(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】輸送インシデント情報表示システム、方法、プログラムおよびIoTデバイス
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B65G61/00 520
(21)【出願番号】P 2021548103
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2019038022
(87)【国際公開番号】W WO2021059461
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】324001734
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】中屋 裕一郎
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-237541(JP,A)
【文献】特開2018-92434(JP,A)
【文献】特表2019-516162(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0074587(US,A1)
【文献】特開2019-121198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の輸送過程で発生したインシデント情報を、改竄されずに輸送ルートに沿って表示する輸送インシデント情報表示システムであって、
輸送する荷物の荷物情報と輸送条件を取得する第1取得手段と、
輸送過程の荷物の状態を示す状態情報、位置情報および時間情報を、輸送体に設けられた端末またはIoTデバイスから取得する第2取得手段と、
荷物を輸送する配送責任者情報および輸送体情報を取得する第3取得手段と、
前記取得された状態情報が、前記取得された輸送条件を満たすかどうかで、インシデントを判定する判定手段と、
前記インシデントと判定された場合に、前記取得された荷物情報、状態情報、位置情報、時間情報、配送責任者情報、および輸送体情報とを関連付けて、インシデント情報として記録する記録手段と、
前記記録されたインシデント情報を、前記輸送ルートに沿って表示する表示手段と、
を備え
、
前記IoTデバイスによって、前記インシデントを判定させて、判定されたインシデントを、インシデント情報として記録し、前記インシデント情報は、前記輸送体の輸送条件の一つとして露光量と関連付けられている輸送インシデント情報表示システム。
【請求項2】
前記輸送ルートに沿って表示される前記記録されたインシデント情報を、顧客に提供する請求項
1に記載の輸送インシデント情報表示システム。
【請求項3】
前記端末は、前記輸送体に取り付けたセンサやGPSで検知された情報を取得する請求項1に記載の輸送インシデント情報表示システム。
【請求項4】
前記状態情報および前記位置情報は、前記輸送体に取り付けたセンサやGPSから取得される請求項
3に記載の輸送インシデント情報表示システム。
【請求項5】
請求項1に記載の輸送インシデント情報表示システムに用いられるIoTデバイスであって、
前記輸送体に備えられており、
前記取得された状態情報が、前記取得された輸送条件を満たすかどうかでインシデントを判定し、判定されたインシデントを、インシデント情報として記録するIoTデバイス。
【請求項6】
荷物の輸送過程で発生したインシデント情報を、改竄されずに輸送ルートに沿って表示する輸送インシデント情報表示方法であって、
輸送する荷物の荷物情報と輸送条件を取得するステップと、
輸送過程の荷物の状態を示す状態情報、位置情報および時間情報を、輸送体に設けられた端末またはIoTデバイスから取得するステップと、
荷物を輸送する配送責任者情報および輸送体情報を取得するステップと、
前記取得された状態情報が、前記取得された輸送条件を満たすかどうかで、インシデントを判定するステップと、
前記インシデントと判定された場合に、前記取得された荷物情報、状態情報、位置情報、時間情報、配送責任者情報、および輸送体情報とを関連付けて、インシデント情報として記録するステップと、
前記記録されたインシデント情報を、前記輸送ルートに沿って表示するステップと、
を備え
、
前記IoTデバイスによって、前記インシデントを判定させて、判定されたインシデントを、インシデント情報として記録し、前記インシデント情報は、前記輸送体の輸送条件の一つとして露光量と関連付けられている輸送インシデント情報表示方法。
【請求項7】
