IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェトップテラ,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7547214境界取り込み流体推進要素による機体の合理化
<>
  • 特許-境界取り込み流体推進要素による機体の合理化 図1
  • 特許-境界取り込み流体推進要素による機体の合理化 図2
  • 特許-境界取り込み流体推進要素による機体の合理化 図3
  • 特許-境界取り込み流体推進要素による機体の合理化 図4
  • 特許-境界取り込み流体推進要素による機体の合理化 図5
  • 特許-境界取り込み流体推進要素による機体の合理化 図6
  • 特許-境界取り込み流体推進要素による機体の合理化 図7
  • 特許-境界取り込み流体推進要素による機体の合理化 図8
  • 特許-境界取り込み流体推進要素による機体の合理化 図9
  • 特許-境界取り込み流体推進要素による機体の合理化 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】境界取り込み流体推進要素による機体の合理化
(51)【国際特許分類】
   B64C 21/02 20060101AFI20240902BHJP
   F15D 1/12 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B64C21/02
F15D1/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020566276
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 US2019034409
(87)【国際公開番号】W WO2019232060
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】62/677,419
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519447352
【氏名又は名称】ジェトップテラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エヴレット,アンドレイ
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0057648(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0057621(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0057647(US,A1)
【文献】国際公開第91/009776(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0181433(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0000943(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0283080(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0240275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 21/00,15/14, 9/00,
F15D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行装置であって、
主要本体と、
前記主要本体に結合された少なくとも1つの翼と、
前記主要本体に結合された圧縮流体の供給源と、
第1及び第2のスラスタであって、各前記第1及び第2のスラスタが、吸気構造を有し、各前記第1及び第2のスラスタが、前記供給源と流体連通しており、前記第1のスラスタが、前記主要本体に結合されており、前記第2のスラスタが前記少なくとも1つの翼に結合されており、前記第1及び第2のスラスタが、第1の構成にあるとき、前記飛行装置の動きに起因して生成された境界層の少なくとも一部分が前記第1及び第2のスラスタの前記吸気構造によって取り込まれるように位置付けられている、第1及び第2のスラスタと、
前記第1及び第2のスラスタに、前記圧縮流体を選択的に提供するためのシステムと、を備え、
前記第1のスラスタは、前記主要本体の内側の位置から、前記主要本体の外側の位置に作動するように構成され、記第2のスラスタは、前記少なくとも1つの翼の内側の位置から、前記少なくとも1つの翼の外側の位置に作動するように構成されている、
飛行装置。
【請求項2】
第2の構成において、前記第1のスラスタが前記主要本体の中に完全に収容され、及び/又は、記第2のスラスタが前記少なくとも1つの翼の中に完全に収容される、請求項1に記載の飛行装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のスラスタが各々、
凸状表面と、
前記凸状表面に結合された拡散構造と、
前記凸状表面に結合されており、かつ前記凸状表面に前記圧縮流体を導入するように構成されている、少なくとも1つの導管と、を備える、請求項1に記載の飛行装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のスラスタの各々について、前記吸気構造が、前記凸状表面に結合されており、前記拡散構造が、前記圧縮流体及び境界層に対する前記システムからの出口を提供するように構成されている終端を備える、請求項3に記載の飛行装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のスラスタのうちの少なくとも1つの前記凸状表面が、複数の凹部を含む、請求項3に記載の飛行装置。
【請求項6】
前記第1及び第2のスラスタのうちの少なくとも1つの前記吸気構造が、非対称である、請求項1に記載の飛行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権表示
