(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ロータリ耕耘装置
(51)【国際特許分類】
A01B 33/12 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
A01B33/12 A
(21)【出願番号】P 2021013261
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀江 文治
(72)【発明者】
【氏名】小西 健斗
(72)【発明者】
【氏名】中出 一輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 健輔
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-196604(JP,U)
【文献】実公平07-053442(JP,Y2)
【文献】実開昭63-148103(JP,U)
【文献】実開昭62-102305(JP,U)
【文献】特開平4-66001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00-33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横軸回りに正転及び逆転可能な耕耘爪と、
前記耕耘爪の上方を覆う上部カバーと、
前記上部カバーの前部に取り付けられた前部カバーと、
前記耕耘爪の側方に配置された側部カバーと、
を備え、
前記前部カバーの下端部には、前記前部カバーの幅方向に延びる横杆が設けられ、
前記側部カバーには、前記横杆を係止する係止部と、前記係止部に係止された前記横杆を固定する固定部材とが設けられて
おり、
前記係止部は、前記側部カバーに形成された凹みであって、
前記固定部材は、前記側部カバーに固定された板状の部材であって、前記横杆を挿通可能な貫通孔を有し、当該貫通孔に前記横杆を挿通することにより前記横杆を固定するロータリ耕耘装置。
【請求項2】
横軸回りに正転及び逆転可能な耕耘爪と、
前記耕耘爪の上方を覆う上部カバーと、
前記上部カバーの前部に取り付けられた前部カバーと、
前記耕耘爪の側方に配置された側部カバーと、
を備え、
前記前部カバーの下端部には、前記前部カバーの幅方向に延びる横杆が設けられ、
前記側部カバーには、前記横杆を係止する係止部と、前記係止部に係止された前記横杆を固定する固定部材とが設けられて
おり、
前記係止部は、前記側部カバーに形成された凹みであって、
前記固定部材は、前記側部カバーに固定された板状の部材であり、
前記前部カバーは、前記耕耘爪の前方を覆う第1状態と、下部を上方に折り返した第2状態とに変更可能であり、
前記係止部は、前記前部カバーが前記第1状態にあるとき前記横杆を係止する第1係止部と、前記前部カバーが前記第2状態にあるとき前記横杆を係止する第2係止部と、を含み、
前記固定部材は、前記第1係止部に係止された前記横杆を固定する第1位置と、前記第
2係止部に係止された前記横杆を固定する第2位置とに移動可能であって、前記側部カバーに設けられた枢支軸を支点として、前記第1位置と前記第2位置とに揺動可能であるロータリ耕耘装置。
【請求項3】
横軸回りに正転及び逆転可能な耕耘爪と、
前記耕耘爪の上方を覆う上部カバーと、
前記上部カバーの前部に取り付けられた前部カバーと、
前記耕耘爪の側方に配置された側部カバーと、
を備え、
前記前部カバーの下端部には、前記前部カバーの幅方向に延びる横杆が設けられ、
前記側部カバーには、前記横杆を係止する係止部と、前記係止部に係止された前記横杆を固定する固定部材とが設けられて
おり、
前記係止部は、前記側部カバーに形成された凹みであって、
前記固定部材は、前記側部カバーに固定された板状の部材であり、
前記前部カバーは、前記耕耘爪の前方を覆う第1状態と、下部を上方に折り返した第2状態とに変更可能であり、
前記係止部は、前記前部カバーが前記第1状態にあるとき前記横杆を係止する第1係止部と、前記前部カバーが前記第2状態にあるとき前記横杆を係止する第2係止部と、を含み、