コンピュータに、荷物の輸送過程で発生したインシデント情報を、改竄されずに輸送ルートに沿って表示する輸送インシデント情報表示プログラムであって、
輸送する荷物の荷物情報と輸送条件を取得するステップと、
輸送過程の荷物の状態を示す状態情報、位置情報および時間情報を、輸送体に設けられた端末またはIoTデバイスから取得するステップと、
荷物を輸送する配送責任者情報および輸送体情報を取得するステップと、
前記取得された状態情報が、前記取得された輸送条件を満たすかどうかで、インシデントを判定するステップと、
前記インシデントと判定された場合に、前記取得された荷物情報、状態情報、位置情報、時間情報、配送責任者情報、および輸送体情報とを関連付けて、インシデント情報として記録するステップと、
前記記録されたインシデント情報を、前記輸送ルートに沿って表示するステップと、
を実行させるためのプログラム
であって、
前記IoTデバイスによって、前記インシデントを判定させて、判定されたインシデントを、インシデント情報として記録し、前記インシデント情報は、前記輸送体の輸送条件の一つとして露光量と関連付けられているプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高度管理された荷物がどの輸送ルートで輸送されてきて、どこでインシデントが起きたかを、視覚的に把握するための輸送インシデント情報表示システム、方法、プログラムおよびIoTデバイスに関する。本発明は、IoT(Internet of Things)に関連し、技術分野はIPC分類においてG06Q等に該当する。
【背景技術】
【0002】
近年、高度管理が必要な再生医療等製品・医薬・医薬材料・危険物(爆発物や毒物など)・高額美術品などの荷物を、高度管理して輸送する技術が求められている。例えば、荷物に付帯された物流管理端末で出発地から目的地に輸送されるまでの輸送期間内に第1の周期で貨物の状態を検出して、検出された貨物の状態と時刻と位置を関連付けた情報を、輸送期間内に第2の周期で物流管理サーバに送信する技術が提供されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高度管理された荷物を受け取る側からすると、高度管理された荷物がどの輸送ルートで輸送されてきて、どこでインシデントが起きたかを、視覚的に把握できることが望ましい。しかしながら、特許文献1の技術では、高度管理された荷物がどの輸送ルートで輸送されてきて、どこでインシデントが起きたかを、視覚的に把握することができない。
【0005】
本発明は、以上の課題に鑑み、荷物の状態情報が輸送条件を満たすかどうかでインシデントを判定して、インシデントと判定された場合に、インシデント情報として記録して、輸送されたルートに沿って表示する輸送インシデント情報表示システム、方法、プログラム及びIoTデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、荷物の輸送過程で発生したインシデント情報を、改竄されずに輸送ルートに沿って表示する輸送インシデント情報表示システムであって、輸送する荷物の荷物情報と輸送条件を取得する第1取得手段と、輸送過程の荷物の状態を示す状態情報、位置情報および時間情報を、輸送体に設けられた端末またはIoTデバイスから取得する第2取得手段と、荷物を輸送する配送責任者情報および輸送体情報を取得する第3取得手段と、前記取得された状態情報が、前記取得された輸送条件を満たすかどうかで、インシデントを判定する判定手段と、前記インシデントと判定された場合に、前記取得された荷物情報、状態情報、位置情報、時間情報、配送責任者情報、および輸送体情報とを関連付けて、インシデント情報として記録する記録手段と、前記記録されたインシデント情報を、前記輸送ルートに沿って表示する表示手段と、を備え、前記IoTデバイスによって、前記インシデントを判定させて、判定されたインシデントを、インシデント情報として記録し、前記インシデント情報は、前記輸送体の輸送条件の一つとして露光量と関連付けられている輸送インシデント情報表示システム(システムは単体のコンピュータであってもよい)を提供する。
【0007】
また、本発明は、前記輸送インシデント情報表示システムに用いられるIoTデバイスであって、前記輸送体に備えられており、前記取得された状態情報が、前記取得された輸送条件を満たすかどうかでインシデントを判定し、判定されたインシデントを、インシデント情報として記録するIoTデバイスを提供する。
【0008】
