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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】クルクミノイドコンポジット
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/9066 20060101AFI20240902BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240902BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240902BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240902BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240902BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240902BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240902BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240902BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240902BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20240902BHJP
   A61K 31/121 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61K36/9066
A61K47/44
A61K47/36
A61K47/26
A61P19/02
A61P25/28
A61P17/00
A61P3/02
A61P1/16
A61K9/00
A61K31/121
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021517019
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 IB2019058124
(87)【国際公開番号】W WO2020065548
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】201821036345
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】523389338
【氏名又は名称】ニュートリベンティア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】シャー ヴァイバヴィ
(72)【発明者】
【氏名】レダサニー ヴィジャイェンドラクマール
(72)【発明者】
【氏名】アブドル シャージャハーン
(72)【発明者】
【氏名】シャー ヴィシャール
(72)【発明者】
【氏名】シャー ラジャット
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/196632(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/211380(WO,A1)
【文献】特表2014-503470(JP,A)
【文献】国際公開第2016/083874(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または複数のクルクミノイド、ならびに米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンまたはそれらの混合物である担体を含む、迅速溶出およびバイオアベイラビリティの増大を示す溶融加工されたコンポジットであって、前記溶融加工されたコンポジットが、リン脂質も合成ポリマーも熱可塑性ポリマーも含まない、溶融加工されたコンポジット。
【請求項2】
1種または複数のクルクミノイドが、コンポジットの5~90質量%を構成する請求項1に記載の溶融加工されたコンポジット。
【請求項3】
1種または複数のクルクミノイドと担体との比が、1:0.1~1:20の範囲である、請求項1に記載の溶融加工されたコンポジット。
【請求項4】
1種または複数のクルクミノイドと米ぬか抽出物との比が、1:0.1~1:20の範囲である、請求項1に記載の溶融加工されたコンポジット。
【請求項5】
1種または複数のクルクミノイドとマルトデキストリンとの比が、1:0.1~1:20の範囲である、請求項1に記載の溶融加工されたコンポジット。
【請求項6】
1種または複数のクルクミノイドとマンニトールとの比が、1:0.1~1:20の範囲である、請求項1に記載の溶融加工されたコンポジット。
【請求項7】
1種または複数のクルクミノイドと米ぬか抽出物およびマルトデキストリンの混合物との比が、1:0.1~1:20の範囲である、請求項1に記載の溶融加工されたコンポジット。
【請求項8】
1種または複数のクルクミノイドと米ぬか抽出物とマンニトールとの比が、1:0.05:0.1~1:10:10の範囲である、請求項1に記載の溶融加工されたコンポジット。
【請求項9】
1種または複数のクルクミノイドと米ぬか抽出物とマルトデキストリンとの比が、1:0.05:0.1~1:10:10の範囲である、請求項1に記載の溶融加工されたコンポジット。
【請求項10】
希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、可溶化剤、ビヒクル、安定化剤、緩衝剤、吸着剤、抗酸化剤、錯化剤、粘度向上剤、可塑剤、コーティング材料、甘味剤、着色剤、風味剤およびそれらの組合せから選択される、少なくとも1種または複数の賦形剤を更に含む、請求項1に記載の溶融加工されたコンポジット。
【請求項11】
請求項1に記載のクルクミノイド溶融加工されたコンポジットを調製するための方法であって、
a. 1種または複数のクルクミノイドと、米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンおよびそれらの混合物から選択される担体とを混合するステップ、
