(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240902BHJP
G06Q 50/26 20240101ALI20240902BHJP
G08G 1/123 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
G01C21/34
G06Q50/26
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2021016323
(22)【出願日】2021-02-04
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】大江 真理
(72)【発明者】
【氏名】志宮 篤政
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-088829(JP,A)
【文献】特開2004-054516(JP,A)
【文献】国際公開第2020/079765(WO,A1)
【文献】特開2014-225250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G06Q 50/26
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物資を必要とする場所と必要とされる物資に関する需要情報と、供給される物資と、この物資の保管場所に関する供給情報と
、生活関連のインフラ情報を取得して記憶装置に記憶させる情報記録処理部と、
前記インフラ情報をもとに、物資の供給先とする場所でのインフラの状態が前記物資を使用可能であるか否か判別し、前記物資を使用可能である場所を供給先として設定し、前記需要情報が示す物資と前記供給情報が示す物資との対応に基づいて、物資の供給元とする場所と物資
を使用可能な供給先とする場所との対応を設定する物資調整処理部と、
前記物資の供給元とする場所から物資の供給先とする場所までの物資の配送ルートを、地図情報をもとに探索するルート探索部と、
前記需要情報、前記供給情報、前記配送ルートを選択的に地図と共に表示装置において表示させる情報提供処理部と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記情報記録処理部は、さらに通行不可とする交通に関する交通情報を取得して記憶装置に記憶させ、
前記ルート探索部は、前記物資の供給元とする場所から物資の供給先とする場所までの物資の配送ルートを、前記交通情報をもとに探索する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報提供処理部は、前記インフラ情報に基づいて、インフラの状態を示す情報を地図と共に表示装置において表示させる、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置に、
物資を必要とする場所と必要とされる物資に関する需要情報と、供給される物資と、この物資の保管場所に関する供給情報と
、生活関連のインフラ情報を取得して記憶装置に記憶させ、
前記インフラ情報をもとに、物資の供給先とする場所でのインフラの状態が前記物資を使用可能であるか否か判別し、前記物資を使用可能である場所を供給先として設定し、前記需要情報が示す物資と前記供給情報が示す物資との対応に基づいて、物資の供給元とする場所と物資
を使用可能な供給先とする場所との対応を設定させ、
前記物資の供給元とする場所から物資の供給先とする場所までの物資の配送ルートを、地図情報をもとに探索させ、
前記需要情報、前記供給情報、前記配送ルートを選択的に地図と共に表示装置において表示させる情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータを、
物資を必要とする場所と必要とされる物資に関する需要情報と、供給される物資と、この物資の保管場所に関する供給情報と
、生活関連のインフラ情報を取得して記憶装置に記憶させる情報記録処理部と、
前記インフラ情報をもとに、物資の供給先とする場所でのインフラの状態が前記物資を使用可能であるか否か判別し、前記物資を使用可能である場所を供給先として設定し、前記需要情報が示す物資と前記供給情報が示す物資との対応に基づいて、物資の供給元とする場所と物資
を使用可能な供給先とする場所との対応を設定する物資調整処理部と、
前記物資の供給元とする場所から物資の供給先とする場所までの物資の配送ルートを、地図情報をもとに探索するルート探索部と、
