(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ペグ化ウリカーゼの処方物および用量
(51)【国際特許分類】
A61K 31/436 20060101AFI20240902BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240902BHJP
A61K 38/44 20060101ALI20240902BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20240902BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240902BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20240902BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61K31/436
A61K9/51
A61K38/44
A61K47/60
A61K47/34
A61P19/06
A61P43/00 121
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022011177
(22)【出願日】2022-01-27
(62)【分割の表示】P 2018548079の分割
【原出願日】2017-03-11
【審査請求日】2022-02-28
(32)【優先日】2016-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511254321
【氏名又は名称】セレクタ バイオサイエンシーズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SELECTA BIOSCIENCES,INC.
【住所又は居所原語表記】65 Grove Street,Watertown,MA 02472,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン,ロイド
(72)【発明者】
【氏名】キシモト タカシ ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】コートリールス,ウェルナー
(72)【発明者】
【氏名】サンズ,アール
【審査官】池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/179771(WO,A1)
【文献】Arthritis Rheum. (2008) vol.58, no.9, p.2882-2891
【文献】MICHAEL S HERSHFIELD,ARTHRITIS RESEARCH AND THERAPY,英国,BIOMED CENTRAL,2014年03月07日,VOL:16, NR:2,PAGE(S):R63/1-11,http://dx.doi.org/10.1186/ar4500
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 31/436
A61K 38/44
A61P 19/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
痛風もしくは痛風に関連する状態、高尿酸血症、上昇した血清尿酸レベル、および/または所望されない尿酸蓄積を有する対象を処置する方法における、
ペグシチカーゼと組み合わせた使用のための、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアを含む医薬組成物であって、
ここで前記方法は、対象に、前記
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアを含む医薬組成物を前記
ペグシチカーゼとともに共投与することを含
み、
ここで前記
ペグシチカーゼは、各々の投与毎に
0.2~1.2mg/kgの
ペグシチカーゼの用量で投与され
、ならびに
ここで前記mTOR阻害剤は、ラパログである、前記医薬組成物。
【請求項2】
痛風発赤を予防する方法における、
ペグシチカーゼと組み合わせた使用のための、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアを含む医薬組成物であって、
ここで前記方法は、対象に、前記
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物を前記
ペグシチカーゼとともに共投与することを含
み、
ここで
前記ペグシチカーゼは、0.2~1.2mg/kgのペグシチカーゼの用量で投与され、
ここで前記mTOR阻害剤は、ラパログであり、ならびに
ここで前記対象は、痛風発赤を予防するための追加の治療剤を、共投与と共に投与されない、前記医薬組成物。
【請求項3】
痛風もしくは痛風に関連する状態、高尿酸血症、上昇した血清尿酸レベル、および/または所望されない尿酸蓄積を有する対象を処置する方法における、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアと組み合わせた使用のための、
ペグシチカーゼを含む医薬組成物であって、
ここで前記方法は、対象に、前記
ペグシチカーゼを含む医薬組成物を、前記
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアとともに共投与することを含
み、
ここで前記
ペグシチカーゼを含む医薬組成物は、各々の投与毎に
0.2~1.2mg/kgの
ペグシチカーゼの用量で投与され
、ならびに
ここで前記mTOR阻害剤は、ラパログである、前記医薬組成物。
【請求項4】
痛風発赤を予防する方法における、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアと組み合わせた使用のための、
ペグシチカーゼを含む医薬組成物であって、
ここで前記方法は、対象に、前記
ペグシチカーゼを含む医薬組成物を、前記
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアとともに共投与することを含
み、
ここで
前記ペグシチカーゼは、0.2~1.2mg/kgのペグシチカーゼの用量で投与され、
ここで前記mTOR阻害剤は、ラパログであり、ならびに
ここで前記対象は、痛風発赤を予防するための追加の治療剤を、共投与と共に投与されない、前記医薬組成物。
【請求項5】
対象が、痛風発赤を予防するための追加の治療剤の共投与なしでの痛風治療による処置から、痛風発赤を有していたかまたはこれを有するようになると予測されるものと同定される、請求項1~
4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
共投与が、対象において少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回行われる、請求項1~
5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
i)
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリア、および、
ペグシチカーゼが、2~4週間毎に共に投与される;
ii)
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリア、および、
ペグシチカーゼが、1か月毎に投与される;または
iii)
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリア、および、
ペグシチカーゼが、少なくとも3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間またはそれより長くにわたり、1か月毎に投与される、請求項1~
6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
i)
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアが、各々の投与毎に0.05~0.5mg/kgの
mTOR阻害剤の用量で投与される;
ii)
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアが、各々の投与毎に0.05mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.125mg/kg、0.15mg/kg、0.2mg/kg、0.25mg/kg、0.3mg/kg、0.35mg/kg、0.4mg/kg、0.45mg/kg、もしくは0.5mg/kgの
mTOR阻害剤の用量で投与される;
iii)
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアが、各々の投与毎に0.55~6.5mg/kgの用量で投与され、ここで用量は、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアのmgとして与えられる;または
iv)
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアが、各々の投与毎に0.55mg/kg、0.65mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、3.0mg/kg、3.5mg/kg、4.0mg/kg、4.5mg/kg、5.0mg/kg、5.5mg/kg、6.0mg/kg、もしくは6.5mg/kgの用量で投与され、ここで用量は、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアのmgとして与えられる、
請求項1~
7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ペグシチカーゼが、各々の投与毎
に0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kgの
ペグシチカーゼの用量で投与される、請求項1~
8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
i)
ペグシチカーゼが、1回以上の共投与の後で、
mTOR阻害剤なしで、少なくとも1回、対象に投与される、および/または、
ペグシチカーゼが、1回以上の共投与の後で、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアなしで、少なくとも1回、対象に投与される;
ii)
ペグシチカーゼが、1回以上の共投与の後で、
mTOR阻害剤なしで、少なくとも1回、対象に投与される、および/または、
ペグシチカーゼが、1回以上の共投与の後で、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアなしで、少なくとも1回、対象に投与され、
ここで前記
ペグシチカーゼは、1回以上の共投与の後で、少なくとも2回、少なくとも3回、4回、5回またはそれより多く投与される;
iii)
ペグシチカーゼが、1回以上の共投与の後で、
mTOR阻害剤なしで、少なくとも1回、対象に投与される、および/または、
ペグシチカーゼが、1回以上の共投与の後で、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアなしで、少なくとも1回、対象に投与され、
ここで前記
ペグシチカーゼは、1回以上の共投与の後で、1か月毎に、2か月にわたり投与される;あるいは
iv)
ペグシチカーゼが、1回以上の共投与の後で、
mTOR阻害剤なしで、少なくとも1回、対象に投与される、および/または、
ペグシチカーゼが、1回以上の共投与の後で、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアなしで、少なくとも1回、対象に投与され、
ここで前記
ペグシチカーゼは、1回以上の共投与の後で、各々の投与毎
に0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kgの
ペグシチカーゼの用量で、
mTOR阻害剤なしで投与される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアが、各々の共投与毎に、
ペグシチカーゼの前に投与される、および/または、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリア、および、
ペグシチカーゼが、各々の共投与毎に、互いの1時間以内に投与される、請求項1~
10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
対象が、急性痛風;痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない慢性痛風;特発性痛風;慢性難治性痛風などの難治性痛風;続発性痛風;不特定痛風;心血管の状態、腎臓の状態、肺の状態、神経学的状態、眼の状態、皮膚科学的状態または肝臓の状態に関連する痛風を有するか;あるいは、痛風発作または痛風発赤を有していたかである、請求項1~
11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ラパログが、ラパマイシンである、請求項1~
12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
mTOR阻害剤が、合成ナノキャリア中に封入される、請求項1~
13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
i)合成ナノキャリアが、ポリマー性合成ナノキャリアである;
ii)合成ナノキャリアが、ポリマー性合成ナノキャリアであり、かつポリマー性合成ナノキャリアが、疎水性ポリエステルを含む;
iii)合成ナノキャリアが、ポリマー性合成ナノキャリアであり、かつポリマー性合成ナノキャリアが、疎水性ポリエステルを含み、ここで疎水性ポリエステルが、PLA、PLG、PLGA、もしくはポリカプロラクトンを含む;
iv)合成ナノキャリアが、ポリマー性合成ナノキャリアであり、かつポリマー性合成ナノキャリアが、疎水性ポリエステルを含み、ここでポリマー性合成ナノキャリアがさらに、PEGを含む;
v)合成ナノキャリアが、ポリマー性合成ナノキャリアであり、かつポリマー性合成ナノキャリアが、疎水性ポリエステルを含み、ここで疎水性ポリエステルが、PLA、PLG、PLGA、もしくはポリカプロラクトンを含み、およびここでポリマー性合成ナノキャリアがさらに、PEGを含む;
vi)合成ナノキャリアが、ポリマー性合成ナノキャリアであり、かつポリマー性合成ナノキャリアが、疎水性ポリエステルを含み、ここで疎水性ポリエステルが、PLA、PLG、PLGA、もしくはポリカプロラクトンを含み、ここでポリマー性合成ナノキャリアがさらに、PEGを含み、およびここでPEGが、PLA、PLG、PLGA、もしくはポリカプロラクトンに抱合している;あるいは
vii)合成ナノキャリアが、ポリマー性合成ナノキャリアであり、ここでポリマー性合成ナノキャリアが、PLA、PLG、PLGA、またはポリカプロラクトン、およびPLA、PLG、PLGA、もしくはポリカプロラクトンに抱合しているPEGを含むか、あるいは、ポリマー性合成ナノキャリアが、PLAおよびPLA-PEGを含む、
請求項1~
14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
i)合成ナノキャリアの動的光散乱を用いて得られる粒子サイズ分布の平均が、120nmより大きい、150nmより大きい、200nmより大きい、または250nmより大きい直径である;あるいは
ii)合成ナノキャリアの動的光散乱を用いて得られる粒子サイズ分布の平均が、120nmより大きいまたは150nmより大きい直径であり、かつ、300nmより小さい、250nmより小さい、または200nmより小さい直径である、
請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
合成ナノキャリアの
mTOR阻害剤の負荷量が、7~12重量%または8~12重量%、7~10重量%または8~10重量%、あるいは、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、または12重量%である、請求項1~
16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアの投与および
ペグシチカーゼの投与の各々が、静脈内投与または静脈内注入である、請求項1~
17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
i)方法がさらに、追加の治療剤を対象に投与することを含む;
ii)方法がさらに、追加の治療剤を対象に投与することを含み、ここで追加の治療剤が、経口痛風治療剤である;
iii)方法がさらに、追加の治療剤を対象に投与することを含み、ここで追加の治療剤が、1回以上の共投与の後で、少なくとも1回、
mTOR阻害剤なしで投与されるか、またはここで追加の治療剤が、1回以上の共投与の後で、少なくとも2回、少なくとも3回、4回、5回もしくはそれより多く、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアなしで投与される;
iv)方法がさらに、追加の治療剤を対象に投与することを含み、ここで追加の治療剤が、経口痛風治療剤であり、ここで追加の治療剤が、1回以上の共投与の後で、
mTOR阻害剤なしで、少なくとも1回、投与されるか、またはここで追加の治療剤が、1回以上の共投与の後で、少なくとも2回、少なくとも3回、4回、5回もしくはそれより多く、
mTOR阻害剤を含む合成ナノキャリアなしで投与される;
v)方法がさらに、追加の治療剤を対象に投与することを含み、ここで追加の治療剤が、抗痛風発赤処置である;あるいは
vi)方法がさらに、追加の治療剤を対象に投与することを含み、ここで追加の治療剤が、抗痛風発赤処置であり、かつここで抗痛風発赤処置が、各々の
ペグシチカーゼと共に、しかしこれの投与の前に投与される予防的処置である、および/または、ここで抗痛風発赤処置が、コルヒチンもしくはNSAIDである、
請求項1~
18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
合成ナノキャリアが、PLA、PLA-PEGを含むポリマー性合成ナノキャリアおよびラパマイシンを含む;
ここで、該PLA、PLA-PEGを含むポリマー性合成ナノキャリアおよびラパマイシンを含む前記合成ナノキャリアは、0.05mg/kg~0.3mg/kgのラパマイシンの用量で投与される、ならびに
ペグシチカーゼの用量が、
0.2mg/kg~0.5mg/kgである、請求項1~
19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
合成ナノキャリアが、ラパマイシンを含むポリマー性合成ナノキャリ
ア;か
つペグシチカーゼを含む、
ここで、ポリマー性合成ナノキャリアを含む前記合成ナノキャリアは、0.05mg/kg~0.3mg/kgのラパマイシンの用量で投与される、および
前記
ペグシチカーゼの用量は、
0.2mg/kg~0.5mg/k
gである、請求項1~
19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2016年3月11日に出願された米国仮出願62/307,412;2016年5月22日に出願された62/339,944;2016年6月6日に出願された62/346,348;2016年9月21日に出願された62/397,832;2016年9月22日に出願された62/398,422;2016年10月3日に出願された62/403,664;2016年12月6日に出願された62/430,547;および2017年1月5日に出願された62/442,948の、35 U.S.C.§119下における優先権の利益を主張し、これらの仮出願の各々の全内容は、本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
本明細書において提供されるのは、ウリカーゼ組成物および/または免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物に関連する方法および組成物およびキットである。また本明細書において提供されるのは、高尿酸血症、痛風または痛風に関連する状態を有する対象を含む、対象の処置のための、および痛風発赤を予防するための、方法および組成物およびキットである。
【発明の概要】
【0003】
抗薬物抗体(ADA)の発生は、生物学的製剤(biotherapeutic)処置の失敗および有害な過敏反応の一般的な原因である。免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、ウリカーゼを含む組成物に対する免疫寛容を誘導すること;ウリカーゼ含有組成物の効力の改善をもたらすことができることが示されている。改善された効力は、少なくとも、他の処置と比較して著しくより早い速度の血清尿酸レベルの経時的な低下により示されている。また、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、ウリカーゼを含む組成物と共に(concomitantly)投与される場合に、他の処置と比較して、痛風発赤の発生率を著しく低下させることができることも示されている。本明細書において提供されるような免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物は、有効に、かつ耐久的(durably)に(例えば少なくとも30日間にわたり)、血清尿酸レベルを低下させる、および/または痛風発赤の発生率を低下させるために用いることができる。
【0004】
本明細書において提供されるのは、本明細書において提供されるウリカーゼを含む組成物のうちのいずれか1つを、単独で、または本明細書において提供される免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物のうちのいずれか1つと組み合わせて、対象に投与することを含む方法である。また本明細書において提供されるのは、痛風発赤を予防する方法であって、該方法は、対象に、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物とウリカーゼを含む組成物とを共投与することを含み、例えばここでは、痛風発赤を予防するための追加の治療剤は、当該共投与と共には投与されない。いくつかの態様において、対象は、痛風発赤を予防するための追加の治療剤の共投与なしでの痛風治療による処置から、痛風発赤を有していたかまたはこれを有するようになると予測されるものと同定される。対象は、それを必要としていてもよい。対象は、本明細書において記載される対象のうちのいずれであってもよい。
【0005】
また本明細書において提供されるのは、痛風または痛風に関連する状態を有する対象を処置する方法であって、該方法は、本明細書において提供されるウリカーゼを含む組成物を、単独で、または本明細書において提供される免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物のうちのいずれか1つと組み合わせて投与することを含む。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、本明細書において提供されるウリカーゼを含む組成物は、単独で、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物のいずれか1つとまたは組み合わせて、対象に反復投与することができる。対象は、それを必要とする対象であってもよい。対象は、本明細書において記載される対象のうちのいずれか1つであってもよい。
【0006】
一側面において、痛風または痛風に関連する状態を有するヒト対象を処置する方法が提供され、該方法は、ウリカーゼおよび薬学的に許容し得るキャリアを含む組成物を対象に投与することを含む。一態様において、投与は、非筋肉内の投与の様式を介するものである。一態様において、ウリカーゼおよび薬学的に許容し得るキャリアを含む組成物は、1回より多く対象に投与される。一態様において、ウリカーゼおよび薬学的に許容し得るキャリアを含む組成物は、2回より多く、3回より多く、または4回より多く、対象に投与される。一態様において、ウリカーゼおよび薬学的に許容し得るキャリアを含む組成物は、2~4週間毎に投与される。一態様において、ウリカーゼおよび薬学的に許容し得るキャリアを含む組成物は、1か月毎に投与される。一態様において、ウリカーゼおよび薬学的に許容し得るキャリアを含む組成物は、免疫抑制剤を含む組成物と共に投与される。
【0007】
一側面において、痛風または痛風に関連する状態を有する対象を処置する方法が提供され、該方法は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物とウリカーゼを含む組成物とを対象に共投与することを含む。
【0008】
また本明細書において提供されるのは、痛風発赤を経験し得る対象を処置する方法であって、該方法は、本明細書において提供されるウリカーゼを含む組成物のうちのいずれか1つを、本明細書において提供される免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物のうちのいずれか1つと組み合わせて投与することを含む。一側面において、対象において痛風発赤を予防する方法であって、該方法は、対象免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物とウリカーゼを含む組成物とを共投与することを含む。一態様において、対象は、前記共投与と共には、抗痛風発赤治療剤などの痛風発赤を予防するための追加の治療剤を投与されない。いくつかの態様において、対象は、前記共投与と共には、コルヒチンまたはNSAIDを投与されない。一態様において、対象は、尿酸を低下させる治療剤などの痛風治療剤による処置から、痛風発赤を有していたかまたはこれを有するようになると予測されるものと同定される。一態様において、対象は、痛風発赤を予防するための追加の治療剤の共投与なしで、痛風発赤を有していたかまたはこれを有するようになると予測されるものと同定される。
【0009】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、共投与は、1回より多く対象において行われる。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、共投与は、対象において、少なくとも2回(例えば少なくとも3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回または10回)行われる。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物とウリカーゼを含む組成物とは、2~4週間毎に共に投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物とウリカーゼを含む組成物とは、1か月毎に、共に投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物とウリカーゼを含む組成物とは、1か月毎に、少なくとも3か月間(例えば4、5、6、7、7、8、9、10か月間またはそれより長く)にわたり、共に投与される。
【0010】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、ウリカーゼを含む組成物は、各々の共投与などの各々の投与毎に0.1mg/kg~1.2mg/kgのウリカーゼの表示用量において、投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、ウリカーゼを含む組成物は、各々の共投与などの各々の投与毎に0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、または1.2mg/kgのウリカーゼの表示用量において、投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、ウリカーゼを含む組成物は、各々の共投与などの各々の投与毎に0.2~0.4mg/kgのウリカーゼの表示用量において、投与される。
【0011】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、各々の共投与毎に0.05mg/kg~0.5mg/kgの免疫抑制剤の表示用量において、投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、各々の共投与毎に0.05mg/kg、0.07mg/kg、0.075mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.125mg/kg、0.15mg/kg、0.2mg/kg、0.25mg/kg、0.3mg/kg、0.35mg/kg、0.4mg/kg、0.45mg/kg、または0.5mg/kgの免疫抑制剤の表示用量において、投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、各々の共投与毎に0.075~0.2mg/kgまたは0.08~0.125mg/kgの免疫抑制剤の表示用量において、投与される。
