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特許7547370加熱ゾーン絶縁部を備えたエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】加熱ゾーン絶縁部を備えたエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240902BHJP
【FI】
A24F40/40
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021561796
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2020061245
(87)【国際公開番号】W WO2020221643
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】19171606.7
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【弁理士】
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】カペリ セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】エメット ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ラトルレ エヴァ サーデ
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-519915(JP,A)
【文献】国際公開第2018/190606(WO,A1)
【文献】特表2014-533513(JP,A)
【文献】中国実用新案第203554013(CN,U)
【文献】国際公開第2018/087165(WO,A1)
【文献】特表2019-502403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に円筒状のエアロゾル発生物品内に提供されたエアロゾル形成基体を加熱するためのエアロゾル発生装置であって、前記エアロゾル発生装置が、
前記エアロゾル発生物品の遠位部分を受容するための、長軸方向に延びる空洞であって、前記長軸方向に延びる空洞が、長軸方向軸を有し、基部、前記基部から延びる側壁、および前記基部に対して前記空洞の反対側の端部にある開口部によって画定される、長軸方向に延びる空洞を備え、
前記側壁の内表面が、第一の直径を有する前記空洞の安定化部分、および前記安定化部分と前記基部との間に位置する前記空洞の加熱部分を画定し、前記加熱部分が、前記第一の直径よりも大きな第二の直径を有し、
前記空洞の内壁がさらに、前記空洞の遠位端に配置された位置決め部分を画定し、前記加熱部分が、前記安定化部分と前記位置決め部分との間に配置され、前記空洞の前記位置決め部分が、前記安定化部分の前記第一の直径に実質的に等しい第三の直径を有する、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記加熱部分における前記空洞の横断断面積が、前記安定化部分における前記空洞の横断断面積よりも110%~300%大きい、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記安定化部分と前記加熱部分との間の直径の差が、エアロゾル発生物品の遠位部分が前記長軸方向に延びる空洞の中へと挿入された時に、前記エアロゾル発生物品の外表面を囲む一つ以上の絶縁エアポケットを提供する、請求項1または2のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
空気吸込み口が、前記基部を通して画定される、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記空洞の前記内壁が、前記空洞の直径が前記第二の直径と前記第三の直径との間の一定の勾配で変化する先細領域を画定する、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記安定化部分における前記第一の直径と、前記加熱部分における前記第二の直径との間の直径の差が、ギャップ直径であり、前記ギャップ直径が、0.5mm~5mmである、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記側壁の前記内表面が、前記加熱部分内に長軸方向に延び、かつ前記側壁の前記内表面から半径方向に延びる一つ以上のリブを含み、前記リブが、前記ギャップ直径に等しい半径方向寸法を有する、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
電源、制御電子機器、および加熱手段の少なくとも一部を収容する第一の本体部分と、前記第一の本体部分に対して移動可能な第二の本体部分とを備え、前記長軸方向に延びる空洞が、前記第二の本体部分内に画定される、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記第二の本体部分が、第一の位置と第二の位置との間で前記第一の本体部分に移動可能に連結され、前記第一の位置が、前記エアロゾル発生物品と係合可能な前記加熱手段によって画定される動作位置であり、前記第二の位置が、前記長軸方向に延びる空洞から少なくとも部分的に排出される前記エアロゾル発生物品によって画定される抜き取り位置である、請求項8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
発熱体が、前記空洞の前記加熱部分内に延びる、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
エアロゾル発生物品および前記エアロゾル発生物品を加熱するように構成されたエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムであって、
前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル発生物品の遠位部分を受容するための、長軸方向に延びる空洞を備え、前記長軸方向に延びる空洞が、長軸方向軸を有し、基部、前記基部から延びる側壁、および前記基部に対して前記空洞の反対側の端部にある開口部によって画定され、
前記側壁の内表面が、第一の直径を有する前記空洞の安定化部分、および前記安定化部分と前記基部との間に位置する前記空洞の加熱部分を画定し、前記加熱部分が、前記第一の直径よりも大きな第二の直径を有し、
前記空洞の内壁がさらに、前記空洞の遠位端に配置された位置決め部分を画定し、前記加熱部分が、前記安定化部分と前記位置決め部分との間に配置され、前記空洞の前記位置決め部分が、前記安定化部分の前記第一の直径に実質的に等しい第三の直径を有する、エアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記エアロゾル発生物品が、前記エアロゾル発生装置で加熱される実質的に円筒状のエアロゾル発生物品であり、前記エアロゾル発生物品が、長軸方向軸および物品直径を有し、前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向に延びる空洞の前記第一の直径が、前記物品直径に実質的に等しい、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記エアロゾル発生物品が、ラッパー内に組み立てられて長軸方向軸および物品直径を有する実質的に円筒状の物品を形成する、エアロゾル形成基体を含む複数の同軸に整列された構成要素を含み、前記エアロゾル発生物品が、近位端で終端する近位部分と、遠位端で終端する遠位部分とを有し、前記エアロゾル形成基体が、前記物品の前記遠位部分に位置する、請求項11または請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記エアロゾル発生装置が、請求項2~10のいずれかで定義される、請求項11、12、または13に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を加熱するためのエアロゾル発生装置に関する。具体的には、エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体の改善された断熱を提供するように構成される。
【背景技術】
【0002】
数多くの従来技術の文献が、例えば、加熱式エアロゾル発生システムおよび電気加熱式エアロゾル発生システムを含むエアロゾル発生装置を開示している。加熱式エアロゾル発生システムの一例は、WO2013/076098に開示されており、これは、吸入可能なエアロゾルを発生するために、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体がエアロゾル発生装置の発熱体によって貫通される実施形態を記述する。発熱体は、エアロゾル形成基体と接触して基体の温度を上昇させ、それによって基体の揮発性成分を気化させる。エアロゾル形成基体が使い果たされると、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置から取り外されて廃棄される。WO2013/076098に開示されているエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の抜き取り具部分の空洞内にぴったりと嵌合する。これにより、物品を空洞内に保持する、緊密な嵌合が提供される。エアロゾル形成基体に供給される熱は、発熱体と基体との間の直接接触により基体の温度を迅速に上昇させる。しかしながら、熱はまた、空洞の壁内への伝導によって物品から迅速に除去され、これはヒートシンクとして機能し得る。
【0003】
