(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】表示装置及びその組付方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240902BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240902BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G09F9/00 304B
G09F9/00 346A
G09F9/00 350Z
H04N5/64 541J
H05K7/20 D
H05K7/20 F
(21)【出願番号】P 2020209387
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 健太
(72)【発明者】
【氏名】菅野 朋輝
(72)【発明者】
【氏名】岩田 大樹
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-351346(JP,A)
【文献】特開2007-034292(JP,A)
【文献】特開2008-256772(JP,A)
【文献】特開2005-128533(JP,A)
【文献】特開2015-184381(JP,A)
【文献】特開2019-198016(JP,A)
【文献】国際公開第2020/017210(WO,A1)
【文献】特開2008-292824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00
H04N5/64-5/655
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H05K7/20
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの背面における端部側に配設された第1回路基板と、
前記第1回路基板よりも前記表示パネルの端部側に位置する発熱源を有した第2回路基板と、
前記表示パネルの背面側に前記第1回路基板及び前記第2回路基板を覆うように配設された導熱板と
、
前記発熱源と前記表示パネルとの間に配設される断熱部材と、を備え、
前記導熱板は、
前記表示パネルの背面側における前記第1回路基板よりも前記表示パネルの端部側の反対側に位置する部分に接合される本体部と、
前記本体部に前記表示パネルの端部側に向かって延長して形成され、前記第1回路基板を覆う第1延長部と、
前記第1延長部に前記表示パネルの端部側に向かって延長して形成され、前記第2回路基板を覆った状態で、前記発熱源に熱接触する第2延長部と、を有する、表示装置。
【請求項2】
前記導熱板の前記第2延長部における前記発熱源の両側の部位が前記表示パネルの背面側に固定部材によって接合されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルの端部は、前記表示パネルの高さ方向又は幅方向の端部である、請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1回路基板と前記導熱板の前記第1延長部との間、又は前記発熱源と前記導熱板の前記第2延長部との間のうち少なくともいずれかに設けられ、前記導熱板側に熱を伝達する熱伝達部材を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記導熱板は、前記本体部と前記第1延長部との間で分割されている、請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記導熱板の前記第1延長部は、前記表示パネルの反対側に窪んで形成されており、
更に、前記導熱板の背面側に設けられ、前記導熱板を保持するシャーシを備え、
前記シャーシにおける前記導熱板の前記第1延長部に対応する部位は、前記導熱板の前記第1延長部に沿うように曲げ成形されている、請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1回路基板は、前記表示パネルの表示を制御するソース基板であり、前記第2回路基板は、前記第1回路基板と前記表示パネルを接続する接続基板であり、前記発熱源は、前記表示パネルを駆動するためのソースドライバである、請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示パネルは、有機発光ダイオード素子を用いた有機ELパネルである、請求項1から7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載の表示装置を組付ける方法であって、