b. ステップaの混合物を加熱処理に供して、溶融塊を得るステップ、
c. ステップbの前記溶融塊を押出成形して、押出成形物を得るステップ、
d. 任意に、ステップcの押出成形物にもう1種の賦形剤を添加するステップ、
e. 得られた押出成形物を冷却してミル粉砕するステップ
を含み、前記クルクミノイド溶融加工されたコンポジットがリン脂質も合成ポリマーも熱可塑性ポリマー含まない、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種または複数のクルクミノイド、ならびに米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンおよびそれらの混合物から選択される担体を含む溶融コンポジットであって、迅速溶出およびバイオアベイラビリティの増大を示す、溶融コンポジットに関する。本コンポジットは、医薬品産業、栄養補助食品産業または食品産業において一般に使用される賦形剤を含んでもよい。
本発明は、溶融コンポジットを調製するための方法であって、1種または複数のクルクミノイド、ならびに米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンおよびそれらの混合物から選択される担体が、加熱および造粒の制御条件に供され得る方法をさらに提供する。本明細書に記載されている方法は、簡易であるが効率的な溶媒不使用法であり、この方法は、溶出およびバイオアベイラビリティが増強されたクルクミノイドコンポジットの調製に工業的に有用である。
本明細書に記載されているコンポジットは、調製に好適な1種または複数の賦形剤を含む、固形、液体および半固形組成物中にさらに配合され得る。本組成物は、関節の健康、脳の健康、皮膚およびパーソナルケア、スポーツ栄養および肝臓の健康などの様々な用途において、ヒトおよび動物による消費に有用である。
【背景技術】
【0002】
クルクミノイドは、ショウガ(生姜)科(Zingiberaceae)のメンバーから単離されたジアリールヘプタノイド誘導体である。ターメリックに存在する3種の主要なクルクミノイドは、クルクミン、デスメトキシクルクミン(desmethoxycurcumin)およびビスデスメトキシクルクミン(bisdesmethoxycurcumin)である。クルクミンは、ターメリックの主要なクルクミノイドである。クルクミノイドは、ポリフェノールであり、ターメリックの色が黄色であることの原因となるものである。
クルクミノイドは、様々な治療的および予防的適用が示唆されている。例えば、クルクミノイドは、抗がん、抗ウイルス、抗関節炎、抗アミロイド、抗酸化、抗炎症、抗肥満、抗うつなどの様々な生物活性および薬理学的作用を有しており、パーキンソン、アルツハイマーおよびハンチントンのような神経変性疾患の症状を改善する、脳機能/健康を改善して精神的健康を改善する、脳および心臓疾患のリスクを低減する、コレステロールを調節する、アテローム性動脈硬化のリスクを低減する、心血管機能を改善する、血栓を予防する、炎症性腸疾患の症状を改善する、便秘/消化不良/胃潰瘍/潰瘍性大腸炎/すい臓炎のような胃腸管状態の症状を改善する、嚢胞性繊維症を予防する、術後回復時の疼痛および苦痛を軽減する、月経の症状を緩和する、糖尿病のリスクを低減する、肝臓の健康を促進する、加齢を遅延させる、肌および眼の健康を促進する、ならびに筋肉における酸化ストレスを低下させること、筋肉の能力の回復を増強して筋肉の能力を改善すること、持久力を改善すること、倦怠感への耐性を改善すること、および関節可動性および関節機能を改善することによるスポーツ栄養の利益をもたらす。
【0003】
クルクミノイドの治療効率は、水への溶解度が乏しいため限定的である(最大溶解度は、緩衝水溶液(pH5.0)では、11ng/mlである)。水溶解度の乏しさおよび吸収率の乏しさ、胃腸管(GIT)におけるプレシステミック代謝の高さ、中性およびアルカリ性pHにおけるGITでの分解による安定性の低さ、ならびにサルフェートおよびグルクロニドコンジュゲートへのシステミック代謝の速さにより、経口送達後のクルクミノイドのバイオアベイラビリティは低くなる。経口用量2gのクルクミンを単独で施した後でさえも、ヒトにおける血清レベルは、検出不可能であるか、または非常に低いかのどちらかであることが報告されている。
先行技術は、クルクミノイドを可溶化するための様々な技法を開示している。
米国特許出願公開第2013/0303628号は、1種または複数のクルクミノイド、熱可塑性ポリマーおよびリン脂質(グリセロリン脂質、ホスホグリセリド、ホスファチジルコリン、レシチンのようなもの)を含む、溶融加工された固形分散体生成物を提供している。
【0004】
米国特許第9,801,855(B2)号は、ナノ結晶性固形分散体の離散性粒子を調製する方法であって、前記離散性粒子が、結晶化誘発剤のマトリックス中に、および/または結晶化誘発剤の結晶と共存する活性成分の結晶を含み、賦形剤を一緒に含んでもよい方法に関する。活性成分および結晶化誘発剤は、溶媒または溶媒混合物に溶解される。この溶媒は、真空乾燥、噴霧乾燥または凍結乾燥によって除去される。噴霧乾燥が、好ましい方法である。噴霧乾燥後のクルクミン-ステアリン酸(50:50)固形分散体の経口バイオアベイラビリティ検討により、雌のSDラットに単回経口用量(250mg/kg)を施した後のクルクミンのCmaxが、245.9ng/mlとなり、クルクミンのAUC0-∞が1156ng/mlとなることが示された。
米国特許出願公開第2016/0256412号は、ポリビニルピロリドン(PVP)およびスルホコハク酸ジオクチル(AOT)(ドクサートナトリウム)を使用したクルクミン/クルクミノイド混合物の可溶化法であって、エタノールなどの溶媒にクルクミノイド、PVPおよびAOTを溶解するステップ、回転式蒸発器で溶媒を蒸発させるステップ、蒸留水を添加するステップ、ろ過するステップならびに噴霧乾燥するステップを含む、方法を提供している。
【0005】
米国特許出願公開第2016/0151440号は、クルクミン混合物および水抽出物から主になる組成物に関する。クルクミン混合物は、クルクミンの乾燥結晶、揮発物油、不揮発性油を含む一方、水抽出物は、ターメリックから抽出された可溶性タンパク質、食物繊維および炭水化物を含む。この組成物はまた、米国の木であるキラヤ(Quillaja saponaria)から単離した天然の乳化剤、およびレシチンからなる。
