昇時に粘性が低下する熱硬化性の樹脂材と、この樹脂材の粘性が低下する温度より高温、かつ、焼成の温度より低温の温度域で融解するマット状の樹脂材とを重ね合わせて成る層を、芯金に巻付けられたプリプレグの所定部位の最外面、或いは、最内面に形成し焼成して成る管状体を形成するとしても、成形した竿体に、樹脂枯れや内面表面の繊維ケバやボイドが発生し易く、内面加工性が低下したり、設計目標性能を満たすように成形することが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内面の加工性が高くかつ樹脂枯れ及び内面表面の繊維ケバが発生しにくい、釣竿用リールシート、該リールシートを備える釣竿用ハンドル部材、及びこれらを備えた釣竿を提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材は、リール脚が載置されるリール脚載置部が形成されたリールシート本体と、該リールシート本体に接続されるグリップとが一体成形される釣竿用ハンドル部材であって、釣竿用ハンドル部材は、その外側層が炭素繊維強化プラスチックにより形成され、その内側層が樹脂により形成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材は、中空に形成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材は、釣竿用竿体の端部が、前記リールシート本体の一方の端部であって、前記グリップとは反対側の端部に取付けられるように構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材は、前記炭素繊維強化プラスチックの炭素繊維が、前記釣竿用ハンドル部材の長手方向に沿って連続に形成されている。
【0014】
本発明の一実施形態に係る釣竿は、上記いずれかの釣竿用ハンドルと、竿体とを備えるように構成される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシート本体は、一端に釣竿用竿体が取付けられ、他端に釣竿用グリップが取り付けられるリールシート本体であって、リール脚が載置されるリール脚載置部を備え、全体が一体成形されている。
【発明の効果】
【0016】
上記実施形態によれば、内面の加工性が高くかつ樹脂枯れ及び内面表面の繊維ケバが発生しにくい、釣竿用リールシート、該リールシートを備える釣竿用ハンドル部材、及びこれらを備えた釣竿を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る釣竿を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシートを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材を示す図である。
【
図4】(a)は本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材を示す図、(b)は本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材の断面を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材の成形方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る釣竿の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0019】
図1は、本発明に係る釣竿の一実施形態を示す図である。図示のように、本発明の一実施形態による釣竿1は、竿体2と、竿体2にリールシート9を介して取り付けられたリールRと、竿体2に取り付けられた釣糸ガイド10と、を備える。図示の実施形態においては、リールシート9及び釣糸ガイド10の各々が、竿体の外周面に取り付けられる取付部品に該当する。
【0020】
竿体2は、例えば、元竿3、中竿5、及び穂先竿7等を連結することによって構成されている。これらの各竿体は、例えば、並継ぎ式に継合される。元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、振出方式、逆並継方式、インロー方式、又はこれら以外の公知の任意の継合方式により継合され得る。竿体2は、単一の竿体から構成されていても良い。
【0021】
元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、例えば、繊維強化樹脂製の管状体で構成されている。この繊維強化樹脂製の管状体は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグ(プリプレグシート)を芯金に巻回し、このプリプレグシートを加熱して硬化させることにより作成される。このプリプレグシートに含まれる強化繊維として、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、及びこれら以外の任意の公知の強化繊維を用いることができる。当該プリプレグシートに含まれるマトリクス樹脂として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。プリプレグシートが硬化された後には、芯金が脱芯される。また、管状体の外表面は、適宜研磨される。各竿体は、中実状に構成されてもよい。
【0022】
図示の実施形態において、元竿3、中竿5及び穂先竿7には、リールシート9に装着されるリール6から繰り出される釣糸を案内する複数の釣糸ガイド10(釣糸ガイド10A~10D)が設けられている。より具体的には、元竿3には釣糸ガイド10Aが設けられ、中竿5には釣糸ガイド10Bが設けられ、穂先竿7には釣糸ガイド10Cが設けられている。穂先竿7の先端には、トップガイド10Dが設けられているが、詳細は省略する。
【0023】
次に、
図2を参照して、リールシート本体12及びリールシート9について説明する。
