(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】予定の器具アタッチメントの仮想モデルの表示により物理的器具アタッチメントの正しい選択を確実にする
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240902BHJP
A61B 90/50 20160101ALI20240902BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61B34/35
A61B90/50
G06F3/01 510
(21)【出願番号】P 2021024141
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2021-02-18
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-06
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン ヒーリー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス キャロウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ノーバート ジョンソン
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】安井 寿儀
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0192230(US,A1)
【文献】特開2019-22658(JP,A)
【文献】特表2019-534717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00- 34/20
A61B 34/35
A61B 90/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科システムであって、
外科処置中にユーザが装着するように構成され、透明表示画面を含むARヘッドセットであって、前記透明表示画面は、器具アタッチメントの仮想モデルを表示し、前記透明表示画面を透過した、前記器具アタッチメントが取り付けられる器具を含む実世界場面の少なくとも
物理的器具アタッチメントを前記ユーザが見ることを可能にするように構成されたARヘッドセットと、
前記ユーザが前記ARヘッドセットに対して特定の姿勢で前記器具を配置するとき、前記器具アタッチメントに関連した情報に基づいて、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルの形状および姿勢を生成するように構成されたARヘッドセットコントローラを備え、
前記ARヘッドセットは、外科ロボットおよびコンピュータプラットフォームに動作可能に接続されており、
前記コンピュータプラットフォームは、
前記外科処置を行うときに、前記透明表示画面に表示され視覚的ガイダンスを提供するナビゲーション情報を生成し、
前記外科ロボットとともに使用される場合、解剖学的構造体に対して前記外科処置を行うように、エンドエフェクタを目標姿勢に自動的に動かすように構成される、
外科システム。
【請求項2】
前記ARヘッドセットコントローラが、前記透明表示画面を通して見たときに、前記器具に取り付けられて見えるように、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルの前記姿勢を確定するようにさらに構成されている、請求項1に記載の外科システム。
【請求項3】
前記実世界場面には、前記器具に取り付けられた、実世界に実在する物理的器具アタッチメントがさらに含まれる、請求項2に記載の外科システム。
【請求項4】
前記ARヘッドセットコントローラが、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルが、前記透明表示画面を通して見られている間、前記物理的器具アタッチメントに重ね合わされると、前記物理的器具アタッチメントの少なくとも1つの対応する特徴に位置がほぼ揃うように、それの少なくとも1つが姿勢が決められる、部分的に透明なグラフィカル特徴を有するように、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルを生成するようにさらに構成されている、請求項3に記載の外科システム。
【請求項5】
前記ARヘッドセットコントローラが、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルが、前記透明表示画面を通して見られている間、実世界に実在する物理的器具アタッチメントに重ね合わされると、前記物理的器具アタッチメントの少なくとも1つの対応する特徴に位置がほぼ揃うように、それの少なくとも1つが姿勢が決められる、不透明なグラフィカル特徴を有するように、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルを生成するようにさらに構成されている、請求項1に記載の外科システム。
【請求項6】
前記ARヘッドセットコントローラが、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルが、前記透明表示画面を通して見られている間、実世界に実在する物理的器具アタッチメントの背後に位置付けられると、前記物理的器具アタッチメントの少なくとも1つの対応する特徴に位置がほぼ揃うように、それの少なくとも1つが姿勢が決められる、不透明なグラフィカル特徴を有するように、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルを生成するようにさらに構成されている、請求項1に記載の外科システム。
【請求項7】
前記ARヘッドセットコントローラが、ユーザ入力に基づいて部分的に透明、不透明のものとして、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルのグラフィカル特徴を選択的にレンダリングするようにさらに構成されている、請求項1に記載の外科システム。
【請求項8】
前記ARヘッドセットコントローラが、実世界に実在する物理的器具アタッチメントの背後に、前記物理的器具アタッチメント上の重ね合わせのものとして表示されるように、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルの前記姿勢を選択的に確定するようにさらに構成されている、請求項1に記載の外科システム。
【請求項9】
前記ARヘッドセットコントローラが、前記ARヘッドセットに対する実世界に実在する物理的器具アタッチメントの前記姿勢から確定された距離に基づいて、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルの前記形状を拡大縮小するようにさらに構成されている、請求項1に記載の外科システム。
【請求項10】
前記実世界場面には、実世界に実在する物理的器具アタッチメントがさらに含まれ、
前記ARヘッドセットコントローラが、患者に挿入される金物片である椎弓根スクリューまたは拡張可能ケージのうちの少なくとも1つを表すグラフィカル特徴を有するように、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルを生成するようにさらに構成されている、請求項1に記載の外科システム。
【請求項11】
前記ARヘッドセットコントローラが、前記器具アタッチメントの前記仮想モデルを、器具エクステンダを表すグラフィカル特徴を有するように生成するようにさらに構成されている、請求項1に記載の外科システム。
【請求項12】
前記ARヘッドセットコントローラが、前記仮想モデルを、前記器具アタッチメントに関連した前記情報に基づいて、前記器具アタッチメントの特性を示すテキストを含むように、生成するようにさらに構成されている、請求項1に記載の外科システム。
【請求項13】
前記ARヘッドセットに対する前記器具の前記姿勢を確定するように構成された追跡システムと、
外科ロボットであって、
ロボット基部、
前記ロボット基部に接続され、前記器具の動きを誘導するように構成されているエンドエフェクタを位置付けるように構成された、ロボットアーム、
前記ロボット基部に対して前記ロボットアームを動かすように動作可能に接続された少なくとも1つのモータ、を含む、外科ロボットと、
ナビゲーションコントローラであって、
解剖学的構造体に対して前記器具を使用して外科処置が行われる部位を定義し、また前記外科処置中に使用される前記器具アタッチメントを定義する、外科的計画に基づいて、前記器具の目標姿勢を確定することと、
前記器具の前記目標姿勢および前記器具の前記姿勢に基づいて、前記少なくとも1つのモータの制御下で前記器具がどこに動かされるかを示す操縦情報を生成することと、を行うように構成されている、ナビゲーションコントローラと、をさらに備える、請求項1に記載の外科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイスおよびシステムに関し、より具体的には、ロボット外科システムを使用する外科手術におけるコンピュータ支援ナビゲーションに関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術におけるコンピュータ支援ナビゲーションは、外科医に、患者の解剖学的構造体の放射線画像に関する外科器具の視覚化向上をもたらす。ナビゲート式外科手術には、通常、単一の近赤外線(NIR:Near Infrared)ステレオカメラ仕組みを使用して、円盤列または球列を介して外科器具の位置および向きを追跡するための構成要素が含まれる。この場合、最適化を目指してともに競い合う3つのパラメータ、(1)正確さ、(2)ロバスト性、および(3)人間工学がある。
【0003】
既存のナビゲーションシステムを使用するナビゲート式外科処置は、人員および/または物体が、患者、ロボット、および外科器具の姿勢を追跡する追跡構成要素の能力を妨げる間に断続的な休止期間の引き金を引く事象に陥りやすい。ナビゲーションシステムの追跡性能を高めることが求められている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示されている様々な実施形態は、外科手術中のコンピュータ支援ナビゲーションにおける向上を対象としている。1つ以上の拡張現実(「XR」)ヘッドセットには、別のXRヘッドセット、補助追跡バー、または他の機器の一部である可能性がある他の追跡カメラからの追跡情報と組み合わせる対象の追跡情報を、カメラ追跡システムに提供する追跡カメラが備えられ得る。本明細書に開示されている様々な姿勢連鎖動作を通して、カメラ追跡システムは、より優れたロバスト性で、また多様な動きを通して、ツールおよび他の物体を追跡することができる可能性がある。
【0005】
実施形態によっては、外科システムが提供される。外科システムは、拡張現実(「XR」)ヘッドセットおよびXRヘッドセットコントローラを含む。XRヘッドセットは、外科処置中にユーザが装着するように構成され、予定の器具アタッチメントの仮想モデルを表示し、ユーザが見る対象の実世界場面の少なくとも一部がそれを透過することを可能にするように構成された透明表示画面を含む。実世界場面には、器具が含まれる。XRヘッドセットコントローラは、予定の器具アタッチメントに関連した所定の情報に基づき、またXRヘッドセットに対する器具の姿勢に基づき、予定の器具アタッチメントの仮想モデルの形状および姿勢を生成するように構成されている。
【0006】
他の実施形態において、外科システムが提供される。外科システムは、拡張現実(「XR」)ヘッドセットおよびXRヘッドセットコントローラを含む。XRヘッドセットは、外科処置中にユーザが装着するように構成され、予定の器具アタッチメントの仮想モデルを表示し、ユーザが見る対象の実世界場面の少なくとも一部がそれを透過することを可能にするように構成された透明表示画面を含む。実世界場面には、物理的器具アタッチメントが含まれる。XRヘッドセットコントローラは、予定の器具アタッチメントの所定の情報に基づき、またXRヘッドセットに対する物理的器具アタッチメントの姿勢に基づき、予定の器具アタッチメントの仮想モデルの形状および姿勢を生成するように構成されている。
【0007】
外科システムおよび関連のロボット型外科システムによる関連の方法を開示する。
【0008】
当業者であれば、以下の図面および発明を実施するための形態を考察した時点で、実施形態による他の外科システム、方法、およびコンピュータプログラム製品が見えてくるであろう。このような外科システム、方法、およびコンピュータプログラム製品が、この発明を実施するための形態の範囲に含まれ、また本開示の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。また、本明細書に開示されるすべての実施形態が、別々に実装されても、どのようにもかつ/またはどのような組み合わせでも組み合わせられてよいことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の添付図面は、本開示のさらなる理解をもたらすために含まれ、本出願の一部を構成するのに組み込まれ、本発明概念の特定の非限定実施形態を示す。図面は、以下の通りである:
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、外科システムの一実施形態を示す。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、
図1の外科システムの外科ロボット構成要素を示す。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、
図1の外科システムのカメラ追跡システム構成要素を示す。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、
図1の外科システムで使用され得る別のカメラ追跡システム構成要素の正面図と等角投影図を示す。
【
図3C】本開示のいくつかの実施形態による、
図1の外科システムで使用され得る別のカメラ追跡システム構成要素の正面図と等角投影図を示す。
【
図4】ロボットアームに接続可能であり、本開示のいくつかの実施形態に従って構成されている、エンドエフェクタの一実施形態を示す。
【
図5】外科ロボットおよびカメラシステムが患者の周りに配置されている医療手術を示す。
【
図6】医療手術に使用される
図5の外科システムの構成要素のブロック図ビューを示す。
【
図7】外科システムのナビゲーション機能を使用する場合の
図5および6のディスプレイ上に表示され得る様々な表示画面を示す。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、外科ロボットのいくつかの電気構成要素のブロック図を示す。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による、カメラ追跡システムおよび/または外科ロボットに運用上接続され得る、コンピュータプラットフォームに接続された撮像デバイスを含む外科システムの構成要素のブロック図を示す。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による、外科ロボットと組み合わせて使用され得るC-Arm撮像デバイスの一実施形態を示す。
【
図11】本開示のいくつかの実施形態による、外科ロボットと組み合わせて使用され得るO-Arm撮像デバイスの一実施形態を示す。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態に従って働くXRヘッドセットと補助追跡バーとの対を含む、外科システムの構成要素のブロック図ビューを示す。
【
図13】本開示のいくつかの実施形態に従って構成されているXRヘッドセットを示す。
【
図14】本開示のいくつかの実施形態による、コンピュータプラットフォーム、撮像デバイス、および/または外科ロボットに作動的に接続され得る、XRヘッドセットの電気構成要素を示す。
【
図15】本開示のいくつかの実施形態による、XRヘッドセットの光学構成要素の配置を示すブロック図を示す。
【
図16】本開示のいくつかの実施形態による、医療処置中にナビゲーション補助を提供して、外科ツールを巧みに操るためのXRヘッドセットの表示画面を通したビュー例を示す。
【
図17】本開示のいくつかの実施形態に従って構成された2対のステレオカメラを有する補助追跡バーの構成例を示す。
