(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】圧縮流体エジェクタ及びプロペラ推進システムの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
B64D 27/10 20060101AFI20240902BHJP
B64D 35/00 20060101ALI20240902BHJP
F01D 15/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B64D27/10
B64D35/00
F01D15/02
(21)【出願番号】P 2020564093
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(86)【国際出願番号】 US2019032988
(87)【国際公開番号】W WO2019222702
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519447352
【氏名又は名称】ジェトップテラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エヴレット,アンドレイ
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0240275(US,A1)
【文献】特開2010-185363(JP,A)
【文献】特開2003-206746(JP,A)
【文献】米国特許第3747874(US,A)
【文献】米国特許第3388878(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 27/00,35/00,
B64C 27/12,11/00,29/00,
F01D 15/00,
F02K 1/36, 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮流体の供給源と、
前記供給源と流体連通し、前縁を有する少なくとも1つのスラスタであって、前記前縁に平行に
配向された軸の周りに回転可能に構成されている少なくとも1つのスラスタと、
前記供給源と流体連通し、プロペラに結合された少なくとも1つのタービンと、
前記少なくとも1つのスラスタ及び前記少なくとも1つのタービンの一方又は両方に前記圧縮流体を選択的に供給するための装置と、を備え、
前記装置は、前記少なくとも1つのスラスタ及び前記少なくとも1つのタービンと流体連通する少なくとも1つの排気ポートと、前記少なくとも1つの排気ポートを開閉するように制御可能に動作可能な少なくとも1つのプラグデバイスと、を備え、
前記少なくとも1つのプラグデバイスが前記少なくとも1つの排気ポートを閉じることにより、前記少なくとも1つのタービン上の
前記圧縮流体の流れを遮断し
て前記圧縮流体の流れを前記少なくとも1つのスラスタに向けさせ、
前記少なくとも1つのプラグデバイスが前記少なくとも1つの排気ポートを開けることにより、前記少なくとも1つのタービン上の
前記圧縮流体の流れの遮断を解除する、推進システム。
【請求項2】
前記装置は、前記供給源から前記少なくとも1つのスラスタへの流体の流れを有効及び無効にするように制御可能に動作可能である、前記少なくとも1つのスラスタに結合された少なくとも1つの閉塞デバイスを備える、請求項1に記載の推進システム。
【請求項3】
圧縮流体の供給源と、
前記供給源と流体連通し、前縁を有する少なくとも1つのスラスタであって、前記前縁に平行に
配向された軸の周りに回転可能に構成されている少なくとも1つのスラスタと、
前記供給源と流体連通し、プロペラに結合された少なくとも1つのタービンと、
前記少なくとも1つのスラスタ及び前記少なくとも1つのタービンの一方又は両方に前記圧縮流体を選択的に供給するための装置と、を備え、
前記装置は、前記少なくとも1つのスラスタ及び前記少なくとも1つのタービンと流体連通する少なくとも1つの排気ポートと、前記少なくとも1つの排気ポートを開閉するように制御可能に動作可能な少なくとも1つのプラグデバイスと、を備え、
前記少なくとも1つのプラグデバイスが前記少なくとも1つの排気ポートを閉じることにより、前記少なくとも1つのタービン上の
前記圧縮流体の流れを遮断し
て前記圧縮流体の流れを前記少なくとも1つのスラスタに向けさせ、
前記少なくとも1つのプラグデバイスが前記少なくとも1つの排気ポートを開けることにより、前記少なくとも1つのタービン上の
前記圧縮流体の流れの遮断を解除する、航空機。
【請求項4】
前記装置は、前記供給源から前記少なくとも1つのスラスタへの流体の流れを有効及び無効にするように制御可能に動作可能である、前記少なくとも1つのスラスタに結合された少なくとも1つの閉塞デバイスを備える、請求項3に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権表示
