(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】券処理装置、改札機、保守システム、および、保守方法
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20240902BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240902BHJP
【FI】
B65H7/02
G07B15/00 B
(21)【出願番号】P 2021037077
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】大林 知弘
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-308456(JP,A)
【文献】特開平9-274672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/02
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するメモリと、
投入された単数または複数の券を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構により搬送される投入された券の厚さを検出する厚さセンサと、
一括して投入された複数の券を1枚ずつ搬送されるように分離させる分離機構と、
前記分離機構によって分離された1枚ずつの券が搬送される搬送経路において各券の通過を検出する通過センサと、
前記厚さ検出結果と前記通過センサの検出結果に基づく分離枚数とを対応づけた処理結果情報を前記メモリに記憶し、前記メモリに記憶した前記処理結果情報に基づいて前記厚さ検出結果と前記分離枚数と前記厚さ検出結果から券の枚数を判定するための閾値との関係を示す保守情報をディスプレイに表示させる、プロセッサと、
を具備する券処理装置。
【請求項2】
さらに、前記分離機構によって分離された各券に記録されている情報を読み取る券処理部を有し、
前記プロセッサは、
前記券処理部により読み取った情報に基づいて投入された券の有効性を判定し、
前記厚さ検知結果と前記分離枚数と前記券の有効性の判定結果とに基づいて分類する区分情報と前記厚さ検出結果とを対応づけた前記処理結果情報を前記メモリに記憶し、
前記メモリに記憶した前記処理結果情報に基づいて前記厚さ検出結果と前記区分情報との関係を示す保守情報をディスプレイに表示させる、
請求項1に記載の券処理装置。
【請求項3】
前記区分情報は、前記投入された券の枚数と前記分離枚数との比較結果と前記判定結果との組み合わせに基づいて区分した結果を示す情報である、
請求項2に記載の券処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記厚さ検出結果ごとに各区分情報のデータ数を集計した値を示すヒストグラムをディスプレイに表示させる、
請求項2または3に記載の券処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記閾値を前記ヒストグラムに重ねて前記ディスプレイに表示させる、
請求項4に記載の券処理装置。
【請求項6】
前記閾値として設定すべき値を入力するための操作部を有し、
前記プロセッサは、前記閾値を前記操作部により入力された値に変更する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の券処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記処理結果情報から前記閾値に対する推奨値を算出し、算出した前記推奨値をディスプレイに表示させる、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の券処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記処理結果情報として、さらに前記通過センサの検出結果から特定される投入された各券の券種を示す情報を前記メモリに記憶し、前記メモリから投入された券の券種の組み合わせごとに抽出した処理結果情報に基づく前記保守情報をディスプレイに表示させる、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の券処理装置。
【請求項9】
情報を記憶するメモリと、
単数または一括して投入された複数の券を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構により搬送される投入された券の厚さを検出する厚さセンサと、
一括して投入された複数の券を1枚ずつ搬送されるように分離させる分離機構と、
前記分離機構によって分離された1枚ずつの券が搬送される搬送経路において各券の通過を検出する通過センサと、
前記分離機構によって分離された各券に記録されている情報を読み取る券処理部と、
前記券処理部により投入された各券から読み取った情報に基づく通行判定の結果に応じてドアの開閉を制御する通行制御部と、
前記厚さ検出結果と前記通過センサの検出結果に基づく分離枚数と前記通行判定の結果とを含む処理結果情報を前記メモリに記憶し、前記メモリに記憶した前記処理結果情報に基づいて前記厚さ検出結果と前記分離枚数と前記通行判定の結果との関係を示す保守情報をディスプレイに表示させるプロセッサと、
を具備する改札機。
【請求項10】
さらに、ディスプレイを備え、
前記プロセッサは、前記ディスプレイに前記保守情報を表示させる、
請求項9に記載の改札機。
【請求項11】
さらに、情報を入力する操作部を備え、
前記プロセッサは、前記厚さ検出結果から券の枚数を判定するための閾値を前記操作部により入力された値に変更する、
請求項9または10のいずれか1項に記載の改札機。
【請求項12】
改札機と前記改札機と通信接続する保守端末とを有する保守システムであって、
前記改札機は、
前記保守端末と通信する第1の通信インタフェースと、
情報を記憶するメモリと、
投入された単数または一括して投入された複数の券を搬送する搬送機構と、
搬送される券の厚さを検出する厚さセンサと、
一括して投入された複数の券を1枚ずつ搬送されるように分離させる分離機構と、
前記分離機構によって分離された1枚ずつの券が搬送される搬送経路において各券の通過を検出する通過センサと、
前記分離機構によって分離された各券に記録されている情報を読み取る券処理部と、
前記券処理部により投入された各券から読み取った情報に基づく通行判定の結果に応じてドアの開閉を制御する通行制御部と、
前記厚さ検出結果と前記通過センサの検出結果に基づく分離枚数と前記通行判定の結果とを含む処理結果情報を前記メモリに記憶し、前記メモリに記憶した処理結果情報を前記保守端末へ供給する第1のプロセッサと、を有し、
前記保守端末は、
前記改札機と通信する第2の通信インタフェースと、
ディスプレイと、
前記第2の通信インタフェースを介して前記改札機から取得する前記処理結果情報に基づいて前記厚さ検出結果と前記分離枚数と前記通行判定の結果との関係を示す情報を前記ディスプレイに表示させる第2のプロセッサと、を備える、
保守システム。
【請求項13】
前記保守端末は、さらに、情報を入力する操作部を備え、
前記保守端末の前記第2のプロセッサは、前記操作部により入力された値に前記厚さ検出結果から券の枚数を判定するための閾値を変更することを指示する制御指示情報を前記第2の通信インタフェースを介して前記改札機へ送信し、
前記改札機の前記第1のプロセッサは、前記保守端末からの前記制御指示情報に基づいて、前記閾値を前記操作部により入力された値に変更する、
請求項12に記載の保守システム。
【請求項14】
投入された券を搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送される投入された券の厚さを検出する厚さセンサと、前記厚さセンサが厚さを検出する位置の後段に設けられ、搬送される複数の券を1枚ずつに分離させる分離機構と、前記分離機構によって分離された1枚ずつの券が搬送される搬送経路において各券の通過を検出する通過センサと、を具備する券処理装置における保守方法であって、
前記厚さセンサによる厚さ検出結果と設定された閾値とに基づいて投入された券の数を示す投入枚数を判定し、
前記投入枚数に基づいて前記分離機構の駆動を制御し、
前記厚さ検出結果と前記通過センサの検出結果に基づく分離枚数とを対応づけた処理結果情報をメモリに記憶し、