リールシート9は、魚釣用リール6のリール脚6aが載置されるリール脚載置面12aをその軸方向に沿って有するリールシート本体12を備えている。リールシート本体12は、全体として筒状に形成されている。リールシート本体12は、例えば、60-160mmの長さを有するよう構成できるが、これに限られない。
【0024】
また、このリールシート本体12は、リール脚載置面12aの反対側を僅かに膨出させ、握持する手で握り込んだときに、母指球またはその近部を支えることで握持し易い湾曲形状の外面を有する握り部12bを形成してある。
【0025】
リールシート本体12のリール脚載置面12aは、平坦または、リールシート本体12のリール脚載置面12aに隣接する他の周方向の部位(例えば握り部12b)よりも大きな曲率をもって略平坦に形成することができ、かつ、
図2に示すリールシート本体12の軸方向に延びた状態に形成されている。リールシート本体12には、一端(竿元側)に固定フード14が一体的に配設されている。リールシート本体12のリール脚載置面12aの一端は、固定フード14の内部に配設されている。
【0026】
リールシート本体12には、他端(竿先側)に移動フード22が軸方向に移動自在に装着される。該リールシート本体12と該移動フード22を含めてリールシート9と呼ぶことがあるが、詳細は省略する。
【0027】
次に、
図3(及び
図2)を参照して、本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20について説明する。ここで、釣竿用ハンドル部材20とは、既述のリールシート本体12と、該リールシート本体12に隣接して形成されたグリップ4を含むものとする。なお、既述のリールシート9と、該グリップ4を含めて釣竿用ハンドル部材20と呼ぶこともできるが、本実施形態では上記の通り定義する。
【0028】
図示のように、本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20は、リール脚6aが載置されるリール脚載置部12aが形成されたリールシート本体12と、該リールシート本体12に接続されるグリップ4とが一体成形され、当該釣竿用ハンドル部材は、その外側層18が炭素繊維強化プラスチックにより形成され、その内側層17が樹脂により形成される。また、本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20は、中空に形成される。
【0029】
ここで、当該外側層18として、CFRP又はCFRTPを用いることもできるが、これらに限られない。また、当該内側層17として、ABS、アクリル、PEI又はナイロンを用いることができるが、これらに限られない。内側層17に使用する樹脂は、外側層18に含まれる樹脂と親和性のよいものを適宜選択して使用することができる。このようにして、外側層18と内側層17との密着性や接着性を向上させることができる。
【0030】
本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20によれば、内面の加工性が高くかつ樹脂枯れ及び内面表面の繊維ケバが発生しにくいリールシートを備える釣竿用ハンドル部材を提供することが可能となる。
【0031】
次に、
図4a、4bを参照して、本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20において、該釣竿用ハンドル部材は中空に形成される。このようにして、釣竿に与える感度に影響させることなく大幅に重量を低減することが可能となる。
【0032】
本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20において、該釣竿用ハンドル部材20は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により形成されるよう構成される。また、このように、該釣竿用ハンドル部材20の外側層18の材料として、CFRTP(連続繊維)、CFRTP(不連続繊維)又はハイブリッドで形成するようにしてもよい。このような材料で形成することで、釣竿に用いるハンドル部材20として、十分な剛性や強度を確保しつつ重量の増大を抑制することができる。また、該釣竿用ハンドル部材20の外側層18の内側に、内側層17として樹脂材料を用いることができる。このようにして、内面の加工性が高くかつ樹脂枯れ及び内面表面の繊維ケバが発生しにくい該リールシートを備える釣竿用ハンドル部材を形成することが可能となる。
【0033】
より具体的には、外側層18のみの場合、後述するコア部材、成形条件等による成形のバラツキによって、ハンドル部材の樹脂が少なすぎる状態になると、強度に関する物性低下が発生する。例えば、環状部の潰れ強度が低下したり、グリップが曲がり易くなってしまう。これに対して、外側層18の内側に内側層17が存在することにより、繊維に必要な樹脂を供給できることで、物性を安定化することができる(強度の下限を保証できる)。また、内側層17に部品を挿入したり、接着する場合には部品の寸法に合わせて内径の追加工を行う必要が生じ得るが、内側がケバになっていると、加工代が確保できないという問題があるのに対し、本願発明の様に、外側層18の内側に内側層17があることにより、加工代を充分に確保できるため、より柔軟かつ強固な構造を備えたハンドル部材を成形することが可能となる。
【0034】
また、
図4a、4bに示すように、本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20において、釣竿用竿体3の端部13が、該リールシート本体12の一方の端部15であって、該グリップ4とは反対側の端部15に取付けられるよう構成される。このようにすることで、従来の多くの方法とは異なり、竿体を釣竿用ハンドル部材20全体若しくは略全体に通す必要がなくなるため、重量の大幅な低減を図ることができる。
【0035】