WO2018/050735は、エアロゾル発生物品の空洞にリブが提供されて、空洞内でのエアロゾル発生物品の改善された保持を提供する、エアロゾル発生装置の実施形態を開示する。リブは間隙を介しており、隣接するリブ間、および場合によっては不連続のリブ間に気流チャネルを画定する。リブは、ユーザーが、取り外しを容易にするために軸力をトルクと一緒に印加することによってエアロゾル発生物品を抜き取ることができるように、斜めの様態で配設されることが好ましい。ただし、エアロゾル発生物品および空洞のリブの著しい接触点がなおも存在し、また、長軸方向のリブ間の気流がエアロゾル形成基体の冷却に寄与する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書の開示は、エアロゾル形成基体を加熱するためのエアロゾル発生装置に関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品内に提供されうる。エアロゾル発生物品は、実質的に円筒状のエアロゾル発生物品であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の遠位部分を受容するための、長軸方向に延びる空洞を備えてもよい。長軸方向に延びる空洞は、長軸方向軸を有し得る。長軸方向の空洞は、基部、基部から延びる側壁、および基部に対して空洞の反対側の端部にある開口部によって画定され得る。側壁の内表面は、第一の直径を有する空洞の第一の部分を画定する。空洞の第一の部分は、安定化部分であり得る。第二の直径を有する空洞の第二の部分は、安定化部分と基部との間に位置し得る。第二の部分は、加熱部分であり得る。第二の直径は第一の直径よりも大きくてもよい。
【0005】
好ましい実施形態では、実質的に円筒状のエアロゾル発生物品内に提供されたエアロゾル形成基体を加熱するためのエアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の遠位部分を受容するための、長軸方向に延びる空洞を備える。長軸方向に延びる空洞は、長軸方向軸を有し、基部、基部から延びる側壁、および基部に対して空洞の反対側の端部にある開口部によって画定される。側壁の内表面は、第一の直径を有する空洞の安定化部分を画定する。空洞の加熱部分は、安定化部分と基部との間に位置付けられる。加熱部分は、第一の直径よりも大きい第二の直径を有する。
【0006】
安定化部分の直径は、エアロゾル発生物品の遠位部分がそれを通して挿入され得るようなものである。エアロゾル発生物品の遠位部分が安定化部分を通して挿入される時、エアロゾル発生物品の外表面と安定化部分の内表面との間に最小限の空間があることが好ましい。エアロゾル発生物品と安定化部分との間には、密接な、またはぴったりとした嵌合があることが好ましい。エアロゾル発生物品が空洞内に受容された時に、エアロゾル発生物品の外表面と安定化部分の内表面との間にギャップがないことが好ましい。エアロゾル発生物品の外表面は、物品が空洞の中へと挿入される、または空洞内に受容された時に、安定化部分の内表面と接触し得る。したがって、安定化部分の内径は、エアロゾル発生物品の外径と実質的に同じ寸法であることが好ましい。例えば、安定化部分の内径は、エアロゾル発生物品の外径と同じ直径、±10%、または±5%であってもよい。一部の実施形態では、安定化部分の内径は、エアロゾル発生物品の外径よりも0%~5%大きい、例えば、1%~4%大きい、または2%~3%大きくてもよい。寸法は、挿入時の干渉、例えば、物品と安定化部分の内径との間の接触または緩いシールを維持しながら、物品を空洞の中へと挿入し、物品を空洞から取り外すことができるような寸法であることが好ましい。寸法は、物品を損傷することなく、物品を空洞の中へと挿入し、物品を空洞から取り外すことができるような寸法であることが好ましい。寸法は、半径方向の実質的な移動を許容することなく、物品が空洞内に支持されるようなものであることが好ましい。
【0007】
エアロゾル発生物品が空洞の中へと完全に挿入されると、物品の遠位端が空洞の基部に当接することが好ましい。エアロゾル発生物品が空洞の中へと完全に挿入された時、エアロゾル発生物品の遠位端は、空洞の基部で、または空洞の基部に隣接して、随意の停止部またはエンドポイントに当接し得る。エアロゾル発生物品が空洞の中へと完全に挿入された時、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分が空洞の加熱部分内に位置することが好ましい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品が空洞の中へと完全に挿入された時に、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体が空洞の加熱部分内に受容されるように構成されることが好ましい。加熱部分の内表面の直径は、安定化部分の直径よりも大きい。したがって、エアロゾル発生物品の外表面と加熱部分の内表面との間にギャップが存在する。エアギャップは、空洞の加熱部分内に位置するエアロゾル発生物品の一部分の外表面の周りの全体または実質的に全体に存在することが好ましい。エアギャップは、エアロゾル発生物品の一部分と加熱部分の内表面との間に空気絶縁層を提供することが好ましい。
【0008】
安定化部分における空洞の横断断面は、加熱部分における空洞の横断断面と実質的に同じ形状であることが好ましい。断面形状は、円形または長円形であることが好ましい。空洞の安定化部分および空洞の加熱部分は、同軸であることが好ましい。
【0009】
一部の実施形態では、安定化部分の直径は、空洞の内壁内のステップにおいて加熱部分の直径に変化してもよい。一部の実施形態では、安定化部分の直径は、一連のステップによって加熱部分の直径に変化してもよい。一部の実施形態では、安定化部分の直径は、空洞壁の傾斜した内部部分によって加熱部分の直径に変化してもよい。
【0010】
エアロゾル発生物品は、加熱されてエアロゾルを発生し得るエアロゾル形成基体を含む。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の遠位端、またはその近くに位置することが好ましい。したがって、エアロゾル発生物品が装置の空洞の中へと完全に挿入された時、エアロゾル形成基体の少なくとも一部分は加熱部分内に位置付けられる。エアロゾル形成基体を加熱するための加熱手段は、加熱部分内に位置付けられるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の一部分を加熱するように位置付けられる。加熱手段は発熱体を含み得る。いくつかの実施形態では、発熱体は抵抗発熱体を含みうる。一部の実施形態では、抵抗発熱体は、電気的に絶縁された基体上に一つ以上の導電トラックを含み得る。
【0011】
一部の実施形態では、加熱手段は、サセプタおよびインダクタを含み得る。加熱手段は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞の中へと完全に挿入された時に、エアロゾル発生物品の遠位端を貫通してエアロゾル形成基体に接触するように配設された発熱体またはサセプタを含むことが好ましい。一部の実施形態では、サセプタは、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。一部の実施形態では、サセプタは、エアロゾル発生装置の一部として、およびエアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。
【0012】
一部の実施形態では、発熱体は、エアロゾル発生装置の一部として提供されてもよい。発熱体は、エアロゾル形成基体が加熱部分内に受容された時に、エアロゾル形成基体の一部分を少なくとも部分的に貫通するように配設され得る。発熱体は、細長い発熱体であり得る。発熱体は、先の尖った、または先細の端部を含んでもよい。有利なことに、先の尖った、または先細の端部は、発熱体によるエアロゾル形成基体の貫通を容易にする。発熱体は、ブレード形状の発熱体であってもよい。発熱体は、ピン形状の発熱体であってもよい。発熱体は、発熱体を一つだけ含んでもよい。発熱体は、加熱部分の中央長軸方向軸に沿って提供されてもよい。発熱体は複数の発熱体を備える場合がある。複数の発熱体は、同じ特性を有してもよい。複数の発熱体のうちの一つ以上は、複数の発熱体の残りの部分と比較して、一つ以上の異なる特性を有してもよい。当該特性は、例えば、サイズ、形状、寸法、動作温度であり得る。
【0013】
一部の実施形態では、発熱体は、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよく、装置の一つ以上の特徴と組み合わせて動作可能であってもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品の一部として提供されるサセプタであってもよい。発熱体は、エアロゾル形成基体の領域に提供されるサセプタであってもよい。発熱体は、様々な形状のいずれかを有するサセプタ素子であってもよい。サセプタ素子は、エアロゾル発生物品に組み込まれるロッド形状、立方体形状、直方体形状、または任意の他の形状であってもよい。サセプタ素子は、エアロゾル発生物品の中央長軸方向軸に沿って中央に提供されてもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体部分に組み込まれたサセプタ材料であってもよい。サセプタ材料は、例えば、粒子、細片、断片、粉末、シート、またはメッシュのうちのいずれかの形態で提供されてもよい。
【0014】
本明細書で使用される「サセプタ」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換することができる材料を指す。変動電磁場内に位置する時に、サセプタ中の誘導された渦電流はサセプタの加熱を生じさせる。サセプタは、エアロゾル形成基体と熱的に接触して、または少なくとも近接して位置するため、エアロゾル形成基体はサセプタによって加熱される。
【0015】
本明細書で使用するインダクタという用語は、変動電磁場内に位置するサセプタを加熱するための変動電磁場を発生し得る構成要素を指す。使用時に、エアロゾル発生物品は、インダクタによって発生された変動電磁場内にサセプタが位置するように、エアロゾル発生装置と係合し得る。
【0016】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の構成要素部分であってもよい。エアロゾル発生装置は、電源からエアロゾル形成基体にエネルギーを供給してエアロゾルを発生させるための一つ以上の構成要素を備え得る。例えば、エアロゾル発生装置は、加熱式エアロゾル発生装置としうる。エアロゾル発生装置は、電気加熱式エアロゾル発生装置、またはガス加熱式エアロゾル発生装置としうる。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生するエアロゾル発生装置であってもよい。