【
図18A】器具アタッチメントに関連した仮想モデルまたは情報が本開示のいくつかの実施形態に従って表示される、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図18B】器具アタッチメントに関連した仮想モデルまたは情報が本開示のいくつかの実施形態に従って表示される、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図18C】器具アタッチメントに関連した仮想モデルまたは情報が本開示のいくつかの実施形態に従って表示される、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図19A】本開示のいくつかの実施形態による、器具取り付けの仮想モデルが、器具に基づいた姿勢で表示される、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図19B】本開示のいくつかの実施形態による、器具取り付けの仮想モデルが、器具に基づいた姿勢で表示される、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図19C】本開示のいくつかの実施形態による、器具取り付けの仮想モデルが、器具に基づいた姿勢で表示される、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図20A】本開示のいくつかの実施形態による、器具に基づいた姿勢の器具アタッチメントの仮想モデルが、実世界器具アタッチメントに一致する、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図20B】本開示のいくつかの実施形態による、器具に基づいた姿勢の器具アタッチメントの仮想モデルが、実世界器具アタッチメントに一致する、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図20C】本開示のいくつかの実施形態による、器具に基づいた姿勢の器具アタッチメントの仮想モデルが、実世界器具アタッチメントに一致する、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図21A】本開示のいくつかの実施形態による、器具に基づいた姿勢の器具アタッチメントの仮想モデルが、実世界器具アタッチメントに一致しない、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図21B】本開示のいくつかの実施形態による、器具に基づいた姿勢の器具アタッチメントの仮想モデルが、実世界器具アタッチメントに一致しない、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図21C】本開示のいくつかの実施形態による、器具に基づいた姿勢の器具アタッチメントの仮想モデルが、実世界器具アタッチメントに一致しない、XRヘッドセットの表示画面を通したビューの例を示す。
【
図22】本開示のいくつかの実施形態による、外科システムによって行われるプロセスの例であるフローチャートを示す。
【
図23】本開示のいくつかの実施形態による、外科システムによって行われるプロセスの例であるフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下で、発明概念の実施形態の例が示されている添付図面を参照して、発明概念をより十分に説明することにする。ただし、発明概念は、多くの様々な形態で具体化され得、本明細書に打ち出される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、本開示が徹底的かつ完全になり、当業者に様々な本発明概念の範囲を完全に伝えるように、これらの実施形態が提供される。これらの実施形態が相互排他的ではないことにも留意されたい。ある実施形態からの構成要素が別の実施形態に存在するまたは使用されることが暗黙のうちに前提とされ得る。
【0011】
本明細書に開示されている様々な実施形態は、外科手術中のコンピュータ支援ナビゲーションにおける向上を対象としている。拡張現実(「XR」)ヘッドセットが、外科システムに作動的に接続され、外科医、助手、および/または他の従事者がそれを通して患者画像を見て、その中から選択することができ、コンピュータ生成式外科ナビゲーション情報を見て、その中から選択することができ、かつ/または、手術室内の外科機器を制御することができる、双方向環境を提供するように構成されている。以下に説明するように、XRヘッドセットは、コンピュータ生成式XR画像で実世界場面を増補するように構成され得る。XRヘッドセットは、実世界場面からの光がそこを透過するのを可能にする透明表示画面上に、ユーザが組み合わせて見る対象のコンピュータ生成式XR画像を表示することによって、拡張現実(「AR:Augmented Reality」)ビューイング環境を提供するように構成され得る。代替として、XRヘッドセットは、ユーザが表示画面上のコンピュータ生成式AR画像を見ている間に、実世界場面からの光がユーザに直接見られることを防ぐまたは事実上防ぐことによって、仮想現実(「VR:Virtual Reality」)ビューイング世界を提供するように構成され得る。XRヘッドセットは、ARおよびVR両方のビューイング環境を提供するように構成され得る。ある実施形態において、VRビューイング環境が高不透明度帯域と位置が揃ったXR画像に提供され、ARビューイング環境が、低不透明度帯域と位置が揃ったXR画像に提供されるように、ARおよびVR両方のビューイング環境が、透明表示画面と実世界場面との間に配置された事実上不透明度が異なる横方向帯域によって提供される。別の実施形態において、ARおよびVR両方のビューイング環境が、ユーザが見るXR画像との組み合わせ対象の実世界場面からの光がどれくらい透明表示画面を透過するかを可変的に抑制する不透明フィルタのコンピュータ調整式制御によって提供される。したがって、XRヘッドセットは、ARヘッドセットまたはVRヘッドセットと呼ばれる場合もある。
【0012】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、外科システム2の一実施形態を示す。整形外科処置または他の外科処置の実施の前に、例えば、
図10のC-Arm撮像デバイス104、または
図11のO-Arm撮像デバイス106を使用して、またはコンピュータ断層撮影(「CT:Computed Tomography」)画像またはMRIなどの別の医療撮像デバイスから、患者の予定の外科範囲の3次元(「3D:Three-Dimensional」)画像スキャンが、行われ得る。このスキャンは、術前(例えば、最も一般的には処置の数週間前、)または術中に行われ得る。ただし、外科システム2の様々な実施形態に応じて、知られているいずれの3D画像スキャンまたは2D画像スキャンも使用され得る。画像スキャンは、カメラ追跡システム構成要素6を含み得る外科システム900のコンピュータプラットフォーム910(
図9)、外科ロボット4(例えば、
図1のロボット2)、撮像デバイス(例えば、C-Arm 104、O-Arm 106など)、および患者の画像スキャンを格納するための画像データベース950など、外科システム2と通信するコンピュータプラットフォームに送信される。コンピュータプラットフォーム910(
図9)の表示デバイス上の画像スキャンを考察する外科医は、患者の解剖学的構造体への外科処置中に使用される外科ツールに対して目標姿勢を定義する外科計画を起こす。ツールとも呼ばれる外科ツール例には、ドリル、ねじ回し、開創器、またねじ、スペーサ、椎体間融合デバイス、プレート、ロッドなどの移植片が含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。実施形態によっては、目標平面を定義する外科計画は、表示デバイス上に表示された3D画像スキャン上に計画される。
【0013】
本明細書で使用される際、「姿勢(pose)」という用語は、ある物体(例えば、ダイナミックリファレンスアレイ、エンドエフェクタ、外科ツール、解剖学的構造体など)の別の物体に対するかつ/または定義された座標系に対する位置および/または回転角を指す。本明細書で使用される場合、「ポーズ」という用語は、別の物体および/または定義された座標系に対する、ある物体(例えば、動的参照アレイ、エンドエフェクタ、手術道具、解剖学的構造など)の位置および/または回転角度を指す。したがって、姿勢は、ある物体の別の物体にかつ/または定義された座標系に対する多次元位置のみに、物体の別の物体にかつ/または定義された座標系に対する多次元回転角のみに、あるいは多次元位置と多次元回転角との組み合わせに、基づき定義され得る。したがって、ポーズは、別の物体および/または定義された座標系に対するある物体の多次元位置のみに基づいて、および/または別の物体および/または定義された座標系に対する物体の多次元回転角度のみに基づいて、または多次元位置と多次元回転角度との組み合わせに基づいて定義され得る。したがって、「姿勢(pose)」という用語は、位置、回転角、またはそれらの組み合わせを指すように使用される。したがって、「ポーズ」という用語は、位置、回転角度、またはそれらの組み合わせを指すために使用される。
【0014】
図1の外科システム2は、例えば、ツールを保持する、ツールを位置合わせする、ツールを使用する、ツールを誘導する、かつ/または使用に向けてツールを位置付けることによって、医療処置中に外科医を助けることができる。実施形態によっては、外科システム2は、外科ロボット4およびカメラ追跡システム構成要素6を含む。外科ロボット4とカメラ追跡システム構成要素6とを機械的に結合する能力によって、外科システム2が単一ユニットとして巧みに操り、動くのが可能になり、外科システム2が小さな設置面積で済むようにし、狭い通路および曲がり角のより楽な通過が可能になり、またより小さな面積内での収納が可能になる。
【0015】
外科処置は、外科システム2が医療収納部から医療処置室に移動することで始まり得る。外科システム2は、出入口、ホール、およびエレベータを通り、医療処置室に達するように動かされ得る。医療処置室内で、外科システム2は、2つの別個の異なるシステム、外科ロボット4とカメラ追跡システム構成要素6とに物理的に分けられ得る。外科ロボット4は、医療従事者を正しく補助するのに適したいずれの場所にも、患者に隣接して位置付けられ得る。カメラ追跡システム構成要素6は、患者の基部に、患者の肩に、または外科ロボット4および患者の追跡部分のその時の姿勢と、姿勢の動きとを追跡するのに適したいずれの他の場所にも位置付けされ得る。外科ロボット4およびカメラ追跡システム構成要素6は、内蔵電力源によって給電され、かつ/または外壁コンセントに差し込まれ得る。
【0016】
外科ロボット4は、医療処置中にルーツを保持しかつ/または使用することによって外科医を補助するのに使用され得る。ツールを正しく利用し、保持するのに、外科ロボット4は、複数のモータ、コンピュータ、および/またはアクチュエータが正しく機能することに頼る場合がある。
図1に示されるロボット本体8は、複数のモータ、コンピュータ、および/またはアクチュエータが外科ロボット4内で固定され得る構造体としての役割を果たし得る。ロボット本体8はまた、ロボット伸縮式支持アーム16に支持を与えることができる。ロボット本体8のサイズは、取り付けられた構成要素を支持する頑丈なプラットフォームをもたらし、取り付けられた構成要素を働かせることができる、複数のモータ、コンピュータ、および/またはアクチュエータを収容し、隠し、また保護することができる。
【0017】
ロボット基部10は、外科ロボット4用の下部支持体としての役割を果たし得る。実施形態によっては、ロボット基部10は、ロボット本体8を支持することができ、ロボット本体8を複数の動力付き車輪12に取り付けることができる。車輪へのこの取り付けにより、ロボット本体8が空間を効率良く動くことが可能になる。ロボット基部10は、ロボット本体8の長さおよび幅に及び得る。ロボット基部10は、約2インチ~約10インチの高さであり得る。ロボット基部10は、動力付き車輪12を覆い、保護し、また支持することができる。
【0018】
実施形態によっては、
図1に示されるように、少なくとも1つの動力付き車輪12がロボット基部10に取り付けられ得る。動力付き車輪12は、ロボット基部10のいずれの場所にでも取り付けてもよい。それぞれの個々の動力付き車輪12は、いずれの方向にも垂直軸を中心として回転することができる。モータは、動力付き車輪12の上に、中に、またはそれに隣接して配置され得る。このモータによって、外科システム2は、いずれの場所にも移動し、外科システム2を安定化させかつ/または水平にすることができる。動力付き車輪12内またはそれに隣接して位置するロッドは、モータによって表面に押し込められ得る。ロッドは、描かれていないが、外科システム2を持ち上げるのに適したいずれの金属からも作られ得る。ロッドは、外科システム2を持ち上げることができる動力付き車輪10を、患者との関係で外科システム2の向きを水平にする、またはそうでなければ固定するのに必要ないずれの高さにも持ち上げることができる。各車輪上のロッドによる小さな接触範囲を通して支持される、外科システム2の重さは、外科システム2が医療処置中に動くのを防ぐ。この厳格な位置付けは、物体および/または人が偶然に外科システム2を動かすのを防ぐことができる。
【0019】
ロボット手すり14を使用して、外科システム2を動かすのを楽にすることができる。ロボット手すり14は、人に、ロボット本体8を掴むことなく、外科システム2を動かす能力を与える。
図1に示されるように、ロボット手すり14は、ロボット本体8よりも短く、ロボット本体8の長さによりわたることがあり、かつ/またはロボット本体8の長さより長くわたることがある。ロボット手すり14は、物体および/または従事者がロボット本体8に触る、それを打つ、またはそれにぶつかることを防ぐ、保護をロボット本体8にさらに与えることができる。
【0020】
ロボット本体8は、以下で「SCARA」と呼ばれる、選択的コンプライアンス多関節ロボットアームに支持を与えることができる。SCARA 24は、ロボットアームの再現性およびコンパクトさゆえに、外科手術システム2内で使用するのに都合の良いものであり得る。SCARAのコンパクトさは、医療専門家が、過度の動き回りや範囲を限定することなく、医療処置を行うことを可能にし得るさらなるスペースを医療処置内に与えることができる。SCARA 24は、ロボット伸縮式支持体16、ロボット支持アーム18、および/またはロボットアーム20で構成され得る。ロボット伸縮式支持体16は、ロボット本体8に沿って配置され得る。
図1に示されるように、ロボット伸縮式支持体16は、SCARA 24およびディスプレイ34に支持を与えることができる。実施形態によっては、ロボット伸縮式支持体16は、垂直方向に伸縮することができる。ロボット伸縮式支持体16の本体は、それに掛かる負担および重さを支持するように構成された任意の幅および/または高さであり得る。
【0021】
実施形態によっては、医療従事者は、医療従事者によって提示されたコマンドを通して、SCARA 24を動かすことができる。コマンドは、以下にさらに詳細に説明するように、ディスプレイ34、タブレット、および/またはXRヘッドセット(例えば、
図9のヘッドセット920)で受信した入力を源とし得る。XRヘッドセットは、医療従事者が、ディスプレイ34またはタブレットなどの他のいずれかの表示装置を参照する必要をなくすることができ、これにより、SCARA 24がディスプレイ34および/またはタブレットなしで構成されることを可能にする。コマンドは、1つのスイッチの押下および/または複数のスイッチの押下によって起こされ得、かつ/または以下に、より詳細に説明するように、XRヘッドセットによって感知されるハンドジェスチャコマンドおよび/または音声コマンドに基づき起こされ得る。
【0022】
図5に示されるように、起動組立体60は、1つのスイッチおよび/または複数のスイッチを含み得る。起動組立体60は、手術者がSCARA 24を手で巧みに操るのを可能にする動きコマンドをSCARA 24に送信するように使用可能であり得る。1つのスイッチまたは複数のスイッチが押されると、医療従事者は、適用された手の動きを通してSCARA 24を動かす能力を得ることができる。代替としてまたは追加として、手術者は、以下に、より詳細に説明するように、XRヘッドセットによって感知されるハンドジェスチャコマンドおよび/または音声コマンドを通して、SCARA 24の動きを制御することができる。さらに、SCARA 24が動くことを求めるコマンドを受信していない場合、SCARA 24は、従事者および/または他の物体による偶発的な動きを防ぐように所定位置にロックされ得る。所定位置にロックされることによって、SCARA 24は、それを通してエンドファクタ26が医療処置中に外科ツールを誘導することできる頑丈なプラットフォームをもたらす。