前記第1回路基板が前記表示パネルの背面側に接合されかつ前記第2回路基板が前記第1回路基板と前記表示パネルを接続した後に、
前記導熱板の前記第1延長部が前記第1回路基板を覆うと共に、前記導熱板の前記第2延長部が前記第2回路基板を覆った状態で、前記発熱源に熱接触し、
前記導熱板の前記本体部が、前記表示パネルの背面側における前記第1回路基板よりも前記表示パネルの端部側の反対側に位置する部分に接合される、表示装置の組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、有機ELパネル等の表示パネルを備えた表示装置においては、表示パネルの温度上昇によって表示パネルの特性が変化して、表示装置の表示品質が低下することがある。そのため、特許文献1の表示装置においては、表示パネルの背面に放熱板(特許文献1のバックカバー)が接合されており、放熱板は、表示パネルの背面の略全域を覆っている。
【0003】
特許文献1の表示装置においては、放熱板の背面の端部側に表示パネルの表示を制御する第1回路基板が配設されている。表示パネルと第1回路基板との間には、第2回路基板が接続されており、第2回路基板は、表示パネルを駆動するためのソースドライバ(特許文献1の駆動IC)を有している。発熱源であるソースドライバは、放熱部材としての支持フレームに熱接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、表示パネルの背面に第1回路基板が接合された状態で、パネルメーカーから表示パネルが納入されることがある。このような場合には、表示装置を組み付ける際に、放熱板が、表示パネルの背面側における第1回路基板よりも表示パネルの端部側の反対側に位置することになり、第1回路基板周辺の熱を十分に放熱させることができない。また、発熱源であるソースドライバが支持フレームに熱接触しているだけであり、ソースドライバ周辺の熱を十分に放熱させることができない。その結果、表示パネルにおける端部側とそれ以外の部分との温度差が大きくなり、表示パネルの輝度ムラが目立って、表示装置の表示品質の低下を招くという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の一態様は、表示パネル全体の均熱化を図ることにより、表示パネルの輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置は、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルの背面における端部側に配設された第1回路基板と、前記第1回路基板よりも前記表示パネルの端部側に位置する発熱源を有した第2回路基板と、前記表示パネルの背面側に前記第1回路基板及び前記第2回路基板を覆うように配設された導熱板と、を備え、前記導熱板は、前記表示パネルの背面側における前記第1回路基板よりも前記表示パネルの端部側の反対側に位置する部分に接合される本体部と、前記本体部に前記表示パネルの端部側に向かって延長して形成され、前記第1回路基板を覆う第1延長部と、前記第1延長部に前記表示パネルの端部側に向かって延長して形成され、前記第2回路基板を覆った状態で、前記発熱源に熱接触する第2延長部と、を有する。
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置の組付方法は、前記表示装置を組付ける方法であって、前記第1回路基板が前記表示パネルの背面側に接合されかつ前記第2回路基板が前記第1回路基板と前記表示パネルを接続した後に、前記導熱板の前記第1延長部が前記第1回路基板を覆うと共に、前記導熱板の前記第2延長部が前記第2回路基板を覆った状態で、前記発熱源に熱接触し、前記導熱板の前記本体部が、前記表示パネルの背面側における前記第1回路基板よりも前記表示パネルの端部側の反対側に位置する部分に接合される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、表示パネル全体の均熱化を図ることにより、表示パネルの輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る表示装置の正面図である。
【
図4】
図3におけるB-B線に沿った拡大断面図である。
【
図5】
図3におけるC-C線に沿った拡大断面図である。
【
