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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】センサ付きバッテリポーチ
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20240902BHJP
   G01K 7/16 20060101ALI20240902BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240902BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20240902BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20240902BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20240902BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20240902BHJP
【FI】
G01K1/14 L
G01K7/16 B
H01M10/48 301
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/124
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021536682
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019049604
(87)【国際公開番号】W WO2020051251
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】62/792,815
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/726,668
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/558,926
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508130890
【氏名又は名称】ハッチンソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リーマー、ダグラス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、マイケル ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ラドウィッグ、ピーター エフ.
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-088311(JP,A)
【文献】特開2006-078478(JP,A)
【文献】特開平05-149796(JP,A)
【文献】特開2017-224451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H01M 10/42-10/48
H01M 50/00-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ用のポーチハウジングであって、
外層と、
前記外層上に配置される内層とを含み、
前記内層は、内側表面と、前記外層に面する外側表面とを含むとともに、前記内層と前記外層との間に位置するように、前記内層の前記外側表面上に形成された少なくとも1つのセンサを含み、
前記センサは、前記外層を超えて延びるように構成された複数の電気接点のうちのいずれかに前記センサを電気的に接続する電気配線に接続されており、
前記センサのうちの第1のセンサは、前記内層の前記外側表面上に配置された蛇行線として構成され、前記蛇行線の第1の端部で第1の電気配線に電気的に接続され、前記蛇行線の第2の端部で第2の電気配線に電気的に接続される、ポーチハウジング。
【請求項2】
前記センサは、測温抵抗体である、請求項1に記載のポーチハウジング。
【請求項3】
前記センサは、測温抵抗体のアレイを含む、請求項1に記載のポーチハウジング。
【請求項4】
前記測温抵抗体のアレイは、8つの測温抵抗体を含む、請求項3に記載のポーチハウジング。
【請求項5】
前記ポーチハウジングは、圧力センサを含む第2のセンサを含む、請求項1に記載のポーチハウジング。
