(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
E06B9/322
(21)【出願番号】P 2021012992
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝明
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-220077(JP,A)
【文献】特開2019-183451(JP,A)
【文献】特開2019-183450(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3434857(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽装置の第1移動部材を駆動する回転可能な第1駆動軸と、前記遮蔽装置の第2移動部材を駆動する回転可能な第2駆動軸とを操作するための操作装置であって、
操作部材により回転操作されるプーリから回転駆動力が伝達される伝達軸と、
前記伝達軸に対して一体回転可能に且つ軸方向に移動可能に設けられ、互いに異なる2つの軸方向位置において選択的に前記第1及び第2駆動軸のいずれかと前記伝達軸の回転駆動力を伝達可能に連結する連結部材を有し、前記第1及び第2駆動軸のいずれかを前記伝達軸に切替連結する連結部と、
前記連結部材の軸方向位置を切り替える切替部と
を備え
、
前記切替部は、回転停止状態にある前記伝達軸に沿って前記連結部材を移動可能に前記操作部材とは別体に構成されている
ことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記連結部は、
前記連結部材の位置が前記軸方向位置の一方側に切り替えられた場合、該連結部材と係合して前記回転駆動力を前記第1駆動軸に伝達する第1受け部材と、
前記連結部材の位置が前記軸方向位置の他方側に切り替えられた場合、該連結部材と係合して前記回転駆動力を前記第2駆動軸に伝達する第2受け部材と
を備えることを特徴とする請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記切替部は、
操作部と、
前記操作部と前記連結部材とに連結され、前記操作部が操作された場合、該操作に連動して前記連結部材を前記軸方向に移動させる連動部と
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の操作装置。
【請求項4】
前記連動部は、
前記操作部と連結され該操作部の回転運動を直線運動に変換する第1変換部と、
一端が前記第1変換部に連結されると共に他端が前記連結部材に連結され、前記第1変換部の直線運動を前記連結部材の軸方向移動に変換する第2変換部と
を備えることを特徴とする請求項3記載の操作装置。
【請求項5】
前記第2変換部は、前記連結部材と前記第1変換部との間において回動可能に軸支され、前記第1変換部の直線運動に応じて回動することにより前記連結部材を前記軸方向に移動させる
ことを特徴とする請求項4記載の操作装置。
【請求項6】
前記伝達軸と前記第1駆動軸とは軸心が同心位置にあり、
前記第1駆動軸は、その軸心方向に直交する直交方向において前記第2駆動軸と離間するように並設されており、
前記第2駆動軸の軸心は、前記直交方向において前記第1駆動軸と前記第1変換部との間に位置しており、
前記第2変換部は、前記第2駆動軸の軸心を跨ぐように前記連結部材と前記第1変換部とに連結されている
ことを特徴とする請求項4または請求項5記載の操作装置。
【請求項7】
前記直線運動の方向への移動が規制された規制部材と、
前記第1変換部側に前記規制部材を付勢する付勢部材と
を更に備え、
前記規制部材は、前記第1変換部表面に設けられた互いに隣接する2つの凹部のいずれかに係合し、前記第1変換部の直線運動に応じて係合する凹部が切り替えられ、一方の凹部に係合する場合、前記連結部材が前記第1駆動軸と連結し、他方の凹部に係合した場合、前記連結部材が前記第2駆動軸と連結する
ことを特徴とする請求項4~請求項6のいずれか一項記載の操作装置。
【請求項8】
前記連結部材は、前記伝達軸が挿通されたリング状に形成されると共に、周面に溝部が形成され、
前記連動部は、前記連結部材の一部が相対回転可能に位置するように前記溝部内に係合可能なU字状の湾曲部を有する接続部材を介して、前記連結部材と連結し、
前記湾曲部の先端は、前記伝達軸の軸心が該湾曲部内に位置するように突出している
ことを特徴とする請求項3~請求項7のいずれか一項記載の操作装置。
【請求項9】
遮蔽装置の第1移動部材を駆動する回転可能な第1駆動軸と、前記遮蔽装置の第2移動部材を駆動する回転可能な第2駆動軸とを操作するための操作装置であって、
操作部材により回転操作されるプーリから回転駆動力が伝達される伝達軸と、
前記伝達軸に対して一体回転可能に且つ軸方向に移動可能に設けられ、互いに異なる2つの軸方向位置において選択的に前記第1及び第2駆動軸のいずれかと前記伝達軸の回転駆動力を伝達可能に連結する連結部材を有し、前記第1及び第2駆動軸のいずれかを前記伝達軸に切替連結する連結部と、
前記連結部材の軸方向位置を切り替える切替部と
を備え
、
前記切替部は、
操作部と、
前記操作部と前記連結部材とに連結され、前記操作部が操作された場合、該操作に連動して前記連結部材を前記軸方向に移動させる連動部と
を備え、
前記連動部は、
前記操作部と連結され該操作部の回転運動を直線運動に変換する第1変換部と、
一端が前記第1変換部に連結されると共に他端が前記連結部材に連結され、前記第1変換部の直線運動を前記連結部材の軸方向移動に変換する第2変換部と
