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特許7547389チップラッパーを有するエアロゾル生成物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】チップラッパーを有するエアロゾル生成物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
A24D1/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021572426
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2020068958
(87)【国際公開番号】W WO2021008916
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】19185929.7
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】日出島 拓
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-246396(JP,A)
【文献】特開2015-091232(JP,A)
【文献】特表2013-524026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0208440(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0013307(KR,A)
【文献】国際公開第2019/130446(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/108078(WO,A1)
【文献】特表2012-507287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウスピース(2)及びエアロゾル生成材料ロッド(4)を接続するチップラッパー(6)を有するエアロゾル生成物品(1)であって、前記マウスピース(2)及び前記エアロゾル生成材料ロッド(4)は、円筒形状であって、前記それぞれの円筒形状のベース領域(2a、4a)の面法線として配置されるそれぞれの長手方向軸(L1、L2)を有する円筒形状をそれぞれ有し、前記チップラッパー(6)は、前記マウスピース(2)及び前記エアロゾル生成材料ロッド(4)の周りに、それらの連続して配置された長手方向軸(L1、L2)に少なくとも部分的に沿って円周方向に巻かれ、前記マウスピース(2)及びエアロゾル生成材料ロッド(4)の方に向けられた内側表面(8)と、反対側に配置された外側表面(10)とを有し、少なくとも木材パルプからなり、かつフィラーとしてのTiO を含まない、エアロゾル生成物品(1)において、
前記チップラッパー(6)は、少なくとも20%のクレイ及び/又はAl(OH)を更に含み、5.0C.U.以下の多孔度と、前記外側表面(10)における100秒(ベック)を超える表面平滑度とを有することを特徴とするエアロゾル生成物品(1)。
【請求項2】
前記チップラッパー(6)は、少なくとも4%のCaCOを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル生成物品(1)。
【請求項3】
前記チップラッパー(6)は、3.0C.U.以下の多孔度を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成物品(1)。
【請求項4】
前記チップラッパー(6)は、78%を超える不透明度を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(1)。
【請求項5】
前記チップラッパー(6)は、80%を超える白色度を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(1)。
【請求項6】
前記チップラッパー(6)は、31gsm若しくは36gsm以上の坪量及び/又は50gsm若しくは47gsm以下の坪量を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(1)。
【請求項7】
前記チップラッパー(6)は、30μm若しくは35μm以上の厚さ及び/又は55μm若しくは50μm以下の厚さを有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(1)。
【請求項8】
前記チップラッパー(6)は、ミシン目(12)、特にレーザーミシン目を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(1)。
