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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】荷重検出装置、及び荷重検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/52 20060101AFI20240902BHJP
   G01G 21/23 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G01G19/52 F
G01G21/23
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020184259
(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公開番号】P2022074317
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】大口 進也
(72)【発明者】
【氏名】田中 学
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-223546(JP,A)
【文献】特開2011-056152(JP,A)
【文献】特開2008-065700(JP,A)
【文献】実開昭56-167224(JP,U)
【文献】特開2019-200148(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0107753(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/02
G01G 19/52
G01G 21/23
A61G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドが有するキャスターの下に設置される荷重検出装置であって、
前記キャスターが載置される載置部と、
前記載置部に付加された荷重を検出する荷重検出部と、
前記載置部を囲む環状のガイド板とを備え、
前記ガイド板に、前記キャスターを前記載置部へと案内するスロープと、前記荷重検出装置を移動させるための把手が設けられており、
前記スロープは所定方向において前記載置部に隣設される第1スロープと、前記所定方向に直交する方向において前記載置部に隣設される第2スロープとを含み、
前記環状のガイド板は、周方向に沿って、薄板領域と該薄板領域よりも厚さの大きい厚板領域とを有し、
前記スロープが前記薄板領域に設けられており、前記把手が前記厚板領域に設けられており、
前記ガイド板の前記厚板領域における内周面が、前記キャスターの前記載置部から離脱する移動を規制する停止壁を画定しており、
前記停止壁は、前記所定方向における前記載置部の第1スロープとは反対側と、前記所定方向に直交する方向における前記載置部の第2スロープとは反対側とに設けられている荷重検出装置。
【請求項2】
前記薄板領域と前記厚板領域との間に、前記薄板領域の上面から前記厚板領域の上面に向かって上昇する傾斜面が設けられている請求項に記載の荷重検出装置。
【請求項3】
前記ガイド板は略矩形の外周を有し、
前記把手は、前記略矩形の外周の角部且つ前記厚領域において前記ガイド板の下面に設けられた切欠きと、前記ガイド板の上面と前記切欠きとの間に延びる貫通孔とにより構成されている請求項1又は2に記載の荷重検出装置。
【請求項4】
前記ガイド板において、第1スロープの前記所定方向の幅が、前記載置部を挟んで第1スロープとは反対側に位置する領域の前記所定方向の幅よりも大きい請求項1~のいずれか一項に記載の荷重検出装置。
【請求項5】
前記荷重検出部からの出力を外部に送るためのコネクタであって、配線が着脱可能に接続されるコネクタを更に備え、
前記ガイド板の、前記コネクタの上方の領域にスリットが設けられており
前記ガイド板の上面の前記スリットに隣接する領域を持ち上げることにより前記コネクタが露出される請求項1~のいずれか一項に記載の荷重検出装置。
【請求項6】
前記載置部に、該載置部の上面の液体を該載置部の下側に排出する排出口が設けられている請求項1~のいずれか一項に記載の荷重検出装置。
【請求項7】