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項10】
遮蔽装置の第1移動部材を駆動する回転可能な第1駆動軸と、前記遮蔽装置の第2移動部材を駆動する回転可能な第2駆動軸とを操作するための操作装置であって、
操作部材により回転操作されるプーリから回転駆動力が伝達される伝達軸と、
前記伝達軸に対して一体回転可能に且つ軸方向に移動可能に設けられ、互いに異なる2つの軸方向位置において選択的に前記第1及び第2駆動軸のいずれかと前記伝達軸の回転駆動力を伝達可能に連結する連結部材を有し、前記第1及び第2駆動軸のいずれかを前記伝達軸に切替連結する連結部と、
前記連結部材の軸方向位置を切り替える切替部と
を備え
、
前記切替部は、
操作部と、
前記操作部と前記連結部材とに連結され、前記操作部が操作された場合、該操作に連動して前記連結部材を前記軸方向に移動させる連動部と
を備え、
前記連結部材は、前記伝達軸が挿通されたリング状に形成されると共に、周面に溝部が形成され、
前記連動部は、前記連結部材の一部が相対回転可能に位置するように前記溝部内に係合可能なU字状の湾曲部を有する接続部材を介して、前記連結部材と連結し、
前記湾曲部の先端は、前記伝達軸の軸心が該湾曲部内に位置するように突出している
ことを特徴とする操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、遮蔽装置の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作装置を有する遮蔽装置としては、下記特許文献1に示されるものが知られている。この特許文献1に示される遮蔽装置は、ヘッドボックス内において回転可能に軸支され、第1移動部材を移動可能な第1駆動軸と、ヘッドボックス内において回転可能に軸支され、第2移動部材を移動可能な第2駆動軸と、第1駆動軸を回転駆動可能な第1プーリと、第2駆動軸を回転駆動可能な第2プーリと、とを備え、第1プーリにより巻取り及び巻解き可能に設けられる第1操作コードの操作によって第1遮蔽材の昇降を行い、第2プーリにより巻取り及び巻解き可能に設けられる第2操作コードの操作によって第2遮蔽材の昇降を行えるようにされている。
【0003】
このような遮蔽装置によれば、第1プーリと第2プーリとを左右方向に並設することができるため、第1操作コードの垂下位置と第2操作コードの垂下位置とを左右方向に異ならせることができ、これにより第1遮蔽材及び第2遮蔽材の開閉を行う2種類の操作コードを判別しやすい状態でヘッドボックスから垂下させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような遮蔽装置は、第1及び第2駆動軸を回転駆動するために2つの第1及び第2プーリと、第1及び第2プーリを回転操作させる2つの操作コードとがそれぞれ必要である。2つの操作コードの垂下位置を左右方向に異ならせることができるものの、操作コードの操作方法によっては2つの操作コード同士が絡み合う等、互いに干渉する可能性があるため、操作性の向上が求められていた。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、操作性を向上可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、遮蔽装置の第1移動部材を駆動する回転可能な第1駆動軸と、前記遮蔽装置の第2移動部材を駆動する回転可能な第2駆動軸とを操作するための操作装置であって、操作部材により回転操作されるプーリから回転駆動力が伝達される伝達軸と、前記伝達軸に対して一体回転可能に且つ軸方向に移動可能に設けられ、互いに異なる2つの軸方向位置において選択的に前記第1及び第2駆動軸のいずれかと前記伝達軸の回転駆動力を伝達可能に連結する連結部材を有し、前記第1及び第2駆動軸のいずれかを前記伝達軸に切替連結する連結部と、前記連結部材の軸方向位置を切り替える切替部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作コードの操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す正面図である。
【
図2】実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す概略平面透視図である。
【
図3】実施形態に係る遮蔽装置の操作ユニットの内部構成を示す平面図である。
【
図6】操作ユニットの操作コードを引いた場合における
図3に示されるB-B線断面相当図である。
【
図11】第2駆動状態における操作ユニットを示す斜視図である。
【
図12】第1駆動状態における操作ユニットを示す斜視図である。
【
図13】第2駆動状態にある操作ユニットにおける駆動力の伝達を説明するための底面図である。
【
図14】第1駆動状態にある操作ユニットにおける駆動力の伝達を説明するための底面図である。
【
図15】実施形態に係るボトムレールが最下降位置にあって中間バーが中間位置にある遮蔽装置の正面図である。
【
図16】第1駆動状態における操作ユニットの操作コードを引いた状態にある遮蔽装置の正面図である。
【
図17】第2駆動状態における操作ユニットの操作コードを引いた状態にある遮蔽装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては、遮蔽材として昇降可能な2種のスクリーンを備えるプリーツスクリーンに本発明を適用した遮蔽装置を例にとり説明を行う。なお、本実施形態においては、遮蔽装置が設けられた際の室内側の面を正面、室外側の面を背面、正面と背面とからなる方向を前後方向、遮蔽装置の長手方向を左右方向と称して以後説明を行う。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