[0001] この開示は、米国及び/又は国際著作権法によって保護されている。(著作権)2019 Jetoptera,Inc.無断複写・転載を禁ず。この特許文書の開示の一部分には、著作権保護の対象となる資料が含まれる。著作権所有者は、特許商標庁の特許ファイル又は記録に記載されているように、特許文書又は特許開示のいずれかによる複製に異議を唱えることはないが、それ以外の場合はすべての著作権を留保する。
【0002】
優先権主張
[0002] 本出願は、2018年5月29日に出願された、た米国仮特許出願第62/677,419号、発明の名称「Streamline Airframe with Boundary Ingestion Fluidic Propulsive Elements」に対する優先権を主張するものであり、この内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
[0003] 航空機設計の多くの目的の中には、主要な回転部品の最小化又は排除、航空機の全重量を低減すること、及び航空機の全抗力プロファイルを低下することがある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本発明の一実施形態の断面図であり、エジェクタの上半分と、内部流内の速度及び温度のプロファイルと、を描写する。
図2】一実施形態による図1のエジェクタの表面の特徴を例解する。
図3】1つ以上の実施形態による吸気構造の部分斜視図を例解する。
図4】1つ以上の実施形態による吸気構造の部分斜視図を例解する。
図5】一実施形態によるエジェクタ内部幾何形状の断面変化を例解する。
図6】一実施形態による航空機の上面図を例解する。
図7】一実施形態による、翼又は胴体内の格納位置にあるスラスタを例解する。
図8】一実施形態による、翼又は胴体内の格納位置にあるスラスタを例解する。
図9】一実施形態による展開位置にあるスラスタを例解する。
図10】一実施形態による展開位置にあるスラスタを例解する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0011] 本特許出願は、本発明の1つ以上の実施形態を説明することを意図している。「しなければならない」、「ことになる」などの絶対用語、ならびに特定の量の使用は、そのような実施形態の1つ以上に適用可能であるが、そのようなすべての実施形態に必ずしも適用可能ではないと解釈されるべきである。したがって、本発明の実施形態は、そのような絶対用語の文脈で説明される1つ以上の特徴又は機能の修正を省略する又は含むことができる。
【0006】
[0012] 図1は、非限定的な例として、飛行機などなどのUAV又は有人航空機などの車両(図示せず)に取り付けられ得る、エジェクタ200などのスラスタの上半分の断面を例解する。プレナム211は、例えば、車両によって使用され得る燃焼式エンジンから、周囲よりも高温の空気(すなわち、加圧されたモチーフガス流れ)が供給される。矢印600によって示されるこの加圧されたモチーフガス流れは、一次ノズル203などの少なくとも1つの導管を介して、エジェクタ200の内部に導入される。より具体的には、一次ノズル203は、壁ジェットとして凸状コアンダ表面204上で直接、モチーフ流体流れ600を可変の所定の所望の速度に加速するように構成されている。追加的に、一次ノズル203は、調整可能な量の流体流れ600を提供する。次に、この壁ジェットは、静止している、又は矢印1によって示される方向からゼロ以外の速度でエジェクタ200に接近し得る、矢印1によって示される周囲空気などの二次流体を吸気構造206を通して混入するのに役立つ。様々な実施形態では、ノズル203は、アレイに、湾曲した向き、らせん状の向き、及び/又はジグザグの向きに配列され得る。
【0007】
[0013] 流れ600と空気1との混合物は、エジェクタ200のスロート区分225で純粋に軸方向に移動し得る。拡散器210などの拡散構造での拡散により、混合及び平滑化プロセスが継続するため、エジェクタ200の軸方向の温度(800)及び速度(700)のプロファイルは、スロート区分225に存在する高い値及び低い値を有しなくなるが、拡散器210の終端100でより均一になる。流れ600と空気1の混合物が終端100の出口面に近づくと、温度及び速度プロファイルはほぼ均一になる。特に、混合物の温度は、翼又は制御面などのエーロフォイルに向けられるのに十分に低い。
【0008】
[0014] 一実施形態では、図2に最もよく例解されているように、V字形の渦生成二次ノズル205は、通常の長方形状一次ノズル203と比較した場合、互い違いになり、全流体流れ600の少なくとも25%を噴射してから、流体流れの質量流量の残りは、しばらくしてノズル203によって噴射される。ノズル203の噴射よりも前のノズル205によるこの噴射は、エジェクタ200の性能を著しく向上させるのに十分なより高い混入率をもたらす。二次ノズル205は、剪断層を介して二次流れのより好ましい混入を導入し、一次ノズル203に対して軸方向及び円周方向の両方で互い違いになっている。
【0009】
[0015] 一次ノズル203は、その最も内側で一次ノズル203構造の中点に接続された支持脚を備えたデルタ翼構造226を含み得、デルタ翼構造の頂点は、流体流れ600の流れに対して指している。これは次に、方向が反対である2つの渦を生成し、一次ノズル203の両側から、ノズル205から生じる一次及び二次流体の流れのすでに混入された混合物を強く混入する。
【0010】
[0016] 追加的に、一実施形態は、コアンダ表面204上に配置されたディンプル221などの要素を介して、流れ分離遅延のために表面を改善する。ディンプル221は、流れの分離を防ぎ、エジェクタ200の性能を大幅に向上させる。追加的に、拡散器210(図1を参照)の表面はまた、境界層の分離を遅延又は防止するディンプル222及び/又は他の要素を含み得る。
【0011】
[0017] 一実施形態では、吸気構造206は、構成が円形であり得る。しかしながら、様々な実施形態において、そして図3~4に最もよく示されるように、吸気構造206は、非円形であり得、実際、非対称であり得る(すなわち、少なくとも1つの、あるいは任意の所与の平面(吸気構造を二等分する)の両側で同一ではない)。例えば、図3に示されるように、吸気構造206は、第1及び第2の対向する縁部301、302を含むことができ、第2の対向する縁部は、第1の対向する縁部に向かって突出する湾曲部分を含む。図4に示されるように、吸気構造206は、第1及び第2の横方向の対向する縁部401、402を含むことができ、第1の横方向の対向する縁部は、第2の横方向の対向する縁部よりも大きな曲率半径を有する。
