(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッドチップ、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B41J2/14 303
(21)【出願番号】P 2020202682
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】中山 仁
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-235480(JP,A)
【文献】特開2014-124935(JP,A)
【文献】特開2013-071276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体を噴射するノズル孔に連通する噴射チャネルと、前記第1液体を噴射しない非噴射チャネルと、を有するアクチュエータプレートを備え、
前記非噴射チャネルの少なくとも一部には、前記第1液体とは異なる第2液体が充填されて
おり、
前記アクチュエータプレートに接合され、前記噴射チャネルに連通する第1液体流路と、前記非噴射チャネルに連通する第2液体流路と、を有するカバープレートを更に備え、
前記第2液体流路は、
前記非噴射チャネルの第1端に連通する供給流路と、
前記非噴射チャネルの第2端に連通する排出流路と、を含み、
前記第2液体は、前記供給流路、前記非噴射チャネル及び前記排出流路を通じて循環している
液体噴射ヘッドチップ。
【請求項2】
前記第1液体は、導電性を有し、
前記第2液体は、前記第1液体よりも導電性が低い
請求項1に記載の液体噴射ヘッドチップ。
【請求項3】
前記噴射チャネル及び前記非噴射チャネルは、それぞれ複数設けられ、
複数の前記噴射チャネル及び前記非噴射チャネルは、前記アクチュエータプレートの厚さ方向から見て、それぞれ第1方向に延びるとともに、前記第1方向に交差する第2方向に間隔をあけて交互に配置され、
前記第2液体は、複数の前記非噴射チャネルのそれぞれを通じて循環している
請求項
1または2に記載の液体噴射ヘッドチップ。
【請求項4】
前記供給流路は、複数の前記非噴射チャネルの前記第1端のそれぞれに跨って前記第2方向に延び、
前記排出流路は、複数の前記非噴射チャネルの前記第2端のそれぞれに跨って前記第2方向に延びている
請求項
3に記載の液体噴射ヘッドチップ。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドチップを備える
液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項
5に記載の液体噴射ヘッドを備える
液体噴射記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体噴射ヘッドチップ、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録紙等の被記録媒体に液滴状のインクを噴射して、被記録媒体に画像や文字を記録する装置として、インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタがある。
例えば、インクジェットヘッドには、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電体に電圧をかけて変形させることでインクを噴射させる方式がある。より精細な印刷のためには、インクを噴射するノズル孔の密度を上げる方法が採用される。このときに、密度を向上させるため、アクチュエータプレートの複数のチャネル等(ヘッドチップの構造)も微細化される。
例えば、インクジェットヘッドにおいてインクに接液する部分には、ポリパラキシリレン(パリレン:登録商標)膜等の保護膜を形成して耐久性を担保している。例えば、チャネルにポリパラキシリレン膜を形成することで、チャネル内に形成された電極がインクによって腐食されることを抑制している。
ところで、ヘッドチップの耐久性は、様々な要因により決定される。例えば、要因の一例として、導電性を有する水性インクによる共通電極と個別電極との短絡に起因する不良がある。この不良は、ヘッドチップを構成する部材の接着部分において、上述のインクが噴射チャネルから漏れ出て非噴射チャネルに浸入することが原因で発生する。例えば、国際公開第2011/089939号には、接着剤を工夫することにより、接着部分の不良を低減させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インクジェットヘッドに用いるインクには様々な成分が含まれる。そのため、接着剤の組成や接着剤の使用方法を最適化しただけでは、全てのインクに対応することは困難である。
一方、上述のインクが噴射チャネルから漏れ出て非噴射チャネルに浸入した場合であっても、非噴射チャネルに浸入したインク(第1液体)が非噴射チャネルに設けられる電極に接触することを抑制することが要求されている。
【0005】
本開示は、非噴射チャネルに浸入した第1液体が非噴射チャネルに設けられる電極に接触することを抑制することができる液体噴射ヘッドチップ、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
(1)本開示の一態様に係る液体噴射ヘッドチップは、第1液体を噴射するノズル孔に連通する噴射チャネルと、前記第1液体を噴射しない非噴射チャネルと、を有するアクチュエータプレートを備え、前記非噴射チャネルの少なくとも一部には、前記第1液体とは異なる第2液体が充填されており、前記アクチュエータプレートに接合され、前記噴射チャネルに連通する第1液体流路と、前記非噴射チャネルに連通する第2液体流路と、を有するカバープレートを更に備え、前記第2液体流路は、前記非噴射チャネルの第1端に連通する供給流路と、前記非噴射チャネルの第2端に連通する排出流路と、を含み、前記第2液体は、前記供給流路、前記非噴射チャネル及び前記排出流路を通じて循環している。
【0007】
本態様によれば、第1液体が噴射チャネルから漏れ出て非噴射チャネルに浸入した場合であっても、第2液体の介在により、非噴射チャネルに浸入した第1液体が非噴射チャネルに設けられる電極に接触することを抑制することができる。
さらに、非噴射チャネルにおける第2液体の循環により、非噴射チャネルに浸入した第1液体が非噴射チャネルに設けられる電極に接触することをより効果的に抑制することができる。
加えて、発熱部である噴射チャネルを冷却することができる。
例えば、噴射チャネルを通るインクを冷却に用いる構成の場合、インクの噴射量が増加したときに冷却効率が低下する可能性がある。これに対しこの構成によれば、非噴射チャネルに第2液体を循環させることで、第1液体の噴射量が増加しても冷却効率が低下しないため、冷却効率のばらつきを抑制することができる。
例えば、ヘッドチップに接する部位に冷却用部材を配置する構成の場合、発熱部である噴射チャネルと冷却用部材とが遠く離れる可能性がある。これに対しこの構成によれば、第2液体が循環する非噴射チャネルは、発熱部である噴射チャネルに近いため、効率よく冷却することができる。
【0008】
(2)上記(1)の態様の液体噴射ヘッドチップにおいて、前記第1液体は、導電性を有し、前記第2液体は、前記第1液体よりも導電性が低いことが好ましい。
本態様によれば、導電性を有する第1液体が噴射チャネルから漏れ出て非噴射チャネルに浸入した場合であっても、第1液体よりも導電性が低い第2液体の介在により、非噴射チャネルに浸入した第1液体の導電率を低下させることができるため、不良発生時期を遅らせることができる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)の態様の液体噴射ヘッドチップにおいて、前記噴射チャネル及び前記非噴射チャネルは、それぞれ複数設けられ、複数の前記噴射チャネル及び前記非噴射チャネルは、前記アクチュエータプレートの厚さ方向から見て、それぞれ第1方向に延びるとともに、前記第1方向に交差する第2方向に間隔をあけて交互に配置され、前記第2液体は、複数の前記非噴射チャネルのそれぞれを通じて循環していることが好ましい。
本態様によれば、各非噴射チャネルにおける第2液体の循環により、発熱部である各噴射チャネルを冷却することができるため、各噴射チャネルの間で温度分布が生じることを抑制することができる。
【0011】
(4)上記(3)の態様の液体噴射ヘッドチップにおいて、前記供給流路は、複数の前記非噴射チャネルの前記第1端のそれぞれに跨って前記第2方向に延び、前記排出流路は、複数の前記非噴射チャネルの前記第2端のそれぞれに跨って前記第2方向に延びていることが好ましい。
本態様によれば、複数の非噴射チャネルの第1端に跨って連通する供給流路と、複数の非噴射チャネルの第2端に跨って連通する排出流路と、を通じて各非噴射チャネルに第2液体を循環することができるため、発熱部である噴射チャネルをより効果的に冷却することができる。
【0012】
(5)本開示の一態様に係る液体噴射ヘッドは、上記(1)から(4)のいずれかの態様の液体噴射ヘッドチップを備える。
本態様によれば、上記態様の液体噴射ヘッドチップを備えるため、非噴射チャネルに浸入した第1液体が非噴射チャネルに設けられる電極に接触することを抑制することができ、さらに非噴射チャネルにおける第2液体の循環により、非噴射チャネルに浸入した第1液体が非噴射チャネルに設けられる電極に接触することをより効果的に抑制することができ、加えて発熱部である噴射チャネルを冷却することができる液体噴射ヘッドを提供することができる。
【0013】
