(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】光電変換モジュールの設置構造及び光電変換モジュールの設置方法
(51)【国際特許分類】
H02S 20/10 20140101AFI20240902BHJP
【FI】
H02S20/10 H
H02S20/10 B
H02S20/10 U
(21)【出願番号】P 2021011591
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】市川 直毅
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-141842(JP,A)
【文献】特開2015-045172(JP,A)
【文献】特開2016-134938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換モジュール、及び前記光電変換モジュールを水平面に関して傾斜した状態で支持可能な支柱を含む光電変換モジュール組立体と、
前記光電変換モジュール組立体を支える基礎ブロックと、を有し、
前記基礎ブロックは、前記光電変換モジュールの表面に直交する方向と重力方向の両方に直交する横方向から見たときに前記光電変換モジュールの重心よりも前記光電変換モジュールの傾斜方向の下方側に相当する第1領域と、前記横方向から見たときに前記光電変換モジュールの重心よりも前記傾斜方向の上方側に相当する第2領域と、を含み、
前記第1領域における前記基礎ブロックの単位面積当たりの重量が、前記第2領域における前記基礎ブロックの単位面積当たりの重量よりも小さい、光電変換モジュールの設置構造。
【請求項2】
前記基礎ブロックは、互いに分離された複数のブロックを含む、請求項1に記載の光電変換モジュールの設置構造。
【請求項3】
前記光電変換モジュール組立体は、前記支柱の下部に設けられた基板を有し、
前記基礎ブロックは、前記基板上に設けられている、請求項1又は2に記載の光電変換モジュールの設置構造。
【請求項4】
前記基板は、前記横方向と前記重力方向の両方に直交する縦方向において、前記第1領域側における前記基板の先端から前記光電変換モジュールの重心までの距離が、前記第2領域側における前記基板の後端から前記光電変換モジュールの重心までの距離よりも長い、請求項3に記載の光電変換モジュールの設置構造。
【請求項5】
前記基板の外周に上方に向けて突出した突起が設けられている、請求項3又は4に記載の光電変換モジュールの設置構造。
【請求項6】
前記基板は、複数の区域に分割されている、請求項3から5のいずれか1項に記載の光電変換モジュールの設置構造。
【請求項7】
光電変換モジュール、及び前記光電変換モジュールを水平面に関して傾斜した状態で支持可能な支柱を含む光電変換モジュール組立体を、設置面上に置く第1ステップと、
前記光電変換モジュール組立体を支える基礎ブロックを設ける第2ステップと、を有し、
前記基礎ブロックは、前記光電変換モジュールの表面に直交する方向と重力方向の両方に直交する横方向から見たときに前記
光電変換モジュールの重心よりも前記光電変換モジュールの傾斜方向の下方側に相当する第1領域と、前記横方向から見たときに前記
光電変換モジュールの重心よりも前記傾斜方向の上方側に相当する第2領域と、を含み、
前記第2ステップにおいて、前記基礎ブロックは、前記第1領域上における前記基礎ブロックの単位面積当たりの重量が、前記第2領域における前記基礎ブロックの単位面積当たりの重量よりも小さくなるように設けられる、光電変換モジュールの設置方法。
【請求項8】
前記光電変換モジュール組立体は、前記支柱の下部に設けられた基板を有し、
前記第2ステップにおいて、前記基礎ブロックは、前記基板上に設けられる、請求項7に記載の光電変換モジュールの設置方法。
【請求項9】
前記第2ステップは、互いに分離された複数のブロックを前記基板上に置くことによって前記基礎ブロックを形成することを含む、請求項8に記載の光電変換モジュールの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換モジュールの設置構造及び光電変換モジュールの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池モジュールのような光電変換モジュールの普及が進んでいる。特に、太陽電池モジュールは、様々な建造物に取り付けられたり、地上に設置されたりしている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、地上に設置される太陽電池モジュールを開示する。特許文献1では、太陽電池モジュールは架台に支持されており、架台は支柱によって支えられている。支柱の下端部は基礎に固定されている。基礎は、上面のみが見える程度に地中に堅固に埋設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、光電変換モジュールを支える支柱の下端部の基礎は、光電変換モジュールの安定性を確保するため、地中に埋設される。しかしながら、地面を掘った後に、地面中に基礎を置く又は地面中で基礎を形成する必要があるため、光電変換モジュールの設置の手間がかかり、設置にかかる費用が増してしまう。