前記需要情報、前記供給情報、前記配送ルートを選択的に地図と共に表示装置において表示させる情報提供処理部として機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理装置において実行される情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲に影響を及ぼす大地震、台風、大雨などの災害が発生した場合、自治体などの災害対策本部では、災害の影響に関する情報を速やかに収集し、即座に復旧することが求められる。例えば、 道路、橋梁、トンネル、信号機、鉄道、バスなどの交通関連、電気、ガス、水道、通信等の生活関連などのインフラストラクチャー(以下、インフラと略称する)に関する情報や、災害復旧のために必要な物資の情報、これら物資を必要としている提供先となる場所(施設、避難所など)や、物資の提供元や保管場所など、多岐に渡る情報の収集が必要となる。
【0003】
しかしながら、現状では、各種の情報が電話やFAXにより自治体に連絡されたり、テレビやラジオ、インターネットを介して配信された情報を自治体職員などが収集して、手書きで書き込んだ紙を貼り付けたり、掲示板に書き込んだりといったアナログな情報収集方法がとられていることも多い。
【0004】
このため、災害対策本部に情報が収集されたとしても、これらの情報を必要とする各所(例えば、下水道等のインフラに関する情報については上下水道部局などの部門)へ、的確に速やかに伝達することが困難となっていた。
【0005】
また、災害復旧のために必要な物資を必要とする現場へ配送する場合、インフラの状況によっては物資を配送したとしても物資を利用できない場合がある。例えば、電力を必要とする物資を停電状態にある場所へ提供しても活用されない、あるいは電力が復旧されても物資の供給が後回しにされる現場があるなど、物資の供給について混乱が発生している。
【0006】
さらに、大規模な災害が発生した場合には交通関連のインフラに障害が発生することも多いが(がけ崩れ、道路浸水など)、これらの障害の情報が一般的なカーナビゲーションシステムが反映されないため、カーナビゲーションシステムを利用して探索した配送ルートでは物資を供給先まで配送できないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようにして、災害が発生した場合には、様々な情報を収集して各所で共有し、物資の配送などを的確に実施することが求められるが、従来では、情報が錯綜することも多く、物資を供給先まで的確に配送可能な配送ルートを検索することが困難となっていた。
【0009】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、様々な情報を収集して各所で共有できるようにして、現場が必要としている物資の配送を的確にできる配送ルートを探索する情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態によれば、情報処理装置は、情報記録処理部、物資調整処理部、ルート探索部、情報提供処理部を有する。情報記録処理部は、物資を必要とする場所と必要とされる物資に関する需要情報と、供給される物資と、この物資の保管場所に関する供給情報と、生活関連のインフラ情報を取得して記憶装置に記憶させる。物資調整処理部は、前記インフラ情報をもとに、物資の供給先とする場所でのインフラの状態が前記物資を使用可能であるか否か判別し、前記物資を使用可能である場所を供給先として設定し、前記需要情報が示す物資と前記供給情報が示す物資との対応に基づいて、物資の供給元とする場所と物資を使用可能な供給先とする場所との対応を設定する。ルート探索部は、前記物資の供給元とする場所から物資の供給先とする場所までの物資の配送ルートを、地図情報をもとに探索する。情報提供処理部は、前記需要情報、前記供給情報、前記配送ルートを選択的に地図と共に表示装置において表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態のシステムの構成の概略を示すブロック図。
【
図2】本実施形態における情報処理装置の構成を示すブロック図。
【
図3】本実施形態の情報処理装置における情報処理プログラムにより実現される機能構成を示す図。
【
図4】本実施形態における需要情報の一例を示す図。
【
図5】本実施形態における供給情報の一例を示す図。
【
図6】本実施形態における交通情報の一例を示す図。
【
図7】本実施形態におけるインフラ情報の一例を示す図。
【
図8】本実施形態における物資調整情報の一例を示す図。
【
図9】本実施形態における災害関連情報の監視画面の一例を示す図。
【
図10】本実施形態における情報処理装置(物資調整処理部)の物資調整処理の動作を示すフローチャート。
【
図11】本実施形態におけるルート探索結果を表示する監視画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本実施形態のシステムの構成の概略を示すブロック図である。
