(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】整形外科インプラントのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20240902BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20240902BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20240902BHJP
【FI】
A61F2/44
A61B6/03 560G
A61B6/03 560J
A61B6/03 560T
G16H50/20
(21)【出願番号】P 2021531331
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 US2019063855
(87)【国際公開番号】W WO2020113165
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-21
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521234397
【氏名又は名称】カールスメッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー ナイル パトリック
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0249440(US,A1)
【文献】特表2016-501701(JP,A)
【文献】米国特許第09508106(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0039504(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0095200(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
A61B 6/03
G16H 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者固有の整形外科インプラントを設計するコンピュータ実装方法であって、
少なくとも1つのコンピュータ装置によって、患者に関連するユーザアカウントを作成するステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記患者の患者データを受け取るステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記患者の画像データを受け取るステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記受け取られた患者データ及び前記受け取られた画像データに基づいて、前記患者固有の整形外科インプラントを設計するステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、少なくとも1つの医療提供者から、前記患者固有の整形外科インプラントの設計についてのフィードバックを受け取るステップと、
を含むことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記フィードバックは、前記設計についての医師の承認を含み、前記方法は、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記患者の画像データを使用するための患者承諾を受け取るステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記患者固有の整形外科インプラントのための治療プロトコルを生成するステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記少なくとも1つの医療提供者から前記治療プロトコルについての承認を受け取るステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記治療プロトコルは、前記患者固有の整形外科インプラントのために設計され、前記患者承諾は、前記患者固有の整形外科インプラントを設計する前に受け取られる、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、健康管理医データ、症例データ及び走査データを含むデータを収集するステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記収集されたデータに基づいて、前記患者固有の整形外科インプラントの設計の少なくとも一部を作成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
セグメンテーションツール及び3次元モデリングを使用して前記患者固有の整形外科インプラントを設計するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記受け取られた画像データに基づいて、1又は2以上のセグメンテーションアルゴリズムを使用して前記患者の関連する生体構造を識別するステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記関連する生体構造の相対的位置を修正するステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記関連する生体構造の解剖学的要素間の1又は2以上の空間を識別するステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記整形外科インプラントを設計するための3次元空間のサブセットを識別するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコンピュータ装置を使用して、前記患者の受け取られた画像データにおいて関連する生体構造をセグメント化するステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置を使用して、前記関連する生体構造の相対的位置を修正するステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置を使用して、関連する解剖学的要素間の1又は2以上の3次元空間を識別するステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータ装置を使用して、前記患者固有の整形外科インプラントを表す前記3次元空間のうちの少なくとも1つの3次元空間の一部を識別するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコンピュータ装置によって、前記少なくとも1つの医療提供者からの前記フィードバックを認証するステップと、
前記フィードバックを認証した後に、前記設計に従って前記患者固有の整形外科インプラントを製造するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1又は2以上のプロセッサと、
命令を記憶したメモリと、
を備え、前記命令は、前記1又は2以上のプロセッサによって実行された時に
、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を前記システムに実行させる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、コンピュータシステムによって実行された時に
、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を前記コンピュータシステムに実行させる、
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2018年11月29日に出願された「整形外科インプラントのためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR ORTHOPEDIC IMPLANTS)」という名称の米国特許出願第62/773,127号に関連し、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入られる。
【0002】
本発明の分野は、一般に脊椎インプラントを含む整形外科インプラント、及び整形外科インプラントを設計して作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科インプラントは、様々な異なる病気を治すために使用される。整形外科インプラントを利用する整形外科手術は、脊椎手術、手の手術、肩及び肘の手術、関節全置換術(関節形成術)、頭蓋骨再建術、小児整形外科、足及び足首の手術、筋骨格腫瘍学、外科的スポーツ医学及び整形外科的外傷を含む多くの特定領域のうちの1つを含むことができる。
【0004】
整形外科手術は、関節置換又は身体骨格構造のその他の置換を含むことができる。いくつかの事例では、患者が関節の変性又は別の関節機能面の障害によって関節置換を必要とすることがある。さらなる整形外科手術は、腫瘍又は外傷によって損なわれた骨又は骨の一部の置換を含むことができる。1つの状況では、患者が、腫瘍によって構造的完全性が損なわれた骨の一部の置換を必要とすることがある。また、癌の増殖を食い止める治療プロトコルの一部として骨の腫瘍の切除が必要になることもある。他の事例では、自動車事故又は転落などの外傷が重度の骨折又は骨の障害を引き起こすこともある。これらの事例では、治療プロトコルの一部として骨の一部又は全体が置換を必要とすることがある。治療プロトコルは、生体構造の切除、生体構造の再建、生体構造の修復、及び治療インプラントの投入を含むことができる。
【0005】
脊椎手術は、頚部、胸郭、腰椎、仙骨又は骨盤のうちの1つ又は2つ以上を網羅することができ、脊椎の変形又は変性、或いは関連する背痛、下肢痛又はその他の身体痛を治療することができる。異常な脊柱湾曲は、脊柱側弯症、脊柱前弯症、及び脊柱後弯症(高度又は低度)を含むことができる。異常な脊柱のずれは、脊椎すべり症、側方変位、又は軸方向変位を含むことができる。他の脊椎疾患は、変形性関節症、腰椎変性椎間板疾患又は頸椎変性椎間板疾患、腰椎狭窄又は頸椎狭窄を含む。