更に、本発明は、荷物の輸送過程で発生したインシデント情報を、改竄されずに輸送ルートに沿って表示する輸送インシデント情報表示方法であって、輸送する荷物の荷物情報と輸送条件を取得するステップと、輸送過程の荷物の状態を示す状態情報、位置情報および時間情報を、輸送体に設けられた端末またはIoTデバイスから取得するステップと、荷物を輸送する配送責任者情報および輸送体情報を取得するステップと、前記取得された状態情報が、前記取得された輸送条件を満たすかどうかで、インシデントを判定するステップと、前記インシデントと判定された場合に、前記取得された荷物情報、状態情報、位置情報、時間情報、配送責任者情報、および輸送体情報とを関連付けて、インシデント情報として記録するステップと、前記記録されたインシデント情報を、前記輸送ルートに沿って表示するステップと、を備え、前記IoTデバイスによって、前記インシデントを判定させて、判定されたインシデントを、インシデント情報として記録し、前記インシデント情報は、前記輸送体の輸送条件の一つとして露光量と関連付けられている輸送インシデント情報表示方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、コンピュータに、荷物の輸送過程で発生したインシデント情報を、改竄されずに輸送ルートに沿って表示する輸送インシデント情報表示プログラムであって、輸送する荷物の荷物情報と輸送条件を取得するステップと、輸送過程の荷物の状態を示す状態情報、位置情報および時間情報を、輸送体に設けられた端末またはIoTデバイスから取得するステップと、荷物を輸送する配送責任者情報および輸送体情報を取得するステップと、前記取得された状態情報が、前記取得された輸送条件を満たすかどうかで、インシデントを判定するステップと、前記インシデントと判定された場合に、前記取得された荷物情報、状態情報、位置情報、時間情報、配送責任者情報、および輸送体情報とを関連付けて、インシデント情報として記録するステップと、前記記録されたインシデント情報を、前記輸送ルートに沿って表示するステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記IoTデバイスによって、前記インシデントを判定させて、判定されたインシデントを、インシデント情報として記録し、前記インシデント情報は、前記輸送体の輸送条件の一つとして露光量と関連付けられているプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷物情報、輸送している荷物の輸送状態、時間、位置を取得して、輸送中に、輸送状態が所定の条件を満たしたかどうかでインシデントを判定して、輸送中にインシデントが発生した場合に、配送責任者情報、輸送体情報、荷物情報、輸送している荷物の荷物状態を関連付けて、分散型台帳やデータベースに記録して、荷物の受取人に、インシデントが、いつ/どこで/どの荷物が/どの輸送状態で輸送されてきたかを、マップ上の輸送ルートに表示することとした。このため、高度管理された荷物がどの輸送ルートで輸送されてきて、どこでインシデントが起きたかを、視覚的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の輸送インシデント情報表示システムの全体構成を示す概念図である。
【
図2】前記実施形態のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】前記実施形態のインシデント情報の一例を示す図である。
【
図4】前記実施形態のサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図5】前記実施形態の輸送インシデント情報表示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】前記実施形態のインシデント情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、荷物情報、輸送している荷物の輸送状態、時間、位置を取得して、輸送中に、輸送状態が所定の条件を満たしたかどうかでインシデントを判定して、輸送中にインシデントが発生した場合に、配送責任者情報、輸送体情報、荷物情報、輸送している荷物の荷物状態を関連付けて、分散型台帳やデータベースに記録して、荷物の受取人に、インシデントが、いつ/どこで/どの荷物が/どの輸送状態で輸送されてきたかを、マップ上の輸送ルートに表示する。これにより、高度管理された荷物がどの輸送ルートで輸送されてきて、どこでインシデントが起きたかを、視覚的に把握するものである。
【0013】
<全体構成>・・・
