(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】金属薄板部材同士を結合して積層鉄心を形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01F 41/02 20060101AFI20240902BHJP
H01F 27/245 20060101ALI20240902BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20240902BHJP
B21D 22/02 20060101ALI20240902BHJP
B21D 28/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H01F41/02 B
H01F27/245 150
H02K15/02 E
H02K15/02 F
B21D22/02 B
B21D28/02 D
B21D28/02 Z
(21)【出願番号】P 2020560560
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019051294
(87)【国際公開番号】W WO2019141826
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-18
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520269008
【氏名又は名称】フェストアルピーネ オートモーティヴ コンポーネンツ デッティンゲン ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】voestalpine Automotive Components Dettingen GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Daimlerstrasse 29, 72581 Dettingen an der Erms, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ランクスヴァイアト
(72)【発明者】
【氏名】アクセル ナン
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-291627(JP,A)
【文献】特開昭64-089416(JP,A)
【文献】特開昭57-064320(JP,A)
【文献】特開昭59-181945(JP,A)
【文献】特開昭54-050919(JP,A)
【文献】特開2002-307636(JP,A)
【文献】特開昭57-060823(JP,A)
【文献】特開昭61-088747(JP,A)
【文献】特開昭54-113825(JP,A)
【文献】特開2004-248423(JP,A)
【文献】特表2019-504610(JP,A)
【文献】国際公開第2018/038357(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 3/02、27/245、41/02
H02K 15/02
B21D 22/02、28/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板部材(2)同士を結合して積層鉄心(3)を形成する方法であって、当該方法では、
両方の平面(6,7)を活性化可能な接着層(8,9
)によりコーティングされた電磁鋼板(5)から複数の金属薄板部材(2)を打ち抜き、
打ち抜いた前記金属薄板部材(2)を積層しかつ接着して積層鉄心(3)を形成し、このとき
前記金属薄板部材(2)を打ち抜く前に、前記電磁鋼板(5)を第1の部分領域(5.1)においてエンボス加工し、これにより、前記電磁鋼板(5)の
両方の前記平面(6,7)上に突出した複数のスペーサ(20.1,20.2)を形成し、前記第1の部分領域(5.1)から第1の金属薄板部材(2)を打ち抜いた後に前記スペーサ(20.1,20.2)を用いて、積層されかつ接着された前記金属薄板部材(2)の、前記積層鉄心(3)の状態での解離を容易にする、方法において、
前記第1の部分領域(5.1)に、前記電磁鋼板(5)の両方の前記平面(6,7)から突出するスペーサ(20.1,20.2)をエンボス加工により形成し、かつ