【0006】
手術中に脊椎に対して行われる意図的な変更を設定して保持するために、脊椎固定術を実行することができる。脊椎固定術は、DLIF(直接側方腰椎椎体間固定術)又はXLIF(極側方腰椎椎体間固定術)を含む、PLIF(後方進入腰椎椎体間固定術)、ALIF(前方進入腰椎椎体間固定術)、TLIF(横断又は椎間孔腰椎椎体間固定術)、又はLLIF(側方侵入腰椎椎体間固定術)を含む。
【0007】
椎体間固定術の1つの目的は、出口神経根を含む神経要素にとって十分な余裕を提供する位置に空間的関係を獲得するために、椎骨間の骨を成長させることである。椎体間埋め込み装置(又は椎体間インプラント、椎体間ケージ、又は固定用ケージ、又は脊椎ケージ)は、椎骨の相対的位置を維持して適切な孔の高さ及び出口神経の減圧を確立するために脊椎固定術において使用される補綴である。各患者は個別の又は独自の疾病特性を有することがあるが、ほとんどのインプラントソリューションは、標準的なサイズ又は形状(ストックインプラント)のインプラント(例えば、椎体間インプラント)を含む。
【0008】
整形外科インプラント設計プロセスでは、その全体を通じてしばしばソフトウェアが使用される。ソフトウェアは、関連する生体構造を観察して整形外科インプラントの仕様を作成するために使用することができる。ソフトウェアは、インプラント、生体構造及びその他のコンポーネントを表す3次元仮想モデルを作成し、観察し、修正するために使用することもできる。また、ソフトウェアは、関連する解剖学的要素間の空間的関係をより良く理解するために使用することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願第16/048,167号明細書
【文献】米国特許出願第16/242,877号明細書
【文献】米国特許出願第16,207,116号明細書
【文献】米国特許出願第16/383,215号明細書
【文献】米国特許出願第62/773,127号明細書
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】1又は2以上の実施形態による、患者固有の整形外科インプラントを設計するフローチャートである。
【
図2】1又は2以上の実施形態による、患者固有のインプラントを設計して製造するシステム内の情報の流れを説明する図である。
【
図3】患者固有のインプラントを設計して製造するシステムの1つの実施形態を説明するフローチャートである。
【
図3a】インプラントの設計において使用されるデータをカテゴリ化した図である。
【
図4】様々な実施形態による、表示可能な患者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図5】様々な実施形態による、表示可能な患者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図6】様々な実施形態による、表示可能な患者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図7】様々な実施形態による、表示可能な患者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図8】様々な実施形態による、表示可能な患者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図9】様々な実施形態による、表示可能な医療提供者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図10】様々な実施形態による、表示可能な医療提供者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図11】様々な実施形態による、表示可能な医療提供者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図12】様々な実施形態による、表示可能な医療提供者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図13】様々な実施形態による、表示可能な医療提供者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図14】様々な実施形態による、表示可能な医療提供者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図15】様々な実施形態による、表示可能な医療提供者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図16】様々な実施形態による、表示可能な医療提供者ポータルインターフェイスのビューの実施形態を示す図である。
【
図17】1又は2以上の実施形態による、患者固有のインプラントの製造を支援するシステムを示す図である。
【
図18】1又は2以上の実施形態による、患者固有のインプラントを製造するシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書における実施形態では、患者固有の医療装置、及び患者固有の整形外科インプラントを作製する効率的な方法について説明する。本明細書で説明する実施形態による整形外科インプラント及び装置は、椎体間インプラント、拡張型インプラント又は固定用ケージなどの脊椎インプラントを含むことができる。
【0012】
通常、整形外科インプラントは、失われた生体構造を置換し、病理的変形を矯正し、及び/又は変性又は老化によって損なわれた生体構造関係を修復するように意図される。いくつかの事例では、インプラントを使用して、骨折又は外傷によって損なわれた生体構造を置換することができる。他の事例では、インプラントを使用して不適切な発達を矯正することができる。他の事例では、インプラントを使用して、時間の経過又は変性状態の進展と共に変化した関係を修復することができる。画像化、診断、策定、及び/又はインプラントを含む矯正要素の設計を含む治療全体を通じて、コンピュータ装置及びソフトウェアを使用することができる。
【0013】
通常、ソフトウェアは、骨及び軟組織などの関連する内部構造を観察するために使用される。患者の関連する生体構造のデジタル画像(例えば、MRI、CT又はX線)が収集されると、これらは画像視聴用ソフトウェアを実行するコンピュータシステム上に表示される。デジタル画像からのデータは、様々なフォーマットで様々な媒体に保存し、接続コンピュータ又はコンピュータのネットワークを通じてデジタルで転送することができる。画像データは、他のデジタルデータと同様に、電子メール、ファイル転送プロトコル、及びサーバを介したファイル共有を含む典型的な方法によって、典型的な電子ネットワークを通じて送信することができる。ソフトウェアは、インプラントを設計し、インプラントの仕様を提供し、整形外科インプラントの製造命令を与えるためにさらに使用される。ソフトウェアは、生体構造又は整形外科インプラントなどの仮想モデルを生成するのに適したCADソフトウェア又はその他のソフトウェアとすることができる。
【0014】
患者固有のインプラントは、生体構造の除去及び骨解剖学の相対的位置の調整によって生じるネガティブスペースに最適に収まるように設計することができる。脊椎手術では、手術計画ソフトウェアを使用して、椎骨の相対的位置を仮想的に調整して椎骨間の空間を定めることができる。隣接する椎骨間の空間的関係を仮想設計空間内で修正することで、椎体間を収めることができる3D空間を定めることができる。ソフトウェアは、元々の病的生体構造を矯正された生体構造と比較するためにさらに使用することができる。患者固有のインプラントの最適なサイズ及び形状は、埋め込み失敗事例を防止又は低減することができる。
【0015】
整形外科インプラントを設計する1つの方法は、患者、医療提供者(HCP)及びメーカーと連動するように設計されたソフトウェアの使用を含む。HCPは、看護師、医師、外科医、臨床医、又はこれらの支配下で行動する他者を含む、治療を行う存在として説明することができる。
【0016】
整形外科インプラントを製造する1つの方法は、付加製造又は3次元印刷(3DP)の使用を含む。付加製造は、伝統的な減法製造(CNC機械加工、旋削、フライス加工、穿孔、電子堆積製造、ブローチ加工、圧延、破砕など)では製造できなかったはずの複雑なコンポーネントの製造を可能にする。
【0017】
医療治療プロトコルにおける患者の関与が増えると、結果が改善される確率が高まることが認められている。患者の関与を増やす1つの方法は、外科治療前に患者の活動を促すことである。個人的に手術前活動に取り組むようになった患者は手術後の回復活動にも取り組み、これによって結果が改善される可能性が高まる傾向が強い。
【0018】
コンピュータシステムは、患者固有のインプラントを設計するように構成することができる。コンピュータシステムは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ハンドヘルド式コンピュータ、スマートフォン又はその他の装置などの複数のコンピュータプラットフォーム及び装置のソフトウェアを実行するように構成することができる。
【0019】
システムは、整形外科インプラントの設計及び製造に欠かせない情報を収集して共有するように構成された一連のステップを動作させることができる。1つの実施形態では、メーカー(企業)が、外科医から患者固有の(例えば、あつらえの、特注の、個人向けの、適合する、などの)インプラントを求める要求を受け取る。次に、企業は、外科医又は有資格のHCPに、執刀医、デジタル画像データ(走査データ)、手術日、治療プロトコル、手術部位、患者の病状、患者内の病変の位置、患者名、患者の連絡先、患者に直接連絡する権限、患者の生年月日及び患者の性別などの情報を求める要求を送信することができる。治療プロトコルは外科医又はHCPによって説明することができ、除去、操作又は調整すべき特定の生体構造、及び患者の病状の外科的治療を援助するインプラントを含むことができる。デジタル画像データ以外の一群のデータはメタデータとされる。
【0020】