【請求項6】
前記圧力センサは、ひずみゲージである、請求項5に記載のポーチハウジング。
【請求項7】
前記圧力センサは、静電容量センサである、請求項5に記載のポーチハウジング。
【請求項8】
前記センサは、前記内層の表面上に形成される、請求項1に記載のポーチハウジング。
【請求項9】
前記センサは、前記内層の表面上に積層される、請求項1に記載のポーチハウジング。
【請求項10】
前記測温抵抗体のうちの少なくとも1つは、ヒータとして構成される、請求項4に記載のポーチハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、バッテリに関する。特に、本発明の実施形態は、概ねバッテリ用のセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル電子機器用のバッテリは、モバイル電子機器の動作にとって重要である。モバイル電子機器のサイズが小さくなり、バッテリへの要求が高まるにつれて、バッテリの動作特性がより重要になっている。また、バッテリを損傷することなくバッテリの充電時間を短縮したいという要望が重要な特徴となっている。例えば、バッテリの動作温度は、バッテリの寿命やバッテリを利用する電子機器の動作に影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
バッテリポーチについて説明される。バッテリポーチは、外層と、外層に配置された内層と、を含む。内層は、少なくとも1つのセンサを含む。
本発明の実施形態の他の特徴及び利点は、添付の図面及び以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0004】
本発明の実施形態は、同様の参照が同様の要素を示す添付図面の図において、限定ではなく例として示される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態によるセンサ付きバッテリポーチを示す図である。
図2】一実施形態によるセンサ付きバッテリポーチを示す図である。
図3】一実施形態によるセンサ付きバッテリポーチを使用して形成されたバッテリを示す図である。
図4】一実施形態による温度センサを示す図である。
図5】一実施形態による温度センサを示す図である。
図6】一実施形態によるバッテリポーチ用のセンサを形成するための方法の流れ図である。
図7】一実施形態によるポリマーフィルムの複数の部分の上に形成された金属層を示す図である。
図8】一実施形態による外層を複数の内層に貼り付けるためのプロセスを示す図である。
図9】一実施形態による外層を複数の内層に貼り付けるためのプロセスを示す図である。
図10】測温抵抗体及び静電容量プレートを含む一実施形態による内層を示す図である。
図11】一実施形態によるセンサを含むバッテリポーチを示す図である。
図12】一実施形態による外層に取り付けられたセンサを含む内層を示す図である。
図13】一実施形態による1つ以上のセンサを含むバッテリポーチを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の実施形態によるバッテリポーチ用のセンサ及び製造方法が説明される。図1は、一実施形態によるセンサ付きバッテリポーチを示す。バッテリポーチは、外層102及び内層104を含む。外層102はポリマーフィルムである。いくつかの実施形態では、外層102は、ポリアミド層、アルミニウム層、及びポリプロピレン層を含むポリマーフィルムである。いくつかの実施形態では、内層104はポリマーフィルムである。しかし、内層104はまた、本技術分野で知られている材料を含む材料であって、バッテリアセンブリプロセスと互換性のある他の材料で形成してもよい。いくつかの実施形態では、内層104は、ポリプロピレンフィルム等の熱接着性材料(heat bondable material)である。
【0007】
内層104は、内層104上に配置された1つ以上のセンサ106a~106hを含む。様々な実施形態では、1つ以上のセンサ106a~106hは、付着及びエッチング技術を使用して、内層104上に形成される。他の実施形態では、1つ以上のセンサ106a~106hは、内層104から分離されたフィルム上に形成され、内層104に取り付けられる。例えば、1つ以上のセンサ106a~106hは、フィルム上に形成され、積層技術又は接着剤を使用して内層104に取り付けられる。
【0008】