欧州特許第2555787号は、クルクミノイド混合物および追加のターメリックのエッセンシャルオイルの組成物であって、クルクミノイド混合物と追加のターメリックのエッセンシャルオイルとの質量比が、10:1であり、クルクミノイド混合物が、クルクミン、デメトキシクルクミン(demethoxycurcumin)およびビスデメトキシクルクミン(bisdemethoxycurcumin)を含み、ターメリックのエッセンシャルオイルが、45%のar-ツルメロンを含む、組成物を提供している。この発明は、クルクミンのバイオアベイラビリティを増大させて、クルクミンの生物活性を増強するためのターメリックのエッセンシャルオイルを含むクルクミノイドの配合物に関するものである。
先行技術の参考文献は、クルクミン組成物のバイオアベイラビリティを増強するために、有機溶媒、合成ポリマー、乳化剤またはエッセンシャルオイルを使用することに主に関する。クルクミンの乏しい溶解度を克服するため、親水性セルロースポリマーまたは他の合成賦形剤を使用する取り組みも行われている。
しかし、組成物が、栄養補助食品用途、化粧品用途および食品用途に許容され、かつそれらに有用となるような、天然源から得られる代替的な賦形剤の使用または簡易であるが効果的な方法の開発に対する依然として満たされていないニーズが存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、1種または複数のクルクミノイド、ならびに天然源から得られる米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンおよびそれらの混合物から選択される担体を含む溶融コンポジットを提供する。クルクミノイドおよび天然の担体を含む溶融コンポジットは、迅速溶出およびバイオアベイラビリティの増大を示す。担体およびそれらの混合物を含むこのようなコンポジットは、公開文献のいずれにも現在まで報告されていない。本コンポジットは、栄養補助食品産業、医薬品産業および食品産業において許容される、1種または複数の賦形剤を添加することによる、好適な固形、液体または半固形組成物中に配合され得る。本発明は、簡易であるが効率的な溶媒不使用法を使用する前記組成物を調製する方法を提供する。
本発明の主な目的は、1種または複数のクルクミノイドを含む溶融コンポジットであって、クルクミノイドの迅速溶出およびバイオアベイラビリティの増大を示す、溶融コンポジットを提供することである。
本発明の1つの重要な目的は、1種または複数のクルクミノイド、ならびに米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンおよびそれらの混合物から選択される担体を含む溶融コンポジットであって、クルクミノイドの迅速溶出を示す、溶融コンポジットを提供することである。
【0007】
本発明のさらにもう1つの重要な目的は、1種または複数のクルクミノイド、および天然源から得られる担体またはその混合物を含む溶融コンポジットを提供することである。
本発明のもう1つの目的は、1種または複数のクルクミノイド、ならびに米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンおよびそれらの混合物から選択される担体を含む溶融コンポジットであって、医薬品産業、化粧品産業、栄養補助食品産業または食品産業に使用するために許容される少なくとも1種の賦形剤をさらに含んでもよい、溶融コンポジットを提供することである。
さらに、本発明のもう1つの目的は、組成物の約5~90質量%の1種または複数のクルクミノイドを含む溶融コンポジットを提供することである。
本発明のもう1つの目的は、米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンおよびそれらの混合物から選択される、組成物の約10~95質量%の担体を含む、溶融コンポジットを提供することである。
【0008】
本発明の1つの目的は、クルクミノイドと担体を約1:0.1~1:20の範囲である比で含む溶融コンポジットを提供することである。
別の目的は、前記溶融コンポジットを調製する方法であって、簡易であるがコスト効率が高く溶媒を使用しない方法を提供することである。
本発明のもう1つの重要な目的は、溶融コンポジットを調製するための方法であって、1種または複数のクルクミノイド、ならびに米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンおよびそれらの混合物から選択される担体が、加熱および造粒の制御条件に供され得る方法を提供することである。
本発明の1つの目的は、クルクミノイド溶融コンポジットであって、栄養補助食品産業、医薬品産業または食品産業において許容される1種または複数の賦形剤をさらに含んでもよい、クルクミノイド溶融コンポジットを提供することである。
本発明のもう1つの目的によれば、本コンポジットは、医薬品産業、栄養補助食品産業および食品産業において一般に使用される賦形剤を使用することによって、クルクミノイド組成物にさらに配合することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1種または複数のクルクミノイド、ならびに米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンおよびそれらの混合物から選択される担体を含む、本発明の溶融コンポジットは、クルクミノイドの迅速溶出およびバイオアベイラビリティの増大を示すことが驚くべきことに見出された。本明細書で使用する担体は、天然源から得ることができる。本コンポジットは、医薬品産業、栄養補助食品産業、化粧品産業または食品産業に許容される、少なくとも1種の賦形剤をさらに含んでもよい。
本発明は、ショウガ(生姜)科のウコン属種(Curcuma species)のクルクミノイド抽出物を使用する。