前記メモリに記憶した前記処理結果情報に基づいて前記厚さ検出結果と前記分離枚数と前記閾値との関係を示す保守情報をディスプレイに表示させる、
保守方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、券処理装置、改札機、保守システム、および、保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一括して投入される複数の券を1枚ずつに分離して処理する券処理装置がある。例えば、鉄道の駅には、乗車券を処理することで各種の駅務処理を行う駅務機器が設置されている。乗車券を処理する機能を有する券処理装置としての駅務機器には、改札機、券売機および精算機などがある。例えば、改札機などの駅務機器は、一括して投入された複数の乗車券を1枚ずつに分離して処理するための構成として、搬送機構、厚みセンサ、分離機構、および、券処理部などを備える。搬送機構は、乗車券として投入される媒体を改札機の筐体内に取り込んで搬送する。厚みセンサは、筐体内に取り込んだ媒体の厚さを検出する。分離機構は、重ねられた状態で搬送される複数の媒体を分離して1枚ずつ後段の搬送路に供給する。
【0003】
券処理部は、分離機構で1枚ずつに分離された媒体としての乗車券に記録されている情報を読み取る読取部(例えば、磁気ヘッド)を備える。磁気ヘッドなどの読取部は、重なった状態の複数の乗車券から情報を正確に読み取ることが難しい。このため、改札機は、厚さセンサの検出結果と予め設定された閾値とに基づいて投入された券の数(投入枚数)を判定(検出)する。改札機は、投入枚数の判定結果に応じて制御する分離機構により取り込んだ複数の乗車券を分離させ、分離した乗車券を1枚ずつ読取部の読取位置に搬送する。
【0004】
しかしながら、厚みセンサは、位置や向きの微小なずれによって検知結果(センサの検知値)に変化が生じてしまうことがある。厚みセンサの検知結果に変化が生じると、設定されている閾値との比較による投入枚数の判定精度が低下する可能性がある。例えば、実際の枚数よりも投入枚数が少ないと判定した場合、実際に投入された複数の乗車券が分離されない可能性がある。また、実際の枚数よりも投入枚数が多いと判定した場合、駅務機器は、不要な分離処理が実行されるため、スループットが低下する可能性がある。従来、改札機などの駅務機器における厚さセンサの調整は、当該駅務機器が設置されている現場に訪れた保守員による手作業で行われている。例えば、厚みセンサを適切に調整するためには、保守員が閾値に即したセンサ値を出力するように厚みセンサの位置等を調整する必要がある。保守員による厚みセンサの位置等の調整は、熟練した技能が必要な手間のかかる作業であるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、保守が簡易に行える券処理装置、改札機、保守システム、および、保守方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、券処理装置は、メモリと搬送機構と厚さセンサと分離機構と通過センサとプロセッサとを有する。メモリは、情報を記憶する。搬送機構は、投入された単数または複数の券を搬送する。厚さセンサは、搬送機構により搬送される投入された券の厚さを検出する。分離機構は、一括して投入された複数の券を1枚ずつ搬送されるように分離させる。通過センサは、分離機構によって分離された1枚ずつの券が搬送される搬送経路において各券の通過を検出する。プロセッサは、厚さ検出結果と通過センサの検出結果に基づく分離枚数とを対応づけた処理結果情報をメモリに記憶し、メモリに記憶した処理結果情報に基づいて厚さ検出結果と分離枚数と厚さ検出結果から券の枚数を判定するための閾値との関係を示す保守情報をディスプレイに表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る券処理装置としての改札機の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る券処理装置としての改札機の内部構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る券処理装置としての改札機と通信接続する保守端末の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る券処理装置としての改札機の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る券処理装置としての改札機における処理結果情報の例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る券処理装置としての改札機における処理結果情報を区分するための区分情報テーブルの構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る券処理装置としての改札機における処理結果情報の例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る券処理装置としての改札機における保守処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る券処理装置としての改札機における処理結果情報に基づく保守画面の表示例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る券処理装置としての改札機における処理結果情報に基づく保守画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態に係る券処理装置は、一括して投入される複数または単数の券を処理する装置である。券処理装置が処理対象とする券は、例えば、乗車券である。券処理装置は、乗車券を処理することにより駅務処理を実行する駅務機器である。また、券処理装置としての駅務機器が処理する乗車券は、例えば、乗車券情報などの情報が記録される磁気層を有する磁気券である。なお、券処理装置が処理対象とする券は、磁気券で構成される乗車券に限定されるものではなく、一括して投入される複数の券を1枚ずつに分離して搬送することにより各券を処理するものであれば如何なるものであってもよい。
【0010】
また、以下に説明する実施形態では、主として、券処理装置としての駅務機器が改札機である場合を想定して説明するものとする。ただし、以下に説明する改札機において乗車券を処理するための構成は、券売機あるいは精算機などの改札機以外の駅務機器においても採用することができるものであり、さらには乗車券以外の券を処理する駅務機器以外の券処理装置に適用できるものである。
【0011】
次に、実施形態に係る券処理装置(駅務機器)の一例である改札機の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る券処理装置(駅務機器)の一例である改札機10の構成例を示すブロック図である。また、
図2は、実施形態に係る券処理装置としての改札機10における筐体内の構成例を模式的に示す図である。
【0012】
改札機10は、乗車券に記録されている情報を読み取り、乗車券から読み取った情報に基づいて当該乗車券を提示した利用者(人)の通行の可否を判定する。例えば、改札機10は、2台1組となるように筐体が設置され、1対の筐体で利用者が通行するための通路を形成する。改札機10は、通路側にドアが設けられ、通行の可否の判定結果に応じてドアを駆動することにより利用者の通行を制御する。
【0013】
改札機10は、利用者が通行する方向に応じて、駅構内(改札内)への入場に関する入場通行判定と駅構外への出場に関する出場通行判定処理とのいずれかを行う。改札機10は、通行の可否の判定結果に応じて利用者の通行(駅構内への入場または駅構外への出場)を制御する。
なお、本実施形態では、磁気乗車券に対する券処理を行う構成を想定して説明するが、改札機10としては、ICカード乗車券または二次元コード乗車券などの乗車券に基づいて通行判定処理を行う構成をさらに備えていてもよい。
【0014】
図1に示す構成例において、改札機10は、システムコントローラ41、通信インタフェース42、ディスプレイ(案内表示部)43、搬送機構44、分離機構45、整列機構46、厚さセンサ47、通過センサ48、券処理部49、ドア駆動機構50、および、保守パネル53を備える。また、改札機10の筐体内には、
図2に示すように、搬送機構44、分離機構45、整列機構46、厚さセンサ47、通過センサ48、券処理部49および保守パネル53が設けられる。
【0015】