図1に示すシステムは、例えば、広範囲に影響を及ぼす大地震、台風、大雨などの災害が発生した場合に自治体(市役所、県庁など)等に設置される災害対策本部で使用される情報処理装置10を含む。
【0014】
情報処理装置10は、災害の発生に伴って、道路、橋梁、トンネル、信号機、鉄道、バスなどの交通関連、電気、ガス、水道、通信等の生活関連などのインフラに関する情報や、災害復旧のために必要とされる物資の情報、これら物資を必要としている提供先となる場所(施設、避難所など)や、物資の提供元や保管場所など、多岐に渡る災害関連情報を収集し、これらの収集した情報を各所で共有できるようにして、現場が必要としている物資の配送を的確にできる配送ルートを探索する機能を提供する。
【0015】
図1に示すように、情報処理装置10は、インターネットやWAN(Wide Area Network)などのネットワーク19を介して、情報処理装置11、浄水場監視サーバ12、下水処理場監視サーバ13、通行実績情報サーバ14、電力監視システム15、電子機器16等の機器と相互に接続され、各種のデータを送受信する。
【0016】
情報処理装置11は、例えば他の自治体に設置されている機器であり、情報処理装置10と相互に災害関連情報を送受信して共有することができる。
【0017】
浄水場監視サーバ12と下水処理場監視サーバ13は、上下水道に関連するインフラ設備の管理に使用されている装置であり、設備の稼働状況等や災害による被害の状況、復旧のために必要とされる物資の情報などを情報処理装置10に提供する。
【0018】
通行実績情報サーバ14は、ネットワーク19(インターネット)を通じて、道路の通行状況に関する情報を発信するサービス(情報提供サービス)を提供する装置である。通行実績情報サーバ14は、例えば、道路を走行している車両(あるいは搭乗者が所有しているスマートフォンなどの通信装置)から、実際に通行した道路に関する情報(通行実績情報)を収集することで、通行実績のある(通行可能な)道路と通行不可の可能性がある道路に関する情報を作成して提供する。
【0019】
電力監視システム15は、電力供給に関連するインフラ設備の管理に使用されている装置であり、設備の稼働状況等や災害による被害の状況(停電エリアなど)、復旧のために必要とされる物資の情報などを情報処理装置10に提供する。なお、図示していないが、ガスや通信などのインフラに関する情報についても、電力監視システム15と同様に、それぞれの監視システム等から情報処理装置10に提供されるものとする。
【0020】
電子機器16は、ネットワーク19を介してデータ通信が可能な機器であり、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォンなどである。電子機器16は、例えば一般の市民が使用して、情報処理装置10により収集された災害関連情報の閲覧に使用される。また、電子機器16は、物資を搬送する車両の運転手が使用して、情報処理装置10により収集された災害関連情報をもとに探索された、被災施設や避難所などの現場が必要としている物資の配送を的確にできる配送ルートの情報の閲覧に使用される。
【0021】
図1に示すように、情報処理装置10が設置される災害対策本部には、通信装置20が使用される。通信装置20は、例えば、災害対策本部に設置されたFAX装置や電話機、災害対策本部で活動している職員等が使用するスマートフォンや携帯電話などである。
【0022】
通信装置20は、公衆電話網やLAN(Local Area Network)等を含むネットワーク29を通じて、様々な場所が活動している人により使用されている通信装置21,22,23,24と通信が可能である。例えば、道路や河川の状況を見回りしている警察や消防等の関係者により通信装置21から、道路の状況を示す情報(例えば、土砂崩れにより通行不可、河川の氾濫による道路の浸水など)が伝えられる。また、避難所で活動している人により通信装置22から避難所の状況や必要とされる物資に関する情報などが伝えられる。また、各種施設や避難場所に提供される物資走行で働く人により通信装置23から走行に収集されている物資の情報などが伝えられる。また、水処理施設の職員などから通信装置24により、施設の状況や復旧に必要とされる物資や資財などの情報が伝えられる。その他、様々な場所から災害関連情報がネットワーク29を通じて通信装置20に伝えられる。
【0023】
災害対策本部では、通信装置20により受信された情報は、例えば災害対策本部で活動している職員による作業により情報処理装置10に入力され、その他のネットワーク19を通じて受信された情報と統合されて記憶される。
【0024】