(全体構成)
先ず、本実施形態に係る遮蔽装置の全体構成について説明する。
図1は本実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す正面図であり、
図2はその概略平面透視図である。なお、
図1においてはボトムレールが最下降位置まで下降された状態にある遮蔽装置が示されており、そのヘッドボックスのみ内部が示されている。
【0012】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る遮蔽装置1は、ヘッドボックス2と、第1移動部材としてのボトムレール31と、紐状またはテープ状に形成された2本の昇降コード32と、第1遮蔽材としてのスクリーン33と、第2移動部材としての中間バー41と、紐状またはテープ状に形成された2本の調光コード42と、第2遮蔽材としてのスクリーン43と、操作ユニット5とを備える。
【0013】
ヘッドボックス2は、ブラケット21を介して不図示の窓枠等に固定され、内部に収容空間を有した長尺の箱状に形成される。ヘッドボックス2内には、第1駆動軸201aと、2つの第1巻取ドラム202aと、第1ストッパ装置203aと、第1ブレーキ装置204aと、第2駆動軸201bと、2つの第2巻取ドラム202bと、第2ストッパ装置203bと、第2ブレーキ装置204bと、連動ギア205とが収容される。
【0014】
第1駆動軸201a、2つの第1巻取ドラム202a、第1ストッパ装置203a、及び第1ブレーキ装置204aは、ボトムレール31を昇降する第1駆動系を構成する。また、第2駆動軸201b、2つの第2巻取ドラム202b、第2ストッパ装置203b、及び第2ブレーキ装置204bは、中間バー41を昇降する第2駆動系を構成する。連動ギア205は、所定の条件下において第1駆動系に第2駆動系を連動させるように構成される。本実施形態において、第1駆動系は後方側に配され、第2駆動系は前方側に配され、第1駆動系と第2駆動系とが前後方向に互いに位置を異ならせて並設される。なお、例えば、第1駆動系と第2駆動系とを上下方向に位置を異ならせるように並設しても良く、第1駆動系と第2駆動系の配列を前後方向あるいは上下方向に逆にしても良い。
【0015】
第1及び第2駆動軸201a,201bは、それぞれ、左右方向に延在する角柱状の部材であり、ヘッドボックス2内において軸心方向を左右方向に向けて回転可能に軸支される。ここで、第1駆動軸201aの軸心は、第2駆動軸201bの軸心と上下方向において同位置且つ後方に位置し、軸心の位置が前後方向に異なっている。なお、以降の説明においては、第1駆動軸201aの軸心を第1軸心と呼称し、第2駆動軸201bの軸心を第2軸心と呼称する。
【0016】
2つの第1巻取ドラム202aは、それぞれ、第1駆動軸201aと一体回転するように第1駆動軸201aに貫通され、2つの昇降コード32のうち対応する昇降コード32の一端が巻取及び巻解き可能に連結される。2つの第2巻取ドラム202bは、それぞれ、第2駆動軸201bと一体回転するように第2駆動軸201bに貫通され、2つの調光コード42のうち対応する調光コード42の一端が巻取及び巻解き可能に連結される。第1ストッパ装置203aは、第1駆動軸201aの回転を拘束する。第2ストッパ装置203bは、第2駆動軸201bの回転を拘束する。第1ブレーキ装置204aは、第1駆動軸201aの回転を減速する。第2ブレーキ装置204bは、第2駆動軸201bの回転を減速する。
【0017】
ボトムレール31は、2本の昇降コード32の他端が接続され、遮蔽装置1において最下端に位置するようにヘッドボックス2から吊り下げ支持されており、左右方向に長尺に形成された部材である。中間バー41は、2本の調光コード42の他端が接続され、上下方向においてヘッドボックス2とボトムレール31との間に位置するようにヘッドボックス2から吊り下げ支持されており、左右方向に長尺に形成された部材である。スクリーン33は、上端が中間バー41の下面に連結されるとともに下端がボトムレール31の上面に連結され、上下方向に折りたたみ可能なプリーツ状に形成され、2本の昇降コード32が部分的に上下方向に挿通される遮蔽部材である。スクリーン43は、上端がヘッドボックス2の下面に連結されるとともに下端が中間バー41の上面に連結され、上下方向に折りたたみ可能なプリーツ状に形成され、2本の調光コード42が部分的に上下方向に挿通される遮蔽部材である。
【0018】
操作ユニット5は、
図2に示されるようにヘッドボックス2の左右端部の一方、本実施形態においては図中右側端部に設けられている。操作ユニット5は、内部に収容空間が形成され、着脱自在な3つの筐体部50a~50c(
図7等参照)からなる筐体50と、筐体部50cにより回転可能に軸支された第1出力軸51a(
図8参照)と、筐体部50b,50cにより回転可能に軸支された第2出力軸51b(
図7参照)と、これら出力軸を選択的に回転可能なプーリ52とを備える。第1出力軸51aは、その軸心が第1軸心と同心となるように該第1駆動軸201aと一体回転可能に連結されており、第2出力軸51bは、その軸心が第2軸心と同心となるように該第2駆動軸201bと一体回転可能に連結されている。
【0019】
(操作ユニット5の詳細構成)
以下、操作ユニット5の構成について、
図3~