[0001] この開示は、米国及び国際著作権法によって保護されている。2019Jetoptera。著作権所有。この特許文書の開示の一部には、著作権保護の対象である資料が含まれている。著作権所有者は、特許商標庁の特許ファイル又は記録に記載されているように、特許文書又は特許開示のいずれかによるファクシミリ複製に異議を唱えないが、それ以外の場合はすべての著作権を留保するものである。
【0002】
優先権主張
[0002] この特許出願は、2018年5月17日に出願された米国仮特許出願第62/673,094号からの優先権を主張し、その内容は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
[0003] VTOL及びSTOL航空機の場合、必要なものは、より優れた接地面積、より低いVTOLノイズ、よりコンパクトな着陸スペース要件、より優れた信頼性、及び運用コストを備えたパフォーマンスのレベルである。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図2】
図1に示す本発明の実施形態の背面図である。
【
図3】
図1に示す本発明の実施形態の正面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による推進システムの上面斜視を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0009] この特許出願は、本発明の1つ以上の実施形態を説明することを意図している。「しなければならない」、「するであろう」などの絶対用語、ならびに特定の量の使用は、そのような実施形態の1つ以上に適用可能であると解釈されるべきであるが、必ずしもそのような実施形態のすべてにそうではないことを理解されたい。したがって、本発明の実施形態は、そのような絶対用語の文脈で説明される1つ以上の特徴又は機能を省略、又はそれらの修正を含むことができる。
【0006】
[0010] 1つ以上の実施形態は、FPSスラスタからターボプロップへ、及びその逆への切り替えを可能にするアーキテクチャ、タービンを遮断してガスを流体スラスタに、又はその逆に供給する機能、航空機のVTOL及びSTOLの手順のオペランダム方法、VTOL航空機の燃料節約、複雑な旋回ターボプロップと比較した単純性、傾斜ロータと比較したそのようなシステムの軽量化を含むコンパクト性と一体化、バルブの単純な開閉による水平飛行からVTOLシステムを分離することによる航空機のダイナミクスの利点を提供する。このシステムは、より単純なメカニズムにより、より優れた設置面積、より低いVTOLノイズ、よりコンパクトな着陸スペース要件、より優れた信頼性と運用コストを備えた、航空機の前例のないレベルのパフォーマンスを可能にする可能性がある。
【0007】
[0011] 一実施形態は、完全に閉じることができる可変フェースプレートを有する少なくとも1つのスラスタと流体的に接続されたガス発生器を含み、それにより、ガス発生器によって生成されたガスの流れをタービン上に促成する。ガス発生器は、航空機の中央にあるタービンに接続することができ、タービンには、高温の加圧ガスを加速して膨張させ、ガス発生器からタービンへのノズルを有する。その後、排気ガスは排気ポート540を介してシステムから排出される。
【0008】
[0012] 極端な一例では、バルブがタービンへの通路を完全に遮断し、ガスを流体スラスタに向けさせ、例えば2:1を超える増強比を使用して垂直方向の力を発生させる。この場合(VTOLフェーズ)、タービンへの流れは閉じたバルブ又はプラグによって遮断される可能性があるため、タービンは回転せず、したがってプロペラも同様に回転しない。航空機がFPSスラスタを使用して上昇すると、当該スラスタのフェースプレートが閉じ始め、ガスがコアンダ表面上で加速し、航空機が空中に浮かび、遷移を開始するのに十分な高さになるまで推力が増加する。遷移は、タービンへのバルブをゆっくりと開くことによって、及び/又はタービンから排気ポート540のプラグ/障害物をゆっくりと取り除き、タービンからブレーキを引くことでタービン上の流れの遮断を解除することによって起き、タービンは加速し、プロペラの駆動を開始する。タービンとプロペラは、ギア機構を介して機械的に相互に接続され、タービンの高RPMから大型プロペラの低RPMまで正しいRPM(減速ギア)を駆動することができる。フェースプレートが閉じ続けている間、スラスタは同じ推力を生成して航空機を空中に保ち、燃料の燃焼により飛行機は軽くなり、プロペラは飛行機を前方に動かし始めるため、機体は揚力を生成し始める。
【0009】