【0017】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。そのような揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出され得る。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品の構成要素部分として使用されてもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の加熱ゾーン内に位置するとして説明され得る。エアロゾル発生物品は、細長いエアロゾル発生物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、実質的にロッド形状であってもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の全長に沿って実質的に一定の直径を有してもよい。
【0018】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、その化合物がエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なエアロゾルを発生することができ得る。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図される加熱式エアロゾル発生物品である。エアロゾル形成基体の加熱によって形成されたエアロゾルは、エアロゾル形成基体の燃焼または熱分解によって生成されるよりも少ない公知の有害成分を含みうる。一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含み得る。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、加工たばこ、例えば、均質化したたばこまたはキャストリーフたばこから形成されてもよく、またはこれらを含んでもよい。
【0019】
本明細書で使用される「エアロゾル発生システム」という用語は、エアロゾル発生装置、および装置とともに使用されるように構成された少なくとも一つのエアロゾル発生物品を指す。
【0020】
本明細書で使用される「上流」「下流」「近位」および「遠位」という用語は、本発明によるエアロゾル発生物品、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムの要素または要素の部分の相対的位置を描写するために使用される。
【0021】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、使用時に、エアロゾルがエアロゾル発生物品を抜け出る近位端を備えるものとして記載される。近位端は口側端と呼ばれることもある。使用時に、エアロゾル発生物品によって発生したエアロゾルを吸い込むために、ユーザーはエアロゾル発生物品の近位端または口側端でエアロゾルを引き出す。一部の実施形態では、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品は、物品が空洞の中へと完全に挿入された時に、口側端の少なくとも一部分が装置の長軸方向に延びる空洞内に受容されないように構成される。すなわち、口側端の少なくとも一部分は、エアロゾル発生装置の空洞の開口部を超えて外方に延びる。このようにして、ユーザーはエアロゾル発生物品の口側端を吸い得る。一部の実施形態では、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品は、物品が空洞の中へと完全に挿入された時に、エアロゾル発生物品の全長が装置の長軸方向に延びる空洞内に受容されるように構成されている。一部の実施形態では、エアロゾル発生物品の口側端と整列可能な気流チャネルを含むマウスピース要素が提供されてもよい。このようにして、ユーザーは、代わりにマウスピースを吸煙してもよい。一部の実施形態では、マウスピース要素は、別個のマウスピース要素であってもよい。別個のマウスピースは、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品の一方または両方と係合可能であってもよい。一部の実施形態では、別個のマウスピース要素の代わりに、マウスピース要素が、エアロゾル発生装置の一部として提供されてもよい。
【0022】
エアロゾル発生物品は、近位端または口側端と向かい合った遠位端を備える。エアロゾル発生物品の近位端または口側端は下流端と呼ばれることもあり、またエアロゾル発生物品の遠位端は上流端と呼ばれることもある。エアロゾル発生物品の構成要素、または構成要素の部分は、エアロゾル発生物品の近位端または下流端と遠位端または上流端との間の相対的な位置に基づき、互いに上流または下流にあるものとして描写されうる。
【0023】
本明細書で使用される「直径」という用語は、本発明によるエアロゾル発生物品、エアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生システムの要素、または要素の一部分の最大横断寸法を指すために使用される。疑義を避けるために、本明細書で使用される「直径」という用語は、非円形横断断面のエアロゾル発生物品、エアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生システムの、要素または要素の一部分の「幅」を指し得る。
【0024】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、本発明によるエアロゾル発生物品、エアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生システムの下流または近位端とそれに向かい合った上流または遠位端との間の方向を描写するために使用され、また「横断」という用語は、長軸方向と直角をなす方向を描写するために使用される。
【0025】
疑義を避けるために、本明細書において、「発熱体」という用語は、一つ以上の発熱体を意味し得る。
【0026】
例えば、WO2013/076098に開示されるように、エアロゾル発生装置の空洞の中へと挿入されるように配設される円筒状のエアロゾル発生物品が加熱手段によって貫通される、先行技術のエアロゾル発生システムが存在する。WO2013/076098の加熱手段は、エアロゾル形成基体を貫通してエアロゾルを形成するのに十分に基体を加熱する発熱体である。しかしながら、装置の効率は、空洞の壁と空洞の中へと挿入された物品との間の接触によって影響を受ける場合がある。本明細書に開示されるエアロゾル発生装置の使用は、この先行技術と比較して多くの利点を提供する。
【0027】
エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の少なくとも一部分の中へと挿入されるように配設される発熱体は、接触しているエアロゾル形成基体のその部分に直ちに熱を送達することができる。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体を、150℃~450℃、例えば、200℃~400℃、または250℃~350℃、または300℃~350℃の温度に加熱することが好ましい。エアロゾル形成基体内の熱伝達は、エアロゾル形成基体全体の加熱をもたらすが、エアロゾルを形成するのに必要な温度に達するよう、エアロゾル形成基体の外側部分へと温度が向かうまでにはタイムラグがあり得る。本エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の外表面、少なくともエアロゾル発生物品の加熱部分とエアロゾル発生装置の物品受容空洞の内壁との間の接触を最小化する、または回避する。これは、エアロゾル発生物品と空洞の壁との間の熱伝達を防止するのに役立つ。加熱されたエアロゾル形成基体内の熱エネルギーの放出は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の外表面、少なくともエアロゾル発生物品の加熱部分と、エアロゾル発生装置の物品受容空洞の内壁との間の接触の低減の結果として最小化され得る。結果として、加熱手段からのより大きな割合の熱が、エアロゾル形成基体内に保持され、基体全体がより迅速に動作温度になり得る。加熱部分における空洞の外壁とエアロゾル発生物品との間の空気は、熱バリアとしてエアロゾル発生物品の断熱を提供し得る。
【0028】
本発明は、発熱体の動作を開始する時間と、エアロゾル形成基体が動作温度に達する時間との間のタイムラグを低減し得る。動作温度は、一つ以上の揮発性化合物がエアロゾル形成基体から放出される温度またはそれを超える温度であってもよい。有利なことに、ユーザーがエアロゾル発生システムの動作を開始する時間と、TT1Pとも呼ばれる、エアロゾル発生装置がユーザーが第一の吸煙を行うための準備が整う時間との間が低減され得る。有利なことに、本明細書に記載のエアロゾル発生装置によって提供される初期エアロゾル送達は改善され得る。したがって、最初の数回の吸煙におけるユーザー体験が改善され得る。
【0029】
さらなる利点では、エアロゾル発生物品の外表面とエアロゾル発生装置の空洞の壁との間の低減された熱伝達は、加熱時にエアロゾル発生物品から放出される熱エネルギーが少ないことを意味する。したがって、エアロゾル形成基体は、長時間、例えば吸煙の間、動作温度に留まり得る。動作温度になると、エアロゾル形成基体をその動作温度に維持するために、より低いエネルギー入力が必要となり得る。これは、物品の消費中に一貫したユーザー体験を提供するのに役立つ。これはまた、エアロゾル発生物品の消費に必要な全体的なエネルギーが少ないことを意味し得る。したがって、装置は、他の方法で必要とされるものよりも小さな電源、例えば、小さな電池で動作可能であり得る。装置は、より大きな電池を提供する必要なく、より多くの動作サイクルを実施することができ得る。
【0030】
さらなる利点では、エアロゾル発生物品と空洞の壁との間の接触点の低減または除去は、エアロゾル形成基体におけるコールドスポットの形成の防止に役立ち得る。コールドスポットは、局所化された放熱により、装置の消費中に最適な動作温度に達しないエアロゾル形成基体の領域である。コールドスポットが発生した場合、エアロゾル形成基体は使用中に完全には消費されない場合がある。したがって、エアロゾル形成基体内のコールドスポットを最小化または防止することによって、満足のいくユーザー体験に必要な基体の総量が低減され得る。