【0012】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、各々の共投与毎に0.5mg/kg~6.5mg/kgの表示用量において投与され、ここで、用量は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアのmgとして与えられる。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、各々の共投与毎に0.55mg/kg、0.6mg/kg、0.65mg/kg、0.7mg/kg、0.75mg/kg、0.8mg/kg、0.85mg/kg、0.9mg/kg、0.95mg/kg、1.0mg/kg、1.10mg/kg、1.125mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、3.0mg/kg、3.5mg/kg、4.0mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、5.5mg/kg、6.0mg/kg、または6.5mg/kgの表示用量において投与され、ここで、用量は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアのmgとして与えられる。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、各々の共投与毎に0.6~2.5mg/kg、0.7~2.5mg/kg、0.8~2.5mg/kg、0.9~2.5mg/kg、1.0~2.5mg/kg、1.5~2.5mg/kg、または2.0~2.5mg/kgの表示用量において投与され、ここで、用量は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアのmgとして与えられる。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、各々の共投与毎に0.65~2.5mg/kg、0.65~2.0mg/kg、0.65~1.5mg/kg、または0.65~1.0mg/kgの表示用量において投与され、ここで、用量は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアのmgとして与えられる。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、各々の共投与毎に0.75~2.0mg/kg、0.8~1.5mg/kg、0.9~1.5mg/kgまたは1~2mg/kgの表示用量において投与され、ここで、用量は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアのmgとして与えられる。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、各々の共投与毎に0.9~2mg/kgまたは1~1.5mg/kgの表示用量において投与され、ここで、用量は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアのmgとして与えられる。
【0013】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、方法はさらに、ウリカーゼを含む組成物を、共投与(単数または複数)の後で、免疫抑制剤を含む組成物など(免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物など)の追加の治療剤の共投与なしで、少なくとも1回(例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10回またはそれより多く)、対象に投与することを含む。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、方法はさらに、ウリカーゼを含む組成物を、共投与(単数または複数)の後で、少なくとも2回投与することを含む。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、方法はさらに、ウリカーゼを含む組成物を、各々の投与の共投与(単数または複数)の後で、免疫抑制剤を含む組成物など(免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物など)の追加の治療剤の共投与なしで、1か月毎に、2か月間にわたり投与することを含む。いくつかの態様において、ウリカーゼを含む組成物は、1回以上の共投与の後で、免疫抑制剤なしで、各々の投与毎に0.1~1.2mg/kgのウリカーゼの表示用量において、投与される。いくつかの態様において、ウリカーゼを含む組成物は、1回以上の共投与の後で、免疫抑制剤なしで、各々の投与毎に0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kgのウリカーゼの表示用量において投与される。
【0014】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、例えば各々の共投与毎に、ウリカーゼを含む組成物の前に投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物は、互いの1時間以内に投与される。
【0015】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、対象には、追加の痛風治療剤などの追加の治療剤(痛風発赤を予防するものなど)は投与されない。これらの態様のうちの一態様において、追加の痛風治療剤などの追加の治療剤(痛風発赤を予防するものなど)は、各々の共投与と共には投与されない。
本明細書において提供される方法、組成物またはキットのいずれか1つは、本明細書において提供される対象のうちのいずれか1つを処置するために用いることができる。
【0016】
本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、対象は、上昇した血清尿酸レベルを有する。本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、対象は、≧5mg/dLの血清尿酸レベルを有する。本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、対象は、≧6mg/dLの血清尿酸レベルを有する。本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、対象は、≧7mg/dLの血清尿酸レベルを有する。本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、対象は、高尿酸血症;急性痛風;痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない慢性痛風;特発性痛風;難治性痛風;続発性痛風;不特定(unspecified)痛風;心血管の状態、腎臓の状態、肺の状態、神経学的状態、眼の状態、皮膚科学的状態または肝臓の状態に関連する痛風を有するか、またはこれを有するリスクがあるか;あるいは、痛風発作または痛風発赤を有していたかである。本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、対象は、尿酸を低下させる治療剤などの痛風治療剤(ウリカーゼを含む組成物など)による処置から、痛風発赤を有するようになると予測される。本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、対象は、a)痛風結節、b)過去6か月間以内の痛風発赤、およびc)慢性痛風性関節症のうちの少なくとも1つを有する痛風を有する。
【0017】
本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、ウリカーゼは、ペグ化ウリカーゼである。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、ペグ化ウリカーゼは、ペグシチカーゼ(pegsiticase)またはペグロチカーゼである。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、ペグ化ウリカーゼは、ペグシチカーゼである。
本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤は、合成ナノキャリア中に封入される。
【0018】
本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤は、mTOR阻害剤である。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、mTOR阻害剤は、ラパログ(rapalog)である。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、ラパログは、ラパマイシンである。
【0019】
本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアは、ポリマー性合成ナノキャリアである。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、ポリマー性合成ナノキャリアは、疎水性ポリエステルを含む。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、疎水性ポリエステルは、PLA、PLG、PLGAまたはポリカプロラクトンを含む。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、ポリマー性合成ナノキャリアはさらに、PEGを含む。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、PEGは、PLA、PLG、PLGAまたはポリカプロラクトンに抱合している。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、ポリマー性合成ナノキャリアは、PLA、PLG、PLGAまたはポリカプロラクトン、およびPLA、PLG、PLGAまたはポリカプロラクトンに抱合しているPEGを含む。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、ポリマー性合成ナノキャリアは、PLAおよびPLA-PEGを含む。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアは、本明細書において提供される例示される方法のうちのいずれか1つに従って記載されるか、またはそれにより得ることができるものである。
【0020】
本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアの動的光散乱を用いて得られる粒子サイズ分布の平均は、120nmより大きい直径である。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、直径は、150nmより大きい。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、直径は、200nmより大きい。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、直径は、250nmより大きい。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、直径は、300nmより小さい。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、直径は、250nmより小さい。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、直径は、200nmより小さい。
【0021】
本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアの免疫抑制剤の負荷量は、7~12重量%または8~12重量%である。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアの免疫抑制剤の負荷量は、7~10重量%または8~10重量%である。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアの免疫抑制剤の負荷量は、9~11重量%である。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアの免疫抑制剤の負荷量は、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%または12重量%である。
【0022】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、各々の投与は、静脈内投与である。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、静脈内投与は、静脈内注入である。
【0023】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、方法はさらに、追加の治療剤を対象に投与することを含む。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、追加の治療剤は、副腎皮質ステロイドなどの抗炎症治療剤である。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、追加の治療剤は、経口痛風治療剤などの痛風治療剤である。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、追加の治療剤は、その後投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、追加の治療剤は、ウリカーゼ組成物(単数または複数)および合成ナノキャリア組成物(単数または複数)の共投与による処置の完了の後に、例えば本明細書において提供されるレジメンのいずれか1つに従って投与される。
【0024】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、追加の治療剤は、抗痛風発赤処置である。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、抗痛風発赤処置は、各々のウリカーゼ組成物と共に、しかしこれの投与の前に投与される予防的処置であって、例えば本明細書において提供されるレジメンのいずれか1つにより投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、抗痛風発赤処置は、コルヒチンまたはNSAIDである。
【0025】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、追加の治療剤は、副腎皮質ステロイドであり、副腎皮質ステロイドは、共に、例えば各々のウリカーゼ組成物の投与の前に共に、例えば本明細書において提供されるレジメンのうちのいずれか1つに従って、投与される。
【0026】
別の側面において、方法は、本明細書において記載される対象のうちのいずれかに、表示用量を含む本明細書において提供される用量のうちのいずれか1つでウリカーゼおよび薬学的に許容し得るキャリアを含む組成物を、1回以上(例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10回またはそれより多く)投与することを含む。いくつかの態様において、少なくとも1回の投与または各々の投与は、非筋肉内の投与の様式を介するものである。いくつかの例において、少なくとも1回の投与または各々の投与は、静脈内注入などの静脈内投与である。いくつかの態様において、ウリカーゼおよび薬学的に許容し得るキャリアを含む組成物は、2週間に1回または4週間に1回に投与される。いくつかの態様において、ウリカーゼおよび薬学的に許容し得るキャリアを含む組成物は、1か月毎に投与される。いくつかの態様において、ウリカーゼおよび薬学的に許容し得るキャリアを含む組成物は、本明細書において記載される免疫抑制剤を含む組成物のうちのいずれか1つと共に投与される。
【0027】
一側面は、ウリカーゼを、単独で、または免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む1つ以上の組成物と組み合わせて含む、1つ以上の組成物を含む、組成物またはキットである。ウリカーゼを含む各々の組成物は、組成物またはキットのうちのいずれか1つにおける、本明細書において提供されるようなウリカーゼを含む組成物のうちのいずれか1つであってもよい。ウリカーゼを含む各々の組成物は、組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて、本明細書において提供されるようなウリカーゼのいずれか1つ以上の用量(表示用量を含む)を提供するような量であってもよい。ウリカーゼを含む各々の組成物は、組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて、凍結乾燥形態であってもよい。免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む各々の組成物は、組成物またはキットのうちのいずれか1つにおける、本明細書において提供されるような免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物のうちのいずれか1つであってもよい。免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む各々の組成物は、組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて、本明細書において提供されるような免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアまたは免疫抑制剤のいずれか1つ以上の用量(表示用量を含む)を提供するような量であってもよい。免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む各々の組成物は、組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて、凍結乾燥形態であってもよい。免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む各々の組成物は、組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて、凍結懸濁液であってもよい。組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、凍結懸濁液はさらに、リン酸緩衝化食塩水(PBS)を含む。組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、凍結乾燥形態はさらに、PBSおよび/またはマンニトールを含む。組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、組成物またはキットはさらに、0.9%塩化ナトリウム、USPを含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、DECTを用いて可視化した痛風結節/尿酸蓄積を示す画像である。
【
図2】
図2は、SEL-212の構成成分の模式図である。
【
図3】
図3は、非ヒト霊長類における、空のナノキャリア+ペグシチカーゼ、またはペグシチカーゼ+0.1×もしくは1×のラパマイシンを含む合成ナノキャリア(SVP-ラパマイシン)による処置の後の、ADAレベルのグラフである。
【
図4】
図4は、第1a相臨床治験の5つのコホートにおける、ペグシチカーゼの単回静脈内注入の後の平均血清尿酸(sUA)レベルのグラフである。
【
図5】
図5は、第1a相臨床治験のコホート#3ならびに第1b相臨床治験におけるコホート#9、コホート#4、およびコホート#6における各対象についての、血清尿酸レベルおよびウリカーゼ特異的ADAレベルを示すグラフによる説明である。
【0029】
【
図6】
図6は、第1a相臨床からのコホート#3ならびに第1b相臨床治験からのコホート#9、コホート#1、コホート#2、コホート#3、コホート#4、コホート#5およびコホート#6の血清尿酸レベルを示すグラフである。
【
図7】
図7は、左から右へ、2回の反復Kystexxa(登録商標)治験からのデータを示し、中央は、SVP-ラパマイシン単独、対ペグシチカーゼ単独(コホート#9)および次いで、ラパマイシン単独、対コホート#6(SEL-212コホート)のデータである。
【
図8】
図8は、ペグシチカーゼにより、単独で、またはラパマイシンを含む合成ナノキャリア(SVP-ラパマイシン)(0.1または0.3mg/kg)と組み合わせて処置された対象の血清尿酸レベルを示すグラフによる説明である。
【
図9】
図9は、第2相臨床治験のための用量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
A.概略
痛風は、有痛かつ身体に障害を与える可能性があり、過剰な尿酸からもたらされると考えられている。加えて、高濃度の尿酸、例えば血清尿酸は、心血管、心血管代謝、関節および腎臓の疾患を含む併存症のリスクを増大する可能性がある。米国および欧州連合において、それぞれ約830万および1000万人の痛風罹患者が存在する。
【0031】
本明細書において示されるとおり、ペグシチカーゼは、尿酸レベルが上昇している対象において、尿酸の血清濃度を安全に低下させることを見出した。本明細書において例示されるとおり、ペグシチカーゼの単回静脈内注入の効果は、22人の対象全員において、約10時間以内に、著しく低下した血清尿酸レベルをもたらした。しかし、血清尿酸レベルは、患者の大多数において、投与の後14~21日間でリバウンドした。いかなる特定の理論によっても拘束されることなく、このことは、ADAの形成に起因すると考えられる。
【0032】
野生型マウス、ウリカーゼ欠損(ノックアウト)マウス、ラットおよびカニクイザルを含む多数の種において、ラパマイシンを含むPLA-PEGナノ粒子が、ペグ化ウリカーゼペグシチカーゼと共投与された場合に、ペグシチカーゼ特異的な免疫寛容を誘導し、有効かつ耐久性の血清尿酸レベル低下をもたらすことを見出した。
【0033】
この驚くべき耐久性の有効性に加えて、別の驚くべき結果が認められた。尿酸低下治療の開始に続いて起こりえる痛風発赤の合併症(Mikuls T.R.:Urate-Lowering Therapy、Firestein G.S.、Budd R.C.、Harris E.D.、McInnes I.B.、Ruddy S.およびSergent J.S.(編):Kelley's Textbook of Rheumatology、第8版中、Philadelphia, PA:Elsevier Saunders、2009年)が、例2および3において記載されるとおり研究された対象において著しく減少した。
【0034】
ペグロチカーゼ治験(第1、2および3相)は、一方、治療の最初の2か月間において、痛風発赤の増加をもたらした。急性痛風発赤は、ペグロチカーゼを用いる場合に極めて一般的であった。ペグロチカーゼの第2相治験において、研究対象の88%が、3か月間の研究の間に、1回以上の発赤を報告した(Sundy JS、Becker MA、Baraf HSら、Reduction of plasma urate levels following treatment with multiple doses of pegloticase (polyethylene glycol-conjugated uricase) in patients with treatment-failure gout: results of a phase II randomized study. Arthritis Rheum. 2008;58:2882-2891)。6か月間の期間にわたり実施された2回の第3相治験において、痛風発赤予防薬(コルヒチンまたはNSAID)の投与にもかかわらず、患者の80%において最初の3か月間において痛風発赤が報告された(John S. Sundy, MD, PhD; Herbert S. B. Baraf, MD; Robert A. Yood, MD; et al. Efficacy and Tolerability of Pegloticase for the Treatment of Chronic Gout in Patients Refractory to Conventional Treatment Two Randomized Controlled Trials. JAMA. 2011;306(7):711-720)。
【0035】
同様に、例2において記載される第1相においてペグシチカーゼを単独で投与した場合、痛風の病歴を有した患者のうちの57%(7人の患者のうちの4人)が、研究薬を投与された後の最初の1か月において、痛風発赤の兆候を有した(表1、例3)。しかし対照的に、例3において記載される第2相治験において、ラパマイシンを含むPLA/PLA-PEG合成ナノキャリアをペグシチカーゼと共投与した場合、痛風の病歴を有した対象(63人の登録患者のうちの16人)において、1回のみの痛風発赤が報告された(表2、例3)。この対象は、ラパマイシン含有ナノキャリアのみ(ウリカーゼなし)を投与されたコホート中にあった。痛風の前診断を有していなかったもう1人の対象が、処置後の発赤を報告した。この患者の血清尿酸レベルは、薬物投与の後90分以内に8.8mg/dLから0.1mg/dLに低下した。したがって、この対象は、研究の前に、無兆候性の高尿酸血症のみを診断されていたが、発赤は、血清尿酸の低下と一致すると考えられた。
【0036】
第2相研究もまた行われた(例3)。この研究は、安全性および耐容性を評価するために、ラパマイシンを含むPLA/PLA-PEG合成ナノキャリアの複数回のIV注入を、ペグシチカーゼと一緒に投与することを含む。38人の対象を無作為化して投与し、8人の対象が、痛風発赤を罹患したと報告した(表3、例3)。
【0037】
対象の発赤率を、ペグロチカーゼ治験における発赤率と比較した。痛風発赤予防薬を投与された対象について、48回の処置周期にわたり、全2回の発赤が起こった。これは、処置周期1回あたり0.04回の発赤、言い換えれば、患者1人あたり1か月あたり0.04回の発赤の頻度に等しいといえる。対照的に、第3相ペグロチカーゼ治験(John S. Sundy, MD, PhD; Herbert S. B. Baraf, MD; Robert A. Yood, MD; et al. Efficacy and Tolerability of Pegloticase for the Treatment of Chronic Gout in Patients Refractory to Conventional TreatmentTwo Randomized Controlled Trials. JAMA. 2011;306(7):711-720)は、以下を報告した:最初の3か月間にわたり、2週間に1回のペグロチカーゼを投与された85人の患者について、患者1人あたり2.3回の発赤、および最初の3か月間にわたり、1か月に1回のペグロチカーゼを投与された84人の患者について、患者1人あたり2.7回の発赤。これらの数は、それぞれ、患者1人あたり1か月あたり0.77および0.9回の発赤の発赤頻度に等しい。
【0038】
2つのプライマリーブランドの(primary branded)経口尿酸低下薬であるフェブキソスタットおよびレシヌラドを用いて、さらなる比較を行った。第3相の無作為化した盲検の多施設治験からのデータに基づいて(Michael A. Becker, M.D., H. Ralph Schumacher, Jr., M.D., Robert L. Wortmann, M.D., Patricia A. MacDonald, B.S.N., N.P., Denise Eustace, B.A., William A. Palo, M.S., Janet Streit, M.S., and Nancy Joseph-Ridge, M.D. Febuxostat Compared with Allopurinol in Patients with Hyperuricemia and Gout. N Engl J Med 2005; 353:2450-2461December 8, 2005)、80mg/日の用量は、255人のうち、少なくとも1回の痛風発赤のための処置を必要とする55人の対象をもたらした。このことは、患者1人あたり1か月あたり少なくとも0.22回、および場合によってはそれより多くの発赤の発赤頻度に等しいであろう。120mg/日の用量において、250人の対象のうちの90人が、少なくとも1回の痛風発赤のための処置を必要とし、これは、患者1人あたり1か月あたり少なくとも0.36回、、および場合によってはそれより多くの発赤の発赤頻度に等しい。
【0039】
なおさらなる比較を行った。レシヌラドの効力および耐容性を評価するための第2相の無作為化された二重盲検研究の間(Perez -Ruiz F, Sundy JS, Miner JN for the RDEA594-203 Study Group, et al. Lesinurad in combination with allopurinol: results of a phase 2, randomised, double-blind study in patients with gout with an inadequate response to allopurinol, Annals of the Rheumatic Diseases 2016;75:1074-1080)、処置を必要とする痛風発赤は、毎日200mgで投与されたものにおいては、1か月間において46人の患者のうちの10人において、毎日400mgで投与されたものにおいては、1か月間において42人の患者のうちの13人において、および毎日600mgで投与されたものにおいては、1か月間において48人の患者のうちの15人において、報告された。このことは、それぞれ、患者1人あたり1か月あたり0.22、0.31および0.31回の発赤の発赤頻度に等しい。前述の比較は、表4、例3において記載される。
【0040】
