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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】置換アニリンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/74 20060101AFI20240902BHJP
   C07C 211/46 20060101ALI20240902BHJP
   C07C 217/84 20060101ALI20240902BHJP
   C07C 213/08 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
C07C209/74
C07C211/46
C07C217/84
C07C213/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021535064
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2019084881
(87)【国際公開番号】W WO2020126819
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】18214440.2
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】313006625
【氏名又は名称】バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】レンビアーク,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】エルバー,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】オムバーガー,ギュンター
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-042643(JP,A)
【文献】特表2017-502038(JP,A)
【文献】特開2011-153115(JP,A)
【文献】国際公開第2010/013567(WO,A1)
【文献】特開2011-157294(JP,A)
【文献】特開2012-153635(JP,A)
【文献】特開2013-028547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物の製造方法であって、
【化1】
式中、
は、塩素又は臭素であり、
は、C~C-ハロアルキルであり、そして、
は、シアノ、ハロゲン、任意にハロゲン又はCNで置換されているC~C-アルキル、又は、任意にハロゲンで置換されているC~C-アルコキシであり、
式(II)の化合物
【化2】
(式中、R3’は、水素、シアノ、ハロゲン、任意にハロゲン又はCNで置換されているC~C-アルキル、又は、任意にハロゲンで置換されているC~C-アルコキシである)から進めて、以下の工程(1)及び(2)を含み:
(1) 式(II)の化合物と式R-Y(式中、Yは、ヨウ素又は臭素である)の化合物とを、相間移動触媒及び還元剤の存在下、二相系中で反応させ、式(III)の化合物
【化3】
(式中、R及びR3’は、前記の定義を有する)
を得る、そして
(2) 式(III)の化合物を、塩素化剤又は臭素化剤で塩素化又は臭素化して、式(I)の化合物を得る;
そして、式(III)の化合物は、工程(2)の前に工程(1)からの反応混合物から単離されず、そして、有機溶媒は工程(1)で使用され、且つ、工程(1)の後には有機溶媒は積極的には除去されず、
ここで、工程(1)で使用される有機溶媒は、アセトニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、THFおよびメチル-THFから選択され、
そしてここで、工程(1)は、3~7のpHに保たれる、ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
工程(1)からの式(III)の化合物が、工程(2)において、工程(1)からの有機溶媒中の溶液として直接使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(1)および工程(2)が同じ反応容器中で行われることを特徴とする、請求項1および2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
工程(2)における塩素化剤又は臭素化剤が、塩素、臭素、N-クロロスクシンイミド(NCS)、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(DCDMH)、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、1,3,5-トリブロモ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン又は1,3-ジブロモ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオンから選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
有機溶媒が工程(2)で使用され、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、THF、2-メチル-THF、シクロペンチルメチルエーテルおよびアセトニトリルから選択されることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程(1)および工程(2)において、同じ有機溶媒が使用されることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
溶媒が、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、THF、メチル-THFおよびアセトニトリルから選択されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
が、フッ素置換C~Cアルキルであることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
が、パーフルオロC~Cアルキルであることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
が、Cl、Br、C~C-アルキル又はフッ素置換C~C-アルキル、C~C-アルコキシ又はフッ素置換C~C-アルコキシであり、そして、R3’が、水素、Cl、Br、C~C-アルキル又はフッ素置換C~C-アルキル、C~C-アルコキシ又はフッ素置換-C~C-アルコキシであることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
が、塩素又は臭素であり、
が、ヘプタフルオロイソプロピルであり、
が、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシであり、そして
3’が、水素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシであることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(II)の化合物
【化1】
から進行する、式(I)の化合物の製造方法に関し;
【化2】
(式中、R,R、R及びR3’は、以下に記載するものと同じ意味を有する)。
【背景技術】
【0002】
式(I)の化合物又はその前駆体を調製するための1つの可能な方法は、例えばEP1380568およびWO2016/174052に記載されている。調製は、オルト位およびメタ位において既に置換されているアニリンのパラ位におけるパーフルオロアルキル化によって行われる。記載された方法は、生成物が置換に応じて、ある場合には中程度の収率でしか得られないか、又は非常に無駄のあるフェントン酸化の手段によってのみ良好な収率で得られるという欠点を有する。さらに、式(I)の化合物は、多段階プロセスで調製されなければならない。式(I)の化合物を調製するためのさらなる可能な方法は、同様にWO2016/174052、ならびにUS2010/0204504、EP2319830およびEP2325165に記載されている。2段階法では、パラ位で最初にパーフルオロアルキル化されており、場合によりオルト位に置換基を有していてもよいアニリンが調製され、ここで単離される。次いで、これらを、さらなる工程において、メタ位又はメタ位およびオルト位でハロゲン化して、式(I)の化合物を得ることができる。記載されたプロセスの特別な欠点は、パーフルオロアルキル化中間体を単離する必要性である。第1に、これは、より高いエネルギー消費、時間要求および廃棄物の発生を伴う複雑な2段階プロセスを必要とする。さらに、中間体は、それらの構造のために、重合によって容易に分解する傾向があり、したがって、濃縮された形態では限られた安定性しか有さない。先行技術に記載された全ての方法はさらに、工業規模の方法に望ましくない溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジクロロメタン又はクロロホルム中で実施されるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】EP1380568
【文献】WO2016/174052
【文献】US2010/0204504
【文献】EP2319830
【文献】EP2325165
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
式(I)の置換アニリンは、新規な活性農薬成分の合成のための構築要素として非常に重要である。したがって、本発明が取り組む課題は、工業的規模で安価に使用することができ、上記の欠点を回避する一般式(I)の化合物を調製するための方法を提供することである。また、式(I)の化合物を高収率および高純度で得ることが望ましく、その結果、標的化合物は、好ましくはいかなるさらなる潜在的に複雑な精製にも供される必要がない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題は、本発明によれば、式(I)の化合物を調製する方法によって解決され、