前記固定部材は、前記第1係止部に係止された前記横杆を固定する第1位置と、前記第2係止部に係止された前記横杆を固定する第2位置とに移動可能であって、第1固定具及び第2固定具によって前記側部カバーに取り付けられるとともに、前記第2固定具を取り外すことにより前記第1固定具を支点として前記第1位置と前記第2位置とに揺動可能であるロータリ耕耘装置。
【請求項4】
前記枢支軸は、前記第1係止部よりも上方であって、前記第2係止部よりも下方に配置されている請求項
2に記載のロータリ耕耘装置。
【請求項5】
前記第2係止部は、前記側部カバーの上部から後上方に向けて突出して前記横杆を係止可能な爪部を有し、
前記爪部の先端は前記横杆を係止した状態において前記横杆の軸心よりも後方まで延びている請求項
2~4のいずれか1項に記載のロータリ耕耘装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場を耕耘するロータリ耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されたロータリ耕耘装置が知られている。
このロータリ耕耘装置は、耕耘爪の上方を覆うロータリカバーと、ロータリカバーの前部に取り付けられた前部カバーと、耕耘爪の側方に設けられた側板と、前部カバーの前部に取り付けられた支持杆とを備えている。側板は、前部カバーの垂れ下がり状態において支持杆が係止される第1係止部と、前部カバーをめくり上げた状態において支持杆が係止される第2係止部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したロータリ耕耘装置は、耕耘爪を逆方向に回転させて耕起作業を行うときに前方に向けて飛散する土を前部カバーで受けることができる。このとき、支持杆を係止部に係止させることによって、前部カバーに土が衝突したときに前部カバーがバタつくことを防止できる。しかし、作業中に前部カバーの下方に土が堆積していくと、堆積した土により前部カバーが押し上げられて係止が外れてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、前部カバーが作業中に係止された状態から外れてしまうことを防止できるロータリ耕耘装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
本発明の一態様に係るロータリ耕耘装置は、横軸回りに正転及び逆転可能な耕耘爪と、前記耕耘爪の上方を覆う上部カバーと、前記上部カバーの前部に取り付けられた前部カバーと、前記耕耘爪の側方に配置された側部カバーと、を備え、前記前部カバーの下端部には、前記前部カバーの幅方向に延びる横杆が設けられ、前記側部カバーには、前記横杆を係止する係止部と、前記係止部に係止された前記横杆を固定する固定部材とが設けられており、前記係止部は、前記側部カバーに形成された凹みであって、前記固定部材は、前記側部カバーに固定された板状の部材であって、前記横杆を挿通可能な貫通孔を有し、当該貫通孔に前記横杆を挿通することにより前記横杆を固定する。
【0007】
本発明の一態様に係るロータリ耕耘装置は、横軸回りに正転及び逆転可能な耕耘爪と、前記耕耘爪の上方を覆う上部カバーと、前記上部カバーの前部に取り付けられた前部カバーと、前記耕耘爪の側方に配置された側部カバーと、を備え、前記前部カバーの下端部には、前記前部カバーの幅方向に延びる横杆が設けられ、前記側部カバーには、前記横杆を係止する係止部と、前記係止部に係止された前記横杆を固定する固定部材とが設けられており、前記係止部は、前記側部カバーに形成された凹みであって、前記固定部材は、前記側部カバーに固定された板状の部材であり、前記前部カバーは、前記耕耘爪の前方を覆う第1状態と、下部を上方に折り返した第2状態とに変更可能であり、前記係止部は、前記前部カバーが前記第1状態にあるとき前記横杆を係止する第1係止部と、前記前部カバーが前記第2状態にあるとき前記横杆を係止する第2係止部と、を含み、前記固定部材は、前記第1係止部に係止された前記横杆を固定する第1位置と、前記第2係止部に係止された前記横杆を固定する第2位置とに移動可能であって、前記側部カバーに設けられた枢支軸を支点として、前記第1位置と前記第2位置とに揺動可能である。
【0008】