【0006】
一方、支柱の下端部の基礎が地中に埋設されることなく、基礎を地上に置くことも考えられる。この場合、光電変換モジュールの安定性を確保するために基礎の重量やサイズが大きくなり、基礎の製造に伴う費用が増してしまうことがある。
【0007】
したがって、なるべく小さい重量及び/又はサイズで安定性を維持可能な光電変換モジュールの設置構造及び光電変換モジュールの設置方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る光電変換モジュールの設置構造は、光電変換モジュール、及び前記光電変換モジュールを水平面に関して傾斜した状態で支持可能な支柱を含む光電変換モジュール組立体と、前記光電変換モジュール組立体を支える基礎ブロックと、を有する。前記基礎ブロックは、前記光電変換モジュールの表面に直交する方向と重力方向の両方に直交する横方向から見たときに前記光電変換モジュール組立体の重心よりも前記光電変換モジュールの傾斜方向の下方側に相当する第1領域と、前記横方向から見たときに前記光電変換モジュール組立体の重心よりも前記傾斜方向の上方側に相当する第2領域と、を含む。前記第1領域における前記基礎ブロックの単位面積当たりの重量が、前記第2領域における前記基礎ブロックの単位面積当たりの重量よりも小さい。
【0009】
一態様に係る光電変換モジュールの設置方法は、光電変換モジュール、及び前記光電変換モジュールを水平面に関して傾斜した状態で支持可能な支柱を含む光電変換モジュール組立体を、設置面上に置く第1ステップと、前記光電変換モジュール組立体を支える基礎ブロックを設ける第2ステップと、を有する。前記基礎ブロックは、前記光電変換モジュールの表面に直交する方向と重力方向の両方に直交する横方向から見たときに前記光電変換モジュールの重心よりも前記光電変換モジュールの傾斜方向の下方側に相当する第1領域と、前記横方向から見たときに前記光電変換モジュールの重心よりも前記傾斜方向の上方側に相当する第2領域と、を含む。前記第2ステップにおいて、前記基礎ブロックは、前記第1領域における前記基礎ブロックの単位面積当たりの重量が、前記第2領域における前記基礎ブロックの単位面積当たりの重量よりも小さくなるように設けられる。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、なるべく小さい重量及び/又はサイズで安定性を維持可能な光電変換モジュールの設置構造及び光電変換モジュールの設置方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る光電変換モジュール組立体の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る光電変換モジュールの設置構造を示す平面図である。
【
図3】順方向に吹いた風に伴う外力による影響を説明するための模式図である。
【
図4】逆方向に吹いた風に伴う外力による影響を説明するための模式図である。
【
図5】第2実施形態に係る光電変換モジュールの設置構造を示す平面図である。
【
図6】第3実施形態に係る光電変換モジュールの設置構造を示す平面図である。
【
図7】第4実施形態に係る光電変換モジュール組立体の斜視図である。
【
図8】第5実施形態に係る光電変換モジュール組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る光電変換モジュール組立体の斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る光電変換モジュールの設置構造を示す平面図である。
【0014】
光電変換モジュール設置構造は、光電変換モジュール組立体10と、基礎ブロック300と、を有していてよい。光電変換モジュール組立体10は、少なくとも1つの光電変換モジュール100と、光電変換モジュール100を支える支持体200と、を有していてよい。
【0015】
光電変換モジュール100は、光エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する光電変換パネルを有していてよい。光電変換モジュール100は、例えば太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するモジュールであってよい。光電変換モジュール100は、屋外に設置されるものであってよく、特に地面のように水平面に略平行な設置面400に設置されるものであることが好ましい。