(6)本開示の一態様に係る液体噴射記録装置は、上記(5)の態様の液体噴射ヘッドを備える。
本態様によれば、上記態様の液体噴射ヘッドを備えるため、非噴射チャネルに浸入した第1液体が非噴射チャネルに設けられる電極に接触することを抑制することができ、さらに非噴射チャネルにおける第2液体の循環により、非噴射チャネルに浸入した第1液体が非噴射チャネルに設けられる電極に接触することをより効果的に抑制することができ、加えて発熱部である噴射チャネルを冷却することができる液体噴射記録装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様によれば、非噴射チャネルに浸入した第1液体が非噴射チャネルに設けられる電極に接触することを抑制することができ、さらに非噴射チャネルにおける第2液体の循環により、非噴射チャネルに浸入した第1液体が非噴射チャネルに設けられる電極に接触することをより効果的に抑制することができ、加えて発熱部である噴射チャネルを冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図。
【
図2】第1実施形態に係るインクジェットヘッド及びインク循環機構の概略構成図。
【
図3】第1実施形態に係るアクチュエータプレート、カバープレート及びノズルプレートの分解斜視図。
【
図4】第1実施形態に係るアクチュエータプレートの上面図。
【
図5】第1実施形態に係るアクチュエータプレート及び中間プレートの上面図。
【
図7】第1実施形態に係るアクチュエータプレートの下面図。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿うインクジェットヘッドの断面図。
【
図9】
図7のIX-IX線に沿うインクジェットヘッドの断面図。
【
図10】
図7のX-X線に沿うアクチュエータプレート及びカバープレートの断面図。
【
図11】第1実施形態に係るインク循環流路及び第2液体循環流路の説明図。
【
図12】第1実施形態に係るアクチュエータプレートの各チャネルをカバープレートの各流路と共に示す上面図。
【
図13】第1実施形態に係るカバープレートの各流路を第2流路部材の各孔と共に示す上面図。
【
図14】第1実施形態に係る第1流路部材の上面図。
【
図15】第2実施形態に係るインク循環流路及び第2液体循環流路の説明図。
【
図16】第2実施形態に係るアクチュエータプレートの各チャネルをカバープレートの各流路と共に示す上面図。
【
図17】第2実施形態に係るカバープレートの各流路を第2流路部材の各孔と共に示す上面図。
【
図18】第2実施形態に係る第1流路部材の上面図。
【
図19】第3実施形態に係るインク循環流路及び第2液体循環流路の説明図。
【
図20】第3実施形態に係るアクチュエータプレートの各チャネルをカバープレートの各流路と共に示す上面図。
【
図21】第3実施形態に係るカバープレートの各流路を第2流路部材の各孔と共に示す上面図。
【
図22】第4実施形態に係るインク循環流路及び第2液体循環流路の説明図。
【
図23】第4実施形態に係るアクチュエータプレートの各チャネルをカバープレートの各流路と共に示す上面図。
【
図24】第4実施形態に係るカバープレートの各流路を第2流路部材の各孔と共に示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。以下の実施形態では、本開示の液体噴射ヘッドチップ(以下、単にヘッドチップという。)を備えた液体噴射ヘッドを具備する液体噴射記録装置の一例として、インク(液体)を利用して被記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという。)を例に挙げて説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0017】
(第1実施形態)
[プリンタ]
図1はプリンタ1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ1は、一対の搬送機構2,3と、インクタンク4と、インクジェットヘッド5(液体噴射ヘッド)と、インク循環機構6と、走査機構7と、を備える。なお、
図1においては、プリンタ1の筐体を二点鎖線で示すことにより、筐体内部を示している。
【0018】
なお、以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。X方向は、被記録媒体P(例えば、紙等)の搬送方向(副走査方向)と一致している。Y方向は、走査機構7の走査方向(主走査方向)と一致している。Z方向は、X方向及びY方向に直交する上下方向(重力方向)を示している。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。本明細書において、+Z側は重力方向の上方に相当し、-Z側は重力方向の下方に相当する。
【0019】
搬送機構2,3(第1搬送機構2及び第2搬送機構3)は、被記録媒体PをX方向(例えば+X側)に搬送する。具体的に、第1搬送機構2は、Y方向に延びる第1グリットローラ11と、第1グリットローラ11と平行に延びる第1ピンチローラ12と、第1グリットローラ11を軸回転させるモータ等の駆動機構(不図示)と、を備える。第2搬送機構3は、第1グリットローラ11と平行に延びる第2グリットローラ13と、第2グリットローラ13と平行に延びる第2ピンチローラ14と、第2グリットローラ13を軸回転させる駆動機構(不図示)と、を備える。
【0020】
インクタンク4は、X方向に並んで複数設けられている。実施形態において、複数のインクタンク4は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの四色のインクをそれぞれ収容するインクタンク4Y,4M,4C,4Kである。
【0021】
図2は、インクジェットヘッド及びインク循環機構の概略構成図である。
図2に示すように、インク循環機構6は、インクタンク4とインクジェットヘッド5との間でインクを循環させる。具体的に、インク循環機構6は、循環流路23を構成するインク供給管21及びインク排出管22と、インク供給管21に接続された加圧ポンプ24と、インク排出管22に接続された吸引ポンプ25と、を備える。例えば、インク供給管21及びインク排出管22は、インクジェットヘッド5を支持する走査機構7(
図1参照)の動作に追従可能な程度に可撓性を有するフレキシブルホースにより構成されている。
【0022】
加圧ポンプ24は、インク供給管21内を加圧し、インク供給管21を通してインクジェットヘッド5にインクを送り出している。これにより、インクジェットヘッド5に対してインク供給管21側は正圧となっている。
【0023】
吸引ポンプ25は、インク排出管22内を減圧し、インク排出管22内を通してインクジェットヘッド5からインクを吸引している。これにより、インクジェットヘッド5に対してインク排出管22側は負圧となっている。インクは、加圧ポンプ24及び吸引ポンプ25の駆動により、インクジェットヘッド5とインクタンク4との間を、循環流路23を通して循環可能となっている。
【0024】
図1に示すように、走査機構7は、インクジェットヘッド5をY方向に往復走査させる。具体的に、走査機構7は、Y方向に延びる一対のガイドレール31,32と、一対のガイドレール31,32に移動可能に支持されたキャリッジ33と、キャリッジ33をY方向に移動させる駆動機構34と、を備える。なお、搬送機構2,3及び走査機構7は、インクジェットヘッド5と被記録媒体Pとを相対的に移動させる移動機構として機能する。
【0025】
駆動機構34は、X方向におけるガイドレール31,32の間に配置されている。駆動機構34は、Y方向に間隔をあけて配置された一対のプーリ35,36と、一対のプーリ35,36間に巻回された無端ベルト37と、一方のプーリ35を回転駆動させる駆動モータ38と、を備える。
【0026】
キャリッジ33は、無端ベルト37に連結されている。キャリッジ33には、Y方向に並んで複数のインクジェットヘッド5が搭載されている。実施形態において、複数のインクジェットヘッド5は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの四色のインクをそれぞれ噴射するインクジェットヘッド5Y,5M,5C,5Kである。
【0027】
なお、本実施形態のプリンタ1は、インク(第1液体)を循環させるインク循環機構6に加え、インクとは異なる第2液体を循環させる第2液体循環機構(不図示)を備える。例えば、インクは、導電性を有する水性インクである。例えば、第2液体は、インクよりも導電性が低い。第2液体循環機構は、第2液体を貯留するタンク(不図示)とインクジェットヘッド5との間で第2液体を循環させる。
【0028】
[インクジェットヘッド]
図3は、アクチュエータプレート50、カバープレート60及びノズルプレート41の分解斜視図である。
図4は、アクチュエータプレート50の上面図である。
図5は、アクチュエータプレート50及び中間プレート42の上面図である。
図6は、
図4のVI-VI断面図である。なお、
図3では、中間プレート42の図示を省略している。
図4では、ノズル列Nr1,Nr2(第1ノズル列Nr1及び第2ノズル列Nr2)を破線で示している。
図5では、第1ノズル列Nr1を破線で示している。
【0029】
図3に示すように、インクジェットヘッド5は、ヘッドチップ40、ノズルプレート41及び中間プレート42を備える。インクジェットヘッド5は、アクチュエータプレート50の厚さ方向、すなわち噴射チャネル51の深さ方向にインクが通過する、いわゆるサイドシュートタイプのインクジェットである。