いくつかの実施形態では、センサ106a~106hは、複数のセンサのアレイとして構成される。センサ106a~106hは、1つ以上の電気配線に接続され、1つ以上の電気接点108と電気的に連結されている。電気接点108は、接触パッド、ゼロ挿入力(zero insertion force)接続部、又は別の回路と電気的に接続するための他のスタイルを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によれば、電気接点108は外層102を超えて延びるように構成され、これにより、センサ106a~106hはバッテリポーチの外部の1つ以上の回路と電気的に接続され得る。1つ以上の回路は、制御回路及び監視回路を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、バッテリポーチの外部の1つ以上の回路は、バッテリの性能を最適化するように構成され得る。
【0009】
バッテリポーチの内層に配置されたセンサは、温度センサ、ひずみゲージ、静電容量センサ、ガス検知器、pH検知器、水分検知器、相対湿度検知器、及び基準電圧検知器を含むことができるが、これらに限定されない。1つ以上のセンサを、内層の同じ層又は異なる層に配置してもよい。例えば、複数の金属層及び複数の絶縁層を内層上に配置して、1つ以上のセンサ及び回路を形成してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサを含む各内層とともに複数の内層を使用してもよい。
【0010】
ひずみゲージは、バッテリポーチ内の1つ以上のセクションの内部圧力を検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、ひずみゲージは、本明細書に記載の技術を使用して、絶縁層などの内層に配置された金属コンスタンタンを使用して形成される。例えば、1つ以上のひずみゲージを使用して、バッテリポーチ内のガスの発生を測定でき、ガスの発生により、バッテリが膨らむ可能性がある。ガスは、電解質の電気化学的酸化によって生成される。このような酸化は、通常、バッテリの故障又は電話やバッテリ充電器内の電子機器の充電不良によるバッテリの過充電が原因で発生する。
【0011】
静電容量センサは、バッテリポーチ内の1つ以上のセクションの内部圧力を検出するように構成されている。例えば、静電容量センサを使用して、バッテリポーチ内のガスの発生を測定できる。静電容量は、交流電流を使用して、第1のプレートと基準プレートなどの第2のプレートとの間のギャップに基づいて測定される。静電容量が大きいほど、プレート同士が近づく。静電容量が減少すると、プレート間のギャップが増加する。この変化を利用して、バッテリポーチ内のガスの蓄積を判断できる。いくつかの実施形態では、静電容量センサは、静電容量プレートセンサである。静電容量プレートセンサの1つのプレートはバッテリポーチの内層に配置され、静電容量プレートセンサの2つ目の基準プレートはバッテリセルの接地プレートである。そのような実施形態では、ガスがバッテリポーチ内に蓄積するにつれてプレート間のギャップが増加するので、静電容量の減少がバッテリポーチ内のガスの蓄積を示すことになる。しかし、他の実施形態では、静電容量の増加がバッテリポーチ内のガスの蓄積を示すようにプレートを配置することができる。いくつかの実施形態では、第2の基準プレートは、バッテリに組み込まれた別の基準プレートであり、バッテリセルのサブアセンブリに挿入された基準プレート及びバッテリポーチ内のアルミニウム層を含むがこれらに限定されない。
【0012】
いくつかの実施形態では、基準電圧検出器は、リチウム塩でコーティングされたリチウム金属である。リチウム塩の例には、ヘキサフルオロリン酸リチウム(「LiPF」)及びテトラフルオロホウ酸リチウム(「LiBF」)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、使用されるリチウム塩は、バッテリの電解質と共通であるが、アノード、カソード、又は任意の集電コレクタとは接触していない。
【0013】