[0013] 例えば、30~60ノットの範囲では、飛行機は空中に留まるのに十分な揚力を生成し、プロペラはガス発生器をスロットルバックする(タービンに送られるガスが少なくなる)ことで巡航状態に切り替えることができ、流体スラスタはフェースプレートが完全に閉鎖されることによって完全に閉鎖される。したがって、高温ガスの通路は、いずれも強制的にタービンを通る。必要に応じて、垂直に着陸するためには逆を使用する。スラスタのフェースプレートが開いている間、タービンバルブが閉じ始め、フェースプレートとコアンダ表面との間でスラスタに形成されたスロットから高温ガスを注入できるようになる。スラスタが垂直着陸に十分な推力を発生させ始める間、航空機の前進速度は遅くなり、着陸時にプロペラ/シャフト/ギア/シャフト/タービンが完全に遮断される。完全に開いたスラスタは、FPSを介して、ゆっくりとした降下と着陸に十分な推力を生成する。
【0010】
[0014]
図1~
図3は、異なる斜視方向から本発明の一実施形態による車両100を示している。
図1~
図4において、車両100は、VTOL能力に特に重点を置いたジェット増強推進システムを有する。より具体的には、車両100は、前部102及びテール部分103を有する本体101を含む。本体101は、車両100の有人操作を可能にするように構成されたコックピット部分(図示せず)を含み得る。全ての飛行/帆船と同様に、車両100には右舷側と左舷側がある。流体発生器104は、本体101に結合され、流体流を生成する。一実施形態では、流体発生器104は、本体101内に配設されている。少なくとも1つの前部導管(
図3の111)及び少なくとも1つの尾部導管112は、発電機104に流体的に結合されている。
【0011】
[0015] 第1及び第2のフォアエジェクタ105、106は、少なくとも1つの前部導管111に流体的に結合され、前部102に結合され、それぞれ右舷側及び左舷側に結合される。フォアエジェクタ105、106はそれぞれ、出口構造107、108を含み、そこから、少なくとも1つの前部導管111からの流体が、所定の調整可能な速度で流れる。追加的に、フォアエジェクタ105、106の各々の全体は、フォアエジェクタの前縁に平行に配向された軸(すなわち、横軸)の周りで回転可能であり、例えば、前方及び上方の両方の構成要素で推力配向を提供し、車両100を離陸させるとともに、より急な迎え角で上昇を続けることが可能となり、よって、必要な滑走路の長さが短縮される。上昇の終わり又は上昇中に、フォアエジェクタ105、106は、主飛行方向に再調整されるか、又はエンジン/ガス発生器104のブリードバルブをオフにし、それに応じてガス生成器の速度と動作を適合することによって完全に閉鎖することができ、後部推進システム(例えば、テールエジェクタ109、110)を駆動する。着陸後、フォアエジェクタ105、106を180度旋回させて、着陸の方向に対して逆推力を提供し、着陸の長さを短くすることができる。一実施形態では、フォアエジェクタ105、106の各々の全体は、フォアエジェクタの前縁に垂直に配向された軸の周りで回転可能である。
【0012】
[0016] 第1及び第2のテールエジェクタ109、110は、少なくとも1つの尾部導管112に流体的に結合され、テール部分103に結合される。テールエジェクタ109、110は、出口構造113、114を含み、そこから、少なくとも1つの尾部導管112からの流体が、所定の調整可能な速度で流れる。追加的に、テールエジェクタ109、110の各々の全体は、テールエジェクタの前縁に平行に配向された軸(すなわち、横軸)の周りで回転可能である。一実施形態では、テールエジェクタ109、110の各々の全体は、テールエジェクタの前縁に垂直に配向された軸の周りで回転可能である。
【0013】
[0017] 一実施形態では、流体発生器104は、流体流が低温である第1の領域と、流体流が高温である第2の領域と、を含む。少なくとも1つの前部導管111は、第1の領域からフォアエジェクタ105、106に流体を提供し、少なくとも1つの尾部導管112は、第2の領域からテールエジェクタ109、110に流体を提供する。
【0014】
[0018] 一次翼型要素115は、テール部分103に結合されている。要素115は、フォアエジェクタからの流体が一次翼型要素の少なくとも1つの空力面上を流れるように、フォアエジェクタ105、106のすぐ下流に配置されている。一実施形態では、一次翼型要素115は、前縁121及び後縁122を有する閉じた翼であり、閉じた翼の前縁及び後縁は、内部領域123を画定する。テールエジェクタ109、110は、少なくとも部分的に内部領域123内(すなわち、前縁121と後縁122との間)に配設され、翼型要素115に対して内部領域内で制御可能に移動可能(例えば、前進、後退など)である。このように、シュラウドは、テールエジェクタ109、110の周りの一次翼型要素115によって形成され、それによってマクロエジェクタを形成する。