図6】本発明の実施形態1の変形例1に係る表示装置の一部を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施形態1の変形例2に係る表示装置の一部を示す断面図である。
【
図8】実施形態1の比較例に係る表示装置の一部を示す断面図である。
【
図9A】実施形態1の比較例の場合における、表示パネルの正面の温度分布についての解析結果を示す図である。
【
図9B】実施形態1の実施例の場合における、表示パネルの正面の温度分布についての解析結果を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態2に係る表示装置の一部を示す断面図である。
【
図12】本発明の実施形態2の変形例1に係る表示装置の一部を示す断面図である。
【
図13】本発明の実施形態2の変形例2に係る表示装置の一部を示す断面図である。
【
図14】本発明の実施形態3に係る表示装置の一部を示す断面図である。
【
図15】本発明の実施形態4に係る表示装置の一部を示す断面図である。
【
図16】本発明の実施形態5に係る表示装置の組付方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図面に記載した通り、表示装置の正面側を前側、表示装置の背面側を後側、表示装置の幅方向の一方側を左側、表示装置の幅方向の他方側を右側、表示装置の高さ方向の一方側を上側、表示装置の高さ方向の他方側を下側と称する。
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について
図1から5を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る表示装置の正面図である。
図2は、
図1に示す表示装置の背面図である。
図3は、
図1におけるA部の拡大図である。
図4は、
図3におけるB-B線に沿った拡大断面図である。
図5は、
図3におけるC-C線に沿った拡大断面図である。
【0013】
〔表示装置10の全体構成〕
図1及び2に示すように、本発明の実施形態1に係る表示装置10は、例えば、テレビジョン受像機、モニタディスプレイ、又はその他の機器に表示パネルモジュールとして組み込まれる。表示装置10は、画像を表示する矩形の表示パネル12を備えており、表示パネル12は、左右方向に延びている。表示パネル12は、自発光型の表示パネルであり、具体的には、有機発光ダイオード素子を用いた有機ELパネルである。換言すれば、表示装置10は、有機ELパネルを備える表示パネルモジュール(OLEDモジュール)である。有機ELパネルである表示パネル12は、EL基板と、カラーフィルタが形成されたCF基板(ガラス基板)と、EL基板とCF基板との間に配設された樹脂層とを有しているが、これらの要素の詳細な図示及び説明は省略する。
【0014】
表示装置10は、表示パネル12を囲むように保持する矩形枠状のフレーム14を備えており、フレーム14は、例えば、アルミニウム又は鉄等の熱伝導率の高い金属により構成されている。
【0015】
図1から4に示すように、表示パネル12の背面における下端部側には、第1回路基板として、表示パネル12の表示を制御するためのソース基板24が配設されている。ソース基板24は、左右方向に延びており、表示パネル12の背面に両面テープ等の固定部材(接合部材)26によって接合されている。ソース基板24は、コンデンサ、抵抗、及びダイオード等の電子部品(不図示)を実装したプリント回路基板である。
【0016】
表示パネル12の背面側には、第2回路基板として複数のフレキシブル基板28が左右方向に間隔を置いて配設されている。各フレキシブル基板28は、表示パネル12とソース基板24を接続する接続基板である。各フレキシブル基板28の一端部側には、表示パネル12に接続するための第1接続端子(不図示)が形成されている。各フレキシブル基板28の他端部側には、ソース基板24に接続するための第2接続端子(不図示)が形成されている。各フレキシブル基板28は、表示パネル12を駆動するためのソースドライバ30を有している。各ソースドライバ30は、ソース基板24よりも表示パネル12の下端部側に位置しており、表示パネル12を駆動するための駆動信号を表示パネル12に供給する。各ソースドライバ30は、表示装置10の稼働中に発熱源になる。複数(1つのみ図示)のソースドライバ30は、左右方向(幅方向)に間隔を置いて配置されている。
【0017】
表示パネル12の背面と各ソースドライバ30との間には、断熱部材32が設けられている。複数の断熱部材32は、複数のソースドライバ30と同様に、左右方向に間隔を置いて配置されている。各断熱部材32は、例えば、高発泡シリコンフォーム又はポリウレタンフォーム等の多孔質材料により構成されている。
