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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】板材切断装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 15/04 20060101AFI20240902BHJP
   B23D 15/08 20060101ALI20240902BHJP
   B23D 35/00 20060101ALI20240902BHJP
   B23D 15/12 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B23D15/04
B23D15/08 Z
B23D35/00 C
B23D15/12
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021567438
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2020047676
(87)【国際公開番号】W WO2021132156
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2019237883
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390006585
【氏名又は名称】株式会社三共製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健吾
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-248703(JP,A)
【文献】実開昭49-104787(JP,U)
【文献】実開平01-071018(JP,U)
【文献】特開2011-223807(JP,A)
【文献】特表2010-540839(JP,A)
【文献】特開2013-044431(JP,A)
【文献】特開平10-018812(JP,A)
【文献】特開2013-096328(JP,A)
【文献】実公昭46-018049(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3186989(JP,U)
【文献】特開平09-131613(JP,A)
【文献】実開昭62-110808(JP,U)
【文献】特開昭50-040426(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0024221(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 15/02 - 15/04
B23D 15/06 - 15/10
B23D 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された板材を切断するための板材切断装置であって、
ハウジングに固定された第1の切断刃と、
前記第1の切断刃と協働して前記板材を切断する第2の切断刃と、
前記第1の切断刃に対して前記第2の切断刃を往復運動させる駆動部と
を備え、
前記駆動部は、回転軸線の周りに回転可能なシャフトと、前記シャフトの一方の端部に接続された第1のモータと、前記シャフトの一方の端部の近傍に配置された第1のカム、前記シャフトの前記一方の端部の反対側の他方の端部の近傍に配置された第2のカム、及び前記第1のカムと前記第2のカムとの間に配置された少なくとも1つのカムを有する複数のカムであって、前記シャフトの前記回転軸線の周りの回転に伴って前記第2の切断刃を前記第1の切断刃に対して往復運動させ、且つ前記第2の切断刃に前記板材に対して荷重を加えさせ複数のカムと、前記シャフトの一方の端部の近傍に配置された第1の軸受、前記シャフトの前記一方の端部の反対側の他方の端部の近傍に配置された第2の軸受、及び前記第1の軸受と前記第2の軸受との間に配置された少なくとも1つの軸受を有する複数の軸受であって、前記板材の切断時における前記板材に対する前記荷重の反作用による荷重が前記回転軸線に沿って前記シャフトに加えられるように前記シャフトを支持する複数の軸受とを備える、板材切断装置。
【請求項2】
前記複数のカムは、前記回転軸線に沿って前記シャフトに均等な間隔で配置され、前記第2の切断刃に前記板材に対して荷重を均等に加えさせる、請求項1に記載の板材切断装置。
【請求項3】
前記複数の軸受は、前記回転軸線に沿って前記シャフトに均等な間隔で配置され、前記板材の切断時における前記板材に対する前記荷重の反作用による荷重が前記回転軸線に沿って前記シャフトに均等に加えられるように前記シャフトを支持する、請求項1又は2に記載の板材切断装置。
【請求項4】
記複数のカム及び前記複数の軸受は、前記シャフトに沿って交互に配置されている、請求項1~3の何れか一項に記載の板材切断装置。
【請求項5】