【化3】
式中、
は、塩素又は臭素であり、
は、C~C-ハロアルキルであり、そして、
は、シアノ、ハロゲン、任意にハロゲン又はCNで置換されているC~C-アルキル、又は、任意にハロゲンで置換されているC~C-アルコキシであり、
式(II)の化合物
【化4】
(式中、R3’は、水素、シアノ、ハロゲン、任意にハロゲン又はCNで置換されているC~C-アルキル、又は、任意にハロゲンで置換されているC~C-アルコキシである)から進めて、以下の工程(1)及び(2)を含み:
(1) 式(II)の化合物と式R-Y(式中、Yは、ヨウ素又は臭素である)の化合物とを反応させ、式(III)の化合物
【化5】
(式中、R及びR3’は前記の定義を有する)
を得る、そして
(2) 式(III)の化合物を、塩素化剤又は臭素化剤で塩素化又は臭素化して、式(I)の化合物を得る、
そして、式(III)の化合物は、工程(2)の前に工程(1)からの反応混合物から単離されないことを特徴とする。
【0006】
本発明による方法は、式(I)の所望の化合物が高い収率および純度で得られ、同時に無駄な流れおよびプロセス工程が低減され、したがって、プロセス全体がより単純かつより効率的であり、したがって、より安価な様式で実施され得るという、上記の方法を上回る利点を有する。さらに、本発明による方法は、全ての工程において工業規模の方法において望ましくない溶媒の完全な回避を可能にする。
【0007】
以下に記載される好ましい実施形態は、適切であれば、本明細書に記載される全ての式を指す。
【0008】
本発明の文脈において、ハロゲンという用語は、好ましくは、塩素、フッ素、臭素又はヨウ素、より好ましくは、塩素、フッ素又は臭素を意味する。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、
は、フッ素置換C~C-アルキルである。
【0010】
より好ましくは、
は、パーフルオロC~C-アルキル(CF、C又はC(n-又はイソプロピル))である。
【0011】
最も好ましくは、
は、ヘプタフルオロイソプロピルである。
【0012】
さらなる好ましい実施形態では、
は、Cl、Br、F、C~C-アルキル、ハロゲン置換C~C-アルキル、C~C-アルコキシ又はハロゲン置換C~C-アルコキシから選択される置換基である。
【0013】
特に好ましい実施形態では、
は、Cl、Br、C~C-アルキル又はフッ素置換C~C-アルキル、C~C-アルコキシ又はフッ素置換C~C-アルコキシである。
【0014】
最も好ましくは、
は、Cl、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシである。
【0015】
本発明の特に好都合な構成では、RおよびRのどちらも塩素又は臭素であり、特に好ましくは塩素である。
【0016】
本発明の更に有利な構成では、
が、塩素又は臭素であり、
が、パーフルオロC~Cアルキルであり、そして
が、ハロゲン、C~Cアルキル又はフッ素置換C~C-アルキル、C~C-アルコキシ又はフッ素置換C~C-アルコキシである。
【0017】
本発明の特に好都合な構成では、
は、塩素又は臭素であり、
は、ヘプタフルオロイソプロピルであり、そして、
は、Cl、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシである。
【0018】
さらなる好ましい実施形態では、
3’は、水素、Cl、Br、F、C~C-アルキル、ハロゲン置換C~C-アルキル、C~C-アルコキシ又はハロゲン置換CvC-アルコキシから選択される置換基である。
【0019】
特に好ましい実施形態では、
は、水素、Cl、Br、C~C-アルキル又はフッ素置換C~C-アルキル、C~C-アルコキシ又はフッ素置換C~C-アルコキシである。
【0020】
最も好ましくは、
3’は、水素、Cl、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシである。
【0021】
出発物質として使用される式(II)のアニリンは市販されている。
【0022】
ここで、以下の式(II)のアニリン類が好ましい:
アニリン、2-メチルアニリン、2-クロロアニリン、2-トリフルオロメチルアニリン、2-トリフルオロメトキシアニリンおよび2-ジフルオロメトキシアニリン。
【0023】
ここで特に好ましいのは、以下の化合物である:
アニリン、2-クロロアニリン、2-トリフルオロメチルアニリン、2-トリフルオロメトキシアニリンおよび2-ジフルオロメトキシアニリン。
【0024】
これらの化合物は、好ましくは以下の式(I)の化合物を生じる:
2,6-ジクロロ-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)アニリン、
2-クロロ-6-メチル-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)アニリン、
2-ブロモ-6-メチル-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)アニリン、
2-クロロ-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)-6-(トリフルオロメチル)アニリン、
2-クロロ-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)-6-(トリフルオロメトキシ)アニリン、
2-クロロ-6-(ジフルオロメトキシ)-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)アニリン、
2-ブロモ-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)-6-(トリフルオロメチル)アニリン、および
2-ブロモ-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)-6-(トリフルオロメトキシ)アニリンである。
【0025】
特に好ましくは;
2,6-ジクロロ-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)アニリン、
2-クロロ-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)-6-(トリフルオロメチル)アニリン、
2-クロロ-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)-6-(トリフルオロメトキシ)アニリン、
2-クロロ-6-(ジフルオロメトキシ)-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)アニリン、および
2-ブロモ-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)-6-(トリフルオロメトキシ)アニリンである。
【0026】
本発明の文脈において、他の箇所で異なって定義されない限り、本発明による用語「アルキル」は、単独で又は他の用語、例えばハロアルキルと組み合わせて、1~12個、好ましくは1~6個およびより好ましくは1~4個の炭素原子を有し、分岐又は非分岐であり得る飽和脂肪族炭化水素基を意味すると理解される。C~C12-アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシルおよびn-ドデシルである。
【0027】
「アルコキシ」という用語は、単独で又は他の用語、例えばハロアルコキシと組み合わせて、本発明の場合、O-アルキル基を意味すると理解され、ここで、「アルキル」という用語は、上記で定義したとおりである。
【0028】
本発明によれば、別に定義されない限り、用語「アリール」は、6~14個の炭素原子を有する芳香族基、好ましくはフェニル、ナフチル、アントリル又はフェナントレニル、より好ましくはフェニルを意味すると理解される。
【0029】
ハロゲン置換基、例えばハロアルキルは、モノハロゲン化又は可能な置換基の最大数までポリハロゲン化されている。ポリハロゲン化の場合、ハロゲン原子は同一であっても異なっていてもよい。特に明記しない限り、置換されていてもよい基は、モノ-又はポリ置換されていてもよく、ここで、ポリ置換の場合の置換基は、同じであっても異なっていてもよい。
【0030】
上記で一般的に又は好ましい範囲で特定された範囲は、全体的なプロセスに対応して適用される。これらの定義は、所望に応じて、すなわち、それぞれの好ましい範囲の間の組み合わせを含めて、互いに組み合わせることができる。
【0031】
本発明によれば、好ましいものとして上記で特定された意味および範囲の組み合わせが存在する方法を使用することが好ましい。
【0032】
本発明によれば、特に好ましいものとして上記で特定された意味および範囲の組み合わせが存在する方法を使用することが特に好ましい。
【0033】
本発明によれば、非常に特に好ましいものとして上記で特定された意味および範囲の組み合わせが存在する方法を使用することが非常に特に好ましい。
【0034】
本発明に従って特に使用されるのは、上記で特定された意味および範囲と用語「特に」(especially)との組み合わせが存在する方法である。
【0035】
本発明に従って具体的に使用されるのは、上記で特定された意味および範囲と用語「具体的に」(specifically)との組み合わせが存在するプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
方法の記載
工程(1)
本発明によれば、式(II)の化合物を式R-Y(式中、Yはヨウ素又は臭素である)の化合物と反応させて、式(III)の化合物を得る
【化6】
式中、R及びR3’は、上記の定義を有する。
【0037】
本発明によれば、好ましくは、使用される式(II)の化合物の総モル量に基づいて、式R-Yの化合物を、0.9~2.0当量、より好ましくは1.0~1.8当量、最も好ましくは1.0~1.5当量を使用する。より大きな過剰分の使用は化学的に可能であるが、経済的な観点からは好都合ではない。
【0038】
