(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】影響度の計算
(51)【国際特許分類】
G06F 17/18 20060101AFI20240902BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240902BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20240902BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240902BHJP
【FI】
G06F17/18 Z
G06Q50/06
G06Q10/06
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2021519650
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(86)【国際出願番号】 US2019055465
(87)【国際公開番号】W WO2020077000
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-07-08
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520370094
【氏名又は名称】フラクタ
【氏名又は名称原語表記】Fracta
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】吉川 大地
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ヨンヤン
(72)【発明者】
【氏名】カッコーリ, マッティ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンガーテン, ジョエル
【審査官】坂庭 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033808(JP,A)
【文献】国際公開第2015/189921(WO,A1)
【文献】特開2010-108307(JP,A)
【文献】特開2009-048384(JP,A)
【文献】特開2006-183274(JP,A)
【文献】特開2011-059799(JP,A)
【文献】特開2014-016691(JP,A)
【文献】特開2015-094665(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0083398(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0138396(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/06
G06Q 10/06
G06Q 10/20
G06F 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互接続され管理されている配管のネットワークを修復することを選択するためにユーザと相互作用するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供することを含み、寿命切れではあるが健全な配管を将来に交換することを戦略的に残しながら、最悪状態にある配管の交換を優先付けする方法において、
複数個の該相互接続され管理されている配管の各々と関連するサービス中断値のコストであって、中断による前記ネットワークを通じた供給の喪失の顧客にとっての値を表し、中断によって影響を受ける人の数、中断の影響時間、影響を受ける配管のサイズと材質とを含む
要因に基づくサービス中断値のコストをコンピュータにより実行される処理システムで計算し、ある期間中に該複数個の該相互接続され管理されている配管の夫々でサービス中断が発生する蓋然性を計算し、
該複数個の該相互接続され管理されている配管の各々と関連する輸送中断値のコストであって、サービス中断に関連する交通インフラストラクチャのセクションへのアクセスを有する個人と関連する値を表す、輸送中断値のコストを計算し、及び
該管理されている配管の修復の予測コスト、該計算したサービス中断値のコスト、及び該計算した輸送中断値のコストに少なくとも部分的に基づいて該複数個の該相互接続され管理されている配管の各々に対して総合影響度値をコンピュータにより実行される処理システムで計算することであって、クリチカル施設の影響度に強調を適用すること、を含み、
前記ユーザと表示された前記GUIとの間の相互作用を提供し、前記相互作用は前記GUIに含まれる1つまたは複数のパラメータに対する選択または修正を包含する、ことを包含している方法であって、
該相互作用は、修復のコストと修復の時間との間でユーザの選択を可能にし、選択されていない時間または修復、修復のコスト、配管のサイズ、および修復の影響を受ける個人の数に一致する値を自動入力し、
該相互作用に基づいてレポートを作成し、
前記レポートに従って、該ネットワークの配管の交換を優先付けする、方法。
【請求項2】
該総合影響度値、修
復の予測コスト、該サービス中断値のコスト、及び該輸送中断値のコストは
、金額値として表され、且つ該総合影響度値は、該修復の予測コストと、該サービス中断値のコストと、該輸送中断値のコストとの和を包含している請求項1記載の方法。
【請求項3】