温度センサは、測温抵抗体(resistance temperature detector)、熱電対、サーモパイル、及びサーミスタを含むが、これらに限定されない。温度センサは、バッテリポーチ内に形成されたバッテリセルの1つ以上のセクションの温度情報を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、測温抵抗体は、抵抗加熱要素として構成されている。抵抗加熱要素として構成された測温抵抗体の場合、測温抵抗体は、電流を受け取り、測温抵抗体を通過させて熱を発生させる電気接点と電気的に連結される。いくつかの実施形態では、測温抵抗体は、抵抗加熱要素及び温度センサの両方として動作するように構成される。バッテリポーチ内に抵抗加熱要素を設けることで、充電前にバッテリを予熱して、電極が電気メッキされるなどのバッテリの劣化を低減することができる。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、1種類以上のセンサはアレイ状に形成され、これにより、1種類以上のセンサは、バッテリポーチ内のバッテリセルの異なるセクションに関する情報を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、センサの反対側の内層におけるポリマーフィルムの側面は、バッテリセルからの放熱を促すためのビア及び/又は他の金属形状を形成するように金属化されている。いくつかの実施形態は、表面実装技術(「SMT」)の構成要素を内層に取り付けるために使用することができる取付パッドを、内層のポリマーフィルムの側面に形成された金属層から形成することを含む。いくつかの実施形態は、内層のポリマーフィルムの両側に取付温度センサを形成し、バッテリセルの熱流束を計算するために使用することを含む。いくつかの実施形態は、ワイヤレス充電又はエネルギハーベスティング(energy harvesting)に使用することができるコイルを、内層のポリマーフィルムの側面に形成された金属層から形成することを含む。
【0015】
図2は、一実施形態によるセンサ付きバッテリポーチを示す。センサ付きバッテリポーチの外層202は、内層204に貼り付けられている。いくつかの実施形態では、外層202は、熱を使用して内層204に積層されている。他の実施形態は、結合接着剤を使用して、外層202を内層204に貼り付けることを含む。いくつかの実施形態では、外層202は、内層204と外層202との間に付けられたホットメルトフィルムを使用して、内層204に貼り付けられている。
【0016】
図3は、一実施形態によるセンサ付きバッテリポーチを使用して形成されたバッテリを示す。センサ付きバッテリポーチ301は、外層302及び本明細書に記載されているようなセンサを含む内層304を含む。バッテリは、本明細書に記載のようなセンサ付きバッテリポーチ301を形成し、外層302及び内層304を折り畳んでポーチを形成することによって形成される。センサ付きバッテリポーチ301の2つの側辺は、ヒートシール、ヒートメルトシールフィルム、又は他の接着剤を含む技術を使用してシールされている。次に、センサ付きバッテリポーチ301は、センサ付きバッテリポーチ301の残りの開いた側辺から1つ以上の電極及び電解質で満たされ、本技術分野で知られているものを含む技術を使用してバッテリセルを形成する。センサ付きバッテリポーチ301の残りの開いた側辺は、本明細書に記載されているものを含む技術を使用してシールされる。
【0017】
一実施形態によれば、センサ付きバッテリポーチ301が形成されてシールされると、電気接点308は、センサ付きバッテリポーチ301の外側にある。本明細書で説明するように、電気接点308は、センサ付きバッテリポーチ301の内層304に配置された1つ以上のセンサとの電気的な接続を提供するように構成されている。電気接点308は、内層301の面上に電気接点308が配置されているため、内層301によってバッテリ端子310a,310bから隔離されており、これによりセンサ付きバッテリポーチ301が形成されると、電気接点308は、内層301におけるバッテリ端子310a,310bに隣接する面とは反対側の面上に位置する。
【0018】
本明細書で説明するようにバッテリポーチの内面にセンサを配置することにより、アルミニウムがヒートスプレッダーとして作用し、「ホットスポット(hot spot)」の感度を低下させるため、温度センサが現在のバッテリポーチで使用されているようなアルミニウム層の外側に配置されている場合と比較して、より正確な測定が提供される。さらに、バッテリポーチの内面にセンサを設けることにより、充電中のバッテリの詳細なヒートマッピングを測定する機能が提供され、バッテリの充電速度を最大化することができる。例えば、充電コントローラは、安全温度が確認されるまで、より多くの電力を供給できる。バッテリポーチの内面にあるセンサによって可能になる放電中のヒートマッピングは、安全性向上機能又は性能向上機能にも使用できる。
【0019】