用語「クルクミノイド抽出物」は、以下に限定されないが、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、マンゴージンジャー(Curcuma amada)、クルクマ・アングスティフォリア(Curcuma angustifolia)、クルクマ・カエシア(Curcuma caesia)、クルクマ・ゼドアリア(Curcuma zedoaria)、クルクマ・カウリナ(Curcuma caulina)、キョウオウ(Curcuma aromatica)、オンウコン(Curcuma wenyujin)、クスリウコン(Curcuma xanfhorrhiza)、クルクマ・ファエオカウリス(Curcuma phaeocaulis)、クルクマ・ロイコリッツァ(Curcuma leucorrhiza)およびクルクマ・クァングシエンシス(Curcuma kwangsiensis)のような属種を含めた、ショウガ(生姜)科のウコン属種の根、塊茎または根茎の抽出物を意味するために本明細書において使用される。
【0010】
用語「クルクミノイド」は、その多形、水和物、溶媒和物、誘導体およびそれらの混合物を含めた、クルクミン(ジフェルロイルメタン)、デスメトキシクルクミン(desmethoxycurcumin)またはビスデスメトキシクルクミン(bisdesmethoxycurcumin)を意味するために本明細書において使用される。クルクミノイドは、天然または合成手段により得ることができる。
用語「溶融コンポジット」とは、本明細書で使用する場合、2種以上の構成成分の組合せ物として存在する組成物であって、個々の構成成分が単独で使用されるよりも、より優れた特性または特性の増強をもたらす組成物を指す。これらの特性は、溶出、安定性、バイオアベイラビリティなどのような生成物の性能と関連付けられ得る。本文脈におけるこのような組成物は、制御した加熱処理および造粒の条件を使用する、特定の方法によって調製することができる。本発明における構成成分は、1種または複数の賦形剤と一緒になった、1種または複数のクルクミノイド、米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンおよびそれらの混合物から選択される担体であり、上記の賦形剤は、調製過程の間に添加されてもよい。コンポジットに使用される担体は、天然源から得られる。
組成物中の1種または複数のクルクミノイドは、結晶形態またはアモルファス形態にあってもよく、または結晶形態とアモルファス形態との混合物として存在してもよい。
【0011】
本発明の一実施形態により、本発明の組成物は、1種または複数のクルクミノイドを少なくとも30質量%含むクルクミノイド抽出物を使用する。抽出物中のクルクミノイド含有率は、好ましくは、抽出物の30質量%~100質量%の範囲、より好ましくは50質量%~95質量%の範囲、最も好ましくは70質量%~95質量%の範囲にある。
本発明のもう1つの実施形態により、クルクミノイドは、組成物の5質量%~90質量%の濃度で存在することができる。より好ましくは、クルクミノイドは、組成物の10~85質量%の濃度で存在することができる。
本発明の一実施形態によれば、溶融コンポジット中のクルクミノイドと担体との比は、約1:0.1~約1:20、好ましくは約1:0.15~約1:15、より好ましくは約1:0.2~約1:10の範囲にある。
本発明の実施形態のうちの1つでは、本溶融コンポジットは、組成物の約10質量%~約95質量%の担体を含む。
【0012】
本発明の一実施形態により、本溶融コンポジットは、1種または複数のクルクミノイド、ならびに米ぬか抽出物、マンニトール、マルトデキストリンおよびそれらの混合物から選択される担体を含み得る。
さらにもう1つの実施形態により、本コンポジットは、1種または複数のクルクミノイド、および担体として米ぬかとマンニトールとの混合物を含み得る。
1つの実施形態によれば、本コンポジットは、1種または複数のクルクミノイド、および担体として米ぬか抽出物とマルトデキストリンとの混合物を含み得る。
さらにもう1つの実施形態によれば、本溶融コンポジットは、1種または複数のクルクミノイド、ならびに米ぬか抽出物、マンニトールおよびマルトデキストリンの混合物を好ましくは含み得る。
実施形態の1つでは、本溶融コンポジットは、該溶融コンポジットの約10質量%~約95質量%の濃度の米ぬか抽出物を含む。
米ぬか抽出物は、様々な濃度のタンパク質、脂肪および炭水化物を一般に含有する。
例えば、米ぬか抽出物の1つのタイプは、該抽出物の質量基準で考えると、約13%~約18%のタンパク質含有率、約15%~約25%の脂肪含有率および約40%~約52%の炭水化物含有率を有する。
【0013】
米ぬか抽出物の別のタイプは、該抽出物の質量基準で考えると、約14%~約20%のタンパク質含有率、約18%~約21%の脂肪含有率および約33%~約40%の炭水化物含有率を有する。
抽出物の脂肪含有率は、全脂米ぬかの約14%~約18%の範囲、低脂米ぬかの約3%~約14%の範囲、または脱脂米ぬかの約3%未満であり得る。
米ぬか抽出物の別のタイプは、該抽出物の質量基準で考えると、約12%~約14%のタンパク質含有率、約15%~約19%の脂肪含有率および40%~約45%の炭水化物含有率を有し得る。
米ぬか抽出物の他のタイプは、該抽出物の質量基準で考えると、約9%~約13%のタンパク質含有率、約12%~約18%の脂肪含有率および64%~約71%の炭水化物含有率を有してもよい。
米ぬか抽出物のさらに別のタイプは、該抽出物の質量基準で考えると、約8%~約10%のタンパク質含有率、約6%~約9%の脂肪含有率および77%~約82%の炭水化物含有率を有してもよい。
【0014】
米ぬか抽出物のさらに別のタイプは、該抽出物の質量基準で考えると、約11%~約15%のタンパク質含有率、約1%~約20%の脂肪含有率および34%~約65%の炭水化物含有率を有してもよい。
クルクミノイド溶融コンポジットは、米ぬか抽出物とマンニトールの混合物を含むことができ、クルクミノイドと前記混合物との比は、1:0.1~1:20の範囲である。
本発明の一実施形態による、本クルクミノイド溶融コンポジットは、1種または複数のクルクミノイド、米ぬか抽出物およびマンニトールを、1:0.05:0.1~1:10:10の範囲、好ましくは1:0.1:0.2~1:8:9の範囲の比で含み得る。
一実施形態によれば、クルクミノイド溶融コンポジットは、米ぬか抽出物とマルトデキストリンの混合物を含むことができ、クルクミノイドと前記混合物との比は、1:0.1~1:20の範囲である。