該サービス中断値のコスト及び該輸送中断値のコストを前記計算することが、該管理されている配管に対して修復を行うための予測時間と該夫々の中断に起因する単位時間当たりの予測コストとの積を計算することを包含している請求項2記載の方法。
【請求項4】
該サービス中断に起因する単位時間当たりの予測コストが、サービス中断の一人当たりのコスト及び該管理されている配管の損傷に起因するサービス中断を経験する人の予測数に少なくとも部分的に基づいている請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記相互接続され且つ管理されている配管が配管セグメントであり、且つ該サービス中断を経験する人の予測数が、該配管セグメントの直径に少なくとも部分的に基づいている請求項4記載の方法。
【請求項6】
輸送中断に起因する単位時間当たりの予測コストが、輸送中断の一人当たりのコスト及び該管理されている配管の損傷に起因する輸送中断を経験する人の予測数に少なくとも部分的に基づいている請求項3記載の方法。
【請求項7】
一つの管理されている配管がクリチカル施設に近接している場合、前記総合影響度値を計算することが、更に、該クリチカル施設に対する該サービス中断及び/又は輸送中断と関連するコストに部分的に基づいている請求項1記載の方法。
【請求項8】
少なくとも幾つかの該管理されている配管の該総合影響度値を計算することが、更に、該管理されている配管の各々に対して100%未満のレートで発生することが予測される稀なイベントに対しての予測コストに部分的に基づいている請求項1記載の方法。
【請求項9】
該稀なイベントが該管理されている配管の各々に対して10%未満のレートで発生することが予測されている請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記相互接続され管理されている配管が配管セグメントである請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記配管セグメントが水を消費者へ送給するためのネットワークを形成している請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記配管セグメントが、淡水、排水、リサイクル水、汽水、暴風雨水、海水、飲料水、蒸気、圧縮空気、油、及び天然ガスからなるグループから選択したタイプの流体を送給する構成とされている請求項10記載の方法。
【請求項13】
該総合影響度値の計算に関係する複数個のパラメータをグラフィカルユーザインターフェース上に表示させ、及び
前記複数個のパラメータの一つ又はそれ以上のユーザからの選択又は修正を受け取る、
ことを、更に、包含している請求項1記載の方法。
【請求項14】
相互接続され管理されている配管のネットワークを修復することを選択し、実行するためにユーザと相互作用するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示することを含み、寿命切れではあるが健全な配管を将来に交換することを戦略的に残しながら、最悪状態にある配管の優先付けられた交換のためのシステムにおいて、
前記システムは、
GUIディスプレイと、
複数個の該相互接続され管理されている配管の各々に対する修
復の予測コストを格納しているデータベース、と
処理システムであって、
該複数個の管理されている配管の各々と関連するサービス中断値のコストであって、前記ネットワークを通じた供給の喪失の顧客の値を表し、該喪失によって影響を受ける人の数、影響時間、影響と関連する値、影響を受ける配管のサイズと材質とを含む
要因に基づくサービス中断値のコストを計算し、複数個の該相互接続され管理されている配管の各々と関連する輸送中断値のコストを計算し
、該相互接続され管理されている配管に対する該修復の予測コスト、該サービス中断値の計算されたコスト、及び輸送中断値の計算されたコストに少なくとも部分的に基づいて該複数個の管理されている配管の各々に対する総合影響度値を計算し、クリチカル施設と関連する総合影響度に強調を適用して、ある期間中に該複数個の相互接続されている配管の夫々でサービス中断が発生する蓋然性を計算する、構成とされている処理システムと、を有し、
前記処理システムは、前記総合影響度値を計算することと関連する複数のパラメータの前記GUIを表示し、前記ユーザと表示された前記GUIとの間の相互作用を提供し、前記相互作用は該パラメータの選択または修正を包含する、構成とされており、該相互作用は、修復のコストと修復の時間との間でユーザの選択を可能にし、選択されていない時間または修復、修復のコスト、配管のサイズ、および修復の影響を受ける個人の数に一致する値を自動入力し、
該相互作用に基づいてレポートを作成し、
前記レポートに従って、該ネットワークの配管の交換を優先付けする、システム。
【請求項15】
該総合影響度値、該修
復の予測コスト、該サービス中断値のコスト、及び該輸送中断値のコストが金額値として表され、且つ該総合影響度値が、該修
復の予測コストと、該サービス中断値のコストと、該輸送中断値のコストとの和を包含している請求項14記載のシステム。
【請求項16】
該サービス中断値のコスト及び該輸送中断値のコストを前記計算することが、該管理されている配管に対して修復をする予測時間と、該夫々の中断に起因する単位時間当たりの予測コストとの積を計算することを包含している請求項15記載のシステム。
【請求項17】
該サービス中断に起因する単位時間当たりの予測コストが、サービス中断の一人当たりのコスト及び該管理されている配管の損傷に起因するサービス中断を経験する人の予測数に少なくとも部分的に基づいている請求項16記載のシステム。
【請求項18】
