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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】支持構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/477 20210101AFI20240902BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240902BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240902BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240902BHJP
   H01M 50/474 20210101ALI20240902BHJP
   H01M 50/48 20210101ALN20240902BHJP
【FI】
H01M50/477
H01M10/052
H01M10/0562
H01M50/103
H01M50/474
H01M50/48
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020186036
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022075318
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多賀 和樹
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 衛
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-087397(JP,A)
【文献】特開平10-334879(JP,A)
【文献】特開平08-153542(JP,A)
【文献】特開2020-031019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/471 - 486
H01M 50/103
H01M 10/0562
H01M 10/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全固体電池を支持する支持構造であって、
前記全固体電池を収容する筐体と、
前記全固体電池が前記筐体に収容されている状態で前記全固体電池と前記筐体との間に配置されて前記全固体電池を支持する支持部材と、を備えており、
前記支持部材は、前記全固体電池と前記支持部材が並ぶ方向と直交する第1方向に並ぶ複数の第1バネ部を備えており、
前記第1バネ部は、前記筐体側又は前記全固体電池側に突出する第1支点部と、前記第1支点部から前記第1方向に離間した位置で前記第1支点部と反対側に突出する一対の第2支点部と、一対の前記第2支点部の間において前記第1支点部と向かい合う位置に設けられている第1中空部とを備えており、
前記支持部材は、前記全固体電池と前記支持部材が並ぶ方向において複数の前記第1バネ部と向かい合う複数の第2バネ部を備えており、
前記第2バネ部は、前記第1支点部と反対側に突出する第3支点部と、前記第3支点部から前記第1方向に離間した位置で前記第3支点部と反対側に突出する一対の第4支点部と、一対の前記第4支点部の間において前記第3支点部と向かい合う位置に設けられている第2中空部と、を備えており、
前記第1バネ部の一対の前記第2支点部と、前記第1バネ部と向かい合う前記第2バネ部の一対の前記第4支点部とが向かい合う状態で互いに固定されている、支持構造。
【請求項2】
請求項に記載の支持構造であって、
前記第1バネ部は、前記第1方向に延びる第1本体部を備えており、
前記第1バネ部の一対の前記第2支点部は、前記第1本体部から前記第1支点部と反対側に突出しており、
前記第1本体部の前記第1中空部側の面と前記第2支点部の側面との間に角部が設けられており、
前記角部の内面が湾曲面状に構成されている、支持構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の支持構造であって、
前記第1バネ部は、第1挿入孔を備えており、
前記第2バネ部は、前記第1挿入孔と向かい合う位置に第2挿入孔を備えている、支持構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の支持構造であって、