【請求項9】
前記チップラッパー(6)は、前記外側表面(10)の少なくとも一部に印刷(14)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(1)。
【請求項10】
エアロゾル生成物品のマウスピース(2)及びエアロゾル生成材料ロッド(4)を接続するためのチップラッパー(6)であって、使用時に前記マウスピース(2)及びエアロゾル生成材料ロッド(4)に向かって適用可能な内側表面(8)と、反対側に配置された外側表面(10)とを有し、且つ少なくとも木材パルプ及びクレイフィラーからなる、チップラッパー(6)において、
少なくとも20%のクレイ及び/又はAl(OH)を更に含み、5.0C.U.以下の多孔度と、前記外側表面(10)における100秒(ベック)を超える表面平滑度とを有し、かつフィラーとしてのTiO を含まないことを特徴とするチップラッパー(6)。
【請求項11】
前記外側表面(10)の前記平滑度は、100~250秒(ベック)であることを特徴とする、請求項10に記載のチップラッパー(6)。
【請求項12】
4~20%のCaCOを含有することを特徴とする、請求項10に記載のチップラッパー(6)。
【請求項13】
10~30%のクレイを含有することを特徴とする、請求項10に記載のチップラッパー(6)。
【請求項14】
0~15%のAl(OH)を含有することを特徴とする、請求項10に記載のチップラッパー(6)。
【請求項15】
0%のAl(OH)を含有し、2C.U.未満の多孔度と、5%未満のCaCO含有量と、少なくとも20%のクレイ含有量とを有することを特徴とする、請求項10に記載のチップラッパー(6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウスピースロッド及びタバコロッドを接続するチップラッパーを有するエアロゾル生成物品であって、マウスピースロッド及びタバコロッドは、円筒形状であって、それぞれの円筒形状のベース領域の面法線として配置されるそれぞれの長手方向軸を有する円筒形状をそれぞれ有し、チップラッパーは、マウスピースロッド及びタバコロッドの周りに、それらの連続して配置された長手方向軸に少なくとも部分的に沿って円周方向に巻かれ、マウスピースロッド及びタバコロッドの方に向けられた内側表面と、反対側に配置された外側表面とを有し、且つ少なくとも木材パルプからなる、エアロゾル生成物品に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野において多くの場合に「チップペーパー」とも称されるチップラッパーの主な目的は、エアロゾル生成物品のマウスピースロッド及びタバコロッドを接続することである。チップペーパーは、マウスピースロッドを少なくとも部分的にその長手方向軸に沿って円周方向に覆い、燃焼するエアロゾル生成物品から消費者が遮蔽されるように、チップペーパーのくすぶり抵抗又は不燃性が望まれる。このくすぶり抵抗又は不燃性は、二酸化チタン(TiO)、カオリン、水酸化アルミニウム(Al(OH))などの不燃性フィラーをチップペーパーに添加することによって実現される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
チップペーパーのためのフィラーとしてのTiOに関する最近の健康上の懸念のため、TiOを一切含まないチップペーパーを開発することが望ましい。したがって、このようなTiOを含まないチップペーパーは、当然のことながら、TiO含有チップペーパーと少なくとも同じグレードのくすぶり抵抗/不燃性を有するべきである。更に、TiO2を含まないチップペーパーは、製造、コスト及びエアロゾル生成物品製造中の廃棄物に関して、TiO含有チップペーパーと同じ品質を満足すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的は、マウスピースロッド及びエアロゾル生成材料ロッドを接続するチップラッパーを有するエアロゾル生成物品であって、マウスピースロッド及びタバコロッドは、円筒形状であって、それぞれの円筒形状のベース領域の面法線として配置されるそれぞれの長手方向軸を有する円筒形状をそれぞれ有し、チップラッパーは、マウスピースロッド及びタバコロッドの周りに、それらの連続して配置された長手方向軸に少なくとも部分的に沿って円周方向に巻かれ、マウスピースロッド及びタバコロッドの方に向けられた内側表面と、反対側に配置された外側表面とを有し、且つ少なくとも木材パルプからなる、エアロゾル生成物品によって達成される。本発明は、チップラッパーが少なくとも20%のクレイ及び/又はAl(OH)を更に含み、5.0C.U.以下の多孔度と、外側表面における100秒(ベック)を超える表面平滑度とを有することを特徴とする。