輸送中断に起因する単位時間当たりの予測コストが、輸送中断の一人当たりのコスト及び該管理されている配管の損傷に起因する輸送中断を経験する人の予測数に少なくとも部分的に基づいている請求項16記載のシステム。
【請求項19】
前記相互接続され管理されている配管が、消費者へ水を送給するためのネットワークを形成している直線状配管セグメントであり、且つ前記処理システムが、潜在的な配管交換プロジェクトである潜在的な改良プロジェクトを生成する請求項14記載のシステム。
【請求項20】
前記相互接続され管理されている配管が、淡水、排水、リサイクル水、汽水、暴風雨水、海水、飲料水、蒸気、圧縮空気、油、及び天然ガスからなるグループから選択されるタイプの流体を送給する構成とされている配管セグメントである請求項14記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、以下の米国非仮、国際特許出願及び米国仮特許出願の各々の優先権を主張するものである。
【0002】
米国仮出願番号62/743,477号、2018年10月9日出願;
米国仮出願番号62/743,483号、2018年10月9日出願;
米国仮出願番号62/743,485号、2018年10月9日出願;
米国特許出願番号16/365,466号、2019年3月26日出願;
米国特許出願番号16/365,522号、2019年3月26日出願;
国際特許出願番号PCT/US19/24139号、2019年3月26日出願;
国際特許出願番号PCT/US19/24141号、2019年3月26日出願;及び
米国仮出願番号62/858,266号、2018年6月6日出願。
【0003】
本出願は、上記8件の特許出願、及び、それらが直接的に又は間接的に引用による組み込んでいる米国仮出願、米国非仮出願、及び国際出願を含む出願の各々を引用により取り込む。
【0004】
本特許出願は、以下の米国非仮、国際特許出願及び米国仮特許出願と関連しており且つ引用により取り込む。
【0005】
米国仮出願番号62/649,058号、2018年3月28日出願;
米国仮出願番号62/658,189号、2018年4月16日出願;
米国仮出願番号62/671,601号、2018年5月15日出願;
米国特許出願番号--/---,---号、2019年10月9日出願(代理人ドケット番号Fracta-008-US);
国際特許出願番号PCT/US19/----、2019年10月9日出願(代理人ドケット番号Fracta-008-PCT9);及び
米国特許出願番号16/597,691号、2019年10月9日出願(代理人ドケット番号Fracta-009-US)。
【0006】
上記仮及び非仮特許出願の全てを「共通に譲渡され組み込まれた出願」として以後集合的に参照する。
【0007】
本特許明細書は、大略、パイプラインネットワーク等の相互接続した資産のネットワークを管理するための自動化システム及び自動化方法に関するものである。より詳細には、本明細書は、飲料水供給ネットワーク等のパイプラインネットワークに対する破損の結末、即ち影響度、(consequence of failure)を計算するための自動化システム及び自動化方法に関するものである。
【背景技術】
【0008】
米国のみにおける百万マイルを超える水道配管がそれらの有用な寿命の終わりに到達しており且つ交換の必要性がある。次の25年にわたって、成長する人口に対して現在のレベルのサービスを維持するためには、少なくとも1兆ドルを投資することが必要となる。その問題を無視することは一層高い修復コストとなり且つサービス崩壊の増加となる。
【0009】
米国において、約50,000社の水道事業(ユーティリティ)会社は、予算が制限されているために、それら全てを交換する資源を有するものではない。全ての寿命切れの配管を交換することは不可能であるので、寿命切れではあるが健全な配管を将来に交換することと戦略的に残しながら、最悪状態にある配管の交換を優先付けすることが重要である。
【0010】
ユーティリティ会社が作成した交換計画はかなり不正確であり且つ多くの場合に有用なものではない。ユーティリティ会社が作成した簡単モデルは、更に数年間の寿命を有するであろう配管の無駄な交換に通ずるものであった。次の25年間にわたり、このことは数百万ドルの無駄な消費となる。
【0011】
配管の種々のセグメントを交換するための計画されたプロジェクト又はジョブを作成する場合に、ユーティリティ会社は配管セグメント損傷の影響度に依存することを所望する場合がある。しかしながら、該影響度を計算することは極めて複雑なものとなる場合がある。配管の修復の直接的なコストを超えて、顧客の水道サービスが中断されることの影響度、及び病院等の近くの「クリチカル」な施設に与える影響、などの多くのその他のタイプの間接的なコストが存在している。付加的な要因の各タイプに対して「重みづけ」メカニズムを使用することによってこの様な間接的なコストを組み込むための努力がなされている。しかしながら、この様な努力は、システムの全体的なリスク分布の不均衡な展望を形成する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
幾つかの実施例によれば、相互接続され管理されている資産のネットワークに対して影響度の値を計算する方法を記載する。該方法は、複数個の相互接続され管理される資産の各々と関連するサービス中断値のコストをコンピュータ処理システムで計算すること;該複数個の相互接続され管理されている資産の各々と関連する輸送中断のコストを該コンピュータ処理システムで計算すること;及び、該管理資産の修復の予測されるコストと、サービス中断値の該計算したコストと、輸送中断値の計算されたコストとに少なくとも部分的に基づいて該複数個の相互接続され管理されている資産の各々に対して総合影響度値を該コンピュータ処理システムで計算すること、を包含している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