前記第1バネ部は、前記第1方向に延びる第1本体部を備えており、
前記第1バネ部の前記第1支点部は、前記第1本体部から前記筐体側又は前記全固体電池側に突出しており、
前記第1本体部の前記第1支点部側の面と前記第1支点部の側面との間に第1係合部が設けられており、
前記第2バネ部は、前記第1方向に延びる第2本体部を備えており、
前記第2バネ部の前記第3支点部は、前記第2本体部から前記第1支点部と反対側に突出しており、
前記第2本体部の前記第3支点部側の面と前記第3支点部の側面との間に第2係合部が設けられている、支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、全固体電池の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に電池モジュールが開示されている。特許文献1の電池モジュールは、全固体電池と、全固体電池を拘束する拘束部品とを有する。拘束部品は、全固体電池の両端に配置される一対のエンドプレートと、一対のエンドプレートを連結して全固体電池を加圧状態で拘束するテンションバンドとを有する。テンションバンドは、弾性変形可能な凹凸部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-114477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電池モジュールでは全固体電池の膨張量を抑制しようとすると体格が大きくなることがある。本明細書は、小さな体格で全固体電池の膨張量を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、全固体電池を支持する支持構造を開示する。支持構造は、前記全固体電池を収容する筐体と、前記全固体電池が前記筐体に収容されている状態で前記全固体電池と前記筐体との間に配置されて前記全固体電池を支持する支持部材と、を備えている。前記支持部材は、前記全固体電池と前記支持部材が並ぶ方向と直交する第1方向に並ぶ複数の第1バネ部を備えている。前記第1バネ部は、前記筐体側又は前記全固体電池側に突出する第1支点部と、前記第1支点部から前記第1方向に離間した位置で前記第1支点部と反対側に突出する一対の第2支点部と、一対の前記第2支点部の間において前記第1支点部と向かい合う位置に設けられている第1中空部とを備えている。
【0006】
この構成によれば、筐体内で全固体電池が膨張したとしても、支持部材の複数の第1バネ部が、全固体電池と支持部材が並ぶ方向に全固体電池を支持することにより全固体電池の膨張量を抑制することができる。
【0007】
前記支持部材は、前記全固体電池と前記支持部材が並ぶ方向において複数の前記第1バネ部と向かい合う複数の第2バネ部を備えていてもよい。前記第2バネ部は、前記第1支点部と反対側に突出する第3支点部と、前記第3支点部から前記第1方向に離間した位置で前記第3支点部と反対側に突出する一対の第4支点部と、一対の前記第4支点部の間において前記第3支点部と向かい合う位置に設けられている第2中空部と、を備えていてもよい。前記第1バネ部の一対の前記第2支点部と、前記第1バネ部と向かい合う前記第2バネ部の一対の前記第4支点部とが向かい合う状態で互いに固定されていてもよい。
【0008】
この構成によれば、複数の第1バネ部と複数の第2バネ部が全固体電池を支持することにより全固体電池の膨張量を更に抑制することができる。
【0009】
前記第1バネ部は、前記第1方向に延びる第1本体部を備えていてもよい。前記第1バネ部の一対の前記第2支点部は、前記第1本体部から前記第1支点部と反対側に突出していてもよい。前記第1本体部の前記第1中空部側の面と前記第2支点部の側面との間に角部が設けられていてもよい。前記角部の内面が湾曲面状に構成されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、支持部材が圧縮されたときに角部に応力が集中することを抑制することができる。
【0011】
前記第1バネ部は、第1挿入孔を備えていてもよい。前記第2バネ部は、前記第1挿入孔と向かい合う位置に第2挿入孔を備えていてもよい。
【0012】
この構成によれば、第1挿入孔及び第2挿入孔のそれぞれに例えば治具を挿入した状態で治具を互いに近付けることにより支持部材を圧縮することができる。支持部材を圧縮した状態で筐体と全固体電池との間に支持部材を挿入することができる。これにより、支持部材の組付けを容易に行うことができる。