【0023】
ロボット支持アーム18は、様々な機構によってロボット伸縮式支持体16に接続され得る。実施形態によっては、
図1および2で一番よく分かるが、ロボット支持アーム18は、ロボット伸縮式支持体16に対していずれの方向にも回転することができる。ロボット支持アーム18は、ロボット伸縮式支持体16を中心として360度回転することができる。ロボットアーム20は、ロボット支持アーム18の適切ないずれの場所にも、またロボット支持アーム18に対していずれの方向にも回転することを可能にする様々な機構によって、接続することができる。ある実施形態において、ロボットアーム20は、ロボット支持アーム18に対して360度回転することができる。この自由回転により、手術者は、外科計画に従って、ロボットアーム20を位置付けることができる。
【0024】
図4および5に示されるエンドエフェクタ26は、ロボットアーム20の適切ないずれの場所にでも取り付けることができる。エンドエフェクタ26は、外科ロボット4によって位置付けられたロボットアーム20のエンドエフェクタカプラ22に取り付けるように構成され得る。エンドエフェクタ26の例には、外科処置が行われる予定である解剖学的構造体に対する挿入された外科ツールの動きを誘導する管状ガイドが含まれる。
【0025】
実施形態によっては、動的基準配列52がエンドエフェクタ26に取り付けられている。本明細書では「DRA」とも呼ばれる動的基準配列は、患者の解剖学的構造体(例えば、骨)、手術室内で従事者が装着する1つ以上のXRヘッドセット、エンドエフェクタ、外科ロボット、ナビゲート式外科処置における外科ツール、上に配置され得る剛体である。カメラ追跡システム構成要素6または他の3D位置特定システムと組み合わせたコンピュータプラットフォーム910は、DRAの姿勢(例えば、位置および回転方向)をリアルタイムで追跡するように構成されている。DRAは、図示されたボールの配置など、基準を含み得る。DRAの3D座標のこの追跡は、外科システム2が、
図5の患者50の対象解剖学的構造体との関係におけるいずれの多次元空間ででもDRAの姿勢を確定することを可能にし得る。
【0026】
図1に示されるように、光表示器28が、SCARA 24の上面上に位置付けられ得る。光表示器28は、外科システム2がその時働いている「状態」を示すように、任意のタイプの光として照らすことができる。実施形態によっては、光は、光表示器28の周りに環を形成し得る、LED電球によって生み出される。光表示器28は、光表示器28の全体にわたり光を輝かせることができる完全透過性の材料から成り得る。光表示器28は、下部ディスプレイ支持体30に取り付けられ得る。下部ディスプレイ支持体30は、
図2に示されるように、手術者が、適切ないずれの場所にもディスプレイ34をうまく移動させるのを可能にし得る。下部ディスプレイ支持体30は、任意の適切な機構によって光表示器28に取り付けることができる。実施形態によっては、下部ディスプレイ支持体30は、光表示器28を中心として回転し得るか、または光インジケータ28に堅固に取り付けられ得る。上部ディスプレイ支持体32は、任意の適切な機構によって下部ディスプレイ支持体30に取り付けることができる。
【0027】
実施形態によっては、ディスプレイ34と併せて、かつ/またはディスプレイ34なしで、タブレットが使用され得る。タブレットは、ディスプレイ34の代わりに、上部ディスプレイ支持体32上に配置され得、医療手術中、上部ディスプレイ支持体32から取り外し可能であり得る。さらに、タブレットは、ディスプレイ34と通信することができる。タブレットは、任意の適切な無線接続および/または有線接続によって、外科ロボット4に接続することが可能であり得る。実施形態によっては、タブレットは、医療手術中、外科システム2をプログラムし、かつ/または制御することが可能であり得る。タブレットで外科システム2を制御する際、すべての入力コマンドおよび出力コマンドがディスプレイ上34に再現され得る。タブレットの使用により、手術者は、患者50の周りで動くかつ/または外科ロボット4に移動する必要なく外科ロボット4を巧みに操ることができる。
【0028】
以下に、より詳細に説明するように、実施形態によっては、外科医および/または他の従事者は、ディスプレイ34および/またはタブレットと併せて使用され得るXRヘッドセットを装着することができ、またはXRヘッドが、ディスプレイ34および/またはタブレットの使用の必要をなくすることができる。
【0029】
図3Aおよび5に示されるように、カメラ追跡システム構成要素6は、有線または無線の通信ネットワークを通して外科ロボット4と連動して働く。
図1、3、および5を参照すると、カメラ追跡システム構成要素6は、外科ロボット4と同様の構成要素をいくつか含み得る。例えば、カメラ本体36は、ロボット本体8に見られる機能性をもたらすことができる。ロボット本体8は、カメラ46が据え付けられる補助追跡バーをもたらすことができる。ロボット本体8内の構造もまた、カメラ追跡システム構成要素6を働かせるのに使用される、電子機器、通信デバイス、および電力源に支持を与えることができる。カメラ本体36は、ロボット本体8と同じさ材料で作られている可能性がある。カメラ追跡システム構成要素6は、XRヘッドセット、タブレットおよび/またはディスプレイ34に、無線ネットワークおよび/または有線ネットワークによって直に連絡し、XRヘッドセット、タブレットおよび/またはディスプレイ34がカメラ追跡システム構成要素6の機能を制御することを可能にすることができる。
【0030】
カメラ本体36は、カメラ基部38によって支持されている。カメラ基部38は、ロボット基部10として機能し得る。
図1の実施形態では、カメラ基部38は、ロボット基部10よりも幅が広くなっている可能性がある。カメラ基部38の幅は、カメラ追跡システム構成要素6が外科ロボット4と接続するのを可能にし得る。
図1に示されるように、カメラ基部38の幅は、外側ロボット基部10を固定するのに十分に広くすることができる。カメラ追跡システム構成要素6と外科ロボット4とが接続されると、カメラ基部38の追加の幅により、外科システム2のさらなる移動性および外科システム2に対する支持が可能になり得る。
【0031】
ロボット基部10と同様に、複数の動力付き車輪12をカメラ基部38に取り付けることができる。動力付き車輪12は、ロボット基部10および動力付き車輪12の働きと同様に、カメラ追跡システム構成要素6が患者50に対して固定された向きを安定化し、水平にするかまたはそれを設定するのを可能にし得る。この安定化により、カメラ追跡システム構成要素6が医療処置中に動くのを防ぐことができ、補助追跡バー上のカメラ46が、XRヘッドセットおよび/または外科ロボット4に接続されたDRAの軌跡を見失わないように、かつ/または
図3Aおよび5に示されるような指示範囲56内の解剖学的構造体54および/またはツール58に接続された1つ以上のDRA 52の軌跡を見失わないようにすることができる。追跡のこの安定性および維持は、カメラ追跡システム構成要素6と事実上働く外科ロボット4の能力を高める。さらに、幅広カメラ基部38は、カメラ追跡システム構成要素6にさらなる支持を与えることができる。具体的には、幅広カメラ基部38は、
図3Aおよび5に示されるように、カメラ46が患者の上に配置されているとき、カメラ追跡システム構成要素6がひっくり返るのを防ぐことができる。
【0032】
カメラ伸縮式支持体40は、カメラ46を補助追跡バー上で支持することができる。実施形態によっては、伸縮式支持体40は、垂直方向にカメラ46を上げるまたは下げることができる。カメラハンドル48が、カメラ伸縮式支持体40の適切ないずれの場所にも取り付けられ、手術者が、医療手術の前に、カメラ追跡システム構成要素6を予定の位置に動かすことを可能にするように構成され得る。実施形態によっては、カメラハンドル48は、カメラ伸縮式支持体40を上げ下げするのに使用される。カメラハンドル48は、ボタン、スイッチ、レバー、および/またはそれらの任意の組み合わせの押下を通して、カメラ伸縮式支持体40の上昇および下降を行うことができる。
【0033】
下部カメラ支持アーム42は、
図1に示されるように、実施形態において、カメラ伸縮式支持体40の適切ないずれの場所にでも取り付けることができ、下部カメラ支持アーム42は、伸縮式支持体40を中心として360度回転することができる。この自由回転により、手術者は、適切ないずれの場所にでもカメラ46を位置付けることができる。下部カメラ支持アーム42は、任意の好適な機構によって伸縮式支持体40に接続することができる。下部カメラ支持アーム42を使用して、カメラ46に支持を与えることができる。カメラ46は、任意の適切な機構によって下部カメラ支持アーム42に取り付けられ得る。カメラ46は、カメラ46と下部カメラ支持アーム42との間の取り付け個所でいずれの方向にも枢動することができる。実施形態において、下部カメラ支持アーム42上に湾曲レール44が配置され得る。
【0034】
湾曲レール44は、下部カメラ支持アーム42上の適切ないずれの場所にでも配置され得る。
図3Aに示されるように、湾曲レール44は、任意の好適な機構によって下部カメラ支持アーム42に取り付けることができる。湾曲レール44は、適切ないずれの形状であってもよく、適切な形状は、三日月形、円形、卵形、楕円形、および/またはそれらの任意の組み合わせであり得る。カメラ46は、湾曲レール44に沿って移動可能に配置され得る。カメラ46は、例えば、ローラ、ブラケット、ブレース、モータ、および/またはそれらの任意の組み合わせによって湾曲レール44に取り付けることができる。モータおよびローラは、図示されていないが、湾曲レール44に沿ってカメラ46を動かすのに使用され得る。
図3Aに示されるように、医療処置中、ある物体により、カメラ46が追跡される1つ以上のDRAを見るのを妨げられる場合、モータが、これに反応して、湾曲レール44に沿ってカメラ46を動かすことができる。このモータ駆動式動きにより、カメラ46は、カメラ追跡システム構成要素6を動かすことなく、物体によってもう邪魔されない新しい位置に移動することができる。カメラ46が1つ以上の追跡対象DRAを見ることを妨げられている間、カメラ追跡システム構成要素6は、停止信号を、外科ロボット4、XRヘッドセット、ディスプレイ34、および/またはタブレットに送信することができる。停止信号は、カメラ46が追跡対象DRA 52を再取得するかつ/または手術者にXRヘッドセットを装着するようかつ/またはディスプレイ34および/またはタブレットを見るよう注意喚起することができるようになるまで、SCARA 24が動かないようにすることができる。このSCARA 24は、カメラ追跡システムがDRAの追跡を再開することができるようになるまで、基部および/またはエンドエフェクタカプラ22のさらなる動きを止めることによって、停止信号の受信に応答するように構成され得る。
【0035】
図3Bと
図3Cは、
図1の外科システムで使用され得る、または外科ロボットから独立して使用され得る、別のカメラ追跡システム構成要素6’の正面図と等角投影図を示す。例えば、カメラ追跡システム構成要素6’が、ロボットガイダンスの使用なしにナビゲート式外科手術を提供するのに使用され得る。
図3Bおよび3Cのカメラ追跡システム構成要素6’と
図3Aのカメラ追跡システム構成要素6との違いのうちの1つは、
図3Bおよび3Cのカメラ追跡システム構成要素6’がコンピュータプラットフォーム910を運ぶハウジングを含むことである。コンピュータプラットフォーム910は、DRAを追跡するカメラ追跡作業を行い、表示デバイス、例えばXRヘッドセットおよび/または他の表示デバイスに外科ナビゲーション情報を提供する、ナビゲーション式外科手術を行い、また本明細書に開示されている他の計算演算を行うように構成され得る。したがって、コンピュータプラットフォーム910は、
図14のナビゲーションコンピュータのうちの1つ以上などのナビゲーションコンピュータを含み得る。
【0036】
図6は、医療手術に使用される
図5の外科システムの構成要素のブロック図ビューを示す。
図6を参照すると、補助追跡バー上のナビゲーションカメラ46は、患者に取り付けられた基準配列602、外科器具に取り付けられた基準配列604、およびロボットアーム20の姿勢(例えば、位置および向き)が追跡されるナビゲーション視野600を有する。ナビゲーションカメラ46は、以下に述べる働きを果たすように構成されたコンピュータプラットフォーム910を含む、
図3Bおよび3Cのカメラ追跡システム構成要素6’の一部であり得る。基準配列は、外科ロボット4の追跡サブシステムによってそれらのそれぞれの姿勢を確定するように復号される、知られているパターンで光を反射させることによって追跡を可能にする。患者基準配列602と補助追跡バー内のナビゲーションカメラ46との間の見通し線が遮られている場合(例えば、医療従事者、器具などによって)、外科器具のさらなるナビゲーションを行なうことができなくなる可能性があり、応答通知が、ロボットアーム20および外科ロボットの4のさらなる動きを一時的に止め、ディスプレイ34上に警告を表示し、かつ/または医療従事者に可聴警告を与える可能性がある。ディスプレイ34は、外科医610および助手612にはアクセス可能であるが、見る際は、患者から頭を背け、目の焦点を異なる距離および場所に変えることが必要となる。ナビゲーションソフトウェアは、外科医からの音声命令に基づき、技術者614によって制御され得る。
【0037】
図7は、外科システム2のナビゲーション機能を使用する場合、外科ロボット4によって
図5および6のディスプレイ34上に表示され得る様々な表示画面を示す。表示画面は、限定ではなく、展開される外科計画に基づき、かつ/または追跡対象基準配列の姿勢、外科処置の様々な段階を制御するための様々なユーザ選択可能メニュー、および仮想的に投影された移植片の寸法パラメータ(例えば、長さ、幅、および/または直径)に基づき、解剖学的構造体に対して表示画面で位置付けられる器具のモデルの重なりグラフィカル表現の患者X線写真を含み得る。
【0038】
ナビゲート式外科手術には、外科処置、例えば、移植片配置の術前計画立案、およびコンピュータプラットフォーム910の計画の電子転送が、予定の外科処置中に1人以上のユーザにナビゲーション情報を提供することを可能にする、以下に述べる様々な処理構成要素(例えば、コンピュータプラットフォーム910)および関連のソフトウェアが提供される。
【0039】
ロボットナビゲーションには、外科処置、例えば、移植片配置の術前計画立案、および外科ロボット4へのこの計画の電子転送を可能にする、以下に記載の様々な処理構成要素(例えば、コンピュータプラットフォーム910)および関連のソフトウェアが提供される。外科ロボット4は、この計画を使用して、予定の外科処置のある段階で患者解剖学的構造体に対して外科ツールに目標姿勢を与えるように、ロボットアーム20および接続されたエンドエフェクタ26を誘導する。
【0040】
以下の様々な実施形態は、外科医610、助手612、および/または他の医療スタッフが装着することができる1つ以上のXRヘッドセットを使用して、外科ロボット、カメラ追跡システム構成要素6/6’、および/または手術室内の他の医療機器から情報を受信する、かつ/またはそれらに制御コマンドを与えるための改良型ユーザインターフェースを提供することを対象としている。
【0041】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、外科ロボット4のいくつかの電気構成要素のブロック図を示す。