ベッドの上の被験者の荷重を検出する荷重検出システムであって、
複数の荷重検出装置と、
前記複数の荷重検出装置に接続され、前記複数の荷重検出装置の出力に基づいて前記被験者の荷重を求める制御部とを備え、
前記複数の荷重検出装置の各々は請求項1~のいずれか一項に記載の荷重検出装置である荷重検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重検出装置、及び荷重検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療や介護の分野において、荷重検出器を用いてベッド上の被験者の荷重を検出し、検出した荷重に基づいて、被験者がベッド上に在床しているか否かの判定(在床判定)や、被験者の生体情報(呼吸数、心拍数等)の取得を行うことが提案されている。
【0003】
特許文献1は、ベッドのキャスターのためのスロープを有する荷重検出器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許5143946号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
病院や介護施設で用いられるベッドには、一般的に、ベッドの移動を補助するためのキャスターが設けられている。しかしながら、ベッドは重量物であるため、キャスターを用いたベッドの移動は容易であるとは言い難く、特に、ベッドの脚に設けられたキャスターを特許文献1に開示されるような荷重検出器の載置板部に載置するのは力と手間のかかる作業である。
【0006】
本発明は、ベッドのキャスターを容易に載置部に載置することができ、且つ持ち運びが容易な荷重検出装置、及び荷重検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、
ベッドが有するキャスターの下に設置される荷重検出装置であって、
前記キャスターが載置される載置部と、
前記載置部に付加された荷重を検出する荷重検出部と、
前記載置部を囲む環状のガイド板とを備え、
前記ガイド板に、前記キャスターを前記載置部へと案内するスロープと、前記荷重検出装置を移動させるための把手が設けられており、
前記スロープは所定方向において前記載置部に隣設される第1スロープと、前記所定方向に直交する方向において前記載置部に隣設される第2スロープとを含む荷重検出装置が提供される。
【0008】
第1の態様の荷重検出装置において、前記環状のガイド板は、周方向に沿って、薄板領域と該薄板領域よりも厚さの大きい厚板領域とを有してもよく、前記スロープが前記薄板領域に設けられていてもよく、前記把手が前記厚板領域に設けられていてもよい。
【0009】
第1の態様の荷重検出装置において、前記ガイド板の前記厚板領域における内周面が、前記キャスターの前記載置部から離脱する移動を規制する停止壁を画定していてもよい。
【0010】
第1の態様の荷重検出装置において、前記停止壁は、前記所定方向における前記載置部の第1スロープとは反対側と、前記所定方向に直交する方向における前記載置部の第2スロープとは反対側とに設けられていてもよい。
【0011】
第1の態様の荷重検出装置において、前記薄板領域と前記厚板領域との間に、前記薄板領域の上面から前記厚板領域の上面に向かって上昇する傾斜面が設けられていてもよい。
【0012】
第1の態様の荷重検出装置において、前記ガイド板は略矩形の外周を有してもよく、前記把手は、前記略矩形の外周の角部且つ前記厚手領域において前記ガイド板の下面に設けられた切欠きと、前記ガイド板の上面と前記切欠きとの間に延びる貫通孔とにより構成されていてもよい。
【0013】
第1の態様の荷重検出装置の前記ガイド板において、第1スロープの前記所定方向の幅が、前記載置部を挟んで第1スロープとは反対側に位置する領域の前記所定方向の幅よりも大きくてもよい。
【0014】
第1の態様の荷重検出装置は、前記荷重検出部からの出力を外部に送るためのコネクタであって、配線が着脱可能に接続されるコネクタを更に備えてもよく、前記ガイド板の、前記コネクタの上方の領域にスリットが設けられていてもよく、前記ガイド板の上面の前記スリットに隣接する領域を持ち上げることにより前記コネクタが露出されてもよい。
【0015】