図11を用いて詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る操作ユニットの内部構成を示す平面図である。
図4~
図10は、それぞれ
図3のA-A線断面図、B-B線断面図、操作コードを引き下げた状態におけるB-B線断面相当図、C-C線断面図、D-D線断面図、E-E線断面図、及びF-F線断面図である。
図11、
図12は、それぞれ第2駆動状態、第1駆動状態における操作ユニットを示す斜視図である。
【0020】
図3に示されるように、操作ユニット5は、上述した第1出力軸51a、第2出力軸51b、及びプーリ52の他に、操作部53、クラッチ機構54、伝達軸55、連結部材56、第1受け部材57a、第2受け部材57b、入力ギア58a、中間ギア58c、出力ギア58b、及び切替連動機構59を備える。以下、上記の各構成要素について説明する。
【0021】
(プーリ52)
プーリ52は、
図4及び
図5に示されるように、紐状に形成された操作コード531が外周に巻取り及び巻解き可能に連結され、筐体部50aの固定軸501により回転可能に軸支されている。プーリ52は、内部にぜんまいバネ521が設けられている。ぜんまいバネ521は、その一端がプーリ52に連結されると共に、他端が固定軸501に連結されており、操作コード531が巻き取られる巻取方向の付勢力をプーリ52に常時付与する。これにより操作者が操作コード531を所定量以上引き下げると、
図6に示されるように操作コード531がプーリ52から巻き解かれると共にプーリ52が回転し、当該回転に応じてぜんまいバネ521が縮径することとなる。この回転駆動力は、クラッチ機構54を介して伝達軸55へ伝達される。その後に操作者が手を放す等して操作コード531の引き下げを解除すると、ぜんまいバネ521の復元力によりプーリ52は逆方向に回転し、操作コード531が巻き取られる。
【0022】
(操作部53)
操作部53は、
図4に示されるように、操作コード531と、中空円筒状の切替操作部532と、中空円筒状の操作棒533とを備える。
図1に示されるように、操作棒533下端には、中空円筒状に形成され操作者が把持するための把持部534が形成されており、その下端にコード止め535が位置している。操作コード531は、
図4に示されるように、一端がプーリ52連結され、他端がプーリ52から垂下すると共に、切替操作部532、操作棒533、及び把持部534内を通過してコード止め535に連結される。操作コード531は、ぜんまいバネ521の付勢力により巻取方向に付勢されているものの、把持部534下端にコード止め535が当接するため、これ以上の操作コード531の巻取りが防止されている。これにより、コード止め535を把持部534から引き離すと、操作コード531がプーリ52から巻き解かれてプーリ52を回転させることができる。また、所定量以上引き下げた後に手を離すと、操作コード531がプーリ52に巻き取られ、コード止め535と把持部534とが再度当接した状態となる。
【0023】
切替操作部532は、その上端部において筐体部50a,50bにより軸心周りに回動可能に支持されている。当該上端部には後方に突出する突出片が形成されており、当該突出片上面には、上下方向に延在する円柱状の連結ピン532aが設けられている。切替操作部532は、この連結ピン532aを介して切替連動機構59の切替伝達部591と連結されており、切替操作部532に対する回転操作に応じて切替連動機構59が連動することとなる。操作棒533は、その上端部においてジョイント部536を介して切替操作部532と一体回転可能に連結されている。これにより操作者は、把持部534を回転操作することで、操作棒533及びジョイント部536を介して切替操作部532を回転操作することができる。
【0024】
(クラッチ機構54)
クラッチ機構54は、プーリ52の一方向への回転のみを伝達軸55に伝達するものであり、
図8に示されるように連動部材541を有する。連動部材541は、
図8及び
図9に示されるように、軸心が第1出力軸51aと同心のシャフト542と一体回転可能に連結されており、操作コード531が引き下げられてプーリ52が一方向(以後、巻解方向と称する)に回転した場合、当該回転に連動してシャフト542と共に同方向に回転する。一方、連動部材541は、プーリ52が巻解方向とは逆の巻取方向に回転した場合、当該回転には連動せずシャフト542も回転することはない。したがって、プーリ52のみが空転することとなる。これによりクラッチ機構54は、操作コード531を引き下げた際にのみシャフト542を回転させることができる。
【0025】
(伝達軸55)
伝達軸55は、
図8に示されるように、左右方向に延在して軸心が第1出力軸51aと同心となる長尺部材であり、一端部にシャフト542が一体回転可能に挿入されている。また、伝達軸55は、他端部が第1出力軸51aに相対回転可能に挿入されており、操作ユニット5が後述する第1駆動状態にある場合にのみ第1出力軸51aと一体回転する。
【0026】
(連結部材56)
連結部材56は、
図8に示されるように、軸心が同心となるように伝達軸55が一体回転可能に挿通された略リング状に形成されており、伝達軸55に軸方向(左右方向)に沿って摺動可能に連結されている。連結部材56は、第1及び第2受け部材57a,57b間に位置しており、図中左右方向左側に摺動した第1位置に切り替えられた場合、第1受け部材57aと連結し、図中左右方向右側に摺動した第2位置に切り替えられた場合、第2受け部材57bと連結する。当該連結により連結部材56は、連結した受け部材を介して第1及び第2出力軸51a,51bのいずれかに伝達軸55の回転駆動力を伝達可能に連結することができる。連結部材56が第1位置に切り替えられて第1受け部材57aと連結した状態において、操作ユニット5は第1駆動状態となる。一方、連結部材56が第2位置に切り替えられて第2受け部材57bと連結した状態において、操作ユニット5は第2駆動状態となる。
