(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】収束マルチビーム照明のためのVCSELレーザを使用した粒子場イメージングおよび特性評価
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20240902BHJP
H01S 5/183 20060101ALI20240902BHJP
G01N 15/0205 20240101ALI20240902BHJP
【FI】
G01N21/17 A
H01S5/183
G01N15/0205
(21)【出願番号】P 2021509952
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 US2019028781
(87)【国際公開番号】W WO2019209866
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-22
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520415719
【氏名又は名称】アルティウム テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】バカロ ウィリアム ディー
(72)【発明者】
【氏名】ペイン グレゴリー エー
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム カリード
(72)【発明者】
【氏名】フィドリッチ マイケル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マニン ジュリアン
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0045634(US,A1)
【文献】特開2016-224034(JP,A)
【文献】特開2015-040727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/61
G01N 15/00-15/1492
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビームイメージングを提供するための装置であって、
第1の光ビーム及び第2の光ビームを含む複数の光ビームを生成するための第1の垂直共振器面発光レーザアレイ及び第2の垂直共振器面発光レーザアレイを備える複数の垂直共振器面発光レーザアレイであって、前記第1の垂直共振器面発光レーザアレイは、前記第1の光ビームを生成する第1の複数の垂直共振器面発光レーザを備え、前記第2の垂直共振器面発光レーザアレイは、交差角において前記第1の光ビームと収束する前記第2の光ビームを生成する第2の複数の垂直共振器面発光レーザを備え、粒子場内に測定ボリュームを形成し、イメージングシステムの撮像面上の前記測定ボリュームに関連付けられた背景照明の均一性を提供するように構成される、複数の垂直共振器面発光レーザアレイと、
前記複数の垂直共振器面発光レーザアレイのうち少なくとも一つに結合された撮像光学系と、
デジタルカメラであって、
前記デジタルカメラは前記デジタルカメラの焦点面において前記測定ボリュームを通過する第一の粒子の第一の影画像を取得するために前記撮像光学系に結合され、
前記第1の複数の垂直共振器面発光レーザの前記第1の光ビーム
と、前記第2の複数の垂直共振器面発光レーザの前記第2の光ビーム
との前記交差角は前記測定ボリュームの外側の他の粒子の影画像を除去するように調整され、
前記複数の垂直共振器面発光レーザアレイの前記第1の複数の垂直共振器面発光レーザの少なくとも1つの角度は、前記イメージングシステムの前記撮像面上の前記測定ボリュームの背景照明の前記均一性を増加させるように調整される、デジタルカメラと、
前記デジタルカメラに結合されたプロセッサと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記第一の影画像と前記背景照明との間のコントラストは前記焦点面の外側の第二の粒子の第二の影画像と前記背景照明との間のコントラストよりも大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の光ビームの各々は少なくとも二つの垂直共振器面発光レーザにより生成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の垂直共振器面発光レーザは少なくとも六つの垂直共振器面発光レーザを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の垂直共振器面発光レーザは同一の波長を生成するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の光ビームの各々は7度以下のビーム発散角を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の垂直共振器面発光レーザの出力電力は少なくとも750mWである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
プロセッサは前記背景照明を監視するように構成され、前記プロセッサは前記第一の影画像を取得するために監視された背景照明に基づいて前記複数の垂直共振器面発光レーザのうち少なくとも一つの強度を調整するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサは前記背景照明から前記第一の影画像を決定するように構成され、前記プロセッサは前記第一の影画像に基づいて前記第一の粒子を識別するように構成され、前記プロセッサは前記第一の影画像に基づいて識別された第一の粒子の大きさを決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の垂直共振器面発光レーザのうち少なくとも一つはパルスビームを生成するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の垂直共振器面発光レーザに結合されたトリガ光源をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
粒子のマルチビームイメージングを提供するための方法であって、
第1の垂直共振器面発光レーザアレイ及び第2の垂直共振器面発光レーザアレイを備える複数の垂直共振器面発光レーザアレイを使用して粒子場内に測定ボリュームを形成するために互いに収束する第1の光ビーム及び第2の光ビームを含む複数の光ビームを生成することであって、前記第1の垂直共振器面発光レーザアレイは、前記第1の光ビームを生成する第1の複数の垂直共振器面発光レーザを備え、前記第2の垂直共振器面発光レーザアレイは、交差角において前記第1の光ビームと収束する前記第2の光ビームを生成する第2の複数の垂直共振器面発光レーザを備え、イメージングシステムの撮像面上の前記測定ボリュームの背景照明の均一性を提供するように構成される、ことと、
デジタルカメラにより前記デジタルカメラの焦点面において測定ボリュームを通過する第一の粒子の第一の影画像を取得することであって、前記第1の光ビーム及び前記第2の光ビームの前記交差角は前記測定ボリュームの外側の他の粒子の影画像を除去するために調整され、前記第1の複数の垂直共振器面発光レーザの少なくとも1つの角度は、前記イメージングシステムの前記撮像面上の前記測定ボリュームの背景照明の前記均一性を増加させるように調整される、取得することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記焦点面の外側の第二の粒子の第二の影画像を生成すること、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の影画像と前記背景照明との間のコントラストを決定すること、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の光ビームの各々は少なくとも二つの垂直共振器面発光レーザにより生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の垂直共振器面発光レーザは同一の波長を生成するように構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記背景照明を監視することと、
前記第一の影画像を取得するために監視された背景照明に基づいて前記複数の垂直共振器面発光レーザのうち少なくとも一つを調整することと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記背景照明から前記第一の影画像を決定することと、
前記第一の影画像に基づいて前記第一の粒子を識別することと、
前記第一の影画像に基づいて識別された第一の粒子の大きさを決定することと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
トリガ信号を前記複数の垂直共振器面発光レーザに送信することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
非一時的な機械可読媒体であって、
データ処理システムによりアクセスされたときに、前記データ処理システムに請求項13-19のいずれか一項に記載の方法を実行させるプログラムを格納した、非一時的な機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は「MULTIPLE BEAM AND CONVERGENT LIGHT ILLUMINATION CROSSED-BEAM IMAGING」と題された、2016年2月17日に出願された国際出願第PCT/US2016/018352号の米国特許法第371条の下での米国国内段階出願である2017年8月18日に出願された米国特許出願第15/552,263号に関連し、2015年2月20日に出願された米国仮特許出願第62/118,962号に基づく優先権の利益を主張するものである。