第1の態様の荷重検出器において、前記載置部に、該載置部の上面の液体を該載置部の下側に排出する排出口が設けられていてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様に従えば、
ベッドの上の被験者の荷重を検出する荷重検出システムであって、
複数の荷重検出装置と、
前記複数の荷重検出装置に接続され、前記複数の荷重検出装置の出力に基づいて前記被験者の荷重を求める制御部とを備え、
前記複数の荷重検出装置の各々は第1の態様の荷重検出装置である荷重検出システムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の荷重検出装置、及び荷重検出システムは、ベッドのキャスターを容易に載置部に載置することができ、且つ持ち運びが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る荷重検出装置の斜視図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る荷重検出装置の分解斜視図である。
図3図3は、ベース部を下方から見た斜視図である。
図4図4は、ひずみセンサユニットを上方から見た分解斜視図である。
図5図5は、ベース部、ひずみセンサユニット、及び載置板の位置関係を示す下面図である。
図6図6は、ガイド板を下方から見た斜視図である。
図7図7は、ベース部とガイド板との位置関係を示す概略的な平面図である。
図8図8(a)は、本発明の第1実施形態に係る荷重検出装置を、中心Oを含み且つ前後方向に直交する面により切断した断面図である。図8(b)は、本発明の第1実施形態に係る荷重検出装置を、中心Oを含み且つ幅方向に直交する面により切断した断面図である。
図9図9は、変形例のベース部、ひずみセンサユニット、及び載置板の位置関係を示す下面図である。
図10図10は、変形例のガイド板を下方から見た斜視図である。
図11図11は、変形例のベース部と変形例のガイド板との位置関係を示す概略的な平面図である。
図12図12は、本発明の第2実施形態に係る荷重検出装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態の荷重検出装置100について、荷重検出装置100を、病院において、ベッドBDとともに使用する場合を例として説明する。
【0020】
図1図2に示す通り、第1実施形態の荷重検出装置100は、ベース部10と、ベース部10の下面に取り付けられた4つのひずみセンサユニット20と、ベース部10の上側において4つのひずみセンサユニット20に支持された平面視略矩形の載置部30と、ベース部10に取り付けられて載置部30の周囲に配置される環状のガイド板40とを主に有する。ガイド板40は、ベッドBDの脚部のキャスターを載置部30に案内するためのスロープSLを有する。
【0021】
以下の説明においては、載置部30の中心Oを荷重検出装置100の中心とする。また、載置部30の短手方向を荷重検出装置100の前後方向、載置部30の長手方向を荷重検出装置100の幅方向、前後方向及び幅方向に直交する方向を荷重検出装置100の上下方向と呼ぶ。前後方向においては、載置部30に対してスロープSLの位置する側を前側とする。幅方向においては、前側から見た右側、左側を幅方向の右側、左側と呼ぶ。
【0022】
ベース部10は、一例としてABSやPC等の樹脂により形成されている。ベース部10は、図2図3に示す通り、水平に配置される天板11と、天板11の外周縁から下側へと垂直に延びる壁部12とを有する。
【0023】
天板11は、外形が平面視矩形である主部111と、主部111の外周縁の一部分から幅方向の左側に突出する略矩形の突出部112とを有する。主部111の中央部には、平面視矩形の開口OP10が形成されている。
【0024】
主部111の、開口OP10を画定する各辺の中央部にはそれぞれ、開口OP10の中心側へと突出する固定片Fが設けられている(図3図5参照。図2では図示省略)。4つの固定片Fの各々には、上下方向に固定片Fを貫通する貫通孔thが設けられている。
【0025】
壁部12は、周壁部121と突出壁部122とを含む。周壁部121は、天板11の主部111の外周縁から下側に垂直に延びる。突出壁部122は、天板11の突出部112の外周縁から下側に垂直に延びる。壁部12の高さは、一例として5mm~25mm程度とし得る。