図1は、本実施形態に係る輸送インシデント情報表示システムの概要を示す概念図である。輸送インシデント情報表示システム200(以下「システム」とする)は、サーバ40と、輸送体10に搭載された端末11と、配送業者80の端末82と、荷主90の端末92と、受取人100の端末102と、分散型台帳120とが、インターネットを含むネットワーク130を介して相互にデータ通信可能となっている。輸送体10には、データ通信可能な端末11と、センサ12と、IoTデバイス14と、GPS16が設けられ、高度管理されるべき荷物20が積載される。
【0014】
サーバ40は、輸送する荷物20の荷物情報(例えば、品名、個数、荷主、受取相手など)と輸送条件(例えば、温度、湿度、振動、露光量などの条件)を取得する。なお、これらの条件は荷主90の端末92からの入力を受け付けて取得してもよいし、荷物情報などから読み取って取得してもよい。
【0015】
また、サーバ40は、輸送過程の荷物20の状態を示す状態情報、位置情報および時間情報を取得する。これらの情報の取得は、実際に輸送中の温度、湿度、振動、照度などと、位置および時刻とを、輸送体10に搭載された各種センサ12やGPS16などから取得する。なお、センサ12やGPS16で検知された情報は、近距離無線通信を介して端末11へ送信され、さらに、端末11からネットワーク130を介してサーバ40へ送信される。サーバ40では、それらの情報を受信することで、状態情報、位置情報および時間情報を取得する。あるいは、GWやマイコンを搭載したセンサなどであるIoT(Interneto of Things)デバイス14で検知された情報は、IoTデバイス14から直接サーバ40へ送信されてもよい。
【0016】
さらに、サーバ40は、荷物20を輸送する配送責任者30の配送責任者情報および輸送体10の輸送体情報を取得する。配送責任者情報は、配送責任者30の保有する端末から取得するようにしてもよいし、配送業者80の端末82から取得してもよい。輸送体情報は、輸送体10の端末11から輸送体情報を取得するようにしてもよいし、配送業者80の端末82から取得するようにしてもよい。なお、配送責任者30とは、配送完了を見届ける責任者のことである。本例では輸送体10として車両を想定しているため、車両を運転するドライバーや同乗者がこれに該当する。車両以外の輸送体10として、例えば船舶、航空機、ドローンなども利用することができ、かかる場合、配送責任者30としては、操縦士、パイロット、オペレータなどがこれに該当する。輸送体10が自動運転とされる場合は、輸送体10の移動を遠隔で管理監督する責任者が配送責任者30となる。
【0017】
次に、サーバ40は、取得された状態情報が、取得された輸送条件を満たすかどうかで、インシデントを判定する。本実施形態では、判定はサーバ40(クラウド)で行うが、エッジ側(例えば、IoTデバイス14)に処理能力があれば、エッジで判定してもよい。画像データなどをサーバ40に送信して判定させると、通信コスト・ストレージコストが高くなるが、エッジ側のIoTデバイス14で判定させることにより、通信コスト・ストレージコストを削減することができる。
【0018】
インシデントと判定された場合、取得された荷物情報、状態情報、位置情報、時間情報、配送責任者情報、および輸送体情報とを関連付けて、インシデント情報として記録する。記録は、分散型台帳120にしてもよいし、サーバ40が備えるデータベースに記録してもよい。また、配送できなかったこともインシデントであるとして、インシデント情報を記録する際、受取人情報も関連付けて輸送が完了していない(配送されなかった)ことを記録することにより、登録された受取人100が荷物を受領したかどうかも、改竄できないデータとして記録するようにしてもよい。
【0019】
そして、サーバ40は、記録されたインシデント情報を、輸送されたルートに沿って表示する。例えば、配送業者80、荷主90、受取人100のそれぞれの端末82、92、102の表示部に、記録されたインシデント情報を、輸送されたルートに沿って表示させる。具体的には、表示させるための情報をサーバ40がネットワークを介して端末82、92、102に送信し、これら端末82、92、102が情報を受信すると、記録されたインシデント情報が、輸送されたルートに沿って、端末82、92、102の表示部に表示される。これにより、高度管理された荷物がどの輸送ルートで輸送されてきて、どこでインシデントが起きたかを、視覚的に把握することができる。
【0020】