【0027】
図11に示されるように、連結部材56の左右方向両側面には、それぞれ面外方向に突出する係合歯561が複数設けられる。両側面の係合歯561は、周方向に傾斜する傾斜面を有して略三角形状をなしており、連結部材56の左右方向中心を境に面対象となるように形成されている。当該係合歯561を用いた連結部材56と第1及び第2受け部材57a,57bとの連結については、後に詳述する。
【0028】
連結部材56は、
図8及び
図10に示されるように、その左右方向中央部分の周面が一様に窪むことで溝部562が形成されている。当該溝部562には、後に詳述する切替連動機構59の切替変換部592と連結部材56とを接続するための接続部材60が嵌合可能となっている。接続部材60は、
図10に示されるように、筐体部50b内において左右方向に摺動可能に支持されている。接続部材60は、上方が開放するU字状をなす湾曲部61を有し、この湾曲部61が溝部562内に嵌合することにより、連結部材56と接続される。この状態において、湾曲部61が形成する円弧の内側に連結部材56の一部が相対回転可能に位置する。また、接続部材60の下部には、切替連動機構59の切替変換部592に設けられた上下方向に延在する円柱状の連結ピン592aが回転摺動可能に挿入される連結穴62が形成されている。連結ピン592aが連結穴62に挿入されることにより、切替連動機構59の切替変換部592と接続部材60とが連結される。したがって切替変換部592と連結部材56とが接続部材60を介して連結されることとなる。
【0029】
本実施形態においては、湾曲部61上端は伝達軸55の軸心(または連結部材56の軸心)よりも鉛直方向距離X分上方に位置するように構成されており、湾曲部61の左右方向側面が連結部材56の溝部562内側面と面接触している。これによれば接続部材60を介さずに直接切替連動機構59の切替変換部592と連結部材56とを連結した場合と比較して、切替連動機構59の動作に応じた連結部材56の移動をより円滑なものとすることができる。なお、鉛直方向距離Xの距離は製品仕様等に応じて適宜設定すればよいが、少なくとも湾曲部61上端が連結部材56の軸心よりも上方に位置すれば上記効果を奏することができる。
【0030】
(第1受け部材57a)
第1受け部材57aは、
図8に示されるように、連結部材56の図中左右方向左側に位置し、伝達軸55が相対回転可能に挿通された略リング状に形成されている。第1受け部材57aの左側には、第1出力軸51aに一体的に形成され径外方向に突出する略円盤状の突出片511が位置しており、当該突出片511と第1受け部材57aとの間にコイルバネ572が設けられている。突出片511には第1受け部材57aの方向に突出する突起が複数設けられており、第1受け部材57aにはその突起がそれぞれ摺動可能に嵌合する複数の穴部が形成されている。これにより第1受け部材57aは、突出片511を介して第1出力軸51aと一体回転可能に且つ左右方向に移動可能に連結されている。
【0031】
第1受け部材57aの右側面には、
図11に示されるように、対向する連結部材56の係合歯561と略同形状の係合歯571が複数設けられている。当該係合歯571の傾斜面は係合歯561の傾斜面とは周方向において逆位置となっている。したがって、連結部材56が第1位置に移動して一方向へ回転すると、係合歯561と係合歯571とが係合することにより連結部材56と第1受け部材57aとが連結し一体回転を行う。一方、プーリ52から伝達軸55に入力される回転は一方向のみであるため、連結部材56から第1受け部材57aへ伝達される回転は一方向のみとなるが、連結部材56の他方向へ回転に対しては、係合歯561の傾斜面と係合歯571の傾斜面とが摺接することにより第1受け部材57aがコイルバネ572の付勢力に抗して突出片511側へ移動することとなり、連結部材56が第1受け部材57aに対して相対回転可能な形状となっている。すなわち、連結部材56と第1受け部材57aとで所謂ラチェット機構が形成されている。
【0032】
なお、コイルバネ572は、第1受け部材57aと連結部材56との連結時に、係合歯561,571の衝突が生じた場合、第1受け部材57aを左方向に逃がしてその衝撃を緩和する緩衝材としても機能する。また、当該衝突が生じたとしても、係合歯561,571双方がその傾斜面に沿って摺接することで連結部材56が適切な位置(第1位置)に移動することができる。なお、コイルバネ572に限定するものではなく、板バネ等の弾性体であれば上記と同様の効果を奏することができる。
【0033】
(第2受け部材57b)
第2受け部材57bは、
図8に示されるように、連結部材56の図中左右方向右側に位置し、伝達軸55が相対回転可能に挿通された略リング状に形成されている。本実施形態においては、第2受け部材57bは第1受け部材57aと同一部材であり、互いの係合歯571が向かい合い、それらの間に連結部材56が位置するように配設されている。伝達軸55と第2受け部材57bとの間には、伝達軸55が相対回転可能に挿通された中空略円筒状の中継部材573が筐体部50b内で回転可能に支持されている。第2受け部材57bの右側には、中継部材573に一体的に形成され径外方向に突出する略円盤状の突出片574が位置しており、当該突出片574と第2受け部材57bとの間にコイルバネ572が設けられている。突出片574には、第2受け部材57bの方向に突出する突起が複数設けられており、第2受け部材57bにはその突起がそれぞれ摺動可能に嵌合する複数の穴部が形成されている。これにより第2受け部材57bは、突出片574を介して中継部材573と一体回転可能に且つ左右方向に移動可能に連結されている。