本発明の一態様に係るロータリ耕耘装置は、横軸回りに正転及び逆転可能な耕耘爪と、前記耕耘爪の上方を覆う上部カバーと、前記上部カバーの前部に取り付けられた前部カバーと、前記耕耘爪の側方に配置された側部カバーと、を備え、前記前部カバーの下端部には、前記前部カバーの幅方向に延びる横杆が設けられ、前記側部カバーには、前記横杆を係止する係止部と、前記係止部に係止された前記横杆を固定する固定部材とが設けられており、前記係止部は、前記側部カバーに形成された凹みであって、前記固定部材は、前記側部カバーに固定された板状の部材であり、前記前部カバーは、前記耕耘爪の前方を覆う第1状態と、下部を上方に折り返した第2状態とに変更可能であり、前記係止部は、前記前部カバーが前記第1状態にあるとき前記横杆を係止する第1係止部と、前記前部カバーが前記第2状態にあるとき前記横杆を係止する第2係止部と、を含み、前記固定部材は、前記第1係止部に係止された前記横杆を固定する第1位置と、前記第2係止部に係止された前記横杆を固定する第2位置とに移動可能であって、第1固定具及び第2固定具によって前記側部カバーに取り付けられるとともに、前記第2固定具を取り外すことにより前記第1固定具を支点として前記第1位置と前記第2位置とに揺動可能である。
【0009】
好ましくは、前記枢支軸は、前記第1係止部よりも上方であって、前記第2係止部よりも下方に配置されている。
好ましくは、前記第2係止部は、前記側部カバーの上部から後上方に向けて突出して前記横杆を係止可能な爪部を有し、前記爪部の先端は前記横杆を係止した状態において前記横杆の軸心よりも後方まで延びている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前部カバーの下端部に設けられた横杆を係止部に係止した状態において固定部材により横杆を固定することができるため、前部カバーが作業中に係止部に係止された状態から外れてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】前部カバーの下端部付近を示す正面図である。
【
図4】前部カバーの下端部付近を示す側面図である。
【
図5】側部カバー及び固定部材の第一実施形態を示す側面図であって、第1係止部に係止された横杆を固定部材により固定している状態を示している。
【
図6】側部カバー及び固定部材の第一実施形態を示す側面図であって、第2係止部に横杆を係止した状態を示している。
【
図7】側部カバー及び固定部材の第二実施形態を示す側面図であって、第1係止部に係止された横杆を固定部材により固定している状態を示している。
【
図8】側部カバー及び固定部材の第二実施形態を示す側面図であって、第2係止部に係止された横杆を固定部材により固定している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はロータリ耕耘装置1の側面図であり、
図2はロータリ耕耘装置1の斜視図である。ロータリ耕耘装置1は、図示例のものはサイドドライブ式であるが、センタードライブ式であってもよい。
ロータリ耕耘装置1は、トラクタ等の作業車両(図示略)の後部に三点リンク機構を介して昇降可能に装着される。ロータリ耕耘装置1は、機枠2と、耕耘部3とを備えている。
【0013】
機枠2は、ギヤケース4と、サポートアーム5L,5Rと、伝動ケース6と、サイドフレーム7とを有している。
サポートアーム5Lはギヤケース4から左方に延びている。サポートアーム5Rはギヤケース4から右方に延びている。伝動ケース6は、一方(左側)のサポートアーム5Lの外端(左端)に取り付けられている。サイドフレーム7は、他方(右側)のサポートアーム5Rの外端(右端)に取り付けられている。
【0014】
ギヤケース4には、マスト8が設けられている。マスト8の前上部には、三点リンク機構のトップリンクが連結される。また、サポートアーム5L,5Rには、連結ステー9が設けられている。連結ステー9の前部には、三点リンク機構のロワーリンクが連結される。
伝動ケース6の下部とサイドフレーム7の下部との間には、回転軸11(
図1参照)が配置されている。回転軸11には、耕耘爪12が取り付けられている。回転軸11及び耕耘爪12は、耕耘部3を構成している。回転軸11は、横軸(左右方向に延びる軸)回りに回転可能である。耕耘爪12は、回転軸11と共に横軸回りに正転及び逆転が可能である。
図1において、耕耘爪12の正転方向を矢印Aで示し、耕耘爪12の逆転方向を矢印Bで示す。