【0026】
周壁部121は平面視略C字状であり、突出壁部122は平面視略コ字状(U字状)である。突出壁部122は、前後方向に延びる側壁部122sと、側壁部122sの両端から幅方向に延びて周壁部121の両端に接続された一対の接続壁122cとを有する。側壁部122sには貫通孔THが設けられている。
【0027】
天板11の主部111と壁部12の周壁部121とにより、ベース部10の本体部10Mが構成される。天板11の突出部112と壁部12の突出壁部122とにより、ベース部10の突出部10Pが構成される。突出部10Pの下側で、突出部112の下面と突出壁部122の内面とにより画定される空間が、基板配置室RMとなる(図3図5)。基板配置室RMには、ひずみセンサユニット20からの配線(不図示)を集合させてホイートストンブリッジを構成する基板Bが配置される(図5)。基板Bと外部とを繋ぐ配線Wは、貫通孔THを介してベース部10の外側へと延びる。
【0028】
図4に示す通り、ひずみセンサユニット20は、起歪部21と、荷重伝達部22とを主に有する。
【0029】
起歪部21は、第1のU字部材21U1と、第1のU字部材21U1に対向する第2のU字部材21U2と、第1のU字部材21U1の中央部と第2のU字部材21U2の中央部とを繋ぐI字部材21Iとを含む。第1のU字部材21U1、第2のU字部材21U2、I字部材21Iはそれぞれ、ステンレス鋼(SUS304)等の金属で形成されている。
【0030】
第1のU字部材21U1の両端近傍にはねじ穴h1が設けられている。第2のU字部材21U2の両端近傍には連結穴h2が設けられている。2つのねじ穴h1と2つの連結穴h2とは、I字部材21Iの延在方向に直交する方向に沿って一直線状に並んでいる。
【0031】
I字部材21Iの中央部には、ひずみゲージSGが張り付けられている。ひずみゲージSGは、2つのねじ穴h1と2つの連結穴h2とを結ぶ直線上に位置するように配置されている。
【0032】
荷重伝達部22は、略菱形であり、ステンレス鋼(SUS304)等の金属で形成されている。
【0033】
荷重伝達部22の中央部には、上方に半球状に突起した支持台22sが形成されている。荷重伝達部22の長手方向の両端近傍には、連結穴h3が形成されている。支持台22sと2つの連結穴h3とは、荷重伝達部22の長手方向に沿って一直線状に並んでいる。
【0034】
起歪部21と荷重伝達部22とは、起歪部21の2つの連結穴h2の各々と、荷重伝達部22の2つの連結穴h3の各々とをスペーサ(不図示)を介してピン(不図示)で連結することにより、互いに対して固定的に連結されている。起歪部21と荷重伝達部22とが連結された状態において、荷重伝達部22の下面と起歪部21の上面とは、スペーサ(不図示)の厚さ分だけ離間している。また、ひずみゲージSGは支持台22sの真下に位置する。
【0035】
ねじ穴h1の下方から起歪部21を支持した状態で荷重伝達部22の支持台22sに上方から荷重を加えると、起歪部21の第2のU字部材21U2が下方に移動し、I字部材21Iにひずみが生じる。このひずみの量をひずみゲージSGが検出する。ねじ穴h1と支持台22sが一直線上に配置されているため、モーメントの影響を抑制した精度の高いひずみ検出を行うことができる。
【0036】
図5に示す通り、ひずみセンサユニット20は、ベース部10の開口OP10内において、開口OP10の四隅に1つずつ固定されている。具体的には、ひずみセンサユニット20の各々は、荷重伝達部22の支持台22sを上方に向けた状態で、第1のU字部材21U1のねじ穴h1を介して、天板11の主部111の下面111dにねじ止めされている。この状態において、各ひずみセンサユニット20の支持台22sは、開口OP10の内側において、開口OP10の四隅に位置する。
【0037】
載置部30は、平面視略矩形の平板であり、四隅は円弧状の丸みを有する。載置板30は一例としてアルミダイカスト材(ADC12)等により形成されている。
【0038】
載置部30の上面30u(図2)は、中央領域30u1と、中央領域30u1の周囲に設けられた周縁領域30u2とを含む。中央領域30u1は平面視略矩形の平坦面である。周縁領域30u2は平面視ロの字形(O形)であり、中心Oから離れるにしたがって上昇する傾斜面である。