【0013】
前記第1バネ部は、前記第1方向に延びる第1本体部を備えていてもよい。前記第1バネ部の前記第1支点部は、前記第1本体部から前記筐体側又は前記全固体電池側に突出していてもよい。前記第1本体部の前記第1支点部側の面と前記第1支点部の側面との間に第1係合部が設けられていてもよい。前記第2バネ部は、前記第1方向に延びる前記第2本体部を備えていてもよい。前記第2バネ部の前記第3支点部は、前記第2本体部から前記第1支点部と反対側に突出していてもよい。前記第2本体部の前記第3支点部側の面と前記第3支点部の側面との間に第2係合部が設けられていてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1係合部と第2係合部のそれぞれに例えば治具を係合させた状態で治具を互いに近付けることにより支持部材を圧縮することができる。支持部材を圧縮した状態で筐体と全固体電池との間に支持部材を挿入することができる。これにより、支持部材の組付けを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施例に係る全固体電池の支持構造の断面図である。
図2図1の部分IIの拡大図である。
図3図1の部分IIIの拡大図である。
図4】第2実施例に係る全固体電池の支持構造の断面図である。
図5図4の部分Vの拡大図である。
図6図5の部分VIの拡大図である。
図7】第3実施例に係る支持部材の一部の断面図である。
図8】第4実施例に係る支持部材の一部の断面図である。
図9】変形例に係る全固体電池の支持構造の一部の断面図である。
図10】変形例に係る全固体電池の支持構造の一部の断面図である。
図11】変形例に係る全固体電池の支持構造のY-Z断面の図である。
図12】変形例に係る全固体電池の支持構造の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施例)
第1実施例に係る支持構造1について図面を参照して説明する。図1に示すように、支持構造1(以下「支持構造1」という)は、筐体10と、筐体10に収容されている支持部材30とを備えている。支持構造1は、全固体電池20を支持することができる。以下では、図面に示すX、Y、Z方向を参照して説明する。
【0017】
まず全固体電池20について説明する。全固体電池20は、支持構造1の筐体10に収容される。全固体電池20は、複数の全固体電池セル21(以下「電池セル21」という)を備えている。複数の電池セル21は、筐体10内でZ方向に積層されている。各電池セル21は、充電時に体積が膨張することがある。
【0018】
図2に示すように、各電池セル21は、正極集電体22、正極活物質層102、固体電解質層100、負極活物質層104、及び負極集電体24を備えている。正極集電体22、正極活物質層102、固体電解質層100、負極活物質層104及び負極集電体24は、Z方向に積層されている。Z方向(積層方向)に隣り合う電池セル21と電池セル21は、正極集電体22又は負極集電体24を共有している。正極集電体22及び負極集電体24は、電池セル21で発電された電力を集電する。正極集電体22は、正極端子(図示省略)に電気的に接続されている。負極集電体24は、負極端子(図示省略)に電気的に接続されている。
【0019】
正極活物質層102と負極活物質層104の間に固体電解質層100が配置されている。各電池セル21は、電解質が液体ではなく固体である電池である。正極活物質層102、固体電解質層100及び負極活物質層104の全てが固体である。電池セル21の正極活物質層102は、正極集電体22に電気的に接続されている。正極活物質層102は、例えばリチウムの酸化物(例えば、コバルト酸リチウム、又は、マンガン酸リチウム等)を含む材料から構成されている。電池セル21の負極活物質層104は、負極集電体24に電気的に接続されている。負極活物質層104は、例えばシリコン(SiC)又はカーボン(C)を含む材料から構成されている。固体電解質層100は、例えばリチウム等を含む材料から構成されている。
【0020】
次に筐体10(図1参照)について説明する。筐体10は、例えば鉄やアルミニウム等の金属から構成されている。筐体10は、底板部12と、天板部14と、左側板部16aと、右側板部16bとを備えている。底板部12、天板部14、左側板部16a及び右側板部16bは、一体で構成されている。底板部12と天板部14は、Z方向に間隔をあけて並んでいる。底板部12と天板部14は、それぞれ略平板状に構成されている。底板部12と天板部14の間に、全固体電池20と支持部材30が配置されている。全固体電池20と支持部材30は、筐体10内でZ方向に並んでいる。