【0002】
[政府のライセンス権]
本発明は米国航空宇宙局(NASA)により授与された契約番号NNX1CC65Pに基づく政府の支援を受けてなされたものである。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
[技術分野]
本発明の実施形態は粒子イメージングに関する。特には、本発明の実施形態は収束光を使用する粒子のイメージングに関する。
【背景技術】
【0004】
非常に広範囲の工業プロセスは不規則な形状およびサイズの液滴および固体粒子を使用する。研削用粉末、医療用吸入器、およびスプレー式塗装はまさにこれらのいくつかの例である。溶射および他のスプレーにより製造されるコーティングを含む工業プロセスは典型的に粒子パラメータ、例えば、粒子サイズ、形状、速度、および空間内の位置の決定を伴う。航空機が着氷する区域は氷の結晶および氷の粒子の存在下で過冷却された水滴(球状の凍結した液滴)を伴う。既存の技術はこれらの粒子のサイズを正確かつ確実に測定することができない。さらに、既存の技術は氷の粒子および氷の結晶から液滴を分離することができない。
【0005】
既存の粒子イメージング技術は照明用のアークフラッシュランプ、パルスレーザ、およびパルスLEDを使用する明視野イメージングを組み入れることを含む。これらの技術は典型的に粒子の影画像を記録するために電荷結合素子(「CCD」)カメラまたは相補型金属酸化物半導体(「CMOS」)カメラを使用する。これらの技術は典型的に粒子場を照らすために拡散器を備えるコリメート光またはほぼコリメート光を使用する。しかしながら、これらの技術では、典型的に、相対的に高密度の粒子場条件の下で焦点の合わない粒子により焦点の合っている粒子の影画像の検出および測定を複雑にする影が生成される。加えて、光ビーム経路内のより大きな粒子はサンプルボリュームでより小さな粒子画像の損失を引き起こす光ビームを消滅させるかまたは覆い隠す可能性がある。このような画像の損失はサンプリング統計において容認できないバイアスをもたらす。
【0006】
典型的に、粒子イメージング技術に使用されるレーザは端面発光レーザダイオードである。端面発光レーザダイオードは一般的にウエハからダイシングされた劈開されたバーで構成される。空気と半導体材料との間の高い屈折率の結果として、劈開されたバーのファセットは鏡として振る舞う。端面発光レーザダイオードの場合、光は活性層に平行に振動し、横から出て楕円形のレーザビームプロファイルをもたらす。
【0007】
残念ながら、既存の粒子イメージング技術に使用されるレーザにより特徴およびスペックルの周辺に目に見える回折リングが生成される。レーザ放射の回折リングおよびスペックルは見通し内(line-of-sight)顕微鏡検査に有害である。レーザ放射のスペックルおよび回折は画質および背景光強度分布を低下させ、ノイズが多く不均一になる。
【発明の概要】
【0008】
粒子のマルチビームイメージングを提供するための方法および装置が説明される。一実施形態では、粒子のマルチビームイメージングを提供するための装置は粒子場内に測定ボリューム(a measurement volume)を形成するために互いに収束する複数の光ビームを生成するように構成された複数の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を含む。複数のVCSELは測定ボリュームの背景照明の均一性を提供するように構成される。撮像光学系は複数のVCSELのうち少なくとも一つと結合される。デジタルカメラはデジタルカメラの焦点面において測定ボリュームを通過する粒子の影画像を取得するために撮像光学系に結合される。プロセッサはデジタルカメラに結合される。
【0009】
一実施形態では、粒子場内に測定ボリュームを形成するために互いに収束する複数の光ビームは測定ボリュームの背景照明の均一性を提供するために複数の垂直共振器面発光レーザを使用して生成される。デジタルカメラの焦点面における測定ボリュームを通過する粒子の影画像が取得される。
【0010】
ある実施形態では、非一時的な機械可読媒体は、データ処理装置によりアクセスされると、測定ボリュームの背景照明の均一性を提供するために複数の垂直共振器面発光レーザを使用して粒子場内に測定ボリュームを形成するために互いに収束する複数の光ビームを生成すること、および第一のデジタルカメラの焦点面において測定ボリュームを通過する粒子の影画像を取得することを含む粒子をイメージングするための方法をデータ処理システムに実行させるデータを備える。
【0011】
本発明の実施形態の他の特徴および利点が、添付図面および以下に続く詳細な説明から明らかになるであろう。
【0012】
本発明は例として示されており添付図面の図に限定するものではなく、同様の参照記号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】複数の垂直共振器面発光レーザ光源(VCSEL)を使用してマルチビームイメージングを提供するための装置の一実施形態の概略図を示す。
【
図2】別の実施形態による、VCSELを使用してイメージングするための装置の概略図を示す。
【
図3A】幅広いサイズ能力を提供するための二つのカメラを備える複数のVCSELを使用してマルチビームイメージングを提供するためのシステムの一実施形態を示す図である。
【
図3B】一実施形態による、カメラモードでのマルチビームHSIイメージングのための同期サンプリングを例示するタイミング図である。
【
図3C】一実施形態による、トリガモードでのマルチビームHSIイメージングのためのサンプリングを例示するタイミング図である。
【
図4】一実施形態による、マルチビーム照明システムを例示する図である。
【
図5A】一実施形態による、マルチビーム粒子イメージングシステムの垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)光源の概略的なレイアウトを例示する図である。
【
図5B】一実施形態による、VCSEL光源により生成される光ビームプロファイルの一例を示す図である。
【
図5C】イメージングシステムの焦点面から異なる距離で測定ボリュームを通過する粒子のマルチビーム照明画像の例を示す図である。
【
図6A】一実施形態による、VCSELアレイの二次元照明プロファイルおよびLEDシステムの二次元照明プロファイルを例示する図である。
【
図6B】一実施形態による、マルチビームイメージングシステムのVCSEL光源の測定されたパルスプロファイルを示す図である。
【
図6C】一実施形態による、スイッチング性能に関するVCSELシステムの特徴的な性質を例示する表の図である。
【
図6D】一実施形態による、マルチビームイメージングシステムのVCSELアレイの測定されたスペクトルを示す図である。
【
図7A】一実施形態による、マルチビームイメージングシステムのVCSELアレイの放出区域の写真である。
【
図7B】一実施形態による、シーンがLED光源により照らされている時に長距離顕微鏡によりキャプチャされる解像度チャートおよびシーンがVCSEL光源により照らされている時に長距離顕微鏡によりキャプチャされる解像度チャートを示す図である。
【
図8】一実施形態による、撮像光学系の焦点面の外側の粒子の影がどのようにして重なり合わないかを例示する概略図である。
【
図9A】一実施形態による、マルチビームイメージング装置のVCSEL光源により生成される収束ビームにより照らされる背景901の画像を示す
図900である。
【
図9B】一実施形態による、マルチビームイメージング装置のVCSEL照明を使用して生成される単分散液滴の画像を示す図である。
【
図9C】別の実施形態による、マルチビームイメージング装置のVCSEL照明を使用して生成される単分散液滴の画像を示す図である。
【
図10】一実施形態による、マルチビームイメージング装置のVCSEL照明を使用して生成される高密度スプレー画像を示す図である。
【
図11】一実施形態による、マルチビームダイオードレーザを使用して照らされる希薄な粒子場の画像を示す図である。
【
図12】一実施形態による、マルチビームダイオードレーザを使用して照らされる高密度粒子場1201の画像を示す図である。
【
図13】粒子をイメージングするためのシステムの別の実施形態を示す図である。
【
図14】一実施形態による、粒子のマルチビームイメージングを提供するための方法のフローチャートを示す。
【
図15】別の実施形態による、粒子のマルチビームイメージングを提供するための方法のフローチャートを示す。
【
図16A】粒子をイメージングするためのシステムの一実施形態を例示する。
【
図16B】粒子をイメージングするためのシステムの一実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
複数の垂直共振器面発光レーザを使用して粒子のマルチビームイメージングを提供するための方法および装置が説明される。「粒子(particle)」という用語は、本明細書において液滴、気泡、または任意の他の物体を指すことに留意されたい。粒子は球形、変形した球形、または任意の他の形状を有することができる。粒子は液体、固体材料、気泡、またはそれらの任意の組合せを備えることができる。
【0015】
一実施形態では、粒子をイメージングするための装置は粒子場を通って伝搬する複数の光ビームを生成するための複数の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を含む。複数のVCSELは粒子場内に測定ボリュームを形成するために互いに収束する。複数のVCSELは測定ボリュームの背景照明の均一性を提供するように構成される。撮像光学系は複数のVCSELのうち少なくとも一つに結合される。デジタルカメラはデジタルカメラの焦点面において測定ボリュームを通過する粒子の影画像を取得するために撮像光学系に結合される。プロセッサはデジタルカメラに結合される。VCSEL光源は均一でレーザスペックルのない高品質な照明を提供するための粒子のマルチビームイメージングのために使用される。VCSELは製造コストが低く、端面発光レーザダイオードと比較して信頼性が高い。現在、VCSELはデータ通信、ローカルエリアネットワークおよび顔認識システムにおいてのみ使用されている。