以上説明したサーバ40は、単体のコンピュータであってもよく、例えば、端末であってもよい。また、後述する機能構成が、それぞれ異なるコンピュータで実行されるコンピュータシステム(クラウド)であってもよい。さらに、本実施形態では、多くの処理をサーバ40で実行することとしたが、エッジ(IoTデバイス14など)側で、インシデントの判定やインシデント情報の記憶を行うようにしてもよい。エッジ側で多くの処理を行うことにより、サーバ40への通信コスト・ストレージコストを削減することができる。
【0021】
<輸送体の構成>・・・
図1を参照して、輸送体の10の構成を説明する。輸送体10は、ネットワーク130を介してデータの送受信が可能な端末11を備えている。また、輸送体10は、センサ12、IoTデバイス14、GPS16を備えている。センサ12およびIoTデバイス14は、温度、湿度、振動、照度などを検出するものである。GPS16は、位置および時刻を検出するものである。これらセンサ12、IoTデバイス14、GPS16は、近距離無線通信により端末11とデータの送受信が可能となっており、端末11は、センサ12、IoTデバイス14、GPS16により検知された情報を取得して、ネットワーク130を通じてサーバ40に送信する。なお、IoTデバイス14は、検知した情報を直接ネットワーク130を通じてサーバ40に送信してもよい。なお、本実施例では、輸送体10として車両を想定しているが、船舶、航空機、ドローンなどを輸送体10として使用してもよい。
【0022】
<サーバのハードウェア構成>・・・次に、
図2を参照して、サーバ40のハードウェア構成を説明する。サーバ40は、プロセッサ42、メモリ44、ストレージ46、通信部54を備え、これらは図示しないバスにより接続されている。プロセッサ42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成され、メモリ44に記憶された各種プログラムを読み出して実行することで、各種処理を行う。前記メモリ44は、プロセッサ42により実行させるプログラムを記憶するものであり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成される。例えば、
図4に示す各種手段が記憶されている。ストレージ46は、取得情報48、インシデント情報50、地図情報52や、図示しない制御プログラムなどを記憶するものである。
【0023】
取得情報48は、荷物情報48A、輸送条件48B、状態情報48C、位置情報48D、時間情報48E、配送責任者情報48F、輸送体情報48Gを含んでいる。荷物情報48Aは、例えば、品名、個数、荷主、受取相手などである。輸送条件48Bは、例えば、温度、湿度、振動、露光量などの条件である。状態情報48Cは、実際に取得された輸送中の温度、湿度、振動、照度などである。位置情報48Dおよび時間情報48Eは、実際に輸送中の輸送体10の位置および位置情報を取得した時刻である。配送責任者情報48Eは、例えば、配送責任者IDなど、配送責任者30を識別できるものである。輸送体情報48Gは、例えば、車両、船舶、航空機、ドローンなどである。
【0024】
インシデント情報50は、インシデントと判定された場合に、取得された荷物情報、状態情報、位置情報、時間情報、配送責任者情報および輸送体情報とを関連付けたものである。
図3には、インシデント情報50の一例が示されている。同図に示すようにインシデント情報50には、荷物情報50A、状態情報50B、位置情報50C、時間情報50D、配送責任者情報(配送責任者ID)50E、輸送体状態50Fが関連付けて記憶されている。
【0025】
例えば、荷物情報50A「毒物xxx」と、状態情報50B「温度30度(条件を5度over)、位置情報50C「東京都港区虎ノ門1-2-3」、時間情報50D「11時23分」、配送責任者情報(配送責任者ID)50E「345678」、輸送体情報50F「車両業(業者Aの車両No18)」が関連付けられている。
【0026】
また、荷物情報50A「移植細胞yyy」と、状態情報50B「振動レベル4(条件を1over)」、位置情報50C「東京都渋谷区広尾4-5-6」、時間情報50D「17時05分」、配送責任者情報(配送責任者ID)50E「987654」、輸送体情報50F「車両業(業者Gの車両No4)」が関連付けられている。また、上記に留まらず、配送が完了しなかったことも輸送条件48Bに対してインシデントであるとして、荷物情報と受取人情報とを関連付けて記録するようにしてもよい。
【0027】
次に、地図情報52は、記録されたインシデント情報50を、輸送されたルートに沿って表示するときに用いられる情報である。
【0028】