図8を参照すると、ロードセル(図示せず)は、エンドエフェクタカプラ22に加えられた力を追跡するように構成され得る。実施形態によっては、ロードセルは、複数のモータ850、851、852、853、および/または854と通信することができる。ロードセルが力を感知するに従って、加えられた力の程度に関する情報が、1つのスイッチアレイおよび/または複数のスイッチアレイからコントローラ846に配信され得る。コントローラ846は、ロードセルから力情報を取り出し、力情報をスイッチアルゴリズムで処理することができる。スイッチアルゴリズムは、モータドライバ842を制御するのにコントローラ846によって使用される。モータドライバ842は、モータ850、851、852、853、および854のうちの1つ以上の働きを制御する。モータドライバ842は、特定のモータに、例えば、モータを通してロードセルによって測定された同じ程度の力を生み出すよう指示することができる。実施形態によっては、生み出される力は、コントローラ846によって指示される通りに、複数のモータ、例えば850~854から来る可能性がある。さらに、モータドライバ842は、コントローラ846から入力を受信することができる。コントローラ846は、ロードセルによって感知された力の方向に関する情報をロードセルから受信することができる。コントローラ846は、この情報を、モーションコントローラアルゴリズムを使用して処理することができる。このアルゴリズムは、特定のモータドライバ842に情報を提供するのに使用され得る。力の方向を再現するために、コントローラ846は、あるモータドライバ842を有効にする、かつ/または無効にすることができる。コントローラ846は、1つ以上のモータ、例えば850~854のうちの1つ以上を、ロードセルによって感知された力の方向にエンドエフェクタ26の動きを誘導するように制御することができる。この力制御式動きにより、手術者は、SCARA 24およびエンドエフェクタ26を苦もなくかつ/または非常に小さな抵抗で、動かすことができる。医療スタッフによる使用に適したいずれの姿勢にも(すなわち、定義された3次元(「3D」)直交基準軸に対する場所および角度方向)エンドエフェクタ26を位置付けるように、エンドエフェクタ26を動かすことができる。
【0042】
図5に一番良く示されている起動組立体60は、エンドエフェクタカプラ22に巻き付くブレスレットの形態であり得る。起動組立体60は、SCARA 24のいずれの部分にでも位置し得、エンドエフェクタカプラ22の任意の部分が医療スタッフによって装着され得(また無線で通信する)、かつ/またはそれらの組み合わせであり得る。起動組立体60は、一次ボタンおよび二次ボタンで構成され得る。
【0043】
一次ボタンを押し下げることにより、手術者は、SCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を動かすことが可能になり得る。ある実施形態によれば、所定位置に設定されると、SCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22は、手術者がSCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を動かすように外科ロボット4をプログラムするまで動かないようになり得るか、または一次ボタンを使用して動かされる。例によっては、SCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22が手術者コマンドに応答するようになる前に、少なくとも2つの非隣接の一次起動スイッチの押下が必要となり得る。少なくとも2つの一次起動スイッチの押下により、医療処置中のSCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22の偶発的な動きが防がれ得る。
【0044】
一次ボタンによって起動すると、ロードセルが、手術者、すなわち医療スタッフによってエンドエフフェクタカプラ22に及ぼされる力の大きさおよび/または方向を測定することができる。この情報は、1つ以上のモータ、例えば、SCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を動かすのに使用され得るSCARA 24内の850~854のうちの1つ以上に転送され得る。ロードセルによって測定された力の大きさおよび方向に関する情報によって、1つ以上のモータ、例えば850~854のうちの1つ以上に、SCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22をロードセルによって感知されたのと同じ方向に移動させることができる。この力制御式動きは、手術者がSCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を楽に、また手術者がSCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を動かすのと同時にSCARA 24およびエンドエフェクタカプラ22を動かすモータによる大奮闘なしに、動かすことを可能にし得る。
【0045】
例によっては、二次ボタンが、「選択」デバイスとして、手術者によって使用され得る。医療手術中、外科ロボット4は、XRヘッドセット920、ディスプレイ34および/または光表示器28によって、医療スタッフに特定の状態を通知することができる。XRヘッドセット920は、それぞれ、透明表示画面上に画像を表示して、透明表示画面を通して見ることができる実世界物体上に重ね合わせられる拡張現実画像を形成するように構成されている。医療スタッフは、機能、モードを選択するよう、かつ/または外科システム2の状態を見極めるよう、外科ロボット4によって促される可能性がある。二次ボタンを一回押すと、特定の機能、モード、および/またはXRヘッドセット920、ディスプレイ34および/または光表示器28を通して医療スタッフに伝えられる肯定応答情報を有効にすることができる。さらに、二次ボタンを素早く連続して複数回押すと、追加の機能、モード、および/またはXRヘッドセット920、ディスプレイ34および/または光表示器28を通して医療スタッフに伝えられる選択情報を有効にすることができる。
【0046】
さらに
図8を参照すると、外科ロボット4の電気構成要素には、プラットフォームサブシステム802、コンピュータサブシステム820、モーションコントロールサブシステム840、および追跡サブシステム830が含まれる。プラットフォームサブシステム802は、バッテリ806、配電モジュール804、コネクタパネル808、および充電ステーション810を含む。コンピュータサブシステム820は、コンピュータ822、ディスプレイ824、およびスピーカ826を含む。モーションコントロールサブシステム840は、ドライバ回路842、モータ850、851、852、853、854、安定化装置855、856、857、858、エンドエフェクタコネクタ844、およびコントローラ846を含む。追跡サブシステム830は、位置センサ832およびカメラコンバータ834を含む。外科ロボット4は、取り外し式フットペダル880および取り外し式タブレットコンピュータ890も含み得る。
【0047】
入力電力が配電モジュール804に提供され得る電力源を介して外科ロボット4に供給される。配電モジュール804は、入力電力を受け取り、外科ロボット4の他のモジュール、構成要素、およびサブシステムに提供される様々な電源電圧を起こすように構成されている。配電モジュール804は、例えば、モータ850~854およびエンドエフェクタカプラ844に給電するために、コンピュータ822、ディスプレイ824、スピーカ826、ドライバ842などの他の構成要素に提供され得、またカメラコンバータ834および外科ロボット4用の他の構成要素に提供され得る、様々な電圧供給をコネクタパネル808に提供するように構成され得る。配電モジュール804はまた、配電モジュール804が入力電力から電力を受け取らない場合、一時的な電力源としての役割を果たすバッテリ806に接続され得る。平素は、配電モジュール804は、充電電池806としての役割を果たすことができる。
【0048】
コネクタパネル808は、様々なデバイスおよび構成要素を外科ロボット4ならびに/または関連の構成要素およびモジュールに接続する役割を果たすことができる。コネクタパネル808は、様々な構成要素からの線または接続を受け取る1つ以上のポートを含み得る。例えば、コネクタパネル808は、外科ロボット4を他の機器、フットペダル880を接続するポート、位置センサ832を含み得る追跡サブシステム830に接続するポート、カメラコンバータ834、およびDRA追跡カメラ870に接地させることができる接地端子ポートを備え得る。コネクタパネル808は、コンピュータ822などの他の構成要素へのUSB通信、イーサネット通信、HDMI通信を可能にする他のポートも含み得る。いくつかの実施形態によれば、コネクタパネル808は、1つ以上のXRヘッドセット920を追跡サブシステム830および/またはコンピュータサブシステム820に動作可能に接続するための有線インターフェースおよび/または無線インターフェースを含み得る。
【0049】
コントロールパネル816は、外科ロボット4の働きを制御し、かつ/または手術者による観察対象の情報を外科ロボット4から提供する、様々なボタンまたは表示装置を設けることができる。例えば、コントロールパネル816は、外科ロボット4の電源を入り切りするボタン、垂直柱16を上げ下げするボタン、キャスタ12に係合して外科ロボット4が物理的に動かないようにするように設計され得る安定化装置855~858を上げ下げするボタンを含み得る。他のボタンは、すべてのモータ電源を取り外し、機械式ブレーキを掛けて、すべての動きが起こらないようにする可能性がある緊急時に、外科ロボット4を止めることができる。コントロールパネル816は、ラインパワー表示器などの特定のシステム状態、またはバッテリ806の充電状態を手術者に通知する表示器も備え得る。いくつかの実施形態によれば、1つ以上のXRヘッドセット920は、例えばコネクタパネル808を介して、外科ロボット4の働きを制御するよう、かつ/またはXRヘッドセット920を装着している人による観察対象の外科ロボット4によって生成された情報を受信し、表示するよう、伝達することができる。
【0050】
コンピュータサブシステム820のコンピュータ822は、外科ロボット4の割り当て機能を働かせるためのオペレーティングシステムおよびソフトウェアを含む。コンピュータ822は、手術者に情報を表示するために、他の構成要素(例えば、追跡サブシステム830、プラットフォームサブシステム802、および/またはモーションコントロールサブシステム840)からの情報を受信し、処理することができる。また、コンピュータサブシステム820は、手術者にスピーカ826を通して出力を提供することができる。スピーカは、外科ロボットの一部、XRヘッドセット920の一部、または外科システム2の別の構成要素内であり得る。ディスプレイ824は、
図1および2に示されるディスプレイ34に対応し得る。
【0051】
追跡サブシステム830は、位置センサ832およびカメラコンバータ834を含み得る。追跡サブシステム830は、
図3のカメラ追跡システム構成要素6に対応し得る。DRA追跡カメラ870は、DRA 52の姿勢を確定するように、位置センサ832とともに働く。この追跡は、それぞれ、LEDまたは反射マーカなどのDRA 52の能動要素または受動要素の場所を追跡する赤外光または可視光のテクノロジの使用を含む、本開示と一致するように行われ得る。
【0052】
追跡サブシステム830およびコンピュータサブシステム820の機能動作は、
図3Aおよび3Bのカメラ追跡システム構成要素6’によって運ばれ得る、コンピュータプラットフォーム910に含まれ得る。追跡サブシステム830は、追跡対象のDRAの姿勢、例えば場所および角度向きを確定するように構成され得る。コンピュータプラットフォーム910は、確定された姿勢を使用して、予定の外科処置中に位置見当合わせされた患者画像および/または追跡対象の解剖学的構造体に対して追跡対象のツールのそれらの動きを誘導する、ナビゲーション情報をユーザに提供するように構成されている、ナビゲーションコントローラも含み得る。コンピュータプラットフォーム910は、
図3Bおよび3Cのディスプレイ上に、かつ/または1つ以上のXRヘッドセット920に情報を表示することができる。コンピュータプラットフォーム910は、外科ロボットとともに使用される場合、
図8のコンピュータサブシステム820および他のサブシステムと通信して、エンドエフェクタ26の動きを制御するように構成され得る。例えば、以下に説明するように、コンピュータプラットフォーム910は、患者の解剖学的構造体、外科ツール、ユーザの手などのグラフィカル表現を、表示されたサイズ、形状、色、および/または1つ以上の追跡対象のDRAの確定された姿勢に基づき制御されている姿勢で、生成することができ、表示されるグラフィカル表現は、経時で、確定された姿勢の変化を追跡するように動的に修正され得る。
【0053】
モーションコントロールサブシステム840は、垂直柱16、上部アーム18、下部アーム20を物理的に動かすか、またはエンドエフェクタカプラ22を回転させるように構成され得る。物理的な動きは、1つ以上のモータ850~854の使用を通して行われ得る。例えば、モータ850は、垂直柱16を垂直に上げるまたは下げるように構成され得る。モータ851は、
図2に示されるように、垂直柱16との係合点の周りに上部アーム18を横方向に動かすように構成され得る。モータ852は、
図2に示されるように、上部アーム18との係合点の周りに下部アーム20を横方向に動かすように構成され得る。モータ853および854は、三次元軸の周りに沿った並進の動きおよび回転をもたらすようにエンドエフェクタカプラ22を動かすように構成され得る。
図9に示されるコンピュータプラットフォーム910は、エンドエフェクタカプラ22の動きを誘導するコントローラ846に制御入力を与えて、エンドエフェクタカプラ22に接続されている受動エンドエフェクタを、予定の外科処置中に手術される解剖学的構造体に対する予定の姿勢(すなわち、定義された3D直交基準軸に対する場所および角度向き)で位置付けることができる。モーションコントロールサブシステム840は、一体型位置センサ(例えば、エンコーダ)を使用して、エンドエフェクタカプラ22および/またはエンドエフェクタ26の位置を測定するように構成され得る。
【0054】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、カメラ追跡システム構成要素6(
図3A)もしくは6’(
図3B、
図3C)に、かつ/または外科手術ロボット4に、運用上接続され得るコンピュータプラットフォーム910に接続された撮像デバイス(例えば、C-Arm 104、O-Arm 106など)を含む外科手術システムの構成要素のブロック図を示す。代替として、コンピュータプラットフォーム910によって果たされるとして本明細書に開示されている少なくともいくつかの働きは、追加としてまたは代替として、外科手術システムの構成要素によって果たされ得る。
【0055】
図9を参照すると、コンピュータプラットフォーム910は、ディスプレイ912、少なくとも1つのプロセッサ回路914(簡単にプロセッサとも呼ばれる)、コンピュータ可読プログラムコード918が入っている少なくとも1つのメモリ回路916(簡単にメモリとも呼ばれる)、および少なくとも1つのネットワークインターフェース902(簡単にネットワークインターフェースとも呼ばれる)を含む。ディスプレイ912は、本開示のいくつかの実施形態による、XRヘッドセット920の一部であり得る。ネットワークインターフェース902は、
図10のC-Arm撮像デバイス104、
図11のO-Arm撮像デバイス106、別の医療撮像デバイス、患者の医療画像が入っている画像データベース950、外科手術ロボット4の構成要素、および/または他の電子機器に接続するように構成され得る。
【0056】
外科ロボット4とともに使用される場合、ディスプレイ912は、
図2のディスプレイ34および/もしくは
図8のタブレット890、ならびに/または外科手術ロボット4に動作可能に接続されているXRヘッドセット920に対応し得、ネットワークインターフェース902は、
図8のプラットフォームネットワークインターフェース812に対応し得、プロセッサ914は、
図8のコンピュータ822に対応し得る。XRヘッドセット920のネットワークインターフェース902は、有線ネットワーク、例えば、シンワイヤイーサネットを通して、かつ/または1つ以上の無線通信プロトコル、例えば、WLAN、3GPP 4Gおよび/または5G(New Radio)セルラ通信規格などに従って無線RFトランシーバリンクを通して、伝達するように構成され得る。
【0057】
プロセッサ914は、汎用および/または特殊目的のプロセッサ、例えば、マイクロプロセッサおよび/またはデジタル信号プロセッサなどの1つ以上のデータ処理回路を含み得る。プロセッサ914は、メモリ916内のコンピュータ可読プログラムコード918を実行して、外科手術計画立案、ナビゲート式外科手術、および/またはロボット型外科手術で行われるとして本明細書に記載の動作の一部またはすべてを含み得る動作を行うように構成されている。