前記第1の金属薄板部材(2)を、前記積層鉄心(3)に対して別個の分離部材(10.1,10.2,10.3)として、互いに接着し合う前記金属薄板部材(2)の間に設けることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記接着層(8,9)は、溶融接着ラッカ層であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記スペーサ(20.1,20.2)を、その幅(b)
が前記接着層(8,9)のコーティング高さ(hk)
以上となるようにエンボス加工する、請求項1
または2記載の方法。
【請求項4】
前記スペーサ(20.1,20.2
)の幅(b)
が、少なくとも前記電磁鋼板(5)の金属薄板厚さ(d)
である、請求項
3記載の方法。
【請求項5】
前記スペーサ(20.1,20.2)の前記幅(b)は、少なくとも1m
mである、請求項
4記載の方法。
【請求項6】
前記スペーサ(20.1,20.2)の前記幅(b)は、少なくとも1.5mmである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記スペーサ(20.1,20.2)の前記幅(b)は、前記電磁鋼板(5)の前記金属薄板厚さ(d)の最大で5倍である、請求項
4から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記スペーサ(20.1,20.2)を、その高さ(h)
が前記接着層(8,9)の前記コーティング高さ(hk)
以上となるようにエンボス加工する、請求項
4項記載の方法。
【請求項9】
前記スペーサ(20.1,20.2)の前記高さ(h)は、少なくとも前記接着層(8,9)の前記コーティング高さ(hk)の2倍である、請求項
8記載の方法。
【請求項10】
前記スペーサ(20.1,20.2)の前記高さ(h)は、最大で前記電磁鋼板(5)の前記金属薄板厚さ(d)の3倍である、請求項
8または
9記載の方法。
【請求項11】
前記スペーサ(20.1,20.2)の前記高さ(h)は、前記電磁鋼板(5)の前記金属薄板厚さ(d)に等しい、請求項
8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
連続する2つの前記スペーサ(20.1,20.2)の間の横方向の間隔(A)は、少なくとも前記スペーサ(20.1,20.2)の最小幅(b)に等しい、請求項1から
11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記スペーサ(20.1,20.2)は、横断面で見て台形、半円形または矩形の輪郭を有している、請求項1から
12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記スペーサ(20.1,20.2)を、両方の前記平面(6,7)から交互に突出するように形成する、請求項1から
13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記第1の部分領域(5.1)の第1の前記平面(6)上の1つのスペーサ(20.2)に対して、前記第1の部分領域(5.1)の第2の前記平面(7)上に各2つのスペーサ(20.1)をエンボス加工する、請求項1から
14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
積層された前記金属薄板部材(2)を、前記接着層(8,9)
の活性化により接着して複数の前記積層鉄心(3)を形成する、請求項1から
15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
積層された前記金属薄板部材(2)を、前記接着層(8,9)の熱的な活性化により接着して複数の前記積層鉄心(3)を形成する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第1の金属薄板部材(2)を打ち抜く前に、前記スペーサ(20.1,20.2)の頭部(22.1,22.2)を切断する、請求項1から
16までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の金属薄板部材同士を結合する方法に関する。
【0002】
背景技術
連続打抜き工具の積層装置を出て行く各積層鉄心を互いに解離もしくは分離するためには、-請求項1の上位概念に記載の-従来技術から、各積層鉄心の端部側の金属薄板部材に、複数の突出したスペーサを設けることが公知である(国際公開第2017159926号)。これらのスペーサは、端部側の金属薄板部材を打ち抜く前に、第1の部分領域においてエンボス加工により形成される。突出したスペーサにより、積層装置内の各金属薄板部材もしくは各積層鉄心の間の接触面が減少し、このことは、各積層鉄心の間の-物理的にせよ化学的にせよ架橋された-材料結合式の結合もしくは接着結合の強度を弱める。この従来技術のスペーサは、確かに積層鉄心同士の解離もしくは分離を容易にはするが、積層鉄心の用途を制限することになる。これはとりわけ、このようなスペーサが、コンポーネントにおける導磁性材料の量を減少させるからである。このことは、このような積層鉄心を複数組み合わせて1つのコンポーネントを形成する場合には、特に重要である。