通信部54は、ネットワーク130を介して、輸送体10の端末11や、配送業者80の端末82、荷主90の端末92、受取人100の端末102、分散型台帳120とデータの送受信を行い、各種情報の取得や提供を行うものである。むろん、他の情報の取得や提供を行うことを妨げるものではない。
【0029】
<サーバの機能構成>・・・次に、
図4を参照して、サーバ40の機能構成を説明する。サーバ40は、第1取得手段60と、第2取得手段62と、第3取得手段64と、判定手段66と、記録手段68と、表示手段70を備えている。
【0030】
第1取得手段60は、輸送する荷物20の荷物情報(例えば、品名、個数、荷主、受取相手など)と輸送条件(例えば、温度、湿度、振動、露光量などの条件)を取得するものである。これらの情報は、荷主90の端末92からの入力を受け付けて取得してもよいし、荷物情報などから読み取って取得してもよい。取得した荷物情報48Aおよび輸送条件48Bは、ストレージ46の取得情報48に記憶される。
【0031】
第2取得手段62は、輸送過程の荷物20の状態を示す状態情報、位置情報および時間情報を取得するものである。これらの情報の取得は、実際に輸送中の温度、湿度、振動、照度などと、位置および時刻とを、輸送体10に搭載された各種センサ12やGPS16などから取得する。なお、センサ12やGPS16で検知された情報は、近距離無線通信によって端末11へ送信され、さらに端末11を介してサーバ40へ送信される。サーバ40では、それらの情報を受信することで、状態情報、位置情報および時間情報を取得する。あるいは、IoTデバイス14で検知された情報は、IoTデバイス14から直接サーバ40へ送信してもよい。取得した状態情報48C、位置情報48D、時間情報48Eは、ストレージ46の取得情報48に記憶される。
【0032】
第3取得手段64は、荷物20を輸送する配送責任者30の配送責任者情報および輸送体情報(例えば、車両、船舶、航空機、ドローン)を取得するものである。配送責任者情報は、配送責任者30の保有する端末から取得するようにしてもよいし、配送業者80の端末82から取得してもよい。輸送体情報は、輸送体10の端末11から輸送体情報を取得するようにしてもよいし、配送業者80の端末82から取得するようにしてもよい。取得した配送責任者情報48Fおよび輸送体情報48Gは、ストレージ46の取得情報48に記憶される。
【0033】
判定手段66は、第2取得手段62によって取得された状態情報48Cが、第1取得手段60によって取得された輸送条件48Bを満たすかどうかでインシデントを判定するものである。本実施形態では、判定はサーバ40(クラウド)で行うが、エッジ側(例えば、IoTデバイス14)に処理能力があれば、エッジで判定してもよい。画像データなどをサーバ40に送信して判定させると、通信コスト・ストレージコストが高くなるが、エッジ側のIoTデバイス14で判定させることにより、通信コスト・ストレージコストを削減することができる。
【0034】
記録手段68は、判定手段66によってインシデントと判定された場合に、取得された荷物情報48A、状態情報48C、位置情報48D、時間情報48E、配送責任者情報48Fおよび輸送体情報48Gとを関連付けて、インシデント情報として記録するものである。記録は、分散型台帳120にしてもよいし、サーバ40のストレージ46(データベース)に記録してもよいし、双方に記録してもよい。
【0035】
表示手段70は、記録手段68によって記録されたインシデント情報50を、輸送ルートに沿って表示するものである。例えば、顧客である配送業者80、荷主90、受取人100のそれぞれの端末82、92、102の表示部に、記録されたインシデント情報を、輸送されたルートに沿って表示させる。具体的には、表示させるための情報をサーバ40がネットワークを介して端末82、92、102に送信し、これらの端末82、92、102が情報を受信すると、記録されたインシデント情報が輸送されたルートに沿って、端末82、92、102の表示部に表示される。これにより、高度管理された荷物がどの輸送ルートで輸送されてきて、どこでインシデントが起きたかを、視覚的に把握することができる。
【0036】
<顧客端末の構成>・・・顧客である配送業者80、荷主90、受取人100は、それぞれ端末82、92、102を備えている。端末82、92、102は、タブレットやスマートフォンであってもよいし、他の通信可能なデバイスであってもよい。端末82、92、102は、例えば、タッチパネルのような表示部を備えている。また、図示しない入力部や通信部を備えており、サーバ40への情報の送信の際には、入力部により入力した内容が通信部およびネットワーク130を介してサーバ40へ送信される。むろん、他の情報の送受信を行ってもよい。また、表示部には、サーバ40の表示手段70によって、輸送されたルートに沿って記録されたインシデント情報が表示される。