本明細書に記載の実施形態によれば、センサをバッテリポーチに組み込むことにより、バッテリアセンブリに使用される製造プロセス及び組み立て方法を実質的に不変とすることができる。これにより、バッテリの製造プロセスを実質的に変更せずに、センサ付きバッテリポーチを使用して形成されたバッテリを構築できるため、サプライチェーンへのシームレスな統合と迅速な採用につながる。さらに、バッテリポーチの内層の任意の位置に1つ以上のセンサを配置できることによって、バッテリポーチに配置されたバッテリセルの1つ以上の面の別々の部分を監視して、バッテリセルのホットスポット又は他の問題をより精度良く検出できるようになる。
【0020】
図4は、一実施形態による温度センサを示す。温度センサ402は、第1の電気配線404a及び第2の電気配線404bと電気的に連結された測温抵抗体として構成されている。温度センサ402は、ポリマーフィルム406上に配置された蛇行線として構成されている。蛇行線は、蛇行線の第1の端部で第1の電気配線404aに電気的に接続され、蛇行線の第2の端部で第2の電気配線404bに電気的に接続されている。
【0021】
図5は、ボイドを含む電気配線と電気的に連結された一実施形態による温度センサを示す。温度センサ502は、第1の電気配線504a及び第2の電気配線504bと電気的に連結された測温抵抗体として構成されている。温度センサ502は、ポリマーフィルム506上に配置された蛇行線として構成されている。蛇行線は、蛇行線の第1の端部で第1の電気配線504aに電気的に接続され、蛇行線の第2の端部で第2の電気配線504bに電気的に接続されている。電気配線504a,504bは、電気配線の表面内に形成されたボイドを有するように形成されて、内層のポリマーフィルム506の一部を露出させる。一実施形態によれば、ボイドは、内層に配置された電気配線及び他の金属形成物内のパターンで形成されて、内層のポリマーフィルム506の所望の割合を露出させることができる。内層のポリマーフィルム506の露出した部分は、本明細書に記載されているものを含む積層技術を使用して、内層を外層に接着するために利用可能な領域を増加させ、内層と外層との間の層間剥離を防止するのを助ける。
【0022】
図6は、一実施形態によるバッテリポーチ用のセンサを形成するための方法の流れ図を示す。ステップ601において、センサ付きバッテリポーチの内層を形成するために、1つ以上の金属層がポリマーフィルム上に形成される。スパッタリング、無電解メッキ、化学蒸着、又は本技術分野で知られているものを含む金属層を形成するための他の技術を含む技術を使用して、1つ以上の金属層がポリマーフィルム上に形成される。金属層は、ニッケル、ニッケルクロム、プラチナ、及びその他の導電性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、プラチナを使用して、1つ以上のひずみゲージを形成する。ステップ602において、1つ以上のセンサが金属層に形成される。1つ以上のセンサのための1つ以上の電気接点もまた、ステップ602で金属層に形成される。いくつかの実施形態によれば、金属層内に1つ以上のセンサを形成することは、金属層上にポリイミド層などのフォトレジスト層を形成すること、及びフォトレジスト層にパターンを形成することを含む。フォトレジスト層は、スパッタリング、化学蒸着、溶射、及びスクリーン印刷技術を含むがこれらに限定されない技術を使用して付けられる。いくつかの実施形態では、プラチナ層は内層に配置され、ニッケルは同じ内層に配置される。フォトレジストには、例えば、本技術分野で知られているものを含むフォトリソグラフィ及びエッチング技術を使用してパターンが形成される。実施形態では、例えばひずみゲージを形成するためのプラチナ層と、例えば測温抵抗体を形成するためのニッケル層とを含み、プラチナ層に影響を与えることなくニッケル層をエッチングすることができる。さらに、ニッケル層をプラチナ層上に直接配置することができる。次に、フォトレジスト層の一部をエッチングで除去することによって露出された金属層の部分がエッチングされて、センサ、電気配線、電気接点、及び他の回路構成要素が形成される。いくつかの実施形態によれば、レーザーアブレーションを使用して、金属層からセンサ、電気配線、電気接点、及び他の回路構成要素が形成される。ステップ603において、バッテリポーチの外層は、本明細書に記載されているものを含む技術を使用して、バッテリポーチの内層に貼り付けられる。
【0023】