【0012】
[0018] 図5を参照すると、一実施形態は、エジェクタ200の外部表面603、604と内部表面605、606との間に配置された少なくとも1つの内部作動要素(例えば、アクチュエータ及び/又はリンケージ)601、602を含み得る。例解された実施形態では、アクチュエータ601は、第2の表面が移動していないときに、第2の表面606に対して第1の表面605を移動させるように(例えば、エジェクタ200の中心軸に向かって、及び当該中心軸から離れるように)構成されている。同様に、第2のアクチュエータ602は、第1の表面が移動していないときに、第1の表面605に対して第2の表面606を移動させるように構成されている。エジェクタ200の内部幾何形状を複数の構成に変更するこの能力により、エジェクタは、複数の飛行条件(例えば、離昇、離陸、巡航飛行など)で最適に動作することができる。
【0013】
[0019] 1つ以上の実施形態は、主に、流体推進エジェクタ/スラスタシステム(FPS)推進を使用する。例示的なFPSシステムは、例えば、米国特許出願第15/456,450号、第15/221,389号、及び第15/256,178号に記載されており、これらは、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。1つ以上の実施形態は、1つ以上の流体推進エジェクタ/スラスタシステム(FPS)及び分散推進を組み合わせて、車両から突き出る「突出物」を排除し、機体を完全に合理化させ、抗力が形成される境界層を積極的に取り込み/制御し、これにより、燃料を節約し、移動範囲を拡大する。
【0014】
[0020] 図6を参照すると、一実施形態は、1つ以上のガス発生器610a~cを使用して、一連の導管616を介して、胴体612及び翼614などの主要本体に取り付けられたコアンダ効果に基づくエジェクタ200を供給し、そのため、吸引ジェットと壁ジェットの両方を提供して、抗力を低減し、流れの分離(抗力及び早期失速を引き起こす)を遅延し、胴体及び翼全体にわたる分散推進を含むことができる。
【0015】
[0021] エジェクタ200の1つ以上の実施形態は、円形以外の形状に構成することができ、一次流体を使用して大量の空気を混入し(吸い込み又は取り込み)、一次及び二次(混入)流体(例えば、タービン及び周囲空気からのガス)を混合することによって、この空気をより高速に加速することができる。一実施形態は、、飛行機胴体612及び/又は翼614とほぼ「同一平面に」装着された複数のこれらのエジェクタ200に、(ほとんどの分散推進システムのような機械的ネットワークではなく、空気圧ネットワークを介して)供給するガスタービン供給を含み、胴体の内側又は他の機内の場所から、圧縮された高温流体を受容し、それを使用して、エジェクタの前の胴体の上に形成された境界層からより多くの空気を混入し、エジェクタ内の高温ガスと混合して、それを、壁ジェット方式で胴体と平行又は当該胴体と接する下流に排出し得る。
【0016】
[0022] エジェクタ200への高温流体の分散は、制御弁を使用して制御可能な方法で行うことができる。数が多く、かつ薄い金属のセラミック複合材料で作ることができる、これらのエジェクタ200は、鳥の羽のように胴体612及び翼614上に配列して、航空機の広い面積を覆うようにインテリジェントに分散されているた(すなわち、互い違いにされている)壁ジェット内で、吸引/混入入口のために、及び排気のために、互いに補完し合う。様々な実施形態によるエジェクタ200に、任意の形状(長方形、円形、三日月形、曲線など)を与えることができるので、航空機の任意の部分を覆うことができる(大型飛行機の胴体の端部に吸込側を配置するのとは対照的に、その効果を地域の条件に限定して効果的ではなく、さらに、ノイズと効率のためのRPMの制限を誘導する大きな回転部分(ローター/ファン)を導入する)。さらに、分散ネットワークによってエジェクタ200に供給されるガスの高いレイノルズ数及び高温の条件では、損失は最小限であり、FPSシステムは、実際、軽量化しながら主要な回転部品を排除する。熱導管616のネットワークは、超軽量材料で絶縁することができ、弁を使用して、必要に応じて、必要なときに、エジェクタ200への流れを作動させて許容又は拒否することができる。
【0017】
[0023] 図6~10に示されるように、一実施形態は、図7~8に最もよく示される第1の構成では、非アクティブであり、胴体612又は翼614の内部内に配置される複数のエジェクタ200と流体的に接続された1つ以上のガス発生器610a~cを含む。図9~10に最もよく示されているように、エジェクタ200は、必要に応じて胴体612又は翼614の内部から出現する適切な作動手段によって引き起こされ得、ガス発生器610a~cによって生成されたガスの流れに、大量の空気を混入させ、かつ航空機の機体の大部分にわたって吸引領域を生成させる。この構成の特別な利点は、境界層が「再通電」され、推力を生成できるジェットに変わることである。追加的に、推力は、実際に今、航空機全体に「分散」され、非常に大きな推進効率を保証する。これは、少なくとも20:1の圧力比を有するガス発生器からの高い熱効率と組み合わされて、航空機を非常に効率的にし、エジェクタ200の分散によって保証されるより低い抗力も含む。
【0018】
[0024] 本開示の好ましい実施形態が、上記のように例解及び説明されてきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更を行うことができる。したがって、記載されたシステム及び技法の範囲は、好ましい実施形態の開示によって限定されない。代わりに、記載されているシステム及び技法は、以下の特許請求の範囲を参照することによって完全に決定されるべきである。
【0019】
[0025] 排他的所有権又は特権が主張される本開示の実施形態は、以下のように定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10