【0058】
コンピュータプラットフォーム910は、外科手術計画立案機能性を提供するように構成され得る。プロセッサ914は、撮像デバイス104および106のうちの一方から、かつ/またはネットワークインターフェース920を通して画像データベース950から受信した解剖学的構造体、例えば椎骨の画像を表示デバイス912上にかつ/またはXRヘッドセット920上に表示するように働くことができる。プロセッサ914は、手術者タッチが予定の処置対象のディスプレイ912上の場所を選択することによって、またはマウスベースのカーソルを使用して予定の処置対象の場所を定義することによってなど、1つ以上の画像に示される解剖学的構造体が、外科処置、例えばねじ配置を有する場所の手術者の定義を受信する。画像がXRヘッドセット920に表示される場合、XRヘッドセットは、メニュー項目間の選択を制御するのに、かつ/または以下でさらに詳細に説明するように、XRヘッドセット920上に物体がどのように表示されるかを制御するのに使用され得る、装着者によって形成されたジェスチャベースのコマンドで感知するように、かつ/または装着者によって発せられた音声ベースのコマンドを感知するように構成され得る。
【0059】
コンピュータプラットフォーム910は、股関節の中心、角度の中心、自然な目印(例えば、上顆軸、ホワイトサイド線、後顆軸など)などを確定する様々な角度の測定のような、膝の外科手術に特に有用であり得る解剖学的構造測定を可能にするように構成され得る。自動である測定もあり得、人間の入力または補助を伴う測定もあり得る。コンピュータプラットフォーム910は、手術者が、サイズおよび位置合わせの選択を含む、患者に対して正しい移植片の選択を入力するのを可能にするように構成され得る。コンピュータプラットフォーム910は、CT画像または他の医療画像に対して自動または半自動(人間の入力を伴う)のセグメント化(画像処理)を行うように構成され得る。患者に対する外科手術計画は、外科手術ロボット4による検索のために、データベース950に対応し得るクラウドベースのサーバに格納される。
【0060】
外科手術中、例えば、外科医は、コンピュータ画面(例えば、タッチスクリーン)または拡張現実(「XR」)インタラクション(例えば、ハンドジャスチャベースのコマンドおよび/または音声ベースのコマンド)を例えばXRヘッドセット920を介して使用して、どこを開創するか(例えば、後部体大骨、近位頚骨など)を選択することができる。コンピュータプラットフォーム910は、外科処置を行うのに、外科医に視覚的ガイダンスを提供するナビゲーション情報を生成することができる。外科ロボット4とともに使用される場合、コンピュータプラットフォーム910は、外科ツールが目標場所と位置が揃い、解剖学的構造体に対して外科処置を行うように、外科ロボット4がエンドエフェクタ26を目標姿勢に自動的に動かすのを可能にするガイダンスを提供することができる。
【0061】
実施形態によっては、外科システム900は、患者の脛骨に接続されたDRA、および患者の大腿骨に接続されたDRAなど、2つのDRAを使用して、患者の解剖学的構造体位置を追跡することができる。システム900は、見当合わせおよび確認に、標準ナビゲート式器具(例えば、脊椎外科手術にGlobus ExcelsiusGPSシステムで使用されるものと同様のポインタ)を使用し得る。
【0062】
ナビゲート式外科手術で特に難しい作業は、3D解剖学的構造体の2D表現であるコンピュータ画面上で外科医がその作業を行うのに苦労する脊椎、膝、および他の解剖学的構造体における移植片の位置をどのように計画するかである。システム900は、XRヘッドセット920を使用して、解剖学的構造体および候補移植片デバイスの3次元(「3D」)コンピュータ生成表現を表示することによって、この問題に対処することが可能であり得る。コンピュータ生成表現は、コンピュータプラットフォーム910のガイダンスの下、表示画面上に互いに対して拡大縮小され、姿勢が決められ、またXRヘッドセット920を通して見ながら外科医によって巧みに操られ得る。外科医は、例えば、XRヘッドセット920によって感知されるハンドジェスチャベースのコマンドおよび/または音声ベースのコマンドを使用して、解剖学的構造体、移植片、外科ツールなどの表示されたコンピュータ生成表現を巧みに操ることができる。
【0063】
例えば、外科医は、仮想移植片上に表示された仮想ハンドルを見ることができ、仮想ハンドルを巧みに操り(例えば、つかんで、動かし)、仮想移植片を望ましい姿勢に動かし、解剖学的構造体のグラフィカル表現に対して予定の移植片配置を調整することができる。その後、外科手術中に、コンピュータプラットフォーム910は、移植片を挿入するための外科計画により正確に従い、かつ/または解剖学的構造体に対して別の外科処置を行う外科医の能力を促進するナビゲーション情報をXRヘッドセット920を通して表示することができる。外科処置が骨除去を伴う場合、骨除去の進行、例えば切込みの深さが、XRヘッドセット920を介してリアルタイムで表示され得る。XRヘッドセット920を介して表示され得る他の特徴には、限定ではなく、関節運動の範囲に沿った間隙または靭帯バランス、関節運動の範囲に沿った移植片上の接触線、色または他のグラフィカルレンダリングを通した靭帯の緊張および/または弛緩などが含まれ得る。
【0064】
実施形態によっては、コンピュータプラットフォーム910は、標準外科ツールおよび/または移植片、例えば、後方安定化移植片および十字型保持移植片、セメント固定およびセメントレス移植片、例えば、膝関節および/または股関節の全置換または部分置換、および/または外傷に関連した外科手術用の改正システムの使用を計画することを可能にすることができる。
【0065】
自動撮像システムをコンピュータプラットフォーム910と併せて使用して、解剖学的構造体の術前、術中、術後、および/またはリアルタイムの画像データを取得することができる。自動撮像システムの例が、
図10および11に示されている。実施形態によっては、自動撮像システムは、C-arm 104(
図10)撮像デバイスまたはO-arm(登録商標)106(
図11)である(O-arm(登録商標)の著作権は、米国コロラド州ルイスビルに事業所を置くMedtronic Navigation,Inc.に帰属する)。X線システムにおいて要求され得る患者の頻繁な手作業による再位置付けを必要とせずに、いくつかの異なる位置から患者のX線写真を撮ることが望ましいであろう。C-arm 104X線診断機器は、頻繁な手作業による再位置決めの問題を解決することができ、外科手術および他の介入処置の医療分野でよく知られている可能性がある。
図10に示されるように、C-armは、「C」形状の対向する遠位端112で終端する細長いC形状の部材を含む。C形状の部材は、X線源114および画像受信器116に取り付けられている。アームのC-arm 104内の空間は、X線支持構造体からの干渉が実質的にない状態で医師が患者に付き添う余地を提供する。
【0066】
C-armは、2つの自由度でのアームの回転運動を可能にするように(すなわち、球面運動での2つの直角軸を中心として)据え付けられている。C-armは、X線支持構造体にスライド可能に据え付けられ、これにより、C-armの曲率中心を中心とした周回回転運動が可能になり、X線源114および画像受信器116を垂直方向にかつ/または水平方向に選択的に向けるのを可能にすることができる。C-armはまた、横方向(すなわち、患者の幅および長さの両方に対するX線源114および画像受信器116の選択的に調節可能な位置付けを可能にする周回方向に対して直角の方向)に回転可能であり得る。C-arm装置の球面回転の態様により、医師は、撮像されている特定の解剖学的条件に関して確定された通りに最適な角度で患者のX線写真を撮ることができる。
【0067】
図11に示されているO-arm(登録商標)106は、示されていない画像取り込み部分を収めることができるガントリハウジング124を含む。画像取り込み部分は、X線源および/またはX線放出部分と、X線受光および/または画像受信部分と、を含み、これらは、互いに約180度離れて配設され、画像取り込み部分の軌道に対してロータ(図示せず)上に据え付けられ得る。画像取り込み部分は、画像取得中に360度回転するように動作可能であり得る。画像取り込み部分は、中心点および/または軸を中心として回転することができ、患者の画像データが複数の方向から、または複数の平面で取得されることを可能にする。
【0068】
ガントリハウジング124を備えたO-arm(登録商標)106は、撮像される物体の周りに位置付けるための中央開口と、ガントリハウジング124の内部を中心に回転可能である放射線源と、を有し、放射線源は、複数の異なる投射角から放射線を投射するように適合され得る。検出器システムは、投射角ごとに放射線を検出して、物体画像を複数の投射平面から擬似同時的に取得するように適合されている。ガントリは、カンチレバー様式で、車輪を備えた車輪付き移動式カートなどの支持構造O-arm(登録商標)支持構造体に取り付けられ得る。位置付けユニットは、好ましくはコンピュータ化されたモーションコントロールシステムの制御下で、ガントリを予定の位置および向きに並進させかつ/または傾斜させる。ガントリは、ガントリ上で互いに対向して配設された供給源と検出器とを含み得る。供給源および検出器は、供給源および検出器を互いに協調する状態でガントリの内部を中心として回転させることができるモータ付きロータに固定され得る。供給源は、ガントリの内側に位置する目標物体の多平面撮像のために、部分的および/または完全360度の回転にわたって複数の位置および向きでパルス化され得る。ガントリは、ロータが回転するに従ってロータを誘導するためのレールおよび軸受けシステムをさらに備え得、このシステムは、供給源および検出器を担持することができる。O-arm(登録商標)106およびC-arm 104の両方および/またはいずれかを自動撮像システムとして使用して、患者をスキャンし、情報を外科手術システム2に送信することができる。
【0069】
撮像システムによって取り込まれた画像は、XRヘッドセット920および/またはコンピュータプラットフォーム910の別の表示デバイス、外科ロボット4、および/または外科システム900の別の構成要素上に表示され得る。XRヘッドセット920は、例えばコンピュータプラットフォーム910を介して、撮像デバイス104および/または106のうちの1つ以上に、かつ/または画像データベース950に接続されて、それらからの画像を表示し得る。ユーザは、XRヘッドセット920を通して、制御入力、例えば、ジェスチャベースのコマンドおよび/または音声ベースのコマンドを提供して、撮像デバイス104および/もしくは106のうちの1つ以上ならびに/または画像データベース950の動作を制御し得る。
【0070】
図12は、
図13に示されるXRヘッドセット920に対応し、また本開示のいくつかの実施形態に従って働き得るXRヘッドセット1200と1210との対(ヘッドマウントディスプレイHMD1およびHMD2)を含む外科システムの構成要素のブロック図ビューを示す。
【0071】
図12の場面例を参照すると、助手612と外科医610は両方とも、それぞれXRヘッドセット1210、1210を装着している。助手612がXRヘッドセット1210を装着することは任意である。XRヘッドセット1200および1210は、以下でさらに説明するように、それを通して装着者が外科処置に関係する情報を見て、それと相互作用することができる、双方向環境を提供するように構成されている。この双方向XRベースの環境は、技術者614が手術室にいる必要性をなくすることができ、
図6に示されるディスプレイ34の使用の必要性をなくすることができる。それぞれのXRヘッドセット1200および1210は、器具、解剖学的構造体、エンドエフェクタ26、および/または他の機器に取り付けられたDRAまたは他の基準配列の追加の追跡源を提供するように構成されている1つ以上のカメラを含み得る。
図12の例では、XRヘッドセット1200は、DRAおよび他の物体を追跡するための視野(「FOV:Field-Of-View」)1202を有し、XRヘッドセット1210は、DRAおよび他の物体を追跡するためのFOV 1202と部分的に重なり合うFOV 1212を有し、ナビゲーションカメラ46は、DRAおよび他の物体を追跡するためのFOV 1202および1212と部分的に重なり合う別のFOV 600を有する。
【0072】
1つ以上のカメラが、追跡対象物体、例えば外科器具に取り付けられたDRAを見るのを妨げられているが、DRAが1つ以上の他のカメラの視野に入っている場合、追跡サブシステム830および/またはナビゲーションコントローラ828は、ナビゲーションを見失わずに途切れなく物体を追跡し続けることができる。さらに、1つのカメラの視点からDRAが部分的に隠れているが、DRA全体が複数のカメラソースを介して見られる場合、カメラの追跡入力をまとめて、DRAのナビゲーションを続けることができる。XRヘッドセットおよび/またはナビゲーションカメラ46のうちの1つは、XRヘッドセットのうちの別の1つでDRAを見て、追跡し、コンピュータプラットフォーム910(
図9および14)、追跡サブシステム830、および/または別のコンピューティング構成要素に、例えば、XRヘッドセット1200/1210、ナビゲーションカメラ46の1つ以上の定義された座標系、および/または患者、台、および/または部屋に対して定義された別の座標系に対するDRAの姿勢を確定することを可能にさせる。
【0073】
XRヘッドセット1200および1210は、神経モニタリング、顕微鏡、ビデオカメラ、および麻酔システムを含むがこれらに限定されるわけではない手術室内の様々な機器から受信したビデオ、写真、および/または他の情報を見るように、かつ/またはこれらの機器を制御するコマンドを与えるように動作可能に接続され得る。様々な機器からのデータ、例えば、患者のバイタルまたは顕微鏡送りの表示は、ヘッドセット内で処理、表示され得る。
XRヘッドセット構成要素の例と、ナビゲート式外科手術、外科ロボット、およびその他の機器への統合
図13は、本開示のいくつかの実施形態に従って構成されているXRヘッドセット920を示す。XRヘッドセットは、XRヘッドセットを装着者の頭に固定するように構成されたヘッドバンド1306、ヘッドバンド1306によって支持された電子部品筐体1304、および電子部品筐体1304から横方向にわたって下向きに延在する表示画面1302を含む。表示画面1302は、透明LCD表示デバイスか、または表示デバイスによって装着者の目に向けて投射された画像を反射する半反射レンズであり得る。DRA基準集合、例えばドットが、ヘッドセットの片側または両側に設けられた、分かっている間隔を空けて塗装または取り付けられている。ヘッドセット上のDRAは、補助追跡バー上のナビゲーションカメラに、ヘッドセット920の姿勢を追跡することを可能にさせ、かつ/または別のXRヘッドセットに、ヘッドセット920の姿勢を追跡することを可能にさせる。
【0074】
表示画面1302は、表示デバイスの表示パネルからユーザの目に向けて光を反射する、コンバイナとも呼ばれる透明表示画面として働く。表示パネルは、電子構成要素筐体とユーザの頭との間に位置し得、ユーザの目に向けた反射に、表示画面1302に向けて仮想コンテンツを投射するように角度付けされ得る。表示画面1302が、半透明かつ半反射であることにより、ユーザは、実世界場面のユーザのビューに重ね合わされた反射仮想コンテンツを見ることができる。表示画面1302は、下部横方向帯域よりも高い不透明度を有する図示の上部横方向帯域など、様々な不透明度領域を有し得る。表示画面1302の不透明度は、実世界場面からの光がどれくらいユーザの目を透過するかを調節するように電子的に制御され得る。表示画面1302の高不透明度構成は、実世界場面の薄暗いビュー上に重ねられた高コントラストの仮想画像をもたらす。表示画面1302の低不透明度構成は、実世界場面のよりはっきりしたビュー上に重ねられたよりぼんやりした仮想画像をもたらし得る。不透明度は、表示画面1302の表面に不透明な材料を塗布することによって制御され得る。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、外科システムは、XRヘッドセット920およびXRヘッドセットコントローラ、例えば、
図14のコントローラ1430または