【0021】
全固体電池20と筐体10の底板部12との間には第1絶縁膜52が配置されている。第1絶縁膜52は、複数の電池セル21の最下段の電池セル21と底板部12との間に配置されている。第1絶縁膜52は、全固体電池20の最下段の電池セル21と底板部12とを絶縁する。
【0022】
左側板部16aと右側板部16bは、X方向(第1方向の一例)に間隔をあけて並んでいる。左側板部16aと右側板部16bは、それぞれ略平板状に構成されている。左側板部16aと右側板部16bの間に、全固体電池20と支持部材30が配置されている。なお、図示しないが、筐体10は、図1の紙面直交方向(Y方向)の前側に配置されている前側板部と、後側に配置されている後側板部とを備えていてもよい。前側板部及び後側板部は、それぞれ、左側板部16a及び右側板部16bと同様の構成である。
【0023】
次に支持部材30について説明する。支持部材30は、筐体10の天板部14と全固体電池20との間に配置されている。支持部材30と全固体電池20との間には中間板50が配置されている。支持部材30は、例えば鉄やアルミニウム等の金属から構成されている。支持部材30は、複数の第1バネ部32を備えている。複数の第1バネ部32は、X方向(全固体電池20と支持部材30が並ぶ方向(Z方向)と直交する方向)に並んで配置されている。複数の第1バネ部32がX方向に連なることにより支持部材30が構成されている。
【0024】
図3に示すように、各第1バネ部32は、第1本体部38と、第1本体部38に固定されている第1支点部34と、第1本体部38に固定されている一対の第2支点部36とを備えている。第1本体部38は、X方向に延在している。第1支点部34と一対の第2支点部36は、X方向において互いに離間した位置に配置されている。第1支点部34は、第1本体部38から筐体10側に突出している。第1支点部34は、筐体10の天板部14に向けて突出している。第1支点部34の基端部が第1本体部38のX方向の中央部に固定されている。第1支点部34の先端部が筐体10の天板部14に当接する。
【0025】
一対の第2支点部36、36は、間隔をあけて配置されている。一対の第2支点部36、36は、第1本体部38から全固体電池20側に突出している。一対の第2支点部36、36は、中間板50に向けて突出している。第2支点部36の基端部が第1本体部38のX方向の端部に固定されている。第2支点部36の先端部が中間板50に当接する。一対の第2支点部36、36の間には第1中空部40が設けられている。第1中空部40は、第1本体部38を挟んで第1支点部34と向かい合う位置に設けられている。
【0026】
X方向(図の左右方向)に隣り合う第1バネ部32、32は、第2支点部36を共有している。X方向(左右方向)に隣り合う第1バネ部32、32のうち、左側の第1バネ部32における右側の第2支点部36と、右側の第1バネ部32における左側の第2支点部36とが一体で構成されている。また、左側の第1バネ部32の第1本体部38と、右側の第1バネ部32の第1本体部38とが一体で構成されている。
【0027】
各第1バネ部32では、第1支点部34と一対の第2支点部36、36がZ方向に圧縮されると第1本体部38が撓む。一対の第2支点部36、36の間に第1中空部40が設けられているので、第1支点部34と一対の第2支点部36、36がZ方向に圧縮されると第1バネ部32がZ方向に変形して収縮する。全固体電池20の支持構造1では、全固体電池20が充電時に膨張すると、複数の第1バネ部32がZ方向に圧縮される。支持部材30は、複数の第1バネ部32が圧縮されたときの復元力によって全固体電池20をZ方向に押圧する。支持部材30は、中間板50を介して全固体電池20を押圧する。
【0028】
支持部材30と全固体電池20との間に配置されている中間板50は、例えば鉄やアルミニウム等の金属から構成されている。中間板50と全固体電池20との間には第2絶縁膜54が配置されている。第2絶縁膜54は、複数の電池セル21の最上段の電池セル21と中間板50との間に配置されている。第2絶縁膜54は、全固体電池20の最上段の電池セル21と中間板50とを絶縁する。
【0029】