【0016】
本明細書において、光電変換モジュール100の「表面」は、光エネルギーを受ける側、又は光エネルギーを発する側を意味する。光電変換モジュール100が太陽電池モジュールである場合、「表面」は、太陽光を受ける受光側に相当する。また、「裏面」は、「表面」とは反対の面を意味する。
【0017】
支持体200は、必要に応じて、支持部210と支柱220と基板230を有していてよい。光電変換モジュール100は、支持部210に取り付けられている。支持部210は、光電変換モジュール100と支柱220とを互いに連結していてよい。
【0018】
基板230は、支柱220の下部に設けられている。基板230は、設置面400上に置かれる部分であってよい。基板230は、設置面に実質的に平行な面内にわたって広がっていてよい。基板230材料は、特に制限されないが、例えば金属によって構成されていてよい。
【0019】
本実施形態では、基板230は、基礎ブロック300が積載される領域を規定している。図示した態様では、基板230の形状は、正方形である。これに限らず、基板230は、任意の形状を有していてよい。
【0020】
支柱220は、基板230から上方に延びていてよい。支柱220は、光電変換モジュール100を水平面に関して傾斜した状態で支持可能であってよい。光電変換モジュール100の水平面からの傾斜角度は、固定されていてもよく、可変に構成されていてもよい。
【0021】
図示した形態では、光電変換モジュール100は、1本の支柱220によって支えられている。この代わりに、光電変換モジュール100は、複数本の支柱220によって支えられていてもよい。
【0022】
以下では、光電変換モジュール100の表面に直交する方向Nと重力方向Gの両方に直交する方向は、「横方向」と称される。横方向と重力方向の両方に直交する方向は、「縦方向」と称される。ここで、縦方向は図におけるX方向に相当し、横方向は図におけるY方向に相当する。また、重力方向は、重力が作用する方向に相当し、本実施形態では設置面400に垂直な方向に沿っている。重力方向は、図におけるZ方向とは逆向きの方向に相当する。
【0023】
基礎ブロック300は、光電変換モジュール組立体10の基板230上に設けられていてよい(
図2参照)。基礎ブロック300は、横方向から見たときに光電変換モジュール100の重心C2よりも光電変換モジュールの傾斜方向の下方側に相当する第1領域302と、横方向から見たときに光電変換モジュール100の重心C2よりも傾斜方向の上方側に相当する第2領域304と、を含んでいる。ここで、傾斜方向は、最大傾斜線に沿った方向である。したがって、
図2において、第1領域302は、光電変換モジュール100の重心C2よりも左側の領域に相当し、第2領域304は、光電変換モジュール100の重心C2よりも右側の領域に相当する。
【0024】
前述したように、基礎ブロック300は、第1領域302と第2領域304に便宜上区分けされるが、第1領域302と第2領域304は一体的に構成されていてよい。この代わりに、第1領域302と第2領域304は、互いに分離して構成されていても構わない。
【0025】
基礎ブロック300は、光電変換モジュール組立体10の基板230上に設けられている(
図2参照)。第1実施形態では、基礎ブロック300は、一体に構成されている。この場合、支柱220の下方の部分は、基礎ブロック300によって囲まれ、基礎ブロック300によって直接的に支持される。基礎ブロック300は、特に制限されないが、例えばコンクリートによって構成されていてよい。この場合、基礎ブロック300を搭載するための基板230はなくてもよい。すなわち、基礎ブロック300は、設置面上に直接置かれてもよい。
【0026】
支柱220は、地面のような設置面400の内部にまで達していなくてもよい。また、基板230は杭やアンカーのような締結部材によって設置面400に固定されてなくてもよい。すなわち、光電変換モジュール組立体10は、自重及び基礎ブロック300の荷重のみにより安定化されていてよい。設置面400の内部にまで達する支柱、杭、及び/又はアンカーがない場合、光電変換モジュール組立体10の設置が容易になるというメリットが得られる。
【0027】
第1領域302における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量は、第2領域304における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量よりも小さい。第1実施形態においては、