【0003】
この理由から国際公開第20160035959号は、電磁鋼板の、切断後も各積層鉄心の金属薄板部材に属す部分領域だけに接着剤を付与することを提案している。異なる積層鉄心の金属薄板部材の間に接着剤を付与することは省かれ、これにより、積層装置内での積層鉄心同士の接着が回避される。不都合にもこのことは、この方法の再現性に関して、例えば電磁鋼板から剥離した接着剤による連続打抜き工具の機能妨害を回避するために、比較的手間がかかる制御/調整を必要とする。
【0004】
発明の説明
したがって本発明の課題は、複数の金属薄板部材を結合して、1つの積層鉄心を形成する方法を提供することにある。この積層鉄心は、簡単な処理の点において優れているが、それでもなお、当該方法により製造された積層鉄心がその用途を制限することはない。
【0005】
本発明はこの課題を、第1の部分領域に、電磁鋼板の両方の平面から突出するスペーサをエンボス加工により形成し、第1の金属薄板部材を、積層鉄心に対して別個の分離部材として、互いに接着し合う金属薄板部材の間に設けることにより解決する。
【0006】
第1の部分領域に、電磁鋼板の両方の平面から突出するスペーサをエンボス加工により形成すると、積層装置内でこの第1の部分領域により、各積層鉄心の間の接着を確実に防ぐことができる。つまりこれにより、両面に突出するスペーサを備えた第1の金属薄板部材は、積層鉄心に対して別個の分離部材として、接着された金属薄板部材の間に設けられてよく、このようにして、積層鉄心同士の間の全面的な接着を回避することができる。つまりこのようにして、金属薄板部材とスペーサとの弱められた結合が達成可能である一方で、積層鉄心自体は密に積層されており、その各金属薄板部材は互いに全面的に-つまり特に固定的に-結合されている。
【0007】
好適には、第1の部分領域に、電磁鋼板の両方の平面から突出する、同一に形成される複数のスペーサが、エンボス加工により形成される。
【0008】
この場合、各積層鉄心は方法技術的に易しく簡単に互いに解離もしくは分離され得、しかもその際に積層鉄心における幾何学形状変化を懸念する必要はない。これによりとりわけ、当該方法の単純さが保証されている。なぜならば、-例えば電磁鋼板から剥離する接着剤に関する-手間のかかるステップが不要になるからである。
【0009】
さらに従来技術とは異なり、本発明による方法で製造された積層鉄心に基づき、その用途の制限を懸念せずに済む。
【0010】
スペーサがその幅において少なくとも接着層のコーティング高さにわたりエンボス加工されると、このことは既に、スペーサが比較的高い荷重に耐えかつ積層鉄心同士の確実なもしくは簡単な分離を可能にするために十分であってよい。つまり当該方法により、再現性が大幅に改良され得る。
【0011】
スペーサがその幅において少なくとも電磁鋼板の金属薄板厚さにわたりエンボス加工されると、機械的に負荷可能な分離部材を提供することができ、これにより、積み重ねられた積層鉄心同士を、間隔を開けて固定的に保持することができる。このことは、当該方法の再現性を大幅に改良することができる。
【0012】
スペーサの幅が少なくとも1mmであると、これにより分離部材の十分な機械的負荷容量をもたらすことができる。これは特に、スペーサの幅が少なくとも1.5mmである場合である。
【0013】
さらに、スペーサの幅が、電磁鋼板の金属薄板厚さの最大で5倍であると十分である、ということが判明し得る。
【0014】
スペーサがその高さにおいて少なくとも接着層のコーティング高さにわたりエンボス加工されると、積層鉄心同士の解離を再現可能に行うことができる。このようにして、例えば接着剤コーティングと、端部側の金属薄板部材との間に十分な間隔が保証され得る。
【0015】
スペーサの高さが少なくとも接着層のコーティング高さの2倍であると、積層鉄心同士の分離をさらに容易にすることができる。これは、電磁鋼板が両面側を接着層によりコーティングされている場合にも当てはまる。
【0016】
好適には、スペーサの高さは最大で電磁鋼板の金属薄板厚さの3倍であり、これにより、高い積層密度において十分な間隔をもたらすことができるようになっている。
【0017】