企業は、患者に連絡して追加情報又は不明情報を要求することができる。企業は、患者のデジタル画像データ(又はその他の関連データ)を使用して患者固有のインプラントを設計する要求を患者に対して直接行うことができる。企業は、患者データの匿名化、電子保護された医療情報の削除及びデータの暗号化を含め、医療保険の携行性と責任に関する法律に従うようにデータ管理及びセキュリティ対策を実施することができる。
【0021】
デジタル画像データは、電子ネットワークを介して患者又はHCPから直接取得することができる。また、デジタル画像データは、(フラッシュドライブ又はコンピュータディスクなどの)ポータブルメディア上の電子ストレージを使用して提供することもできる。
【0022】
企業は、デジタル画像データ(例えば、走査データ)、患者データ、HCPデータ及び症例データを含む完全な又はほぼ完全なファイルを有する場合、患者固有のインプラントの設計を開始することができる。企業は、患者固有のインプラントの設計後に、HCP及び/又は患者にアラートを発して、提案される治療プロトコルを確認するようにそれぞれを招待することができる。
【0023】
ソフトウェアソリューションの要素は、ポータル又はインターフェイスと呼ぶことができる。ポータルは、(1)患者、(2)HCP、及び(3)メーカーなどの特定のクラスのユーザ又はクライアントと連動するように設計することができる。ポータルは、指定されたユーザのサブセットからの情報を表示して収集するように設計することができる。ソフトウェアソリューションは、共通のデータセット上で動作することができるが、各クラスのユーザに一致する適切なデータサブセットへのアクセスしか許可しないことができる。1つの実施形態では、クラウドベースのデータハブを使用して共通データを収集することができる。クラウドデータストレージは、データを集中的にサーバに記憶して遠隔的にアクセスできるコンピュータデータストレージのモデルである。スマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップ又はその他のコンピュータ装置を含む複数の装置又はユーザは、適切な許可が下りると、遠隔的に記憶されたデータにアクセスできるようになる。データの中心位置は、複数のユーザの遠隔アクセスを可能にする。各ユーザ又はユーザのクラスは、異なるデータ使用能力(読み取り、書き込み、ダウンロードなど)を有することができる。
【0024】
ポータル及び/又はインターフェイスは、遠隔ユーザ又はコンピュータ装置とデータを交換するためのデータ構造及びプロトコルを意味することができる。1つの実施形態では、ポータルが、サーバコンピュータ装置によってインターネットなどのネットワークを介して提供されるウェブアプリケーションを含む。クライアントコンピュータ装置(例えば、患者装置、医師装置、HCP装置)は、URL(ユニフォームリソースロケータ)などのネットワークアドレスを使用することにより、コンピュータ装置によって提供されたポータルにアクセスすることができる。サーバコンピュータ装置は、クライアントコンピュータ装置にウェブページを送信することを含め、ウェブアプリケーションポータルをホストするように構成することができる。いくつかの実施形態では、ポータルが、サーバコンピュータ装置によって生成された一連のウェブページ及び/又はウェブページテンプレートを含む。いくつかの実施形態では、ポータルが、クライアントコンピュータ装置と構造化データを交換する別の方法を含むことができる。例えば、ポータルは、遠隔コンピュータ装置におけるクライアントアプリケーションとネットワーク通信するサーバコンピュータ装置を含むことができる。一般に、遠隔コンピュータ装置は、サーバコンピュータ装置などのコンピュータシステムとネットワーク通信するコンピュータ装置を含むことができる。
【0025】
インターフェイスは、所定のデータ構造及びレイアウトを含むことができる。サーバコンピュータ装置は、インターフェイスを使用して、クライアントコンピュータ装置及び/又はエンドユーザとのデータ通信を標準化することができる。1つの実施形態では、インターフェイスが、グラフィカルユーザインターフェイスを有するウェブページを含む。サーバコンピュータ装置は、データベースからのデータをインターフェイスに投入してウェブページを生成することができる。インターフェイスは、データをどのように表示すべきであるかを定めるとともに、ユーザがデータ及びコンピュータシステムとどのように相互作用できるかを定めることもできる。例えば、インターフェイスは、クライアントコンピュータ装置にウェブページを表示するHTML及びECMAScript(例えば、JavaScript)コードを含むことができる。別の実施形態では、インターフェイスが、クライアントコンピュータ装置に対話型ユーザインターフェイスを提供するオペレーティングシステムライブラリを実装するソフトウェアアプリケーションを含むことができる。ポータル及び/又はインターフェイスは、ユーザ入力を促し/要求してユーザ入力又はユーザ活動を受け取ることを含め、ユーザ入力(例えば、ユーザ活動)を受け取るように構成することができる。例えば、ウェブページは、テキスト入力フィールド及びファイルアップロードコンポーネントを含むことができる。
【0026】
別の実施形態では、インターフェイスが、一般にAPI又はアプリケーションインターフェイスと呼ばれるプログラムアプリケーションデータインターフェイスを含む。アプリケーションインターフェイスは、クライアントとサーバコンピュータ装置との間のネットワーク通信のためのデータ構造及びプロトコルを規定する。アプリケーションインターフェイスは、HTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル)に基づくウェブAPIを含むことができる。具体的に言えば、サーバコンピュータ装置は、ネットワークを介してHTTP要求を受け取り、データベースに記憶されたデータを検索/修正し、及び/又はサーバコンピュータ装置におけるソフトウェアルーチンを実行する(例えば、記憶されたデータを処理/変換し、データを生成/取り込む)ことによって応答することができる。アプリケーションインターフェイスは、ネットワークファイルシステムプロトコル、データベースコネクティビティプロトコル、ステートフル要求プロトコル及びステートレス要求プロトコルなどの、いずれかの好適な通信規格を含むことができる。
【0027】
整形外科インプラントを製造する1つの方法は、患者ポータルを介して患者と連動するように設計されたソフトウェアの使用を含む。1つの実施形態では、患者ポータルが、患者に密接に結び付いたデータへのアクセスを提供する。患者ポータルは、患者、手術、及び手術で使用すべきインプラントにリンクされた患者識別子を作成又は表示することができる。患者は、この患者識別子又は電子リンクを使用して患者ポータルにアクセスすることができる。また、患者ポータルは、他の患者情報(患者名、生年月日、性別、連絡先など)の収集、確認又は表示を行うように構成することもできる。患者ポータルは、データ入力又はアップロードを介して患者から直接画像データを受け取るように構成することができる。情報を受け取る別の方法は、例えばPACS(画像保管通信システム)を含む病院又はオフィス画像システムと通信することによって外部システムからデータを受け取ることである。さらに、患者ポータルは、整形外科インプラントの設計における画像データの使用に関して患者から承諾を受けるように構成することもできる。さらなる有用な特徴は、整形外科インプラントの提供に関する進捗の表示を含むことができる。
【0028】
患者固有の椎体間インプラントを設計する1つの方法は、コンピュータ断層撮影法(CT)又は別の画像化モダリティ(MRI、同時二方向X線撮影法など)を使用して重要な解剖学的形状及び相対的位置を取り込むことを含む。画像データは、生体構造を表すボクセルを含むボリュームデータに再構築することができる。
【0029】
整形外科インプラントを製造する1つの方法は、医師又はHCPのオフィス、HCPポータルと連動するように設計されたソフトウェアの使用を含む。1つの実施形態では、医師が、自分が治療している複数の患者にリンクできる一意の識別子を有する。また、医師は、自身の使用に密接に結び付いた独自のポータルを有することもできる。医師及びHCPは、改善された患者ケアの提供に役立つように、複数の患者データ、ワークフロー及び状態を視認することができる。
【0030】
1つの実施形態では、HCPポータルが、医師、看護師、医師助手、看護助手、又はHCPの支配及び指示の下で行動する(オフィス管理職員などの)他の関係者が関連情報にアクセスすることを可能にする。1つの事例では、HCPポータルが、以下に限定するわけではないが、外部エンベロープ寸法仕様(長さ、幅、深さ、冠状角、矢状角など)、内部格子仕様(internal lattice specification)及びインプラント剛性を含む、インプラントの設計に対する視認性を提供することができる。1つの事例では、HCPポータルが、病的生体構造、提案される矯正計画及び生体構造、解剖学的メトリック、並びに手術後画像研究に対する視認性を提供することができる。
【0031】
さらに、HCPポータルは、インプラント設計を含む治療計画の承認を許可する環境を提供することもできる。ポータルを使用して情報を収集、確認又は表示し、或いは治療の承認を求めることができる。医師は、HCPポータルを使用して、手術を必要とする病態についての独自の臨床認識に基づいて処方、治療計画又はインプラント設計を調整又は修正し、或いは提案される手術計画を調整又は修正することもできる。1つの実施形態では、メーカーからの製造及び出荷前に、インプラント設計を含む治療プロトコル又は処方についての医師の承認が必要である。HCPポータルは、患者固有のインプラントが設計及び製造工程内をどのように進行しているかをHCPが理解するのに役立つように、ワークフローの最新情報を提供することができる。
【0032】