図2は、本実施形態における情報処理装置10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、情報処理装置10は、プロセッサ31、メモリ32、表示装置33、入力装置34、記憶装置35、通信装置36、地図情報データベース37を有する。
【0025】
プロセッサ31は、ROM、RAM等からなるメモリ32にアクセスし、メモリ32にロードされるプログラムを実行することで各種機能を実現し、情報処理装置10を制御する。
【0026】
メモリ32は、例えば、ROM、又はRAMなどで構成される。ROMは、コンピュータの動作に必要な制御プログラムを記憶した不揮発性メモリである。RAMは、プロセッサ31の演算処理を実行する際に生ずる各種データやコンピュータの動作に必要な制御プログラムを一時記憶する揮発性メモリである。
【0027】
メモリ32に記憶されるプログラムには、OS(Operating System)等の基本プログラムの他、災害関連情報に対する処理を実行する情報処理プログラムが含まれる。また、メモリ32に記憶されるデータには、情報処理プログラムによる処理対象となる、情報データベースに記憶された情報、物資調整情報などが一時的に記憶される。
【0028】
表示装置33は、プロセッサ31の制御により各種の情報を表示する。表示装置33には、情報処理プログラムによる表示機能により、地図と共に災害関連情報などが表示される。表示装置33に表示される災害関連情報には、例えば、物資を必要とする場所と必要とされる物資に関する需要情報、供給される物資と、この物資の保管場所に関する供給情報、物資の供給元とする場所から物資の供給先とする場所までの物資の配送ルート、インフラの状態を示す情報などを含む。
【0029】
入力装置34は、情報処理装置10の利用者(災害対策本部で活動している職員等)により操作されるもので、キーボード、タッチパネル、ポインティングデバイス(マウス等)などを含む。入力装置34は、情報処理装置10の動作制御のための指示入力、各種設定のためのデータ入力、通信装置20により受信された災害関連情報などの入力のために操作される。
【0030】
通信装置36は、プロセッサ31による制御のもとで、ネットワーク19を介した各種情報機器との通信を制御する。
【0031】
記憶装置35は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、可搬式記録メディア装置(外部メディア)等であり、各種プログラムや各種機能により処理されたデータが記憶される。記憶装置14に記憶されるプログラムには、OS(Operating System)などの基本プログラムの他、ネットワーク19を通じて各種の機器から受信された情報、及び通信装置20により受信され、入力装置34の操作により入力された情報を含む災害関連情報に対する処理を実行する情報処理プログラム41が含まれる。
【0032】
また、記憶装置35に記憶されるデータには、情報処理プログラム41により処理対象となる情報データベース42、物資調整情報47などのデータが含まれる。情報データベース42は、各所から収集された情報が登録されるもので、例えば、物資情報43(需要情報431、供給情報432)、交通情報44、インフラ情報45が含まれる。
【0033】
需要情報431は、各種の被災した施設や避難所などから通知された、物資を必要とする場所と必要とされる物資に関する情報を含む。供給情報432は、各所から被災地に供給される物資と、この物資の保管場所に関する情報を含む。
【0034】
交通情報44は、道路、橋梁、トンネル、信号機、鉄道、バスなどの交通関連の情報であり、特に災害の影響などにより通行不可とする交通に関する情報が含まれる。また、交通情報44には、災害発生時に設定される緊急車両専用道路の情報が含まれる。緊急車両専用道路は、一般の車両の通行が不可であり、警察、消防、自衛隊等の公共の活動のための車両のみを通行可能とする。また、緊急車両専用道路は、一般車両であっても災害物資等の物資輸送のための車両を通行可能にするなど、通行可能/不可とする条件について設定することができる。
【0035】
インフラ情報45は、電気、ガス、水道、通信等の生活関連などのインフラに関する情報であり、災害発生により生じた被害の情報が含まれる。例えば、電気については停電エリア、水道については断水エリア、通信については電話網について不通エリアなどの情報が含まれる。
【0036】
物資調整情報47は、需要情報431が示す物資と供給情報432が示す物資との対応に基づいて調整された、物資の供給元とする場所と物資の供給先とする場所との対応に関する情報が含まれる。
【0037】
図3は、本実施形態の情報処理装置10における情報処理プログラム41により実現される機能構成を示す図である。
【0038】