軸受はローラを備え、軸受の前記ローラは、前記シャフトを支持するために、前記シャフトに接触して転動することができる、請求項1~4の何れか一項に記載の板材切断装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記複数のカムの回転運動を、前記第2の切断刃の往復運動に変換する複数の従動部を更に備える、請求項の何れか一項に記載の板材切断装置。
【請求項7】
従動部はローラを備え、従動部の前記ローラは、対応するカムに接触して転動することができる、請求項に記載の板材切断装置。
【請求項8】
従動部は弾性部材を備え、前記弾性部材は、従動部に、カムの回転運動を前記第2の切断刃の往復運動に滑らかに変換させる、請求項又はに記載の板材切断装置。
【請求項9】
前記第2の切断刃は、前記板材切断装置の外部からの信号に従って往復運動する、請求項1~の何れか一項に記載の板材切断装置。
【請求項10】
前記駆動部は、前記シャフトの他方の端部に接続された第2のモータを更に備える、請求項1~の何れか一項に記載の板材切断装置。
【請求項11】
前記第2の切断刃は、中央部において最も高く、前記中央部から端部に向かって低くなる形状を有する、請求項1~10の何れか一項に記載の板材切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型にコンパクト化することができる板材切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、帯状鋼板をロール状に巻かれた状態で保持して回転するアンコイラと、帯状鋼板から所定形状の鋼板部品を打ち抜く一対の打抜き型を有するプレス装置と、アンコイラから引き出された帯状鋼板を、一対の打抜き型の間に所定の送りピッチで逐次送り込む送り装置と、プレス装置に対する送り方向上流側に配設され、送り装置による送り込みが停止されるときに帯状鋼板に弛みを生じさせる弛み形成装置とを備える打抜きプレス機が開示され、プレス装置の送り方向下流側には、帯状鋼板からコア鋼板部品を打ち抜いた後に残るスクラップを裁断して回収するスクラップカッターが配設されている。
【0003】
引用文献2には、1個のモータで、切断刃の上刃を斜めに設置し、下刃は水平に設置固定し、回転運動を直線運動に変換して上刃を両サイドから上下に駆動する機構を備える切断装置が開示されている。切断装置は、固定板に固定されたサーボモータの回転駆動がベルトを介して伝達される、シャフトによって連結された一対のプーリと、シャフトの回転に伴って回転する一対の偏心カムと、一対の偏心カムが回転すると上下方向に同時に駆動する一対の連結棒と、一対の連結棒に接続される一対の連結リングと、一対の連結リングと係合する、左右端の中央部より突出した突起軸を備える、上下に可動することができる可動ベースと、可動ベースに上刃固定板を介して固定される上刃とから構成され、この構成によって、一対の連結棒が上下すると、可動ベースが上下し、上刃固定板及び上刃30が上下に駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-104500号公報
【文献】特開2012-231028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の切断装置においては、サーボモータの回転駆動がベルトを介してシャフトによって連結された一対のプーリに伝達されるために、薄型にコンパクト化することができないという問題点があり、更に、シャフトの回転に伴って回転する一対の偏心カムと、一対の偏心カムが回転すると上下方向に同時に駆動する一対の連結棒と、一対の連結棒に接続される一対の連結リングと、一対の連結リングと係合する、左右端の中央部より突出した突起軸を備える、上下に可動することができる可動ベースと、可動ベースに上刃固定板を介して固定される上刃とから構成されるというように構造的に複雑であって、高コスト化になり易いという問題点があり、上刃が下刃と協働してシート材を切断するために上側から降下してシート材に荷重を加える場合に、シート材への荷重の反作用によって、上刃、上刃固定板、及び可動ベースが上側に戻り、シート材及び/又は上刃が逃げ、シート材の安定した切断を実現することができないという問題点がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解決して、薄型にコンパクト化することができる板材供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの観点によれば、搬送された板材を切断するための板材切断装置が、ハウジングに固定された第1の切断刃と、第1の切断刃と協働して板材を切断する第2の切断刃と、第1の切断刃に対して第2の切断刃を往復運動させる駆動部とを備え、駆動部が、回転軸線の周りに回転可能なシャフトと、シャフトの一方の端部に接続された第1のモータと、シャフトの回転軸線の周りの回転に伴って第2の切断刃を第1の切断刃に対して往復運動させることができる第1の機構と、板材の切断時におけるシャフトへの荷重を支持することができる第2の機構とを備える。
【0008】
本発明の一具体例によれば、板材切断装置において、第1の機構が、シャフトに固定された少なくとも1つのカムを備え、少なくとも1つのカムが、シャフトの回転軸線の周りの回転に伴って、第2の切断刃を第1の切断刃に対して往復運動させることができ、第2の機構が、板材の切断時におけるシャフトへの荷重を支持することができる少なくとも1つの軸受を備える。