【0005】
本発明によるチップラッパーは、二酸化チタンを含まない。換言すれば、チップラッパーは、0%のTiOを含有する。十分なくすぶり抵抗及び不燃性を確保するために、5.0C.U.の最大多孔度と組み合わせて、フィラーとして少なくとも20%のクレイ及び/又は水酸化アルミニウム(Al(OH))がチップラッパーで使用される。フィラーという用語は、特定のフィラー材料を指し、これは、パルプスラリーに添加され、パルプスラリーからチップラッパーが製造され、パルプスラリー中で均一にブレンドされる。本明細書で与えられる全てのパーセンテージは、チップラッパーの完全に乾燥した材料ベースの重量に対する乾燥材料の重量の重量パーセンテージである。チップラッパーの乾燥材料ベースは、少なくとも、木材パルプと、対応するフィラー材料、例えばクレイ及び/又はAl(OH)とを含む。チップラッパーの乾燥材料ベースは、更なる成分を含み得る。
【0006】
くすぶり抵抗及び不燃性は、5.0C.U.以下の低い多孔度を、フィラーとしての少なくとも20%のクレイ及び/又は水酸化アルミニウム(Al(OH))と組み合わせることによって実現される。多孔度は、コレスタ単位(C.U.)で与えられる。1コレスタ単位は、1kPaの圧力差を印加したとき、1cmの基材試料を通過する空気の体積流量(cm/分)として定義される。C.U.値が高いほど、多孔度が高くなる。5.0C.U.では、チップラッパーは、非常に低い多孔度を呈する。これにより、チップラッパーの表面積が減少する。多孔度は、チップラッパー内の酸素輸送を減少させる可能性もあり、したがってあらゆるくすぶり又は燃焼プロセスを妨げる。
【0007】
100秒(ベック)を超える表面平滑度により、十分な機械稼働能力が確保される。また、それは、少なくともチップラッパーの外側表面の一部に配置され得るいかなるインク印刷の固定性をも確実にする。インク固定性は、エアロゾル生成物品製造において非常に重要なパラメータである。なぜなら、十分なインク固定性を有さないチップラッパーは、エアロゾル生成物品製造機械でインク剥離を示し、それがチップラッパーフィーダのローラ及びその周囲にインクダストとして集まることになるからである。そこでのこのインクダストは、チップラッパーの機械稼働能力を低下させ、したがって生産品質全体も低下させる。
【0008】
シート材料の表面の平滑度は、ISO 5627:1995に準拠したベック平滑度試験機を使用して表面のベック平滑度を測定することによって定量化され得る。この試験では、平滑なガラス面とシート材料の試料との間に特定の圧力の空気を流し、一定量の空気(10ml)がこれらの面間に入るまでの時間(秒単位)を測定する。この時間は、ベック平滑度に対応するため、秒単位でも表現される。ベック平滑度の値が高いほど、シート材料の表面がより平滑である。
【0009】
チップラッパーの多孔度及び表面平滑度は、チップラッパー組成によって影響を受ける。チップラッパー組成では、フィラーの組み合わせ及び量が主要な役割を担う。したがって、フィラーの種類、フィラーのそれぞれの量及び/又はフィラーとパルプとの比率を使用して、チップラッパーの多孔度及び表面平滑度を調整することができる。換言すれば、達成された多孔度及び/又は表面平滑度は、特定のフィラー及びそれらのそれぞれの量の結果である。
【0010】
更に、パルプ処理プロセスの変更により、チップラッパーの多孔度及び/又は表面平滑度を最適化することが可能である。例えば、パルプの種類又はパルプ精製プロセスを変更することができるが、多孔度及び/又は表面平滑度を最適化するために、チップラッパーの製造中に他の製造パラメータを使用することも可能であり得る。
【0011】
チップラッパーは、1~3%のタルクを更に含み得る。タルクは、よく知られた添加剤であり、ラッパーの均一性を改善する。これは、廃棄物及び機械稼働品質の点で有利である。
【0012】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、外側表面の少なくとも一部に印刷を含む。外側表面に印刷する場合、チップラッパーのインク固定性は、非常に重要である。好ましくは、印刷は、チップラッパーの外側表面全体を覆う。好ましくは、印刷する際に使用されるインクは、リップリリース剤及び/又は顔料を含む。リップリリース剤を使用すると、消費者の唇がチップラッパーに付着することが妨げられるか又は少なくとも大幅に減少する。顔料を使用すると、チップラッパーの外側表面に装飾を追加することができる。印刷は、異なる色も含み得る。異なる色は、好ましくは、異なる顔料を含む異なるインクを使用することによって実現される。好ましい印刷は、いわゆる「コルクオンホワイト」であり、これは、コルク材料に類似したチップラッパー印刷を意味し、広く知られている。