式R-Yの化合物は、ここでは純粋な形態で又は40~95重量%の濃度で反応に好ましい溶媒中の溶液として、より好ましくは、純粋な形態で又は60~90重量%の濃度で任意の好ましい有機溶媒中の溶液として、最も好ましくは、純粋な形態で又は60~85重量%の濃度で好ましい溶媒中の溶液として使用される。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、
Yは、ヨウ素である。
【0040】
式R-Yの好ましい化合物は、特に、ペンタフルオロヨードエタン、ヘプタフルオロ-1-ヨードプロパン、ヘプタフルオロ-2-ヨードプロパンおよびヘプタフルオロ-2-ブロモプロパンであり、特に好ましくは、ヘプタフルオロ-2-ヨードプロパンおよびヘプタフルオロ-2-ブロモプロパンであり、非常に好ましくは、ヘプタフルオロ-2-ヨードプロパンである。
【0041】
式(III)の化合物は、工程(1)において、対応するアニリンから、例えば、JP2012/153635AおよびCN106748807Aに記載されている方法に類似して調製することができる。
【0042】
工程(1)において、好適な有機溶媒を使用することが好ましい。適当な溶媒は例えば、芳香族又は脂肪族のハロ炭化水素、特に芳香族又は脂肪族のクロロ炭化水素、例えば、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロメタン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリクロロベンゼン;エステル、特に酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル(n-およびイソ-)又は酢酸ブチル;エーテル、特にテトラヒドロフラン(THF)、2-メチル-THF、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル又はジエチルエーテル;任意に置換された脂肪族、環状脂肪族又は芳香族炭化水素、特にペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、アニソール、キシレン、メシチレン又はニトロベンゼン;及び、ニトリル、特にアセトニトリル又はプロピオニトリルである。
【0043】
好ましい溶媒は、アセトニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、THFおよびメチル-THFである。アセトニトリル、tert-ブチルメチルエーテル、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルが非常に特に好ましい。
【0044】
溶媒は、単独で、又は2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0045】
工程(1)は、好ましくは上述の本発明の有機溶媒の1つおよび水からなる二相系中で、例えば、5:1~1:5(有機溶媒:水)の比で、より好ましくは5:1~1:2の比で、最も好ましくは2:1~1:2の比で行われる。
【0046】
好ましくは、工程(1)は、相間移動触媒の存在下で実行し、好ましくは、四級アンモニウム塩(特に硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウム塩、塩酸塩又は臭酸塩)およびテトラアルキルホスホニウム塩(特にトリ-n-ブチル(テトラデシル)ブチルホスホニウムクロリド又はトリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド)から選択される。より好ましくは、相間移動触媒は、硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムおよびトリ-n-ヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリドから選択される。
【0047】
本発明によれば、相間移動触媒は、使用される化合物(II)の総モル量に基づいて、好ましくは0.005~0.06当量の割合で、より好ましくは0.01~0.05当量の割合で使用される。触媒は、好ましくはここでは純粋な形態で使用される。
【0048】
工程(1)は、好ましくは、還元剤、例えば、亜ジチオン酸ナトリウム又は亜ジチオン酸カリウム、より好ましくは亜ジチオン酸ナトリウムの存在下で実施される。本発明によれば、ここでは、使用される化合物(II)の総モル量に基づいて、0.9~2.0当量、より好ましくは1.0~1.8当量、最も好ましくは1.0~1.5当量を使用することが好ましい。ここでは、還元剤を純粋な形で使用することが好ましい。
【0049】
工程(1)は、好ましくは-10℃~80℃の範囲、より好ましくは0℃~60℃の範囲、最も好ましくは5℃~40℃の範囲の周囲温度で行われる。
【0050】
工程(1)は、好ましくは標準圧力(1013hPa)の範囲、例えば300hPa~5000hPa又は500hPa~2000hPaの範囲、好ましくは1013hPa±200hPaの範囲で行われる。
【0051】
工程(1)におけるパーフルオロアルキル化の反応時間は、好ましくは3~48時間、より好ましくは3~24時間、最も好ましくは6~24時間の範囲である。
【0052】
化合物R-Yは、好ましくは2~10時間、より好ましくは3~6時間にわたる連続的な計量供給によって添加される。
【0053】
工程(1)は、好ましくはpHモニタリングを用いて行われる。ここで、反応溶液のpHは、好ましくは3~7のpHの範囲内、より好ましくは4~7のpHの範囲内に保たれる。pHは、好ましくは化合物R-Yの添加の間、および全反応期間にわたるその後の反応の間、当業者に一般的に知られている好適な塩基、例えば、アルカリ金属/アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属/アルカリ土類金属水素炭酸塩又はアルカリ金属/アルカリ土類金属水酸化物の純粋物質又は水溶液の添加によってモニターされる。場合によっては、化合物R-Yの計量供給を開始する前に、当業者に一般に知られている好適な酸、例えば、酢酸又はプロピオン酸などのカルボン酸、例えば、塩酸又は硫酸などの鉱酸、又はメタンスルホン酸などのスルホン酸を添加することによって、反応混合物のpHを、好ましいpH、とりわけ4~5に調整することが好都合であり得る。
【0054】
工程(2) 塩素化/臭素化
本発明によれば、式(III)の化合物を塩素化剤又は臭素化剤と反応させて、式(I)の化合物を得る。
【0055】
本発明のこの説明の文脈において、ハロゲン化剤という用語は、塩素化剤又は臭素化剤を表すために使用される。
【0056】
工程(2)に関する以下の説明の節では、ハロゲンという用語は塩素又は臭素を表す。
【0057】
適切なハロゲン化剤は、当業者に周知のハロゲン化剤、例えば、塩素、臭素、無機塩素又は臭素含有塩、又は有機塩素又は臭素含有分子であり、ここで、有機基のハロゲン原子への結合は、塩素又は臭素原子が部分的に正電荷のキャリアであるように分極され、例えば、N-ハロスクシンイミド、1,3-ジハロ-5,5-ジメチルヒダントイン又はハロシアヌル酸(有機ハロゲン化化合物)である。
【0058】
ここで好適なハロゲン化剤は、塩素、臭素、又は、N-クロロスクシンイミド(NCS)、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(DCDMH)、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン(TCCA)、1,3,5-トリブロモ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン又は1,3-ジブロモ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオンから選択される有機ハロゲン化剤である。最も好ましくは、ハロゲン化化合物は、塩素、臭素、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(DCDMH)、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、1,3,5-トリブロモ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン又は1,3-ジブロモ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオンであり、特に好ましくは、塩素、臭素、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)又は1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン(TCCA)である。
【0059】
ハロゲン化剤は、使用される化合物が同じハロゲンを有するという条件で、単独で又は2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0060】
本発明によれば、ハロゲン化剤は、使用される化合物(III)の総モル量に基づいて、1.0~3.0当量(モノハロ化合物)又は0.5~1.5当量(ジハロ化合物)又は0.3~1.0当量(トリハロ化合物)、好ましくは1.0~2.5当量(モノハロ化合物)又は0.5~0.8当量(ジハロ化合物)又は0.33~0.75当量(トリハロ化合物)の割合で使用することができる。適切であれば、当業者に一般に知られている還元剤、例えばアルカリ金属/アルカリ土類金属亜硫酸塩、アルカリ金属/アルカリ土類金属ジチオナイト又はアルカリ金属/アルカリ土類金属チオ硫酸塩を加えることによって、HPLCの手段によって検出される完全な転化後に過量のハロゲン化剤を中和することができる。還元剤は、好ましくは、ここでは純物質として又は水溶液として、例えば飽和水溶液として使用され得る。
【0061】
本発明によれば、ハロゲン化剤は、固体として純粋な形態であるか、又は、反応条件下、特に反応のために選択された溶媒中で、好ましくは40~90重量%の濃度で、より好ましくは60~95重量%の濃度で不活性である適切な有機溶媒中の懸濁液又は溶液であり得る。適切な有機溶媒は、特に工程(2)について以下に記載される好ましい溶媒である。
【0062】