整形外科インプラントを設計する1つの方法は、企業、企業ポータルと連動するように設計されたソフトウェアの使用を含む。企業ポータルは、CADソフトウェア又は画像化ソフトウェアなどの設計ツールと連動するように構成することができる。設計ツールは、インプラントを設計するために使用されるコンピュータソフトウェアとして説明することができる。企業ポータルを通じてデータを抽出し、このデータを企業ソフトウェア設計ツールと共に使用してインプラントの設計を作成することができる。このインプラント設計をデータハブに戻し、患者及びHCPポータルを介して表示することができる。
【0033】
1つの実施形態では、インプラント設計、治療プロトロコル及び結果として得られる解剖学的メトリックを、医師、外科医又は委任代理人による承認のためにHCPポータル上に表示することができる。企業は、設計、プロトコル及びメトリックの承認後に、承認された設計の仕様に合わせて(単複の)インプラントを製造することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、システムが治療プロトコルを生成して、承認された患者固有のインプラントを製造する。例えば、企業は、HCPから(患者の連絡先及びHCPの連絡先を伴う)患者固有の要求を受け取ることができる。企業は、HCP、患者及び処方の識別子を含む招待をHCPに送信することができる。企業は、ブロック14において、患者識別子を含む招待を患者に送信することができる。患者は、名前、生年月日、性別及び画像データを含む自身のデータを企業に送信することができる。HCPは、執刀医、手術日、手術部位、病状及び治療すべき(単複の)具体的な領域を含む症例データを送信する。企業は、患者の走査データ及び/又は外科医の症例データに基づいてインプラントを設計することができる。企業は、患者の生体構造の画像、インプラント設計及び処方を含む治療プロトコルを承認のために外科医に送信することができる。HCPは、インプラント設計を含む治療プロトコル(計画)を承認することができる。承認されたインプラントが製造されて医院に送られる。
【0035】
図1は、1又は2以上の実施形態による、患者固有のインプラントを設計して製造するフローチャートである。一般に、システムは、様々なブロック10、12、14、16、18からのデータの収集、ブロック20において収集されたデータを使用した整形外科インプラントの設計、ブロック24における医師の承認のための暫定的な治療プロトコル及び設計の提示、及びブロック30におけるインプラントの製造を含むことができる。暫定的な治療プロトコル及びインプラント設計が医師によって承認されなかった場合、企業は、26において医師のフィードバックに基づいてプロトコル及びインプラント設計を調整することができる。28において暫定的な治療プロトコルが承認された場合には、このインプラント設計仕様を製造に使用することができる。1つの製造方法は、チタン合金、金属又は剛性プラスチックなどを使用した付加製造を含むことができる。以下、このシステムの詳細について説明する。
【0036】
ブロック10において、製造システムは、HCPから患者固有の要求を受け取ることができる。この要求は、患者の連絡先、医療提供者の連絡先、ユーザアカウント情報、認証情報、又はこれらの組み合わせを制限なく含むことができる。
【0037】
ブロック12において、システムは、HCP、患者、処方又は医療装置などのための1又は2以上の識別子をHCPに送信することができる。いくつかの実施形態では、これらの識別子が、医療提供者の(単複の)アカウント、又は患者のユーザアカウントなどを示すことができる。
【0038】
ブロック14において、システムが患者に招待を送信することができる。この招待は、患者識別子、ログイン情報又はアカウント情報などを含むことができ、いくつかの実施形態では、ユーザアカウントを設定して医療提供者にリンクさせる命令を含むことができる。患者識別子は、ユーザアカウントの設定、アカウントへのアクセスの提供などのための1又は2以上の電子リンクを制限なく含むことができる。
【0039】
ブロック16において、患者が、患者の名前、生年月日、性別、画像データ、及び/又はこれらのデータ又は医療提供者によってシステムに直接提供されるデータなどのその他のデータを使用する承諾を含むデータをシステムに提供することができる。患者は、承認前にデータを評価し、全てのデータ又はデータのサブセットの使用を承認することができる。患者データは、電子メール、アップロードポータル又はFTPサイトなどを介して提供することができる。HCPは、招待に対する患者の応答を促す情報又は通知を患者に送信することができる。いくつかの実施形態では、HCPが、SMS(ショートメッセージサービス)、電子メールなどを介してシステムから患者に直接招待を送信することができる。患者は、患者ユーザアカウントにアクセスして、(患者から送信されるデータ、医療提供者から送信されるデータなどを含む)データ、設定(例えば、セキュリティ設定)又は許可などを管理することができる。ユーザアカウントは、患者に関連する複数の医療提供者、医師又は個人(例えば、家族)のための許可を管理することができる。
【0040】
ブロック18において、HCPが、医師情報(例えば、執刀医)、処置情報(例えば、手術日、手術部位、病院情報など)、病状、治療情報(例えば、脊椎手術の治療すべきレベル)などを制限なく含むデータを送信することができる。これらのデータは、識別された患者に関連することができる。いくつかの実施形態では、これらのデータが臨床医からの情報を含むことができる。臨床医情報は、好ましい送達器具又はインプラントの好ましいパラメータなどを含む外科医の選好を含むことができる。
【0041】
ブロック20において、システムが、患者データ及び/又は外科医症例データに基づいて1又は2以上のインプラントを設計することができる。外科医症例データは、症状情報、診断及び治療情報を含むことができる。外科医症例データは、患者データにリンクすることができる。
【0042】
ブロック22において、評価、コメント及び承認のために治療プロトコルを医療提供者に送信することができる。治療プロトコルは、患者生体構造の1又は2以上の画像、インプラント設計及び処方を制限なく含むことができる。企業は、患者生体構造の画像に、埋め込み部位、手術法、及び重大な解剖学的異常などの関心のある解剖学的特徴を示す注釈を付けることができる。これによって医師の評価を支援することができる。いくつかの処置では、治療プロトコルを病院に送信し、さらに病院が手術チームの1又は2以上のメンバーに治療プロトコルを配布することができる。手術チームは、ヘルスケアポータルを介して治療プロトコルの評価、改訂及び承認を行うことができる。いくつかの実施形態では、システムが、予測される解剖学的特徴の治療後位置を示す治療後画像を生成することができる。医師は、治療後画像を使用して予想結果の評価及び効果の予測を行うことができる。治療後画像は、治療プロトコル又は治療後レポートに含めることができる。
【0043】
ブロック24において、医療提供者が治療プロトコル及びインプラント設計を承認した場合、システムは自動的に製造工程を開始することができる。いくつかの実施形態では、外科医が、インプラント設計に組み込まれるさらなるフィードバックを提供しながら治療プロトコル及びインプラント設計を改善することもできる。例えば、外科医は、インプラントを設計するのに適したさらなる寸法/構成、治療入力又はその他の情報を提供することができる。いくつかの事例では、医療提供者が、承認過程において使用される患者の追加画像を取得することができる。この追加データは、設計及び/又は治療プロトコルを更新するために企業に送信することができる。
【0044】
外科医は、提案された設計及び/又は治療プロトコルを26において拒絶した場合、インプラントを再設計するための入力を提供することができる。システムは、ブロック22において、この入力に基づいてインプラント設計を更新し、更新された設計及び治療プロトコルを外科医に送信することができる。このプロセスは、設計及び/又は治療プロトコルが承認されるまで繰り返すことができる。
【0045】
他の実施形態は、ユーザ(患者、医師、HCPオフィスなど)がソフトウェアインターフェイスを使用して情報を提供する必要がなく、収集データの精度を確認するという事例を含むことができる。
【0046】
図2は、患者固有のインプラントを設計して製造するシステム内の情報の流れを表す図である。この図は、ユーザのクラスに基づいて情報の収集、交換及び表示を容易にするように構成されたポータル40、42、44に分割される。また、中央データベース又はデータハブ70(「データハブ70」)は、データを収集し、ユーザのクラス及び許可に基づいて各ユーザへのアクセスを提供するように構成することができる。製造セクション46は、設計仕様に基づいてインプラントを製造するように構成された施設又は機械を表す。
【0047】
各ユーザには、ワークフローの追跡、識別目的、及び埋め込み型装置に必要とされるトレーサビリティを可能にするように一意の識別子が発行される。名前、生年月日、性別及び連絡先を含む他のユーザ情報は、データ管理の目的で役立つことができる。
【0048】
プロセスは、医師又はHCPから生じる患者固有のインプラント要求41によって開始する。要求41がデータハブによって受け取られた後に、論点を含む又はHCP識別子を確認する招待がHCPに送信される。
【0049】
患者ポータル40は、患者と連動して患者関連データの収集又は確認を容易にするように構成される。1つの実施形態では、データハブ70が、患者固有の整形外科インプラント要求を受け取るように構成される。データハブ70は、データを送受信するように構成することができる。データハブ70は、HCPポータル42を介して、HCP識別子(HCPID#)、患者識別子(PatID#)及び処方識別子(ScriptID#)の確認又は割り当てを行うメッセージ54をHCPに送信する。データハブ70は、患者ポータル40を介して、患者識別子の確認又は割り当てを行うメッセージを患者に送信する。関連する外科医が未だ分からない場合、HCPは、関連する外科医を含むことができるデータ56をデータハブ70に送信する。患者データ50が未だ分からない場合、患者は、データハブ70に患者データ50を送信する。患者は、診断目的で使用される画像、画像走査の日付、画像走査のタイプ(通常はDICOM画像フォーマット)、並びにこれらのデータをインプラントの設計及び製造において使用するための患者承諾を含む走査データを送信する。また、患者は、将来的な治療に役立つように自身のデータをデータベース内での編集に使用することを承諾することもできる。HCPは、HCPポータル42を使用して、執刀医、手術日、病状、診断、治療すべき特定の領域及びその他の情報を含む、症例に関する追加データ58を提供する。企業は、データハブ70内で全てのデータ48、50、52、54、56、58を収集した後に、患者固有のインプラントの設計を開始することができる。患者固有のインプラントの設計は、設計ツール44、患者ポータル40を介して収集されたデータ、及びHCPポータル42を介して収集されたデータを使用して開始することができる。インプラントの設計時には、病的状態から矯正状態への生体構造の調整を含め、HCPポータル内での承認のためにデータハブ70を介して医師又はHCPに暫定的治療プロトコルを提出することができる。治療プロトコル62が承認されると、製造46にインプラント設計仕様68が送信される。