【0009】
本発明の一具体例によれば、板材切断装置において、少なくとも1つのカムが複数のカムであり、少なくとも1つの軸受が複数の軸受であり、複数のカム及び複数の軸受が、シャフトに沿って交互に配置されている。
【0010】
本発明の一具体例によれば、板材切断装置において、少なくとも1つの軸受がローラを備え、少なくとも1つの軸受のローラが、シャフトに接触して転動することができ、板材の切断時におけるシャフトへの荷重を支持することができる。
【0011】
本発明の一具体例によれば、板材切断装置において、駆動部が、少なくとも1つのカムの回転運動を、第2の切断刃の往復運動に変換する少なくとも1つの従動部を更に備える。
【0012】
本発明の一具体例によれば、板材切断装置において、少なくとも1つの従動部がローラを備え、少なくとも1つの従動部のローラが、対応するカムに接触して転動することができる。
【0013】
本発明の一具体例によれば、板材切断装置において、少なくとも1つの従動部は弾性部材を備え、弾性部材が、少なくとも1つの従動部に、少なくとも1つのカムの回転運動を第2の切断刃の往復運動に滑らかに変換させる。
【0014】
本発明の一具体例によれば、板材切断装置において、第2の切断刃が、板材切断装置の外部からの信号に従って往復運動する。
【0015】
本発明の一具体例によれば、板材切断装置において、駆動部が、シャフトの他方の端部に接続された第2のモータを更に備える。
【0016】
本発明の一具体例によれば、板材切断装置において、第2の切断刃が、中央部において最も高く、前記中央部から端部に向かって低くなる形状を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、板材の切断時における板材及び/又は切断刃が逃げることを抑制して、板材の安定した切断を実現することができる。
【0018】
なお、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面に関する以下の本発明の実施例の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態としての板材切断装置の斜視図である。
図2図1の板材切断装置を一部透過的に示す斜視図である。
図3図1の板材切断装置の側面から視た一部断面図である。
図4図1の板材切断装置の正面図である。
図5図1の板材切断装置の正面から視た断面図である。
図6】本発明の一実施形態としての板材切断装置が使用されるプレス加工ラインの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
図1図5を参照して、本発明の一実施形態としての、搬送された板材を切断するための板材切断装置101を説明する。板材切断装置101は、ハウジング102と、ハウジングに固定された第1の切断刃103と、第1の切断刃103と協働して板材を切断する第2の切断刃104と、第1の切断刃103に対して第2の切断刃104を往復運動させる駆動部とを備える。駆動部は、回転軸線106の周りに回転可能なシャフト105と、シャフト105の一方の端部に接続された第1のモータ107と、シャフト105の回転軸線106の周りの回転に伴って第2の切断刃104を第1の切断刃103に対して往復運動させることができる第1の機構と、板材の切断時におけるシャフト105への荷重を支持することができる第2の機構とを備える。板材切断装置101のこのような構成によって、第1のモータ107を小型化して、板材切断装置101を薄型にコンパクト化することができる。また、第2の切断刃104が第1の切断刃103と協働して板材を切断するために板材に荷重を加える場合に、板材への荷重の反作用によるシャフト105への荷重を支持することによって、板材及び/又は第2の切断刃104の逃げを抑制することができ、板材の安定した切断を実現することができる。
【0022】
第1の機構は、シャフト105に固定された少なくとも1つのカム109を備えてもよい。少なくとも1つのカム109は、シャフト105が回転軸線106の周りに回転すると、それに伴って回転して、第2の切断刃104を第1の切断刃103に対して往復運動させることができる。そして、第2の切断刃104が第1の切断刃103に近づいて、第1の切断刃103と第2の切断刃104とが噛み合うと、ハウジング102に配置された取入口110を介して外部から搬送されてきた板材が切断される。少なくとも1つのカム109は、特殊な輪郭曲線を有する板カム、特殊な溝を有する平面カム、等であってもよく、例えば、円板を偏心させた円板カム、三角カム、等であってもよい。少なくとも1つのカム109は、シャフト105の回転軸線106の周りの回転から要求される第2の切断刃104の往復運動を実現することができる形状であればよい。
【0023】
第2の機構は、板材の切断時におけるシャフト105への荷重を支持することができる少なくとも1つの軸受111を備えてもよい。第2の切断刃104が、少なくとも1つのカム109の回転によって第1の切断刃103に近づいて、第1の切断刃103と協働して板材を切断するために板材に荷重を加える場合に、シャフト105は、カム109の近傍において最も板材への荷重の反作用による荷重を受け易いので、軸受111は、カム109の近傍に配置されてもよい。