【0030】
[ヘッドチップ]
ヘッドチップ40は、アクチュエータプレート50及びカバープレート60を備える。図示はしないが、ヘッドチップ40の表面(内部の表面を含む)の必要個所には、ポリパラキシリレン膜などの保護膜が形成されている。
【0031】
[アクチュエータプレート]
アクチュエータプレート50の外形は、X方向に長手を有しかつY方向に短手を有する矩形板状をなしている。アクチュエータプレート50の下面(-Z側面)は、中間プレート42(
図6参照)を介してノズルプレート41が配置される面である。
【0032】
アクチュエータプレート50は、例えば、圧電材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含む。圧電材料の種類は、特に限定されないが、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などである。実施形態のアクチュエータプレート50は、分極方向が厚さ方向(Z方向)で異なる2枚の圧電基板を積層した、いわゆるシェブロンタイプの積層基板である。
【0033】
アクチュエータプレート50は、Y方向において所定の間隔をおいて配列された複数(例えば本実施形態では2列)のチャネル列Ch1,Ch2を有している。以下、2列のチャネル列Ch1,Ch2のうちの一方を第1チャネル列Ch1、他方を第2チャネル列Ch2ともいう。なお、特に区別する必要がない場合は、2列のチャネル列Ch1,Ch2をチャネル列と称して説明する。
【0034】
図4に示すように、チャネル列は、X方向に延びている。チャネル列は、Y方向に延びると共にX方向に間隔をおいて配列された複数のチャネル51,52,53を含む。各チャネル51,52,53は、圧電体を含む駆動壁Wdにより画定されている。複数のチャネル51,52,53は、インクを噴射する噴射チャネル51と、インクを噴射しない非噴射チャネル52,53(第1非噴射チャネル52及び第2非噴射チャネル53)と、を含む。噴射チャネル51及び非噴射チャネル52,53は、X方向において交互に配置されている。なお、
図3~
図6においては、第1非噴射チャネル52及び第2非噴射チャネル53がY方向に互いに分離している様子を省略している。
【0035】
第1チャネル列Ch1の噴射チャネル51及び非噴射チャネル52,53と、第2チャネル列Ch2の噴射チャネル51及び非噴射チャネル52,53とは、それぞれX方向において互い違いとなるように配列されている。すなわち、各チャネル列Ch1,Ch2の噴射チャネル51同士及び非噴射チャネル52,53同士は、X方向において千鳥状に配列されている。
【0036】
図7は、アクチュエータプレート50の下面図である。
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿うインクジェットヘッド5の断面図である。
図9は、
図7のIX-IX線に沿うインクジェットヘッド5の断面図である。
図10は、
図7のX-X線に沿うアクチュエータプレート50及びカバープレート60の断面図である。
【0037】
図7に示すように、アクチュエータプレート50の下面は、ノズル孔41a(
図8参照)の周辺の第1領域Re1と、第1領域Re1以外の第2領域Re2と、を有する。アクチュエータプレート50の下面は、噴射チャネル51及び非噴射チャネル52,53のいずれも形成されないチャネル非形成領域Rnを含む。なお、チャネル非形成領域Rnは、アクチュエータプレート50の下面においてノズルプレート41や中間プレート42を貼る側の面にあり、カバープレート60を貼る側の面にもある。
【0038】
第1領域Re1は、アクチュエータプレート50の下面のうちノズルプレート41(
図8参照)と対向する領域である。第2領域Re2は、アクチュエータプレート50の下面のうちノズルプレート41と対向しない領域である。第2領域Re2は、Y方向において第1領域Re1よりも外側に配置されている。第2領域Re2は、外部基板45(
図3参照)が接続される接続領域Rcを含む。第2領域Re2は、アクチュエータプレート50のY方向の端部(以下、尾部50Yともいう。)に設けられている。
【0039】
噴射チャネル51は、第1領域Re1に設けられている。噴射チャネル51は、第2領域Re2には設けられていない。噴射チャネル51は、Z方向から見てY方向に延びる矩形状を有する。
図8の断面視で、噴射チャネル51は、Y方向に延びる延在部51aと、延在部51aからY方向に連なる切り上がり部51bと、を有する。延在部51aは、Y方向の全体にわたって一様な溝深さを有する。切り上がり部51bは、延在部51aの両端からY方向の外側に向かうに従って溝深さが漸次浅くなっている。
【0040】
図7に示すように、非噴射チャネル52,53は、第1領域Re1に設けられた第1非噴射チャネル52と、第1非噴射チャネル52とは分離して第2領域Re2に設けられた第2非噴射チャネル53と、を有する。なお、非噴射チャネル52,53のうち第1非噴射チャネル52には、インクとは異なる第2液体(不図示)が充填されている。
【0041】
第1非噴射チャネル52のY方向の長さは、噴射チャネル51のY方向の長さよりも大きい。噴射チャネル51は、第1非噴射チャネル52のY方向の略中央に対応する位置に配置されている。
図9の断面視で、第1非噴射チャネル52は、Y方向に延びる延在部52aと、延在部52aからY方向に連なる切り上がり部52bと、を有する。延在部52aは、Y方向の全体にわたって一様な溝深さを有する。切り上がり部52bは、延在部52aの両端からY方向の外側に向かうに従って溝深さが漸次浅くなっている。
【0042】
図7に示すように、第2非噴射チャネル53は、Y方向において噴射チャネル51よりも外側に配置されている。第2非噴射チャネル53は、尾部50Yに設けられている。
図9の断面視で、第2非噴射チャネル53は、Y方向に延びる延在部53aと、延在部53aからY方向に連なる切り上がり部53bと、を有する。延在部53aは、Y方向の全体にわたって一様な溝深さを有する。切り上がり部53bは、延在部53aの一端からY方向の外側に向かうに従って溝深さが漸次浅くなっている。
【0043】
図6に示すように、複数の駆動壁Wdのそれぞれの側面には、Y方向に延びる駆動電極55が設けられている。駆動電極55は、複数の噴射チャネル51を圧力室として機能させるために、駆動壁Wdを電気的に駆動(変形)させる電極である。駆動電極55は、噴射チャネル51を画定する駆動壁Wdの側面(噴射チャネル51の内面)に設けられた一対の共通電極56と、非噴射チャネル52,53を画定する駆動壁Wdの側面(非噴射チャネル52,53の内面)に設けられた一対の個別電極57と、を含む。
【0044】
同一の噴射チャネル51内で対向する一対の共通電極56は、互いに電気的に分離されている。
図8に示すように、共通電極56は、駆動壁Wdの下面(-Z側面)から噴射チャネル51のZ方向の中央位置よりも+Z側の領域に形成されている。共通電極56は、例えば、分極方向が異なる2つの圧電基板の境界(接合面)よりも、+Z側の位置まで延びている。
【0045】
アクチュエータプレート50の下面には、共通電極56と電気的に接続された複数の共通パッド58が設けられている。共通パッド58は、同一の噴射チャネル51内で対向する一対の共通電極56同士を電気的に接続している。共通パッド58は、噴射チャネル51の周囲に設けられている。
【0046】
図6に示すように、同一の非噴射チャネル52,53(第1非噴射チャネル52及び第2非噴射チャネル53)内で対向する一対の個別電極57は、互いに電気的に分離されている。
図9に示すように、個別電極57は、駆動壁Wdの下面から非噴射チャネル52,53のZ方向の中央位置よりも+Z側の領域に形成されている。個別電極57は、例えば、分極方向が異なる2つの圧電基板の境界(接合面)よりも、+Z側の位置まで延びている。
【0047】
アクチュエータプレート50の下面には、個別電極57と電気的に接続された複数の個別パッド59が設けられている。個別パッド59は、噴射チャネル51を介して対向する一対の個別電極57同士を電気的に接続している。
図7に示すように、個別パッド59は、噴射チャネル51を間にして隣り合う非噴射チャネル52,53の間に配置されている。個別パッド59は、共通パッド58と電気的に分離して設けられている。個別パッド59は、Y方向において共通パッド58よりも外側に配置されている。個別パッド59は、X方向に隣り合う第2非噴射チャネル53に跨るように設けられている。
【0048】
アクチュエータプレート50の下面には、共通パッド58と個別パッド59とを電気的に分離する電極分離部Spが設けられている。電極分離部Spは、Y方向に沿って直線状に延びている。電極分離溝のY方向の一端は、溝部Diに接続されている。電極分離部SpのY方向の他端は、アクチュエータプレート50の下面において電極が形成されていない部分(電極非形成部50N)に接続されている。なお、電極分離部Spは、アクチュエータプレート50の下面において第1非噴射チャネル52及び第2非噴射チャネル53をつなぐように配置されており、隣の個別電極57との分離を行っている。
【0049】
図3に示すように、尾部50Yには、駆動電極55とインクジェットヘッド5とを互いに電気的に接続させるための外部基板45が実装されている。例えば、外部基板45は、可撓性を有するフレキシブルプリント基板である。ただし、
図3では、外部基板45の一部の外縁(輪郭)を破線で示している。外部基板45に形成されている配線パターンは、上記した共通パッド58及び個別パッド59(