【0031】
さらなる利点では、エアロゾル発生物品からの放熱の低減は、満足のいくユーザー体験を達成するために発熱体が達する必要のある最大温度を低下させ得る。低エネルギー要件に加えて、これはまた、発熱体と接触する領域において、エアロゾル形成基体の部分を、不快な風味および臭気を引き起こす場合がある、高度に加熱する可能性を低減する。
【0032】
装置で加熱される実質的に円筒状のエアロゾル発生物品は、長軸方向軸および物品直径を有し得る。第一の直径は、実質的に円筒状のエアロゾル発生物品の遠位部分が空洞の安定化部分を通して挿入され得るように、物品直径に実質的に等しいことが好ましい。エアロゾル発生物品の横断断面形状は、空洞の安定化部分の横断断面形状と実質的に同一であることが好ましい。
【0033】
加熱部分における空洞の直径は、安定化部分における空洞の直径よりも105%~170%大きくてもよく、例えば、110%~150%大きくてもよい。好ましくは、加熱部分における空洞の直径は、安定化部分における空洞の直径よりも120%~140%大きくてもよく、例えば、125%~130%大きくてもよい。
【0034】
加熱部分における空洞の横断断面積は、安定化部分における空洞の横断断面積よりも110%~300%大きくてもよい。例えば、加熱部分における空洞の横断断面積は、安定化部分における空洞の横断断面積よりも115%~280%大きくてもよく、例えば、130%~200%大きくてもよく、好ましくは140%~160%大きくてもよい。
【0035】
好ましくは、安定化部分における第一の直径と加熱部分における第二の直径との間の直径の差は、ギャップ直径と呼ばれる。ギャップ直径は、0.5mm~5mmであることが好ましく、例えば、1mm~4mmである。言い換えれば、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品が空洞の中へと完全に挿入された時に、エアロゾル発生物品の外表面と空洞の加熱部分の内表面との間に、ギャップ直径の半分に等しい、例えば0.25mm~2.5mmのエアギャップがあるように構成される。エアギャップは、0.25mm~2.5mm、例えば、0.3mm~2mm、または0.5mm~1mmであることが好ましい。エアギャップは、エアロゾル発生物品の外表面と空洞の加熱部分の内表面との間に空気絶縁層を提供する。
【0036】
安定化部分と加熱部分との間の直径の差は、その遠位部分が長軸方向に延びる空洞の中へと完全に挿入されているエアロゾル発生物品の外表面を囲む一つ以上の絶縁エアポケットを提供することが好ましい。複数のエアポケットがある場合、エアポケット間に空気の流れがないことが好ましい。一部の実施形態では、エアポケットは、エアロゾル発生物品が空洞内に受容された時に、エアロゾル発生の周りに延びる、環状であることが好ましい。二つ以上の半環状のエアポケットが画定され得る。複数のエアポケットが画定される場合、一部の実施形態では、エアポケットは、長軸方向リブまたは環状リブなどのリブによって分離される。エアポケットまたは複数のエアポケット内の空気の流れは、エアロゾル発生物品からの放熱に寄与し得る。したがって、そうでなければ、物品が空洞の中へと挿入された時に空気がエアロゾル発生物品と加熱部分の内壁との間のギャップによって画定されるエアポケットまたはポケットへと空気が流入する、またはエアポケットまたはポケットから流出することを可能にし得る、装置内の加熱部分内に画定される空気吸込み口または空気出口がないことが非常に好ましい。特に、加熱部分内に延びる空洞の側壁を通して画定される空気吸込み口または空気出口がないようにすることが好ましい。
【0037】
空気吸込み口が空洞の基部を通して画定されることが有利であり得る。こうした入口は、エアロゾル発生物品の遠位端内に、物品の長さに沿って、そして、エアロゾル発生物品の近位端または口側端を通してユーザーの口の中へと空気が引き込まれることを可能にする空気源を提供し得る。空洞の基部を通るこうした空気吸込み口は、基部の中心点に、またはこの中心点の小さな半径内に、単一の穴によって提供されてもよい。こうした入口は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞の中へと挿入された時に、空気吸込み口がエアロゾル発生物品の端面と整列するように位置付けられてもよい。すなわち、空気吸込み口は、ギャップ直径の領域内に位置付けられない。
【0038】
好ましい実施形態では、空洞の内壁はさらに、空洞の遠位端に配置された位置決め部分を画定してもよい。加熱部分は、安定化部分と位置決め部分との間に配置されてもよい。空洞の位置決め部分は、安定化部分の第一の直径に実質的に等しい第三の直径を有してもよい。位置決め部分は、安定化部分と同軸に整列することが好ましい。このようにして、円筒状の物品は、安定化部分を通過して、物品の遠位端が位置決め部分内に止まることができ得る。それによって、物品の遠位端が半径方向に制約され得る。物品が空洞の中へと完全に挿入される際、物品は、安定化部分の内壁と位置決め部分の内壁の両方の内壁との接触によって保持されることが好ましい。位置決め部分およびエアロゾル発生物品の寸法は、空洞の中への挿入時の干渉、例えば、物品と位置決め部分の内径との間の接触または緩いシールを維持しながら、物品を空洞の中へと挿入し、物品を空洞から取り外すことができるような寸法であることが好ましい。有利なことに、このような構成では、一つ以上の閉鎖エアポケットが、エアロゾル発生物品の外表面と空洞の内表面との間のギャップによって画定され得る。したがって、エアロゾル発生物品が空洞の中へと完全に挿入された時、円周方向または環状のエアポケットの外側境界は、(1)エアロゾル発生物品の外表面、(2)空洞の加熱部分の内表面、(3)加熱部分の内表面と安定化部分の内表面との間に延びる、半径方向に延びるステップまたは傾斜、および(4)加熱部分の内表面と位置決め部分の内表面との間に延びる、半径方向に延びるステップまたは傾斜、によって形成され得る。
【0039】
一部の実施形態では、加熱部分の直径は、空洞の内壁内のステップにおいて、位置決め部分の直径に変化してもよい。別の方法として、一部の実施形態では、加熱部分の直径は、一連のステップによって位置決め部分の直径に変化してもよい。一部の実施形態では、加熱部分の直径は、空洞壁の傾斜した内部部分によって、位置決め部分の直径に変化してもよい。一部の実施形態では、空洞の内壁は、空洞の直径が第二の直径と第三の直径との間で変化する先細の領域を画定し得る。有利なことに、先細は、エアロゾル発生物品が空洞の中へと挿入される時に、エアロゾル発生物品の整列を支援し得る。先細領域は、エアロゾル発生物品の遠位端を空洞の位置決め部分内に案内するための漏斗として機能し得る。
【0040】
物品と加熱部分の空洞壁との間には最小の接触があることが好ましい。例えば、空洞の中へと挿入された物品の周りに画定される円周方向のエアギャップがあることが好ましい場合がある。しかしながら、一つ以上のリブを含むことが望ましい場合がある。一つ以上のリブは、空洞の中へと挿入されたエアロゾル発生物品を案内および安定化するのに役立ち得る。一部の実施形態では、一つのみのリブが提供される。一部の実施形態では、複数のリブが提供される。一部の実施形態では、3つのリブが提供される。一部の実施形態では、6つのリブが提供される。複数のリブが提供される場合、リブは、空洞の周囲の周りに実質的に均等に離隔を介していることが好ましい。一つ以上のリブは、長軸方向に延びるリブであってもよい。こうしたリブは、空洞の加熱部分の内壁から空洞の中へと半径方向に延び得る。こうしたリブは、エアギャップに実質的に等しい距離だけ半径方向に延びることが好ましい。空洞の内部側壁は、加熱部分内に長軸方向に延びる一つ以上のリブを画定し得る。リブは、ギャップ直径の半分に等しい半径方向寸法を有してもよい。複数の個々の部分的に環状のエアポケットは、こうしたリブによって形成され得る。例えば、二つの長軸方向に延びるリブは、物品が空洞の中へと挿入された時に、空洞の加熱部分を分割して、二つの半環状エアポケットを画定することを可能にし得る。一部の実施形態では、リブは環状であってもよい。一部の実施形態では、リブは、長軸方向リブと環状リブの組み合わせであってもよい。長軸方向リブと環状リブの組み合わせは、複数の空気空洞を画定し得る。
【0041】
一部の実施形態では、エアロゾル発生装置は、第一の本体部分と、第一の本体部分に対して移動可能な第二の本体部分とを備え得る。第一の本体部分は、電源、制御電子機器、およびエアロゾル発生装置の加熱手段の少なくとも一部を収容し得る。長軸方向に延びる空洞は、第二の本体部分内に画定され得る。第二の本体部分は、抜き取り具として機能することができる場合がある。一部の実施形態では、抜き取り具は、エアロゾル形成基体の発熱体からの少なくとも部分的な分離を促進し得る。一部の実施形態では、抜き取り具は、エアロゾル形成基体の発熱体からの完全な分離を促進し得る。一部の実施形態では、抜き取り具は、エアロゾル形成基体が発熱体に付着しないことを促進し得る。一部の実施形態では、抜き取り具は、物品が消費された後のエアロゾル発生物品の取り外しを容易にし得る。例えば、エアロゾル発生装置は、第一の本体部分またはその一部に取り付けられ、組み込まれた加熱手段を備えてもよい。第一の本体部分に対する第二の本体部分の移動は、エアロゾル発生装置の第二の本体部分の空洞内に受容されたエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱手段から分離するように作用し得る。第一の本体部分と第二の本体部分は、互いに取り外し可能に連結可能であってもよい。したがって、第二の本体部分は、例えば、クリーニングを容易にするために、第一の本体部分から容易に取り外され得る。
【0042】