【0016】
典型的に、イメージング技術のための照明光源として使用されるレーザダイオードはレーザ固有の特性、例えば、画質を低下させる回折およびスペックルを有する。粒子マルチビームイメージングのためのVCSELのアレイの使用は有利には回折およびスペックルを減少させ、既存の技術と比較して粒子測定ボリュームの背景照明の均一性を増加させる。
【0017】
図1は複数の垂直共振器面発光レーザ光源(VCSEL)を使用してマルチビームイメージングを提供するための装置100の一実施形態の概略図を示している。装置100は、測定ボリューム113に関連付けられたイメージングシステムの撮像面124上の背景の照明128の均一性を提供するため、および撮像面124内の焦点の合わない影を除去するために、粒子場103内の測定ボリューム113を形成するために互いに収束する複数の照明光ビームを生成するための複数のVCSEL光源(例えば、VCSEL光源141およびVCSEL光源142)を備える(例えば、VCSEL光源141は照明光ビーム101を生成するように構成され、VCSEL光源142は照明光ビーム102を生成するように構成される)。
図1に示されるように、背景128上の異なる位置におけるVCSEL光源(141および142)の収束光ビームにより生成される照明光強度は類似であり、そのため背景128全体にわたる光強度分布は均一である。一実施形態では、以下でさらに詳細に説明されるように、背景128の照明はスペックルおよび回折パターンが実質的にない。以下でさらに詳細に説明されるように、撮像光学系は複数の垂直共振器面発光レーザのうち少なくとも一つに結合される。以下でさらに詳細に説明されるように、デジタルカメラはデジタルカメラの焦点面127において測定ボリューム113を通過する粒子の影画像を取得するために撮像光学系に結合される。以下でさらに詳細に説明されるように、プロセッサはデジタルカメラに結合される。
【0018】
一実施形態では、複数の収束光ビーム101および102の各々は少なくとも二つのVCSELにより生成される。一実施形態では、VCSEL光源141および142の各々はVCSELのアレイを含む。一実施形態では、以下でさらに詳細に説明されるように、複数の収束光ビーム101および102を生成するVCSELのうち少なくともいくつかは垂直共振器面発光レーザアレイの一部である。一実施形態では、VCSELのアレイは複数の収束光ビーム101および102のうち少なくとも一つを生成するように構成される。一実施形態では、収束光ビーム101および102のうち少なくとも一つを生成するように構成されたVCSELのアレイは少なくとも六つのVCSELを含む。一実施形態では、以下でさらに詳細に説明されるように、光ビーム101および102のうち少なくとも一つは円形パターンに配置されたVCSELのアレイにより生成される。
【0019】
図1に示されるように、照明光ビーム101は方向107に沿って光学経路上を伝搬し、照明光ビーム102は粒子場103を通り方向109に沿って光学経路上を伝搬する。ビーム101の光学経路はビーム102の光学経路とは異なる。一実施形態では、照明光ビーム101および102は同一の波長を有する。一実施形態では、照明光ビーム101および102の波長は約650nmである。別の実施形態では、照明光ビーム101および102は異なる波長を有する。一実施形態では、VCSELにより生成される照明光ビーム101および102のうち少なくとも一つはパルスビームである。一実施形態では、以下でさらに詳細に説明されるように、粒子のマルチビームイメージングのためにVCSELにより生成されるパルス照明光ビーム101および102のうち少なくとも一つは200ピコ秒(ps)のオーダーの第一の立ち上がり時間を有する。一実施形態では、以下でさらに詳細に説明されるように、ビームは粒子の動きを「凍結(freeze)」させるために一斉にパルス化される(pulsed)。
【0020】
ある実施形態では、測定ボリュームを形成するために共通の点において交差する少なくとも二つの照明ビームは粒子をイメージングするために使用される。より具体的な実施形態では、粒子をイメージングするため、測定ボリュームを形成するために共通の点において収束するいくつかの照明光ビームはおおよそ2から12の範囲にある。
【0021】
一実施形態では、粒子のマルチビームイメージングのためのVCSEL光源はレーザスペックルを最小化する発光ダイオード(LED)のコヒーレンス波長と類似の非常に短いコヒーレンス波長を有するように構成される。一実施形態では、粒子のマルチビームイメージングのためのVCSELアレイはおおよそ約100ミリワット(mW)から1キロワット(kW)の範囲の出力電力を有する。一実施形態では、粒子のマルチビームイメージングのためのVCSELアレイは約10Wの出力電力を有する。
【0022】
一実施形態では、VCSELにより生成される複数の光ビーム101および102の各々は7度以下の全ビーム発散角を有する。一実施形態では、VCSELにより生成される複数の光ビーム101および102の各々は少なくとも750ミリワット(mW)の電力を有する。一実施形態では、マルチビーム粒子イメージングシステムのVCSELは連続動作下では約7W、パルス動作下では10Wを超えるピーク電力を出力する。
【0023】
一実施形態では、VCSELアレイチップは照明器として使用される従来のLEDをシリコンCCDまたはCMOSカメラで置き換えるように構成される。LEDに対するVCSELの利点はVCSELビームの発散角がLEDビームの発散角よりも実質的に小さいことである。一実施形態では、VCSELビームの全発散角は約16度のみである。一実施形態では、VCSELビームの全発散角はモジュラーハイパースペクトルイメージング(HSI)のような長距離での用途に理想的な約5度である。典型的に、モジュラーイメージングとはVCSEL照明システムを含む別個の送信コンポーネントおよびデジタルカメラ記録コンポーネント(CCD、CMOS)を含む別個の受信コンポーネントの使用を指す。このアプローチにより、測定されるサンプルの乱れを回避するために測定位置からのさらなる材料コンポーネントの分離が可能になる。
【0024】
一実施形態では、粒子のマルチビームイメージングに使用される一または二以上のVCSEL光源のスペックルは従来のシステムと比較して背景照明の均一性を増加させるために5%未満である。一実施形態では、粒子のマルチビームイメージングのためのVCSELにより生成される複数の光ビームにより提供される背景照明はスペックルおよび回折パターンノイズが実質的にない。
【0025】
VCSELは、特にビームをさらに均質化するための拡散器と共に使用される場合には粒子のマルチビームイメージングのための端面発光レーザよりも目に安全である。さらなる利点はVCSELデバイスが端面発光レーザよりもはるかに強力であり、強力なコリメート光ビームを有することである。VCSELデバイスは非常に高強度の光ビームを生成するが、光ビームの特徴はレーザよりもLEDのラインに沿っている。一実施形態では、粒子のマルチビームイメージングのために使用されるVCSEL光源は、有利には取付けの容易性およびコンパクト性を提供する簡潔なシリカ集積回路(IC)チップのような構成に配置される。
【0026】
VCSELデバイスは比較的高い温度で動作するそれらの能力を含む端面発光レーザダイオードに対するいくつかの利点を有し、そのため冷却システムは要求されない。航空機着氷の用途では、VCSELはプローブヒータに近い環境にある可能性があり、そのため温度の影響を受けにくいことが重要である。VCSELは単位面積あたりおよそ1200W/cm2に到達する非常に高い電力を届けることができる。VCSELはガウシアン強度分布を有するように設計されることのできる円形ビームを放出する。これによりビームを例えば回折光学素子(DOE)を使用してトップハット強度分布の付近に変換するために必要とされる光学系が簡潔になる。VCSELレーザは端面発光レーザダイオードよりも信頼性がある。典型的な故障は10億デバイス時間と予測される(推定平均故障時間(MTTF)は約100年である)。価格の面では、VCSELはLEDの価格に近付いている。VCSELは高い電力が要求されるとモノリシックの2Dアレイに容易に処理されることができる。
【0027】
別の実施形態では、粒子の収束マルチビーム照明のための照明光ビームは複数の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、発光ダイオード(LED)、他のレーザ、またはそれらの任意の組合せにより生成される。
【0028】
図1に示されるように、粒子場103は粒子104および105等の粒子を備える。照明光ビーム101および照明光ビーム102は測定ボリューム113を形成するために互いに収束する。
図1に示されるように、測定ボリューム113は光ビーム101および102が互いに重なり合う領域である。光軸106に対するビーム101の角度は108である。光軸106に対するビーム102の角度は111である。ある実施形態では、角度108および111の一方が0度である場合、角度108および111の他方は0度以外の任意の角度とすることができる。一実施形態では、ビーム交差角はイメージングシステムのf値(f#)により決定される。一般的に、f#はレンズ直径により分割されるレンズの焦点長さとして定義される。別の実施形態では、より大きなビーム交差角を使用することができるように、各ビームはセパレートレンズおよび共通の撮像面に変換される画像により検出される。
【0029】