発赤頻度は、ペグシチカーゼと共投与されたラパマイシン含有ナノキャリアを投与された対象について、他の医薬すべてと比較して、明らかに減少する。この予想外の結果は、他の治療よりも著しくより良好である。このことはまた、ウリカーゼなどの尿酸低下治療への患者のアドヒアランスのための利益を有する。なぜならば、アドヒアランスは、治療の開始の後でリバウンド発赤が起こると、著しく低下するからである(Treatment of chronic gouty arthritis: it is not just about urate-lowering therapy. Schlesinger N - Semin. Arthritis Rheum. - October 1, 2012; 42 (2); 155-65)。
【0041】
研究およびデータ、本明細書において上および他の箇所において提供される例に基づいて、提供される組成物および方法が、現在利用可能な処置よりも実質的により有効であり、ウリカーゼ、例えばペグ化ウリカーゼの送達に関連する所望されない免疫応答を軽減することができ、患者において血清尿酸レベルの強力かつ耐久的な制御を提供することができ、患者のために有痛性かつ傷害性の尿酸蓄積(慢性結節性痛風によるものなど)の除去をもたらすことができ、および/または尿酸低下治療、例えばウリカーゼにより起こり得る痛風発赤のリスクを実質的に軽減または除去することができることを示した。
【0042】
B.定義
「追加の治療剤」とは、本明細書において用いられる場合、別の処置に加えて用いられる任意の治療剤を指す。例えば、方法が、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアによる処置に向けられるものであって、当該方法が、追加の治療剤の使用を含む場合、追加の治療剤は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアに対して加えられるものである。別の例として、方法が、ウリカーゼを含む組成物と免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物との組み合わせによる処置に向けられるものであって、当該方法が、追加の治療剤の使用を含む場合、追加の治療剤は、ウリカーゼと合成ナノキャリア組成物との組み合わせに対して加えられるものである。一般的に、追加の治療剤は、異なる治療剤であろう。追加の治療剤は、他方の治療剤と同じ時間に投与しても、これと異なる時間に投与しても、および/または、これと同じ投与の様式を介して投与しても、これと異なる投与の様式を介して投与してもよい。好ましい態様において、追加の治療剤は、他方の治療剤の有効処置ウィンドウの間に対象に利益を提供するであろう時間および方法において、投与されるであろう。2つの組成物が特定の期間により投与される場合、一般的に、当該期間は、第1の組成物の開始から第2の組成物の開始まで測定される。本明細書において用いられる場合、2つの組成物が1時間以内に投与される場合、例えば、第1の組成物の投与の開始の前の時間は、第2の組成物の投与の開始の約1時間前である。
【0043】
いくつかの態様において、追加の治療剤とは、痛風または痛風に関連する状態の処置のための別の治療剤である。本明細書において用いられる場合、「痛風治療剤」は、投与することができる任意の治療剤であって、痛風を有する対象が、その投与に起因する利益をそれから誘導し得るものである。いくつかの態様において、痛風治療剤は、経口痛風治療剤(すなわち、経口で服用することができるか投与することができる痛風治療剤)である。
【0044】
追加の治療剤は、本明細書において記載されるか当該分野において別段に公知の先に承認された治療剤のうちのいずれか1つであってもよい。いくつかの態様において、追加の治療剤は、尿酸を低下させる治療剤である。かかる治療剤は、対象において、当該治療剤の投与を受けない対象における血清尿酸レベルと比較して、より低い血清尿酸レベルをもたらす任意のものである。かかる尿酸を低下させる治療剤として、ウリカーゼが挙げられる。
【0045】
いくつかの態様において、追加の治療剤は、痛風発赤を予防するための治療剤であり、または本明細書においてまた抗痛風発赤治療剤として言及される。痛風発赤を予防するために用いることができる任意の治療剤が、このクラスの治療剤に含まれる。それらの態様のいくつかにおいて、痛風発赤を予防するための治療剤は、他方の治療剤の投与の前に投与される。いくつかの態様において、痛風発赤を予防するための治療剤は、コルヒチンである。他の態様において、痛風発赤を予防するための治療剤は、NSAIDである。
【0046】
一態様において、本明細書において提供されるような対象のうちのいずれか1つを処置するための方法のいずれか1つまたは組成物またはキットのうちのいずれか1つは、それぞれ、追加の治療剤の投与または追加の治療剤を含んでもよい。別の態様において、本明細書において提供されるような対象のうちのいずれか1つを処置するための方法のいずれか1つまたは組成物またはキットのうちのいずれか1つは、それぞれ、追加の治療剤の投与(もう一方の治療剤の有効処置ウインドウ内のものなど)、または追加の治療剤を含まない。
【0047】
「投与すること」または「投与」または「投与する」とは、対象において薬理学的結果が存在するような様式において、対象に材料を与えることを意味する。これは、直接投与、または別の臨床医もしくは対象自身を含む別の対象に投与を行うように誘導または指示することなどによる間接投与であってもよい。
【0048】
対象への投与のための組成物または用量に関する「有効量」とは、対象において所望される1つ以上の応答をもたらす組成物の量または用量を指す。いくつかの態様において、有効量は、薬力学的有効量である。したがって、いくつかの態様において、有効量は、本明細書において提供されるような所望される治療効果および/または免疫応答のうちの1つ以上をもたらす、本明細書において提供される組成物の任意の量または用量である。この量は、in vitroまたはin vivoでの目的のためのものであってもよい。in vivoでの目的のために、量は、臨床医が、それを必要とする対象のための臨床的利益を有し得ると考えるものであってもよい。本明細書において提供されるような組成物、または表示用量を含む用量のいずれか1つは、有効量におけるものであってもよい。
【0049】
有効な量は、所望されない応答のレベルを低下させることを伴い得るが、いくつかの態様においては、所望されない応答を全て予防することを伴う。有効な量はまた、所望されない応答の発生を遅延させることを伴い得る。有効な量はまた、所望される治療エンドポイントまたは所望される治療結果をもたらす量であってもよい。他の態様において、有効な量は、治療エンドポイントまたは結果などの所望される応答のレベルを増強することを伴い得る。有効な量は、好ましくは、本明細書において提供される対象のうちのいずれか1つにおいて、治療結果またはエンドポイント、および/または処置に対するADAの減少もしくは除去をもたらすか、ならびに/あるいは痛風発赤の予防をもたらす。前述のもののいずれかの達成は、慣用的な方法によりモニタリングすることができる。
【0050】
有効な量は、無論、処置されている特定の対象;状態、疾患または障害の重篤度;年齢、身体的状態、サイズおよび体重を含む個々の患者のパラメーター;処置の期間;同時治療(ある場合は)の性質;特定の投与の経路、および保健の実務家の知識および経験の内の同様の因子に依存するであろう。これらの因子は、当業者に周知であり、慣用的な実験のみを用いて取り組むことができる。最大用量、すなわち、健全な医学的判断に従って最も高い安全な用量が用いられることが一般的に好ましい。しかし、当業者は、患者が、医学的な理由、心理学的な理由のために、または実質的にあらゆる他の理由のために、より低い用量または耐用可能な用量を主張する場合があることを理解するであろう。
【0051】
本発明の組成物のうちのいずれか1つにおける、または本発明の方法のうちのいずれか1つにおいて用いられる構成成分の用量は、組成物中の構成成分の量、投与される対象によって受容されるそれぞれの構成成分の実際の量、または、ラベル上に現れる量(本明細書においてまた表示用量としても言及される)を指し得る。用量は、所望される量(単数または複数)の構成成分を提供する合成ナノキャリアの数に基づいて投与され得る。
【0052】
「付着する(attach)」または「付着している(attached)」または「カップリングする」または「カップリングしている」(など)は、1つの実体(例えば部分)を別の実体に化学的に関係させることを意味する。いくつかの態様において、付着は共有結合性であり、これは、付着が、2つの実体の間の共有結合の存在に関して起こることを意味している。非共有結合の態様において、非共有結合性の付着は、非共有結合相互作用により媒介され、これは、これらに限定されないが、電荷相互作用、アフィニティー相互作用、金属配位、物理的吸着、主客相互作用、疎水性相互作用、TTスタッキング(TT stacking)相互作用、水素結合相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用、磁性相互作用、静電相互作用、双極子-双極子相互作用、および/またはそれらの組み合わせを含む。態様において、封入が、付着の一形態である。
【0053】
「平均」とは、本明細書において用いられる場合、別段に記述されない限り、算術平均を指す。
「共に(concomitantly)」とは、2つ以上の材料/剤を、時間的に相関する、好ましくは、生理学的または免疫学的応答の調節を提供するために時間的に十分に相関する様式において、対象に投与すること、およびさらにより好ましくは、2つ以上の材料/剤は、組み合わせて投与されることを意味する。態様において、併用投与は、2つ以上の材料/剤の、特定の期間内、好ましくは1か月間以内、より好ましくは1週間以内、なおより好ましくは1日以内、およびさらにより好ましくは1時間以内の投与を包含し得る。態様において、2つ以上の材料/剤は、連続的に投与される。態様において、材料/剤は、共に反復投与されてもよい;すなわち、1回より多くの共投与であってもよい。
【0054】
「用量」とは、所与の時間にわたる対象への投与のための薬理学的に活性な材料の特定の量を指す。別段に特定されない限り、ペグ化ウリカーゼを含む組成物について言及される用量は、ウリカーゼの重量(すなわち、ペグ化ウリカーゼを含む組成物のPEGまたは任意の他の構成成分の重量を含まないタンパク質)を指す。また、別段に特定されない限り、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物について言及される用量は、免疫抑制剤の重量(すなわち、合成ナノキャリア材料または合成ナノキャリア組成物の他の構成成分のいずれかの重量を含まないもの)を指す。投与のための用量について言及する場合、本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、本明細書において提供される用量のうちのいずれか1つは、ラベル上に現れるとおりの用量/表示用量である。
【0055】
「封入する」とは、物質の少なくとも一部を合成ナノキャリア中に囲い込むことを意味する。いくつかの態様において、物質は、合成ナノキャリア中に完全に囲い込まれる。他の態様において、封入される物質のうちのほとんどまたは全ては、合成ナノキャリアの外部の局所環境に暴露されない。他の態様において、局所環境に暴露されるのは、50%、40%、30%、20%、10%または5%(重量/重量)以下である。封入は、吸収とは区別し得、吸収は、物質のうちのほとんどまたは全てを合成ナノキャリアの表面上に配置させ、物質を、合成ナノキャリアの外部の局所環境に暴露させたままにする。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの態様においては、免疫抑制剤が、合成ナノキャリア中に封入される。
【0056】
「上昇した血清尿酸レベル」とは、対象の血清中の尿酸の任意のレベルであって、望ましくない結果をもたらし得るか、医師により上昇しているとみなされるであろうものを指す。一態様において、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの対象は、≧5mg/dL、≧6mg/dL、または≧7mg/dLの血清尿酸レベルを有し得る。かかる対象は、高尿酸血症の対象であり得る。対象が上昇した血中尿酸レベルを有するか否かは、医師により決定され得、いくつかの態様においては、対象は、医師が、上昇した血清尿酸レベルを有すると同定したか、そのように同定するであろうものである。
【0057】
「痛風」とは、一般的に、尿酸の蓄積、例えば組織および関節における尿酸の結晶の蓄積、および/または臨床的に関連する上昇した血清尿酸レベルに関連する障害または状態を指す。尿酸の蓄積は、尿酸の過剰産生または尿酸の排出の減少に起因し得る。痛風は、無兆候性から重篤かつ有痛性の炎症性状態までの範囲であり得る。「痛風に関連する状態」とは、対象における任意の状態であって、対象が、炎症および免疫応答を含む局所および/または全身性の痛風の作用を経験し、当該状態が痛風により引き起こされるかまたはこれにより増悪するか、あるいは当該状態が痛風をもたらすかまたはこれを増悪させるものを指す。痛風発赤とは、痛風の症状の「発作」または増悪であって、これは、任意の時点において起こりえる。痛風発赤は、尿酸低下治療の投与の後で起こる痛風発赤を含み得る。
【0058】
「疎水性ポリエステル」とは、1つ以上のポリエステルポリマーまたはその単位を含み、疎水性の特徴を有する、任意のポリマーを指す。ポリエステルポリマーとして、これらに限定されないが、PLA、PLGA、PLGおよびポリカプロラクトンが挙げられる。「疎水性」とは、水への水素結合に実質的に関与しない材料を指す。かかる材料は、一般的に、非極性、本来は非極性、または電荷において中性である。合成ナノキャリアは、疎水性ポリエステルまたはその単位から完全になっていてもよい。しかし、いくつかの態様においては、合成ナノキャリアは、疎水性ポリエステルまたはその単位を、他のポリマーまたはその単位と組み合わせて含む。これらの他のポリマーまたはその単位は、疎水性であってもよいが、必ずしもそうではない。いくつかの好ましい態様において、合成ナノキャリアが、疎水性ポリエステルに加えて1つ以上の他のポリマーまたはその単位を含む場合、他のポリマーまたはその単位と疎水性ポリエステルとのマトリックスは、全体として疎水性である。本発明において用いることができ、疎水性ポリエステルを含む合成ナノキャリアの例は、米国公開番号US 2016/0128986およびUS 2016/0128987において見出すことができ、かかる合成ナノキャリアおよびかかる合成ナノキャリアの開示は、本明細書において参考として援用される。
【0059】
「免疫抑制剤」とは、本明細書において用いられる場合、抗原に特異的な免疫寛容原性免疫応答を引き起こすことができる化合物を意味し、これはまた、本明細書において「免疫抑制効果」として言及される。免疫抑制効果は、一般的に、所望されない免疫応答を阻害もしくは予防するか、または所望される免疫応答、例えば特異的抗原に対する調節性の免疫応答を促進する、抗原提示細胞(APC)によるサイトカインまたは他の因子の産生または発現を指す。APCが、このAPCにより提示される抗原を認識する免疫細胞において、免疫抑制機能を(免疫抑制効果下において)獲得する場合、免疫抑制効果が、提示された抗原に対して特異的であると言われる。免疫抑制剤の例として、「mTOR阻害剤」、mTORを阻害する薬物のクラス、ホスホチジルイノシトール-3キナーゼ(PI3K)関連キナーゼ(PIKK)のファミリーに属するセリン/スレオニン特異的タンパク質キナーゼが挙げられる。mTOR阻害剤として、これらに限定されないが、ラパマイシンなどのラパログ、ならびにmTORC1/mTORC2二重阻害剤などのATP競合的mTORキナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0060】
本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つの態様において、本明細書において提供される免疫抑制剤は、合成ナノキャリアに付着している。好ましい態様において、免疫抑制剤は、合成ナノキャリアの構造を構築する材料に追加される要素である。例えば、一態様において、合成ナノキャリアが1つ以上のポリマーから構築される場合、免疫抑制剤は、当該1つ以上のポリマーに追加されてこれに付着する化合物である。合成ナノキャリアの材料もまた免疫抑制効果をもたらすような態様の場合、免疫抑制剤は、免疫抑制効果をもたらす合成ナノキャリアの材料に追加されて存在する要素である。
【0061】
「負荷量(load)」とは、合成ナノキャリアを含む組成物中に含む場合、例えば合成ナノキャリアにカップリングしている場合、全合成ナノキャリア中の材料の合計の乾燥処方重量に基づく組成物中の免疫抑制剤の量である(重量/重量)。一般的に、かかる負荷量は、合成ナノキャリアの集合全体での平均として計算される。一態様において、合成ナノキャリア全体での平均の負荷量は、0.1%~15%である。別の態様において、負荷量は、0.1%~10%である。さらなる態様において、負荷量は、1%~15%である。さらにさらなる態様において、負荷量は、5%~15%である。なおさらなる態様において、負荷量は、7%~12%である。なおさらなる態様において、負荷量は、8%~12%である。なお別の態様において、負荷量は、7%~10%である。なお別の態様において、負荷量は、8%~10%である。さらにさらなる態様において、負荷量は、合成ナノキャリアの集合全体での平均で5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%である。本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて、ラパマイシンなどの免疫抑制剤の負荷量は、本明細書において提供される負荷量のうちのいずれか1つであってもよい。
【0062】
懸濁液中のナノキャリアのラパマイシン負荷量は、試験物のHPLC分析により決定されるようなナノキャリアのラパマイシン含有量をナノキャリア質量で除算することにより計算される。合計のポリマー含有量は、乾燥ナノキャリア質量の重量測定的収量により、またはナノキャリア溶液の合計の有機物含有量の決定により、薬局方の方法に従って測定され、PVA含有量について補正される。
【0063】
「合成ナノキャリアの最大寸法」は、合成ナノキャリアの任意の軸に沿って測定されるナノキャリアの最大の寸法を意味する。「合成ナノキャリアの最小寸法」は、合成ナノキャリアの任意の軸に沿って測定される合成ナノキャリアの最小の寸法を意味する。例えば、球体の合成ナノキャリアについては、合成ナノキャリアの最大および最小寸法は、実質的に同一であり、その直径のサイズであろう。同様に、立方状の合成ナノキャリアについては、合成ナノキャリアの最小寸法は、その高さ、幅または長さのうちの最小のものであり、一方、合成ナノキャリアの最大寸法は、その高さ、幅または長さのうちの最大のものである。一態様において、試料中の合成ナノキャリアの総数に基づいて、試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、100nmと等しいかこれより大きい。一態様において、試料中の合成ナノキャリアの総数に基づいて、試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、5μmと等しいかこれより小さい。好ましくは、試料中の合成ナノキャリアの総数に基づいて、試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、110nmより大きく、より好ましくは120nmより大きく、より好ましくは130nmより大きく、およびより好ましくは150nmよりなお大きい。合成ナノキャリアの最大および最小寸法のアスペクト比は、態様に依存して変化し得る。例えば、合成ナノキャリアの最小寸法に対する最大寸法のアスペクト比は、1:1~1,000,000:1、好ましくは1:1~100,000:1、より好ましくは1:1~10,000:1、より好ましくは1:1~1000:1、なおより好ましくは1:1~100:1、およびさらにより好ましくは1:1~10:1で変化し得る。
【0064】
好ましくは、試料中の合成ナノキャリアの総数に基づいて、試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、3μm以下、より好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、より好ましくは800nm以下、より好ましくは600nm以下、およびより好ましくはなお500nm以下である。好ましい態様において、試料中の合成ナノキャリアの総数に基づいて、試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、100nm以上、より好ましくは120nm以上、より好ましくは130nm以上、より好ましくは140nm以上、およびより好ましくはなお150nm以上である。合成ナノキャリアの寸法(例えば有効直径)の測定は、いくつかの態様において、合成ナノキャリアを液体(通常は水性)媒体中に懸濁して、動的光散乱(DLS)を用いる(例えばBrookhaven ZetaPALS装置を用いる)ことにより、得ることができる。例えば、合成ナノキャリアの懸濁液を、水性バッファーから精製水中に懸濁して、約0.01~0.5mg/mLの最終の合成ナノキャリア懸濁液濃度を達成することができる。希釈懸濁液は、DLS分析の中で直接的に、またはこれのために好適なキュベットに移して、調製することができる。キュベットを、次いで、DLS中に置き、制御された温度に平衡化させて、次いで、媒体の粘度および試料の屈折率についての適切なインプットに基づいて安定かつ再現性のある分布を得るために十分な時間にわたりスキャンしてもよい。有効直径または分布の平均を、次いで報告する。高アスペクト比の、または非球状の合成ナノキャリアの有効サイズを決定することは、例えばより正確な測定を得るために、電子顕微鏡法などの拡大技術を必要とする場合がある。合成ナノキャリアの「寸法」または「サイズ」または「直径」は、例えば動的光散乱を用いて得られる、粒子サイズ分布の平均を意味する。
【0065】
「ペグ化ウリカーゼ」とは、1つ以上のPEG(ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(オキシエチレン))分子(すなわち、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(オキシエチレン)ポリマーまたはその単位)に付着している任意のウリカーゼを示す。好ましくはいくつかの態様において、1つ以上のPEG分子は、ポリ(エチレングリコール)分子である。用語「ペグ化される」または「ペグ化」とは、それぞれ、ウリカーゼの抱合形態またはウリカーゼへの抱合の作用を指す。かかる修飾ウリカーゼは、ペグ化ウリカーゼとして言及される。ペグ化ウリカーゼとして、これらに限定されないが、ペグシチカーゼおよびペグロチカーゼ(KRYSTEXXA(登録商標))が挙げられる。
【0066】
「薬学的に許容し得る賦形剤」または「薬学的に許容し得るキャリア」は、組成物を処方するために薬理学的に活性な材料と一緒に用いられる、薬理学的に不活性な材料を意味する。薬学的に許容し得る賦形剤は、当該分野において公知の多様な材料を含み、これは、これらに限定されないが、糖(例えばグルコース、ラクトースなど)、抗菌剤などの保存剤、再構成補助剤、着色剤、食塩水(リン酸緩衝化食塩水など)、およびバッファーが挙げられる。本明細書において提供される組成物のうちのいずれか1つは、薬学的に許容し得る賦形剤またはキャリアを含んでもよい。
【0067】
「ラパログ」とは、ラパマイシンおよびラパマイシン(シロリムス)に構造的に関連する分子(アナログ)であって、好ましくは疎水性であるものを指す。ラパログの例として、限定することなく、テムシロリムス(CCI-779)、デフォロリムス、エベロリムス(RAD001)、リダフォロリムス(AP-23573)、ゾタロリムス(ABT-578)が挙げられる。ラパログのさらなる例は、例えば、WO公開WO 1998/002441および米国特許第8,455,510号において見出すことができ、かかるラパログの開示は、本明細書においてその全体において参考として援用される。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて、免疫抑制剤は、ラパログであってもよい。
【0068】
「対象」とは、ヒトおよび霊長類などの温血哺乳動物;鳥類;ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマおよびブタなどの家内飼育動物または家畜動物;マウス、ラットおよびモルモットなどの研究動物;魚類;爬虫類;動物園および野生動物などを含む動物を意味する。本明細書において提供される方法、組成物およびキットのうちのいずれか1つにおいて、対象は、ヒトである。本明細書において提供される方法、組成物およびキットのうちのいずれか1つにおいて、対象は、本明細書において提供される対象のうちのいずれか1つ、例えば、痛風または痛風に関連する他の状態などの、本明細書において提供される状態うちのいずれか1つを有する対象である。
【0069】
「合成ナノキャリア(単数または複数)」とは、天然においては見出されない個別の物体であって、その少なくとも1つの寸法がサイズが5マイクロン以下であるものを意味する。合成ナノキャリアは、多様な異なる形状であってよく、これは、これらに限定されないが、球状、立方状、錐体状、長方形、円柱状、ドーナツ状などを含む。合成ナノキャリアは、1つ以上の表面を含む。
【0070】
合成ナノキャリアは、これらに限定されないが、1つまたは複数の脂質ベースのナノ粒子(本明細書においてまた脂質ナノ粒子、すなわち、それらの構造を構成する材料の大部分が脂質であるナノ粒子として言及される)、ポリマー性ナノ粒子、金属ナノ粒子、界面活性剤ベースのエマルション、デンドリマー、フラーレン(buckyball)、ナノワイヤ、ウイルス様粒子(すなわち、主にウイルスの構造タンパク質から構成されるが、感染性ではないか、低い感染性を有する粒子)、ペプチドまたはタンパク質ベースの粒子(本明細書においてまたタンパク質粒子、すなわち、それらの構造を構成する材料の大部分がペプチドまたはタンパク質である粒子として言及される)(アルブミンナノ粒子など)、および/またはナノ材料の組み合わせを用いて開発されたナノ粒子、例えば脂質-ポリマーナノ粒子であってもよい。合成ナノキャリアは、多様な異なる形状であってよく、これは、これらに限定されないが、球状、立方状、錐体状、長方形、円柱状、ドーナツ状などを含む。合成ナノキャリアの例として、以下が挙げられる:(1)Grefらへの米国特許第5,543,158号において開示される生分解性ナノ粒子、(2)Saltzmanらへの公開された米国特許出願20060002852のポリマー性ナノ粒子、(3)DeSimoneらへの公開された米国特許出願20090028910のリソグラフィーにより構築されたナノ粒子、(4)von AndrianらへのWO 2009/051837の開示、(5)Penadesらへの公開された米国特許出願2008/0145441において開示されるナノ粒子、(6)P. Paolicelliら、「Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles」、Nanomedicine. 5(6):843-853 (2010)において開示されるナノ沈殿したナノ粒子、および(7)Lookら、「Nanogel-based delivery of mycophenolic acid ameliorates systemic lupus erythematosus in mice」J. Clinical Investigation 123(4):1741-1749(2013)のもの。
【0071】
合成ナノキャリアは、約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有していてもよく、補体を活性化するヒドロキシル基を有する表面を含まないか、代替的に、補体を活性化するヒドロキシル基ではない部分から本質的になる表面を含む。一態様において、100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する合成ナノキャリアは、補体を実質的に活性化する表面を含まないか、または代替的に、補体を実質的に活性化しない部分から本質的になる表面を含む。より好ましい態様において、本発明による、100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する合成ナノキャリアは、補体を活性化する表面を含まないか、または代替的に、補体を活性化しない部分から本質的になる表面を含む。態様において、合成ナノキャリアは、ウイルス様粒子を除外する。態様において、合成ナノキャリアは、1:1、1:1.2、1:1.5、1:2、1:3、1:5、1:7より大きい、または1:10より大きいアスペクト比を有していてもよい。
【0072】
「処置すること」とは、対象が、当該投与に起因して生じる利益を有し得ることを期待しての、1つ以上の治療剤の投与を指す。処置することはまた、本明細書において提供されるような状態の予防をもたらし得、したがって、処置することとは、予防的処置を含む。予防的に用いられる場合、対象は、臨床医が、本明細書において提供されるような状態または他の所望されない応答の発生の可能性があると予測する対象である。いくつかの態様において、痛風発赤を有することが予測される対象は、臨床医が、痛風発赤が起こるであろう可能性があると考える対象である。処置することは、直接的であっても、別の医師または対象自身を含む別の対象に、対象を処置するように誘導または指示することなどによる、間接的なものであってもよい。
【0073】
「重量%(weight%)」または「重量%(% by weight)」とは、1つの重量の、別の重量に対する比に、100を掛けたものを指す。例えば、重量%は、1つの構成成分の重量の、別のものに対する比に100を掛けたもの、または1つの構成成分の重量の、1つより多くの構成成分の合計重量に対する比に100を掛けたものであってもよい。一般的に、重量%は、合成ナノキャリアの集合全体での平均、または組成物もしくは懸濁液中での合成ナノキャリア全体での平均として測定される。