一部の実施形態では、第二の本体部分は、第一の位置と第二の位置との間で移動可能であってもよい。第一の位置は、発熱体またはインダクタなどの加熱手段によって画定され、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と係合可能である動作位置であり得る。第一の位置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中へと挿入されてエアロゾル形成基体と接触している発熱体によって画定される動作位置であり得る。第一の位置は、インダクタによって発生される交番磁界内に配置されるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体によって画定される動作位置であり得る。第二の位置は、加熱手段から少なくとも部分的に係合解除または分離されるエアロゾル形成基体によって画定される抜き取り位置であり得る。少なくとも部分的に分離されていることは、加熱手段とエアロゾル形成基体との間の結合または境界面が破壊されている限りで、物理的に分離された、または単に分離されていることを含み得る。例えば、加熱中および加熱後に、エアロゾル形成基体は、加熱手段に付着し得る。第二の位置である抜き取り位置は、エアロゾル形成基体が加熱手段に付着しない位置であってもよい。第二の位置である抜き取り位置は、エアロゾル形成基体が、インダクタによって発生される交番磁界から移動する位置であり得る。有利なことに、こうした抜き取り具は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生装置からの取り外しを容易にするのに役立つ。したがって、抜き取り具は、エアロゾル発生装置に移動可能に連結されてもよく、エアロゾル形成基体がエアロゾル発生装置の発熱体と接触している第一の位置と、エアロゾル形成基体が発熱体から少なくとも部分的に分離されている第二の位置との間で移動可能であり得る。抜き取り具は、第一の位置にある時に、エアロゾル発生装置に連結されたままであることが好ましい。抜き取り具は、第二の位置においてエアロゾル発生装置に連結されたままであることが好ましい。一部の実施形態では、抜き取り具は、第一の位置と第二の位置との間の任意の中間地点においてエアロゾル発生装置に連結されたままである。抜き取り具は、エアロゾル発生装置に取り外し可能に連結可能であってもよい。
【0043】
抜き取り具は、摺動レセプタクルを含み得る。摺動レセプタクルは、エアロゾル発生物品を受容するための空洞を画定し得る。摺動レセプタクルは、第一の位置と第二の位置との間で摺動可能であることが好ましい。一部の実施形態では、摺動レセプタクルを含む抜き取り具全体が、摺動レセプタクルを第一の位置と第二の位置との間で並進移動させるように移動してもよい。別の方法として、抜き取り具の摺動レセプタクルは、第一の位置と第二の位置の間で摺動可能であってもよい。
【0044】
好ましい実施形態では、発熱体は、エアロゾル発生装置の空洞の加熱部分の中へと延びてもよい。発熱体は、エアロゾル形成物品のエアロゾル形成基体の中へと挿入するために実質的にブレード形状であってもよい。発熱体は、10mm~60mmの長さを有し得る。発熱体は、2mm~10mmの幅を有し得る。発熱体は、0.2mm~1mmの厚さを有し得る。長さは、15mm~50mmが好ましく、例えば、18mm~30mmとしうる。長さは、約19mmまたは約20mmが好ましい。幅は3mm~7mmが好ましく、例えば、4mm~6mmとしうる。幅は、約5mmが好ましい。厚さは、0.25mm~0.5mmが好ましい。厚さは、約0.4mmが好ましい。発熱体は、電気的に絶縁された基体と、電気抵抗性のある発熱体とを含み得る。一部の実施形態では、電気抵抗性のある発熱体は、一つ以上のトラックを含み得る。一部の実施形態では、電気抵抗性のある発熱体は、電気的に絶縁された基体の上に提供される、または電気抵抗性のある基体の中に包埋される。電気抵抗性のある発熱体は、電気的に絶縁された基体によって支持されてもよい。代替的にまたは追加的に、発熱体は、空洞の加熱部分を囲んでもよい。
【0045】
本発明は、エアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するように構成されたエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムを提供し得る。エアロゾル発生装置は、本明細書に記載する任意の装置であってもよい。
【0046】
エアロゾル発生物品は、こうした装置を使用する消費に適した任意の物品であり得る。例えば、エアロゾル発生物品は、本明細書に記載される任意の物品であってもよい。例えば、一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、複数の同軸に整列した構成要素を備えてもよい。同軸に整列された複数は、ラッパー内に組み立てられて実質的に円筒状の物品を形成する、エアロゾル形成基体を含み得る。エアロゾル発生物品は、長軸方向軸および物品直径を有し得る。エアロゾル発生物品は、近位端で終端する近位部分と、遠位端で終端する遠位部分とを有し得る。エアロゾル形成基体は、物品の遠位部分またはその近くに位置することが好ましい。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、円筒状のたばこプラグなどのたばこプラグであってもよい。
【0047】
エアロゾル発生物品は、およそ30mm~およそ100mm、好ましくは40mm~60mm、または42mm~52mm、例えば約45mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5mm~およそ12mm、例えば、6mm~9mm、または7mm~8mmの外径を有してもよい。
【0048】
エアロゾル発生物品は、フィルター要素を含んでもよい。フィルター要素は、フィルタープラグを含んでもよい。フィルター要素は、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルター要素は、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一部の実施形態では、フィルター要素は、およそ7mmの長さである。フィルター要素は、およそ5mm~およそ10mmの長さを有してもよい。
【0049】
一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、およそ45mmの全長を有する。エアロゾル発生物品は、およそ7mm、例えば、6.8mm~7.2mmの外径を有し得る。エアロゾル形成基体は、およそ8mm~およそ14mm、例えば10mm、または11mm、または12mmの長さを有し得る。
【0050】
エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。エアロゾル発生物品は外側紙ラッパーを備えてもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグとの間に分離部を備えてもよい。分離部は、およそ5mm~およそ25mmの範囲内であってもよい。分離部はおよそ18mmであることが好ましい。分離部は、一つ以上のスペーサー構成要素を含んでもよい。
【0051】
一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体である。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体である。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、ゲルエアロゾル形成基体である。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、固体成分と液体成分の両方を含む。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、固体成分とゲル成分の両方を含む。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、液体成分とゲル成分の両方を含む。
【0052】
エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体であることが好ましい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。揮発性化合物は、揮発性たばこ風味化合物を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、高密度で安定したエアロゾルの形成を容易にするエアロゾル形成体を含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、たばこ材料、および追加的に非たばこ材料を含み得る。
【0053】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、一部の実施形態では、固体エアロゾル形成基体は、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうちの一つ以上を含み得る。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこ、キャストリーフたばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含む。一部の実施形態では、固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態であってもよい。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、適切な容器またはカートリッジで提供されてもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される、揮発性風味剤などの追加的なたばこまたは非たばこ揮発性化合物を含み得る。固体エアロゾル形成基体は、例えば、追加的なたばこまたは非たばこ揮発性化合物を含むカプセルを含み得る。一部の実施形態では、こうしたカプセルは、固体エアロゾル形成基体の加熱中に融解し得る。一部の実施形態では、こうしたカプセルは、壊れやすい膜を含んでもよい。壊れやすい膜は、例えば、使用前または使用中に、揮発性化合物を放出するよう、ユーザーによって粉砕され得る。
【0054】