【0013】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、少なくとも4%のCaCOを更に含む。炭酸カルシウム(CaCO)を添加すると、チップラッパーのインク固定性が改善し、機械稼働能力が確実に更に向上する。CaCOの添加は、チップラッパーのくすぶり抵抗又は不燃性に悪影響を与える可能性がある。しかし、本発明の優れたくすぶり抵抗/不燃性により、少なくとも4%のCaCOとの組み合わせが可能である。
【0014】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、3.0C.U.以下の多孔度を有する。多孔度の値が更に減少すると、チップラッパーのくすぶり抵抗/不燃性が更に改善される。好ましくは、多孔度は、1.0~3.0C.U.であり、特に好ましくは1.5~3.0C.U.である。多孔度の値を更に最適化することにより、より高い炭酸カルシウム含有量を補うことができる。したがって、本実施形態は、少なくとも4%のCaCO含有量を有する先行する実施形態と有利に組み合わせることができる。
【0015】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、78%を超える不透明度を有する。好ましくは、チップラッパーは、80%を超える不透明度を有する。これらの不透明度の値により、チップラッパーの適切な外観が確保される。特に、下にある材料は、チップラッパーを通して見える程度が低下し、それにより、結果として生じるエアロゾル生成物品の視覚的外観が改善する。また、チップラッパーの外側表面のいかなる印刷も、より鮮明により高い色品質で見える。
【0016】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、80%を超える白色度を有する。好ましくは、チップラッパーは、83%を超える白色度を有する。不透明度と同様に、これらの白色度値により、チップラッパー及びエアロゾル生成物品の適切な外観が確保される。また、チップラッパーの外側表面のいかなる印刷も、より鮮明により高い色品質で見える。
【0017】
TiOは、非常に強い白色顔料である。これは、チップラッパーにおけるフィラーとしてのTiOが比較的少量であっても、十分な白色度及び不透明度を実現できることを意味する。本発明では、健康上の懸念からTiOが除外される。フィラーとして、TiOの代わりに、クレイ、好ましくはカオリン及び/又はAl(OH)が使用される。しかしながら、これらの代替フィラーは、TiOと同じ顔料強度を特徴として有さない。したがって、不透明度及び白色度について、以前に指定した下限閾値を定義する必要がある。所望のTiOを含まないフィラーの組み合わせ及び量が十分な不透明度及び/又は白色度をもたらさない場合、依然として坪量及び/又はチップラッパーの厚さを増加させることによって閾値に至る場合がある。当然のことながら、フィラーの量を増加させることも可能であるが、コスト、入手可能性及び/又はプロセス安定性に応じて、前述したように、フィラーの組み合わせを維持し、白色度及び/又は不透明度を調整することが有益である場合がある。
【0018】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、31gsm若しくは36gsm以上の坪量及び/又は50gsm若しくは47gsm以下の坪量を有する。好ましくは、チップラッパーは、36~47g/平方メートルの坪量を有する。十分な外観(不透明度及び白色度の点において)と不燃性とを確保するために、坪量の閾値を低くする必要がある。また、チップラッパーの適切な機械稼働能力を確保するために、坪量は、低すぎるか又は高すぎるべきではない。これは、生産にとって非常に重要である。また、坪量の値がより高くなると、前述したように、チップラッパーの白色度が増加し、不透明度が増加する。したがって、顔料強度が低いフィラー又はフィラーの組み合わせを使用する場合、より高い坪量が有益であり得る。
【0019】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、30μm若しくは35μm以上の厚さ及び/又は55μm若しくは50μm以下の厚さを有する。好ましくは、チップラッパーは、35~50μmの厚さを有する。厚さも、チップラッパーの機械稼働能力に関する重要なパラメータである。厚さが正しくないと、チップラッパーに関する機械稼働能力が低下することになり、生産機械の正しい機能が妨げられることになる。また、厚さが増加すると、前述したように、チップラッパーの白色度が増加し、不透明度が増加する。したがって、顔料強度が低いフィラー又はフィラーの組み合わせを使用する場合、より厚い厚さが有益であり得る。しかしながら、必要な機械稼働能力を保証するために、チップラッパーの厚さは、好ましくは、55μmを超えない。