ステップ604において、金属層に形成された電気接点がメッキされる。いくつかの実施形態では、電気接点は、本技術分野で知られているものなど、無電解ニッケル浸漬金(ENIG)技術を使用して金でメッキされる。いくつかの実施形態によれば、電気接点は、外層がセンサ付きバッテリポーチの内層に貼り付けられた後に金メッキされる。外層を含むセンサ付きバッテリポーチ全体が、マスクを使用せずに電気接点を露出させて、金メッキ用の溶液槽に浸される。いくつかの他の実施形態によれば、電気接点は、外層がバッテリポーチの内層に貼り付けられる前に金メッキされる。これは、例えば、電気接点の金メッキに使用されるメッキの溶液槽に外層を浸すことができない場合に使用され得る。例えば、電気接点を含むバッテリポーチの内層の縁をメッキの溶液槽に浸すことにより、電気接点を選択的にメッキすることができる。いくつかの実施形態によれば、弾帯垂直(bandoleer vertical)ENIGプロセスは、電気接点を金メッキするために使用される。次に、電気接点に金メッキを施した後、外層をバッテリポーチの内層に貼り付けることができる。
【0024】
図7は、本明細書に記載されているものを含む技術を使用して、バッテリポーチの複数の内層を形成するためにポリマーフィルムの複数の部分上に形成された金属層を示す。いくつかの実施形態によれば、ポリマーフィルムは、オープンリール式(reel to reel)の製造プロセスのウェブに取り付けられて、ポリマーフィルム上に1つ以上のセンサを形成する。オープンリール式の製造プロセスは、本明細書に記載されているものを含む技術を使用して、金属層を形成し、金属層に1つ以上のセンサを形成する。センサが形成されたバッテリポーチの内層のシートは、本技術分野で知られているものを含む技術を使用してスリットカットされ、シートを内層の別々の列に分離することができる。
【0025】
図8は、一実施形態による外層を複数の内層に貼り付けるためのプロセスを示す。図8に示されるように、バッテリポーチ801の外層は、内層802の列に貼り付けられている。次に別のステップにおいて、形成された個々のバッテリポーチは、例えば、本明細書に記載されているものを含むスリットカット技術を使用することによって分離することができる。図9は、一実施形態による外層を複数の内層に貼り付けるためのプロセスを示す。図9に示されるように、外層902のロール901は、内層904の1つ以上の列に配置することができ、外層902は、熱を加えるためにフェンス906を使用して内層904に熱積層することができる。
【0026】
図10は、測温抵抗体及び静電容量プレートを含む一実施形態による内層を示す。測温抵抗体1002a~1002fは、本明細書に記載されているものを含む技術を使用して、内層1001上に配置されている。内層1001はまた、内層1004上に配置された中心接地線1004を含む。中心接地線1004は、測温抵抗体1002a~1002fの接地接点として構成されている。各測温抵抗体1002a~1002fの第1の端部は、中心接地線1004と電気的に連結され、各測温抵抗体1002a~1002fの第2の端部は、各測温抵抗体及び静電容量プレート1004を1つ以上の電気接点1008に電気的に連結する電気配線1006と電気的に接続されている。中心接地線1004はまた、静電容量プレートセンサのための第1のプレートとして構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、測温抵抗体1002a~1002fはそれぞれ温度センサとして構成され、中心接地線1004は第2のプレートと対になって、圧力/ギャップセンサとして使用する静電容量プレートセンサを形成する。いくつかの実施形態では、静電容量センサの第2のプレートは、バッテリセルの接地プレートである。他の実施形態では、第2のプレートは、バッテリポーチ内の第2の内層に配置されている。バッテリポーチはまた、ひずみゲージの形態で膨潤センサ(swelling sensor)/ガスセンサ1106を含む。
【0028】
様々な実施形態では、1つ以上の測温抵抗体1002a~1002fは、本明細書に記載されているものを含む技術を使用して、抵抗加熱要素として構成されている。温度センサ、ガス圧センサ、及びバッテリ予熱器用のヒータを含むそのような内層1001を含むバッテリポーチは、交流電流を使用してバッテリのガス圧をチェックし、いくつかの測温抵抗体で温度を監視し、少なくともいくつかの測温抵抗体に電流を流すことによりバッテリに熱を供給することを可能にする。
【0029】