【0037】
<輸送インシデント情報表示処理>・・・次に、本システム200による輸送インシデント情報表示処理の一例について、
図5を参照して説明する。まず、サーバ40は、第1取得手段60によって、輸送する荷物20の荷物情報(例えば、品名、個数、荷主、受取相手など)と輸送条件(例えば、温度、湿度、振動、露光量などの条件)を取得する(ステップS10)。取得した荷物情報48Aおよび輸送条件48Bは、ストレージ46の取得情報48に記憶される。なお、これらの情報は荷主90の端末92からの入力を受け付けて取得してもよいし、荷物情報などから読み取って取得してもよい。
【0038】
次に、サーバ40の第2取得手段62は、輸送過程の荷物20の状態を示す状態情報、位置情報および時間情報を取得する(ステップS12)。これらの情報の取得は、実際に輸送中の温度、湿度、振動、照度などと、位置および時刻とを、輸送体10に搭載された各種センサ12、IoTデバイス14、GPS16などから取得する。なお、センサ12やGPS16で検知された情報は、近距離無線通信を介して端末11へ送信され、さらに、端末11を介してサーバ40へ送信される。サーバ40では、それらの情報を受信することで、状態情報、位置情報および時間情報を取得する。あるいは、IoTデバイス14で検知された情報は、IoTデバイス14から直接サーバ40へ送信してもよい。取得した状態情報48C、位置情報48D、時間情報48Eは、ストレージ46の取得情報48に記憶される。
【0039】
次に、サーバ40の第3取得手段64は、荷物20を輸送する配送責任者30の配送責任者情報および輸送体10の輸送体情報を取得する(ステップS14)。配送責任者情報は、配送責任者30の保有する端末から取得するようにしてもよいし、配送業者80の端末82から取得してもよい。輸送体情報は、輸送体10の端末11から輸送体情報を取得するようにしてもよいし、配送業者80の端末82から取得するようにしてもよい。取得した配送責任者情報48Fおよび輸送体情報48Gは、ストレージ46の取得情報48に記憶される。
【0040】
次に、サーバ40の判定手段66は、取得された状態情報が、取得された輸送条件を満たすかどうかで、インシデントを判定する(ステップS16)。本実施形態では、判定はサーバ40(クラウド)で行うが、エッジ側(例えば、IoTデバイス14)に処理能力があれば、エッジで判定してもよい。画像データなどをサーバ40に送信して判定させると、通信コスト・ストレージコストが高くなるが、エッジ側のIoTデバイス14で判定させることにより、通信コスト・ストレージコストを削減することができる。
【0041】
判定手段66によってインシデントと判定された場合、サーバ40の記録手段68は、取得された荷物情報、状態情報、位置情報、時間情報、配送責任者情報、輸送体情報、および受取人情報とを関連付けて、インシデント情報50として記録する(ステップS18)。記録は、分散型台帳120にしてもよいし、サーバ40が備えるデータベースに記録してもよいし、双方に記録してもよい。なお、条件によっては例えば温度、湿度などのようにインシデント状態が直ちに解消しないものもあるが、その際もインシデントであると判定されるたびにインシデント情報50として記録する。
【0042】
そして、サーバ40の表示手段70は、記録されたインシデント情報50を、輸送されたルートに沿って表示する(ステップS20)。例えば、顧客である配送業者80、荷主90、受取人100のそれぞれの端末82、92、102の表示部に、記録されたインシデント情報を、輸送されたルートに沿って表示させる。具体的には、表示させるための情報をサーバ40がネットワークを介して端末82、92、102に送信し、これらの端末82、92、102が情報を受信すると、記録されたインシデント情報が輸送されたルートに沿って、端末82、92、102の表示部に表示される。
【0043】
図6には、受取人100の端末102の表示部に表示される輸送インシデント情報の一例が示されている。
図6に示す地
図110には、輸送体112A、112Bを示すアイコンと、それぞれの出発地114A、114Bと、運行ルート116A、116Bと、受取人100の場所が示されている。また、輸送中に生じたインシデント情報118A、118Bが輸送ルート116A、116Bに沿って表示される。