【0015】
ギヤケース4には、作業車両のPTO軸からジョイントを介して回転動力が伝達されるPIC軸13が設けられている。PIC軸13に伝達された動力は、ギヤケース4内のギヤ伝動機構、サポートアーム5L内の伝動軸及び伝動ケース6内のチェーン伝動手段を介して、回転軸11に伝達される。これにより、回転軸11が耕耘爪12と共に回転する。
機枠2には、後方に向けて延びる支持部材14が取り付けられている。支持部材14の後部には、ゲージ輪24が接地可能に支持されている。
【0016】
図1、
図2に示すように、ロータリ耕耘装置1は、上部カバー15、前部カバー16、後部カバー17、側部カバー18を有している。
上部カバー15は、耕耘爪12の上方を覆っている。前部カバー16は、上部カバー15の前部に取り付けられ、当該前部から下向きに延びている。後部カバー17は、上部カ
バー15の後部に取り付けられ、当該後部から下向きに延びている。側部カバー18は、耕耘爪12の側方(左側及び右側)に配置されている。側部カバー18は、前部材18Aと後部材18Bとを有している。前部材18Aは、耕耘部3の側方の前側を覆う。後部材18Bは、耕耘部3の側方の後側を覆う。
【0017】
前部カバー16は、ゴムや樹脂等の可撓性を有する素材から形成されている。前部カバー16は、耕耘爪12の前方を覆う第1状態(
図1、
図5、
図7参照)と、下部を上方に折り返した第2状態(
図6、
図8参照)とに変更可能である。前部カバー16の下端部には、前部カバー16の幅方向に延びる横杆19が設けられている。横杆19は、円筒形又は円柱形である。
【0018】
図3に示すように、横杆19は、左横杆19Lと右横杆19Rとを含む。左横杆19Lは、前部カバー16の左端部から左方に突出している。右横杆19Rは、前部カバー16の右端部から右方に突出している。左横杆19Lは、左板35Lを貫通して取り付けられている。右横杆19Rは、右板35Rを貫通して取り付けられている。左板35Lと右板35Rとは、連結杆36により連結されている。連結杆36は、前部カバー16の幅方向の全長にわたって延びている。本実施形態の場合、連結杆36は角パイプから構成されている。
【0019】
図4に示すように、連結杆36は、第1取付板37と第2取付板38を用いて前部カバー16に取り付けられている。第1取付板37は、前部カバー16の前側に配置されている。第2取付板38は、前部カバー16の後側に配置されている。つまり、第1取付板37と第2取付板38は、前部カバー16を前側と後側から挟んで配置されている。第1取付板37、第2取付板38は、前部カバー16には、ボルト39の軸が貫通しており、当該軸にはナット40が螺合されている。これにより、第1取付板37と第2取付板38が前部カバー16に取り付けられている。
【0020】
第1取付板37の前面には連結杆36が固定されている。連結杆36は、第1取付板37と第2取付板38が前部カバー16に取り付けられることによって、前部カバー16に取り付けられている。そして、横杆19は、連結杆36と左板35L及び右板35Rを介して、前部カバー16に取り付けられている。
図5、
図6等に示すように、側部カバー18には、横杆19を係止する係止部20が設けられている。
図2に示すように、係止部20は、左側と右側の側部カバー18に夫々設けられている。左側の側部カバー18に設けられた係止部20は、左横杆19Lを係止する。右側の側部カバー18に設けられた係止部20は、右横杆19Rを係止する。
【0021】
係止部20は、第1係止部21と第2係止部22とを含む。第1係止部21は、前部カバー16が第1状態(
図5参照)にあるとき横杆19を係止する。第2係止部22は、前部カバー16が第2状態(
図6参照)にあるとき横杆19を係止する。
第1係止部21は、側部カバー18の前縁に設けられている。第1係止部21は、前下方から後上方に向けて延びる傾斜面を有している。この傾斜面は、第1傾斜面21aと第2傾斜面21bとを含む。第1傾斜面21aと第2傾斜面21bとは水平面に対して異なる傾斜角度で傾斜している。第1傾斜面21aは、水平面に対して第1の傾斜角度で傾斜している。第2傾斜面21bは、水平面に対して第1の傾斜角度よりも大きい第2の傾斜角度で傾斜している。第2傾斜面21bの下端は、第1傾斜面21aの上端と円弧状の面21cを介して繋がっている。横杆19は、第1傾斜面21a及び/又は第2傾斜面21bに当接することによって、第1係止部21に係止される。横杆19は、第1係止部21に係止された状態においては、自重により傾斜面に当接する方向の力が作用するため、下方への移動が規制される。