図2に示すように、第1領域302における基礎ブロック300の高さが、第2領域304における基礎ブロック300の高さより低くなっている。
【0028】
図3は、順方向に吹いた風に伴う外力による影響を説明するための模式図である。ここで、本明細書において、順方向は、光電変換モジュール100の表面に向かって吹く風の流れの方向を意味する。
【0029】
順方向に吹く風W1が傾斜した光電変換モジュール100に加える外力F1は、斜め下方に向く(
図3参照)。この外力F1は、重力方向Gに沿った力の成分F1nと、水平方向に沿った力の成分F1pとの合成によって表される。重力方向Gに沿った力の成分F1nは、下方に向くため、実質的には光電変換モジュール組立体10を不安定化させない。
【0030】
水平方向に沿った力の成分F1pは、光電変換モジュール組立体10を水平方向に沿って移動させ得る力である。したがって、基板230又は基礎ブロック300と設置面400との間の最大静止摩擦力が、この水平方向に沿った力の成分F1pよりも大きければよい。すなわち、基礎ブロック300の荷重は、上記の最大静止摩擦力を生じさせるために十分な垂直抗力を生じさせるものであればよい。
【0031】
図4は、逆方向に吹いた風に伴う外力による影響を説明するための模式図である。ここで、本明細書において、逆方向は、光電変換モジュール100の裏面に向かって吹く風の流れの方向を意味する。
【0032】
逆方向に吹く風W2が傾斜した光電変換モジュール100に加える外力F2は、斜め上方に向く(
図4参照)。この外力F2は、重力方向Gの逆向きに沿った力の成分F2nと、水平方向に沿った力の成分F2pとの合成によって表される。
【0033】
水平方向に沿った力の成分F2pは、前述したように光電変換モジュール組立体10を水平方向に沿って移動させ得る力である。また、重力方向Gの逆向きに沿った力の成分F2nは、光電変換モジュール組立体10の荷重を軽減するよう作用する。したがって、設置面400から基板230又は基礎ブロック300に作用する垂直抗力は、逆方向に吹く風W2の影響により小さくなり、その結果、基板230又は基礎ブロック300と設置面400との間の最大静止摩擦力も小さくなる。したがって、基礎ブロック300の荷重は、少なくとも、重力方向Gの逆向きに沿った力の成分F2nによる荷重の軽減分を差し引いたとしても、水平方向に沿った力の成分F2pよりも十分大きい最大静止摩擦力を生じさせる程度のものであってよい。
【0034】
本願の発明者は、風による外力が光電変換モジュール組立体10を回転して転倒させる影響について検討した。
図4に示すように、逆方向に吹く風W2が傾斜した光電変換モジュール100に加える外力F2は、第1領域302側の基板230の先端R2を中心に回転させるような力(力のモーメント:トルク)を光電変換モジュール組立体10に与え得る(
図4の矢印A参照)。このトルクは、基板230の回転の中心、ここでは第1領域302側の基板230の先端R2から外力F2の作用点に向かって延びるベクトルと、外力F2のベクトルと、の外積(ベクトル積)によって表される。外力F2は、風圧が光電変換モジュール100に作用する点と点R2とを結ぶ線に対して交差する方向を向くため、前述のベクトル積の大きさは比較的大きくなりやすい。そのため、逆方向に吹く風W2に起因する外力F2は、点R2まわりに光電変換モジュール組立体10を回転させるトルクを生じさせ易い。
【0035】
第1領域302側の基板230の先端R2を中心にした光電変換モジュール組立体10の回転を防止するためには、
図4に示す方向(横方向)から見て点R2を中心にして矢印A1とは反対まわりに作用する外力を電変換モジュール組立体10に与える必要がある。基礎ブロック300は、逆向きに吹く風W2により点R2を中心にした光電変換モジュール組立体10の回転を防止する方向の力(トルク)を基板230に作用させている。
【0036】
ここで、力のモーメント(トルク)の大きさは、回転の中心R2と外力の作用点とを結ぶベクトルと、外力とのベクトル積で表される。そのため、力のモーメント(トルク)の大きさは、外力の作用点が回転の中心R2から遠くなるにつれて大きくなる。すなわち、第1領域302側の基板230の先端R2から遠い領域、すなわち第2領域304における基礎ブロック300の荷重が、逆方向に吹く風W2による光電変換モジュール100の回転を防止する向きの力のモーメントとして大きく寄与する。
【0037】
一方、順方向に吹く風W1が光電変換モジュール100に加える外力F1も、第2領域304側の基板230の後端R1を中心に回転させるような力(トルク)を光電変換モジュール組立体10に与え得る。しかしながら、外力F1は、概ね第2領域304側の基板230の後端R1の方に向くため、点R1を中心に回転させるような力(トルク)の大きさは小さくなる。したがって、第2領域304側の基板230の後端R1から遠い領域、すなわち第1領域302における基礎ブロック300の荷重が小さかったとしても、順方向に吹く風W1による光電変換モジュール100の回転を防止することができる。