図1に示されるように、照明光ビーム101および102は角度112で交差する。ある実施形態では、角度112は角度108と111との合計である。粒子105はデジタルカメラを含み、ビーム102の方向109に沿った個々の影115およびビーム101の方向107に沿った個々の影117を生成するイメージングシステムの焦点面127において測定ボリューム113の一部を通過する。粒子104は焦点面127から距離119離れて測定ボリューム113の一部を通過し、ビーム102の方向109に沿った個々の影114およびビーム101の方向107に沿った個々の影116を生成する。
【0030】
方向107に垂直な軸A-A’に沿った測定ボリューム113の断面
図126は個々の影116および117を備える。
図1に示されるように、方向109に垂直な軸B-B’に沿った測定ボリューム113の断面
図125は個々の影114および115を備える。粒子105の影画像121はイメージングシステムの撮像面124上に形成される。影画像121は個々の影115および117の重ね合わせとして形成される。
図1に示されるように、影画像121はビーム102および101により生成される背景128とは実質的に異なる。個々の影画像122は個々の影画像114から形成され、個々の影画像123は撮像面124上の個々の影画像116から形成される。粒子104の個々の影画像122および123は重なり合わず、また互いから、および撮像面124上の影画像121から分離される。一実施形態では、影画像121と背景128との間のコントラストは焦点面127の外側の粒子104の影画像122と背景128との間のコントラストよりも大きい。一実施形態では、粒子104の個々の影画像122および123の照明強度は背景128の照明強度と実質的に同一である。
【0031】
一実施形態では、背景128の照明強度が監視され、影画像121を取得するために監視された背景照明に基づいて複数のVCSELのうち少なくとも一つの強度が調整される。一実施形態では、影画像121と背景128との間のコントラストが測定される。一実施形態では、測定されたコントラストが所定のコントラストよりも大きいかどうかが決定される。測定されたコントラストが所定のコントラストよりも大きい場合、影画像121が背景128から検出される。コントラストが所定のコントラストよりも大きくない場合、影画像121は背景128から検出されない。粒子105は検出された影画像121に基づいて識別される。以下でさらに詳細に説明されるように、識別された粒子105のサイズは影画像121から決定される。
【0032】
ある実施形態では、影画像121からの個々の影画像122および123の各々の偏心距離は、焦点面の外側の粒子の影がカメラにおける撮像面内でずれており、深い影を形成しないであろうことを示す。撮像面内の偏心距離はサンプルボリューム内の焦点面からの粒子の距離を推定するために使用することができる。この情報は粒子が正確にサイズを決定するために十分に焦点が合っているかどうかを決定するために使用することができる。例えば、個々の影画像122と123との間の偏心距離131が決定される。例えば、個々の影画像122と撮像面124上の影画像121との間の偏心距離129が決定される。例えば、個々の影画像123と撮像面124上の影画像121との間の偏心距離130が決定される。ある実施形態では、影画像121の焦点は粒子のタイプを決定するために距離129および130に基づいて評価される。
【0033】
一実施形態では、粒子のタイプは粒子の状態、例えば、液体、固体、液体もしくは固体中の気泡、またはそれらの任意の組合せを含む。別の実施形態では、粒子のタイプは粒子の形状、例えば、球形、長円形、多面形状(例えば、三角形、長方形、正方形、ダイヤモンド、ひし形、他の多面形状)、または任意の他の粒子形状を表す。ある実施形態では、粒子情報は粒子のタイプに基づいて決定される。一実施形態では、粒子情報は粒子速度、粒子のサイズ、または任意の他の粒子情報を備える。ある実施形態では、粒子のサイズは少なくとも0.1ミクロン(「μm」)である。別の実施形態では、粒子のサイズは5ミクロン(「μm」)未満である。さらに別の実施形態では、粒子のサイズはおおよそ約5μmから約3000μmの範囲にある。ある実施形態では、以下でさらに詳細に説明されるように、複数の照明光ビームはデジタルカメラと同期している。
【0034】
図2は別の実施形態によるVCSELを使用して粒子をイメージングするための装置200の概略図を示している。装置200は測定ボリューム228に関連付けられたイメージングシステムの撮像面227上の背景231の照明の均一性を提供するため、および撮像面227内の焦点の合わない影を除去するため、粒子場内に測定ボリューム228を形成するために互いに収束する複数の照明光ビーム(例えば、照明光ビーム201、202、203、204、および205)を生成するための複数のVCSEL光源(例えば、VCSEL光源241、VCSEL光源242、VCSEL光源243、VCSEL光源244、VCSEL光源245)を備える。
図2に示されるように、VCSEL光源241は照明光ビーム201を生成するように構成され、VCSEL光源242は照明光ビーム202を生成するように構成され、VCSEL光源243は照明光ビーム203を生成するように構成され、VCSEL光源244は照明光ビーム204を生成するように構成され、VCSEL光源245は照明光ビーム205を生成するように構成される。一実施形態では、VCSEL光源241、242、243、244、および245の各々はVCSELのアレイを含む。
図2に示されるように、背景231のあらゆる位置においてVCSEL光源の収束光ビームにより生成される照明光強度は類似であり、そのため背景231全体にわたる光強度分布は均一である。以下でさらに詳細に説明されるように、一実施形態では、背景231の照明はスペックルおよび回折パターンが実質的にない。以下でさらに詳細に説明されるように、撮像光学系は複数の垂直共振器面発光レーザのうち少なくとも一つに結合される。以下でさらに詳細に説明されるように、デジタルカメラの焦点面226において測定ボリューム228を通過する粒子の影画像を取得するためにデジタルカメラは撮像光学系に結合される。以下でさらに詳細に説明されるように、プロセッサはデジタルカメラに結合される。
【0035】
一実施形態では、複数の収束光ビーム201、202、203、204、および205の各々は少なくとも二つのVCSELにより生成される。以下でさらに詳細に説明されるように、一実施形態では、複数の収束光ビーム201、202、203、204、および205を生成するVCSELのうち少なくともいくつかは垂直共振器面発光レーザアレイの一部である。一実施形態では、VCSELのアレイは複数の収束光ビーム201、202、203、204、および205のうち少なくとも一つを生成するように構成される。一実施形態では、複数の収束光ビーム201、202、203、204、および205のうち少なくとも一つを生成するように構成されたVCSELのアレイは少なくとも六つのVCSELを含む。一実施形態では、以下でさらに詳細に説明されるように、光ビーム201、202、203、204、および205のうち少なくとも一つは円形パターンに配置されたVCSELのアレイにより生成される。
【0036】
図2に示されるように、照明光ビーム201、202、203、204、および205の各々は粒子212、213、214および215等の粒子を備える粒子場を通り各方向に沿って各光学経路上を伝搬する。例えば、照明光ビーム201は方向206に沿って光学経路上を伝搬し、照明光ビーム202は方向209に沿って光学経路上を伝搬する。ある実施形態では、照明光ビーム201、202、203、204、および205の光学経路は異なる。ある実施形態では、照明光ビーム201、202、203、204、および205の波長は類似である。一実施形態では、照明光ビーム201、202、203、204、および205の波長は約650nmである。別の実施形態では、照明光ビーム201、202、203、204、および205の波長は異なる。ある実施形態では、照明光ビーム201、202、203、204、および205のうち少なくとも一つはパルスビームである。一実施形態では、以下でさらに詳細に説明されるように、粒子のマルチビームイメージングのためのVCSELにより生成されるパルス照明光ビーム201、202、203、204、および205のうち少なくとも一つは200ピコ秒(ps)のオーダーの速い立ち上がり時間を有する。一実施形態では、以下でさらに詳細に説明されるように、ビームは粒子の動きを「凍結(freeze)」させるために一斉にパルス化される。一実施形態では、粒子212および213は粒子104および105を表す。
【0037】
図2に示されるように、照明光ビーム201、202、203、204、および205はイメージングシステムの焦点面226において測定ボリューム228を形成するために収束する。
図2に示されるように、測定ボリューム228は全ての照明光ビーム201、202、203、204、および205が重なり合う領域である。照明光ビーム201、202、203、204、および205は複数の角度で互いに交差する。照明光ビーム201、202、203、204、および205の各々は光軸207に対してそれぞれの角度にある。
図2に示されるように、光軸207に対するビーム201の角度は208である。光軸207に対するビーム202の角度は211である。一実施形態では、照明光ビーム201、202、203、204、および205のうち一つが光軸207に対して0度である場合、照明光ビーム201、202、203、204、および205の他の一つはデジタルカメラ検出アレイ上で画像を生成するために使用される光学系にビームが入ることを可能にする光軸207に対して0度以外の任意の角度とすることができる。
【0038】