本明細書で使用される「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を指す。均質化したたばこは、シートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5%超のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5~30重量%のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料のシートは、たばこ葉の葉身およびたばこ葉の茎のうちの一方または両方を粉砕することによって、または別の方法で組み合わせることによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料のシートは、例えばたばこの処理、取り扱い、および発送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料のシートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよいが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料のシートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶剤、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0055】
特に好ましい一実施形態において、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時、実質的に平行な隆起または波形は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、またはこれと平行に延びることが好ましい。これは有利なことに、均質化したたばこ材料の捲縮したシートを集合してエアロゾル形成基体を形成するのを容易にする。しかし、当然のことながら、エアロゾル発生物品に含めるための均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して鋭角または鈍角で配置されている複数の実質的に平行な隆起または波形を有してもよい。ある特定の実施形態において、エアロゾル形成基体は、実質的にその表面全体にわたって実質的に均等にきめのある均質化したたばこ材料のシートの集合体を含んでもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、シートの幅にわたって実質的に均等に離隔している複数の実質的に平行な隆起または波形を含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含んでもよい。
【0056】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートの形態を取ってもよい。別の方法として、担体は、その内表面上、またはその外表面上、またはその内表面と外表面の両方の上に堆積された固体基体の薄い層を有する、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、もしくは穿孔された金属箔、または任意の他の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0057】
固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体の上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するためのパターンで堆積されてもよい。
【0058】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置と、装置で使用する一つ以上のエアロゾル発生物品との組み合わせである。ところが、エアロゾル発生システムは、例えば、電気的に動作するまたは電気式エアロゾル発生装置内の搭載型電力供給源を再充電するための充電ユニットなど追加的な構成要素を含みうる。
【0059】
本発明の具体的な実施形態について、ここで図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生装置での使用に適したエアロゾル発生物品の概略図である。
図2図2は、本発明の一態様によるエアロゾル発生装置の空洞の概略図であり、当該空洞は、適切なエアロゾル発生物品を受容するための物品受容空洞を画定している。
図3図3は、図2の物品受容空洞の中へと挿入された時の、図1のエアロゾル発生物品を示す概略図である。
図4図4は、空洞の加熱部分内に位置付けられたエアロゾル発生物品を示す、図3の概略横断断面である。
図5図5は、本発明によるエアロゾル発生装置の本体部分に連結された図2の空洞を含む抜き取り具を示す概略図である。
図6図6は、図5のエアロゾル発生装置の空洞の中へと完全に挿入された時の、図1のエアロゾル発生物品を示す概略図である。
図7図7は、本発明の態様によらない対照のエアロゾル発生装置の空洞の概略図であり、当該空洞は、適切なエアロゾル発生物品を受容するための物品受容空洞を画定している。
図8図8は、図7のエアロゾル発生装置の空洞の中へと完全に挿入された時の、図1のエアロゾル発生物品を示す概略図である。
図9図9は、本発明によるエアロゾル発生装置と対照の装置との間で、吸煙当たりのニコチン送達を比較するグラフである。
図10図10は、本発明によるエアロゾル発生装置と対照の装置との間で、吸煙当たりのグリセロール送達を比較するグラフである。
図11図11は、本発明の態様によるエアロゾル発生装置の空洞のさらなる実施形態の概略図であり、当該空洞は、加熱部分に沿って長軸方向に延びるリブを含む。
図12図12は、二つのリブを示す空洞の加熱部分の概略横断断面図である。
図13図13は、三つのリブを示す空洞の加熱部分の概略横断断面図である。
図14図14は、六つのリブを示す空洞の加熱部分の概略横断断面図である。
図15図15は、その六つのリブの一部を示す、抜き取り具の概略長軸方向断面図である。
図16図16は、本発明の一態様によるエアロゾル発生装置のさらなる実施形態の概略図であり、当該エアロゾル発生装置は、インダクタと、サセプタを備える装置での使用に適したエアロゾル発生物品とを備える。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生装置での使用に適したエアロゾル発生物品10を示す。エアロゾル発生物品10は、同軸に整列して配設された四つの要素、すなわちエアロゾル形成基体20、支持要素30、移動セクション40、およびマウスピース50を備える。これらの四つの要素は連続的に配置され、また外側ラッパー60によって囲まれて、エアロゾル発生物品10を形成する。エアロゾル発生物品10は口側端70を有し、ユーザーは使用中にこの口側端を自分の口の中に挿入し、遠位端80は口側端70に対してエアロゾル発生物品10の反対側の端部に位置する。
【0062】
使用時に、空気は、ユーザーによってエアロゾル発生物品を通して遠位端80から口側端70に吸い込まれる。したがって、エアロゾル発生物品の遠位端80はまた、エアロゾル発生物品10の上流端として記述されてもよく、エアロゾル発生物品10の口側端70はまた、エアロゾル発生物品10の下流端として記述されてもよい。口側端70と遠位端80の間に位置するエアロゾル発生物品10の要素を、口側端70の上流にあると記述することができ、または別の方法として、遠位端80の下流にあると記述することができる。
【0063】
エアロゾル形成基体20は、エアロゾル発生物品10の最遠の遠位端または上流端に位置する。図1に図示した実施形態において、エアロゾル形成基体20は、ラッパーによって囲まれた、捲縮した均質化したたばこ材料シートの集合体を含む。均質化したたばこ材料の捲縮したシートはエアロゾル形成体としてグリセリンを含む。
【0064】
支持要素30はエアロゾル形成基体20のすぐ下流に位置し、エアロゾル形成基体20に隣接する。
【0065】
図1に示す実施形態において、支持要素は中空のセルロースアセテートチューブである。支持要素30は、エアロゾル発生装置の発熱体によって接触されることができるように、エアロゾル発生物品10の最遠の遠位端80にエアロゾル形成基体20を位置させる。支持要素30は、エアロゾル発生装置の内部発熱体がエアロゾル形成基体20の中へと挿入された時に、エアロゾル形成基体20が移動要素40の方へエアロゾル発生物品10内に下流へと押し込まれるのを防ぐように作用する。支持要素30はまた、エアロゾル発生物品の移動要素40がエアロゾル形成基体20から間隙を介するためのスペーサーとして作用する。
【0066】
移動要素40は支持要素30のすぐ下流に位置し、支持要素30に当接する。使用において、エアロゾル形成基体20から放出される揮発性物質は、エアロゾル発生物品10の口側端70に向かって、移動セクション40に沿って通過する。揮発性物質は、移動セクション40内で冷えて、ユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成してもよい。図1に示す実施形態では、移動要素40はエアロゾル冷却要素である。エアロゾル冷却要素は、ラッパー90によって囲まれたポリ乳酸の捲縮したシートの集合体を含む。ポリ乳酸の捲縮したシートの集合体は、エアロゾル冷却要素40の長さに沿って延びる複数の長軸方向チャネルを画定する。
【0067】
マウスピース50は、移動セクション40のすぐ下流に位置し、かつ移動セクション40に当接する。図1に図示した実施形態において、マウスピース50は低濾過効率の従来のセルロースアセテートトウフィルターを備える。
【0068】
エアロゾル発生物品10を組み立てるために、上述の四つの要素は外側ラッパー60内で整列され、かつしっかりと巻かれる。図1に図示した実施形態において、外側ラッパーは、従来の紙巻たばこ用紙である。
【0069】
図1に図示したエアロゾル発生物品は、ユーザーによって消費されるために内部発熱体を含むエアロゾル発生装置と係合するように設計されている。使用時に、エアロゾル発生装置の内部発熱体は、エアロゾル発生物品10のエアロゾル形成基体20を、エアロゾルを形成するのに十分な温度まで加熱する。エアロゾルはエアロゾル発生物品10を通して下流に引き出され、ユーザーによって吸い込まれる。図1に図示したエアロゾル発生物品は、実質的に円筒状であり、約7mmの直径および約45mmの全長を有する。
【0070】
図2は、長軸方向に延びる空洞110を示す。図2に示す実施形態では、空洞110は、本発明の態様によるエアロゾル発生装置の抜き取り具100内に提供される。抜き取り具100は、エアロゾル発生装置を形成するために、主要装置部分に取り外し可能なように連結可能な構成要素である。抜き取り具100の長軸方向に延びる空洞110は、例えば、図1に関連して記載されるエアロゾル発生物品10などのエアロゾル発生物品の遠位端および遠位部分を受容するように配設される。