幾つかの実施例によれば、該総合影響度値、該修復コスト、該サービス中断値のコスト、及び輸送中断値のコストは金額値として表現され、且つ該総合影響度値は、該修復コスト、該サービス中断値のコスト、及び該輸送中断値のコストを包含している。
【0014】
幾つかの実施例によれば、該サービス中断のコスト、及び輸送中断値のコストを計算することは、該管理されている資産に対して修復をするための予測時間と夫々の中断に起因する単位時間当たりの予測コストとの積を計算することを包含している。サービス中断に起因する単位時間当たりの予測コストは、サービス中断の一人当たりのコスト及び該管理されている資産の損傷に起因するサービス中断の影響を受ける人の予測数に基づくものとすることが可能である。輸送中断に起因する単位時間当たりの予測コストは、輸送中断の一人当たりのコスト及び該管理されている資産の損傷に起因する輸送中断の影響を受ける人の予測数に基づくものとすることが可能である。
【0015】
幾つかの実施例によれば、或る管理されている資産が或るクリチカルな施設の近傍にある場合に、該総合影響度値は、サービス中断及び/又は該クリチカルな施設に対する交通中断と関連するコストに基づくものとすることも可能である。
【0016】
幾つかの実施例によれば、該相互接続され管理されている資産は配管セグメントである。該配管セグメントは、消費者へ水を供給するために使用することが可能である。幾つかのその他の実施例によれば、該配管セグメントは、淡水、排水、リサイクル水、汽水、暴風雨水、海水、飲料水、蒸気、圧縮空気、油、及び天然ガスを供給するために使用することが可能である。
【0017】
幾つかの実施例によれば、本方法は、該影響度値を計算することに関連する複数個のパラメータをグラフィカルユーザインターフェース上に表示すること、及び該複数個のパラメータの内の一つ又はそれ以上に対する選択又は修正をユーザから受け取ること、を包含することも可能である。
【0018】
幾つかの実施例によれば、相互接続され管理されている資産からなるネットワークに対して影響度値を計算するシステムを記載する。本システムは、複数個の該管理されている資産の各々に対する修復の予測コストを格納しているデータベース;及び該複数個の管理されている資産の各々と関連するサービス中断値のコストを計算し、該複数個の相互接続され管理されている資産の各々と関連する輸送中断のコストを計算し、及び該修復の予測コスト、サービス中断値の計算されたコスト、及び該管理されている資産に対する輸送中断値の計算されたコストに少なくとも部分的に基づいて該複数個の管理されている資産の各々に対する総合影響度値を計算する形態とされている処理システム;を包含している。
【0019】
本明細書において使用されるように、「及び(and)」、「又は(or)」、及び「及び/又は(and/or)」等の文法的接続詞は、全て、それらが接続する事例、目的語、主語の内の一つ又はそれ以上が発生するか又は存在する場合を表すことを意図している。この様に、本書において使用されるように、「又は(or)」という用語は、全ての場合に、「排他的又は」の意味ではなく、「包括的又は」の意味を表すものである。
【0020】
本特許明細書の要旨の上の及びその他の利点及び特徴を更に明確化させるために、その実施例の特定例を添付の図面中に例示してある。一つの図面中に例示されている要素又は部品は別の図面中に例示されている同等の又は同様の要素又は部品と置換させることが可能であり、且つこれらの図面は例示的な実施例を図示するものに過ぎず、従って、本特許明細書又は特許請求の範囲の範囲を制限するものと考えるべきではないことは明らかである。本特許明細書の要旨について、添付の図面を使用して、付加的な特定性及び詳細を伴って記載し且つ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】幾つかの実施例に基づく基本的なCOP要因の概括に対するグラフィカルユーザインターフェースの1例の示す概略図。
【
図1B】幾つかの実施例に基づく基本的なCOP要因の概括に対するグラフィカルユーザインターフェースの1例の示す概略図。
【
図1C】幾つかの実施例に基づく基本的なCOP要因の概括に対するグラフィカルユーザインターフェースの1例の示す概略図。
【
図2】幾つかの実施例に基づく、クリチカル施設に関連するパラメータを構成するグラフィカルユーザインターフェースの1例を示す概略図。
【
図3】幾つかの実施例に基づく、その他の損傷に関連するパラメータを構成するグラフィカルユーザインターフェースの1例を示す概略図。
【
図4】幾つかの実施例に基づく、影響度モジュールに対する地図グラフィカルユーザインターフェースの1例を示す概略図。
【
図5】幾つかの実施例に基づく、影響度モジュールに対するレポートビューを示すグラフィカルユーザインターフェースの1例を示す概略図。
【
図6A】幾つかの実施例に基づく、影響度モジュールに対するレポートビューを示すグラフィカルユーザインターフェースの1例を示す概略図。
【