図7参照)のそれぞれに電気的に接続されている。これにより、外部基板45を介してインクジェットヘッド5から各駆動電極55に駆動電圧が印加される。
【0050】
図7に示すように、アクチュエータプレート50の下面における共通パッド58と個別パッド59との間には、X方向に沿って延びる溝部Diが設けられている。溝部DiのY方向の幅は、外部基板45に形成された不図示の接続配線のY方向の幅よりも大きい。これにより、外部基板45をアクチュエータプレート50に接続したとき、アクチュエータプレート50の溝部Diに対応する位置に、外部基板45の接続配線を配置することで、外部基板45の接続配線とアクチュエータプレート50の個別パッド59とが接触することを防止することができる。したがって、外部基板45の接続配線と、アクチュエータプレート50の個別パッド59及び個別パッド59に接続された個別電極57との電気的短絡を防止することができる。
【0051】
なお、
図9に示すように、溝部DiのZ方向の長さ(深さ)は、駆動壁Wdの側面に設けられた各電極のZ方向の長さよりも小さいことが好ましい。これにより、駆動壁Wdの側面において各電極を分断することなく溝部Diを形成することができる。
【0052】
[カバープレート]
図3に示すように、カバープレート60の外形は、X方向に長手を有しかつY方向に短手を有する矩形板状をなしている。例えば、カバープレート60の長手及び短手の長さは、アクチュエータプレート50の長手及び短手の長さと略同じである。
【0053】
カバープレート60は、アクチュエータプレート50(複数の噴射チャネル51)にインクを導入すると共に、アクチュエータプレート50からインクを排出させるプレートである。
図6に示すように、アクチュエータプレート50は、中間プレート42とカバープレート60との間に配置されている。カバープレート60の下面は、アクチュエータプレート50の上面に接合されている。
【0054】
図3に示すように、カバープレート60は、噴射チャネル51に連通するインク流路Lp1,Lp2(第1液体流路)を有する。なお、インク流路Lp1,Lp2は、非噴射チャネル52,53には連通していない(
図9参照)。インク流路Lp1,Lp2は、第1チャネル列Ch1の噴射チャネル51に対応する第1流路Lp1と、第2チャネル列Ch2の噴射チャネル51に対応する第2流路Lp2と、の2組設けられている。
【0055】
インク流路Lp1,Lp2は、X方向に延びている。なお、特に区別する必要がない場合は、2組の流路をインク流路と称して説明する。
図8に示すように、インク流路は、カバープレート60を+Z側に開口するマニホールド60aと、マニホールド60aに連通するとともに-Z側に開口するスリット60bと、を有する。マニホールド60aは、スリット60bを通じて噴射チャネル51と連通している。なお、マニホールド60aは、非噴射チャネル52には連通していない(
図9参照)。
【0056】
図3に示すように、インク流路は、噴射チャネル51にインクを供給するインク供給流路61と、噴射チャネル51からインクを排出するインク排出流路62と、を有する。第1流路Lp1のインク供給流路61及び第2流路Lp2のインク供給流路61は、Y方向において互いに隣り合う位置に配置されていてもよい。
【0057】
図8に示すように、インク供給流路61は、噴射チャネル51のY方向の一端に連通している。インク供給流路61は、各噴射チャネル51のY方向の一端に跨ってX方向に延びている。インクは、インク供給流路61を経由して各噴射チャネル51に供給される。
【0058】
インク排出流路62は、噴射チャネル51のY方向の他端に連通している。インク排出流路62は、各噴射チャネル51のY方向の他端に跨ってX方向に延びている。インクは、インク排出流路62を経由して各噴射チャネル51から排出される。
【0059】
カバープレート60は、アクチュエータプレート50(複数の第1非噴射チャネル52)に第2液体を導入すると共に、アクチュエータプレート50から第2液体を排出させるプレートとしても機能する。
図3に示すように、カバープレート60は、第1非噴射チャネル52に連通する第2液体流路Lq1,Lq2を有する。なお、第2液体流路Lq1,Lq2は、噴射チャネル51には連通していない(
図8参照)。第2液体流路Lq1,Lq2は、第1チャネル列Ch1の第1非噴射チャネル52に対応する第1非噴射側流路Lq1と、第2チャネル列Ch2の第1非噴射チャネル52に対応する第2非噴射側流路Lq2と、の2組設けられている。
【0060】
第2液体流路Lq1,Lq2は、X方向に延びている。第2液体流路Lq1,Lq2は、各第1非噴射チャネル52のY方向の端部及びチャネル非形成領域Rnに跨って開口している(
図10参照)。なお、特に区別する必要がない場合は、2組の流路を第2液体流路と称して説明する。
【0061】
図3に示すように、第2液体流路は、第1非噴射チャネル52に第2液体を供給する第2液体供給流路63(供給流路)と、第1非噴射チャネル52から第2液体を排出する第2液体排出流路64(排出流路)と、を有する。第1非噴射側流路Lq1の第2液体供給流路63及び第2非噴射側流路Lq2の第2液体供給流路63は、Y方向において互いに隣り合う位置に配置されていてもよい。
【0062】
図9に示すように、第2液体供給流路63は、第1非噴射チャネル52のY方向の一端に連通している。第2液体供給流路63は、各第1非噴射チャネル52のY方向の一端及びチャネル非形成領域Rn(
図10参照)に跨って開口している。第2液体は、第2液体供給流路63を経由して各第1非噴射チャネル52に供給される。
【0063】
第2液体排出流路64は、第1非噴射チャネル52のY方向の他端に連通している。第2液体排出流路64は、各第1非噴射チャネル52のY方向の他端及びチャネル非形成領域Rn(
図10参照)に跨って開口している。第2液体は、第2液体排出流路64を経由して各第1非噴射チャネル52から排出される。
【0064】
なお、カバープレート60は、絶縁性を有し、かつアクチュエータプレート50の形成材料の熱伝導率と同等以上の熱伝導率を有する材料により形成されているとよい。例えば、アクチュエータプレート50をPZTにより形成した場合、カバープレート60は、PZTまたはシリコンにより形成することが好ましい。これにより、アクチュエータプレート50での温度ばらつきを緩和し、インク温度の均一化を図ることができる。これにより、インクの噴射速度の均一化を図り、印字安定性を向上させることができる。
【0065】
[ノズルプレート]
図3に示すように、ノズルプレート41の外形は、X方向に長手を有しかつY方向に短手を有する矩形板状をなしている。
図6に示すように、ノズルプレート41は、中間プレート42を介してアクチュエータプレート50に対向配置されている。
図4に示すように、ノズルプレート41は、Y方向に所定の間隔をおいて配列された複数(例えば本実施形態では2列)のノズル列Nr1,Nr2を有する。インクジェットヘッド5は、いわゆる2列タイプのインクジェットヘッドでる。2列のノズル列Nr1,Nr2は、第1チャネル列Ch1に対応する第1ノズル列Nr1と、第2チャネル列Ch2に対応する第2ノズル列Nr2と、である。なお、特に区別する必要がない場合は、2列のノズル列をノズル列と称して説明する。
【0066】
ノズル列は、X方向に延びている。ノズル列は、X方向に所定の間隔をおいて配列された複数のノズル孔41aを有する。ノズル孔41aは、インクの噴射口である。ノズル孔41aは、ノズルプレート41をZ方向に貫通している。ノズル孔41aの開口形状(Z方向から見たノズル孔41aの形状)は、例えば、円形である。
【0067】
図6に示すように、ノズル孔41aからインクが噴射される方向(インクの噴射方向)は、-Z側である。言い換えると、インクの噴射方向は、アクチュエータプレート50からノズルプレート41に向かう方向である。ノズル孔41aの内径は、インクの噴射方向に向かって次第に小さくなっている。すなわち、ノズル孔41aは、-Z側に向かって縮径するテーパ状の貫通口である。
【0068】
ノズル孔41aは、連通孔42aを介して噴射チャネル51に連通している。これにより、各噴射チャネル51から供給されるインクは、各ノズル孔41aから噴射される。
一方、ノズル孔41aは、非噴射チャネル52,53には連通していない。非噴射チャネル52,53は、ノズルプレート41によって下方から覆われている。
【0069】
図5に示すように、ノズル孔41aは、噴射チャネル51のY方向の略中央領域に対応する位置に配置されている。X方向における複数のノズル孔41aのピッチ(互いに隣り合う2個のノズル孔41aの間の距離)は、X方向における複数の噴射チャネル51のピッチ(互いに隣り合う2個の噴射チャネル51の間の距離)と略同じである。
図4に示すように、第1ノズル列Nr1のノズル孔41a及び第2ノズル列Nr2のノズル孔41aは、X方向において互い違いとなるように配列されている。すなわち、各ノズル列Nr1,Nr2のノズル孔41a同士は、X方向において千鳥状に配列されている。
【0070】
なお、ノズルプレート41は、導電性材料により形成されていてもよい。導電性材料の種類は、特に限定されないが、例えば、ステンレス(SUS)などの金属材料であることが好ましい。金属材料は高い擦過性を有するため、ノズルプレート41が金属材料を含むことにより、ノズルプレート41の物理的強度が向上する。なお、SUSの種類は、特に限定されないが、例えば、SUS316L及びSUS304などが挙げられる。
【0071】
[中間プレート]
中間プレート42の外形は、X方向に長手を有しかつY方向に短手を有する矩形板状をなしている。例えば、中間プレート42の外形は、ノズルプレート41の外形と略同じである。
