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特許7547271シート体、取付体、及び、シート体の取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】シート体、取付体、及び、シート体の取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/033 20060101AFI20240902BHJP
   F16L 59/147 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F16L55/033
F16L59/147
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021056325
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022153209
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100203460
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】加納 一啓
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04898492(US,A)
【文献】実開平04-050794(JP,U)
【文献】実開昭64-025597(JP,U)
【文献】中国実用新案第211649511(CN,U)
【文献】特開平11-030389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/033
F16L 59/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の平行な辺を有するシート本体を配管材に巻き付ける場合に用いられる取付体であって、
前記一対の平行な辺のうちの一方の辺に取り付け可能な第1取付部を備える第1取付体と、
前記一対の平行な辺のうちの他方の辺に取り付け可能な第2取付部を備える第2取付体と、を備え、
前記第1取付体には、前記一方の辺に取り付けられた場合にその一方の辺に沿って連続する係合凸部が設けられており、
前記第2取付体には、前記他方の辺に取り付けられた場合にその他方の辺に沿って連続する、前記係合凸部と係合可能な係合凹部が設けられており、
前記係合凸部及び前記係合凹部は、前記シート本体の前記辺の端面の延長先で係合するように設けられており、
前記第1取付体及び前記第2取付体は、前記シート本体の端縁の外側に当接する外側当接片と、内側に当接する内側当接片と、を備え、
前記外側当接片と前記内側当接片との間に前記シート本体の前記辺の端部が挿入可能であり、
前記シート本体とともに前記外側当接片と前記内側当接片とを貫通する貫通体によって前記シート本体に固定されるものであり、
前記第1取付体及び前記第2取付体が前記シート本体に取り付けられてそのシート本体が前記配管材に巻き付けられた場合に、前記係合凸部と前記係合凹部との係合により、前記シート本体の前記配管材に巻き付けられた状態を維持可能である、取付体。
【請求項2】
前記係合凸部と前記係合凹部は、前記配管材の径方向への相対近接移動により係合する、請求項1に記載の取付体。
【請求項3】
前記シート本体は、弾性変形可能であり、
前記シート本体が厚み方向に弾性圧縮変形をした状態で、前記係合凹部と前記係合凸部とが係合する、請求項2に記載の取付体。
【請求項4】
前記外側当接片及び前記内側当接片は、前記辺に沿って連続して設けられており、
前記貫通体は、塑性変形可能な金属で形成されており、前記外側当接片及び前記内側当接片の連続する方向に間隔を空けて取り付けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の取付体。
【請求項5】
前記外側当接片及び前記内側当接片は、前記配管材の外周面に沿うように弧状に延出している、請求項1~4のいずれか1項に記載の取付体。
【請求項6】
前記シート本体に請求項1~5のいずれか1項に記載の取付体が取り付けられているシート体。
【請求項7】
配管材に対するシート体の取り付け方法であって、
前記シート体は、
一対の平行な辺を有し、弾性変形可能なシート本体と、
前記シート本体と別体に設けられており、前記一対の平行な辺のうちの一方の辺に取り付けられている第1取付体と、