図11は、一実施形態によるセンサを含むバッテリポーチを示す。バッテリポーチ1101は、いくつかの内層1102を含む。内層1102の1つは、いくつかのセンサを含む。センサは、測温抵抗体1104を含む。これらは、本明細書に記載されているものを含む技術を使用して、温度センサ、ヒータ、及び両方として構成することができる。センサはまた、膨潤センサ/ガス圧センサとして構成されたひずみゲージ1108を含む。センサは、内層1102のうちの1つに配置されているものとして示されている。しかし、実施形態は、本明細書に記載されているものを含む技術を使用して、2つ以上の内層上に形成されたセンサを有するものを含む。他の内層1102は、センサを他の層から隔離するためにバッテリポーチ内においてセンサと他の層との間に配置され、例えばセンサが別の導電性材料と電気的に接触して短絡を引き起こすことを防ぐ。バッテリポーチ1101は、本明細書に記載されているような外層1110を含む。外層1110は、本明細書に記載されているものを含む技術を使用して、内層1102及びバッテリセル1112を取り囲む。
【0030】
図12は、一実施形態による外層に取り付けられたセンサを含む内層を示す。内層1204は、本明細書に記載されているようなセンサ1206を含む。外層1202は、非導電性接着剤、ヒートシールテープ、又は他の材料などの接着剤を使用して内層1206に貼り付けられる。他の実施形態では、導電性接着剤を使用して、センサ又は他の回路を外層1202に電気的又は熱的に連結することができる。いくつかの実施形態では、外層を積層するために一般的に使用される接着剤は、センサとバッテリポーチの残りの部分との間の絶縁体として使用される。その結果、接着剤は、センサと、バッテリポーチのアルミニウム層などの外層との間の絶縁体、及びセンサ層のバッテリポーチへの接着という2つの目的を果たす。センサ層はまた、セルが組み立てられてバッテリポーチ内に配置されるときにポーチをシールするという本来の目的を果たす。さらに、他の実施形態は、バッテリポーチ材料で組み立てられる前に、追加の層又は複数の材料の層で覆われた金属回路を含むことがある。この時点でセンサは保護材に包まれているため、金属センサを包むためにセンサ回路をバッテリポーチの内面にシールする必要は必ずしもない。上部の絶縁層は、使用する場合、パターンが形成された又はパターンが形成されてないポリプロピレンフィルム、はんだマスク、パターンが形成されたヒートシールテープ、又はその他の材料とすることができる。いくつかの実施形態では、センサ回路は、バッテリポーチのフルサイズをカバーすることができる。これは、センサがバッテリセルの両側にあるようにバッテリセル上に折りたたまれたセンサを含むワンピースの内層を利用することによって、バッテリの両側に配置された1種類以上のセンサを含むことができる。代替的に、実施形態は、所望の場合にセンサがバッテリセルの両側に配置されるように、各内層がバッテリポーチの内面に貼り付けられた状態で、各内層上に1種類以上の1つ以上のセンサを含む2つ以上の内層を使用することを含む。センサは、バッテリポーチのごく一部を覆うように設計できる。例えば、バッテリセルの片面のごく一部だけが覆われてもよい。センサが覆うエリアの量は、コストと性能とのトレードオフになり得るため、実装される可能性が最も高い設計は、コストと性能の両方に対して最適化される。
【0031】
図13は、一実施形態による1つ以上のセンサを含むバッテリポーチを示す。センサは、本明細書に記載されているものを含む技術を使用して、バッテリポーチの1つ以上の内層上に配置されている。内層は、外層によって囲まれたバッテリセル上に配置され、本明細書に記載の技術を含む技術を使用してバッテリポーチを形成する。電気接点は外層を超えて延び、1つ以上のセンサをバッテリポーチの外部の回路に電気的に連結できるようにする。例えば、1つ以上のセンサは、任意の数のバッテリセルのバッテリ監視機能を実行し、IC又は他の通信インターフェースなどのいくつかの業界通信方法のうちの1つを使用してコントローラを介して直接的又は間接的にセンサにインターフェースするように構成された外部バッテリ管理システムと電気的に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、電気接点はメッキされず、異方性導電フィルム(「ACF」)技術、ゼロ挿入力コネクタ、又は他の方法を使用して外部電子機器に接続されてもよい。電気接点はシールされたバッテリセクション内に収容され得る。この場合、フレックス回路又は代替のワイヤーハーネスがシールされたバリアを超えて内部でセンサ回路に接続する。これには、電気接点をバッテリの電解液から分離するように、接続部をシールする必要があり得る。
【0032】