【0038】
第1実施形態では、第1領域302における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量が、第2領域304における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量よりも小さくなっている。この場合であっても、前述したように、第1領域302側の基板230の先端R2から遠い第2領域304における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量が比較的大きいため、逆方向に吹く風W2による回転による転倒を防止することができる。
【0039】
基礎ブロック300は、製造上の容易性等の観点から、一般的にはどの領域においても同じ荷重がかかるよう設けられる。特に、基礎ブロック300がコンクリートによって構成される場合、基礎ブロック300は一般に高さが均一で段差のないブロックの形状になる。これは、コンクリートが硬化前の生コンクリートを硬化することによって形成されるからである。
【0040】
本実施形態では、第1領域302における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量を、敢えて第2領域304における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量よりも小さくしている。これにより、第1領域302に配置される基礎ブロック300の重量やサイズを削減することができる。このように、なるべく小さい重量及び/又はサイズで光電変換モジュールの安定性を維持することができる。その結果、光電変換モジュールの設置構造にかかる費用の削減も可能になる。
【0041】
このような形状の基礎ブロック300は、例えば第1領域302及び第2領域304にわたってブロックを形成した後に、第2領域304において既に形成した前述のブロックの上にさらにブロックを形成することによって製造できる。
【0042】
前述したような光電変換モジュール組立体10の回転による転倒は、逆方向に吹く風W2によって生じるトルクの大きさに影響を受ける。このトルクは、光電変換モジュール組立体10の回転の中心、すなわち点R2からの距離が大きくなるほど大きくなる。すなわち、支柱220の高さが高いほど、逆方向に吹く風W2によって生じるトルクの影響が強くなる。このような観点から、本発明は、基板230から光電変換モジュール100の中心までの高さが50~250cmの範囲である場合に好適に利用できる。
【0043】
好ましい一例では、構造の簡素化及び重量の低下のため、光電変換モジュール100は、1本の支持柱220により支持されることが好ましい。また、光電変換モジュール組立体10の安定性をより向上させるため、光電変換モジュール100の重量は、例えば10~40kg、好ましくは15~35kgであってよい。
【0044】
光電変換モジュールの設置方法は、前述した光電変換モジュール組立体10を設置面400上に置く第1ステップと、光電変換モジュール組立体10を支える基礎ブロック300を設ける第2ステップと、を有していてよい。この場合、当該第2ステップにおいて、基礎ブロック300は、前述したように、第1領域302上に位置する基礎ブロック300の単位面積当たりの重量が、第2領域304上に位置する基礎ブロック300の単位面積当たりの重量よりも小さくなるように設けられる。基礎ブロック300は、基板230上に設けられてもよい。この代わりに、基礎ブロック300が支柱を直接支持する場合には、基礎ブロック300は、設置面上に直接置かれてもよい。
【0045】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る光電変換モジュールの設置構造及び光電変換モジュールの設置方法について説明する。
図5は、第2実施形態に係る光電変換モジュールの設置構造を示す平面図である。
【0046】
第2実施形態において、第1実施形態と同様又は類似の構成要素については同じ符号が付されていることに留意されたい。また、第1実施形態と同様又は類似の構成要素については、その説明を省略することがあることに留意されたい。
【0047】
第2実施形態に係る光電変換モジュール組立体10の構造は、第1実施形態のものと同様である。第2実施形態では、基礎ブロック300の構成が、第1実施形態と異なっている。第2実施形態では、基礎ブロック300は、互いに分離された複数のブロック310を含む。すなわち、複数のブロック310が、基板230上に設けられている。