図2に示されるように、照明光ビーム201および202は角度229で交差する。ある実施形態では、角度229は角度208と211との合計である。焦点面226において測定ボリューム228の一部を通過する粒子212はビーム202からの個々の影219およびビーム201からの個々の影222等の、照明光ビーム201、202、203、204、および205の各々から複数の個々の影を生成する。焦点面226から距離230離れて測定ボリューム228の一部を通過する粒子213はビーム202からの個々の影218およびビーム201からの個々の影221等の、照明光ビーム201、202、203、204、および205の各々から複数の個々の影を生成する。方向206に垂直な軸A-A’に沿った測定ボリューム228の断面
図216は個々の影221および222を備える。
図2に示されるように、方向209に垂直な軸B-B’に沿った測定ボリューム228の断面
図217は個々の影219および218を備える。粒子212の影画像223はイメージングシステムの撮像面227上に形成される。影画像223は照明光ビーム201、202、203、204、および205の各々から(例えば、219および222等の)個々の影の重ね合わせとして形成される。
【0039】
図2に示されるように、影画像223は照明光ビーム201、202、203、204、および205により生成される背景231とは実質的に異なる。個々の影画像は個々の影画像224および225等の、撮像面227上の個々の影から形成される。例えば、個々の影画像224は個々の影218から形成され、個々の影画像225は個々の影216から形成される。個々の影画像の各々は撮像面227上の影画像223から距離232のところに位置する。粒子213の個々の影画像は重なり合わず、また撮像面227上の距離だけ互いに分離されている。一実施形態では、影画像223と背景227との間のコントラストは個々の影画像224および225の各々と背景231との間のコントラストよりも大きい。個々の影画像224および225の照明強度は背景231の照明強度と実質的に同一である。
【0040】
一実施形態では、背景231の照明強度が監視され、また影画像223を取得するために監視された背景照明に基づいて複数のVCSELのうち少なくとも一つの強度が調整される。一実施形態では、影画像223と背景231との間のコントラストが測定される。一実施形態では、測定されたコントラストが所定のコントラストよりも大きいかどうかが決定される。測定されたコントラストが所定のコントラストよりも大きい場合、影画像231が背景231から検出される。コントラストが所定のコントラストよりも大きくない場合、影画像231は背景231から検出されない。粒子212は検出された影画像223に基づいて識別される。以下でさらに詳細に説明されるように、識別された粒子212のサイズは影画像223から決定される。
【0041】
ある実施形態では、以下でさらに詳細に説明されるように、照明光ビームはデジタルカメラと同期する。ある実施形態では、イメージングシステムの焦点面226において測定ボリューム228を設定するため、および測定ボリューム228の外側の粒子の影画像を除去するために照明光ビームの一または二以上の交差角が調整される。ある実施形態では、測定ボリューム228の外側の粒子の影画像を除去するために照明光ビームの量が調整される。
【0042】
図3Aは複数のVCSELを使用してマルチビームイメージングを提供するためのシステム300の一実施形態を示す
図300である。システム300は送信システム301および受信システム330を備える。送信システム301は方向309に沿って動く粒子(例えば、粒子306、307、および308)を備える粒子場を通って複数の光学経路上を伝搬する照明光ビームを生成する一または二以上のVCSEL光源(例えば、VCSEL光源302およびVCSEL光源303)を含む(例えば、VCSEL光源302は照明光ビーム304を生成するように構成され、VCSEL光源303は照明光ビーム305を生成するように構成される)。一実施形態では、VCSEL光源の各々はVCSELのアレイを含む。上述のように、イメージングシステムの撮像面124上の背景照明の均一性を提供するため、および撮像面内の焦点の合わない影を除去するために、VCSEL光源により生成された照明光ビームはイメージングシステムの焦点面331において測定ボリュームを形成するために収束する。
図3の照明光ビームは
図1および2の照明光ビームにより表される。
【0043】
ある実施形態では、送信システム301はトリガ光ビーム(図示されていない)を生成するために一または二以上のVCSEL光源に結合された光源を備える。ある実施形態では、米国特許出願第15/552,263号に記載のように、粒子が測定ボリューム内で検出された場合、複数の照明光ビームを生成するためにトリガ光ビームが送信される。
【0044】
再び
図3Aを参照すると、上述のように、受信システム330は焦点面331において測定ボリュームを通過する粒子306の影画像を提供するために複数のVCSEL光源のうち少なくとも一つに結合された撮像光学系および撮像光学系に結合された一または二以上のデジタルカメラを備える。一実施形態では、複数のデジタルカメラ(例えば、デジタルカメラ316、317および310)は粒子のダイナミックレンジを調整するために使用される。一実施形態では、粒子のサイズダイナミックレンジはおよそ300:1である。
【0045】
図3Aに示されるように、受信システム330の撮像光学系は、上述のように照明光ビームの各々から粒子306の個々の影を受信するための一または二以上の受信レンズ331を備える。一または二以上の画像送信レンズ312は粒子306の個々の影画像をビームスプリッタ313に送信する。ビームスプリッタ313は粒子306の個々の影画像を備える照明光ビームを部分332および部分333に分割する。部分332はデジタルカメラ316の撮像面上の粒子306の影画像を形成するために一または二以上の集束レンズ314に送信される。部分333はデジタルカメラ317の撮像面上の粒子306の影画像を形成するために一または二以上の集束レンズ315に送信される。イメージングシステムは粒子306の個々の影画像を備える照明光ビームを部分334および部分335に分割するビームスプリッタ319を任意選択的に備えることができる。この場合、デジタルカメラ316および317の対応する撮像面上に粒子306の影画像を形成するために部分334がビームスプリッタ313に送信される。デジタルカメラ310の撮像面上に粒子306の影画像を形成するために部分335が一または二以上の集束レンズ318に送信される。一実施形態では、複数のカメラによるアプローチを使用することで様々な倍率が可能になり、広いサイズ範囲にわたって高解像度での粒子のサイジングを可能にする。
【0046】
処理システム320は受信システム330に結合される。処理システム320はプロセッサ321、メモリ322、および測定ボリュームを通過する粒子の影画像を表示させるためのディスプレイ323を備える。一実施形態では、プロセッサ321は背景照明を監視するため、および粒子の影画像を取得するために監視された背景照明に基づいて複数のVCSELのうち少なくとも一つの強度を調整するために一または二以上のデジタルカメラに結合される。
【0047】
一実施形態では、プロセッサ321は影画像と背景との間のコントラストを測定するため、および測定されたコントラストが所定のコントラストよりも大きいかどうかを決定するために一または二以上のデジタルカメラに結合される。測定されたコントラストが所定のコントラストよりも大きい場合、プロセッサ321は背景から影画像を検出するように構成される。コントラストが所定のコントラストよりも大きくない場合、プロセッサ321は背景から影画像を検出しないように構成される。プロセッサ321は検出された影画像に基づいて粒子を識別するように構成される。以下でさらに詳細に説明されるように、プロセッサ321は影画像から識別された粒子のサイズを決定するように構成される。
【0048】
別の実施形態では、以下でさらに詳細に説明されるように、プロセッサ321は評価に基づいて粒子のタイプを決定するため、および粒子のタイプに基づいて粒子情報を決定するため、影画像に基づいて粒子の被写界深度、粒子の焦点、またはその両方を評価するために、影画像を検出するように構成される。
【0049】
一実施形態では、イメージングシステムのサイズレンジは0.05μmから3000μmのダイナミックサイズレンジをカバーするように拡大される。これは高解像度で非常に高効率の画像キャプチャを用いて達成され、異なる倍率および別のCMOSカメラを使用して画像処理コンピュータに送信することができる。
【0050】
図1、2および3に示されるように、マルチビーム照明システムは共通の測定(プローブ)ボリュームに収束させるよう調整される複数の光源を含む。一実施形態では、複数の光源は25ナノ秒(ns)を下回るパルス幅に同時にパルス化され、したがって顕微鏡イメージングシステムにより分解される小さなスケールであっても粒子の動きを凍結させる。このアプローチはサンプルボリュームにおいて強力な比較的均一な照明を提供し、一方で異なるレーザ波面の位相をマージすることによりレーザスペックルおよび回折を最小化する。より均質な背景を生成することは高解像度および高画質への到達において重要である。マルチビーム照明の利点は収束レーザビームが測定ボリュームを横断する異なる光学経路に起因する。大きな粒子がサンプルボリュームの外側の一つのビームを交差している場合、粒子により生成される影は、他のビームがこの粒子により同時に影響を及ぼされないため背景照明に著しく影響を及ぼさない。ビームが交差し重なり合うところと一致するプローブボリュームにおいてイメージングシステムの被写界深度内を通過する粒子のみが鋭く深い影を形成する。焦点面の外側のプローブボリュームを通過する粒子は影が任意の瞬間および位置において一つのビームのみが現れるため深い影を生成しない。したがって、比較的密度の高いスプレーおよび非常に大きい液滴のある条件下(SLD条件)でも、焦点の合わない画像に起因する背景ノイズは最小化される。