【0020】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、ミシン目、特にレーザーミシン目を含む。好ましくは、そのようなミシン目は、エアロゾル生成物品製造機械(OLL)においてレーザーミシン目プロセスで製造される。ミシン目は、チップラッパーが取り付けられているエアロゾル生成物品の換気特性を改善する。レーザーミシン目プロセス中、チップラッパーが灰塵を生成する可能性があり、これは、望ましくない。本発明の特定のフィラーの組み合わせにより、灰塵の発生が大幅に減少する。
【0021】
上記の目的は、マウスピースロッド及びタバコロッドを接続するチップラッパーであって、マウスピースロッド及びタバコロッドは、円筒形状であって、それぞれの円筒形状のベース領域の面法線として配置されるそれぞれの長手方向軸を有する円筒形状をそれぞれ有し、チップラッパーは、マウスピースロッド及びタバコロッドの周りに、それらの連続して配置された長手方向軸に少なくとも部分的に沿って円周方向に巻かれ、マウスピースロッド及びタバコロッドの方に向けられた内側表面であって、その内側表面により、チップラッパーは、マウスピースロッド及びタバコロッドに固定される、内側表面と、反対側に配置された外側表面とを有し、且つ少なくとも木材パルプからなる、チップラッパーによっても達成される。本発明は、チップラッパーが少なくとも20%のクレイ及び/又はAl(OH)を更に含み、5.0C.U.以下の多孔度と、外側表面における100秒(ベック)以上の表面平滑度とを有することを特徴とする。
【0022】
別の実施形態によれば、外側表面の平滑度は、100~250秒(ベック)である。好ましくは、外側表面の平滑度は、100秒(ベック)、110秒(ベック)若しくは130秒(ベック)以上であり、及び/又は外側表面の平滑度は、250秒(ベック)、200秒(ベック)若しくは170秒(ベック)以下である。外側表面の正確な平滑度により、十分な機械稼働能力が確保される。また、インク固定性が改善される。平滑度の値の下限及び上限閾値により、十分なインク固定性は、好ましくは、チップラッパーの優れた外観及び触覚特性と共に提供され得る。
【0023】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、4~20%のCaCOを含有する。好ましくは、チップラッパーは、4~15%のCaCO又は更により好ましくは4~13.5%のCaCOを含有する。炭酸カルシウム(CaCO)を使用すると、チップラッパーは、インク固定性が改善する。CaCOの添加は、チップラッパーのくすぶり抵抗/不燃性に悪影響を与える可能性があるため、炭酸カルシウム含有量の上限閾値が好ましい。好ましくは、より高いCaCO含有量が使用される場合、多孔度が減少し、且つ/又は他のフィラーの量が増加する。13%以上のCaCO含有量が使用される場合、好ましくは、3.0C.U.以下の多孔度が少なくとも23%のクレイ及び/又はAl(OH)含有量と組み合わされる。
【0024】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、10~30%のクレイを含有する。好ましくは、チップラッパーは、12~25%のクレイ、更により好ましくは13.5~24%のクレイを含有する。好ましくは、クレイとしてカオリンが使用される。それにもかかわらず、代わりに他の種類のクレイを使用することも考えられ得る。クレイ、好ましくはカオリンの量は、チップラッパーに対して十分なくすぶり抵抗/不燃性を提供する。カオリンは、白色顔料であるため、カオリンは、チップラッパーの白色度及び不透明度もサポートする。
【0025】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、0~15%のAl(OH)を含有する。好ましくは、チップラッパーは、0~13%のAl(OH)、更により好ましくは0~11%のAl(OH)を含有する。水酸化アルミニウムは、強力な難燃性を提供する。したがって、Al(OH)は、チップラッパーに十分なくすぶり抵抗/不燃性を提供するために使用される。しかしながら、Al(OH)は、高いコスト、低い調達安定性及び変動するプロセス能力も有する。したがって、Al(OH)を完全に省略することも考えられる。
【0026】