本クルクミノイド溶融コンポジットは、1種または複数のクルクミノイド、米ぬか抽出物およびマルトデキストリンを、1:0.05:0.1~1:10:10の範囲、好ましくは1:0.1:0.2~1:8:9の範囲の比で含み得る。
【0015】
本溶融コンポジットは、希釈剤、担体、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、可溶化剤、担体、ビヒクル、安定化剤、緩衝剤、保存剤、酸性化剤、アルカリ化剤、吸着剤、抗酸化剤、錯化剤、粘度向上剤、可塑剤、コーティング材料、甘味剤、着色剤および風味剤から選択される少なくとももう1種の賦形剤を含んでもよい。任意選択の賦形剤は、溶融コンポジットに顆粒内または顆粒外に添加され得る。
一実施形態により、本溶融コンポジットに含まれる任意選択の賦形剤は、多糖および多糖の親水コロイド、以下に限定されないが、アカシア、トラガカント、カラヤ、キサンタンガム、ゲランガム、カラヤガム、ガムガッチ、ハイビスカス粘液、アルギネート、キトサン、カラゲナン、プルラン、フコイダン、ヒアルロナンおよびそれらの混合物などの粘液、グルカンおよびガム;
以下に限定されないが、キシリトール、ソルビトール、アラビトール、エリスリトール、グリセロール、イソマルト、ラクチトール、マルチトールから選択される糖アルコール;
以下に限定されないが、トウモロコシデンプン、タピオカ、クズウコンおよびムギ、コメおよびバレイショデンプン、グルコース、デキストロース、フルクトース、ならびにそれらの混合物から選択されるデンプンおよびデンプン糖の群から選択され得る。
本発明により使用されてもよい賦形剤は、溶融コンポジットの加工を補助して、最終的な粒状形態または粉末形態にすることができる。これらの賦形剤はまた、以下に限定されないが、二酸化ケイ素、クエン酸などの群から選択することができる。
【0016】
本発明の溶融コンポジットは、所望の目的を達成するために、必ずしも界面活性剤を使用する必要はない。
本発明の溶融コンポジットは、溶融造粒、溶融押出成形、溶融固化、溶融噴霧凝固などの技法を使用して製造することができ、コンポジットの構成成分は、加熱とその後の造粒の制御条件に供され得る。
本発明の溶融コンポジットの組成物は、錠剤、発泡性錠剤、経口崩壊性錠剤、口腔内溶解性錠剤、舌下錠剤、口内錠剤、カプセル剤、丸剤、咀嚼ガム剤、フィルム剤、散剤、顆粒剤、ビーズ剤、ペレット剤、ロゼンジ剤、パステル剤、軟質ゲル剤、ジェリー剤、半固形剤、ペースト剤、シロップ剤、エリキシル剤、溶液剤、懸濁液剤、分散液剤およびエマルション剤などとすることができる。
本溶融コンポジットは、医薬品産業、栄養補助食品産業、化粧品産業または食品産業において許容される、1種または複数の賦形剤を使用することによって、好適な組成物に配合することができる。前記溶融コンポジットを含む組成物は、当業者に公知の従来の方法によって製造することができる。本組成物は、関節の健康、脳の健康、皮膚およびパーソナルケア、スポーツ栄養および肝臓の健康などの様々な用途において、ヒトおよび動物による消費に有用である。
【0017】
本溶融コンポジットおよびその組成物は、以下の条件:1%のラウリル硫酸ナトリウムを含有する900mlの精製水、1分間あたり100回転数、37℃で米国薬局方(USP)装置II(パドル)を使用する、Dietary Supplements Compendium(DSC)2015年、USPの推奨に準拠した本溶融コンポジットおよびその組成物の溶出に関して分析される。本発明のクルクミノイド溶融コンポジットの薬物動態は、動物モデルで検討され、カプセルに充填されたクルクミノイド組成物のバイオアベイラビリティ検討は、健常な志願者において、参照配合物として使用される標準クルクミノイド抽出物のカプセル剤と比較して行われる。
本発明は、非限定的な例によりこれより例示される。
【0018】
(実施例1)
クルクミノイド抽出物(95.4%のクルクミノイドを含有)およびマンニトールSD200を、a)1:0.25およびb)1:0.5の比で、20メッシュASTMに通してふるいにかけて、10分間、混合して混合物を得た。この混合物に表1の条件を使用してホットメルト押出成形に供し、冷却してミル粉砕し、ふるいにかけて溶融コンポジットを得た。
【表1】

【0019】
物理混合物(Physical Mixture:PM)
1:1の比のクルクミノイド抽出物(95.4%のクルクミノイドを含有)およびマンニトールSD200の物理混合物を、個々の成分を20メッシュASTMに通してふるいにかけ、10分間、それらをブレンドすることによって調製した。
溶出検討:
クルクミノイド抽出物95.4%(活性)、実施例1a)および1b)の溶融コンポジット、ならびに物理混合物(すべて、50mgのクルクミノイドと等価である)のクルクミノイドの溶出を先に述べた条件で分析した。その結果が表2に示されている。
【0020】
【表2】

【0021】
表2の溶出データを、以下に示す:
・ 15分時点では、本発明の溶融コンポジットは、クルクミノイド抽出物または物理混合物の場合のわずか17%~18%に比べると、88%および91%の溶出を示す。
・ 30分時点では、本発明の溶融コンポジットは、90%を超える溶出を示す一方、クルクミノイド抽出物は、わずか27%の溶出を示し、物理混合物は、わずか23%の溶出を示す。
このことは、本発明の溶融コンポジットは、クルクミノイド抽出物または物理混合物のどちらかと比較した場合、かなり一層高い溶出速度および程度を示すことを明確に示している。
【0022】
(実施例2)
クルクミノイド抽出物(95.4%のクルクミノイドを含有)(活性)および米ぬか抽出物(14.16%のタンパク質、16.48%の脂肪および51.61%の炭水化物を含有する)を、1:5の比で、20メッシュASTMに通してふるいにかけて、10分間、混合して混合物を得た。この混合物を表1の条件を使用してホットメルト押出成形に供し、冷却してミル粉砕し、ふるいにかけて溶融コンポジットを得た。
【0023】
溶出検討:
クルクミノイド抽出物(95.4%)(活性)および溶融コンポジット(すべて、50mgのクルクミノイドと等価である)のクルクミノイドの溶出を先に述べた条件で分析した。その結果が表3に示されている。
【表3】


表3の溶出データを、以下に示す:
・ 15分時点では、実施例2の溶融コンポジットは、クルクミノイド抽出物の場合のわずか18%の溶出に比べると、63%となることを示している。