【0048】
第1実施形態と同様に、第1領域302における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量は、第2領域304における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量よりも小さい。なお、「第1領域302」及び「第2領域304」の定義は、第1実施形態で説明したものと同じである。第2実施形態においては、ブロック310を積み重ねる数によって第1領域302における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量と、第2領域304における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量との間に差を生じさせている。
【0049】
好ましい態様では、高さ方向に積み重ねられたブロック310の段数は、第1領域302の先端から第2領域304の後端に向かうにつれて大きくなっていてよい(
図5参照)。
【0050】
光電変換モジュールの設置方法は、前述した光電変換モジュール組立体10を設置面400上に置く第1ステップと、基板230上に基礎ブロック300を設ける第2ステップと、を有していてよい。この場合、当該第2ステップにおいて、基礎ブロック300は、前述したように、第1領域302における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量が、第2領域304における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量よりも小さくなるように設けられる。
【0051】
第2実施形態では、上記の第2ステップは、互いに分離された複数のブロック310を基板230上に置くことによって基礎ブロック300を形成することを含むことが好ましい。
【0052】
複数のブロック310は、光電変換モジュール組立体10の設置前に予め製造されていてよい。すなわち、前述の第2ステップにおいて、予め製造された複数のブロック310を基板230上に置くことによって基礎ブロック300を形成することができる。これにより、光電変換モジュール組立体10の設置が容易になる。
【0053】
基礎ブロック300がコンクリートによって構成される場合、一般的にはコンクリートは光電変換モジュールが設置される現場で製造(養成)される。第2実施形態では、予め製造された複数のブロック310を基板230上に置くことによって基礎ブロック300を形成することができるため、光電変換モジュールの設置にかかる時間を短縮化することができる。
【0054】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る光電変換モジュールの設置構造及び光電変換モジュールの設置方法について説明する。
図6は、第3実施形態に係る光電変換モジュールの設置構造を示す平面図である。
【0055】
第3実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態と同様又は類似の構成要素については同じ符号が付されていることに留意されたい。また、第1実施形態及び第2実施形態と同様又は類似の構成要素については、その説明を省略することがあることに留意されたい。
【0056】
第3実施形態では、横方向と重力方向の両方に直交する縦方向(X方向)において、第1領域302側における基板230の先端から光電変換モジュール100の重心C2までの距離L1が、第2領域側304における基板230の後端から光電変換モジュール100の重心C2までの距離L2よりも長い。この場合であっても、第1実施形態と同様に、第1領域302における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量は、第2領域304における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量よりも小さいことが好ましい。なお、「第1領域302」及び「第2領域304」の定義は、第1実施形態で説明したものと同じである。
【0057】
光電変換モジュール100の自重による力Fgは、光電変換モジュール100の重心C2から下方に延びる(
図6参照)。この力Fgによって生じる、第1領域302側の基板230の先端R2を中心に回転させる力のモーメントは、逆方向に吹く風W2によって生じる前述した力のモーメントとは逆向きになる。すなわち、光電変換モジュール100の自重に起因する力のモーメントの成分Ftqは、逆方向に吹く風W2による光電変換モジュール100の回転による転倒を抑制するよう寄与する。
【0058】