図6B】幾つかの実施例に基づく、影響度モジュールに対するレポートビューを示すグラフィカルユーザインターフェースの1例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好適実施例の幾つかの例の詳細な説明を以下に与える。幾つかの実施例について記載するが、本特許明細書に記載される新規な要旨はここに記載されるいずれかの一つの実施例又は実施例の組み合わせに制限されるものではなく、種々の代替例、修正例、及び均等物を包含するものであることを理解すべきである。更に、完全な理解を与えるために、以下の説明においては多数の特定的な詳細について記載するが、これらの詳細の幾つか又は全てが無しで幾つかの実施例を実施することが可能である。更に、説明の便宜上、関連技術において既知である或る技術的事項については、本書に記載される該新規な要旨を不必要にぼかすことが無いように、その詳細な説明は割愛している。ここに記載する特定の実施例の一つ又は幾つかの個々の特徴は、その他の記載した実施例の特徴又はその他の特徴と結合して使用することが可能であることは明らかである。更に、種々の図面中の同様の参照番号及び記号は同様の要素を表している。
【0023】
幾つかの実施例によれば、損傷の結末(consequence of failure)、即ち影響度(COF)、モジュールは、ユーティリティ会社が効率的に影響度情報を作成し且つその情報の影響を地図又は報告書の形式で視覚化させることを可能とさせる。該影響度モジュールは、ユーザ入力と、準備された環境情報と、インフラストラクチャとを考慮に入れる。幾つかの実施例によれば、該COFモジュールは、種々の要因の相対的な重要性に関して複雑な層状決定(layered decisions)を行うか又は重み付け要因の割り当てに依存することのないドル値での影響度を発生する。従って、簡単で分かりやすい構成に基づいて、真実のCOFインパクトの主観的で且つ明確な見解をユーティリティーズに供給することが可能である。
【0024】
幾つかの実施例によれば、該COFモジュールは、機能の3つの主要なグループ、即ち分析、ビューマップ、及びレポートで記述することが可能である。
【0025】
モジュール1-分析。このモジュールは、ユーザがCOF要因の3つの基本的なグループ(基本的COF要因、クリチカル施設、その他の損傷)を構成することを許容することによって影響分析を介してユーザを取る。更に、該モジュールは、どのCOF構成が最も良く動作するかを決定するためにユーザが使用すべき異なる値を選択することが可能であるようにユーザが別のシナリオを確立することを可能とする構造を提供する。
【0026】
モジュール2-ビューマップ。ユーザは、COF分析に貢献する環境要因のみならず、COFマップ上で損傷情報の影響及び損傷の蓋然性(尤度)の結果の両方をチェックすることが可能である。これらの要因は、輸送インフラストラクチャ、クリチカル施設、及びCOFに関連するその他のことを包含している。
【0027】
モジュール3-レポート。レポートは、ユーザが自身のスタンダードによってインパクトのカテゴリー及びレベルを選択することを可能とすることによりユーザのユーティリティの影響度プロファイルに関して明確な評価を提供する。又、ユーザは、配管資産情報(寸法、材質)によって又はチャートにおける影響のタイプによって影響度の分布をチェックすることが可能である。
【0028】
以下の記載はCOFモジュール内の各ステージにおいて提供される機能の詳細な説明を提供する。
【0029】
モジュール1-分析。この分析モジュールは、セットアップの3つの主要なグループ、即ちCOFシナリオ、COFコスト要因、及び稼働分析、を包含している。
【0030】
COFシナリオのセットアップ。COF構成についての詳細に入る前に、ユーザは分析ページを介して新たなシナリオ又は修正すべき既存のシナリオを定義すべきである。ユーザは該シナリオの名前及び記述を心で選択し、次いでブランクの構成ページで最初から全く新しいCOFを設定するか、既存のものからシナリオをコピーするか、又は顧客自身のデータベースからCOF値をアップロード(即ち、顧客自身のCOF分析をアップロードすることによりCOF分析をスキップ)することにより開始する。
【0031】
COF要因の修正及び更新。ブランクのシナリオに対するCOF要因の構成が記載される。
【0032】
基本的COF要因。
図1A-1Cは、幾つかの実施例に基づく、基本的なCOF要因の概略的な外観に対するグラフィカルユーザインターフェースの例である。特に、
図1Aは、配管修復コストに対するパラメータを表示しているインターフェースを示している。
図1Bは、サービス中断コストに対するパラメータを表示しているインターフェースを示しており、且つ
図1Cは、輸送中断に対するパラメータを表示しているインターフェースを示している。
図1A-1Cに示した入力テーブル内に含まれている開始数字は「ダミー」数字である。
【0033】
配管修復。該基本的COF要因のこのセクションは2つの部分、即ちコストと時間、を包含している。顧客はボタン110をクリックすることによって開始点としてこれらの2つの部分の内のいずれか一つをポピュレート即ち登録することが可能である。この顧客の選択は、しばしば、ユーティリティ会社によって選択される記録維持方法に依存する。次いで、他方の部分(コスト又は時間)が、フィールド112内にエンターされた予め割り当てられた等価な1時間当たりの料金を使用して自動的に登録される。
【0034】
例えば、顧客はテーブル(表)1に示したような情報に基づいてコストテーブルに入力することを決定する場合がある。
【0035】
【0036】