【0051】
図4は一実施形態によるマルチビーム照明システムを例示する
図400である。複数のVCSEL光源(例えば、VCSEL光源421、VCSEL光源422、VCSEL光源423、VCSEL光源424、VCSEL光源425)は粒子405、406、および407等の粒子を備える粒子場を通り各方向に沿って各光学経路上を伝搬する複数の照明光ビーム(例えば、照明光ビーム401、402、403、404、および405)を生成する。VCSEL光源421、422、423、424、および425は
図1-3に関連して上述されたVCSEL光源を表す。粒子435、406、および407は
図1-3に関連して上述された粒子を表す。照明光ビーム401、402、403、404、および405は
図1-3に関連して説明された照明光ビームを表す。照明光ビームはイメージングシステムの焦点面において測定ボリュームを形成するために収束する。イメージングシステムの焦点面は軸A-A’に沿って伝搬する。
図4に示されるように、測定ボリュームは照明光ビームの全てが重なり合う領域である。
【0052】
イメージングシステムの焦点面において測定ボリュームの一部を通過する粒子406はイメージングシステムの撮像面上に粒子406の影画像426を形成するために重なり合う照明光ビームの各々から複数の個々の影を生成する。光軸417に垂直な軸A-A’に沿った測定ボリュームの断面
図411は影画像426を備える。焦点面A-A’の前に照明光ビーム403を通過する粒子435は照明光ビーム403から個々の影425を生成する。粒子435は照明光ビーム401および402等の他の照明光ビームから影を生成しない。光軸417に垂直な軸B-B’に沿った照明光ビームの断面
図408はビーム403から生じる個々の影425を備える。焦点面A-A’の後に照明光ビーム403および428を通過する粒子407は照明光ビーム403および428から個々の影427を生成する。粒子407は照明光ビーム401および402等の他の照明光ビームから個々の影を生成しない。光軸417に垂直な軸C-C’に沿った照明光ビームの断面
図409はビーム403および428から生じる個々の影の重ね合わせである影427を備える。
【0053】
グラフ410はCCDアレイ上の距離415に対する光強度416の一実施形態を例示している。グラフ410に示されるように、光強度416はピーク強度から完全な影まで変化する。ビームのうち少なくとも一つに交差する粒子がない場合、ピーク強度は背景条件に対応する。グラフ410に示されるように、CCDアレイの領域413内の粒子406の影画像426の光強度はCCDアレイの領域412および領域414内の光強度よりも実質的に低い。すなわち、粒子406の影画像は背景ピーク光強度および個々の影画像425および427の光強度とは実質的に異なる。
【0054】
図4に示されるように、照明光ビームは白色光照明を模倣するために測定ボリュームにおいて収束する。一実施形態では、カラーCCD(RGB)は影画像上のカラー情報を抽出するために使用される。カラー情報は粒子の影上に追加の寸法情報を提供することができる。様々なカラー照明間の遅延は(単一のレーザのダブルパルスに類似した)速度を測定するために使用されることもできる。一実施形態では、ダブルパルスイメージングは液滴およびスプレー構造のサイズおよび速度を取得するために影の粒子画像流速測定法(PIV)画像を提供するために実施される。一または二以上の照明パルスの持続期間はイメージングシステムの解像度およびターゲット粒子の速さにより当然に制限される。一実施形態では、顕微鏡イメージングの場合、約20nsの最大パルス幅が使用される(100m/sで2μmのブラー)。例えば、粒子が100m/sで動いている場合、20nsで2μm動く。これにより境界が2ミクロンぼやける。より小さな粒子の場合、ブラーを最小化するためにより短いパルス幅が使用される。一実施形態では、交差角、ビームの数、および波長等の照明光ビームのパラメータは焦点面の外側の粒子の個々の影画像が形成されることを防ぐために最適化される。
【0055】
図5Aは一実施形態によるマルチビーム粒子イメージングシステムの垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)光源の一部であるVCSEL500の概略的なレイアウトを例示する図である。一般的に、VCSELデバイス製造の分野の当業者には知られるように、VCSELは基板上で互いの上面に成長する複数の半導体層を備える。
図5Aに示されるように、VCSELは金属接触層502上の基板512上の回折ブラッググレーティング(DBR)層503上の活性量子井戸(QW)層501を含む。DBR層506は活性QW層501上の金属アパーチャ層506上に堆積される。金属接触層505はDBR層507上に堆積される。絶縁層508はDBR層503、DBR層507および金属接触層507の一部の上に堆積される。金属パッド508は金属接触層505に接続させるために絶縁層508上に堆積される。一般的に、VCSELの持続媒体において、光は層に対して垂直に振動し、デバイスの上面(または底面)を通って出る。
図5Aに示されるように、光509は層501、503、505、506および507に垂直に振動し、デバイス構造の上面を通って出力する。
図5Bに示されるように、これによりほぼトップハット円形ビームプロファイル511がもたらされる。
【0056】
図5Bは一実施形態によるVCSEL光源により生成される光ビームプロファイル511の一例を示す
図510である。
図5Bに示されるように、光ビームプロファイル511は実質的に円形の対称なビームプロファイルである。一実施形態では、VCSEL光源のビーム発散角はおよそ20度(1/e2)である。一実施形態では、VCSEL光源により生成される光ビームはLEDの送信距離よりも大きい距離にわたる送信のためにコリメートされる。光ビームプロファイル511は粒子イメージングの用途での理想に近い疑似トップハットプロファイルである。
【0057】
図5Cはイメージングシステムの焦点面からの異なる距離において測定ボリュームを通過する粒子のマルチビーム照明画像の例を示す
図520である。
図5Cに示されるように、光ビームの各々により形成された粒子の影画像は粒子がイメージングシステムの焦点面から離れて動くにつれて互いから離れて動く。画像511はイメージングシステムの焦点面における測定ボリュームを通過する粒子の影画像を示す。画像511に示されるように、光ビームの各々により形成された粒子の個々の影画像は背景から実質的に分離される影画像521を形成するために完全に重なり合う。画像512はイメージングシステムの焦点面から約100μm離れて測定ボリュームを通過する粒子の影画像を示す。画像512に示されるように、光ビームの各々から形成された粒子の個々の影画像は部分的に(約75%)のみ重なり合い、画像521よりもぼやけていて背景から分離されない影画像522がもたらされる。画像513はイメージングシステムの焦点面から約200μm離れて測定ボリュームを通過する粒子の影画像を示す。画像513に示されるように、光ビームの各々から形成された粒子の影画像は約50%のみ重なり合い、画像522よりもぼやけていて背景から分離されない影画像522がもたらされる。
【0058】
遠距離で高解像度画像をキャプチャすることは困難であるが、高密度の粒子場が光源、プローブボリュームおよび収集光学系の間の光学経路を覆い隠す場合、より困難になる。マルチビーム照明のアプローチはビーム経路に沿った個々の粒子による時間的な影を克服するために光源からの異なる光学経路を頼る。
【0059】
既存の粒子イメージングシステムは背景照明の均一性の欠如に苦慮している。照明システムにおいて使用されるコヒーレントで単色性の高いレーザ光源はスペックルおよび回折パターンを生成する。スペックルおよび回折パターンは画像処理アルゴリズムが最適な条件の下で実行すること、したがって結果に影響を及ぼすことを妨げる。
【0060】
図6Aは一実施形態によるVCSELアレイ605の二次元照明プロファイル602およびLEDシステム604の二次元照明プロファイル603を例示する
図600である。VCSELアレイのビーム発散角はおよそ20度である。一実施形態では、マルチビーム粒子イメージングのためのVCSELアレイはビームを狭い発散分布に形成する集積された光学系に結合された複数のVCSELを含み、そのためVCSELアレイにより生成されるビームはLEDの送信距離よりも大きい距離に対する送信のためにコリメートすることができる。一実施形態では、VCSELアレイ605は上述されたVCSELアレイのうちの一つを表す。
図6Aに示されるように、二次元プロファイル602により表される照明分布は例えば光を収集し、遠隔でシーンに向けることに関して言えばVCSELを有利にする二次元照明プロファイル603の照明分布と比較して実質的に狭い角度を有する。LEDは典型的にポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)またはガラスドームを備え、ダイのエミッタからの疑似ランバーシアンからの光をある程度ガウス分布に形成する。一方、VCSELデバイスは軸上に可能性のあるディップを有するトップハット形状に近い発光プロファイルを表す。VCSELの適切な光学系の実施は効率的な光送信を可能にする。一実施形態では、粒子のマルチビームイメージングのためのVCSELアレイはレーザスペックルを最小化するLEDシステムのコヒーレンス波長に類似する非常に短いコヒーレンス波長を有するように構成される。一実施形態では、粒子のマルチビームイメージングのためのVCSELアレイは照明の均一性を提供するためにVCSELをイメージングシステムに理想的なものにする1%未満のスペックルを有するように構成される。一実施形態では、粒子のマルチビームイメージングのためのVCSELアレイのVCSEL光源は非常に高レートでパルス化され、VCSEL光源をパルス化されたレーザ粒子イメージングの用途に理想的なものにする、一般的にナノ秒を下回る非常に速い立ち上がり時間を有する。一実施形態では、マルチビームイメージングシステムのためのVCSELアレイは860nmの波長で750mWの出力電力を生成し、約200のレーザを含む。