工程(2)に特別な触媒は必要とされない。いくつかの状況下では、活性化のために触媒量の酸を利用することが有利であり得るが、これは本明細書に請求される反応において絶対的には必要ではない。より詳細には、これは、有機塩素化剤、例えばN-クロロスクシンイミド(NCS)および1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(DCDMH)の使用の場合に有利である。
【0063】
好適な酸は、好ましくは当業者によく知られている鉱酸、例えば、硫酸、塩酸およびフッ化水素酸、スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸および4-トルエンスルホン酸、カルボン酸、例えば、トリフルオロ酢酸およびトリクロロ酢酸、ならびに、ルイス酸、例えば、鉄(III)トリフルオロメタンスルホン酸塩およびスカンジウム(III)トリフルオロメタンスルホン酸塩から選択され得る。
【0064】
反応は、好ましくは-78~200℃、より好ましくは-20~100℃、最も好ましくは0~50℃の温度範囲内で行われる。
【0065】
反応は、高圧又は減圧下で行うことができる。しかしながら、好ましくは、標準圧力、例えば1013hPa±300hPaの範囲、又は1013hPa±100hPaの範囲、又は1013hPa±50hPaの範囲で行われる。
【0066】
工程(2)は、好適な有機溶媒中で行うことが好ましい。工程(2)を実施するための有用な希釈剤又は溶媒には、原則として、特定の反応条件下で不活性である有機溶媒が含まれる。
【0067】
例としては、芳香族又は脂肪族ハロ炭化水素、特に芳香族又は脂肪族クロロ炭化水素、例えば、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロメタン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン又はトリクロロベンゼン;ニトリル、特にアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル又はm-クロロベンゾニトリル;任意に置換された脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、特にペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン又はニトロベンゼン;エステル、特に酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート又はエチレンカーボネート;アミド、特にN,N-ジメチルホルムアミド(DMP)、N,N-ジイソプロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド(DBF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)又はN-メチルピロリジン(NMP);脂肪族又は脂環式エーテル、特に1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジグリム、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチル-THF、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテル及びカルボン酸、特に酢酸、n-プロパン酸又はn-ブタン酸を含む。
【0068】
好ましい希釈剤又は溶媒は、芳香族又は脂肪族ハロゲン化炭化水素、特にクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン又は四塩化炭素;エステル、特に酢酸エチル、酢酸イソプロピルおよび酢酸ブチル;アミド、特にDMF、DMACおよびNMP;エーテル、特にテトラヒドロフラン(THF)、2-メチル-THF、tert-ブチルメチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテル;ニトリル、特にアセトニトリル又はプロピオニトリル、又はカルボン酸、特に酢酸又はn-プロパン酸である。
【0069】
非常に特に好ましい態様において、溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、THF、2-メチル-THFおよびアセトニトリルから選択される。アセトニトリル、tert-ブチルメチルエーテル、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルが非常に特に好ましい。
【0070】
溶媒は、単独で又は2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0071】
式(III)の化合物のハロゲン化の持続時間は、好ましくは0.5時間~10時間の範囲、より好ましくは0.25時間~5時間の範囲である。より長い反応時間が可能であるが、経済的な観点からは好都合ではない。
【0072】
ハロゲン化剤は、一度に又は長期間にわたる計量供給によって他の反応体に添加することができる。いくつかの状況下では、工程(2)について言及した溶媒の1つ中の化合物(III)の溶液を、工程(2)に好ましい溶媒の1つ中のハロゲン化剤の溶液又は懸濁液に計量供給することも有利であり得る。ここでの計量供給の持続時間は、0.5~6時間、より好ましくは1~4時間の好ましい範囲内であり得る。より長い計量供給時間も技術的観点から可能であるが、経済的観点からは好都合ではない。
【0073】
(計量)供給は、好ましくは-78~200℃、より好ましくは-20~100℃、最も好ましくは0℃~50℃の温度範囲内で行われる。有利な構成では、計量供給が行われる温度は、反応温度に対応する。
【0074】
本発明の特に有利な構成では、工程(1)および工程(2)において同じ有機溶媒が使用される。
【0075】
本発明のこの構成の文脈において、両方の工程における溶媒は、好ましくは、エステル、エーテル又はニトリルの群から選択され;溶媒は、より好ましくは、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、THF、メチル-THFおよびアセトニトリルから選択される。アセトニトリル、tert-ブチルメチルエーテル、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルが非常に特に好ましい。
【0076】
言及された溶媒は、単独で又は2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0077】
本発明による方法の特徴は、式(III)の化合物が工程(2)の前に工程(1)からの反応混合物から単離されないことである。
【0078】
本発明の文脈における「単離」とは、反応混合物からの式(III)の化合物の完全な分離、すなわち、例えば、当業者に周知の分離方法によって、全ての溶媒および塩からの分離を意味する。加えて、本発明の文脈における「単離」は、工程(1)からの全ての有機溶媒が工程(1)の後および工程(2)の前に決して除去されないことを意味する。
【0079】
好ましくは、工程(1)からの式(III)の化合物が、工程(2)において工程(1)からの有機溶媒中の溶液として直接使用される。
【0080】
本発明による方法において、反応順序の間、反応体積は、固体、液体又は懸濁液の形態で、例えば、固体、溶解又は懸濁ハロゲン化剤、又は溶媒(第1の工程におけるのと同じ溶媒又はさらなる溶媒)の形態で添加され得る。より詳細には、酸又は塩基の添加、および反応工程(1)と(2)との間の反応混合物の水性成分の部分的又は完全な除去が可能である。
【0081】
本発明によれば、工程(1)からの有機溶媒の30体積%未満、より好ましくは20体積%未満、最も好ましくは10体積%未満が、使用される有機溶媒の体積に基づいて工程(2)の開始前に除去されることがさらに好ましい。
【0082】
工程(1)の後、有機溶媒を積極的に除去しないことが特に有利である。有機溶媒の積極的除去は、一般に蒸留の手段による、場合によっては基準圧又は減圧下での熱処理による有機溶媒の除去を意味すると理解される。
【0083】
本発明のさらなる好ましい構成において、工程(1)および工程(2)は、同じ反応容器中で行われる。この場合、当業者は、最初から反応(1)および(2)のためのすべての体積を収容することができる反応容器を選択するであろう。
【0084】
換言すれば、反応の連続は、1つ以上の容器、好ましくは1つの容器内でのはめ込まれた反応であることが好ましい。
【0085】
本発明による方法は、好ましくは工程(1)および(2)からなる。
【0086】
必要に応じて、工程(1)および/又は工程(2)は、同じ反応容器中で、さらなる後処理をすることなく、繰り返し、例えば2回又は3回行うこともできる。工程(1)からの反応混合物は、例えば、HPLCaによる完全な転化の後、式(II)の化合物および本発明の還元剤と再度混合され、pHをモニターしながら化合物R-Yを計量供給することによって式(III)の化合物に転化され得る。この動作を再び繰り返すことができ、又は、反応混合物を、本発明に従ってさらに処理することができる。同様に、工程(2)からの反応混合物を、HPLCaによる完全な転化の後に、再度式(III)の化合物と混合し、次いで、ハロゲン化剤を加えることによって式(I)の化合物にさらに転化することができる。
【0087】
化合物(I)は、例えば、溶媒の除去、水による洗浄および適切な有機溶媒による抽出および有機相の分離、ならびに減圧下での溶媒の除去によって、完全な反応後に後処理および単離することができる。残渣は、同心管分留カラムを用いて0.05~1バールで真空蒸留し、当業者に一般に知られている溶媒中で結晶化させることもできる。
【0088】
スキーム1
【化7】
【0089】
スキーム1は、両方の工程を伴う、本発明による方法の概略的な全体的提示を与える。ここで、反応条件および反応物は、上記の本発明の好ましい構成に従って選択される。式(I)、(II)、(III)およびR-Yにおける全ての変数は、上記のように定義される。
【0090】
本発明による方法の好ましい態様は以下の通りである:
【0091】