以上、第1実施例に係る支持構造1について説明した。以上の説明から明らかなように、支持構造1は、全固体電池20が筐体10に収容されている状態で全固体電池20と筐体10との間に配置されて全固体電池20を支持する支持部材30を備えている。支持部材30は、X方向に並ぶ複数の第1バネ部32を備えている。第1バネ部32は、筐体10側に突出する第1支点部34と、第1支点部34からX方向に離間した位置で第1支点部34と反対側に突出する一対の第2支点部36と、一対の第2支点部36の間において第1支点部34と向かい合う位置に設けられている第1中空部40とを備えている。
【0030】
この構成によれば、筐体10内に配置されている全固体電池20が膨張したとしても、支持部材30の複数の第1バネ部32がZ方向に収縮するときの復元力により全固体電池20を押圧することができる。支持部材30によって全固体電池20をZ方向(全固体電池20と支持部材30が並ぶ方向)に支持することができる。これにより、小さな体格で全固体電池20の膨張量を抑制することができる。
【0031】
また、複数の第1バネ部32の復元力により全固体電池20を押圧することにより面圧を確保することができる。全固体電池20では、正極活物質層102及び/又は負極活物質層104が固体電解質層100から離間すると発電能力が低下することがあるが、複数の第1バネ部32の復元力により全固体電池20を押圧することにより正極活物質層102及び/又は負極活物質層104が固体電解質層100から離間することを抑制することができる。全固体電池20の発電能力が低下することを抑制することができる。
【0032】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
(第2実施例)
第2実施例では、図4及び図5に示すように、支持部材30が複数の第2バネ部62を備えている。複数の第2バネ部62は、複数の第1バネ部32とZ方向(全固体電池20と支持部材30が並ぶ方向)に向かい合っている。複数の第2バネ部62と複数の第1バネ部32は一体で構成されている。各第2バネ部62は、各第1バネ部32をZ方向に反転させた構成である。複数の第2バネ部62は、X方向(全固体電池20と支持部材30が並ぶ方向(Z方向)と直交する方向)に並んで配置されている。複数の第2バネ部62がX方向に連なると共に、各第2バネ部62と各第1バネ部32がZ方向に連なることにより支持部材30が構成されている。第1バネ部32については第1実施例で説明したので、第1実施例と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0034】
各第2バネ部62は、第2本体部68と、第2本体部68に固定されている第3支点部64と、第2本体部68に固定されている一対の第4支点部66とを備えている。第2本体部68は、X方向に延在している。第3支点部64と一対の第4支点部66は、X方向において互いに離間した位置に配置されている。第3支点部64は、第2本体部68から全固体電池20側に突出している。第3支点部64は、中間板50に向けて突出している。第3支点部64の基端部が第2本体部68のX方向の中央部に固定されている。第3支点部64の先端部が中間板50に当接する。第3支点部64は、第1バネ部32の第1支点部34と反対側に突出している。
【0035】
一対の第4支点部66、66は、間隔をあけて配置されている。一対の第4支点部66、66は、第2本体部68から筐体10側に突出している。一対の第4支点部66、66は、第1バネ部32の一対の第2支点部36に向けて突出している。一対の第4支点部66は、第1バネ部32の一対の第2支点部36と向かい合っている。第4支点部66の基端部が第2本体部68のX方向の端部に固定されている。第4支点部66の先端部が第1バネ部32の第2支点部36に固定されている。第2バネ部62の第4支点部66と第1バネ部32の第2支点部36は一体で構成されている。
【0036】
一対の第4支点部66、66の間には第2中空部42が設けられている。第2中空部42は、第2本体部68を挟んで第3支点部64と向かい合う位置に設けられている。第2中空部42は、第1バネ部32の第1中空部40と一体で構成されている。第1中空部40と第2中空部42により1つの中空部が構成されている。
【0037】
図6に示すように、第2バネ部62の第2本体部68の第2中空部42側の面171と、第4支点部66の側面172との間に第2角部173が設けられている。第2角部173の内面は、湾曲面状に構成されている。換言すると、第2中空部42の内面の角部(第2角部173)が湾曲面状に構成されている。