本明細書に記載の任意の種類の1つ以上のセンサのアレイを含むセンサは、バッテリセルに代えて充電コントローラと一体化され得、安全な方法で最適な充電時間を可能にし、寿命を延ばし、劣化する前の使用回数を増やし、危機的な状態が発生した場合に動作を停止させることができるようになる。
【0033】
これらの実施形態に関連して説明したが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに形状や細部を変更できると理解するであろう。
以下、上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
[付記1]
バッテリポーチであって、
外層と、
前記外層上に配置され、少なくとも1つのセンサを含む内層と、を含む、バッテリポーチ。
[付記2]
前記センサは、測温抵抗体である、付記1に記載のバッテリポーチ。
[付記3]
前記センサは、測温抵抗体のアレイを含む、付記1に記載のバッテリポーチ。
[付記4]
前記測温抵抗体のアレイは、8つの測温抵抗体を含む、付記3に記載のバッテリポーチ。
[付記5]
前記センサは、圧力センサである、付記1に記載のバッテリポーチ。
[付記6]
前記圧力センサは、ひずみゲージである、付記5に記載のバッテリポーチ。
[付記7]
前記圧力センサは、静電容量センサである、付記5に記載のバッテリポーチ。
[付記8]
前記センサは、前記内層の表面上に形成される、付記1に記載のバッテリポーチ。
[付記9]
前記センサは、前記内層の表面上に積層される、付記1に記載のバッテリポーチ。
[付記10]
前記測温抵抗体のうちの少なくとも1つは、ヒータとして構成される、付記4に記載のバッテリポーチ。
[付記11]
バッテリポーチ用のセンサを形成するための方法であって、
金属層をポリマーフィルム上に形成することと、
前記バッテリポーチ内に配置されるように構成された1つ以上のセンサを前記金属層に形成することと、を含む方法。
[付記12]
前記金属層をポリマーフィルム上に形成することは、金属を前記ポリマーフィルム上にスパッタリングすることを含む、付記11に記載の方法。
[付記13]
前記金属は、ニッケルである、付記12に記載の方法。
[付記14]
1つ以上のセンサを前記金属層に形成することは、
フォトレジスト層を前記金属層の上に付着させることと、
前記フォトレジスト層にパターンを形成することと、
1つ以上のセンサを形成するように前記金属層をエッチングすることと、を含む、付記11に記載の方法。
[付記15]
1つ以上のセンサを前記金属層に形成することは、レーザーアブレーションを使用して前記金属層にパターンを形成することを含む、付記11に記載の方法。
[付記16]
前記ポリマーフィルムが前記バッテリポーチの内層となるように、前記ポリマーフィルムを前記バッテリポーチに固定することを含む、付記11に記載の方法。
[付記17]
バッテリポーチであって、
バッテリポーチの内層に結合されたポリマーフィルム上に製造及び配列された複数のセンサであって、完成したバッテリのバッテリセルの1つ以上の面の外面に近接するように構成された複数のセンサを備える、バッテリポーチ。
[付記18]
前記ポリマーフィルムは、熱接着性材料である、付記17に記載のバッテリポーチ。
[付記19]
前記接着性材料は、ポリプロピレンフィルムである、付記18に記載のバッテリポーチ。
[付記20]
前記センサは、測温抵抗体、熱電対、サーモパイル、及びサーミスタのうちの任意の1つ以上として構成される、付記17に記載のバッテリポーチ。
[付記21]
バッテリポーチであって、
1つ以上のポリマーフィルム上に製造及び配列された複数のセンサであって、バッテリポーチに配置されたバッテリセルの1つ以上の面の外面に近接するように構成されたセンサを備える、バッテリポーチ。
[付記22]
前記ポリマーフィルムは、熱接着性材料である、付記21に記載のバッテリポーチ。
[付記23]
前記熱接着性材料は、ポリプロピレンフィルムである、付記22に記載のバッテリポーチ。
[付記24]
前記ポリマーフィルムは、前記バッテリポーチの内層に結合される、付記21に記載のバッテリポーチ。
[付記25]
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つは、測温抵抗体である、付記21に記載のバッテリポーチ。
[付記26]
前記測温抵抗体は、ヒータとして構成される、付記25に記載のバッテリポーチ。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13