式(II)の化合物は、最初に有機溶媒と水の混合物中に充填され、本発明による相間移動触媒、例えば、硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウム又はトリ-n-ヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムクロリド、および本発明による還元剤、例えば亜ジチオン酸ナトリウム、本発明によるパーフルオロアルキル化剤、例えば、ヘプタフルオロ-2-ヨードプロパンを、好ましくは-10℃~80℃、より好ましくは0℃~60℃で、2時間~10時間にわたって、場合によりpHを4~5に調整した後、適切な酸、例えば、酢酸による計量供給の開始前に添加する。反応混合物のpHは、ここでは全反応時間にわたって、好ましくは適切な塩基の固体形態で又は水溶液での添加で、例えば40重量%炭酸カリウム水溶液として添加し、3~7の範囲内に保たれる。好ましくは3時間~48時間後に水相を除去し、有機相を、水又は塩酸水溶液、例えば5重量%又は25重量%で任意に洗浄し、式(III)の化合物を含む有機相を、ハロゲン化剤で、例えば固体形態で又は本発明による有機溶媒中の溶液として、好ましくは-20℃~100℃、より好ましくは0℃~50℃で、好ましくは0.5時間~6時間にわたって混合する。転化が完了する(HPLCa)と、存在する過剰のハロゲン化剤は、例えば還元剤を純粋な物質又は水溶液として加えることによって中和され、式(I)の化合物が単離される。(工程(1)および工程(2))。
【0092】
さらなる有利な実施形態では、式(II)の化合物は、最初に有機溶媒と水の混合物中に充填され、本発明による相間移動触媒、例えば硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウム又はトリ-n-ヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムクロリドの添加後、本発明による還元剤、例えば亜ジチオン酸ナトリウム、本発明によるパーフルオロアルキル化剤、例えば、ヘプタフルオロ-2-ヨードプロパンを、好ましくは-10℃~80℃、より好ましくは0℃~60℃で、2時間~10時間かけて、場合によりpHを4~5に調整した後、適切な酸、例えば酢酸による計量供給の開始前に添加する。反応混合物のpHは、ここでは全反応時間にわたって、好ましくは適切な塩基の固体形態で又は水溶液で、例えば40重量%炭酸カリウム水溶液として添加し、3~7の範囲内に保たれる。好ましくは3時間~48時間後に、式(II)の化合物および本発明による還元剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウム)のさらなる部分の添加後、本発明によるパーフルオロアルキル化剤(例えば、ヘプタフルオロ-2-ヨードプロパン)を、好ましくは-10℃~80℃、より好ましくは0℃~60℃で、2時間~10時間にわたって添加する。反応混合物のpHは、ここでは全反応時間にわたって、好ましくは適切な塩基の固体形態で又は水溶液での添加により、例えば炭酸カリウム水溶液として、3~7の範囲内に保たれる。好ましくは3時間~48時間後に、プロセスを任意に再度繰り返すことができ、又は水相を除去することができ、有機相を、水又は水性塩酸、例えば5重量%又は25重量%で任意に洗浄することができ、式(III)の化合物を含有する有機相を、ハロゲン化剤と、例えば固体形態で又は本発明による有機溶媒中の溶液として、好ましくは-20℃~100℃、より好ましくは0℃~50℃で、好ましくは0.5時間~6時間にわたって混合することができる。転化が完了(HPLCa)すると、存在する過剰のハロゲン化剤は、例えば還元剤を純粋な物質又は水溶液として加えることによって中和され、式(I)の化合物が単離される。(工程(1)(2回)および工程(2))。
【0093】
本発明による方法の特に好ましい態様は以下の通りである:
式(II)の化合物を、最初に酢酸エチルと水の混合物中に仕込み、硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムと亜ジチオン酸ナトリウムの添加後、ヘプタフルオロ-2-ヨードプロパンを0℃~60℃で3時間~6時間かけて、場合により計量供給の開始前にpHを酢酸で4~5に調整した後に添加する。ここで、反応混合物のpHは、40重量%の炭酸カリウム水溶液の添加によって、計量供給および反応時間全体にわたって4~7の範囲内に保たれる。好ましくは3時間~24時間後、水相を除去し、有機相を、任意に水、又は、水性塩酸、例えば5重量%又は25重量%で洗浄し、式(III)の化合物を含有する有機相を、好ましくは0℃~50℃で、1時間~4時間かけて、塩素又は1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-ジオン(TCCA)(塩素化)或いは、臭素又は1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)(臭素化)と混合する。転化が完了する(HPLCa)と、存在する過剰のハロゲン化剤は、亜硫酸ナトリウムを純粋な物質として又は水溶液として加えることによって中和され、式(I)の化合物が単離される。(工程(1)および(2))。
【実施例
【0094】
以下の実施例は、それに限定されることなく、本発明による方法を詳細に説明する。
【0095】
方法
実施例のNMRデータは、従来の様式(δ値、多重項分割、水素原子数)で列挙されている。
NMRスペクトルが記録された溶媒および周波数を、それぞれの場合に記載する。
【0096】
a)HPLC(高速液体クロマトグラフィー)(逆相カラム(C18)上)、Agilent 1100 LC系;Phenomenex Prodigy 100×4mm ODS3;溶離剤A:アセトニトリル(0.25ml/l);溶離剤B:水(0.25ml TFA/l);7.00分間で5%アセトニトリルから95%アセトニトリルへの直線勾配、次いでさらに1.00分間で95%アセトニトリル;糟温度40℃;流速:2.0ml/分。
【0097】
工程1:式(III)の化合物の調製
4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-1a)
450mlのそれぞれ水および酢酸エチル中の60.0g(0.64モル、1.0当量)のアニリンの初期装入物に、4.5g(13.0mmol、0.02当量)の硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムおよび144.0g(0.70モル、1.1当量、85重量%)の亜ジチオン酸ナトリウムを連続的に添加した。214.0g(0.70モル、1.1当量)のヘプタフルオロ-2-ヨードプロパンを室温で3時間かけて計量供給し、40質量%のKCO水溶液を添加することにより計量供給中のpHを6.0~7.0に維持した。添加終了後、約21℃で同じpHでさらに3時間撹拌を続け、次いで相を分離し、有機相を、20重量%NaClおよび2.5重量%HClのそれぞれ40mlの溶液で洗浄した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への98%の転化率が検出された。次いで、有機相を、さらに処理することなく工程(2)で使用した。
溶媒の蒸留除去により単離した後、純粋な化合物の分析サンプルを得た。
【0098】
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.35(d、J=8.9Hz、2H)、6.72(d、J=7.7Hz、2H)、3.91(brs、2H)。
【0099】
4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-1b)
60mlのそれぞれ水および酢酸エチル中の7.5g(79.8mmol、1.0当量)のアニリンの初期装入物に、0.1g(0.4mmol、0.005当量)の硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムおよび17.9g(87.8mol、1.1当量、85重量%)の亜ジチオン酸ナトリウムを連続的に添加した。酢酸エチル8mLで希釈したヘプタフルオロ-2-ヨードプロパン26.8g(87.8ミリモル、1.1当量)を4時間かけて20~22℃で計量供給し、40質量%KCO水溶液を添加することにより計量供給中のpHを6.0~7.0に維持した。添加が完了したら、混合物を同じpHで約20~22℃でさらに1.5時間撹拌した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への98%の転化率が検出された。相を分離し、有機相を75mlの10重量%HClで洗浄した。次いで、有機相を、さらに処理することなく工程(2)で使用した。
溶媒の蒸留除去により単離した後、純粋な化合物の分析サンプルを得た。
【0100】
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.35(d、J=8.9Hz、2H)、6.72(d、J=7.7Hz、2H)、3.91(brs、2H)。
【0101】
4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-1c)
60mlのそれぞれ水および酢酸エチル中の7.5g(79.8mmol、1.0当量)のアニリンの初期装入物に、1.4g(1.6mmol、0.02当量)のトリ-n-ブチル(テトラデシル)ホスホニウムクロリドおよび17.9g(87.8mol、1.1当量、85重量%)の亜ジチオン酸ナトリウムを連続的に添加した。酢酸エチル8mLで希釈したヘプタフルオロ-2-ヨードプロパン26.8g(87.8ミリモル、1.1当量)を、3時間かけて20~22℃で計量供給し、40質量%KCO水溶液を添加することにより計量供給中のpHを6.0~7.0に維持した。添加が完了したら、混合物を同じpHで約20~22℃でさらに4時間撹拌した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への96%の転化率が検出された。相を分離し、有機相を75mlの10重量%HClで洗浄した。次いで、有機相を、さらに処理することなく工程(2)で使用した。
溶媒の蒸留除去により単離した後、純粋な化合物の分析サンプルを得た。
【0102】