【0018】
表示パネル12の背面(背面側)には、導熱板34がソース基板24及び複数のフレキシブル基板28を覆うように配設されている。導熱板34は、例えば、両面テープ等の固定部材36によって表示パネル12の背面に接合されている。導熱板34は、例えば、アルミニウム又は鉄等の熱伝導率の高い金属により構成されている。導熱板34の左右方向(幅方向)の寸法は、表示パネル12の左右方向の寸法と同程度に設定されている。導熱板34の上下方向(高さ方向)の寸法は、表示パネル12の上下方向の寸法よりも小さく設定されている。
【0019】
〔導熱板34の各部の構成〕
図2から5に示すように、導熱板34は、左右方向に延びた本体部38を有しており、本体部38は、表示パネル12の背面におけるソース基板24よりも表示パネル12の下端部側の反対側(上端部側)に位置する部分に固定部材36によって接合されている。導熱板34の本体部38は、表示パネル12の熱を放熱させる。
【0020】
導熱板34の本体部38には、左右方向に延びた第1延長部40が表示パネル12の下端部側に向かって延長して形成されており、第1延長部40は、ソース基板24を覆っている。導熱板34の第1延長部40は、ソース基板24と非接触になるように、表示パネル12の反対側(後方向)に窪んで形成されている。導熱板34の第1延長部40の上端部は、表示パネル12の背面に固定部材36によって接合されるようにしてもよい。
【0021】
導熱板34の第1延長部40には、左右方向に延びた第2延長部42が表示パネル12の下端部側(下方向)に向かって延長して形成されており、第2延長部42は、複数のフレキシブル基板28を覆っている。導熱板34の第2延長部42の上下方向(高さ方向)の中央部には、表示パネル12側に突出した凸部42aが曲げ成形によって形成されており、凸部42aは、左右方向に延びている。導熱板34の第2延長部42が複数のフレキシブル基板28を覆った状態で、導熱板34の第2延長部42の凸部42aが発熱源である複数のソースドライバ30に熱接触する。導熱板34の第2延長部42は、複数のソースドライバ30の熱を放熱させながら第1延長部40側に導く。導熱板34の第1延長部40は、第2延長部42側からの熱を放熱させながら本体部38側に導く。
【0022】
ここで、熱接触とは、導熱板34の第2延長部42の凸部42aが複数のフレキシブル基板28におけるソースドライバ30に対応する部位に直接的に接触すること、及び、熱伝導性の高い介在部材(不図示)を介して間接的に接触することを含む意である。換言すれば、熱接触とは、導熱板34の第2延長部42の凸部42aが複数のソースドライバ30に熱的に接続されていることである。
【0023】
導熱板34の各ソースドライバ30の左右方向の両側の部位は、表示パネル12の背面に固定部材44によって接合されている。これにより、導熱板34の第2延長部42の凸部42aと各ソースドライバ30との熱接触状態を安定させることができる。
【0024】
〔作用効果〕
発熱源である複数のソースドライバ30の熱は、導熱板34の第2延長部42によって放熱させながら第1延長部40側に導かれ、導熱板34の第1延長部40によって放熱させながら本体部38側に導かれる。特に、導熱板34の第2延長部42の凸部42aと各ソースドライバ30との熱接触状態を安定させることができるため、複数のソースドライバ30の熱が導熱板34の第2延長部42によって本体部38側に安定的に導かれる。
【0025】
そのため、表示パネル12における発熱源であるソースドライバ30の近傍部の温度を下げつつ、表示パネル12におけるソースドライバ30の近傍部以外の温度を上げて、表示パネル12全体の均熱化を図ることができる。従って、実施形態1に係る表示装置10によれば、表示パネル12の輝度ムラを目立たなくして、表示装置10の表示品質を高めることができる。
【0026】
〔実施形態1の変形例〕
以下、本発明の一実施形態の変形例について
図6及び7を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態1の変形例1に係る表示装置の一部を示す断面図である。
図7は、本発明の実施形態1の変形例2に係る表示装置の一部を示す断面図である。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0027】