【0022】
尚、第1係止部21は、第1傾斜面21aと第2傾斜面21bの少なくともいずれか一方を有していればよい。これは、後述する他の実施形態についても同様である。例えば、
図5に仮想線K1で示すように、第1係止部21は、第1傾斜面21aを有さずに第2傾斜面21bのみを有する形状としてもよい。つまり、第1係止部21は、前下方から後上方に向けて傾斜する少なくとも1つの傾斜面を有していればよい。
【0023】
第2係止部22は、側部カバー18の上縁に設けられている。第2係止部22は、横杆
19を係止可能な爪部23を有している。爪部23は、側部カバー18の上部から後上方に向けて突出している。詳しくは、爪部23は、側部カバー18の上縁から上方に向けて突出してから湾曲して後方に向けて延びている。これにより、爪部23と側部カバー18の上縁との間には空間S1が形成されている。側部カバー18の上縁には、空間S1の後方において後上方に向けて傾斜する傾斜面18aが形成されている。横杆19を傾斜面18aに沿って前下方に滑らせて空間S1に嵌め入れることによって、横杆19が爪部23に係止される。即ち、横杆19が第2係止部22に係止される。これにより、前部カバー16は、下部を上方に折り返した第2状態となる。
【0024】
図6に示すように、爪部23の先端(後端)は、横杆19を係止した状態において横杆19の軸心19aよりも後方まで延びている。これにより、横杆19が爪部23に係止された状態において、横杆19の上方に爪部23が位置する。そのため、横杆19が第2係止部22に係止された状態において、前部カバー16が堆積した土等によって上方に押し上げられたとしても、横杆19が第2係止部22から外れることがない。そのため、前部カバー16が作業中に第2係止部22に係止された状態から外れてしまうことを防止できる。
【0025】
図5、
図6等に示すように、側部カバー18には、係止部20に係止された横杆19を固定する固定部材25が設けられている。固定部材25は、左側の側部カバー18と右側の側部カバー18の少なくとも一方に設けられる。本実施形態の場合、左側の側部カバー18と右側の側部カバー18にそれぞれ設けられている。
固定部材25は、長方形の板状の部材である。固定部材25は、固定具であるボルト26により側部カバー18に固定されている。側部カバー18には複数(2つ)の取付穴18cが形成されており、夫々の取付穴18cにボルト26の軸部が挿入されて固定されている。ボルト26を外すことにより、固定部材25を側部カバー18から取り外すことができる。つまり、固定部材25は、側部カバー18に対して着脱可能である。
【0026】
固定部材25は、横杆19を挿通可能な貫通孔25aを有している。貫通孔25aは、第1係止部21に係止された横杆19に対応する位置に配置されている。
図2、
図5に示すように、貫通孔25aに横杆19を挿通することにより横杆19を固定することができる。これにより、固定部材25は、第1係止部21に係止された横杆19を固定することができる。
【0027】
このように、第1係止部21に係止された横杆19を固定部材25により固定することによって、横杆19が第1係止部21に係止された状態において、前部カバー16が上方に押し上げられたとしても、横杆19が第1係止部21から外れることがない。そのため、前部カバー16が作業中に第1係止部21に係止された状態から外れてしまうことを防止できる。
【0028】
図7、
図8は、側部カバー18及び固定部材25の別の実施形態を示している。以下、説明の便宜上、この実施形態を第二実施形態と称し、
図5、
図6に示した実施形態を第一実施形態と称する。
以下、第二実施形態について、第一実施形態と異なる点を中心に説明し、第一実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0029】
第1係止部21の構成は、第一実施形態のものと同じであるため、説明を省略する。