【0071】
抜き取り具100は、基部102および基部102から延びる側壁103を有する。長軸方向に延びる空洞110は、基部102および側壁103の内表面によって画定され、基部102に対して空洞110の反対側の端部に開口部111を有する。空洞は、横断断面で円形であり、三つの別個の長軸方向に分離された部分を有し、空洞の直径は隣接する部分間で変化する。
【0072】
空洞110の第一の部分、または安定化部分120は、第一の直径を有する。この直径は、エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品の外径と厳密に一致するように寸法設定される。したがって、図1のエアロゾル発生物品が装置で使用される場合、第一の直径は、エアロゾル発生物品の外径とほぼ同じであってもよく、またはエアロゾル発生物品の外径よりもわずかに大きい直径である。したがって、特定の実施形態では、第一の直径は約7.2mmであり得る。
【0073】
第二の部分、または加熱部分130は、第二の直径を有する。この第二の直径は、第一の直径よりも大きく、空洞内に受容されたエアロゾル発生物品の外表面と加熱部分130における空洞の内表面131との間の接触を最小化または防止するのに役立つ。例えば、第一の直径がおよそ7.2mmである場合、第二の直径は、およそ8.8mm~およそ9.2mmであり得る。これは、空洞の中へと完全に挿入された物品の外表面と、空洞の加熱部分130における空洞壁の内表面131との間に、およそ1mmのエアギャップを提供し得る。第二の部分は、長軸方向に約12mm延びる。
【0074】
空洞の内表面の第一のフレア状または傾斜部分135は、安定化部分120と加熱部分130との間の移行部を提供する。
【0075】
第三の部分、または位置決め部分140は、第三の直径を有する。第三の直径は、第一の直径と実質的に同じである、または同一であることが好ましい。したがって、本実施例では、第三の直径は7.2mmであり得る。空洞の内表面の第二のフレア状または傾斜部分145は、加熱部分120と位置決め部分130との間の移行部を提供する。この第二の傾斜部分は、空洞の直径が第二の直径から第三の直径まで減少する領域である。傾斜は、エアロゾル発生物品の遠位端を位置決め部分140内に案内するように作用し得る。
【0076】
穴またはスロット150は、基部102の半径方向中央部分を通って画定される。この穴150は、抜き取り具100が装置の主要部分に連結されると、エアロゾル発生装置の主要部分に取り付けられた発熱体を空洞110の中へと挿入することを可能にする。また、穴150は、空洞110への空気の流入も可能にする。
【0077】
抜き取り具の壁の外表面は、エアロゾル発生装置の主要部分との連結を支援するよう設計された特徴を備え得る。こうした特徴は、例えば、溝、スロット、隆起、およびスナップを含み得る。抜き取り具は、エアロゾル発生装置の主要部分と摺動係合を有するように設計される。抜き取り具の一部分は、エアロゾル発生装置の主要部分上の対応するシース内に摺動してもよい。
【0078】
抜き取り具100は、射出成形ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から形成される。しかしながら、抜き取り具100は、任意の適切な材料、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの他の高分子材料から形成されてもよい。
【0079】
図3は、図2に関連して説明した抜き取り具100の空洞110の中へと完全に挿入された時の、図1に関連して説明したエアロゾル発生物品10を示す。エアロゾル発生物品の遠位端は、開口部111を通して挿入され、位置決め部分140内で止まるように、安定化部分120および加熱部分130を通して押し出されている。物品10の遠位端80は、基部102の内表面に対して置かれる。物品10の外径は、安定化部分120における空洞の第一の直径および位置決め部分140における空洞の第三の直径と実質的に同じであるため、これらの地点では物品と空洞壁との間に密接な接触がある。しかしながら、加熱部分130における空洞の直径は、安定化部分および位置決め部分よりも大きい。エアロゾル発生物品10は実質的に円筒状であるため、エアロゾル発生物品の外表面61と加熱部分における空洞の内表面との間に形成されるエアギャップ160がある。このギャップの幅は、安定化部分(およびエアロゾル発生物品)の第一の直径を加熱部分の第二の直径から減算し、2で割ることによって決定され得る。加熱部分の長軸方向寸法は、物品のエアロゾル形成基体の長軸方向寸法と類似している。物品のエアロゾル形成基体は、物品が抜き取り具の空洞の中へと完全に挿入された時に実質的に加熱部分内にある。
【0080】
空洞の側壁を通して画定される入口はない。したがって、物品が空洞内に位置する時、エアギャップ160は環状のエアポケットを形成する。このエアポケットは、エアロゾル発生装置の使用中にエアロゾル形成基体を絶縁するのに役立つ。
【0081】
エアロゾル発生物品を断熱する能力は、空気と、例えば、PEEKなどの空洞の側壁を形成する材料との間の熱伝導率の差の結果である。好ましい動作温度(例えば、300~600ケルビン)では、空気の熱伝導率は、0.0262ワット/メートルケルビン(W.m-1.K-1)~0.0457W.m-1.K-1である。対照的に、300ケルビンでのPEEKの熱伝導率は、約0.25W.m-1.K-1である。したがって、空気は、PEEKよりも約1/10の導電性である。好ましいように、エアギャップ内の空気の通過流が防止される場合、エアギャップ160は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体からの放熱を防止するのに役立つよう機能し得る。
【0082】
図4は、エアロゾル発生物品が挿入された、抜き取り具の加熱部分の横断断面を示す。側壁103は、横断断面で円形であることが分かる。空洞110は、側壁103の内表面131によって画定される。エアロゾル発生物品10は、加熱部分を通って延びる。断面では、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体20は、空洞の中央部分を充填する。エアギャップ160は、エアロゾル発生物品の周りに完全に延びる環状ギャップであることが分かる。エアギャップは、物品が挿入された時にエアポケットを形成する。
【0083】
抜き取り具100は、エアロゾル発生装置500の構成要素部分である。抜き取り具は、エアロゾル発生装置を形成するために、主要部分と取り外し可能に連結可能である。したがって、第一の本体部分501と称され得る主要部分は、電源、制御電子機器、および発熱体を含む。第二の本体部分100と称され得る抜き取り具は、物品受容空洞110を含む。
【0084】
図5に見られるように、特定の実施形態では、主要部分/第二の本体部分501は、抜き取り具/第二の本体部分100と連結するためのシース510と、抜き取り具100の空洞110の中への挿入のための発熱体520とを含む。抜き取り具100および主要部分501は、相対的な長軸方向移動によって一緒に連結される。発熱体520は、基部102を通って画定される開口部150を通って空洞110内に延びる。したがって、開口部150はまた、発熱体520に対する抜き取り具の移動を許容する。
【0085】
図6は、エアロゾル発生装置500に動作可能に連結されたエアロゾル発生物品10を示す。発熱体520は、エアロゾル発生物品10の遠位端を貫通し、エアロゾル形成基体20と接触する。
【0086】
使用時に、発熱体の動作が開始され、エアロゾル発生形成基体の温度を、例えば、300℃~350℃の動作温度まで上昇させる。これにより、エアロゾル形成基体内の物質の揮発が生じる。ユーザーがエアロゾル発生物品10の近位端を吸入すると、これらの揮発性成分から形成されるエアロゾルが吸入され得る。エアギャップ160の存在は、エアロゾル発生物品の外壁を通した熱の損失を最小化するのに役立つ。エアロゾル形成基体として均質化したたばこを含むエアロゾル発生物品に対する試験では、エアギャップがない対照の装置と比較して、ニコチンおよび他のエアロゾル形成体の送達が初期吸煙で大きかった。
【0087】
(a)図2~6およびに関連して説明した抜き取り具を有する装置で加熱される場合、および(b)エアギャップのない抜き取り具を有する対照の装置で加熱される場合の、図1に関連して説明したエアロゾル発生物品からのエアロゾル送達を比較するために実験を実行した。
【0088】
図7および図8は、対照の抜き取り具700およびその抜き取り具を備える対照の装置800を示すために提供されている。図7および図8は、比較のためにのみ提供されており、本発明の実施形態を例示しないことに留意されたい。
【0089】
対照の抜き取り具700は、対照の抜き取り具700の空洞710が、別個の安定化部分、加熱部分、および位置決め部分を画定しないという点で、図2の抜き取り具100とは異なる。むしろ、空洞710は、空洞開口部711と空洞基部702との間に均一に延びる内壁760によって画定される。空洞710の直径は、約7.2mmで空洞の長さに沿って実質的に均一である。すなわち、対照の抜き取り具の空洞全体の直径は、図2の抜き取り具の安定化部分の直径とほぼ同じである。他の点では、対照の抜き取り具と図2の抜き取り具は同じである。
【0090】
図8は、対照の装置800の抜き取り具700に動作可能に連結されたエアロゾル発生物品を示す。エアロゾル発生物品は、抜き取り具700の空洞710にぴったりと嵌合し、それによって、エアロゾル発生物品の外表面と空洞710の内表面760との間に著しい接触を提供する。
【0091】
同一のエアロゾル発生物品を、同一の条件下で試験した。唯一の違いは、物品の一つのセットは、図2~6に関連して説明した抜き取り具および装置を使用して試験され、対照の物品のセットは、図7および8に関連して説明した対照の抜き取り具および対照の装置を使用して試験されたことである。フーリエ変換赤外(FTIR)分光法を、これらの実験によって発生されたエアロゾルに対して実施した。
【0092】