【0034】
第2受け部材57bの係合歯571は、
図11に示されるように、第1受け部材57aとは逆の左側面に形成されている。したがって第2受け部材57bは、連結部材56が第2位置に移動して一方向へ回転した場合、第1受け部材57aと同様に、係合歯561と係合歯571とが係合することにより連結部材56と連結し一体回転を行う。第2受け部材57bとコイルバネ572とにより実現される機能は、第1受け部材57aと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0035】
(入力ギア58a、出力ギア58b、及び中間ギア58c)
入力ギア58aは、
図8及び
図9に示されるように、円盤状をなして中継部材573の図中右端部に一体的に設けられている。出力ギア58bは、
図7及び
図9に示されるように、円盤状をなして第2出力軸51bの図中右端部に一体的に設けられている。中間ギア58cは、
図9に示されるように、入力ギア58aと出力ギア58bとの間に位置し、一端部が筐体部50bに、他端部が筐体部50cに回転可能に軸支される不図示の支軸に一体的に設けられ、それぞれのギアと噛み合っている。入力ギア58aに回転駆動力が入力されると、中間ギア58cを介して出力ギア58bが同方向の回転駆動力を出力することができる。
【0036】
本実施形態においては、連結部材56と、第1及び第2受け部材57a,57bと、入力ギア58a、出力ギア58b、及び中間ギア58cとにより、第1及び第2駆動軸201a,201bのいずれかを伝達軸55に切替連結する連結部が構成されている。
【0037】
(切替連動機構59)
切替連動機構59は、
図3に示されるように、一端が切替操作部532と回動可能に連結する切替伝達部591と、略中心部が筐体部50b内において回動可能に軸支されると共に、一端が切替伝達部591の他端と回動可能に連結し、他端が接続部材60と回動可能に連結する切替変換部592とを備える。
【0038】
切替伝達部591は、
図7及び
図11に示されるように、第2出力軸51bの下方に位置して左右方向に延在する略板状に形成されており、
図9に示されるように筐体部50bにより左右方向に移動可能に支持されている。
図11に示されるように、切替伝達部591の一端部(図中右端部)には、連結孔591aが設けられており、他端部(図中左端部)には、連結孔591bが設けられている。連結孔591aに対して切替操作部532の連結ピン532aが挿通されることにより、切替操作部532と切替伝達部591とが回動可能に連結される。一方、連結孔591bに対して切替変換部592の他端部に形成された上下方向に延在する円柱状の連結ピン592bが挿通されることにより、切替伝達部591と切替変換部592とが回動可能に連結される。
【0039】
連結孔591a,591bは、前後方向に長い長孔に形成されており、これにより連結孔591a,591b内で連結ピン532a,592bが回転しつつ前後方向に摺動可能となる。したがって切替伝達部591は、切替操作部532の回転によりなされる連結ピン532aの円弧状の揺動に応じて生じる前後方向移動が伝達されず、略往復直線運動を行うことができる。さらに、この往復直線運動に応じて連結ピン592bが円弧状に揺動するため、切替変換部592が回動することとなる。換言すれば、切替操作部532の回転運動は、切替伝達部591により直線運動に変換され、当該直線運動がさらに切替変換部592により回転運動に変換されて、連結部材56を左右方向に移動させる運動として伝達される。
【0040】
また、切替伝達部591の上方には、
図7及び
図11に示されるように、鋼球593が配設されており、切替伝達部591の上面には、その鋼球593の一部を収容可能な深さの互いに隣接する2つの第1及び第2凹部591c,591dが設けられている。鋼球593は、
図7に示されるように、筐体部50bにより上下方向以外の移動が規制されており、第1及び第2凹部591c,591dのいずれかに位置した状態において、その上部に筐体部50bに設けられた板バネ594が当接している。
【0041】
切替伝達部591の左右方向への移動の際には、鋼球593は左右方向への移動が規制されているため、第1及び第2凹部591c,591dの移動に応じて、凹部間の縁を乗り越えて一方から他方の凹部に移動される。凹部間の縁を乗り越える際には、板バネ594の付勢力に抗した上方移動を行い、その後に当該付勢力に応じた下方移動を行うこととなる。したがって切替操作部532を回転操作する際には、板バネ594の付勢力に抗した回転操作が行われる。これにより、切替伝達部591の不要な左右方向移動を規制することができると共に、把持部534を介して切替操作部532を回転操作する操作者に対しては、適度な抵抗感及びクリック感を与えることができる。なお、本実施形態においては、
図12に示されるように鋼球593が第1凹部591cにある状態では、連結部材56が第1位置となり、
図11に示されるように鋼球593が第2凹部591dにある状態では、連結部材56が第2位置となる。
【0042】
切替変換部592は、
図3及び