【0074】
C.方法および関連する組成物
本明細書において別の箇所において言及されるとおり、提供される組成物および方法は、現在利用可能な処置よりも実質的により有効であり、ペグ化ウリカーゼなどの治療剤の送達に関連する所望されない免疫応答を軽減することができ、患者において強力かつ耐久的な血清尿酸レベルの制御を提供することができ、患者にとって有痛性かつ傷害性の尿酸蓄積(例えば慢性結節性痛風によるもの)の除去を提供することができ、および/または痛風発赤の発生率を実質的に低下させることができることを示した。
【0075】
具体的には、ラパマイシンなどの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが、ペグ化ウリカーゼ、例えばペグシチカーゼなどの治療剤に対する耐久的な免疫寛容を誘導することができることを見出した。いくつかの態様において、提供される方法および組成物は、所望されない免疫応答を克服して、尿酸レベルを制御することにおけるウリカーゼベースの処置の有効性を最適化することができ、および、結果として、尿酸結晶の効果的な分解および除去を可能にする。また、ここで提供される方法および組成物は、痛風発赤予防的処置があってもなくても、痛風発赤の発生の著しい減少をもたらすことができることを見出した。
【0076】
ウリカーゼおよびペグ化ウリカーゼ
本発明において記載される方法および組成物およびキットは、ウリカーゼを含む組成物に関連する。ウリカーゼは、一般的に、尿酸のアラントインへの変換を触媒すると考えられる。アラントインは、可溶性であり、排出され得る。ウリカーゼは、ヒトおよび特定の霊長類を除いて、全ての哺乳動物にとって内因性の酵素である。ウリカーゼ酵素をコードする遺伝子は、当該分野において公知の任意のソースから得ることができ、これは、哺乳動物および微生物のソース、ならびに組み換えおよび合成技術によるものを含む。当業者には明白であろうが、遺伝子は、標準的な方法を用いて、ソースから入手して、別の生物において組み換えにより(または遺伝子導入により)発現および産生させることができる。例えば、Erlich, H A(編)(1989年)PCR Technology. Principles and Applications for DNA Amplification. New York: Stockton Press;Sambrook, Jら、(1989年)Molecular Cloning. A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor, N.Y.: Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照。例えば、米国特許第5,700,674号は、E. coli細胞におけるウリカーゼの組み換え産生を記載する。いくつかの態様において、酵素は、E. coliにおける発酵により産生される。
【0077】
いくつかの態様において、ウリカーゼをコードする遺伝子、またはその一部分は、哺乳動物、例えばブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ヒヒ、サル、マウス、ウサギまたは家畜動物から得られる。いくつかの態様において、ウリカーゼをコードする遺伝子、またはその一部分は、微生物、例えば細菌または真菌(酵母を含む)から得られる。いくつかの態様において、ウリカーゼをコードする遺伝子は、細菌のソース、例えばStreptomyces種、Bacillus種に属する細菌、またはE. coliから得られる。いくつかの態様において、ウリカーゼをコードする遺伝子は、真菌(酵母を含む)のソース、例えばCandida(例えばCandida utilis)、Anthrobacter(例えばAnthrobacter globiformis)、Saccharomyces、Schizosaccaromyces、Emericella、Aspergillus(例えばAspergillus flavus)、およびNeurospora種から得られる。いくつかの態様において、ウリカーゼは、Candida utilisに由来する。いくつかの態様において、ウリカーゼは、ペグシチカーゼのものである(米国特許第6,913,915号において記載されるような3SBio、およびかかるウリカーゼおよびその記載は、本明細書において参考として援用される)。いくつかの態様において、ウリカーゼは、Aspergillus flavusに由来する。いくつかの態様において、ウリカーゼは、rasbウリカーゼ(ELITEK(登録商標);FASTURTEC(登録商標)、Sanofi Genzyme製)である。
【0078】
いくつかの態様において、ウリカーゼは、キメラウリカーゼであり、ここで、ウリカーゼをコードする遺伝子の一部は、異なるソースから得られる。例えば、キメラウリカーゼをコードする遺伝子の一部分を1つの生物から得、当該キメラウリカーゼをコードする遺伝子の1つ以上の他の部分を別の生物から得てもよい。いくつかの態様において、キメラウリカーゼをコードする遺伝子の一部分をブタから得、当該キメラウリカーゼをコードする遺伝子の別の部分をヒヒから得る。いくつかの態様において、キメラウリカーゼは、ペグロチカーゼ/KRYSTEXXA(登録商標)のものである。
【0079】
また本発明の範囲内であるのは、バリアントウリカーゼであり、これは、1つ以上の変異(置換、挿入、欠失)を含んでもよい。変異は、ウリカーゼタンパク質をコードするヌクレオチド配列において行うことができ、これは、アミノ酸変異をもたらしても、これをもたらさなくてもよい。一般的に、変異は、例えば、タンパク質の産生、タンパク質またはタンパク質をコードするmRNAの代謝回転/半減期を増強するため、ウリカーゼの酵素活性を調節する(増強するかまたは低下させる)ために行うことができる。
他の態様において、ウリカーゼをコードする遺伝子は、植物または無脊椎動物のソース、例えばDrosophilaまたはC. elegansから得られる。
【0080】
本明細書において記載されるウリカーゼタンパク質のいずれかは、ペグ化されていてもよい。ウリカーゼは、例えばPark et al, Anticancer Res., 1:373-376 (1981);ならびにZaplipskyおよびLee、Polyethylene Glycol Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications, J. M. Harris編、Plenum Press、New York、第21章(1992年)により記載されるような当該分野において公知の方法を用いて、生体適合性の連結基を介してPEGに共有結合していてもよい。PEGをウリカーゼに共有結合により付着させるために用いられる連結基は、任意の生体適合性の連結基であってよく。これは、非毒性の連結基であって、in vitroまたはin vivoで、有害効果を引き起こすことなく利用することができるものを意味する。あるいは、PEGはウリカーゼに直接、例えばウリカーゼのリジン残基に直接、抱合していてもよい。
【0081】
ウリカーゼは、ウリカーゼタンパク質の多くの異なるアミノ酸残基において、ペグ化することができる。PEG分子および/またはPEGが抱合している残基の数は、ウリカーゼの活性に影響を及ぼし得る。いくつかの態様において、ペグ化ウリカーゼは、少なくとも1つのPEG分子を含む。いくつかの態様において、ペグ化ウリカーゼは、ウリカーゼタンパク質1つあたりの平均で少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50個、またはそれより多くのPEG分子を含む。いくつかの態様において、ペグ化ウリカーゼは、ウリカーゼタンパク質1つあたり約20~25個のPEG分子を含む。
【0082】
平均すると、PEGは、5kDa~100kDaの分子量を有する。用いられるPEGの分子量(サイズ)ならびにウリカーゼをペグ化するために用いられるPEG分子の数は、いずれも変化し得る。いくつかの態様において、PEGの平均分子量は、5kDa~100kDa、5kDa~75kDa、5kDa~50kDa、5kDa~30kDa、5kDa~20kDa、5kDa~10kDa、10kDa~75kDa、10kDa~50kDa、10kDa~30kDa、5kDa~30kDa、15kDa~50kDa、15kDa~30kDa、15kDa~25kDa、20kDa~75kDa、30kDa~80kDa、30kDa~70kDaまたは30kDa~50kDaである。いくつかの態様において、PEGの分子量は、約5kDa、6kDa、7kDa、8kDa、9kDa、10kDa、11kDa、12kDa、13kDa、14kDa、15kDa、16kDa、17kDa、18kDa、19kDa、20kDa、21kDa、22kDa、23kDa、24kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa、80kDa、85kDa、90kDa、95kDaまたは100kDaである。一般的に、PEGは、PEGの分子量に基づいて言及される。例えば、PEG-20とは、20kDaの分子量を有するPEG分子を指し、PEG-5とは、5kDaの分子量を有するPEG分子を指す。いくつかの態様において、ウリカーゼは、20kDaの分子量を有するPEG分子(PEG-20)でペグ化される。
【0083】
ペグ化ウリカーゼとして、限定することなく、ペグシチカーゼ(3Sbioから入手可能であり、米国特許第6,913,915号において記載されるとおりであり、かかるペグ化ウリカーゼおよびその記載は、本明細書において参考として援用される)およびペグロチカーゼ/KRYSTEXXA(登録商標)(Horizon Pharmaceuticals)が挙げられる。
【0084】
好ましくは、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、ペグ化ウリカーゼは、ペグシチカーゼ、複数の20kDaの分子量のポリ(エチレングリコール)分子に抱合した組み換えウリカーゼである。ペグシチカーゼのウリカーゼ構成成分は、酵母Candida utilisからクローニングして、E. coliにおいて産生のために発現させることができる。
ペグ化ウリカーゼを含むウリカーゼの尿酸触媒活性は、当該分野において公知であるか、本明細書において別段に提供される方法を用いて評価することができる。
【0085】
合成ナノキャリア
多様な合成ナノキャリアを用いることができる。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、球体または球状体である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、扁平または板状である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、立方体または立方状である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、卵円または楕円である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、円柱、円錐または錐体である。
【0086】
いくつかの態様において、サイズまたは形状が比較的均一であって、したがって各々の合成ナノキャリアが類似の特性を有する、合成ナノキャリアの集合を用いることが望ましい。例えば、合成ナノキャリアの合計数に基づいて、合成ナノキャリアの少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、合成ナノキャリアの平均直径または平均寸法の5%、10%または20%以内に該当する最小寸法または最大寸法を有していてもよい。
【0087】
合成ナノキャリアは、中実であっても中空であってもよく、1つ以上の層を含んでもよい。いくつかの態様において、各々の層は、他の層(単数または複数)と比較して固有の組成物および固有の特性を有する。単なる一例を挙げると、合成ナノキャリアは、コアが1つの層であり(例えばポリマー性のコア)、シェルが第2の層である(例えば脂質二重層または単層)、コア/シェル構造を有していてもよい。合成ナノキャリアは、複数の異なる層を含んでもよい。
【0088】
好ましい態様において、合成ナノキャリアは、本明細書において提供されるようなポリマーを含む。ポリマーは、天然または非天然(合成)ポリマーであってもよい。ポリマーは、2つ以上のモノマーを含む、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。配列に関して、コポリマーは、ランダムであっても、ブロックであっても、またはランダム配列とブロック配列の組み合わせを含んでもよい。典型的には、本発明によるポリマーは、有機ポリマーである。
【0089】
本明細書において提供されるような合成ナノキャリアは、好ましくは、疎水性ポリエステルを含む。かかるポリエステルは、乳酸およびグリコール酸単位を含むコポリマー、例えば、本明細書において集合的に「PLGA」として参照されるポリ(乳酸-コ-グリコール酸)およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド);ならびに本明細書において「PGA」として参照されるグリコール酸単位を含むホモポリマー、および本明細書において集合的に「PLA」として参照される、乳酸単位を含むホモポリマー、例えばポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチドおよびポリ-D,L-ラクチドを含んでもよい。いくつかの態様において、例示的なポリエステルとして、例えば、ポリヒドロキシ酸;PEGコポリマーおよびラクチドとグリコリドとのコポリマー(例えばPLA-PEGコポリマー、PGA-PEGコポリマー、PLGA-PEGコポリマー)、およびそれらの誘導体が挙げられる。いくつかの態様において、ポリエステルとして、例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)-PEGコポリマー、ポリ(L-ラクチド-コ-L-リジン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリ[α-(4-アミノブチル)-L-グリコール酸]、およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0090】
いくつかの態様において、ポリエステルは、PLGAであってもよい。PLGAは、乳酸とグリコール酸との生体適合性かつ生分解性のコポリマーであり、PLGAの多様な形態が、乳酸:グリコール酸の比により特徴づけられる。乳酸は、L-乳酸、D-乳酸、またはD,L-乳酸であってもよい。PLGAの分解速度は、乳酸:グリコール酸の比を変更することにより調整することができる。いくつかの態様において、本発明により用いられるべきPLGAは、約85:15、約75:25、約60:40、約50:50、約40:60、約25:75または約15:85の乳酸:グリコール酸の比により特徴づけられる。
【0091】
合成ナノキャリアは、これもまた疎水性である1つ以上の非ポリエステルポリマーもしくはその単位、および/または疎水性でないポリマーもしくはその単位を含んでもよい。いくつかの態様において、総体的な合成ナノキャリアが、疎水性ポリエステルを含むこと、およびいくつかの態様においては、それ自体が疎水性であることが好ましい。
【0092】
合成ナノキャリアは、非メトキシ末端のプルロニックポリマーまたはその単位である、1つ以上のポリマーを含んでもよい。「非メトキシ末端ポリマー」とは、メトキシ以外の部分で終結する少なくとも1つの末端を有するポリマーを意味する。いくつかの態様において、ポリマーは、メトキシ以外の部分で終結する少なくとも2つの末端を有する。他の態様において、ポリマーは、メトキシで終結する末端を有さない。「非メトキシ末端のプルロニックポリマー」とは、両方の末端にメトキシを有する直鎖状プルロニックポリマー以外のポリマーを意味する。
【0093】
合成ナノキャリアは、いくつかの態様において、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、シリコーン、フルオロポリマー、またはその単位を含んでもよい。本明細書において提供される 合成ナノキャリアにおいて含まれてもよいポリマーのさらなる例として、ポリカーボネート、ポリアミド、またはポリエーテル、またはそれらの単位が挙げられる。他の態様において、合成ナノキャリアのポリマーは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリプロピレングリコール、またはそれらの単位を含んでもよい。
【0094】
いくつかの態様において、合成ナノキャリアが、生分解性であるポリマーを含むことが好ましい。したがって、かかる態様において、合成ナノキャリアのポリマーは、ポリエーテル、例えばポリ(エチレングリコール)、またはポリプロピレングリコール、またはそれらの単位を含んでもよい。加えて、ポリマーは、ポリマーが生分解性となるように、ポリエーテルと生分解性ポリマーとのブロックコポリマーを含んでもよい。他の態様において、ポリマーは、ポリエーテルまたはその単位、例えばポリ(エチレングリコール)、またはポリプロピレングリコール、またはそれらの単位のみを含むものではない。
いくつかの態様において、本発明によるポリマーは、米国食品医薬品局(FDA)により、21 C.F.R.§177.2600下において、ヒトにおける使用のために承認されているポリマーを含む。
【0095】
合成ナノキャリアにおける使用のために好適なポリマーの他の例として、これらに限定されないが、ポリエチレン、ポリカーボネート(例えばポリ(1,3-ジオキサン-2オン))、ポリ無水物(例えばポリ(セバシン酸無水物))、ポリプロピルフメレート(fumerate)、ポリアミド(例えばポリカプロラクタム)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えばポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチド-コ-グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酸(例えばポリ(β-ヒドロキシアルカノエート)))、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレア、ポリスチレン、およびポリアミン、ポリリジン、ポリリジン-PEGコポリマー、およびポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレンイミン)-PEGコポリマーが挙げられる。
【0096】
合成ナノキャリア中に含めることができるなお他の例として、以下が挙げられる:アクリル酸ポリマー、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、グリシジルメタクリレートコポリマー、ポリシアノアクリレート、および前述のポリマーのうちの1つ以上を含む組み合わせ。
【0097】
いくつかの態様において、合成ナノキャリアのポリマーは、会合してポリマー性マトリックスを形成する。広範なポリマーおよびそれらからポリマー性マトリックスを形成させるための方法が、従来から公知である。いくつかの態様において、疎水性ポリエステルを含む合成ナノキャリアは、合成ナノキャリア内に疎水性環境を有する。
【0098】
いくつかの態様において、ポリマーは、1つ以上の部分および/または官能基で修飾されていてもよい。多様な部分または官能基を、本発明により用いることができる。いくつかの態様において、ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)で、炭水化物で、および/または多糖から誘導されるアクリル酸ポリアセタール(Papisov, 2001, ACS Symposium Series, 786:301)で修飾されていてもよい。ある態様は、Grefらへの米国特許第5543158号またはVon AndrianらへのWO公開WO2009/051837の一般的教示を用いて行うことができる。
【0099】
いくつかの態様において、ポリマーは、脂質または脂肪酸基で修飾されていてもよい。いくつかの態様において、脂肪酸基は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、またはリグノセリン酸のうちの1つ以上であってもよい。いくつかの態様において、脂肪酸基は、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファ-リノール酸、ガンマ-リノール酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはエルカ酸のうちの1つ以上であってもよい。
【0100】
いくつかの態様において、ポリマーは、直鎖状または分枝状のポリマーであってもよい。いくつかの態様において、ポリマーは、デンドリマーであってもよい。いくつかの態様において、ポリマーは、互いに実質的に架橋されていてもよい。いくつかの態様において、ポリマーは、実質的に架橋を含まなくともよい。いくつかの態様において、ポリマーは、架橋のステップを行うことなく、本発明により用いることができる。合成ナノキャリアは、前述のおよび他のポリマーのいずれかのブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ブレンド、混合物、および/または付加体を含んでもよいことが、さらに理解されるべきである。当業者は、本明細書において列記されるポリマーが、所望される基準を満たすことを前提として、本発明により使用することができるポリマーの例示的なリストを代表するものであり、包括的なものではないことを理解するであろう。
【0101】
これらのおよび他のポリマーの特性、ならびにこれらを調製するための方法は、当該分野において周知である(例えば、米国特許6,123,727号;同第5,804,178号;同第5,770,417号;同第5,736,372号;同第5,716,404号;同第6,095,148号;同第5,837,752号;同第5,902,599号;同第5,696,175号;同第5,514,378号;同第5,512,600号;同第5,399,665号;同第5,019,379号;同第5,010,167号;同第4,806,621号;同第4,638,045号および同第4,946,929号;Wang et al., 2001, J. Am. Chem. Soc., 123:9480;Lim et al., 2001, J. Am. Chem. Soc., 123:2460;Langer, 2000, Acc. Chem. Res., 33:94;Langer, 1999, J. Control. Release, 62:7;およびUhrich et al., 1999, Chem. Rev., 99:3181を参照)。より一般的に、特定の好適なポリマーを合成するための多様な方法は、Concise Encyclopedia of Polymer Science and Polymeric Amines and Ammonium Salts、Goethals編、Pergamon Press、1980年;Odian著、Principles of Polymerization、John Wiley & Sons、第4版、2004年;Allcockら著、Contemporary Polymer Chemistry、Prentice-Hall、1981年;Deming et al., 1997, Nature, 390:386において、ならびに米国特許6,506,577号、同第6,632,922号、同第6,686,446号および同第6,818,732号において記載される。
【0102】
合成ナノキャリアは、当該分野において公知の広範な方法を用いて調製することができる。例えば、合成ナノキャリアは、ナノ沈殿、流体チャネルを用いるフローフォーカス(flow focusing)、スプレー乾燥、シングルおよびダブルエマルション溶媒蒸発、溶媒抽出、相分離、粉砕(凍結粉砕を含む)、超臨界流体(超臨界二酸化炭素など)プロセッシング、マイクロエマルション手法、マイクロファブリケーション、ナノファブリケーション、犠牲層、単純および複合コアセルベーションなどの方法、ならびに当業者に周知の他の方法により、形成させることができる。代替的に、または加えて、単分散半導体、伝導性、磁性、有機性、および他のナノ材料のための、水性および有機性の溶媒合成が記載されている(Pellegrino et al., 2005, Small, 1:48; Murray et al., 2000, Ann. Rev. Mat. Sci., 30:545;およびTrindade et al., 2001, Chem. Mat., 13:3843)。さらなる方法は、文献において記載されている(例えば、Doubrow編、「Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy」、CRC Press、Boca Raton、1992年;Mathiowitz et al., 1987, J. Control. Release, 5:13;Mathiowitz et al., 1987, Reactive Polymers, 6:275;およびMathiowitz et al., 1988, J. Appl. Polymer Sci., 35:755;米国特許第5578325号および同第6007845号;P. Paolicelliら「Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles」、Nanomedicine. 5(6):843-853 (2010)を参照)。
【0103】
免疫抑制剤は、望ましい場合、C. Asteteら、「Synthesis and characterization of PLGA nanoparticles」、J. Biomater. Sci. Polymer Edn、第17巻第3号、pp. 247-289(2006年);K. Avgoustakis 「Peglyated Poly(Lactide) and Poly(Lactide-Co-Glycolide) Nanoparticles: Preparation, Properties and Possible Applications in Drug Delivery」Current Drug Delivery 1:321-333 (2004);C. Reis et al., 「Nanoencapsulation I. Methods for preparation of drug-loaded polymeric nanoparticles」Nanomedicine 2:8- 21 (2006);P. Paolicelli et al., 「Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles」Nanomedicine. 5(6):843-853 (2010)
を含むがこれらに限定されない多様な方法を用いて、合成ナノキャリア中に封入することができる。材料を合成ナノキャリア中に封入するために好適な他の方法を用いてもよく、これは、限定することなく、2003年10月14日に発行されたUngerへの米国特許第6,632,671号において開示される方法を含む。
【0104】
ある態様において、合成ナノキャリアは、ナノ沈殿プロセスまたはスプレー乾燥により調製される。合成ナノキャリアを調製することにおいて用いられる条件は、所望されるサイズまたは特性(例えば疎水性、親水性、外部の形態学、「粘着性(stickiness)」、形状など)の粒子を得るために変更してもよい。合成ナノキャリアを調製する方法および用いられる条件(例えば溶媒、温度、濃度、気流速度など)は、合成ナノキャリアおよび/またはキャリアマトリックスの組成物中に含められるべき材料に依存し得る。
上の方法のうちのいずれかにより調製される合成ナノキャリアが、所望される範囲外のサイズ範囲を有する場合、かかる合成ナノキャリアは、例えば篩を用いて、サイズ調整することができる。
【0105】
好ましくは、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、合成ナノキャリアは、PLAおよびPLA-PEGからなる合成ナノキャリアを含むものである。PLAは、より広範なポリ(乳酸コグリコール酸)またはPLGAの一部であり、これは、30年間を超える市販の使用を有する生分解性ポリマーのファミリーであり、多数の承認された製品における処方構成成分である。ポリエチレングリコールまたはPEGは、臨床治験において広く研究されてきたものであり、また、多数の承認された生物学的製品における処方構成成分である。
【0106】
例として、ラパマイシンを含む合成ナノキャリアは、以下の方法のうちの1つにより生成されるか、またはこれにより得ることができるものである:
1)0.41dL/gの固有粘度を有するPLAを、Evonik Industries(Rellinghauser Strase 1-11 45128 Essen, Germany)から購入する(製品コードResomer Select 100 DL 4A)。約5,000Daのメチルエーテル末端PEGブロックおよび0.50DL/gの総固有粘度を有するPLA-PEG-OMeブロックコポリマーを、Evonik Industries(Rellinghauser Straβe 1-11 45128 Essen, Germany)から購入する(製品コードResomer Select 100 DL mPEG 5000(15wt%のPEG)。ラパマイシンを、Concord Biotech Limited(1482-1486 Trasad Road, Dholka 382225, Ahmedabad India)購入する(製品コードSIROLIMUS)。EMPROVE(登録商標)ポリビニルアルコール4-88、USP(85~89%加水分解されたもの、3.4~4.6mPa・s粘度)を、MilliporeSigma(EMD Millipore, 290 Concord Road Billerica, Massachusetts 01821)から購入する(製品コード1.41350)。ダルベッコのリン酸緩衝化食塩水1×(DPBS)を、Lonza(Muenchensteinerstrasse 38, CH-4002 Basel, Switzerland)から購入する(製品コード17-512Q)。モノパルミチン酸ソルビタンを、Croda International (300-A Columbus Circle, Edison, NJ 08837)から購入する(製品コードSPAN 40)。溶液は、以下のとおり調製される。溶液1は、PLAを150mg/mLで、およびPLA-PEG-Omeを50mg/mLで、ジクロロメタン中で溶解することにより調製する。溶液2は、ラパマイシンを100mg/mLでジクロロメタン中で溶解することにより調製する。溶液3は、SPAN 40を50mg/mLでジクロロメタン中で溶解することにより調製する。溶液4は、PVAを75mg/mLで100mMのリン酸バッファー(pH8)中で溶解することにより調製する。O/Wエマルションは、溶液1(0.50mL)、溶液2(0.12mL)、溶液3(0.10mL)、およびジクロロメタン(0.28mL)を、厚壁ガラス製圧力管中に加えることにより調製する。組み合わせた有機相溶液を、次いで、繰り返しのピペッティングにより混合する。この混合物に、溶液4(3mL)を添加する。圧力管を、次いで、10秒間にわたりボルテックス混合する。次に、粗エマルションを、1/8"テイパードチップを備えたBranson Digital Sonifier 250を用いて、1分間にわたる30%の振幅における超音波処理によりホモジェナイズし、圧力管を氷水槽中に浸漬する。エマルションを次いで、DPBS(30mL)を含む50mLビーカーに加える。これを、ナノキャリアが形成するように、室温で2時間にわたり撹拌してジクロロメタンを蒸発させる。ナノキャリアの一部を、ナノキャリア懸濁液を遠心管に移して75,600×gで4℃で50分間にわたり遠心して、上清を取り除き、ペレットを0.25%w/vのPVAを含むDPBS中で再懸濁することにより洗浄する。洗浄の手順を繰り返し、ペレットを、0.25%w/vのPVAを含むDPBS中で、ナノキャリア懸濁液の名目上の濃度がポリマーに基づいて10mg/mLに達するように再懸濁する。ナノキャリア懸濁液を、次いで、MilliporeSigma(EMD Millipore, 290 Concord Rd. Billerica MA、製品コードSLGP033RB)製の0.22μmのPESメンブレンシリンジフィルターを用いてろ過する。ろ過したナノキャリア懸濁液を、-20℃で貯蔵する。
【0107】
2)0.41dL/gの固有粘度を有するPLAを、Evonik Industries(Rellinghauser Strase 1-11 45128 Essen, Germany)から購入する(製品コードResomer Select 100 DL 4A)。約5,000Daのメチルエーテル末端PEGブロックおよび0.50DL/gの総固有粘度を有するPLA-PEG-OMeブロックコポリマーを、Evonik Industries(Rellinghauser Straβe 1-11 45128 Essen, Germany)から購入する(製品コードResomer Select 100 DL mPEG 5000(15wt%のPEG)。ラパマイシンを、Concord Biotech Limited(1482-1486 Trasad Road, Dholka 382225, Ahmedabad India)から購入する(製品コードSIROLIMUS)。モノパルミチン酸ソルビタンを、Sigma-Aldrich(3050 Spruce St., St. Louis, MO 63103)から購入する(製品コード388920)。EMPROVE(登録商標)ポリビニルアルコール(PVA)4-88、USP(85~89%加水分解されたもの、3.4~4.6mPa・sの粘度)を、MilliporeSigma(EMD Millipore, 290 Concord Road Billerica, Massachusetts 01821)から購入する(製品コード1.41350)。ダルベッコのリン酸緩衝化食塩水1×(DPBS)を、Lonza (Muenchensteinerstrasse 38, CH-4002 Basel, Switzerland)から購入する(製品コード17-512Q)。溶液は、以下のとおり調製される:溶液1:ポリマー、ラパマイシン、およびモノパルミチン酸ソルビタン混合物は、PLAを37.5mg/mLで、PLA-PEG-Omeを12.5mg/mLで、ラパマイシンを8mg/mLで、およびモノパルミチン酸ソルビタンを2.5で、ジクロロメタン中で溶解することにより調製する。溶液2:ポリビニルアルコールは、100mMのpH8リン酸バッファー中で50mg/mLで調製する。O/Wエマルションは、溶液1(1.0mL)および溶液2(3mL)を小さいガラス圧力管中で組み合わせて、10秒間にわたりボルテックス混合することにより調製する。処方物を、次いで、1/8"テイパードチップおよび氷水槽中に浸漬した圧力管を備えたBranson Digital Sonifier 250を用いて、1分間にわたる30%の振幅における超音波処理によりホモジェナイズする。エマルションを、次いで、DPBS(15mL)を含む50mLビーカーに加え、アルミニウムホイルで被覆する。第2のO/Wエマルションを、上と同じ材料および方法を用いて調製し、次いで、DPBS(15mL)のフレッシュなアリコートを用いて、同じビーカーに加える。次いで組み合わせたエマルションの被覆を外し、室温で2時間にわたり撹拌してジクロロメタンを蒸発させ、ナノキャリアを形成させる。ナノキャリアの一部を、ナノキャリア懸濁液を遠心管に移して、75,600×gおよび4℃で50分間遠心分離し、上清を取り除き、0.25%w/vのPVAを含むDPBS中でペレットを再懸濁することにより洗浄する。洗浄の手順を繰り返し、次いで、ペレットを、0.25%w/vのPVAを含むDPBS中で、ナノキャリア懸濁液の名目上の濃度がポリマーに基づいて10mg/mLに達するように再懸濁する。ナノキャリア懸濁液を、次いで、MilliporeSigma(EMD Millipore, 290 Concord Rd. Billerica MA、製品コードSLGP033RB)製の0.22μmのPESメンブレンシリンジフィルターを用いてろ過する。ろ過したナノキャリア懸濁液を、次いで-20℃で貯蔵する。
【0108】
免疫抑制剤
本明細書において提供されるような任意の免疫抑制剤を、提供される方法または組成物のうちのいずれか1つにおいて、いくつかの態様においては、合成ナノキャリアに付着させて、用いることができる。免疫抑制剤として、これらに限定されないが、mTOR阻害剤が挙げられる。mTOR阻害剤の例として、ラパマイシンおよびラパログ(例えばCCL-779、RAD001、AP23573、C20-メタアリルラパマイシン(C20-Marap)、C16-(S)-ブチルスルホンアミドラパマイシン(C16-BSrap)、C16-(S)-3-メチルインドールラパマイシン(C16-iRap)(Bayle et al. Chemistry & Biology 2006、13:99-107))、AZD8055、BEZ235(NVP-BEZ235)、クリソファン酸(クリソファノール)、デフォロリムス(MK-8669)、エベロリムス(RAD0001)、KU-0063794、PI-103、PP242、テムシロリムス、およびWYE-354(available from Selleck、Houston、TX、USA)が挙げられる。
【0109】
好ましくは、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、免疫抑制剤は、ラパマイシンである。かかる態様のいくつかにおいて、ラパマイシンは、好ましくは、合成ナノキャリア中に封入されている。ラパマイシンは、ヒトにおける広範な以前の使用を有し、現在FDAにより13歳以上の腎臓移植患者における臓器拒絶の予防のために承認されている免疫抑制剤である、ラパミューンの活性成分である。
【0110】
合成ナノキャリアにカップリングされる場合、合成ナノキャリア全体における材料の総乾燥処方重量(重量/重量)に基づく、合成ナノキャリアにカップリングされる免疫抑制剤の量は、本明細書において別の箇所で記載されるとおりである。好ましくは、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、ラパマイシンまたはラパログなどの免疫抑制剤の負荷量は、7重量%~12重量%または8重量%~12重量%である。
【0111】
投与
本明細書において別段に特定されない限り、本明細書において提供される、ペグ化ウリカーゼを含む組成物の用量の量(重量による)ならびにバイアルあたりの濃度は、それぞれ、ウリカーゼタンパク質の量または濃度を指し、それに抱合しているPEG分子、または組成物中の任意の添加された賦形剤を含まない。かかる場合において、ペグ化ウリカーゼの実際の量は、ペグ化タンパク質形態のより高い重量に起因して、記載される用量より高いであろう。一例において、0.4mg/kgのペグ化ウリカーゼを含む組成物の用量とは、0.4mg/kgのウリカーゼタンパク質の用量を指す。
【0112】
したがって、対象への投与のためのペグ化ウリカーゼを含む組成物の用量は、本明細書において提供される用量および対象の重量に基づいて、以下の式に従って計算することができる:
(mg/kgにおける用量(これはウリカーゼタンパク質のものである))×(対象重量(kg))/(バイアル中の1mLあたりの濃度(再びこれはウリカーゼタンパク質のものである))=投与されるべき容積
【0113】
一例として、ペグ化ウリカーゼは、無菌水中で6mg/mLの濃度に再構成してもよい。したがって、この例については、体重90.7kg(200lbs)の対象に0.4mg/kgの用量を投与するためには、6.048mLの再構成されたペグ化ウリカーゼ組成物を、対象に投与すべきである:
(0.4mg/kg)×(90.7kg)/(6mg/mL)=6.048mL
【0114】
いくつかの態様において、ペグ化ウリカーゼを含む適切な量の組成物は、例えば、所望される期間(例えば60分間)にわたる対象への静脈内注入のために、薬学的に許容し得る賦形剤(例えば無菌食塩水溶液)中で希釈される。
【0115】
同様に、本明細書において別段に特定されない限り、本明細書において提供されるような、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物の用量の量(重量による)、ならびにバイアルあたりの濃度は、それぞれ、免疫抑制剤の量または濃度を指し、組成物中の合成ナノキャリア材料または任意の添加された賦形剤または他の成分を含まない。免疫抑制剤を含む合成ナノキャリア組成物の実際の量は、組成物中の添加された合成ナノキャリア材料および任意の添加された賦形剤または他の構成成分の重量に起因して、記載される用量より高いであろう。一例において、0.08mg/kgの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物の用量とは、0.08mg/kgの免疫抑制剤の用量を指す。
【0116】
したがって、対象への投与のための免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物の用量は、対象の重量に基づいて、以下の式に従って計算することができる:
(mg/kgにおける用量(これは免疫抑制剤のものである))×(対象重量(kg))/(バイアル中の1mLあたりの濃度(再びこれは免疫抑制剤のものである)=投与されるべき容積
【0117】
一例として、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、2mg/mLの濃度(再びこれは免疫抑制剤の濃度である)におけるものである。したがって、この例については、体重90.7kg(200lbs)の対象に0.08mg/kgの用量を投与するためには、3.6mLの組成物を対象に投与すべきである:
(0.08mg/kg)×(90.7kg)/(2mg/mL)=3.6mL
【0118】
免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの免疫抑制剤の負荷量(例えばラパマイシン)は、免疫抑制剤および合成ナノキャリア(例えば合成ナノキャリアを含むポリマー)の両方に適合性の液液抽出を用いて合成ナノキャリアから免疫抑制剤を抽出して、抽出物を、逆相液体クロマトグラフィーおよび分析物に対して特異的なUV検出により分析することにより決定することができる。免疫抑制剤負荷量(合成ナノキャリアの含有量)は、クロマトグラフィーおよびナノ粒子抽出の手順に適合性の条件下において調製され、共に分析される、定量された参照標準の較正標準曲線から、正確に(accurately)かつ的確に(precisely)計算することができる。
【0119】
免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物の用量の量(重量による)は、免疫抑制剤用量の量(重量による)に基づいて、以下の式に従って計算することができる:
(1/免疫抑制剤の負荷量)×(免疫抑制剤の量に基づいて示される用量)=免疫抑制剤の量を含む合成ナノキャリアとして示される免疫抑制剤の用量
一例として、合成ナノキャリア中の免疫抑制剤の負荷量は、約10%であってよく、0.08mg/kgの免疫抑制剤の用量が所望される場合、免疫抑制剤の量を含む合成ナノキャリアとして示される用量は、8mg/kgである。
【0120】
ペグ化ウリカーゼ中に存在するウリカーゼタンパク質の量は、当該分野において公知の方法、例えば比色分析、UV吸光度またはアミノ酸分析を用いて決定することができる。比色分析によるアプローチは、市販の標準化されたキットに依存し、これは、ブラッドフォードまたはビシンコニン酸(BCA)アッセイなどの典型的な色素に基づく反応を活用する。ウリカーゼタンパク質の量は、好ましくは公定のソースから購入され、同じ分光光度計を用いて共に分析される、定量されたタンパク質参照標準の較正標準曲線から、正確にかつ的確に計算することができる。選択されたUV吸光度における読み値の一貫性を保証するために、類似または異なる化学特性の既知のタンパク質の単一または複数の点の較正を、同じアッセイ中に行ってもよい。また、薬物生成物の酸加水分解から得られたアミノ酸混合物を分析してもよく、これは一般的に、的確かつ正確な定量を提供する。アミノ酸混合物は、UVまたは蛍光検出のいずれかによるHPLCにより、およびクロマトグラフィー前またはクロマトグラフィー後の、一級および二級アミンの誘導体化を用いて、分析する。一般的なアミノ酸の市販の混合物を、同じアッセイ中で分析して、各々のアミノ酸を定量するための個々のアミノ酸較正曲線を構築する。いくつかの態様において、ウリカーゼタンパク質量の決定は、酵素活性を測定することにより補助され、これは、595nmにおけるUV吸光度によりモニタリングされる過剰量の尿酸の減少を測定することにより行うことができる。代替的にまたは加えて、市販のキットを用いてウリカーゼ活性を決定することができ、これは、例えば、酵素反応生成物を標識して、既知の量の酵素を分析することにより確率された較正曲線に対してウリカーゼの応答を測定することを含んでもよい。
【0121】
直近の上の式と同様に、ペグ化ウリカーゼを含む組成物の用量の量(重量による)は、ウリカーゼ用量の量(重量による)に基づいて、以下の式に従って計算することができる:
(1/(ペグ化ウリカーゼのうちのウリカーゼの重量/ペグ化ウリカーゼの重量))×(ウリカーゼの量に基づいて示される用量)=ペグ化ウリカーゼの量として示されるペグ化ウリカーゼの用量
本明細書において提供される量は、組成物中のそれぞれの分子の集合に基づく平均量であってもよいことが理解されるべきである。
【0122】
本明細書において提供されるようなペグシチカーゼなどのウリカーゼを含む組成物についてのウリカーゼの例示的な用量は、0.10mg/kg、0.11mg/kg、0.12mg/kg、0.13mg/kg、0.14mg/kg、0.15mg/kg、0.16mg/kg、0.17mg/kg、0.18mg/kg、0.19mg/kg、0.20mg/kg、0.21mg/kg、0.22mg/kg、0.23mg/kg、0.24mg/kg、0.25mg/kg、0.26mg/kg、0.27mg/kg、0.28mg/kg、0.29mg/kg、0.30mg/kg、0.31mg/kg、0.32mg/kg、0.34mg/kg、0.35mg/kg、0.36mg/kg、0.37mg/kg、0.38mg/kg、0.39mg/kg、0.40mg/kg、0.41mg/kg、0.42mg/kg、0.43mg/kg、0.44mg/kg、0.45mg/kg、0.46mg/kg、0.47mg/kg、0.48mg/kg、0.49mg/kg、0.50mg/kg、0.51mg/kg、0.52mg/kg、0.53mg/kg、0.54mg/kg、0.55mg/kg、0.56mg/kg、0.57mg/kg、0.58mg/kg、0.59mg/kg、0.60mg/kg、0.61mg/kg、0.62mg/kg、0.63mg/kg、0.64mg/kg、0.65mg/kg、0.66mg/kg、0.67mg/kg、0.68mg/kg、0.69mg/kg、0.70mg/kg、0.71mg/kg、0.72mg/kg、0.73mg/kg、0.74mg/kg、0.75mg/kg、0.76mg/kg、0.77mg/kg、0.78mg/kg、0.79mg/kg、0.80mg/kg、0.81mg/kg、0.82mg/kg、0.83mg/kg、0.84mg/kg、0.85mg/kg、0.86mg/kg、0.87mg/kg、0.88mg/kg、0.89mg/kg、0.90mg/kg、0.91mg/kg、0.92mg/kg、0.93mg/kg、0.94mg/kg、0.95mg/kg、0.96mg/kg、0.97mg/kg、0.98mg/kg、0.90mg/kg、1.0mg/kg、1.01mg/kg、1.02mg/kg、1.03mg/kg、1.04mg/kg、1.05mg/kg、1.06mg/kg、1.07mg/kg、1.08mg/kg、1.09mg/kg、1.10mg/kg、1.11mg/kg、1.12mg/kg、1.13mg/kg、1.14mg/kg、1.15mg/kg、1.16mg/kg、1.17mg/kg、1.18mg/kg、1.19mg/kg、または1.20mg/kgのウリカーゼであってもよい。
【0123】
ラパマイシンを含む合成ナノキャリアを含む組成物についてのラパマイシンの例示的な用量は、0.050mg/kg、0.055mg/kg、0.060mg/kg、0.065mg/kg、0.070mg/kg、0.075mg/kg、0.080mg/kg、0.085mg/kg、0.090mg/kg、0.095mg/kg、0.100mg/kg、0.105mg/kg、0.110mg/kg、0.115mg/kg、0.120mg/kg、0.125mg/kg、0.130mg/kg、0.135mg/kg、0.140mg/kg、0.145mg/kg、0.150mg/kg、0.155mg/kg、0.160mg/kg、0.165mg/kg、0.170mg/kg、0.175mg/kg、0.180mg/kg、0.185mg/kg、0.190mg/kg、0.195mg/kg、0.200mg/kg、0.205mg/kg、0.210mg/kg、0.215mg/kg、0.220mg/kg、0.225mg/kg、0.230mg/kg、0.235mg/kg、0.240mg/kg、0.245mg/kg、0.250mg/kg、0.255mg/kg、0.260mg/kg、0.265mg/kg、0.270mg/kg、0.275mg/kg、0.280mg/kg、0.285mg/kg、0.290mg/kg、0.295mg/kg、0.300mg/kg、0.305mg/kg、0.310mg/kg、0.315mg/kg、0.320mg/kg、0.325mg/kg、0.330mg/kg、0.335mg/kg、0.340mg/kg、0.345mg/kg、0.350mg/kg、0.355mg/kg、0.360mg/kg、0.365mg/kg、0.370mg/kg、0.375mg/kg、0.380mg/kg、0.385mg/kg、0.390mg/kg、0.395mg/kg、0.400mg/kg、0.405mg/kg、0.410mg/kg、0.415mg/kg、0.420mg/kg、0.425mg/kg、0.430mg/kg、0.435mg/kg、0.440mg/kg、0.445mg/kg、0.450mg/kg、0.455mg/kg、0.460mg/kg、0.465mg/kg、0.470mg/kg、0.475mg/kg、0.480mg/kg、0.485mg/kg、0.490mg/kg、0.495mg/kg、0.500mg/kgのラパマイシンであってもよい。
【0124】
本明細書において提供されるようなラパマイシンを含む合成ナノキャリアを含む組成物の例示的な用量は、0.55mg/kg、0.56mg/kg、0.57mg/kg、0.58mg/kg、0.59mg/kg、0.60mg/kg、0.61mg/kg、0.62mg/kg、0.63mg/kg、0.64mg/kg、0.65mg/kg、0.66mg/kg、0.67mg/kg、0.68mg/kg、0.69mg/kg、0.70mg/kg、0.71mg/kg、0.72mg/kg、0.73mg/kg、0.74mg/kg、0.75mg/kg、0.76mg/kg、0.77mg/kg、0.78mg/kg、0.79mg/kg、0.80mg/kg、0.81mg/kg、0.82mg/kg、0.83mg/kg、0.84mg/kg、0.85mg/kg、0.86mg/kg、0.87mg/kg、0.88mg/kg、0.89mg/kg、0.90mg/kg、0.91mg/kg、0.92mg/kg、0.93mg/kg、0.94mg/kg、0.95mg/kg、0.96mg/kg、0.97mg/kg、0.98mg/kg、0.90mg/kg、1.0mg/kg、1.01mg/kg、1.02mg/kg、1.03mg/kg、1.04mg/kg、1.05mg/kg、1.06mg/kg、1.07mg/kg、1.08mg/kg、1.09mg/kg、1.10mg/kg、1.11mg/kg、1.12mg/kg、1.13mg/kg、1.14mg/kg、1.15mg/kg、1.16mg/kg、1.17mg/kg、1.18mg/kg、1.19mg/kg、1.20mg/kg、1.21mg/kg、1.22mg/kg、1.23mg/kg、1.24mg/kg、1.25mg/kg、1.26mg/kg、1.27mg/kg、1.28mg/kg、1.29mg/kg、1.30mg/kg、1.31mg/kg、1.32mg/kg、1.33mg/kg、1.34mg/kg、1.35mg/kg、1.36mg/kg、1.37mg/kg、1.38mg/kg、1.39mg/kg、1.40mg/kg、1.41mg/kg、1.42mg/kg、1.43mg/kg、1.44mg/kg、1.45mg/kg、1.46mg/kg、1.47mg/kg、1.48mg/kg、1.49mg/kg、1.50mg/kg、1.51mg/kg、1.52mg/kg、1.53mg/kg、1.54mg/kg、1.55mg/kg、1.56mg/kg、1.57mg/kg、1.58mg/kg、1.59mg/kg、1.60mg/kg、1.61mg/kg、1.62mg/kg、1.63mg/kg、1.64mg/kg、1.65mg/kg、1.66mg/kg、1.67mg/kg、1.68mg/kg、1.69mg/kg、1.70mg/kg、1.71mg/kg、1.72mg/kg、1.73mg/kg、1.74mg/kg、1.75mg/kg、1.76mg/kg、1.77mg/kg、1.78mg/kg、1.79mg/kg、1.80mg/kg、1.81mg/kg、1.82mg/kg、1.83mg/kg、1.84mg/kg、1.85mg/kg、1.86mg/kg、1.87mg/kg、1.88mg/kg、1.89mg/kg、1.90mg/kg、1.91mg/kg、1.92mg/kg、1.93mg/kg、1.94mg/kg、1.95mg/kg、1.96mg/kg、1.97mg/kg、1.98mg/kg、1.99mg/kg、2.00mg/kg、2.01mg/kg、2.02mg/kg、2.03mg/kg、2.04mg/kg、2.05mg/kg、2.06mg/kg、2.07mg/kg、2.08mg/kg、2.09mg/kg、2.10mg/kg、2.11mg/kg、2.12mg/kg、2.13mg/kg、2.14mg/kg、2.15mg/kg、2.16mg/kg、2.17mg/kg、2.18mg/kg、2.19mg/kg、2.20mg/kg、2.21mg/kg、2.22mg/kg、2.23mg/kg、2.24mg/kg、2.25mg/kg、2.26mg/kg、2.27mg/kg、2.28mg/kg、2.29mg/kg、2.30mg/kg、2.31mg/kg、2.32mg/kg、2.33mg/kg、2.34mg/kg、2.35mg/kg、2.36mg/kg、2.37mg/kg、2.38mg/kg、2.39mg/kg、2.40mg/kg、2.41mg/kg、2.42mg/kg、2.43mg/kg、2.44mg/kg、2.45mg/kg、2.46mg/kg、2.47mg/kg、2.48mg/kg、2.49mg/kg、2.50mg/kg、2.51mg/kg、2.52mg/kg、2.53mg/kg、2.54mg/kg、2.55mg/kg、2.56mg/kg、2.57mg/kg、2.58mg/kg、2.59mg/kg、2.60mg/kg、2.61mg/kg、2.62mg/kg、2.63mg/kg、2.64mg/kg、2.65mg/kg、2.66mg/kg、2.67mg/kg、2.68mg/kg、2.69mg/kg、2.70mg/kg、2.71mg/kg、2.72mg/kg、2.73mg/kg、2.74mg/kg、2.75mg/kg、2.76mg/kg、2.77mg/kg、2.78mg/kg、2.79mg/kg、2.80mg/kg、2.81mg/kg、2.82mg/kg、2.83mg/kg、2.84mg/kg、2.85mg/kg、2.86mg/kg、2.87mg/kg、2.88mg/kg、2.89mg/kg、2.90mg/kg、2.91mg/kg、2.92mg/kg、2.93mg/kg、2.94mg/kg、2.95mg/kg、2.96mg/kg、2.97mg/kg、2.98mg/kg、2.99mg/kg、3.00mg/kg、3.01mg/kg、3.02mg/kg、3.03mg/kg、3.04mg/kg、3.05mg/kg、3.06mg/kg、3.07mg/kg、3.08mg/kg、3.09mg/kg、3.10mg/kg、3.11mg/kg、3.12mg/kg、3.13mg/kg、3.14mg/kg、3.15mg/kg、3.16mg/kg、3.17mg/kg、3.18mg/kg、3.19mg/kg、3.20mg/kg、3.21mg/kg、3.22mg/kg、3.23mg/kg、3.24mg/kg、3.25mg/kg、3.26mg/kg、3.27mg/kg、3.28mg/kg、3.29mg/kg、3.30mg/kg、3.31mg/kg、3.32mg/kg、3.33mg/kg、3.34mg/kg、3.35mg/kg、3.36mg/kg、3.37mg/kg、3.38mg/kg、3.39mg/kg、3.40mg/kg、3.41mg/kg、3.42mg/kg、3.43mg/kg、3.44mg/kg、3.45mg/kg、3.46mg/kg、3.47mg/kg、3.48mg/kg、3.49mg/kg、3.50mg/kg、3.51mg/kg、3.52mg/kg、3.53mg/kg、3.54mg/kg、3.55mg/kg、3.56mg/kg、3.57mg/kg、3.58mg/kg、3.59mg/kg、3.60mg/kg、3.61mg/kg、3.62mg/kg、3.63mg/kg、3.64mg/kg、3.65mg/kg、3.66mg/kg、3.67mg/kg、3.68mg/kg、3.69mg/kg、3.70mg/kg、3.71mg/kg、3.72mg/kg、3.73mg/kg、3.74mg/kg、3.75mg/kg、3.76mg/kg、3.77mg/kg、3.78mg/kg、3.79mg/kg、3.80mg/kg、3.81mg/kg、3.82mg/kg、3.83mg/kg、3.84mg/kg、3.85mg/kg、3.86mg/kg、3.87mg/kg、3.88mg/kg、3.89mg/kg、3.90mg/kg、3.91mg/kg、3.92mg/kg、3.93mg/kg、3.94mg/kg、3.95mg/kg、3.96mg/kg、3.97mg/kg、3.98mg/kg、3.99mg/kg、4.00mg/kg、4.01mg/kg、4.02mg/kg、4.03mg/kg、4.04mg/kg、4.05mg/kg、4.06mg/kg、4.07mg/kg、4.08mg/kg、4.09mg/kg、4.10mg/kg、4.11mg/kg、4.12mg/kg、4.13mg/kg、4.14mg/kg、4.15mg/kg、4.16mg/kg、4.17mg/kg、4.18mg/kg、4.19mg/kg、4.20mg/kg、4.21mg/kg、4.22mg/kg、4.23mg/kg、4.24mg/kg、4.25mg/kg、4.26mg/kg、4.27mg/kg、4.28mg/kg、4.29mg/kg、4.30mg/kg、4.31mg/kg、4.32mg/kg、4.33mg/kg、4.34mg/kg、4.35mg/kg、4.36mg/kg、4.37mg/kg、4.38mg/kg、4.39mg/kg、4.40mg/kg、4.41mg/kg、4.42mg/kg、4.43mg/kg、4.44mg/kg、4.45mg/kg、4.46mg/kg、4.47mg/kg、4.48mg/kg、4.49mg/kg、4.50mg/kg、4.51mg/kg、4.52mg/kg、4.53mg/kg、4.54mg/kg、4.55mg/kg、4.56mg/kg、4.57mg/kg、4.58mg/kg、4.59mg/kg、4.60mg/kg、4.61mg/kg、4.62mg/kg、4.63mg/kg、4.64mg/kg、4.65mg/kg、4.66mg/kg、4.67mg/kg、4.68mg/kg、4.69mg/kg、4.70mg/kg、4.71mg/kg、4.72mg/kg、4.73mg/kg、4.74mg/kg、4.75mg/kg、4.76mg/kg、4.77mg/kg、4.78mg/kg、4.79mg/kg、4.80mg/kg、4.81mg/kg、4.82mg/kg、4.83mg/kg、4.84mg/kg、4.85mg/kg、4.86mg/kg、4.87mg/kg、4.88mg/kg、4.89mg/kg、4.90mg/kg、4.91mg/kg、4.92mg/kg、4.93mg/kg、4.94mg/kg、4.95mg/kg、4.96mg/kg、4.97mg/kg、4.98mg/kg、4.99mg/kg、5.00mg/kg、5.01mg/kg、5.02mg/kg、5.03mg/kg、5.04mg/kg、5.05mg/kg、5.06mg/kg、5.07mg/kg、5.08mg/kg、5.09mg/kg、5.10mg/kg、5.11mg/kg、5.12mg/kg、5.13mg/kg、5.14mg/kg、5.15mg/kg、5.16mg/kg、5.17mg/kg、5.18mg/kg、5.19mg/kg、5.20mg/kg、5.21mg/kg、5.22mg/kg、5.23mg/kg、5.24mg/kg、5.25mg/kg、5.26mg/kg、5.27mg/kg、5.28mg/kg、5.29mg/kg、5.30mg/kg、5.31mg/kg、5.32mg/kg、5.33mg/kg、5.34mg/kg、5.35mg/kg、5.36mg/kg、5.37mg/kg、5.38mg/kg、5.39mg/kg、5.40mg/kg、5.41mg/kg、5.42mg/kg、5.43mg/kg、5.44mg/kg、5.45mg/kg、5.46mg/kg、5.47mg/kg、5.48mg/kg、5.49mg/kg、5.50mg/kg、5.51mg/kg、5.52mg/kg、5.53mg/kg、5.54mg/kg、5.55mg/kg、5.56mg/kg、5.57mg/kg、5.58mg/kg、5.59mg/kg、5.60mg/kg、5.61mg/kg、5.6