システムコントローラ41は、改札機10の種々の制御を行う。システムコントローラ41は、プロセッサ51およびメモリ52を備える。
プロセッサ51は、演算処理を実行する演算素子(例えばCPU)を備える。プロセッサ51は、システムコントローラ41の動作の主体となる。プロセッサ51は、メモリ52に格納されているプログラムを実行することにより、種々の動作を実行可能な制御部として機能する。
【0016】
メモリ52は、プログラムおよびプログラムで用いられるデータなどを記憶する。メモリ52は、RAM、ROMおよび書き換え可能な不揮発性メモリなどを含む。プログラムおよび制御データなどは、ROMまたは書き換え可能な不揮発性メモリに記憶される。また、プロセッサ51による処理中のデータなどは、RAMなどに一時的に格納されるようにしても良い。
【0017】
メモリ52は、改札処理を実行する改札機10として動作するための種々のプログラムを記憶する。例えば、メモリ52は、券処理部49による乗車券に対する処理結果(読取結果)に応じた通行判定処理(券の有効性を判定する処理)を行わせるためのプログラムを記憶する。また、メモリ52は、券処理部による乗車券に対する処理結果(読取結果)に応じた通行判定処理(券の有効性を判定する処理)を行わせるためのプログラムなども記憶する。
【0018】
また、メモリ52は、改札機10の保守を行うためのプログラムを記憶する。例えば、メモリ52は、後述する厚さセンサによる検知結果から券の投入枚数を判定するためのプログラムおよび閾値などを記憶する。また、メモリ52には、集積した処理結果などから閾値の推奨値を算出するためのプログラムを記憶するようにしても良い。
【0019】
通信インタフェース42は、外部装置との通信するためのインタフェースである。本実施形態において、通信インタフェース42は、保守端末30と通信するものとする。ただし、通信インタフェース42は、監視盤などを介して上位装置と通信するためのインタフェースを備えても良い。
【0020】
ディスプレイ43は、システムコントローラ41またはグラフィックコントローラなどの表示制御部から入力される映像信号に応じて画面を表示する。ディスプレイ43は、利用者に対して案内を表示する案内表示部として機能する。例えば、案内表示部としてのディスプレイ43は、通行判定処理の結果などを表示する。
【0021】
搬送機構44は、券を搬送する。搬送機構44は、
図2に示すように、取込機構61、第1搬送路62、第2搬送路63、第3搬送路64、および排出機構65を有する。例えば、取込機構61、第1搬送路62、第2搬送路63、第3搬送路64、および排出機構65は、それぞれ図示されない動力源(モータ)の動力によって駆動される複数のローラと、券の搬送を誘導する複数のガイド部材と、を備える。複数のモータは、システムコントローラ41の制御に基づいて、軸を回転させることにより、軸の回転に連動するローラを回転させ、ローラにより券を搬送する。
【0022】
取込機構61は、利用者によって投入口に投入された券を取り込み、第1搬送路62に供給する構成である。投入口には、1枚または重ねられた状態の複数枚の券が投入される。取込機構61は、投入口に複数の券が重ねられた状態で投入された場合、それらの券を重ねた状態で取り込み可能に構成されている。
【0023】
第1搬送路62は、取込機構61が取り込んだ券を分離機構45へ搬送する。第1搬送路62は、取込機構61が重なった状態で取り込んだ複数の券を重なった状態で分離機構45へ供給する。
【0024】
第2搬送路63は、分離機構45の後段に設けられる券を搬送するための搬送経路を構成する。第2搬送路63は、分離機構45から供給される券を整列機構46へ搬送する。例えば、第2搬送路63は、分離機構45による分離処理で1枚ずつに分離された各券を順次整列機構46へ搬送する。
【0025】
第3搬送路64は、整列機構の後段に設けられる券を搬送するための搬送経路を構成する。第3搬送路64は、整列機構46から供給される券を排出機構65へ搬送する。第3搬送路64は、整列機構46において整列処理された複数の券(重ねられた状態の複数の券)を排出機構65へ搬送する。
【0026】
排出機構65は、第3搬送路64により供給された券を排出口から排出することにより券を改札機10の筐体外へ排出する。排出機構65は、複数の券を排出する場合、それらの券を重ねた状態で排出口から排出するように構成されている。
【0027】
分離機構45は、第1搬送路62の下流側(後段)に設けられる。分離機構45は、第1搬送路62から供給された券を1枚ずつ分離して下流側の第2搬送路63に供給する。すなわち、分離機構45は、複数の券が重ねられた状態で投入口に投入された場合に、複数の券を1枚ずつ所定の間隔で下流側の第2搬送路63に供給する。
【0028】
分離機構45は、例えば、1対のローラ45U、45Dにより構成される。分離機構45の1対のローラは、第1搬送路62により搬送される券を挟むように配置される。分離機構45は、搬送される券が重なった状態の複数の券であると判定(検知)された場合には、複数の重なった状態の券を1枚ずつに分離するように1対のローラの駆動を制御する。また、分離機構45は、搬送される券が1枚の券であると判定(検知)された場合には、当該券を効率よく搬送できるように1対のローラの駆動を制御する。
【0029】
例えば、分離機構45において、下側のローラ45Dは、
図1中に示す矢印a方向に回転し、上側のローラ45Uは、
図1中に示す矢印a方向または矢印b方向の何れかに回転するものとする。
【0030】
搬送される券が1枚であると判定された場合、分離機構45において、ローラ45Uとローラ45Dとは共にa方向に回転するように駆動が制御される。これにより、分離機構45は、上下のローラ45U、45Dから券における上下の券面に搬送方向へ送り出すように応力を与える。この結果として、分離機構45は、第1搬送路62から供給された1枚の券を第2搬送路63へスムーズに送り出すことができる。
【0031】
搬送される券が重なった状態の複数の券であると判定した場合、分離機構45において、ローラ45Dはa方向に回転し、ローラ45Uはa方向とは逆のb方向に回転(または停止)するように駆動が制御される。これにより、分離機構45においては、下側のローラ45Dが下側の券に搬送方向へ送り出すような応力を与え、上側のローラ45Uが上側の券に第1搬送路62側へ戻すような応力(搬送方向とは逆方向へ送り出すような応力)を与える。この結果、分離機構45は、重なった状態である複数の券のうちの1枚を第2搬送路63に送り出すような分離処理を行うことができる。
【0032】
なお、搬送される券が重なった状態の複数の券であると判定した場合、分離機構45において、ローラ45Dはa方向に回転し、ローラ45Uは停止させるようにしても良い。このような駆動制御によっても、分離機構45は、重なった状態である複数の券のうちの1枚を第2搬送路63に送り出す分離処理を行うことができる。
【0033】
ただし、分離機構45は、ローラ45Dがa方向に回転し、ローラ45Uがa方向とは逆のb方向に回転(または停止)する場合であっても、1枚の券を第2搬送路63へ送り出すことができるように調整される。このような分離処理が行われる場合、1枚の券は、ローラ45Uにより券面に抵抗力が与えられつつ、搬送方向へ搬送されることとなる。この結果として、分離処理が行われる分離機構45を通過する1枚の券は、第2搬送路63へスムーズに送り出すことができないため、スループットが低下する可能性があると考えられる。
【0034】
厚さセンサ47は、取込機構61により取り込まれた投入された券の厚さを検出し、厚さの検出結果(厚さ検出結果)をシステムコントローラ41に供給する。すなわち、厚さセンサ47は、第1搬送路62を搬送される券の厚さを示す値を出力する。複数の券が重ねられた状態で一括して投入された場合、投入された複数の券が重ねられた状態で第1搬送路62を搬送されるため、厚さセンサ47は、重なった状態である複数の券の厚さを検出した検出結果をシステムコントローラ41へ供給する。1枚の券が投入された場合、1枚の券が第1搬送路62を搬送されるため、厚さセンサ47は、1枚の券の厚さを検出した検出結果をシステムコントローラ41へ供給する。
【0035】
通過センサ48は、搬送路上における券の通過を光学的に検出する。通過センサ48は、少なくとも分離機構45と券処理部49との間の第2搬送路63上において、券の通過を検出する。通過センサ48は、搬送路上の検出位置を券が通過したことを検出する。通過センサ48は、検出位置に券が存在するか否かに応じて異なる信号をシステムコントローラ41に供給する。
【0036】