スペーサの高さは、電磁鋼板の金属薄板厚さに等しければ十分である、ということが判明し得る。
【0018】
連続する2つのスペーサの間の横方向の間隔が少なくともこれらのスペーサの最小幅に等しいと、このことは分離部材の機械的な剛性に有益であり得ると共に、分離部材の安定性を大幅に高めることができる。このようにして、当該方法の再現性を追加的に高めることができる。
【0019】
スペーサが、横断面で見て台形、半円形または矩形の輪郭を有していると、積層鉄心同士の解離もしくは分離が大幅に容易にされ得る。この場合、例えば隣接し合う積層鉄心における損失も確実に回避するためには、半円形の輪郭が特に優れていてよい。このようにして、当該方法の再現性が大幅に向上され得る。
【0020】
スペーサが両方の平面から交互に突出するように形成されると、積み重ねられた積層鉄心の間の分離部材の位置が確実に調整され得る。このようにして、金属薄板部材を含む積層体における分離部材の安定的な位置が保証され得、このことはとりわけ、積層装置内での金属薄板部材同士の食込みを回避することができ、これによりやはり、当該方法の再現性を向上させることができる。
【0021】
上述したことは、第1の部分領域の第1の平面上の1つのスペーサに対して、この第1の部分領域の第2の平面上に各2つのスペーサがエンボス加工されると、さらに改良可能である。
【0022】
積層された金属薄板部材が、接着層の活性化により接着されて複数の積層鉄心を形成すると、これにより、各金属薄板部材の間に特に負荷可能な材料結合式の結合ひいては固定的な積層鉄心を生ぜしめることができるが、それにもかかわらずこれらの積層鉄心は、分離部材により再現可能に互いに解離可能である。接着層の、特に熱的な活性化は、比較的簡単に処理可能である。接着層を、活性剤、促進剤等を用いて化学的に活性化することも考えられる。
【0023】
第1の金属薄板部材を打ち抜く前にスペーサの頭部を切断すると、スペーサの接着傾向に対する影響を減じることができ、これにより、積層鉄心の状態での分離を大幅に容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の対象を、1つの実施形態に基づき例示的に図示する。
【
図2】
図1に示した、打ち抜かれた金属薄板部材を拡大して示す図である。
【0025】
発明を実施する方法
図1に示す実施例により、本発明による方法を実施するための装置1を略示する。この装置1は、打ち抜いた複数の金属薄板部材2を積層して積層鉄心3を形成するために用いられる。このためにはコイル4もしくは帯材から電磁鋼板5が繰り出され、電磁鋼板5はその一方または両方の平面6,7に、全面的な接着層8,9、つまり熱硬化型の溶融接着層を有している。接着層8,9は、例えば
図2では電磁鋼板5から打ち抜かれた第1の金属薄板部材10において認められる。
【0026】
両面側に接着剤がコーティングされた電磁鋼板5から、1つの打抜き工具11により複数の金属薄板部材2が打ち抜かれる。このような打抜きは-一般的に言うと-押圧による切抜き、切取り、切離し、切落とし、切分け等であってよい。
【0027】
図1からさらに看取されるように、打抜き工具11、例えばここでは連続打抜き工具は、その上工具11.1と下工具11.2とが協働することで、1回の切断を複数回の行程11.3でもって実施する。電磁鋼板5は、打抜き用に上工具11.1の第1の刃12により前加工され、その後、上工具11.1の第2の刃13により電磁鋼板5から金属薄板部材2が打ち抜かれるもしくは打ち抜かれて個別化される。このような打抜きは-一般的に言うと-押圧による切抜き、切取り、切離し、切落とし、切分け等であってよい。
【0028】
刃12,13は、下工具11.2の各ダイ14,15と協働し、これにより打抜き工具11において2つの打抜き段16,17を形成している。
【0029】
このような連続刃は、電磁鋼板5を金属薄板部材2の打抜き用に準備するために、前加工に際して電磁鋼板5から一部18を切断する、ということが、
図1において認められる。その後、打抜き段17により金属薄板部材2が打ち抜かれ、上工具11.1の押圧力により積層装置19内へ押し退けられ、そこに積層させられる。このために積層装置19は、下工具11.2内に部分的に先細になったガイドを有している。このガイドは、金属薄板部材2に積層制動作用を及ぼし、これにより各金属薄板部材2は、上工具11.1の押圧力と、各金属薄板部材2の間に存在する接着層8,9とに基づき物理的に結合することになる。積層装置19は、接着剤を活性化させると共に、各金属薄板部材2の間に材料結合式の結合部を形成するために能動的に加熱され得る。一般的に言うと、金属薄板部材2同士の接着のために相応する対応圧力を加える対応ホルダがガイド内に設けられていることも考えられる(図示せず)。同様に、各金属薄板部材2の間の接着結合部を強めるもしくは架橋するためには、積層鉄心3を別の硬化ステップ(図示せず)に供し得る、ということも考えられる。