【0039】
載置部30は、ベース部10の天板11の上側に、天板11と平行に配置される(図2図5)。この状態において、載置部30は四隅近傍の4点において、ひずみセンサユニット20の支持台22sに支持される(図5)。
【0040】
また、載置部30は、四つの固定片Fの各々の貫通孔thに、貫通孔thよりも小径のねじを、貫通孔thを介して載置部30の下面にねじ込むことで、ベース部10に分離不能に接続されている。各ねじが固定片Fに接触しないため、載置部30の上下移動は阻害されず、計測精度は保たれる。
【0041】
ガイド板40は、ベッドBDのキャスターを、荷重検出装置100が設置された床面から載置部30の上面30uへと案内するスロープ、及び荷重検出装置100を移動させるための把手を与えるための部材である。
【0042】
ガイド板40は、一例としてエラストマー樹脂により一体に形成されている。
【0043】
図2に主に示す通り、ガイド板40は、平面視においてD環状(D字の環状)を有する板状の部材であり、外周縁OEと内周縁IEとを有する。
【0044】
外周縁OEは平面視略矩形であり、前後方向に延びる一対の短辺と幅方向に延びる一対の長辺とを含む。外周縁OEの4つの角部OC1、OC2、OC3、OC4はそれぞれ円弧状に丸みが与えられている。前後方向において前側に位置する2つの角部OC1、OC2における曲率半径は、前後方向において後側に位置する2つの角部OC3、OC4における曲率半径よりも大きい。
【0045】
内周縁IEは平面視略矩形であり、前後方向に延びる一対の短辺と幅方向に延びる一対の長辺とを含む。内周縁IEの4つの角部IC1、IC2、IC3、IC4はそれぞれ円弧状に丸みが与えられている。4つの角部IC1、IC2、IC3、IC4の曲率半径は互いに等しい。
【0046】
ガイド板40の内周縁IEにより、ガイド板40の中央部に、収容孔OP40が画定されている。
【0047】
ガイド板40は、D環の周方向において、スロープが設けられたスロープ領域41と、スロープが設けられていない非スロープ領域42とに大別される。
【0048】
スロープ領域41は、概ね、ガイド板40の内の、収容孔OP40よりも前側に位置する領域、及び収容孔OP40よりも右側に位置する領域である。
【0049】
スロープ領域41においては、ガイド板40の上面が、外周縁OEから内周縁IEに向かって上昇するスロープSLを画定している。スロープSLは、前後方向において載置部30に隣設されて載置部30の前側に位置する部分(第1スロープ)と、幅方向において載置部30に隣設されて載置部30の右側に位置する部分(第2スロープ)とを含む。スロープSLの傾斜角は任意であり、10度以下とすることが望ましく、7度~9度程度とすることがより望ましい。しかしながら、これには限られない。
【0050】
スロープSLの傾斜角を小さい値とすることにより、キャスター、ひいてはベッドBDの載置部30に対する上げ下げを、容易に且つベッドBD上の患者に与える衝撃を軽減して行うことができる。一方で、スロープSLの傾斜角を小さくすることは、スロープSLの傾斜方向の寸法(即ち、スロープの長さ)が大きくなってしまうことを意味する。上記の望ましい傾斜角の範囲は、これらの観点のバランスを考慮したものである。
【0051】
非スロープ領域42は、概ね、ガイド板40の内の、収容孔OP40よりも後側に位置する領域、及び収容OP40よりも左側に位置する領域である。
【0052】
非スロープ領域42におけるガイド板40の厚さ(即ち、上下方向の寸法)は、スロープ領域41におけるガイド板40の厚さ(即ち、スロープSLの上端側である内周縁IE側における上下方向の寸法)よりも大きい。そのため、スロープ領域41と非スロープ領域42との間には、スロープ領域41から非スロープ領域42に向かって上昇する傾斜面43が設けられている。傾斜面43はそれぞれ、側面視において上に凸の曲面上の傾斜面である。このように、スロープ領域41と非スロープ領域42との接続部においてガイド板40の上面を曲面状の傾斜面とすることで、スロープSLから逸脱したキャスターの損傷を防止することができる。ただし、傾斜面43を設けずに、スロープ領域41と非スロープ領域42との間に垂直壁を設けてもよい。