【0061】
一実施形態では、粒子をイメージングするためのマルチビームシステムはVCSEL技術を実行する電子ドライバおよび光学系システムを含む。これらのデバイスが光ファイバ通信に広く使用されているためVCSELのパルス特性は速いことが知られている。一実施形態では、粒子のマルチビームイメージングに使用されるVCSELは適切に応答するためにイメージングシステムに十分な強度を備えるシーンを照らすために必要なフラックスを生成するための電力を出力するように構成される。一実施形態では、マルチビームイメージングシステムの電子ドライバは(2Aまでの)高電流のショートパルスを生成することができ、VCSELアレイを駆動するための0Vから40Vの電圧は高速動作および照明光ビームのショートパルス特性を提供する。
【0062】
図6Bは一実施形態によるマルチビームイメージングシステムのVCSEL光源の測定されたパルスプロファイルを示す
図610である。
図6Bに示されるように、VCSEL光源の測定されたパルスプロファイル612は駆動パルス幅50nsで生成され、VCSEL光源の測定されたパルスプロファイル613は駆動パルス幅100nsで生成され、VCSEL光源の測定されたパルスプロファイル614は駆動パルス幅200nsで生成される。
【0063】
一実施形態では、プロファイルの傾きはVCSELの対応する「アクティブな(active)」期間にわたって重なり合う。立ち上がりの最初の80%に対するVCSELのスルーレートは非常に速く、続いてプラトーまで減速する。
図6Bに示されるように、パルス信号はパルス幅と共にレベルが上昇する。より長いパルス幅においてより高い熱負荷が達成され、したがってVCSELスペクトルをより短い波長に駆動し、光検出器の感度がより高くなる、という説明が可能である。
【0064】
図6Cは一実施形態によるスイッチング性能に関するVCSELシステムの特徴的な性質を例示する表621の
図620である。表621は測定されたパルス幅が15から200nsのテストされた持続期間の全てにわたって、7nsの差のみで設定持続時間に近いことを示す。これにより、立ち上がり時間が15nsに近いにもかかわらず、ナノ秒のオーダーでVCSELのスイッチング時間が短いことを明らかになる。立ち下がり時間は10ns未満でトランジェントが達成され、光学スイッチング性能をより表すことができる。
図6Aの信号を詳細に見ると、ドライバのスルーレートは信号振幅の約80%まで非常に高速であり、スルーレートが低下した後、10-90%の立ち上がり時間の数値に影響を及ぼすことが示されている。
図6Aに示されるように、スルーレートは負荷容量およびドライバの相互作用に起因し得る信号振幅の約80%の後に低下する。
【0065】
図6Dは一実施形態によるマルチビームイメージングシステムのVCSELアレイの測定されたスペクトル631を示す
図630である。
図6Cに示されるように、VCSELアレイはLED照明と比較して単色性の高い光を出力する。
【0066】
図6Dに示されるように、VCSELアレイの出力波長は860nmを中心とする。VCSELアレイは半値全幅が1nmに近いスペクトル拡散を有するビームを出力する。このような狭いスペクトル範囲は液体または凍結した液滴と取り囲んでいる周辺の気体との間の界面等、境界の周辺に回折パターンを生成する可能性があるため、見通しの消滅にとって問題となる可能性がある。典型的に、照明の波長は回折限界分解能を決定する。より長い波長は顕微鏡システムにおける光学分解能に対して有害である。VCSELアレイにより生成される狭い広がりのほぼコリメートされた光は高いエネルギー密度を有する区域の遠く離れた照明およびビーム形成においてLED照明に対して有利である。
【0067】
図7Aは一実施形態によるマルチビームイメージングシステムのVCSELアレイ701の放出区域の写真700である。写真700はデジタル顕微鏡で取得される。
図7Aに示されるように、VCSELアレイ701の放出区域は直径がおよそ3mmである。VCSELアレイ701はVCSEL702等の個々のVCSELを含む。
図7Aに示されるように、アレイの各VCSELは六角形を有する。
図7Aに示されるように、アレイのVCSELは単一のビームを生成するために円形パターンに配置される。一実施形態では、VCSELアレイは、ビーム発散角を粒子の影画像を取得するために背景照明の均一性を増加させるために20度の典型的なVCSELビーム発散角からおよそ7度に減少させるようにレンズを備える。
【0068】
一実施形態では、複数の照明光ビームを生成するための一または二以上のVCSELアレイを含むマルチビーム粒子イメージングシステムは背景からスペックルを除去すること、および回折パターンを低減または除去することにより画質を実質的に改善する。一実施形態では、複数の照明光ビームを生成するための一または二以上のVCSELアレイを含むマルチビーム粒子イメージングシステムは明視野光学顕微鏡用途のための見通し内構成に配置される。
【0069】
図7Bは、一実施形態による、シーンがLED光源により照らされる時に長距離顕微鏡によりキャプチャされる解像度チャート711およびシーンがVCSEL光源により照らされる時に長距離顕微鏡によりキャプチャされる解像度チャート712を示す
図710である。LEDおよびVCSEL照明光源の両方がパルス化され、カメラは光パルスと同期される。
【0070】
図7Bに示されるように、解像度チャート712は解像度チャート711よりも均一でスペックルのない光強度分布を表している。
図7Bに示されるように、解像度チャート712は解像度チャート711と比較して光強度分布のトップハットに近いプロファイルを有する。
図7Bに示されるように、解像度チャート712は解像度チャート711の解像度よりも高い解像度を表す。
【0071】
図8は、一実施形態による、撮像光学系の焦点面の外側の粒子の影がどのようにして重なり合わないかを例示する概略
図800である。
図8に示されるように、マルチビームイメージングシステムはVCSEL光源819およびVCSEL光源821を含む。VCSEL光源819は照明光ビーム801を生成し、VCSEL光源821は照明光ビーム802を生成し、照明光ビーム801および802は互いに交差しレンズ818を通って伝搬する。レンズ818は焦点距離816および焦点距離817を有する。粒子803および804はそれぞれ平面811および808において照明光ビーム801および802を重ね合わせることにより形成される測定ボリュームを通過する。-影805および806等の-粒子の影を形成する照明光ビームはレンズ818およびデジタルカメラ、例えば、CMOS、CCDアレイ、または他のデジタルカメラに入る。
【0072】
初めに、平面808はレンズ818の焦点面である。レンズ818の焦点面における粒子804は撮像面809上の単一の焦点の合っている影画像807を生成する。粒子803等の焦点面から離れた粒子は撮像面に二つの焦点の合わない影画像を生成する。カメラが平面811に再び焦点を合わせた後、粒子803の個々の影は撮像面812において単一の影813に崩壊し、その一方で撮像面809における影は個々の影814および個々の影815に分離し得る。
【0073】
被写界深度および錯乱円は一般的にイメージングシステムの要件により設定される。しかしながら、粒子サイズ分布を測定するためにイメージングシステムを使用する際、被写界深度の問題は測定誤差の最も深刻な原因のうちの一つである。一般的に、被写界深度は光学機器が被写体の鮮明な画像を生成する範囲を指す。焦点の合わない粒子画像のサイズが真値とは異なるように見えるため、受信光学系の被写界深度の外側で検出された粒子により測定誤差が著しく増加する。
【0074】
カメラは照明により生成される明るい背景からそれらを検出することおよび識別することにより個々の粒子により生成される減衰または影パターンを監視する。適切で十分な照明は高品質のイメージングデータを取得するために慎重に調整される必要のある重要なパラメータである。そのため、CMOSカメラで背景強度を測定し、高品質な粒子画像をキャプチャするためにそれに応じて光強度を調整することができることが最も重要である。
【0075】
図9Aは、一実施形態による、マルチビームイメージング装置のVCSELシステムにより生成されるビームを収束させることにより照らされる背景901の画像を示す
図900である。
図9Aに示されるように、-位置903および位置902等の-背景901の異なる位置においてVCSEL光源の収束光ビームにより生成される照明光強度は類似であり、そのため背景901全体にわたる光強度の分布は均一である。滑らかで均一な背景照明は画像処理アルゴリズムの適切な動作に寄与し、画像処理アルゴリズムは特徴を識別し、特徴のサイズを定量化するために背景と粒子との間の強度コントラストに頼る。
【0076】
図9Bは、一実施形態による、マルチビームイメージング装置のVCSEL照明を使用して生成された単分散液滴911の画像を示す
図910である。
図9Bに示されるように、背景照明は均一であり、スペックルまたは回折ノイズを示さない。
【0077】
図9Cは、別の実施形態による、マルチビームイメージング装置のVCSEL照明を使用して生成された単分散液滴921の画像を示す
図921である。この画像は
図9Bにおける画像の背景照明よりも低い背景照明を用いて取得された。
図9Cに示されるように、画像921上の背景照明はスペックルおよび回折ノイズのない均一なグレー照明である。
【0078】
図10は、一実施形態による、マルチビームイメージング装置のVCSEL照明を使用して生成された高密度スプレー画像1001を示す
図1000である。高密度スプレー画像1001は、