【0024】
少なくとも1つのカム109は、複数のカム109であってもよい。第2の切断刃104が板材の切断部に対してできるだけ均等に荷重を加えることができるように、複数のカム109は、図2に示されるように、回転軸線106に沿ってシャフト105に均等な間隔で配置されてもよい。また、少なくとも1つの軸受111は、複数の軸受111であってもよい。第2の切断刃104が第1の切断刃103と協働して板材を切断するために板材に荷重を加える場合に、板材への荷重の反作用による荷重が回転軸線106に沿ってシャフト105にできるだけ均等に加えられるに、複数の軸受111は、図2に示されるように、回転軸線106に沿ってシャフト105に均等な間隔で配置されてもよい。また、各軸受111は、複数のカム109の何れかの近傍に配置されてもよい。また、複数のカム109及び複数の軸受111は、回転軸線106に沿ってシャフト105に交互に配置されてもよい。
【0025】
少なくとも1つの軸受111は、ローラ112を備えてもよい。少なくとも1つの軸受111は、ローラ112を介して滑らかにシャフト105に接触することができ、それによって、シャフト105の磨耗を抑制することができる。ローラ112は、シャフト105に接触し、シャフト105の回転軸線106の周りの回転に伴ってシャフト105に外周方向に沿って転動することができる。また、ローラ112は、第2の切断刃104が第1の切断刃103と協働して板材を切断するために板材に荷重を加える場合に、板材への荷重の反作用によるシャフト105への荷重を支持することができる。シャフト105は、シャフト105に外周方向に沿ってローラ112と接触するための外縁部113を備えてもよい。外縁部113によって、シャフト105は、ローラ112との接触による磨耗を更に抑制することができる。
【0026】
駆動部は、少なくとも1つのカム109の回転運動を、第2の切断刃104の往復運動に変換する少なくとも1つの従動部114を更に備えてもよい。例えば、少なくとも1つのカム109が、図2に示されるように偏心カムである場合、偏心カムのシャフト105の中心(回転軸線106が通る点)からの最遠位部が最下位にある状態では、第2の切断刃104は最下位に位置し、シャフト105が回転して最遠位部が最上位に近づくにつれて、従動部114によって少なくとも1つのカム109の回転運動が第2の切断刃104の往復運動に変換されて、第2の切断刃104は徐々に上昇する。そして、シャフト105がある角度まで回転すると、第1の切断刃103と第2の切断刃104とが板材に荷重を加えるように噛み合いを開始して板材の切断が開始し、シャフト105が更に回転して最遠位部が最上位に達して第2の切断刃104が最上位に達するまでに、板材の切断は完了する。第1の切断刃103と第2の切断刃104とが板材に荷重を加えるように噛み合いを開始すると、板材への荷重の反作用によって従動部114を介してシャフト105に荷重が加えられるが、少なくとも1つの軸受111が板材への荷重の反作用によるシャフト105への荷重を支持することができる。これによって、板材及び/又は第2の切断刃104の逃げを抑制することができ、板材の安定した切断を実現することができる。少なくとも1つのカム109が複数のカム109である場合には、各カム109の回転運動が、図2に示されるように、対応する従動部114によって第2の切断刃104の往復運動に変換されてもよい。なお、少なくとも1つのカム109の回転は、最遠位部が最下位にある状態から開始しなくてもよく、最遠位部が最下位と最上位との間にある所定の角度から開始してもよく、少なくとも1つのカム109は、所定の2つの角度の間を往復するように回転してもよい。また、第1のモータ107のロータの回転速度を制御することによって、少なくとも1つのカム109の回転速度を制御し、第2の切断刃107の往復運動の速度を制御して、板材の切断時の速度を制御してもよい。これによって、板材の厚さ、硬さ、広さ、等、板材の状態に応じて、板材の安定した切断を実現することができる。少なくとも1つのカム109として、上記の偏心カム以外の三角カム等の特殊な輪郭曲線を有する板カム、特殊な溝を有する平面カム、等が採用される場合であっても、上記の偏心カムと同様にその採用されるカムに応じて制御されることができる。
【0027】
少なくとも1つの従動部114は、ローラ115を備えてもよい。少なくとも1つの従動部114は、ローラ115を介して滑らかにカム109に接触することができ、それによって、カム109の磨耗を抑制することができる。ローラ115は、少なくとも1つのカム109に接触し、カム109の回転運動に伴ってカム109に外周方向に沿って転動することができる。
【0028】