第1領域302側の基板230の先端R2を中心に回転させる力のモーメントの成分Ftqの大きさは、「Ftq=Fg×cоs(θ)」によって表される。ここで、「θ」は、第1領域302側の基板230の先端R2と光電変換モジュール100の重心C2とを結ぶ直線の、水平面に対する傾斜角度に相当する。前述した距離L1が長いほど、θが小さくなり、その結果、力のモーメントの成分Ftqは大きくなる。すなわち、前述した距離L1が長いほど、逆方向に吹く風W2による光電変換モジュール100の回転による転倒が抑制される。
【0059】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る光電変換モジュールの設置構造及び光電変換モジュールの設置方法について説明する。
図7は、第4実施形態に係る光電変換モジュール組立体の斜視図である。
【0060】
第4実施形態において、第1実施形態と同様又は類似の構成要素については同じ符号が付されていることに留意されたい。また、第1実施形態と同様又は類似の構成要素については、その説明を省略することがあることに留意されたい。
【0061】
第4実施形態では、光電変換モジュール組立体10の基板230の外周に上方に向けて突出した突起238が設けられている。図示した形態では、突起238は、基板230の外周を連続的に取り囲んでいる。この代わりに、突起238は、基板230の外周に断続的に設けられていてもよい。
【0062】
図示していないが、第4実施形態においても、第1領域302における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量は、基板230の第2領域304における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量よりも小さいことが好ましい。なお、「第1領域302」及び「第2領域304」の定義は、第1実施形態で説明したものと同じである。基礎ブロック300の構造については、前述した実施形態で説明したとおりである。
【0063】
基板230に設けられた突起238は、基礎ブロック300の位置決めとして利用することができる。また、突起238は、基礎ブロック300、又は基礎ブロック300を構成する各々のブロック310が振動等により基板230上でずれてしまうことを抑制することができる。
【0064】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る光電変換モジュールの設置構造及び光電変換モジュールの設置方法について説明する。
図8は、第5実施形態に係る光電変換モジュール組立体の斜視図である。
【0065】
第5実施形態において、第4実施形態と同様又は類似の構成要素については同じ符号が付されていることに留意されたい。また、第4実施形態と同様又は類似の構成要素については、その説明を省略することがあることに留意されたい。
【0066】
第5実施形態では、光電変換モジュール組立体10の基板230が、複数の区域に分割されている(
図8参照)。より詳細には、基板230の複数の区域は、互いに間隔をあけて配置されており、基板230の側部に設けられたフレーム239によって互いに連結されていてよい。基板230の複数の区域が互いに間隔をあけて配置されているため、基板230の重量を削減することができる。この場合であっても、基礎ブロック300を基板230のそれぞれの区域上に置くことができる。
【0067】
図示していないが、第5実施形態においても、第1領域302における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量は、第2領域304における基礎ブロック300の単位面積当たりの重量よりも小さいことが好ましい。なお、「第1領域302」及び「第2領域304」の定義は、第1実施形態で説明したものと同じである。基礎ブロック300の構造については、前述した実施形態で説明したとおりである。
【0068】
第5実施形態において、フレーム239は、基板230から上方に向けて突出した突起238を有していてよい。この突起238は、第4実施形態と同様に、基礎ブロック300の位置決めとして利用することができる。また、突起238は、基礎ブロック300、又は基礎ブロック300を構成する各々のブロック310が振動等により基板230上でずれてしまうことを抑制することができる。
【0069】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0070】
例えば、前述した各々の実施形態で説明した各々の特徴は、可能な限り、他の実施形態にも適用可能であることに留意されたい。
【符号の説明】
【0071】
10 光電変換モジュール組立体
100 光電変換モジュール
220 支柱
230 基板
300 基礎ブロック
302 第1領域
304 第2領域