前記シート本体と別体に設けられており、前記一対の平行な辺のうちの他方の辺に取り付けられている第2取付体と、を備え、
前記第1取付体には、前記一方の辺に沿って連続する係合凸部が設けられており、
前記第2取付体には、前記他方の辺に沿って連続する、前記係合凸部と係合可能な係合凹部が設けられており、
前記シート本体を前記配管材に巻き付け、前記シート本体を厚み方向に弾性圧縮変形させたうえで、前記第1取付体と前記第2取付体とを前記配管材の径方向へ向けて相対近接移動させて前記係合凸部と前記係合凹部とを係合させるものであり、
前記係合凸部と前記係合凹部との係合により、前記シート本体の前記配管材に巻き付けられた状態を維持可能である、シート体の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管材に巻き付けられて使用されるシート体、及び、そのシート体を配管材に巻き付ける際に使用される取付体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管材の内部を流体が流れることで発生する騒音を低減すべく、その配管材に防音シートを巻き付けたり、配管材の内部の流体と外気との熱交換を抑制すべく、その配管材に断熱シートを巻き付けたりすることが行われている。配管材に防音シートや耐熱シートを巻き付ける場合には、巻き付け施工を容易とすることが求められている。防音シートの巻き付け工程を簡略化したものとして、特許文献1に記載の防音シートがある。特許文献1に記載の防音シートは、防音シートにスナップボタンを設け、そのスナップボタンを用いて巻き付けるものとしているため、施工が容易になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-008340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の防音シートでは、スナップボタンにより容易に取り付けることができるものの、取り付けの際にはスナップボタンの位置合わせが必要であり、防音シートの取り付け工程の容易化には改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、配管材への取り付けがより容易なシート体、及び、そのシート体を配管材に巻き付ける際に使用される取付体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の構成は、配管材に巻き付けられて使用されるシート体であって、一対の平行な辺を有するシート本体と、前記シート本体と別体に設けられており、前記一対の平行な辺のうちの一方の辺に取り付けられている第1取付体と、前記シート本体と別体に設けられており、前記一対の平行な辺のうちの他方の辺に取り付けられている第2取付体と、を備え、前記第1取付体には、前記一方の辺に沿って連続する係合凸部が設けられており、前記第2取付体には、前記他方の辺に沿って連続する、前記係合凸部と係合可能な係合凹部が設けられており、前記係合凸部と前記係合凹部との係合により、前記シート本体が前記配管材に巻き付けられた状態を維持可能である。
【0007】
第1の構成では、シート本体の一対の辺の長手方向の位置にずれが生じていたとしても、係合凸部と係合凹部とを係合させることができるため、シート本体の一対の辺の相対位置を調整することなくシート体を配管材に取り付けることができる。
【0008】
第2の構成は、第1の構成に加えて、前記係合凸部と前記係合凹部は、前記配管材の径方向への相対近接移動により係合する。
【0009】
シート体が配管材に巻き付けられた状態において、シート体には、配管材の周方向に離間する力が加わりやすい。一方、シート体の内周面は配管材により支持されている状態であるため、径方向へ離間する力は加わりにくい。第2の構成では、離間する力が加わりにくい径方向への相対近接移動により係合凸部と係合凹部とを係合させているため、係合状態の解除を抑制することができる。加えて、周方向への力が加わることにより、係合凸部と係合凹部との当接力が増すため、より好適に係合状態を維持することができる。
【0010】
第3の構成は、第2の構成に加えて、前記シート本体は、弾性圧縮変形可能であり、前記シート本体が厚み方向に前記弾性圧縮変形をした状態で、前記係合凹部と前記係合凸部とが係合する。
【0011】