図34のコントローラ3410を含む。XRヘッドセット920は、外科処置中にユーザが装着するように構成されており、XR画像を表示するように、またユーザが見る対象の実世界場面の少なくとも一部がそれを透過するのを可能にするように構成されている透明表示画面1302を有する。XRヘッドセット920は、ユーザが透明表示画面1302を見るときに、ユーザの目のうちの少なくとも1つと実世界場面との間に位置付けられた不透明フィルタも含む。不透明フィルタは、実世界場面からの光に不透明性を与えるように構成されている。XRヘッドセットコントローラは、ナビゲーションコントローラ、例えば、
図14のコントローラ828A、828B、および/または828Cと通信して、解剖学的構造体に対する外科処置中にユーザにガイダンスを提供するナビゲーションコントローラからナビゲーション情報を受信するように構成され、透明表示画面1302上に表示する対象のナビゲーション情報に基づいて、XR画像を生成するようにさらに構成されている。
【0076】
表示画面1302の不透明度は、表示画面1302の上部から下向きの距離でより連続的に変化する不透明度を有する階調として構成され得る。階調の最も暗い点は、表示画面1302の上部にあり得、不透明が透明になるかまたはなくなるまで、表示画面1302上でさらに下方へと徐々に不透明性が低くなる。さらなる実施形態の例では、階調は、表示画面1302のほぼ目の中央高さで、約90%の不透明度から完全に透明に変化し得る。ヘッドセットが正しく較正され、位置付けられている場合、目の中央高さは、ユーザが真っ直ぐ外を見る場合の点に対応し、階調の端は、目の「水平」線に位置し得る。階調の暗い部分は、仮想コンテンツの鮮明ではっきりした視覚を可能にし、頭上の手術室ライトの邪魔な輝きを遮断するのに役立つ。
【0077】
このように不透明フィルタを使用すると、表示画面1302の上部に沿って実世界場面からの光を実質的にまたは完全に遮断することによって、XRヘッドセット920が仮想現実(「VR」)能力をもたらすことが可能になり、また表示画面1302の中間部または下部に沿ってAR能力をもたらすことが可能になる。これにより、ユーザは、必要に応じてARを半透明にできるようになり、処置中の患者の解剖学的構造体のはっきりとした光学的特性が可能になる。表示画面1302を、より一定の不透明性帯域の代わりに階調として構成することにより、装着者は、上方のビューと下方のビューとのより素早い移行中などに、そうでなければ目を緊張させ得る、実世界場面の輝度および視界深さの急激な変化を受けることなく、よりVRタイプのビューからよりARタイプのビューへのより自然な移行を体験できるようになる。
【0078】
表示パネルおよび表示画面1302は、広視野の透明XR表示システムを提供するように構成され得る。構成の一例では、表示パネルおよび表示画面1302は、ユーザが仮想コンテンツを見る際に55°の垂直カバレッジを備えた80°対角視野(「FOV」)を提供する。他の対角FOV角度および垂直カバレッジ角度は、様々なサイズの表示パネル、様々な曲率のレンズ、ならびに/または表示パネルと湾曲表示画面1302との間の様々な距離および角度向きを通して与えられ得る。実施形態によっては、広い視野を有するXRヘッドセットを備えることにより、XRヘッドセットは、ユーザの視野が実世界見当合わせされたXR画像に関連した実世界座標に集中していない間に、実世界見当合わせされたXR画像をユーザに表示することができる。
【0079】
図14は、コンピュータプラットフォーム910に、C-arm撮像デバイス104、O-arm撮像デバイス106などの撮像デバイスのうちの1つ以上および/または画像データベース950に、かつ/または本開示の様々な実施形態による外科ロボット800に、動作可能に接続され得るXRヘッドセット920の電気構成要素を示す。
【0080】
XRヘッドセット920は、ナビゲート式外科処置を行う際に向上した人間インターフェースを提供する。XRヘッドセット920は、例えば、コンピュータプラットフォーム910を介して、ハンドジェスチャベースのコマンドおよび/または音声ベースのコマンドの識別、表示デバイス1450上のXRグラフィカル物体の表示のうちのいずれか1つ以上を含むが、これらに限定されるわけではない、機能性をもたらすように構成され得る。表示デバイス1450は、表示されたXRグラフィカルオブジェクトを表示画面1302上に投射するビデオプロジェクタ、フラットパネルディスプレイなどであり得る。ユーザは、XRグラフィカルオブジェクトを、表示画面1302(
図13)を通して見られる特定の実世界物体に固定されたオーバーレイとして見ることができる。XRヘッドセット920は、追加としてまたは代替として、1つ以上のXRヘッドセット920および他のカメラに据え付けられたカメラからのビデオ送りを表示画面上1450に表示するように構成され得る。
【0081】
XRヘッドセット920の電気構成要素には、複数のカメラ1440、マイクロフォン1442、ジェスチャセンサ1444、姿勢センサ(例えば、慣性計測ユニット(「IMU:Inertial Measurement Unit」))1446、表示デバイス1450が入っている表示モジュール1448、および無線/有線通信インターフェース1452が含まれ得る。以下に説明するように、XRヘッドセットのカメラ1440は、可視光捕捉カメラ、近赤外線捕捉カメラ、またはその両方の組み合わせであり得る。
【0082】
カメラ1440は、カメラ1440の視野内で行われるユーザのハンドジェスチャを識別のために捕捉することによって、ジェスチャセンサ1444として働くように構成され得る。代替として、ジェスチャセンサ1444は、近接センサ、および/またはジェスチャセンサ1444に近接して行われるハンドジェスチャを感知し、かつ/または物理的接触、例えばセンサまたは筐体1304を軽くたたくことを感知するタッチセンサであり得る。姿勢センサ1446、例えばIMUには、1つ以上の定義された座標軸に沿ったXRヘッドセット920の回転および/または加速を感知することができる多軸加速度計、傾斜センサ、および/または別のセンサが含まれ得る。これらの電気構成要素のうちのいくつかまたはすべては、構成要素筐体1304に入っている場合があり、股関節または肩上などの他の個所に装着されるように構成された別の筐体に入っている場合がある。
【0083】
上で説明したように、外科システム2は、カメラ追跡システム構成要素6/6’と、コンピュータプラットフォーム910の一部であり得る追跡サブシステム830とを含む。外科システムは、撮像デバイス(例えば、C-arm 104、O-arm 106、および/または画像データベース950)および/または外科ロボット4を含み得る。追跡サブシステム830は、解剖学的構造体、エンドエフェクタ、外科ツールなどに取り付けられたDRAの姿勢を確定するように構成されている。ナビゲーションコントローラ828は、例えば、外科処置が解剖学的構造体に対して外科ツールを使用して行われる個所を定義する、
図9のコンピュータプラットフォーム910によって果たされる外科計画立案機能からの外科計画に基づき、また、追跡サブシステム830によって確定された解剖学的構造体の姿勢に基づき、解剖学的構造体対する外科ツールの目標姿勢を確定するように構成されている。ナビゲーションコントローラ828は、手術ツールの目標姿勢、解剖学的構造体の姿勢、および手術ツールおよび/またはエンドエフェクタの姿勢に基づいて操縦情報を生成するようにさらに構成され得、この場合、操縦情報は、外科計画を行うのに、どこで手術ツールおよび/または外科ロボットのエンドエフェクタを動かすべきかを示す。
【0084】
XRヘッドセット920の電気構成要素は、有線/無線インターフェース1452を介してコンピュータプラットフォーム910の電気構成要素に動作可能に接続され得る。XRヘッドセット920の電気構成要素は、例えば、コンピュータプラットフォーム910を通して動作可能に接続され得、または様々な撮像デバイス、例えば、C-arm撮像デバイス104、I/O-arm撮像デバイス106、画像データベース950に直に接続され得、かつ/または有線/無線インターフェース1452を通して他の医療機器に接続され得る。
【0085】
外科システム2は、XRヘッドセット920、コンピュータプラットフォーム910に、かつ/または有線ケーブルおよび/または無線通信リンクを介して接続された別のシステム構成要素に接続された別のシステム構成要素に常駐し得る少なくとも1つのXRヘッドセットコントローラ1430(簡単に「XRヘッドセットコントローラ」とも呼ばれる)をさらに含む。様々な機能性は、XRヘッドセットコントローラ1430によって実行されるソフトウェアによって提供されている。XRヘッドセットコントローラ1430は、解剖学的構造体に対する外科処置中にユーザにガイダンスを提供するナビゲーションコントローラ828からナビゲーション情報を受信するように構成され、透明表示画面1302への投射に表示デバイス1450上に表示対象のナビゲーション情報に基づいてXR画像を生成するように構成されている。
【0086】
表示画面(「透明表示画面」とも呼ばれる)1302に対する表示デバイス1450の構成は、XRヘッドセット920を装着しているユーザが表示画面1302を通して見るときに、XR画像が実世界であるように見えてくるように、XR画像を表示するように構成されている。表示画面1302は、ユーザの目の前に、ヘッドバンド1306によって位置付けられ得る。
【0087】
XRヘッドセットコントローラ1430は、表示画面1302を見ている間、ユーザの頭またはユーザの体の他の個所に装着されるように構成されているハウジング内にあり得るか、または表示画面1302に通信可能に接続されている間に表示画面1302を見るユーザから遠隔に位置し得る。XRヘッドセットコントローラ1430は、カメラ1440、マイクロフォン142、および/または姿勢センサ1446からの信号伝達を運用上処理するように構成され得、表示画面1302でユーザが見る対象のXR画像を表示デバイス1450上に表示するように接続されている。したがって、XRヘッドセット920内の回路ブロックとして示されるXRヘッドセットコントローラ1430は、XRヘッドセット920の他の図示の構成要素に使用可能に接続されているが、必ずしも共通のハウジング(例えば、
図13の電子構成要素筐体1304)内に常駐するとは限らないか、またはそうでなければユーザによって移動可能であると理解されるべきである。例えば、XRヘッドセットコントローラ1430は、コンピュータプラットフォーム910内に常駐し得、今度は、コンピュータプラットフォーム910が、
図3Bおよび3Cに示されるコンピュータ追跡システム構成要素6’のハウジング内に常駐し得る。
XRヘッドセットを通したユーザビューの例
XRヘッドセットの働きは、2D画像および3Dモデルの両方を表示画面1302上に表示することができる。2D画像が、表示画面1302のより不透明な帯域(上部帯域)に表示され得るのが好ましく、3Dモデルが、環境領域として別途知られている、表示画面1302のより透明な帯域(下部帯域)に表示され得るのがより好ましい。表示画面1302が終わる下部帯域の下で、装着者は、手術室の遮るもののないビューを得る。XRコンテンツが表示画面1302上に表示される場所が、流動的である可能性があることに留意されたい。コンテンツに対するヘッドセットの位置によっては、3Dコンテンツが表示される場所が不透明帯域に移動し、2Dコンテンツが表示される場所が透明帯域に置かれ、現世界に安定することができることが可能である。さらに、表示画面1302全体を電子制御下で暗くして、ヘッドセットを手術計画立案では仮想現実に変換し、または医療処置中に完全に透明に変換することができる。上で説明したように、XRヘッドセット920および関連の働きは、ナビゲート式処置をサポートするだけでなく、ロボット支援処置と併せて行われ得る。
【0088】
図16は、本開示のいくつかの実施形態による、医療処置中に手術ツール1602を巧みに操っているユーザにナビゲーション補助を提供するためのXRヘッドセット920の表示画面1302を通したビュー例を示す。
図16を参照すると、外科ツール1602に接続された動的基準配列1630および1632がカメラ1440(
図15)および/または46(
図6)の視野内になるように、手術ツール1602が、追跡対象解剖学的構造体の近くにされると、ツールのグラフィカル表現1600が、解剖学的構造体のグラフィカル表現1610との関係で2D画像および/または3D画像で表示され得る。ユーザは、見たグラフィカル表現を使用して、ツールのグラフィカル表現2000から解剖学的構造体のグラフィカル表現1610を通って延在するとして示され得る、外科ツール1602の軌跡1620を調整することができる。XRヘッドセット920は、テキスト情報および他のオブジェクト1640も表示することができる。見られる表示画面にわたって延びる破線1650は、異なる不透明度レベルの上部帯域と下部帯域との分割例を表す。
【0089】
表示画面1302上に表示され得る他の類のXR画像(仮想コンテンツ)には、以下のうちのいずれか1つ以上が含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。
【0090】
1)患者の解剖学的構造体の2Dの軸方向ビュー、矢状ビュー、および/または冠状ビュー、
2)予定の追跡対象ツール対その時追跡対象のツールと外科移植片場所との重ね合わせ、
3)術前画像のギャラリー、
4)顕微鏡および他の同様のシステム、またはリモートビデオ会議からのビデオ送り、
5)オプションおよび構成の設定およびボタン
6)外科手術計画立案情報による患者解剖学的構造体の浮遊3Dモデル、
7)浮遊する患者解剖学的構造体に対する外科器具のリアルタイム追跡、
8)命令およびガイダンスによる患者解剖学的構造体の拡張重ね合わせ、および
9)外科機器の拡張重ね合わせ
システム構成要素を追跡するためのカメラの構成例
図17は、本開示のいくつかの実施形態に従って構成された2対の立体ナビゲーションカメラを有する補助追跡バー46の構成例を示す。補助追跡バー46は、
図3A、3B、および3Cのカメラ追跡システム構成要素の一部である。一実施形態による、立体ナビゲーションカメラには、立体対の間隔を空けた可視光捕捉カメラと、別の立体対の間隔を空けた近赤外線捕捉カメラとが含まれる。代替として、立体対の可視光捕捉カメラ1つのみ、または立体対の近赤外線捕捉カメラ1つのみが、補助追跡バー46で使用され得る。任意の複数の近赤外線カメラおよび/または可視光カメラが使用される。
姿勢測定連鎖
上で説明したように、ナビゲート式外科手術は、間隔を空けた基準、例えば知られている様式で配置された円盤または球を含む取り付けられたDRAの姿勢を確定することによるなど、コンピュータビジョン追跡および手術器具の姿勢(例えば、6自由度座標系における位置および向き)の確定を含み得る。コンピュータビジョンは、近赤外光および/または可視光を捕捉するように構成されている、間隔を空けたナビゲーションカメラ、例えば立体カメラを使用する。この場合、最適化をめぐってともに競合する3つのパラメータ、(1)精度、(2)ロバスト性、および(3)外科処置中のユーザ人間工学がある。
【0091】
本開示のいくつかのさらなる態様は、1つ以上のXRヘッドセットに据え付けられた追加のナビゲーションカメラを組み込むことによって、上記の3つのパラメータのうちの1つ以上の最適化を向上させることができるように、測定された姿勢を組み合わせる(連鎖させる)コンピュータ操作を対象としている。
図17に示されるように、立体対の可視光追跡カメラおよび別のステレオ対の近赤外線追跡ナビゲーションカメラが、本開示のいくつかの実施形態による、カメラ追跡システム構成要素の補助追跡バーに取り付けられ得る。完全に観察された、または部分的に観察されたDRAの姿勢を解析し(例えば、DRAの基準のすべてより少ないものを一対のステレオカメラによって見る場合)、観察された姿勢または部分的な姿勢を、ナビゲート式外科手術中に精度、ロバスト性、および/または人間工学を向上させることができるように、組み合わせる、運用アルゴリズムを開示する。
【0092】
上で説明したように、XRヘッドセットは、コンピュータ生成式XR画像で実世界場面を拡張するように構成され得る。XRヘッドセットは、ユーザが組み合わせて見る対象の実世界場面からの光がそれを透過するのを可能にする透明表示画面上にコンピュータ生成式XR画像を表示することによって、XRビューイング環境を提供するように構成され得る。代替として、XRヘッドセットは、実世界場面からの光が、表示されたXR画像のビューイング路に沿ってユーザによって直接見られるのを防ぐまたは実質的に防ぐことによって、VRビューイング環境を提供するように構成され得る。XRヘッドセットは、ARおよびVR両方のビューニング環境を提供するように構成され得る。一実施形態において、ARおよびVRのビューイング環境の両方は、VR視環境が高不透明度帯域と位置が揃ったXR画像に提供され、ARビューイング環境が低不透明度帯域と位置が揃ったXR画像に提供されるように、透明表示画面と実世界場面との間に配置された、実質的にバラツキのある不透明度の横方向帯域によって提供される。別の実施形態では、ARおよびVRのビューイング環境の両方が、ユーザが見るXR画像と組み合わせる対象の実世界場面からの光が透明表示画面をどのくらい透過するかを可変的に抑制する不透明フィルタのコンピュータ調整式制御によって提供されている。したがって、XRヘッドセットは、ARヘッドセットまたはVRヘッドセットと呼ばれることもある。