【0030】
積層装置19を出て行く各積層鉄心3を互いにより容易に分離することができるようにするために、電磁鋼板5は金属薄板部材2の打抜き前に、第1の部分領域5.1に、複数の突出した、同一に形成されたスペーサ20.1,20.2がエンボス加工されることにより準備される。この準備は、前記第1の部分領域5.1から第1の金属薄板部材10が打ち抜かれた後に、積層されかつ接着された金属薄板部材2の、積層鉄心3の状態での解離を容易にする。
【0031】
本発明により、第1の部分領域5.1において電磁鋼板5の両方の平面6,7に、突出したスペーサ20.1,20.2がエンボス加工により形成される。つまり第1の金属薄板部材10は、積層鉄心3に対して別個の分離部材10.1,10.2,10.3として働き、このことは、各積層鉄心3の間の接触面を減少させる。第1の金属薄板部材10は、接着された各金属薄板部材2の間に設けられ、ひいては積層装置19を出て行く積層鉄心3同士の解離を容易にする。本実施例では、分離部材10.1,10.2が積層装置19内に認められるのに対し、積層装置19を出て行った後の分離部材10.3は、方法技術的に簡単に除去される。このことは、別の分離部材10.1および10.2についても同様に想定されている。よって積層鉄心3自体は、密に積層された金属薄板部材2を有している。
【0032】
第1の部分領域5.1の準備は、ポンチ21.1と対応ポンチ21.2とを備えたエンボス加工装置21により行われ、両ポンチは、上工具11.1もしくは下工具11.2において必要に応じて各リニアガイド13.1,13.2に沿って前進・後退移動可能に設けられている。
【0033】
スペーサ20.1,20.2は、横断面で見て半円形の輪郭を有しており、電磁鋼板5もしくは第1の金属薄板部材10の平面6,7の球セグメントの形状で突出している。金属薄板部材の表面を傷付けないためには、球セグメントの形状がとりわけ有利である、ということが判っている。
【0034】
スペーサ20.1,20.2は、幅bおよび高さhを有している、もしくはスペーサ20.1,20.2は、幅bおよび高さhを有するようにエンボス加工される。前記高さhに基づき、例えば接着剤コーティングと、端部側の金属薄板部材2との間に十分な間隔が保証され得る。幅bに基づき、金属薄板部材2の積層に際して、スペーサ20.1,20.2の十分な機械的負荷容量をもたらすことができる。
【0035】
電磁鋼板5は、例えば0.1~1mm、つまり0.7mmの金属薄板厚さを有している。接着層8,9の層高さhkは、例えば2~4μmである。スペーサ20.1,20.2が例えば1.5mmの幅bおよび0.7mmの高さhを有していると、分離部材10.1,10.2,10.3による方法技術的に簡単な、積層鉄心3同士の分離が達成される。
【0036】
スペーサ20.1,20.2は、両方の平面7もしくは6から交互に突出するように形成され、このことは
図2では、下向きと上向きとに交互に突出したスペーサ20.1,20.2において認識され得る。好適には、スペーサ20.1,20.2は1回のエンボス加工ステップで形成される。
【0037】
このようにして、積み重ねられた各積層鉄心の間の分離部材の位置が、より良好に保証され得る。
図1において認められるように、第1の部分領域(5.1)の第1の平面6上のスペーサ20.2には、この第1の部分領域(5.1)の、第1の平面6とは反対側の第2の平面7上の2つのスペーサ20.1が続いている。
【0038】
相並んで位置するスペーサ20.1,20.2もしくは20.2,20.1の間の間隔Aは少なくとも、これらのスペーサ20.1,20.2の最小幅bに相当する。
【0039】
さらに
図2では、第1の金属薄板部材2の打抜き前に、全てのスペーサ20.1,20.2は切断された頭部22.1,22.2を有している、ということが認められる。このことは例えば、スペーサ20.1,20.2のエンボス加工前、加工中または加工後に電磁鋼板5を穿孔することにより実施される。好適には、スペーサ20.1,20.2はその頭部22.1,22.2を切断するように穿孔される。
【0040】
これにより、関係するスペーサ20.1,20.2における活性化可能な接着層8,9を-例えば方法技術的に簡単に剥離させて-減少させることができ、このことは、積層鉄心3同士の分離を大幅に容易にする