図7に示すように、実施形態の変形例1に係る表示装置10Aにおいては、第1回路基板であるソース基板24が表示パネル12の背面の上端部側に配設されている。発熱源であるソースドライバ30は、ソース基板24よりも表示パネル12の上端部側に位置している。導熱板34の第1延長部40は、本体部38に表示パネル12の上端部側に向かって延長して形成されている。導熱板34の第2延長部42は、第1延長部40に表示パネル12の上端部側に向かって延長して形成されている。
【0028】
そして、実施形態1の変形例1に係る表示装置10Aによれば、ソース基板24が表示パネル12の背面における上端部側に配設された場合であっても、実施形態1に係る表示装置10(
図4参照)と同様の効果を奏する。
【0029】
図8に示すように、実施形態の変形例2に係る表示装置10Bにおいては、第1回路基板であるソース基板24が表示パネル12の背面の左端部に配設されている。各ソースドライバ30は、ソース基板24よりも表示パネル12の左端部側に位置している。導熱板34の第1延長部40は、本体部38に表示パネル12の左端部側に向かって延長して形成されている。導熱板34の第2延長部42は、第1延長部40に表示パネル12の左端部側に向かって延長して形成されている。
【0030】
そして、実施形態1の変形例2に係る表示装置10Bによれば、ソース基板24が表示パネル12の背面における左端部側に配設された場合であっても、実施形態1に係る表示装置10(
図4参照)と同様の効果を奏する。
【0031】
なお、図示は省略するが、ソース基板24が表示パネル12の背面における右端部側に配設された場合であっても、実施形態1に係る表示装置10と同様の効果を奏する。
【0032】
〔実施形態1の比較例〕
以下、本発明の実施形態1の比較例について
図8を参照して説明する。
図8は、比較例に係る表示装置の一部を示す断面図である。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0033】
図8に示すように、実施形態1の比較例に係る表示装置46において、導熱板34は、本体部38を有しているが、第1延長部40及び第2延長部42を有していない。また、放熱部材としてのフレーム14は、発熱源である複数(1つのみ図示)のソースドライバ30に熱接触する。
【0034】
〔実施形態1の実施例〕
以下、実施形態1の実施例について
図9A、9B、及び10を参照して説明する。
図9Aは、実施形態1の比較例の場合における、表示パネルの正面の温度分布についての解析結果を示す図である。
図9Bは、実施例の場合における、表示パネルの正面の温度分布についての解析結果を示す図である。
図10は、
図9A、9Bの解析結果をグラフ化した図である。
【0035】
実施例の場合として、表示装置10(
図4参照)の稼働時の表示パネル12に正面の温度分布についてシミュレーション解析を行い、その結果をまとめと
図9B及び
図10に示すようになる。比較例の場合として、表示装置46(
図8参照)の稼働時の表示パネル12に正面の温度分布についてシミュレーション解析を行い、その結果をまとめと
図9A及び
図10に示すようになる。なお、
図10のパネル面温度は、表示パネル12の正面の幅方向中央部の温度を示している。
【0036】
図9A、9B、及び10に示すように、実施例の場合には、比較例の場合よりも、表示パネル12における発熱源であるソースドライバ30の近傍部の温度(ピーク温度)を下げることが確認できた。実施例の場合には、比較例の場合よりも、表示パネル12におけるソースドライバ30の近傍部以外の温度を上げることが確認できた。つまり、実施例の場合には、比較例の場合よりも、表示パネル12全体の均熱化を図ることが確認できた。
【0037】
〔実施形態2〕
以下、本発明の他の実施形態について
図11を参照して説明する。
図11は、本発明の実施形態2に係る表示装置の一部を示す断面図である。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0038】
図11に示すように、実施形態2に係る表示装置48は、実施形態1に係る表示装置10(
図4参照)と同様の構成を有している。実施形態2に係る表示装置48においては、ソース基板24と導熱板34の第1延長部40との間に、導熱板34側に熱を伝達する熱伝達部材50が配設されている。熱伝達部材50は、左右方向に延びており、例えば、シリコンシート又はグラファイトシート等により構成されている。なお、熱伝達部材50は、ソース基板24との接触圧を緩和できるように構成されることが望ましい。
【0039】