図9は、エアロゾル発生物品での吸煙数(x軸)に対するニコチン送達(y軸上、ミリグラムで測定)をプロットしたグラフである。物品の一部分を囲むエアギャップを含む、図2~6の抜き取り具を使用して生成された結果を、実線(a)で示す。物品の一部分を囲むエアギャップを含まない、図7および8の対照の抜き取り具を使用して生成された結果を、点線(b)で示す。ニコチン送達は最初の2回の吸煙についてほぼ同じであることが分かるが、その後、ニコチン送達は、対照の抜き取り具と比較して図2の抜き取り具を使用して著しく改善されている。エアギャップ160は、絶縁効果を提供し、物品のエアロゾル形成基体からの放熱を減少させ、それによってニコチン送達を改善すると推測され得る。
【0093】
図10は、エアロゾル発生物品での吸煙数(x軸)に対するグリセロール送達(y軸上、ミリグラムで測定)をプロットしたグラフである。物品の一部分を囲むエアギャップを含む、図2~6の抜き取り具を使用して生成された結果を、実線(a)で示す。物品の一部分を囲むエアギャップを含まない、図7および8の対照の抜き取り具を使用して生成された結果を、点線(b)で示す。グリセロール送達は、最初の2回または3回の吸煙についてほぼ同じであることが分かるが、その後、グリセロール送達は、対照の抜き取り具と比較して図2の抜き取り具を使用して著しく改善されている。この結果は、図9にプロットされたニコチン送達結果を反映している。
【0094】
抜き取り具100は、エアロゾル発生物品と空洞の加熱部分との間の完全環状のエアギャップを提供するように構成されることが好ましいが、一つ以上のリブが必要とされる状況があり得る。こうしたリブは、長軸方向に延びる空洞110内のエアロゾル発生物品を安定化させるのに役立ち得る。こうしたリブは、抜き取り具に強化効果を提供し得る。こうしたリブは、空洞の中へと挿入された時に、エアロゾル発生物品の遠位端を位置決め部分に向かって案内するのに役立ち得る。こうしたリブは、発熱体がエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中へと挿入される場合に、エアロゾル発生物品の半径方向の変形を防止するのに役立ち得る。
【0095】
例えば、ここで図11を参照すると、抜き取り具100は、一つ以上のリブ790を含み得る。一つ以上のリブは、加熱部分130に沿って延びることが好ましい。加熱部分130に沿って延びる一つ以上のリブは、安定化部分120と加熱部分130との間の移行部735の開始端または下流端736から、端部に沿って、または加熱部分130から位置決め部分140への移行部745の上流端746まで延びることが好ましい。こうしたリブ790は、エアロゾル発生物品の通過が防止されないように、安定化部分の壁よりもさらに空洞内に突出するべきではない。加熱部分130の全長に沿って延びる連続的なリブが図示されているが、当然のことながら、接触が最小限であり、なおもチャンバー内でエアロゾル発生物品10を安定化するよう機能する、他の設計が使用され得る。任意のリブが、比較的小さな幅寸法、例えば、エアロゾル形成物品と接触し得る寸法の、0.5mm~1.5mmの幅を有することが好ましい。
【0096】
図12は、安定化部分と位置決め部分との間に、加熱部分に沿って延びる二つの長軸方向に延びるリブ890を有する、抜き取り具800の横断断面図を示す。断面図は、加熱部分を通したものである。エアロゾル発生物品10が空洞の中へと挿入される時、リブ890は、第一のエアポケット860Aおよび第二のエアポケット860Bを画定するのに役立つ。物品10とリブ890との間の接触は非常に少なく、これらの接触点ではわずかな熱のみが損失される。エアロゾル形成基体の絶縁部は、二つの半環状エアポケット890A、890Bによって提供される。
【0097】
図13は、安定化部分と位置決め部分との間の加熱部分に沿って延びる三つの長軸方向に延びるリブ990を有する、抜き取り具900の横断断面図を示す。断面図は、加熱部分を通したものである。エアロゾル発生物品10が空洞の中へと挿入される時、リブは、第一のエアポケット960A、第二のエアポケット960B、および第三のエアポケット960Cを画定するのに役立つ。物品10とリブ990との間の接触は非常に少なく、これらの接触点ではわずかな熱のみが損失される。エアロゾル形成基体の絶縁部は、三つの部分的に環状のエアポケット960A、960B、960Cによって提供される。
【0098】
図14は、安定化部分と位置決め部分との間の加熱部分に沿って延びる六つの長軸方向に延びるリブ1490を有する、抜き取り具1400の横断断面図を示す。断面図は、加熱部分を通したものである。エアロゾル発生物品10が空洞の中へと挿入される時、リブは、第一のエアポケット1460A、第二のエアポケット1460B、第三のエアポケット1460C、第四のエアポケット1460D、第五のエアポケット1460E、および第六のエアポケット1460Fを画定するのに役立つ。物品10とリブ1490との間の接触は非常に少なく、これらの接触点ではわずかな熱のみが損失される。エアロゾル形成基体の絶縁部は、六つの部分的に環状のエアポケット1460A、1460B、1460C、1460D、1460E、および1460Fによって提供される。
【0099】
図15は、安定化部分1420と位置決め部分1440との間に加熱部分1430に沿って延びる六つの長軸方向に延びるリブ1490を有する、抜き取り具1400の長軸方向断面図を示す。こうした長軸方向に延びるリブ1490は、抜き取り具に強化効果を提供し得る。こうした長軸方向に延びるリブ1490は、空洞の中へと挿入された時に、エアロゾル発生物品の遠位端を位置決め部分に向かって案内するのに役立ち得る。こうした長軸方向に延びるリブ1490は、発熱体がエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中へと挿入される場合に、エアロゾル発生物品の半径方向の変形を防止するのに役立ち得る。
【0100】
上述の実施形態は、エアロゾル発生物品10を受容するための抜き取り具を含む、エアロゾル発生物品10およびエアロゾル発生装置500を備えるエアロゾル発生システムを記述する。開示される発熱体は、抵抗発熱体である。しかしながら、本発明の代替的な実施形態が存在し得る。例えば、加熱手段は誘導加熱手段を含んでもよい。発熱体は、ブレードの形態のサセプタを含んでもよく、インダクタコイルなどのインダクタが空洞110の周りに配置されてもよい。別の方法として、エアロゾル発生物品110は、サセプタを含んでもよく、エアロゾル発生装置は、サセプタを加熱するように配設されたインダクタを含んでもよい。
【0101】
図16は、こうした誘導作動式のエアロゾル発生システムを概略的に示す。このシステムでは、エアロゾル発生物品1000は、図1に関連して説明した物品10と類似している。図16のシステムと、例えば、図2~6に関連して上述したシステムとを比較した一つの差は、物品1000のエアロゾル形成基体1025が、サセプタ1020を組み込むか、またはサセプタ1020と関連付けられていることである。この実施例では、サセプタはステンレス鋼の長軸方向の細片である。この細片は、エアロゾル形成基体を加熱するよう加熱することができるサセプタ1020として作用する。一つの特定の実施形態では、サセプタ1020は寸法が12mm×4mm×35マイクロメートルの等級430のステンレス鋼の細片の形態であり得る。
【0102】
エアロゾル発生装置1500は、図2~6に関連して説明した装置と類似している。しかしながら、装置に関連付けられた発熱体はない。代わりに、サセプタ1020は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と熱連通して位置し、サセプタがエアロゾル発生装置によって生成された変動磁場内に置かれた時に、誘導加熱によってサセプタ内に熱が発生し得る。したがって、エアロゾル発生装置1500は、誘導コイル1600の形態のインダクタ、ならびに電池などの電源、および制御電子機器を備える。誘導コイル1600は、抜き取り具の空洞内で変動磁場を発生することができる。サセプタと誘導コイルは、組み合わせられて、エアロゾル形成基体のための加熱手段を形成し得る。
【0103】
誘導加熱はファラデーの電磁誘導の法則およびオームの法則により説明される公知の現象である。さらに具体的に言えば、ファラデーの電磁誘導の法則は、導体内の磁気誘導が変化する場合に導体内に変化する電場が作り出されると述べている。この電場が導体内に作り出されるため、電流(渦電流として知られる)はオームの法則に従って導体内を流れる。渦電流は電流密度および導体抵抗率に比例した熱を発生させる。誘導加熱される能力のある導体はサセプタとして公知である。エアロゾル発生装置は、LC回路などのAC源から交番電磁場を発生する能力のある誘導加熱源(例えば、誘導コイル1600など)を装備した誘導加熱装置である。熱発生渦電流は、サセプタ1020内で生成され、それによってサセプタの温度を上昇させて、発熱体として機能し得る。
【0104】
エアロゾル発生装置1500はインダクタ1600の起動を可能する電池および電子回路(図示せず)を備える。こうした起動は手動で行われてもよく、またはエアロゾル発生装置1500の基体受容空洞の中へと挿入されたエアロゾル発生物品1000をユーザーが吸うのに応答して自動的に生じてもよい。電池はDC電流を供給する。電子回路はインダクタに高周波AC電流を供給するためのDC/ACインバータを含む。
【0105】
装置が作動する時、高周波の交流電流が誘導コイル1600の一部を形成する巻線コイルを通過する。これにより、誘導コイル1600が装置の基体受容空洞の部分内に変動電磁場を発生させる。電磁場の周波数は1~30MHz、好ましくは2~10MHz、例えば5~7MHzで変動することが好ましい。エアロゾル発生物品1000が基体受容空洞内に正しく位置付けられた時、図16に図示するように、物品1000のサセプタ1020はこの変動電磁場内に位置する。変動電磁場はサセプタ内に渦電流を発生させ、その結果これが加熱される。さらなる加熱がサセプタ内の磁気ヒステリシス損失により提供される。加熱されたサセプタは、エアロゾルを形成するのに十分な温度までエアロゾル発生物品1000のエアロゾル形成基体1020を加熱する。エアロゾルはエアロゾル発生物品1000を通して下流に引き出され、ユーザーによって吸い込まれる。エアロゾル形成基体1025からの放熱は、空洞の加熱部分に提供されるエアギャップ160によって最小化される。結果として、ユーザーへのエアロゾル送達が改善され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16