第2係止部22は、爪部23の形状が第一実施形態のものと異なっている。爪部23は、側部カバー18の上部から上方に向けて突出している。側部カバー18の上縁には、爪部23の後方において後上方に向けて傾斜する傾斜面18bが形成されている。これにより、爪部23の後方にはV字状の凹み部30が形成されている。横杆19を傾斜面18bに沿って前下方に滑らせて凹み部30に入れることによって、横杆19が爪部23に係止される。即ち、横杆19が第2係止部22に係止される。これにより、前部カバー16は、下部を上方に折り返した第2状態となる。
【0030】
側部カバー18には、第1取付穴18d、第2取付穴18e、第3取付穴18fが設けられている。第2取付穴18eと第3取付穴18fは、第1取付穴18dを中心とした円弧上に配置されている。
固定部材25は、第1固定具31と第2固定具32によって側部カバー18に取り付けられている。第1固定具31は、第2固定具32よりも後方に配置されている。本実施形態の場合、第1固定具31及び第2固定具32はボルトである。第1固定具31は、第1取付穴18dに挿入されて固定される。第2固定具32は、第2取付穴18eと第3取付穴18fのいずれか一方に挿入されて固定される。
【0031】
固定部材25は、第2固定具32を取り外して第1固定具31を緩めることにより、第1固定具31を支点として揺動可能となる。つまり、固定部材25は、側部カバー18に設けられた第1固定具31を支点として揺動可能である。第1固定具31は、固定部材25を揺動可能に枢支する枢支軸を構成する。枢支軸(第1固定具31)は、第1係止部21よりも上方であって、第2係止部22よりも下方に配置されている。また、枢支軸(第1固定具31)は、第1係止部21及び第2係止部22よりも後方に配置されている。
【0032】
図7、
図8に示すように、固定部材25は、第1係止部21に係止された横杆19を固定する第1位置(
図7参照)と、第2係止部22に係止された横杆19を固定する第2位置(
図8参照)と、に移動可能である。固定部材25は、第1位置にあるとき、貫通孔25aが第1係止部21に係止された横杆19を挿入可能な位置となる。固定部材25は、第2位置にあるとき、貫通孔25aが第2係止部22に係止された横杆19を挿入可能な位置となる。つまり、固定部材25が第1位置から第2位置に揺動したとき、貫通孔25aは第1係止部21から第2係止部22に移動する。
【0033】
上述したように、固定部材25は、枢支軸(第1固定具31)を支点として第1位置と第2位置とに揺動可能である、そして、固定部材25は、第1位置において第1係止部21に係止された横杆19を固定し(
図7参照)、第2位置において第2係止部22に係止された横杆19を固定する(
図8参照)ことができる。
そのため、横杆19が第1係止部21に係止された状態と第2係止部22に係止された状態のいずれにおいても、前部カバー16が上方に押し上げられた場合に、横杆19が係止部(第1係止部21又は第2係止部22)から外れることがない。そのため、前部カバー16が作業中に係止部(第1係止部21又は第2係止部22)に係止された状態から外れてしまうことを防止できる。
【0034】
本発明においては、上述した第一実施形態と第二実施形態の構成を組み合わせて採用してもよい。例えば、第一実施形態の第2係止部22の構成と第二実施形態の固定部材25の構成を組み合わせて採用してもよい。また、第一実施形態の固定部材25の構成と第二実施形態の第2係止部22の構成を組み合わせて採用してもよい。
また、固定部材25は、第二実施形態のように、第1係止部21に係止された横杆19と第2係止部22に係止された横杆19の両方を、1つの部材で固定可能な構成とすることが好ましいが、第1係止部21に係止された横杆19と第2係止部22に係止された横杆19とを別々の固定部材で固定可能な構成としてもよい。
【0035】
また、固定部材25は、第一実施形態のように、第1係止部21に係止された横杆19のみを固定可能なものであってもよいが、第2係止部22に係止された横杆19のみを固定可能なものであってもよい。
上記したロータリ耕耘装置1によれば、以下の効果を奏する。