【0053】
非スロープ領域42内の、外周縁OEの後側且つ左側の角部OC3の近傍の領域には、荷重検出装置100を移動させるための把手HDが形成されている。
【0054】
把手HDは、第1実施形態においては、外周縁OEの後側且つ左側の角部OC3の近傍の領域において、ガイド板40の下面40dに切欠きNT(図6)を設けてガイド板40を薄板状とし、当該薄板部分を上下に貫通する平面視円形の開口Aを設けることにより形成されている。
【0055】
非スロープ領域42においては、ガイド板40の内周縁IEに沿って、停止壁SWが設けられている。より具体的には、ガイド板40の内周面が停止壁SWを画定している。停止壁SWは、内周縁IEから外周縁OE側に向かって所定の角度で立ち上がる斜面である。
【0056】
ガイド板40の、収容孔OP40よりも前側に位置する領域、即ちスロープSLが設けられた領域の前後方向の幅は、収容孔OP40よりも後側に位置する領域、即ち停止壁SWが設けられた領域の前後方向の幅よりも大きい。即ち、収容孔OP40は、平面視において、ガイド板40の中央部よりも後寄りに設けられている。これにより、ガイド板40の全体の寸法を大きくすることなく、スロープSLの傾斜方向の寸法を大きくし、スロープSLの傾斜角を小さくすることができる。
【0057】
図6に示す通り、ガイド板40の下面40dには、凹部40Rが形成されている。凹部40Rは、平面視矩形の中央部40R1と、中央部40R1から左側に突出する突出部40R2とを含む。
【0058】
中央部40R1の中心は、収容孔OP40の中心と位置合わせされている。突出部40R2は、非スロープ領域42に設けられている。突出部40R2は、前後方向に沿って把手HDと隣接している。
【0059】
図7に示すように、ガイド板40は、凹部40Rにベース部10を収容することにより、ベース部10に取り付けられる。具体的には、ベース部10の本体部10Mが中央部40R1に収容され、ベース部10の突出部10Pが突出部40R2に収容される。ガイド板40は不図示のねじ等によりベース部10に固定されてもよい。
【0060】
ガイド板40の凹部40Rにベース部10が収容された状態において、載置部30は、収容孔OP40の内部に配置される。図8(a)、図8(b)に示す通り、この状態において、載置部30の上面30uの前側及び右側の周縁領域30u2の外縁とスロープSLの上端とが段差なく接続する。また、載置部30の後側及び左側の周縁領域30u2の外縁と停止壁SWの下端とが略面一に接続して一連の傾斜した壁面を構成する。
【0061】
このように、停止壁SWは、前後方向における載置部30のスロープSLとは反対側、及び左右方向における載置部30のスロープSLとは反対側に設けられている。
【0062】
第1実施形態の荷重検出装置100に、ベッドBDの脚部の下に設けられたキャスターを載置する際には、床面上のキャスターを、スロープSLを介して載置部30の上面30uまで移動させる。載置部30の上面30uまで持ち上げられたキャスターは、停止壁SWに接触して進行を停止し、上面30uの中央領域30u1に載置される。
【0063】
第1実施形態の荷重検出装置100の効果を以下にまとめる。
【0064】
第1実施形態の荷重検出装置100においては、載置部30の前側及び右側にスロープSLが設けられている。即ち、スロープSLが、互いに直交する2方向において載置部30に隣設されている。したがって、ベッドBDのキャスターを複数の方向から載置部30に案内することができる。
【0065】
第1実施形態の荷重検出装置100においては、ガイド板40に荷重検出装置100を移動させるための把手HDが設けられている。したがって、把手HDを把持して荷重検出装置100を容易に移動させることができる。
【0066】
第1実施形態の荷重検出装置100においては、前後方向における載置部30のスロープSLとは反対側、及び左右方向における載置部30のスロープSLとは反対側に、ガイド板40の内周面により画定された停止壁SWが設けられている。したがって、スロープSLを上って載置部30に至ったキャスターを停止壁SWに接触させて、良好に載置部30上で停止させることができる。
【0067】
<変形例>
第1実施形態において、次の変形態様を使用することもできる。