図10に示されるように、一端部が連結部材56の下方に位置すると共に他端部が第2出力軸51bの下方に位置し、第2出力軸51bを跨ぐように前後方向に延在する略板状に形成されている。切替変換部592は、その略中央に、筐体部50bに設けられた支軸502が挿通可能な挿通孔592cが設けられており、支軸502周りに回動可能に筐体部50b内で支持されている。切替変換部592の一端部(
図10中左端部)に上述した連結ピン592aが設けられており、他端部(
図10中右端部)に上述した連結ピン592bが設けられている。切替変換部592は、切替伝達部591の往復直線運動に応じて回動することにより、連結ピン592aが接続部材60の連結穴62内で回転しつつ円弧状に揺動する。この揺動に応じて接続部材60と共に連結部材56が左右方向に移動することとなる。
【0043】
なお、切替変換部592の連結ピン592aは、円弧状に揺動すると、左右方向移動と共に僅かな前後方向移動を伴うこととなる。この前後方向移動が接続部材60に伝達されないように、連結穴62は連結孔591a,591bと同様に前後方向に長い長穴として形成されている。
【0044】
(操作ユニット5の動作)
以上のように構成された操作ユニット5の第1及び第2駆動状態における動作について、
図11~
図14を用いて詳細に説明する。
図13、
図14は、それぞれ第2駆動状態、第1駆動状態にある操作ユニットにおける駆動力の伝達を説明するための底面図である。なお、
図13及び
図14においては、駆動力が伝達される構成要素が他の構成要素よりも太線で示されている。
【0045】
図11に示されるように、鋼球593が第2凹部591d内に位置し、連結部材56と第2受け部材57bとが連結することにより、操作ユニット5は第2駆動状態となる。第2駆動状態では、
図13に示されるように、プーリ52の回転駆動力が第2出力軸51bに伝達される。具体的には、プーリ52の回転駆動力がクラッチ機構54(連動部材541)を介して伝達軸55に伝達され、伝達軸55に連結された連結部材56がプーリ52と同方向に回転する。この時、第2駆動状態では連結部材56が第2位置に切り替えられているため、第2受け部材57bと一体回転可能に連結し、連結部材56と同方向に第2受け部材57bが回転する。この第2受け部材57bの回転に応じて、回転駆動力が入力ギア58aに入力され、入力ギア58aと中間ギア58cとを介して出力ギア58bに伝達されることにより、出力ギア58bと一体回転可能に連結された第2出力軸51bに出力されることとなる。これにより第2出力軸51bは、プーリ52の回転と連動して同方向に回転することができる。
【0046】
一方、第2駆動状態にある操作ユニット5の切替操作部532が平面視で時計回りに回転操作されると、
図12に示されるように、切替伝達部591が図中右方向に移動する。この移動に連動して切替変換部592が平面視で反時計回りに回動することにより、連結部材56が図中左方向に移動して第2位置から第1位置に切り替わると共に第1受け部材57aと連結する。したがって、切替操作部532の回転操作により容易に連結部材56の左右方向位置を切り替えることができる。この時、鋼球593は、切替伝達部591の図中右方向への移動に応じて第2凹部591dから第1凹部591cへ移動する。
【0047】
図14に示されるように、連結部材56と第1受け部材57aとが連結することにより、操作ユニット5は第1駆動状態となる。第1駆動状態では、プーリ52の回転駆動力が第1出力軸51aに出力される。具体的には、プーリ52の回転駆動力がクラッチ機構54(連動部材541)及び伝達軸55を介して連結部材56に伝達される。この時、第1駆動状態では連結部材56が第1位置に切り替えられているため、第1受け部材57aと一体回転可能に連結し、連結部材56と同方向に第1受け部材57aが回転する。第1受け部材57aは第1出力軸51aと一体回転可能に連結されているため、回転駆動力が第1受け部材57aを介して第1出力軸51aに出力されることとなる。これにより第1出力軸51aは、プーリ52の回転と連動して同方向に回転することができる。
【0048】
このような第1駆動状態から再び第2駆動状態に操作ユニット5を移行させる場合は、操作ユニット5の切替操作部532を平面視で反時計回りに回転操作すればよい。なお、この場合の操作ユニット5の動作は、連結部材56及び切替連動機構59の移動方向が逆となるのみであるため、ここでの説明は省略する。
【0049】
(遮蔽装置1の動作)
次に、第1及び第2駆動状態における操作ユニット5を操作した場合の遮蔽装置1の動作について、
図15~
図17を用いて詳細に説明する。
図15は、本実施形態に係るボトムレールが最下降位置にあって中間バーが中間位置にある遮蔽装置の正面図である。
図16、
図17は、それぞれ第1駆動状態、第2駆動状態における操作ユニットの操作コードを引いた状態にある遮蔽装置の正面図である。
【0050】
図15に示されるボトムレール31及び中間バー41が最下降位置にある状態において、操作ユニット5が第1駆動状態にある場合、コード止め535を引き下げてプーリ52を回転させると、上述したようにプーリ52の回転駆動力が第1出力軸51aに伝達される。第1出力軸51aに伝達された回転駆動力は、第1駆動軸201aに出力されることにより第1巻取ドラム202aに伝達され、第1巻取ドラム202aが昇降コード32を巻き取るように回転する。これにより、
図16に示されるようにボトムレール31を上昇させることができる。
【0051】
なお、操作者がコード止め535の引き下げ操作を止めると、回転駆動力が伝達されていた第1駆動軸201aはボトムレール31の自重で下降方向に回転しようとするが、第1ストッパ装置203a(