ロータリ耕耘装置1は、横軸回りに正転及び逆転可能な耕耘爪12と、耕耘爪12の上方を覆う上部カバー15と、上部カバー15の前部に取り付けられた前部カバー16と、耕耘爪12の側方に配置された側部カバー18と、を備え、前部カバー16の下端部には、前部カバー16の幅方向に延びる横杆19が設けられ、側部カバー18には、横杆19を係止する係止部20と、係止部20に係止された横杆19を固定する固定部材25とが設けられている。
【0036】
この構成によれば、前部カバー16の下端部に設けられた横杆19を係止部20に係止した状態において固定部材25により横杆19を固定することができるため、前部カバー16が作業中に係止部20に係止された状態から外れてしまうことを防止できる。
また、前部カバー16は、耕耘爪12の前方を覆う第1状態と、下部を上方に折り返した第2状態とに変更可能であり、係止部20は、前部カバー16が第1状態にあるとき横
杆19を係止する第1係止部21と、前部カバー16が第2状態にあるとき横杆19を係止する第2係止部22と、を含み、固定部材25は、第1係止部21に係止された横杆19を固定する第1位置と、第2係止部22に係止された横杆19を固定する第2位置と、に移動可能である。
【0037】
この構成によれば、1つの固定部材25によって、前部カバー16が第1状態にあるときと第2状態にあるときの両方において、第2係止部22に係止された横杆19を固定することができる。そのため、前部カバー16を第1状態において固定する固定部材25と第2状態において固定する固定部材25とを別々に設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0038】
また、固定部材25は、側部カバー18に設けられた枢支軸(第1固定具31)を支点として、第1位置と第2位置とに揺動可能である。
この構成によれば、固定部材25を揺動するという簡単な操作によって、固定部材25を第1位置と第2位置とに移動させることができる。そのため、固定部材25を第1位置と第2位置とに移動させる際に、固定部材25を取り外して取り付けるという面倒な作業を必要とせず、作業性に優れている。
【0039】
また、枢支軸(第1固定具31)は、第1係止部21よりも上方であって、第2係止部22よりも下方に配置されている。
この構成によれば、第1係止部21と第2係止部22とを枢支軸(第1固定具31)を中心とした円弧上に配置することができる。これによって、固定部材25を、枢支軸(第1固定具31)回りに揺動することによって、第1位置と第2位置とに確実に移動させることが可能となる。
【0040】
また、固定部材25は、第1固定具31及び第2固定具32によって側部カバー18に取り付けられるとともに、第2固定具32を取り外すことにより第1固定具31を支点として第1位置と第2位置とに揺動可能である。
この構成によれば、第2固定具32を取り外すという簡単な操作によって、第1固定具31を支点として、固定部材25を第1位置と第2位置とに揺動させることが可能となり、作業性に優れる。
【0041】
また、固定部材25は、横杆19を挿通可能な貫通孔25aを有し、当該貫通孔25aに横杆19を挿通することにより横杆19を固定する。
この構成によれば、横杆19の全周が貫通孔25aの内縁に囲われるため、前部カバー16が堆積した土等によって上方に強い力で押し上げられた場合であっても、横杆19が固定部材25から外れることを確実に防止できる。
【0042】
また、第2係止部22は、側部カバー18の上部から後上方に向けて突出して横杆19を係止可能な爪部23を有し、爪部23の先端は横杆19を係止した状態において横杆19の軸心よりも後方まで延びている。
この構成によれば、横杆19が爪部23に係止された状態において、横杆19の上方に爪部23が位置する。そのため、横杆19が第2係止部22に係止された状態において、前部カバー16が堆積した土等によって上方に押し上げられたとしても、横杆19が第2係止部22から外れることがない。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
1 ロータリ耕耘装置
12 耕耘爪
15 上部カバー
16 前部カバー
18 側部カバー
19 横杆
19a 軸心
20 係止部
21 第1係止部
22 第2係止部
23 爪部
25 固定部材
25a 貫通孔
31 第1固定具(枢支軸)
32 第2固定具