【0068】
第1実施形態の荷重検出装置100においては、ベース部10と4つのひずみセンサユニット20とにより、載置部30に付加された荷重を検出する荷重検出部を構成している。しかしながらこれには限られず、載置部30に付加された荷重を検出する荷重検出部は、任意の構造を備え得る。
【0069】
具体的には例えば、ベース部と、ベース部に片持ち梁状に支持されたビーム形ロードセルとにより荷重検出部を構成してもよい。この場合、載置部30は、ビーム形ロードセルの自由端に固定される。
【0070】
ベース部を省略して、ひずみセンサユニット20や片持ち梁状のビーム形ロードセルを直接ガイド板40に固定してもよい。ガイド板40は、ABSやPC等の樹脂により形成され得る。この場合は、ひずみセンサユニット20、ビーム形ロードセルがそれぞれ荷重検出部を構成する。
【0071】
第1実施形態の荷重検出装置100においては、載置部30は平面視略矩形の板状であるがこれには限られない。載置部30の平面視形状は、矩形以外の形状、例えば円形や正方形であってもよい。
【0072】
第1実施形態の荷重検出装置100においては、ガイド板40の平面視形状は略D字形であるが、これには限られない。ガイド板40の平面視形状は、円環状等、任意の環形状とし得る。
【0073】
第1実施形態の荷重検出装置100においては、非スロープ領域42の全域におけるガイド板40の厚さが、スロープ領域41におけるガイド板40の厚さよりも大きい。しかしながらこれには限られず、ガイド板40は、非スロープ領域42の一部のみにおいてスロープ領域41よりも厚くなるように構成されていてもよい。あるいは非スロープ領域42におけるガイド板40の厚さが、スロープ領域41におけるガイド板の厚さと同一であってもよい。
【0074】
把手HDは、非スロープ領域42の、スロープ領域41よりも厚さの大きい領域に設けられていてもよく、スロープ領域41と同一の厚さを有する領域に設けられていてもよい。
【0075】
第1実施形態の荷重検出装置100においては、把手HDは、ガイド板40の角部OC3の近傍において、切欠きNTと、平面視円形の開口Aとにより構成されている。しかしながらこれには限られない。
【0076】
具体的には例えば、非スロープ領域42の、幅方向の中央部且つ載置部30の後側に位置する部分に把手HDを設けてもよい。あるいは、開口Aを設けず、切欠きNTのみにより把手HDを形成してもよい。この場合は、切欠きNTの存在により薄手となった部分をつかんで荷重検出装置100を移動させる。
【0077】
その他、把手HDは任意の構造とし得るが、ガイド板40の上面よりも上方に突出しない構造とすることで、把手HDとキャスターとの接触を防止することができる。把手HDは、ガイド板40の、スロープSLが形成された領域とは異なる位置に設けることが好ましい。
【0078】
第1実施形態の荷重検出装置100においては、基板Bから延びる配線Wを、ガイド板40の貫通孔THを介して荷重検出装置100の外部にまで延ばしているが、これには限られない。具体的には例えば、図9に示すように、側壁部122sに、外部からの配線を着脱可能に接続するためのコネクタ(配線接続部)CNを設け、基板BとコネクタCNとを配線Wで繋いでもよい。
【0079】
この場合、ガイド板40の凹部40Rの突出部40R2の上方に位置する領域にスリットを設け、該スリットの近傍の領域をめくりあげて突出部40R2を露出できるような構成としてもよい。
【0080】
具体的には、例えば、図10に示すように、突出部40R2の左端の壁部を構成する部分を取り除き、突出部40R2の底面を構成する部分の前後方向の両端近傍に、ガイド板40を上下に貫通して左右方向に延びる2本のスリットLTを互いに平行に設ける。このようなガイド板40を、図9に示すコネクタCNを有するベース部10とともに用い得る(図11)。この場合、突出部40R2の上側の部分(以下、カバー部CV)の左端を持ち上げてカバー部CVを湾曲させてめくりあげることによりコネクタCNが露出された状態(上方からの視認でき且つ触れることができる状態)とすることができ、当該状態の下でコネクタCNへの配線の着脱を容易に行うことができる。
【0081】