次いで、ユーザは、等価な1時間当たりの料金を画定し(フィールド112において)且つ賃率、装置コスト、及びその他に基づいて、建築コストを建築期間へ合理的に変換させることが可能である。同じ建築コストに対して使用される資源(労働及び装置)が大きければ大きいほど、実際の修復のための時間は一層短い。この様に、ユーザは、この1時間当たりの料金変換がそのユーティリティ/機関に対して適切であると思われるところを決定することが可能である。
【0037】
ユーザが1時間当たりの料金値として1時間当たり200ドルを選択すると仮定すると、エリア110において「時間」テーブルが選択される場合に、ユーザは「1時間当たりの料金による自動入力」ボタン114をクリックすることによって、自動的に該テーブルをポピュレート即ち登録することが可能であり、その結果テーブル(表)2となる。
【0038】
【0039】
該表上の側部におけるプラス及びマイナス符号ボタン116をクリックすることにより、ユーザは、両方のテーブル、即ち表、に対して示されている配管寸法の分解能又は増分ステップを変化させるために行を付加又は削除することが可能である。該増分ステップはこれら2つの表の間でリンクされており且つ反映される。
【0040】
該建設コストテーブルは配管修復からの結果に対する明確なドル値を与えるものであるが、その修復の時間期間は次の2つの要因、即ちサービス中断及び輸送中断、と関連する影響のドル値と直接的に関連している。
【0041】
「コスト」及び「時間」テーブルの両方に対してオートフィルを完了すると、ユーザは別のオートフィル動作をトリガーすること無しに(オートフィルボタン114がクリックされない限り)、各セル内の値を修正することによって各テーブルを微調整することが可能である。このことは、ユーザが等価な1時間当たりの料金を介してこれら2つのテーブルのリンクを「破壊」し、且つ彼/彼女の最善のエンジニアリング判断に基づいて修復の時間及びコストの2つの独立したテーブルを作成することを可能とする。
【0042】
修復の時間及びコストの2つの独立したテーブルが作成された後に、ユーザは、所望により、これら2つのテーブルの間の情報を再度リンクさせるためにいずれかのテーブルにおけるオートフィルボタン114をクリックすることが可能である。
【0043】
サービス中断。サービス中断「コスト」は、顧客の水供給の喪失を表すドル値として定義することが可能である。記載するCOFモジュールにおいて、ユーザは、(1)影響を受ける個人の数、(2)影響を受ける時間の量、及び(3)その影響に割り当てられる1時間当たりのドル値、を包含する種々の要因に基づいてサービス中断に対するコスト値を定義することが可能である。
【0044】
図1Bにおいて、1時間当たりの値はフィールド122内に入力することが可能である。入力されたドル量は、単一の個客が1時間の間サービスを喪失することを防止するためにユーティリティ会社又は機関が費消する量を定義する。この量が複数のシナリオ(与えられた期間の間サービスを喪失する顧客数)に対して一様な手段を提供することが判明している。
【0045】
上述した影響の期間は、配管の建設コストに関連する配管の寸法及び材質によって決定することが可能である。従って、この情報は配管修復テーブル(
図1A及びテーブル1及び2に示してある)からくる。
【0046】
影響を受ける個人の数は、配管の寸法から推定される。該テーブルの側部上のプラス/マイナス符号ボタン126をクリックすることによって、ユーザは、図示されている配管寸法の分解能又は増分ステップを変化させるために行を付加するか又は削除することが可能である。ユーザが入力すべきセルは、点線でハイライトされている。
【0047】
ユーザは平均配管速度を定義することが可能であり、従って、それは、配管寸法の或る範囲内においての平均流れを得るために、その配管の断面積と乗算させるために使用することが可能である。典型的な速度範囲は、3-5ft/sec(fps)であり且つ水力モデル結果又は設計仕様に基づくより一般的な知識から得ることが可能である。
【0048】
毎日の一人当たりの水の使用は、市の計画文書又はオペレータの知識から入手することが可能であり、典型的な値は一人当たり50ガロン/日である。平均的な毎日の流れ及び一人当たりの平均的な毎日の水の使用の場合に、顧客の推定数を自動的に計算することが可能であり且つ次式に示した如くに他の2つの要因に基づく1時間当たりの値の影響として計算することが可能である。
【0049】
全サービス中断影響=影響を受ける顧客数×顧客当たりの1時間当たりの値×修
復時間
輸送中断。輸送中断は、輸送インフラストラクチャのセクションへのアクセスを有する個人個人を表すドル値として定義することが可能である。記載するCOFモジュールにおいては、ユーザは、(1)影響を受ける個人の数、(2)影響を受ける時間の長さ、及び(3)この影響に割り当てられた1時間当たりの値、に基づいて輸送中断に対する値を定義することが可能である。
【0050】
図1Cにおいて、ユーザはフィールド132内に1時間当たりの料金の値を入力することが可能である。入力されたドル量は、単一の顧客が1時間の間輸送が中断されることを防止するためにユーティリティ会社又は機関が費消する量を定義する。この量は複数のシナリオ(与えられた時間の間輸送中に遅延されるか又は停止される顧客の数)に対して一様な手段を提供することが判明している。
【0051】
上述した如く、影響の時間は、配管の建設コストに関連する配管の寸法及び材質によって決定することが可能である。この情報は、配管修復テーブル(
図1A及びテーブル1及び2に示してある)からくる。
【0052】
影響を受ける個人の数は輸送のタイプから推定される。一般的なプロセスを