【0015】
[0019] 車両100は、前部102に結合され、それぞれ右舷側及び左舷側に結合された第1及び第2のカナード翼117、118をさらに含む。カナード翼117、118は、車両100が動いているときにカナード翼上を流れる周囲空気の境界層を発達させるように構成される。カナード翼117、118は、それぞれ、フォアエジェクタ105、106のすぐ上流に配置されているため、フォアエジェクタは、境界層に流体的に結合される。フォアエジェクタ105、106は、それぞれ、入口部分(すなわち、前縁)119、120を含み、フォアエジェクタは、境界層が入口部分によって取り込まれるように位置決めされる。
【0016】
[0020]
図4は、車両100を後方斜視図で示している。車両100は、短距離離着陸(STOL)能力に特に重点を置いたターボプロペラ推進システムを含む。車両100は、流体発生器104によって動力を供給されるタービン511によって駆動されるプロペラ510を含む。一実施形態は、車両500が静止しているときにプロペラ510と着陸/離陸面との間に十分なスペース及び/又はオフセットがあるように車両500に支持を提供する、脚又は他の適切なデバイスなどの支持アセンブリ520を含むことができる。支持アセンブリ520は、好ましくは、テール部分103から延在し、本体101に実質的に平行である。
【0017】
[0021] 1つ以上の実施形態は、主に、VTOL又はSTOL操作のために流体推進エジェクタ/スラスタシステム(FPS)を使用する。例示的なFPSシステムは、例えば、米国特許出願第15/456,450号、同第15/221,389号及び同第15/256,178号に記載されており、これらは、本明細書にその全体が記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
図5に最もよく示されるように、ガス発生器104からの高温ガスは、FPSスラスタ109、110からリダイレクトされて、ギア512及びプロペラ510に機械的に接続された自由タービン511上を流れることができる。そのようなシステムは、導管112を介して発電機104から圧縮流体を受け取り、垂直飛行を可能にするために垂直方向に地上に向けられ、垂直位置と水平位置との間で旋回可能であってもよいFPSスラスタ109、110のみを使用して航空機100がリフトオフ中に高度を得るように、離陸時に発電機104からタービン/プロペラ511、510への流れを遮断する1つ以上のプラグ513又は他の遮断要素を含む。車両の離陸後の遷移期間中、発電機ガスは、FPSスラスタ109、110及びタービン511の両方に流入することができ、後者は、結果として加速される。FPSシステムスラスタ109、110(又は同様の目的を果たす他の閉塞デバイス/システム)のフェースプレート530はゆっくりと閉じ始めることができ、所定の高度で、航空機100はすべての発電機ガス流をタービン511に向け、プロペラ510を駆動させ、かつ航空機を、速度を増加させて前進させる。FPSスラスタ109、110が、例えば、スラスタのコアンダ表面に供給するすべての通路を閉じるフェースプレート530を介して完全に閉鎖されるまでに、ガス発生器104からの全質量流量は、プロペラ510を駆動するタービン511上に向けられる。スラスタ109、110を除くと、航空機100は、FPSスラスタを使用しなくても、揚力自体を支持する速度(例えば、40~50ノット)を有しており、プロペラ510を巡航状態にして、システム全体をターボプロップとして機能させ、スロットルをダイヤルバックさせて経済的に有利な状態にすることができる。燃費は、水平飛行のFPSの半分でよい。
【0018】
[0022] 前述の文では、多くの異なる実施形態を詳細に説明しているが、保護の範囲は、続く特許請求の範囲の言葉によって定義されることを理解されたい。詳細な説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、すべての可能な実施形態を説明することは不可能ではないにしても非現実的であるため、すべての可能な実施形態を説明するわけではない。現在の技術、又はこの特許の出願日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多数の代替の実施形態を実施することができ、それは依然として特許請求の範囲内にある。
【0019】
[0023] したがって、本特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載及び図示されている技術及び構造に多くの修正及び変形を加えることができる。したがって、本明細書に記載の方法及び装置は、例示にすぎず、特許請求の範囲の範囲を限定するものではないことを理解されたい。