2mg/kg、5.63mg/kg、5.64mg/kg、5.65mg/kg、5.66mg/kg、5.67mg/kg、5.68mg/kg、5.69mg/kg、5.70mg/kg、5.71mg/kg、5.72mg/kg、5.73mg/kg、5.74mg/kg、5.75mg/kg、5.76mg/kg、5.77mg/kg、5.78mg/kg、5.79mg/kg、5.80mg/kg、5.81mg/kg、5.82mg/kg、5.83mg/kg、5.84mg/kg、5.85mg/kg、5.86mg/kg、5.87mg/kg、5.88mg/kg、5.89mg/kg、5.90mg/kg、5.91mg/kg、5.92mg/kg、5.93mg/kg、5.94mg/kg、5.95mg/kg、5.96mg/kg、5.97mg/kg、5.98mg/kg、5.99mg/kg、6.00mg/kg、6.01mg/kg、6.02mg/kg、6.03mg/kg、6.04mg/kg、6.05mg/kg、6.06mg/kg、6.07mg/kg、6.08mg/kg、6.09mg/kg、6.10mg/kg、6.11mg/kg、6.12mg/kg、6.13mg/kg、6.14mg/kg、6.15mg/kg、6.16mg/kg、6.17mg/kg、6.18mg/kg、6.19mg/kg、6.20mg/kg、6.21mg/kg、6.22mg/kg、6.23mg/kg、6.24mg/kg、6.25mg/kg、6.26mg/kg、6.27mg/kg、6.28mg/kg、6.29mg/kg、6.30mg/kg、6.31mg/kg、6.32mg/kg、6.33mg/kg、6.34mg/kg、6.35mg/kg、6.36mg/kg、6.37mg/kg、6.38mg/kg、6.39mg/kg、6.40mg/kg、6.41mg/kg、6.42mg/kg、6.43mg/kg、6.44mg/kg、6.45mg/kg、6.46mg/kg、6.47mg/kg、6.48mg/kg、6.49mg/kg、または6.50mg/kgであってよく、ここで、用量は、ラパマイシンを含む合成ナノキャリアのmgとして示される。
【0125】
ペグシチカーゼなどのウリカーゼを含む組成物について本明細書において提供される用量のいずれか1つは、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて用いることができる。一般的に、対象に投与されるべき用量に言及する場合、用量は、表示用量である。ラパマイシンなどの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物について本明細書において提供される用量のうちのいずれか1つは、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて用いることができる。一般的に、対象に投与されるべき用量に言及する場合、用量は、表示用量である。したがって、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つにおいて、用量(単数または複数)は、表示用量(単数または複数)である。
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つのいくつかの態様において、さらなる量(プライミング量(prime volume)を、本明細書において提供される組成物のいずれかを対象に投与するための輸液をプライミングするために用いてもよい。
【0126】
本明細書において提供されるのは、多数の可能な投与スケジュールである。したがって、本明細書において提供される対象のうちのいずれか1つを、本明細書において提供される投与スケジュールのうちのいずれか1つに従って処置してもよい。一例として、本明細書において提供される対象のうちのいずれか1つを、ペグ化ウリカーゼなどのウリカーゼを含む組成物、および/またはラパマイシンなどの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物で、これらの投与スケジュールのうちのいずれか1つに従って、処置してもよい。提供される処置方法のうちのいずれか1つの、組成物(単数または複数)のための投与の様式は、静脈内投与、例えば約1時間をかけて行い得る静脈内注入によるものであってもよい。加えて、本明細書において提供される処置の方法のうちのいずれか1つは、また、追加の治療剤、例えば尿酸を低下させる治療剤(ウリカーゼなど)などの投与、または抗痛風発赤予防的処置を含んでもよい。追加の治療剤の投与は、本明細書において提供される適用可能な処置レジメンのうちのいずれか1つに従うものであってもよい。
【0127】
好ましくは、いくつかの態様において、ラパマイシンなどの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリア組成物と、ペグ化ウリカーゼなどのウリカーゼを含む組成物との組み合わせによる処置は、ウリカーゼ含有組成物と共にされる合成ナノキャリア組成物の3回の用量と、その後の、免疫抑制剤を含む組成物(免疫抑制剤を含む合成ナノキャリア組成物)の共投与なしでの、または追加の治療剤の共投与なしでの、ウリカーゼの2回の用量を含んでもよい。かかる態様において、各々の用量は、2~4週間毎に投与することができる。一態様において、本明細書において提供される対象のうちのいずれか1つが、合成ナノキャリア組成物の3回の用量を、ウリカーゼ含有組成物と共に、1か月毎に、3か月間にわたり投与される方法が提供される。別の態様において、この方法はさらに、ウリカーゼ含有組成物の用量を、単独で、または免疫抑制剤を含む合成ナノキャリア組成物などの免疫抑制剤もしくは追加の治療剤の共投与なしで、1か月毎に、2、3、4、5、6、7、8、9回または10回以上、投与することを含む。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つのいくつかの態様において、対象において、処置期間の前、その間および/またはその後に、1回以上の時点において、尿酸のレベルを測定する。
【0128】
追加の治療剤
上昇した尿酸レベル、痛風、痛風発赤、または痛風に関連する状態のための、例えば尿酸レベルの低下、および/または痛風処置、および/または痛風発赤予防のための追加の治療剤を、本明細書において提供される対象のうちのいずれか1つに投与してもよい。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つは、これらの追加の治療剤のうちの1つ以上の投与を含んでもよい。いくつかの態様において、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つは、追加の治療剤の共投与を含まない。追加の治療剤の例として、これらに限定されないが、以下が挙げられる。他の例は、当業者には公知であろう。
【0129】
追加の治療剤として、抗炎症治療剤(すなわち、炎症を軽減するように作用し得る任意の治療剤)が挙げられる。抗炎症治療剤として、これらに限定されないが、副腎皮質ステロイドまたはコルチゾールの誘導体(ヒドロコルチゾン)が挙げられる。副腎皮質ステロイドとして、これらに限定されないが、糖質コルチコイドおよび鉱質コルチコイドが挙げられる。副腎皮質ステロイドのなお他の例として、これらに限定されないが、以下が挙げられる:天然のもの(例えば11-デヒドロコルチコステロン(11-オキソコルチコステロン、17-デオキシコルチゾン)=21-ヒドロキシプレグナ-4-エン-3,11,20-トリオン;11-デオキシコルチコステロン(デオキシコルトン、デソキシコルトン;21-ヒドロキシプロゲステロン)=21-ヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11-デオキシコルチゾール(コルトドキソン、コルテキソロン)=17α,21-ジヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11-ケトプロゲステロン(11-オキソプロゲステロン;ケトゲスチン)=プレグナ-4-エン-3,11,20-トリオン;11β-ヒドロキシプレグネノロン=3β,11β-ジヒドロキシプレグナ-5-エン-20-オン;11β-ヒドロキシプロゲステロン(21-デオキシコルチコステロン)=11β-ヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11β,17α,21-トリヒドロキシプレグネノロン=3β,11β,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-5-エン-20-オン;17α,21-ジヒドロキシプレグネノロン=3β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-5-エン-20-オン;17α-ヒドロキシプレグネノロン=3β,17α-ジヒドロキシプレグナ-5-エン-20-オン;17α-ヒドロキシプロゲステロン=17α-ヒドロキシプレグナ-4-エン-3,11,20-トリオン;18-ヒドロキシ-11-デオキシコルチコステロン=18,21-ジヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;18-ヒドロキシコルチコステロン=11β,18,21-トリヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;18-ヒドロキシプロゲステロン=18-ヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;21-デオキシコルチゾール=11β,17α-ジヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;21-デオキシコルチゾン=17α-ヒドロキシプレグナ-4-エン-3,11,20-トリオン;21-ヒドロキシプレグネノロン(プレベジオロン)=3β,21-ジヒドロキシプレグナ-5-エン-20-オン;アルドステロン=11β,21-ジヒドロキシプレグナ-4-エン-3,18,20-トリオン;コルチコステロン(17-デオキシコルチゾール)=11β,21-ジヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;コルチゾール(ヒドロコルチゾン)=11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;コルチゾン=17α,21-ジヒドロキシプレグナ-4-エン-3,11,20-トリオン;プレグネノロン=プレグナ-5-エン-3β-オール-20-オン;およびプロゲステロン=プレグナ-4-エン-3,20-ジオン);合成のもの、例えば、プロゲステロン型(例えばフルゲストン(Flugestone)(フルロゲストン)=9α-フルオロ-11β,17α-ジヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;フルオロメトロン=6α-メチル-9α-フルオロ-11β,17α-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;メドリゾン(ヒドロキシメチルプロゲステロン)=6α-メチル-11β-ヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;および酢酸プレベジオロン(21-アセトキシプレグネノロン)=3β,21-ジヒドロキシプレグナ-5-エン-20-オン21-アセテート)およびプロゲステロン誘導体プロゲスチン(例えば酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、メドロゲストン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、および酢酸セゲステロン(segesterone));ヒドロコルチゾン型(例えばクロロプレドニゾン=6α-クロロ-17α,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,11,20-トリオン;クロプレドノール=6-クロロ-11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4,6-トリエン-3,20-ジオン;ジフルプレドナート=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン17α-ブチレート21-アセテート;フルドロコルチゾン=9α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;フルオシノロン=6α,9α-ジフルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルペロロン=9α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-21-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルプレドニゾロン=6α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;ロテプレドノール=11β,17α,ジヒドロキシ-21-オキサ-21-クロロメチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;メチルプレドニゾロン=6α-メチル-11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;プレドニカルベート=11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン17α-エチルカーボネート21-プロピオネート;プレドニゾロン=11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;プレドニゾン=17α,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,11,20-トリオン;チキソコルトール=11β,17α-ジヒドロキシ-21-スルファニルプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;およびトリアムシノロン=9α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン);メタゾン型(16-メチル化)(例えばメタゾン;アルクロメタゾン=7α-クロロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;ベクロメタゾン=9α-クロロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16β-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;ベタメタゾン=9α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16β-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;クロベタゾール=9α-フルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16β-メチル-21-クロロプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;クロベタゾン=9α-フルオロ-16β-メチル-17α-ヒドロキシ-21-クロロプレグナ-1,4-ジエン-3,11,20-トリオン;クロコルトロン=6α-フルオロ-9α-クロロ-11β,21-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;デスオキシメタゾン=9α-フルオロ-11β,21-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;デキサメタゾン=9α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;ジフロラゾン=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16β-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;ジフルオコルトロン(Difluocortolone)=6α,9α-ジフルオロ-11β,21-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルクロロロン=6α-フルオロ-9α,11β-ジクロロ-16α,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルメタゾン=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルオコルチン=6α-フルオロ-11β,21-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20,21-トリオン;フルオコルトロン=6α-フルオロ-11β,21-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルプレドニデン=9α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16-メチレンプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルチカゾン=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-21-チア-21-フルオロメチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フロ酸フルチカゾン=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-21-チア-21-フルオロメチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン17α-(2-フロエート);ハロメタゾン=2-クロロ-6α,9α-ジフルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;メプレドニゾン=16β-メチル-17α,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,11,20-トリオン;モメタゾン=9α,21-ジクロロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フロ酸モメタゾン=9α,21-ジクロロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン17α-(2-フロエート);パラメタゾン=6α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;プレドニリデン=11β,17α,21-トリヒドロキシ-16-メチレンプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;リメキソロン=11β-ヒドロキシ-16α,17α,21-トリメチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;およびウロベタゾール(ハロベタゾール)=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16β-メチル-21-クロロプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン);アセトニドおよび関連するもの(例えばアムシノニド=9α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンサイクリック16α,17α-アセタール、シクロペンタノン、21-アセテートを含むもの;ブデソニド=11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンサイクリック16α,17α-アセタール、ブチルアルデヒドを含むもの;シクレソニド=11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンサイクリック16α,17α-アセタール、(R)-シクロヘキサンカルボキサルデヒド、21-イソブチレートを含むもの;デフラザコート=11β,21-ジヒドロキシ-2’-メチル-5'H-プレグナ-1,4-ジエノ[17,16-d]オキサゾール-3,20-ジオン21-アセテート;デソニド=11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンサイクリック16α,17α-アセタール、アセトンを含むもの;ホルモコータル(フルオロホルミロン)=3-(2-クロロエトキシ)-9α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシ-20-オキソプレグナ-3,5-ジエン-6-カルボキサルデヒドサイクリック16α,17α-アセタール、アセトン、21-アセテートを含むもの;フルクロロロンアセトニド(フルクロロニド(flucloronide))=6α-フルオロ-9α,11β-ジクロロ-16α,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンサイクリック16α,17α-アセタール、アセトンを含むもの;フルドロキシコルチド(フルランドレノリド、フルランドレノリド)=6α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオンサイクリック16α,17α-アセタール、アセトンを含むもの;フルニソリド=
6α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンサイクリック16α,17α-アセタール、アセトンを含むもの;フルオシノロンアセトニド=6α,9α-ジフルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンサイクリック16α,17α-アセタール、アセトンを含むもの;フルオシノニド=6α,9α-ジフルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンサイクリック16α,17α-アセタール、アセトン、21-アセテートを含むもの;ハルシノニド=9α-フルオロ-11β,16α,17α-トリヒドロキシ-21-クロロプレグナ-4-エン-3,20-ジオンサイクリック16α,17α-アセタール、アセトンを含むもの;およびトリアムシノロンアセトニド=9α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンサイクリック16α,17α-アセタール、アセトンを含むもの);ならびになお他のもの(例えばコルチバゾール=6,16α-ジメチル-11β,17α,21-トリヒドロキシ-2’-フェニル[3,2-c]ピラゾロプレグナ-4,6-ジエン-20-オン21-アセテート;およびRU-28362=6-メチル-11β,17β-ジヒドロキシ-17α-(1-プロピニル)アンドロスタ-1,4,6-トリエン-3-オン)。
【0130】
副腎皮質ステロイド、特に糖質コルチコイドは、痛風、痛風発赤、および/または痛風に関連する状態に関連する疼痛および炎症を含む症状を管理することにおいて有効であり得る、抗炎症および免疫抑制効果を有する。副腎皮質ステロイドの投与はまた、1つ以上の追加の治療、例えばウリカーゼ置換治療に関連する過敏反応を軽減することにおいて役立ち得る。副腎皮質ステロイドのなお他の非限定的な例として、プレドニゾン、プレドニゾロン、メドロールおよびメチルプレドニゾロンが挙げられる。
【0131】
追加の治療剤は、痛風または痛風に関連する状態に関連する任意の症状に関連する痛風発赤または疼痛および炎症のための短期治療剤を含み、これは、抗炎症薬(NSAIDS)、コルヒチン、経口副腎皮質ステロイドを含む。NSAIDSの非限定的な例は、イブプロフェン、アスピリンおよびナロキセンなどのOTC薬のNSAIDS、ならびにセレコキシブ、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカムサルサラート、スリンダク、およびトルメチンなどの処方薬のNSAIDSの両方を含む。
コルヒチンは、一般的に、痛風、痛風発赤、および/または痛風に関連する状態に関連する疼痛および炎症を含む症状を管理するためのNSAIDの代替としてみなされる抗炎症剤である。
【0132】
追加の治療剤のさらなる例として、キサンチンオキシダーゼを阻害してキサンチンの尿酸への酸化を減少させるかまたは予防し、それにより尿酸の産生を減少させる分子であるキサンチンオキシダーゼ阻害剤が挙げられる。キサンチンオキシダーゼ阻害剤は、一般的に、プリンアナログおよび他の型のキサンチンオキシダーゼ阻害剤のいずれかとして分類される。キサンチンオキシダーゼ阻害剤の例として、アロプリノール、オキシプリノール、チソプリン、フェブキソスタット、トピロキソスタット、イノシトール(例えばフィチン酸およびミオイノシトール)、フラボノイド(例えばケンフェロール、ミリセチン、ケルセチン)、コーヒー酸および3,4-ジヒドロキス-5-ニトロベンズアルデヒド(DHNB)が挙げられる。
【0133】
追加の治療剤のなお他の例として、尿酸排泄剤が挙げられる。尿酸排泄剤は、腎細尿管の再吸収を調節することにより尿酸の血清レベルを減少させるために、尿酸の排出を増大することを目的とする。例えば、いくつかの尿酸排泄剤は、尿酸の腎トランスポーターの活性を調節する(例えばURAT1/SLC22A12阻害剤)。尿酸排泄剤の非限定的な例として、プロベネシド、ベンズブロマロン、レシヌラド、スルフィンピラゾンが挙げられる。アスピリンなどの他の追加の治療剤もまた、尿酸排泄活性を有する場合がある。
【0134】
追加の治療剤はまた、他のウリカーゼベースの治療剤を含み、これはペグ化ウリカーゼを含む。かかる治療は、例えばヒトに注入された場合に、血中尿酸レベルを低下させ、痛風の症状を改善することが示されている。ラスブリカーゼ(Elitek(登録商標))は、Aspergillus flavusからクローニングされたペグ化組み換えウリカーゼであり、腫瘍崩壊症候群を有する患者における尿酸レベルの管理について承認されている(Elitek(登録商標))。KRYSTEXXA(登録商標)(ペグロチカーゼ)は、慢性難治性痛風の処置のために承認されている、複数の10kDaのPEG分子が結合した組み換えウリカーゼ(本来はブタであり、ヒヒからのカルボキシル末端配列を有する)である。しかし、別の箇所において言及されるとおり、KRYSTEXXA(登録商標)を用いた臨床経験により、著しく多数の患者が抗薬物抗体を生じ、これがこの薬物の長期効力を制限することが示されている。したがって、KRYSTEXXA(登録商標)の前投与は、本明細書において提供される方法の使用のためには禁忌となり得る。
【0135】