第3の構成では、係合凹部と係合凸部の係合状態を解除するためには、シート本体を弾性圧縮変形させる必要があるため、係合凹部と係合凸部の分離をより好適に抑制することができる。加えて、シート本体が厚み方向に弾性圧縮変形した状態で、係合凸部と係合凹部との係合状態が維持されるのであれば、その係合状態の解除にはさらに弾性圧縮変形させる必要があり、係合状態の維持をより好適に行うことができる。
【0012】
第4の構成は、第1~第3のいずれかの構成に加えて、前記係合凸部及び前記係合凹部は、前記シート本体の前記辺の端面の延長先で係合するように設けられており、前記各取付体は、前記シート本体の外面及び内面の少なくとも一方に沿うように延出する当接片を有し、前記シート本体とともに当該当接片を貫通する貫通体によって前記シート本体に固定されている。
【0013】
第4の構成では、接着剤を用いることなくシート本体に当接片を取り付けることができるため、シート本体への当接片の取り付け工程を簡略化することができる。
【0014】
第5の構成は、第4の構成に加えて、前記当接片は、前記辺に沿って連続して設けられており、前記貫通体は、塑性変形可能な金属で形成されており、前記当接片の連続する方向に間隔を空けて取り付けられている。
【0015】
第5の構成では、ホッチキスの針等を用いてシート本体に第1,2取付体を取り付けることができるため、シート本体への取付体の取り付け工程をより簡略化することができる。
【0016】
第6の構成は、第4又は第5の構成に加えて、前記当接片は、前記シート本体の端縁の外側に当接する外側当接片と、内側に当接する内側当接片と、からなり、前記両当接片の間に前記シート本体の前記辺の端部が挿入されている。
【0017】
第6の構成では、貫通体が貫通する箇所の強度を向上させることができる。
【0018】
第7の構成は、第4~第6のいずれかの構成に加えて、前記当接片は、前記配管材の外周面に沿うように弧状に延出している。
【0019】
第7の構成では、可撓性を有するシート本体に加えて当接片も配管材に沿わせることができるため、当接片と配管材との間に隙間が生じづらくなり、シート本体が有する機能の低下を抑制でき、且つ、見栄えを向上させることができる。
【0020】
第8の構成は、一対の平行な辺を有するシート本体を配管材に巻き付ける場合に用いられる取付体であって、前記一対の平行な辺のうちの一方の辺に取り付け可能な第1取付部を備える第1取付体と、前記一対の平行な辺のうちの他方の辺に取り付け可能な第2取付部を備える第2取付体と、を備え、前記第1取付体には、前記一方の辺に取り付けられた場合に前記一方の辺に沿って連続する係合凸部が設けられており、前記第2取付体には、前記一方の辺に取り付けられた場合に前記他方の辺に沿って連続する、前記係合凸部と係合可能な係合凹部が設けられており、前記第1取付体及び前記第2取付体が前記シート本体に取り付けられ、前記シート本体が前記配管材に巻き付けられた場合に、前記係合凸部と前記係合凹部との係合により、前記シート本体が前記配管材に巻き付けられた状態を維持可能である。
【0021】
第8の構成では、シート本体に取付体を取り付けてシート体とすることで、第1の構成と同等の効果を奏するシート体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】シート体の使用状態を示す斜視図である。
図2】シート体の斜視図である。
図3】シート体の平面図である。
図4】シート体の正面図である。
図5】第1取付体の拡大正面図である。
図6】第2取付体の拡大正面図である。
図7】A-A線拡大断面図である。
図8】シート体の取り付け方を説明する図である。
図9】シート体の取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態>
実施形態に係るシート体10は、図1に示すように、円筒形の配管材100に巻き付けられて用いられるものである。配管材100は、屋内等に配設されているものであり、内部を液体等の流体が流通可能となっている。以下の説明では、配管材100に巻き付けられた場合に配管材100の長手方向となる方向を前後方向とし、シート体10の厚み方向、すなわち、配管材100に巻き付けられた場合に配管材100の径方向となる方向を上下方向とする。また、シート体10の左右方向は配管材100に巻き付けられた場合の周方向となる。
【0024】
シート体10は、図1~4に示すように、シート本体20を備えている。このシート本体20は平面視にて矩形状であり、左右一対の平行な辺を備え、所定の厚みを有している。このシート本体20は、合成ゴムで形成されており可撓性を有する保護材21と、保護材21よりも厚く弾性変形が可能なフェルトで形成されている防音材22とにより構成されている。保護材21及び防音材22はそれぞれ厚みが略均一であり、上下方向に積層され、接着剤により張り合わせられている。