通過センサ48は、例えば、投光器と受光器との組み合わせによって構成される。通過センサ48は、投光器からの光が搬送されている券によって遮られている場合、受光器からシステムコントローラ41への出力信号がオフ(Low)になるように構成されている。また、通過センサ48は、投光器からの光が搬送されている券によって遮られずに受光器に入射している場合、受光器の出力信号がオン(High)になるように構成されている。これにより、システムコントローラ41は、通過センサ48の検知結果に基づいて券が検知位置を通過したことを検知する。また、システムコントローラ41は、通過センサ48の検知結果に基づいて券の大きさなども検知する。
なお、改札機10は、さらに通過センサを多数備える構成であってもよい。
【0037】
券処理部49は、券に記録されている情報の読み取りおよび券に対する情報の書き込みなどの券処理を行うものである。
図2に示す構成例において、券処理部49は、読取部71および書込部72を備える。
【0038】
読取部71は、搬送される券に記録されている情報を読み取るものである。読取部71は、処理対象とする券(乗車券)として用いられる媒体に応じた情報を有する。例えば、券が磁気券である場合、読取部71は、磁気情報を読み取る磁気ヘッドにより構成される。磁気ヘッドとしての読取部71は、券の磁気層から磁気によって記録された情報を読み取るように構成される。読取部71は、第2搬送路63上の所定の検出位置を通過する券から乗車券情報などの情報を読み取る。読取部71は、読み取った乗車券情報をシステムコントローラ21に送信する。
【0039】
書込部72は、搬送される券に情報を書き込む。書込部72は、処理対象とする券(乗車券)として用いられる媒体に応じた情報を有する。例えば、券が磁気券である場合、書込部72は、磁気情報を読み取る磁気ヘッドにより構成される。磁気ヘッドとしての書込部72は、券の磁気層に磁気によって情報を記録するように構成される。書込部72は、第2搬送路63上の少なくとも読取部71よりも下流側の所定の検出位置を通過する券に対して情報を記録するように設置される。書込部72は、例えば、通行判定処理の結果に基づく情報を券に記録する。
【0040】
整列機構46は、第2搬送路63の下流側に設けられる。また、整列機構46は、券処理部49の読取部71の読取位置および書込部72の書込(記録)位置よりも下流に設けられる。整列機構46は、読取部71の読取位置および書込部72の書込位置を通過した券が第2搬送路63から供給される。整列機構45は、第2搬送路63から供給された複数の券を重ねた状態にして下流側の第3搬送路64に供給する。すなわち、整列機構46は、分離機構45によって複数の券を分離した場合、第2搬送路63から供給された複数の券を重ねて下流側の第3搬送路64に供給する。これにより、第3搬送路64は、複数の券を重ねた状態で排出口から排出することが可能となる。
【0041】
ドア駆動機構50は、システムコントローラ41の制御に基づいて、改札機10の1対の筐体の通路側に設けられたドアを駆動する構成である。ドア駆動機構50は、ドアを駆動して閉じることにより、通路を塞ぎ、利用者の通路の通行を防ぐ。また、ドア駆動機構50は、ドアを駆動して開くことにより、利用者の通路の通行を促す。
【0042】
保守パネル53は、ディスプレイ54および操作部55を備える。ディスプレイ54および操作部55は、それぞれシステムコントローラ41に接続される。
ディスプレイ54は、システムコントローラ41または図示されないグラフィックコントローラなどの表示制御部から入力される映像信号に応じて画面を表示する。ディスプレイ54は、保守作業に関する情報が表示される。例えば、ディスプレイ54は、後述する保守画面(保守情報)を表示する。また、ディスプレイ54は、当該改札機10における投入枚数の判定用閾値として設定する値などの種々の設定を指示するための画面なども表示する。
【0043】
操作部83は、操作指示を入力するためのデバイスである。例えば、操作部55は、保守員による保守作業において各種の操作指示が入力される。操作部55は、種々の操作デバイスで構成して良い。操作部55は、入力された指示(情報)を示す操作信号をシステムコントローラ41へ供給する。操作部55としての操作デバイスは、例えば、タッチセンサ(タッチパネル)、テンキー、キーボードまたは種々のファンクションキーなどである。タッチセンサは、例えば、抵抗膜式タッチセンサ、または静電容量式タッチセンサ等である。タッチセンサは、ある領域内において指定された位置を示す情報を取得する。タッチセンサは、ディスプレイ54と一体にタッチパネルとして構成されることにより、ディスプレイ54に表示された画面上のタッチされた位置を示す信号をシステムコントローラ41に入力する。
【0044】
なお、保守パネル53は、プロセッサおよびメモリを備える制御部(システムコントローラ)および通信インタフェースを備え、システムコントローラ41と通信インタフェースを介して通信するデバイスであっても良い。この場合、保守パネル53は、後述する保守端末30と同様な構成および処理が実現可能である。
【0045】
また、本実施形態で説明する保守パネル53の機能は、ディスプレイ43などで実現しても良い。例えば、改札機10の動作モードが保守モードとなった場合に、ディスプレイ43が保守パネル53のディスプレイ54として動作するようにしても良い。さらに、ディスプレイ43にタッチパネルを設けることで、ディスプレイ43に設けたタッチパネルを保守パネル53の操作部55として動作するようにしても良い。
【0046】
次に、実施形態に係る改札機10と通信接続する保守端末30の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る改札機10と通信接続する保守端末30の構成例を示すブロック図である。
保守端末30は、システムコントローラ81、通信インタフェース82、操作部83、およびディスプレイ84を有する。
システムコントローラ81は、保守端末30における種々の処理を実行する。システムコントローラ81は、プロセッサ91およびメモリ92などを備える。
【0047】
プロセッサ91は、演算処理を実行する演算素子(例えばCPU)を備える。プロセッサ91は、システムコントローラ81の動作の主体となる。プロセッサ91は、メモリ92に格納されているプログラムを実行することにより、種々の動作を実行可能な制御部として機能する。
【0048】
メモリ92は、RAM、ROM、および、書き換え可能な不揮発性メモリなどを含む。メモリ92のRAMは、データを一時的に保持する。メモリ92のROMおよび書き換え可能な不揮発性メモリは、プログラムおよびプログラムで用いられるデータなどを記憶する。
【0049】
通信インタフェース82は、改札機10と通信接続するためのインタフェースである。通信インタフェース82は、改札機10とセキュアな通信を行うものであれば良く、改札機10と無線で通信するものであっても良いし、有線で通信するものであっても良い。また、通信インタフェース82は、改札機10とシリアルに通信するものを想定するが、セキュアな通信を確保できるものであればネットワークを介して改札機10と通信するようにしても良い。
【0050】
操作部83は、保守端末30を操作するオペレータ(改札機などの券処理装置の保守員)による操作に用いられる構成である。操作部83は、種々の操作デバイスで構成して良い。操作部83は、操作部材の操作に応じた操作信号をシステムコントローラ81に供給する。操作部83としての操作デバイスは、例えば、タッチセンサ(タッチパネル)、テンキー、電源キー、種々のファンクションキー、またはキーボードなどである。タッチセンサは、例えば、抵抗膜式タッチセンサ、または静電容量式タッチセンサ等である。タッチセンサは、ある領域内において指定された位置を示す情報を取得する。タッチセンサは、ディスプレイ84と一体にタッチパネルとして構成されることにより、ディスプレイ84に表示された画面上のタッチされた位置を示す信号をシステムコントローラ81に入力する。
【0051】
ディスプレイ84は、システムコントローラ81または図示されないグラフィックコントローラなどの表示制御部から入力される映像信号に応じて画面を表示する。例えば、ディスプレイ84は、駅務機器の種々の設定のための画面を表示する。
【0052】
次に、改札機10における動作について説明する。
図4は、改札機10の動作について説明するためのフローチャートである。