本明細書において提供される処置は、患者が、その後の尿酸蓄積の所見を経験しない限り、およびそうなるまでは、キサンチンオキシダーゼ阻害剤などによる経口痛風治療に切り替えることを可能にし得、そうなった時点においては、次いで、提供される方法のいずれか1つに従う本明細書において提供されるような処置の新たなコースが行われる。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つは、したがって、提供される方法のいずれか1つに従う処置レジメンが行われた後の追加の治療剤としての、経口痛風治療剤の引き続いての投与を含んでもよい。経口治療剤は、慢性結節性痛風の病歴を有する患者における尿酸結晶の経時的な蓄積を、完全には予防できないと考えられる。結果として、本明細書において提供されるような処置が、患者において断続的に必要とされる可能性が高いと予測される。したがって、かかる対象において、対象はまた、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つに従って、1つ以上の組成物をさらに投与される。
【0136】
本明細書において提供される処置は、患者が、いくつかの態様においては免疫抑制剤を用いることなく、いくつかの態様においては免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを用いることなく、ウリカーゼなどの尿酸を低下させる治療剤により引き続き処置されることを可能にする。
【0137】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つに従う処置はまた、抗痛風発赤治療剤による、例えばコルヒチンまたはNSAIDSによる、前処置を含んでもよい。したがって、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つは、かかる抗痛風発赤治療剤をさらに含んでもよく、それにより、当該抗痛風発赤治療剤は、ウリカーゼを含む組成物および免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物と共投与される。
【0138】
対象のモニタリング、例えば血清尿酸レベルおよび/またはADAの測定が、本明細書において提供される方法のいずれか1つにおいてさらに含まれる、さらなるステップであってもよい。いくつかの態様において、かかる対象が所望されない免疫応答を発症した場合、対象は、本明細書において提供される方法のいずれか1つに従って、1つ以上の組成物をさらに投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つのいくつかの態様において、対象は、関節および組織における尿酸蓄積を可視化するために用いることができる二重エネルギ計算機式断層写真法(DECT)によりモニタリングされる。DECTなどによるイメージングは、本明細書において提供される方法または組成物のいずれか一つによる処置の効力を評価するために用いることができる。結果として、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つは、DECTなどによるイメージングのステップをさらに含んでもよい。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つのいくつかの態様において、対象は、痛風、例えば慢性結節性痛風、または痛風に関連する状態が、DECTなどによるかかるイメージングにより診断されている対象である。
【0139】
対象
本明細書において提供される対象は、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つに従う処置を必要としていてもよい。かかる対象は、上昇した血清尿酸レベルまたは尿酸蓄積を有する対象を含む。かかる対象は、高尿酸血症を有する対象を含む。本明細書において提供されるような処置を必要する対象を決定することができるのは、医師の技術の範囲内である。
【0140】
いくつかの態様において、提供される方法のうちのいずれか1つにおいて提供されるような処置のための対象のうちのいずれか1つは、痛風または痛風に関連する状態、または本明細書において提供されるような別の状態を有する。いくつかの態様において、提供される方法のうちのいずれか1つにおいて提供されるような処置のための対象のうちのいずれか1つは、痛風発赤を有していたか、またはこれを有するようになると予測される対象である。
いくつかの態様において、対象は、痛風に関連するびらん性骨疾患、痛風、または内臓痛風に関連する硬変または脂肪性肝炎を有するか、これを有するリスクがある。
いくつかの態様において、対象は、上昇した尿酸レベル、例えば上昇した血漿または血清尿酸レベルを有するか、これを有するリスクがある。尿酸の血中レベルが生理学的な溶解度の限界を超えた場合、尿酸は、関節を含む組織中で結晶化し得、痛風および痛風に関連する状態を引き起こし得る。
【0141】
いくつかの態様において、≧5mg/dL、≧6mg/dL、または≧7mg/dLの血清尿酸レベルは、対象が、本明細書において記載される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つによる処置のための候補であり得ることの指標である。いくつかの態様において、かかる対象は、≧6mg/dL、例えば、6.1mg/dL~15mg/dL、6.1mg/dL~10mg/dL、7mg/dL~15mg/dL、7mg/dL~10mg/dL、8mg/dL~15mg/dL、8mg/dL~10mg/dL、9mg/dL~15mg/dL、9mg/dL~10mg/dL、10mg/dL~15mg/dL、または11mg/dL~14mg/dLの尿酸の血清レベルを有する。いくつかの態様において、対象は、約6.1mg/dL、6.2mg/dL、6.3mg/dL、6.4mg/dL、6.5mg/dL、6.7mg/dL、6.8mg/dL、6.9mg/dL、7.0mg/dL、7.1mg/dL、7.2mg/dL、7.3mg/dL、7.4mg/dL、7.5mg/dL、7.6mg/dL 7.7mg/dL、7.8mg/dL、7.9mg/dL、8.0mg/dL、8.1mg/dL、8.2mg/dL、8.3mg/dL、8.4mg/dL、8.5mg/dL、8.6mg/dL、8.7mg/dL、8.8mg/dL、8.9mg/dL、9.0mg/dL、9.1mg/dL、9.2mg/dL、9.3mg/dL、9.4mg/dL、9.5mg/dL、9.6mg/dL、9.7mg/dL、9.8mg/dL、9.9mg/dL、10.0mg/dL、10.1mg/dL、10.2mg/dL、10.3mg/dL、10.4mg/dL、10.5mg/dL、10.6mg/dL、10.7mg/dL、10.8mg/dL、10.9mg/dL、11.0mg/dL、11.1mg/dL、11.2mg/dL、11.3mg/dL、11.4mg/dL、11.5mg/dL、11.6mg/dL、11.7mg/dL、11.8mg/dL、11.9mg/dL、12.0mg/dL、12.1mg/dL、12.2mg/dL、12.3mg/dL、12.4mg/dL、12.5mg/dL、12.6mg/dL、12.7mg/dL、12.8mg/dL、12.9mg/dL、13.0mg/dL、13.1mg/dL、13.2mg/dL、13.3mg/dL、13.4mg/dL、13.5mg/dL、13.6mg/dL、13.7mg/dL、13.8mg/dL、13.9mg/dL、14.0mg/dL、14.1mg/dL、14.2mg/dL、14.3mg/dL、14.4mg/dL、14.5mg/dL、14.6mg/dL、14.7mg/dL、14.8mg/dL、14.9mg/dL、15.0mg/dLまたはそれより高い尿酸の血清レベルを有する。いくつかの態様において、対象は、5.0mg/dL、5.1mg/dL、5.2mg/dL、5.3mg/dL、5.4mg/dL、5.5mg/dL、5.6mg/dL、5.7mg/dL、5.8mg/dL、5.9mg/dL、6.0mg/dL、6.1mg/dL、6.2mg/dL、6.3mg/dL、6.4mg/dL、6.5mg/dL、6.6mg/dL、6.7mg/dL、6.8mg/dL、6.9mg/dL、または7.0mg/dLの血漿または血清尿酸レベルを有する。いくつかの態様において、5.0mg/dL以上、5.1mg/dL以上、5.2mg/dL以上、5.3mg/dL以上、5.4mg/dL以上、5.5mg/dL以上、5.6mg/dL以上、5.7mg/dL以上、5.8mg/dL以上、5.9mg/dL以上、6.0mg/dL以上、6.1mg/dL以上、6.2mg/dL以上、6.3mg/dL以上、6.4mg/dL以上、6.5mg/dL以上、6.6mg/dL以上、6.7mg/dL以上、6.8mg/dL以上、6.9mg/dL以上、または7.0mg/dL以上の血漿または血清尿酸レベルを有する。
【0142】
いくつかの態様において、対象は、高尿酸血症を有するか、またはこれを有するリスクがある。いくつかの態様において、対象は、痛風、急性痛風、急性間欠性痛風、痛風性関節炎、急性痛風性関節炎、急性痛風性関節症、急性多関節型痛風、再発性痛風性関節炎、慢性痛風(痛風結節を伴うものまたは伴わないもの)、結節性痛風、慢性結節性痛風、慢性進行性痛風(痛風結節を伴うものまたは伴わないもの)、慢性多関節型痛風(痛風結節を伴うものまたは伴わないもの)、慢性痛風性関節症(痛風結節を伴うものまたは伴わないもの)、特発性痛風、特発性慢性痛風(痛風結節を伴うものまたは伴わないもの)、原発性痛風、慢性原発性痛風(痛風結節を伴うものまたは伴わないもの)、慢性難治性痛風などの難治性痛風、体軸性痛風性関節症、痛風発作、痛風発赤、足部痛風(すなわち拇指の単関節型関節炎)、手痛風(すなわち手の単関節型関節炎)、膝痛風(すなわち膝の単関節型関節炎)、痛風性滑液包炎、痛風性脊椎炎、痛風性滑膜炎、痛風性腱鞘炎、腱および靭帯に影響を及ぼす痛風、鉛誘発性痛風(すなわち、鉛(saturnine)痛風)、薬物誘発性痛風、腎機能障害に起因する痛風、腎疾患に起因する痛風、腎機能障害に起因する慢性痛風(痛風結節を伴うものまたは伴わないもの)、腎疾患に起因する慢性痛風(痛風結節を伴うものまたは伴わないもの)、痛風に関連するびらん性骨疾患、痛風に関連する脳卒中、痛風に関連する血管粥腫、痛風に関連する硬変または脂肪性肝炎、肝臓に関連する痛風、偶発性および再発性痛風、痛風における膵臓への傷害に関連する糖尿病、痛風により増悪する一般的な炎症性疾患、他の続発性痛風、または不特定痛風を有するか、またはこれを有するリスクがある。
【0143】
いくつかの態様において、対象は、腎臓系に関連する状態、例えば例えば、痛風に起因する尿路の結石、尿酸尿路結石症、尿酸腎結石症、尿酸腎結石、痛風性腎症、急性痛風性腎症、慢性痛風性腎症、尿酸塩腎症、尿酸腎症、および痛風性間質性腎症を有するか、またはこれを有するリスクがある。
【0144】
いくつかの態様において、対象は、神経系に関連する状態、例えば、痛風に起因する末梢自律神経ニューロパシー、痛風性ニューロパシー、痛風性末梢ニューロパシー、痛風性絞扼性ニューロパシー、または痛風性神経炎を有するか、またはこれを有するリスクがある。
【0145】
いくつかの態様において、対象は、心血管系に関連する状態、例えば、メタボリックシンドローム、高血圧、肥満、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、脂質異常症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性/高血糖症、冠動脈疾患/冠動脈心疾患、痛風または高尿酸血症に関連する冠動脈の疾患または閉塞、痛風に起因する心不全、末梢動脈疾患、脳卒中/脳血管疾患、末梢血管疾患、および心筋症を有するか、またはこれを有するリスクがある。
【0146】
いくつかの態様において、対象は、眼系に関連する状態、例えば、痛風性虹彩炎、痛風により引き起こされる眼における炎症性疾患、ドライアイ症候群、眼の充血(red eye)、ぶどう膜炎、眼内圧上昇、緑内障、および白内障を有するか、またはこれを有するリスクがある。
【0147】
いくつかの態様において、対象は、皮膚に関連する状態、例えば、外耳の痛風、痛風性皮膚炎、痛風性湿疹、痛風性脂肪織炎、および汗疹性(miliarial)痛風を有するか、またはこれを有するリスクがある。
【0148】
組成物およびキット
本明細書において提供される組成物は、無機または有機のバッファー(例えばリン酸、炭酸、酢酸またはクエン酸のナトリウムまたはカリウム塩)、およびpH調整剤(例えば塩酸、水酸化ナトリウムまたはカリウム、クエン酸または酢酸の塩、アミノ酸およびその塩)、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、アルファ-トコフェロール)、界面活性剤(例えばポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン9-10ノニルフェノール、デオキシコール酸ナトリウム)、溶液および/またはクライオ/凍結(lyo)安定剤(例えばスクロース、ラクトース、マンニトール、トレハロース)、浸透圧調整剤(例えば塩または糖)、抗菌剤(例えば安息香酸、フェノール、ゲンタマイシン)、消泡剤(例えばポリジメチルシロキサン)、保存剤(例えばチメロサール、2-フェノキシエタノール、EDTA)、ポリマー安定剤および粘度調節剤(例えばポリビニルピロリドン、ポロキサマー488、カルボキシメチルセルロース)および共溶媒(例えばグリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール)を含んでもよい。
【0149】
本発明による組成物は、薬学的に許容し得る賦形剤を含んでもよい。組成物は、有用な剤形を達成するための従来の医薬の製造および配合の技術を用いて製造することができる。本発明を実施することにおける使用のための好適な技術は、以下において見出すことができる:Handbook of Industrial Mixing: Science and Practice、Edward L. Paul、Victor A. Atiemo-ObengおよびSuzanne M. Kresta編、2004年、John Wiley & Sons, Inc.;ならびにPharmaceutics: The Science of Dosage Form Design、第2版、M. E. Auten編、2001年、Churchill Livingstone。一態様において、組成物は、注射のために、保存剤と一緒に無菌食塩水溶液中に懸濁する。
【0150】
本発明の組成物は、任意の好適な様式において投与することができることが理解されるべきであり、本発明は、決して、本明細書において記載される方法を用いて製造することができる組成物に限定されない。適切な製造の方法の選択は、関連している特定の要素の特性に対する注意を必要とする場合がある。
【0151】
いくつかの態様において、組成物は、無菌条件下において製造するか、または初めにもしくは最後に無菌化する。このことによって、生じた組成物が無菌であり非感染性であることを保証することができ、したがって、非無菌組成物と比較して安全性が改善される。このことは、組成物を投与されている対象が免疫不全を有するか、感染を罹患しているか、および/または感染に対して感受性である場合は特に、有用な安全性対策を提供する。いくつかの態様において、組成物は、凍結乾燥して、長期間にわたり活性を喪失することのない処方戦略に依存して、懸濁液中で、または凍結乾燥粉末として保存することができる。
【0152】
本発明による投与は、多様な経路によるものであってよく、これは静脈内経路を含むが、これに限定されない。本明細書において参照される組成物は、従来の方法を用いての投与のために製造および調製することができる。
本発明の組成物は、有効量、例えば本明細書において別の箇所で記載される有効量において投与することができる。本明細書において提供されるような組成物の用量は、多様な量の本発明による要素を含んでもよい。投与のための組成物中に存在する要素の量は、それらの性質、達成されるべき治療利益、および他のかかるパラメーターに従って変化し得る。投与のための組成物は、本明細書において提供される頻度のうちのいずれか1つに従って投与することができる。
【0153】
本開示の別の側面は、キットに関する。いくつかの態様において、キットは、本明細書において提供される組成物のうちのいずれか1つ以上を含む。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、キットは、本明細書において提供されるようなウリカーゼを含む組成物うちのいずれか1つ以上を含む。好ましくは、ウリカーゼ含有組成物は、本明細書において提供されるようないずれか1つ以上の用量を提供する量である。ウリカーゼ含有組成物(単数または複数)は、キットにおいて、1つの容器中にあっても、1つより多くの容器中にあってもよい。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、キットはさらに、本明細書において提供される合成ナノキャリア組成物のいずれか1つ以上を含む。好ましくは、合成ナノキャリア組成物(単数または複数)は、本明細書において提供される合成ナノキャリア用量のうちの1つ以上を提供する量におけるものである。合成ナノキャリア組成物は、キット中で、1つの容器中にあっても、1つより多くの容器中にあってもよい。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、容器は、バイアルまたはアンプルである。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、組成物(単数または複数)は、凍結乾燥形態であって、これは、その後の時点においてそれらを再構成することができるように、各々が個別の容器中または同じ容器中にある。キットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、凍結乾燥組成物はさらに、マンニトールなどの糖を含む。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、組成物(単数または複数)は、凍結懸濁液の形態であり、これは、その後の時点においてそれらを再構成することができるように、各々が個別の容器中または同じ容器中にある。キットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、凍結懸濁液はさらに、PBSを含む。キットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、キットはさらに、PBSおよび/または0.9%塩化ナトリウム、USPを含む。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、キットはさらに、再構成、混合、投与などのための説明を含む。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、説明は、本明細書において記載される方法のうちのいずれか1つの記載を含む。説明は、任意の好適な形態、例えば、印刷された挿入物またはラベルとしてのものであってもよい。本明細書において提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、キットはさらに、1つ以上のシリンジ、または組成物(単数または複数)をin vivoで対象に送達することができる他のデバイス(単数または複数)を含む。
【0154】
例
例1:SEL 212の臨床治験結果、非ヒト
前臨床開発
SEL 212を用いてウリカーゼ欠損マウスおよび野生型マウス、ラットおよび非ヒト霊長類を処置して、効力、用量レジメンおよび安全性を評価した。
【0155】
ウリカーゼ欠損マウスにおける概念証明研究
内因性ウリカーゼが遺伝的に欠損しているマウスにおける薬理学的研究を行った。研究は、SEL 212による3回の免疫化と、その後のペグシチカーゼのみの用量からなる用量レジメンの、ペグシチカーゼに対するADAの形成を予防することにおける効力を評価した。処置期間は、研究の最初の14日間からなった。研究において、マウスを3つの処置群に分けた。処置期間の間:
・第1群は、未処置群と称され、何ら処置を受けなかった;
・第2群は、ペグシチカーゼ群と称され、ペグシチカーゼのみで処置した;および
・第3群は、SVPラパマイシン+ペグシチカーゼ群と称され、ペグシチカーゼと共投与されたSVPラパマイシンで処置した。
【0156】
ペグシチカーゼ群およびSVPラパマイシン+ペグシチカーゼ群は、処置期間の第0日、第7日および第14日において処置した。各群を、次いで、研究の第35日および第42日、または負荷期間においてペグシチカーゼのみで処置した。ウリカーゼ特異的ADAレベルを記録して、ペグシチカーゼに対するADAの形成を決定した。尿酸レベルを測定して、ペグシチカーゼと共投与されたSVPラパマイシンの、尿酸レベルを痛風患者のための処置標的である6mg/dlより下に低下させることにおける有効性を決定した。
【0157】
抗体形成。ペグシチカーゼ群は、処置期間の間にペグシチカーゼに暴露された場合に、ウリカーゼ特異的ADAを生じた。未処置群もまた、ペグシチカーゼによる負荷をかけられた後すぐに、ウリカーゼ特異的ADAを生じた。処置および負荷期間の両方の間ペグシチカーゼに暴露されたにもかかわらず、SVPラパマイシン+ペグシチカーゼ群は、いずれの期間の間にもウリカーゼ特異的ADAを生じなかった。
【0158】
尿酸レベル。ペグシチカーゼへの最初の暴露の後、未処置群は、約10mg/dlの高い尿酸レベルを維持した。ペグシチカーゼ群は、処置期間における最初の用量の後で、6mg/dlより低い尿酸レベルを記録した。しかし、処置期間および負荷期間における引き続きの用量の間に、尿酸レベルは、6mg/dlをはるかに超えるレベルに戻った。対照的に、SVPラパマイシン+ペグシチカーゼ群は、研究全体を通して、ゼロに近い尿酸レベルを維持した。
【0159】
非ヒト霊長類における実証実験研究
SVPラパマイシンが非ヒト霊長類におけるウリカーゼ特異的ADAの形成を軽減する能力を評価するための前臨床研究もまた行った。
図3において表すとおり、研究の間:
・ペグシチカーゼを単独で投与し、これを空ナノ粒子群と称する、または
・ペグシチカーゼをSVPラパマイシンの2つの用量レベルのうちの一方と共投与し、これをそれぞれSVPラパマイシン0.1XおよびSVPラパマイシン1X群と称する。SVPラパマイシン0.1X群は、0.3mg/kgのSVPラパマイシンの用量レベルを投与され、SVPラパマイシン1X群は、3mg/kgのSVPラパマイシンの用量レベルを投与された。
【0160】
空ナノ粒子群は、3回の、1か月に1回のペグシチカーゼの用量を投与され、SVPラパマイシン0.1X群およびSVPラパマイシン1X群の各々は、3回の、1か月に1回の、SVPラパマイシンと共投与されるペグシチカーゼの用量を投与された。全群が、次いで、2回の、1か月に1回のペグシチカーゼのみの用量を投与された。SVPラパマイシン0.1X群は、SVPラパマイシン1X群において投与された用量の10分の1を投与された。
【0161】
抗体形成。研究の終了までに、空ナノ粒子群は、高レベルのウリカーゼ特異的ADAを産生することが観察された。SVPラパマイシン0.1X群およびSVPラパマイシン1X群は、ウリカーゼ特異的ADAのレベルを、空ナノ粒子群と比較して著しく減少させることができ、SVPラパマイシン1X群の場合は、抗体の形成を阻害した。本研究における観察は、非ヒト霊長類において、マウスにおいて観察されたウリカーゼ特異的ADAの軽減を確認した。
【0162】
尿酸レベル。予測されたとおり、ペグシチカーゼのみ、またはSVPラパマイシンと共投与されたペグシチカーゼが非ヒト霊長類において尿酸レベルに対して有した効果は、これらの動物において天然に存在するウリカーゼの活性に起因して、決定することができなかった。
【0163】
これらの前臨床研究、ならびに優良試験所基準(GLP)と称される規制ガイドラインを確認するために行った毒性研究に基づいて、SEL 212は、前臨床動物モデルにおいて、臨床開発への移行の正当性を示すために十分な効力および安全性を示したと考えられた。
【0164】
例2:SEL 212臨床治験結果、ヒト
第1a相臨床治験
SEL 212についての第1a相臨床治験は、6mg/dlより高くに上昇した血清尿酸レベルを有した22人の対象を5つのコホートに分けたものにおける、ペグシチカーゼのみの上向き用量治験であった。各コホートに、以下の用量レベルにおいて、ペグシチカーゼの単回静脈内注入を投与した:コホート#1については0.1mg/kg、コホート#2については0.2mg/kg、コホート#3については0.4mg/kg、コホート#4については0.8mg/kg、およびコホート#5については1.2mg/kg。投与は、最も低い用量から始め、コホート全体が安全に投与された後で初めて、次のコホートを開始した。対象を、注入後30日間の期間の間、モニタリングし、来診は、第7日、第14日、第21日、および第30日における治験終了来診時であった。各患者の血液および血清を、血清尿酸、ADA(特に抗ペグ、抗ウリカーゼおよび抗ペグシチカーゼ)および安全性のパラメーターについて評価した。ペグシチカーゼが、何らの重篤な有害事象を示さず、試験した5つの用量レベルにおいて十分に耐容されたことが観察された。加えて、ペグシチカーゼが、各コホートについて平均血清尿酸レベルを6mg/dlより低くに迅速に(数時間以内に)減少させ、用量レベルに依存して14日間から30日間にわたりこれを維持したことが示された。動物における前臨床研究と一致して、ペグシチカーゼは、この第1a相治験において、全対象において多様なレベルでウリカーゼ特異的ADAを誘導した。
【0165】
図4は、第1a相臨床治験の、治験の始めにおけるペグシチカーゼの単回静脈内注入の後30日間の経過の間の、異なる測定インターバル(第7日、第14日、第21日および第30日)において試験された5つのコホートの平均血清尿酸レベルを表す。
【0166】
ペグシチカーゼの単回静脈内注射の後で、血清尿酸レベルを、基線、ならびに第7日、第14日、第21日および第30日に、ウリカーゼ特異的ADAレベルを、基線、ならびに第14日および第30日に測定した。第1a相臨床治験における第21日のウリカーゼ特異的ADAレベルは測定しなかった。第1a相臨床治験からの結果に基づいて、耐容される用量におけるペグシチカーゼは、阻害性のウリカーゼ特異的ADAの不在下において、標的の6mg/dlより低い血清尿酸を達成し、これを30日間の期間にわたり維持することができることが観察された。
【0167】
第1b相臨床治験
第1b相臨床治験には、血清尿酸レベルが6mg/dlより高い63人の患者が登録され、これを11のコホートに分けた。以下の上向きの用量レベルにおけるSVPラパマイシンのみの単回静脈内注入を、4つのコホートに、昇順で投与した。各コホートは、7人の患者からなり、以下:コホート#1(0.03mg/kg)、コホート#3(0.1mg/kg)、コホート#5(0.3mg/kg)およびコホート#7(0.5mg/kg)のとおり、集合的にSVPラパマイシンコホートと命名した。SVP-ラパマイシンのみのコホートが、対応するSVPラパマイシンの用量レベルを首尾よくかつ安全に投与された後で、ペグシチカーゼの固定された用量(0.4mg/kg)を組み合わせた。組み合わせは、単回静脈内注入として連続的に共投与し、SVPラパマイシン注入がペグシチカーゼ注入に先行した。6つのコホート(コホートあたり5人の患者)についてのコホートの指定は、以下のとおりであり、これは、コホート#2(SVPラパマイシン0.03mg/kg+0.4mg/kgのペグシチカーゼ)、コホート#4(SVPラパマイシン0.1mg/kg+0.4mg/kgのペグシチカーゼ)、コホート#6(SVPラパマイシン0.3mg/kg+0.4mg/kgのペグシチカーゼ)、コホート#10(48時間離して0.4mg/kgのペグシチカーゼ+0.03mg/kgのSVPラパマイシン)、コホート#12(SVPラパマイシン0.15mg/kg+0.4mg/kgのペグシチカーゼ)およびコホート#14(SVPラパマイシン0.1mg/kg+0.4mg/kgのペグシチカーゼ)であり、集合的にSEL 212コホートとした。コホート#9において、0.4mg/kgの用量レベルにおける固定された量のペグシチカーゼのみを、5人の患者に投与し、これをペグシチカーゼコホートと称する。かかる処置の方法もまた提供される。対象を、注入後30日間の期間の間モニタリングし、来診は、第7日、第14日、第21日および第30日における治験終了時の来診であった。各患者の血液および血清を、血清尿酸、ADA(特に抗PEG、抗ウリカーゼおよび抗ペグシチカーゼ)および安全性のパラメーターについて評価した。第1b相臨床治験の第1の目的は、単独で、およびペグシチカーゼの固定された用量と組み合わせてのSVPラパマイシンの安全性および耐容性を評価することであった。二次的な臨床的な目的は、ペグシチカーゼと共投与されたSVPラパマイシンが、ペグシチカーゼのみの投与と比較して、血清尿酸レベルを低下させ、ウリカーゼ特異的ADAの形成を軽減する能力を評価することであった。
【0168】
図5は、第1a相臨床治験からのコホート#3の血清尿酸レベルを示し、ここで、対象は、固定された量のペグシチカーゼのみを(同じ0.4mg/kgのペグシチカーゼにおいて)投与された。また第1のグラフにおけるのは、第1b相臨床治験のコホート#9(ペグシチカーゼ0.4mg/kg)からのデータである。このグラフは、2つの別々の研究にわたるデータの再現性を表す。いずれのコホートにおいても、最初の血清尿酸の制御が存在する(6mg/dLより低く維持されたレベル)が、第14日を過ぎると、個々に酵素活性が緩くなる。また
図5において、SVPラパマイシン単独のコホートからのデータを提示する。全ての値は、30日間の試験を通して本質的に同じままであり、このことは、SVPラパマイシン単独では、血清尿酸レベルに対して何らの効果も有さないことを示している。SVPラパマイシンの最も低い用量をペグシチカーゼと共投与されて投与された第1b相臨床治験からのコホート#2について、試験された5人の対象のうちの4人が、治験の第21日まで6mg/dLより低い血清尿酸レベルを維持したことが観察された。また、SVPラパマイシンの2番目に低い用量をペグシチカーゼと共投与されて投与された第1b相臨床治験からのコホート#4における5人の対象のうちの4人が、第30日まで0.1mg/dl未満の血清尿酸のレベルを維持した。コホート#6(SEL 212コホート)について、(計画された5人のうちの)4人の対象が、第21日まで0.1mg/dl未満の血清尿酸のレベルを維持し、(計画された5人のうちの)2人の対象が、第30日まで0.1mg/dl未満の血清尿酸のレベルを維持した。対照的に、コホート#9(ペグシチカーゼコホート)について、5人の対象のうちの4人は、第30日までに、基線の血清尿酸レベルに戻った。