【0050】
図3は、患者固有のインプラントを設計して製造するシステムの1つの実施形態を表すフローチャート80である。1つの実施形態では、収集してリンクすべきデータの構造を提供するためにユーザアカウントが作成される(82)。典型的なユーザとしては、患者及びHCPが挙げられる。システム80は、システム80内の情報の使用に基づいて複数のユーザを有することができる。HCPユーザグループは、異なるクラスのユーザに分割することができる。例えば、外科医は、医師のオフィススタッフとは異なるアクセス権及び許可を有することができる。
【0051】
ユーザアカウントの作成82後には、メタデータの収集84及び画像データの収集86を開始することができる。メタデータは、他のデータを記述するために使用されるデータを含み、この事例では患者、外科医、症例及び走査を識別するデータを表す。画像データは、患者の生体構造を表すデータとして説明することができる。1つのシナリオでは、画像データを、断面構造の隣接する2次元スライスとして収集することができる。連続する2次元断面画像を3次元に編集して、生体構造の3次元表現を形成することができる。
【0052】
メタデータ及び画像データが収集された(84、86)後にこれらのデータを組み合わせ、これを使用して暫定的治療プロトコル及び関連するインプラントを設計することができる(88)。医師は、暫定的治療プロトコル及びインプラント設計の作成後に、プロトコル及びインプラント設計の承認を行うように依頼される。プロトコル及び設計が承認条件にそぐわない(94)場合、外科医は、企業と協働して適切なプロトコル及び設計を考案することができる(88)。承認後には、インプラント設計が製造段階96に送られ、最終的に患者に埋め込むために医院に届けられる。
【0053】
図3aは、患者固有のインプラントの設計及び製造において使用されるデータをカテゴリ化した図である。通常、データは、メタデータ100及び画像データ102を含む。メタデータ100は、患者識別104(名前、連絡先、生年月日、性別、同意の承諾など)、HCP識別108(外科医名、連絡先など)、症例データ106(手術日、病状、診断、治療レベルなど)、及び走査データ114(走査日、走査タイプ、DICOMデータ、画像など)などの情報を含むことができる。画像データ102は、HCPによって取得され収集された患者の診断画像112に関連するデータを含むことができる。画像112は、(典型的にはCT又はMRI体積走査に対する)2次元スライスの3次元収集としてフォーマットすることができる。走査データ110は、走査日、走査タイプ、走査設定及びDICOMデータを識別するデータを含むことができる。
【0054】
図3bは、ユーザ間の関係を示す図である。ユーザ間の線は、ユーザ間で共有できるデータを表す。1つの実施形態では、患者101が、1又は2以上の外科医103及び企業107にリンクされる。外科医103は、1又は2以上の患者101、1又は2以上のHCPオフィス105、及び企業107にリンクされる。HCPオフィス105は、1又は2以上の外科医103及び企業107にリンクすることができる。企業107は全てのユーザにリンクされ、企業は、手術計画を設計して医院にインプラントを届けるために全ての情報へのアクセスを必要とする。
【0055】
図4には、患者ポータルインターフェイスの実施形態の1つのビュー120を示す。この実施形態では、一意の識別(患者識別子、名前、生年月日、性別、電子メールなど)122に役立つように、患者に関連情報の入力又は確認を行うように促すことができる。このインターフェイスの1つのさらなる態様は、整形外科インプラントの設計のために患者に自身のデータを使用する許可を求める承諾セクション124である。別の実施形態では、将来的な治療プロトコルの精緻化に役立つように、匿名の人口動態データ及び結果の収集を可能にするように患者承諾を認めることができる。インターフェイスの別の態様は、デジタル画像データのアップロード126を可能にする。
【0056】
図5には、患者ポータルインターフェイスの別のビュー130を示す。このビューでは、整形外科インプラントの設計、製造及び配達状況に関する情報を患者に提供する状況グラフィック132が表示される。
【0057】
図6には、患者ポータルインターフェイスの別のビュー140を示す。このビューでは、病的状態を含む患者生体構造を表す(単複の)画像又は仮想モデル142が表示される。現在の画像は、患者の脊椎構造の表現を示す。(単複の)画像又はモデルは、ズーム、パン及び回転を含む典型的なタッチ画面ジェスチャを使用して表示及び操作を行うことができる。画像の下の仮想「ボタン」144を使用して、手術前の患者走査によって取り込まれた病状(病的生体構造)と、治療プロトコルに基づいて矯正された生体構造と、互いにオーバレイ表示された病的構造及び治療プロトコルの両方を示す複合モデルとを切り替えることができる。
【0058】
図7には、患者ポータルインターフェイスの別のビュー150を示す。このビューでは、治療プロトコルによって説明される矯正された生体構造を表す(単複の)画像又は仮想モデル152が表示される。
【0059】
図8には、患者ポータルインターフェイスの別のビュー160を示す。この実施形態では、(単複の)画像又は仮想モデルが、病的生体構造及び治療プロトコルの両方の複合162を表す。
【0060】
各ポータルは、異なるユーザ又はユーザのクラスに対して異なるビュー及び機能を提供するように構成することができる。この実施形態では、
図4~
図8に示す患者ポータル内のビュー及び機能が、
図9~
図16に示すHCPポータルのビューと異なる。
【0061】
図9に、HCPポータルインターフェイスの1つの実施形態の1つのビュー170を示す。この実施形態では、一意の識別(患者識別子、患者名、患者の生年月日、患者の性別、患者の電子メール、執刀医、手術日、手術部位、治療すべきレベルなど)に役立つように、HCPが関連情報を入力又は確認する1又は複数のセクション172が存在する。インターフェイスの別のセクションは、デジタル画像データのアップロード174を可能にする。
【0062】
図10には、HCPポータルインターフェイスの別のビュー180を示す。このビューでは、整形外科インプラントの設計、製造及び配達状況に関する情報を患者に提供する状況インターフェイス182が表示される。現在、状況に関する通知184が存在し、1つの事例では、提案される治療プロトコルを評価して承認するように通知によってHCPを促すことができる。承認が認められた場合、インプラント設計は製造に進むことができる。プロトコルが承認されなかった場合には、外科医からの提案修正を組み込み、インプラントを再設計し、異なる治療プロトコル及びインプラント設計の承認保留を警告する別の通知をHCPに送信することができる。
【0063】
図11~
図13に、HCPポータルのさらなるビュー190、200、210を示す。(
図6~
図8に示すような)これらのビューでは、患者生体構造を表す(単複の)画像又は仮想モデルが表示される。
図11には、この実施形態では変形した脊椎である病状を含む患者の脊椎構造の表現を示す。(単複の)画像又はモデルは、ズーム、パン及び回転を含む典型的なタッチ画面ジェスチャを使用して表示及び操作を行うことができる。
【0064】
これらのHCPポータルのビューでは、セクション192が、表示された解剖学的モデルの下方に見える複数の仮想「ボタン」を含む。異なるユーザのための異なるビュー及びポータルにはさらなる又は異なる「ボタン」及び対象機能が存在し、本実施形態では、HCPポータルの「ボタン」が患者ポータル上に表示されるもの(
図6~
図8)と異なる。
図12では、医師に治療プロトコル及びインプラント設計を承認する機会を提供する「ボタン」202が表示されている。
【0065】
図14に、HCPポータルインターフェイスの実施形態の別のビューを示す。ビュー220では、テーブル222が、脊椎変形の分析及び治療において典型的に使用される関連する解剖学的メトリックを表示する。しかしながら、他のメトリックを使用して異なる整形外科的病状を評価することもできる。本実施形態では、被験者の病的生体構造の腰椎前弯(LL)、骨盤傾斜(PI)、コブ角(Cobb)及び高さが表示される。
【0066】
図15には、HCPポータルインターフェイスの実施形態の別のビューを示す。ビュー230では、テーブル232が、矯正された生体構造を表すメトリックを表示する。矯正された生体構造は、暫定的治療プロトコルの結果である。
【0067】
図16には、HCPポータルインターフェイスの実施形態の別のビューを示す。ビュー240では、テーブル242が、病的メトリックと暫定的治療プロトコルの結果である矯正されたメトリックとの直接比較を可能にする。これらのメトリックは、病状及び暫定的治療プロトコルの評価に役立つように医師によって使用される。医師は、生体構造を矯正するために暫定的治療プロトコルを承認できるかどうかを判定するのに役立つようにこれらのメトリックを使用する。
【0068】