図6に示すように、中間プレート42は、ノズルプレート41とアクチュエータプレート50との間に配置されている。中間プレート42は、ノズルプレート41とアクチュエータプレート50とを互いに位置合わせするためのプレートである。
【0072】
中間プレート42は、複数のチャネル51,52,53及び複数のノズル孔41aのそれぞれに対応する位置に、複数の連通孔42aを有する。各連通孔42aは、各チャネル51,52,53と同様に配置されている。
図5に示すように、各連通孔42aは、Y方向に延びていると共に、X方向において所定の間隔をおいて配列されている。
【0073】
連通孔42aのX方向の幅は、噴射チャネル51のX方向の幅よりも大きいことが好ましい。これにより、噴射チャネル51からノズル孔41aに供給されるインクの流れがアクチュエータプレート50により阻害されにくくなる。そのため、例えばインクの噴射方向の偏向など、インクの噴射特性に関する不具合が発生しにくくなる。なお、より好ましくは、噴射チャネル51は、Z方向から見て連通孔42aの幅により画定される領域内に配置されているとよい。
【0074】
中間プレート42は、絶縁性材料により形成されていることが好ましい。絶縁性材料の種類は、特に限定されないが、例えば、ガラス、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフターレートなどが挙げられる。例えば、中間プレート42の基材を上述の材料で形成した場合には、基材の周囲をポリパラキシリレンなどで覆う構造も可能である。
また、中間プレート42の材料としては、アルミナ等が挙げられる。なお、中間プレート42は、上述した材料に限らず、アクチュエータプレート50と同様にPZT等の圧電材料により形成されていてもよい。
【0075】
図6に示すように、ノズルプレート41及びアクチュエータプレート50は、中間プレート42を介して互いに貼り合わされている。これにより、導電性のノズルプレート41と導電性のアクチュエータプレート50とは、絶縁性の中間プレート42を介して電気的に分離(絶縁)されている。ノズルプレート41とアクチュエータプレート50とが中間プレート42を介して絶縁されていると、ノズルプレート41の形成材料として導電性材料を使用可能になると共に、アクチュエータプレート50の形成材料として圧電材料を使用可能になる。そのため、ノズルプレート41の形成材料として高擦過性を有する金属材料などを使用可能になる。これにより、ノズルプレート41とアクチュエータプレート50との短絡を抑制しつつ、ノズルプレート41が破損(摩耗など)しにくくなる。
【0076】
例えば、中間プレート42は、ノズルプレート41の線膨張率E2とアクチュエータプレート50の線膨張率E3との間の線膨張率E1(E2<E1<E3またはE3<E1<E2)を有することが好ましい。上記関係を満たすことにより、ノズルプレート41、中間プレート42及びアクチュエータプレート50のそれぞれが熱変形した際に、線膨張率(熱膨張率)の違いに起因するノズルプレート41及びアクチュエータプレート50のそれぞれの変位が中間プレート42により吸収される。そのため、ノズルプレート41とアクチュエータプレート50との間に中間プレート42が介在していない場合と比較して、熱変形に起因するノズルプレート41及びアクチュエータプレート50の剥離を抑制することができる。よって、インクの噴射時において偏向などの不具合が発生しにくくなる。
【0077】
[インク循環流路及び第2液体循環流路]
本実施形態では、インクは、インク循環機構6(
図2参照)により、インクタンク4とインクジェットヘッド5との間で循環している。インクは、インク供給流路61、噴射チャネル51及びインク排出流路62を通じて循環している(
図8参照)。インク供給流路61、噴射チャネル51及びインク排出流路62は、インク循環流路を構成している。
一方、第2液体は、第2液体循環機構(不図示)により、第2液体を貯留するタンク(不図示)とインクジェットヘッド5との間で循環している。第2液体は、第2液体供給流路63、第1非噴射チャネル52及び第2液体排出流路64を通じて循環している(
図9参照)。第2液体供給流路63、第1非噴射チャネル52及び第2液体排出流路64は、第2液体循環流路を構成している。
【0078】
第2液体の種類は、特に限定されないが、非噴射チャネルに浸入した水性インクが非噴射チャネルに設けられる電極に接触することを抑制する観点からは、第2液体は水性インクと混合しない溶液(例えば油性溶液)を含むことが好ましい。例えば、油性溶液としては、動植物油、鉱物油、シリコンオイル等が挙げられる。
【0079】
例えば、非噴射チャネルに浸入した液体(例えば導電性を有する水性インク)の導電率を低下させる観点からは、第2液体は水性インクの単体では導電性のない成分の溶液を含むことが好ましい。例えば、第2液体は、以下の水溶性有機溶剤のうち1つ以上を含むことが好ましい。例えば、水溶性有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチルイミイダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
【0080】
例えば、ヘッドチップの発熱部である噴射チャネルの冷却効率向上の観点からは、第2液体として冷却液を用いることが好ましい。例えば、冷却液としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、メタノール、シリコンオイル等が挙げられる。
【0081】
特に、第2液体がシリコンオイルを含むことは、非噴射チャネルに浸入した水性インクが非噴射チャネルに設けられる電極に接触することを抑制する観点、及びヘッドチップの発熱部である噴射チャネルの冷却効率向上の観点の両面から、より好ましい。
また、第2液体がエチレングリコールやプロピレングリコールを含むことは、非噴射チャネルに浸入した液体(例えば導電性を有する水性インク)の導電率を低下させる観点、及びヘッドチップの発熱部である噴射チャネルの冷却効率向上の観点の両面から、より好ましい。
【0082】
図11は、インク循環流路及び第2液体循環流路の説明図である。
図12は、アクチュエータプレートの各チャネルをカバープレートの各流路と共に示す上面図である。
図13は、カバープレートの各流路を第2流路部材の各孔と共に示す上面図である。
図14は、第1流路部材の上面図である。
図11においては、インク循環流路F1として、循環するインクの流れ方向を矢印F1で示している。また、第2液体循環流路F2として、循環する第2液体の流れ方向を矢印F2で示している。
【0083】
図11に示すように、第1流路部材80、第2流路部材90、カバープレート60及びアクチュエータプレート50は、+Z側から順に配置されている。第1流路部材80は、第2流路部材90を介してカバープレート60の上面に連結されている。第1流路部材80は、インクを供給するインク供給部81と、インクを排出するインク排出部82と、第2液体を供給する第2液体供給部83と、第2液体を排出する第2液体排出部84と、を備える。インク供給部81、インク排出部82、第2液体供給部83及び第2液体排出部84は、それぞれZ方向に開口している。
【0084】
第2流路部材90は、インクを供給するインク供給孔91と、インクを排出するインク排出孔92と、第2液体を供給する第2液体供給孔93と、第2液体を排出する第2液体排出孔94と、を有する。インク供給孔91、インク排出孔92、第2液体供給孔93及び第2液体排出孔94は、それぞれZ方向に開口している。
【0085】
図12に示すように、噴射チャネル51及び非噴射チャネル52,53は、それぞれ複数設けられている。複数の噴射チャネル51及び非噴射チャネル52,53は、Z方向(アクチュエータプレート50の厚さ方向)から見て、それぞれY方向(第1方向)に延びるとともに、X方向(第1方向に交差する第2方向)に間隔をあけて交互に配置されている。第2液体は、複数の非噴射チャネル52,53のうち複数の第1非噴射チャネル52のそれぞれを通じて循環している。
【0086】
インク供給流路61(スリット60b)は、複数の噴射チャネル51のそれぞれの-Y側端に連通している。インク排出流路(スリット60b)は、複数の噴射チャネル51のそれぞれの+Y側端に連通している。
第2液体供給流路63は、複数の第1非噴射チャネル52の-Y側端(第1端)のそれぞれに跨ってX方向に延びている。第2液体排出流路64は、複数の第1非噴射チャネル52の+Y側端(第2端)のそれぞれに跨ってX方向に延びている。
【0087】
図13に示すように、インク供給孔91は、インク供給流路61の複数のスリット60bのそれぞれに跨ってX方向に延びている。インク供給孔91は、インク供給流路61の複数のスリット60bのそれぞれに連通している。インク排出孔92は、インク排出流路62の複数のスリット60bのそれぞれに跨ってX方向に延びている。インク排出孔92は、インク排出流路62の複数のスリット60bのそれぞれに連通している。
第2液体供給孔93は、第2液体供給流路63に沿ってX方向に延びている。第2液体供給孔93は、第2液体供給流路63に連通している。
第2液体排出孔94は、第2液体排出流路64に沿ってX方向に延びている。第2液体排出孔94は、第2液体排出流路64に連通している。
【0088】
図14に示すように、インク供給部81は、Z方向から見てインク供給孔91(
図13参照)の-X側端と重なる位置に配置されている。インク供給部81は、インク供給孔91の-X側端と連通するように開口している。インク排出部82は、Z方向から見てインク排出孔92(