・ 30分時点では、実施例2の溶融コンポジットは、クルクミノイド抽出物の場合のわずか27%の溶出に比べると、76%となることを示している。
表3は、本発明の溶融コンポジットは、クルクミノイド抽出物と比較した場合、一層高い溶出速度および程度を示すことを明確に示している。
【0024】
(実施例3)
95.4%のクルクミノイドを含有するクルクミノイド抽出物(組成物の42.08%w/w)、マンニトール(SD200)(組成物の21.04%w/w)、14.16%のタンパク質、16.48%の脂肪および51.61%の炭水化物を含有する米ぬか抽出物(組成物の13.84%w/w)、ならびにクエン酸一水和物(組成物の21.04%w/w)を30メッシュASTMに通してふるいにかけて、10分間、混合して混合物を得た。この混合物に表1の条件を使用してホットメルト押出成形を行い、冷却してミル粉砕し、ふるいにかけて溶融コンポジットを得た。コロイド状シリカ(組成物の2.0%w/w)を40メッシュASTMに通してふるいにかけた。ブレンダー中でこの押出成形物をふるいにかけたコロイド状シリカと10分間、ブレンドし、溶融コンポジット組成物を得た。
【0025】
実施例3の物理混合物(PM)
個々の成分(クルクミノイド抽出物、マンニトール、米ぬか抽出物およびクエン酸)を20メッシュASTMに通してふるいにかけ、それらを10分間、ブレンドすることによって、実施例3の溶融コンポジットの物理混合物を調製した。
【0026】
(実施例4)
95.4%のクルクミノイドを含有するクルクミノイド抽出物(組成物の21.04%w/w)、マンニトール(SD200)(組成物の10.63%w/w)、14.16%のタンパク質、16.48%の脂肪および51.61%の炭水化物を含有する米ぬか抽出物(組成物の13.04%w/w)、ならびにクエン酸(組成物の36.46%w/w)を20メッシュASTMに通してふるいにかけ、10分間、混合して混合物を得た。この混合物に表4の条件を使用してホットメルト押出成形を行い、冷却してミル粉砕し、ふるいにかけて溶融コンポジットを得た。
【0027】
【表4】


マンニトール200SD(組成物の16.83%w/w)およびコロイド状シリカ(組成物の2.0%w/w)を30メッシュASTMに通してふるいにかけた。ブレンダー中で、溶融コンポジットをふるいにかけたマンニトールおよびコロイド状シリカと10分間、ブレンドし、溶融コンポジット組成物を得た。50mgのクルクミノイドに等価な溶融コンポジット組成物をサイズ00のHPMCカプセルに充填した。
【0028】
(実施例5)
クルクミノイド抽出物(95.4%のクルクミノイドを含有)(組成物の42.08%w/w)、マンニトール(SD200)(組成物の14.0%w/w)、14.16%のタンパク質、16.48%の脂肪および51.61%の炭水化物を含有する米ぬか抽出物(組成物の13.04%w/w)、ならびにクエン酸(組成物の28.88%w/w)を30メッシュASTMに通してふるいにかけて、10分間、混合して混合物を得た。この混合物に表4の条件を使用してホットメルト押出成形を行い、冷却してミル粉砕し、ふるいにかけて溶融コンポジットを得た。コロイド状シリカ(組成物の2.0%w/w)を40メッシュASTMに通してふるいにかけた。ブレンダー中でこの溶融コンポジットをふるいにかけたコロイド状シリカと10分間、ブレンドし、溶融コンポジット組成物を得た。50mgのクルクミノイドに等価な溶融コンポジット組成物をサイズ00のHPMCカプセルに充填した。
【0029】
溶出検討:
クルクミノイド抽出物95.4%、実施例3、4および5の溶融コンポジット組成物、ならびに実施例3の物理混合物(すべて、50mgのクルクミノイドと等価である)のクルクミノイドの溶出を先に述べた条件で分析した。その結果が表5に示されている。
【表5】

【0030】
表5の溶出データを、以下に示す:
・ 15分時点では、実施例3、4および5の溶融コンポジットは、クルクミノイド抽出物および物理混合物の場合のわずか15%~18%の溶出に比べると、77%~86%となることを示している。
・ 30分時点では、実施例3、4および5の溶融コンポジットは、クルクミノイド抽出物および物理混合物の場合のわずか20%~27%の溶出に比べると、83%~88%となることを示している。
表5は、クルクミノイド抽出物、およびマンニトールと米ぬか抽出物との混合物を含む本発明の溶融コンポジット組成物は、クルクミノイド抽出物または物理混合物のどちらか一方と比べて、かなり一層高い溶出速度および程度を示すことを明確に示している。
【0031】
(実施例6)
クルクミノイド抽出物(95%のクルクミノイドを含有)(組成物の63.15%w/w)、マルトデキストリン(Glucidex12D)(組成物の21.01%w/w)、14.16%のタンパク質、16.48%の脂肪および51.61%の炭水化物を含有する米ぬか抽出物(組成物の13.84%w/w)を60メッシュASTMに通してふるいにかけて、10分間、混合して混合物を得た。この混合物に表4の条件を使用してホットメルト押出成形を行い、冷却してミル粉砕し、ふるいにかけて溶融コンポジットを得た。コロイド状シリカ(組成物の2.0%w/w)を40メッシュASTMに通してふるいにかけた。ブレンダー中でこの溶融コンポジットをふるいにかけたコロイド状シリカと10分間、ブレンドし、溶融コンポジット組成物を得た。50mgのクルクミノイドに等価な溶融コンポジット組成物をサイズ00のHPMCカプセルに充填した。
【0032】
【表6】

【0033】
(実施例7)
クルクミノイド抽出物(95%のクルクミノイドを含有)(組成物の63.15%w/w)およびマルトデキストリン(Glucidex12D)(組成物の34.85%w/w)を60メッシュASTMに通してふるいにかけて、10分間、混合して混合物を得た。この混合物に表6の条件を使用してホットメルト押出成形を行い、冷却してミル粉砕し、ふるいにかけて溶融コンポジットを得た。コロイド状シリカ(組成物の2.0%w/w)を40メッシュASTMに通してふるいにかけた。ブレンダー中でこの溶融コンポジットをふるいにかけたコロイド状シリカと10分間、ブレンドし、溶融コンポジット組成物を得た。50mgのクルクミノイドに等価な溶融コンポジット組成物をサイズ00のHPMCカプセルに充填した。