図17に、ある実施形態によるインプラント製造システム248を示す。いくつかの実施形態では、企業システム252が、患者に関連するユーザアカウントを作成することができる。企業システム252は、単一のサーバコンピュータ装置又は複数のコンピュータ装置を含むことができる。システム252は、患者装置268、ユーザ装置272(例えば、コンピュータ装置)及び/又は医療提供者270からデータを受け取ることもできる。システム248は、受け取られたデータに基づいて患者固有の整形外科インプラントを設計することができ、製造システム262は、この設計に従ってインプラントを作製することができる。システム248は、手術法全体又はその一部を含むことができる治療プロトコルを生成することもできる。インプラントは、
図1~
図16に関連して説明したように患者の生体構造に合わせて構成することができる。
【0069】
ロボット支援型処置では、インプラント手術のために、又は手術で使用される医療装置構成のための提案を作成することによって、システム248からのロボット命令を使用してロボット装置(例えば、ロボット手術システム、ナビゲーションシステムなど)を制御することができる。いくつかの処置では、手動処置及びロボット処置の両方を実行することができる。例えば、外科的処置の1つのステップを外科医が手動で実行し、処置の別のステップをロボット装置が実行することができる。また、患者固有のコンポーネントをシステム200によって作成された標準コンポーネントと共に使用することもできる。例えば、脊椎手術では、椎弓根スクリューキットが、標準コンポーネント及び患者固有のカスタマイズされたコンポーネントの両方を含むことができる。例えば、インプラント(例えば、スクリュー、スクリューホルダ、ロッドなど)を患者向けに設計して製造し、器具を標準器具とすることができる。これにより、埋め込まれるコンポーネントが患者の生体構造及び/又は外科医の選好に基づいて設計及び製造されて治療を向上させることが可能になる。患者固有の装置は、患者の身体への送達、治療部位における配置、及び患者の生体構造との相互作用を制限なく改善することができる。
【0070】
システム248の更新に役立つように、一定期間にわたって治療の進行をモニタすることができる。訓練可能なシステム248では、治療後データを使用して、手術計画、患者固有の技術、又はこれらの組み合わせを発展させるように機械学習プログラムを訓練することができる。手術計画は、少なくとも1つの医療装置、外科技術、画像化技術などの1又は2以上の特性を提供することができる。
【0071】
引き続き
図17を参照すると、システム248は、1又は2以上の通信ネットワーク264に接続することができる。通信ネットワーク264は、システム256、患者装置268及びHCP270にさらに接続することができる。患者装置268は、ネットワーク264を介してシステム252にデータを送信するとともに、患者ポータルへのアクセスを提供することができる。例えば、患者装置268は、
図4~
図8に関連して説明した患者ポータルを表示することができる。HCP270は、医師装置272を介して、患者データセット280、282を送信するとともにHCPポータルへのアクセスを提供することができる。通信ネットワーク264は、有線及び/又は無線ネットワークとすることができる。通信ネットワーク264は、無線である場合、可視光通信(VLC)、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WiMAX)、ロングタームエボリューション(LTE)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、赤外線(IR)通信、公衆交換電話網(PSTN)、電波、及び当業で周知のその他の通信技術などの通信技術を使用して実装することができる。
【0072】
システム256は、「クラウド」を介した施設として実装することができ、一群のモジュールを含むことができる。具体的には、システム256は、サーバコンピュータ装置を含むことができ、又は分散コンピュータシステムでは複数のコンピュータ装置を含むことができる。一群のモジュールは、プロトコルモジュール258及び設計モジュール260を含むことができる。システム256は、1又は2以上のセグメンテーションアルゴリズムを使用して画像を処理することができる。セグメンテーションアルゴリズムは、1又は2以上のエッジ検出アルゴリズム、境界検出アルゴリズム、閾値化、及び画像に適用されるその他の画像処理アルゴリズム及び技術を制限なく含むことができる。セグメンテーションアルゴリズムを使用して患者画像内の特徴をセグメント化した後に、画像(例えば、走査、デジタル画像など)内の解剖学的要素又は特徴を識別することができる。この患者データをモデル化プログラムにインポートして、治療前及び治療後モデルを含む患者の生体構造のCADモデルを生成することができる。この患者固有のCADモデルを使用して、インプラントCADモデルを生成することができる。治療CADモデルは、インプラント設計又は解剖学的要素の位置などの操作を可能にするように、患者固有のCADモデル及びインプラントCADモデルの両方を含むことができる。ネットワーク256は、インプラントCADモデルを製造データに変換することができる。
【0073】
プロトコルモジュール258は、1又は2以上のアルゴリズムを適用して、生体構造の矯正、インプラント設計の策定、インプラント設計の選択、又は処方の提供などを行うことができる。プロトコルモジュール258は、脊椎手術に必要な情報を収集して患者の画像及びインプラントのタイプを記憶するデータハブとして機能することができる。いくつかの実装では、他のタイプの手術に同様のモジュールを使用して、例えば患者データ、装置情報などを記憶することができる。プロトコルモジュール258によって記憶される画像は、走査、カメラ画像、磁気共鳴撮影法(MRI)画像、超音波画像、コンピュータ支援断層撮影法(CAT)走査画像、陽電子放出断層撮影法(PET)画像及びX線画像のうちのいずれかとすることができる。1つの事例では、患者に脊椎手術を行うために、画像を分析して画像内の解剖学的特徴、異常及び顕著な特徴を識別することができる。いくつかの実装では、プロトコルモジュール258が、患者情報(例えば、性別、年齢、身長、体重、病理タイプ、職業、活動レベル、組織情報、健康評価など)、インプラントシステムの仕様(例えば、タイプ及び寸法)、利用可能なインプラントの可用性、外科医の術前計画の側面(例えば、外科医の初期インプラント構成、画像上での患者の生体構造の検出及び測定など)などのさらなるインプラント手術情報を記憶することができる。いくつかの実装では、プロトコルモジュール258が、インプラント手術情報を、インプラント提案モデル及びアルゴリズムに使用可能なフォーマットに変換することができる。例えば、インプラント手術情報は、処方のための特定の識別子をタグ付けされ、又は機械学習モデルへの供給に適した数値表現に変換することができる。プロトコルモジュール258は、設計ツールを含むことができる。設計ツールは、1つの椎骨の複数の顕著な特徴と別の椎骨の顕著な特徴との間の距離を測定して、埋め込み部位、空間、椎間板ピンチ(disk pinches)、膨らみ(bulges)などを識別するために使用することができる。脊椎異常が識別された場合、プロトコルモジュール258は、脊椎異常を有する領域を図形的に識別し、このような情報をHCP270に送信することができる。HCP270は、追加情報を求める要求に応答することができる。
【0074】
設計モジュール260は、生体構造の表現、CADモデル、製造プログラム又は命令、セグメンテーションツール、セグメンテーションアルゴリズムなどを生成することができる。設計モジュールからの出力は、プロトコルモジュール258に提供することができる。プロトコルモジュール258及び設計モジュール260は、インプラントの設計、及び患者固有のインプラント設計のために最適化された治療プロトコルを作成するように協働することができる。いくつかの実施形態では、設計モジュール260が、製造のための1又は2以上の仮想モデル、ツール経路(tool paths)又は命令セットなどを生成することができる。いくつかの実施形態では、システム256が、
図1に関連して説明した方法を形成するとともに、
図18に関連して説明する1又は2以上のシステムを含むことができる。例えば、プロトコルモジュール258及び設計モジュール260は、
図18に関連して説明する手術支援システムのコンポーネントとすることができる。
【0075】
製造システム262は、システム256から製造データを受け取ることができる。製造データは、仮想モデルデータ、ツール経路データ、又は命令セットなどを含むことができる。また、製造システム262は、さらなる製造データを生成することもできる。製造システム262は、3次元(3D)プリンタとすることができる。3Dプリンタは、光造形法(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、熱溶解積層法(FDM)、選択的レーザー焼結法(SLS)、選択的レーザー溶融法(SLM)、電子ビーム溶融法(EBM)、薄膜積層法(LOM)などの技術を利用するいずれかの汎用3Dプリンタとすることができる。他のタイプの製造装置を使用することもできる。3Dプリンタは、製造システム262、システム256又は別のコンピュータ装置によって生成できる3D加工データに基づいて製造することができる。3D加工データは、CADデータ、3Dデータ、デジタル青写真、ステレオリソグラフィ、又は汎用3Dプリンタに適したその他のデータを含むことができる。例えば、製造システム262は、フライス盤、ウォータージェットシステム又はこれらの組み合わせを含むことによって製造の柔軟性を提供することができる。
【0076】
製造は、HCP270の現場又は現場外で実行することができる。現場製造は、患者とのセッション数及び/又は手術実行可能時間を短縮できるのに対し、現場外製造は、複雑な装置を作製するのに役立つことができる。いくつかの実施形態では、HCP270に製造システム262を設置することができる。現場外製造施設は、専用製造設備を有することができる。場合によっては、複雑な外科用キットのコンポーネントを現場外で製造し、より単純なコンポーネントを現場で製造することもできる。
【0077】
1つの実施形態では、