図3に示すように、プロセッサ31は、メモリ32に格納された情報処理プログラム41を実行することにより、情報処理部50(情報記録処理部51、情報提供処理部52、物資調整処理部54(ルート探索部56を含む))の機能を実現する。
【0039】
情報記録処理部51は、物資を必要とする場所と必要とされる物資に関する需要情報および、供給される物資と、この物資の保管場所に関する供給情報を取得して記憶装置35に記憶させる情報記録処理を実行する。すなわち、情報記録処理部51は、ネットワーク19および通信装置36を通じて各種機器から提供される情報を取得し、物資情報43(需要情報431、供給情報432)、交通情報44、インフラ情報45として記憶装置35(情報データベース42)に記憶させる情報記録処理を実行する。また、情報記録処理部51は、災害対策本部で活動している職員等による入力装置34に対する操作により入力される災害関連情報を取得し、同様にして記憶装置35(情報データベース42)に記憶させる。
【0040】
情報提供処理部52は、記憶装置35(情報データベース42)に記憶された災害関連情報(物資情報43(需要情報431、供給情報432)、交通情報44、インフラ情報45)、及び物資調整情報47を、選択的に地図と共に表示装置33において表示させる情報提供処理を実行する。
【0041】
なお、情報提供処理部52は、災害関連情報を地図と共に表示させるだけでなく、情報データベース42に記憶された情報毎にリスト形式にして一覧表示させるなど、他の表示形態によって表示させることもできる。
【0042】
また、情報提供処理部52は、前述と同様に各種情報を、通信装置36及びネットワーク19,29を通じて、各所で使用されている機器に提供する。例えば、情報データベース42に集積された災害関連情報、物資調整情報47、ルート探索部56により探索された配送ルートに関する情報などを提供する。
【0043】
物資調整処理部54は、需要情報431が示す物資と供給情報432が示す物資との対応に基づいて、物資の供給元とする場所と物資の供給先とする場所との対応を設定して、配送対象となる物資の供給先と供給元、供給元から供給先までの配送ルート等に関する情報を物資調整情報47として記憶させる物資調整処理を実行する。
【0044】
ルート探索部56は、地図情報データベース37の地図情報を利用し、物資の供給元とする場所から物資の供給先とする場所までの物資の配送ルートを、交通情報をもとに探索する。すなわち、ルート探索部56は、交通情報をもとに判別される、実際に通行可能な道路を対象として基本的には最短ルートを配送ルートとして探索する。ただし、通行不可の道路を迂回するために探索した配送ルートが、通常時よりも予め決められた時間/距離を超過する場合には、配送不可として探索結果とすることもできる。ルート探索部56により配送ルートが探索不可と判定された場合には、物資を配送できないものとして、物資調整情報47に記憶された、物資の供給元とする場所と物資の供給先とする場所との対応を削除するようにしても良い。
【0045】
なお、物資調整処理部54は、1箇所の物資の供給元とする場所と1箇所の物資の供給先とする場所との対応を設定するだけでなく、複数の物資について複数の場所(供給元/供給先)の対応を設定できるものとする。この場合、ルート探索部56は、2点間の配送ルートではなく、中継点とする複数の場所(供給元/供給先)を通過する配送ルートを、交通情報44をもとに探索する。
【0046】
情報データベース42に記憶される情報は、基本的にリアルタイムで更新し、常時、最新の情報を提供できるようにする。すなわち、新規に情報が入力された場合には、直ちに、情報データベース42に追加/更新し、物資の配送の完了が確認された場合には、物資情報43及び物資調整情報47から該当する情報を削除する。
【0047】
また、物資調整処理部54は、リアルタイムで更新される情報に基づいて、例えば比較的に短い時間毎(例えば、5分毎)に物資調整処理を実行して、物資調整情報47を記録(更新)する。物資調整処理を実行する間隔は、例えば、災害対策本部で活動している職員等の操作によって変更可能とする。
【0048】
図4は、本実施形態における需要情報431の一例を示す図である。
【0049】
図4に示すように、需要情報431は、各所から要求された物資の情報を含み、例えば要求があった日時を示す「日付」、要求された物資の内容「物資」「個数」、要求元の「場所」、物資の配送のための「条件」の各情報が設定される。例えば、「3月11日」に「B浄水場」から「1個」の「ポンプ」が要求され、「電気」の利用を必要とする(「B浄水場」が停電エリアでない)ことが条件として設定されている。なお、
図4に示す需要情報431は、一例であって、その他の情報が設定されても良い。
【0050】
図5は、本実施形態における供給情報432の一例を示す図である。
【0051】