【0025】
シート本体20には、第1取付体30及び第2取付体40が取り付けられてシート体10が構成される。まず、第1取付体30について図5を参照して説明する。第1取付体30は、前後方向に延びる長尺状の部材であり、シート本体20よりも硬質の樹脂で形成されている。第1取付体30の断面形状は、前後方向のいずれの位置においても略均一である。第1取付体30は、右方向へ延び、上下幅が左右方向に亘って略均一な外側当接片31を備えている。この外側当接片31はやや湾曲しており、その曲率は、配管材100の曲率と略等しい。また、外側当接片31の右端寄りには上方から下方へ向けて窪んだ矩形の溝31aが設けられている。
【0026】
外側当接片31の左端には、下方へ向けて略垂直に延び、左右方向の厚みが略均一な区画壁32が設けられている。この区画壁32の下端には、右方向へ延び、上下幅が左右方向に亘って略均一な内側当接片33が設けられている。この内側当接片33はやや湾曲しており、その曲率は、配管材100の曲率と略等しい。この内側当接片33の左端側には、上方へ向けて窪んだ段差部33aが形成されている。この段差部33aの上下幅は、外側当接片31の厚みと略等しい。この段差部33aが設けられることで、内側当接片33の左端側の上面には上方へ隆起した左端隆起部33bが形成されている。この左端隆起部33bの右側には、中間部33cを挟んで、上方へ向けて左端隆起部33bと略等しい量だけ隆起した中央隆起部33dが形成されている。中間部33cの上面と外側当接片31の下面との幅は、シート本体20の厚みと略等しい。すなわち、左端隆起部33b及び中央隆起部33dの上面と外側当接片31の下面との幅は、シート本体20の厚みよりも狭くなっている。また、中央隆起部33dが設けられることで、内側当接片33の下面には、上方へ向けて窪んだ窪部33eが形成されている。
【0027】
区画壁32の上端には、左へ向けて延び、上下幅が略均一な係合部34が設けられている。この係合部34はやや湾曲しており、その曲率は配管材100の曲率と略等しい。また、係合部34の上面は、外側当接片31の上面と連続する曲面を形成している。係合部34の左右方向の略中央には、下方へ向かって略垂直に延びる係合凸部35が設けられている。この係合凸部35の左右幅は、上端から中間位置のやや下方までは略均一であり、下端近傍はやや拡幅されている。また、係合凸部35の左側面から区画壁32の右側面までの長さは、シート本体20の厚みよりもやや小さい。また、係合部34の係合凸部35よりも左側に突出している部分の左右方向の長さは、段差部33aの左右方向の長さと略等しい。
【0028】
区画壁32、係合部34、係合凸部35が以上のように設けられることにより、これら区画壁32、係合部34、係合凸部35に囲まれた領域である係合凹部36が形成されている。係合凸部35の下端近傍が拡幅されているため、係合凹部36は上端から中間位置のやや下方までは左右幅が略均一であり、下端近傍はやや狭まっている。
【0029】
続いて、第2取付体40について図6を参照して説明する。第2取付体40は、第1取付体30と同様に前後方向に延びる長尺状の部材であり、第1取付体30と同じ樹脂で形成されている。第2取付体40の断面形状は、前後方向のいずれの位置においても略均一である。第2取付体40は、左方向へ延び、上下幅が左右方向に亘って略均一な外側当接片41を備えている。この外側当接片41はやや湾曲しており、その曲率は、配管材100の曲率と略等しい。外側当接片41の左端寄りには上方から下方へ向けて窪んだ矩形の溝41aが設けられている。また、外側当接片41の右端には、上方から下方へ向けて段差状に窪んだ段差部41bが設けられている。この段差部41bの左右幅は、第1取付体30に設けられている段差部33aの左右幅と略等しい。この段差部41bが設けられることで、外側当接片41の右端側の下面には下方へ隆起した右端隆起部41cが形成されている。
【0030】