図11および12に示されるように、従来の光源を使用して生成された画像と比較して焦点の合っている粒子(暗い影)と焦点の合わない粒子(グレーの背景)との間の増加したコントラストを示す。
【0079】
図11は、一実施形態による、マルチビームダイオードレーザを使用して照らされた希薄な粒子場1101の画像を示す
図1100である。この画像において、マルチビームによるアプローチのために滑らかになった背景上のスペックルの特徴を観察することができる。背景光強度分布は均一でなく、局所的な分散はかなり高いために画像処理方法に負荷がかかり、粒子の特性評価の結果の品質が低下する。
【0080】
図12は、一実施形態による、マルチビームダイオードレーザを使用して照らされた高密度粒子場1201の画像を示す
図1200である。
図12に示されるように、背景は
図11に示される背景よりもはるかに混沌としており、局所レベルでも強度の差が大きくなっている。背景照明強度におけるこの高レベルの散乱は、粒子がイメージングシステムの焦点面から外れている間にビームに干渉する粒子により生成される複数の回折パターンに起因する。スペックルおよび回折は粒子画像を識別することおよび測定することにおけるソフトウェアのエラーを増加させる。
【0081】
図13は粒子をイメージングするためのシステム1300の別の実施形態を示す図である。実施形態1300は送信システム1301を備える。送信システム1301は光ビーム1302および1303等の複数の照明光ビームを生成する一または二以上の光源(例えば、VCSELアレイ1321およびVCSELアレイ1322)を備える。送信システム1301はトリガ光ビーム1304を生成するための光源1323を含む。送信システム1301は照明光ビームをデジタルカメラシステム1308に同期させるための同期モジュール1324を備える。照明光ビームは粒子(例えば、粒子1305および1306)を備える粒子場を通って複数の光学経路上を伝搬するように構成される。照明光ビームはイメージングシステムの焦点面において測定ボリューム1314を形成するために収束するように構成される。
図13の照明光ビームは
図1、2および3の照明光ビームにより表される。ある実施形態では、上述のように、送信システム1301の照明光源はVCSEL、発光ダイオード(LED)、またはその両方を備える。ある実施形態では、複数の照明光ビームは一または二以上のVCSELアレイにより生成される。
【0082】
ある実施形態では、トリガ光源により生成されるトリガ光ビーム1304は測定ボリューム1314の中心を通って伝搬する。ある実施形態では、トリガ光源はレーザ、LED、またはその両方を備える。
【0083】
受信システムは、上述のように、撮像光学系(例えば、一または二以上のレンズ1307)および焦点面において測定ボリュームを通過する粒子の影画像を提供するための一または二以上のデジタルカメラを備えるデジタルカメラシステム1308を備える。一実施形態では、トリガビームの波長は照明光ビームの波長とは異なる。粒子が測定ボリュームを通過する際、トリガ光ビーム1314は、粒子から、一または二以上のレーザ光源を駆動するために論理回路1312に測定ボリューム1314における粒子の存在を示すトリガ信号1325を出力する光検出器システム1311上に屈折される。論理回路1312は収束照明光ビームを生成するために田周防システム1301の一または二以上の光源を駆動するためにトリガ信号1326を出力する。論理回路1312はトリガ信号1325をトリガデジタルカメラシステム1308に出力する。一実施形態では、複数のVCSELレーザは複数の方向から粒子場を照らすために同時に使用される。トリガレーザおよび光検出器は測定ボリュームにおける粒子の存在を検出するために使用される。この情報は複数の照明ビームをパルス化するために使用される。レーザビームはCMOSセンサ上に粒子の凍結した影(例えば、明視野画像)を作り出す受信レンズにより組み合わせられる。マルチアングル照明の使用により従来の機器では問題だった被写界深度の変化に起因する測定誤差が著しく低減する。
【0084】
イメージングシステムは、
図3に関連して上述されたように、照明光ビームを複数のデジタルカメラ上に分割するための一または二以上のビームスプリッタ(図示されていない)を任意選択的に備えることができる。画像の取得および処理システム1310はデジタルカメラシステム1308に結合される。処理システム1310は、本明細書に記載のように、本方法を実行するためのプロセッサ1315、メモリ1316、およびディスプレイ1317を備える。ある実施形態では、プロセッサ1315は焦点の合っている粒子を識別することを伴う粒子分析を実行するように構成され、様々な形状パラメータを計算して粒子を分類する。ある実施形態では、プロセッサ1315は液滴と氷の結晶との間を区別するように構成される。
【0085】
図14は、一実施形態による、粒子のマルチビームイメージングを提供するための方法1400のフローチャートを示す。工程1401において、上述のように、粒子場内に測定ボリュームを形成するために互いに収束する複数の光ビームは測定ボリュームの背景照明の均一性を提供するために複数の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を使用して生成される。工程1402において、デジタルカメラの焦点面において測定ボリュームを通過する粒子の影画像が取得される。工程1403において、取得された影画像と背景照明との間のコントラストが決定される。工程1404において、コントラストに基づいて粒子が識別される。工程1405において、上述のように、影画像に基づいて識別された粒子のサイズが決定される。
【0086】
図15は、別の実施形態による、粒子のマルチビームイメージングを提供するための方法1500のフローチャートを示す。工程1501において、上述のように、粒子場内に測定ボリュームを形成するために互いに収束する複数の光ビームは測定ボリュームの背景照明の均一性を提供するために複数のVCSELを使用して生成される。工程1502において、背景照明の均一性が監視される。例えば、画像上の背景区域の異なる位置における背景照明の差が所定の閾値よりも大きいかどうかが決定される。工程1503において、監視に基づいてVCSELのうち少なくとも一つの出力ビームが調整される。例えば、画像上の背景区域の異なる位置における背景照明の差が所定の閾値よりも大きい場合、背景照明の均一性を増加させるために、VCSELのうち少なくとも一つの一または二以上のパラメータ(例えば、出力光強度、角度、パルス、波長、またはそれらの任意の組合せ)が調整される。工程1504において、調整された背景に基づいてデジタルカメラの焦点面における測定ボリュームを通過している粒子の影画像が決定される。
【0087】
図16Aは粒子をイメージングするためのシステムの一実施形態を例示する。システム1620は、取付け器具1621および取付け器具1622等の、一または二以上の取付け器具を備える。取付け器具1621は、VCSELアレイ1623およびVCSELアレイ1624等の、複数のVCSEL光源を備える送信サブシステムの一部を保持する。取付け器具1622は、VCSELアレイ1625およびVCSELアレイ1626等の、複数のVCSEL光源を備える送信サブシステムの一部を保持する。VCSEL光源の各々は照明レーザビームを形成するためにVCSELアレイの出力に結合される一または二以上の集束レンズを備える。上述のように、照明レーザビーム1627および照明レーザビーム1628等の、複数の照明レーザビームは測定ボリュームに関連付けられた背景照明の均一性を提供するために粒子場内に測定ボリュームを形成するために互いに収束するVCSEL光源により生成される。ある実施形態では、上述のように、システム1600は第一のデジタルカメラの焦点面において測定ボリュームを通過している粒子の影画像を提供するための撮像光学系を備える受信モジュール(図示されていない)を備える。
【0088】
図16Bは粒子をイメージングするためのシステムの一実施形態を例示する。
図16Bに示されるように、システム1600は、上述のように、粒子1603を照らすために測定ボリュームを形成するために収束する照明光ビームを生成するための複数のVCSELを含む送信機1605を含む。
図16Bに示されるように、上述のように、受信機1602は粒子1603の影を受信するために結合される。
図16Bに示されるように、受信機1606は信号プロセッサ1604に結合される。
図16Bに示されるように、セントラルプロセッシングユニット(「CPU」)を備えるサブシステム1606、ディスプレイデバイスに結合されてもよいグラフィックプロセッシングユニット(「GPU」)を備えるサブシステム1607、一または二以上のI/Oデバイスに結合された一または二以上のI/Oコントローラを備える一または二以上のサブシステム1608、(揮発性RAM、ROMおよび不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリもしくはハードドライブ)、またはそれらの任意の組合せを備える)メモリ1605、ならびにマイクロコントローラを備える信号プロセッサ1604はバス1609に結合される。サブシステム1606および信号プロセッサ1604のうち少なくとも一つは上述の方法を実行するように構成される。メモリ1605はデータ処理システムによりアクセスされると、上述のように、データ処理システムに粒子のマルチビームイメージングを提供するための一または二以上の方法を実行させるデータを格納するために使用され得る。
【0089】
前述の明細書において、本発明はこれらの固有の例示的な実施形態を参照して説明された。しかしながら、本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく本発明に対して様々な修正および変更がなされ得ることは明らかであろう。したがって、明細書および図面は制限する意味よりもむしろ例示する意味であると見なされるべきである。