図5に示すように、供給情報432は、各所から供給された物資の情報を含み、例えば物資が提供された日時を示す「日付」、提供された物資の内容「物資」「個数」、提供された物資が保管された「場所」、物資の配送のための「条件」の各情報が設定される。例えば、「3月11日」に「××市A倉庫」に保管された「2個」の「ポンプ」が供給され、「電気」の利用を必要とすることが条件として設定されている。なお、
図5に示す供給情報432は、一例であって、その他の情報が設定されても良い。
【0052】
図6は、本実施形態における交通情報44の一例を示す図である。
【0053】
図6に示すように、交通情報44には、通行不可とする交通に関する情報を含み、例えば通行不可が通知された日時を示す「日付」、通行不可とされた路線(範囲)等を示す「通行情報」、通行不可となった「理由」、通行するための「通行条件」の各情報が設定される。例えば、「3月11日」に「○○線○○~○○」の間が「緊急車両専用道路」に設定され、一般の車両の通行が不可にされたことを示す情報が設定されている。なお、「通行条件」として「物資輸送」が設定され、災害物資等の物資輸送のための車両については通行可能であることが設定されている。また、「3月11日」に「××線××~××」の間が「土砂崩れ」のために通行が不可にあることを示す情報が設定され、「通行条件」として「バイク」が設定され、「バイク」であれば通行可能であることが設定されている。なお、
図6に示す交通情報44は、一例であって、その他の情報が設定されても良い。
【0054】
図7は、本実施形態におけるインフラ情報45の一例を示す図である。
【0055】
図7に示すように、インフラ情報45は、電気、ガス、水道、通信等の生活関連などのインフラに関する、災害発生により生じた被害の情報を含み、例えば被害が発生した日時を示す「日付」、被害が発生した「インフラ」の名称、被害が発生した場所や範囲を示す「対象エリア」の各情報が設定される。例えば、「3月11日」に「電気」の供給に障害が発生し(停電)、停電が発生している「対象エリア」が「○○市××区」であることが記録されている。
【0056】
図8は、本実施形態における物資調整情報47の一例を示す図である。
【0057】
図8に示すように、物資調整情報47は、物資の供給元とする場所と物資の供給先とする場所との対応に関する情報を含んでいる。すなわち、物資調整情報47には、例えば調整が実施された日時を示す「日付」、対象とする「物資」と「個数」、物資の供給先とする「供給先場所」、供給対象とする物資が保管されている「供給元場所」、物資の配送のための「条件」、物資の配送を実施する予定日時を示す「実施予定」、「供給元場所」が示す場所から「供給先場所」までのルート探索部56により探索された配送ルートの情報(所要時間、距離を含む)の各情報が設定される。例えば、「3月11日」に物資調整がされた「1個」の「ポンプ」について、「B浄水場」から「××市A倉庫」の配送を、「3月12日午前10時」に実施予定である情報が設定されている(ルート情報の表示については省略)。
【0058】
次に、本実施形態における情報処理装置10の動作について説明する。
【0059】
情報処理装置10は、ネットワーク19を介して接続された、例えば、情報処理装置11、浄水場監視サーバ12、下水処理場監視サーバ13、通行実績情報サーバ14、電力監視システム15、電子機器16等から災害関連情報を受信すると、情報記録処理部51によって、順次、情報データベース42に記憶させる。
【0060】
また、災害対策本部で活動している職員等は、通信装置20によって、各所から情報が連絡されると、その情報を入力装置34に対する操作によって情報処理装置10に入力する。情報処理装置10は、入力装置34を通じて入力される情報を、情報記録処理部51によって、順次、情報データベース42に記憶させる。
【0061】
なお、情報記録処理部51は、表示装置33において災害関連情報を入力するための入力操作画面を表示させ、この入力操作画面を通じて情報を入力させるようにしても良い。これにより、情報記録処理部51は、入力された情報を物資情報43、交通情報44、インフラ情報45に分類して、先に記録された他の情報と統合して記憶させる。
【0062】
情報処理装置10は、情報データベース42に記憶された災害関連情報の閲覧要求が指示されると、情報提供処理部52によって情報監視画面を表示装置33において表示させる。
【0063】
図9は、本実施形態における災害関連情報の監視画面33Aの一例を示す図である。
【0064】
監視画面33Aには、地図エリア71と情報エリア72が設けられている。地図エリア71には、地図が表示されると共に、情報データベース42に記憶された各種情報に基づく、場所あるいはエリアを示す情報が地図に付加されている。
【0065】