改札機10の搬送機構44の取込機構61は、利用者が投入口に投入した券(投入されたシート状の媒体)を取り込み、第1搬送路62に供給する(ステップS11)。第1搬送路62は、取込機構61から供給された状態で券を搬送する。ここで、取込機構61は、投入口に複数の券が重ねられた状態で一括して投入された場合には、それらの券を重ねた状態で第1搬送路62へ供給する。第1搬送路62は、複数の券が重ねられた状態で供給された場合には、それらの券を重ねられた状態のままで搬送する。
【0053】
第1搬送路62によって搬送される券が厚さセンサ47の検出位置を通過した場合、厚さセンサ47は、券の厚さを検出する(ステップS12)。厚さセンサ47は、搬送される券の厚さを示すセンサ値(厚さの検知結果)をシステムコントローラ41のプロセッサ51へ供給する。
【0054】
システムコントローラ41のプロセッサ51は、厚さセンサ47から厚さの検出結果を取得する。プロセッサ51は、所定の閾値(投入枚数の判定用閾値)と厚さの検出結果とに基づいて、何枚の券が投入されたかを判定する(ステップS13)。投入枚数の判定用閾値は、例えば、メモリ52に予め記憶(設定)される。メモリ52には、投入枚数の判定用閾値として、厚さの検出結果と比較される複数の閾値が設定されている。
【0055】
例えば、複数の閾値は、券が0枚であるか否かを判定するための第1閾値、券が1枚以下であるか否かを判定するための第2閾値、券が2枚以下であるか否かを判定するための第3閾値、および、券が3枚以下であるか否かを判定するための第4閾値などである。メモリ52には、判定可能とする枚数に応じて複数の閾値が投入枚数の判定用閾値として記憶される。
【0056】
プロセッサ51は、厚さの検知結果(センサ値)が第1閾値未満である場合、券の「投入枚数」が0枚であると判断する。また、プロセッサ51は、厚さの検知結果が第1閾値以上第2閾値未満である場合、券の「投入枚数」が1枚であると判断する。また、プロセッサ51は、厚さが第2閾値以上第3閾値未満である場合、券の「投入枚数」が2枚であると判断する。また、プロセッサ51は、厚さが第3閾値以上第4閾値未満である場合、券の「投入枚数」が3枚であると判断する。すなわち、プロセッサ51は、厚さの検出結果と投入枚数の判定用閾値とに基づいて、券の「投入枚数」を判定する。
【0057】
次に、プロセッサ51は、券が重なっているか否か判断する(ステップS14)。即ち、プロセッサ51は、厚さの検知結果から投入枚数が2枚以上であるか(厚さの検知結果が第2閾値以上であるか)否かを判断する。プロセッサ51は、券が重なっていないと判断した場合(ステップS14、NO)、ステップS16の処理に移行する。
【0058】
また、プロセッサ51は、券が重なっていると判断した場合(ステップS14、YES)、ステップS15の処理を行う。プロセッサ51は、券が重ねっていると判断した場合、重なった券を1枚ずつに分離するための分離処理を実行するように分離機構45を制御する(ステップS15)。例えば、分離機構45は、プロセッサ51からの分離処理を実行する旨の指示に応じて、1対のローラを構成する一方のローラを搬送方向へ送り出すように回転させ、他方のローラを搬送方向とは逆方向に回転(または停止)させる。これにより、分離機構45は、重なった状態の券を1枚ずつ第2搬送路63に供給する。
【0059】
通過センサ48は、分離機構45から第2搬送路63に供給された券の通過を検出する(ステップS16)。上記したように、通過センサ48は、検出位置において券の通過に応じた信号をシステムコントローラ41に供給する。
【0060】
システムコントローラ41のプロセッサ51は、通過センサ48からの信号(光学センサの観測波形)に基づいて、分離された券の枚数(分離枚数)を判定する(ステップS17)。具体的には、プロセッサ51は、通過センサ48の出力信号がLow(券が有りを示す信号)となった数に基づいて、分離機構45によって分離されて第2搬送路63を実際に搬送された券の数を判定する。また、プロセッサ51は、通過センサ48からの検知信号に基づいて、実際に第2搬送路63を通過した各券の大きさ(搬送方向の長さ)も特定する。
【0061】
券処理部49は、読取部71により券に記録されている乗車券情報などの情報を読み取る(ステップS18)。券処理部49は、読取部71によって券から読み取った情報をシステムコントローラ41へ供給する。
【0062】
システムコントローラ41のプロセッサ51は、取得した乗車券情報に基づいて、券を所持する利用者の通行を許可するか否かを判定する通行判定処理を行う(ステップS19)。例えば、投入された券が複数である場合、プロセッサ51は、複数の券から読み取った情報に基づいて、通行判定処理を行う。プロセッサ51は、利用者の通行を許可する場合、通行判定処理の結果(通行判定結果)が「正常」であると判定し、利用者の通行を許可しない場合、通行判定結果が「異常」であると判定する。
【0063】
券処理部49は、通行判定結果に基づいて、書込部72により券に情報を書き込む(ステップS20)。ただし、投入された券への情報の書き込みが不要である場合、券処理部49は、搬送される券に対する書込部72による情報の書き込みを省略する。
【0064】
また、システムコントローラ41のプロセッサ51は、通行判定結果に基づいて、ドア駆動機構50によりドア制御を行う(ステップS21)。具体的には、プロセッサ51は、通行判定結果が「正常」である場合、ドア駆動機構50によりドアを駆動して開くことにより利用者の通路の通行を促す。また、プロセッサ51は、通行判定結果が「異常」である場合、ドア駆動機構50によりドアを駆動して閉じることにより、通路を塞ぎ、利用者の通路の通行を防ぐ。
【0065】
さらに、システムコントローラ41のプロセッサ51は、投入された券に対する処理結果を示す情報(処理結果情報)をメモリ52に保存する(ステップS22)。プロセッサ51は、個々の利用者が投入する単数または複数の券を1つの処理単位とし、処理単位ごとの処理結果情報をメモリ52に蓄積する。
【0066】
メモリ52に保存される処理結果情報は、投入枚数を厚さの検知結果から推定するために用いる閾値(投入枚数の判定用閾値)を調整(保守)するための情報である。すなわち、処理結果情報は、投入枚数の判定用閾値を調整するために保守員が確認する情報(ディスプレイに表示する情報)である。また、処理結果情報は、処理状況に応じて投入枚数の判定用閾値の推奨値をプロセッサ51が算出するための情報である。
【0067】
例えば、プロセッサ51は、処理結果情報として、厚さの検出結果、通行判定結果、投入枚数の判定結果、および、分離枚数の判定結果(実際に検知した券の数)などを示す情報をメモリ52に保存する。また、プロセッサ51は、処理結果情報として、さらに分離した各券の大きさ(券種)を示す情報を保存するようにしても良い。また、プロセッサ51は、処理結果情報として、処理を実行した時刻、処理を実行した時間帯、入場駅、出場駅、当該改札機10の種類を示す情報、当該改札機10が設置された地域を示す情報などの情報のうちいずれかまたは複数を付加して保存するようにしても良い。
【0068】
図5は、メモリ52に保存する処理結果情報の例を示す図である。
図5に示す例では、処理結果情報として、厚さ(厚さ検出結果)、通行判定結果、投入枚数、および、分離枚数、券種を保存する。
厚さは、厚さセンサ47が検出した検出結果を示す情報である。厚さ検出結果は、厚さセンサ47が出力するセンサ値である。通行判定結果は、当該券による通行の判定結果を示す。通行判定結果は、通行が許可されたことを示す「正常」、または、通行が不可とされたことを示す「異常」のいずれかとなる。投入枚数は、厚さの検知結果と投入枚数の判定用閾値とに基づいて判定される投入された券の数である。分離枚数は、分離機構45によって分離処理された後の券の数である。分離枚数は、分離機構45を通過した後に通過センサ48が実際に検知した券の数である。
【0069】
券種は、分離機構45によって分離処理された後の券の種類を示す情報である。
図5に示す例では、通過センサ48による各券の検知結果から判定される券の大きさを券種として保存する。また、券種としては、大きさ以外の特徴で分類するものであっても良い。なお、券種ごとに処理結果を分析する必要がなければ、券種を示す情報は処理結果として保存しなくても良い。
【0070】
また、プロセッサ51は、処理結果情報として、厚さの検出結果、通行判定結果、投入枚数の判定結果、および、分離枚数の判定結果(実際に検知した券の数)などの組み合わせに基づいて分類した区分情報を厚さの検知結果に対応づけた情報をメモリ52に保存するようにしても良い。区分情報は、厚さの検出結果、通行判定結果、投入枚数、および、分離枚数などの情報から分類されるものであれば良い。区分情報は、厚さの検出結果、通行判定結果、投入枚数の判定結果、および、分離枚数の判定結果(実際に検知した券の数)などから保守作業を行う場合に特定されていれば良く、保守作業の開始が指示された場合に上述した情報などから分類するようにしても良い。