別の実施形態によれば、チップラッパーは、0%のAl(OH)を含み、2C.U.未満の多孔度と、5%未満のCaCO含有量と、少なくとも20%のクレイ含有量とを有する。与えられたパラメータ範囲は、Al(OH)の強力な難燃性なしに十分なくすぶり抵抗/不燃性を提供するために好ましい。Al(OH)は、高いコスト、低い調達安定性及び変動するプロセス能力の点で課題を呈するため、これは、有利である。好ましくは、くすぶり抵抗/不燃性の点で要件を満たす、TiOを含まず且つAl(OH)を含まないチップラッパーが提供される。
【0027】
本発明の更なる利点、目的及び特徴を、添付の図を参照する以下の記載においてあくまで一例として説明する。図において、異なる実施形態における類似の構成要素が同一の参照記号を示す場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】チップラッパー6を有するエアロゾル生成物品1の概略図である。
図2】ミシン目12を含むチップラッパー6の詳細図である。
図3】印刷14を含むチップラッパー6の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、以下でチップペーパー6とも称されるチップラッパー6を有する紙巻きタバコ1の形態のエアロゾル生成物品の概略図を示す。チップペーパー6は、マウスピースロッド2の周り及びタバコロッド4の周りに円周方向に巻き付けられる。マウスピースロッド2は、円筒形状である。マウスピースロッド2の円筒形状は、円筒形状のベース面2aに垂直に配置された長手方向軸L1を含む。好ましくは、マウスピースロッド2は、モノアセテートフィルタからなる。タバコロッド4も、長手方向軸L2を有する円筒形状を有する。この長手方向軸L2は、タバコロッド4の円筒形状のベース面4aに垂直に配置される。好ましくは、長手方向軸L1、L2に対して、タバコロッド4の円筒形状は、マウスピースロッド2の円筒形状と比較してより長い。好ましくは、マウスピースロッド2及びタバコロッド4は、同じ直径を有する。好ましくは、タバコロッド4は、刻みタバコ材料と、円筒形状の少なくともの円周方向にタバコ材料を取り囲むタバコ紙とを含む。
【0030】
長手方向軸L1、L2は、一致し、共同の長手方向軸Lを形成する。マウスピースロッド2及びタバコロッド4は、共同の長手方向軸Lに沿って連続して配置される。これは、マウスピースロッド2のベース面2aの1つがタバコロッド4のベース面4aの1つに直接隣接して配置されることを意味する。チップペーパー6は、マウスピースロッド2及びタバコロッド4の周りに円周方向に巻き付けられる。好ましくは、チップペーパー6は、マウスピースロッド2の側面領域2bの全体を覆う。好ましくは、チップペーパー6は、タバコロッド4の側面領域4bの円形セグメント4cのみを覆う。円形セグメント4cは、好ましくは、マウスピースロッド2に直接位置するベース領域4aに直接配置される。このように、チップペーパー6は、マウスピースロッド2とタバコロッド4との両方に貼り付けられ、したがってこれらの2つを接続する。その内側表面8により、チップペーパー6は、マウスピースロッド2及びタバコロッド4と直接接触するように配置される。視認性をよくするために、チップペーパー6は、マウスピースロッド2及びタバコロッド4から僅かに離して図示されている。
【0031】
図2は、チップペーパー6の詳細図を示す。チップペーパー6は、ミシン目12を含む。ミシン目12は、チップペーパー6における穴を示す。換言すれば、ミシン目12は、チップペーパー6の外側表面10をチップペーパー6の内側表面8に接続する。ミシン目12は、チップペーパー6が貼り付けられている紙巻きタバコ1の通気性を改善させる。ミシン目12は、チップペーパー6の特定の領域において特定のパターンでチップペーパー上に配置され得るが、ミシン目12は、チップペーパー6の外側表面領域10にわたって均一に分布し得る。
【0032】
図3は、印刷14を有するチップペーパー6を示す。印刷14は、チップペーパー6の外側表面10上に配置される。印刷14は、外側表面10を部分的にのみ又は完全に覆い得る。外側表面10上に複数の印刷14を組み合わせることが考えられる。例えば、チップペーパー6は、外側表面10全体を覆う第1の印刷14aと、第1の印刷14aの上に配置され、外側表面10を部分的にのみ覆う第2の印刷14bとを含み得る。この例では、2つの印刷14a、14bは、色が異なり得る。印刷14は、箔押し及び/又は追加の印刷インクあり又はなしのエンボス加工としても実行され得る。
【0033】