例えば、マーク61,62は、需要情報431に記憶された場所(物資を要求している場所)を示し、マーク63は、供給情報432に記憶された場所(供給する物資が保管されている場所)を示している。マーク61,62とマーク63は、表示色を変える、マーク形を変える、文字を付加するなどして、物資の供給先と供給元とが容易に識別できるようにする。
【0066】
例えば、入力装置34のポインティングデバイスが操作され、マーク62の位置にポインタ69が移動された場合、情報提供処理部52は、マーク62に対応する情報、すなわち需要情報431として記憶されたマーク62に対応する情報を需要情報431から読み出して、監視画面33Aの情報エリア72において表示させる。
図9に示す例では、「B浄水場」についての情報がテキストにより表示されている。
【0067】
これにより、物資を要求している場所、供給される物資が保管されている場所を、地図エリア71に表示された地図において容易に把握することができる。
【0068】
また、地図エリア71にはエリア情報65が付加されている。エリア情報65は、インフラ情報45に記憶されたインフラの「電気」に対する停電となっている「対象エリア」の情報をもとに表示された、停電エリアを示す情報である。なお、インフラの「水道」「ガス」「通信」について被害が発生している情報がインフラ情報45に記憶されている場合には、該当するエリアを示す情報が表示される。
【0069】
これにより、電気、ガス、水道、通信等の生活関連のインフラに対する災害発生により生じた被害の状況を、地図エリア71に表示された地図において容易に把握することができる。
【0070】
また、地図エリア71に表示されたマーク66,67は、交通情報44に記憶された場所(通行不可の状態にある道路)を示し、道路表示68は、交通情報44に記憶された「緊急車両専用道路」として設定された道路を示している。
【0071】
これにより、地図エリア71に表示された地図において、通行可能な道路を容易に把握することができる。
【0072】
なお、エリア情報65、マーク66,67、道路表示68に対しても、前述したマーク62と同様にしてポインタ69が移動された場合には、ポインタ69により指定された場所についての情報データベース42に登録された詳細な情報が情報エリア72に表示される。
【0073】
なお、地図エリア71には、全ての情報を地図と共に表示させるだけでなく、指定された情報を選択的に表示させることが可能である。例えば、交通情報44とインフラ情報45に関する情報のみを表示させるなど、表示対象とする情報を任意に選択できるようにする。
【0074】
また、監視画面33Aでは、災害関連情報を地図と共に表示させるだけでなく、情報データベース42に記憶された情報毎にリスト形式にして一覧表示させることができる。例えば、情報提供処理部52は、物資調整情報47の表示が指示された場合に、物資調整情報47をリスト化して表示装置33において一覧表示させる。
【0075】
なお、前述した説明では、情報処理装置10の表示装置33に情報を表示させて、例えば自治体内の各部門で情報の共有を容易にしているが、前述した情報を、ネットワーク19,29を通じて、外部の施設や市民によって使用されている機器に提供することができる。従って、自治体内だけでなく、各所へ情報を提供して、情報を共有することができる。
【0076】
このようにして、情報処理装置10では、情報データベース42に災害関連情報が集約されているため、各所に情報を提供して共有することが容易となる。
【0077】
図10は、本実施形態における情報処理装置10(物資調整処理部54)の物資調整処理の動作を示すフローチャートである。
【0078】
物資調整処理部54は、リアルタイムで更新される情報データベース42の情報に基づいて、例えば比較的に短い時間毎(例えば、5分毎)に物資調整処理を実行する。
【0079】
物資調整処理部54は、需要情報431に記憶された情報がある場合、すなわち物資を要求している場所がある場合(ステップA1、Yes)、供給された物資の情報が記憶された供給情報432あるか判別する。供給情報432がある場合(ステップA2、Yes)、物資調整処理部54は、供給情報432から必要とされている物資の情報が記憶されているか判別する。
【0080】
要求されている物資に対応する物資の情報が供給情報432に記憶されている場合(ステップA3、Yes)、物資調整処理部54は、対象とする物資についてインフラ条件を満たすかを判定する。すなわち、物資調整処理部54は、需要情報431あるいは供給情報432に記憶された、対象とする物資の使用「条件」の情報を参照して、物資を要求している場所に物資を配送した場合に使用可能であるか判別する。
【0081】
例えば、「電気」の利用を必要とすることが条件として設定されている「ポンプ」が、