【0071】
図6は、処理結果の分類(区分情報の生成)に用いられる区分情報テーブルの例を示す図である。
図6に示す区分情報テーブルでは、通行判定結果と、投入枚数と分離枚数との比較結果(枚数比較結果)との組み合わせに対応する区分情報を示す。
区分情報は、通行判定結果と枚数比較結果との組み合せに応じて設定された分類を示す情報である。
【0072】
枚数比較結果は、厚さセンサの検知結果と設定されている投入枚数の判定用閾値)とから判定された投入枚数と分離処理後に実際に検出された券の枚数(分離枚数)との比較結果である。
図6に示す例において、枚数比較結果としては、分離枚数に対して投入枚数を多く検知したか、分離枚数に対して投入枚数を少なく検知したか、投入枚数と分離枚数とが一致するかなどの判定結果が示される。
【0073】
枚数比較結果が「一致(分離枚数と投入枚数とが一致)」である場合、実際に投入された券の数が厚さの検知結果から投入枚数として正しく判定されたとすることができる。例えば、複数の券が重ねられて一括投入された場合であれば、一括投入された複数の券が正しく分離機構45により分離できたと推定することができる。
【0074】
また、枚数比較結果が「多く検知(分離枚数に対して投入枚数が多い)」である場合、厚さの検知結果から判定された投入枚数が実際の券の数よりも多いと判定されたものと推定することができる。例えば、実際に投入された券が1枚(分離枚数が1枚)である場合に、厚さ検知結果と閾値との比較から判定した投入枚数が2枚と判定されたケースが想定される。
【0075】
また、枚数比較結果が「少なく検知(分離枚数に対して投入枚数が少ない)」である場合、厚さの検知結果から判定された投入枚数は、実際の券の枚数よりも少ないと判定されたものと推定することができる。例えば、実際に投入された券が2枚(分離枚数が2枚)である場合に、厚さ検知結果と閾値との比較から判定した投入枚数が1枚と判定されたケースが想定される。
【0076】
図6に示す例においては、通行判定結果が「正常」である場合、枚数比較結果に応じて3つの区分(「区分A(正・同)」、「区分B(正・多)」、「区分C(正・少)」)のいずれかに分類される。
図6に示す区分情報テーブルによれば、通行判定結果が「正常」であり、かつ、枚数比較結果が「一致(分離枚数に対して投入枚数が一致)」である場合、区分情報は、「区分A(正・同)」に分類される。
また、通行判定結果が「正常」であり、かつ、枚数比較結果が「多く検知(分離枚数に対して投入枚数が多い)」である場合、区分情報は、「区分B(正・多)」に分類される。
また、通行判定結果が「正常」であり、かつ、枚数比較結果が「少なく検知(分離枚数に対して投入枚数が少ない)」である場合、区分情報は、「区分C(正・少)」に分類される。
【0077】
また、
図6に示す例においては、通行判定結果が「異常」である場合、枚数比較結果に応じて3つの区分(「区分D(異・同)」、「区分E(異・多)」、「区分F(異・少)」)のいずれかに分類される。
【0078】
具体的には、
図6に示す区分情報テーブルによれば、通行判定結果が「異常」であり、かつ、枚数比較結果が「一致(分離枚数に対して投入枚数が一致)」である場合、区分情報は、「区分D(異・同)」に分類される。
また、通行判定結果が「異常」であり、かつ、枚数比較結果が「多く検知(分離枚数に対して投入枚数が多い)」である場合、区分情報は、「区分E(異・多)」に分類される。
また、通行判定結果が「異常」であり、かつ、枚数比較結果が「少なく検知(分離枚数に対して投入枚数が少ない)」である場合、区分情報は、「区分F(異・少)」に分類される。
【0079】
図7は、上述したような区分情報テーブルに基づいて特定される区分情報と厚さの検知結果とを対応づけた処理結果情報の例を示す図である。
図7は、
図5に示す処理結果情報を
図6に示す区分情報テーブルに基づいて分類した区分情報と厚さの検知結果とを対応づけた処理結果情報の例を示す。例えば、プロセッサ51は、処理を実行するごとに、厚さの検出結果、通行判定結果、投入枚数および分離枚数に基づく区分情報を特定し、区分情報と厚さの検知結果とを対応させた処理結果情報をメモリ52に記憶する。
【0080】
また、
図7に示す処理結果情報には、
図5に示すような各券の券種を示す情報を付加するようにしても良い。さらに、
図7に示す処理結果情報には、処理時刻または時間帯などの情報を付加するようにしても良い。
なお、プロセッサ51は、処理を実行するごとに、厚さの検出結果、通行判定結果、投入枚数および分離枚数を処理結果情報としてメモリ52に記憶しておき、保守作業を実行する場合に上述したような区分情報を特定するようにしても良い。
【0081】
次に、実施形態に係る改札機10における厚さセンサ47の検知結果に対する投入枚数の判定用閾値を調整する保守処理(閾値の調整処理)について説明する。
保守処理は、保守員が改札機10の保守パネル53または保守端末30を操作することにより実施される。例えば、保守員が保守パネル53の操作部55または保守端末30の操作部83により保守処理(閾値の調整)の実行を指示すると、後述する保守処理が実施される。
【0082】
図8は、実施形態に係る改札機10における投入枚数の判定用閾値の調整を含む保守処理を説明するためのフローチャートである。
ここで、
図8に示すような後述する保守処理は、改札機10のシステムコントローラ41が主体となって実施するものとして説明する。ただし、保守処理は、改札機10から処理結果情報を取得する保守端末30のシステムコントローラ81が主体となって実施するようにしても良いし、保守パネル53が備える制御部(保守パネルのシステムコントローラ)が主体となって実施するようにしても良い。
【0083】
改札機10において、保守員が保守パネル53の操作部55により保守処理を指示すると、システムコントローラ41のプロセッサ51は、投入枚数の判定用閾値の調整を含む保守処理を開始する。保守処理を開始すると、プロセッサ51は、メモリ52に保存している処理結果情報を読み込む(ステップS31)。ここで、メモリ52に保存されている処理結果情報が
図5に示すような情報であれば、プロセッサ51は、
図6に示すような区分情報テーブルを参照して区分情報を分類し、区分情報と厚さの検知結果とを対応づけた
図7に示すような処理結果情報(保守用レポート)を生成することにより、区分情報と厚さの検知結果とを対応づけた処理結果情報を読み出すようにしても良い。
【0084】
また、プロセッサ51は、予め設定された条件または保守員が指定する条件に基づいて抽出する処理結果情報をメモリ52から読み出すようにしても良い。例えば、期間が指定された場合、プロセッサ51は、指定された期間に行われた処理の処理結果情報を抽出してメモリ52から読み出す。また、券種の組み合わせが指定された場合、プロセッサ51は、指定された券種の組み合わせとなる処理結果情報を抽出し、メモリ52から読み出す。
【0085】
プロセッサ51は、区分情報と厚さの検知結果とを対応づけた処理結果情報を読み出すと、読み出した情報に基づいて厚さ検出結果と区分情報とに関するグラフを含む表示データ(画面表示用データ)を生成する(ステップS32)。例えば、プロセッサ51は、厚さ検出結果と区分情報とをグラフィカルに表示するグラフとして、厚さ検出結果ごとの区分情報の件数(データ数)を示すヒストグラムを生成する。また、プロセッサ51は、現在設定されている投入枚数の判定用閾値を厚さ検出結果ごとの区分情報の数を示すヒストグラムなどのグラフ上に表示する表示データを生成する。
【0086】
さらに、プロセッサ51は、読み出した処理結果情報に基づいて閾値(投入枚数の判定用閾値)として設定することを推奨する推奨値を算出する(ステップS33)。例えば、プロセッサ51は、投入枚数の判定用閾値とする複数の閾値ごとに推奨値を算出する。推奨値としては、投入枚数(厚さセンサ47のセンサ値から判定される券の数)が分離枚数(分離処理後に実際に検知された券の数)よりも少なくなることが最小限(例えば、区分Fが最小)となるような閾値を推奨値として算出するようにしても良い。
【0087】