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.35(d、J=8.9Hz、2H)、6.72(d、J=7.7Hz、2H)、3.91(brs、2H)。
【0103】
4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-1d)
120mlのそれぞれ水および酢酸イソプロピル中のアニリン15.0g(150.0mmol、1.0当量)の初期装入物に、3.3g(9.7mmol、0.06当量)の硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムおよび35.9g(170.0mol、1.1当量、85重量%)の亜ジチオン酸ナトリウムを連続的に添加した。53.51g(170.0ミリモル、1.1当量)のヘプタフルオロ-2-ヨードプロパンを20~22℃で3時間にわたって計量供給し、40質量%のKCO水溶液を添加することにより計量供給中のpHを6.0~7.0に維持した。添加が完了したら、混合物を同じpHで約20~22℃でさらに5時間撹拌した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への94%の転化率が検出された。相を分離し、次いで、有機相を、さらに処理することなく工程(2)で使用した。
溶媒の蒸留除去により単離した後、純粋な化合物の分析サンプルを得た。
【0104】
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.35(d、J=8.9Hz、2H)、6.72(d、J=7.7Hz、2H)、3.91(brs、2H)。
【0105】
4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-1e)
240mlのそれぞれ水および酢酸エチル中の30.0g(0.31モル、1.0当量)のアニリンの初期装入物に、2.2g(6.2mmol、0.02当量)の硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムおよび71.9g(0.35モル、1.1当量、85重量%)の亜ジチオン酸ナトリウムを連続的に添加した。ヘプタフルオロ-2-ブロモプロパン90.0g(0.35モル、1.1当量)を、-5℃の気体導入管の手段によって3時間かけて計量供給し、40質量%のKCO水溶液を添加することによって計量供給中のpHを6.0~7.0に維持した。添加が完了したら、混合物を同じpHで約-5℃でさらに3時間撹拌し、次いで20℃まで一晩加温した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への96%の転化率が検出された。相を分離し、有機相を20重量%NaClおよび2.5重量%HClのそれぞれ40mlの溶液で洗浄した。次いで、有機相を、さらに処理することなく工程(2)で使用した。
溶媒の蒸留除去により単離した後、純粋な化合物の分析サンプルを得た。
【0106】
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.35(d、J=8.9Hz、2H)、6.72(d、J=7.7Hz、2H)、3.91(brs、2H)。
【0107】
2-クロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-2a)
100mlのそれぞれ水および酢酸エチル中の10.0g(78.3mmol、1.0当量)の2-クロロアニリンの初期装入物に、0.5g(1.6mmol、0.02当量)の硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムおよび19.3g(94.0mmol、1.2当量、85重量%)の亜ジチオン酸ナトリウムを連続的に添加した。酢酸1.25g(20.8ミリモル、0.3当量)の添加により、pHを5に調整した。酢酸エチル6mlで希釈したヘプタフルオロ-2-ヨードプロパン5.26.3g(86.2ミリモル、1.1当量)を、3時間かけて20~22℃で計量供給し、40質量%KCO水溶液を添加することにより計量供給中のpHを4.0~5.0に保った。添加が完了したら、混合物を同じpHで約20~22℃でさらに4時間撹拌した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への94%の転化率が検出された。相を分離し、有機相を75mlの10重量%HClで洗浄した。次いで、有機相を、さらに処理することなく工程(2)で使用した。
溶媒の蒸留除去により単離した後、純粋な化合物の分析サンプルを得た。
【0108】
H-NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)=7.47(s,1H),7.28(d,J=8.0Hz,1H),6.81(d,J=8.0Hz,1H),4.13(brs,2H)。
【0109】
2-クロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-2b)
400mlのそれぞれ水および酢酸エチル中の40.0g(0.31モル、1.0当量)の2-クロロアニリンの初期装入物に、2.2g(6.3mmol、0.02当量)の硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムおよび77.1g(0.38mmol、1.2当量、85重量%)の亜ジチオン酸ナトリウムを連続的に添加した。酢酸4.8g(79.9ミリモル、0.25当量)を加えることにより、pHを5に調整した。酢酸エチル26mlで希釈したヘプタフルオロ-2-ヨードプロパン114.8g(0.38モル、1.2当量)を、3時間かけて20~22℃で計量供給し、40質量%KCO水溶液を加えることにより計量供給中のpHを4.0~5.0に保った。添加が完了したら、混合物を同じpHで約20~22℃でさらに4時間撹拌した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への99%の転化率が検出された。相を分離し、有機相を300mlの10重量%HClで洗浄した。次いで、有機相を、さらに処理することなく工程(2)で使用した。
溶媒の蒸留除去により単離した後、純粋な化合物の分析サンプルを得た。
【0110】
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.47(s、1H)、7.28(d、J=8.0Hz、1H)、6.81(d、J=8.0Hz、1H)、4.13(brs、2H)。
【0111】
2-クロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-2c)
100mlのそれぞれ水およびtert-ブチルメチルエーテル中の10.0g(78.3mmol、1.0当量)の2-クロロアニリンの初期装入物に、0.5g(1.6mmol、0.02当量)の硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムおよび19.3g(94.0mmol、1.2当量、85重量%)の亜ジチオン酸ナトリウムを連続的に添加した。酢酸1.0g(16.6ミリモル、0.2当量)の添加により、pHを5に調整した。酢酸エチル6mlで希釈したヘプタフルオロ-2-ヨードプロパン26.3g(86.2ミリモル、1.1当量)を、3時間かけて20~22℃で計量供給し、40質量%KCO水溶液を添加することにより計量供給中のpHを4.0~5.0に保った。添加が完了したら、混合物を同じpHで約20~22℃でさらに4時間撹拌した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への82%の転化率が検出された。相を分離し、有機相を75mlの10重量%HClで洗浄した。次いで、有機相を、さらに処理することなく工程(2)で使用した。
溶媒の蒸留除去により単離した後、純粋な化合物の分析サンプルを得た。
【0112】
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.47(s、1H)、7.28(d、J=8.0Hz、1H)、6.81(d、J=8.0Hz、1H)、4.13(brs、2H)。
【0113】
2-クロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-2d)
120mlの水および90mlの酢酸エチル中の15.0g(0.12モル、1.0当量)の2-クロロアニリンの初期装入物に、0.8g(2.4mmol、0.02当量)の硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムおよび28.9g(0.14mmol、1.2当量、85重量%)の亜ジチオン酸ナトリウムを連続的に添加した。1.9g(31.6ミリモル、0.3当量)の酢酸を加えることにより、pHを5に調整した。酢酸エチル7mlで希釈した40.1g(0.13ミリモル、1.1当量)のヘプタフルオロ-2-ヨードプロパンを、3時間かけて20~22℃で計量供給し、40質量%KCO水溶液を加えることにより、計量供給中のpHを4.0~5.0に保った。添加が完了したら、混合物を同じpHで約20~22℃でさらに4時間撹拌した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への94%の転化率が検出された。相を分離し、有機相を75mlの10重量%HClで洗浄した。次いで、有機相を、さらに処理することなく工程(2)で使用した。
溶媒の蒸留除去により単離した後、純粋な化合物の分析サンプルを得た。
【0114】
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.47(s、1H)、7.28(d、J=8.0Hz、1H)、6.81(d、J=8.0Hz、1H)、4.13(brs、2H)。
【0115】
4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-2-(トリフルオロメトキシ)アニリン(III-3a)