【0038】
同様に、第1バネ部32の第1本体部38の第1中空部40側の面71と、第2支点部36の側面72との間に第1角部73が設けられている。第1角部73の内面は、湾曲面状に構成されている。換言すると、第1中空部40の内面の角部(第1角部73)が湾曲面状に構成されている。
【0039】
図5に示すように、X方向(左右方向)に隣り合う第2バネ部62、62は、第4支点部66を共有している。X方向(左右方向)に隣り合う第2バネ部62、62のうち、左側の第2バネ部62における右側の第4支点部66と、右側の第2バネ部62における左側の第4支点部66とが一体で構成されている。
【0040】
各第2バネ部62では、第3支点部64と一対の第4支点部66、66がZ方向に圧縮されると第2本体部68が撓む。一対の第4支点部66、66の間に第2中空部42が設けられているので、第3支点部64と一対の第4支点部66、66がZ方向に圧縮されると第2バネ部62がZ方向に変形して収縮する。全固体電池20の支持構造1では、全固体電池20が充電時に膨張すると、複数の第2バネ部62がZ方向に圧縮される。同様に、複数の第1バネ部32もZ方向に圧縮される(第1実施例参照)。支持部材30は、複数の第1バネ部32及び複数の第2バネ部62が圧縮されたときの復元力によって全固体電池20をZ方向に押圧する。支持部材30は、中間板50を介して全固体電池20を押圧する。
【0041】
以上、第2実施例について説明した。以上の説明から明らかなように、第2実施例に係る支持構造1は、Z方向において複数の第1バネ部32と向かい合う複数の第2バネ部62を備えている。第2バネ部62は、第1支点部34と反対側に突出する第3支点部64と、第3支点部64からX方向に離間した位置で第3支点部64と反対側に突出する一対の第4支点部66と、一対の第4支点部66の間において第3支点部64と向かい合う位置に設けられている第2中空部42とを備えている。
【0042】
この構成によれば、複数の第1バネ部32と複数の第2バネ部62が全固体電池20を支持することにより全固体電池20の膨張量を更に抑制することができる。一対の第2支点部36と一対の第4支点部66とが向かい合う状態で固定されているので、全固体電池20が膨張したときの力をバランス良く支持することができる。
【0043】
また、上記の支持部材30では、第1バネ部32の第1本体部38の第1中空部40側の面71と第2支点部36の側面72との間に第1角部73が設けられている。第1角部73の内面が湾曲面状に構成されている。この構成によれば、支持部材30がZ方向に圧縮されたときに第1角部73に応力が集中することを抑制することができる。第2角部173についても同様である。
【0044】
(第3実施例)
第3実施例では、図7に示すように、第1バネ部32が第1挿入孔80を備えている。また、第2バネ部62が第2挿入孔82を備えている。第1挿入孔80は、第1バネ部32のX方向の中央部に設けられている。第1挿入孔80は、第1バネ部32の第1本体部38と第1支点部34にわたって設けられている。第2挿入孔82は、第2バネ部62のX方向の中央部に設けられている。第2挿入孔82は、第2バネ部62の第2本体部68と第3支点部64にわたって設けられている。第2挿入孔82は、Z方向(全固体電池20と支持部材30が並ぶ方向)において第1挿入孔80と向かい合う位置に設けられている。第1挿入孔80と第2挿入孔82は、第1中空部40と第2中空部42を介して向かい合っている。第1挿入孔80及び第2挿入孔82は、それぞれY方向に延びている。
【0045】
第1挿入孔80及び第2挿入孔82には、それぞれ、支持部材30を圧縮するための治具200、202が挿入される。挿入孔80、82に治具200、202を挿入した状態で治具200、202をZ方向に近付けることにより支持部材30をZ方向に圧縮することができる。支持部材30をZ方向に圧縮した状態で、筐体10の天板部14と中間板50との間に支持部材30を挿入する。これにより、全固体電池20に対する支持部材30の組付けを容易に行うことができる。
【0046】
(第4実施例)
第4実施例では、図8に示すように、第1バネ部32が一対の第1係合部90を備えている。一対の第1係合部90は、第1バネ部32の第1本体部38の上面(第1支点部34側の面)と、第1支点部34の側面との間に設けられている。一対の第1係合部90の間に第1支点部34が配置されている。各第1係合部90は屈曲面状に構成されている。