これにより、ソース基板24の熱は、熱伝達部材50によって導熱板34の第1延長部40に伝達され、導熱板34の第1延長部40によって本体部38側に導かれる。そして、実施形態2に係る表示装置48によれば、表示パネル12全体の均熱化をより図ることができ、表示装置48の表示品質をより高めることができる。
【0040】
〔実施形態2の変形例〕
以下、本発明の他の実施形態の変形例について
図12及び13を参照して説明する。
図12は、本発明の実施形態2の変形例1に係る表示装置の一部を示す断面図である。
図13は、本発明の実施形態2の変形例2に係る表示装置の一部を示す断面図である。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0041】
図12に示すように、実施形態2の変形例1に係る表示装置48Aにおいては、導熱板34の第2延長部42は、表示パネル12の反対側(後側)に離隔している。導熱板34の第2延長部42に凸部42a(
図4参照)が形成されていなく、導熱板34の第2延長部42が平坦になっている。熱伝達部材50は、ソース基板24と導熱板34の第1延長部40との間から、ソースドライバ30と第2延長部42との間にかけて配設されている。
【0042】
これにより、ソース基板24の熱は、熱伝達部材50によって導熱板34の第1延長部40に伝達され、導熱板34の第1延長部40によって本体部38側に導かれる。ソースドライバ30の熱は、熱伝達部材50によって導熱板34の第2延長部42に伝達され、導熱板34の第2延長部42によって第1延長部40を経由して本体部38側に導かれる。そして、実施形態2の変形例1に係る表示装置46Aによれば、実施形態2に係る表示装置48(
図11参照)と同様の効果を奏する他に、導熱板34の第2延長部42が平坦になっているため、導熱板34の加工が容易になる。
【0043】
図13に示すように、実施形態2の変形例2に係る表示装置48Bにおいては、導熱板34の第2延長部42は表示パネル12の反対側(後側)に離隔している。熱伝達部材50は、ソースドライバ30と第2延長部42との間に配設されている。
【0044】
これにより、ソースドライバ30の熱は、熱伝達部材50によって導熱板34の第2延長部42に伝達され、導熱板34の第2延長部42によって第1延長部40を経由して本体部38側に導かれる。そして、実施形態2の変形例2に係る表示装置46Bによれば、凸部42a(
図4参照)の代わりに熱伝達部材50を用いることにより、実施形態1に係る表示装置10(
図4参照)と同様の効果を奏する。
【0045】
〔実施形態3〕
以下、本発明の他の実施形態について
図14を参照して説明する。
図14は、本発明の実施形態3に係る表示装置の一部を示す断面図である。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0046】
図14に示すように、実施形態3に係る表示装置52は、実施形態1に係る表示装置10(
図4参照)と同様の構成を有している。実施形態3に係る表示装置52においては、導熱板34は、本体部38と第1延長部40との間で分割されている。換言すれば、導熱板34は、本体部38からなる第1セグメントS1と、第1延長部40及び第2延長部42からなる第2セグメントS2とに分割されている。
【0047】
実施形態3に係る表示装置52の構成によれば、第2セグメントS2のみを取り外して、ソース基板24又はフレキシブル基板28のメンテナンスを行うことができる。また、ソース基板24のサイズの変更があった場合に、そのサイズの変更に応じた第2セグメントS2を選択すれば足りる。
【0048】
従って、実施形態3に係る表示装置52によれば、実施形態1に係る表示装置10と同様の効果を奏する他に、表示装置52のメンテナンス性及び汎用性を高めることができる。
【0049】
〔実施形態4〕
以下、本発明の他の実施形態について
図15を参照して説明する。
図15は、本発明の実施形態4に係る表示装置の一部を示す断面図である。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0050】
図15に示すように、実施形態4に係る表示装置54は、実施形態1から3に係る表示装置10,48,52(
図4、11、15参照)と同様の構成を有している。実施形態4に係る表示装置54においては、導熱板34の背面側には、導熱板34を保持するシャーシ56が設けられている。シャーシ56は、例えば、アルミ又は鉄等の金属により構成されている。シャーシ56は、導熱板34を補強する補強部材である。シャーシ56における導熱板34の第1延長部40に対応する部位は、導熱板34の第1延長部40に沿うように曲げ成形されている。
【0051】