【0093】
上でも説明したように、XRヘッドセットは、手術器具、患者解剖学的構造体、他のXRヘッドセット、および/またはロボットエンドエフェクタに接続されたDRAの基準を追跡するように構成されている近赤外線追跡カメラおよび/または可視光追跡カメラを含み得る。XRヘッドセットで近赤外線追跡および/または可視光追跡を使用すると、単一の補助追跡バー上のカメラが提供することができるのを超える追加の追跡ボリュームカバレッジが提供される。既存の補助追跡バーに近赤外線追跡カメラを追加すると、ヘッドセット位置を可視光よりもロバストに追跡することができるが、精度は低くなる。可視光追跡座標系および近赤外線追跡座標系を機械的に較正することにより、ステレオマッチングを使用して3D DRA基準三角測量作業を行うように座標系を十分に位置合わせし、可視光追跡座標系と赤外線追跡座標系との間のDRA基準の姿勢を共同で特定することができる。可視光追跡座標系および近赤外線追跡座標系の両方を使用すると、(a)座標系を1つのみ使用すると特定されない可能性があるツールを特定する、(b)姿勢追跡精度の向上、(c)手術器具、患者解剖学的構造体、および/またはロボットエンドエフェクタの追跡を見失うことなく、より広い範囲の動きを可能にする、および(d)ナビゲート対象外科器具と同じ座標系でXRヘッドセットを自然に追跡する、のうちのいずれか1つ以上が可能になり得る。
誤った選択を減らすための予定の器具アタッチメントの仮想モデル
外科手術中、器具アタッチメントが器具に取り付けられ得る。器具アタッチメントは、移植片(例えば、椎弓根スクリューまたは拡張可能ケージ)またはツールエンハンサ(例えば、湾曲先端)であり得る。例によっては、外科医が、器具アタッチメントを選択し、器具アタッチメントを器具に取り付ける。追加の例または代替の例では、外科医が器具アタッチメントを要求し、助手(例えば、技術者または看護師)が、器具アタッチメントが外科医または外科ロボットに取り付けられた状態で、器具アタッチメントおよび/または器具を提供する。追加の例または代替の例では、外科計画は、外科医、助手、または外科ロボットに器具アタッチメントを使用するよう指示し、対応する外科医、助手、または外科ロボットは、器具アタッチメントを選択する。この作業(器具アタッチメントの要求/選択の)中に、連絡が間違うと、誤った器具アタッチメントが提供される可能性がある。例えば、間違ったサイズ(例えば、長さ、幅、または直径)の移植片が提供される可能性がある。サイズと製品ファミリの点で移植片には様々な選択肢があるため、看護師または技術者が間違った移植片を選択して準備する可能性がある。また、いくつかの例では、外科医または外科ロボットは、提供された器具アタッチメントが正しくないことに気付かない場合がある。
【0094】
患者に器具アタッチメントを挿入する前で、器具アタッチメントの無菌性が損なわれた後に、間違った器具アタッチメントが検出されると、無駄な(例えば、使用できない)器具アタッチメントが生じる。器具アタッチメントの挿入または使用を試みた場合、より深刻な合併症が発生する可能性がある。例えば、間違ったサイズである移植片は、患者への移植試行中に患者に損傷を与える可能性がある。
【0095】
本明細書の様々な実施形態は、外科医が、提供された物理的(例えば、実世界)器具アタッチメントが予定の器具アタッチメントであることを確認するのを可能にするように、XRヘッドセットによって外科医に表示される予定の器具アタッチメントの仮想モデルを説明する。予定の器具アタッチメントの仮想モデルを表示すると、間違った器具アタッチメントが使用される(例えば、間違った移植片が患者に入れられる)可能性が低くなる。
【0096】
図18A~Cは、XRヘッドセット920を通したビュー例を示す。
図18Aでは、予定の器具アタッチメントの仮想モデル1830は、XRヘッドセット920に対して所定のずれおよび/または姿勢で表示されている。予定の器具は、XRヘッドセット920を介して、または所定の外科計画に基づいて、外科医によって選択され得る。この例では、物理的器具アタッチメント1820(例えば、実世界の器具アタッチメント)も見える。仮想モデル1830は、予定の器具アタッチメントの3次元表現を含む。
図18Bでは、仮想モデル1830は、予定の器具アタッチメントの特徴(例えば、サイズ、ねじタイプ、形状、書字)を記述する仮想テキストを含む。例によっては、仮想モデルは、予定の器具アタッチメントの特徴を記述する3次元表現および仮想テキストの両方を含む。XRヘッドセット920を介して物理的器具アタッチメント1820および仮想モデル1830を見る外科医は、予定の物理的器具が提供されたかどうか(例えば、物理的器具1820が予定の器具と一致するかどうか)を判断することができる。
【0097】
実施形態によっては、予定の器具アタッチメントの仮想モデル1830は、物理的器具アタッチメント1820の姿勢に対するXRヘッドセット920の姿勢に基づいて表示される。例によっては、XRヘッドセットは、物理的器具アタッチメント1820の姿勢に対するXRヘッドセット920の姿勢の姿勢に基づいて、予定の器具アタッチメントの仮想モデル1830の縮尺および/または向きを確定する。結果として、予定の器具アタッチメントの仮想モデル1830は、予定の器具アタッチメントの物理的バージョンが物理的器具アタッチメント1820の姿勢にある場合に現れるのと同じ縮尺および/または向きでユーザに表示される。
【0098】
図18Cでは、予定の器具アタッチメントの仮想モデル1830は、物理的器具アタッチメント1820の重ね合わせとして表示されている。この例では、仮想モデル1830が部分的に透明であることから、物理的器具アタッチメント1820を仮想モデル1830を通して見ることができ、外科医は、仮想モデル1830と物理的器具アタッチメント1820とに差異があるかどうかを観察することができる。追加の例または代替の例では、仮想モデル1830は、不透明(例えば、ソリッドカラー)であり、物理的器具アタッチメント1820のいずれの部分も外科医に見え、外科医が物理的器具アタッチメント1820が間違っていることを確認することができるような、物理的器具アタッチメント1820の真正面に現れるように表示され得る。追加の例または代替の例では、仮想モデル1830は、不透明であり得、仮想モデルのいずれの部分も見える場合、外科医が物理的器具アタッチメント1820が間違っていることを確認することができるような、物理的器具アタッチメント1820の真後ろに現れるように表示され得る。外科医は、物理的器具アタッチメント1820に対する仮想モデル1830の様々な姿勢を制御する、(またそれら間で切り替える)ことができる。
【0099】
図19A~Cは、物理的器具アタッチメント1820が、見えるが、物理的(実世界)器具1950には取り付けられていない、XRヘッドセット920を通したビューの例を示す。
図19Aでは、器具1950は、XRヘッドセット920のディスプレイを通して見える。外科医は、XRヘッドセット920またはXRヘッドセットコントローラにユーザ入力を与えて、
図19Bに示されるように、予定の器具アタッチメントの仮想モデル1830が、器具1950に取り付けられたとして表示されるようにすることができる。器具1950は、カメラ追跡システムによって追跡されるマーカを含み得、予定の器具アタッチメントの仮想モデル1830は、仮想モデル1830を、予定の器具アタッチメントが取り付けられ得る器具1950の端から延在するように見えさせるように、XRヘッドセット920に対する器具1950の姿勢に基づいて表示され得る。
【0100】
例によっては、ユーザ入力は、器具1950を、XRヘッドセット920に対して特定の実世界の位置または向きに移動させることを含む。追加の例または代替の例では、ユーザ入力は、計画立案段階中にあり、XRヘッドセット920が予定の器具アタッチメントを器具1950に自動的に関連付けるような、予定の器具アタッチメントを器具1950に割り当てることを伴う。
【0101】
図19Cでは、仮想モデル1830は、器具1950に取り付けられたが、物理的器具アタッチメント1820の向きにあるとして表示されている。カメラ追跡システムは、物理的器具アタッチメント1820の姿勢を確定することができ、XRヘッドセットは、物理的器具アタッチメント1820の姿勢およびXRヘッドセット920の姿勢に対する器具1950の姿勢に基づいて仮想モデル1830を表示することができる。
【0102】
実施形態によっては、物理的器具アタッチメント1820は、器具1950に取り付けられ得、かつ/または外科医は、物理的器具アタッチメント1820を器具1950に取り付けられるように位置付けることができる。仮想モデル1830と物理的器具アタッチメント1820とが一列に並んでいる場合、外科医は、正しい選択が行われたというかなりの程度の確実性を有する。
【0103】
図20A~Cは、仮想モデル1830が、その時に物理的器具アタッチメント1820が取り付けられている器具1950に取り付けられたとして表示されている、XRヘッドセット920を通したビューの例を示す。
図20Aでは、仮想モデル1830は、部分的に透明であり、物理的器具1820は、仮想モデル1830を通して部分的に見える。XRヘッドセット920を装着している外科医は、物理的器具アタッチメント1820と仮想モデル1830とのサイズおよび特徴を比較することに基づいて、物理的器具アタッチメント1820が正しいと判断することができる。
【0104】
図20Bでは、仮想モデル1830は、不透明(例えば、ソリッドカラー)であり、物理的器具アタッチメント1820の真正面に現れるように表示されている。XRヘッドセット920を装着している外科医は、仮想モデル1830の周りの物理的器具1820の一部が観察することができないことに基づいて、物理的器具アタッチメント1820が正しいと判断することができる。
【0105】
図20Cでは、仮想モデル1830は、不透明(例えば、ソリッドカラー)であり、物理的器具アタッチメント1820の真後ろに現れるように表示されている。XRヘッドセット920を装着している外科医は、物理的器具アタッチメント1820の周りの仮想モデル1830の一部が観察することができないことに基づいて、物理的器具アタッチメント1820が正しいと判断することができる。
【0106】
実施形態によっては、外科医は、物理的器具アタッチメント1820が予定の器具アタッチメントに一致するかどうかを判断するために、部分的に透明、不透明で、また物理的器具アタッチメント1820の前にあるとして表示される仮想モデル1830と、不透明で物理的器具アタッチメント1820の後ろにあるとして表示される仮想モデル1830とを切り替えることができる。
【0107】
図18A~C、19A~C、および20A~Cに示される例では、物理的器具アタッチメント1820は、仮想モデル1830と一致するように見えるため、外科医は、物理的器具アタッチメント1820が正しくかつ/または予定の器具アタッチメントであると判断することができる。
図21A~Cでは、物理的器具アタッチメント1820は、予定の器具アタッチメントの仮想モデル2130と一致しないように見える(例えば、異なる長さ、幅、形状、およびねじパターンを有する)。
【0108】
図21A~Cは、仮想モデル2130が、その時、物理的器具アタッチメント1820が取り付けられている器具1950に取り付けられたとして表示されている、XRヘッドセット920を通したビューの例を示す。
図21Aでは、仮想モデル2130は、部分的に透明であり、物理的器具1820は、仮想モデル2130を通して部分的に見える。XRヘッドセット920を装着している外科医は、物理的器具アタッチメント1820と仮想モデル2130との違いを観察することができることに基づいて、物理的器具アタッチメント1820が正しくないと判断することができる。
【0109】
図21Bでは、仮想モデル2130は、不透明(例えば、ソリッドカラー)であり、物理的器具アタッチメント1820の真正面に現れるように表示されている。XRヘッドセット920を装着している外科医は、仮想モデル2130の周りの物理的器具1820の一部が観察することができることに基づいて、物理的器具アタッチメント1820が正しくないと判断することができる。
【0110】
図21Cでは、仮想モデル2130は、不透明(例えば、ソリッドカラー)であり、物理的器具アタッチメント1820の真後ろに現れるように表示されている。XRヘッドセット920を装着している外科医は、物理的器具アタッチメント1820の周りの仮想モデル2130の一部を観察することができることに基づいて、物理的器具アタッチメント1820が正しくないと判断することができる。
【0111】
実施形態によっては、外科医は、物理的器具アタッチメント1820が予定の器具アタッチメントに一致するかどうかを判断するために、部分的に透明、不透明で、また物理的器具アタッチメント1820の前にあるとして表示される仮想モデル2130と、不透明で物理的器具アタッチメント1820の後ろにあるとして表示される仮想モデル2130とを切り替えることができる。
【0112】
実施形態によっては、外科手術は、移植片を患者に挿入することを含む。移植片は、患者に挿入される金物片(例えば、椎弓根スクリューまたは拡張可能ケージなど)である。移植片は、患者の年齢、骨の健康、椎骨のサイズ、および外科医の好みを含む、様々な要因に基づいて外科医によって選択される。追加の実施形態または代替の実施形態では、外科手術は、器具延長部が取り付けられた器具を使用することを含む。器具延長部は、外科医が特定の外科手術を行うことを可能にするために器具に取り付けられる金物片(例えば、湾曲先端)である。器具延長部は、外科手術の種類、外科手術の部位、および外科医の好みを含む様々な要因に基づいて外科医によって選択される。器具アタッチメントが正しいことを確認するためのプロセスのさらなる説明は、移植を伴う外科手術に関して以下に提供されるが、同様のプロセスが、器具延長部を伴う外科手術に適用可能である。
【0113】
外科医が使用する移植片を選択すると、外科医は、ナビゲーションソフトウェアを通して、または担当スタッフに告げることによって、この選択を伝える。選択の伝達は、複雑になる可能性があり、特に手術室が高ストレスでしばしば騒々しい環境になることを考えると、連絡ミスを招く可能性がある。
【0114】
この起こり得る悲惨な状況を防ぐために、XRヘッドセットが外科医によって使用され得る。XRヘッドセットは、最初に、外科医が選択したねじの突起および該当する寸法を表示して、正しい選択が行われ、伝えられたことを承認することができる。
【0115】
それにより、外科医は、正しい移植片が選択されたことを承認するであろう。移植片が器具に取り付けられ、外科医に渡されると、XRヘッドセットが器具を追跡し、移植片の仮想画像を実際にあるはずである場所に重ね合わせることができる。仮想画像と実世界移植片とが、サイズ、形状などの点で一致していないように見える場合、外科医は、間違った移植片が選択されたことが分かるようになる。
【0116】
追加の実施形態または代替の実施形態では、仮想モデルを表示するプロセスは、外科手術の前にシステムチェックを伴う。例えば、仮想モデルを表示することには、カメラが器具およびXRヘッドセットを正しく追跡しているか、XRヘッドセットが外科医の頭に正しく位置付けられているか、また仮想コンテンツが適切にレンダリングされているか、を確認することが含まれる。
【0117】
図22は、外科システム(例えば、外科システム900)によって行われるプロセスのフローチャートである。ブロック2210で、カメラ追跡システム6、6’は、XRヘッドセットに対する器具の姿勢を確定する。
【0118】