図1参照)が作動して回転を停止する。コード止め535を引いた状態において手を離すと、ぜんまいバネ521の付勢力でプーリ52は逆方向に回転し、操作コード531が巻き取られる。この時、プーリ52は連動部材541と相対回転するため、プーリ52のみが逆方向に回転する。したがって第1駆動軸201aにはその逆回転が伝達することはなく、上昇したボトムレール31の位置は変わらない。
【0052】
これにより、第1駆動軸201aは第1ストッパ装置203aによって停止し、操作コード531が、把持部534下端にコード止め535が当接するまでプーリ52に巻取られる。操作者はこのようなコード止め535の引き下げ操作を複数回繰り返すことにより、ボトムレール31をスクリーン33と共に最上昇位置まで上昇させることができる。上昇したボトムレール31を下降させるには、操作者がコード止め535を引き、若干量操作コード531を引き出した状態において手を離すと、第1駆動軸201aを介して第1ストッパ装置203aの停止が解除され、ボトムレール31は自重によって下降する。このとき、第1駆動軸201aの回転を減速する第1ブレーキ装置204aの作用によって、ボトムレール31は減速されながら自重降下する。
【0053】
一方、
図15に示される状態において、
図17に示されるように把持部534が平面視で反時計回りに回転されると、切替操作部532が一体回転すると共に当該回転に応じた切替連動機構59の動作により連結部材56が連動して第1位置から第2位置へ移動される。これにより操作ユニット5が第2駆動状態となる。この操作ユニット5が第2駆動状態にある場合、コード止め535を引き下げて操作コード531をプーリ52から巻き解くと、上述したようにプーリ52の回転駆動力が第2出力軸51bに伝達される。第2出力軸51bに伝達された回転駆動力は、第2駆動軸201bを介して第2巻取ドラム202bに出力され、第2巻取ドラム202bが調光コード42を巻き取る。これにより、
図17に示されるように中間バー41を上昇させることができる。
【0054】
操作ユニット5が第2駆動状態にある場合の、コード止め535の引き下げ操作の停止や、若干量操作コード531が引き出された状態で操作者が手を離した際の遮蔽装置1の動作は、動作主体が中間バー41及び第2駆動系となる以外、操作ユニット5が第1駆動状態にある場合と同様である。したがって説明は省略する。
【0055】
以上に説明した本実施形態によれば、切替操作部532の回転操作のみによりプーリ52の回転駆動力を第1及び第2駆動軸201a,201bのいずれかに選択的に伝達することができる。そのため、1つの操作部53のみで第1及び第2駆動軸201a,201bそれぞれを個別に駆動させることができ、2つのプーリ、2つの操作コードにより各駆動軸をそれぞれ駆動させる技術と比較して2つの操作コードが互いに干渉する等が生じることはなく、操作性を各段に向上させることができる。また、連結部材56及び切替連動機構59により、回転駆動力を伝達させる第1及び第2駆動軸201a,201bのいずれかへの切り替えは、切替操作部532の回転操作のみで実現できるため極めて簡便である。さらに、切替連動機構59の切替変換部592は、軸心が第2駆動軸201bと同心である第2出力軸51bを跨ぐようにその下方において連結部材56と接続部材60を介して接続されているため、操作ユニット5内の空間を有効利用でき、ユニット全体のコンパクト化を実現できる。
【0056】
なお、本実施形態において、第1駆動軸201aの回転により移動される第1移動部材と、第2駆動軸201bの回転により移動される第2移動部材とを、それぞれ、上下方向に移動されるボトムレール31、中間バー41としたが、第1移動部材及び第2移動部材の移動方向はいずれの方向であっても良く、第1移動部材及び第2移動部材は前後に配列されてそれぞれ上下方向又は左右に移動するものであっても良い。また、切替操作部532の回転操作によりプーリ52の回転駆動力を第1及び第2駆動軸201a,201bのいずれかに選択的に伝達されることとしたが、これに限定するものではない。切替操作部532を上下又は左右方向にスライド操作させるものとしても良い。また、クラッチ機構54によりプーリ52の一方向への回転駆動力のみ伝達軸55に伝達されるとしたが、これに限定するものではない。環状のボールチェーン等によりプーリを一方向及び他方向に回転させて、それら双方向の回転駆動力により各駆動軸が双方向に回転される遮蔽装置に対しても本発明は適用可能である。その場合、例えば係合歯561,571に傾斜面を設けず矩形にすることで双方向の回転を第1及び第2出力軸51a,51bに選択的に伝達できる。また、遮蔽装置としてプリーツスクリーンを例に挙げて説明したが、本発明は横型ブラインド、縦型ブラインド、ロールスクリーン、ハニカムスクリーン、たくし上げカーテン、アコーディオンドアといったブラインド、カーテン、又は間仕切り等の遮蔽装置に適用できる。
【0057】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0058】
1 遮蔽装置
201a 第1駆動軸
201b 第2駆動軸
31 ボトムレール(第1移動部材)
41 中間バー(第2移動部材)
5 操作ユニット(操作装置)
52 プーリ
53 操作部
531 操作コード(操作部材)
532 切替操作部(切替部、操作部)
55 伝達軸
56 連結部材(連結部)
57a 第1受け部材(連結部)
57b 第2受け部材(連結部)
59 切替連動機構(切替部、連動部)
591 切替伝達部(第1変換部)
592 切替変換部(第2変換部)
593 鋼球(規制部材)
594 板バネ(付勢部材)
60 接続部材
61 湾曲部