実施形態4に係る表示装置54の構成によれば、シャーシ56における導熱板34の第1延長部40に対応する部位が導熱板34の第1延長部40に沿うように曲げ成形されているため、表示装置54において厚さが厚くなる部分を減らしながら、表示装置54を補強することができる。
【0052】
従って、実施形態4に係る表示装置54によれば、実施形態1から3に係る表示装置10,48,52と同様の効果を奏する他に、表示装置54全体としての薄型化を促進することができる。
【0053】
〔実施形態5〕
以下、本発明の他の実施形態について
図16を参照して説明する。
図16は、本発明の実施形態5に係る表示装置の組付方法を説明する断面図である。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0054】
図16に示すように、実施形態5に係る表示装置の組付方法は、実施形態1に係る表示装置10(
図4参照)を組付けるための方法である。実施形態5に係る組付方法においては、まず、ソース基板24が固定部材26によって表示パネル12の背面に接合されると共に、複数のフレキシブル基板28がソース基板24と表示パネル12を接続する。
【0055】
その後、導熱板34の第1延長部40がソース基板24を覆うと共に、導熱板34の第2延長部42が複数のフレキシブル基板28を覆った状態で、導熱板34の第2延長部42の凸部42aがソースドライバ30に熱接触する。また、導熱板34の本体部38が、固定部材36によって表示パネル12の背面におけるソース基板24よりも表示パネル12の下端部側の反対側(上端部側)に位置する部分に接合される。これにより、表示装置10を組み付けることができる。
【0056】
従って、実施形態5に係る表示装置の組付方法によれば、表示パネル12の背面に仮接合されたソース基板24をめくることなく、表示装置10を組み付けることができ、表示装置10の組付性を高めることができる。
【0057】
導熱板34の第2延長部42がソースドライバ30に熱接触する他に、ソースドライバ30以外の発熱源に熱接触してもよい。
【0058】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る表示装置は、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルの背面における端部側に配設された第1回路基板と、前記第1回路基板よりも前記表示パネルの端部側に位置する発熱源を有した第2回路基板と、前記表示パネルの背面側に前記第1回路基板及び前記第2回路基板を覆うように配設された導熱板と、を備え、前記導熱板は、前記表示パネルの背面側における前記第1回路基板よりも前記表示パネルの端部側の反対側に位置する部分に接合される本体部と、前記本体部に前記表示パネルの端部側に向かって延長して形成され、前記第1回路基板を覆う第1延長部と、前記第1延長部に前記表示パネルの端部側に向かって延長して形成され、前記第2回路基板を覆った状態で、前記発熱源に熱接触する第2延長部と、を有する。
【0059】
前記の構成によれば、前記発熱源の熱は、前記導熱板の前記第2延長部によって前記第1延長部側に導かれ、前記放熱板における前記第1延長部によって前記本体部側に導かれる。これにより、前記表示パネル全体の均熱化を図ることができ、前記表示パネルの輝度ムラを目立たなくして、前記表示装置の表示品質を高めることができる。
【0060】
本発明の態様2に係る表示装置は、前記態様1において、前記導熱板の前記第2延長部における前記発熱源の両側の部位が前記表示パネルの背面側に固定部材によって接合されてもよい。
【0061】
前記の構成によれば、前記導熱板の前記第2延長部と前記発熱源との熱接触状態を安定させることができる。これにより、前記発熱源の熱が前記導熱板の前記第2延長部によって前記本体部側に安定的に導かれる。
【0062】
本発明の態様3に係る表示装置は、前記態様1又は2において、前記表示パネルの端部は、前記表示パネルの高さ方向又は幅方向の端部であってもよい。
【0063】
前記の構成によれば、前記第1回路基板が前記表示パネルの高さ方向の端部に配設された場合、前記第1回路基板が前記表示パネルの幅さ方向の端部に配設された場合のいずれであっても、前記表示パネル全体の均熱化を図ることができる。
【0064】
本発明の態様4に係る表示装置は、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記第1回路基板と前記導熱板の前記第1延長部との間、又は前記発熱源と前記導熱板の前記第2延長部との間のうち少なくともいずれかに設けられ、前記導熱板側に熱を伝達する熱伝達部材を備えてもよい。