図17にスマートフォンを使用して示すようなユーザ装置268のポータルグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を通じて脊椎手術に関する情報を表示することができる。さらに、ユーザ装置268、272は、例えばラップトップ、デスクトップ、タブレット、ファブレット、又は当業で周知の他のこのような装置などの、GUIを含む他のいずれかの装置とすることもできる。装置268は、患者ポータル(例えば、
図2の患者ポータル40)にアクセスするために使用することができる。装置272は、HCPポータル(例えば、
図2のHCPポータル42)にアクセスして治療プロトコルを承認又は改訂するために使用することができる。ユーザ装置268、272及び271は、クライアントコンピュータ装置、患者コンピュータ装置及び医師コンピュータ装置を含むことができる。
【0078】
図18に、1つの実施形態によるインプラント製造システム352を示す。システム352は、
図17のシステム248の一部とすることができる。例えば、システム352は、
図17のシステム252、設計システム256、又はシステム248の別のシステム又はサブシステムの一部とすることができる。いくつかの実施形態では、システム352が、インプラント手術情報(例えば、デジタルデータ、生体構造の画像、矯正処置データ、HCPデータ、症例データなど)を取得し、インプラント手術情報を分析手順に適合する形態に変換し、分析手順を適用して結果を取得し、この結果を使用して患者固有のインプラントを製造することができる。システム352は、データハブ(例えば、
図2のデータハブ70)と通信し、患者ポータルインターフェイスを提供し、患者固有のインプラントの製造を管理し、メタデータを受け取り、その他の機能を実行することができる。複数のシステム352は、有線又は無線接続を介して互いに通信することができる。いくつかの実施形態では、手術支援システム364を使用してユーザアカウントを作成し、患者データを収集し、画像データを収集し、患者データ及び画像データからインプラントを設計することができる。I/O装置340は、ポータルへのアクセスを提供し、情報を入力してユーザアカウントの作成などを行うことができる。ディスプレイ330は、収集された患者データを表示することができる。メモリ350は、データハブとして機能することができ、患者データ、画像データ及びその他のデータを記憶することができる。
【0079】
システム352は、設計及び製造工程全体に対処することができる。他の実施形態では、医師がさらなるカスタム化のためにインプラント構成を変更することができる。
図1に関連して説明したように、医師とシステム352とが協働する反復設計プロセスを採用することもできる。例えば、システム352は、提案される患者固有のインプラントを生成することができる。医師は、変更すべきインプラントの特徴を識別し、潜在的な設計変更を入力することができる。例えば、医師は、コンピュータ装置(例えば、
図17の装置272)を使用してインプラント設計を確認し、その後に設計を変更する入力を提供することができる。システム352は、医師からのフィードバックを分析して精緻化された患者固有のインプラント設計を決定し、患者固有のモデルを作製することができる。このプロセスは、好適な設計に達するまで何回でも繰り返すことができる。承認されると、選択された設計に基づいてインプラントを製造することができる。
【0080】
システム352は、手術支援システム364を含むことができる。いくつかの実施形態では、手術支援364が、
図17に関連して説明した1又は2以上のプロトコルモジュール、設計モジュール、又はその他のモジュールを含むことができる。手術支援システム364は、インプラント手術情報を整数又はヒストグラムの配列などに分析し、生体構造の画像をセグメント化し、解剖学的要素間の関係を操作し、患者情報を特徴ベクトルに変換し、又は術前計画から値を抽出することができる。システム352は、手術支援システム364によって分析されたインプラント手術情報を記憶することができる。記憶される情報は、脊椎のMRI走査、デジタル画像、X線などの受け取られた標的領域の画像、患者情報(例えば、性別、体重など)、標的領域の仮想モデル、技術モデル(例えば、CADモデル)のデータベース、及び/又は外科医の術前計画を含むことができる。
【0081】
いくつかの実装では、手術支援システム364が患者データを分析して、矯正処置の識別又は策定、解剖学的特徴の識別などを行うことができる。解剖学的特徴は、椎骨、椎間板又は骨構造などを制限なく含むことができる。手術支援システム364は、例えば被験者の脊椎の矯正仮想モデル、リスク因子、手術情報(例えば、送達経路、送達器具など)、又はこれらの組み合わせに基づいてインプラント構成を決定することができる。いくつかの実装では、医師が、処置前又は処置中にリスク因子を提供することができる。患者情報は、患者の性別、年齢、骨密度又は健康評価などを制限なく含むことができる。
【0082】
いくつかの実装では、手術支援システム364が、インプラント構成を選択するように訓練された機械学習モデルにインプラント手術情報を供給することによって分析手順を適用することができる。例えば、あるニューラルネットワークモデルを、脊椎手術のためのインプラント構成を選択するように訓練することができる。ニューラルネットワークは、画像セット(例えば、カメラ画像、静止画像、走査、MRI走査、CT走査、X線画像、レーザー走査など)及び患者情報、手術において使用されるインプラント構成、及び/又は外科医フィードバック、患者回復レベル、回復時間、設定年数後の結果などのうちの1つ又は2つ以上から得られるスコア付きの手術結果をそれぞれが含む訓練項目を使用して訓練することができる。このニューラルネットワークは、変換された手術情報を受け取り、インプラント構成を示す出力を提供することができる。
【0083】
支援システム364は、アイテムを設計して製造するための1又は2以上の仮想モデル(例えば、2Dモデル、3Dモデル、CADモデルなど)を生成することができる。例えば、手術支援システム364は、インプラントを含む手術アイテムを製造するのに適した手術標的領域の仮想モデルを構築することができる。手術支援システム364は、計算されたインプラント構成に基づいて、インプラント製造情報、又は製造情報を生成するためのデータを生成することもできる。これらのモデルは、患者の生体構造、インプラント、候補インプラントなどを表すことができる。このモデルを使用して、(1)位置を評価(例えば、ネガティブ2D又は3Dスペースをマッピング)し、(2)椎骨端板(vertebral endplate)などの境界解剖学的特徴(bounding anatomical feature)を選択し、(3)最良に適合する仮想インプラントを作成し、(4)解剖学的特徴の境界線(perimeter)を定め、及び/又は(5)例えば、別の解剖学的特徴の境界面との最良適合面に対する境界線及び垂線によって定められる容積を押し出すことができる。モデル内の解剖学的特徴は、矯正処置に従って操作することができる。操作前又は操作後のモデルに基づいて、インプラント、器具及び手術計画を策定することができる。ニューラルネットワークは、モデルと、製造情報(例えば、データ、アルゴリズムなど)を含むその他のデータとを生成及び/又は修正するように訓練することができる。
【0084】
別の例では、手術支援システム364が、生成された3次元モデルに対して有限要素分析を実行することによって分析手順を適用して、例えば圧力、引張、変形特性(例えば、荷重歪み特性)、破壊特性(例えば、破壊靭性)、耐用年数などを評価することができる。手術支援システム364は、モデルを分析するために3次元メッシュを生成することができる。機械学習法は、椎骨、骨、インプラント、組織部位又はその他の装置のデータセットに基づいて最適なメッシュを作成する。分析の実行後には、これらの結果を使用して、インプラント、インプラントコンポーネント、インプラントタイプ、埋め込み部位などの選択を精緻化することができる。
【0085】
手術支援システム364は、生成された3次元モデル(例えば、背骨、椎骨、インプラントなどのモデル)に対して有限要素分析を実行して、圧力、引張、変形特性(例えば、荷重歪み特性)、破壊特性(例えば、破壊靭性)、耐用年数などを評価することができる。手術支援システム364は、インプラントのモデルを分析するために3次元メッシュを生成することができる。これらの結果に基づき、1又は2以上の設計基準(例えば、最大許容圧力、耐用年数など)に基づいてインプラントの構成を変更することができる。複数のモデルを作製し分析して異なるタイプのインプラントを比較し、これを特定のインプラント構成の選択に役立てることができる。
【0086】
手術支援システム364は、分析手順からの結果を提案に組み込むことができる。例えば、これらの結果を使用して治療プロトコル又は計画(例えば、PLIF計画、TLIF計画、LLIF計画、ALIF計画など)を提案し、処置のためにインプラントを選択して構成し、提案される挿入地点及び角度を画像に注釈付けし、(提案されるインプラント構成を含む)仮想現実又は拡張現実表現を生成し、処置中に外科医に警告又はその他のフィードバックを提供し、必要なインプラントを自動的に注文し、外科技術情報(例えば、挿入力/トルク、画像化技術又は送達器具情報など)を生成することができる。これらの提案は、インプラントに固有のものとすることができる。いくつかの処置では、手術支援システム364を、従来のインプラントを提案するように構成することもできる。他の処置では、手術支援システム364を、患者固有の又はカスタマイズされたインプラントを提案するようにプログラムすることができる。従来のインプラントの提案は、患者固有の又はカスタマイズされたインプラントの提案とは著しく異なることができる。
【0087】
システム352は、仮想現実システム又はモデル化システムを使用して処置をシミュレートすることができる。このシミュレーションに少なくとも部分的に基づいて、1又は2以上の設計パラメータ(例えば、寸法、インプラント構成、器具、ガイドなど)を調整することができる。インプラントをさらに精緻化するために、さらなるシミュレーション(例えば、異なる矯正処置のシミュレーション)を実行することもできる。いくつかの実施形態では、これらの変更に基づく装置のシミュレーション及び模擬挙動と相互作用して設計変更が行われる。この設計変更は、材料特性又は寸法などを含むことができる。