また、推奨値としては、通行判定が「異常」と判定される件数が最も少なくなるような閾値を算出しても良いし、投入枚数と分離枚数とができるだけ多く一致するような閾値を算出しても良い。また、推奨値は、現在設定されている閾値と同じ値であっても良いし、現在設定されている閾値に対する変化量として算出するようにしても良い。なお、ステップS33の処理は、省略して推奨値を提示しないようにしても良い。
【0088】
推奨値を算出した場合、プロセッサ51は、グラフ(ヒストグラム)、投入枚数の判定用閾値および推奨値を含む保守画面(保守情報)を保守パネル53または保守端末30に表示させる(ステップS34)。例えば、プロセッサ51は、グラフ(ヒストグラム)、現在設定されている投入枚数の判定用閾値、および、算出した推奨値などを含む保守画面を保守パネル53のディスプレイ54に表示させる。また、プロセッサ51は、グラフ(ヒストグラム)、現在設定されている投入枚数の判定用閾値、および、算出した推奨値などを含む保守画面を通信インタフェース22を介して接続される保守端末30のディスプレイ84に表示させても良い。
【0089】
プロセッサ51は、グラフ等を表示した状態において、保守員による投入枚数の判定用閾値の変更指示を受け付ける(ステップS35)。保守員は、投入枚数の判定用閾値を変更する場合、保守パネル53の操作部55に閾値の変更指示を入力する。また、通信インタフェース42を介して保守端末30を接続している場合、保守員は、保守端末30の操作部83に閾値の変更指示を入力するようにしても良い。
【0090】
プロセッサ51は、投入枚数の判定用閾値を変更する旨の指示が入力されない場合、あるいは、閾値を変更しない旨の指示が入力された場合(ステップS35、NO)、
図8に示す一連の保守処理を終了する。
【0091】
また、プロセッサ51は、投入枚数の判定用閾値を変更する旨の指示が入力された場合(ステップS35、YES)、操作指示に応じて変更後の閾値を決定する(ステップS36)。例えば、保守パネル53の操作部55には、投入枚数の判定用閾値のうち指定された閾値に対する変更後の値が入力される。プロセッサ51は、指定された閾値に対する変更後の値が入力された場合、メモリ52に記憶している指定された閾値を操作部55に入力された変更後の値に更新する。また、保守パネル53の操作部55には、ディスプレイ54に表示した推奨値に変更する旨の指示が入力されるようにしても良い。指定された閾値を推奨値に変更することが指定された場合、プロセッサ51は、メモリ52に記憶している指定された閾値を推奨値に更新するようにすれば良い。
【0092】
次に、保守パネル53のディスプレイ54または保守端末30のディスプレイ84に表示するグラフを含む保守画面(閾値の調整画面)の例について説明する。
図9は、改札機10における処理結果情報から作成される厚さの検出結果(厚さ検知結果)と区分情報とに関するグラフを含む保守画面の表示例を示す図である。
図9に示す例において、保守画面として表示するグラフは、厚さの検知結果ごとに各区分情報の件数(データ数)を集計したヒストグラムである。
図9に示すグラフ(ヒストグラム)において、横軸は、厚さ検出結果(厚さセンサ47が検知したセンサ値)を示す。
図9に示すグラフ(ヒストグラム)において、縦軸は、厚さの検知結果ごとに集計した各区分情報のデータ数(頻度)を示す。
【0093】
図9に示すヒストグラムは、視覚的に判別可能な状態で、各厚さの検知結果(センサ値)における各区分情報のデータ数を表示している。また、
図9に示す保守画面においては、ヒストグラムと共に投入枚数の判定用閾値を表示する。具体的には、投入枚数の判定用閾値として設定されている第1閾値、第2閾値および第3閾値がヒストグラム上に表示されている。
【0094】
図9に示すヒストグラムにおいて、厚さの検出結果が第1閾値以上第2閾値未満のデータは、投入枚数が1枚であると判定されたデータ数(件数)を示す。厚さの検出結果が第2閾値以上第3閾値未満のデータは、投入枚数が2枚であると判定されたデータ数(件数)を示す。厚さ検出結果が第3閾値以上のデータは、投入枚数が3枚であると判定されたデータ数(件数)を示す。
【0095】
プロセッサ51は、保守パネル53の操作部55または保守端末30の操作部83に入力される操作指示に応じて、特定の区分情報を保守画面におけるヒストグラムに表示させるか否かを切り替えることができるようにしても良い。例えば、プロセッサ51は、保守パネル53の操作部55または保守端末30の操作部83に入力される操作指示に応じて、保守画面において、指定した区分情報を除いたヒストグラム、あるいは、指定した区分情報のヒストグラムを表示させるようにしても良い。
【0096】
図10は、
図9に示すヒストグラムから「区分A」の情報を除いたヒストグラムを含む保守画面の表示例を示す図である。
図10に示すヒストグラムは、「区分B」、「区分C」、「区分D」、「区分E」、および「区分F」のいずれかに該当するデータを集計したグラフである。
図5に示す区分テーブルによれば、「区分A」は、通行判定結果が「正常」で、かつ、投入枚数の判定結果と分離枚数とが一致した場合である。すなわち、「区分A」は、現在の制定内容で通行判定および投入枚数の判定が共に正常であった場合であるから、「区分A」以外のデータをヒストグラムで表示することで、何らかの異常または不一致があった処理結果の集計結果を保守員に提示することができる。
【0097】
例えば、「区分F」は、利用者が投入した複数枚の券に対して分離処理が正しく行われず、券処理部49によって券からの情報の読取が正しく行われていなかった可能性がある。すなわち、「区分F」は、本来通行判定結果が正常になるケースにおいて、重なった券に対して分離処理が正しく行われず、通行判定結果が異常になる可能性があるデータを含む。
【0098】
このため、投入枚数の判定用閾値は、「区分F」のデータが生じないように設定するようにしても良い。この場合、実際の運用例として、保守員は、
図9または
図10の保守画面を確認し、「区分F」のデータが生じないように閾値を指定し、指定した閾値を指定した値に変更する操作を行う。具体的には、保守員は、閾値近傍に「区分F」のデータが存在する場合、「区分F」のデータの厚さ検出結果よりも低い値に閾値を変更するための操作を操作部55または操作部83により行う。
【0099】
図10に示す例では、第2閾値近傍の厚さ検出結果が厚さ「29」および厚さ「30」であるデータの中に、「区分F」のデータが含まれている。このため、保守員は、第2閾値を厚さ「29」より低い値(変更値)に変更するための操作指示を操作部55または操作部83を用いて入力する。このような操作に応じて、システムコントローラ41のプロセッサ51は、投入枚数の判定用閾値における第2閾値に対する変更値(変更後の閾値)として保守員が入力する厚さ「29」より低い値を変更後の閾値として受け付ける。改札機10のシステムコントローラ41のプロセッサ51は、保守員が指定する変更後の閾値を受け付けると、メモリ52の投入枚数の判定用閾値における第2閾値を変更後の閾値に更新する。これにより、改札機10は、「区分F」となるような処理が少なくなるような投入枚数の判定用閾値を設定することができる。
【0100】
しかしながら、第2閾値が低すぎると、実際に投入された券が1枚であっても投入枚数が2枚と判定されるケースが多くなる可能性が高くなる。投入枚数が複数であれば、分離機構45は、上述したような分離処理(一方のローラを搬送方向に回転させ、他方のローラを逆方向または停止させる)を実行する。分離機構45は、実際に投入された券が1枚であっても、上述した分離処理で1枚の券を搬送方向へ搬送することができるが、分離処理の回数が嵩み、スループットの低下を招くことがある。
【0101】
このため、保守員は、「区分F」のケースを少なくし、かつ、分離処理の回数が嵩まないように閾値を設定することも考えられる。このような状況に鑑みて、保守員は、運用形態に応じて、スループットの優先または「区分F」の排除の優先のいずれかを想定して変更後の閾値を指定するようにすれば良い。
【0102】
また、プロセッサ51は、スループットを優先した閾値の推奨値を算出して表示するようにしても良いし、「区分F」の排除を優先した閾値の推奨値を算出して表示するようにしても良い。さらには、プロセッサ51は、スループットの優先と「区分F」の排除の優先とを保守員の指示に応じて切り替え、保守員の指示に応じて各閾値に対する推奨値を算出するようにしても良い。
【0103】
なお、券処理装置としての改札機10のプロセッサ51は、処理結果情報に処理時刻を付加した処理結果情報をメモリ52に保存するようにしても良い。処理結果情報に処理時刻を示す情報が付加されている場合、プロセッサ51は、時間的な条件で絞り込んだ処理結果情報に基づいて、