400mlの水および250mlの酢酸エチル中の40.0g(0.22モル、1.0当量)の2-トリフルオロメトキシアニリンの初期装入物に、1.55g(4.4mmol、0.02当量)の硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムおよび68.0g(0.33モル、1.5当量)の亜ジチオン酸ナトリウムを連続的に添加した。100.2g(0.33モル、1.5当量)のヘプタフルオロ-2-ヨードプロパンを室温で2.5時間かけて計量供給し、40質量%のKCO水溶液を添加することにより計量供給中のpHを4.0~5.0に維持した。添加が完了した後、約21℃でさらに1時間撹拌を行い、次いで相を分離した。有機相を100mlのn-ヘプタンで希釈し、次いで250mlの20重量%HCl、250mlの飽和NaCl溶液および250mlの水で洗浄した。次いで、有機相を、さらに処理することなく工程(2)で使用した。
溶媒の蒸留除去により単離した後、純粋な化合物の分析サンプルを得た。
【0116】
H-NMR(DMSO-d、400MHz)δ(ppm)=7.51(d、J=9.0Hz、1H)、7.44(s、1H)、7.43(d、J=9.0Hz、1H)、6.38(brs、2H)。
【0117】
4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-2-(トリフルオロメトキシ)アニリン(III-3b)
600mlの水および360mlの酢酸エチル中の40.0g(0.22モル、1.0当量)の2-トリフルオロメトキシアニリンの初期装入物に、4.6g(13.5mmol、0.06当量)の硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウムおよび59.0g(0.29モル、0.4当量、85重量%)の亜ジチオン酸ナトリウムを連続的に添加した。酢酸エチル20gに溶解したヘプタフルオロ-2-ヨードプロパン100.2g(0.34モル、1.5当量)を1.5時間かけて25℃で計量供給し、40質量%のKCO水溶液を添加することにより計量供給の間のpHを4.0~4.9に維持した。添加が完了したら、混合物を同じpHで約21℃でさらに2時間撹拌した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への>95%の転化率が検出された。続いて、別の40.0g(0.22モル、1.0当量)の2-トリフルオロメトキシアニリンおよび59.0g(0.29モル、0.4当量、85重量%)の亜ジチオン酸ナトリウムを添加し、その後、25℃で1.5時間にわたって、20gの酢酸エチルに溶解した100.2g(0.34モル、1.5当量)のヘプタフルオロ-2-ヨードプロパンを計量供給し、40重量%のKCO水溶液を添加することによって計量供給の間のpHを4.0~4.9に保ち、再度21℃で同じpHで2時間撹拌した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への>97%の転化率が検出された。2-トリフルオロメトキシアニリン40.0g(0.22モル、1.0当量)、ジチオン酸ナトリウム59.0g(0.29モル、0.4当量、85重量%)、および、酢酸エチル20gに溶解したヘプタフルオロ-2-ヨードプロパン100.2g(0.34モル、1.5当量)を、1.5時間かけてpH4.0~4.9で操作を繰り返し、pH4.0~4.9で3時間撹拌を続けた。HPLCa)の手段により、所望の生成物への>97%の転化率が検出された。相を分離し、n-ヘプタン400mlを添加した後の有機相を、20重量%HClの各300mlで2回、および300mlの飽和NaCl水溶液で1回洗浄した。次いで、有機相を、さらに処理することなく工程(2)で使用した。
溶媒の蒸留除去により単離した後、純粋な化合物の分析サンプルを得た。
【0118】
H-NMR(DMSO-d、400MHz)δ(ppm)=7.51(d、J=9.0Hz、1H)、7.44(s、1H)、7.43(d、J=9.0Hz、1H)、6.38(brs、2H)。
【0119】
以下の一般式(III)の4-パーフルオロアルキルアニリンは、実施例(III-1a)および(III-1b)と同様に調製可能であった:
4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-2-(トリフルオロメチル)アニリン(III-4)
H-NMR(DMSO-d、400MHz)δ(ppm)=7.51(d、J=9.0Hz、1H)、7.43(brs、1H)、7.01(d、J=9.0Hz、1H)、6.38(brs、2H)。
【0120】
2-エチル-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-5)
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.63(d、J=8.3Hz、1H)、7.53(brs、1H)、7.43(d、J=8.3Hz、1H)、2.92(q、J=7.6Hz、2H)、1.35(t、J=7.6Hz、3H)。
【0121】
工程(2):式(I)の化合物の調製
2,6-ジクロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(I-1a)
工程(1)からの酢酸エチル450ml中の溶液としての180.0g(0.64モル、1.0当量)の4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-1)(実施例(III-1a))をさらに酢酸エチル150mlで希釈し、水100mlを添加した後、塩素ガス96.0g(128.0mmol、2.0当量)を0~5℃で5時間かけて添加した。相を続いて分離し、水相を、100mlの酢酸エチルおよび50mlのn-ヘプタンの混合物、ならびに50mlの酢酸エチルおよび25mlのn-ヘプタンの混合物で連続的に抽出した。合わせた有機相を、各回100mlの20重量%NaCl溶液で2回洗浄し、溶媒を除去した後、生成物を赤褐色油として得た:収量200.0g(理論値の95%)。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.41(s、2H)、4.76(brs、2H)。
【0122】
2,6-ジクロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(I-1b)
工程(1)からの酢酸イソプロピル120ml中の溶液としての41.5g(0.15モル、1.0当量)の4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-1)(実施例(III-1d))に、27.0g(0.38モル、2.5当量)の塩素ガスを0~5℃で4時間かけて添加した。続いて、40mlの氷水を徐々に添加し、相を分離後、水相を40mlの酢酸イソプロピルで抽出した。合わせた有機相を、各回40mlの20重量%NaCl溶液で2回洗浄し、溶媒を除去した後、生成物を赤褐色油として得た:収量42.5g(理論値の86%)。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.41(s、2H)、4.76(brs、2H)。
【0123】
2,6-ジクロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(I-1c)
工程(1)からの酢酸エチル50ml中の溶液としての20.8g(79.7mmol、1.0当量)の4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチルアニリン(III-1)(実施例(III-1c))に、酢酸エチル40ml中の1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン(TCCA)13.1g(55.7mmol、0.7当量)の溶液を、0~5℃で2時間かけて加えた。反応物を2.5時間かけて20~25℃に温め、この温度で1時間撹拌した。得られた固体を濾別し、透明溶液を10mlの飽和NaSO水溶液および30mlの水と混合した。相を分離後、有機相を20mlの水および20mlの飽和NaCl溶液で洗浄し、減圧下で溶媒を除去した後、生成物を淡褐色-赤色油状物として得、これを冷却すると固化した:収量26.1g(理論値の89.9%)。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.41(s、2H)、4.76(brs、2H)。
【0124】
2,6-ジクロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(I-1d)
工程(1)からの酢酸エチル100ml中の溶液としての46.3g(0.16モル、1.0当量)の2-クロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-2)(実施例(III-2a))に、酢酸エチル50ml中の1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン(TCCA)12.9g(54.8ミリモル、0.35当量)の溶液を、0~5℃で2時間かけて加えた。反応物を2.5時間かけて20~25℃に温め、この温度で1時間撹拌した。得られた固体を濾別し、透明溶液を40mlの飽和NaSO水溶液および120mlの水と混合した。相を分離後、有機相を80mlの水および80mlの飽和NaCl溶液で洗浄し、減圧下で溶媒を除去した後、生成物を淡褐色~赤色の油として得、これを冷却すると固化した:収量50.7g(理論値の88.6%)。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.41(s、2H)、4.76(brs、2H)。
【0125】
2,6-ジクロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(I-1e)