図1Cに例示してある。ユーザが入力すべきセルは点線でハイライトされている。
【0053】
ユーザは、輸送タイプの各タイプに対して1時間当たりの乗客の数の推定を与えることが可能である。この情報は、一般常識又は監督機関(例えば、Caltrans,BART,又は運輸局)からの公共情報によって提供される情報のいずれかとすることが可能である。サービス中断と同様に、乗客毎の1時間当たりの値は全ての輸送タイプに対して普遍的に割り当てられる。各配管に対して割り当てられるドル値は次式によって計算することが可能である。
【0054】
全輸送中断影響=影響を受ける乗客の数×乗客毎の1時間当たりの値×修復時間
クリチカル施設。幾つかの実施例によれば、「クリチカル施設」は米国におけるFEMA(米連邦緊急事態管理局)などの政府機関に従って定義することが可能である。そのオペレーション及びこれらの施設への及び該施設からのアクセスは、基本的な公共サービスを維持するために極めて重要である。
【0055】
水道ユーティリティの文脈において、クリチカル施設に影響を与えることが可能な水道本管の何らかの潜在的な破損に対して注意を払うべきである。伝統的に、そのことは、種々の重みづけメカニズムを介して行われてきているが、それはこれらの施設の破損の蓋然性(尤度)について過剰に強調するものとなるか又はその重要性を過小評価するものとなる。この従来の「重みづけ」メカニズムアプローチは、システムの全体的なリスクプロファイルの不均衡な見解を形成するものであることが判明している。
【0056】
幾つかの実施例によれば、ここに記載されるCOFモジュールは、これらのクリチカル施設の基本的な機能を考慮し且つこれらの施設の重要性を表す値を割り当てることによってその重要性を高くさせ、一方、同時に、それらがその他の要因及びパラメータと同等であることを確保する。このことを達成するために、或るクリチカル施設が緊急時に水道サービスと輸送アクセスの両方に依存する場合には、ユーザは、その他の近くの配管又は輸送と比較して一層重要性が低い場合がある実際の配管寸法又は輸送タイプに拘わらずに、それらの機関に対して適切である一層高いスレッシュホールド数でこれらの値を上書きすべきである。換言すると、たとえ配管が小さいか、又は輸送モードが地方の道路である場合であっても、ユーザは、あたかも配管が一層大きく且つ輸送タイプが大量輸送機関に一層近いものであるかのように、それらの値を単純に増加させる機会を有している。
【0057】
図2は、幾つかの実施例に基づく、クリチカル施設に関連するパラメータを構成するグラフィカルユーザインターフェースの1例である。第1に、ユーザは、
図1B及び1Cに示した如き基本的COF要因入力によって作成される値に基づく輸送及びサービス中断値のデフォルト値を定義すべきである。
図2において、ユーザは、ドロップダウンフィールド210及び212から、夫々、輸送及びサービス中断レートからの1時間当たりの値を選択することが可能である。図示例においては、ユーザは、高速道路に対しての$50000と12-20インチ配管に対しての$9019の値を選択している。これらの値は、近くのクリチカル施設に対する実際の輸送タイプ及び配管寸法に基づいて輸送及びサービス中断値を上書きするために適用すべきデフォルトの1時間当たりの値として使用される。
【0058】
次いで、COFエンジンが、アクセス及び水供給の両方が重要である適宜のクリチカル施設を探索する。デフォルトとして、アクセス及び水供給の両方が全てのタイプの施設に対して重要であると考えられる。しかしながら、ユーザは、これらの側面の一方又は両方を適宜(即ち、水供給は警察署に対しては重要性が低い場合がある)スイッチオフすべく選択することが可能である。
【0059】
該COFモジュールは、デフォルトの一層大きな配管及び大量輸送影響値から一層高い値をこれらの施設に近いパイプラインへ自動的に割り当てる。該輸送及びサービス中断値は、これらの一層高い値によって上書きされて、これらの場所に対してのアクセス及び/又は水供給を維持することの重要性を反映させる。
【0060】
ボタン230を使用して、ユーザは、該COFシステムからの既存のGIS情報をピックすることにより付加的なタイプの施設を付加すること、又は彼らにとって重要な施設を表すためにカスタムGIS情報をアップロードすることの能力を有している。例えば、これらの施設は、これらに制限されるものではないが、ポンピング施設、処理施設、重要顧客、大きな産業的ユーザ、等を包含することが可能である。
【0061】
ユーザは、又、各タイプの施設に対しての輸送又はサービス中断のいずれかをターンオンさせた後に該上書き値を手作業で修正するための手段を有している。顧客の輸送タイプ又は配管寸法の最初の選択に基づいてデフォルト値が割り当てられるが、該施設がその他のタイプの施設と又は配管寸法及び輸送タイプを介して供給されたデフォルト値と比較して一層重要であるか又は一層重要でないかを顧客が決定する場合にそれらは微調整させることが可能である。
図2に示した例において、ユーザは、病院に対する輸送中断値(220)及び警察施設に対するサービス中断値(222)を上書きしている。手作業によって変更された値は、中断タイプがアクティブ(ターンオン)である場合には、リセットボタンをクリックすることによってデフォルトへ復帰させることが可能である。
【0062】