図13参照)の+X側端と重なる位置に配置されている。インク排出部82は、インク排出孔82の+X側端と連通するように開口している。
第2液体供給部83は、Z方向から見て第2液体供給孔93(
図13参照)の-X側端と重なる位置に配置されている。第2液体供給部83は、第2液体供給孔93の-X側端と連通するように開口している。第2液体排出部84は、Z方向から見て第2液体排出孔94(
図13参照)の+X側端と重なる位置に配置されている。第2液体排出部84は、第2液体排出孔94の+X側端と連通するように開口している。
【0089】
図11に示すように、インクは、インク供給部81、インク供給孔91及びインク供給流路61を通じて噴射チャネル51に供給される。噴射チャネル51に供給されたインクは、インク排出流路62、インク排出孔92及びインク排出部82を通じて噴射チャネル51から排出される。噴射チャネル51から排出されたインクは、インク循環機構6(
図2参照)により、インク供給部81等を通じて噴射チャネル51に供給される。すなわち、インク供給部81、インク供給孔91、インク供給流路61、噴射チャネル51、インク排出流路62、インク排出孔92及びインク排出部82は、インク循環流路F1を構成している。
【0090】
一方、第2液体は、第2液体供給部83、第2液体供給孔93及び第2液体供給流路63を通じて第1非噴射チャネル52に供給される。第1非噴射チャネル52に供給された第2液体は、第2液体排出流路64、第2液体排出孔94及び第2液体排出部84を通じて第1非噴射チャネル52から排出される。第1非噴射チャネル52から排出された第2液体は、第2液体循環機構(不図示)により、第2液体供給部83等を通じて第1非噴射チャネル52に供給される。すなわち、第2液体供給部83、第2液体供給孔93、第2液体供給流路63、第1非噴射チャネル52、第2液体排出流路64、第2液体排出孔94及び第2液体排出部84は、第2液体循環流路F2を構成している。
【0091】
なお、第1インク循環流路F1を循環するインクの流れ方向は矢印F1方向に限らず、矢印F1方向とは逆方向であってもよい。また、第2液体循環流路F2を循環する第2液体の流れ方向は矢印F2方向に限らず、矢印F2方向とは逆方向であってもよい。例えば、第1インク循環流路F1を循環するインクの流れ方向と、第2液体循環流路F2を循環する第2液体の流れ方向とは、互いに逆方向であってもよい。
【0092】
[プリンタの動作]
図1に示すように、本実施形態のプリンタ1では、記録紙PがX方向に搬送されると共に、キャリッジ33がY方向に往復移動する。キャリッジ33上のインクジェットヘッド5がY方向に往復移動しながら記録紙Pにインクを噴射する。これにより、記録紙Pに画像などが記録される。
【0093】
[インクジェットヘッドの動作]
本実施形態のインクジェットヘッド5では、以下の手順により、せん断(シェア)モードを用いて記録紙Pにインクが噴射される。
【0094】
最初に、キャリッジ33が往復移動すると、外部基板45を介して、駆動電極55(共通電極56及び個別電極57)に駆動電圧が印加される。具体的には、噴射チャネル51を画定する一対の駆動壁Wdに設けられた各駆動電極55に駆動電圧が印加される。これにより、一対の駆動壁Wdのそれぞれは、噴射チャネル51に隣接された非噴射チャネル52,53に向かって突出するように変形する。
【0095】
ここで、上記したように、アクチュエータプレート50では、Z方向における分極方向が互いに異なる方向となるように設定された2枚の圧電基板が積層されている。加えて、駆動電極55は、駆動壁Wdの下面から駆動壁WdのZ方向の中央位置よりも+Z側の領域まで延びている。この場合には、駆動電極55に駆動電圧が印加されることにより、圧電厚み滑り効果によって、Z方向における駆動壁Wdの略中央位置を起点として、駆動壁Wdが屈曲変形する。これにより、各噴射チャネル51は、上記した駆動壁Wdの屈曲変形を利用して、あたかも膨らむように変形する。
【0096】
この圧電厚み滑り効果に基づく一対の駆動壁Wdの屈曲変形を利用して、各噴射チャネル51の容積が増大する。これにより、各インク供給流路61に供給されたインクは、各噴射チャネル51の内部に誘導される。
【0097】
続いて、各噴射チャネル51の内部に誘導されたインクは、圧力波として各噴射チャネル51の内部に伝播する。この場合には、ノズルプレート41に設けられたノズル孔41aに圧力波が到達したタイミングにおいて、駆動電極55に印加される駆動電圧がゼロ(0V)になる。これにより、屈曲変形した駆動壁Wdが元の状態に戻るため、各噴射チャネル51の容積が元に戻る。
【0098】
最後に、各噴射チャネル51の容積が元に戻ると、各噴射チャネル51の内部において圧力が増加するため、各噴射チャネル51の内部に誘導されたインクが加圧される。これにより、各ノズル孔41aから外部(記録紙P)に液滴状のインクが噴射される。
【0099】
この場合には、例えば、上記したように、ノズル孔41aの内径がインクの噴射方向に向かって次第に小さくなっているため、インクの噴射速度が増加すると共に、インクの直進性が向上する。これにより、記録紙Pに記録される画像などの品質が向上する。
【0100】
[インクジェットヘッドの製造方法]
本実施形態のインクジェットヘッド5の製造方法は、基板準備工程、カバープレート接合工程、チャネル形成工程、電極形成工程、電極分離工程、溝部形成工程、中間プレート接合工程、マスク配置工程、保護膜形成工程、マスク除去工程、ノズルプレート接合工程及び外部基板接続工程を含む。
【0101】
基板準備工程では、インクジェットヘッド5の構成要素を得るためのウエハ等を予め準備する。以下、アクチュエータプレート50を得るためのウエハをアクチュエータウエハ(以下、AWともいう。)とする。基板準備工程では、AWには複数のチャネルを含む溝を形成しておく。基板準備工程では、インク流路及び第2液体流路を有するカバープレートを準備しておく。基板準備工程の後、カバープレート接合工程に移る。
【0102】
カバープレート接合工程では、AWの上面にカバープレートを接合する。これにより、AWとカバープレートとを接合した接合ウエハを得る。カバープレート接合工程の後、チャネル形成工程に移る。
【0103】
チャネル形成工程では、例えばグラインダーにより、AWの下面を研削する。これにより、AWの下面に各チャネルを開口させる。チャネル形成工程の後、電極形成工程に移る。
【0104】
電極形成工程では、例えば斜方蒸着法により、各チャネルの内面及びAWの下面に導電膜を形成する。電極形成工程の後、電極分離工程に移る。
【0105】
電極分離工程では、例えばレーザーパターニングにより、AWの下面において、導電膜を共通パッド58と個別パッド59とに分離する(
図7参照)。電極分離工程の後、溝部形成工程に移る。
【0106】
溝部形成工程では、例えばダイサーにより、X方向に延びる溝部Diを形成する(
図7参照)。溝部形成工程の後、中間プレート接合工程に移る。
【0107】
中間プレート接合工程では、AWの下面の第1領域Re1(
図7参照)に中間プレート42を接合する(
図8参照)。中間プレート接合工程の後、マスク配置工程に移る。
【0108】
マスク配置工程では、AWの下面の尾部50Y(
図7参照)にマスクMaを配置する。マスク配置工程の後、保護膜形成工程に移る。
【0109】
保護膜形成工程では、噴射チャネル51(
図8参照)に保護膜を形成するための流体を中間プレート42の連通孔42a(
図8参照)とカバープレート60のインク流路Lp1,Lp2(
図8参照)とを通じて噴射チャネル51に供給する。例えば、パラキシリレン系ダイマーを加熱してモノマー蒸気にし、モノマーを対象物である噴射チャネル51の内面で反応させることにより保護膜を形成する。保護膜形成工程の後、マスク除去工程に移る。
【0110】
マスク除去工程では、AWの下面からマスクMaを除去する。マスク除去工程の後、ノズルプレート接合工程に移る。
【0111】
ノズルプレート接合工程では、中間プレート42の下面にノズルプレート41を接合する(
図8参照)。ノズルプレート接合工程の後、外部基板接続工程に移る。
【0112】
外部基板接続工程では、アクチュエータプレート50の下面の接続領域Rc(
図7参照)に外部基板45(
図3参照)を接続する。
以上により、本実施形態のインクジェットヘッド5が完成する(
図8参照)。
【0113】
以上説明したように、第1実施形態に係るヘッドチップ40は、インクを噴射するノズル孔41aに連通する噴射チャネル51と、インクを噴射しない非噴射チャネル52,53と、を有するアクチュエータプレート50を備える。非噴射チャネル52,53のうち第1非噴射チャネル52には、インクとは異なる第2液体が充填されている。
この構成によれば、インクが噴射チャネル51から漏れ出て第1非噴射チャネル52に浸入した場合であっても、第2液体の介在により、第1非噴射チャネル52に浸入したインクが第1非噴射チャネル52に設けられる個別電極57に接触することを抑制することができる。
【0114】
第1実施形態のインクは、導電性を有する。第2液体は、インクよりも導電性が低い。
この構成によれば、導電性を有するインクが噴射チャネル51から漏れ出て第1非噴射チャネル52に浸入した場合であっても、インクよりも導電性が低い第2液体の介在により、第1非噴射チャネル52に浸入したインクの導電率を低下させることができるため、不良発生時期を遅らせることができる。
【0115】