少なくとも1つの従動部114は、弾性部材116を備えてもよい。外部からの影響、板材の切断時の影響、等によって、第2の切断刃104にジャンピングが生じて、板材の安定した切断を実現することができない場合がある。弾性部材116によって、外部からの影響、板材の切断時の影響、等による第2の切断刃104のジャンピングが吸収されて、少なくとも1つの従動部114は、少なくとも1つのカムの回転運動を第2の切断刃の往復運動に滑らかに変換することができる。弾性部材116は、少なくとも1つの従動部114に巻き付くように設けられたコイルばねであってもよい。また、板材切断装置101は、搬送されてきた板材が逃げないように第2の切断刃104と協働して板材を挟み、第1の切断刃103及び第2の切断刃104による切断後に、切断された板材を第1の切断刃103及び第2の切断刃104から離間させるストリッパ117を備えてもよい。
【0029】
板材切断装置101は、プレス加工ラインにおいて使用されることができる。プレス加工ラインにおいて、コイル材等の板材205は、板材送り装置203によって、アンコイラ201から板材供給装置202に搬送され、板材送り装置203を通ってプレス装置等の加工装置204に間欠的に搬送される。プレス装置等の加工装置204は、板材送り装置203から間欠的に搬送された板材205に対して、プレス加工等の加工処理を行って、携帯電話、パソコン、等の情報関連機器に使用される小型部品、自動車、産業用モータ部品、家電製品、等の構成部品、等の構造物を製造することができる。そして、加工処理された板材205は、板材切断装置101に搬送される。この場合、板材切断装置101の第1の切断刃103及び第2の切断刃104は、いわゆるスクラップカッターを構成する。第2の切断刃104は、板材切断装置101の外部からの信号に従って往復運動してもよい。例えば、第2の切断刃104は、加工装置204の加工処理に同期して往復運動してもよい。第2の切断刃104は、第1のモータ107のロータの回転に従って往復運動する。プレス装置等の加工装置204は、プレス加工等の加工処理に応じて間欠的に板材205を搬送するように板材送り装置203に対して信号を送信しているが、その信号を板材切断装置101に対しても送信することによって、第1のモータ107のロータをプレス加工等の加工処理に同期して回転させ、更には第2の切断刃104をプレス加工等の加工処理に同期して往復運動させることができる。また、第1のモータ107を小型化して、板材切断装置101を薄型にコンパクト化することによって、板材切断装置101は、プレス装置等の加工装置204に近づけて設置することができ、プレス加工ラインをコンパクト化することができる。
【0030】
図1図5に示されるように、駆動部は、シャフト105の一方の端部に接続された第1のモータ107及びシャフト105の他方の端部に接続された第2のモータ108を備えるが、駆動部は、シャフト105の一方の端部のみに接続された第1のモータ107のみを備えてもよい。シャフト105に対して接続されるモータの数は、必要に応じて選択されてもよい。例えば、厚く及び/又は硬い板材を切断するために板材に加える荷重が大きい場合、幅広の板材を切断するために板材に加える荷重が広範囲に及ぶ場合、等においてはシャフト105が捩れることを抑制するために、図1図5に示されるように、駆動部は、シャフト105の一方の端部に接続された第1のモータ107及びシャフト105の他方の端部に接続された第2のモータ108を備えてもよい。また、第1のモータ107とシャフト105との間及び第2のモータ108とシャフト105との間にはそれぞれ、減速機118が設けられてもよい。
【0031】
第2の切断刃104は、第2の切断刃104の中央部において最も高く、第2の切断刃104の中央部から端部に向かって低くなるような山形の形状を有してもよい。従って、第1の切断刃103と第2の切断刃104の中央部とが板材の切断部の中央部に荷重を加えるように噛み合いを開始して板材の切断が開始し、第2の切断刃104が上昇するにつれて、第2の切断刃104は、第2の切断刃104の中央部から端部に向かって第1の切断刃103と、板材の切断部の中央部から端部に向かって荷重を加えるように噛み合って、板材を切断する。このような第2の切断刃104によって、板材及び/又は第2の切断刃104の逃げを抑制することができ、板材の安定した切断を実現することができる。また、第2の切断刃104は、第2の切断刃104の中央部が平坦であり、平坦な中央部から端部に向かって低くなる形状を有してもよい。第2の切断刃104の中央部と端部との間の高さの差は、板材の厚み以下であってもよく、板材の厚みと実質的に同じであってもよい。
【0032】
上記記載は特定の実施例についてなされたが、本発明はそれに限らず、本発明の原理と添付の特許請求の範囲の範囲内で種々の変更及び修正をすることができることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0033】
101 板材切断装置
102 ハウジング
103 第1の切断刃
104 第2の切断刃
105 シャフト
106 回転軸線
107 第1のモータ
108 第2のモータ
109 カム
110 取入口
111 軸受
112 軸受のローラ
113 外縁部
114 従動部
115 従動部のローラ
116 弾性部材
117 ストリッパ
118 減速機
201 アンコイラ
202 板材供給装置
203 板材送り装置
204 加工装置
205 板材
図1
図2
図3
図4
図5
図6