個々の成分(クルクミノイド抽出物およびマルトデキストリン)を20メッシュASTMに通してふるいにかけ、それらを10分間、ブレンドすることによって、実施例7の溶融コンポジットの物理混合物を調製した。
【0034】
溶出検討:
クルクミノイド抽出物95.0%、実施例6および7の溶融コンポジット組成物、ならびに実施例7の物理混合物(すべて、50mgのクルクミノイドと等価である)のクルクミノイドの溶出を先に述べた条件で分析した。その結果が表7に示されている。
【表7】

【0035】
表7の溶出データを、以下に示す:
・ 15分時に、担体として米ぬか抽出物およびマルトデキストリンの組合せ物を含む、実施例6の溶融コンポジットは、担体としてマルトデキストリンを単独で含む物理混合物および溶融コンポジットの場合のわずか33%および54%の溶出に比べると、86%というかなり迅速な溶出を示す。
・ 30分時に、実施例6の溶融コンポジットは、担体としてマルトデキストリンを単独で含む物理混合物および溶融コンポジットの場合のわずか40%~67%の溶出に比べると、91%を示す。
表7は、担体として、クルクミノイド抽出物およびマルトデキストリンを、またはマルトデキストリンおよび米ぬか抽出物などの担体の混合物を含む、本発明の溶融コンポジット組成物は、それらの物理混合物およびクルクミノイド抽出物と比べると、かなり迅速な溶出を示すことを明確に示している。
【0036】
(実施例8)
クルクミノイド抽出物(95%のクルクミノイドを含有)(組成物の42.15%w/w)、マルトデキストリン(Glucidex12D)(組成物の14.01%w/w)、14.16%のタンパク質、16.48%の脂肪および51.61%の炭水化物を含有する米ぬか抽出物(組成物の13.84%w/w)、およびマンニトール(SD200)(組成物の28.0%w/w)を60メッシュASTMに通してふるいにかけて、10分間、混合して混合物を得た。この混合物に表6の条件を使用してホットメルト押出成形を行い、冷却してミル粉砕し、ふるいにかけて溶融コンポジットを得た。コロイド状シリカ(組成物の2.0%w/w)を40メッシュASTMに通してふるいにかけた。ブレンダー中でこの溶融コンポジットをふるいにかけたコロイド状シリカと10分間、ブレンドし、溶融コンポジット組成物を得た。50mgのクルクミノイドに等価な溶融コンポジット組成物をサイズ00のHPMCカプセルに充填した。
個々の成分(クルクミノイド抽出物、マルトデキストリン、米ぬか抽出物およびマンニトール)を20メッシュASTMに通してふるいにかけ、それらを10分間、ブレンドすることによって、実施例8の溶融コンポジットの物理混合物を調製した。
【0037】
(実施例9)
クルクミノイド抽出物(95%のクルクミノイドを含有)(組成物の42.15%w/w)、マルトデキストリン(Glucidex12D)(組成物の27.85%w/w)およびマンニトール(SD200)(組成物の28.0%w/w)を60メッシュASTMに通してふるいにかけて、10分間、混合して混合物を得た。この混合物に表6の条件を使用してホットメルト押出成形を行い、冷却してミル粉砕し、ふるいにかけて溶融コンポジットを得た。コロイド状シリカ(組成物の2.0%w/w)を40メッシュASTMに通してふるいにかけた。ブレンダー中でこの溶融コンポジットをふるいにかけたコロイド状シリカと10分間、ブレンドし、溶融コンポジット組成物を得た。50mgのクルクミノイドに等価な溶融コンポジット組成物をサイズ00のHPMCカプセルに充填した。
個々の成分(クルクミノイド抽出物、マルトデキストリン、米ぬか抽出物およびマンニトール)を20メッシュASTMに通してふるいにかけ、それらを10分間、ブレンドすることによって、実施例8の溶融コンポジットの物理混合物を調製した。
【0038】
溶出検討:
クルクミノイド抽出物95.0%、実施例8および9の溶融コンポジット組成物、ならびに両方の実施例の物理混合物(すべて、50mgのクルクミノイドと等価である)のクルクミノイドの溶出を先に述べた条件で分析した。その結果が表8に示されている。
【表8】

【0039】
・ 15分時に、担体として米ぬか抽出物、マルトデキストリンおよびマンニトールの組合せ物を含む、実施例8の溶融コンポジットは、物理混合物の場合のわずか33%の溶出に比べると、83%というかなり迅速な溶出を示す。同様に、担体としてマルトデキストリンおよびマンニトールの混合物を含む、実施例9の溶融コンポジットは、物理混合物の場合と比べると、86%というかなり迅速な溶出を示す。
・ 30分時では、実施例8および9の溶融コンポジットは、両方の組成物の物理混合物の場合のわずか34~36%の溶出に比べると、84%および88%となることを示す。
表8は、クルクミノイド抽出物、および担体として米ぬか抽出物、マルトデキストリンおよびマンニトールのいずれかの混合物、または担体としてマルトデキストリンおよびマンニトールの混合物を含む、本発明の溶融コンポジット組成物は、それらの物理混合物およびクルクミノイド抽出物と比べると、かなり一層高い溶出速度および程度を示すことを明確に示している。
【0040】
(実施例10)
クルクミノイド抽出物(95%のクルクミノイドを含有)(組成物の89.46%w/w)およびマンニトール(SD200)(組成物の10.54%w/w)を60メッシュASTMに通してふるいにかけて、10分間、混合して混合物を得た。この混合物に表6の条件を使用してホットメルト押出成形を行い、冷却してミル粉砕し、ふるいにかけて溶融コンポジットを得た。50mgのクルクミノイドに等価な溶融コンポジット組成物をサイズ00のHPMCカプセルに充填した。
【0041】
溶出検討:
クルクミノイド抽出物95.0%、実施例10の溶融コンポジット組成物(50mgのクルクミノイドと等価である)のクルクミノイドの溶出を先に述べた条件で分析した。結果が以下に示されている。
【表9】


表9は、担体としてマンニトールを含む、本発明の溶融コンポジット組成物は、クルクミノイド抽出物と比較した場合、かなり一層高い溶出速度および程度を示すことを明確に示している。
【0042】
(実施例11)
薬物動態研究