外側当接片41の左端には、下方へ向けて略垂直に延び、左右方向の厚みが略均一な区画壁42が設けられている。この区画壁42の下端には、左方向へ延び、上下幅が左右方向に亘って略均一な内側当接片43が設けられている。この内側当接片43はやや湾曲しており、その曲率は、配管材100の曲率と略等しい。内側当接片43には、左へ向けて延びる中間部43aと、その中間部43aの左側に形成されている上方へ向けて隆起した中央隆起部43bが形成されている。中間部43aの上面と外側当接片41の下面との幅は、シート本体20の厚みと略等しい。すなわち、中央隆起部43bの上面と外側当接片41の下面との幅は、シート本体20の厚みよりも狭くなっている。また、中央隆起部43bが設けられることで、内側当接片43の下面には、上方へ向けて窪んだ窪部43cが形成されている。
【0031】
区画壁42の下端には、右へ向けて延び、上下幅が略均一な係合部44が設けられている。この係合部44はやや湾曲しており、その曲率は配管材100の曲率と略等しい。また、係合部44の下面は、内側当接片43の下面と連続する曲面を形成している。係合部44の左右方向の略中央には、上方へ向かって略垂直に延びる係合凸部45が設けられている。この係合凸部45の左右幅は、下端から中間位置のやや上方までは略均一であり、上端近傍はやや拡幅されている。また、係合凸部45の右側面から区画壁42の左側面までの長さは、シート本体20の厚みよりもやや小さい。加えて、係合部44の係合凸部45よりも左側に突出している部分の左右方向の長さは、段差部41bの左右方向の長さと略等しい。
【0032】
区画壁42、係合部44、係合凸部45が以上のように設けられることにより、これら区画壁42、係合部44、係合凸部45に囲まれた領域である係合凹部46が形成されている。係合凸部45の上端近傍が拡幅されているため、係合凹部46は下端から中間位置のやや上方までは左右幅が略均一であり、上端近傍はやや狭まっている。
【0033】
以上のように構成されている第1取付体30及び第2取付体40がシート本体20に取り付けられる場合について、図7を参照して説明する。シート本体20の左側の辺には、第1取付体30が左側から取り付けられ、シート本体20の右側の辺には、第2取付体40が右側から取り付けられる。第1取付体30の外側当接片31の下面がシート本体20の上面に当接し、内側当接片33の上面がシート本体20の下面に当接し、区画壁32の右側面がシート本体20の左側面に当接する。このとき、シート本体20は左端隆起部33b及び中央隆起部33dに押圧されて弾性変形する。なお、外側当接片31及び内側当接片33によりシート本体20に対して第1取付体30が取り付けられるため、外側当接片31及び内側当接片33を纏めて第1取付部と称することができる。
【0034】
同様に、第2取付体40の外側当接片41の下面がシート本体20の上面に当接し、内側当接片43の上面がシート本体20の下面に当接し、区画壁42の左側面がシート本体20の右側面に当接する。このとき、シート本体20は右端隆起部41c及び中央隆起部43bに押圧されて弾性変形する。なお、外側当接片41及び内側当接片43によりシート本体20に対して第2取付体40が取り付けられるため、外側当接片41及び内側当接片43を纏めて第2取付部と称することができる。
【0035】
シート本体20の左右一対の平行な辺のそれぞれに第1取付体30及び第2取付体40が取り付けられた後、ホッチキスの針50により、第1取付体30及び第2取付体40が固定される。ホッチキスの針50は、溝部31a,41aに沿うように、上側から挿入される。溝部31a,41aから外側当接片31,41を貫通した針50は、シート本体20の保護材21及び防音材22を貫通し、続いて下側当接片33,43を貫通し、下側当接片33,43の窪部33e,43cから外部へと露出する。そして、その窪部33e,43cに沿うように前後方向へ折り曲げられることで、シート本体20に対して第1取付体30及び第2取付体40が固定される。このホッチキスの針50は、溝部31a,41aの延在方向に沿って、間隔を空けつつ複数取り付けられている。
【0036】
以上のように構成されるシート体10の配管材100への取り付け方について、図8及び図9を参照して説明する。シート体10は、防音材22側が配管材100の外周に当接するように巻き付けられ、第2取付体40の内側当接片43及び係合部44の下面は配管材100の外周に当接する。続いて、第1取付体30を周方向へやや引っ張ることでシート体20を厚み方向に弾性圧縮変形させ、第1取付体30を第2取付体40の上部に位置させる。そして、第1取付体30を第2取付体40の上側から被せて配管材100の径方向へ向けて相対近接移動させ、第1取付体30の係合凸部35を第2取付体40の係合凹部46に対して上側から嵌め込んで係合させ、第2取付体40の係合凸部45を第1取付体30の係合凹部36に対して下側から嵌め込んで係合させる。
【0037】