【0044】
例えば、輸送体112Aに関するインシデント情報118Aには、荷物情報50Aが「毒物xxx」、位置情報50Cが「東京都港区虎ノ門1-2-3」、時間情報50Dが「11時23分」、状態情報50Bが「温度30度(条件を5度over)」、輸送体情報50Fが「車両業(業者Aの車両No18)」、配送責任者情報(配送責任者ID)50Eが「345678」という情報が示されている。
【0045】
また、輸送体112Bに関するインシデント情報118Bには、荷物情報50Aが「移植細胞yyy」、位置情報50Cが「東京都渋谷区広尾4-5-6」、時間情報50Dが「17時05分」、状態情報50Bが「振動レベル4(条件を1over)」、輸送体情報50Fが「車両業(業者Gの車両No4)」、配送責任者情報(配送責任者ID)50Eが「987654」という情報が示されている。
【0046】
<効果>・・・以上説明した実施形態によれば、荷物情報、輸送している荷物の輸送状態、時間、位置を取得して、輸送中に、輸送状態が所定の条件を満たしたかどうかでインシデントを判定して、輸送中にインシデントが発生した場合に、配送責任者情報、輸送体情報、荷物情報、輸送している荷物の荷物状態を関連付けて、分散型台帳やデータベースに記録して、荷物の受取人に、インシデントが、いつ/どこで/どの荷物が/どの輸送状態で輸送されてきたかを、マップ上の輸送ルートに表示する。これにより、高度管理された荷物がどの輸送ルートで輸送されてきて、どこでインシデントが起きたかを、視覚的に把握することができる。
【0047】
なお、上述した実施形態は一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更が可能である。また、サーバ40は、単体のコンピュータであってもよく、例えば、端末であってもよい。また、上述した機能構成が、それぞれ異なるコンピュータで実行されるコンピュータシステム(クラウド)であってもよい。さらに、本実施形態では、多くの処理をサーバ40で実行することとしたが、エッジ側(IoTデバイス14など)で、インシデントを判定させて、判定されたインシデントを記録するようにしてもよい。エッジ側で多くの処理を行うことにより、サーバ40への通信コスト・ストレージコストを減らすことができる。また、本発明は、サーバ40やIoTデバイス14などで実行されるプログラムとして提供されてもよい。このプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録された状態で提供されていてもよいし、ネットワークを介してダウンロードしてもよい。また、本発明は、方法の発明として提供されてもよく、IoTデバイスの発明として提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、荷物情報、輸送している荷物の輸送状態、時間、位置を取得して、輸送中に、輸送状態が所定の条件を満たしたかどうかでインシデントを判定して、輸送中にインシデントが発生した場合に、配送責任者情報、輸送体情報、荷物情報、輸送している荷物の荷物状態を関連付けて、分散型台帳やデータベースに記録して、荷物の受取人に、インシデントが、いつ/どこで/どの荷物が/どの輸送状態で輸送されてきたかを、マップ上の輸送ルートに表示する。これにより、高度管理された荷物がどの輸送ルートで輸送されてきて、どこでインシデントが起きたかを、視覚的に把握することができるため、輸送インシデント情報表示システムの用途に好適である。
【符号の説明】
【0049】
10:輸送体
11:端末
12:センサ
14:IoTデバイス
16:GPS
20:荷物
30:配送責任者
40:サーバ
42:プロセッサ
44:メモリ
46:ストレージ
48:取得情報
48A:荷物情報
48B:輸送条件
48C:状態情報
48D:位置情報
48E:時間情報
48F:配送責任者情報
48G:輸送体情報
50:インシデント情報
50A:荷物情報
50B:状態情報
50C:位置情報
50D:時間情報
50E:配送責任者情報
50F:輸送体情報
52:地図情報
54:通信部
60:第1取得手段
62:第2取得手段
64:第3取得手段
66:判定手段
68:記録手段
70:表示手段
80:配送業者
82:端末
90:荷主
92:端末
100:受取人
102:端末
110:地図
112A、112B:輸送体
114A、114B:出発地
116A、116B:輸送ルート
118A、118B:インシデント情報
120:分散型台帳
130:ネットワーク
200:輸送インシデント情報表示システム