【0088】
手術支援システム364は、より最適なインプラント構成、手術指針、カスタマイズされた手術キット(例えば、オンデマンドキット)などを提供することによって、インプラント手術の効率、精度及び/又は有効性を改善することができる。これにより、外科的複雑性によって引き起こされる手術リスク及びコストを抑え、手術前計画努力に必要なリソースを削減し、インプラント手術の前に準備すべき幅広いインプラント種類の必要性を低減することができる。手術支援システム364は、患者及び外科医の精度及び有効性を高める。
【0089】
整形外科手術では、手術支援システム364が、インプラント、外科技術、患者治療計画などを選択又は推薦することができる。脊椎手術では、手術支援システム364が、椎体間インプラント、椎弓根スクリュー及び/又は外科技術を選択して、既存の手術キット及び処置に比べて外科医の効率及び精度を高めることができる。手術支援システム364は、手術ロボット/ナビゲーションシステムを改善し、インプラント適用パラメータを選択するための改善された知性を提供することもできる。例えば、手術支援システム364は、タイプ及びサイズ、並びに予想される挿入角に関する情報を提供することによって、脊椎手術のための手術ロボット及びナビゲーションシステムに処置効率を高めて手術時間を短縮する力を与える。また、病院は、手術時間の短縮、並びに代替インプラントオプションの購入、出荷及び保管コストの削減から恩恵を受ける。医療画像化及び観察技術は、手術支援システム364に統合されることによって、より知的で直観的な結果を提供することができる。医療提供者は、手術支援システム364からの出力に関するフィードバックを提供することができる。手術支援システム354は、このフィードバックを使用して、治療プロトコル、インプラント設計(例えば、構成、材料など)を調整することができる。
【0090】
システム352は、(単複の)プロセッサ354(例えば、(単複の)CPU、(単複の)GPU、(単複の)HPUなど)に入力を提供して動作を通知する1又は2以上の入力装置320を含むことができる。入力装置320を使用して、脊椎のモデルを操作することができる。これらの動作は、入力装置から受け取られた信号を解釈し、通信プロトコルを使用してプロセッサ345に情報を伝えるハードウェアコントローラを介してもたらすことができる。入力装置320は、例えばマウス、キーボード、タッチ画面、赤外線センサ、タッチパッド、ウェアラブル入力装置、カメラ又は画像ベースの入力装置、マイク、又はその他の入力装置(例えば、
図17の装置268及び272)を含む。プロセッサ345は、ある装置内の単一のプロセッシングユニット又は複数のプロセッシングユニットとすることも、又は複数の装置にわたって分散することもできる。プロセッサ345は、例えばPCIバス又はSCSIバスなどのバスを使用して他のハードウェア装置に結合することができる。
【0091】
システム352は、テキスト、モデル、仮想処置、手術計画、インプラント及びグラフィックを表示するために使用されるディスプレイ330を含むことができる。いくつかの実装では、ディスプレイ330が、患者ポータル、HCPポータル、或いはその他のポータル又はインターフェイスを表示することができる。(単複の)画像又はモデルは、(例えば、ディスプレイ330が
図17の装置268及び/又は272の一部である時には)ディスプレイ330を介して、ズーム、パン及び回転を含む典型的なタッチ画面ジェスチャを使用して表示及び操作を行うことができる。他の実施形態では、画像をズーム、パン、回転又は別様に操作するためにI/O装置340が使用される。いくつかの実装では、ディスプレイ330が、図形及びテキストによる視覚フィードバックをユーザに提供する。いくつかの実装では、入力装置がタッチ画面である場合、又は視線方向モニタリングシステムを備える場合などに、ディスプレイ330がディスプレイの一部として入力装置を含む。プロセッサ345は、ディスプレイ330などの装置のハードウェアコントローラと通信することができる。いくつかの実装では、ディスプレイが入力装置から独立する。ディスプレイ装置の例は、LCDディスプレイ画面、LEDディスプレイ画面、プロジェクタ、ホログラフィック、又は(ヘッドアップディスプレイ装置又は頭部装着型装置などの)拡張現実ディスプレイなどである。プロセッサ345には、ネットワークカード、ビデオカード、オーディオカード、USB、ファイアワイヤ又はその他の外部装置、カメラ、プリンタ、スピーカ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、ディスクドライブ、或いはBlu-Ray装置などの、他のI/O装置340を結合することもできる。他のI/O340は、MRI装置、X線装置、CT装置などを含む撮像装置などの、直接接続された医療設備からの情報のための入力ポートを含むこともできる。他のI/O340は、これらのタイプの機械から、ネットワークなどを越えて他のソースから、又は例えばデータベースに記憶されている以前に取り込まれたデータからデータを受け取るための入力ポートをさらに含むことができる。
【0092】
いくつかの実装では、システム352が、無線又は有線ベースでネットワークノードと通信できる通信装置も含む。通信装置は、例えばTCP/IPプロトコルを使用してネットワークを通じて別の装置又はサーバと通信することができる。システム352は、通信装置を利用して、撮像設備、製造設備などを含む複数のネットワーク装置にわたって動作を分散させることができる。
【0093】
システム352は、メモリ350を含むことができる。プロセッサ345は、ある装置内に存在することも又は複数の装置にわたって分散することもできるメモリ350にアクセスすることができる。メモリ350は、揮発性及び不揮発性記憶のための様々なハードウェア装置のうちの1つ又は2つ以上を含み、読み取り専用メモリ及び書き込み可能メモリの両方を含むことができる。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、様々なキャッシュ、CPUレジスタ、リードオンリメモリ(ROM)、並びにフラッシュメモリ、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD、DVD、磁気ストレージデバイス、テープドライブ及びデバイスバッファなどの書き込み可能な不揮発性メモリを含むことができる。メモリは、基本ハードウェアとは無縁の伝搬信号ではなく、従って非一時的なものである。メモリ350は、オペレーティングシステム362、手術支援システム364などのプログラム及びソフトウェアと、データハブ管理プログラムなどの他のアプリケーションプログラム366とを記憶するプログラムメモリ360を含むことができる。メモリ350は、プログラムメモリ360、又は製造システム367などのシステム352のいずれかの要素に提供できる、患者データ(名前、DOB、性別、連絡先、承諾、走査データなど)、インプラント情報、構成データ、設定、ユーザオプション又は選好などを含むことができるデータメモリ370を含むこともできる。
図17の製造システム262についての説明は、
図18の製造システム367にも等しく当てはまる。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明した実施形態、特徴、システム、装置、材料、方法及び技術が、以下に記載されている実施形態、特徴、システム、装置、材料、方法及び技術のうちのいずれか1つ又は2つ以上に類似することができる。
2017年7月27日に出願された「外科的処置を支援及び増補するシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR ASSISTING AND AUGMENTING SURGICAL PROCEDURES)」という名称の米国特許出願第16/048,167号
2019年1月8日に出願された「脊椎手術中のスクリュー配置で外科医を支援するシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS OF ASSISTING A SURGEON WITH SCREW PLACEMENT DURING SPINAL SURGERY)」という名称の米国特許出願第16/242,877号
2018年12月1日に出願された「多平面整形外科アラインメントのためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR MULTI-PLANAR ORTHOPEDIC ALIGNMENT)」という名称の米国特許出願第16,207,116号
2019年4月12日に出願された「整形外科インプラント固定のためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR ORTHOPEDIC IMPLANT FIXATION)」という名称の米国特許出願第16/383,215号
2018年11月29日に出願された「整形外科インプラントのためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR ORTHOPEDIC IMPLANTS)」という名称の米国特許出願第62/773,127号
【0095】
上記の特許及び出願は、全てその全体が引用により本明細書に組み入れられる。また、特定の実施形態では、本明細書で説明した実施形態、特徴、システム、装置、材料、方法及び技術を、これらの実施形態、特徴、システム、装置又はその他の事項のうちのいずれか1つ又は2つ以上に関連して適用又は使用することができる。
【0096】
実施形態について図示し説明したが、本明細書に開示した発明概念の範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができる。
【符号の説明】
【0097】
248 インプラント製造システム
252 企業システム
256 システム
258 プロトコルモジュール
260 設計モジュール
262 製造システム
264 通信ネットワーク
268 患者装置
270 医療提供者
271 ユーザ装置
272 ユーザ装置
280 患者データセット
282 患者データセット