第1実施形態のヘッドチップ40は、アクチュエータプレート50に接合され、噴射チャネル51に連通するインク流路Lp1,Lp2と、第1非噴射チャネル52に連通する第2液体流路Lq1,Lq2と、を有するカバープレート60を備える。第2液体流路Lq1,Lq2は、第1非噴射チャネル52の第1端に連通する第2液体供給流路63と、第1非噴射チャネル52の第2端に連通する第2液体排出流路64と、を含む。第2液体は、第2液体供給流路63、第1非噴射チャネル52及び第2液体排出流路64を通じて循環している。
この構成によれば、第1非噴射チャネル52における第2液体の循環により、第1非噴射チャネル52に浸入したインクが第1非噴射チャネル52に設けられる個別電極57に接触することをより効果的に抑制することができる。
加えて、発熱部である噴射チャネル51を冷却することができる。
例えば、噴射チャネルを通るインクを冷却に用いる構成の場合、インクの噴射量が増加したときに冷却効率が低下する可能性がある。これに対しこの構成によれば、第1非噴射チャネル52に第2液体を循環させることで、インクの噴射量が増加しても冷却効率が低下しないため、冷却効率のばらつきを抑制することができる。
例えば、ヘッドチップに接する部位に冷却用部材を配置する構成の場合、発熱部である噴射チャネルと冷却用部材とが遠く離れる可能性がある。これに対しこの構成によれば、第2液体が循環する第1非噴射チャネル52は、発熱部である噴射チャネル51に近いため、効率よく冷却することができる。
【0116】
第1実施形態の噴射チャネル51及び第1非噴射チャネル52は、それぞれ複数設けられている。複数の噴射チャネル51及び第1非噴射チャネル52は、Z方向から見て、それぞれY方向に延びるとともに、X方向に間隔をあけて交互に配置されている。第2液体は、複数の第1非噴射チャネル52のそれぞれを通じて循環している。
この構成によれば、各第1非噴射チャネル52における第2液体の循環により、発熱部である各噴射チャネル51を冷却することができるため、各噴射チャネル51の間で温度分布が生じることを抑制することができる。
【0117】
第1実施形態の第2液体供給流路63は、複数の第1非噴射チャネル52の第1端のそれぞれに跨ってX方向に延びている。第2液体排出流路64は、複数の第1非噴射チャネル52の第2端のそれぞれに跨ってX方向に延びている。
この構成によれば、複数の第1非噴射チャネル52の第1端に跨って連通する第2液体供給流路63と、複数の第1非噴射チャネル52の第2端に跨って連通する第2液体排出流路64と、を通じて各第1非噴射チャネル52に第2液体を循環することができるため、発熱部である噴射チャネル51をより効果的に冷却することができる。
【0118】
第1実施形態のインクジェットヘッド5及びプリンタ1は、上述したヘッドチップ40を備えるため、第1非噴射チャネル52に浸入したインクが第1非噴射チャネル52に設けられる個別電極57に接触することを抑制することができるインクジェットヘッド5及びプリンタ1を提供することができる。
【0119】
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態に係るインク循環流路及び第2液体循環流路の説明図である。
図16は、第2実施形態に係るアクチュエータプレートの各チャネルをカバープレートの各流路と共に示す上面図である。
図17は、第2実施形態に係るカバープレートの各流路を第2流路部材の各孔と共に示す上面図である。
図18は、第2実施形態に係る第1流路部材の上面図である。
図15から
図18は、
図11から
図14にそれぞれ相当する図である。第2実施形態は、第2液体循環流路の態様(カバープレート260、第1流路部材280及び第2流路部材290の態様)が上述した第1実施形態と相違している。第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0120】
図15に示すように、第1流路部材280、第2流路部材290、カバープレート260及びアクチュエータプレート50は、+Z側から順に配置されている。第1流路部材280は、第2流路部材290を介してカバープレート260の上面に連結されている。
【0121】
カバープレート260は、インク供給流路61、インク排出流路62、第2液体供給流路263、第2液体排出流路264及び連通流路265を有する。第1流路部材280は、インク供給部81、インク排出部82、第2液体供給部83及び第2液体排出部84を備える。第2流路部材290は、インク供給孔91、インク排出孔92、第2液体供給孔293及び第2液体排出孔294を有する。
【0122】
図16に示すように、第2液体供給流路263は、複数(図の例では4本)の第1非噴射チャネル52のうち-X側の2本の第1非噴射チャネル52の+Y側端のそれぞれに跨ってX方向に延びている。第2液体排出流路264は、複数(図の例では4本)の第1非噴射チャネル52のうち+X側の2本の第1非噴射チャネル52の+Y側端のそれぞれに跨ってX方向に延びている。連通流路265は、複数(図の例では4本)の第1非噴射チャネル52の-Y側端のそれぞれに跨ってX方向に延びている。
【0123】
図17に示すように、第2液体供給孔293は、第2液体供給流路263に沿ってX方向に延びている。第2液体供給孔293は、第2液体供給流路263に連通している。
第2液体排出孔294は、第2液体排出流路264に沿ってX方向に延びている。第2液体排出孔294は、第2液体排出流路264に連通している。
【0124】
図18に示すように、第2液体供給部83は、Z方向から見て第2液体供給孔293(
図17参照)の-X側端と重なる位置に配置されている。第2液体供給部83は、第2液体供給孔293の-X側端と連通するように開口している。第2液体排出部84は、Z方向から見て第2液体排出孔294(
図17参照)の+X側端と重なる位置に配置されている。第2液体排出部84は、第2液体排出孔294の+X側端と連通するように開口している。
【0125】
図15に示すように、第2液体は、第2液体供給部83、第2液体供給孔293及び第2液体供給流路263を通じて第1非噴射チャネル52(
図16に示す-X側の2本の第1非噴射チャネル52)に供給される。第1非噴射チャネル52に供給された第2液体は、連通流路265、第1非噴射チャネル52(
図16に示す+X側の2本の第1非噴射チャネル52)、第2液体排出流路264、第2液体排出孔294及び第2液体排出部84を通じて第1非噴射チャネル52から排出される。第1非噴射チャネル52から排出された第2液体は、第2液体循環機構(不図示)により、第2液体供給部83等を通じて第1非噴射チャネル52に供給される。すなわち、第2液体供給部83、第2液体供給孔293、第2液体供給流路263、第1非噴射チャネル52(
図16に示す-X側の2本の第1非噴射チャネル52)、連通流路265、第1非噴射チャネル52(
図16に示す+X側の2本の第1非噴射チャネル52)、第2液体排出流路264、第2液体排出孔294及び第2液体排出部84は、第2液体循環流路F2を構成している。
【0126】
(第3実施形態)
図19は、第3実施形態に係るインク循環流路及び第2液体循環流路の説明図である。
図20は、第3実施形態に係るアクチュエータプレートの各チャネルをカバープレートの各流路と共に示す上面図である。
図21は、第3実施形態に係るカバープレートの各流路を第2流路部材の各孔と共に示す上面図である。
図19から
図21は、
図11から
図13(
図15から
図17)にそれぞれ相当する図である。第3実施形態は、第2液体循環流路の態様(アクチュエータプレート350及びカバープレート360の態様)が上述した第2実施形態と相違している。第3実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0127】
図19に示すように、第1流路部材280、第2流路部材290、カバープレート360及びアクチュエータプレート350は、+Z側から順に配置されている。第1流路部材280は、第2流路部材290を介してカバープレート360の上面に連結されている。
【0128】
図20に示すように、アクチュエータプレート350は、複数(図の例では4本)の第1非噴射チャネル52の-Y側端のそれぞれに跨ってX方向に延びる連通流路354を有する。
【0129】
図21に示すように、カバープレート360は、インク供給流路61、インク排出流路62、第2液体供給流路263及び第2液体排出流路264を有する。すなわち、第3実施形態のカバープレート360は、連通流路265(
図15参照)を有しない点で第2実施形態のカバープレート260と異なる。
【0130】
図19に示すように、第2液体は、第2液体供給部83、第2液体供給孔293及び第2液体供給流路263を通じて第1非噴射チャネル52(
図20に示す-X側の2本の第1非噴射チャネル52)に供給される。第1非噴射チャネル52に供給された第2液体は、連通流路354、第1非噴射チャネル52(
図20に示す+X側の2本の第1非噴射チャネル52)、第2液体排出流路264、第2液体排出孔294及び第2液体排出部84を通じて第1非噴射チャネル52から排出される。第1非噴射チャネル52から排出された第2液体は、第2液体循環機構(不図示)により、第2液体供給部83等を通じて第1非噴射チャネル52に供給される。すなわち、第2液体供給部83、第2液体供給孔293、第2液体供給流路263、第1非噴射チャネル52(
図20に示す-X側の2本の第1非噴射チャネル52)、連通流路354、第1非噴射チャネル52(
図20に示す+X側の2本の第1非噴射チャネル52)、第2液体排出流路264、第2液体排出孔294及び第2液体排出部84は、第2液体循環流路F2を構成している。
【0131】
(第4実施形態)