本発明及び本明細書において、ガイド板40が、スロープが形成された領域よりも厚さの大きい領域を有する場合は、当該領域を「厚板領域」と呼び、スロープが形成された領域を「薄板領域」と呼ぶ。
【0082】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の荷重検出器200について説明する。第2実施形態の荷重検出器200は、載置部230に排出口OLが設けられている点を除いては、第1実施形態の荷重検出器100と同一である。ここでは、第1実施形態の荷重検出器100と同一の構造については説明を省略する。
【0083】
ベッドの脚の下に荷重検出器を配置してベッド上の被験者の荷重を検出する際には、荷重検出器の計量皿に水などの液体が入り込むことがある。このような事象は例えば、結露によりベッドの脚に生じた水が計量皿に流れたり、荷重検出器の近くで誤って液体がこぼされたりすることにより生じ得る。計量皿上の液体は重さを有するので検出結果に影響を与える誤差要因となる。また、不衛生でもある。
【0084】
第2実施形態の荷重検出器200の載置部230は、第1実施形態の載置部30と同様に平面視略矩形の平板であり、四隅は円弧状の丸みを有する。載置板230は一例としてアルミダイカスト材(ADC12)等により形成されている。
【0085】
載置部230の上面230u(図12)は、中央領域230u1と、中央領域230u1の周囲に設けられた周縁領域230u2とを含む。中央領域230u1は平面視略矩形の平坦面である。周縁領域230u2は平面視ロの字形(O形)であり、中心Oから離れるにしたがって上昇する傾斜面である。
【0086】
中央領域230u1には4つの排出口OLが設けられている。4つの排出口OLはそれぞれ、平板上の載置部230を上下方向に貫通しており、上面230uの液体を載置部230の下側に排出するように構成されている。
【0087】
4つの排出口OLは、中心Oの右側及び左側に、前後方向に隙間を有して2つずつ配置されている。4つの排出口の各々は、幅方向に長い長円形である。
【0088】
第2実施形態の荷重検出器200においては、載置部230の上面230uに液体が入り込んだ場合は、当該液体は排出口OL、ベース部10の開口OP10を介して、荷重検出器200が設置された床面上に排出される。したがって、載置部230に液体が滞留することにより荷重検出器200の検出結果に誤差が生じることを抑制できる。また荷重検出器200を衛生的な状態に保つことができる。荷重検出器を用いてベッド上の被験者の荷重を検出して在床判定や生体情報(呼吸数、心拍数等)の取得を行う場合には、荷重検出器が高精度且つ衛生的であることが求められるため、これらの利点が奏されることは特に好ましい。
【0089】
なお、排出口OLの数、形状、配置は、載置部230の液体が良好に下側に排出されるよう適宜設定し得る。キャスターCTが中心Oに設置されることが見込まれる場合は、キャスターCTにより排出口OLがふさがれないよう、中心Oから少し離れた位置に排出口OLを設けてもよい。
【0090】
排出口OLを有する載置部230を、ガイド板40を有さない任意のベッド用荷重検出器の計量皿として用いてもよい。具体的には例えば、支持台と、支持台により片持ち支持されて自由端を有するビーム形ロードセルの自由端に、計量皿として載置部230を取り付けた構成を採用し得る。
【0091】
<第3実施形態>
第3実施形態の荷重検出システムは、複数の荷重検出装置100(又は変形例の荷重検出装置)と、複数の荷重検出装置100に接続された制御部(不図示)により構成される。この場合、制御部は、複数の荷重検出装置100からの出力に基づいてベッドBD上の被験者の荷重を求めてもよい。この荷重検出システムにおいて、荷重検出装置と制御部との接続は配線Wを介して行ってもよく、無線により行ってもよい。荷重検出器100に代えて、第2実施形態の荷重検出器200を用いてもよい。
【0092】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10 ベース部、20 ひずみセンサユニット、30,230 載置部、40 ガイド板、100,200 荷重検出装置、SL スロープ、HD 把手
図1
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図12