【0047】
また、第2バネ部62が一対の第2係合部92を備えている。一対の第2係合部92は、第2バネ部62の第2本体部68の下面(第3支点部64側の面)と第3支点部64の側面との間に設けられている。一対の第2係合部92の間に第3支点部64が配置されている。各第2係合部92は屈曲面状に構成されている。一対の第1係合部90と一対の第2係合部92は、第1中空部40と第2中空部42を介してZ方向に向かい合っている。
【0048】
第1係合部90及び第2係合部92には、それぞれ、支持部材30を圧縮するための治具200、202が係合する。係合部90、92に治具200、202が係合した状態で治具200、202をZ方向に近付けることにより支持部材30をZ方向に圧縮することができる。支持部材30をZ方向に圧縮した状態で、筐体10の天板部14と中間板50との間に支持部材30を挿入する。これにより、全固体電池20に対する支持部材30の組付けを容易に行うことができる。
【0049】
(変形例)
(1)図9に示すように、複数の支持部材30がZ方向に積層されていてもよい。複数の支持部材30は、それぞれ、複数の第1バネ部32と、複数の第2バネ部62とを備えていてもよい。
【0050】
(2)図10に示すように、筐体10の天板部14が、左側板部16aと右側板部16bにボルト206で固定されていてもよい。
【0051】
(3)図11に示すように、筐体10は、Y方向の前側に配置されている前側板部18aと、後側に配置されている後側板部18bとを備えていてもよい(図11は、Y-Z断面の図である。)。前側板部18aと後側板部18bは、Y方向に間隔をあけて並んでいる。前側板部18aと後側板部18bは、それぞれ略平板状に構成されている。前側板部18aと後側板部18bの間に、全固体電池20と支持部材30が配置されている。
【0052】
全固体電池20及び支持部材30と前側板部18aとの間には第3絶縁膜56が配置されている。第3絶縁膜56は、全固体電池20及び支持部材30と前側板部18aとを絶縁する。同様に、全固体電池20及び支持部材30と後側板部18bとの間には第4絶縁膜58が配置されている。第4絶縁膜58は、全固体電池20及び支持部材30と後側板部18bとを絶縁する。
【0053】
前側板部18aと後側板部18bは、それぞれ、ボルト206で底板部12と天板部14に固定されている。或いは、前側板部18aと後側板部18bは、それぞれ、ボルト206で左側板部16aと右側板部16bに固定されていてもよい(図示省略)。
【0054】
(4)図12に示すように、支持部材30は、Z方向に蛇行しながらX方向に延びる構成であってもよい。支持部材30は、筐体10側に突出する第1支点部34と、第1支点部34からX方向に離間した位置で第1支点部34と反対側(全固体電池20側)に突出する一対の第2支点部36、36と、一対の第2支点部36、36の間において第1支点部34と向かい合う位置に設けられている第1中空部40とを備えている。
【0055】
(5)上記の各実施例では、支持部材30の第1バネ部32が筐体10側に配置され、第2バネ部62が全固体電池20側に配置されていたが、変形例では、第1バネ部32が全固体電池20側に配置され、第2バネ部62が筐体10側に配置されていてもよい。第1バネ部32の第1支点部34が全固体電池20側に突出していてもよい。第2バネ部62の第3支点部64が筐体10側に突出していてもよい。
【0056】
(6)上記の実施例では中間板50が金属から構成されていたが、変形例では中間板50が絶縁材料から構成されていてもよい。この場合は、中間板50と全固体電池20との間に配置されている第2絶縁膜54を省略してもよい。
【0057】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0058】
1:支持構造、10:筐体、20:全固体電池、21:全固体電池セル、30:支持部材、32:第1バネ部、34:第1支点部、36:第2支点部、38:第1本体部、40:第1中空部、42:第2中空部、50:中間板、62:第2バネ部、64:第3支点部、66:第4支点部、68:第2本体部、73:第1角部、80:第1挿入孔、82:第2挿入孔、90:第1係合部、92:第2係合部、100:固体電解質層、102:正極活物質層、104:負極活物質層、173:第2角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12