図22は、第4実施形態に係るインク循環流路及び第2液体循環流路の説明図である。
図23は、第4実施形態に係るアクチュエータプレートの各チャネルをカバープレートの各流路と共に示す上面図である。
図24は、第4実施形態に係るカバープレートの各流路を第2流路部材の各孔と共に示す上面図である。
図22から
図24は、
図11から
図13(
図15から
図17)にそれぞれ相当する図である。第4実施形態は、第2液体循環流路の態様(アクチュエータプレート450、カバープレート460及び第2流路部材490の態様)が上述した第2実施形態と相違している。第4実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0132】
図22に示すように、第1流路部材280、第2流路部材490、カバープレート460及びアクチュエータプレート450は、+Z側から順に配置されている。第1流路部材280は、第2流路部材490を介してカバープレート460の上面に連結されている。
【0133】
図23に示すように、アクチュエータプレート450は、複数(図の例では4本)の第1非噴射チャネル52のうち-X側の2本の第1非噴射チャネル52の-Y側端のそれぞれに跨ってX方向に延びる第1連通流路454と、複数(図の例では4本)の第1非噴射チャネル52のうち+X側の2本の第1非噴射チャネル52の-Y側端のそれぞれに跨ってX方向に延びる第2連通流路455と、複数(図の例では4本)の第1非噴射チャネル52のうちX方向中央側の2本の第1非噴射チャネル52の+Y側端のそれぞれに跨ってX方向に延びる第3連通流路456と、を有する。
【0134】
図24に示すように、カバープレート460は、第2液体供給流路463及び第2液体排出流路464を有する。
図23に示すように、第2液体供給流路463は、複数(図の例では4本)の第1非噴射チャネル52のうち最も-X側の第1非噴射チャネル52の+Y側端に連通している。第2液体排出流路464は、複数(図の例では4本)の第1非噴射チャネル52のうち最も+X側の第1非噴射チャネル52の+Y側端に連通している。
【0135】
図22に示すように、第2流路部材490は、第2液体供給孔493及び第2液体排出孔494を有する。
図24に示すように、第2液体供給孔493は、第2液体供給流路463に沿ってX方向に延びている。第2液体供給孔493は、第2液体供給流路463に連通している。第2液体排出孔494は、第2液体排出流路464に沿ってX方向に延びている。第2液体排出孔494は、第2液体排出流路464に連通している。
【0136】
第2液体供給部83は、Z方向から見て第2液体供給孔493(
図24参照)の-X側端と重なる位置に配置されている。第2液体供給部83は、第2液体供給孔493の-X側端と連通するように開口している。第2液体排出部84は、Z方向から見て第2液体排出孔494(
図24参照)の+X側端と重なる位置に配置されている。第2液体排出部84は、第2液体排出孔494の+X側端と連通するように開口している。
【0137】
図22に示すように、第2液体は、第2液体供給部83、第2液体供給孔493及び第2液体供給流路463を通じて第1非噴射チャネル52(
図23に示す最も-X側の第1非噴射チャネル52)に供給される。第1非噴射チャネル52に供給された第2液体は、第1連通流路454、第1非噴射チャネル52(
図23に示す-X側から2本目の第1非噴射チャネル52)、第3連通流路456、第1非噴射チャネル52(
図23に示す+X側から2本目の第1非噴射チャネル52)、第2連通流路455、第1非噴射チャネル52(
図23に示す最も+X側の第1非噴射チャネル52)、第2液体排出流路464、第2液体排出孔494及び第2液体排出部84を通じて第1非噴射チャネル52から排出される。第1非噴射チャネル52から排出された第2液体は、第2液体循環機構(不図示)により、第2液体供給部83等を通じて第1非噴射チャネル52に供給される。すなわち、第2液体供給部83、第2液体供給孔493、第2液体供給流路463、第1非噴射チャネル52(
図23に示す最も-X側の第1非噴射チャネル52)、第1連通流路454、第1非噴射チャネル52(
図23に示す-X側から2本目の第1非噴射チャネル52)、第3連通流路456、第1非噴射チャネル52(
図23に示す+X側から2本目の第1非噴射チャネル52)、第2連通流路455、第1非噴射チャネル52(
図23に示す最も+X側の第1非噴射チャネル52)、第2液体排出流路464、第2液体排出孔494及び第2液体排出部84は、第2液体循環流路F2を構成している。
【0138】
なお、本開示の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0139】
例えば、上述した実施形態では、液体噴射記録装置の一例として、インクジェットプリンタ1を例に挙げて説明したが、プリンタに限らない。例えば、液体噴射記録装置は、ファックスやオンデマンド印刷機等であっても構わない。
上述した実施形態では、被記録媒体Pが紙の場合について説明したが、この構成に限られない。被記録媒体Pは、紙に限らず、金属材料や樹脂材料であってもよく、食品等であってもよい。
上述した実施形態では、液体噴射ヘッドが液体噴射記録装置に搭載された構成について説明したが、この構成に限らない。すなわち、液体噴射ヘッドから噴射される液体は、被記録媒体に着弾させるものに限らず、例えば調剤中に配合する薬液や、食品に添加する調味料や香料等の食品添加物、空気中に噴射する芳香剤等であってもよい。
【0140】
上述した実施形態では、サイドシュートタイプのヘッドチップ40を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、噴射チャネルにおけるチャネル延在方向の先端部からインクを噴射する、いわゆるエッジシュートタイプのヘッドチップに本開示を適用してもよい。
また、インクに加わる圧力の方向と、インクの吐出方向と、を同一方向とした、いわゆるルーフシュートタイプのヘッドチップに本開示を適用してもよい。
【0141】
上述した実施形態では、Z方向が重力方向に一致する構成について説明したが、この構成に限らない。例えば、Z方向を水平方向に沿わせてもよい。
【0142】
上述した実施形態では、ノズル孔41aが二列並んだ二列タイプのインクジェットヘッド5について説明したが、これに限らない。例えば、ノズル孔41aが三列以上のインクジェットヘッドとしてもよく、ノズル孔41aが一列のインクジェットヘッドとしてもよい。
【0143】
上述した実施形態では、噴射チャネル51と非噴射チャネル52,53とが交互に配列された構成について説明したが、これに限らない。例えば、全チャネルから順次インクを噴射する、いわゆる3サイクル方式のインクジェットヘッドに本開示を適用しても構わない。
【0144】
上述した実施形態では、アクチュエータプレート50としてシェブロンタイプを用いた構成について説明したが、これに限らない。すなわち、モノポールタイプ(分極方向が厚さ方向で一方向)のアクチュエータプレートを用いても構わない。
【0145】
上述した実施形態では、アクチュエータプレート50の第2領域Re2は、外部基板45が接続される接続領域Rcを含む構成について説明したが、これに限らない。例えば、第2領域Re2は、接続領域Rcを含まなくてもよい。例えば、接続領域Rcは、カバープレート60等のアクチュエータプレート50以外の基板に設けられていてもよい。
【0146】
上述した実施形態では、第1非噴射チャネル52及び第2非噴射チャネル53がY方向に互いに分離している構成について説明したが、これに限らない。例えば、第1非噴射チャネル52及び第2非噴射チャネル53は、Y方向に互いに繋がっていてもよい。例えば、アクチュエータプレートは、一様の深さでY方向に延びる非噴射チャネルを有していてもよい。
【0147】
上述した実施形態では、第2液体がインクよりも導電性が低い例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2液体は、インクよりも導電性が高くてもよい。例えば、第2液体は、インク(第1液体)とは異なっていればよい。
【0148】
上述した実施形態では、第2液体は、第2液体供給流路63、第1非噴射チャネル52及び第2液体排出流路64を通じて循環している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2液体は、第1非噴射チャネル52及び第2液体排出流路64を通じて循環していなくてもよい。例えば、第2液体は、第1非噴射チャネル52に充填されていればよい。例えば、第2液体は、非噴射チャネル52,53の両方に充填されていてもよい。
【0149】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0150】
1…インクジェットプリンタ(液体噴射記録装置)
5,5K,5C,5M,5Y…インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)
40…ヘッドチップ(液体噴射ヘッドチップ)
41a…ノズル孔
50,350,450…アクチュエータプレート
51…噴射チャネル
52,252…第1非噴射チャネル(非噴射チャネル)
53…第2非噴射チャネル(非噴射チャネル)
60,260,360,460…カバープレート
63,263,463…第2液体供給流路(供給流路)
64,264,464…第2液体排出流路(排出流路)
Lp1…インク流路(第1液体流路)
Lp2…インク流路(第1液体流路)
Lq1…第1非噴射側流路(第2液体流路)
Lq2…第2非噴射側流路(第2液体流路)