係合凸部35,45と係合凹部36,46を係合させる際に、係合凸部35,45は先端側がやや拡幅した形状であり、係合凹部36,46は底側がやや拡幅した形状であるため、係合凸部35,45が係合凹部36,46の入口をやや押し広げつつ入り込み、係合凸部35,45の先端が係合凹部36,46の底に至れば、係合凸部35,45の拡幅している部分が係合凹部36,46の両側面に当接する。このとき、シート本体20の弾性変形状態から元に戻ろうとする力が当接箇所に印加され、係合凸部35,45と係合凹部36,46との摩擦力により係合状態が維持される。なお、第1取付体30と第2取付体40とを纏めて、シート本体20の取り付けに用いられる取付体と称することもできる。
【0038】
以上のようにして第1取付体30と第2取付体40とが係合するうえで、第1取付体30の係合部34の先端側は、第2取付体40の段差部41bに嵌まり込み、第2取付体40の係合部44の先端側は、第1取付体30の段差部33aに嵌まり込む。また、第1取付体30の区画壁32のシート本体20に当接している側面から、第2取付体40の区画壁42のシート本体20に当接している側面までの長さは、シート本体20の厚み以下となっている。第1取付体30及び第2取付体40からなる取付体の、シート本体20の外周縁からの突出長は、シート本体20の厚み以下となっている。
【0039】
配管材100からシート体10を取り外す場合には、係合凸部35,45と係合凹部36,46との摩擦力を低減すべく、シート本体20の平行な一対の辺をより近接させるべく、シート本体20を厚み方向にさらに弾性圧縮変形させる。そして、係合凸部35,45と係合凹部36,46との摩擦力が低減すれば、第1取付体30を上方へ向けて押し上げ、第1取付体30と第2取付体40とを離間させて係合状態を解除すればよい。
【0040】
上記構成により、本実施形態に係るシート体10は、以下の効果を奏する。
【0041】
・シート体10を配管材100に巻き付ける際に、シート本体20の一対の辺の長手方向の位置にずれが生じていたとしても、係合凸部35,45と係合凹部36,46とを係合させることができるため、シート本体20の一対の辺の相対位置を調整することなくシート体10を配管材100に取り付けることができる。
【0042】
・シート体10が配管材100に巻き付けられた状態において、シート体10には、配管材100の周方向に離間する力が加わりやすい。一方、シート体10の内周面は配管材100により支持されている状態であるため、径方向へ離間する力は加わりにくい。本実施形態では、離間する力が加わりにくい径方向への相対近接移動により係合凸部35,45と係合凹部36,46とを係合させているため、係合状態の解除を抑制することができる。加えて、周方向への力が加わることにより、係合凸部35,45と係合凹部36,46との当接力が増すため、より好適に係合状態を維持することができる。
【0043】
・係合凹部36,46と係合凸部35,45の係合状態を解除するためには、シート本体20を厚み方向にさらに弾性圧縮変形させる必要があるため、係合凹部36,46と係合凸部35,45の分離をより好適に抑制することができる。
【0044】
・ホッチキスの針50を用いてシート本体20に第1,2取付体30,40を取り付けることができるため、シート本体20への取付体の取り付け工程をより簡略化することができる、
【0045】
・シート本体20が外側当接片31,41と内側当接片33,43に挟まれた状態でホッチキスの針50を貫通させているため、ホッチキスの針50が貫通した状態においても強度を維持することができる。
【0046】
・内側当接片33,43が弧状であるため配管材100に沿わせることができ、内側当接片33,43と配管材100との間に隙間が生じづらくなり、シート本体20が有する防音機能の低下を抑制できる。
【0047】
・内側当接片33,43が弧状であるため、内側当接片33,43が配管材100から浮き上がることがなく、且つ、外側当接片31,41も弧状であるため、シート本体20と連続する弧をなす外観形状となり見栄えを向上させることができる。
【0048】
・第1取付体30及び第2取付体40からなる取付体のシート本体20の外周縁からの突出長が、シート本体20の厚み以下であるため、取付体はシート本体20に対して相対的に小さく、見栄えを向上させることができる。
【0049】
<変形例>