工程(1)からのtert-ブチルメチルエーテル100ml中の溶液としての23.1g(78.3モル、1.0当量)の2-クロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-2)(実施例(III-2c))を、tert-ブチルメチルエーテル50ml中の1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン(TCCA)6.4g(27.4mmol、0.35当量)の懸濁液に、0~5℃で2時間かけて計量供給した。反応物を2.5時間かけて20~25℃に温め、この温度で1時間撹拌した。得られた固体を濾別し、透明溶液を20mlの飽和NaSO水溶液および60mlの水と混合した。相を分離後、有機相を40mlの水および40mlの飽和NaCl溶液で洗浄し、減圧下で溶媒を除去した後、生成物を赤褐色油として得た:収量20.9g(理論値の67.7%)。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.41(s、2H)、4.76(brs、2H)。
【0126】
2,6-ジクロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(I-1f)
工程(1)からの酢酸エチル30ml中の8.8g(29.9mmol、1.0当量)の2-クロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-2)(実施例(III-2b))に、0~5℃で、96質量%のHSO0.15g(1.5mmol、0.05当量)を加え、次いで、1時間かけて3.16g(15.7mmol、0.53当量)の1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(DCDMH)を少しずつ加えた。氷浴を除去し、反応物を室温で2時間撹拌した。その後、わずかに濁った溶液を、10mlの飽和NaSO水溶液および30mlの水と混合した。相の分離後、50mlの酢酸エチルによる有機相の希釈、続いて30mlの水による有機相の洗浄、および減圧下での溶媒の除去の後、生成物をベージュ色-オレンジ色の固体として得た:9.7g(理論の98%)。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.41(s、2H)、4.76(brs、2H)。
【0127】
2,6-ジクロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(I-1g)
工程(1)からの酢酸エチル40ml中の溶液としての20.0g(33.9mmol、1.0当量)の2-クロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(III-2)(実施例(III-2a))に、4.86g(35.6mmol、1.05当量)のN-クロロスクシンイミド(NCS)を室温で一度に添加した。これに続いて、50℃に加熱し、この温度で3時間撹拌した。その後、わずかに濁った溶液を、10mlの飽和NaSO水溶液および30mlの水と混合した。40mlの酢酸エチルで有機相を希釈し、相を分離後、減圧下で溶媒を除去した後、生成物をベージュ色-オレンジ色固体として得た:10.4g(理論値の93%)。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.41(s、2H)、4.76(brs、2H)。
【0128】
2-ブロモ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-6-(トリフルオロメトキシ)アニリン(I-2)
工程(1)からの360mlの酢酸エチルおよび400mlのn-ヘプタン(実施例(III-3b))中の溶液としての234.6g(0.68モル、1.0当量)の4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-2-(トリフルオロメトキシ)アニリン(III-3)の溶液(実施例(III-3b))に、200mlの水を添加した後、1時間かけて25~30℃で40mlの酢酸エチル中の119.0g(0.75モル、1.1当量)の臭素溶液を添加した。全計量供給時間にわたって、53質量%KCO水溶液を加えることによって、pHを6~8に設定した。HPLCa)の手段により、所望の生成物への完全な転化が検出された。相を分離後、有機相を10重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液400mlで洗浄し、乾燥し、溶媒を40℃で減圧除去した。生成物を暗赤色油状物として得た。収量248.0g(理論値の86%)。
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.59(s、1H)、7.34(s、1H)、4.65(brs、2H)。
【0129】
2-クロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-6-(トリフルオロメチル)アニリン(I-3)
工程(1)からの酢酸エチル10ml中の4.0g(12.1mmol、1.0当量)の4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-2-(トリフルオロメチル)アニリン(III-4)に、酢酸エチル5ml中の1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン(TCCA)0.99g(4.3mmol、0.35当量)の溶液を、0~5℃で2時間かけて加えた。反応物を2.5時間かけて20~25℃に温め、この温度で1時間撹拌した。得られた固体を濾別し、透明溶液を10mlの飽和NaSO水溶液および10mlの水と混合した。相の分離後、15mlの水および15mlの飽和NaCl溶液での有機相の洗浄、および減圧下での溶媒の除去の後、生成物を淡黄色油として得た:3.16g(理論の71%)。
H-NMR(DMSO-d、400MHz)δ(ppm)=7.72(brs、1H)、7.46(brs、1H)、6.56(brs、2H)。
【0130】
2-ブロモ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-6-(トリフルオロメチル)アニリン(I-4a)
工程(1)からの酢酸エチル40ml中の溶液としての20.0g(60.8mmol、1.0当量)の4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-2-(トリフルオロメチル)アニリン(III-4)を、酢酸エチル100ml中の1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)9.3g(31.9mmol、0.53当量)および98質量%HSO0.16g(1.52mmol、0.025当量)の懸濁液に、20~25℃で1時間かけて計量供給した。反応物をこの温度でさらに30分間撹拌した。25mlの飽和NaSO水溶液および75mlの水を加えた後、相を分離し、有機相を100mlのn-ヘプタンで希釈し、100mlの水で再度洗浄した。減圧下で溶媒を除去すると、生成物が、赤みがかった油として得られた:収量20.4g(理論値の82%)。
H-NMR(DMSO-d、400MHz)δ(ppm)=7.86(brs、1H)、7.50(brs、1H)、6.43(brs、2H)。
【0131】
2-ブロモ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-6-(トリフルオロメチル)アニリン(I-4b)
工程(1)からの酢酸エチル10ml中の溶液としての4.0g(12.1ミリモル、1.0当量)の4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-2-(トリフルオロメチル)アニリン(III-4)を、酢酸エチル20ml中の1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)1.9g(6.4ミリモル、0.53当量)の懸濁液に、20~25℃で1時間かけて計量供給した。反応物をこの温度でさらに30分間撹拌した。5mlの飽和NaSO水溶液、15mlの水および25mlのn-ヘプタンを加えた後、相を分離し、有機相を15mlの水および15mlの飽和NaCl水溶液で希釈した。減圧下で溶媒を除去すると、生成物が橙色油状物として得られた:収量4.0g(理論値の80%)。
H-NMR(DMSO-d、400MHz)δ(ppm)=7.86(brs、1H)、7.50(brs、1H)、6.43(brs、2H)。
【0132】
2-ブロモ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-6-(トリフルオロメチル)アニリン(I-4c)
工程(1)からの酢酸エチル10ml中の溶液としての4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-2-(トリフルオロメチル)アニリン(III-4)4.0g(12.1ミリモル、1.0当量)を、酢酸エチル20ml中のN-ブロモスクシンイミド(NBS)2.3g(12.7ミリモル、1.05当量)の懸濁液に20~25℃で1時間かけて計量供給した。反応物をこの温度でさらに60分間撹拌した。5mlの飽和NaSO水溶液、15mlの水および25mlのn-ヘプタンを加えた後、相を分離し、有機相を15mlの水および15mlの飽和NaCl水溶液で希釈した。減圧下で溶媒を除去すると、生成物が橙色油状物として得られた:収量4.0g(理論値の81%)。
H-NMR(DMSO-d、400MHz)δ(ppm)=7.86(brs、1H)、7.50(brs、1H)、6.43(brs、2H)。
【0133】
以下の一般式(I)の4-パーフルオロアルキルアニリンは、実施例(I-1d)と同様に調製可能であった:
【0134】
2-クロロ-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-6-(トリフルオロメトキシ)アニリン(I-5)
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.45(s、1H)、7.30(s、1H)、4.59(s、2H)。
【0135】
2-クロロ-6-エチル-4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(I-6)
H-NMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)=7.43s、1H)、7.17(s、1H)、2.54(q、J=7.5Hz、2H)、1.28(t、J=7.5Hz、3H)。