ブロック2220で、XRヘッドセットコントローラ1430は、予定の器具アタッチメントの仮想モデルの形状および姿勢を生成する。実施形態によっては、XRヘッドセットコントローラ1430は、予定の器具アタッチメントに関連した所定の情報に基づいて、かつ/またはXRヘッドセットに対する器具の姿勢に基づいて、仮想モデルの形状および姿勢を生成する。所定の情報には、サイズおよび形状のうちの少なくとも1つを含む、予定の器具アタッチメントの特性が含まれ得る。追加の実施形態または代替の実施形態では、予定の器具アタッチメントは、移植片(例えば、椎弓根スクリューまたは拡張可能ケージ)である。XRヘッドセットコントローラ1430は、移植片を表すグラフィカル特徴を有するように、予定の器具アタッチメントの仮想モデルを生成する。追加の実施形態または代替の実施形態では、予定の器具アタッチメントは、器具エクステンダである。XRヘッドセットコントローラ1430は、機器エクステンダを表すグラフィカル特徴を有するように、予定の器具アタッチメントの仮想モデルを生成する。追加の実施形態または代替の実施形態では、XRヘッドセットコントローラ1430は、予定の器具アタッチメントの特性を示す仮想テキストを含むように仮想モデルを生成する。
【0119】
実施形態によっては、XRヘッドセットコントローラ1430が、透明ディスプレイを通して見たときに、器具上のある場所に取り付けられて見えるように、予定の器具アタッチメントの仮想モデルの姿勢を確定する。実世界場面には、物理的器具アタッチメントが含まれ得る。実施形態によっては、物理器具のアタッチメントは、器具上の場所に取り付けられている。
【0120】
追加の実施形態または代替の実施形態において、XRヘッドセットコントローラ1430は、予定の器具アタッチメントの仮想モデルが、透明ディスプレイを通して見られている間、物理的器具アタッチメントに重ね合わされると、物理的器具アタッチメントの少なくとも1つの対応する特徴とほぼ位置が揃うようにそのうちの少なくとも1つの姿勢が決められる、部分的に透明なグラフィカル特徴を有するように、予定の器具アタッチメントの仮想モデルを生成する。
【0121】
追加の実施形態または代替の実施形態において、XRヘッドセットコントローラ1430は、予定の器具アタッチメントの仮想モデルが、透明ディスプレイを通して見られている間、物理的器具アタッチメントに重ね合わされると、物理的器具アタッチメントの少なくとも1つの対応する特徴とほぼ位置が揃うようにそのうちの少なくとも1つが姿勢が決められる、不透明なグラフィカル特徴を有するように、予定の器具アタッチメントの仮想モデルを生成する。
【0122】
追加の実施形態または代替の実施形態において、XRヘッドセットコントローラ1430は、予定の器具アタッチメントの仮想モデルが、透明ディスプレイを通して見られている間、物理的器具アタッチメントの背後に位置付けられると、物理的器具アタッチメントの少なくとも1つの対応する特徴とほぼ位置が揃うようにそのうちの少なくとも1つが姿勢が決められる、不透明なグラフィカル特徴を有するように、予定の器具アタッチメントの仮想モデルを生成する。
【0123】
追加の実施形態または代替の実施形態において、XRヘッドセットコントローラ1430は、予定の器具アタッチメントの仮想モデルのグラフィカル特徴を、ユーザ入力に基づく部分的に透明、不透明のものとして選択的にレンダリングする。追加の実施形態または代替の実施形態において、XRヘッドセットコントローラ1430は、物理的器具アタッチメントの背後として、またユーザ入力に基づく物理的器具アタッチメントとは別に、物理的器具アタッチメント上の重ね合わせのものとして表示される予定の器具アタッチメントの仮想モデルの姿勢を選択的に確定する。
【0124】
追加の実施形態または代替の実施形態において、XRヘッドセットコントローラ1430は、XRヘッドセットに対する物理的器具アタッチメントの姿勢から確定された距離に基づいて、予定の器具アタッチメントの仮想モデルの形状を拡大縮小する。
【0125】
ブロック2230で、XRヘッドセット920が、予定の器具アタッチメントの仮想モデルを、XRヘッドセットの透明表示画面上に表示する。実施形態によっては、XRヘッドセット920は、外科処置中にユーザが装着するように構成され、透明ディスプレイは、ユーザが見る対象の実世界場面の少なくとも一部がそこを透過するのを可能にする。実世界場面には、器具および物理的器具アタッチメントが含まれ得る。
【0126】
実施形態によっては、仮想モデルを部分的に透明で、物理的器具アタッチメントに重ね合わせられたとして表示することにより、ユーザは、予定の器具アタッチメントの仮想モデルと物理的器具アタッチメントとが同時に見えることに基づき、物理的器具アタッチメントが予定の器具アタッチメントと異なるかどうかを判断することができる。
【0127】
追加の実施形態または代替の実施形態において、仮想モデルを不透明で、物理的器具アタッチメントに重ね合わされたとして表示することにより、ユーザは、物理的器具アタッチメントの一部がユーザに見えるかどうかに基づき、物理的器具アタッチメントが予定の器具アタッチメントとは異なるかどうかを判断することができる。
【0128】
追加の実施形態または代替の実施形態において、仮想モデルを不透明で、物理的器具アタッチメントの背後にあるとして表示することにより、ユーザは、仮想モデルの一部がユーザに見えるかどうかに基づき、物理的器具アタッチメントが予定の器具アタッチメントとは異なるかどうかを判断することができる。
【0129】
図22のフローチャートからの様々な作業は、外科システムおよび関連の方法のいくつかの実施形態に関して任意であり得る。
【0130】
図23は、外科システム(例えば、外科システム900)によって行われるプロセスのフローチャートである。ブロック2210で、カメラ追跡システム6、6’が、XRヘッドセットに対する物理的器具アタッチメントの姿勢を確定する。実施形態によっては、物理的器具アタッチメントは、移植片(例えば、椎弓根スクリューまたは拡張可能ケージ)である。追加の実施形態または代替の実施形態において、物理的器具アタッチメントは、器具エクステンダである。追加の実施形態または代替の実施形態において、カメラ追跡システム6、6’が、XRヘッドセットに対する器具の姿勢を確定する。物理的器具アタッチメントは、器具上のある場所に取り付けられ得る。
【0131】
ブロック2220で、XRヘッドセットコントローラ1430は、予定の器具アタッチメントの仮想モデルの形状および姿勢を生成する。実施形態によっては、予定の器具アタッチメントの仮想モデルの形状および姿勢は、予定の器具アタッチメントの所定の情報に基づき、またXRヘッドセットに対する物理的器具アタッチメントの姿勢に基づいている。追加の実施形態または代替の実施形態において、XRヘッドセットコントローラ1430が、物理的器具アタッチメントの姿勢に対して所定の姿勢で予定の器具アタッチメントの仮想モデルの姿勢を生成する。追加の実施形態または代替の実施形態において、XRヘッドセットコントローラ1430が、物理的器具アタッチメントの向きに一致するように、XRヘッドセットに対する予定の器具アタッチメントの仮想モデルの向きを調整する。追加の実施形態または代替の実施形態において、XRヘッドセットコントローラが、XRヘッドセットに対する物理的器具アタッチメントの姿勢から確定された距離に基づいて、予定の器具アタッチメントの仮想モデルの形状を拡大縮小する。
【0132】
実施形態によっては、XRヘッドセットコントローラは、物理的器具アタッチメントの背後で、またユーザ入力に基づく物理的器具アタッチメントとは別として、物理的器具アタッチメント上の重ね合わせのものとして表示される予定の器具アタッチメントの仮想モデルの姿勢を選択的に確定する。追加の実施形態または代替の実施形態において、XRヘッドセットコントローラは、予定の器具アタッチメントに関連した所定の情報に基づいて、予定の器具アタッチメントの特性を示す仮想テキストを含むように、仮想モデルを生成する。
【0133】
ブロック2230で、XRヘッドセット920が、予定の器具アタッチメントの仮想モデルを、XRヘッドセットの透明表示画面上に表示する。実施形態によっては、XRヘッドセットは、外科処置中にユーザが装着するように構成されており、透明表示画面は、ユーザが見る対象の実世界場面の少なくとも一部がそれを透過することを可能にする。実世界場面には、物理的器具アタッチメントおよび/または器具が含まれ得る。
【0134】
図22のフローチャートからの様々な作業は、外科システムおよび関連の方法のいくつかの実施形態に関して任意であり得る。
さらなる定義および実施形態:
本発明概念の様々な実施形態の上記の発明を実施するための形態において、本明細書で使用される用語が、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明概念を限定することを意図したものではないことを理解されたい。別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明概念が属する当技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されるものなどの用語が、本明細書および関連する技術分野の背景におけるそれらの意味に矛盾しない意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義された理想化された意味、または過度に形式的な意味では解釈されないことがさらに理解されるであろう。
【0135】
ある要素が別の要素に対して「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、「応答する(responsive)」、またはそれらの異綴り形であるとして言われる場合、その要素は、他の要素に直に接続され得る、結合され得る、もしくは応答するものであり得るか、または介在する要素が存在し得る。対照的に、ある要素が別の要素に対して「直に接続された(directly connected)」、「直に結合された(directly coupled)」、「直に応答する(directly responsive)」、またはそれらの異綴り形であるとして言われる場合、介在する要素は、存在しない。同じ番号は、全体を通して同じ要素を指す。さらにまた、本明細書で使用される際、「結合された(coupled)」、「接続された(connected)」、「応答する(responsive)」、またはそれらの異綴り形には、無線で結合される、接続される、または応答することが含まれ得る。本明細書で使用される際、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上、そうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図されている。よく知られている機能または構造は、簡潔さおよび/または明確さのために詳細に説明されない場合がある。「および/または(and/or)」という用語は、関連する挙げられた項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0136】
本明細書では、第1、第2、第3などの用語を使用して様々な要素/動作を説明することがあるが、これらの要素/動作は、これらの用語に限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、ある要素/動作を他の要素/動作から区別するためにのみ使用される。したがって、いくつかの実施形態における第1の要素/動作は、本発明概念の教示から逸脱しない限り、他の実施形態における第2の要素/動作とすることができる。同じ参照番号または同じ参照符号は、本明細書全体を通して同じまたは類似の要素を示す。
【0137】
本明細書で使用される際、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「備える(comprises)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはそれらの異綴り形は、制約のないもので、1つ以上の述べられた特徴、整数、要素、ステップ、構成要素、または機能を含むが、1つ以上の他の特徴、整数、要素、ステップ、構成要素、機能、またはそれらのグループの存在もしくは追加を排除するものではない。さらにまた、本明細書で使用される際、ラテン語の「例えば(exempli gratia)」から派生した一般的な略語「例えば(e.g.)」は、前述の項目の一般的な1つまたは複数の例を紹介または明示するのに使用され得、このような項目を限定することを意図するものではない。ラテン語の「すなわち(id est)」から派生した一般的な略語「すなわち(i.e.)」は、より一般的な列挙から特定の項目を明示するのに使用され得る。
【0138】
実施形態例が、コンピュータ実施方法、装置(システムおよび/もしくはデバイス)、ならびに/またはコンピュータプログラム製品のブロック図および/またはフローチャート図を参照して本明細書において説明されている。ブロック図および/またはフローチャート図のブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図におけるブロックの組み合わせが、1つ以上のコンピュータ回路によって行われるコンピュータプログラム命令によって実施され得ることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令を汎用コンピュータ回路、特殊目的コンピュータ回路、および/または他のプログラム可能なデータ処理回路のプロセッサ回路に与えて、コンピュータのプロセッサおよび/または他のプログラム可能なデータ処理装置を介して実行される命令が、ブロック図および/または1つもしくは複数のフローチャートブロックにおいて明示された機能/作用を実施し、それによって、ブロック図および/またはフローチャートブロックにおいて明示された機能/作用を実施するための手段(機能性)および/または構造を作り出すように、トランジスタ、メモリの場所に格納された値、およびこのような回路網内の他のハードウェア構成要素を変換、制御するような、機械を生み出す。
【0139】
これらのコンピュータプログラム命令は、有形のコンピュータ可読媒体にも格納され得、有形のコンピュータ可読媒体は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置を、コンピュータ可読媒体に格納された命令が、ブロック図および/または1つもしくは複数のフローチャートブロックに明示された機能/作用を実施する命令を含む製造品を生み出すような特定のやり方で機能させることができる。したがって、本発明概念の実施形態は、集合的に「回路網」、「モジュール」、またはそれらの変異型と呼ばれることがある、デジタル信号プロセッサなどのプロセッサ上で作動するハードウェアでかつ/またはソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)で具体化され得る。
【0140】
また、いくつかの代替の実装形態において、ブロックに記載されている機能/作用が、フローチャートに記載されている順序から外れて起こる場合があることにも留意されたい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、関与する機能性/作用に応じて、実際には実質的に同時に実行されてもよく、またはブロックが逆の順序で実行される場合もある。さらに、フローチャートおよび/またはブロック図の所与のブロックの機能性は、複数のブロックに分けられてもよく、かつ/またはフローチャートおよび/またはブロック図の2つ以上のブロックの機能性が、少なくとも部分的に統合されてもよい。最後に、本発明概念の範囲から逸脱しない限り、示されているブロック間に他のブロックが追加/挿入されてもよく、かつ/またはブロックまたは動作が省かれてもよい。また、図のうちのいくつかは、通信の主要な方向を示すために通信路上に矢印を含んでいるが、通信が、描かれた矢印と反対の方向で起こる場合があることを理解されたい。
【0141】
本発明概念の原理から実質的に逸脱しない限り、実施形態に対して多くの変更および修正を行うことができる。すべてのこのような変更および修正は、本発明概念の範囲内で本明細書に含まれることが意図されている。したがって、上で開示された発明の対象は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであり、付け加えられた実施形態の例は、本発明概念の趣旨および範囲内にあるすべてのこのような修正、強化、および他の実施形態に及ぶことが意図されている。したがって、法律によって許される最大限の範囲で、本発明概念の範囲は、以下の実施形態の例およびそれらの均等物を含む本開示の最も広い許容可能な解釈によって決定されるべきであり、前述の発明を実施するための形態に制限または限定されるものではないとする。