・実施形態では、シート本体20が防音材22を備えるものとし、配管材100において発生する騒音を抑制することを目的としてシート体10を配管材100に巻き付けるものとしたが、シート本体20が備える機能はこれに限られない。例えば、シート本体20が断熱材を備えるものとし、シート体10を配管材100に巻き付けることで配管材100から発生する熱から周囲を保護したり、周囲で発生する熱から配管材100を保護したりするものとしてもよい。また、シート本体20が防音機能と断熱機能とを備える等、複数の機能を備えるものとしてもよい。
【0050】
・実施形態ではシート本体20の形状を矩形状としたが、第1取付体30及び第2取付体40を取り付ける一対の平行な辺を備えていれば、他の形状であってもよい。例えば、平行四辺形のシート本体20を配管材100に巻き付けるものとし、対向する2辺に第1,2取付体30,40を取り付けるものとすればよい。また、平行な2辺以外は曲線状の辺であってもよい。
【0051】
・平行な2辺については長さが異なっていてもよい。この場合には、辺の長さに応じて第1,2取付体30,40の長さを調整してもよい。この場合においても、係合凸部35,45及び係合凹部36,46は長手方向に連続する同形状であるため、実施形態と同様に第1,2取付体30,40を係合させることができる。
【0052】
・実施形態では、ホッチキスの針50を用いてシート本体20に対して第1,2取付体30,40を取り付けるものとしたが、リベットやグロメット等の他の塑性変形可能な金属を用いてもよい。また、第1,2取付体30,40よりも硬質の樹脂をシート本体20及び第1,2取付体30,40に貫通させることで取り付けるものとしてもよいし、糸などを用いてシート本体20と第1,2取付体30,40とを縫合してもよいし、接着や溶着を行ったりしてもよい。
【0053】
・第1,2取付体30,40が外側当接片31,41及び内側当接片33,43を備えないものとしてもよい。この場合には、係合凸部35,45及び係合凹部36,46を備える部材をシート本体20の平行な一対の辺の側面に接着などにより取り付けるものとすればよい。
【0054】
・第1,2取付体30,40が外側当接片31,41及び内側当接片33,43の一方のみを備えるものとしてもよい。この場合においても、ホッチキスの針50等の貫通体等を用いて第1,2取付体30,40をシート本体20に固定することができる。
【0055】
・外側当接片31,41及び内側当接片33,43について、長手方向に連続して設けられるものとしているが、所定の間隔を空けつつ複数設けるものとしてもよい。この場合においても、ホッチキスの針50等の貫通体等を用いて第1,2取付体30,40をシート本体20に固定することができる。
【0056】
・実施形態では、第1,2取付体30,40の両方に係合凸部35,45及び係合凹部36,46を設けるものとしたが、第1,2取付体30,40の一方のみに係合凸部35,45を設け、他方のみに係合凹部36,46を設けるものとしてもよい。
【0057】
・実施形態では、円筒状の配管材100にシート体10を巻き付けるものとしたが、配管材100の形状は四角筒状等、他の形状であってもよい。配管材100の形状が平行な側面を備えるものであれば、外側当接片31,41及び内側当接片33,43、及び係合部34,44の形状を弧状とせず平面状とすれば、シート体10全体が配管材100の側面に沿うこととなり、実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0058】
・実施形態では、第1取付体30と第2取付体40とが係合している状態において、シート本体20の厚み方向への弾性圧縮状態が維持されるものとしたが、第1取付体30と第2取付体40と係合させる際にはシート本体20を厚み方向に弾性圧縮変形させ、係合状態では弾性圧縮状態から元の状態へと復帰するものとしてもよい。この場合においても、係合状態を解除するためにはシート本体20を再度弾性圧縮変形させる必要が生ずるため、第1取付体30と第2取付体40との予期しない分離を抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
シート体…10,シート本体…20,第1取付体…30、外側当接片…31、区画壁…32,内側当接片…33,係合部…34,係合凸部…35,係合凹部…36,第2取付体…40,外側当接片…41、区画壁…42,内側当接片…43,係合部…44,係合凸部…45,係合凹部…46,ホッチキスの針…50,配管材…100
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