本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20において、該リールシート本体12の端部15の長さ(A)は、20-50mmであるよう構成される。このようにすることで、既述の通り、竿体を釣竿用ハンドル部材20全体若しくは略全体に通す必要がなくなるため、重量の大幅な低減を図ることができる。
【0036】
ここで、釣竿用竿体3の端部13の釣竿用ハンドル部材20への取付方法は、例えば、勘合(圧入)、接着又は締結が考えられる、これらに限られない。ここで挙げた取付方法により、竿体とハンドル部材の着脱がより容易となるといった利点がある。
【0037】
次に、
図5を参照して、本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20において、当該釣竿用ハンドル部材は中空に形成されるが、釣竿用竿体3の端部13を、該リールシート本体12の一方の端部15であって、該グリップ4とは反対側の端部15に取付ける領域に周方向リブを備えるようにしてもよい。このようにして、釣竿に与える感度に影響させることなく大幅に重量を低減すると共に、周方向の剛性(つぶれ剛性)を高めることが可能となる。
【0038】
本発明の一実施形態に係る釣竿1は、上記いずれかの釣竿用ハンドル部材20と、竿体3とを備えるように構成される。本発明の一実施形態に係る釣竿1によれば、内面の加工性が高くかつ樹脂枯れ及び内面表面の繊維ケバが発生しにくい釣竿を提供することが可能となる。
【0039】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシート本体12は、一端に釣竿用竿体3が取付けられ、他端に釣竿用グリップ4が取り付けられるリールシート本体12であって、リール脚6aが載置されるリール脚載置部12aを備え、全体が一体成形され、その外側層18が炭素繊維強化プラスチックにより形成され、その内側層17が樹脂により形成される。また、本発明の一実施形態に係るリールシート本体12は、中空に形成される。
【0040】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシート本体12によれば、内面の加工性が高くかつ樹脂枯れ及び内面表面の繊維ケバが発生しにくいリールシート本体12を提供することが可能となる。
【0041】
本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20において、該炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の炭素繊維が、該釣竿用ハンドル部の長手方向に沿って連続に形成されるよう構成される。このようにすることで、曲げ剛性の確保による軽量化や魚の当たりによる竿の振動を手元に敏感に伝えることが可能となる。
【0042】
次に、
図5を参照して、本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20の成形方法について説明する。まず、
図5aに示すように、釣竿用ハンドル部材20の形状や寸法に合わせてコア部材の寸法や形状(例えば、釣竿用ハンドル部材20より0.5-1mm程度内側にオフセットさせる)を決定し、溶解性のあるコア部材を造形する(コア部材の造形)。当該コア部材の造形方法は、射出成形、注型、3Dプリンターによる形成等が考えられるが、これらに限られない。なお、コア部材の表面層は非溶解性の樹脂で覆うようにする。
【0043】
次に、
図5bに示すように、当該コア部材の周りにプリプレグを積層し、プリフォームを形成する。ここで、積層する材料として、樹脂が含侵されていないドライの炭素繊維基材を用いてもよい。
【0044】
そして、
図5cに示すように、当該プリフォームを金型に入れ、加熱・加圧してプレス成形を行う。なお、オートクレーブやRTM成形等でもよいが特定の態様に限定されない。
【0045】
次に、
図5dに示すように、成形品に二次加工を行う(寸法出し・バリ取り)。より具体的には、成形品の前後等余分な箇所や成形時に発生したバリを除去する。
【0046】
次に、
図5eに示すように、二次加工を施した成形品を水や温水等に投入し、成形品の内側にあるコア部材を溶解させる。このようにして、釣竿用ハンドル部材20が形成される。その後、
図5fに示すように、当該釣竿用ハンドル部材20の外表面に適宜塗装や印刷を行う。そして、
図5gに示すように、リールを取付けるための部品等を装着する。最後に、
図5hに示すように、当該釣竿用ハンドル部材20にリールを載置し固定することができる。
【0047】
このようにして、本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20、すなわち、リール脚6aが載置されるリール脚載置部12aが形成されたリールシート本体12と、該リールシート本体12に接続されるグリップ4とが一体成形され、その外側層18が炭素繊維強化プラスチックにより形成され、その内側層17が樹脂により形成された釣竿用ハンドル部材20が形成される。ここで、内側層17は、上述のコア部材の表面層に形成した非溶解性の樹脂が、当該外側層18に密着することで形成される。
【0048】
このようにして形成された本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材20によれば、内面の加工性が高くかつ樹脂枯れ及び内面表面の繊維ケバが発生しにくいリールシートを備える釣竿用ハンドル部材を提供することが可能となる。
【0049】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 釣竿
2 竿体
3 元竿
4 グリップ
5 中竿
6 リール
6a リール脚
7 穂先竿
9 リールシート
10 釣糸ガイド
12 リールシート本体
12a リール脚載置面
13 端部
14 固定フード
15 端部
17 内側層
18 外側層
20 釣竿用ハンドル部材
22 移動フード