【0065】
前記の構成によれば、前記第1回路基板の熱は、前記熱伝導部材によって前記導熱板の前記第1延長部に伝達され、前記導熱板の前記第1延長部によって前記本体部側に導かれる。又は、前記発熱源の熱は、前記熱伝達部材によって前記導熱板の前記第2延長部に伝達され、前記導熱板の前記第2延長部によって前記第1延長部を経由して前記本体部側に導かれる。
【0066】
本発明の態様5に係る表示装置は、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記導熱板は、前記本体部と前記第1延長部との間で分割されてもよい。
【0067】
前記の構成によれば、セグメントとしての前記第1延長部及び前記第2延長部のみを取り外して、前記第1回路基板又は前記第2回路基板のメンテナンスを行うことができ、前記表示装置のメンテナンス性を高めることができる。また、前記第1回路基板のサイズの変更があった場合に、そのサイズの変更に応じたセグメントとしての前記第1延長部及び前記第2延長部を選択すれば足り、前記表示装置の汎用性を高めることができる。
【0068】
本発明の態様6に係る表示装置は、前記態様1から5のいずれかの態様において、前記導熱板の前記第1延長部は、前記表示パネルの反対側に窪んで形成されており、更に、前記導熱板の背面側に設けられ、前記導熱板を保持するシャーシを備え、前記シャーシにおける前記導熱板の前記第1延長部に対応する部位は、前記導熱板の前記第1延長部に沿うように曲げ成形されてもよい。
【0069】
前記の構成によれば、前記シャーシにおける前記導熱板の前記第1延長部に対応する部位は、前記導熱板の前記延長部に沿うように曲げ成形されているため、前記表示装置において厚さが厚くなる部分を減らすことができ、前記表示装置全体として薄型化を促進することができる。
【0070】
本発明の態様7に係る表示装置は、前記態様1から5のいずれかにおいて、前記第1回路基板は、前記表示パネルの表示を制御するソース基板であり、前記第2回路基板は、前記第1回路基板と前記表示パネルを接続する接続基板であり、前記発熱源は、前記表示パネルを駆動するためのソースドライバであってもよい。
【0071】
前記の構成によれば、前記ソースドライバの熱は、前記導熱板の前記第2延長部によって前記第1延長部側に導かれ、前記放熱板における前記第1延長部によって前記本体部側に導かれる。
【0072】
本発明の態様8に係る表示装置は、前記態様1から6のいずれかにおいて、前記表示パネルは、有機発光ダイオード素子を用いた有機ELパネルであってもよい。
【0073】
前記の構成によれば、前記有機ELパネル全体の均熱化を図ることができ、前記表示パネルの輝度ムラを目立たなくして、前記表示装置の表示品質を高めることができる。
【0074】
本発明の態様9に係る表示装置の組付方法は、前記態様1に係る表示装置を組付ける方法であって、前記第1回路基板が前記表示パネルの背面側に接合されかつ前記第2回路基板が前記第1回路基板と前記表示パネルを接続した後に、前記導熱板の前記第1延長部が前記第1回路基板を覆うと共に、前記導熱板の前記第2延長部が前記第2回路基板を覆った状態で、前記発熱源に熱接触し、前記導熱板の前記本体部が、前記表示パネルの背面側における前記第1回路基板よりも前記表示パネルの端部側の反対側に位置する部分に接合される。
【0075】
前記の構成によれば、前記表示パネルの背面側に仮接合された前記第1回路基板をめくることなく、前記表示装置を組み付けることができ、前記表示装置の組付性を高めることができる。
【0076】
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 表示装置(実施形態1に係る表示装置)
12 表示パネル(有機ELパネル)
14 ベゼル
24 ソース基板(第1回路基板)
28 フレキシブル基板(第2回路基板)
30 ソースドライバ(発熱源)
32 断熱部材
34 導熱板
38 本体部
40 第1延長部
42 第2延長部
42a 凸部
44 固定部材
10A 表示装置(実施形態1の変形例1に係る表示装置)
10B 表示装置(実施形態1の変形例2に係る表示装置)
48 表示装置(実施形態2に係る表示装置)
48A 表示装置(実施形態2の変形例1に係る表示装置)
48B 表示装置(実施形態2の変形例2に係る表示装置)
50 熱伝達部材
52 表示装置(実施形態3に係る表示装置)
S1 第1セグメント
S2 第2セグメント
54 表示装置(実施形態4に係る表示装置)
56 シャーシ