本発明のクルクミノイド溶融コンポジットの薬物動態を、クルクミノイド抽出物(活性)との比較で、実施例4および5の溶融コンポジット組成物の単回経口投与後に検討した。本検討は、雄のスプラーグドーリーラットで行った。動物に、実施例4および5の溶融コンポジット組成物、ならびに95.4%のクルクミノイドを含有するクルクミノイド抽出物を経口投与し、一用量分は各々、体重の300mg/kgと等価とした。血液試料を、0時間(用量前)、0.50、1、2、4、6、8、12、16および24時間時に採取した。血漿試料のCmax、AUCおよびTmaxを分析した。表10は、薬物動態データの結果を示している。
【0043】
【表10】

【0044】
表10のインビボデータを、以下に示す:
・ 溶融コンポジットを含む本発明の組成物を投与すると、クルクミンのCmaxが410.024ng/mlおよび442.411ng/mlとなり、これは、クルクミノイド抽出物のクルクミンのCmax(102.355ng/ml)の4.0~4.3倍となる。
・ 溶融コンポジットを含む本発明を投与すると、総クルクミノイドのCmaxが445.903ng/mlおよび484.952ng/mlとなり、これは、クルクミノイド抽出物の総クルクミノイドのCmax(123.99ng/ml)の3.6~3.9倍となる。
・ 溶融コンポジットを含む本発明の組成物を投与すると、クルクミンのAUC0-24が1943.500時*ng/mlおよび2161.167時*ng/mlとなり、これは、クルクミノイド抽出物からのクルクミンのAUC0-24(381.086時*ng/ml)の5.1~5.7倍となる。
【0045】
・ 溶融コンポジットを含む本発明の組成物を投与すると、総クルクミノイドのAUC0-24が2104.167時*ng/mlおよび2438.667時*ng/mlとなり、これは、クルクミノイド抽出物からの総クルクミノイドのAUC0-24(454.416時*ng/ml)の4.6~5.4倍となる。
・ 溶融コンポジットを含む本発明の組成物を投与すると、クルクミノイド抽出物のTmax(5.2時間)に比べると、Tmaxが3.58時間および2.75時間で作用する早期発生をもたらす。
表10は、本発明の組成物は、経口投与後に、血漿中のクルクミンおよび総クルクミノイドに関して曲線下面積(AUC0-24)として測定すると、クルクミノイド抽出物と比べた場合、より良好な経口バイオアベイラビリティを示すことを明確に示している。
最大血漿中濃度到達時間(Tmax)値および最大血漿中濃度(Cmax)値は、本発明の組成物に由来するクルクミンおよび総クルクミノイドは、クルクミノイド抽出物に比べると、作用の発生が早期であること、および血液への吸収速度がより速いことを示すことが明確に示されている。
【0046】
(実施例12)
バイオアベイラビリティの検討
絶食状態にある正常な健常成人ヒト対象において、クルクミノイドコンポジットカプセル剤(クルクミノイドを150mg含有)(試験品)の非盲検の無作為化したクロスオーバーの単回経口用量での比較薬物動態研究を、Synthite Industries(P)Ltdの標準ターメリック抽出物カプセル剤95%(クルクミノイドを500mg含有)(参照)を用いて行った。
18~45歳の間の年齢の14名の対象を本検討に登録し、これらの対象に、すべての食事が、ターメリック、およびブラックペッパー、ならびにターメリックおよび/またはブラックペッパーを含有する市販のスパイス混合物のいずれも含まないものを摂取するように指示した。スケジュールをたてた投薬時間の10時間前に一晩、絶食させた後、無作為化スケジュールに従い、試験品(1×150mg)または参照品(3×500mg)の製品を、絶食状態下、周囲温度の水240mLと共に投与した。
【0047】
総クルクミンおよび総クルクミノイドのような分析対象の血漿中濃度を、検査済みの液体クロマトグラフィー-質量分光法/質量分光法(LC-MS/MS)バイオ分析法を使用して測定した。試験配合物(溶融コンポジット)および参照配合物(クルクミノイド抽出物)の総クルクミノイドおよび総クルクミンのCmaxおよびAUC0-t値の比較評価を表11に記録した。
【表11】

【0048】
総クルクミノイドの場合、試験配合物(T)のCmaxの幾何LSMは、97.804ng/mlであった一方、参照配合物(R)の場合、49.251ng/mlであった。これらの値に基づくと、総クルクミノイドの場合、試験配合物(T)は、参照配合物(R)に比べて、19倍高い相対吸収率をもたらすことが観察された。
総クルクミノイドの場合、試験配合物(T)のAUC0-tの幾何LSMは、475.176ng.時/mLであった一方、参照配合物(R)の場合、496.212ng.時/mlであった。これらの値に基づくと、総クルクミノイドの場合、試験配合物(T)は、参照配合物(R)よりも、9.5倍高い相対バイオアベイラビリティを有することが見出された。
【0049】
総クルクミンの場合、試験配合物(T)のCmaxの幾何LSMは、53.117ng/mLであった一方、参照配合物(R)の場合、21.603ng/mlであった。これらの値に基づくと、総クルクミンの場合、試験配合物(T)は、参照配合物(R)に比べて、25倍高い相対吸収率をもたらすことが観察された。
総クルクミンの場合、試験配合物(T)のAUC0-tの幾何LSMは、256.171ng.時/mLであった一方、参照配合物(R)の場合、203.573ng.時/mlであった。これらの値に基づくと、総クルクミンの場合、試験配合物(T)は、参照品よりも、13倍高い相対バイオアベイラビリティを有することが見出された。
【0050】
テトラヒドロクルクミンの場合、試験配合物(T)のCmaxの幾何LSMは、177.1444ng/mLであった一方、参照配合物(R)の場合、79.8723ng/mlであった。これらの値に基づくと、テトラヒドロクルクミンの場合、試験配合物(T)は、参照配合物(R)に比べて、22倍高い相対吸収率をもたらすことが観察された。
テトラヒドロクルクミンの場合、試験配合物(T)のAUC0-tの幾何LSMは、1273.9233ng.時/mLであった一方、参照配合物(R)の場合、821.8471ng.時/mLであった。これらの値に基づくと、テトラヒドロクルクミンの場合、試験配合物(T)は、参照配合物(R)よりも、16倍高い相対バイオアベイラビリティを有することが見出された。
薬物動態および統計解析に基づくと、活性体の用量が150mgの本発明の溶融コンポジットは、1500mgの活性体の用量の標準ターメリック抽出物カプセル剤95%に比べると、より高い相対吸収率、および約10~15倍優れた相対バイオアベイラビリティを有することが見出された。