図9に示す地図エリア71に表示されたマーク61,62に対応する場所から要求されている場合、マーク61に対応する場所が停電エリアにあるため、マーク62に対応する場所(「B浄水場」)がインフラ条件を満たすものと判定する。
【0082】
インフラ条件を満たすと判定された場合(ステップA4、Yes)、物資調整処理部54のルート探索部56は、物資の供給元場所からインフラ条件を満たす供給先場所までの配送ルートを、地図情報データベース37の地図情報と交通情報44をもとに探索する(ステップA5)。
【0083】
ここで、ルート探索部56は、交通情報44が示す通行不可の道路を避ける配送ルートを探索する。ルート探索部56は、交通情報44をもとに判別される、実際に通行可能な道路を対象として基本的には最短ルートを配送ルートとして探索する。ただし、通行不可の道路を迂回するために探索した配送ルートが、通常時よりも予め決められた時間/距離を超過する場合には、物資の供給先としないようにする。
【0084】
物資調整処理部54は、交通情報44をもとにしたルート探索によって配送ルートが探索できた場合(ステップA6、Yes)、配送ルートが探索できた物資の供給元と供給先とする場所を選択する(ステップA8)。
【0085】
すなわち、前述した各条件を満たす物資の供給元と供給先の組合せが複数ある場合に、予め設定された他の条件(優先順位)に基づいて物資の供給元と供給先の組合せを選択する。例えば、物資の要求日時が早い順、ルート探索によって探索さたれルートをもとに供給元から近い順あるいは遠い順、施設の重要度、避難場所の規模(収容可能人数)などをもとに選択することができる。
【0086】
物資調整処理部54は、配送ルートが探索できた物資の供給元と供給先とする場所の情報を物資調整情報47に追加する。また、物資調整処理部54は、ルート探索部56により探索された配送ルートのルート情報(経路、時間、距離等)を、供給元と供給先とする場所の情報と対応づけて記憶させる。
【0087】
図11は、本実施形態におけるルート探索結果を表示する監視画面33Aの一例を示す図である。情報提供処理部52は、例えば物資調整情報47に記憶された情報の何れかを選択することで、対応する情報のルート探索結果を表示装置33に表示させる。
【0088】
図11に示すように、閲覧画面33Aには、マーク63に対応する物資の供給元(「××市A倉庫」)から供給先(「B浄水場」)までの配送ルート71が表示されている。配送ルート71は、通行不可となっているマーク66,67が付加された道路を迂回するように設定されている。
【0089】
また、情報エリア72には、配送ルートの情報として、物資調整情報47の情報(一部)とルート情報の詳細が記載されている。すなわち、供給元場所と供給先場所の名称、配送対象とする物資名、実施予定日、ルート、距離、時間などの情報を表示させている。
【0090】
配送ルートの情報は、例えばネットワーク19,29を通じて、物資を搬送する車両の運転手が使用する電子機器16に提供し、配送作業に利用させることができる。従って、配送ルート71を利用することで、供給先(「B浄水場」)において要求されている物資「ポンプ」を的確に配送することができる。
【0091】
このようにして、本実施形態における情報処理装置10では、様々な情報を収集して各所で共有できるようにして、現場が必要としている物資の配送を的確にできる配送ルートを探索することが可能となる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0093】
また、前述した実施の形態において記載した処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで各種装置に提供することができる。また、通信媒体により伝送して各種装置に提供することも可能である。コンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、または通信媒体を介してプログラムを受信し、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。
【符号の説明】
【0094】
10,11…情報処理装置、12…浄水場監視サーバ、13…下水処理場監視サーバ、14…通行実績情報サーバ、15…電力監視システム、16…電子機器、19…ネットワーク、21~24…通信装置、29…ネットワーク、31…プロセッサ、32…メモリ、33…表示装置、34…入力装置、35…記憶装置、36…通信装置、37…地図情報データベース、42…情報データベース、431…需要情報、432…供給情報、44…交通情報、45…インフラ情報、47…物資調整情報、51…情報記録処理部、52…情報提供処理部、54…物資調整処理部、56…ルート探索部。