本出願人は、本出願明細書に開示された全ての特徴が、先行技術に照らして、個別に又は組み合わせて新規である限り、それらの特徴を本発明の本質的な特徴であるものとして特許請求する権利を保有する。更に、上記の好ましい実施形態は、紙巻きタバコに関してなされたが、本発明は、そのような特定のエアロゾル生成物品に限定されず、フィルタと、タバコを含むエアロゾル生成材料のロッドとを含む任意の他の既存の喫煙物品、特に加熱非燃焼式物品にも同様に適用される。図では、個別に有利であり得る特徴が記載されていることに更に留意されたい。当業者は、図に開示された特定の特徴が、この図の別の特徴を取り入れなくても有利であり得ることを直接認識するであろう。更に、当業者は、1つ又は様々の図に開示された多様な特徴の組み合わせから利点が発展し得ることを認識するであろう。
本発明は以下の実施態様を含む。
[1]マウスピース(2)及びエアロゾル生成材料ロッド(4)を接続するチップラッパー(6)を有するエアロゾル生成物品(1)であって、前記マウスピース(2)及び前記エアロゾル生成材料ロッド(4)は、円筒形状であって、前記それぞれの円筒形状のベース領域(2a、4a)の面法線として配置されるそれぞれの長手方向軸(L1、L2)を有する円筒形状をそれぞれ有し、前記ラッパー(6)は、前記マウスピース(2)及び前記エアロゾル生成材料ロッド(4)の周りに、それらの連続して配置された長手方向軸(L1、L2)に少なくとも部分的に沿って円周方向に巻かれ、前記マウスピース(2)及びエアロゾル生成材料ロッド(4)の方に向けられた内側表面(8)と、反対側に配置された外側表面(10)とを有し、且つ少なくとも木材パルプからなる、エアロゾル生成物品(1)において、
前記チップペーパー(6)は、少なくとも20%のクレイ及び/又はAl(OH) を更に含み、5.0C.U.以下の多孔度と、前記外側表面(10)における100秒(ベック)を超える表面平滑度とを有することを特徴とするエアロゾル生成物品(1)。
[2]前記ラッパー(6)は、少なくとも4%のCaCO を更に含むことを特徴とする、[1]に記載のエアロゾル生成物品(1)。
[3]前記ラッパー(6)は、3.0C.U.以下の多孔度を有することを特徴とする、[1]又は[2]に記載のエアロゾル生成物品(1)。
[4]前記ラッパー(6)は、78%を超える不透明度を有することを特徴とする、[1]~[3]のいずれかに記載のエアロゾル生成物品(1)。
[5]前記ラッパー(6)は、80%を超える白色度を有することを特徴とする、[1]~[4]のいずれかに記載のエアロゾル生成物品(1)。
[6]前記ラッパー(6)は、31gsm若しくは36gsm以上の坪量及び/又は50gsm若しくは47gsm以下の坪量を有することを特徴とする、[1]~[5]のいずれかに記載のエアロゾル生成物品(1)。
[7]前記ラッパー(6)は、30μm若しくは35μm以上の厚さ及び/又は55μm若しくは50μm以下の厚さを有することを特徴とする、[1]~[6]のいずれかに記載のエアロゾル生成物品(1)。
[8]前記ラッパー(6)は、ミシン目(12)、特にレーザーミシン目を含むことを特徴とする、[1]~[7]のいずれかに記載のエアロゾル生成物品(1)。
[9]前記ラッパー(6)は、前記外側表面(10)の少なくとも一部に印刷(14)を含むことを特徴とする、[1]~[8]のいずれかに記載のエアロゾル生成物品(1)。
[10]エアロゾル生成物品のマウスピース(2)及びエアロゾル生成材料ロッド(4)を接続するためのチップラッパー(6)であって、使用時に前記マウスピース(2)及びエアロゾル生成材料ロッド(4)に向かって適用可能な内側表面(8)と、反対側に配置された外側表面(10)とを有し、且つ少なくとも木材パルプ及び焼成クレイフィラーからなる、チップラッパー(6)において、
少なくとも20%のクレイ及び/又はAl(OH) を更に含み、5.0C.U.以下の多孔度と、前記外側表面(10)における100秒(ベック)を超える表面平滑度とを有することを特徴とするチップラッパー(6)。
[11]前記外側表面(10)の前記平滑度は、100~250秒(ベック)であることを特徴とする、[9]に記載のラッパー(6)。
[12]4~20%のCaCO を含有することを特徴とする、[9]に記載のラッパー(6)。
[13]10~30%のクレイを含有することを特徴とする、[9]に記載のラッパー(6)。
[14]0~15%のAl(OH) を含有することを特徴とする、[9]に記載のラッパー(6)。
[15]0%のAl(OH) を含有し、2C.U.未満の多孔度と、5%未満のCaCO 含有量と、少なくとも20%のクレイ含有量とを有することを特徴とする、[9]に記載のラッパー(6)。
【符号の説明】
【0034】
1 紙巻きタバコ
2 マウスピースロッド
2a ベース領域
2b 側面領域
4 タバコロッド
4a ベース領域
4b 側面領域
4c 円形セグメント
6 チップペーパー
8 内側表面
10 外側表面
12 ミシン目
14 印刷
14a 第1の印刷
14b 第2の印刷
L1 長手方向軸
L2 長手方向軸
L 共同の長手方向軸
図1
図2
図3