その他の損傷。一般的に、その他の損傷はたまに発生するイベントであって、それは資産に障害が発生するたびごとに予測されるものではない。換言すると、たとえ関連する配管セグメントに損傷が発生しても、少なくとも、時折は、該「その他の損傷」が発生することはないことが予測される。幾つかの例において、配管セグメントが損傷する場合(例えば、レストラン近くで且つ損傷がビジネスの中断を発生させる)、該「その他の損傷」の幾つかは、10%で発生する場合がある。一般的に、関連する配管セグメントが損傷する度に発生することが予測されるものではない。これらはしばしば発生するものではない発生率であって、且つ緊急応答又は水供給にとってクリチカルである施設と関連するものではない。これらの損傷のその他の例は、建物損傷、魚の大量死(環境的影響)又は人身傷害を包含している。
【0063】
図3は、幾つかの実施例に基づく、その他の損傷に関連するパラメータを構成するためのグラフィカルユーザインターフェースの1例である。これらの付帯条件は2つの主要なカテゴリーにグループ化させることが可能であり、即ち、(1)建物損傷などのGIS特徴タイプ(建物、川、湖)に近接して関連する付帯条件、及び(2)障害又は魚の大量死等のいずれかのGIS特徴タイプからも独立している付帯条件である。
【0064】
GIS特徴タイプと関連することが可能なその他の損傷タイプの場合、ユーザは、それが過去に発生した回数と共に、過去の事例から又は将来の事例の投影リスクから推測されたインパクト値を入力することが可能である(計画の見通しが5年であるか又は5年LOFである場合には、その振り返りは過去の事例に対して少なくとも5年であることが必要)。過去においてその事例が全く発生しておらず且つユーザが将来に対しての見通しを付加したい場合には、発生頻度は1として設定することが可能である。
【0065】
本書に記載するCOFシステムは、過去5年から発生した損傷数を抽出し(この例においては、300存在していた)且つ過去の発生数を振り返り期間における全損傷数で除算することによってユーザのシステムにおいてこのような事象が発生するであろう蓋然性(尤度)を計算するためにその情報を使用する。次いで、代表的なインパクト値が、該事象の値に該期間中に発生するその実際の蓋然性(尤度)を乗算することによって計算される。
【0066】
本書に記載するCOFシステムは、次いで、配管が損傷する度に発生するものではないが全体的なインパクト即ち影響を有する有害的である、このタイプの損傷に対して関連性のあるGIS特徴を探索する。建物損傷の場合、建物に近い全ての配管には次式に等しいインパクト値が割り当てられる。
【0067】
インパクト値=過去の事象値×過去の発生数/計画期間内の過去の全損傷数
どのGIS特徴タイプからも独立的であるか又は明らかにそれに関連することが不可能なその他の損傷タイプに対しては、GIS特徴に対するユーザ入力(
図3中の「関連性の或るGEO」)は必要ではない。
【0068】
COF分析稼働。COFパラメータの構成の後に、ユーザは、COF分析自身を稼働させるか、又は結果的に得られるCOF値をデフォルトLOF値(典型的に5年LOF)で乗算することによってBRE(ビジネスリスクエクスポージャ)を計算することが可能である。
【0069】
モジュール2-マップ。
図4は、幾つかの実施例に基づく、影響度モジュールに対するマップ(地図)グラフィカルユーザインターフェースの1例である。ユーザは、該マップ上で以下のことを行うことが可能である。(1)影響度値が最も高いのはどこかを可視化させるために配管COFヒートマップ410及び個々の配管セグメントの検査;(2)基本COF要因、クリチカル施設、及びその他の損傷を含むCOF値を構成する異なるカテゴリー、及びそれらのサブカテゴリーの配管COF詳細(セクション412)の検査;(3)長さ、材質、設置年などを含む配管セグメント情報の検査;及び(4)該マップビュー上で、配管情報(直径、材質、設置年)、LOF情報、COF情報、及びBRE情報(メニューバー414)の間で表示のレイヤーの変更。ユーザの選択に応答して記号が変化し、且つ(5)マップ制御部(セクション420)上で、ビューにおけるシナリオを選び、該マップ上に示すべきCOF計算及び分析に関連する種々のGIS特徴を選択する。
【0070】
モジュール3-レポート。
図5,6A及び6Bは、幾つかの実施例に基づく、影響度モジュールに対するレポートビューを示しているグラフィカルユーザインターフェースの例である。このレポートビューにおいて、ユーザは、レポートセクションにおけるシステムCOFの以下の側面を識別し、比較し、且つ対照するために該COFモジュールで発生されたチャート及びテーブルを選択することが可能である。即ち、(1)配管材質及び寸法にわたっての影響度の異なるカテゴリーからのドル量リスク値の分布;(2)COFの異なるカテゴリーにわたっての影響度の値の分布、要約;及び(3)上記と同様のビジネスリスクエクスポージャの分布、である。
【0071】
幾つかの実施例によれば、本書に記載するCOFモジュールは、排水、リサイクル水、汽水、暴風雨水、海水、蒸気、圧縮空気、油、及び天然ガス等のその他の流体を担持するための配管等の飲料水供給以外の資産に対して適用することが可能である。幾つかの実施例によれば、本書に記載されるシステム及び方法は、ファイバーケーブル、電線、及び電柱等のネットワークへ適用することが可能である。
【0072】
以上、明確性のために幾らか詳細に説明したが、その原理を逸脱すること無しに或る変更及び修正を行うことが可能であることは明らかである。本書に記載したプロセス及び装置を実現する多くの代替的な態様が存在していることに注意すべきである。従って、これらの実施例は、例示的なものであって制限的なものではなく、且つ本書に記載した内容はそこに与えた詳細に制限されるべきものではなく、特許請求の範囲の範囲内において及び均等物で修正することが可能である。