【0169】
図5は、第1a相臨床治験のコホート#3および第1b相臨床治験のコホート#9(ペグシチカーゼコホート)における各対象についての、血清尿酸レベルおよびウリカーゼ特異的ADAレベルを、第1b相臨床治験におけるコホート#4(SEL 212コホート)における各対象についての血清尿酸レベルおよびウリカーゼ特異的ADAレベルとの比較のために示す。第1b相臨床治験からのコホート#4に対する比較を目的として、第1a相臨床治験からのコホート#3を、第1b相臨床治験からのコホート#9と並べて表す。なぜならば、これらのコホート中の対象は、同じ固定されたペグシチカーゼの用量を投与されたからである。加えて、第1b相臨床治験からのコホート#4を、
図5において表す。なぜならば、第1b相臨床治験からのコホート#4中の対象は、それについての第1b相臨床治験からの30日間の観察期間データが利用可能であるもう一方のSEL 212コホートである第1b相臨床治験におけるコホート#2中の対象よりも高いSVPラパマイシンの用量を投与されたからである。
【0170】
図5において表されるとおり、第1a相臨床治験からのコホート#3および第1b相臨床治験からのコホート#9において、第14日におけるウリカーゼ特異的ADA形成が、基線の血清尿酸のレベルまでの回復をもたらすことが観察された。対照的に、第1b相臨床治験からのコホート#4については、試験された5人の対象のうちの4人において、第30日まで、最少のウリカーゼ特異的ADA形成と、対応する血清尿酸レベルの制御の維持が観察された。第1a相臨床治験において、第21日におけるウリカーゼ特異的ADAレベルは、測定しなかった。しかし、第1a相臨床治験を実施する過程において、第14日と第30日との間のかかるレベルの何らかの変化をより完全に理解するために、第21日におけるウリカーゼ特異的ADAレベルを測定することが有用であろうことを学んだ。結果として、第1b相臨床治験については、第21日におけるウリカーゼ特異的ADAレベルをモニタリングした。
【0171】
コホート#4(SEL 212コホート)中の、第30日において血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAレベルを有さないか非常に低い血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAレベルを有した3人の対象について、第30日におけるさらなる血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAデータを収集した。これらの対象のうちの3人全員について第37日に、3人の対象のうちの2人について第42日または第44日において再びデータを収集した。これら3人の対象の各々は、第37日、該当する場合には第42日または第44日において、ウリカーゼ特異的ADAレベルを有さないか、非常に低いウリカーゼ特異的ADAレベルを有した。3人の対象全員において、第37日において、血清尿酸レベルは、基線より低く維持された。第42日または第44日のデータが利用可能な2人の対象に関して、血清尿酸レベルは、測定された最後の時点までに、基線に近づくか、またはこれを超えた。第1b相臨床治験データからの観察に基づいて、コホート#4中の対象の大多数において、SEL 212は、少なくとも30日間にわたり尿酸レベルを制御することができた。
【0172】
組み合わせに基づいて、第1a相および第1b相臨床治験に関して、全85人の対象が、SEL 212(SVPラパマイシンおよびペグシチカーゼ)、SVPラパマイシンのみまたはペグシチカーゼのみのいずれかを投与された。一般的に、SEL 212およびその構成成分であるSVPラパマイシンおよびペグシチカーゼが、良好に耐容されたことが観察された。両方の第1相臨床治験において、合計4回の重篤な有害事象またはSAEが存在した。全てのSAEは、完全に解決した。
【0173】
図6は、第1a相臨床治験のコホート#3および第1b相臨床治験のコホート#9(ペグシチカーゼコホート)中の各対象についての血清尿酸レベルおよびウリカーゼ特異的ADAレベルを、第1b相臨床治験におけるコホート#4(SEL-212コホート)およびコホート#6(SEL-212コホート)中の各対象についての血清尿酸レベルおよびウリカーゼ特異的ADAレベルとの比較のために示す。第1a相臨床治験からのコホート#3はまた、第1b相臨床治験からのコホート#4およびコホート#6に対する比較を目的として、第1b相臨床治験からのコホート#9と並べて表す。なぜならば、これらのコホート中の対象は、同じ固定されたペグシチカーゼの用量を投与されているからである。加えて、第1b相臨床治験からのコホート#4を表す。なぜならば、第1b相臨床治験からのコホート#4中の対象は、第1b相臨床治験におけるコホート#2中の対象よりも高いSVP-ラパマイシンの用量を投与されたからである。また含められたのは、第1b相臨床治験からのコホート#6である。なぜならば、これらの対象は、現在までに試験された最も高い(コホート#2および#4の両方よりも高い)SVP-ラパマイシンの用量を投与されているからである。
【0174】
図7は、第1b相臨床治験のコホート#6におけるSEL-212の効力の、第1b相臨床治験のコホート#5との、同等でない(non-head-to-head)比較、および2011年のJournal of the American Medical Associationにおいて報告された2回の複製の無作為化された二重盲検のKRYSTEXXA(登録商標)のプラセボ対照臨床治験からのデータをを表す。これら2つのKRYSTEXXA(登録商標)臨床治験は、2週間に1回のKRYSTEXXA(登録商標)の用量を投与された85人の患者、1か月に1回のKRYSTEXXA(登録商標)の用量を投与された84人の患者、およびプラセボを投与された43人の患者を含んだ。
【0175】
KRYSTEXXA(登録商標)は、2週間に1回の用量レジメンにおける難治性痛風の処置について承認されているが、一方、KRYSTEXXA(登録商標)の1か月に1回の用量レジメンは、上市については承認されていない。左下のグラフは、1か月に1回の用量を投与されたKRYSTEXXA(登録商標)臨床治験における対象のコホートからのKrystexxa(登録商標)の第1の用量の後4週間の期間についてのデータを表す。
【0176】
図7において白丸で示されるプラセボ対照対象は、4週間全体にわたり6mg/dlより高い尿酸レベルを有した。KRYSTEXXA(登録商標)処置された対象であって、応答者となった者は、3か月およ6か月において80%の時間にわたる6mg/dLより低い尿酸レベルの維持により定義され、黒丸で示す。KRYSTEXXA(登録商標)処置された対象であって、非応答者となった者は、3か月およ6か月において80%の時間にわたり6mg/dLより低い尿酸レベルを維持することができないことにより定義され、黒三角で示す。1か月に1回の投与コホートにおけるKRYSTEXXA(登録商標)処置された対象のうちの35%のみが、応答者として分類された。4週間においてすら、非応答者においては平均尿酸レベルは6mg/dlより高く、これは対象の65%を表し、応答者においては4mg/dlより高かった。KRYSTEXXA(登録商標)処置された対象全員のうちの89%が、ADAを生じた。対照的に、
図7における右のグラフは、SVP-ラパマイシンのみの単一用量を投与された第1b相臨床治験のコホート#5、およびSEL-212の単一用量を投与された第1b相臨床治験のコホート#6からのデータを表す。SEL-212で処置された第1b相臨床治験のコホート#6中の5人の対象全員が、第30日まで0.1mg/dlより低い血清尿酸のレベルを維持した。SVP-ラパマイシンのみで処置された第1b相臨床治験のコホート#5中の対象は、尿酸レベルの著しい現象は経験せず、かかるレベルは、30日間の期間にわたって比較的一定に維持された。また示されるのは、SVP-ラパマイシンのみの単一用量を投与された第1b相臨床治験のコホート#5と、ペグシチカーゼのみを投与された第1b相臨床治験のコホート#9とデータの比較である。
【0177】
上の比較は、第1b相臨床治験のコホート#6の結果を評価することにおいて有用であると考えられる一方で、第1b相臨床治験とKRYSTEXXA(登録商標)臨床治験とは、異なる研究者により異なる場所において実施された別々の治験であった。加えて、例えば以下を含む実質的な差異が存在した:KRYSTEXXA(登録商標)臨床治験が相当数の難治性痛風を有する患者を含む二重盲検治験であった一方で、第1b相臨床治験は、上昇した尿酸レベルが上昇した少数の対象において混合されていない様式においてSEL-212を評価した。さらに、SEL-212は、複数用量臨床治験において評価されていなかったため、KRYSTEXXA(登録商標)の最初の注入の後の4週間の期間によるSEL-212の効力のみを比較することができた。
【0178】
さらなる血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAデータは、第30日の後に、コホート#4(SEL-212コホート)中の対象のうちの、第30日において血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAレベルを有さないか、非常に低い血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAレベルを有する3人について収集した。これらの対象のうちの3人全てについて第37日において、および3人の対象のうちの2人については、第42日または第44日において再びデータを収集した。これらの3人の対象のうちの各々は、第37日において、および該当する場合には第42日または第44日において、ウリカーゼ特異的ADAレベルを有しないか、非常に低いウリカーゼ特異的ADAレベルを有した。血清尿酸レベルは、3人の対象全員において第37日に基線より低いままであった。第42日または第44日のデータが利用可能な2人の対象に関して、血清尿酸レベルは、測定された最後の時点までに基線に近づいたかこれを超えた。
【0179】
例2-第2相臨床治験
本明細書において提示されるのは、SEL-212の第2相臨床治験である。研究は、SEL-037の用量と共投与される、SEL-212の複数の用量からなる。SEL-212は、SEL-037とSEL-110との組み合わせである。SEL-037は、ペグシチカーゼ(組み換えペグ化Candida Urateオキシダーゼ)を含む。SEL-110は、ラパマイシンを封入しているPLA(ポリ(D,L-ラクチド))およびPLA-PEG(ポリ(D,L-ラクチド)-ブロック-ポリ(エチレン-グリコール))を含むナノ粒子である。
【0180】
SEL-037は、賦形剤としてリン酸バッファーおよびマンニトールとともに提供されてもよい。投与の前に、ウリカーゼタンパク質として測定された6mgの凍結乾燥SEL-037を、1.1mlの注射用無菌水、USP(米国薬局方)で再構成してもよく、これは、6mg/mLの濃縮溶液を形成する。ウリカーゼタンパク質として測定された0.2mg/kgまたは0.4mg/kgで再構成されたSEL-037の十分な量を、100mLの注射用0.9%塩化ナトリウム、USP中で希釈し、単回静脈内注入として、注入ポンプを用いて60分間かけて投与してもよい。
【0181】
SEL-110は、ラパマイシン含有量に基づいてPBS中2mg/mLの懸濁液として提供される。mg/kgベースでのSEL-110の適切な量を、シリンジ中に充填し、IV注入としてシリンジ注入ポンプを用いて投与する。対象が、コホート3、4、5、6、7および8の一部である場合、SEL-037の前にSEL-110を、投与する。SEL-110は、シリンジ注入ポンプにより、55分間の期間にわたり用量を送達するために十分な単一の一定の速度において、125mLの通常生理食塩水の60分間の注入と同時に送達し、次いで、60分間の段階において、SEL-037注入(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)を開始する。
【0182】
48人の対象を、8つの投与コホートに分けた。各コホートは、6人の患者からなる。コホート3は、SEL-212(0.05mg/kgのSEL-110+0.2mg/kgのペグシチカーゼを含む)を投与され、コホート4は、SEL-212(0.05mg/kgのSEL-110+0.4mg/kgのペグシチカーゼを含む)を投与され、コホート5は、SEL-212(0.08mg/kgのSEL-110+0.2mg/kgのペグシチカーゼを含む)を投与され、コホート6は、SEL-212(0.08mg/kgのSEL-110+0.4mg/kgのペグシチカーゼを含む)を投与され、コホート7は、SEL-212(0.1mg/kgのSEL-110+0.2mg/kgのペグシチカーゼを含む)を投与され、およびコホート8は、SEL-212(0.1mg/kgのSEL-110+0.4mg/kgのペグシチカーゼを含む)を投与される。
【0183】
対象の分布
登録された全対象を、最初に、4つ全てのコホートについて合計12人の対象に達した際に各コホートが3人の対象を含むように、4つのコホートに無作為化した。少なくとも1回の処置サイクルの完了の後で、全コホートに対する登録がオープンとなる前に、対象の経験を評価した。将来の登録は、全てのオープンなコホートの間で無作為化する。
【0184】
研究薬処置についての前投薬
全対象に、研究薬を投与する前の夜に、(12h±2h)、および研究薬(すなわち、コホート3、4、5、6、7および8についてはSEL-110)を投与する2±1時間前に再び、180mgのフェキソフェナジンを経口で投与した。加えて、彼らにはまた、研究薬を投与する1±0.5時間前(すなわち、コホート3、4、5、6、7および8についてはSEL-110の前)に、メチルプレドニゾロン40mg(または等価の薬物、例えばプレドニゾン50mg(IV)またはデキサメタゾン8mg(IV))を静脈内で投与した。このことは、研究薬の処置投与毎に行った(パートA、処置期間1-3、およびパートBについて、処置期間4および5)。コホート3~6には、第1および第2の用量を投与した。
【0185】
痛風発赤のための前投薬
全ての包含および除外の基準を満たす全対象に、痛風発赤予防のための前投薬を行う。レジメンは、研究薬の第1の投与の1週間前に開始し、対象が臨床研究に登録されている限り継続する。対象に、コルヒチン1.2mgを、単一の負荷用量として投与した。次いで、彼らの治験における参加の残りにわたってコルヒチン0.6mg(QD)を継続した。コルヒチンに対する禁忌症が存在する場合、対象に、イブプロフェン600mg(TID)またはNSAIDの等価の用量を投与する。コルヒチンに対する、およびNSAIDに対する禁忌症が存在する場合、対象には痛風発赤のための前投薬を行わない。痛風発赤予防医薬は、対象が臨床研究に登録している限り継続する。コルヒチンに対する禁忌症に起因してNSAIDを痛風発赤予防医薬として投与され始めた対象には、対象が臨床研究に登録している限り、NSAIDを投与し続ける。
【0186】
コホート3、コホート4、コホート5、コホート6、コホート7、およびコホート8についての処置の期間
処置期間1-パートA
対象を、45日間の投与の範囲内でスクリーニングした。対象が包含/除外基準を満たし、全ての評価が受入可能であると考えられた場合、対象に、痛風発赤の予防のための前投薬を開始する時期について指示した(日付および処方、第7日)。研究薬の最初の投与の日を、第0日とした。コホート3、4、5、6、7および8に割り当てられた適格な対象に、SEL-110の注入物(mg/kgベースに基づく用量)において単回IVを投与した。SEL-110は、シリンジ注入ポンプにより、55分間の期間にわたり用量を送達するために十分な単一の一定の速度において送達した。SEL-110の投与と同時に、対象に、60分間をかけて、125mLの通常生理食塩水を投与した。この後(±3分間)、100mLの通常生理食塩水中に希釈されたSEL-037(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)の注入物を、60分間をかけて注入ポンプにより送達した。対象は、安全性評価およびPK採血のために、SEL-110の注入の開始後9時間にわたり病院に滞在した。対象は、処置期間1、第1日、第7日、第14日、第21日においてPKおよびPD採血のために、処置期間1、第7日、第14日、第21日において安全性および抗体採血のために戻った。
【0187】
処置期間2-パートA
処置期間2、第0日の朝に、対象は、病院に、研究薬の投与について報告した。コホート3、4、5、6、7および8に割り当てられた適格な対象に、SEL-110(mg/kgベースに基づく用量)の単回IV注入を投与した。SEL-110を、シリンジ注入ポンプにより、55分間の期間にわたり用量を送達するために十分な単一の一定の速度において送達した。SEL-110の投与と同時に、対象に、60分間をかけて、125mLの通常生理食塩水を投与した。この後(±3分間)、100mLの通常生理食塩水中に希釈されたSEL-037(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)の注入物を、60分間かけて注入ポンプにより送達した。対象は、安全性評価およびPK採血のために、SEL-110の注入の開始後9時間にわたり病院に滞在した。対象は、処置期間2、第1日、第7日、第14日および第21日においてPKおよびPDのために、処置期間2、第7日、第14日および第21日において安全性および抗体採血のために戻った。
【0188】
処置期間3-パートA
処置期間3、第0日の朝に、対象は、病院に、研究薬の投与について報告する。コホート3、4、5、6、7および8に割り当てられた適格な対象に、SEL-110(mg/kgベースに基づく用量)の単回IV注入を投与する。SEL-110は、シリンジ注入ポンプにより、55分間の期間にわたり用量を送達するために十分な単一の一定の速度において、送達する。SEL-110の投与と同時に、対象に、60分間をかけて、125mLの通常生理食塩水を投与する。この後(±3分間)、100mLの通常生理食塩水中に希釈されたSEL-037(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)の注入を、60分間かけて注入ポンプにより送達した。対象は、安全性評価およびPK採血のために、SEL-110の注入の開始後9時間にわたり病院に滞在する。対象は、処置期間3、第1日、第7日、第14日および第21日においてPKおよびPD採血のために、処置期間3、第7日、第14日および第21日において安全性および抗体採血のために戻る。
【0189】
処置期間4-パートB
処置期間4、第0日の朝に、対象は、病院に、研究薬の投与について報告する。対象に、100mLの通常生理食塩水中に希釈されたSEL-037(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)の単回IV注入を、60分間かけて、注入ポンプにより投与する。対象は、安全性評価およびPK採血のために、SEL-037の注入の開始後9時間にわたり病院に滞在する。対象は、処置期間4、第1日、第7日、第14日および第21日においてPKおよびPD採血のために、処置期間4、第7日、第14日および第21日において安全性および抗体採血のために戻る。
【0190】
処置期間5-パートB
処置期間5、第0日の朝に、対象は、病院に、研究薬の投与について報告する。対象に、100mLの通常生理食塩水中に希釈されたSEL-037(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)の単回IV注入を、60分間かけて、注入ポンプにより投与する。対象は、安全性評価およびPK採血のために、SEL-037の注入の開始後9時間にわたり病院に滞在する。対象は、処置期間5、第1日、第7日、第14日および第21日においてPKおよびPD採血のために、処置期間5、第7日、第14日および第21日において安全性および抗体採血のために戻る。
【0191】
結果
例2において記載される第1相においてペグシチカーゼのみを投与した場合、痛風の病歴を有する者(7人の患者のうちの4人)のうちの57%が、研究薬を投与された後の最初の1か月間において痛風発赤の兆候を有した(表1)。しかし対照的に、例3において記載される第2相治験において、ラパマイシンを含むPLA/PLA-PEG合成ナノキャリアがペグシチカーゼと共投与された場合、痛風の病歴を有した対象(63人の登録患者のうち16人)において1回のみの痛風発赤が報告された(表2)。この対象は、ラパマイシン含有ナノキャリアのみ(ウリカーゼなし)を投与されたコホート中のものであった。この対象はウリカーゼ治療を受けていないので、この対象の血清尿酸レベルは、著しくは低下しなかった。したがって、発赤は、血清尿酸の変化とは無関係であった。痛風の前診断を有していなかった1人のさらなる対象が、処置後の発赤を報告した。この患者の血清尿酸レベルは、薬物投与の後90分間以内に8.8mg/dLから0.1mg/dLへと低下した。したがって、この対象は、研究の前に無兆候性の高尿酸血症のみを診断されていたが、発赤は、血清尿酸の低下と一致するものと思われた。
【0192】
【0193】
【0194】
第2相研究を行った(例3)。この研究は、その安全性および耐容性を評価するために、ラパマイシンを含むPLA/PLA-PEG合成ナノキャリアの複数回のIV注入を、ペグシチカーゼと一緒に投与することを含んだ。38人の対象を無作為化して投与し、8人の対象が、痛風発赤を罹患したと報告した(表3)。
【0195】
【0196】
上の対象における発赤率を、ペグロチカーゼ治験における発赤率と比較した。痛風発赤予防薬(コルヒチンまたはNSAIDSを含むもの)のみを投与された対象を選択して、ペグロチカーゼ対象の条件に一致させた。発赤頻度(患者1人あたり1か月あたりの発赤の数)を、発赤率を比較するための基準として選択した。この基準は、治験データが2か月間または2回の処置サイクルにわたるが、一方で、ペグロチカーゼ治験は、35日間(Sundyら、Pharmacokinetics and pharmacodynamics of intravenous PEGylated recombinant mammalian urate oxidase in patients with refractory gout. Arthritis and Rheumatism.第56巻第3号、2007年3月、1021~1028頁)から6か月間(John S. Sundy, MD, PhD; Herbert S. B. Baraf, MD; Robert A. Yood, MDら、Efficacy and Tolerability of Pegloticase for the Treatment of Chronic Gout in Patients Refractory to Conventional TreatmentTwo Randomized Controlled Trials. JAMA. 2011;306(7):711-720)で長さが異なるという事実に基づいて選択された。治験の間を比較することができるように、患者の月毎の率を選択した。
【0197】
コホート3および4は、ラパマイシンを含む合成ナノキャリアの同じ用量(0.05mg/kg)を投与されているので、この分析のためにこれらを一緒にグループ化し、同様に、コホート5および6を(0.08mg/kgラパマイシンを含む合成ナノキャリア用量により)一緒にグループ化した。コホート3および4において、19人の対象に、合計24回の処置サイクルにわたり投与した。特定の対象がプロトコルの変更に従って中止したため、全ての対象がすべての処置を受けたわけではない。コホート5および6においては、ここまでで、13人の対象に、合計24回の処置サイクルにより投与した。このことは、痛風発赤予防薬を投与された対象について、48回の処置サイクルにわたって合計で2回の発赤が起きたことを意味する。このことは、処置サイクル1回あたり0.04回の発赤、言い換えれば、患者1人あたり1か月あたり0.04回の発赤の発赤頻度に等しいと言える。
【0198】
対照的に、第3相ペグロチカーゼ治験(John S. Sundy, MD, PhD; Herbert S. B. Baraf, MD; Robert A. Yood, MD; et al. Efficacy and Tolerability of Pegloticase for the Treatment of Chronic Gout in Patients Refractory to Conventional TreatmentTwo Randomized Controlled Trials. JAMA. 2011;306(7):711-720)は、以下を報告した:2週間に1回のペグロチカーゼを投与された85人の患者について、最初の3か月間にわたり、患者1人あたり2.3回の発赤、および、1か月に1回のペグロチカーゼを投与された84人の患者について、最初の3か月間にわたり、患者1人あたり2.7回の発赤。これらの数は、それぞれ、患者1人あたり1か月あたり0.77回および0.9回の発赤の発赤頻度に等しい。
【0199】
2つのプライマリーブランドの経口尿酸低下薬であるフェブキソスタットおよびレシヌラドを用いて、さらなる比較を行ってもよい。第3相の、無作為化された二重盲検の多施設治験において、フェブキソスタットの安全性および効力を、52週間にわたり試験した(Michael A. Becker, M.D., H. Ralph Schumacher, Jr., M.D., Robert L. Wortmann, M.D., Patricia A. MacDonald, B.S.N., N.P., Denise Eustace, B.A., William A. Palo, M.S., Janet Streit, M.S., and Nancy Joseph-Ridge, M.D. Febuxostat Compared with Allopurinol in Patients with Hyperuricemia and Gout. N Engl J Med 2005; 353:2450-2461December 8, 2005)。この分析のための比較期間は、痛風発赤予防薬が投与された場合、その研究の最初の8週間のみを含んだ。80mg/日の用量において、255人の対象のうちの55人が、少なくとも1回の痛風発赤のために処置を必要とした。このことは、患者1人あたり1か月あたり少なくとも0.22回、または場合によってはそれより多くの発赤の発赤頻度に等しいであろう。120mg/日の用量においては、250人の対象のうちの90人が、少なくとも1回の痛風発赤のために処置を必要とし、これは、患者1人あたり1か月あたり 少なくとも0.36回、または場合によってはそれより多くの発赤の発赤頻度に等しい。
【0200】
レシヌラドの効力および耐容性を評価するための第2相の無作為化された二重盲検の研究において、対象に、痛風発赤予防のためにコルヒチンを投与し、異なる用量におけるレシヌラドで、1か月間にわたり処置した(Perez -Ruiz F, Sundy JS, Miner JN for the RDEA594-203 Study Group, et al. Lesinurad in combination with allopurinol: results of a phase 2, randomised, double-blind study in patients with gout with an inadequate response to allopurinol, Annals of the Rheumatic Diseases 2016;75:1074-1080)。この処置期間の間、処置を必要とする痛風発赤は、1か月間において毎日200mgで投与されていた46人の患者のうちの10人において、1か月間において毎日400mgで投与されていた42人の患者のうちの13人において、および1か月間において毎日600mgで投与されていた48人の患者のうちの15人において報告された。このことは、それぞれ、患者1人あたり1か月あたり0.22、0.31および0.31回の発赤の発赤頻度に等しい。
様々な医薬の間での発赤頻度の比較を、血清尿酸(sUA)を減少させることにおけるそれらの効力と並べて概略する表にしたデータを、表4において集める。
【0201】
【0202】
ラパマイシン含有ナノキャリアをペグシチカーゼと共投与されていた対象について、他の処方の全てと比較して、発赤頻度は明らかに減少する。この予想外の結果は、他の治療を用いる場合よりも著しくより良好である。このことはまた、ウリカーゼなどの尿酸低下治療に対する患者のアドヒアランスのために利益を有する。なぜならば、治療の開始の後でリバウンドの発赤が起こる場合、アドヒアランスは、著しく低下するからである(Treatment of chronic gouty arthritis: it is not just about urate-lowering therapy. Schlesinger N - Semin. Arthritis Rheum. - October 1, 2012; 42 (2); 155-65)。
【0203】
他の態様
本明細書において開示される特徴の全ては、任意の組み合わせにおいて組み合わせてもよい。本明細書において開示される特徴の各々は、同じか、等価または類似の目的に役立つ代替的な特徴により、置き換えてもよい。したがって、別段に明示的に記述されない限り、開示される各々の特徴は、単に、一般的な一連の等価または類似の特徴の一例である。
【0204】
上の記載から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、その精神および範囲から乖離することなく、本発明を、多様な用途および条件に適応させるために、本発明の多様な変更および修飾を行うことができる。したがって、他の態様もまた、請求の範囲内である。