図7および
図8に示されるようなヒストグラム(グラフ)を含む保守情報をディスプレイ54または83に表示させるようにしても良い。
【0104】
これにより、例えば、長期間の間に収集した処理結果情報から生成したヒストグラムでは顕著に現れられない変化が、特定の期間で処理された処理結果情報から生成したヒストグラムでは容易に視認できるように表示できる可能性がある。逆に、特定の期間の処理結果情報に基づくヒストグラムには現れない変化が、長期間の間に収集した処理結果情報に基づくヒストグラムに容易に視認できるように表示される可能性がある。さらに、特定の時間帯で絞り込んだ処理結果情報に基づくヒストグラムに特徴的な変化が現れることも有り得る。すなわち、実施形態に係る改札機は、処理が実行された時間を条件として絞り込んだ処理結果情報に基づいて生成したヒストグラムなどのグラフを保守情報としてディスプレイに表示するができる。これにより、保守員の要望にあった保守作業を効率良く支援できるような保守情報を提供することができる。
【0105】
また、券処理装置としての改札機10のプロセッサ51は、
図5に示すように実施に検知した各券の券種を示す情報を含む処理結果情報をメモリ52に保存するようにしても良い。プロセッサ51は、指定される券種の組み合わせで絞り込んだ処理結果情報に基づいて、
図9または
図10に示されるようなヒストグラム(グラフ)を含む保守情報をディスプレイ54または83に表示させるようにしても良い。つまり、プロセッサ51は、特定の組み合わせ(例えば、小型と大型、小型と小型、大型と大型など)の券となっている処理結果情報を抽出することにより、特定の組み合わせの券が投入された場合のヒストグラム(グラフ)を含む保守情報をディスプレイ54または83に表示させることができる。
【0106】
これにより、保守員は、特定の券種の組み合わせとなる券が投入された場合の処理状況をディスプレイに表示されたヒストグラムなどのグラフを含む保守情報によって簡単に視認することができる。この結果、保守員は、券の組み合わせに応じた処理状況をふまえて保守作業を行うことができる。
【0107】
以上のように、実施形態に係る券処理装置としての改札機は、メモリ、搬送機構、厚さセンサ、分離機構、通過センサ、および、プロセッサを備える。メモリは、情報を記憶する。搬送機構は、券を搬送する。厚さセンサは、搬送される券の厚さを検出する。分離機構は、厚さセンサによる厚さ検出結果と設定されている閾値とに基づいて判定される投入枚数に応じた駆動制御によって搬送される券を1枚ずつに分離させる。通過センサは、分離機構によって分離された1枚ずつの券が搬送される搬送経路において各券の通過を検出する。プロセッサは、厚さ検出結果と通過センサの検出結果に基づく分離枚数とを対応づけた処理結果情報をメモリに記憶し、メモリに記憶した処理結果情報に基づいて厚さ検出結果と分離枚数との関係を示す保守情報をディスプレイに表示させる。
【0108】
これにより、実施形態に係る券処理装置としての改札機は、現在設定されている投入枚数の判定用閾値と投入された券に対する厚さ検知結果を含む処理結果情報とを確認するための保守情報(保守画面)をディスプレイに表示することができる。これにより、保守員は、個々の改札機10について、処理結果情報を確認しながら、投入枚数の判定用閾値の変更や厚さセンサの調整などを行うことができる。
【0109】
また、実施形態に係る改札機において、プロセッサは、通過センサの検出結果に基づいて実際に分離機構によって分離された分離枚数を判定(決定)する。プロセッサは、投入枚数の判定結果と分離枚数と通行判定の結果である通行判定結果との組み合わせに基づく区分情報を特定する。プロセッサは、区分情報と厚さ検出結果とを対応づけたグラフを含む保守情報(保守画面)をディスプレイに表示させる。
【0110】
これにより、保守員は、過去の処理結果に対する区分情報と厚さ検出結果と閾値との関係を示すグラフを簡単に確認することができる。この結果として、保守員は、ディスプレイに表示された保守情報を確認して閾値の変更の要否を判断したり、変更値を指示したりすることができる。
【0111】
また、実施形態に係る改札機は、厚さ検出結果ごとの各区分情報の件数を示すヒストグラムを含む保守情報(保守画面)をディスプレイに表示させる。これにより、保守員は、過去の処理結果において、厚さ検知結果に対して、どのような区分情報がどのような頻度で発生したかを簡単に視認できる。この結果、保守員は、投入枚数の判定用閾値の調整を簡易に行うことができる。
【0112】
(変形例)
上述した実施形態に係る改札機では、保守パネルまたは保守端末のディスプレイにグラフ等を含む保守画面を表示し、保守員による投入枚数の判定用閾値に対する変更の指示を受け付けるようにした。このような実施形態に対する変形例としては、保守員による操作指示なしで、改札機が処理結果情報から算出する推奨値を投入枚数の判定用閾値として設定(閾値の自動更新)するものである。
【0113】
ここで、変形例に係る改札機は、
図1および
図2に示すような構成で実現できるものであるため、構成についての詳細な説明を省略するものとする。また、以下の説明においては、
図1および
図2に示すような構成を備える改札機10で変形例を実現する例について説明するものとする。
【0114】
すなわち、変形例に係る改札機10は、蓄積した処理結果情報から算出する推奨値を投入枚数の判定用閾値として適宜設定する。例えば、プロセッサ51は、所定のタイミング(例えば、所定時刻、または所定周期)に
図8に示すS31およびS33の処理を実行し、算出した推奨値を投入枚数の判定用閾値として設定するようにする。
【0115】
これにより、改札機10は、保守員による保守作業なしで、所定のタイミングで処理結果情報から算出する値に投入枚数の判定用閾値を更新することができるようになる。この結果として、改札機は、保守員によるメンテナスなしで、厚さセンサの経年変化などに対応した調整を実施することができる。
【0116】
また、上述したような変形例としての閾値の自動更新を実施する場合、プロセッサ51は、投入枚数の判定用閾値を更新した内容を示す履歴情報(変更日時、変更前の値など)をメモリ52に保存しておくようにしても良い。この場合、プロセッサ51は、操作部55または保守端末30の操作部85への操作指示に応じてメモリ52に保存した投入枚数の判定用閾値の更新履歴をディスプレイ54またはディスプレイ84に表示する。これにより、保守員が任意のタイミングで改札機10における投入枚数の判定用閾値の更新履歴を確認することができる。
【0117】
以上のように、変形例に係る券処理装置としての改札機は、保守員による操作指示なしで、蓄積する処理結果情報から算出する推奨値を投入枚数の判定用閾値として設定する。これにより、変形例に係る改札機によれば、保守員による操作指示なしで、投入枚数の判定用閾値を処理結果情報から算出する推奨値に随時更新することできる。この結果として、メンテナンスフリーで処理結果に応じて投入枚数の判定用閾値が更新される改札機を提供できる。
【0118】
ただし、経時変化によって物理的な位置ずれが大きくなると、物理的な調整を行う必要が生じる場合が有り得る。このため、所定の条件(例えば、1~2週間などの所定期間)内では上述したような判定用閾値の更新(自動調整)を実行し、所定の条件を超えると、保守員に対して警告を発報するようにしても良い。これにより、所定の条件内では自動調整によって調整しながら、所定の条件を超えると保守員による調整を促すという運用が可能となる。この結果、自動調整によって券処理装置としての改札機による投入枚数の判定用閾値の調整を行うことによって保守員による人的な調整作業(保守作業)の頻度を低減させながら、保守員による物理的な調整を含む保守作業を効率良く実施することが可能となる。
【0119】
なお、上述の各実施の形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
10…改札機(券処理装置)、30…保守端末、41…システムコントローラ、42…通信インタフェース(第1の通信インタフェース)、43…ディスプレイ、44…搬送機構、45…分離機構、46…整列機構、47…厚さセンサ、48…通過センサ、49…券処理部、50…ドア駆動機構、51…プロセッサ(第1のプロセッサ)、52…メモリ、61…取込機構、62…第1搬送路、63…第2搬送路、64…第3搬送路、65…排出機構、71…読取部、81…システムコントローラ、82…通信インタフェース(第2の通信インタフェース)、83…操作部、84…ディスプレイ、91…プロセッサ(第2のプロセッサ)、92…メモリ。